JP5487900B2 - 冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、潜熱蓄熱材を充填したマイクロカプセルを分散させた冷媒を用いた冷却装置に関する。
エンジン等を冷却するための装置であって、潜熱蓄熱材を混合した冷媒を循環させる冷却装置が知られている。特許文献1に開示された内燃機関の装置では、潜熱蓄熱材を覆ったカプセル粒子を含有した媒体が内燃機関本体内の液体流路とラジエータとを循環する。
特許文献2に開示された冷却装置では、樹脂カプセル内に封入した潜熱蓄熱材を冷却水中に混入し、エンジンとラジエータとの間で循環させると共に、潜熱蓄熱材の溶融率に基づいて冷媒の循環流量を制御している。
このようなカプセル内に潜熱蓄熱材を封入させて冷却経路に分散させた冷却系では、冷却水よりも比熱の小さい潜熱蓄熱材を選択することにより、冷間始動時に暖機を促進する。さらに、潜熱蓄熱材が被冷却対象物(発熱部)の温度域で固相から液相へ相変化し、放熱時の温度域で液相から固相へ相変化することにより、発熱部から吸収して外部へ放出する熱量(輸送可能熱量)を大幅に増加して、冷却系の冷却能力を向上する。
特開2003−129844号公報 特開2007−211657号公報
ところが、潜熱蓄熱材が液相から固相へ相変化する場合、温度変化が見られないため、冷媒の温度変化に基づいて、潜熱蓄熱材が発熱部から吸収する熱量を検出することができない。すなわち、潜熱蓄熱材が液相から固相へ相変化する際の冷媒の輸送可能熱量が把握できない。従って、潜熱蓄熱材を封入させたカプセルを分散させた冷媒を用いた冷却装置において、冷媒の輸送可能熱量を把握しないまま、冷媒の循環が行われている場合がある。このため、潜熱蓄熱材を用いたメリットが存分に生かされていないことがあった。
そこで、本発明は、潜熱蓄熱材を封入させたカプセルを分散させた冷媒を用いた冷却装置において、輸送可能熱量を把握した冷媒を循環させる冷却装置を提供することを目的とする。
かかる課題を解決する本発明の冷却装置は、蓄熱材が封入されたマイクロカプセルが分散された冷媒と、前記冷媒が循環するように発熱部と放熱部とを接続して形成された冷媒通路と、前記発熱部の下流に配置され、前記冷媒の温度を測定する冷媒温度測定手段と、前記冷媒通路上に配置され、前記冷媒の圧送量を可変とする圧送手段と、前記冷媒通路における前記冷媒の循環量を制御する前に、前記圧送手段の圧送量を減少させることにより、前記冷媒の輸送可能熱量を検出する検出手段と、を備え、前記検出手段は、前記圧送手段の圧送量変更前に予め冷媒の上昇温度を推定し、前記圧送手段による圧送量変更後に前記冷媒温度測定手段が測定した冷媒の上昇温度と、予め推定した冷媒の上昇温度と、を比較して前記冷媒の輸送可能熱量を検出することを特徴とする。
このような構成とすることにより、冷媒の輸送可能熱量を検出することができる。圧送手段による冷媒の圧送量が減少することにより、冷媒の移動が遅くなるため、発熱部において冷媒が吸収する熱量が増加する。このように冷媒が吸収する熱量が増加することにより、蓄熱材が吸収する熱量も増加し、蓄熱剤の固相から液相への相変化が完了する。相変化が行われている間には、冷媒の温度変化が見られないが、相変化が完了することにより、冷媒の温度上昇を検出することができる。この冷媒の温度上昇に基づいて、冷媒の輸送可能熱量を検出し、圧送手段による冷媒の圧送量を決定できる。
また、本発明の冷却装置は、蓄熱材が封入されたマイクロカプセルが分散された冷媒と、前記冷媒が循環するように発熱部と放熱部とを接続して形成された冷媒通路と、前記発熱部の下流に配置され、前記冷媒の温度を測定する冷媒温度測定手段と、前記冷媒通路上に配置され、前記冷媒の圧送量を可変とする圧送手段と、前記冷媒通路における前記冷媒の循環量を制御する前に、前記圧送手段の圧送量を減少させることにより、前記冷媒の輸送可能熱量を検出する検出手段と、を備え、前記検出手段は、前記発熱部から発生する熱流束を推定する発生熱推定手段と、前記放熱部において放出される熱流束を推定する放出熱推定手段と、前記発生熱推定手段が推定した前記熱流束と、前記放出熱推定手段が推定した前記熱流束とから前記マイクロカプセルに封入された蓄熱材の潜熱、及び固相割合を推定する蓄熱材状態推定手段と、を備え、前記圧送手段の圧送量変更前に、前記蓄熱材状態推定手段により推定された蓄熱材の状態から冷媒の上昇温度を推定し、推定した冷媒の上昇温度と、前記圧送手段による圧送量変更後において前記冷媒温度測定手段が測定した冷媒の上昇温度と、を比較して前記冷媒の輸送可能熱量を検出することを特徴とする。
上記冷却装置において、前記検出手段は、推定した冷媒の上昇温度と前記冷媒温度測定手段が測定した冷媒の上昇温度との差が閾値を超えている場合、ユーザに警告をする制御であるフェールセーフ制御を実行することができる。
上記冷却装置において、前記発熱部をエンジン本体、前記放熱部をラジエータ、前記圧送手段をウォータポンプとすることができる。このような構成によると、本発明の冷却装置は、エンジンの冷却装置として用いることができる。
本発明の冷却装置は、冷媒の輸送可能熱量を把握し、発熱部から吸収すべき熱量に適した量の冷媒を供給することができる。
実施例の冷却装置を示した説明図である。 実施例1のウォータポンプの冷媒圧送量の最適化制御を示したフローの説明図である。 ウォータポンプの停止による温度変化の予測に用いるマップである。 エンジンの運転中においてウォータポンプの運転のON/OFFを切り替えた場合の温度センサの測定値についての時間応答を示した説明図である。 エンジン運転中の冷媒温度について本実施例と従来例とを比較した説明図である。 輸送可能熱量とウォータジャケットの出入口の温度差との関係を示した説明図である。 実施例2のウォータポンプの冷媒圧送量の最適化制御を示したフローの説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。
本発明の実施例1について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例の冷却装置1を示した説明図である。冷却装置1は、発熱部に相当するエンジン本体2、放熱部に相当するラジエータ3とを備えている。さらに、エンジン本体2内にはウォータジャケット4が形成されている。ウォータジャケット4とラジエータ3とは第1通路5、第2通路6により接続されており、ラジエータ3、ウォータジャケット4、第1通路5、第2通路6が冷媒通路を形成している。この冷媒通路には冷媒10が封入されている。また、ウォータジャケット4内に本発明の圧送手段に相当するウォータポンプ7が配置されている。ウォータポンプ7が運転されることにより、冷媒10がウォータジャケット4、第1通路5、ラジエータ3、第2通路6の順に通過して冷媒通路内を循環する。このウォータポンプ7はECU(Electronic Control Unit)8と電気的に接続されており、ECU8からの指令信号に従って、圧送量を変更することができる。さらに、第1通路5には、冷媒の温度を測定する温度センサ9が配置されている。温度センサ9はECU8と電気的に接続されている。
ECU8は、CPU(中央演算装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)、入出力ポートを双方向バスで接続した公知の形式のディジタルコンピュータからなり、エンジンの運転状態を把握するために設けられている各種センサや作動装置と信号をやり取りしてエンジンを制御する。さらに、ECU8は本発明の検出手段に相当し、冷媒通路における冷媒10の循環量を制御する前に、ウォータポンプ7による冷媒10の圧送量を変更させることにより冷媒10の輸送可能熱量を検出する。
冷媒10はマイクロカプセル11を分散させたエンジン用の冷却水である。マイクロカプセル11は1〜100μmの粒径のカプセル粒子であり、冷媒10が取り得る温度域では溶解しないメラニン樹脂から形成されている。このマイクロカプセル11には、潜熱蓄熱材が封入されている。潜熱蓄熱材は、エンジン本体2の暖機時の温度域において固相と液相との相変化が起こる物質を採用する。また、潜熱蓄熱材は、エンジン本体2の暖機時の温度域以下で、水よりも比熱が低いことが望ましい。このような潜熱蓄熱材は、例えば、ステアリン酸、n−オクタコサン(直鎖)等が選択可能である。例えば、潜熱蓄熱材としてステアリン酸を用いるとする場合、1gの水が1℃上昇するのに吸収する熱量が4.2Jであるのに対し、1gのステアリン酸が固体から液体へ相変化する際に吸収する熱量が203Jである。すなわち、ステアリン酸は固相から液相へ相変化する際に同じ質量の水の50倍の熱量を吸収することができる。また、冷却水はエンジン用の冷却液として一般に用いられるLLC(Long Life Coolant)を用いることができる。
次に、ウォータポンプ7の冷媒圧送量の最適化制御について説明する。図2はウォータポンプ7の冷媒圧送量の最適化制御を示したフローの説明図である。ECU8は冷媒通路における冷媒10の循環量を制御する際、言い換えれば、ウォータポンプ7の圧送量を決定する際に、当該制御を実行する。以下、図2のフローに従って説明する。
ECU8はステップS11において、エンジン本体2から発生する発生熱流束を推定する。エンジン本体2からの発生熱流束は、予め作成された発生熱マップを参照して推定される。ここでは、エンジン回転数に基づき、エンジン本体2からの発生熱流束を推定するように発生熱マップが作成されている。なお、発生熱マップは、エンジン回転数に代えて、燃料噴射量、または供給空気量等のエンジンの運転状態を判断できる諸元に基づいてエンジン本体2からの発生熱流束を推定するように作成してもよい。
ECU8はステップS11の処理を終えると、ステップS12へ進む。ECU8はステップS12において、冷媒10中のマイクロカプセル11の濃度を仮定する。
ECU8はステップS12の処理を終えると、ステップS13へ進む。ECU8はステップS13において、ラジエータ3において放出される放出熱流束を推定する。ラジエータ3における放出熱流束は、予め作成された放出熱マップを参照して推定される。ここでは、ウォータポンプ7の回転数に基づき、ラジエータ3における放出熱流束を推定するように放出熱マップが作成されている。なお、放出熱マップは、ウォータポンプ7の回転数に代えて、外気温、または冷却水温等のラジエータ3における冷媒と空気との熱交換量とが推定できる諸元に基づいて、ラジエータ3における放出熱流束を推定するように作成してもよい。
ECU8はステップS13の処理を終えると、ステップS14へ進む。ECU8はステップS14において、冷媒10中のマイクロカプセル11に封入された潜熱蓄熱材の固相割合を推定する。ここで、潜熱蓄熱材の固相割合について説明する。固相割合は、冷媒10内の全マイクロカプセル11に封入された潜熱蓄熱剤中、固相の潜熱蓄熱材の割合を示した値である。例えば、冷媒10中に潜熱蓄熱材が液相となったマイクロカプセル11しか存在しない場合、固相割合は0%である。一方、冷媒10中に潜熱蓄熱材が固相となったマイクロカプセル11しか存在しない場合、固相割合は100%である。
ステップS14の具体的な処理は、以下の通りである。ECU8はステップS11において推定したエンジン本体2からの発生熱流束、及び、ステップS13において推定したラジエータ3における放出熱流束から潜熱蓄熱材が吸収した潜熱量を推定する。すなわち、発生熱流束と放出熱流束とから冷媒が受け入れた熱量を推定し、これと、温度センサ9から測定された冷媒の温度を参照し潜熱蓄熱材が吸収した潜熱量Qを推定する。続いて、ECU8は潜熱蓄熱材が吸収した潜熱量Qから潜熱蓄熱材の固相割合を推定する。潜熱蓄熱材は、吸収した熱量分だけ固相から液相へ相変化していると考えられるため、全ての潜熱蓄熱材を固相から液相に変えるために要する熱量Qから吸収した潜熱量Qを差し引いた分が、まだ固相の状態の潜熱蓄熱材が液相へ相変化するのに必要な熱量Qに相当する。すなわち、固相の状態の潜熱蓄熱材が液相へ相変化するのに必要な熱量Qが、全ての潜熱蓄熱材を固相から液相へと変えるための熱量Qに対してどれだけの割合となるかを算出する。ここで得られた値Q/Qが潜熱蓄熱材の固相割合である。
ECU8はステップS14の処理を終えると、ステップS15へ進む。ECU8はステップS15において、ウォータポンプ7の圧送量を変更した際の冷媒10の温度変化を予測する。ここでは、予め作成されたマップを用いて温度変化を予測する。温度変化の予測に用いられるマップは、ウォータポンプ7を一定時間停止してその後運転した場合の温度変化を、エンジン本体2から得られる熱流束ごとに取得して作成されている。このマップは実際に運転する場合と同様の条件でエンジンを運転して取得したデータに基づいて作成されている。図3は、このようなマップの一例を示した説明図である。図3のマップの実線はマイクロカプセル11内の潜熱蓄熱材が100%想定通り作用した場合、破線はマイクロカプセル11内の潜熱蓄熱材が50%の働きしかしていない場合を示している。ECU8は、これらの値をもとにセンサ値を内分することにより、この間の割合、例えば、マイクロカプセル11内の潜熱蓄熱材が60%、75%、90%機能している場合などについても推定することができる。そして、ECU8はステップS14で取得した潜熱蓄熱材の固相割合の値を参照して曲線中のピークの値を温度上昇の推定値として取得する。
なお、温度上昇量ΔTの算出メカニズムは、以下の式(1)に示すとおりである。但し、冷媒量Mの取得が困難であるため、本実施例では、上記マップを用いて温度上昇の推定値を算出する。
ΔT = (Q − Q)/M/C (1)
:ウォータポンプ停止中に冷媒に投入される熱量
:冷媒の相変化吸収可能熱量
C:流体の比熱(相変化ない場合)
M:冷媒量(発熱部位における)
ECU8はステップS15の処理を終えると、ステップS16へ進む。ECU8はステップS16において、ウォータポンプ7を一時停止する。ECU8はステップS16の処理を終えると、ステップS17へ進む。ECU8はステップS17において、ウォータポンプ7の運転を再開する。ECU8はステップS17の処理を終えると、ステップS18へ進む。ECU8はステップS18において、温度センサ9の温度変化を検出する。
ここで、ステップS16からステップS18までの処理について説明する。図4はエンジンの運転中においてウォータポンプ7の運転のON/OFFを切り替えた場合の温度センサ9の測定値についての時間応答を示した説明図である。ウォータポンプ7を停止した場合、冷媒10の循環が滞る。これにより、ウォータジャケット4内に留まる冷媒10は、冷媒10が冷媒通路を循環する場合と比較して多くの熱量をエンジン本体2から受けることとなる。この状態において、ウォータジャケット4内に留まる冷媒10がエンジン本体2から受ける熱は、潜熱蓄熱材の固相から液相への相変化による受熱量を超え、マイクロカプセル11の潜熱蓄熱材が全て液相に変化する。この状態で、冷媒10はエンジン本体2から受ける熱を潜熱として回収することができず、顕熱として回収する。すなわち、冷媒10の温度が上昇する。また、言い換えると、ECU8はウォータポンプ7を停止することにより、冷媒10に対して、潜熱蓄熱剤の固相割合が0となる受熱量(輸送可能熱量)を超える熱量を与え、顕熱としてエンジン本体2からの熱を吸収させる。この状態からウォータポンプ7の運転を再開すると、温度の上昇した冷媒10が流れ、冷媒の温度の上昇が温度センサ9により検出される。
すなわち、ステップS16におけるウォータポンプ7の運転の停止により温度の上昇した冷媒が、ステップS17におけるウォータポンプ7の運転の再開により冷媒通路を流れ、ステップS18において温度センサ9により冷媒の温度が検出される。
ECU8はステップS18の処理を終えると、ステップS19へ進む。ECU8はステップS19において、ステップS15で予測した温度変化とステップS18で検出して取得した温度センサ9の温度変化を比較し、両者が一致するか否かを判断する。ここで、ステップS15で予測した温度変化と、ステップS18における実測の温度変化とは、ある程度の許容範囲をもって一致と認めることができる。例えば、5%の差を一致とみなすとしてもよい。また、ECU8は、予測した温度変化と温度センサ9が検出した温度変化とが一致すると判断する場合、ウォータポンプ7を停止したことにより冷媒10に与えた熱量を、冷媒10の輸送可能熱量として検出する。ECU8はステップS18において検出した温度変化が、ステップS15において予測した温度変化と一致すると判断する場合、ステップS20へ進む。
ECU8はステップS20において、ウォータポンプ7を最適化する。すなわち、検出された輸送可能熱量に基づき、ウォータポンプ7の圧送量を決定し、決定した圧送量に従い運転する。ステップS15において検出した温度変化と予測した温度変化とが一致すると判断する場合、推定モデルが正しいことを示している。このため、この状態でウォータポンプ7の運転を保ち、目標とする温度で冷媒10を維持することができる。これにより、潜熱蓄熱材の相変化による熱輸送のメリットを生かし、燃費を向上することができる。ECU8はステップS20の処理を終えると、制御の処理を終えてリターンとなる。
一方、ステップS19において、ECU8が、ステップS15において予測した温度変化とステップS18で検出した温度変化とが異なると判断する場合、ステップS11へ進み、本制御処理を再度行う。すなわち、ステップS15において検出した温度変化と予測した温度変化とが一致していないと判断する場合、推定モデルが誤っていることを示している。そこで、ステップS12におけるマイクロカプセル11の濃度の仮定を変更して、推定モデルの修正を図る。
以上の制御により、本実施例の冷却装置1は、エンジン本体2からの発生熱流束、ラジエータ3における放出熱流束とを推定し、これらの熱流束から潜熱蓄熱材の潜熱、固相割合を推定し、ウォータポンプ7の圧送量を変更した際の温度変化を予測する。冷却装置1では、この予測した温度変化と実際の温度変化を比較し、一致している場合、温度予測の推定モデルが正しく機能することを確認できる。これにより、推定モデルを用いて適切にウォータポンプ7を制御できる。
なお、ウォータポンプ7の運転を停止せずに、流量を減少させることとしても良い。流量を減少させることにより、冷媒10がウォータジャケット4内を通過するのに時間がかかるため、潜熱蓄熱材の相変化だけでエンジン本体2からの熱量を吸収できなくなる。これにより、冷媒10の温度が上昇するため、ウォータポンプ7を停止する場合と同様の効果が得られる。
次に、マイクロカプセル11を分散させた冷媒10を用いた効果について説明する。図5はエンジン運転中の冷媒温度について本実施例と従来例とを比較した説明図である。図5中、実線は本実施例を示し、破線は従来例を示している。従来例は、LLC100%の冷媒を冷媒通路に封入した以外は本実施例と同様である。図5において、本実施例、従来例のいずれも運転開始当初はECモードで運転し、その後、WOT(Wide Open Throttle)で運転を行った。
図5に示すように、本実施例では、運転開始直後の温度上昇が従来例と比較して速い。これはマイクロカプセル11内の蓄熱材がLLCよりも比熱が低いことによる。また、従来例では、WOTで運転する場合、冷媒の温度が上昇していたのに対し、本実施例では、WOTで運転しても温度が上昇せず、冷媒10がエンジンの運転に適した一定の温度で維持される。すなわち、本実施例によると、マイクロカプセル11を分散させた冷媒10を用いることにより、早期にエンジンを暖機することができる。また、高負荷運転の場合も、エンジンを最適な温度に維持できる。
また、図6は、輸送可能熱量とウォータジャケットの出入口の温度差との関係を示した説明図である。図6における縦軸は熱輸送可能熱量、すなわち、エンジン本体2から吸収してラジエータ3において放出できる熱量の従来比を示している。一方、図6における横軸はウォータジャケット4の出口の温度からウォータジャケット4の入口の温度を引いた差、すなわち、ウォータジャケット4を通過した際の冷媒の上昇温度を示している。
図6では潜熱蓄熱材をn−オクタコサンとして、冷媒中の混入割合を変化させた場合を示している。図6中の実線は従来の冷媒、すなわち潜熱蓄熱材を含まないLLCを示し、点線はn−オクタコサンを10%混入させた冷媒を示し、破線はn−オクタコサンを20%混入させた冷媒を示し、一点鎖線はn−オクタコサンを30%混入させた冷媒を示し、二点鎖線はn−オクタコサンを40%混入させた冷媒を示している。
図6は、従来のエンジンでの運転条件をウォータジャケット入口の冷媒温度95℃、ウォータジャケット出口の冷媒温度102℃、油温118℃、トーイング条件上限105℃として求められたものである。また、n−オクタコサンを封入したマイクロカプセルの重量が44%と仮定し、オクタコサンを混入した冷媒の場合は、従来の輸送可能熱量にオクタコサンの潜熱による輸送可能熱量が上乗せされるとして計算した。
図6中の左上側、すなわち、ウォータジャケット4の出入口の温度差が少なく、且つ輸送可能熱量が多いほど、理想的な冷媒であることを示している。従来のマイクロカプセルを混入していないLLCのみを冷媒とした場合ではウォータジャケットの出口と入口との冷媒温度の差が7℃である(図6中A点)。図6に示すように、マイクロカプセルを混入した冷媒は、マイクロカプセルを混入していないLLCのみの冷媒と比べて、輸送可能熱量を向上させつつ、ウォータジャケット出口と入口との冷媒温度の差を減少させることができる。特に、n−オクタコサンを40%混入した冷媒では、ウォータジャケットの出口と入口との温度差をほぼ抑制(約1℃)したうえで、従来の場合と比べ2倍以上の輸送可能熱量が得られる。
このようなマイクロカプセル11を分散させた冷媒10を用いることにより、暖機性が向上し、燃料の消費を低減できる。また、冷媒10が変更されることにより、冷却系の構成を見直すことができる。これにより、冷却損失が低減され、ウォータポンプ7の損失を低減できる。さらに、暖機性が向上するのでヒータ性能も向上する。また、高負荷の運転条件で温度の上昇を抑制できるので、シール、潤滑等に用いられるオイル温度も低下でき、オイルの粘度が高いまま維持できる。このため、低粘度のオイルを使用することができ、冷間始動時などの低温時における始動性が向上でき、燃料の消費を低減できる。同様に、高負荷の運転条件で温度の上昇を抑制できるので、エンジン内の冷却系の小型化ができる。ウォータジャケット、水配管、ラジエータ、EGRクーラ、ヒータコアをコンパクトにし、エンジン本体をコンパクトにすることができる。このようにエンジン本体がコンパクトになるため、熱容量が低下し、搭載性にバリエーションを増やすことができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例の冷却装置は、実施例1の冷却装置1と同様の構成をしている。本実施例は、ウォータポンプ7の冷媒圧送量の最適化制御の一部が異なる点で実施例1と相違する。図7は本実施例のウォータポンプ7の冷媒圧送量の最適化制御を示したフローの説明図である。なお、実施例1の制御と同一のステップについてはその説明を省略する。
ECU8はステップS11からステップS18までの処理を行い、ステップS18の処理を終えるとステップS101へ進む。
ECU8はステップS101において、ステップS15で予測した温度変化とステップS18で検出して取得した温度センサ9の温度変化を比較し、両者の差が閾値以下であるか否かを判断する。ここで、予測した温度変化と温度センサ9が検出した温度変化との差が閾値以下である場合、温度変化の予測が正しいと判断する。この場合、ECU8はステップS20へ進む。
一方、ステップS101において、ECU8が、ステップS15において予測した温度変化とステップS18で検出した温度変化との差が閾値を越えると判断する場合、ステップS102へ進む。
ECU8はステップS102において、フェールセーフ制御を実行する。実際の温度変化が予測した温度変化より低いとき、エンジンを保護するため、低発熱量制御を実行する。低発熱量制御は、燃料噴射量に最大許容値を設定し、噴射量を制限することやEGRカットを行うことなどにより実現される。また、予測した温度変化と温度センサ9が検出した温度変化との差が閾値を越える場合には、マイクロカプセルの性能の劣化やタンパリング(冷媒中の水の混入)が想定されるので、ユーザに点検を促す警告をする。このような処理によりエンジンを保護することができる。ECU8はステップS102の処理を終えると、制御の処理を終えてリターンとなる。
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、さらに本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。例えば、本発明の冷却装置は、上記と同様の構成により、エンジンに限らず、冷却を必要とする発熱体を冷却する装置として用いることができる。
1 冷却装置
2 エンジン本体
3 ラジエータ
4 ウォータジャケット
5 第1通路
6 第2通路
7 ウォータポンプ
8 ECU
9 温度センサ

Claims (4)

  1. 蓄熱材が封入されたマイクロカプセルが分散された冷媒と、
    前記冷媒が循環するように発熱部と放熱部とを接続して形成された冷媒通路と、
    前記発熱部の下流に配置され、前記冷媒の温度を測定する冷媒温度測定手段と、
    前記冷媒通路上に配置され、前記冷媒の圧送量を可変とする圧送手段と、
    前記冷媒通路における前記冷媒の循環量を制御する前に、前記圧送手段の圧送量を減少させることにより、前記冷媒の輸送可能熱量を検出する検出手段と、を備え、
    前記検出手段は、
    前記圧送手段の圧送量変更前に予め冷媒の上昇温度を推定し、
    前記圧送手段による圧送量変更後に前記冷媒温度測定手段が測定した冷媒の上昇温度と、予め推定した冷媒の上昇温度と、を比較して前記冷媒の輸送可能熱量を検出することを特徴とする冷却装置。
  2. 蓄熱材が封入されたマイクロカプセルが分散された冷媒と、
    前記冷媒が循環するように発熱部と放熱部とを接続して形成された冷媒通路と、
    前記発熱部の下流に配置され、前記冷媒の温度を測定する冷媒温度測定手段と、
    前記冷媒通路上に配置され、前記冷媒の圧送量を可変とする圧送手段と、
    前記冷媒通路における前記冷媒の循環量を制御する前に、前記圧送手段の圧送量を減少させることにより、前記冷媒の輸送可能熱量を検出する検出手段と、を備え、
    前記検出手段は、
    前記発熱部から発生する熱流束を推定する発生熱推定手段と、
    前記放熱部において放出される熱流束を推定する放出熱推定手段と、
    前記発生熱推定手段が推定した前記熱流束と、前記放出熱推定手段が推定した前記熱流束とから前記マイクロカプセルに封入された蓄熱材の潜熱、及び固相割合を推定する蓄熱材状態推定手段と、を備え、
    前記圧送手段の圧送量変更前に、前記蓄熱材状態推定手段により推定された蓄熱材の状態から冷媒の上昇温度を推定し、推定した冷媒の上昇温度と、前記圧送手段による圧送量変更後において前記冷媒温度測定手段が測定した冷媒の上昇温度と、を比較して前記冷媒の輸送可能熱量を検出することを特徴とする冷却装置。
  3. 前記検出手段は、推定した冷媒の上昇温度と前記冷媒温度測定手段が測定した冷媒の上昇温度との差が閾値を超えている場合、ユーザに警告をする制御であるフェールセーフ制御を実行する請求項1または2に記載の冷却装置。
  4. 前記発熱部をエンジン本体、前記放熱部をラジエータ、前記圧送手段をウォータポンプとする請求項1乃至3のいずれか一項記載の冷却装置。
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