JP5495965B2 - 太陽電池パネル - Google Patents
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Description
人工衛星の太陽電池アレイは、複数の太陽電池パネルを屈曲可能な蝶番で結合して構成され、人工衛星を輸送するロケットの飛行中には振動等(動的環境)で破損しないように蝶番部で折りたたまれ、人工衛星が所定の軌道に投入された後に蝶番部を伸ばして太陽電池に太陽光が照射される。
そのため、太陽電池アレイを折りたたんだときに太陽電池パネル同士の間隔をできる限り狭くして、より多くの太陽電池パネルを収納できるようにしたい。
さらに、一つの太陽電池パネルにできる限り多くの太陽電池を搭載したい。
そこで、太陽電池パネルに搭載できる太陽電池の枚数が減らないように、太陽電池パネルに設ける貫通孔の大きさを小さくすることが望ましい。
しかし、電線の被覆が硬いと電線を貫通孔に挿入するために小さく曲げることができず、電線の屈曲部分が大きく盛り上がってしまい、太陽電池アレイを折りたたんで収納したときに隣接する太陽電池パネルに電線が干渉してしまう。
非特許文献2では、電源ケーブルの傷に起因する放電が電源ケーブル間の短絡故障に至る現象が報告されている。
太陽電池が表面に配置される太陽電池パネル基盤であって太陽電池パネル基盤を表面から裏面へ貫通する貫通孔を有する太陽電池パネル基盤と、
前記太陽電池パネル基盤の前記貫通孔に嵌め込まれる筒部を有する貫通孔スリーブと、
前記貫通孔スリーブの前記筒部に挿入され前記筒部の端部分で曲げられて前記太陽電池パネル基盤の表面と裏面とに配される電線であって太陽電池により得られた電流を流す導体線と前記導体線を覆う第1の被覆とを有すると共に前記筒部の端部分で曲げられる屈曲部を除いた部分に前記第1の被覆を覆う第2の被覆を有する電線とを備える。
電線の屈曲部以外に第2の被覆を設けることにより、電線の強度を高めると共に電線の屈曲部を小さくした太陽電池パネルについて説明する。
実施の形態1における太陽電池パネル100について、図1に基づいて説明する。
太陽電池パネル100は太陽電池板ともいい、太陽電池は太陽電池セルともいう。太陽電池とは、光起電力効果により太陽光エネルギーを電力に変換する部品(素子)である。
心材111には軽量で強度が高い構造を有する材料(例えば、アルミハニカムコア)を用い、表皮112には炭素繊維や芳香族系高分子繊維などで強化したプラスチックが用いる。
そこで、太陽電池パネル基盤110には電線130Aを表面側から裏面側に通すための貫通孔を設け、この貫通孔に貫通孔スリーブ120を嵌め込む。
貫通孔スリーブ120は、中空の円筒部を有すると共に円筒部の両端に鍔部を有して断面I字状を成す。円筒部は電線130Aを通すと共に電線130Aと心材111とを絶縁し、両端の鍔部は貫通孔の径よりも大きな径を有して基盤両面の貫通孔周囲を覆い、心材111の露出を防ぐ。
貫通孔スリーブ120は、上下に2分割しておき、上半分と下半分とを太陽電池パネル基盤110の表面側と裏面側とから貫通孔に挿入して太陽電池パネル基盤110に取り付ける。但し、貫通孔スリーブ120は3分割以上に分割しても構わない。
電線130Aは、太陽電池により得られた電流を流す導体線131と、導体線131を覆う第一の絶縁被覆132と、第一の絶縁被覆132を覆う第二の絶縁被覆133とで構成している。
第一の絶縁被覆132にはやわらかくて可撓性(曲げやすい性質)に優れた材料を用い、第二の絶縁被覆133には硬くて機械的強度が高く耐放射線性に優れた材料を用いる。
例えば、導体線131は複数の細い金属線を縒り合せたものであり、第一の絶縁被覆132は管状のフッ素樹脂絶縁被覆から成り、第二の絶縁被覆133は管状のポリイミドプラスチックから成る。
例えば、衛星軌道上の架電粒子環境での放電等の現象により導体線131と基盤裏面の表皮112との間で短絡故障が発生する、という可能性を低減できる。
したがって、電線130Aの屈曲部は可撓性が高いため小さい曲率半径で曲げることができ、太陽電池パネル基盤110から突き出る電線130Aの屈曲部の高さH(太陽電池パネル基盤110の表面または裏面から電線130Aの屈曲部の頂部までの高さ)を低くすることができる。
さらに、太陽電池パネル基盤110の表皮112及び太陽電池パネル基盤110の心材111が上記貫通孔内で露出しないように、上記貫通孔の径よりも大きな径の鍔を持つ絶縁性材料製の貫通孔スリーブ120を上記貫通孔に取り付ける。
そして、導体線131と第一の絶縁被覆132よりなる電線を貫通孔スリーブ120に通して太陽電池パネル100の表裏に電流経路を設け、上記貫通孔近傍を除いた全ての区間に上記電線を覆うように第二の絶縁被覆133を付設する。
さらに、電線が貫通孔に入るところで電線の高さHを低くし、ロケット打上時に隣接する太陽電池パネル100との干渉を回避することができる。
例えば、図2に示すように第二の絶縁被覆を有さない電線230Aを使用した場合、電線230Aの屈曲部の大きさHを上記の太陽電池パネル100と同様に小さくできる。
しかし、絶縁被覆232はやわらかくて可撓性が高い分、傷が付き易いため、導体線231が露出しやすく、太陽電池パネル基盤110の裏面側で導体線231と太陽電池パネル基盤110とが短絡しやすい。
例えば、図3に示すように第二の絶縁被覆233を有さない部分がない電線230Bを使用した場合、電線230Bに第二の絶縁被覆233を有するため導体線231が露出する可能性は上記の太陽電池パネル100と同様に低減することができる。
しかし、第二の絶縁被覆233は強固な分、可撓性が低く小さく曲げることが困難なため、電線230Bの屈曲部の大きさHを小さくすることができない。
貫通孔スリーブの鍔部に電線130Aの第二の絶縁被覆133を接する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態1と同様である。
実施の形態2における太陽電池パネル100について、図4に基づいて説明する。
電線130Aの第二の絶縁被覆133の端部は、貫通孔スリーブ121の鍔部に配置する。つまり、電線130Aは第二の絶縁被覆133の端部が貫通孔スリーブ121の鍔部に載るように配される。
これにより、第二の絶縁被覆133を有さない電線130Aの屈曲部(特に、第二の絶縁被覆133との境界部分)を第一の絶縁被覆132と貫通孔スリーブ121の鍔部とで二重に絶縁することができる。
貫通孔スリーブの筒部を斜めにして電線を斜めに貫通孔スリーブに挿入する形態について説明する。
以下、実施の形態1および実施の形態2と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態1または実施の形態2と同様である。
実施の形態3における太陽電池パネル100について、図5に基づいて説明する。
太陽電池パネル基盤110には貫通孔スリーブ122の筒部の形状に合わせて太陽電池パネル基盤110の表面から裏面へ斜めに貫通する貫通孔を有する。
したがって、電線130Bを貫通孔スリーブ122に挿入するために電線130Bを浅い角度で曲げればよく、電線130Bの屈曲部に第二の絶縁被覆133を有しても電線130Bの屈曲部の曲率半径は小さく、太陽電池パネル基盤110から突き出る電線130Bの高さHは低い。
さらに、太陽電池パネル基盤110の表皮112及び心材111が上記貫通孔内で露出しないように、上記貫通孔の径よりも大きな径の鍔を持つ絶縁性材料製の貫通孔スリーブ122を上記貫通孔に取り付ける。
そして、導体線131、第一の絶縁被覆132及び第二の絶縁被覆133よりなる電線130Bを貫通孔スリーブ122に通して太陽電池パネル100の表裏に電流経路を設ける。
上記貫通孔の中心軸は、太陽電池パネル基盤110の絶縁フィルム113または表皮112と直交していない。
電線130Bは、上記貫通孔の中心軸と絶縁フィルム113または表皮112とのなす角度が直角よりも小さい側から貫通孔スリーブ122の穴に通す。
これにより、貫通孔スリーブ122上での電線130Bの高さHの増加を回避することができる。
実施の形態3において、実施の形態1(図1参照)と同様に、電線130Aから屈曲部間の第二の絶縁被覆133を取り除き、太陽電池パネル基盤110から突き出る電線130Aの屈曲部の高さHをさらに低くしてもよい(図6参照)。
また、実施の形態2(図4参照)と同様に、電線130Bの第二の絶縁被覆133を貫通孔スリーブ121の筒部に接して絶縁性を高めてもよい(図7参照)。
さらに、電線130Aから屈曲部間の第二の絶縁被覆133を取り除くと共に電線130Aの第二の絶縁被覆133を貫通孔スリーブ121の筒部に接してもよい(図8参照)。
Claims (7)
- 太陽電池が表面に配置される太陽電池パネル基盤であって太陽電池パネル基盤を表面から裏面へ貫通する貫通孔を有する太陽電池パネル基盤と、
前記太陽電池パネル基盤の前記貫通孔に嵌め込まれる筒部を有する貫通孔スリーブと、
前記貫通孔スリーブの前記筒部に挿入され前記筒部の端部分で曲げられて前記太陽電池パネル基盤の表面と裏面とに配される電線であって太陽電池により得られた電流を流す導体線と前記導体線を覆う第1の被覆とを有すると共に前記筒部の端部分で曲げられる屈曲部を除いた部分に前記第1の被覆を覆う第2の被覆を有する電線と
を備えたことを特徴とする太陽電池パネル。 - 前記電線は、前記筒部に挿入される部分と前記屈曲部とを除いた部分に前記第2の被覆を有する
ことを特徴とする請求項1記載の太陽電池パネル。 - 前記貫通孔スリーブは、前記筒部の端部分に太陽電池パネル基盤の貫通孔周囲を覆う鍔部を有し、
前記電線の前記第2の被覆の端部は、前記貫通孔スリーブの前記鍔部に配置される
ことを特徴とする請求項2記載の太陽電池パネル。 - 前記太陽電池パネル基盤の前記貫通孔は、前記太陽電池パネル基盤を斜めに貫通し、
前記貫通孔スリーブの前記筒部は、前記太陽電池パネル基盤を斜めに貫通する前記貫通孔に嵌め込まれ、
前記電線は、前記太陽電池パネル基盤を斜めに貫通する前記貫通孔スリーブの前記筒部に挿入される
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載の太陽電池パネル。 - 太陽電池が表面に配置される太陽電池パネル基盤であって太陽電池パネル基盤を表面から裏面へ貫通する貫通孔を有する太陽電池パネル基盤と、
前記太陽電池パネル基盤の前記貫通孔に嵌め込まれる筒部を有する貫通孔スリーブと、
前記貫通孔スリーブの前記筒部に挿入され前記筒部の端部分で曲げられて前記太陽電池パネル基盤の表面と裏面とに配される電線であって太陽電池により得られた電流を流す導体線と前記導体線を覆う第1の被覆とを有する電線と
を備え、
前記太陽電池パネル基盤の前記貫通孔は、前記太陽電池パネル基盤を斜めに貫通し、
前記貫通孔スリーブの前記筒部は、前記太陽電池パネル基盤を斜めに貫通する前記貫通孔に嵌め込まれ、
前記電線は、前記太陽電池パネル基盤を斜めに貫通する前記貫通孔スリーブの前記筒部に挿入される
ことを特徴とする太陽電池パネル。 - 前記電線は、前記第1の被覆を覆う第2の被覆を有する
ことを特徴とする請求項5記載の太陽電池パネル。 - 前記第1の被覆は前記第2の被覆より可撓性が高く、前記第2の被覆は前記第1の被覆よりも強度が高い
ことを特徴とする請求項1〜請求項4、請求項6いずれかに記載の太陽電池パネル。
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