(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図6を参照して詳細に説明する。図1は同実施形態に係る穿孔装置11(本発明でいう「被処理物処理装置」を構成する。)の概略の構成を示している。図1において、矢印Fは前方を指している。この穿孔装置11は、本発明でいう「所定の処理を施す処理部」を構成するパンチ側部材13と、該パンチ側部材13の下方に、該パンチ側部材13に対向するように配置されたダイ側部材15(本発明でいう「載置台」を構成する。)と、ダイ側部材15上に載置された可撓性の薄板状のプリント基板17(本発明でいう「被処理物」を構成する。)を把持して該プリント基板17をダイ側部材15上の所定の位置に移動させる移動装置19と、ダイ側部材15上に載置されたプリント基板17の所定の部位のダイ側部材15に対する位置を認識する画像撮影装置21とで構成されている。
そして、パンチ側部材13に、後述する押圧子45がダイ側部材15に対して近接または離間する方向に進退自在に突設されている。プリント基板17の所定の部位とは、プリント基板17に付された基準マークまたはプリント基板17の配線パターンの特定の部位をいい、以下「基準マーク等」という。該基準マーク等はプリント基板17の所定の位置に一つまたは複数設けられており、該基準マーク等は、画像撮影装置21によって撮影され、ダイ側部材15に対する位置が認識される。また、図示していないが、穿孔装置11は、該穿孔装置11が備える各機構や各装置の作動を制御するための制御装置や、各機構や各装置を操作するための操作盤等を備えている。
前記移動装置19は、一対の第一把持機構23と第二把持機構25と、これらの第一把持機構23と第二把持機構25とを支持する把持機構支持部材27と、該把持機構支持部材27を自在に移動させる支持部材移動機構28とで構成されている。支持部材移動機構28は、第一把持機構23および第二把持機構25と共に把持機構支持部材27を、図1にそれぞれ示すX軸方向(ダイ側部材15の長手方向に沿う方向)とY軸方向(水平面上においてX軸方向に直交する方向)とに移動自在に、かつ、Z軸方向(X軸方向およびY軸方向に直交する方向であって鉛直方向)に沿う軸芯回りの方向に回動自在に動かすように構成されている。支持部材移動機構28は、周知の機構であって、電動機,レールおよびボールねじ等からなる移動機構と電動機および回動軸等からなる回動機構とで構成されている。
前記第一把持機構23と第二把持機構25とは、プリント基板17の一端側の縁部を把持したり、その把持を解放したりするための把持部23aと把持部25aとを先端部にそれぞれ備え、これらの把持部23a,25aによりプリント基板17の縁部を把持した状態で支持部材移動機構28を作動させて把持機構支持部材27を適宜移動させ、ダイ側部材15に対してプリント基板17を所定の位置に位置合わせするようにしている。
また、把持機構支持部材27は、第一把持機構23と第二把持機構25とを互いの間隔を広げたり狭めたりする方向に移動させることができ、プリント基板17の幅寸法(図1ではX軸方向の寸法)に応じて第一把持機構23と第二把持機構25との間隔を適宜調整することができる。このため、プリント基板17の両端部の角部近傍を各把持部23a,25aで把持した状態で第一把持機構23と第二把持機構25との間隔を広げるように適宜移動させることでプリント基板17の把持された部分の間が波打ったりしないようにすることができる。
画像撮影装置21は、撮影装置用移動機構(図示せず)によって、図1に示すX軸方向とY軸方向とに移動自在に構成されており、画像撮影装置21の一端部に延出されたアーム部21aの先端部にCCDカメラ(図示せず)が取り付けられている。前記撮影装置用移動機構は、周知の機構で、電動機,レールおよびボールねじ等からなる移動機構と電動機とで構成されている。
なお、この穿孔装置11には、前述した各装置等の他に、画像処理装置,各種データを記憶するメモリおよびマイクロコンピュータが設けられており、該マイクロコンピュータは、画像撮影装置21のCCDカメラが撮影する画像を画像処理してダイ側部材15に対するプリント基板17の基準マーク等の位置を演算により求める。そして、この求めた基準マーク等の位置に基づいて、移動装置19は、支持部材移動機構28を作動させて把持機構支持部材27をX軸方向またはY軸方向に移動させたり、Z軸方向に沿う軸芯回りの方向に回動させてプリント基板17をダイ側部材15の所定の位置に位置合わせしたりする。
この位置合わせの際は、第一把持機構23の把持部23aと第二把持機構25の把持部25aとでプリント基板17の一端側のみを把持して移動するようにしている。このため、移動装置19は、移動することによってプリント基板17が波打ったりしないように両把持部23a,25aがダイ側部材15から、図1に示すY軸方向に沿う後方または斜め後方に向かって常に後退するようにプリント基板17を移動させる。
パンチ側部材13は、パンチ側部材移動機構(図示せず)により図1に示すZ軸方向に、数値制御されて移動自在に構成されている。また、パンチ側部材13は、図2ないし図5に示すように、基枠29と、該基枠29の下面に接合固定されたパンチベースプレート31と、該パンチベースプレート31の下面に接合固定されたパンチプレート33と、該パンチプレート33を貫通して上端部が前記パンチベースプレート31の下面に接合固定された円柱状のパンチ35と、ストリッパ37とを備える。パンチ35は、ダイ側部材15上に載置されたプリント基板17に所定の孔を穿設するためのもので、ストリッパ37は、パンチ35でプリント基板17に穿孔する際に、プリント基板17の上面を押圧するためのものである。
パンチ35は、ストリッパ37の中央部に穿設された貫通孔37aに挿通され、該貫通孔37aを摺動自在とされている。パンチベースプレート31,パンチプレート33およびストリッパ37は共に矩形の板状に形成されており、パンチプレート33とストリッパ37とはパンチベースプレート31より小さな略同一の矩形状とされ、ストリッパ37よりパンチベースプレート31の方の板厚がやや薄く、パンチプレート33の板厚は、パンチベースプレート31の板厚の略半分に形成されている。
パンチベースプレート31の四隅の部位には、円柱状のガイド支柱39の上端部がそれぞれパンチベースプレート31を貫通して強固に固定されており、パンチベースプレート31から下方に向かって突出したガイド支柱39の中間部分は、ストリッパ37の四隅の部位にそれぞれ穿設された貫通孔37bに挿通されている。そして、ストリッパ37がパンチプレート33に対して隙間S(図2および図3を参照)より離間しないように移動を規制する機構(図示せず)がパンチベースプレート31またはパンチプレート33とストリッパ37との間に設けられている。
なお、ストリッパ37の各貫通孔37bの上部には、ストリッパ37がガイド支柱39に案内されて該ガイド支柱39の軸芯に沿う方向(図1に示すZ軸方向)に移動自在とし、かつ、移動する際の摺動摩擦抵抗を低減するガイドブッシュ40がそれぞれ配設されている。ストリッパ37の貫通孔37bにおけるガイドブッシュ40より下方の内径は、ガイド支柱39の外径より若干大きく形成され、ガイドブッシュ40の内径は、ガイド支柱39の外径と略同一に形成されている。また、パンチ35の軸芯回りにはパンチ35を囲むように90度の等角度間隔で四個の圧縮ばね41がパンチ35の近傍に配置されている。
圧縮ばね41は、パンチプレート33を貫通してパンチベースプレート31の下面とストリッパ37の上面との間に圧縮された状態で介装されている。そして、圧縮ばね41によってストリッパ37がパンチプレート33から離間するように常に付勢されている。また、ストリッパ37には、前記四個の圧縮ばね41が介装された部位をさらに囲むように、90度の等角度間隔で四個の段付きの貫通孔43(図6参照)が穿設されており、該貫通孔43は、パンチプレート33に対向する上側部分が大径に形成され、その反対側の下側部分が小径に形成されて貫通孔43の長手方向の中途部下側寄りに段部43aが形成されている。
そして、長手方向の中途部上側寄りに鍔部45a(図6参照)が形成された円柱状の押圧子45が貫通孔43に挿通されて、該押圧子45がパンチ側部材13におけるパンチ35の近傍に配設されている。なお、図2ないし図6においては、作図の都合上、左右のガイド支柱39等と押圧子45等との間は、二点鎖線で示すように破断して一部を省略している。押圧子45の鍔部45aの上端面が圧縮ばね47の下端面により押圧されて、該鍔部45aの下端面が貫通孔43の段部43aに当接させられている。
このため、押圧子45がダイ側部材15に向かって進出するように圧縮ばね47により付勢され、ダイ側部材15に対して近接または離間する方向に進退自在に押圧子45がパンチ側部材13に突設されている。そして、パンチ側部材13が下降して、ストリッパ37の下面がプリント基板17に当接する前に、押圧子45が先に当接してプリント基板17を押圧するように、パンチ側部材13に対して押圧子45が位置付けられる。圧縮ばね47は、伸縮する範囲において最も圧縮された状態でも比較的小さな圧縮荷重しか生じないように、ばね定数等が設定されている。なお、圧縮ばね47に代えて圧縮空気を利用した空気ばねにより押圧子45を付勢するか、または圧縮ばね47を省略して押圧子45自体の重量を適宜設定することで押圧子45の自重により押圧子45を下方に向かって付勢するようにしてもよい。
貫通孔43の上側の大径部分は、押圧子45の鍔部45aと圧縮ばね47との外径より若干大きな寸法に形成され、貫通孔43の下側の小径部分の内径は、押圧子45における鍔部45aより下方の部分の外径より僅かに大きな寸法に形成されている。また、圧縮ばね47の上部側は、パンチプレート33およびパンチベースプレート31に、各貫通孔43と同軸となる位置にそれぞれ穿設された貫通孔に挿通されている。そして、パンチベースプレート31の貫通孔の上部に形成されたねじ孔に螺着された固定ねじ49の下端面と押圧子45の鍔部45aの上端面との間に圧縮ばね47が圧縮された状態で介装されている。
このように、パンチベースプレート31およびパンチプレート33の各貫通孔とストリッパ37の貫通孔43とに圧縮ばね47が収納されているので、圧縮ばね47を収納するための専用の容器等が不要となる。なお、パンチベースプレート31,パンチプレート33およびストリッパ37の板厚の寸法や圧縮ばね47のばね定数等によっては、パンチプレート33とストリッパ37とに穿設された両貫通孔またはストリッパ37のみに穿設された貫通孔43に圧縮ばね47を収納して固定ねじ49をパンチプレート33またはストリッパ37に取り付けるようにしてもよい。
一方、前記ダイ側部材15は、ストリッパ37の下方に配設されている。ダイ側部材15は、基台51と、該基台51の上面に接合固定されたダイベースプレート53と、該ダイベースプレート53の上面に接合固定されたダイ55とを備えている。ダイ55は、その上面にプリント基板17を載置するためのものである。ダイベースプレート53とダイ55とはそれぞれ矩形の板状に形成されており、ダイベースプレート53はダイ55より大きく板厚も厚く形成されている。
ダイ55の中央部であってプリント基板17が載置される部位には、パンチ35の下端部が挿入される円形のパンチ孔55aが貫通形成されている。パンチ35がパンチ孔55aに挿通されることで、ダイ55の上面に載置されたプリント基板17が穿孔される。パンチ孔55aの内径は、パンチ35の外径より僅かに大きく形成されている。ダイベースプレート53の中央部であってダイ55のパンチ孔55aに対向する部位には、パンチ孔55aより大きな貫通孔53aがパンチ孔55aと同軸となる位置に穿設されている。また、ダイベースプレート53の四隅の部位には、ガイド支柱39の下端部がそれぞれ挿通するための貫通孔53bが穿設されている。
また、ダイ55の四隅にそれぞれ穿設された段付きの貫通孔57(図6参照)には、ガイド支柱39の下端部がそれぞれ挿通するためのガイドブッシュ59が嵌合されている。貫通孔57は、ダイベースプレート53の貫通孔53bと同軸となる位置に穿設されている。ガイドブッシュ59の内径は、貫通孔53bの内径より小さく、かつ、ガイド支柱39の外径より僅かに大きく形成され、ガイドブッシュ59の下端部には、鍔部59aが形成されている。貫通孔57は、その下端部が大径に形成されていることで段部57aが形成され、該段部57aとダイベースプレート53の上面との間でガイドブッシュ59の鍔部59aが挟持されている。四本のガイド支柱39の下端部がガイドブッシュ59にそれぞれ案内されて下降することでパンチ35がダイ55のパンチ孔55aに対して図1に示すZ軸方向に正確に移動させられる。
このように構成された穿孔装置11を用いてプリント基板17の所定の位置に穿孔する場合には、例えば、以下の(1)ないし(10)の工程の順序に従って穿孔作業が行われる。
(1)まず、第一把持機構23の把持部23aと第二把持機構25の把持部25aとの間隔をプリント基板17の両端部間の間隔と略同じになるようにして、把持部23a,25aでプリント基板17の両端部の角部近傍を把持したのち、把持した状態で第一把持機構23と第二把持機構25との間隔を広げプリント基板17の把持された間が波打ったりしないようにする。
(2)次に、プリント基板17を把持部23a,25aで把持した状態で支持部材移動機構28を作動させて第一把持機構23と第二把持機構25とを移動させ、パンチ側部材13のパンチ35の下方にプリント基板17の基準マーク等が位置付けられるようにダイ側部材15に対してプリント基板17を位置合わせする。
(3)次に、前記パンチ側部材移動機構により図1に示すZ軸方向にパンチ側部材13を下降させて四個の押圧子45の下端によりプリント基板17の基準マーク等の近傍を直接押圧し、図2に符号Wで示すようなプリント基板17に存在する反りや皺などを伸ばし、プリント基板17の基準マーク等が付された部位を図3に示すようにダイ側部材15のダイ55の上面に完全に密接させる。このとき、圧縮ばね47による付勢力によってプリント基板17が押圧子45で押圧されてダイ55に密接される。
(4)次に、押圧子45で押圧してプリント基板17をダイ側部材15に密接させた状態で、前記撮影装置用移動機構によって画像撮影装置21のアーム部21aを移動させ、画像撮影装置21のCCDカメラをプリント基板17の基準マーク等の直上に位置させる。
(5)次に、前記CCDカメラでプリント基板17の基準マーク等を撮影し、その撮影した画像を画像処理してダイ側部材15に対するプリント基板17の基準マーク等の位置を演算により求める。
(6)前記(5)の工程で求めた基準マーク等の位置に基づいて、移動装置19は、支持部材移動機構28を作動させて、プリント基板17を把持した第一把持機構23と第二把持機構25との把持部23a,25aを図1に示すY軸方向に沿う後方または斜め後方に適宜移動させ、ダイ側部材15のダイ55の上面における所定の位置にプリント基板17を位置させる。
このとき、プリント基板17におけるパンチ35で穿設される孔の中心位置に一つの基準マーク等が設けられている場合は、該基準マーク等がパンチ35の軸芯と一致するようにプリント基板17を位置合わせする。また、プリント基板17に複数の基準マーク等が付されている場合は、これらの複数の基準マーク等のダイ側部材15に対する位置を演算により求め、これらの求めた複数の基準マーク等の位置からパンチ35でプリント基板17に穿設される予定の孔の中心位置を演算により求め、この求めた孔の中心位置がパンチ35の軸芯と一致するようにプリント基板17を位置合わせする。なお、前記複数の基準マーク等の位置とパンチ35で穿設される孔の中心位置との関係は、予めメモリに記憶されている。
なお、ダイ側部材15に対するプリント基板17の位置合わせの精度を上げるために、プリント基板17を把持した把持部23a,25aを移動させて一旦、ダイ側部材15のダイ55の上面における所定の位置にプリント基板17を位置させたのち、再度、画像撮影装置21のCCDカメラでプリント基板17の基準マーク等を撮影して基準マーク等の位置を求め、ダイ55の上面の所定の位置にプリント基板17がまだ位置していない場合には、所定の位置に位置するようにプリント基板17を把持した把持部23a,25aを再度移動させるようにしてもよい。このような把持部23a,25aの再度の移動を複数回行って、ダイ側部材15に対するプリント基板17の位置合わせの精度をさらに向上させるようにしてもよい。
(7)次に、パンチ35による穿孔作業の邪魔にならないように、パンチ側部材13の下方から画像撮影装置21のアーム部21aを外側方に移動させる。
(8)次に、前記パンチ側部材移動機構により図1に示すZ軸方向にパンチ側部材13をさらに下降させて、図4に示すように、ストリッパ37の下面をプリント基板17の上面に当接させる。これによって、圧縮ばね47による圧縮荷重がさらに増加した四個の押圧子45によってプリント基板17がダイ側部材15の上面に押圧されるだけでなくストリッパ37によってもプリント基板17がダイ側部材15の上面に押圧される。
(9)次に、前記パンチ側部材移動機構により図1に示すZ軸方向にパンチ側部材13をさらに下降させて、図5に示すように、パンチ35により所定の孔をプリント基板17に穿設する。これによって、打ち抜かれたプリント基板17の打ち抜き片は、パンチ孔55aおよび貫通孔53aを通過して基台51上に落下する。
このとき、ストリッパ37は、プリント基板17に当接した状態で下降せず、圧縮ばね41を圧縮してパンチプレート33に接近させられる。また、四個の押圧子45も、プリント基板17に当接した状態で下降せず、圧縮ばね47がさらに圧縮されて押圧子45の鍔部45aがパンチプレート33の貫通孔に没入させられる。
(10)次に、前記パンチ側部材移動機構により図1に示すZ軸方向にパンチ側部材13を最初の位置(図1に示す位置)まで上昇させる。
以上で、プリント基板17の穿孔作業が終了する。
なお、以上説明した穿孔作業工程(1)ないし(10)は、本発明の要旨または思想に反しない範囲で、順序や内容を必要に応じて適宜変更することができる。例えば、前述した工程では、パンチ側部材13を下降させて押圧子45によりプリント基板17を押圧してプリント基板17をダイ側部材15のダイ55の上面に密接させる前記(3)の工程を実施したのち、撮影装置用移動機構によって画像撮影装置21のアーム部21aを移動させて画像撮影装置21のCCDカメラをプリント基板17の上方に位置させる前記(4)の工程を実施するようにしたが、これに代えて、前記(4)の工程を先に実施したのち、前記(3)の工程を実施するようにしてもよい。
また、前記工程(3),(8),(9)および(10)では、パンチ側部材13を下降もしくは上昇させるようにしたが、これに代えて、パンチ側部材13を下降もしくは上昇させずに、またはパンチ側部材13を下降もしくは上昇させると共に、前記ダイ側部材移動機構によりダイ側部材15を上昇もしくは下降させるようにしてもよい。要は、ダイ側部材15のダイ55に対してパンチ側部材13が近接または離間する方向に相対的に移動自在で、かつ、近接する方向に相対的に移動してダイ55上に載置されたプリント基板17に穿孔できればよい。
この場合は、ダイ側部材15を上昇または下降させる前に、前記工程(1)で実施した第一把持機構23と第二把持機構25との把持部23a,25aによるプリント基板17の把持を解放しておく。 ところで、前記(5)の工程で求めたプリント基板17の基準マーク等の位置に基づいて、さらにプリント基板17に他の孔を穿設する場合は、前述した(6)(8)(9)(10)の工程と同様の工程を繰返す。
前述したように、本実施形態に係る穿孔装置11では、画像撮影装置21により認識しようとするプリント基板17の基準マーク等の近傍を押圧子45により直接押圧してプリント基板17をダイ側部材15のダイ55の上面に密接させるようにしている。このため、画像撮影装置21により認識しようとするプリント基板17の基準マーク等が設けられた部位をダイ55の上面に確実に密接させることができる。この結果、穿孔作業時にストリッパ37によってプリント基板17の上面が押圧された状態に近い状態で画像撮影装置21のCCDカメラによりプリント基板17の基準マーク等を撮影することができ、プリント基板17のダイ55に対する穿孔作業時と同等の正確な位置を認識することができる。
また、ダイ側部材15のダイ55に対して近接または離間する方向に相対的に移動自在で、かつ、近接する方向に相対的に移動してダイ55の上面に載置されたプリント基板17に所定の孔を穿設するパンチ側部材13に押圧子45を設けたので、ダイ55に対してパンチ側部材13を相対的に近接または離間させることでダイ55の上面に載置されたプリント基板17に対して押圧子45を近接または離間することができる。このため、押圧子45を移動させるための専用の移動装置が不要となり、その分、部品点数を少なくでき、穿孔装置11を小型化することができる。
また、パンチ側部材13は、パンチ側部材移動機構により数値制御されて移動させられるので、その移動量は高い精度で制御される。このため、押圧子45によるプリント基板17への押圧力をプリント基板17の特性や反りおよび皺などの程度に応じて微調整して適度に押圧することができる上、押圧子45により微弱な押圧力をプリント基板17に付与してダイ55の上面に密接させた状態で、プリント基板17を把持した把持部23a,25aを移動させて、ダイ55の上面の所定の位置にプリント基板17を位置合わせすることもできる。この結果、該位置合わせの精度を一層向上させることができる。
この位置合わせの精度の向上については、ダイ側部材15が単独でダイ側部材移動機構により数値制御されてZ軸方向に沿う上方に移動する方法や、ダイ側部材15とパンチ側部材13とがそれぞれ数値制御されて共に移動する方法によって、押圧子45によりプリント基板17を押圧する場合についても同様のことがいえる。また、ダイ55の上面に対して近接または離間する方向に進退自在に押圧子45をパンチ側部材13に設けたので、近接する方向にパンチ側部材13を相対的に移動してプリント基板17に所定の孔を穿設する際に、ダイ55に対して離間する方向に押圧子45を後退させることで押圧子45が邪魔になることが回避され、支障なく穿孔装置11によりプリント基板17に孔を穿設することができる。
また、この実施形態による穿孔装置11では、圧縮ばね47による付勢力によってプリント基板17を押圧子45で押圧してダイ55の上面に密接させるようにしたので、プリント基板17を確実にダイ55の上面に密接させることや、ダイ55に対して離間する方向に押圧子45を後退させることが単純で安価な構造により達成できる。また、この実施形態による穿孔装置11では、ダイ55の上面に載置されたプリント基板17に相対的に近接する方向にパンチ側部材13が移動する際に、パンチ側部材13がプリント基板17に当接する前に押圧子45によりプリント基板17を押圧するようにしている。
このため、押圧子45によりプリント基板17を押圧してダイ55の上面に予め密接させたのち、パンチ側部材13によりプリント基板17に所定の孔を穿設することができるようになり、孔の穿設を適切に行うことができる。また、パンチ側部材13のストリッパ37がプリント基板17に当接する前に、パンチ側部材13に突設した押圧子45によりプリント基板17を押圧するようにしている。このため、プリント基板17をダイ55の上面に密接させた状態で、パンチ側部材13のストリッパ37とプリント基板17との間に間隙を形成することができ、該間隙に画像撮影装置21のCCDカメラを位置付けてプリント基板17の基準マーク等を撮影することができる。
さらに、この実施形態による穿孔装置11では、パンチ側部材13におけるパンチ35の近傍に押圧子45を配設している。このため、所定の孔が穿設される部位の近傍を押圧子45により押圧してプリント基板17をダイ55の上面に密接させた状態で、パンチ側部材13のパンチ35でプリント基板17に穿孔することができるので、孔を精度良く穿設することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7ないし図11を参照して詳細に説明する。図7は同実施の形態に係る基板検査装置61(本発明でいう「被処理物処理装置」を構成する。)の概略の構成を示している。前述した第1実施形態で説明したものと同一もしくは同等の部材については、以下の説明および図7ないし図11では同一の符号を記し詳細な説明は省略する。また、第1実施形態で説明したものと同一もしくは同等の部材のうち一部の部材については、図7ないし図11では図示も省略する。この基板検査装置61は、可撓性の薄板状のプリント基板63(本発明でいう「被処理物」を構成する。)に設けられた配線パターン(図示せず)の導通状態が適正であるか否かを検査するための検査装置であり、プリント基板63の複数の電気的接点に複数の検査プローブを当接させてプリント基板63の電気的な導通の状態を検査する。
基板検査装置61は、プリント基板63を載置するための載置台64と、載置台64の上面に載置されたプリント基板63を把持して該プリント基板63を載置台64の上面の所定の位置に移動させる移動装置19と、検査プローブ部材移動装置(図示せず)に取り付けられ該検査プローブ部材移動装置の駆動によって載置台64の上面に直交する方向(鉛直方向)にそれぞれ同時にまたは個別に移動自在な上側検査プローブ部材65(本発明でいう「所定の処理を施す処理部」および「検査プローブ部材」を構成する。)と下側検査プローブ部材66と、基板検査装置61が備える各装置を制御するための制御部や後述する判定部67aを有する検査装置本体67と、この検査装置本体67と上側検査プローブ部材65とを接続する上側接続構造69と、検査装置本体67と下側検査プローブ部材66とを接続する下側接続構造71と、載置台64の上面に載置されたプリント基板63の所定の部位の載置台64に対する位置を認識する画像撮影装置21とで構成されている。
なお、上側検査プローブ部材65と下側検査プローブ部材66とは、前記検査プローブ部材移動装置によりそれぞれ数値制御されて鉛直方向に移動自在に構成されている。プリント基板63の所定の部位とは、プリント基板63に付された基準マークまたはプリント基板63の配線パターンの特定の部位をいい、以下「基準マーク等」という。該基準マーク等はプリント基板63の所定の位置に一つまたは複数設けられており、該基準マーク等は、画像撮影装置21によって撮影され、載置台64に対する位置が認識される。なお、図示していないが、基板検査装置61は、該基板検査装置61が備える各機構や各装置の作動を制御するための制御装置や、各機構や各装置を操作するための操作盤等を備えている。前記制御装置は、CPU,ROMおよびRAMを備えており、ROMには、各移動装置等を作動させるためのプログラム等の各種のプログラムが記憶されている。
また、基板検査装置61は、これらの各装置等の他に、画像処理装置,各種データを記憶するメモリおよびマイクロコンピュータが設けられており、該マイクロコンピュータは、前記画像撮影装置21のCCDカメラが撮影する画像を画像処理して載置台64に対するプリント基板63の基準マーク等の位置を演算により求め、この求めた基準マーク等の位置に基づいて、移動装置19は、支持部材移動機構28を作動させて把持機構支持部材27を図7の左右方向または図7の紙面に垂直な方向に移動させたり、鉛直方向に沿う軸芯回りの方向に回動させたりして、プリント基板63を載置台64の上面における所定の位置に位置合わせする。
この位置合わせの際は、第一把持機構23の把持部23aと第二把持機構25の把持部25aとでプリント基板63の一端側のみを把持して移動するようにしているため、移動することでプリント基板63が波打ったりしないように両把持部23a,25aが載置台64から図7の紙面に交差する方向に常に後退するようにプリント基板63を移動させる。また、基板検査装置61は、上側検査プローブ部材65の上側検査プローブ73および下側検査プローブ部材66の下側検査プローブ74から送られてくる検出信号を計測する回路からなる計測部を備えている。
該計測部は、上側接続構造69およびその上側接続配線69aと下側接続構造71および下側接続配線71aとをそれぞれ介して上側検査プローブ73と下側検査プローブ74とにそれぞれ検査信号を出力すると共に、上側検査プローブ73および下側検査プローブ74を介してプリント基板63の各電気的接点を通過したのちに戻ってくる検出信号を入力する。また、基板検査装置61が備える制御装置のRAMには、前記検出信号等、導通検査を行うために必要な各種のデータが書き換え可能に記憶されている。前記制御装置のCPUは、該装置のROMおよびRAMが記憶する各種のプログラムやデータに基づいて、前記計測部が計測した計測結果から電気的な導通の状態の判定を行う。前記CPUおよび計測部で、検査装置本体67の判定部67aが構成される。
上側検査プローブ部材65,下側検査プローブ部材66および載置台64は、検査対象であるプリント基板63の仕様に応じて交換されるものである。上側検査プローブ部材65は、平行に並んだ上側ベースプレート75aと上側第一プレート76aと上側第二プレート77aとの3つの矩形プレートと、複数の上側検査プローブ73とを備えている。そして、上側第一プレート76aと上側第二プレート77aとの互いに対向する位置にそれぞれ複数の貫通孔81,83(図11を参照)が穿設され、これらの複数の貫通孔81,83に、複数の上側検査プローブ73の両端部がそれぞれ挿入されている。
複数の貫通孔81と複数の貫通孔83との配置は、それぞれプリント基板63の上面側に形成された電気的接点の配置と同じになっており、このため複数の上側検査プローブ73の配置も前記電気的接点の配置と同じになっている。また、これらの複数の上側検査プローブ73の上端部に、可撓性のニクロム線からなる上側ワイヤーケーブル85aの下端部が電気的に接続され、その上側ワイヤーケーブル85aの上端部が上側接続構造69に電気的に接続され、上側接続構造69の上側接続配線69aが前記検査装置本体67に電気的に接続されている。
また、上側第一プレート76aの中央寄りには、上側第一プレート76aの中心部に配設された一部の上側検査プローブ73を囲むように4個の貫通孔78(図11参照)が穿設され、該貫通孔78には、上端が閉塞され下端が開口された円筒状のばね収納体87の上部がそれぞれ嵌合固定されている。そして、四個のばね収納体87のそれぞれの下端が上側第二プレート77aの上面に接合され、四個のばね収納体87が上側第一プレート76aと上側第二プレート77aとの間に架け渡されて固定されている。ばね収納体87の下端が接合された上側第二プレート77aの部位には、ばね収納体87の内径より小さな内径を有する貫通孔89(図11参照)がばね収納体87の軸芯と同軸となる位置に穿設されている。
そして、長手方向の上端寄りの中途部に鍔部45a(図11を参照)が形成された円柱状の押圧子45が貫通孔89に挿通され、該鍔部45aの上端面が、ばね収納体87内に収納された圧縮ばね47の下端面により押圧されて該鍔部45aの下端面が貫通孔89の上側開口部に当接させられている。また、貫通孔89は、押圧子45における鍔部45aより下方の部分の外径より僅かに大きな寸法に形成されている。この結果、圧縮ばね47は、ばね収納体87内の上端と押圧子45の鍔部45aの上端面との間に圧縮された状態で介装されている。
これによって、押圧子45が載置台64に向かって進出するように圧縮ばね47により付勢され、載置台64に対して近接または離間する方向に進退自在に押圧子45が上側検査プローブ部材65に突設される。そして、上側検査プローブ部材65が下降して押圧子45がプリント基板63を押圧することで圧縮ばね47が圧縮される前は、上側検査プローブ73より押圧子45の方が下方に突出している。而して、上側検査プローブ部材65が下降して、その上側検査プローブ73の下端がプリント基板63に当接する前に、押圧子45が先に当接してプリント基板63を押圧するように、上側検査プローブ部材65に対して押圧子45が位置付けられる。また、押圧子45は、複数の上側検査プローブ73の近傍で、かつ、複数の上側検査プローブ73の間に配設される。
上側ベースプレート75aは、その中央部に略矩形の貫通孔91が穿設された枠状に形成され、上側第一プレート76aは、上側ベースプレート75aより薄くて小さいプレートに形成されている。そして、上側第一プレート76aの四隅が、4本の上側第一支柱93aを介して上側ベースプレート75aの下面に固定されている。上側第二プレート77aは、上側第一プレート76aと略同じ厚さで上側第一プレート76aより小さいプレートに形成され、上側第一プレート76aの下面に4本の上側第二支柱95aを介して四隅が固定されている。
なお、4本の上側第一支柱93aは、それらの上端部に形成された雄ネジ部(図示せず)が上側ベースプレート75aに形成された雌ネジ部(図示せず)にそれぞれ螺着されており、上側第一プレート76aは、4本の上側第一支柱93aの下端部に形成された雌ネジ部(図示せず)にボルト(図示せず)によって螺着されている。また、4本の上側第二支柱95aは、それらの上端部に形成された雄ネジ部(図示せず)が上側第一プレート76aに形成された雌ネジ部(図示せず)にそれぞれ螺着されており、上側第二プレート77aは、4本の上側第二支柱95aの下端部に形成された雌ネジ部(図示せず)にボルト(図示せず)によって螺着されている。
また、図11に示すように、複数の上側検査プローブ73は、細い丸棒状のタングステン材からなるプローブ部73aとそのプローブ部73aの長手方向中央部を被覆保護する絶縁管73bとから構成されている。そして、プローブ部73aの上端部は、上側第一プレート76aの貫通孔を貫通して上側第一プレート76aから上側ベースプレート75aに向かって突出し、プローブ部73aの下端部は、上側第二プレート77aの貫通孔を貫通して上側第二プレート77aから下方に向って突出している。このため、絶縁管73bは、上側第一プレート76aと上側第二プレート77aとの間に挟まれるように配置されている。
また、上側第一プレート76aの上面から上方に突出しているプローブ部73aの上端部の突出長さの方が、上側第二プレート77aの下面から下方に突出しているプローブ部73aの下端部の突出長さよりもかなり長くなっている。そして、このプローブ部73aの下端部の突出端が、上側検査プローブ部材65の鉛直方向下方への移動によって、プリント基板63の上面側の電気的接点に当接する。また、上側第一プレート76aの上面から突出したプローブ部73aの上端部に、上側ワイヤーケーブル85aの下端部が結着されている。
なお、上側検査プローブ73,上側ワイヤーケーブル85aおよび上側接続構造69の上側接続配線69aの本数は、本来は、検査すべきプリント基板63の上面側の電気的接点の個数と同数であるが、図7ないし図10においては作図の都合上、それよりかなり少ない本数で描いている。上側検査プローブ73がプリント基板63の上面側の電気的接点に当接したときに各上側検査プローブ73間が通電され、その電気抵抗値の大小によってプリント基板63が適正に導通しているか否かが判定される。この場合、検出信号が、上側検査プローブ73から上側接続構造69を経て、検査装置本体67内の判定部67aに送信され、この判定部67aによりプリント基板63の電気的な導通の状態が判定される。
詳しくは、良品のプリント基板63の電気抵抗値をもとにして予め検査判定閾値が設定されており、検出した電気抵抗値の検査判定閾値に対する比率で、検査したプリント基板63の導通状態についての良否の判定が行われる。すなわち、検査が、導通が良好であるか否かの検査である場合は、検出した電気抵抗値が検査判定閾値に対して所定比率未満であれば良品と判定し、所定比率以上であれば不良品と判定する。また、検査が、導通しないで適正に絶縁しているか否かの検査である場合には、検出した電気抵抗値が検査判定閾値に対して所定の比率以上であれば良品と判定し、所定の比率未満であれば不良品と判定する。このような判定方法は、後述する下側検査プローブ部材66による導通検査についても同様に行われる。また、その他、各種の電気測定、例えば、絶縁検査や静電容量検査も同様に可能である。
下側検査プローブ部材66は、基本的には、前述した上側検査プローブ部材65から、ばね収納体87,押圧子45および圧縮ばね47を取り除いて上下方向を逆向きにした構造と略同様の構造となっている。すなわち、上側検査プローブ部材65の上側ベースプレート75a,上側第一プレート76a,上側第二プレート77a,上側第一支柱93a,上側第二支柱95a,上側検査プローブ73,上側ワイヤーケーブル85aが、下側検査プローブ部材66の下側ベースプレート75b,下側第一プレート76b,下側第二プレート77b,下側第一支柱93b,下側第二支柱95b,下側検査プローブ74,下側ワイヤーケーブル85bにそれぞれ対応する。
そして、下側検査プローブ74は、下側ワイヤーケーブル85bおよび下側接続構造71を介して検査装置本体67に電気的に接続されている。なお、下側検査プローブ74,下側ワイヤーケーブル85bおよび下側接続構造71の下側接続配線71aの本数は、本来は、検査すべきプリント基板63の下面側の電気的接点の個数と同数であるが、図7ないし図10においては作図の都合上、それよりかなり少ない本数で描いている。
また、載置台64には、下側検査プローブ部材66の各下側検査プローブ74が配設された位置に対応する位置にそれぞれ貫通孔64a(図11参照)が穿設されており、該貫通孔64aを下側検査プローブ74の上端部が挿通してプリント基板63の下面側の電気的接点に各下側検査プローブ74の上端が当接したときに各下側検査プローブ74間が通電され、その電気抵抗値の大小によってプリント基板63が適正に導通しているか否かが判定される。なお、プリント基板63の下面側の電気的接点の個数とプリント基板63の上面側の電気的接点の個数とは同数であってもよいし異なる個数であってもよい。
このような構成において、基板検査装置61を用いてプリント基板63の電気的な導通の状態を検査する場合には、以下の(1)ないし(10)の工程の順序に従って導通検査作業が行われる。
(1)まず、第一把持機構23の把持部23aと第二把持機構25の把持部25aとの間隔をプリント基板63の両端部間の間隔と略同じになるようにして、把持部23a,25aでプリント基板63の両端部の角部近傍を把持したのち、把持した状態で第一把持機構23と第二把持機構25との間隔を広げプリント基板63の把持された間が波打ったりしないようにする。
(2)次に、プリント基板63を把持部23a,25aで把持した状態で支持部材移動機構28を作動させて第一把持機構23と第二把持機構25とを移動させ、上側検査プローブ部材65の複数の上側検査プローブ73の下方にプリント基板63の基準マーク等が位置付けられるように載置台64に対してプリント基板63を位置合わせする。
(3)次に、前記検査プローブ部材移動装置により上側検査プローブ部材65を鉛直方向に下降させて四個の押圧子45の下端によりプリント基板63の基準マーク等の近傍を直接押圧し、図7および図11にW’で示すようなプリント基板63に存在する反りや皺などを伸ばし、プリント基板63の基準マーク等が付された部位を図8に示すように載置台64の上面に完全に密接させる。
このとき、圧縮ばね47による付勢力によってプリント基板63が押圧子45で押圧されて載置台64に密接される。
(4)次に、押圧子45で押圧してプリント基板63を載置台64の上面に密接させた状態で、前述した第1実施形態の撮影装置用移動機構と同等の撮影装置用移動機構によって画像撮影装置21のアーム部21aを移動させ、画像撮影装置21のCCDカメラをプリント基板63の基準マーク等の直上に位置させる。
(5)次に、前記CCDカメラでプリント基板63の基準マーク等を撮影し、その撮影した画像を画像処理して載置台64に対するプリント基板63の基準マーク等の位置を演算により求める。
(6)前記(5)の工程で求めた基準マーク等の位置に基づいて、移動装置19は、支持部材移動機構28を作動させて、プリント基板63を把持した第一把持機構23と第二把持機構25との把持部23a,25aを図7の紙面に交差する方向に適宜後退させ、載置台64の上面における所定の位置にプリント基板63を位置させる。
このとき、プリント基板63には少なくとも2個の基準マーク等が設けられており、これらの基準マーク等の載置台64に対する位置を演算により求め、これらの求めた基準マーク等の位置に基づいて、載置台64に対してプリント基板63が本来位置付けられる正規の位置(所定の位置)に対して、傾斜している角度と偏倚している量とを演算により求め、これらの求めた各演算値から載置台64に対してプリント基板63を所定の位置に位置合わせする。
なお、載置台64に対するプリント基板63の位置合わせの精度を上げるために、プリント基板63を把持した把持部23a,25aを移動させて一旦、載置台64の所定の位置にプリント基板63を位置させたのち、再度、画像撮影装置21のCCDカメラでプリント基板63の基準マーク等を撮影して基準マーク等の位置を求め、載置台64上の所定の位置にプリント基板63がまだ位置していない場合には、所定の位置に位置するようにプリント基板63を把持した把持部23a,25aを再度移動させるようにしてもよい。このような把持部23a,25aの再度の移動を複数回行って、載置台64に対するプリント基板63の位置合わせの精度をさらに向上させるようにしてもよい。
(7)次に、上側検査プローブ73による導通検査作業の邪魔にならないように、載置台64上に載置されたプリント基板63の上方から画像撮影装置21のアーム部21aを外側方に移動させる。
(8)次に、前記検査プローブ部材移動装置により上側検査プローブ部材65を鉛直方向にさらに下降させて、図9に示すように、複数の上側検査プローブ73の下端をプリント基板63の上面側の電気的接点に当接させる。この状態でプリント基板63の導通状態の検査が行われる。
このとき、四個の押圧子45は、プリント基板63に当接した状態で下降せず、圧縮ばね47がさらに圧縮されて押圧子45の上端がばね収納体87内の上面に向かって接近させられ、圧縮ばね47の前記圧縮荷重が付与された押圧子45によって載置台64の上面にプリント基板63が押圧される。
(9)次に、前記検査プローブ部材移動装置によって下側検査プローブ部材66を鉛直方向に上昇させ、下側検査プローブ部材66の複数の下側検査プローブ74の上端を載置台64の貫通孔64aを挿通させてプリント基板63の下面の電気的接点に当接させる(図10参照)。この状態でプリント基板63の導通状態の検査が行われる。
このとき、プリント基板63の上面側と下面側との各電気的接点に上側検査プローブ73と下側検査プローブ74とが共に当接することで、複数の上側検査プローブ73と、該複数の上側検査プローブ73に対応する同数の下側検査プローブ74とがプリント基板63を介して電気的に導通され、その導通状態の検査も行われる。
(10)次に、前記検査プローブ部材移動装置により最初の位置(図7に示す位置)まで、上側検査プローブ部材65を鉛直方向に上昇させると共に下側検査プローブ部材66を鉛直方向に下降させる。
以上で、プリント基板63の導通検査作業が終了する。
なお、以上説明した導通検査作業工程(1)ないし(10)は、本発明の要旨または思想に反しない範囲で、順序や内容を必要に応じて適宜変更することができる。例えば、前述した工程では、上側検査プローブ部材65を下降させて押圧子45によりプリント基板63を押圧して該プリント基板63を載置台64の上面に密接させる工程(前記(3)の工程)を実施したのち、撮影装置用移動機構によって画像撮影装置21のアーム部21aを移動させて画像撮影装置21のCCDカメラをプリント基板63の上方に位置させる工程(前記(4)の工程)を実施するようにしたが、これに代えて、前記(4)の工程を先に実施したのち、前記(3)の工程を実施するようにしてもよい。
また、前述した工程では、上側検査プローブ部材65を下降させてプリント基板63の上面側の電気的接点に上側検査プローブ73を当接させてプリント基板63の導通状態の検査を行う工程(前記(8)の工程)を実施したのち、下側検査プローブ部材66を上昇させてプリント基板63の下面側の電気的接点に下側検査プローブ74を当接させてプリント基板63の導通状態の検査を行う工程(前記(9)の工程)を実施するようにしたが、これに代えて、次のようにしてもよい。
すなわち、下側検査プローブ部材66を上昇させてプリント基板63の下面側の電気的接点に下側検査プローブ74を当接させたのち、上側検査プローブ部材65を下降させてプリント基板63の上面側の電気的接点に上側検査プローブ73を当接させるか、または、上側検査プローブ部材65の下降と下側検査プローブ部材66の上昇とを同時に行って上側検査プローブ73と下側検査プローブ74とをプリント基板63の上面側および下面側の電気的接点にそれぞれ当接させ、プリント基板63の導通状態の検査を行うようにしてもよい。
なお、前記(5)の工程で求めたプリント基板63の基準マーク等の位置に基づいて、プリント基板63における他の電気的接点の導通状態の検査を行う場合は、前述した(6)(8)(9)(10)の工程と同様の工程を繰返して、プリント基板63における次の検査位置を載置台64の上面の所定の位置に移動させ、前記他の電気的接点の導通状態の検査を行う。
前述したように、本実施形態に係る基板検査装置61では、画像撮影装置21により認識しようとするプリント基板63の基準マーク等の近傍を押圧子45により直接押圧してプリント基板63を載置台64に密接させるようにしている。このため、画像撮影装置21により認識しようとするプリント基板63の基準マーク等が設けられた部位を載置台64の上面に確実に密接させることができる。この結果、導通検査作業時に上側検査プローブ部材65の上側検査プローブ73によってプリント基板63の上面が押圧された状態に近い状態で画像撮影装置21のCCDカメラによりプリント基板63の基準マーク等を撮影することができ、プリント基板63の載置台64に対する導通検査時と同等の正確な位置を認識することができる。
また、載置台64に対して近接または離間する方向に移動自在で、かつ、近接する方向に移動して載置台64の上面に載置されたプリント基板63の上面側の電気的接点の導通検査を行う上側検査プローブ部材65に押圧子45を設けたので、載置台64に対して上側検査プローブ部材65を近接または離間させることで載置台64の上面に載置されたプリント基板63に対して押圧子45を近接または離間することができる。このため、押圧子45を移動させるための専用の移動装置が不要となり、その分、部品点数を少なくでき、基板検査装置61を小型化することができる。
また、上側検査プローブ部材65は、検査プローブ部材移動装置により数値制御されて移動させられるので、その移動量は高い精度で制御される。このため、押圧子45によるプリント基板63への押圧力をプリント基板63の特性や反りおよび皺などの程度に応じて微調整して適度に押圧することができる上、押圧子45により微弱な押圧力をプリント基板63に付与して載置台64の上面に密接させた状態で、プリント基板63を把持した把持部23a,25aを移動させて、載置台64の上面の所定の位置にプリント基板63を位置合わせすることもできる。この結果、該位置合わせの精度を一層向上させることができる。
また、載置台64の上面に対して近接または離間する方向に進退自在に押圧子45を上側検査プローブ部材65に設けたので、上側検査プローブ部材65を下降してプリント基板63の電気的接点の導通検査を行う際に、載置台64に対して離間する方向に押圧子45を後退させることで押圧子45が邪魔になることが回避され、支障なくプリント基板63の電気的接点の導通検査を行うことができる。また、この実施形態による基板検査装置61では、圧縮ばね47による付勢力によってプリント基板63を押圧子45で押圧して載置台64の上面に密接させるようにしたので、プリント基板63を確実に載置台64の上面に密接させることや、載置台64に対して離間する方向に押圧子45を後退させることが単純で安価な構造により達成できる。
また、この実施形態による基板検査装置61では、載置台64の上面に載置されたプリント基板63に近接する方向に上側検査プローブ部材65が移動する際に、上側検査プローブ部材65の複数の上側検査プローブ73がプリント基板63に当接する前に押圧子45によりプリント基板63を押圧するようにしている。このため、押圧子45によりプリント基板63を押圧して載置台64の上面に予め密接させたのち、複数の上側検査プローブ73によりプリント基板63の上面側の電気的接点の導通検査を行うことができるので、導通検査を適切に行うことができる。
また、複数の上側検査プローブ73がプリント基板63に当接する前に、上側検査プローブ部材65に突設した押圧子45によりプリント基板63を押圧するようにしているので、押圧子45によりプリント基板63を押圧して載置台64の上面に密接させた状態で、複数の上側検査プローブ73の下端とプリント基板63との間に間隙を形成することができ、該間隙に画像撮影装置21のCCDカメラを位置付けてプリント基板63の基準マーク等を撮影することができる。
また、この実施形態による基板検査装置61では、上側検査プローブ部材65に押圧子45を配設し、しかも、複数の上側検査プローブ73の近傍で、かつ、複数の上側検査プローブ73の間に押圧子45を配設している。このため、上側検査プローブ73が当接して導通検査が行なわれる部位の近傍を押圧子45により押圧してプリント基板63を載置台64の上面に密接させた状態で、複数の上側検査プローブ73をプリント基板63に当接させることができるので、プリント基板63の上面側の電気的接点の導通検査を精度良く行うことができる。
なお、前述した第1実施形態および第2実施形態は本発明を説明するための例であり、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲と明細書との全体から読み取れる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更後の穿孔装置や基板検査装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。例えば、前述した各実施の形態においては、押圧子を四個設ける例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、押圧子を一個ないし三個または五個以上設けてもよい。
四個以下の少ない個数しか押圧子を設けない場合は、プリント基板の仕様が同一のときは反りや皺などが発生しやすい部位も同じになる傾向があるので、その部位を予め調査しておいて、その部位に位置付けられるように押圧子を穿孔装置のパンチ側部材や基板検査装置の検査プローブ部材に配設する。一方、押圧子を多数設ける場合は、一定の間隔を隔てて格子状に多数の押圧子が整列するようにパンチ側部材や検査プローブ部材に押圧子を配設して、該押圧子の下端がプリント基板の広い領域に分散して均一に当接するようにする。
また、前述した各実施形態においては、被処理物としてプリント基板の例を示したが、これに代えて、被処理物が可撓性の薄板状の樹脂シートや紙等からなるものでもよい。また、前述した各実施形態においては、被処理物処理装置として穿孔装置や基板検査装置の例を示したが、これに代えて、被処理物処理装置が被処理物の面上の所定の部位に文字や図柄を印刷する印刷装置からなるものでもよい。また、前述した第1実施形態による穿孔装置11では、パンチ35を囲むように90度の等角度間隔で四個の圧縮ばね41を配置し、これらの圧縮ばね41をさらに囲むように圧縮ばね47と押圧子45とを配設したが、これに代えて、各圧縮ばね41の間に押圧子45と圧縮ばね47とをそれぞれ配設してもよい。
そして、押圧子45および圧縮ばね47と圧縮ばね41とでパンチ35を囲むようにして、押圧子45および圧縮ばね47をパンチ35に対してさらに接近するように配置する。これによって、パンチ35で孔が穿設される部位のさらに近傍を押圧子45により押圧してプリント基板17をダイ55の上面に密接させることができ、その状態で、パンチ側部材13のパンチ35でプリント基板17に穿孔することができるので、孔を一層精度良く穿設することができる。
また、前述した第2実施形態による基板検査装置61では、上側検査プローブ部材65に押圧子45を配設する際、複数の上側検査プローブ73の近傍で、かつ、複数の上側検査プローブ73の間に押圧子45を配設するようにしたが、これに代えて、複数の上側検査プローブ73の間ではなく、複数の上側検査プローブ73からなる検査プローブ群の側方近傍に押圧子45を配設するようにしてもよい。この場合でも、上側検査プローブ73が当接して導通検査が行なわれる部位の近傍を押圧子45により押圧してプリント基板63を載置台64の上面に密接させた状態で、複数の上側検査プローブ73をプリント基板63に当接させることができるので、プリント基板63の上面側の電気的接点の導通検査を精度良く行うことができる。
さらに、前述した第2実施形態による基板検査装置61では、検査プローブ部材移動装置により上側検査プローブ部材65が数値制御されて鉛直方向に移動するようにしたが、これに代えて、上側検査プローブ部材65は移動させずに、または上側検査プローブ部材65が移動すると共に載置台64が検査プローブ部材移動装置により数値制御されて鉛直方向に移動するようにしてもよい。要は、載置台64に対して上側検査プローブ部材65が近接または離間する方向に相対的に移動自在で、かつ、近接する方向に相対的に移動して載置台64上に載置されたプリント基板63の電気的な導通検査が行なわれればよい。この場合、画像撮影装置21の鉛直方向の高さ位置は載置台64や上側検査プローブ部材65の移動範囲を考慮して適宜設定する。