JP5499784B2 - コークスケーキ収縮量の測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コークスケーキの押出性に強く影響する因子である、コークスケーキ収縮量の測定方法に関する。
室炉式コークス(以下、単に「コークス炉」と称する。)炉は、石炭を乾留する炭化室と炭化室を加熱する燃焼室とが交互に配列された構造であり、それぞれの室は耐火性の煉瓦壁によって仕切られている。炭化室は、高さ5〜7m、長さ14〜16mおよび幅0.4〜0.45m程度の内寸法であり、炉頂の天井部の数個の装炭孔から装入された石炭は、炭化室を形成する両側の煉瓦壁を介して間接加熱され、コークスケーキとなる。その後、両煉瓦壁と直交して存在する2枚の炉蓋(ほぼ、幅×高さの寸法に相当)が開放された状態で、一方の端部より挿入された押出機により、他端部方向に押し出されて室外へと排出される。
コークスケーキの押出性を良好に保つことは、コークス炉の構造体としての健全性・耐性を維持するために非常に重要である。現在、日本で稼働中のコークス炉の大半は、その炉齢が30年〜40年であり炉体の老朽化が著しい。そのため炉体管理を強化して炉命を可能な限り延長することが、コークス炉操業における重要項目とされている。炉命延長のために最も重要な事項は、炉壁に対する過大な負荷荷重の回避である。コークスケーキを押出すのに必要な力、すなわち押出力は炉壁との摩擦力に影響されるため、炉命延長を主眼においたコークス炉操業においては、押出力を低く維持する操業管理が重要である。
コークスケーキは内部に多数の亀裂を有しているので、コークスケーキ押出時には、コークスケーキが炉長方向に圧縮されると同時に炉幅方向に膨張することで炉壁に対する荷重が発生し、それが炉壁との摩擦力となる。押出力に対しては、加熱によるコークスケーキの炉幅方向収縮量、すなわち炉壁とコークスケーキ側面間の間隙量が大きく影響する。具体的には、間隙量が小さいと押出時にコークスケーキ側面が炉壁と容易に接触して、コークスケーキ内部の亀裂が縮小するため、炉壁とケーキ間の摩擦力が増大し、押出力が上昇する。
さらに、加熱によるコークスケーキの炉幅方向収縮量はケーキ側面全体にわたって均一ではなく、コークスケーキ側面は凹凸形状をしている。したがって、押出力に影響する間隙量としては、その量が小さいために押出時に炉壁と接触しやすい、コークスケーキの凸部における測定値を得ることが特に重要となる。
コークスの収縮量は、原料石炭の性状、石炭配合割合、ならびに装入嵩密度および乾留温度などの各種操業条件に大きく影響され、これらの条件が適切に調整されない場合には、コークスの収縮が不十分となり、押出性が悪化することがある。このような観点から、コークス炉の安定操業に反映させるべく、コークス収縮量を測定するための様々な手法が提案されている。
非特許文献1には、試験コークス炉で乾留中のコークス面に対し、炉壁の開口部からシリンダーを用いてロッドをコークス面に押し当て、ロッドの変位を距離計により読み取る方法が記述されている。
特許文献1には、試験コークス炉で乾留中のコークス面に対し、レーザー変位計から試験炉の側壁に設けられた貫通孔を通してレーザー光を照射し、コークスの収縮量を測定する手法が開示されている。
また特許文献2には、実コークス炉にて排出されるケーキを挟む幅方向両側にレーザー変位計を配置し、距離計からケーキ表面までの距離を連続的に測定することによってケーキ幅を算出し、炉幅からケーキ幅を減ずることによりコークスケーキの収縮量を算出する方法が開示されている。
特開平8−100180号公報 特開平7−294218号公報
Nobuwo Uyemura, Hirotaka Mabuse, Tetsuo Nkano and Seiji Nishida:Ironmaking proceedings, vol.45 (1986) p453-457
先述したように、炉壁と接しているコークスケーキ面は多数の凹凸を有しているため、収縮量はその全面において一定ではない。収縮量の大小はコークスケーキと炉壁との接触状態に影響することから、最も炉壁に接触しやすい凸部頂点と炉壁間との距離を測定することが重要である。
非特許文献1においては、ロッド断面が或る程度の面積を有しているため、コークスケーキ凸部の頂点の位置を測定している可能性は高いものの、ケーキ中に多数存在する凸部のひとつを測定しているに過ぎず、ケーキ全体についてのデータの代表性に欠ける。
特許文献1の手法については、石炭を充填したレトルトおよび試験炉の側壁に設けられたレーザー貫通孔の位置は固定されており、測定位置のコークスの表面状態が試験毎に異なるという問題を有している。すなわち、測定位置がコークスケーキ凸部の頂点であるのか、その他の位置であるのか、または亀裂部であるのかは確認の方法がないため、測定の確実性に欠けるという問題を有する。
特許文献2の手法については、押出し初期のコークスケーキは炉底との摩擦により動かずに圧縮されるのみであり、幅測定時のケーキは圧縮に伴い炉幅方向に膨張変形している。先述したように、押出力に影響するのは乾留が終了し、これから押出しを行う時点での炉壁とケーキ間の間隙量であるため、その間隙量を知るためのコークスケーキ幅測定においては、膨張変形した後の値を測定しても意味をなさない。
さらに、コークスケーキ収縮量はコークス炉炭化室幅から測定したケーキ幅を減ずることで算出されるが、実コークス炉の炉壁は欠損や付着カーボンなどにより試験炉のように平滑ではないため、ケーキ幅を測定しただけでは正確な量を算出できるとは限らない。
これらの例のように、計測機器による間隙量の直接測定が困難な場合は、流体を流し込んだ後に固化させる手法や、可塑性物を挟んでおくといった手法が考えられ、これらは冷間における型取りにおいては様々な分野で広く用いられている。
しかし、たとえば加熱もしくは乾燥により固化するスラリー状の耐火物であるモルタルなどを熱間状態のコークス炉に流し込んだ場合、モルタルが突沸し急激に固化することで下部への流入が困難になることや、そのような状態で固化した場合は多くの気泡を含むため充分な強度の固化物が得られない、またスラリーを形成する液体が多い場合は固化物の収縮量が大きくなるといった問題がある。また、水を含むスラリーは炉壁を急冷させるため、炉壁煉瓦が急激に収縮することで欠損を生じさせるため好ましくない。
また、間隔が数ミリ〜十数ミリで、かつ凹凸を多く有する間隙に対し、その形に合わせて可塑性物を押し込むのは事実上困難であり、コークス炉における間隙測定には用いることはできない。
そこで、流し込む流体として、加熱により焼結する粉粒体を用いることが考えられる。粉流体の焼結は、固相焼結と液相焼結に大別されるが、固相焼結は固体粒子間で直接物質のやり取りをして緻密化が進むため反応速度が遅く、外部圧力を加えて高密度を得る必要があり、コークス炉での間隙量測定には単純に適用できない。
本発明は、これら上述の問題点を解決し、熱間におけるコークスケーキの広範囲にわたる収縮量を測定可能な手法を提供することを目的とする。
本発明者らは、液相焼結は液相を介しての物質のやり取りを行うため、直接接していない粒子間の物質移動も可能となり外部圧力を加える必要がないことに着眼し、上部からの自然落下による間隙への充填中に急速に固化することなく、かつ最終的にはコークス炉の操業温度(炉壁温度)で焼結する性状を有する粉粒体を用いることで、コークス炉での間隙量測定に適用可能であることを想到した。
そして、焼結した粉粒体を回収して厚みを測定することで、コークス収縮量が算出可能であることを見出した。即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)コークス炉内炭化室内で乾留した後の炭化室の炉壁とコークスケーキとの間に、単体で焼結しうる粉体である焼結性粉体を充填し、当該充填された焼結性粉体が焼結してなる焼結物を回収し、回収した焼結物の形状を測定することにより、コークス炉炭化室内で乾留された押出直前のコークスケーキ炉幅方向の収縮量を測定する方法であって、コークス炉の加熱温度を、前記焼結性粉体の焼結開始温度である溶倒温度より300℃低い温度以上、かつ溶倒温度以下とすることを特徴とする、コークスケーキ収縮量の測定方法。
(2)コークス炉内炭化室内で乾留した後の炭化室の炉壁とコークスケーキとの間に、単体で焼結しうる粉体である焼結性粉体を含む粉体混合物を充填し、当該粉体混合物が焼結してなる焼結物を回収し、回収した焼結物の形状を測定することにより、コークス炉炭化室内で乾留された押出直前のコークスケーキ炉幅方向の収縮量を測定する方法であって、コークス炉の加熱温度を、前記焼結性粉体の焼結開始温度である溶倒温度より300℃低い温度以上、かつ溶倒温度以下とし、前記粉体混合物に含有される焼結性粉体のうち、単体での前記焼結開始温度が最も低い粉体である低温焼結性粉体の含有量が60質量%以上であることを特徴とする、コークスケーキ収縮量の測定方法。
(3)前記焼結性粉体は1mm以下の粒子から構成されていることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のコークスケーキ収縮量の測定方法。
本発明により、熱間状態のコークスケーキ収縮量が広範囲にわたり測定可能となった。先述したように、コークスケーキ収縮量、即ちコークスケーキと炉壁の間隙量はコークスの押出性に大きく影響するため、本測定における結果を用いてコークス炉からのコークス排出時の押し詰まりを防止し、安定したコークス炉操業を実現できるので、本発明は、当分野における操業改善および設備延命に大きく寄与できる。
試験コークス炉において本発明に係る方法を実施することにより測定したコークス収縮量の高さ方向分布を表す図である。
本発明者らは、広範囲において熱間のコークスケーキ収縮率を測定可能な手法として、高温にて単体で焼結性を有する粉体(本発明において「焼結性粉体」ともいう。)をコークスケーキと炉壁間の間隙(クリアランス)に充填することでその形状を型取ることを着想した。ここで高温とはコークス炉の操業温度である1000℃近傍の温度を意味する。
焼結した焼結性粉体は、その形状を測定するために何らかの手法で回収する必要があり、回収時に衝撃で壊れないよう強固に焼結していることが望ましい。焼結性粉体の焼結は、焼結性粉体の表面に生成した微量の液体により進行するため、適正な焼結性粉体の焼結性はその溶融特性と関連する。
そこで、焼結性粉体の溶融特性である溶倒温度、加熱温度と焼結状態の関係を以下の試験により調査した。なお、「溶倒温度」とは、JIS R2204(耐火物および耐火物原料の耐火度試験方法)に規定された手法によって、三角錐コーン状に成型した材料を加熱し、三角錐が高温となり軟化して曲がりが発生し、先端が支えのための受台に接触するまで変形したときの温度を意味する。
まず、表1に示されるように、異なる焼結性粉体A材〜E材を用意する。いずれの焼結性粉体も、ふるい目の開きが1mmのふるいを100%通過し(粒度(すなわち粒度1mm以下が100質量%)、ふるい目の開きが0.074mmのふるいを70質量%以上通過した(すなわち粒度0.074mm以下が70質量%以上)。直径20mmの穴を複数個有する6mm厚のステンレス鋼板を用い、穴内に上記の焼結性粉体をタッピング充填して余剰分をすり切り、それを所定温度の電気炉内に挿入し、2時間保持した後に焼結性粉体が焼結してなる焼結物を取り出してその焼結状態を観察した。加熱温度は、1000℃〜700℃の間で、100℃間隔で設定した。焼結状態の良否は、冷却後の炉内または熱間排出後に冷却したコークスからの手サンプリングを想定し、焼結物を親指と人差し指で強く摘んだ際に割れるか否かで判断した。
先述したように、焼結性粉体の焼結は焼結性粉体表面に生成した微量の液体により進行するため、溶融温度を表す溶倒温度よりも低い加熱温度でも焼結物が得られる。このため、表1に示すように、いずれの焼結性粉体も、溶倒温度より約300℃低い温度での加熱でもサンプリングに耐えうるほどに焼結した。また、焼結した焼結性粉体の中でも、同一溶倒温度の試料を用いた場合には加熱温度が高いほど強固に焼結した。そこで、本発明において、溶倒温度より300℃低い温度を、その焼結性粉体の「焼結開始温度」と定義する。表1からは、コークス炉の加熱温度を、焼結性粉体の焼結開始温度である溶倒温度より300℃低い温度未満とする場合には、本発明に係る方法を実施するにあたり、その焼結性粉体を使用できないということが導かれる。
Figure 0005499784
また、炉壁とコークスケーキ側面間の間隙に焼結性粉体を充填させるにはコークスケーキ上部、たとえば実操業において炭化室内に石炭を投入するための装炭孔からパイプなどを介して流し込む方法が考えられるが、その際に焼結性粉体を構成する粒子は途中で焼結して留まることなく下部まで落下していくことが重要である。コークスケーキの最上部から下部までの到達所要時間はケーキ高さ約1mの試験炉で2〜3秒、高さ6m規模の実コークス炉でも15秒程度であるが、焼結性粉体の焼結に必要な温度が炉壁温度に比較して低くなりすぎると、粉体粒子が炉壁とコークスケーキ側面間を落下している前記時間の間に固化してしまう。
そこで、温度と保持時間と焼結状態の関係を把握するため、熱間状態への流し込みを想定した以下の試験を行った。直径70mm、高さ600mmのステンレス鋼製反応管の底部に30mm四方、厚み10mmに切り出した耐火煉瓦を置き、反応管を所定の温度に設定した炉内に挿入して1時間保持し煉瓦を十分に加熱した。その後、内径12mmの磁製管を上部から反応管内に挿入し、焼結性粉体10gを、磁製管を通して煉瓦上に落下させた。15秒間および1分間保持後、速やかに煉瓦を吊るし出して急冷させ、煉瓦上の耐火物の焼結状態を観察した。なお、実際のコークス炉においては、焼結性粉体をクリアランス内に流し込むために要する時間(流し込み時間)は、一般的には10秒以下程度であると考えられる。したがって、上記の15秒間とは実操業において想定される流し込み時間の上限を想定したものと考えてもよい。一方、上記の1分間は、実操業では流し込み時間としては実質的に取りえない時間であるが、臨界条件の確認のために設定した時間である。
試験の結果を表2および表3に示す。同一の保持温度で比較した場合、溶倒温度が低いほど煉瓦上の焼結性粉体の焼結が進行する傾向がみられた。したがって、表2および3から、コークス炉の加熱温度を、溶倒温度を越える温度とする場合には、本発明に係る方法を実施するにあたり、その焼結性粉体を使用できないということが導かれる。
なお、表3における「△」は、その試験において、流し込み性が不良とはいえないものの、若干低下していたことを意味する。しかしながら、前述のように、表3の条件(保持時間1分間)に対応する1分間の流し込み時間はそもそも実操業においてありえない条件である。したがって、この条件において流し込み性が若干低下していたことは、この条件が不適切なのではなく、この条件がおおむね臨界的な位置づけにある条件であることを意味している。
Figure 0005499784
Figure 0005499784
以上の評価結果をまとめると次のようになる。すなわち、ある焼結性粉体を上部から炉壁とコークスケーキ側面間の間隙に流し込んで焼結させるにあたっては、この間隙の温度について、焼結しうるか否かの観点から下限が存在し、流し込みの可否の観点から上限が存在し、その間が適正な上記の間隙の温度域ということになる。この適正な温度域を焼結性粉体が有するべき特性として再定義すれば、本発明に係る方法において使用可能な焼結性粉体は、焼結開始温度がコークス炉の温度域の上限温度以下であるとともに、溶倒温度がコークス炉の温度域の下限温度以上であるという特性を有しているということになる。
ここで、実コークス炉の炉温域は稼働率によって様々であるため、確定的には決定されない。実コークス炉の炉温域の一例として、炉長方向端部数百ミリの範囲を除けば900℃〜1200℃付近である場合について具体的に検討する。この場合には、焼結開始温度が1200℃以下であるとともに、溶倒温度が900℃以上であるという特性を有している焼結性粉体を、本発明に係る方法の実施のために使用可能である。焼結開始温度=溶倒温度−300℃の温度差があるため、上記の特性は、実質的に溶倒温度が900〜1500℃である、ということを意味している。したがって、上記の温度範囲の場合には、上記の評価に用いた焼結性粉体のうち、D材およびE材が使用可能ということになる。
なお、コークスを取り出すときのコークス炉の炉温よりもその溶倒温度が低い焼結性粉体を選定すると、その温度において焼結性粉体は全体として軟化状態にあるため、焼結した固体として取り出すことができない。したがって、実際の使用においては、溶倒温度900℃〜1500℃の適正範囲内において、コークスを取り出すときのコークス炉の操業温度よりも高い溶倒温度の粉体を選定することが肝要となる。
また、炉内温度分布に応じて適切な焼結特性を有する焼結性粉体を用いることで本発明に係る方法を実施できるので、コークス炉の長手方向の炉温域が大きく異なる場合には、それぞれの炉温域に応じた焼結性粉体をクリアランスに流し込めばよい。具体的には、一般的にコークス炉の長手方向の端部近傍の領域はそれ以外の領域よりも若干温度が低くなるため、この端部近傍の領域のみ若干溶倒温度が低い焼結性粉体を用いればよい。
また、焼結性粉体は1mm以下の粒子から構成されていることが好ましい。その理由としては、炉壁とコークスケーキ間の隙間量は数mm程度であるため、それとほぼ同程度の粒子径であると途中で詰まりを起こし流入が止まってしまうからである。さらに望ましい条件としては、0.074mm以下の微粒子が最大で70質量%含まれることであり、その理由としては、微粉が大粒子間に入り込んで全体の充填密度が高くなる効果と、密度が高くなることで粒子同士の融着が容易に進行する効果が得られるためである。
さらに、焼結性粉体と、焼結性を有しない粒子、たとえば珪砂などと混合させて粉体混合物とし、この粉体混合物をコークス炉内に投入することもできる。実コークス炉内において収縮量を測定する場合、投入する粉体は大量に必要となるため、焼結性粉体が高価な場合などには粉体混合物を用いることは有効な手法である。ただし、本発明では、液相焼結により粉体混合物を焼結させるため、粉体混合物に含有される焼結性粉体のうち、単体での焼結開始温度が最も低い粉体である低温焼結性粉体の焼結特性が粉体混合物全体の焼結性において支配的となる。このため、この低温焼結性粉体の混合率を制御することが重要となる。
そこで、低温焼結性粉体が最低限必要とされる量を調査した。焼結性を有しない粉体として3号珪砂(粒度1.2mm〜0.6mm)を選定し、低温焼結性粉体として表1に示されるA材またはD材を選定し、その混合率を10質量%から90質量%まで、10質量%毎に変化させたものを試料とした。焼結には、先述の加熱温度と焼結状態の関係調査と同じ試験装置を用い、加熱温度は1,000℃とした。
表4および表5に示す結果より、粉体混合物の焼結には、低温焼結性粉体の混合率を60質量%以上とすることが必要であった。
ここで、低温焼結性粉体の焼結特性が粉体混合物全体の焼結性において支配的であるから、低温焼結性粉体が、焼結開始温度がコークス炉の温度域の上限温度以下であるとともに、溶倒温度がコークス炉の温度域の下限温度以上である、という特性を有していることが必要とされる。
Figure 0005499784
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試験コークス炉を用いて、熱間コークス収縮量の測定の事前検討を行った。
試験コークス炉は、幅450mm、高さおよび長さが約1000mmの炭化室を有しており、その中に水分6.5%の実コークス炉配合炭330kgを上部ホッパーより落下させて装炭し(嵩密度740kg/m)、炉温1150℃で炉幅方向中心部温度が950℃になるまで乾留を行った。乾留時間は約22時間であり、そのときの炉壁温度は1000℃であった。試験コークス炉は実炉に比べると炉温域が狭いため、ほぼ炉内温度は炉壁温度に等しいと仮定すると、この条件において許容される焼結性粉体の溶倒温度は1000〜1300℃となる。したがって、本試験においてはB材、C材、D材およびE材が使用可能な焼結性粉体となる。
乾留後、試験コークス炉の炉蓋上部にある開閉可能な孔(W400mm×H300mm)を開け、ステンレス鋼製の柄杓を用いてコークスケーキ上部から炉壁とコークスケーキ側面間の間隙に表1に示されるD材およびE材を夫々片壁ずつ流し込んだ。片側壁へ入れた焼結性粉体の重量は25kgであった。焼結性粉体を流し入れてから4時間保持し、コークスケーキを押出して炉外へ排出し、窒素流通下で一昼夜冷却した。
冷却後の観察において、D材、E材ともにコークスケーキの最下部を含め全面において焼結していることが確認された。また焼結性粉体が焼結してなる焼結物はコークスケーキに付着しており排出の途中で脱落することはなかったが、サンプリングの際には人力で剥離させることが可能であった。
そのようにして人力でサンプリングした焼結物に、炉長方向および高さ方向の位置を書き込み、その厚みを測定した。焼結物の厚みは、回収した焼結物のうちコークスケーキ凸部に接していたものを選定し、凸部頂点部分の厚みをノギスで測定した。なお、焼結物の厚みの測定方法は任意であり、本発明の内容を何ら規定するものではない。
比較例として、同じ炉壁温度1000℃において、本発明の規定範囲外となる溶倒温度が800℃の焼結性粉体を用意し、上記のD材およびE材同様に夫々片壁ずつ流し込む試験を別途実施した。その結果、流し込みの途中で溶融して垂れた形状のものが特に炉上部に多くみられ、それによって落下を阻害された焼結性粉体は下部まで到達することなく焼結しており、焼結物のサンプリングおよびクリアランスの算出ができなかった。
実コークス炉(炭化室寸法:高さ6,000mm、長さ15,500mmおよび幅450mm)において、コークス収縮量の測定を行った。
本試験におけるコークス炉の炉温域は1000〜1030℃であった。したがって、本試験において使用可能な焼結性流体の溶倒温度の範囲は1000〜1330℃となる。そこで、本試験ではこの範囲内の溶倒温度を有するE材を使用した。
コークス炉の炉頂部、押出側端から約5,000mmの位置にある装炭孔から、以下に述べる冶具を用いて、全量が粒度1mm以下であって、そのうち粒度0.074mm以下の粒子を70質量%含むE材を、炉壁とコークスケーキとの間に流し込んだ。焼結性粉体の流し込み冶具は、外形48.6mm、内径39.6mmのステンレス製パイプの先端を100mmに広げたものを2本平行に連結し、パイプ間の間隔を調整可能な機構を設けた。冶具を装炭孔から炭化室内に挿入し、パイプ先端をコークスケーキ上部に位置させ、また2本のパイプが炉壁に沿うようにパイプ間間隔を調整した後に固定した。両方のパイプ上部から焼結性粉体を同時に炉内へ投入し、間隙から焼結性粉体が溢れるのが観察され、これ以上入らないと判断されたところで流し込みを終了した。炭化室内へ入れた焼結性粉体の総重量は約600kgであった。
なお、本実施例における焼結性粉体の充填方法は上記のように行ったが、装炭孔の他には例えば炉蓋小孔などからも適正な冶具を用いて充填することも可能であり、充填方法や場所は任意であるため、充填場所や手法は本発明の内容を何ら規定するものではない。
炉が冷却された後に押出機側の炉蓋を開け、コークスを手で取り除きながら焼結した耐火物をサンプリングした。焼結性粉体の厚みは、回収した焼結性粉体の形状を目視観察してコークスケーキ凸部頂点に接していたと判断されたもののみについて、その頂点部分と判断された位置の厚みをノギスにて測定した。
測定された焼結性粉体厚み、即ちコークス収縮量を図1に示す。高嵩密度である炉底近傍で小さく、炉高方向上部に向かって、嵩密度が小さくなるに従ってコークス収縮量が増加するという、従来から定性的に認識されているとおりの結果であったが、本発明によりコークス収縮量を定量的に知見することが可能となった。
なお、本実施例は休止炉を用いて試験を実施したため上述のように炉を冷却させてから焼結性粉体のサンプリングを行ったが、通常の操業時においては、たとえばカセット式の冷却装置内にコークスケーキを排出し冷却させてから、先述の実施例1と同様にケーキ表面に付着している焼結性粉体をサンプリングすればよく、炉の操業形態およびサンプリングの手法については本発明の内容を何ら限定するものではない。

Claims (3)

  1. コークス炉内炭化室内で乾留した後の炭化室の炉壁とコークスケーキとの間に、単体で焼結しうる粉体である焼結性粉体を充填し、当該充填された焼結性粉体が焼結してなる焼結物を回収し、回収した焼結物の形状を測定することにより、コークス炉炭化室内で乾留された押出直前のコークスケーキ炉幅方向の収縮量を測定する方法であって、
    コークス炉の加熱温度を、前記焼結性粉体の焼結開始温度である溶倒温度より300℃低い温度以上、かつ溶倒温度以下とすることを特徴とする、コークスケーキ収縮量の測定方法。
  2. コークス炉内炭化室内で乾留した後の炭化室の炉壁とコークスケーキとの間に、単体で焼結しうる粉体である焼結性粉体を含む粉体混合物を充填し、当該粉体混合物が焼結してなる焼結物を回収し、回収した焼結物の形状を測定することにより、コークス炉炭化室内で乾留された押出直前のコークスケーキ炉幅方向の収縮量を測定する方法であって、
    コークス炉の加熱温度を、前記焼結性粉体の焼結開始温度である溶倒温度より300℃低い温度以上、かつ溶倒温度以下とし
    前記粉体混合物に含有される焼結性粉体のうち、単体での前記焼結開始温度が最も低い粉体である低温焼結性粉体の含有量が60質量%以上であることを特徴とする、コークスケーキ収縮量の測定方法。
  3. 前記焼結性粉体は1mm以下の粒子から構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のコークスケーキ収縮量の測定方法。
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