JP5493994B2 - 非鉄製錬炉の操業方法及び投入装置 - Google Patents
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Description
ここで、ランスを用いて鉱石をフラックス及び酸素富化空気等とともに非鉄製錬炉内へと供給した際やスクラップ屑を投入した際には、非鉄製錬炉内の熔体が跳ね上がって熔体の飛沫が発生する。また、スクラップ屑等に含まれた可燃成分が炉内で燃焼することによってダストが発生する。さらに、炉内の亜鉛や鉛等の揮発成分が揮発する。このように、非鉄製錬炉内には、熔体の飛沫、ダスト及び揮発成分等が浮遊しており、これら熔体の飛沫、ダスト及び揮発成分等が炉壁部や炉底部に付着して厚く堆積することによって、強固な鋳付きが発生することになる。
そこで、従来では、炉壁部や炉底部に強固な鋳付きが発生した場合、非鉄製錬炉の操業を一旦停止して、例えば特許文献2に示すような炉内付着物除去装置を用いて鋳付きを除去する作業を行っていた。この特許文献2に示す炉内付着物除去装置は、粉コークス等の還元剤を鋳付きに向けて吹き付けることで、鋳付きを低融点スラグ化して除去する構成とされている。なお、この炉内付着物除去装置では、還元剤を炉壁部や炉底部に発生した鋳付きに確実に接触させるために、粒径が約2mmとされた粉コークスを、高圧のガスによって移送する構成とされている。
しかしながら、このバーナーによる溶解作業においては、投入孔部を開放することになるため、炉内に外気が混入してしまい、炉内のガスバランスが変動するおそれがあった。
また、バーナーによる溶解作業は人力によって行われることから、鋳付き除去作業を効率的に行うことはできなかった。
また、投入孔部の鋳付きを除去するためには、スクラップ屑の処理を一旦停止する必要があり、さらにはドラフトを保つために鉱石処理量及び送風量を減ずる必要があり、炉の処理効率が大幅に低下するといった問題があった。
このように、投入孔部への強固な鋳付きの発生が防止されることから、非鉄製錬炉の操業を停止して鋳付き除去作業を行う必要がなくなり、非鉄製錬炉の稼働率を大幅に向上させることができる。
この場合、前記投入孔部内における前記粉コークスの流速が80mm/sec以上とされていることから、燃焼済みの粉コークスを炉内へと排出することができ、投入孔部内を新たな粉コークスを投入孔部内に浮遊させることができる。また、前記粉コークスの流速が140mm/sec以下とされていることから、吹き込んだ粉コークスが投入孔部内で浮遊することになり、投入孔部内を還元性雰囲気とすることができる。
また、前記還元剤供給部は、粉コークスを窒素ガスによって前記投入孔部に吹き込む構成とされているので、還元剤として粉コークスが前記投入孔部に吹き込まれることになり、投入孔部内を確実に還元性雰囲気とすることができる。さらに、粉コークスが燃焼することによって投入孔部内を加熱することができる。よって、投入孔部に付着した熔体の飛沫、ダスト及び揮発成分等を除去して、投入孔部の閉塞を確実に防止することが可能となる。
本実施形態である非鉄製錬炉の操業方法の対象となる非鉄製錬炉は、例えば図1に示すような連続製銅設備において使用されるものである。
分離炉3において分離されたスラグSは、別途回収されることになる。また、溶錬炉10等で生成したSO2ガス等の含硫ガスは、図示しない硫酸工場へと移送され、硫酸又は石膏(CaS04)として回収される。
また、製銅炉20には、電解製錬でアノード板として使用された銅板、いわゆるアノードスクラップPが投入される。このアノードスクラップPは銅品位が高いことから、下流側の製銅炉20に投入することで、複雑な工程を経ることなく、その銅分が回収されることになる。
ここで、溶錬炉10及び製銅炉20においては、前述のように、ランス15,25によって、銅精鉱、フラックス、冷材が酸素富化空気とともに炉内へと供給されることから、溶錬炉10及び製銅炉20内の熔体が跳ね上がって熔体の飛沫が発生する。また、炉内の可燃成分が燃焼することによってダストが発生する。さらに、熔体中の亜鉛や鉛等の揮発成分が揮発することになる。このように溶錬炉10及び製銅炉20内には、亜鉛や鉛等の揮発成分、ダスト、熔体の飛沫等が浮遊しており、これら熔体の飛沫、ダスト及び揮発成分が、炉内のガス流れによって投入孔部31,41に飛来して付着することになる。
本実施形態である非鉄製錬炉の操業方法は、この溶錬炉10及び製銅炉20に設けられたスクラップ投入装置30,40の投入孔部31,41の閉塞を防止するものである。
投入管32は、その内周孔部分が投入孔部31とされており、この投入孔部31は、下端が溶錬炉10の内部空間に連通されているとともに上端が蓋部33によって閉止されている。
コークス供給部39は、投入孔部31に連通されたコークス供給孔を備えており、粉コークスを窒素ガスの気流に乗せて投入孔部31内に吹き込む構成とされている。
また、投入孔部41のうちコークス供給部49が接続された側の壁面は、鉛直方向に沿って延在した縦壁41Aとされており、アノードスクラップ供給部44が接続された側の壁面は、下方に向かうにしたがい漸次縦壁41Aに近接するように傾斜した傾斜壁41Bとされている。
コークス供給部49は、投入孔部41に連通されたコークス供給孔を備えており、粉コークスを窒素ガスの気流に乗せて投入孔部41内に吹き込む構成とされている。
このとき、コークス供給部39から、投入孔部31に対して粉コークスが常時吹き込まれている。吹き込まれる粉コークスの粒径は50μm以上250μm以下とされている。また、投入孔部31内における粉コークスの流速が、80mm/sec以上140mm/sec以下となるように、粉コークスを移送する窒素ガスの吐出圧力が調整されている。
このとき、コークス供給部49から、投入孔部41に対して粉コークスが常時吹き込まれている。吹き込まれる粉コークスの粒径は50μm以上250μm以下とされている。また、投入孔部41内における粉コークスの流速が、80mm/sec以上140mm/sec以下となるように、粉コークスを移送する窒素ガスの吐出圧力が調整されている。
このように、投入孔部31,41への強固な鋳付きの発生が防止されることから、溶錬炉10及び製銅炉20の操業度を下げて鋳付き除去作業を行う必要がなくなり、溶錬炉10及び製銅炉20の操業効率を大幅に向上させることができる。
例えば、連続製銅設備の溶錬炉及び製銅炉に対してスクラップ屑を投入する投入孔部の閉塞を防止するものとして説明したが、これに限定されることはなく、自溶炉等の他の非鉄製錬炉の投入孔部に適用してもよいし、スクラップ屑以外のものを投入する投入孔部に適用してもよい。
さらに、本実施形態では、連続して粉コークスを吹き込む構成として説明したが、間欠的に粉コークスを投入孔部に吹き込むように構成してもよい。この場合、投入孔部に揮発成分、ダスト、熔体の飛沫等が強固に付着する前に粉コークスを吹き込むように、吹き込み間隔を調整する必要がある。
比較例1として、前述の実施の形態で説明したスクラップ投入装置30を用いて、粉コークスの吹き込みを行わずにスクラップ屑を溶錬炉内に投入して、溶錬炉の操業を実施した。
また、本発明例1として、前述の実施の形態で説明したスクラップ投入装置30を用いて、粉コークスの吹き込みを連続的に行いながらスクラップ屑を溶錬炉内に投入して、溶錬炉の操業を実施した。なお、粉コークスの粒径を50μm以上250μm以下とし、投入孔部内における粉コークスの流速を80mm/sec以上140mm/sec以下に調整した。
一方、本発明例1では、操業開始から終了まで、スクラップ投入装置の投入孔部の閉塞は起らず、継続して操業を行うことができた。
このように、投入孔部に対して粉コークスを吹き込むことにより、投入孔部の閉塞が防止され、スクラップの使用量及び鉱石処理量の増加を図ることが可能であることが確認された。
また、本発明例2として、前述の実施の形態で説明したスクラップ投入装置40を用いて、粉コークスの吹き込みを連続的に行いながらアノードスクラップを製銅炉内に投入して、製銅炉の操業を実施した。なお、粉コークスの粒径を50μm以上250μm以下とし、投入孔部内における粉コークスの流速を80mm/sec以上140mm/sec以下に調整した。
一方、本発明例2では、操業開始から終了まで、スクラップ投入装置の投入孔部の閉塞は起らず、継続して操業を行うことができた。
このように、製銅炉においても、投入孔部に対して粉コークスを吹き込むことにより、投入孔部の閉塞が防止され、アノードスクラップの使用量及び鉱石処理量の増加を図ることが可能であることが確認された。
20 製銅炉(非鉄製錬炉)
30,40 スクラップ投入装置(投入装置)
31,41 投入孔部
34、44 スクラップ屑供給部(被投入物供給部)
39,49 コークス供給部(還元剤供給部)
Claims (4)
- 被投入物を投入する際に用いられる投入孔部を備えた非鉄製錬炉の操業方法であって、
前記投入孔部内に対して還元剤を吹き込み、前記投入孔部内を還元性雰囲気とすることにより、前記投入孔部の閉塞を防止する構成とされており、
前記還元剤が粉コークスであり、この粉コークスを燃焼させることで前記投入孔部内を加熱する構成とされ、
前記粉コークスは、その粒径が50μm以上250μm以下とされていることを特徴とする非鉄製錬炉の操業方法。 - 前記投入孔部内における前記粉コークスの流速が、80mm/sec以上140mm/sec以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の非鉄製錬炉の操業方法。
- 非鉄製錬炉に備えられ、炉内に被投入物を投入する際に用いられる投入装置であって、
前記被投入物を投入するための投入孔部を備えた被投入物供給部と、この投入孔部に対して還元剤を吹き込むための還元剤供給部と、を備えており、
前記還元剤供給部は、粒径が50μm以上250μm以下の粉コークスを窒素ガスによって前記投入孔部に吹き込む構成とされていることを特徴とする投入装置。 - 前記還元剤供給部は、前記投入孔部内における前記粉コークスの流速が、80mm/sec以上140mm/sec以下となるように、前記粉コークスを移送する窒素ガスの吐出圧力を調整することを特徴とする請求項3に記載の投入装置。
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