JP5496232B2 - Il−8発現抑制剤 - Google Patents

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本発明は、IL−8発現抑制剤に関する。
インターロイキン8(IL−8)は、CXCケモカインファミリーに属する、分子量8KDaの塩基性ポリペプチドで、好中球、Tリンパ球に選択的に働く走化性因子である。IL−8は、LPS、クレスチンなどのマイトゲンや、IL−1、TNF−αなどの炎症性サイトカインなどの刺激によって、末梢血単球、組織マクロファージ、NK細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞など種々の細胞から産生される。IL−8は様々な生物活性を有しており、好中球、Tリンパ球に走化誘導性を示すほか、白血球の血管内皮細胞への接着を増加させる作用や、好中球機能を活性化する作用を有している。また、IL−8は、インビボ、インビトロの両方で血管新生促進因子として機能することも知られている(例えば、非特許文献1参照)。IL−8の発現抑制剤として、カルノシン酸を有効成分とするものが知られている(特許文献1参照)。
一方、リファンピシン(Rifampicin)は、リファマイシンSVを3−フォルミル(3-formyl)化したものから半合成される抗生物質であり、3−〔[(4−メチル−1−ピペラジニル)イミノ]メチル〕リファマイシン(3-〔[(4-methyl-1-piperazinyl)imino]methyl〕rifamycin)の構造を持つ。リファンピシンは、原核生物のRNAポリメラーゼに直接作用して、RNA合成の開始反応を阻害することにより抗菌力を発揮することがすでに知られている。リファンピシンは、結核やハンセン氏病などに対して優れた治療効果を有しているため、それらの疾患の治療剤として従来より広く使用されている。
リファンピシンはまた、核レセプターである薬物受容体(pregnane X receptor:PXR)のアゴニストとして知られている。PXRは、内的・外的化学物質によって活性化され、代謝や輸送のためのセンサーとして働くことが知られている。また、リファンピシンは、肝臓癌の治療剤として用い得ることが知られており(特許文献2参照)、リファンピシンと肝臓癌との関係について、リファンピシンは正常内皮細胞において、血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)などに代表される血管新生(angiogenesis)関連因子の遺伝子群の発現を一様かつ速やかに抑制し、その結果、C型慢性肝炎患者の肝がん発症を抑制することが報告されている(非特許文献2及び3参照)。さらに、リファンピシンは強い活性酸素除去能を有することも報告されている(非特許文献4参照)。
特開2011−256118号公報 特開2010−111582号公報
Koch AE, Polverini PJ, Kunkel SL, Harlow LA, DiPietro LA, Elner VM, Elner SG, Strieter RM. Interleukin-8 as a macrophage-derived mediator of angiogenesis. Science. 1992 Dec 11; 258 (5089):1798-1801. Shichiri M, Fukai N, Kono Y, Tanaka Y. Rifampicin as an oral angiogenesis inhibitor targeting hepatic cancers. Cancer Res. 2009 Jun 1; 69 (11): 4760-4768. Shichiri M, Tanaka Y. Inhibition of cancer progression by rifampicin: involvement of antiangiogenic and anti-tumor effects. Cell Cycle. 2010 Jan 1; 9 (1): 64-68. Kataoka K, Kono Y, Sugimoto M, Furuichi Y, Shichiri M, Tanaka Y. Hepatocyte-protective and anti-oxidant effects of rifampicin on human chronic hepatitis C and murine acute hepatocyte disorder. Exp Ther Med. 1, 1041. 2010.
本発明の課題は、IL−8発現抑制剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意探索の結果、リファンピシンが、優れたIL−8発現抑制作用を有することを新たに見いだし、本発明を完成するに至った。また、本発明においては、リファンピシン以外にも、リファマイシン−SVや3−フォルミルリファマイシンなどのリファンピシン系抗生物質が、優れたIL−8発現抑制作用を有することを確認し、本発明をなした。
すなわち本発明は、(1)リファンピシン、リファンピシン誘導体、リファンピシンの薬理学的に許容しうる塩、又は、リファンピシン誘導体の薬理学的に許容しうる塩を含有するIL−8発現抑制剤や、(2)リファンピシン又はリファンピシン誘導体が、以下の一般式(I)で示されるリファンピシン系抗生物質である上記(1)に記載のIL−8発現抑制剤:
[式中Rは水素又はC1−3アルキルカルボニル基を示し、Rは水素、C1−3アルキルカルボニル基、ヒドロキシカルボニルメチレン基又は置換基を有していてもよいアミノカルボニルメチレン基を示し、Rは水素、ホルミル基、C1−10アルコキシイミノ基又は置換基を有していてもよいピペラジニルイミノ基、2,4−ジニトロアニリノイミノ基を示す。]や、(3)リファンピシン系抗生物質が、リファンピシン、リファマイシン−SV、3−フォルミルリファマイシン、リファペンチン、リファマイシンBからなる群より選ばれる上記(2)に記載のIL−8発現抑制剤に関する。
本発明のIL−8発現抑制剤は、優れたIL−8発現抑制作用を有しており、インビトロ、エクスビボ又はインビボにおいて、IL−8の発現を効果的に抑制することができる。本発明のIL−8発現抑制剤の有効成分であるリファンピシンは、長期間にわたり抗菌性の医薬として利用されて来た経緯を持つものであるから、その安全性は確認されており、その製造方法や投与方法も確立されていて、比較的安価に入手できるものであるから、本発明のIL−8発現抑制剤は、実用性の高いIL−8発現抑制剤として期待できるものである。
本発明の実施例において、2種類の正常線維芽細胞(TIG−3、WI−38)と11種類の肝がん細胞株(HuH−7、Hep−3B、Hep G2、Li−7、SK−HEP−1、KIM−1、KYN−1、KYN−2、KYN−3、HAK−1A、及びHAK−1B)(横軸)におけるIL−8遺伝子のmRNAの発現量(縦軸)を解析した結果を示す図である。各細胞株におけるIL−8遺伝子のmRNAの発現量は、βアクチン遺伝子の発現量を1とした場合の相対値で示す。 本発明の実施例において、2種類の肝がん細胞株(Hep−3B[左図]及びSK−HEP−1[右図])におけるリファンピシンによるIL−8遺伝子発現抑制効果を解析した結果を示す図である。各細胞株におけるIL−8遺伝子のmRNAの発現量(縦軸)は、βアクチン遺伝子の発現量を1とした場合の相対値で示す。図中「FBS(+)」は、血清含有培養液を、「FBS(−)」は、血清不含培養液を示す。また、図中0、25、及び50μg/mlは、リファンピシンの濃度を示す。 本発明の実施例において、3種類の肝がん細胞株(Hep G2[左図]、KYN−3[中図]、及びHAK−1B[右図])における、LPSによるIL−8遺伝子発現の亢進に対するリファンピシンの阻害効果を解析した結果を示す図である。各細胞株におけるIL−8遺伝子のmRNAの発現量(縦軸)は、βアクチン遺伝子の発現量を1とした場合の相対値で示す。図中「NT」は、血清含有培養液を、「LPS」は、LPS(1μg/ml)を含む血清含有培養液を、「LPS+RFP」は、LPS(1μg/ml)及びリファンピシン(25μg/ml)を含む血清含有培養液を示す。なお、「NT」、「LPS」、及び、「LPS+RFP」のいずれにも、0.1%v/vのDMSOが含まれている。 本発明の実施例において、SK−HEP−1細胞株を用いてリファンピシンの誘導体(リファマイシンSV[左図]及び3−フォルミルリファマイシンSV[右図])によるIL−8遺伝子の発現抑制効果を解析した結果を示す図である。細胞におけるIL−8遺伝子のmRNAの発現量(縦軸)は、βアクチン遺伝子の発現量を1とした場合の相対値で示す。図中「FBS(+)」は、血清含有培養液を、「FBS(−)」は、血清不含培養液を示す。また、図中「0及び25μg/ml」は、リファンピシンの濃度を示す。 本発明の実施例において、SK−HEP−1細胞株を用いてIL−8遺伝子発現抑制におけるリファンピシンの作用濃度を検討した結果を示す図である。リファンピシンの各濃度(横軸)におけるIL−8遺伝子のmRNAの発現量(縦軸)は、βアクチン遺伝子の発現量を1とした場合の相対値で示す。また、左右の図における各プロットは、それぞれ左から順に0、1、3、10、30、及び100μg/mlのリファンピシンのそれぞれの濃度におけるIL−8遺伝子のmRNAの発現量の結果を示す。 本発明の実施例において、SK−HEP−1細胞株を用いてIL−8遺伝子発現抑制におけるリファンピシンの作用時間を検討した結果を示す図である。リファンピシン添加後の各時間(横軸)におけるIL−8遺伝子のmRNAの発現量(縦軸)は、βアクチン遺伝子の発現量を1とした場合の相対値で示す。また、図における各プロットは、リファンピシン添加後、それぞれ左から順に0、10、30、60、180、及び300分間培養した後のSK−HEP−1細胞株におけるIL−8遺伝子のmRNAの発現量の結果を示す。
本発明のIL−8発現抑制剤としては、リファンピシン、リファンピシン誘導体、リファンピシンの薬理学的に許容しうる塩、又は、リファンピシン誘導体の薬理学的に許容しうる塩(以下、まとめて「リファンピシン等」とも表示する。)を含有することを特徴とする。本発明のIL−8発現抑制剤には、リファンピシン等の中の1種類のみを用いてもよいし、リファンピシン等に含まれる2種類以上の化合物を併用してもよい。
本発明に用いるリファンピシン等としては、リファンピシン、リファンピシン誘導体、リファンピシンの薬理学的に許容しうる塩、又は、リファンピシン誘導体の薬理学的に許容しうる塩であって、かつ、IL−8発現抑制作用を有している化合物である限り特に制限されないが、本発明に用いるリファンピシン又はリファンピシン誘導体としては、以下の一般式(I)で示されるリファンピシン系抗生物質を好適に例示することができる。
上記一般式(I)中、Rは水素又はC1−3アルキルカルボニル基を示し、Rは水素、C1−3アルキルカルボニル基、ヒドロキシカルボニルメチレン基又は置換基を有していてもよいアミノカルボニルメチレン基を示し、Rは水素、ホルミル基、C1−10アルコキシイミノ基又は置換基を有していてもよいピペラジニルイミノ基、2,4−ジニトロアニリノイミノ基を示す。
における「置換基を有していてもよいアミノカルボニルメチレン基」は、以下の一般式(II)で示される基である。
上記一般式(II)中、R、Rはそれぞれ、水素、C1−3アルキル基を示す。
における「置換基を有していてもよいピペラジニルイミノ基」は、以下の一般式(III)で示される基である。
上記一般式(III)中、R〜R13はそれぞれ、水素、C1−3アルキル基を示し、R14は水素、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、ベンジル基、2,4−ジニトロフェニル基を示す。
ここで、「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を指し、具体的には、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、2−メチル−1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−メチル−1−ブチル基、3−メチル−1−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、3−メチル−2−ブチル基、2,2−ジメチル−1−プロピル基、1−へキシル基、2−へキシル基、3−へキシル基、2−メチル−1−ペンチル基、3−メチル−1−ペンチル基、4−メチル−1−ペンチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−2−ペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基、2,3−ジメチル−1−ブチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2,2−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3,3−ジメチル−2−ブチル基、2,3−ジメチル−2−ブチル基等が挙げられる。
「C1−3アルキル基」は、前記C1−6アルキル基のうち、炭素数が1〜3個のものを指す。
「C1−10アルコキシイミノ基」とは、炭素数1〜10個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を指すC1−10アルキル基が、オキシム基の有する酸素原子に結合したものを指し、具体的には、メトキシイミノ基、エトキシイミノ基、1−プロピルオキシイミノ基、2−プロピルオキシイミノ基、2−メチル−1−プロピルオキシイミノ基、2−メチル−2−プロピルオキシイミノ基、1−ブチルオキシイミノ基、2−ブチルオキシイミノ基、1−ペンチルオキシイミノ基、2−ペンチルオキシイミノ基、3−ペンチルオキシイミノ基、2−メチル−1−ブチルオキシイミノ基、3−メチル−1−ブチルオキシイミノ基、2−メチル−2−ブチルオキシイミノ基、3−メチル−2−ブチルオキシイミノ基、2,2−ジメチル−1−プロピルオキシイミノ基、1−へキシルオキシイミノ基、2−へキシルオキシイミノ基、3−へキシルオキシイミノ基、1−オクチルオキシイミノ基、2−オクチルオキシイミノ基、3−オクチルオキシイミノ基、1−ノニルオキシイミノ基、2−ノニルオキシイミノ基、3−ノニルオキシ基、1−デシルオキシ基、2−デシルオキシ基、3−デシルオキシ基、2−メチル−1−ペンチルオキシイミノ基、3−メチル−1−ペンチルオキシイミノ基、4−メチル−1−ペンチルオキシイミノ基、2−メチル−2−ペンチルオキシイミノ基、3−メチル−2−ペンチルオキシイミノ基、4−メチル−2−ペンチルオキシイミノ基、2−メチル−3−ペンチルオキシイミノ基、3−メチル−3−ペンチルオキシイミノ基、2,3−ジメチル−1−ブチルオキシイミノ基、3,3−ジメチル−1−ブチルオキシイミノ基、2,2−ジメチル−1−ブチルオキシイミノ基、2−エチル−1−ブチルオキシイミノ基、3,3−ジメチル−2−ブチルオキシイミノ基、2,3−ジメチル−2−ブチルオキシイミノ基等が挙げられる。
「C3−8シクロアルキル基」とは、炭素数3〜8個の環状の脂肪族炭化水素基を指し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。
「C1−3アルキルカルボニル基」とはC1−3アルキル基が、カルボニル基のカルボニル炭素に結合したものを指し、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、1−プロピルカルボニル基、2−プロピルカルボニル基が挙げられる。
一般式(I)で示されるリファンピシン系抗生物質では、Rとしては、水素、メチルカルボニル基が好ましく、メチルカルボニル基がより好ましく、Rとしては、水素、ヒドロキシカルボニルメチレン基が好ましく、Rとしては、水素、ホルミル基、オクタノキシイミノ基、4−メチルピペラジニルイミノ基、4−シクロペンチルピペラジニルイミノ基、4−ベンジルピペラジニルイミノ基、2,6−ジメチル−4−ベンジルピペラジニルイミノ基、2,4−ジニトロアニリノイミノ基が好ましく、水素、ホルミル基、4−メチルピペラジニルイミノ基、4−シクロペンチルピペラジニルイミノ基がより好ましい。
また、一般式(I)で示されるリファンピシン系抗生物質の中で好ましいものとして、リファンピシン(R=メチルカルボニル基、R=水素、R=4−メチルピペラジニルイミノ基)、リファマイシン−SV(R=メチルカルボニル基、R=水素、R=水素)、3−フォルミルリファマイシン(R=メチルカルボニル基、R=水素、R=ホルミル基)、リファペンチン(R=メチルカルボニル基、R=水素、R=4−シクロペンチルピペラジニルイミノ基)、リファマイシンB(R=メチルカルボニル基、R=ヒドロキシカルボニルメチレン基、R=水素)を好適に例示することができ、中でも、リファンピシン、リファマイシン−SV、3−フォルミルリファマイシンをより好適に例示することができる。
リファンピシンの薬理学的に許容しうる塩や、リファンピシン誘導体の薬理学的に許容しうる塩は、リファンピシンやその誘導体の溶媒(例えば、水)に対する溶解度を増加させ、身体への吸収効率を向上し得る場合があるなどの点で、好ましく用いることもできる。本発明における薬理学的に許容しうる塩には、便宜上、薬理学的に許容しうる塩の水和物も含まれる。かかる塩や水和物としては、特に限定されず、医薬の製剤化において一般的に用いられている塩や、これらの塩の水和物を用いることができる。ここで、薬理学的に許容しうる塩としては、酸付加塩や、塩基付加塩等を例示することができる。
上記の酸付加塩としては、特に限定されないが、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸、酒石酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、コハク酸塩、安息香酸、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、リン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩などを例示することができる。
上記の塩基付加塩としては、特に限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、エタノールアミン塩、トリエチルアミン塩、メチルアミン塩等の有機アミン塩、アンモニウム塩などを例示することができる。
本発明のIL−8発現抑制剤は、単独で投与してもよいが、薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物を更に含む医薬組成物の形態で投与することが好ましい。薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、例えば賦形剤、崩壊剤、崩壊補助剤、乳化剤、懸濁剤、分散剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基材、溶解剤、溶解補助剤、等張化剤、pH調整剤、安定化剤、噴射剤、粘着剤を例示することができる。
上記の賦形剤としては、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース等を例示することができ、上記の崩壊剤や崩壊補助剤としては、カルボキシメチルセルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロースカリウム等を例示することができ、上記の乳化剤や、懸濁剤や、分散剤としては、ステアリン酸ポリオキシル、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム等を例示することができ、上記の結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等を例示することができ、上記の滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、タルク等を例示することができ、上記のコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール、酸化チタン等を例示することができ、上記の基材としては、ワセリン、流動パラフイン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、ハードファット等を例示することができる。
また、注射用又は点滴用の製剤に用いる際の添加物としては、特に限定されないが、溶解剤や溶解補助剤として、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等を例示することができ、pH調整剤として、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基等を例示することができる。
本発明に用いるリファンピシンやリファンピシン誘導体(リファマイシン−SV、3−フォルミルリファマイシン、リファペンチン、リファマイシンBなど)は、公知の方法によって合成することができる。まず、リファマイシンBは、ストレプトマイセス メディターレーネイ(Streptomyces mediterranei)の培養液から、公知の方法で分離でき(特公昭37−1697号公報、第2頁右段8行〜第4頁右段32行参照)、リファンピシン、リファペンチン、リファマイシン−SV、3−フォルミルリファマイシン(3−フォルミルリファマイシンSV)などは、リファマイシンBから、公知の方法によって合成することができる(特公昭62−41671号公報 第2頁左段30行〜右段27行;特公昭62−41672号公報 第2頁左段34行〜右段31行;特公昭62−41673号公報 第2頁左段32行〜右段29行;特開平1−149790号公報 第3頁右下段12行〜7頁右上段7行、第8頁左下段4行〜10頁左下段14行;特開平2−304090号公報 第9段9行〜第21段20行;特開平2−56487号公報、第13頁左上段18行〜18頁左上段9行、第19頁右上段15行〜28頁左上段13行;特開平3−169884号公報、第17頁右下段18行〜22頁左下段3行、第23頁右下段10行〜33頁左下段20行;特開平4−159283号公報、段落番号0038〜0070、0081〜0107;特開平4−230688号公報、段落番号0065〜0103、0118〜0147;特開平4−247088号公報、段落番号0076〜0120、0136〜0139;米国特許第4,002,752号参照)。なお、リファンピシンとして「リファンピシン」(Alexis社製)、リファマイシンSVとして「リファマイシンSVナトリウム塩」(MP Biomedicals社製)、3−フォルミルリファマイシンとして「3−フォルミルリファミシン」(LKT BioLabs.社製)、リファペンチンとして「リファフチン錠(商品名)」(Sanofi-Aventis社製)等が市販されており、これらの製品を使用してもよい。
本発明のIL−8発現抑制剤は、優れたIL−8発現抑制作用を有しており、インビトロ、エクスビボ又はインビボにおいて、IL−8の発現を効果的に抑制することができる。したがって、本発明のIL−8発現抑制剤は、IL−8が過剰発現することに起因する疾患の予防・治療薬としても用いることができる。
本発明のIL−8発現抑制剤の投与に当たっては、その対象に応じて、経口投与又は非経口投与(静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、或いは点眼など)のいずれの形式でも投与することができる。投与形式は、投与を受ける患者の病状に応じて適宜選択できるが、利便性及び安全性の面から、経口投与が好ましい。
経口投与の場合、本発明のIL−8発現抑制剤は、固体又は液体の製剤、具体的には、錠剤、顆粒剤、カプセル、粉末、トローチ、溶液、懸濁液、乳液等の形態で、投与することができる。また、非経口投与の場合、本発明のIL−8発現抑制剤は、適当な溶媒に溶解させた形態で、投与することができる。そのような溶媒としては、例えば、水、水性溶媒(塩化ナトリウム溶液、ブドウ糖溶液など)、水混和性溶媒(エチルアルコール、ポリエチレングルコール、プロピレングリコールなど)、及び非水性溶媒(トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油など)を例示することができる。
本発明のIL−8発現抑制剤の投与量は、対象となる疾患や投与方法等によって、適宜設定することができるが、経口投与のための単位投薬量として、リファンピシン等が例えば10〜2000mg、好ましくは30〜1500mgとなるような投与量を例示することができる。本発明の有効成分であるリファンピシン等は、既に結核患者等、極めて多くの患者に使用されてきた薬剤であり、その用法や副作用も熟知されているところから、本発明のIL−8発現抑制剤の使用に当たっては、それらの経験に基づいた、投与形態、投与方法を用いることが出来る。
本発明の他の態様には、リファンピシン等の、IL−8発現抑制剤の製造における使用や、本発明のIL−8発現抑制剤を、哺乳動物に投与する工程を含む、
IL−8が過剰発現することに起因する疾患の予防・治療方法や、IL−8が過剰発現することに起因する疾患の予防・治療方法に使用するためのリファンピシン等なども含まれる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
1.リファンピシンにより遺伝子発現が抑制される遺伝子のスクリーニング及び同定
肝がん細胞におけるリファンピシンの作用を調べるために、肝がん細胞株にリファンピシンを添加し、遺伝子発現レベルを解析した。
1−1 RNAの精製
[1]肝がん細胞株(SK−HEP−1)を1.0x10/cm程度の密度で、6ウェルプレートに播種し、10%FBS含むDEME(ナカライテスク社製)又はRPMI1640(ナカライテスク社製)(以下、「血清含有培養液」という)存在下で24時間培養した。
[2]血清含有培養液又は血清不含のOPTI−MEM(GibcoBRL社製)(以下、「血清不含培養液」という)のそれぞれに、リファンピシン溶液(50mg/ml又は25mg/ml in DMSO)を1000倍希釈になるように加え、かかるリファンピシン(25μg/ml又は50μg/ml)を含む血清含有又は血清不含の培養液を、工程[1]の血清含有培養液と置換した。なお、上記リファンピシン溶液は、和光純薬社製の粉末リファンピシン試薬を、和光純薬製のDMSOで当該濃度に溶解して調製した。
[3]インキュベータ内(37℃、5%CO条件下)で5時間培養を行った後、細胞を回収し、RNAの精製を行った。RNAの精製は、RNeasy Plus Mini Kit(Qiagen社製)を用いて製品付属のプロトコールにしたがって行った。なお、コントロールとしてリファンピシンを含まない血清含有又は血清不含の培養液で培養した細胞のRNAを用いた。ただし、コントロールに用いたリファンピシン不含培養液にも、リファンピシン含有培養液と同濃度のDMSOが含まれるようにDMSOを添加した。
1−2 リアルタイムRT−PCRによるmRNAの定量
[1]以下の1)〜4)からなる反応液を調製した。
1)20ng/μlRNA;2.0μl
2)2×QuantiFast Probe RT-PCR Master Mix(Qiagen社製);10μl
3)TaqMan Gene Expression Assayプローブ・プライマーセット(Applied Biosystems社製);1.0μl
4)RNaseフリーの脱イオン水;7.0μl
5)Reverse Transcriptase;0.1μl
TaqMan Gene Expression Assayプローブ・プライマーセットとして、後述の表1に示す10種類の炎症関連遺伝子(NFKBIA、RELA、IKBKB、IKBKG、IKBKE、IL6、IL8、IL1B、IL12B、及びTNF)、10種類の血管新生関連遺伝子(VEGFA、HGF、ICAM1、VCAM1、ITGB3、ITGAV、FLT−1、KDR、FAK、及びPECAM)、及び1種類の活性酸素関連遺伝子(NOS2)の計21種類の遺伝子のmRNA由来のcDNAを増幅し、検出するものを用いた。なお、内部標準としてβアクチン遺伝子(ACTB)を用いた。
上記表1中「Accession number」は、TaqMan Gene Expression Assayプローブ・プライマーセット製品由来のものであり、かかる「Accession number」を基に、Applied Biosystems社のホームページ(http://www5.appliedbiosystems.com/tools/cnv/)からTaqMan Gene Expression Assayプローブ・プライマーセットを検索し、使用した。
[2]工程[1]で調製した反応液を用いて、ABI PRISM 7000 Sequence Detection system (Applied Biosystems社製)によるリアルタイムRT−PCRを、以下の1)〜3)で示した条件で行った。
1)50℃、20分を1サイクル(mRNAからcDNAへの逆転写反応)
2)95℃、5分を1サイクル(ポリメラーゼの活性化)
3)95℃と60℃との往復を40サイクル(TaqMan Gene Expression Assayプローブ・プライマーセットによるcDNAの増幅)
[3]Baselineソフトウェア(Applied Biosystems社製)を用いてPCR産物が一定量になるPCRのサイクル数(threshold cycle;Ct値)を測定し、比較Ct法(ΔΔCt法)によりβアクチン遺伝子PCR産物のCt値を基準とした上記21種類の遺伝子PCR産物のCt値の相対値を求め、かかるCt値の相対値から、上記21種類の遺伝子由来のPCR産物の相対量、すなわち上記21種類の遺伝子のmRNAの相対量を算出した。
1−3 結果
リアルタイムRT−PCRによって、リファンピシン添加による上記21種類の遺伝子の、SK−HEP−1細胞中での発現量の変動を解析した結果、リファンピシンを添加しない場合と比べて、リファンピシンを添加した場合、IL−8遺伝子のmRNAの発現量は2倍抑制されることが明らかとなった。なお、IL−8以外の他の20種類の遺伝子については、リファンピシン添加による有意なmRNAの発現量の変動は認められなかった。また、血清含有培養液を用いた場合と比べて、血清不含培養液を用いた場合、リファンピシンによるIL−8遺伝子の発現抑制効果は2.5倍高かった。リファンピシンの濃度が血清含有及び血清不含培養液で同じであるにもかかわらず、血清不含培養液でリファンピシンによるIL−8遺伝子の発現抑制効果が高かった理由としては、例えば培養液中に含まれる血清がリファンピシンの細胞内への浸透性を低下させたため、血清含有培養液においては、リファンピシンによるIL−8遺伝子の発現抑制効果が抑制されたことが考えられる。
2.IL−8遺伝子の発現が恒常的に亢進している細胞における、リファンピシンによるIL−8遺伝子の発現抑制効果
がん細胞の中にはIL−8遺伝子の発現が恒常的に亢進しているものが知られている。そこで、リファンピシンによるIL−8遺伝子の発現抑制効果が、かかる細胞においても認められるかどうかについて解析を行った。まず、2種類の正常線維芽細胞株(TIG−3、WI−38)と、11種類の肝がん細胞株(HuH−7、Hep−3B、Hep G2、Li−7、SK−HEP−1、KIM−1、KYN−1、KYN−2、KYN−3、HAK−1A、及びHAK−1B)におけるIL−8遺伝子のmRNAの発現量について、上記実施例1記載の方法により解析を行った(図1)。その結果、4種類の肝がん細胞株(HuH−7、Hep−3B、Li−7、及びSK−HEP−1)について、IL−8遺伝子の発現が恒常的に亢進していることが認められた(図1)。その中で特にIL−8遺伝子発現量が高かったHep−3B及びSK−HEP−1細胞株を用いて、上記実施例1に記載の方法によりIL−8遺伝子の発現量を解析したところ、Hep−3B細胞を用いた場合も、SK−HEP−1細胞を用いた場合と同様に、IL−8遺伝子の発現抑制効果が認められた。すなわち、Hep−3B細胞株を用いた場合、リファンピシン(25μg/ml又は50μg/ml)を含む血清含有培養液を用いたときには約30%、リファンピシン(25μg/ml又は50μg/ml)を含む血清不含培養液を用いたときには約80%のIL−8遺伝子の発現を抑制することが明らかとなった(図2の左図)。また、SK−HEP−1細胞株を用いた場合、リファンピシン25μg/ml又は50μg/ml)を含む血清含有培養液を用いたときには約50%、リファンピシン25μg/ml又は50μg/ml)を含む血清不含培養液を用いたときには約80%のIL−8遺伝子の発現を抑制することが明らかとなった(図2の右図)。これらの結果は、IL−8遺伝子の発現が恒常的に亢進している細胞においても、リファンピシンによるIL−8遺伝子の発現抑制効果が認められることを示している。
3.LPS(Lipopolysaccharide;リポ多糖)によるIL−8遺伝子発現の亢進に対するリファンピシンの阻害効果
さらに、IL−8遺伝子の発現量が少ない細胞においても、LPSによりIL−8遺伝子の発現量を亢進させた場合、同様にリファンピシンによるIL−8遺伝子発現抑制効果が認められるかどうかを解析した。IL−8遺伝子の発現量が少ない細胞株として、上記実施例2で解析した13種類の肝がん細胞株の中から、IL−8遺伝子の発現量が少ない3種類の肝がん細胞株(Hep G2、KYN−3、及びHAK−1B)を選択した。なお、LPSを含む血清不含培養液を用いてかかる3種類の肝がん細胞株をLPS存在下で培養したところ、LPSによるIL−8遺伝子発現の亢進はほとんど認められなかったため、血清含有培養液について解析を進めた。血清含有培養液に、LPS(Lipopolysaccharides from E.coli 055:B5、SIGMA社製)(1mg/ml in PBS)及びリファンピシン溶液(和光純薬社製)(25mg/ml in DMSO)をそれぞれ1000倍希釈になるように加え、かかるLPS(1μg/ml)及びリファンピシン(25μg/ml)を含む血清含有培養液(「LPS+RFP」)を用いて、上記3種類の肝がん細胞株(Hep G2、KYN−3、及びHAK−1B)を5時間培養した。また、コントロールとして、血清含有培養液(「NT」)や、LPS(1μg/ml)を含む血清含有培養液(「LPS」)を用いた。なお、リファンピシンを含まないこれらのコントロール培養液(上記「NT」や、「LPS」)には、リファンピシン含有培養液(上記「LPS+RFP」)と同濃度のDMSOが含まれるようにDMSOを添加した。
それぞれを培養した後、上記実施例1に記載の方法でRNAを回収し、リアルタイムRT−PCRによるmRNAの定量を行ったところ、上記3種類の肝がん細胞株いずれにおいてもLPS添加により亢進したIL−8遺伝子の発現を、リファンピシンの同時添加により完全に抑制できることが明らかとなった(図3)。この結果は、LPSなどによるIL−8遺伝子の発現の亢進が、リファンピシンにより阻害できることを示すとともに、LPSなどで亢進したIL−8遺伝子の発現をリファンピシンが抑制できることを示している。
4.リファンピシンの誘導体によるIL−8遺伝子の発現抑制効果
次に、リファンピシンの誘導体についてもリファンピシンと同様のIL−8遺伝子の発現抑制効果があるかどうかについて解析を行った。リファンピシンの誘導体として、リファマイシンSVナトリウム塩及び3−フォルミルリファマイシンSVナトリウム塩を用い、また、肝がん細胞株として、SK−HEP−1細胞株を用いて上記実施例1に記載の方法によりIL−8遺伝子の発現量を解析したところ、リファンピシンを用いた場合と同様に、IL−8遺伝子の発現抑制効果が認められた。すなわち、リファマイシンSV(25μg/ml)を含む血清含有及び血清不含の培養液を用いた場合、それぞれ約50%及び約80%のIL−8遺伝子の発現を抑制できることが明らかとなった(図4の左図)。また、3−フォルミルリファマイシンSV(25μg/ml)を含む血清含有及び血清不含の培養液を用いた場合、それぞれ約50%のIL−8遺伝子の発現を抑制できることが明らかとなった(図4の右図)。これらの結果は、リファンピシンの誘導体についてもリファンピシンと同様のIL−8遺伝子の発現抑制効果があることを示している。
5.IL−8遺伝子発現抑制におけるリファンピシンの作用濃度の検討
次に、肝がん細胞株(SK−HEP−1)を用いて、IL−8遺伝子の発現抑制する、リファンピシンの作用濃度について検討を行った。リファンピシンを含む血清含有又は血清不含の培養液として、1、3、10、30、又は100(μg/ml)のリファンピシン濃度のものを用いて上記実施例1に記載の方法によりIL−8遺伝子の発現量を解析したところ、リファンピシンを含む血清含有の培養液を用いた場合、リファンピシン濃度3μg/mlでIL−8遺伝子の発現量は約50%にまで減少しており、この結果は、リファンピシン濃度が1〜3μg/mlの間に50%のIL−8遺伝子の発現を抑制する濃度(IC50;Half maximal [50%] inhibitory concentration)値があることを示している(図5の左図)。また、リファンピシンを含む血清含有の培養液を用いた場合、少なくとも3μg/mlのリファンピシン濃度でIL−8遺伝子の発現を約50%抑制できることが明らかとなった(図5の左図)。一方、リファンピシンを含む血清不含の培養液を用いた場合、リファンピシン濃度1μg/mlでIL−8遺伝子の発現量は50%以下にまで減少しており、この結果はリファンピシン濃度が0〜1μg/mlの間にIC50値があることを示している(図5の右図)。また、リファンピシンを含む血清不含の培養液を用いた場合、少なくとも3μg/mlのリファンピシン濃度でIL−8遺伝子の発現を約80%抑制できることが明らかとなった(図5の右図)。
6.IL−8遺伝子発現抑制におけるリファンピシンの作用時間の検討
次に、肝がん細胞株(SK−HEP−1)を用いて、IL−8遺伝子の発現を抑制する、リファンピシンの作用時間について検討を行った。リファンピシンを含む血清含有又は血清不含の培養液として、10(μg/ml)のリファンピシン濃度の血清不含の培養液を用い、0、10、30、60、180、又は300分間それぞれインキュベータ内(37℃、5%CO条件下)でSK−HEP−1細胞株を上記培養液存在下で培養を行い、上記実施例1に記載の方法によりL−8遺伝子の発現量を行ったところ、リファンピシン添加後60〜180分の間にIL−8遺伝子のmRNAの発現量が減少することが認められた(図6)。この結果は、リファンピシンによるIL−8遺伝子の発現抑制効果は、少なくともリファンピシン添加後60〜180分の間に認められることを示している。また、リファンピシンによるIL−8遺伝子の発現抑制効果に即効性があることから、IL−8遺伝子のmRNAの代謝速度は速いことが予想される。
本発明のIL−8発現抑制剤によれば、インビトロ、エクスビボ又はインビボにおいて、IL−8の発現を効果的に抑制することができる。したがって、本発明は、IL−8の発現抑制に関する分野に有用に利用することができる。

Claims (2)

  1. 正常線維芽細胞と比較してIL−8遺伝子の発現が高い肝がん細胞に対するIL−8発現抑制剤であって、
    リファンピシン、リファンピシン誘導体、リファンピシンの薬理学的に許容しうる塩、又は、リファンピシン誘導体の薬理学的に許容しうる塩を含有し、
    前記リファンピシン又はリファンピシン誘導体が、以下の一般式(I)で示されるリファンピシン系抗生物質である、IL−8発現抑制剤
    [式中R は水素又はC1−3アルキルカルボニル基を示し、R は水素、C1−3アルキルカルボニル基、ヒドロキシカルボニルメチレン基又は置換基を有していてもよいアミノカルボニルメチレン基を示し、R は水素、ホルミル基、C1−10アルコキシイミノ基又は置換基を有していてもよいピペラジニルイミノ基、2,4−ジニトロアニリノイミノ基を示す。]
  2. リファンピシン系抗生物質が、リファンピシン、リファマイシン−SV、3−フォルミルリファマイシン、リファペンチン、リファマイシンBからなる群より選ばれる請求項に記載のIL−8発現抑制剤。
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