JP5506473B2 - 保持装置、光学装置及び望遠鏡 - Google Patents

保持装置、光学装置及び望遠鏡 Download PDF

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Description

本発明は、保持装置、光学装置及び望遠鏡に関する。
天体望遠鏡や人工衛星などの精密機器における構成要素同士の相対的な位置精度には、高い精度が要求されている。精密機器の構成要素には、例えば、本体構造体、光学素子、センサ、アクチュエータなどが含まれ、特に、光学素子については、非常に高い位置精度が要求される。
精密機器においては、一般的に、製造・組立環境と使用環境とで、環境温度が大きく異なる。具体的には、天体望遠鏡では、製造・組立環境は摂氏20℃付近であることが多く、使用環境は摂氏0℃付近であることが多い。また、人工衛星であれば、使用環境は宇宙空間の温度、即ち、摂氏−270℃付近になると共に、太陽光の照射によって本体構造体の局所的な温度上昇も発生する。
このような温度変化は、構成要素の熱膨張率に応じた変形を招き、本体構造体と光学素子との相対的な位置関係に大きな位置ずれを引き起こす。多くの構成要素は、その要求される性能を満たすため、選択できる材質が限定されている。例えば、光学素子を保持する保持装置には、低熱膨張材であるインバ等を用いることが考えられるが、光学素子を構成するガラスの熱膨張率が大きい場合には、それに合わせてチタン合金等が用いられる。この場合、温度変化による位置ずれが避けられず、環境ごとの位置決め再現性を保証することができない。また、構成要素の連結部(接続部)には、熱応力による歪が発生する。なお、このような位置ずれ及び歪は、光学素子の性能を大きく劣化させる要因となる。
そこで、主に温度変化による歪を低減させるために、キネマティックマウントを用いて光学素子を保持する技術が提案されている(特許文献1及び非特許文献1参照)。キネマティックマウントとは、保持する剛体要素に対して、その剛体としての自由度を過不足なく拘束する(即ち、6自由度について位置を拘束する)保持方式である。キネマティックマウントでは、例えば、一方の要素に3つの球面を、他方の要素に3つのV字型溝を配して、球面とV字型溝との係合によって位置決めを行う。キネマティックマウントは、歪を伝達せず、且つ、位置決めの再現性に優れているという特性を有する。
特開2004−247484号公報
Varadarajan K.M. and Culpepper M.L.,"Active Compliant Fixtures for Nanomanufacturing", Annual meeting of ASPE, 2004
しかしながら、キネマティックマウントは、対象とする要素の位置を一意に決定するため、要素が大きく温度変化する場合には、所期の位置から大きくずれた位置に要素を位置決めしてしまう。そこで、特許文献1に開示された技術では、温度変化による変形が発生した場合に、保持対象部品と構造体との間のキネマティックマウントを構成する球が、可動溝部品を介して、予め定められた1自由度で移動するように構成されている。これにより、温度変化による変形が発生しても、保持対象部品を平面内において位置ずれさせることなく保持することができる。但し、特許文献1に開示された技術では、保持対象部品を基準軸に沿って位置決めすることができない。
また、非特許文献1には、温度変化による変形が発生して基準位置にずれが生じる場合に、3つの球のそれぞれを保持する3つのV字型溝の角度を制御する(変更する)ことによって任意の位置に保持対象部品を配置する技術が開示されている。但し、非特許文献1に開示された技術では、基準位置のずれ量を検出するセンサやV字型溝の角度を変化させるアクチュエータが必要になるため、構成が複雑、且つ、高価になってしまう。また、精密機器においては、センサ及びアクチュエータの消費電力や発熱が機器の性能に悪影響を与える可能性があることに加えて、センサ及びアクチュエータの取り付け基準自体に変形が発生した場合には、高精度な位置決めが困難になる。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、温度変化に対して保持対象部材の位置決め精度の点で有利な保持装置を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての保持装置は、構造体を有し、前記構造体の基準点から部材の基準点までの距離が基準軸の方向において許容範囲内となるように前記部材を保持する保持装置であって、それぞれ、前記構造体に支持され、前記基準軸に直交する面に対して傾斜した傾斜面を含み、且つ、前記傾斜面を介して前記部材を保持する複数の保持部を有し、記部材および前記複数の保持部の温度が変化しても前記距離が前記許容範囲内となるように前記基準軸を含む面内において前記傾斜面が傾斜している、ことを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、温度変化に対して保持対象部材の位置決め精度の点で有利な保持装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態における保持装置の構成を示す図である。 図1に示す保持装置の具体的な設計例を示す図である。 キネマティックマウントが構成された保持部(第1の保持部)110Aを示す図である。 図1に示す保持装置の予圧付与部の構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態における保持装置の構成を示す図である。 図5に示す保持装置の環境温度が変化した場合における保持装置と構造体との位置関係を示す図である。 図5に示す保持装置において、第1の保持部の傾斜面(第2の保持部の傾斜面)の勾配及び第3の保持部の傾斜面の勾配を説明するための図である。 本発明の第3の実施形態における保持装置の構成を示す図である。 一般的な保持装置の構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態における反射型の望遠鏡の構成を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
<比較例>
図9を参照して、本発明の一側面としての保持装置の比較例として、一般的な保持装置1000について説明する。図9(a)は、保持装置1000の上面図であり、図9(b)は、図9(a)に示す保持装置1000のA−A断面図である。なお、図9(b)では、説明に不要な構成要素は図示していない。
保持装置1000は、保持対象の部材としての光学素子1100を、精密機器の構造体1200において保持する。光学素子1100は、鏡筒1102と、鏡筒1102の周囲に等間隔(120度間隔)で配置された3つの鏡筒フランジ1104とを含む。光学素子1100は、3つの鏡筒フランジ1104のそれぞれに設けられた球面(キネマ球)1106を介して、保持装置1000に保持される。
保持装置1000は、球面1106と接触する接触面1002aを含み、接触面1002aにおける球面1106との接触点C91を介して、光学素子1100を保持する3つの保持部1002を有する。なお、図9では、説明を簡単にするために、保持部1002(接触面1002a)と球面1106との接触点C91を1点としている。
また、保持装置1000は、3つの保持部1002の相対的な位置関係を規定する基板部1004を有し、基板部1004を介して、構造体1200に接続する。保持装置1000は、構造体1200に対して、球面1106を保持する位置(接触点C91)を規定することで、光学素子1100の位置を規定する。
光学素子1100は、基準軸AXの上に、第1の基準点P91を有している。また、構造体1200は、基準軸AXの上に、第2の基準点P92を有している。ここで、第1の基準点P91を含み、且つ、基準軸AXに垂直な平面と接触点C91との距離(即ち、第1の基準点P91と接触点C91との基準軸AXに沿った距離)をL91とする。また、第2の基準点P92を含み、且つ、基準軸AXに垂直な平面と接触点C91との距離(即ち、第2の基準点P92と接触点C91との基準軸AXに沿った距離)をL93とする。この場合、第1の基準点P91と第2の基準点P92との基準軸AXに沿った距離L9は、以下の式1で表される。
L9=L93−L91 ・・・(式1)
距離L9に誤差がある場合、光学素子1100の光学性能が劣化するため、距離L9を高精度に維持する必要がある。
図9(c)は、保持装置1000の環境温度がΔT℃だけ低下した場合(第1温度から第2温度に変化した場合)において、光学素子1100及び保持装置1000の温度変化の前後の状態を模式的に示す図である。図9(c)では、温度変化の前の状態、即ち、図9(b)と同じ状態の光学素子1100及び保持装置1000を破線で示し、温度変化の後の状態の光学素子1100’及び保持装置1000’を実線で示している。
環境温度の変化があった場合、光学素子1100及び保持装置1000は、それぞれの熱膨張率α及びα(α<α)に応じて、形状が変化する(変形する)。ここで、光学素子1100及び保持装置1000は軸対称な形状を有し、両者間の拘束も軸対称であるため、xy平面内の形状の変化も軸対称に発生する。
図9(c)において、z軸方向の変形に着目すると、保持装置1000の変形(収縮)によって、第2の基準点P92と接触点C91との基準軸AXに沿った距離は、L93からL93’に変化する。また、光学素子1100の変形(収縮)によって、第1の基準点P91と接触点C91との基準軸AXに沿った距離は、L91からL91’に変化する。従って、L93’及びL91’のそれぞれは、以下の式2及び式3で表される。
L93’=L93−(L93・α・ΔT) ・・・(式2)
L91’=L91−(L91・α・ΔT) ・・・(式3)
一方、図9(c)において、y軸方向の変形に着目すると、光学素子1100が変形(収縮)することで、基準軸AXと接触点との基準軸AXに垂直な方向に沿った距離は、R9からR91’に変化する。また、保持装置1000が変形(収縮)することで、基準軸AXと接触点との基準軸AXに垂直な方向に沿った距離は、R9からR93’に変化する。R91’は、光学素子1100の形状に応じた形状係数Ctを用いて、以下の式4で表される。なお、形状係数Ctは、理論的に求めてもよいし、FEM解析などで導出してもよい。
R91’=R9−R9・Ct・α・ΔT ・・・(式4)
温度変化の前の接触点C91と温度変化の後の接触点C92との基準軸AXに垂直な方向に沿った距離ΔR9は、以下の式5で表される。
ΔR9=R91’−R93’ ・・・(式5)
このとき、球面1106にz軸方向の変位は発生しない。従って、温度変化の後の第1の基準点P91と第2の基準点P92との基準軸AXに沿った距離L9’は、以下の式6で表される。
L9’=L93’−L91’ ・・・(式6)
基準軸AXに沿った方向(z軸方向)の距離の変化は、構造体1200に対する光学素子1100の位置ずれとなり、光学素子1100の光学性能の劣化を引き起こす。従って、光学素子1100の光学性能を劣化させないためには、L9’=L9を満たすことが必要となる。
式1と式6との差分は、式2及び式3を用いて、以下の式7で表される。
L9’−L9=−L93・α・ΔT+L91・α・ΔT ・・・(式7)
式7の右辺が0になれば、光学素子1100の光学性能は劣化しない。従って、以下の式8に示す条件を満たすことが必要となる。
L93・α=L91・α ・・・(式8)
式8において、L91及びL93は、第1の基準点P91と第2の基準点P92との基準軸AXに沿った距離L9を規定することで一意に定まる。但し、L91及びL93は光学設計によって定まるため、自由度が少ない。更に、熱膨張率については、αは光学素子1100の材質によってほぼ限定され、αも機械的性質を優先すると自由度が少ない。
このように、一般的な保持装置1000では、L91、L93、α及びα(即ち、式8におけるパラメータ)の自由度が少ないため、式8に示す条件を満たすことが非常に困難である。換言すれば、一般的な保持装置1000では、温度変化の前後において、第1の基準点P91と第2の基準点P92との相対距離を一定に維持することが困難であり、光学素子1100の光学性能の劣化を引き起こしてしまう。
なお、これまでは、保持装置1000の環境温度がΔT℃だけ低下した場合について説明したが、保持装置1000の環境温度が上昇した場合には、光学素子1100及び保持装置1000が膨張するため、同様の課題が発生することが理解されるであろう。
<第1の実施形態>
図1を参照して、本発明の第1の実施形態における保持装置100について説明する。図1(a)は、保持装置100の上面図であり、図2(b)は、図1(a)に示す保持装置100のA−A断面図である。なお、図2(b)では、説明に不要な構成要素は図示していない。
保持装置100は、保持対象の部材としての光学素子200を、精密機器の構造体300において、光学素子200が有する第1の基準点P11と構造体300が有する第2の基準点P12との相対距離を一定(一定値)に維持しながら保持する。光学素子200は、鏡筒210と、鏡筒210の周囲に等間隔(120度間隔)で配置された3つの鏡筒フランジ220とを含む。なお、3つの鏡筒フランジ220のそれぞれには、球面(キネマ球からなる球面部)230が設けられている。
保持装置100は、第1の基準点P11と第2の基準点P12とを結ぶ基準軸AXに垂直な面に対して勾配θ(傾斜角θ)を有する傾斜面110aを含む複数(本実施形態では、3つ)の保持部110を有する。保持部110は、傾斜面110aにおける球面230との接触点C11を介して、光学素子200を保持する。なお、図1では、説明を簡単にするために、保持部110(傾斜面110a)と球面230との接触点C11を1点としている。但し、後述するように、保持部110には、光学素子200に歪を伝達せず、且つ、その位置を拘束するために、キネマティックマウントが構成されていることが好ましい。これにより、保持装置100は、光学素子200に対して、その剛体としての自由度を過不足なく(即ち、6自由度について位置を)拘束する。
また、保持装置100は、3つの保持部110の相対的な位置関係を規定する基板部120を有し、基板部120を介して、構造体300に接続する。保持装置100は、構造体300に対して、球面230を保持する位置(接触点C11)を規定することで、光学素子200の位置を規定する。
ここで、第1の基準点P11を含み、且つ、基準軸AXに垂直な(直交する)平面と接触点C11との距離(即ち、第1の基準点P11と接触点C11との基準軸AXに沿った距離)をL11とする。また、第2の基準点P12を含み、且つ、基準軸AXに垂直な平面と接触点C11との距離(即ち、第2の基準点P12と接触点C11との基準軸AXに沿った距離)をL13とする。この場合、第1の基準点P11と第2の基準点P12との基準軸AXに沿った距離L1は、以下の式9で表される。
L1=L13−L11 ・・・(式9)
図1(c)は、保持装置100の環境温度がΔT℃だけ低下した場合において、光学素子200及び保持装置100の温度変化の前後の状態を模式的に示す図である。図1(c)では、温度変化の前、即ち、図1(b)と同じ状態の光学素子200及び保持装置100を破線で示し、温度変化の後の光学素子200’及び保持装置100’を実線で示している。
環境温度の変化があった場合、光学素子200及び保持装置100は、それぞれの熱膨張率α及びα(α<α)に応じて、形状が変化する(変形する)。ここで、光学素子200及び保持装置100は軸対称な形状を有し、両者間の拘束も軸対称であるため、xy平面内の形状の変化も軸対称に発生する。
図1(c)において、z軸方向の変形に着目すると、保持装置100の変形(収縮)によって、第2の基準点P12と接触点C11との基準軸AXに沿った距離は、L13からL13’に変化する。また、光学素子200の変形(収縮)によって、第1の基準点P11と接触点C11との基準軸AXに沿った距離は、L11からL11’に変化する。従って、L13’及びL11’のそれぞれは、以下の式10及び式11で表される。
L13’=L13−(L13・α・ΔT) ・・・(式10)
L11’=L11−(L11・α・ΔT) ・・・(式11)
一方、図1(c)において、y軸方向の変形に着目すると、光学素子200が変形(収縮)することで、基準軸AXと接触点との基準軸AXに垂直な方向に沿った距離は、R1からR11’に変化する。R11’は、光学素子200の形状に応じた形状係数Ctを用いて、以下の式12で表される。なお、形状係数Ctは、理論的に求めてもよいし、FEM解析などで導出してもよい。
R11’=R1−R1・Ct・α・ΔT ・・・(式12)
また、保持装置100が変形(収縮)することで、基準軸AXと接触点との基準軸AXに垂直な方向に沿った距離は、R1からR13’に変化する。R13’は、保持装置100の形状に応じた形状係数Ctを用いて、以下の式13で表される。なお、形状係数Ctは、理論的に求めてもよいし、FEM解析などで導出してもよい。
R13’=R1−R1・Ct・α・ΔT ・・・(式13)
このとき、球面230は、保持部110の傾斜面110aの上を、勾配θに沿って移動する。具体的には、球面230は、y軸方向に収縮することでz軸方向にも移動し、接触点C12において傾斜面110aに接触する。換言すれば、接触点は、温度変化の前後において、傾斜面内の異なる点に位置する。温度変化の後の接触点C12は、温度変化の前の接触点C11に対して、z軸方向にΔztだけ移動する。Δztは、以下の式14で表される。
Δzt=(R11’−R13’)・tanθ ・・・(式14)
従って、温度変化の後の第1の基準点P11と第2の基準点P12との基準軸AXに沿った距離L1’は、以下の式15で表される。
L1’=L13’−L11’+Δzt ・・・(式15)
ここで、光学素子200の光学性能を劣化させないためには、L1’=L1を満たすことが必要となる。
式9と式15の差分は、式10乃至式14を用いて、以下の式16で表される。
L1’−L1={−L13・α+L11・α+(−R1・Ct・α+R1・Ct・α)tanθ}ΔT ・・・(式16)
本実施形態では、式16の右辺が0となるように傾斜面110aの勾配θを設定することで、温度変化の前後において、光学素子200の位置ずれを防止し、光学素子200の光学性能の劣化を防止する。具体的には、傾斜面110aの勾配θが、基準軸AXに垂直な面に対して、以下の式17を満たせばよい。
θ=tan−1{(L13・α−L11・α)/(R1・(Ct・α−Ct・α))} ・・・(式17)
なお、勾配θは、光学素子200と構造体300との相対位置から一意に決定され、保持装置100は、製造・組立環境と使用環境とで、環境温度が大きく異なる場合にも、光学素子200と構造体300との相対位置を変化させることなく維持することができる。また、勾配θは、温度変化にかかわらず一定であるため、保持装置100は、環境温度が大きく変化する場合であっても、光学素子200と構造体300との相対位置を常に一定に維持することができる。
このように、本実施形態の保持装置100では、温度変化の前後において、球面230と傾斜面110aとの接触点が傾斜面内の異なる点に位置することによって第1の基準点P11と第2の基準点P12との基準軸AXに沿った距離を一定に維持する。従って、保持装置100は、温度変化の前後において、光学素子200の位置ずれを防止し、光学素子200の光学性能の劣化を防止することができる。
図2は、保持装置100の具体的な設計例を示す図である。図2では、L13、α、Ct、L11、α、Ct及びR1のそれぞれが互いに異なる5つの設計パターン(設計パターン1乃至5)に対する傾斜面110aの勾配θが示されている。例えば、設計パターン1においては、傾斜面110aの勾配θは76度となり、設計パターン5においては、傾斜面110aの勾配θは31度となる。なお、保持装置100の材料はステンレス(熱膨張率α=1.43×10−5ppm)とし、光学素子200の材料はチタン合金(熱膨張率α=8.8×10−6ppm)としている。また、保持装置100及び光学素子200の形状は円環形状とし、保持装置100及び光学素子200の形状係数は0.5としている。
上述したように、3つの保持部110のそれぞれには、キネマティックマウントが構成されていることが好ましい。図3は、キネマティックマウントが構成された3つの保持部110のうち1つの保持部(第1の保持部)110Aを示す図である。なお、図3では、鏡筒210の周囲に配置された鏡筒フランジ220を半透明化して図示している。
図3に示すように、保持部110Aには、第1の平面112a、第2の平面112b及び第1の平面112aと第2の平面112bとの稜線112cで構成されたV字型溝(第1のV字型溝)112が形成されている。鏡筒フランジ220に設けられた球面(第1の球面部)230は、V字型溝112と2点で接触し、詳細には、第1の平面112a内における接触点CP1、及び、第2の平面112b内における接触点CP2を介して、V字型溝112に接触している。このように、V字型溝112が形成された保持部110は、球面230を有する光学素子200の2自由度を拘束する。
環境温度の変化によって、球面230がV字型溝112に接触点CP1及びCP2で接触しながら、即ち、2自由度を拘束されながら移動すると、接触点CP1及びCP2のそれぞれは、平行な2つの直線LL1及びLL2の上を移動する。換言すれば、球面230がV字型溝112を移動したときの接触点CP1及びCP2の軌跡は、2つの直線LL1及びLL2をそれぞれ形成する。そして、2つの直線LL1及びLL2を含む面によって、保持部110Aの傾斜面110aが規定される。なお、稜線112cと基準軸AXとを含む面に対してV字型溝112が対称である場合、2つの直線LL1及びLL2と稜線112cとは平行であるため、稜線112cの角度を傾斜面110aの勾配として、V字型溝112を形成するとよい。
また、図示は省略するが、3つの保持部110のうち他の1つの保持部(第2の保持部)ついても同様に、鏡筒フランジ220に設けられた球面(第2の球面部)に2つの接触点で接触するV字型溝(第2のV字型溝)が形成されている。そして、第2の球面が第2のV字型溝を移動したときの2つの接触点の軌跡のそれぞれが形成する2つの直線を含む面によって、第2の保持部の傾斜面が規定されている。更に、3つの保持部110の残りの1つの保持部(第3の保持部)ついても同様に、鏡筒フランジ220に設けられた球面(第3の球面部)に2つの接触点で接触するV字型溝(第3のV字型溝)が形成されている。そして、第3の球面が第3のV字型溝を移動したときの2つの接触点の軌跡のそれぞれが形成する2つの直線を含む面によって、第3の保持部の傾斜面が規定されている。
また、保持装置100は、図4に示すように、光学素子200を保持した状態において、光学素子200に対して傾斜面110aに垂直な方向に予圧を付与する予圧付与部130を有することが好ましい。予圧付与部130は、傾斜面110aに垂直な方向に光学素子と傾斜面とを互いに押付ける押付け部として機能する。これにより、振動や衝撃に起因する光学素子200の位置ずれを防止することが可能となる。
図4を参照するに、予圧付与部130は、例えば、ボルト132と、ナット134と、スロット136とを含む。ボルト132は、鏡筒フランジ220に形成された貫通孔222及び球面230に形成された貫通孔232を介して、保持部110に形成されたスロット136において、ナット134に締結されている。なお、保持部110の傾斜面110aに垂直な方向のみに予圧を付与するために(即ち、傾斜面110aに垂直な方向以外の方向に力を付与しないように)、貫通孔222及び232は、傾斜面110aに対してボルト132が垂直に対向するように形成されている。環境温度の変化があった場合、ボルト132及びナット134は、予圧を維持しながら傾斜面110aに接触している球面230を移動させるため、光学素子200に歪は生じない。
また、光学素子200に対して傾斜面110aに垂直な方向に予圧を付与する場合には、球面230と傾斜面110aとの接触点が点ではなく面になってしまうことがあるが、その量は微小(即ち、点が微小面となるだけ)であるため何ら問題ない。
本実施形態では、光学素子200の球面230を、保持部110の傾斜面110aに対して移動させている。但し、鏡筒フランジ220が基準軸AXに垂直な面に対して勾配を有する傾斜面を含み、かかる傾斜面に対して保持部110に形成された球面を移動させても同様な効果を得ることができる。
また、光学素子200の球面230及び保持部110の傾斜面110a(V字型溝)においては、摩擦を極力小さく、且つ、摺動による損耗を少なくすることが好ましい。従って、光学素子200の球面230及び保持部110の傾斜面110a(V字型溝)には、フッ素樹脂コーティングやダイヤモンドライクカーボンコーティングなどの処理を施して、摩擦係数や摩耗を低減させるとよい。
<第2の実施形態>
図5を参照して、本発明の第2の実施形態における保持装置100Aについて説明する。本実施形態では、保持装置100Aは、構造体300に対して、キネマティックにその位置が拘束されている。図5(a)は、保持装置100Aの上面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す保持装置100AのA−A断面図である。図5(c)は、図5(a)に示す保持装置100AのB−B断面図である。なお、図5(b)及び図5(c)では、説明に不要な構成要素は図示していない。
構造体300は、第1の保持部110B、第2の保持部110B及び第3の保持部110Bのそれぞれに対して、保持装置100Aの取り付け基準となる第1の基準面310B、第2の基準面310B及び第3の基準面310Bを有する。第1の基準面310B、第2の基準面310B及び第3の基準面310Bは、本実施形態では、構造体300に段差部として構成された平面であるが、保持装置100Aの位置を過不足なく拘束することが可能であれば、円筒面や球面であってもよい。但し、第1の基準面310B、第2の基準面310B及び第3の基準面310Bが円筒面である場合には、z軸周りの回転自由度を拘束することができないため、基準となる角度決め機構を有するとよい。
第1の保持部110Bは、第1の端E1及び第2の端E2を含む第1の剛体部材150Bを有する。第1の剛体部材150Bは、第1の端E1において第1の保持部110Bに連結し、第2の端E2において第1の基準面310Bに接触する。同様に、第2の保持部110Bは、第3の端及び第4の端を含む第2の剛体部材150Bを有する(図6参照)。第2の剛体部材150Bは、第3の端において第2の保持部110Bに連結し、第4の端において第2の基準面310Bに接触する。第3の保持部110Bは、第5の端E5及び第6の端E6を含むばね部材(圧縮ばね)150Bを有する。ばね部材150Bは、第5の端E5において第3の保持部110Bに連結し、第6の端E6において第3の基準面310Bに接触する。なお、第1の剛体部材150B及び第2の剛体部材150Bのそれぞれは、第1の基準面310B及び第2の基準面310Bに対して、保持装置100Aの1自由度を拘束する。一方、ばね部材150Bは、例えば、コイルばね、プランジャ(流体ばね)、板ばねなどで構成され、第3の基準面310Bに対して、ばねの変位方向(基準軸AXに垂直な方向)のみに自由度を有する。但し、ばね部材150Bは、ばね力による予圧によって、保持装置100Aを拘束する。このように、保持装置100Aは、構造体300に対して、第1の剛体部材150B、第2の剛体部材150B及びばね部材150Bによって、その位置が決定される。なお、ばね部材150Bは、ばねの変位方向に大きく変位することが予想されるため、1軸方向の自由度のみを有するガイドを備えていてもよい。
また、第1の保持部110Bは、基準軸AXに垂直な面に対して勾配(角度)θ21を有する傾斜面110Baにおける光学素子200の第1の球面230Bとの接触点C21aを介して、光学素子200を保持する。同様に、第2の保持部110Bは、基準軸AXに垂直な面に対して勾配(角度)θ21を有する傾斜面における光学素子200の第2の球面との接触点を介して、光学素子200を保持する。第3の保持部110Bは、基準軸AXに垂直な面に対して勾配(角度)θ22を有する傾斜面110Baにおける光学素子200の第3の球面230Bとの接触点C21bを介して、光学素子200を保持する。
図6は、保持装置100Aの環境温度がΔT℃だけ低下した場合における保持装置100と構造体300との位置関係を示す図である。図6(a)は、保持装置100Aが構造体300の第1の基準面310B、第2の基準面310B及び第3の基準面310Bに対して拘束されていない場合を示している。図6(b)は、保持装置100Aが構造体300の第1の基準面310B、第2の基準面310B及び第3の基準面310Bに対して拘束されている場合を示している。温度変化の前の第1の剛体部材150B、第2の剛体部材150B及びばね部材150Bと第1の基準面310B、第2の基準面310B及び第3の基準面310Bとの3つの接触点からなる三角形をTR2で表す。また、温度変化の後の第1の剛体部材150B’、第2の剛体部材150B’及びばね部材150B’と第1の基準面310B、第2の基準面310B及び第3の基準面310Bとの3つの接触点からなる三角形をTR2’で表す。
図6(a)を参照するに、第1の剛体部材150B、第2の剛体部材150B及びばね部材150Bは、環境温度がΔT℃だけ低下した場合に、基準軸AXに対して回転対称に収縮し、3つの接触点からなる三角形は、TR2からTR2’に変化する。このとき、保持装置100Aは、基準軸AXに垂直な方向(半径方向)に収縮し、その半径がR23からR23’に変化する。
一方、図6(b)を参照するに、環境温度がΔT℃だけ低下すると、第1の剛体部材150B及び第2の剛体部材150Bのそれぞれは、第1の基準面310B及び第2の基準面310Bに沿って移動する。また、ばね部材150Bは、基準軸AXに垂直な方向(半径方向)に変形して、保持装置100Aの変形による歪をかわしている。この際、第1の剛体部材150B及び第2の剛体部材150Bのそれぞれと基準軸AXとの半径方向の距離は、第1の基準面310B及び第2の基準面310Bで規定されているため、R23で変化しない。但し、ばね部材150Bは、基準軸AXに垂直な方向(半径方向)に大きく変位し、その半径方向の距離は、R23からR23b’に変化する。
図6(a)に示すように、半径がR23からR23’に変化する場合、その変化分δRは、以下の式18で表される。
δR=R23−R23’ ・・・(式18)
また、図6(b)に示すように、第1の剛体部材150B及び第2の剛体部材150Bのそれぞれが第1の基準面310B及び第2の基準面310Bに規定される場合を考える。この場合、ばね部材150Bの半径方向の変化分δR23b’は、第1の剛体部材150B(第2の剛体部材150B)の移動量のy軸成分δyと、δRとの和となり、以下の式19で表される。
δR23b’=δy+δR ・・・(式19)
ここで、図6(c)を参照して、第1の剛体部材150Bの移動量のy軸成分δyについて説明する。第1の剛体部材150Bは、第1の基準面310Bがない場合、基準軸AXに垂直な方向(半径方向)にδRだけ変形する。但し、第1の基準面310Bがある場合には、第1の剛体部材150Bは、半径方向に変形することができないため、第1の基準面310Bに沿って移動することになる。従って、第1の剛体部材150Bは、図6(c)に示すように、x軸方向において、距離x1を維持するように第1の基準面310Bに沿って移動し、y軸方向においてδyだけ移動する。なお、δyは、幾何学的な関係から、以下の式20で表される。
δy=2δR ・・・(式20)
また、式19及び式20から、δR23b’は、以下の式21で表される。
δR23b’=3δR ・・・(式21)
従って、式20で表される第1の剛体部材150B(第2の剛体部材150B)の移動量のy軸成分は、基準軸AXに対する保持装置100Aの移動量である。また、式20で表される第1の剛体部材150B(第2の剛体部材150B)の移動量のy軸成分は、保持装置100Aが構造体300に対して拘束されていない場合における光学素子の球面の基準軸AXに対する移動量でもある。
図6(c)を参照するに、第1の剛体部材150B(第2の剛体部材150B)と基準軸AXとの基準軸AXに垂直な方向に沿った距離は、R23からR23’に変化しているが、かかる変化量は微小であるため無視することが可能である。R23’は、以下の式22で表される。
R23’=sqrt(R23+(((√3)/2)δy)
=sqrt(R23+3δR)≒R23 ・・・(式22)
以下、図7を参照して、第1の保持部110Bの傾斜面110Ba(第2の保持部110Bの傾斜面)の勾配θ21及び第3の保持部110Bの傾斜面110Baの勾配θ22について説明する。図7(a)は、保持装置100の環境温度がΔT℃だけ低下した場合において、光学素子200及び第1の保持部110Bの温度変化の前後の状態を模式的に示す図である。図7(a)では、温度変化の前の光学素子200及び第1の保持部110Bを破線で示し、温度変化の後の光学素子200’及び第1の保持部110B’を実線で示している。また、図7(b)は、保持装置100の環境温度がΔT℃だけ低下した場合において、光学素子200及び第3の保持部110Bの温度変化の前後の状態を模式的に示す図である。図7(b)では、温度変化の前の光学素子200及び第3の保持部110Bを破線で示し、温度変化の後の光学素子200’及び第3の保持部110B’を実線で示している。
図7(a)を参照するに、環境温度の変化があっても、第1の保持部110Bは、上述したように(即ち、第1の剛体部材150Bが第1の基準面310Bに接触しているため)、基準軸AXに垂直な方向(半径方向)には変形しない。一方、光学素子200は、環境温度の変化があると、基準軸AXに垂直な方向に変形(収縮)する。従って、第1の球面230Bは、光学素子200の収縮に応じて、Δztaだけ移動する。Δztaと第1の保持部110Bの傾斜面110Baの勾配θ21との関係は、以下の式23で表される。なお、R2は、第1の基準点P91と温度変化の前の接触点C21aとの基準軸AXに沿った距離であり、R21’は、第1の基準点P91と温度変化の後の接触点C22aとの基準軸AXに沿った距離である。
Δzta=(R2−R21’)・tanθ21 ・・・(式23)
従って、第1の保持部110Bにおいて、光学素子200の第1の球面230Bを保持する位置L2’は、以下の式24で表される。
L2’=L23’−L21’−Δzta ・・・(式24)
温度変化の前後において、第1の球面230Bを不動にするためには、L2=L2’でなければならない。従って、第1の保持部110Bの傾斜面110Baの勾配θ21は、以下の式25を満たす必要がある。
θ21=tan−1{(L21・α−L23・α)/(R2・Ct・α)} ・・・(式25)
一方、図7(b)に示す第3の保持部110Bに保持される光学素子200の第3の球面230Bは、環境温度が変化すると、式21に示すδR23b’に従って移動する。Δztbと第3の保持部110Bの傾斜面110Baの勾配θ22との関係は、以下の式26で表される。
Δztb=(R21’−R23’)・tanθ22=δR23b’・tanθ22 ・・・(式26)
従って、第1の保持部110Bにおいて、光学素子200の第1の球面230Bを保持する位置L2’は、以下の式27で表される。
L2’=L23’−L21’−Δztb ・・・(式27)
温度変化の前後において、第1の球面230Bを不動にするためには、L2=L2’でなければならない。従って、第3の保持部110Bの傾斜面110Baの勾配θ22は、以下の式28を満たす必要がある。
θ22=tan−1{(L21・α−L23・α)/(3R2・Ct・α)} ・・・(式28)
このように、本実施形態の保持装置100Aでは、光学素子200を保持する複数の保持部において、剛体部材を有する保持部の傾斜面の勾配とばね部材を有する保持部の傾斜面の勾配とが異なる。なお、本実施形態では、3つの基準面を等間隔(120度間隔)で構造体300に配置しているが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、保持部と剛体部材及びばね部材とが一体的に構成され、保持部が配置される方位と剛体部材及びばね部材が配置される方位とが一致しているが、保持部が配置される方位と剛体部材及びばね部材が配置される方位とは一致していなくてもよい。例えば、保持部が配置される方位と剛体部材及びばね部材が配置される方位とを逆位相にしたとしても、各保持部の傾斜面の勾配を規定することは可能である。
本実施形態の保持装置100Aは、温度変化の前後において、第1の基準点P11と第2の基準点P12との基準軸AXに沿った距離を一定に維持して、光学素子200の位置ずれや光学性能の劣化を防止することができる。但し、保持装置100Aでは、温度変化の前後において、光学素子200が基準軸AXに垂直な方向に偏心することになる。従って、本実施形態は、例えば、光学装置が許容する範囲内に当該偏心量が収まっている場合や、保持対象が偏心を許容する光学素子(例えば、望遠鏡のフィルタなど)である場合に適用することができる。
<第3の実施形態>
図8を参照して、本発明の第3の実施形態としての保持装置100Bについて説明する。保持装置100Bは、第1の保持部110Cと、第2の保持部110Cと、第3の保持部110Cとを有する。
第1の保持部110Cは、基準面AXに垂直な面に対して勾配θ31を有する第1の傾斜面110Caを規定するためのV字型溝112を含む。光学素子200の第1の球面230Cは、V字型溝112と2点で接触する。このように、V字型溝112が形成された第1の保持部110Cは、第1の球面230Cを有する光学素子200の2自由度を拘束する。
第2の保持部110Cは、基準面AXに垂直な面に対して勾配θ32を有する第2の傾斜面110Caを規定する平面(平面部)を含む。光学素子200の第2の球面230Cは、第2の傾斜面110Caを規定する平面と1点で接触する。このように、第2の傾斜面110Caを規定する平面を有する第2の保持部110Cは、第2の球面230Cを有する光学素子200の1自由度を拘束する。
第3の保持部110Cは、光学素子200を保持するための円錐型溝162を有する。光学素子200の第3の球面230Cは、円錐型溝162と3点で接触する。このように、円錐型溝162が形成された第3の保持部110Cは、第3の球面230Cを有する光学素子200の3自由度を拘束する。
温度変化の前後において、第3の保持部110Cの円錐型溝162と第3の球面230Cとは、それらが接触する3点を含む平面に平行な方向には相対移動せず、それ以外の保持部で光学素子の球面が移動する。ここで、それ以外の保持部とは、第1の保持部110C及び第2の保持部110Cである。
保持装置100Bでは、勾配θ31及びθ32を、第1の実施形態で説明したように、光学素子200及び保持部(第1の保持部110C及び第2の保持部110C)の変形量から一意に決定することができる。
また、第2の実施形態と同様に、剛体部材及びばね部材を用いて、構造体300に対して、キネマティックに保持装置100Cの位置を拘束してもよい。この場合には、第2の実施形態で説明したように、剛体部材及びばね部材の変形を考慮して、勾配θ31及びθ32を決定すればよい。
本実施形態の構成は、対象とする光学素子を保持する複数の保持部が光学素子の基準軸から異なる距離にある場合に特に有効である。例えば、円錐型溝部が基準軸から最も遠くに配置され、基準軸に平行な方向における円錐型溝部の温度変化による変位を基準軸に垂直な面に対する角度に換算したとき、その値が無視できるほど小さい場合に有効である。一方、V字型溝部及び平面部は、基準軸に対して比較的近くに配置され、基準軸に平行な方向におけるそれらの変位を角度に換算したとき、その値が無視できない。従って、基準軸に平行な方向における各保持部での光学素子の位置が変化しないように、上述したような勾配θ31及びθ32を有する必要がある。
<第4の実施形態>
図10を参照して、本発明の第4の実施形態における反射型の望遠鏡について説明する。架台866は、望遠鏡を支持し、観察する方向に望遠鏡の向きを変更する機能を有し、ジョイント865を介して、筐体864を保持する。筐体864の底面には、主反射鏡867が配置されている。また、筐体864の右上には、フレーム863に固定されたカメラユニット鏡筒862が配置されている。
図10において、右上の天体から筐体864に入射した光束は、フレーム863の横を抜けて主反射鏡867で反射される。放物面鏡である主反射鏡867で反射された光束は、主反射鏡867の焦点に向かう。なお、主反射鏡867の焦点近傍には、固体撮像素子869に高画質で結像するためのレンズ系861を含むカメラユニットが配置されている。
レンズ系861は、様々な光学素子を含み、例えば、特開平6−230274号公報に開示された収差補正系などで構成される。主反射鏡867、及び、レンズ系861に含まれる光学素子の少なくとも1つは、保持装置100、100A又は100Bに保持される。従って、望遠鏡を使用する環境によって温度が変化しても、光学素子の位置ずれ(即ち、光学系の光学性能)を許容範囲内に収めることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

Claims (10)

  1. 構造体を有し、前記構造体の基準点から部材の基準点までの距離が基準軸の方向において許容範囲内となるように前記部材を保持する保持装置であって、
    それぞれ、前記構造体に支持され、前記基準軸に直交する面に対して傾斜した傾斜面を含み、且つ、前記傾斜面を介して前記部材を保持する複数の保持部を有し、
    記部材および前記複数の保持部の温度が変化しても前記距離が前記許容範囲内となるように前記基準軸を含む面内において前記傾斜面が傾斜している、ことを特徴とする保持装置。
  2. 前記傾斜面の傾斜角は、前記部材の熱膨張率及び形状と前記複数の保持部の熱膨張率及び形状とに基づいて、前記部材および前記複数の保持部の温度が変化しても前記距離が前記許容範囲内となるように設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
  3. 前記複数の保持部のそれぞれは、前記傾斜面を構成するV字型溝又は平面部を有し、
    前記部材は、前記V字型溝又は前記平面部に接触する球面部を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の保持装置。
  4. 前記部材の熱膨張率をα、前記複数の保持部の熱膨張率をα、前記傾斜面と前記部材との接触点と前記基準軸との第1温度での距離をR1、前記部材の前記基準点を含み前記基準軸に直交する面と前記接触点との前記第1温度での距離をL11、前記複数の保持部の前記基準点を含み前記基準軸に直交する面と前記接触点との前記第1温度での距離をL13、前記部材の形状係数をCt、前記複数の保持部の形状係数をCt、前記傾斜角をθとすると、
    前記傾斜角θは、
    θ=tan−1{(L13・α−L11・α)/(R1・(Ct・α−Ct・α))}
    を満たす、ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の保持装置。
  5. 前記複数の保持部は、前記傾斜面に直交する方向において前記部材と前記傾斜面とを互いに押付ける押付け部をそれぞれ含む、ことを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の保持装置。
  6. 前記複数の保持部は、第1の保持部と、第2の保持部と、第3の保持部とを含
    前記第1の保持部は、前記基準軸に直交する方向において前記構造体の第1の基準面に接触し、
    前記第2の保持部は、前記基準軸に直交する方向において前記構造体の第2の基準面に接触し、
    前記第3の保持部は、圧縮ばねを有し、前記圧縮ばねは、前記基準軸に直交する方向において前記構造体の第3の基準面に接触し、
    前記第3の保持部の前記傾斜面の傾斜角は、前記第1の保持部の前記傾斜面の傾斜角及び前記第2の保持部の前記傾斜面の傾斜角とは異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
  7. 前記複数の保持部は、第1のV字型溝を有する第1の保持部と、第2のV字型溝を有する第2の保持部と、第3のV字型溝を有する第3の保持部とを含
    前記部材は、前記第1のV字型溝と2点で接触する第1の球面と、前記第2のV字型溝と2点で接触する第2の球面と、前記第3のV字型溝と2点で接触する第3の球面とを有し、
    前記第1の保持部の前記傾斜面は、前記第1の球面が前記第1のV字型溝を移動したときの前記2点の軌跡がそれぞれ形成する2つの直線を含む面によって規定され、
    前記第2の保持部の前記傾斜面は、前記第2の球面が前記第2のV字型溝を移動したときの前記2点の軌跡がそれぞれ形成する2つの直線を含む面によって規定され、
    前記第3の保持部の前記傾斜面は、前記第3の球面が前記第3のV字型溝を移動したときの前記2点の軌跡がそれぞれ形成する2つの直線を含む面によって規定される、ことを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
  8. 前記傾斜面を構成するV字型溝を有する前記複数の保持部の1つとしての第1の保持部と、
    前記傾斜面を構成する平面部を有する前記複数の保持部の他の1つとしての第2の保持部と、
    前記構造体に支持され、円錐型溝を有し、且つ、前記円錐型溝を介して前記部材を保持する第3の保持部と、を有し、
    前記部材は、前記V字型溝と2点で接触する第1の球面部と、前記平面部と1点で接触する第2の球面部と、前記円錐型溝と3点で接触する第3の球面部とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
  9. 光学素子と、
    請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の保持装置と、
    を有し、
    前記保持装置は、前記部材として前記光学素子を保持する、ことを特徴とする光学装置。
  10. 光学素子と、
    請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の保持装置と、
    を有し、
    前記保持装置は、前記部材として前記光学素子を保持する、ことを特徴とする望遠鏡。
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