JP5508023B2 - 作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する装置及び方法 - Google Patents

作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する装置及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する装置に関する。さらに、本発明は、作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する方法、及び本発明に従った装置を校正する方法に関する。
この種の装置及び方法は特許文献1から知られている。この文献に記載された方法の場合、先ず第1に、比較的低い磁場強度を有する第1の部分区画及び比較的高い磁場強度を有する第2の部分区画が検査区画内に形成されるように、或る空間分布の磁場強度を有する磁場が生成される。そして、検査区画内のこれら部分区画の空間位置は、検査区画内の粒子の磁化が局所的に変化するようにシフトされる。部分区画の空間位置のシフトによって検査区画内の磁化が影響され、該磁化に依存する信号が記録される。これらの信号から、検査区画の画像が形成され得るように、検査区画内の磁性粒子の空間分布に関する情報が抽出される。このような装置及び方法は、例えば人体等の任意の検査対象を、如何なる損傷をも生じさせずに非破壊的に、且つ該検査対象の表面の近傍及び表面から遠隔の双方で高い空間分解能で検査するために使用可能であるという利点を有する。
この種の既知の装置は、受信手段によって測定あるいは検出された関心信号の信号強度が、駆動手段による誘導に起因する信号と比較して非常に弱いため、信号検出が非常に複雑であるという欠点を示している。駆動手段によって誘起される信号の振幅と、受信手段における関心信号の振幅との比は、10桁台にも達し得る。受動フィルタ段の使用は、既知の装置のコストに多大なコストを追加し、通常、大電力が必要とされ、且つ高品質フィルタを要するので、このような既知の装置はかさばる高価なものとなる。
独国特許出願公開第10151778号明細書
本発明は、故に、信号検出が改善され、且つ/或いは、装置があまりかさばらず且つ/或いは一層コスト効率の良いものとなる、上述の種類の装置及び方法を提供することを目的とする。
上記課題は、作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する装置によって達成される。当該装置は、作用領域内に、低い磁場強度を有する第1の部分区画と、より高い磁場強度を有する第2の部分区画とが形成されるような磁場強度の空間パターンを有する選択磁場を生成する選択手段、磁性粒子の磁化が局所的に変化するように、駆動磁場によって、作用領域内の上記2つの部分区画の空間位置を変化させる駆動手段であり、当該装置が駆動信号チェーンを有する、駆動手段、第1及び第2の部分区画の空間位置の変化により影響を受けた作用領域内の磁化に依存する検出信号を収集する受信手段であり、当該装置が検出信号チェーンを有する、受信手段、を有し、当該装置は、結合手段によって駆動信号チェーン及び/又は検出信号チェーンに補償信号を供給する補償コントローラを有する。
本発明に従った装置は、結合手段によって駆動信号チェーン及び/又は検出信号チェーンに補償信号を供給する補償コントローラを用いることによって、信号対雑音比を向上させることが可能であるという利点を有する。本発明に従った装置にて生じる信号検出問題のうちの1つは、駆動磁場の存在に起因する受信手段(記録手段又は記録システムとも呼ぶ)内の誘導電圧である。この駆動磁場の存在による誘導電圧は、典型的に、(有用で唯一関心がある)検出信号の信号電圧より遙かに大きい。本発明に従った装置の測定原理は、専用の周波数を有する駆動磁場は、この周波数を含むが、より高い高調波をも含む信号を送出する磁性粒子に影響を及ぼすという事実を当てにするものである。これらの高調波が測定される。故に、駆動磁場自体のスペクトルが専用周波数の高次の高調波を含んでいる必要はなく、あるいは、いわゆる駆動信号チェーン又はいわゆる検出信号チェーンの何れかで専用周波数の高次の高調波が排除あるいは補償される必要はない。特に、補償信号は駆動信号チェーン及び/又は検出信号チェーンに結合されるのに先立ってフィルタリングされることが好ましい。これにより、駆動信号チェーン及び/又は検出信号チェーン内の信号に付加されるノイズを、考え得る最低の部分にすることが可能になる。
本発明に従って、不所望の電圧を遮断するため、あるいは不所望の電圧を補償するための幾つかの電子的手段及び方法が提案される。本発明によれば、本発明に係る装置に補償コントローラが設けられ、駆動信号チェーン及び/又は検出信号チェーンに補償信号が結合される。本発明の文脈において、駆動信号チェーンという用語は、駆動手段に供給される駆動信号を生成するための、例えば増幅段又はフィルタリング段などの、様々なステージを意味する。同様に、本発明の文脈において、検出信号チェーンという用語は、受信手段によって受信される検出信号を生成するための、例えば増幅段又はフィルタリング段などの、様々なステージを意味する。
本発明によれば、理解されるように、選択手段、駆動手段及び/又は受信手段は、少なくとも部分的に、1つの単一のコイル又はソレノイドの形態で設けられ得る。しかしながら、本発明によれば好ましくは、選択手段、駆動手段及び受信手段を形成するように別個の複数のコイルが設けられる。また、本発明によれば、選択手段、駆動手段及び/又は受信手段の各々は、別々の部品が合わさって選択手段、駆動手段及び/又は受信手段を形成するように提供且つ/或いは配置された、別々の個別部品、特に別々の個別コイル又はソレノイドで構成され得る。特に、駆動手段及び/又は選択手段では、異なる空間方向に向けられた磁場成分の生成及び/又は検出を可能にするため、複数の部品、特に(例えば、ヘルムホルツ構成、又は非ヘルムホルツ構成の)コイル対が好ましい。
本発明に従って、本発明に係る装置に関連する補償コントローラを実現するために幾つかの実施形態が提案される。
本発明に従った第1の実施形態においては、検出信号又は検出信号群の不所望の電圧を補償するための受動電子回路を有する補償コントローラが用いられる。補償コントローラのこの実施形態において、駆動手段(特に駆動磁場コイル)からの電子信号が補償コントローラに供給される。これは、誘導的、容量的、且つ/或いは抵抗的に行われ得る。駆動手段からの電子信号の供給に加えて、あるいは代えて、受信手段(記録コイルとも呼ぶ)からの未補償の信号が補償コントローラに供給される。駆動手段からの電子信号及び/又は受信手段からの電子信号の供給のことを、駆動信号チェーンからのフィードバック信号又は検出信号チェーンからのフィードバック信号とも呼ぶ。補償コントローラの電子回路は好ましくは、基準信号(すなわち、駆動手段からの電子信号、若しくは受信手段からの未補償信号の何れか、又はこれらの双方)の位相のシフト及び振幅の調整を提供し、それらを補償信号として検出信号(記録信号とも呼ぶ)に結合する。検出信号チェーンへの補償信号の結合は、受信手段(すなわち受信コイル)の高周波成分に小さいノイズしか付加されないようにして行われる。第1の実施形態の更なる一変形例において、補償コントローラは、位相シフト及び振幅調整のための受動素子及び/又は能動素子を有する。これらの位相シフト及び/又は振幅調整はコンピュータによって制御されてもよい。
本発明に従った第2の実施形態においては、補償コントローラは、経時変化する電圧に変換されるデジタル信号を提供する電子的手段を有する。この電圧のことを補償信号とも呼ぶ。本発明に従った第1の実施形態においてのように、この補償信号(すなわち、時間とともに変化する電圧)は、駆動磁場又は駆動磁場群によって受信手段内で誘起された信号を補償するために、検出信号チェーンに、すなわち、記録コイルからの信号に結合される。第2の実施形態の一変形例によれば、補償信号の生成後に、更なる経路内でフィルタリングされ、増幅され、且つ/或いは変更若しくは補正されるように、該信号が補償信号チェーンを進行することが可能である。これは、例えば、不所望の周波数成分を低減するために行われ、駆動信号チェーン内での信号の処置と同様である。検出信号チェーン(受信コイルからの信号)への補償信号の結合は、例えば、変圧器(誘導結合)によって、すなわち、受信手段の部分として(静止式の、及び/又は可動式の)補償コイルを用いるときと同様に行われ得る。補償信号のデジタル生成は、より高い自由度を可能にし、例えば、容量的なバイパス(迂回路)による結合手段の実現を可能にする。
本発明に従った第3の実施形態においては、補償コントローラは、後に(補償信号チェーンの特別な一形態としての)広帯域信号チェーンに与えられる補償信号を提供する。補償信号は、広帯域信号チェーンを通過後、駆動信号チェーンに結合あるいは供給される。これは、駆動信号チェーンの信号内の、より高次の高調波が正確に補償されるようにして行われる。供給点すなわち結合点は、好ましくは、駆動信号チェーンの増幅器の直後にされない。直後の場合、補償信号チェーン又は広帯域信号チェーンに必要な電力が比較的高くなるからである。本発明の第3の実施形態の変形例によれば、様々な結合点が可能である。特に、第3の実施形態によれば抵抗結合が用いられる。本発明の第3の実施形態の更なる変形例によれば、結合点は好ましくは、駆動信号チェーンへの補償信号の結合点の後ろに少なくとも1つの最終受動フィルタ段が設けられるように選択される。そうすることは、本発明に係る装置の性能、特に補償性能が、フィードバックとも呼ぶ制御ループの精度によって制限されないという利点を有する。本発明の第3の実施形態の変形例によれば、フィードバックループが、連続的に(すなわち動的に)、あるいは校正モードにて、の何れかで実現され得る。本発明に係る装置の双方の変形例において、フィードバック信号が、少なくとも間接的に、駆動信号チェーンから得られるので、その中の高次の高調波を測定することができる。校正モードにおいて、本発明に係る装置は、例えば、装置内にサンプルを有さずに、様々な電力レベル及び周波数の駆動信号にて、より高次の高調波が測定される。本発明によれば、これは、フィードバック信号の起点として結合手段における様々な測定点を用いて行われ得る。それにより、駆動信号の校正変化を測定することが可能である。代替的に、本発明の第3の実施形態によれば、校正モードと対照的に、更なる受信手段、特に更なる受信コイルによって、フィードバックループにフィードバック信号を供給することが可能である。更なる受信コイルは好ましくは、サンプルの近傍に設けられ、サンプルに対して低い感度を有する。
本発明に従った全ての実施形態に関し、有利には、補償信号は駆動信号チェーン及び/又は検出信号チェーンに、容量結合、抵抗結合、及び/又は誘導結合、特に容量的なバイパスによって結合される。これは、本発明に従って周知の結合タイプを用いることができ、本発明に係る装置が非常にコスト効率良く実現され得るという利点を有する。また、容量結合又は誘導結合を用いることが特に好ましい。そうすることは、受信コイルの高周波成分に小さいノイズしか付加されないようにして結合が行われるという利点を有する。
本発明によれば、特に好ましくは、補償コントローラは駆動信号チェーン及び/又は検出信号チェーンからフィードバック信号を提供される。第1の実施形態において、駆動信号チェーン及び/又は検出信号チェーンに由来するフードバック信号の例が与えられる。第3の実施形態においては、更なる受信手段、特に更なる受信コイルによって生成されるフィードバック信号の例が与えられる。フィードバック信号の生成は、本発明に係る装置が自己調整レジームにおいて、すなわち、自己校正モードにおいて使用され得るという利点を有する。このことは、本発明に係る装置の一要素の挙動変化を動的に補償可能であることを意味する。
全ての実施形態の更なる一変形例において、補償コントローラはコンピュータによって制御される。特に、補償コントローラは、位相シフト及び振幅調整のための受動素子及び/又は能動素子を有する。これらの位相シフト及び/又は振幅調整、そして補償コントローラの概して全ての要素が、コンピュータによって制御されてもよい。補償コントローラを制御するためにコンピュータを使用することは有利である。それにより様々な応用状況において本発明に係る装置の非常に適応的な挙動を達成することができ、補償信号のデジタル生成によって、例えば容量的なバイパスによる結合の実現を可能にする、大きい自由度を実現することができるからである。
選択手段及び駆動手段を合わせて“フィールド生成手段”とも呼ぶ。選択手段は、静止(傾斜)選択磁場、及び/又は約1Hzから約100Hzの範囲内の周波数を有する比較的ゆっくり変化する長期の選択磁場の何れかを提供する磁場生成手段を有する。選択磁場の静止部分及び比較的ゆっくり変化する部分は何れも、永久磁石若しくはコイル、又はそれらの組み合わせによって生成され得る。駆動手段は、約1kHzから約200Hz、好ましくは約10kHzから約100Hz、の範囲内の周波数を有する駆動磁場を提供する磁場生成手段を有する。フィールド生成手段(すなわち、選択手段及び駆動手段)の少なくとも一部は、表皮効果がコイルの抵抗を増大させないように各コイル又は各フィールド生成手段の電流支持経路(又は、リッツ線の場合には個々のワイヤ)の直径が選定された複数の個別コイルによって実現され得る。
本発明は更に、作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する方法に関する。当該方法は、
− 作用領域内に、低い磁場強度を有する第1の部分区画と、より高い磁場強度を有する第2の部分区画とが形成されるような磁場強度の空間パターンを有する選択磁場を生成する段階、
− 磁性粒子の磁化が局所的に変化するように、駆動信号により形成された駆動磁場によって、作用領域内の上記2つの部分区画の空間位置を変化させる段階、
− 第1及び第2の部分区画の空間位置の変化により影響を受けた作用領域内の磁化に依存する検出信号を収集する段階、
− 駆動信号及び/又は検出信号に補償信号を結合することにより、駆動信号及び/又は検出信号を補償する段階、
を有する。
本発明に従ったこの方法の利点は、より小型で廉価な装備によって、磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出することが可能なことである。また、本発明に従った方法を用いると、フィードバック信号によって補償信号を動的に与えることが可能である。フィードバック信号は、例えば、測定値の形態、及び/又は、更なる受信手段によって提供される例えば駆動信号に関連する信号の形態で供給される。
本発明は更に、作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する装置を校正する方法に関する。当該方法は、
− 作用領域内に、低い磁場強度を有する第1の部分区画と、より高い磁場強度を有する第2の部分区画とが形成されるような磁場強度の空間パターンを有する選択磁場を生成する段階、
− 駆動信号により形成された駆動磁場によって、作用領域内の上記2つの部分区画の空間位置を変化させる段階、
− 駆動磁場と、第1及び第2の部分区画の空間位置の変化により影響を受けた作用領域内の磁化と、に依存する検出信号を収集する段階、
− 駆動信号及び/又は検出信号に結合される補償信号を、
− 駆動信号及び/又は検出信号の校正変化を測定すること、又は、該補償信号の校正変化を駆動信号及び/又は検出信号に適用すること、及び
− 該補償信号を計算すること、
によって生成する段階、
を有する。
本発明に従ったこの方法の利点は、先ず校正方法に従って装置を校正し、その後、作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する方法を用いることにより、安定でありながら柔軟性を有する装置の機能を提供可能であることである。
本発明によれば、好ましくは、補償信号の校正変化は、位相シフトの変化及び/又は振幅変化として提供且つ/或いは測定される。これにより、より高次の高調波を非常に効率よく有利に補償することが可能である。
また、本発明によれば好ましくは、この方法は、磁性粒子の磁化が局所的に変化するように、駆動磁場によって、作用領域内の上記2つの部分区画の空間位置を変化させる段階を有する。本発明によれば、最初に、磁性粒子を作用領域内に位置付けることなく本発明に係る装置を校正することが有利となり得る。
本発明の好適な一実施形態によれば、補償信号は、線形理論計算を適用することによって計算される。これにより、有利なことに、所与の状況に適用するのに必要な補償信号を、例えば単一の行列の要素群が補償信号の校正変化を適用することの効果の測定値を有するものとした行列反転によって、比較的容易に計算することが可能になる。
本発明の原理を例として示す添付の図面に関連付けた以下の詳細な説明から、本発明のこれら及びその他の特性、特徴及び利点が明らかになる。ここでの説明は、本発明の範囲を限定することなく、単なる例示のために与えられる。以下にて引用する参照図は添付の図面を参照するものである。
本発明に従った方法を実行するための本発明に従った装置を例示する図である。 本発明に従った装置によって作り出される力線パターンの一例を示す図である。 作用領域内に存在する磁性粒子の拡大図を例示する図である。 上記粒子の磁化特性を例示する図である。 上記粒子の磁化特性を例示する図である。 本発明に従った装置10を概略的に示す図である。 本発明に従った装置10の一実施形態を概略的に示す図である。 本発明に従った装置10の他の一実施形態を概略的に示す図である。 検出信号チェーンの一実施形態を概略的に示す図である。 本発明に従った装置10の他の一実施形態を概略的に示す図である。 駆動信号チェーンの一実施形態を概略的に示す図である。
特定の図面を参照して具体的な実施形態に関して本発明を説明するが、本発明はそれらに限定されるものではなく請求項によってのみ限定される。記載される図面は、単に概略的なものであり、限定的なものではない。図面においては、説明を目的として、一部の要素の寸法が誇張され、縮尺通りに描かれていないことがある。
“a”、“an”、“the”といった不定冠詞及び定冠詞は、単数の名詞を差して使用されるとき、特に断らない限り、その名詞が複数であることを含む。
また、明細書及び請求項中の第1、第2、第3などの用語は、同様の要素同士を区別するために使用され、必ずしも順番又は時系列を記述するものではない。理解されるように、そのように使用される用語は適当な状況下で相互に入れ替え可能であり、ここで説明する本発明の実施形態は、ここで説明あるいは図示するものとは異なる順序で動作可能である。
さらに、明細書及び請求項中の上部、下部、上方、下方などの用語は、説明のために使用され、必ずしも相対的な位置を記述するものではない。理解されるように、そのように使用される用語は適当な状況下で相互に入れ替え可能であり、ここで説明する本発明の実施形態は、ここで説明あるいは図示するものとは異なる向きで動作可能である。
なお、この明細書及び請求項中で使用される用語“有する”は、その後に列挙される手段に限定するものとして解釈されるべきではなく、その他の要素又は段階を排除しない。故に、“手段A及びBを有する装置”という表現の範囲は、要素A及びBのみから成る装置に限定されるべきではなく、本発明との関連において、装置の関連要素がA及びBであることを意味する。
図1に、本発明に従った装置10によって検査される対象物を示す。検査対象は自由に決め得る。図1の参照符号350は、患者テーブル上に配置された対象物を指し示している。対象物は、この場合にはヒト又は動物の患者であり、上部のみが図示されている。本発明に従った方法の適用に先立って、本発明に係る装置10の作用領域300内に磁性粒子100(図1には図示せず)が配置される。特に、例えば腫瘍などの治療処置及び/又は診断処置に先立って、例えば、患者350の体内に注入される磁性粒子100を有する液体(図示せず)によって、磁性粒子100が作用領域300内に位置付けられる。
図2に、本発明の一実施形態の一例として、その領域が処置領域300とも呼ぶ作用領域300を定める選択手段210を形成する複数のコイルを有する装置10を示す。例えば、選択手段210は患者350の上方及び下方に、すなわち、テーブル頂部の上方及び下方に配置される。例えば、選択手段210は、各々が2つの等しく構築された巻線210’及び210”を有する第1の対のコイル210’、210”を有する。巻線210’及び210”は、患者テーブルの上方及び下方に同軸配置され、且つ特には反対方向に相等しい電流が流れる。以下では、第1のコイル対210’、210”を合わせて選択手段210と呼ぶ。好ましくは、この場合には直流電流が用いられる。選択手段210は、図2で力線によって表される傾斜磁場であることが一般的である選択磁場211を生成する。これは、選択手段210のコイル対の(例えば、鉛直)軸の方向に実質的に一定の傾斜を有し、この軸上の点で値ゼロとなる。この磁場のない点(フィールドフリーポイント;図2には個別には図示せず)から始まって、選択磁場211の磁場強度は3つ全ての空間方向において、フィールドフリーポイントからの距離が増大するにつれて増大する。第1の部分区画301、すなわち、フィールドフリーポイントの周りの破線によって表される領域301においては、磁場強度が小さいため、第1の部分区画301内に存在する粒子100の磁化は飽和しないが、第2の部分区画302(領域301の外側)内に存在する粒子100の磁化は飽和状態にある。フィールドフリーポイント、又は作用領域300の第1の部分区画301は、好ましくは、空間的にコヒーレントな領域である。これはまた、点状の領域や、線状又は平坦な領域であってもよい。第2の部分区画302(すなわち、第1の部分区画301の外側にある作用領域300の残りの部分)においては、磁場強度は、粒子100を飽和状態に維持するのに十分な強さである。作用領域300内で2つの部分区画301、302の位置を変化させることにより、作用領域300内の(全体的な)磁化が変化する。作用領域300内の磁化、又は該磁化によって影響を受ける物理パラメータを測定することにより、作用領域内の磁性粒子の空間分布に関する情報を得ることができる。作用領域300内で2つの部分区画301、302の相対的な空間位置を変化させるため、作用領域300内で、あるいは作用領域300の少なくとも一部内で、選択磁場211に、いわゆる駆動磁場221である更なる磁場が重畳される。
図3は、本発明に係る装置10とともに使用され種類の磁性粒子100の一例を示している。磁性粒子100は、例えば、5nmといった厚さを有する例えば鉄ニッケル合金(例えば、パーマロイ)から成る軟磁性層102を備えた、球状の例えばガラスの基体101を有する。この層は、例えば、粒子100を例えば酸といった化学的且つ/或いは物理的に浸食性の環境から保護する被覆層103によって覆われてもよい。このような粒子100の磁化の飽和に必要な選択磁場211の磁場強度は、例えば粒子100の直径、磁性層102に使用される磁性材料、及びその他のパラメータ等の様々なパラメータに依存する。
例えば直径が10μmの場合、およそ800A/m(1mTの磁束密度にほぼ対応する)の磁場が必要とされるが、直径が100μmの場合、80A/mの磁場で十分である。より低い飽和磁化を有する材料からなる被覆102が選択される場合や、層102の厚さが低減される場合には、一層小さい値が得られる。
好適な磁性粒子100の更なる詳細に関して、上述の特許文献1の該当部分、特に、特許文献1の優先権を主張する欧州特許出願公開第1304542号明細書の段落16−20及び57−61をここに援用する。
第1の部分区画301の大きさは、一方で選択磁場211の傾斜強度に依存し、他方で飽和に必要な磁場の磁場強度に依存する。80A/mの磁場強度及び160×10A/mに達する選択磁場の磁場強度の傾斜(所与の空間方向内)で磁性粒子100を十分に飽和させる場合、粒子100の磁化が飽和しない第1の部分区画301は(所与の空間方向において)約1mmの寸法を有する。
以下では駆動磁場221と呼ぶ更なる磁場が作用領域300内で選択磁場211(すなわち傾斜磁場211)に重畳されるとき、第1の部分区画301はこの駆動磁場221の方向に第2の部分区画302に対して移動される。この移動の大きさは駆動磁場221の強度が増大するにつれて増大する。重畳される駆動磁場221が時間的に可変であるとき、それに従って第1の部分区画301の位置は時間的且つ空間的に変化する。有利には、駆動磁場221の変化の周波数帯域と異なる周波数帯域(より高い周波数にシフトされる)で、第1の部分区画301内に位置する磁性粒子100からの信号を受信あるいは検出する。これが可能であるのは、磁化特性の非線形性の結果として、作用領域300内の磁性粒子100の磁化の変化に起因して駆動磁場221の周波数の、より高次の高調波の周波数成分が発生するためである。
如何なる所与の空間方向においてもこれらの駆動磁場221を生成するため、3つの更なるコイル対、すなわち、第2のコイル対220’、第3のコイル対220”及び第4のコイル対220’’’が備えられる。以下ではこれら3つのコイル対を合わせて駆動手段220と呼ぶ。例えば、第2のコイル対220’は、第1のコイル対210’、210”すなわち選択手段210のコイル軸の方向、すなわち、例えば鉛直方向に延在する駆動磁場221の成分を生成する。この目的のため、第2のコイル対220’の巻線には相等しい電流が同一方向に流れる。第2のコイル対220’によって達成され得る効果は、原理的に、第1のコイル対210’、210”内の反対方向の相等しい電流に、一方のコイル電流が減少し且つ他方のコイルで電流が増大するように、同一方向の電流を重畳することによっても達成可能である。しかしながら、特に一層高い信号対雑音比での信号解釈のため、時間的に一定(又は、擬似的に一定)の選択磁場211(傾斜磁場とも呼ぶ)と時間的に可変な鉛直方向の駆動磁場とが、選択手段210と駆動手段220との別個のコイル対によって生成されると有利になり得る。
2つの更なるコイル対220”、220’’’は、例えば作用領域300(又は患者350)の長手方向内の水平方向及びそれに垂直な方向など、空間的に異なる方向に延在する駆動磁場221の成分を生成するために設けられる。(選択手段210及び駆動手段220のコイル対と同様の)ヘルムホルツ型の第3及び第4のコイル対220”、220’’’がこの目的で用いられる場合、これらのコイル対は、それぞれ、処置領域の左右、又は該領域の前後に配置されなければならない。そうすることは、作用領域300すなわち処置領域300のアクセスのしやすさに影響を及ぼすことになる。故に、第3及び/又は第4の磁気コイル対、すなわち、コイル220”、220’’’も作用領域300の上方及び下方に配置され、それらの巻線構成が第2のコイル対220’の巻線構成と異なるものにされなければならない。この種のコイルは、しかしながら、水平方向の時間的に可変な磁場を生成することが可能な無線周波数(RF)コイル対が処置領域の上方及び下方に配置される開放型磁石を備えた磁気共鳴装置(オープンMRI)の分野から既知である。故に、ここでこのようなコイルの構成を更に詳述する必要はない。
本発明に従った装置10は更に、図1に概略的にのみ示す受信手段230を有する。受信手段230は通常、作用領域300内の磁性粒子100の磁化パターンにより誘起された信号を検出することが可能なコイルを有する。この種のコイルは、しかしながら、例えば無線周波数(RF)コイルが可能な限り高い信号対雑音比を有するように作用領域300の周りに配置される磁気共鳴装置の分野から既知である。故に、ここでこのようなコイルの構成を更に詳述する必要はない。
図1に示した選択手段210の代替的な一実施形態においては、選択傾斜磁場211を生成するために永久磁石(図示せず)が用いられ得る。そのような(対向する)永久磁石(図示せず)の2つの極の間の空間内に、対向する極が同一極性を有するとき、図2の磁場と同様の磁場が形成される。本発明に従った装置の代替的な他の一実施形態においては、選択手段210は、少なくとも1つの永久磁石と、図2に示したような少なくとも1つのコイル210’、210”との双方を有する。
選択手段210、駆動手段220及び受信手段230の異なる成分に、あるいはそれに関して、通常に使用される周波数範囲は、おおまかに以下の通りである。選択手段210により生成される磁場は時間的に全く変化しないか、変化が比較的ゆっくりであり、好ましくは約1Hzと約100Hzとの間であるか、の何れかである。駆動手段220により生成される磁場は、好ましくは約25kHzと約100kHzとの間で変化する。受信手段が感度を有するようにされる磁場変化は、好ましくは、約50kHzから約10MHzまでの周波数範囲内である。
図4a及び4bは磁化特性、すなわち、粒子100(図4a及び4bには図示せず)の磁化Mの変化を、そのような粒子の分散内の、粒子100の位置における磁場強度Hの関数として示している。磁化Mは+Hを超える磁場強度及び−Hを下回る磁場強度ではもはや変化しないことが見て取れるが、これは飽和磁化に達したことを意味している。磁化Mは値+Hと−Hとの間では飽和していない。
図4aは、現れる(すなわち、“粒子100によって見られる”)正弦波状の磁場H(t)の絶対値が、粒子100を磁気的に飽和させるのに必要な磁場強度より低い場合について、すなわち、更なる磁場がアクティブでない場合について、粒子100の位置の正弦波状の磁場H(t)の効果を例示している。この条件での粒子100又は粒子群100の磁化は、その飽和値同士の間を、磁場H(t)の周波数のリズムで往復する。得られる磁化の時間的変化を、図4aの右側にM(t)で示す。磁化も周期的に変化し、このような粒子の磁化が周期的に反転されることが見て取れる。曲線の中心の破線部は、磁化M(t)の近似的な平均変化を、正弦波磁場H(t)の磁場強度の関数として表している。この中心線からのずれとして、磁場Hが−Hから+Hまで増加するとき、磁化は僅かに右側に延在し、磁場Hが+Hから−Hまで減少するとき、磁化は僅かに左側に延在する。この既知の効果はヒステリシス効果と呼ばれており、熱生成のメカニズムの基礎となるものである。曲線の2つの経路間に形成され、形状及び大きさが材料に依存するヒステリシスの表面積は、磁化の変化時の熱生成の指標となる。
図4bは、静止磁場H1が重畳された正弦波磁場H(t)の効果を示している。磁場は飽和状態にあるので、正弦波磁場H(t)による影響を実質的に受けない。磁化M(t)はこの領域において時間的に一定のままである。従って、磁場H(t)は磁化状態の変化を生じさせない。
図5は、本発明に従った装置10を概略的に示しており、選択手段210、駆動手段220及び受信手段230が、作用領域300及び第1の部分区画301(フィールドフリーポイントを含む)の概略表示に関連付けて概略的に示されている。さらに、装置10は、選択手段210及び駆動手段220を作動させる働きをする信号生成手段(図5には図示せず)と、受信手段230で生成される信号を検出あるいは記録する働きをする信号処理手段(図5には図示せず)とを有する。信号生成手段及び信号処理手段は、少なくとも部分的に、図6−10に更に詳細に示される。
図6、7及び9に、本発明に従った装置10の異なる実施形態を概略的に示す。これらの図には、駆動手段220及び受信手段230と作用領域300とを有する装置10が示されている。単純化のため、選択手段210は描かれていない。さらに、装置10は、最終的に駆動手段220に供給される駆動信号の生成及び処理のために使用される要素を有する駆動信号チェーン420を有する。また、装置10は、受信手段230で生成される検出信号を処理するための要素を有する検出信号チェーン430を有する。駆動信号チェーンは、例えば、駆動信号発生器421と、増幅器やフィルタ等のような更なる要素422とを有する。検出信号チェーン430は検出信号プロセッサ432を有し、そこで全ての検出信号が処理される。検出信号プロセッサ432も、好ましくは、検出信号を処理することに適した1つ又は複数の増幅器と1つ又は複数のフィルタとを有する。本発明に係る装置10は更に、補償コントローラ450を有する。補償コントローラ450は、駆動信号チェーン420(図9)又は検出信号チェーン430(図6及び7)の何れかに供給される補償信号451を生成する。本発明によれば、(図示はしないが)補償信号451を駆動信号チェーン420及び検出信号チェーン430の双方に供給することも可能である。補償信号451は、駆動信号チェーン420及び/又は検出信号チェーン430に、結合手段452によって供給される。この結合は、容量結合、抵抗結合、及び/又は誘導結合によって実現され得る。補償信号451は、補償コントローラ450により、駆動信号チェーン420から得られたフィードバック信号461、及び/又は検出信号チェーン430から得られたフィードバック信号461によって生成される。
本発明の好適実施形態(特に第1の実施形態の変形例)によれば、補償信号451は、非常に線形な挙動を有するが依然として駆動信号チェーン420及び/又は検出信号チェーン430の制御に或る一定の柔軟性を与える受動部品のみによって生成される。そのような受動部品の例は、キャパシタ、及び/又はコイル若しくはソレノイドである。非常に好適な一実施形態において、そのような受動部品は、駆動信号チェーン420及び/又は検出信号チェーン430に好適な補償を提供するように、補償コントローラ450によってオン又はオフに切り替えられるのみである。相異なる補償状況では、キャパシタ又はコイルのような相異なる受動素子が補償コントローラ450内に設けられる。通常、これらの受動素子の一部はオンにスイッチされ、一部はオフにスイッチされる。それにより、受動部品の段階的な作動又は保護が可能である。本発明のこの好適実施形態によれば、例えば可変容量といった可変(連続的に可変)の受動部品を使用することも可能である。受動部品とともに増幅器及び/又は位相シフタのような能動部品を使用することも可能である。そのような能動部品を用いることの問題点は、補償信号に更なる不所望の高調波が付加されることにより、更なるフィルタ素子が必要になり得ることである。
本発明の更なる好適実施形態(第2及び第3の実施形態の変形例)によれば、補償信号451は、少なくとも部分的に、能動部品によって生成され、駆動信号チェーン420及び/又は検出信号チェーン430への補償信号451の結合に先立って、フィルタ処理が適用される。第1の実施形態を用いて説明したように、補償コントローラ450は、駆動信号発生器421(図6にのみ図示)と一体化されて設けられるか、独立したユニットを提供するかの何れかとし得る。このような実施形態のこの最後の変形例においては、補償コントローラ450が受信手段の位置で駆動信号を測定し、補償信号451を見積もることが可能である。
図6に、補償信号451が検出信号チェーン430に供給される本発明に従った第1の実施形態を示す。第1の分岐手段462によって、駆動信号チェーン420からフィードバック信号461を得ることができる。付加的に、あるいは代替的に、第2の分岐手段462’によって、検出信号チェーン430からフィードバック信号461を得ることができる。第1の実施形態においては、フィードバック信号461(基準信号とも呼ぶ)は、駆動信号チェーン420全体(駆動手段220を含む)の補償、及び検出信号チェーン430の補償が正しいかどうかの情報を連続的に提供する。補償コントローラ450の電子回路は、好ましくは、基準信号(すなわち、駆動手段220からの電子信号、若しくは受信手段230からの未補償の信号の何れか、又はこれらの双方)の位相のシフト及び振幅の調整を提供し、これらの変化を補償信号451として検出信号チェーン430に結合する。これは好ましくは、受動部品のみによって行われる。検出信号チェーン430への補償信号451の結合は、受信手段230の高周波成分に小さいノイズしか付加されないようにして行われる。
図7及び8に、補償信号451が検出信号チェーン430に供給される本発明に従った第2の実施形態を示す。第2の実施形態においては、補償コントローラ450は補償信号451を生成するだけでなく、駆動信号をも生成する。すなわち、補償コントローラ450は駆動信号発生器(図7には図示せず)を有する。特に、より高い自由度を可能にするデジタル信号の生成が実現される。
補償信号451も補償コントローラ450によって生成される。検出信号チェーン430への補償信号451の結合は、例えば、結合手段452内の変圧器(誘導結合)によって、すなわち、受信手段230の部分として(静止式の、及び/又は可動式の)補償コイルを用いるときと同様にして行われ得る。これを図8に示す。図8において、検出信号チェーン430は、結合手段452内の1つの取り得る結合状況(誘導結合)の拡大図で示されている。この結合手段はまた、容量的なバイパスを提供し得る。
第2の実施形態の一変形例によれば、補償信号451の生成後に、更なる経路内でフィルタリングされ、増幅され、且つ/或いは変更若しくは補正されるように、該信号が補償信号チェーン454を進行することが可能である。これは、例えば、不所望の周波数成分を低減するために行われ、駆動信号チェーン420内での信号の処置と同様である。
フィードバック信号461は、検出信号チェーン430、特に検出信号プロセッサ432から得られる。本発明に係る装置が校正モード動作をしている状況で検出信号チェーン430から得られたフィードバック信号461から、校正モードで、補償信号451の複数の所定の(小さい)周波数変化及び/又は位相変化(校正変化と呼ぶ)が適用されるときに検出信号内の不所望の周波数成分を測定する手段によって、補償信号451を生成することが可能である。これらの比較的小さい校正変化の効果の測定から、そして、校正変化と検出信号における測定された効果との間の関係の線形理論を仮定することにより、例えば伝達関数を反転させることによって、補償信号を計算することができる。
図9及び10に、補償信号451が駆動信号チェーン420に供給される本発明に従った第3の実施形態を示す。第3の実施形態においても、補償コントローラ450は駆動信号を生成する。すなわち、補償コントローラ450は駆動信号発生器(図9には図示せず)を有する。特に、より高い自由度を可能にするデジタル信号の生成が実現される。補償信号451は、(補償信号チェーン454の特別な一形態としての)広帯域信号チェーン455に与えられる。補償信号451は、広帯域信号チェーン455を通過後、駆動信号チェーン420に結合あるいは供給される。これは、駆動信号チェーン420の信号内の、より高次の高調波が正確に補償されるようにして行われる。供給点すなわち結合点は、好ましくは、駆動信号チェーン420の増幅器(参照符号422)の直後にされない。直後の場合、広帯域信号チェーン455に必要な電力が比較的高くなるからである。本発明の第3の実施形態の変形例によれば、駆動信号チェーン420を示す図10に更に詳細に示す様々な結合点が可能である。図10では、結合手段にて様々なアナログフィルタ素子が使用されている。特に、駆動信号チェーン420に補償信号451を結合するために抵抗結合が用いられる。補償信号451のための3つの異なる結合点が選択肢として示されている。本発明の第3の実施形態の更なる変形例によれば、結合点は好ましくは、(駆動手段22に向かう向きにおいて)結合点の後ろに少なくとも1つの最終受動フィルタ段が設けられるように選択される。そうすることは、本発明に係る装置の性能、特に補償性能が、フィードバックの精度によって制限されないという利点を有する。
本発明の第3の実施形態の変形例によれば、校正フィードバックループが、連続的に(すなわち動的に)、あるいは校正モードによって、の何れかで実現され得る。本発明に係る装置の双方の変形例において、フィードバック信号461が、少なくとも間接的に、駆動信号チェーン420から得られるので、その中の高次の高調波を測定することができる。校正モードにおいて、本発明に係る装置は、例えば、装置内のサンプルを有さずに、様々な電力レベル及び周波数の駆動信号にて、より高次の高調波が測定される。本発明によれば、これは、フィードバック信号461の起点として様々な測定点を用いて行われ得る。そのような測定点の相異なる例が図10内に示されている。それにより、理想的な駆動信号からのずれを測定することが可能である。校正モードにて(すなわち、好ましくは装置10内にサンプルを有しないで)測定されたそれらのずれを校正変化と呼ぶ。それらの校正変化から、校正変化が可能な限り小さくなるように補償信号451が生成される。
本発明の第3の実施形態に従って代替的に、校正モードと対照的に、更なる受信手段465、特に更なる受信コイルによって、フィードバックループにフィードバック信号461を供給することが可能である。更なる受信コイルは好ましくは、サンプル位置近傍のサンプルに対して低い感度を有する。

Claims (15)

  1. 作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する装置であって、
    − 前記作用領域内に、低い磁場強度を有する第1の部分区画と、より高い磁場強度を有する第2の部分区画とが形成されるような磁場強度の空間パターンを有する選択磁場を生成する選択手段、
    − 前記磁性粒子の磁化が局所的に変化するように、駆動磁場によって、前記作用領域内の前記第1及び第2の部分区画の空間位置を変化させる駆動手段であり、当該装置が駆動信号チェーンを有する、駆動手段、
    − 前記第1及び第2の部分区画の空間位置の変化により影響を受けた前記作用領域内の前記磁化に依存する検出信号を収集する受信手段であり、当該装置が検出信号チェーンを有する、受信手段、
    を有し、
    当該装置は、結合手段によって前記駆動信号チェーン及び/又は前記検出信号チェーンに補償信号を供給する補償コントローラを有する、
    装置。
  2. 前記補償信号は前記駆動信号チェーン及び/又は前記検出信号チェーンに容量結合によって結合される、請求項1に記載の装置。
  3. 前記補償信号は前記駆動信号チェーン及び/又は前記検出信号チェーンに抵抗結合によって結合される、請求項1に記載の装置。
  4. 前記補償信号は前記駆動信号チェーン及び/又は前記検出信号チェーンに誘導結合によって結合される、請求項1に記載の装置。
  5. 前記補償信号は、前記駆動信号チェーン及び/又は前記検出信号チェーンに結合されるのに先立って、フィルタリングされる、請求項1に記載の装置。
  6. 前記補償コントローラは前記駆動信号チェーン及び/又は前記検出信号チェーンからフィードバック信号を提供される、請求項1に記載の装置。
  7. 当該装置は、前記受信手段に加えて、前記検出信号を収集する更なる受信手段を有し、前記フィードバック信号は更なる受信手段によって生成される、請求項6に記載の装置。
  8. 前記フィードバック信号は、前記結合手段における測定点を用いて生成される、請求項6に記載の装置。
  9. 補償信号チェーン又は広帯域信号チェーンを有する請求項8に記載の装置。
  10. 前記補償コントローラはコンピュータによって制御される、請求項1に記載の装置。
  11. 作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する方法であって、
    − 前記作用領域内に、低い磁場強度を有する第1の部分区画と、より高い磁場強度を有する第2の部分区画とが形成されるような磁場強度の空間パターンを有する選択磁場を生成する段階、
    − 前記磁性粒子の磁化が局所的に変化するように、駆動信号により形成された駆動磁場によって、前記作用領域内の前記第1及び第2の部分区画の空間位置を変化させる段階、
    − 前記第1及び第2の部分区画の空間位置の変化により影響を受けた前記作用領域内の前記磁化に依存する検出信号を収集する段階、
    − 前記駆動信号及び/又は前記検出信号に補償信号を結合することにより、前記駆動信号及び/又は前記検出信号を補償する段階、
    を有する方法。
  12. 作用領域内の磁性粒子に影響を及ぼし且つ/或いは該粒子を検出する装置を校正する方法であって、
    − 前記作用領域内に、低い磁場強度を有する第1の部分区画と、より高い磁場強度を有する第2の部分区画とが形成されるような磁場強度の空間パターンを有する選択磁場を生成する段階、
    − 駆動信号により形成された駆動磁場によって、前記作用領域内の前記第1及び第2の部分区画の空間位置を変化させる段階、
    − 前記駆動磁場と、前記第1及び第2の部分区画の空間位置の変化により影響を受けた前記作用領域内の前記磁化と、に依存する検出信号を収集する段階、
    − 前記駆動信号及び/又は前記検出信号に結合される補償信号を、
    − 前記駆動信号及び/又は前記検出信号の校正変化を測定すること、又は、該補償信号の校正変化を前記駆動信号及び/又は前記検出信号に適用すること、及び
    − 該補償信号を計算すること、
    によって生成する段階、
    を有する方法。
  13. 前記補償信号の前記校正変化は、位相シフトの変化及び/又は振幅変化として提供される、請求項12に記載の方法。
  14. − 前記磁性粒子の磁化が局所的に変化するように、前記駆動磁場によって、前記作用領域内の前記第1及び第2の部分区画の空間位置を変化させる段階、
    を有する請求項12に記載の方法。
  15. 前記補償信号は、線形理論計算を適用することによって計算される、請求項12に記載の方法。
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