JP5510719B2 - 多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法及びこれに使用するメンテナンス用治具 - Google Patents

多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法及びこれに使用するメンテナンス用治具 Download PDF

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Description

本発明は、複数の流路を各別にシールするためのメカニカルシール及び弾性材製シールリングを内蔵した多流路形ロータリジョイントにおいて、主として弾性材製シールリングの交換を行うためのメンテナンス方法とこれに使用するメンテナンス用治具に関するものである。
従来の多流路形ロータリジョイントとして、特許文献1に開示する如く、軸線方向において先端ケース部分と基端ケース部分とに分離可能に構成された筒状のケース体と、両端部を先端ケース部分と基端ケース部分とに夫々軸受支持させることによりケース体に相対回転自在に連結された回転軸体と、両体間に形成された複数の流路であって、基端ケース部分と回転軸体との対向周面間に軸線方向に並列配置した複数のメカニカルシールによってシールされた第1流路及び先端ケース部分と回転軸体との対向周面間に軸線方向並列状に配置した複数の弾性材製シールリングによってシールされた第2流路とを具備するものが公知である。
かかる多流路形ロータリジョイントは、流路を流動する流体の性状や流動条件に応じて、流路のシール手段として、設置スペースが大きく且つ構造も複雑であるが高度のシール機能を発揮しうるメカニカルシールとシール機能はメカニカルシールに劣るがメカニカルシールに比して設置スペースが小さく且つ構造の簡単な弾性材製シールリングとを使い分けることにより、すべての流路をメカニカルシールでシールするようにした多流路形ロータリジョイント(例えば、特許文献2を参照)に比して多流路形ロータリジョイントの構造簡略化,小型化を図りつつ、性状や流動条件の異なる複数種の流体をCMP装置等における相対回転部材間で良好に流動させることができるように工夫されたものである。
特開2006−161954公報 特開2002−005380公報
このような多流路形ロータリジョイントにあって、メカニカルシールはセラミックス,カーボン,超硬合金等の硬質材で構成された2つの密封環によりシール機能を発揮させるものであり、長期に亘ってメンテナンスを必要としないものであるが、弾性材製シールリングは、その材質,機能上、短期間の使用において摩耗,損傷し易く、交換する必要が生じる。
したがって、上記のように流路のシール手段としてメカニカルシールと弾性材製シールリングとを併用する多流路形ロータリジョイントにあっては、メカニカルシールをメンテナンスする必要がないときにも弾性材製シールリングはこれをメンテナンス(弾性材製シールリングを新たなものに交換し、必要に応じて当該シールリングの周辺部材の交換,補修を行う等)する必要がある場合があるが、上記した従来の多流路形ロータリジョイントにあって、このような弾性材製シールリングのメンテナンスを行う際にメカニカルシールの作動不良,機能低下を招来する虞れがあった。
すなわち、弾性材製シールリングを交換する等のメンテナンスは、メカニカルシールが組み込まれた基端ケース部分と回転軸体とのベアリングによる連結を解除することなく行う必要があることから、回転軸体及びこれに連結された基端ケース部分から先端ケース部分及びこれと回転軸体との間に組み込まれた弾性材製シールリングを取り外すことにより行われる。
ところで、メカニカルシールは基端ケース部分に設けられたケース側密封環と回転軸体に設けられた軸側密封環との対向端面(密封端面)が平行且つ同心状態で相対回転することにより高度のシール機能を発揮するように構成されたものであり、かかる密封端面の平行性,同心性が損なわれるとシール機能が低下若しくは喪失することになる。
しかし、先端ケース部分を取り外すと、これとの間に装填されたベアリングによる回転軸体の一端部(先端部)の軸受支持が解除されることから、回転軸体は他端部(基端部)のみが基端ケース部分にベアリングで連結された片持ち状態となる上、基端ケース部分に対して相対回転自在な状態にあることから、弾性材製シールの交換後に行われる再組立作業(先端ケース部分の基端ケース部分への取り付け、先端ケース部分と回転軸体との間へのベアリングの取り付け、弾性材製シールリングの回転軸体への嵌入等)を行う際に、基端ケース部分と回転軸体との同心状態が維持されず、つまり先端ケース部分を取り外す前の状態を維持することが困難であり、その結果、上記した密封端面の平行性,同心性が損なわれる虞れがある。このような虞れは、軸線方向に並列配置されるメカニカルシールの数が多くなるに従い顕著に生じる。
また、基端ケース部分と回転軸体とが相対回転自在な状態にあることから、つまり回転軸体がその基端部のみをベアリングで支持された不安定な片持ち状態となっていることから、上記した再組立作業が極めて困難であり、作業者が未熟練者である場合は勿論、熟練の作業者であっても、メカニカルシールをメンテナンス前の適正な形態に保持したままでメンテナンス作業ないし当該ロータリジョイントの再組立作業を行うことは容易ではない。
したがって、従来にあっては、弾性材製シールリングのメンテナンスを行ったために、メカニカルシールの機能ないし多流路形ロータリジョイントの機能が却って低下する虞れがあった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、作業者の熟練度に拘わらず、メカニカルシールが機能低下するような不具合を生じることなく、弾性材製シールリングの交換等のメンテナンスを容易且つ適正に行うことができる多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法を提供すると共に、この方法を好適に実施することができるメンテナンス用治具を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記の目的を達成すべく、軸線方向において先端ケース部分と基端ケース部分とに分離可能に構成された筒状のケース体と、先端ケース部分及び基端ケース部分の内周部に夫々軸受支持することによりケース体に相対回転自在に連結された回転軸体と、基端ケース部分と回転軸体との対向周面間に軸線方向に並列配置された複数のメカニカルシールと、先端ケース部分と回転軸体との対向周面間に軸線方向に並列配置された複数の弾性材製シールリングとを具備する多流路形ロータリジョイントにおいて、弾性材製シールリングのメンテナンスを行うための方法であって、基端ケース部分と回転軸体とを相対回転不能に連結固定する第1工程と、第1工程後に、先端ケース部分を基端ケース部分から取り外す第2工程と、第2工程後に、弾性材製シールリングのメンテナンスを行うと共に先端ケース部分を基端ケース部分に取り付ける第3工程と、第3工程後に、第1工程で行った基端ケース部分と回転軸体との連結固定を解除する第4工程と、からなることを特徴とする多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法を提案する。
かかるメンテナンス方法にあって、各メカニカルシールが、回転軸体に固定された軸側密封環と基端ケース部分に軸線方向に移動可能に保持されたケース側密封環とこれを軸側密封環へと押圧附勢するスプリングとを具備するものであり、回転軸体が、軸本体とこれに嵌挿されて隣接する軸側密封環の相互間隔を規制する中間スリーブと先端ケース部分内に位置する軸本体の先端部分に嵌合固着されて軸側密封環群のうち最先端側の軸側密封環をスプリングによる押圧力に抗して所定位置に係止する端部スリーブとを具備するものである場合においては、第2工程において、先端ケース部分の取り外し後に、密封環係止治具を基端ケース部分の先端部に取り付けて、この密封環係止治具により前記最先端側の軸側密封環を端部スリーブによる係止位置と同一位置に係止させ、しかる後、端部スリーブを新たなものに交換した上で、密封環係止治具を基端ケース部分から取り外すようにすることが好ましい。
また、先端ケース部分が軸線方向に流路フランジとシールフランジとに分離可能に構成されており、流路フランジと端部スリーブとの対向周面間にベアリング及び弾性材製シールリングが配設されており、シールフランジと軸側密封環群のうち最先端側の軸側密封環との対向周面間に弾性材製の環状シール部材が配設されている場合においては、第3工程において、流路フランジとシールフランジとを分離した状態で弾性材製シールリング及び環状シール部材のメンテナンスを行い、しかる後、基端ケース部分にはシールフランジを取り付けた上で、流路フランジを取り付けるようにすることが好ましい。この場合において、弾性材製シールリングが、環状の本体部と本体部から軸線方向に突出して先端ケース部分と回転軸体との対向周面に弾性的に押圧接触する筒状の内外周リップ部とを具備するものであるときには、第3工程において、流路フランジに、内周面に当該流路フランジに形成された弾性材製シールリングの装填面に面一状に連なる円柱状の外周リップ部誘導面とその基端から漸次拡大する外周リップ部縮径変形作用面とを形成してなる円筒状の外周リップ部誘導治具を取り付けて、新たな弾性材製シールリングを、これが外周リップ部縮径作用面内に位置する状態で、当該弾性材製シールリングの本体部に衝合させた筒状又は棒状の押し込み治具により前記装填面へと押し込むことにより、外周リップ部を外周リップ部縮径変形作用面により縮径変形させつつ当該外周リップ部縮径変形作用面から外周リップ部誘導面を経て前記装填面へと誘導し、しかる後、流路フランジから外周リップ部誘導治具を取り外すことにより当該弾性材製シールリングを流路フランジに装填するようにすることが好ましい。さらに、第3工程においては、回転軸体の先端に、これと同一外径をなす内周リップ部誘導部とその基端から先端方向に漸次縮径する截頭円錐状又は円錐状の内周リップ部拡径変形作用部とを有する回転体形状の内周リップ部誘導治具を軸線が一致する同心状態で取り付け、流路フランジを、これに装填された新たな弾性材製シールリングに内周リップ部拡径変形作用部を挿通させた状態で、シールフランジに衝合する位置へと軸線方向に移動させることにより、内周リップ部を内周リップ部拡径変形作用部により拡径変形させつつ当該内周リップ部拡径変形作用部から内周リップ部誘導部を経て回転軸体の所定位置へと誘導し、しかる後、流路フランジをシールフランジ及び/又は基端ケースに取り付けることにより、弾性材製シールリングの交換を行うようにすることが好ましい。
また、内周リップ部誘導治具を回転軸体に軸線が一致する状態で取り付ける場合においては、筒状の芯出し治具を使用することが好ましい。すなわち、芯出し治具を、その先端側内周部に係合保持させた非圧縮性弾性材製の治具側Oリングを内周リップ部誘導治具に嵌合させると共に当該芯出し治具の基端側内周部に係合保持させた非圧縮性弾性材製の軸側Oリングを回転軸体に嵌合させた状態で、内周リップ部誘導治具が回転軸体の先端に衝合する位置まで移動させた上、内周リップ部誘導治具を回転軸体に取り付け、しかる後、芯出し治具を内周リップ部誘導治具及び回転軸体から離脱させることにより、内周リップ部誘導治具を回転軸体に軸線が一致する状態で取り付けるようにするのである。
また、かかるメンテンナス方法の第1工程においては、基端ケース部分と回転軸体とを連結固定治具を使用して相対回転不能に連結固定すると共に、この連結固定治具を所定の作業面に載置することにより、当該ロータリジョイントを立直保持させておき、当該立直保持の状態において第2工程及び第3工程を行うようにすることが好ましい。
また、本発明は、メンテナンス方法を好適に実施するためのメンテナンス用治具である連結固定用治具、密封環係止治具、外周リップ部誘導治具、内周リップ部誘導治具及び芯出し治具を提案する。すなわち、連結固定治具は、回転軸体の基端部をボルトにより固定する軸固定部とその周縁部に立設されて基端ケース部分の基端部を嵌合固定するケース固定部とを具備するものである。また、密封環係止治具は、基端ケース部分の先端部に取り付けられる筒状の治具本体と、治具本体の内周部に設けられて、本体部を基端ケース部分に取り付けたときにおいて、前記最先端側の軸側密封環の端面に衝合して、当該軸側密封環を端部スリーブによる係止位置と同一位置に係止せる係止体と、を具備するものである。また、外周リップ部誘導治具は、内周面に流路フランジに形成された弾性材製シールリングの装填面と同一径の円柱状の外周リップ部誘導面とその基端から漸次拡大する外周リップ部縮径変形作用面とを形成してなる円筒状のもので、流路フランジに外周リップ部誘導面が前記装填面に面一状に連なる状態で取り付けうるように構成されたものである。また、内周リップ部誘導治具は、回転軸体の先端と同一外径をなす内周リップ部誘導部とその基端から漸次縮径する截頭円錐状又は円錐状の内周リップ部拡径変形作用部とを有し、回転軸体の先端にこれと軸線が一致する同心状態で取り付けうるように構成されたものである。さらに、芯出し治具は、先端側内周部に内周リップ部誘導治具に嵌合しうる非圧縮性弾性材製の治具側Oリングを係合保持すると共に基端側内周部に回転軸体に嵌合しうる非圧縮性弾性材製の軸側Oリングを係合保持させた筒状体である。
本発明のメンテナンス方法によれば、回転軸体と基端ケース部分とを相対回転不能に連結固定した上で先端ケース部分を取り外すようにし、且つこの回転軸体と基端ケース部分との連結固定をメンテナンス作業の完了後に解除するようにするから、つまりメンテナンス作業の開始から終了に至る間、回転軸体と基端ケース部分との関係がメンテナンス前の状態のままに相対回転不能に保持されるから、回転軸体と基端ケース部分との間に装填されたメカニカルシールの形態がメンテナンス作業によって変化することがなく、メンテナンス作業を行うことによってメカニカルシールの機能が低下したり喪失したりする虞れは皆無となる。しかも、回転軸体は基端ケース部分に固定された状態にあるから、新たな弾性材製シールリングの先端ケース部分と回転軸体との間への装填等のメンテナンス作業を、熟練者は勿論、未熟練者であっても、容易且つ適正に行うことができる。
また、本発明のメンテナンス用治具によれば、本発明のメンテナンス方法の各工程を容易且つ適正に行うことができる。
図1は本発明に係るメンテナンス方法が実施される多流路形ロータリジョイントの一例を示す縦断面正面図(断面は図4のI−I線に沿う)である。 図2は当該ロータリジョイントの縦断面図(断面は図4のII−II線に沿う)である。 図3は当該ロータリジョイントの縦断側面図(断面は図4のIII −III 線に沿う)である。 図4は当該ロータリジョイントの平面図である。 図5は図1の要部を拡大して示す詳細図である。 図6は本発明に係るメンテナンス方法の第1工程を示したもので、当該ロータリジョイントに連結固定治具を取り付けた状態を示す一部切欠の平面図である。 図7は図6と同一状態を示す底面図である。 図8は図6のVIII−VIII線に沿う縦断面図である。 図9は図6のIX−IX線に沿う縦断面図である。 図10は当該メンテナンス方法の第2工程を示したもので、先端ケース部分を取り外した状態を示す縦断面図(断面はX−X線に沿う)である。 図11は当該メンテナンス方法の第3工程における端部スリーブの交換作業を示したもので、図10に対応する縦断面図である。 図12は当該端部スリーブの交換作業における図11と異なる状態を示す図11相当の縦断面図である。 図13は当該第3工程における第1弾性材製シールリングの先端ケース部分への装填作業を示す、図2に対応する要部の縦断面図である。 図14は当該第1弾性材製シールリングの先端ケース部分への装填作業を工程順に示す図13の要部拡大図である。 図15は当該第3工程における第2弾性材製シールリングの先端ケース部分への装填作業を示す図13相当の縦断面図である。 図16は当該第2弾性材製シールリングの先端ケース部分への装填作業を工程順に示す図15の要部拡大図である。 図17は当該第3工程における先端ケース部分の取付作業を示す図11対応の一部切欠縦断面図である。 図18は当該先端ケース部分の取付作業を工程順に示す図17の要部拡大図である。 図19は当該先端ケース部分の取付作業における図17と異なる状態を示す図17相当の縦断面図である。 図20は当該先端ケース部分の取付作業における図17〜図19と異なる状態を示す図17相当の縦断面図である。 図21は当該第3工程における先端ケース部分の取付作業における図17〜図20と異なる状態を示す図17相当の縦断面図である。 図22は当該第3工程における先端ケース部分の取付作業における図17〜図21と異なる状態を示す図17相当の縦断面図である。
以下、本発明に係る多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法及びこれに使用するメンテナンス用治具の構成を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明に係るメンテナンス方法が実施される多流路形ロータリジョイントの一例を示す縦断面正面図(断面は図4のI−I線に沿う)であり、図2は当該ロータリジョイントの縦断面図(断面は図4のII−II線に沿う)であり、図3は当該ロータリジョイントの縦断側面図(断面は図4のIII −III 線に沿う)であり、図4は当該ロータリジョイントの平面図であり、図5は図1の要部を拡大して示す詳細図である。なお、以下の説明において上下とは図1〜図3における上下をいうものとする。
まず、多流路形ロータリジョイントの構成について説明すると、このロータリジョイントは、図1に示す如く、回転機器の固定側部材(例えば、CMP装置本体)に取り付けられるケース体1と当該回転機器の回転側部材(例えば、CMP装置のトップリング又はターンテーブル)に取り付けられる回転軸体2とを具備し、両体1,2間にM本の第1流路3とN本の第2流路4とを形成したものである。この例では、M=5,N=1としてある。
ケース体1は、図1〜図3に示す如く、内周断面が円形をなす筒構造体であり、軸線方向(上下方向)において基端ケース部分5と先端ケース部分6とに分離可能に構成されている。各ケース部分5,6は軸線方向において複数の筒状部分(フランジ)に分割されている。すなわち、基端ケース部分5は、図1又は図2に示す如く、第1シールフランジ5aとその上面部に積層されたM個の第1流路フランジ5bとからなり、各第1流路フランジ5bとこれに隣接する他の第1流路フランジ5b及び第1シールフランジ5aとを各々適当本数のボルト7で連結することによって、内周断面が円形をなす筒構造体に組立てられたものである。先端ケース部分6は、図1又は図2に示す如く、内周断面が円形をなす筒構造体であって、第2シールフランジ6aとその上面部に取り付けられた第2流路フランジ6bとからなるものであり、第2シールフランジ6aを適当本数のボルト8(図1参照)により基端ケース部分5の上端部つまり最上位の第1流路フランジ5bの上面部に取り付けると共に第2流路フランジ6bに挿通させた適当本数の長尺なボルト9(図2参照)を第2シールフランジ6a及び全第1流路フランジ5bを貫通して第1シールフランジ5aに螺着させることにより、内周断面が円形をなす筒構造体に組立てられた形態で基端ケース部分5に一体連結されるものである。なお、ケース体1の両端つまり基端ケース部分5の下面部(第1シールフランジ5aの下面部)及び先端ケース部分6の上面部(第2流路フランジ6bの上面部)には、夫々、図2又は図4に示す如く、適当本数のビス10によりベアリング押さえ兼用のカバー板5c,6cが取り付けられている。なお、ケース体1は、図4に示す如く、前後面1a,1aを回転軸体2を中心とする同一径の円弧面とし且つ左右面1b,1bを平行平面とする外観形態をなすものである。
回転軸体2は、図1〜3に示す如く、円柱状の軸本体11と、これに軸線方向(上下方向)に所定間隔を隔てて並列状に嵌合された端部スリーブ12及びM個の中間スリーブ13とで構成されており、上下ベアリング14a,14bにより先端ケース部分6及び基端ケース部分5の内周部に同心状をなして回転自在に支持されている。端部スリーブ12は、図1〜図4に示す如く、円筒状のシール部12aと円板状の取付部12bとを有する断面H字状の円筒構造体であり、シール部12aを回転軸体2の軸本体11の先端部分(上端部分)に嵌合させると共に取付部12bに挿通させた適当数のボルト15を軸本体11の先端面部(上端面部)に螺着させることにより、回転軸体2の先端部に嵌合固定されている。各中間スリーブ13は円筒体であり、軸本体11に嵌挿されている。上ベアリング14aは、端部スリーブ12の先端部と先端ケース部分6の先端部(第2流路フランジ6bの上端部)との対向周面間に装填されており、下ベアリング14bは、軸本体11の基端部と基端ケース部分5の基端部(第1シールフランジ5aの下端部)との対向周面間に装填されている。
M本(この例では5本)の第1流路3は、夫々、図1に示す如く、両体1,2の対向周面間に形成された環状空間であって一対のメカニカルシール16,16によりシールされた通路接続空間3aと、回転軸体2の軸本体11及び各中間スリーブ13を貫通して通路接続空間3aに連通する軸側通路3bと、基端ケース部分5の各第1流路フランジ5bを貫通して通路接続空間3aに連通するケース側通路3cとからなる。各軸側通路3bは上記回転機器の回転側部材に形成された流路に接続され、各ケース側通路3cは上記回転機器の静止側部材に形成された流路に接続されている。軸側通路3bとケース側通路3cとを連通するM個の通路接続空間3aは、基端ケース部分5と回転軸体2との対向周面間に軸線方向に並列配置された2M個のメカニカルシール16によってシールされている。各メカニカルシール16は、図1〜図3に示す如く、回転軸体2に固定された軸側密封環(回転密封環)16aと、基端ケース部分5の各第1流路フランジ5bに軸線方向に移動可能に内嵌保持されたケース側密封環(静止密封環)16bと、ケース側密封環16bを軸側密封環16aへと押圧附勢するスプリング16c(図2参照)とを具備して、両密封環16a,16bの相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分の内周側領域である通路接続空間3aとその外周側領域(後述する冷却液領域)とを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールである。メカニカルシール群16のうち、上下両端に位置するメカニカルシール16,16を除いて、各メカニカルシール16の軸側密封環16aとこれに隣接するメカニカルシール16の軸側密封環16aとは兼用されている。すなわち、2M個のメカニカルシール16においてはM+1個の軸側密封環16aが使用されており、これらの軸側密封環16aは、図1〜図3に示す如く、隣接する軸側密封環16a,16a間に中間スリーブ13を介在させた状態で端部スリーブ12のシール部12aと軸本体11の基端段部11aとの間に挟圧されることにより、軸本体11に挿通固定されている。隣接するメカニカルシール16,16のケース側密封環16b,16bは、図1〜図3に示す如く、第1流路フランジ5bの内周部に軸線方向移動可能に嵌合保持されている。各ケース側密封環16bは、図3に示す如く、その外周部に形成した凹部を第1流路フランジ5bに貫通保持された共通のドライブバー17に係合させることにより、軸線方向移動を許容しつつケース体1(基端ケース部分5)に対する相対回転を阻止されている。各第1流路フランジ5bに嵌合保持された2個のケース側密封環16b,16bは、図2に示す如く、当該第1流路フランジ5bに形成した貫通孔に挿通保持されて当該ケース側密封環16b,16b間に装填されたスプリング16cにより相互に離間する方向に附勢させることによって、相手密封環16a,16aへと押圧接触されている。
このように、各第1流路3は軸側通路3bとケース側通路3cとを通路接続空間3aにより相対回転自在に連通接続してなるものであり、各通路接続空間3aが一対のメカニカルシール16,16でシールされていることから、M本の第1流路3bによれば、高度のシール性が要求されるM種の第1流体(例えば、CMP装置で使用される純水,薬液,研磨液,スラリ液等)18を、夫々、漏洩することなく良好に両体1,2間で独立して流動させることができる。
なお、メカニカルシール16のシール部分(両密封環16a,16bの相対回転摺接部分)の外周側領域は、図2に示す如く、第1流路フランジ5bの貫通孔(スプリング16cを挿通保持させる貫通孔)で相互に連通されると共にシールフランジ5a,6aの内周部に嵌合固定されて最下位及び最上位の軸側密封環16a,16aの外周面に圧接された弾性材製の環状シール部材(例えばオイルシール)19a,19bによりシールされた冷却液領域とされていて、シールフランジ5a,6aに形成した給排液路20,21により、冷却液(例えば、常温の清浄水,純水等)22を循環供給させるようになっている。この冷却液により各メカニカルシール16のシール部分を冷却して、当該シール部分の異常発熱,摩耗を可及的に防止するように工夫されている。
N本(この例では1本)の第2流路4は、図1に示す如く、回転軸体2と先端ケース部分6の第2流路フランジ6bとの対向周面間に形成された環状空間であって同一形状の第1及び第2弾性材製シールリング23,24によりシールされた通路接続空間4aと、回転軸体2に形成されて通路接続空間4aに連通する軸側通路4bと、第2流路フランジ6bに形成されて通路接続空間4aに連通するケース側通路4cとからなり、さほど高度のシール性が要求されない第2流体(例えば、CMP装置で使用されるウエハ加圧用空気やエアーブロ−用空気等)25を両体1,2間で流動させるものである。軸側通路4bは、図1に示す如く、軸本体11及び端部スリーブ12のシール部12を貫通して通路接続空間4aに開口されており、ケース側通路4cは、図5に示す如く、第2流路フランジ6bを径方向に貫通して通路接続空間4aに開口されている。なお、第2流路フランジ6bの内周面には、図5に示す如く、ベアリング14aを内嵌保持するベアリング保持面6dと、その下位に位置してベアリング保持面6dより小径の上下一対の弾性材製シール用の装填面6e,6fと、両装填面6e,6fの間から内方に突出する環状の仕切部6gとが形成されており、ケース側通路4cは仕切部6gを貫通して通路接続空間4aに開口されている。また、ベアリング保持面6dと上側の装填面6eとの境界には段部が形成されるが、この段部には上ベアリング14aの下面部を受け止める環状のベアリング受け26が衝合係止されている。
各弾性材製シールリング23,24は、図5に示す如く、環状の本体部27と、本体部27から軸線方向に突出する筒状の内外周リップ部28,29と、内外周リップ部28,29間に形成される環状溝30に充填された板バネ部材31とからなる断面略コ字状の環状体をなすものであり、回転軸体1と先端ケース部分6との対向周面間つまり端部スリーブ12のシール部12aと第2流路フランジ6bの内周部である装填面6e,6fとの間に装填されている。本体部27の径方向の厚みは、図5に示す如く、回転軸体1と先端ケース部分6との対向周面部間(端部スリーブ12のシール部12aと第2流路フランジ6bの装填面6e,6fとの間)の径方向間隔に略一致されていて、当該対向周面部間に容易に挿脱できる。一方、内外周リップ部28,29は、それ自身の弾性及び板バネ部材31の弾性によって、当該対向周面部間に装填されていない状態(自然状態)では先端方向に当該対向周面部間の間隔よりハの字状に拡がっている。すなわち、自然状態では、図5に鎖線図示する如く、内周リップ部28は本体部27よりその内周方向に突出しており、外周リップ部29は本体部27よりその外周方向に突出している。すなわち、両弾性材製シールリング23,24は、図5に示す如く、環状溝30,30の開口部を上下に対向させた対称形態で配置されており、上側の第1弾性材製シールリング23は、上側の装填面6eとこれから内方に突出する前記仕切部6g及びベアリング受け26の内周部分とで囲繞形成される環状凹部に、内外周リップ部28,29が端部スリーブ12のシール部12a及び装填面6eに弾性的に圧接する状態で、嵌合保持されている。また、下側の第2弾性材製シールリング24は、図5に示す如く、下側の装填面6fとこれから内方に突出する前記仕切部6g及び第2シールフランジ26の内周部分とで囲繞形成される環状凹部に、内外周リップ部28,29が端部スリーブ12のシール部12a及び装填面6fに弾性的に圧接する状態で、嵌合保持されている。
而して、通路接続空間4aに第2流体25が供給されると、第2流体25が弾性材製シールリング23,24の環状溝30,30に流入して、流体25の圧力により、軸線方向においては、両弾性材製シールリング23,24が相互に離間する方向に押圧されて本体部27,27がベアリング受け26及び第2シールフランジ6aに押し付けられ、径方向においては、各弾性材製シールリング23,24の内外周リップ部28,29がその径方向間隔が広がる方向に押圧変形される。すなわち、環状溝30に流入した第2流体25の圧力により、リップ部28,29の装填面6e,6d,12aへの接触面圧が上昇して、弾性材製シールリング23,24によるシール機能が十分に発揮される。かかる接触面圧の上昇程度は、通路接空間4aに供給される第2流体25の圧力に比例する。したがって、上記接触面圧つまりシール力が第2流体25の圧力に応じて比例的に変化することになり、第2流体25が高圧である場合や圧力変動した場合にも、弾性材製シールリング23,24によるシール機能が適正且つ良好に発揮されることになり、第2流路4における第2流体25の流動が漏れを生じることなく良好に行われる。
而して、以上のように構成された多流路形ロータリジョイントにおいて、弾性材製シールリング23,24のメンテナンスは本発明に従って次のような第1〜第4工程により行われる。
(第1工程)
第1工程においては、図6〜図9に示す如く、基端ケース部分5と回転軸体2とを本発明に係る連結固定治具40を使用して相対回転不能に連結する。
連結固定治具40は、図6〜図9に示す如く、円板状の軸固定部41とその周縁部に立設された円筒状のケース嵌合部42とを有する金属製の有底筒状体であり、その直径線上の部分には、当該部分の一端部43を残して両部41,42を2分割する切欠溝44が形成されている。ケース嵌合部42は、ケース体1の基端部つまり基端ケース部分5の下端部を嵌合させうるに必要且つ十分な内径(ケース体1の前後面1a,1aと略同一)を有するもので、切欠溝44を挟んで対向する分割端同士を連結する複数の連結ボルト45を締付けることにより、縮径できるようになっている。軸固定部41には複数の円弧状長孔41aが形成されており、各円弧状長孔41aには軸本体11の下端面部に形成したネジ孔11b(図2,図10を参照)に螺着しうる固定ボルト46が挿通されている。
而して、第1工程にあっては、まず、基端ケース部分5の下端部をケース嵌合部42に嵌合させた上、連結ボルト45を締付けてケース嵌合部42を縮径させることにより、基端ケース部分5をケース嵌合部42に相対回転不能に嵌合固定する。次に、各固定ボルト46を軸本体11のネジ孔11bに螺着して、回転軸体2を軸固定部41に相対回転不能に固定する。このようにすることによって、基端ケース部分5及び回転軸体2は共に連結固定治具40に固定される。すなわち、基端ケース部分5と回転軸体2とは、連結固定治具40を介して一体化連結されることになる。
(第2工程)
次に第2工程を行い、先端ケース部分6を基端ケース部分5から取り外すが、この第2工程にあっては、まず、連結固定治具40を所定の作業面(作業台の上面等)に載置して、多流路形ロータリジョイントを立直状態に保持させておく。このようにしておくことにより、第2工程(及び爾後の工程)を容易に行うことができる。
すなわち、図10に示す如く、カバー板6c及び長尺ボルト9を外した上、第2流路フランジ6bを第2シールフランジ6aから外すと共に、ベアリング14a、ベアリング受け26及び弾性材製シールリング23,24を回転軸体2の端部スリーブ12から抜き取る。さらに、ボルト8及び第2シールフランジ6aを、環状シール部材19aと共に、基端ケース部分6から取り外す。
第2工程においては、先端ケース部分6及び上側のベアリング14aが除去されることから、回転軸体2が下側のベアリング14bのみで基端ケース部分5に支持されるにすぎないが、第1工程において、回転軸体2が連結固定治具40により基端ケース部分5と一体化されていることから、つまり回転軸体2は第1工程前の状態に保持されていることから、先端ケース部分6等の取り外し作業によって回転軸体2と基端ケース部分5との位置関係は変化することがない。したがって、第2工程の作業中に、回転軸体2と基端ケース部分5との間に組み込まれた各メカニカルシール16が、その機能を低下させるような形態(例えば、回転軸体2がぐらついて密封環16a,16bの平行度や同心度が不適正になる形態)に変動することがなく、メンテナンス前の形態にそのまま維持される。また、回転軸体2と基端ケース部分5との相対回転が連結固定治具40により阻止されているから、作業中に回転軸体2が回転するようなことがなく、第2工程を容易に行うことができる。なお、先端ケース部分6及びこれと回転軸体2との間に装填されていた部材(ベアリング14a等)が除去されることにより最上位のメカニカルシール16等が基端ケース部分5から露出するが、第2工程においては、これらの露出部分(例えば、環状シール部材19aが圧接する最上位の軸側密封環16aの外周面)を清掃することが好ましい。
(第3工程)
第2工程が終了すると、第3工程を開始して、図11〜図22に示す如く、弾性材製シールリング23,24の交換等のメンテナンスを行う。
まず、端部スリーブ12を交換する。すなわち、端部スリーブ12の外周面つまり弾性材製シールリング23,24が接触するシール部12aの外周面は損傷し易く、これを放置しておくと、弾性材製シールリング23,24を新たなものに交換しても、当該シールリング23,24によるシール機能が良好に発揮されないことから、第3工程にあっては、弾性材製シールリング23,24の交換に先立って、端部スリーブ12を新たなものに交換する。なお、端部スリーブ12の交換は必要に応じて行われるものであり、損傷等の問題がない場合には端部スリーブ12の交換は行われないこともある。
ところで、軸側密封環群(M+1個の軸側密封環16a)は、隣接する軸側密封環16a,16a間に中間スリーブ13を介在させた状態で端部スリーブ12のシール部12aと軸本体11の基端段部11aとの間に挟圧されることにより、軸本体11に挿通固定されたものであり、スプリング16cによりケース側密封環16aにより軸線方向に附勢されたものである。したがって、端部スリーブ12の交換時において軸側密封環16aの位置が変動することになり、その結果、新たな端部スリーブ12を軸本体11に取り付けた場合に密封環16a,16bの相対位置が元の適正位置に復帰されない虞れがある。
しかし、本発明に係る密封環係止治具50を使用することにより、このような問題を生じることなく端部スリーブ12の交換を容易に行うことができる。
すなわち、端部スリーブ12を交換するに当たっては、予め、図11に示す如く、端部スリーブ12を軸線方向に挿脱自在に囲繞する密封環係止治具50を基端ケース部分5の先端部(最上位の第1流路フランジ5bの上端部)に取り付けて、この密封環係止治具50により、端部スリーブ12により係止されている軸側密封環(最先端側(最上位)の軸側密封環)16aを当該端部スリーブ12による係止位置と同一位置に係止させておく。
密封環係止治具50は、図11に示す如く、最上位の第1流路フランジ5bの上端部に取り付けられる有底筒状の治具本体51と、この治具本体51の周壁51a内に軸線方向(上下方向)に移動可能に嵌挿されたリング状の係止体52と、治具本体51の端壁51bに貫通状に螺合された調整ボルト53とからなる。周壁51aには、基端ケース部分5に形成された長尺ボルト9用挿通孔に一致する貫通孔51cが形成されており、この貫通孔51aに挿通させた取付ボルト54を長尺ボルト9(図2参照)と同様に基端ケース部分5の下部つまり第1シールフランジ5aに螺着することにより、治具本体51は基端ケース部分5の上端部に取り付けられている。このように、密封環係止治具50つまり治具本体51は、先端ケース部分6と基端ケース部分5とを連結する長尺ボルト9の挿通孔及びネジ孔を利用して、長尺ボルト9と同一の取付ボルト54により基端ケース部分5に取り付けられる。また、端壁51bの中心部及び係止体52には、端部スリーブ12の外径(シール部12aの外径)より大きな貫通孔が形成されており、密封環係止治具50を基端ケース部分5に取り付けた状態において端部スリーブ12を軸本体11の上端部に挿脱できるようになっている。また、調整ボルト53は係止体52の上端部に当接しうる位置に配置されていて、これを締付けることにより、係止体52を最上位の軸側密封環16aの上端面に当接させうるようになっている。
而して、密封環係止治具50の治具本体51を取付ボルト54により基端ケース部分5に取り付けた上、調整ボルト53を締付けて係止体52を最上位の軸側密封環16aに当接させることにより、図11に示す如く、当該軸側密封環16aを端部スリーブ12による係止位置と同一位置に係止保持させることができる。
この状態において、図12に示す如く、ボルト15を外して端部スリーブ12を軸本体11から抜き出し、新たな端部スリーブ12を軸本体11に取り付ける。このような端部スリーブ12の交換作業(端部スリーブ12の軸本体11への挿脱作業)においては、密封環係止治具50により最上位の軸側密封環16aが端部スリーブ12による係止位置と同一位置に係止保持されるから、端部スリーブ12の交換時に密封環16a,16bの相対位置が変化する等の問題は全く生じない。
そして、端部スリーブ12の交換が終了すると、つまり新たな端部スリーブ12の軸本体11への取り付けが終了すると、密封環係止治具50を基端ケース部分5から取り外した上、環状シール部材19aを交換すると共に新たな環状シール部材19aを装填した第2シールフランジ6aをボルト8(図1参照)により基端ケース部分5に取り付ける。なお、環状シール部材19aの交換は必要に応じて行われるものであり、損傷,劣化が認められない場合には環状シール部材19aの交換を行わないこともある。
このようにして端部スリーブ12及び環状シール部材19aの交換が終了すると、引き続き、弾性材製シールリング23,24の交換を行うと共に第2流路フランジ6bの第2シールフランジ6aないし基端ケース部分5への取り付けを行う。
まず、新たな弾性材製シールリング23,24を第2流路フランジ6bの装填面6e,6fに装填するが、当該弾性材製シールリング23,24は自然状態において図5に鎖線図示する如く外周リップ部29が本体部27から外周方向に突出する環状形態をなすものであるから、装填面6e,6fへの挿入が極めて困難である。すなわち、弾性材製シールリング23,24の装填面6e,6fへの装填時においては、外周リップ部29の少なくとも先端部をその外径が装填面6e,6fの径より小さくなる環状形態に縮径変形させた状態で装填面6e,6f内へと挿入させる必要があるが、このような環状形態に変形,保持させた状態で外周リップ部29を装填面6e,6f内へと誘導させる作業は、作業者が未熟練者である場合には勿論、熟練者である場合にも極めて困難であり、極端な場合には、外周リップ部29の先端部の一部(環状をなす先端部における周方向の一部)が装填面6e,6fの挿入側角部6h,6i(図5参照)に干渉して、外周リップ部29やその弾性力を補強する板バネ部材31が変形,損傷する虞れがある。
しかし、新たな弾性材製シールリング23,24の先端ケース部分6(第2流路フランジ6b)への装填を、図13及び図15に示す如く、本発明に係る筒状の第1及び第2外周リップ部誘導治具60,61と筒状又は棒状の押し込み治具62とを使用して行うことにより、上記したような問題を生じることなく、当該装填を容易且つ適正に行うことができる。
すなわち、第1弾性材製シールリング23を装填するに当たっては、まず、図13に示す如く、第2流路フランジ6bのベアリング保持面6dに第1外周リップ部誘導治具60を嵌合固定する。第1外周リップ部誘導治具60は、内周面に装填面6eに面一状に連なる円柱面である外周リップ部誘導面60aとその基端から漸次拡大する截頭円錐面である外周リップ部縮径変形作用面60bとを形成してなる筒状のものである。
そして、第1弾性材製シールリング23を、図13に示す如く、外周リップ部縮径変形作用面60b内に挿入した上、本体部27に衝合させた押し込み治具62により外周リップ部誘導面60aへと押し込む。押し込み治具62は、装填面6e,6fと略同一の外径を有する筒状又は棒状(図示の例では筒状)のもので、装填面6e,6fに挿脱自在なものである。
第1弾性材製シールリング23を押し込み治具62により押し込んでいくと、まず、外周リップ部29が外周リップ部縮径変形作用面60bに当接し(図14(A))、この外周リップ部縮径変形作用面60b上をスライドしつつ縮径されていく。すなわち、外周リップ部29は外周リップ部縮径変形作用面60bにより漸次内径方向へと弾性変形(縮径変形)されていく。そして、押し込み治具62による押し込みが進行すると、外周リップ部29は外周リップ部縮径変形作用面60bから外周リップ部誘導面60aへとスライドして、装填面6eに装填可能な形態に弾性変形(縮径変形)される(図14(B))。そして、外周リップ部29がこの形態を維持しつつ外周リップ部誘導面60aから装填面6eへと移動され(図14(C))、外周リップ部29が仕切部6gに当接した時点で押し込み治具62による弾性材製シールリング23の押し込みを終了する(同図(D))。このように、第1外周リップ部誘導治具60により外周リップ部29を漸次縮径変形させつつ、弾性材製シールリング23を装填面6eへと押し込むことによって、当該シールリング23を第2流路フランジ6bに適正な形態で装填させることができる。外周リップ部誘導面60aが装填面6eに面一状に連なっていることから、外周リップ部29の先端部が外周リップ部誘導面60aから装填面6eへと円滑に誘導されて装填面6eの角部6hに干渉することはない。
次いで、第1外周リップ部誘導治具60を取り外して第2流路フランジ6bを反転させた上、図15に示す如く、第2流路フランジ6bの上端部に形成された第2シールフランジ6aへの係合突起6jに第2外周リップ部誘導治具61を嵌合固定する。第2外周リップ部誘導治具61は、図15に示す如く、第1外周リップ部誘導治具60と同様に、内周面に第2流路フランジ6bの装填面6fに面一状に連なる円柱状の外周リップ部誘導面61aとその基端から漸次拡大する截頭円錐状の外周リップ部縮径変形作用面61bとを形成した円筒状のものである。
そして、第2弾性材製シールリング24を、図15に示す如く、外周リップ部縮径変形作用面61b内に挿入した上、本体部27に衝合させた押し込み治具62により外周リップ部誘導面61aへと押し込む。第2弾性材製シールリング24を押し込み治具62により押し込んでいくと、上記した第1弾性材製シールリング23を装填する場合と同様に、外周リップ部29が外周リップ部縮径変形作用面61bに当接し(図16(A))、爾後、外周リップ部縮径変形作用面61b上をスライドしつつ縮径されていき、外周リップ部誘導面60aへとスライドすることにより、装填面6eに装填可能な形態に弾性変形(縮径変形)され(同図(B))、その形態を維持したまま外周リップ部誘導面60aから装填面6eへと移動され(同図(C))、外周リップ部29が仕切部6gに当接した時点で押し込み治具62による弾性材製シールリング23の押し込みを終了する(同図(D))。
以上のように、第1及び第2外周リップ部誘導治具60,61並びに押し込み治具62を使用することにより、新たな弾性材製シールリング23,24を第2流路フランジ6bの所定位置(装填面6e,6f)に適正な形態で装填させることができ、その装填時において、外周リップ部29の先端部が外周リップ部誘導面60a,61aから装填面6e,6fへと円滑に誘導されて装填面6e,6fの角部6h,6iに干渉することもない。
次に、このように第2流路フランジ6bに装填させた弾性材製シールリング23,24を端部スリーブ12に装填させつつ、第2流路フランジを第2シールフランジ6a及び基端ケース部分5に取り付ける。
ところで、第2流路フランジ6bに装填された弾性材製シールリング23,24の内周リップ部28,28は、その先端部内径が端部スリーブ12の外径(シール部12aの外径)より小さい状態にある(図20(A)参照)ため、弾性材製シールリング23,24を第2流路フランジ6bに装填させる場合と同様の問題が生じる。すなわち、弾性材製シールリング23,24の端部スリーブ12への装填時においては、内周リップ部28の少なくとも先端部をその内径が端部スリーブ12の外径より大きくなる環状形態に拡径変形させた状態で端部スリーブ12のシール部12aへと嵌挿させる必要があるが、このような環状形態に変形,保持させた状態で内周リップ部28を端部スリーブ12へと嵌挿させる作業は、作業者が未熟練者である場合には勿論、熟練者である場合にも極めて困難であり、極端な場合には、内周リップ部28の先端部の一部(環状をなす先端部における周方向の一部)が端部スリーブ12の上端部の周縁部(シール部12aの上端部の周縁部)に干渉して、内周リップ部28やその弾性力を補強する板バネ部材31が変形,損傷する虞れがある。
しかし、本発明に係る内周リップ部誘導治具70を使用することによって、上記した問題を生じることなく、弾性材製シールリング23,24の端部スリーブ12への嵌挿及び第2流路フランジ6bの第2シールフランジ6aへの取り付けを容易且つ適正に行うことができる。
すなわち、まず、端部スリーブ12の先端部(上端部)に、図17に示す如く、内周リップ部誘導治具70を取り付ける。内周リップ部誘導治具70は、図17に示す如く、端部スリーブ12の外径(シール部12aの外径)と同一外径をなす円柱状の内周リップ部誘導部71とその基端から漸次縮径する截頭円錐状(又は円錐状)の内周リップ部拡径変形作用部72とその基端から同心状に突出する円柱状の芯出し部73とを有する回転体形状をなすものであり、中心貫通孔74に挿通させた取付ボルト75を端部スリーブ12の取付部12bの中心に形成したネジ孔12cに螺着することにより、端部スリーブ12の上端部にこれと軸線を一致させた状態(内周リップ部誘導部71の外周面71aが端部スリーブ12の外周面つまりシール部12aの外周面に面一状に連なる同心状態)に取り付けられる。なお、芯出し部73の外径及び内周リップ部拡径変形作用部72の基端部(上端部)の外径(内周リップ部拡径変形作用部72の最小径)は、自然状態にある弾性材シールリング23,24の内周リップ部28,28の内径より小さく設定されている。また、芯出し部73の外径は当該内周リップ部拡径変形作用部72の最小径と同一又はこれより小さく設定されている。
次に、流路フランジ6bを、その内周部に保持させた弾性材シールリング23,24が内周リップ部誘導治具70の上端部に嵌挿される状態に位置させた上、下降させていく(図17)。
流路フランジ6bを下降させていくと、まず、下側の第2弾性材製シールリング24の内周リップ部28が内周リップ部拡径変形作用部72の外周面(以下「内周リップ部拡径変形作用面」という)72aに当接し(図18(A))、内周リップ部拡径変形作用面72a上をスライドしつつ拡径されていく。すなわち、内周リップ部28は内周リップ部拡径変形作用面72aにより漸次外径方向へと弾性変形(拡径変形)されていく。
流路フランジ6bの下降が進行していくに従って、第2弾性材製シールリング24の内周リップ部28の内周リップ部拡径変形作用面72aによる弾性変形が更に大きくなり、その弾性変形は当該内周リップ部28が内周リップ部拡径変形作用面72aの下端部に達した時点で最大となり、爾後、その変形形態を維持しつつ内周リップ部誘導部71の外周面(以下「内周リップ部誘導面」という)71aへと移行されることになる(図18(B))。
第2弾性材製シールリング24の内周リップ部28が内周リップ部誘導面71a上を進行すると、これに伴って、上側の第1弾性材製シールリング23の内周リップ部28も内周リップ部拡径変形作用面72aにより漸次拡径変形されていき、内周リップ部拡径変形作用面72aの下端部から最大縮径形態を維持しつつ内周リップ部誘導面71aへと移行する(図18(A)〜(C)参照)。
さらに流路フランジ6bの下降に伴って、両弾性材製シールリング23,24の内周リップ部28,29は、内周リップ部誘導面71aからこれに面一状に連なるシール部12aの外周面へと順次移行されていく(図18(D))。したがって、両弾性材製シールリング23,24は、上記した問題を生じることなく、円滑且つ良好に端部スリーブ12へと誘導されることになる。
そして、流路フランジ6bをシールフランジ6aに衝合する位置まで下降させると、図19に示す如く、両弾性材製シールリング23,24が端部スリーブ12の所定位置に嵌挿され、各弾性材製シールリング23,24が通路接続空間4aを適正にシールしうる状態に装填される。
このようにして弾性材製シールリング23,24の装填が終了すると、図20に示す如く、長尺ボルト9により流路フランジ6b及びシールフランジ6aを基端ケース部分5に連結すると共に両フランジ6a,6b間をボルト8(図1参照)により連結し、更に、流路フランジ6bと端部スリーブ12との対向周面間にベアリング受け26及びベアリング14aを装填する。しかる後、ビス10bによりカバー板6cを流路フランジ6bに取付けて(図20鎖線図示参照)、先端ケース部分6の組立及び弾性材製シールリング23,24の交換作業を終了する。
ところで、弾性材製シールリング23,24の内周リップ部28,28を内周リップ部誘導治具70により端部スリーブ12へと円滑且つ適正に嵌挿させるためには、内周リップ部誘導治具70を端部スリーブ12にこれと軸線を一致させた状態(内周リップ部誘導面71aが端部スリーブ12の外周面に面一上に連なる同心状態)に取付けておくことが必要であり、両者12,70を端部同士を正確に同心状態に衝合させた状態で取付ボルト75を締付けることが必要であるが、かかる作業は、未熟練者にとっては勿論、相当以上の熟練者であっても極めて困難である。
しかし、このような作業は、図21及び図22に示す如く、本発明に係る芯出し治具80を使用することにより、容易に行うことができる。
すなわち、芯出し治具80は、図21に示す如く、第1円筒部81とその基端部(下端部)に連なる第2円筒部82とその基端部(下端部)に連なる第3円筒部83とからなる円筒体であり、先端側内周部つまり第1及び第2円筒部81,82の内周部には内周リップ部誘導治具70の外周面に嵌合する第1及び第2治具側Oリング84,85が係合保持されており、基端側内周部つまり第3円筒部83の内周部には回転軸体2の外周面に嵌合する軸側Oリング86が係合保持されている。第1円筒部81は、その内周環状溝に係合保持させた第1治具側Oリング84が内周リップ部誘導治具70の芯出し部73の外周面に弾性的に圧接する状態で、芯出し部73に嵌挿保持させうるものである。第2円筒部82は、その内周環状溝に係合保持させた第2治具側Oリング85が内周リップ部誘導治具70の内周リップ部誘導部71の外周面71aに弾性的に圧接する状態で、内周リップ部誘導治具70の内周リップ部拡径変形作用部72及び内周リップ部誘導部71に嵌挿保持させうるものである。第3円筒部83は、第2円筒部81と同一内外径をなすもので、その内周環状溝に係合保持させた軸側Oリング86が端部スリーブ12の外周面(シール部12aの外周面)に弾性的に圧接する状態で、端部スリーブ12に嵌挿させうるものである。なお、各Oリング84,85,86はゴム等の非圧縮性弾性材からなるものである。
而して、内周リップ部誘導治具72の端部スリーブ12への取り付けは、次のように行う。すなわち、まず、図21に示す如く、内周リップ部誘導治具72に、その芯出し部73及び内周リップ部誘導部71に夫々第1及び第2治具側Oリング84,85が嵌合する状態(第1及び第2治具側Oリング84,85が夫々芯出し部73及び内周リップ部誘導部71の外周面に弾性的に圧接する状態)となるように、芯出し治具80を嵌挿させた上、内周リップ部誘導部71から突出する第3円筒部83を、軸側Oリング86が端部スリーブ12に嵌合する状態(軸側Oリング86がシール部12aの外周面に弾性的に圧接する状態)となるように、端部スリーブ12に嵌挿させる。そして、この状態のまま、芯出し治具80を、これに保持された内周リップ部誘導部71が端部スリーブ12に衝合する位置まで、端部スリーブ12の下端方向へと押し込む。この状態では、芯出し治具80の内周部に保持された治具側Oリング84,85と軸側Oリング86とが内周リップ部誘導治具70の外周面と端部スリーブ12の外周面とに弾性的に圧接されていることから、両者12,70は芯出し治具80を介して同心状態に保持されることになる。
したがって、この状態において、図22に示す如く、端部スリーブ12のネジ孔12cに螺着させた取付ボルト75を締付けることにより、内周リップ部誘導治具72を端部スリーブ12に同心状態で取付けることができ、内周リップ部誘導治具72の端部スリーブ12への取り付けを適正且つ容易に行うことができる。なお、内周リップ部誘導治具72が端部スリーブ12に取り付けられた後においては、芯出し治具80を端部スリーブ12及び内周リップ部誘導治具70から上方に抜き出す。
(第4工程)
第3工程終了後の第4工程においては、連結固定治具40を基端ケース部分5及び軸本体11から取り外して、メンテナンス作業を完了する。
なお、本発明に係るメンテナンス方法及びこれに使用するメンテナンス用治具(連結固定治具40、密封環係止治具50、内周リップ部誘導治具70又は芯出し治具80)は、上記した実施の形態に限定されるものでなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に変更,改良することができる。例えば、第2流路4が複数設けられる場合には、第2流路フランジ6bが流路数に応じた数の部分(フランジ部分)に分割構成され、各フランジ部分に、これと回転軸体との間に形成される通路接続空間4aをシールする一対の弾性材製シールリング23,24が装填されると共に当該通路接続空間4aに連通するケース側通路4cが形成されるが、このような構成の多流路形ロータリジョイントにも本発明は上記した例と同様に好適に適用することができる。
1 ケース体
2 回転軸体
3 第1流路
3a 通路接続空間
3b 軸側通路
3c ケース側通路
4 第2流路
4a 通路接続空間
4b 軸側通路
4c ケース側通路
5 基端ケース部分
5a 第1シールフランジ
5b 第1流路フランジ
5c カバー板
6 先端ケース部分
6a 第2シールフランジ
6b 第2流路フランジ
6c カバー板
6d ベアリング保持面
6e 装填面
6f 装填面
6g 仕切部
6j 係合突起
11 軸本体
12 端部スリーブ
12a シール部
13 中間スリーブ
14a ベアリング
14b ベアリング
16 メカニカルシール
16a 軸側密封環(軸側密封環)
16b ケース側密封環(ケース側密封環)
16c スプリング
18 第1流体
19a 第1環状シール部材
23 第1弾性材製シールリング
24 第2弾性材製シールリング
25 第2流体
27 本体部
28 内周リップ部
29 外周リップ部
30 環状溝
31 板バネ部材
40 連結固定治具
41 軸固定部
42 ケース嵌合部
50 密封環係止治具
51 治具本体
52 係止体
60 第1外周リップ部誘導治具
60a 外周リップ部誘導面
60b 外周リップ部縮径変形作用面
61 第2外周リップ部誘導治具
61a 外周リップ部誘導面
61b 外周リップ部縮径変形作用面
62 押し込み治具
70 内周リップ部誘導治具
71 内周リップ部誘導部
71a 内周リップ部誘導面
72 内周リップ部拡径変形作用部
72a 内周リップ部拡径変形作用面
80 芯出し治具
84 第1治具側Oリング
85 第2治具側Oリング
86 軸側Oリング

Claims (12)

  1. 軸線方向において先端ケース部分と基端ケース部分とに分離可能に構成された筒状のケース体と、先端ケース部分及び基端ケース部分の内周部に夫々軸受支持することによりケース体に相対回転自在に連結された回転軸体と、基端ケース部分と回転軸体との対向周面間に軸線方向に並列配置された複数のメカニカルシールと、先端ケース部分と回転軸体との対向周面間に軸線方向に並列配置された複数の弾性材製シールリングとを具備する多流路形ロータリジョイントにおいて、弾性材製シールリングのメンテナンスを行うための方法であって、
    基端ケース部分と回転軸体とを相対回転不能に連結固定する第1工程と、第1工程後に、先端ケース部分を基端ケース部分から取り外す第2工程と、第2工程後に、弾性材製シールリングのメンテナンスを行うと共に先端ケース部分を基端ケース部分に取り付ける第3工程と、第3工程後に、第1工程で行った基端ケース部分と回転軸体との連結固定を解除する第4工程と、からなることを特徴とする多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法。
  2. 各メカニカルシールが、回転軸体に固定された軸側密封環と基端ケース部分に軸線方向に移動可能に保持されたケース側密封環とこれを軸側密封環へと押圧附勢するスプリングとを具備するものであり、回転軸体が、軸本体とこれに嵌挿されて隣接する軸側密封環の相互間隔を規制する中間スリーブと先端ケース部分内に位置する軸本体の先端部分に嵌合固着されて軸側密封環群のうち最先端側の軸側密封環をスプリングによる押圧力に抗して所定位置に係止する端部スリーブとを具備するものである場合において、
    第2工程においては、先端ケース部分の取り外し後に、密封環係止治具を基端ケース部分の先端部に取り付けて、この密封環係止治具により前記最先端側の軸側密封環を端部スリーブによる係止位置と同一位置に係止させ、しかる後、端部スリーブを新たなものに交換した上で、密封環係止治具を基端ケース部分から取り外すようにすることを特徴とする、請求項1に記載する多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法。
  3. 先端ケース部分が軸線方向に流路フランジとシールフランジとに分離可能に構成されており、流路フランジと端部スリーブとの対向周面間にベアリング及び弾性材製シールリングが配設されており、シールフランジと軸側密封環群のうち最先端側の軸側密封環との対向周面間に弾性材製の環状シール部材が配設されている場合において、
    第3工程においては、流路フランジとシールフランジとを分離した状態で弾性材製シールリング及び環状シール部材のメンテナンスを行い、しかる後、基端ケース部分にはシールフランジを取り付けた上で、流路フランジを取り付けるようにすることを特徴とする、請求項2に記載する多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法。
  4. 弾性材製シールリングが、環状の本体部と本体部から軸線方向に突出して先端ケース部分と回転軸体との対向周面に弾性的に押圧接触する筒状の内外周リップ部とを具備するものである場合において、
    第3工程においては、流路フランジに、内周面に当該流路フランジに形成された弾性材製シールリングの装填面に面一状に連なる円柱状の外周リップ部誘導面とその基端から漸次拡大する外周リップ部縮径変形作用面とを形成してなる円筒状の外周リップ部誘導治具を取り付けて、新たな弾性材製シールリングを、これが外周リップ部縮径作用面内に位置する状態で、当該弾性材製シールリングの本体部に衝合させた筒状又は棒状の押し込み治具により前記装填面へと押し込むことにより、外周リップ部を外周リップ部縮径変形作用面により縮径変形させつつ当該外周リップ部縮径変形作用面から外周リップ部誘導面を経て前記装填面へと誘導し、しかる後、流路フランジから外周リップ部誘導治具を取り外すことにより当該弾性材製シールリングを流路フランジに装填するようにすることを特徴とする、請求項3に記載する多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法。
  5. 第3工程においては、回転軸体の先端に、これと同一外径をなす内周リップ部誘導部とその基端から漸次縮径する截頭円錐状又は円錐状の内周リップ部拡径変形作用部とを有する回転体形状の内周リップ部誘導治具を軸線が一致する同心状態で取り付け、流路フランジを、これに装填された新たな弾性材製シールリングに内周リップ部拡径変形作用部を挿通させた状態で、シールフランジに衝合する位置へと軸線方向に移動させることにより、内周リップ部を内周リップ部拡径変形作用部により拡径変形させつつ当該内周リップ部拡径変形作用部から内周リップ部誘導部を経て回転軸体の所定位置へと誘導し、しかる後、流路フランジをシールフランジ及び/又は基端ケースに取り付けることにより、弾性材製シールリングの交換を行うようにすることを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載する多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法。
  6. 筒状の芯出し治具を、その先端側内周部に係合保持させた非圧縮性弾性材製の治具側Oリングを内周リップ部誘導治具に嵌合させると共に当該芯出し治具の基端側内周部に係合保持させた非圧縮性弾性材製の軸側Oリングを回転軸体に嵌合させた状態で、内周リップ部誘導治具が回転軸体の先端に衝合する位置まで移動させた上、内周リップ部誘導治具を回転軸体に取り付け、しかる後、芯出し治具を内周リップ部誘導治具及び回転軸体から離脱させることにより、内周リップ部誘導治具を回転軸体に軸線が一致する状態で取り付けるようにすることを特徴とする、請求項5に記載する多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法。
  7. 第1工程においては、基端ケース部分と回転軸体とを連結固定治具を使用して相対回転不能に連結固定すると共に、この連結固定治具を所定の作業面に載置することにより、当該ロータリジョイントを立直保持させておき、当該立直保持の状態において第2工程及び第3工程を行うようにすることを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載する多流路形ロータリジョイントのメンテナンス方法。
  8. 請求項7に記載する連結固定治具であって、回転軸体の基端部をボルトにより固定する軸固定部とその周縁部に立設されて基端ケース部分の基端部を嵌合固定するケース固定部とを具備することを特徴とするメンテナンス用治具。
  9. 請求項2に記載する密封環係止治具であって、基端ケース部分の先端部に取り付けられる筒状の治具本体と、治具本体の内周部に設けられて、本体部を基端ケース部分に取り付けたときにおいて、前記最先端側の軸側密封環の端面に衝合して、当該軸側密封環を端部スリーブによる係止位置と同一位置に係止せる係止体と、を具備することを特徴とするメンテナンス用治具。
  10. 請求項4に記載する外周リップ部誘導治具であって、内周面に流路フランジに形成された弾性材製シールリングの装填面と同一径の円柱状の外周リップ部誘導面とその基端から漸次拡大する外周リップ部縮径変形作用面とを形成してなる円筒状のもので、流路フランジに外周リップ部誘導面が前記装填面に面一状に連なる状態で取り付けうるように構成されていることを特徴とするメンテナンス用治具。
  11. 請求項5に記載する内周リップ部誘導治具であって、回転軸体の先端と同一外径をなす内周リップ部誘導部とその基端から漸次縮径する截頭円錐状又は円錐状の内周リップ部拡径変形作用部とを有し、回転軸体の先端にこれと軸線が一致する同心状態で取り付けうるように構成されていることを特徴とするメンテナンス用治具。
  12. 請求項6に記載する芯出し治具であって、先端側内周部に内周リップ部誘導治具に嵌合しうる非圧縮性弾性材製の治具側Oリングを係合保持すると共に基端側内周部に回転軸体に嵌合しうる非圧縮性弾性材製の軸側Oリングを係合保持させた筒状体であることを特徴とするメンテナンス用治具。
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