第1の発明は、同じ電力供給系統に接続された少なくとも第一の電気機器と第二の電気機器とを時間帯別電気料金情報に基づいて予約運転を行う制御システムにおいて、計時手段によって所定の開始時間となったときに第一の電気機器の運転を開始し、動作検知手段によって第一の電気機器が許容値以上運転したことを検知したときに低消費電力運転にした後、第二の電気機器の運転を開始して前記第一の電気機器および前記第二の電気機器の使用電力を所定範囲内に入れる制御手段を備えた制御システムである。
これにより、電力使用料金が安くなる時間帯を含むように、第一の電気機器の運転を開始し、その電気機器が許容値以上運転(たとえば80%の充電終了や3時間の衣類乾燥運転終了)したときにこれを低消費電力運転(運転オフも含む))にした後に第二の電気機
器の運転を開始するので、両方の電気機器の運転の使用電力を所定範囲内に入れて契約電力や許容電力を超えブレイカーが落ちるということを回避できる。また第一の電気機器を先に運転することで利便性を高めることができる。
第2の発明は、同じ電力供給系統に接続された少なくとも第一の電気機器と第二の電気
機器とを時間帯別電気料金情報に基づいて予約運転を行う制御システムにおいて、第一の電気機器と第二の電気機器が含まれる電力供給系統の総合使用電力を計測する電力計測手段を備え、前記第一の電気機器は、最初は使用電力が大きく、充電されるにつれて使用電力が小さくなる特性を有しており、計時手段によって所定の開始時間となったときに第一の電気機器の運転を開始し、前記第一の電気機器の使用電力が下がって電力供給系統の上限電力と総合使用電力との差分が第二の電気機器の使用電力値以上となったことを検知したときに第二の電気機器の運転を開始して第一の電気機器および第二の電気機器の使用電力を所定範囲内に入れる制御手段とを備えた制御システムである。
これにより、電力使用料金が安くなる時間帯に、第一の電気機器の運転を開始し、第一の電気機器の使用電力が下がって上限電力と総合使用電力との差分が第二の電気機器の使用電力値以上となったときに第二の電気機器の運転を開始するので、両方の機器の使用電力を所定範囲内に入れて契約電力や許容電力を超えブレイカーが落ちるということを回避できる。また第一の電気機器を先に運転することで利便性を高めることができる。
第3の発明は、前記第1または第2の発明において、第一の電気機器と第二の電気機器のうち少なくとも1つは、蓄電機器、蓄熱機器、蓄エネルギー機器、充電機器、貯湯機器のいずれかとする制御システムである。
これにより、限られた契約電力や許容電力のもとで運転時間が長時間となるこれらの機器を効率的かつ電力使用料金を安くするように運転を制御するができる。
第4の発明は、前記第1または第2の発明において、優先度判断手段によって複数の電気機器の優先度を求め、制御手段は優先度に応じて複数の電気機器の中から第一電気機器と第二の電気機器を選択する制御システムである。
これにより、優先度の高い電気機器を先に運転することで利便性を高めることができる。
第5の発明は、前記第4の発明において、複数の電気機器について、運転開始してから運転終了するまでの運転に必要な時間長、使用電力、使用電力量、の少なくとも1つを比較して優先度を求める制御システムである。
これにより、運転時間の長い電気機器、使用電力の大きい電気機器、使用電力量の大きい電気機器を考慮して優先度を求めることができる。
第6の発明は、前記第4の発明において、複数の電気機器について、運転に必要とする時間長を現在時刻に加えた時刻と運転終了が必要とされる時刻との時間差を比較して優先度を求める制御システムである。
これにより、運転終了が必要とされる時刻までの時間的余裕の短い電気機器を考慮して優先度を求めることができる。
第7の発明は、前記第4の発明において、複数の電気機器について、運転時間と使用電力のパターンから低消費電力運転が可能か否かを比較して優先度を求める制御システムである。
これにより、低消費電力運転など使用電力の増減制御が行いやすい電気機器の優先度を高く設定する。その結果、第一の電気機器と第二の電気機器とが併用運転しやすくなり、運転開始してから運転終了となるまでの運転時間を短くすることが可能となる。
第8の発明は、前記第1の発明において、制御システムは第一の電気機器と第二の電気機器が含まれる電力供給系統の総合使用電力を計測する電力計測手段を備え、制御手段は電力計測手段による総合使用電力が所定の範囲内に入るよう複数の電気機器の少なくとも一つの使用電力を増減させる使用電力平準化制御を行う制御システムである。
これにより、電気機器が運転することで電力供給系統の総合使用電力が増えて契約電力や許容電力を超えブレイカーが落ちるような場合でも第一、第二の電気機器の使用電力を減らしてそれを回避することができる。また、第一の電気機器の運転が終了して電力供給系統の総合使用電力が減った場合は第二の機器の使用電力を増やして第二の電気機器の運転時間を短くすることができる。
第9の発明は、前記第1の発明において、制御システムは第一の電気機器と第二の電気機器が含まれる電力供給系統の総合使用電力を計測して記憶する電力計測手段を備え、制御手段は電気機器の運転終了の時刻が運転終了の期限時刻(終了期限時刻)を越えるような場合は、開始時間以前と終了期限時刻以後とで電力計測手段による総合使用電力を比較して総合使用電力量の少ないほうの時間帯を含むように開始時間を再設定して予約運転を行う制御システムである。
これにより、第二の電気機器の予約運転が終了期限時刻を越える場合(たとえば電力使用料金の安い時間帯である午前7時を1時間越える場合)は、開始時間を(1時間)繰り上げて予約運転した場合と終了期限時刻を(1時間)越えて運転した場合とで総合使用電力の少ないほう(上限電力に対して使用電力の余裕度が大きい)の時間帯を選択するので、電気機器が運転することによって電力供給系統の総合使用電力が増えて契約電力や許容電力を超えブレイカーが落ちることを減らすことができる。
第10の発明は、前記第8の発明において、制御手段は電気機器の運転終了の時刻が運転終了の期限時刻(終了期限時刻)を越えるような場合は、開始時間以前と終了期限時刻以後とで使用電力平準化制御の必要回数を比較して少ないほうの時間帯を含むように開始時間を再設定して予約運転を行う制御システムである。
これにより、第二の電気機器の予約運転が終了期限時刻(を越える場合たとえば電力使用料金の安い時間帯である午前7時を1時間越える場合)は、開始時間を(1時間)繰り上げて予約運転した場合と終了期限時刻を(1時間)越えて運転した場合とで使用電力平準化制御の必要回数を比較して少ないほうの時間帯を選択するので、電気機器が運転することによる使用量平準化制御する回数を減らし使用量平準化制御による終了時刻の延長を減らすことができる。
第11の発明は、前記第1または第2の発明において、制御手段は電気機器の運転終了の時刻が運転終了の期限時刻(終了期限時刻)を越えるような場合は、開始時間以前と終了期限時刻以後とで時間帯別電気料金情報を比較して電力使用料金の安いほうの時間帯を含むように開始時間を再設定して予約運転を行う制御システムである。
これにより、電気機器の予約運転が終了期限時刻を越える場合(たとえば電力使用料金の安い時間帯である午前7時を1時間越える場合)は、開始時間を(1時間)繰り上げて予約運転した場合と終了期限時刻を(1時間)越えて運転した場合とで電力使用料金の安
いほうの時間帯を選択するのでより経済的なほうを選択することができる。
第12の発明は、前記第1または第2の発明において、制御手段は電気機器の運転終了の時刻が運転終了の期限時刻(終了期限時刻)を越えるような場合は、開始時間以前と終了期限時刻以後とで発電装置による電力発電量の多いほうの時間帯を含むように開始時間を再設定して予約運転を行う制御システムである。
これによって自家用太陽発電や燃料電池など発電によって電力が増える時間帯を含めて予約運転を行うのでより経済的なほうを選択することができる。
第13の発明は、前記第1の発明において、制御システムは第一の電気機器と第二の電気機器が含まれる電力供給系統の総合使用電力を計測する電力計測手段を備え、開始時間は電力計測手段による総合使用電力が所定値以下となる時間以後とする制御システムである。
これにより、総合使用電力が所定値以下となる時間、つまり使用電力の余裕が大きくなる時間を選択して予約運転を行うことができる。
第14の発明は、前記第1または第2の発明において、制御システムは使用者の活動を検知する活動検知手段を備えて、開始時間は使用者の就寝または外出を検知した時間以後とする制御システムである。
これにより、使用者の就寝や外出など制御システムが制御する電気機器以外も含めて電気機器が運転する可能性の低い時間(使用電力の余裕が大きくなる時間)を選択して予約運転を行うことができる。
第15の発明は、前記第13の発明において、制御システムは、終了期限時刻を総合使用電力が所定値以上となる時間以前とする制御システムである。
これにより、総合使用電力が所定値以上となる時間、つまり使用電力の余裕が小さくなる時間を避けて予約運転を行うことができる。
第16の発明は、前記第9、10、11、12のいずれか1つの発明において、制御システムは使用者の活動を検知して記憶する活動検知手段を備えて、終了期限時刻は使用者の起床または帰宅を検知する時間以前とする制御システムである。
これにより、使用者の起床や帰宅など制御システムが制御する電気機器以外の機器が運転する可能性の高い時間を避けて予約運転を行うことができる。
第17の発明は、同じ電力供給系統に接続された少なくとも第一の電気機器と第二の電気機器とを時間帯別電気料金情報に基づいて予約運転を行う制御システムの制御方法において、計時手段によって所定の開始時間となったときに第一の電気機器の運転を開始するステップと、動作検知手段によって第一の電気機器が許容値以上運転したことを検知したときに低消費電力運転にするステップと、第二の電気機器の運転を開始して第一の電気機器および第二の電気機器の使用電力を所定範囲内に入れるステップとを備えた制御システムの制御方法である。
これにより、電力使用料金が安くなる時間帯を含むように、第一の電気機器の運転を開始し、その電気機器が許容値以上運転(たとえば80%の充電終了や3時間の衣類乾燥運転終了)したときにこれを低消費電力運転(運転オフも含む))にした後に第二の電気機
器の運転を開始するので、両方の電気機器の運転の使用電力を所定範囲内に入れて契約電力や許容電力を超えブレイカーが落ちるということを回避できる。また第一の電気機器を先に運転することで利便性を高めることができる。
第18の発明は、同じ電力供給系統に接続された少なくとも第一の電気機器と第二の電気機器とを時間帯別電気料金情報に基づいて予約運転を行う制御システムの制御方法において、前記第一の電気機器は、最初は使用電力が大きく、充電されるにつれて使用電力が小さくなる特性を有しており、計時手段によって所定の開始時間となったときに前記第一の電気機器の運転を開始するステップと、第一の電気機器の使用電力が下がって第一の電気機器と第二の電気機器が含まれる電力供給系統の上限電力と総合使用電力との差分が第二の電気機器の使用電力値以上となったことを検知したときに第二の電気機器の運転を開始して第一の電気機器および第二の電気機器の使用電力を所定範囲内に入れるステップと
を備えた制御システムの制御方法である。
これにより、電力使用料金が安くなる時間帯に、第一の電気機器の運転を開始し、第一の電気機器の使用電力が下がって電力供給系統の上限電力と総合使用電力との差分が第二の電気機器の使用電力値以上となったときに第二の電気機器の運転を開始するので、両方の機器の使用電力を所定範囲内に入れて契約電力や許容電力を超えブレイカーが落ちるということを回避できる。また第一の電気機器を先に運転することで利便性を高めることができる。
第19の発明は、前記第17または18の発明において、制御システムの制御方法をコンピュータに実行させるプログラムである。これにより、本発明をプログラムとして記憶媒体や通信媒体によって配布しコンピュータにインストールして実行させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における制御システムと複数の電気機器、太陽光発電装置、燃料電池装置の構成を示すブロック図である。
電気機器A〜C(2〜4)、その他の電気機器5はブレイカー1を介して電力会社から交流100Vや200Vの電力供給をされている。たとえば、貯湯式給湯機、車載電池や家庭用蓄電池の充電装置、衣類洗濯乾燥機のほかに食器洗い乾燥機や空気清浄機、掃除機(掃除ロボット)などである。
電気機器2〜5に供給される電力供給系統にはその総合使用電力および総合使用電力量を計測して記憶し後述する制御装置11に送信する電力計測手段6を備える。
また、太陽光発電装置7や燃料電池8で発電した電力はブレイカー9を介して自宅の電気機器2〜5や電力会社、他の家庭(図示せず)に供給できる。
電気機器A〜C(2〜4)には、各電気機器の運転を検知して制御装置11に送信する動作検知手段10が備えられている。これは電気機器に内蔵して制御部(マイコンなど)から動作状態や運転モードの情報を取得するものでもよいし、電気機器が備えるリモコンと電気機器とで送受信されるリモコン信号を受信する機器非内蔵型(アダプタ方式)でもよい。
ここでは動作検知手段10を備えた電気機器は三つとしたが、これ以上であってもよい
。
なお、その他の電気機器5(複数)は、この動作検知手段10を備えておらず、制御装置11の制御対象外である。
制御装置11は、電気機器A〜C(2〜4)のうちから二つ以上の電気機器を選択し電力使用料金が安くなる時間帯(たとえば23時〜午前7時のあいだ)に予約運転を行うものである。
そのため、制御装置11は、使用者に予約運転の状況(運転開始時間、終了予定時間、現在の運転状況など)を知らせる通知手段12、時間帯別電気料金情報を記憶して電力使用料金が安くなる時間帯など24時間365日(季節、月、曜日などカレンダー)を計時する計時手段13、電気機器A〜C(2〜4)のうちから二つ以上の電気機器を選択するための電気機器の優先度を判断する優先度判断手段14、電気機器の使用者の活動を検知する活動検知手段15を備える。
制御手段16はこれらの手段と連携して予約運転の開始時間や終了時間を設定し、電気機器A〜C(2〜4)に制御信号を出力して運転開始、運転停止、詳細な運転状態などを制御する。
また、太陽光発電装置7や燃料電池8で発生する発電量を検知する発電量検知手段17や、燃料電池8や太陽熱利用装置(図示せず)で得られる給湯量を検知する給湯量検知手段18を備え、これを制御装置11に接続して電気機器の予約運転と連携させる。
ここで電力計測手段6、電気機器A〜C(2〜4)、動作検知手段10、発電量検知手段17、給湯量検知手段18、制御装置11との接続は無線通信でも電灯線通信でも有線通信であってもよい。
なお、制御装置11はブレイカー1や電気機器2〜5と同じ家屋に存在する必要はなく、家屋外にあって、たとえば集合住宅全体や地域の電気機器を統合制御する制御装置であってもよい。また制御装置は電力供給者の処に存在してもよい。この場合、無線通信は無線LANや小電力無線のような近距離通信に限らず、携帯電話網やデータ通信網のような広域通信であってもよい。
また通知手段12は電力供給者にインターネットや無線通信を介して知らせるものでもよいし、計時手段13が記憶する時間帯別電気料金情報は電力供給者からインターネットや無線通信を介してダウンロードして更新するものでもよい。
制御装置11は通知手段12、計時手段13、優先度判断手段14、活動検知手段15を一体として備える場合もあれば、別筐体とし各手段を他の装置と兼ね備える形態でも構わない。たとえば、通知手段12はTV受信機や電気機器のリモコンの表示手段と兼ね備え、計時手段14は電波時計と兼ね備え、活動検知手段15はホームセキュリティ装置の人検知センサ等と兼ね備えることが考えられる。
次に、この制御システムで行う連携制御のフローを図2で説明する。
優先度判断手段14は後述する優先度判断の手順によって電気機器2〜4の優先度を判断して、第一の電気機器と第二の電気機器とを選択し設定する。また第一の電気機器の予約運転の開始時間を設定する(S1)。
ここでは仮に、第一の電気機器を貯湯式給湯機である電気機器A(2)、第二の電気機器を車載電池の充電装置である電気機器B(3)とする。
また、優先度判断手段14は所定時間毎に(たとえば10分毎に)優先度を判断して第一の電気機器と第二の電気機器の設定を見直す。これは、S1で優先度を判断した後に使用者が電気機器の運転条件を変更した場合に対応するためである。なお、予約運転を開始して第一の電気機器を運転開始した後でも第二の電気機器の選択の変更を行う仕様でもよい。
計時手段13によって所定の開始時間となったことを検知して(S2)、通知手段12により使用者に電気機器の予約運転の開始を報知する(S3)。
制御手段16は第一の電気機器である貯湯式給湯機2の運転を開始する(S4)。運転内容(沸きあげる給湯量、給湯温度、給湯を使用する時間など)は予め使用者が設定しているものとしてここでは説明を省く。
動作検知手段10によって貯湯式給湯機2が許容値以上運転したか否かを検知する(S5)。許容値とは、たとえばその使用者が日常生活に必要な最低の貯湯量(貯湯タンクの80%程度など)であり、使用者が予め設定しても良いし貯湯式給湯機2が毎日の使用貯湯量を検知して学習・判断してもよい。沸き上げ時間や使用電力に余裕があればこの許容値以上(貯湯タンクの100%)を給湯してもよいが、その優先度は高くないので他の電気機器が使用電力を必要とするならば譲ってもよいというレベルを許容値とする。
この許容値の他の例として、充電装置であれば80%の充電量(電気自動車の日常走行に必要な充電量)とか、衣類洗濯乾燥機であれば完全な乾燥ではないが2時間の乾燥運転をしたレベルで少し干せば衣類が乾くレベルとか、空気清浄機や掃除ロボットであれば通常3時間運転するところを2時間運転したレベルなどである。電気機器毎の許容値は制御手段16に予め設定してもよいし、各電気機器2〜4の制御部(マイコン)に設定して動作検知手段10を介して制御手段16に許容値の運転を終了したことを伝送する構成でもよい。
以上のように、許容値は、必要最低限の蓄電時間、蓄熱時間、畜エネルギー時間、充電時間、貯湯時間、運転時間などである。また、許容値は、必要最低限の蓄電量、蓄熱量、畜エネルギー量、充電量、貯湯量、運転量などである。
動作検知手段10はこのような許容値を第一の電気機器が越えた段階を検知して、制御手段16は第一の電気機器を低消費電力運転に切り替え(S6)、第二の電気機器である充電装置3の運転を開始する(S7)。
低消費電力運転とは、たとえば貯湯式給湯機では沸き上げのためのエネルギー入力を落としたり、沸き上げから保温に切り替えたりして使用電力を減らす。充電装置であれば充電のための入力電流や電圧を減らし、衣類洗濯乾燥機であれば乾燥風の温度・風量を減らす運転である。インバータ制御を行っている電気機器であればある程度の範囲で使用電力を可変制御できる。また、運転停止にして消費電力をゼロに限りなく近くする運転も低消費電力運転に含める。したがって、第一の電気機器を選択する際には許容値が設定でき使用電力を可変制御可能な機器が有用である。
S7では、制御手段16は第一の電気機器である貯湯式給湯機2が低消費電力運転になって総合使用電力が減少したことを電力計測手段6で確認し、第二の電気機器である車載電池の充電装置3の運転を開始する。
車載電池の充電装置3は住宅に備えてこれを制御する形態でも、自動車側に備えてこれを制御する形態でも構わない。また、自動車側に備えられた充電装置の200V(または100V)電源プラグの通電をオン/オフする通電スイッチつきコンセントの制御であっても構わない。またそのコンセントは屋外にある電気機器に備える構成でもよい。たとえば、貯湯式給湯機2の貯湯タンクの一部や給湯機器本体にコンセントを備えて、貯湯式給湯機2は貯湯制御とともに充電装置3の充電制御を兼ねる構成も考えられる。
そして制御手段16は第一の電気機器と第二の電気機器の運転終了を監視する(S8)。運転終了は動作検知手段10によって判断する。電力計測手段6で総合使用電力の計測をしてこれを確認してもよい。
ここで電力使用料金が安くなる時間帯である午前7時(遅くとも電気機器の運転終了が必要とされる時間であるので終了期限時刻と呼ぶ)を過ぎたかどうかを計時手段13で監視し(S9)、午前7時を過ぎて第一の電気機器または第二の電気機器の運転が終了していない場合(あるいは運転状況と残り時間から見てそれが予想される場合)はそれが第二の許容値以上運転したか否かを判断する(S13)。
第二の許容値とは、車載電池の充電装置3であれば、たとえば日常生活に必要な最低充電量であり、使用者が明日の走行距離を考慮して設定しても良いし充電装置3が毎日の走行距離(電力使用量)を検知して学習・判断してもよい。
ここでは次の3つの場合が考えられる。第一・第二の電気機器が共にまだ運転している場合、第一の電気機器が運転終了して第二の電気機器のみが運転している場合、第二の電気機器が運転終了して第一の電気機器のみが運転している場合。
第一の電気機器については、第二の許容値が上記のS5の許容値と同じ設定にすれば、第一の電気機器はこの許容値をクリアしている。S5の許容値<S13の第二の許容値に設定すれば第一の電気機器はまだ第二の許容値を達していない場合がある。
第一または第二の電気機器が第二の許容値以上運転していない場合(または第二の許容値を設定していない場合)は、制御装置11の通知手段12によって第一の電気機器または第二の電気機器の運転が終了期限時刻を越えることを使用者に報知する。そしてその運転を継続するか停止するかの選択肢を表示して使用者の指示を受け付ける(S10)。使用者が運転継続を希望した電気機器はそのまま運転を継続し、それ以外の電気機器は運転を停止する。
S13にて第二の許容値以上運転している場合は通知手段12によって電気機器の運転終了とその運転内容(第一の電気機器または第二の電気機器が第二の許容値レベルであること)を使用者に知らせる。
また午前7時前に第一の電気機器と第二の電気機器の運転が共に終了した場合は通知手段12によって電気機器の運転が終了したことを使用者に報知する(S11)。
以上、第二の実施の形態の運転制御を時間軸と使用電力のグラフ図3で説明する。
開始時間T1(たとえば23時)にて第一の電気機器を運転させた後、許容値となるまで通常に運転させる(T2)。T2で第一の電気機器を低消費電力運転に切り替え、上限電力(契約電力や許容電力)に対して使用電力の余裕をつくってから第二の電気機器を運転させる。
図3では、一例として、先に運転させた第一の電気機器がT3にて運転終了、第二の電気機器はT4にて運転終了とした。また、第一の電気機器が運転終了したT3において上限電力と使用電力とに余裕ができたので第三の電気機器を運転させている。ここで第三の電気機器は優先度判断手段14によって複数の電気機器の中で第一の電気機器、第二の電気機器についで優先度が高いと判断された電気機器である。
終了時間T4(たとえば午前6時)において、第一の電気機器、第二の電気機器、第三の電気機器のすべての機器の運転が終了し、午前7時前に(終了期限時刻の前に)予約運転が終わったことを使用者に報知することができる。
以上のように、図1〜3に示す実施の形態1によれば、電力使用料金が安くなる時間帯を含むように、第一の電気機器の運転を開始し、その電気機器が許容値以上運転(たとえば80%の充電終了や3時間の衣類乾燥運転終了)したときにこれを低消費電力運転(運転オフも含む)にした後に第二の電気機器の運転を開始するので、両方の電気機器の運転の使用電力を所定範囲内に入れて契約電力や許容電力を超えブレイカーが落ちるということを回避できる。また第一の電気機器を先に運転することで利便性を高めることができる。
そして、電気機器の予約運転が終了期限時刻(たとえば電力使用料金の安い時間帯)を越えるときは使用者に知らせることができる。電力供給者にそのような実態があることを知らせることができる。
また、電気機器の予約運転が終了期限時刻を越えた場合は、たとえば90%の蓄電完了や2時間の乾燥運転済みというような第二の許容値以上であればその運転を停止することで、安い電気使用料金とある程度の必要なレベルの予約運転とを両立させることができる。
(実施の形態2)
次に上述の実施の形態1とは異なる本発明の実施の形態2における制御システムについて説明する。
図4はその構成を示すブロック図である。図1と同じ構成部分については同じ符号を付与し詳細な説明を省く。
図1においては動作検知手段10によって各電気機器の運転を検知して制御装置11に送信しているが、本実施の形態2(図4)ではその代わりに各電気機器の使用電力を検知する個別電力計測手段19を備える。
これは電気機器本体に備えてもよいし、電気機器の電力供給系統の上流で電力計測手段6との間に設けてもよい。たとえば、電気機器とコンセントのあいだに挿入するコンセントアダプタ方式の電力計(または電流計)、コンセント一体型の電力計、コンセントと電力計測手段6のあいだに備えた電力計でもよい。
個別電力計測手段19は、各電気機器2〜4の使用電力を検知・測定してこれを制御装置11に送信する。制御装置11は各電気機器2〜4の使用電力を判断して各電気機器2〜4を制御する。
この制御システムで行う連携制御のフローを図5で説明する。図2と同じフロー部については同じ符号を付与し詳細な説明を省く。
図2においては第二の電気機器の運転を開始する時期として、第一の電気機器が許容値以上運転したときにこれを低消費電力運転にした後に第二の電気機器の運転を開始していたが(S5、S6、S7)、本実施の形態2(図5)ではその代わりに第一の電気機器の使用電力を個別電力計測手段19で計測し、第二の電気機器との併用運転が可能な使用電力となったときに第二の電気機器を運転開始する(S12、S7)。
ここで第一の電気機器の使用電力特性として、充電装置のように最初は使用電力が大きく、充電されるにつれて使用電力が小さくなっていくもの、エアコンのように最初は使用電力が大きく、所定の状態(設定した温度)に近づくにつれて使用電力が小さくなっていく電気機器を想定する。
第一の電気機器は運転時間とともに使用電力が小さくなっていくので、電力計測手段6と個別電力計測手段19によってこれを検知し、電力計測手段6で計測される総合使用電力が個別電力計測手段19の使用電力とともに小さくなっていくこと、総合使用電力と上限電力との差分が第二の電気機器の最大使用電力(併用運転可能値)よりも大きくなって併用運転可能な状態となれば第二の電気機器の運転を開始する(S12,S7)。
個別使用電力計測手段19なしで、電力計測手段6で計測される総合使用電力のみで総合使用電力と上限電力との差分が第二の電気機器の最大使用電力よりも大きくなって併用運転可能な状態を判断してもよいが、どの電気機器が理由で総合使用電力が減少しているのかを個別電力計測手段19で検知すると精度が高まる。
また、制御手段16が第一・第二の電気機器の併用運転が可能であるか否かを判断するのは、第二の電気機器との併用運転が可能な使用電力となったことを検知して所定時間(たとえば10分間)継続したことを検知して、一時的な使用電力の減少を除外してもよい。
なお、図5では実施の形態1(図2)のように第二の許容値の判断(S13、S14)を設けていないが、実施の形態2においても第二の許容値の判断制御を加えてもよい。
以上、第二の実施の形態の運転を時間軸と使用電力のグラフ図6で説明する。
開始時間T5(たとえば23時)に第一の電気機器を運転させた後、第一の電気機器の使用電力と家庭の総合使用電力とを計測して、家庭の上限電力(契約電力)と総合使用電力との差分が併用運転可能値(第二の電気機器の使用電力量)以上となったときに(T6)第二の電気機器を運転させる。
総合使用電力は電力計測手段6によって計測し、第一の電気機器の使用電力は個別使用電力計測手段19によって計測される。T5からT6の時間帯において、制御手段16は、総合使用電力の減少と第一の電気機器の使用電力の減少との相関関係を確認して第一の電気機器の使用電力の減少したことによって総合使用電力が減少した結果、総合使用電力と契約電力との差分が第二の電気機器の最大使用電力である併用運転可能値以上となったことを判断する。
なお、その他の電気機器5の運転によって使用電力は変動するが、図6ではこれを一定値で描いている。
また、図6では、一例として、第一の電気機器の使用電力の減少にともないT7で第三の電気機器を併用運転も可能と判断してこれを運転させている。第三の電気機器は複数の
電気機器の中で第一の電気機器、第二の電気機器についで優先度が高いと優先度判断手段14が判断した電気機器である。またこのとき、T7の併用運転可能値は第三の電気機器の最大使用電力であり、併用運転可能値は運転したい電気機器に応じて異なる。
終了時間T8(たとえば午前6時)において、第一の電気機器、第二の電気機器、第三の電気機器のすべての機器の運転が終了し、午前7時前に(終了期限時刻の前に)予約運転が終わったことを使用者に報知することができる。
以上のように、図4〜6に示す実施の形態2によれば、電力使用料金が安くなる時間帯に、第一の電気機器の運転を開始し、第一の電気機器の使用電力が下がって総合使用電力と上限電力の差分が第二の電気機器の使用電力値以上となったときに第二の電気機器の運転を開始するので、両方の機器の使用電力を所定範囲内に入れて契約電力や許容電力を超えブレイカーが落ちるということを回避できる。また第一の電気機器を先に運転することで利便性を高めることができる。
上記実施の形態1と形態2とを組み合わせてもよい。すなわち、動作検知手段を備えた電気機器と個別電力検知手段を備えた電気機器とを組み合わせて制御システムを構築する、動作検知手段と個別電力検知手段の両方を備えた電気機器を制御システムに加えてもよい。
なお、このように構築すれば、運転時間とともに使用電力が下がる電気機器については実施の形態2のように第一の電気機器の使用電力が下がるのを待って総合使用電力と上限電力の差分が第二の電気機器の使用電力値以上となったときに第二の電気機器の運転を開始し、また運転時間とともに使用電力が下がらない電気機器については実施の形態1のように許容値以上運転した後に第一の電気機器を低消費電力運転にしてから第二の電気機器を運転する、というように電気機器の使用電力の特性によって選択することができる。
さらに、第一の電気機器が衣類洗濯乾燥機のように運転シーケンス毎(洗濯モード、脱水モード、乾燥モードなど)に使用電力が変化する電気機器についても、動作検知手段で運転シーケンスを検知することで、各運転シーケンス毎に第一または第二の実施の形態の制御を行うことができる。
以上、本実施の形態の概略を説明した。以下、上述の実施の形態1、2において詳細をいくつか説明する。
まず機器の優先度を判断して第一の電気機器と第二の電気機器を選択、設定する(図2、図5のS1)制御フローを図7に示す。
制御装置11の通知手段12において使用者が各電気機器2〜4の運転終了を必要とする時刻、そのときに必要な状態、さらに運転を開始したい時刻があればそれを設定する(S21)。
たとえば、貯湯式給湯機であれば給湯を使いたい時刻とそのときに必要な給湯量である。車載電池の充電装置であれば電気自動車を使用したい時刻と走行距離(充電量)である。これらは使用者の使用状態を判断・学習して制御装置11で自動設定する形態でもよい。
次に優先度判断手段14において、S21で設定された必要な時刻に必要な状態にするために運転に必要な時間長、それに必要な使用電力(最大値)、使用電力量を各電気機器2〜4毎に算出する(S22)。
これらの値は各電気機器2〜4や制御装置11に予め記憶しておいてもよいし、実際に運転した過去の値を記録しておき、それを基にして算出するようにしてもよい。
優先度判断手段14は、各電気機器2〜4について、使用者が運転終了を必要とする時刻・そのときに必要な状態・運転を開始したい時刻と、運転に必要な時間長・使用電力・使用電力量と、上限電力・時間帯別電気料金情報(電力使用料金の安い時間帯)とを比較演算する。
以上から次のように予約運転の優先度を設定する(S23)。
優先度判断手段14は、下記の(a)〜(h)のうちいずれか1つを選択して優先度を求めてもよいし、たとえば季節、日時、曜日などに応じて(a)〜(h)の選択を切り替えてもよい。また、これら(a)〜(h)のうちのいくつかを選択して重み付けして加算することで、複数の組み合わせで優先順位を決めてもよい。
(a)使用者が運転を開始したい時刻を指定した電気機器があればこれを予約運転の最優先する。たとえば、23時に衣類洗濯乾燥機を使用したい等。
(b)運転終了を必要とする時刻の早い電気機器の順番に予約運転の優先度を設定する。たとえば、運転終了時刻が午前1時と午前2時とであれば午前1時の電気機器を優先する。
(c)運転終了時に必要な状態を考慮してそのための運転に必要とする時間長を求める。それに現在時刻に加えた時刻と、遅くとも運転終了が必要とされる時刻との時間差を比較して優先度を求める。たとえば、遅くとも午前1時から運転しないと間に合わない電気機器と、遅くとも午前2時から運転しないと間に合わない電気機器とがあれば午前1時の電気機器を優先する。
これにより、必要とする時刻から運転の必要時間長を遡って、現在時刻との余裕が少ない、すなわち電気機器の運転を開始すべき時刻が早い電気機器の順番に予約運転の優先度を設定する。これにより、運転終了が必要とされる時刻までの時間的余裕の短い電気機器を考慮して優先度を求めることができる。
(d)運転終了時に必要な状態を考慮してそのための運転に必要とする時間長の長い電気機器の順番に予約運転の優先度を設定する。たとえば、運転時間長が1時間の電気機器と2時間の電気機器では2時間の電気機器を優先する。
これは、時間長の短い電気機器は日中のいつでも総合使用電力の小さい時間を見つけてその時間に運転させることができる。運転に必要な時間長が長い電気機器のほうが運転させる時間を見つけにくい。また、運転時間の長い電気機器を優先して電気料金の安い時間帯を有効に利用できるようにする。
(e)運転終了までの使用電力の大きい電気機器の順番に予約運転の優先度を設定する。たとえば、設定された運転コースの使用電力が最大800Wの電気機器と最大500Wであれば最大800Wの電気機器を優先する。
これは、使用電力の小さい電気機器は日中のいつでも総合使用電力の小さい時間を見つけてその時間に運転させることができる。使用電力の大きい電気機器のほうが運転させる時を見つけにくい。
(f)運転終了までの使用電力量の大きい電気機器の順番に予約運転の優先度を設定する。たとえば、設定された運転コースの使用電力が最大800Whの電気機器と最大500Whであれば最大800Whの電気機器を優先する。これは上記(d)と(e)の両方を考慮して優先度を設定することになる。
(g)蓄電機器、蓄熱機器、蓄エネルギー機器、充電機器、貯湯機器の中で使用頻度の高い電気機器を優先して設定することにより、必要なときにいつでも使える状態にできる。
(h)複数の電気機器について、運転時間と使用電力のパターンから低消費電力運転が可能か否かを比較して優先度を求める制御システムである。たとえば蓄電機器、蓄熱機器、蓄エネルギー機器、充電機器、貯湯機器はエネルギーを貯めるための使用電力の増減制御が行いやすいので優先度を高く設定して第一の電気機器として設定しやすくする。また、インバータ制御のように低消費電力制御が容易な電気機器も含める。
その結果、第一の電気機器と第二の電気機器とが併用運転しやすくなり、運転開始してから運転終了となるまでの運転時間を短くすることが可能となる。
以上によって優先度を求め、優先度の高い電気機器から順に第一の電気機器、第二の電気機器を選択する(S24)。図示しないが、優先度に応じて第三の電気機器以下を選択してもよい。
そして、制御手段16は初期設定として予約運転の開始時間を電力使用料金の安い時間帯の始まりである23時で設定し、第一の電気機器、第二の電気機器を上記実施の形態1または2で制御した場合の運転終了時刻を演算する(S25)。ここで、実施の形態1と2とで運転終了時刻を比較して終了時刻の早いほう(電力使用料金の安いほう)を選択するようにしてもよい。
また、23時に運転開始したときに午前7時迄に運転が終了しない(電力使用料金の安い時間帯内で終了しない)場合は開始時間を早める処理を行う(S26、S29)。詳細は後述する。
また午前7時前に運転終了する場合であっても、蓄電、蓄熱、蓄エネルギー、充電、貯湯の放電ロス・放熱ロスを減らすために、午前7時の間近に運転終了する場合が望ましい電気機器は、午前6時付近(午前7時の1時間前とするがこれに限るものではない)に終了するよう開始時間を23時より遅らせて運転終了時刻を午前6時付近に調整する(S27、S28)。
以上のように、優先度判断手段によって複数の電気機器の優先度を求め、制御手段は優先度に応じて第一電気機器と第二の電気機器を選択することで、優先度の高い電気機器を先に予約運転することで利便性を高めることができる。
また、運転時間の長い電気機器、使用電力の大きい電気機器、使用電力量の大きい電気機器を考慮して優先度を求めることができる。とくに、運転終了が必要とされる時刻(終了期限時刻)までの時間的余裕の短い電気機器を考慮して優先度を求めることができる。
あるいは、低消費電力運転など使用電力の増減制御が行いやすい電気機器の優先度を高く設定する。その結果、第一の電気機器と第二の電気機器とが併用運転しやすくなり、運転開始してから運転終了となるまでの運転時間を短くすることが可能となる。
また、制御手段は、終了期限時刻付近に第二の電気機器の運転が終了するように第一の電気機器の開始時間を前後に調整するので、第二の電気機器の予約運転が終了期限時刻(たとえば電力使用料金の安い時間帯である午前7時)よりも早い時刻に終了することが予測されるときは開始時間を遅くして終了期限時刻付近に(多少の余裕を見て少し早めの時刻でもよい)に運転終了することができるので放電・放熱ロスを小さくできる。
さて、ここでもう一度、実施の形態1の図3や実施の形態2の図6のグラフを見ると、第一・第二・第三の電気機器の運転中に、制御装置11と接続された電気機器2〜4以外の電気機器5の運転によって総合使用電力が変動し上限電力を超えた場合にはブレイカー1が遮断することが考えられる。また逆に、電気機器5の運転が終了して総合使用電力が減り使用可能な電力が増えることが考えられる。これについて電気機器5には動作検知手段10や個別電力計測手段19を備えていないので制御手段16によって制御することはできない。このような電気機器はヘアドライヤーなどが存在する。
そこで本実施の形態1、2では、第一・第二・第三の電気機器の運転中(あるいは運転の前後)に、電力計測手段6にて電気機器2〜5が含まれる電力供給系統の総合使用電力を計測し、制御手段16は総合使用電力が所定の範囲内(上限電力以下)に入るよう電気機器2〜4の少なくとも一つの使用電力を増減させる使用電力平準化制御を行う。この制御フローを図8に示す。
電力計測手段6で総合使用電力を計測して(S31)、制御手段16にてその総合使用電力と予め設定した最大値(たとえば上限電力の90%)・最小値(上限電力の30%)と比較する。第一の電気機器、第二の電気機器の運転中にその最大値・最小値を超えないよう第一の電気機器、第二の電気機器の使用電力を以下のように増減させて制御する。
(a)総合使用電力が設定した最大値以上であれば(S32)、運転中の電気機器2〜4の中で優先度の低い機器から低消費電力運転(一時停止を含む)に切り替えて総合使用電力を削減する(S35)。これによりブレイカー遮断を回避する。
(b)総合使用電力が設定した最小値以下であれば(S33)、低消費電力で運転中の電気機器2〜4の中で優先度の高い機器から通常電力の運転(または使用電力の大きい高速運転)に切り替えて総合使用電力を増やす(S36)。これにより電力使用料金が安くなる時間帯において電気機器を効率的に運転させる。
(c)総合使用電力が最小値以上最大値以下の場合には(S34)、使用電力平準化制御は必要ない。
以上のようにして、制御システムが制御対象とする第一、第二の電気機器が運転しているときに電力供給系統の総合使用電力が増え、契約電力や許容電力を超えブレイカーが落ちるような場合でも第一、第二の電気機器の使用電力を減らしてそれを回避することができる。また逆に総合使用電力が減った場合は第一、第二の電気機器の使用電力を増やして運転終了時間を短縮させることができる。
もちろん、第一の電気機器の運転が終了して電力供給系統の総合使用電力が減った場合も第二の機器の使用電力を増やして電力使用料金が安くなる時間帯において効率的に運転させることができる。
このような使用電力平準化制御は第一・第二の電気機器の運転中に限らず、電気機器2〜4の運転中であれば電力使用料金が安くなる時間帯や終日的に使用電力平準化制御を行
ってもよい。
以上の使用電力平準化制御を説明したところで、午前7時までに運転が終了しないときの開始時間を早める処理(図7のS29)を図9のフロー図で説明する。
制御手段16は以下の(1)〜(3)の3通り(S41〜S44)について運転開始の時刻、運転終了の時刻を算出し、この(1)〜(3)の運転時間帯の中から1つを選択して予約運転の開始時間を設定する(S45)。
たとえば通知手段12を通じて使用者に知らせて選択させてもよいし、季節、日時、曜日などに応じて選択を切り替えてもよい。また、(1)〜(3)のうちのいくつかを選択して重み付けして加算する組み合わせで決めてもよい。
(a)時間帯別電気料金情報に基づいて運転開始時刻を一番早い23時として、第一の電気機器と第二の電気機器を実施の形態1または2で運転させたときの運転終了時刻を求める(S41、図7のS25と同じ)。
(b)時間帯別電気料金情報に基づいて運転終了時刻を一番遅い午前7時として、第一の電気機器と第二の電気機器を実施の形態1または2で運転させたときの運転開始時刻を求める(S42)。
(c)いますぐ第一の電気機器と第二の電気機器を運転させたときの運転終了時刻を求める(S43)。
この3つを時間軸で図示すると図10のように、(a)開始時間優先の予約運転、(b)終了時刻優先の予約運転、(c)いますぐ運転開始、の3つの運転を比較検討している。
そして上記の3つの予約運転について制御手段16は次の比較を行う(S44)。
(1)3つの予約運転の時間帯について総合使用電力を算出し比較して通知手段12に表示する。ここでその時間帯における総合使用電力は電力計測手段6で過去に計測・記憶した時間毎の総合使用電力値を基にして得られる。あるいは予め時間帯毎の総合使用電力値を記憶していてもよい。
これには単位時間毎(たとえば15分間隔)の最大使用電力値、平均使用電力値、最初使用電力値を用いて算出する。このとき個別電力計測手段により電気機器2〜4の使用電力を計測していればこれを削除する。
これにより、予約運転が終了期限時刻(たとえば電力使用料金の安い時間帯である午前7時)を越える場合は、開始時間を繰り上げて予約運転した場合と終了期限時刻を越えて運転した場合とで総合使用電力の少ないほう(使用電力の余裕度が大きい)の時間帯を選択するので、制御システムが制御対象とする電気機器以外の機器が運転する等で電力供給系統の総合使用電力が増えて契約電力や許容電力を超えブレイカーが落ちることを減らすことができる。
(2)3つの予約運転の時間帯について上述の図8で説明した使用電力平準化制御が行われた回数や頻度を算出し比較し通知手段12に表示する。ここで時間帯における使用電力平準化制御が行われた回数や頻度は制御手段16で過去に行った制御回数・頻度を時間毎に記憶してこれを基にして得られる。
これにより、予約運転が終了期限時刻(たとえば電力使用料金の安い時間帯である午前7時)を越える場合は、開始時間を繰り上げて予約運転した場合と終了期限時刻を越えて運転した場合とで使用電力平準化制御の回数を比較して頻度の少ないほうの時間帯を選択するので、制御システムが制御対象とする電気機器以外の機器が運転する等による使用量平準化制御する回数を減らし使用量平準化制御によるさらなる終了時刻の延長を減らすことができる。
(3)3つの予約運転の時間帯について時間帯別電気料金情報に基づいて電力使用料金を算出し比較し通知手段12に表示する。これは使用電力値と時間帯毎の電力使用料金との積で得られる。
たとえば、時間帯別電気料金情報として23時〜午前7時の電力使用料金を1kWあたりは9円程度、その前後の17時〜23時と午前7時〜10時は23円程度、午前10時〜17時は28円〜33円程度とすると、第一の電気機器と第二の電気機器の運転時間長が23時〜午前7時を5時間越えるとき、運転開始を5時間早くして18時から運転して午前7時に終了するときと、運転終了時刻を5時間遅くして23時から運転して午前12時に終了するときでは、同じ使用電力量のときは18時に運転開始するほうが電力使用料金は安くなる。
また電気機器別に時間帯別電気料金情報が異なる場合は、同じ時間帯であっても第一・第二の電気機器の組合せによって電力使用料金が異なる。
これにより、電気機器の予約運転が終了期限時刻を越える場合は、開始時間を繰り上げて予約運転した場合と終了期限時刻を越えて運転した場合とで電力使用料金を比較して安いほうの時間帯を選択するので電力使用料金を安くできる。
なお、上記(1)〜(3)の予約運転の時間帯の比較と選択は、予約運転の対象となる電気機器が2つに限らず3つ以上であっても、また1つであっても有効である。
ところで上記(1)〜(2)については第一・第二以外のその他の電気機器5による使用電力が関与して使用電力の余裕度が大きい時間帯を選択しているので使用者の電気機器の使用パターンや生活パターンによるところが大きい。これを図11で説明する。
図11(a)は朝型(早寝早起き型)のひとの使用電力パターンの一例を示す。図11(b)は夜型(遅寝遅起き型)の人の使用電力パターンの一例を示す。
図11(a)において、使用者は日常的にほぼ22時30分頃に就寝して電気機器の使用が減るとすれば電力計測手段6で計測する総合使用電力は22時30分から減少する。ここを予約運転の開始時間に設定して予約運転の時間帯を調整すれば、使用電力の余裕度が大きい時間帯を有効に活用して他の電気機器の運転の影響を受けにくい時間帯に予約運転を行うことができる。ただし23時までの電力使用料金は高くなる。
そして、使用者は日常的に午前6時30分頃に起床して電気機器の使用が増えるとすれば電力計測手段6で計測する総合使用電力は午前6時30分から増加する。ここを予約運転の終了期限時刻に設定して予約運転の時間帯を調整すれば、午前6時30分以降という使用電力の余裕度が小さく他の電気機器の運転の影響を受けやすい時間帯を避けて予約運転を行うことができる。
また図11(b)において、使用者は日常的にほぼ24時頃を過ぎて就寝して電気機器
の使用が減るとすれば電力計測手段6で計測する総合使用電力は24時を過ぎて減少する。ここを予約運転の開始時間に設定して予約運転の時間帯を調整すれば、23時直後の使用電力の余裕度が小さく他の電気機器の運転の影響を受けやすい時間帯を避けて予約運転を行うことができる。
そして、使用者は日常的に午前8時頃に起床して電気機器の使用が増えるとすれば電力計測手段6で計測する総合使用電力は午前8時以後から増加する。ここを予約運転の終了期限時刻に設定して予約運転の時間帯を調整すれば、午前8時までの使用電力の余裕度が大きい時間帯を有効に活用して他の電気機器の運転の影響を受けにくい予約運転を行うことができる。ただし午前8時までの電力使用料金は高くなる。
上記は一例であるが、いずれも電力使用料金の安くなる時間帯を含むようにして、使用者の電気機器の使用パターンにあわせて、それと干渉しにくいような予約運転を行うことができる。もちろん、図10(a)、図10(b)の比較にこのような使用者の使用パターンを組み合わせてもよい。
図11(a)、図11(b)のように朝型、夜型の生活パターンを考慮すると、23時〜午前7時の時間枠を前後に調整して、23時より少し早めの時間帯(または午前7時より少し遅めの時間帯)を選択した方が他の電気機器の影響を受けにくくて予約運転がスムーズとなる(運転終了時刻の予測精度が高まる)時間帯を選択することが可能となる。
そのための使用者の朝型、夜型の生活パターンを使用者毎に把握するために、電力計測手段6にて24時間/曜日/月毎の家庭の総合使用電力量を記憶・学習し総合使用電力が所定値以下となる時間帯、すなわち図11(a)、図11(b)の開始時間を検知することが可能である。そして、制御システムは予約運転の開始時間を総合使用電力が所定値以下となる時間以後として、使用電力の余裕が大きくなる時間を検知して予約運転を行う。
また、電力計測手段6にて24時間/曜日/月毎の家庭の総合使用電力量を記憶・学習し総合使用電力が所定値以上となる時間帯、すなわち図11(a)、図11(b)の終了期限時刻を検知することが可能である。そして、制御システムは予約運転の終了期限時刻を総合使用電力が所定値以上となる時間以前として、使用電力の余裕が小さくなる時間を検知して予約運転を行う。
また、電力計測手段6のほかに生活者の活動検知手段15を制御装置11に備えてもよい。
活動検知手段15は、たとえば部屋毎に備えられた人感センサや電気機器1〜4であり、寝室での人感検知、寝室の照明や空調機器の運転履歴、寝室の電気機器の利用履歴などで、これにより使用者の就寝・起床を検知する。また、玄関の施錠履歴やトイレの使用履歴、部屋の照明や空調機器の運転履歴などで、これにより使用者の外出・帰宅を検知する。
また、使用者が電波発信機を携帯し、その電波発信機から発信される電波を活動検知手段15が受信することで使用者の在・不在の検知をする。使用者の家族毎に電波発信機の識別符号を異ならせることで家族一人一人の在・不在も判別できる。さらに、電波発信機から発信される電波のエリアを狭くして部屋毎に活動検知手段を備えれば、部屋毎に誰がいるかを検知することができる。
制御装置11はこれらの履歴を記憶・学習して生活パターンを導き出すことで精度を高めることができる。
また、制御装置11はホームセキュリティ機器(図示しない)との連携で「就寝警戒モード」「外出警戒モード」を把握したり、使用者のスケジュール表(パソコンや情報端末、携帯電話など)と情報共有することでさらに精度を高めることができる。また、使用者が使用する携帯電話の位置検出情報、電源オン/オフ履歴情報、充電のオン/オフ履歴情報、操作履歴情報を利用しても良い。
あるいはまた、電気機器2〜4が備える動作検知手段10や個別電力計測手段19が活動検知手段15の機能を兼ねることにより使用者の各電気機器の使用を検知することで活動を検知してもよい。
このようにして、制御システムは使用者の活動を検知する活動検知手段を備えて、開始時間は使用者の就寝または外出を検知した時間以後とすることで、制御システムが制御する電気機器以外の機器が運転する可能性の低い時間を重点的に選択して予約運転を行うことができる。
また、終了期限時刻は使用者の起床または帰宅を検知する時間以前とすることで、使用者の起床や帰宅など制御システムが制御する電気機器以外の機器が運転する可能性の高い時間を避けて予約運転を行うことができる。
なお、使用者の生活パターンと23時〜午前7時の電力使用料金との乖離については、このような使用者の生活パターンや電気機器の使用パターンを制御装置11は通知手段12によって電力供給者に知らせ、電力供給の平準化上有効であれば、電力供給者が使用者毎に電力使用料金の安い時間帯を個別に設定、その電力料金情報を制御装置11に記憶させる。
加えて、使用者の就寝中・不在中を判断することができるので、上述の蓄電機器、蓄熱機器、蓄エネルギー機器、充電機器、貯湯機器のほかに、空気清浄機や加湿・除湿機器、部屋掃除機器、空間掃除機など使用者が家屋や特定の部屋に不在の時に運転することが可能な電気機器についても予約運転の対象機器に含めることができる。
このように身近にある電気機器を以下の区分に分け、このうち(2)、(3)について本実施の形態によって電力使用料金が安い時間帯に自動的に予約運転させる生活が可能となる。
(1)すぐに運転させたい電気機器・・・調理機器、TVなど。
(2)所定時間(たとえば明日の午前7時)までであれば、できれば電気使用料金を安くして運転してくれればよい電気機器・・・蓄電機器、蓄熱機器、蓄エネルギー機器、貯湯機器、洗濯乾燥機、食器洗い乾燥機など。
(3)1、2日間隔であれば都合の良いとき(就寝時、不在時など)に、できれば電気使用料金を安くして運転してくれればよい電気機器・・・空質制御機器(空気清浄、加湿、除湿)、掃除機器など。
そして(2)、(3)については運転に必要な時間長と時間帯に応じて優先度を切り替える。
つまり、就寝〜起床の時間長に比べて外出〜帰宅の時間長は一般的に短いこと、日によって時間長が変動すること、必ずしも毎日外出するわけではないこと、から、就寝から起
床の時間帯には運転に必要な時間長の長い電気機器や上記(2)の電気機器の優先度を高くし、家庭での総合使用電力の少ない時間帯を検知して運転する。
一方、外出〜帰宅の時間帯には運転に必要な時間長の短い電気機器や上記(3)の電気機器の優先度を高くし、家庭での総合使用電力の少ないときを検知して運転する。
また、就寝から起床の時間帯でも上記(2)の電気機器がない場合は上記(3)の電気機器を運転させる。
なお、最後になるが、図1の制御システムには太陽光電池装置7や燃料電池装置8など発電装置の発電力検知手段17と給湯量検知手段18が制御装置11に接続されている。これまでの説明では電力使用料金が安くなる時間帯として23時〜午前7時の夜間電力帯で説明してきたが、電力会社以外で自宅に発電装置があればこれらの装置から発電される時間帯も電気使用料金が安くなる時間帯となる。
たとえば、時間帯電気料金情報によれば午前7時を過ぎてからの電力使用料金は高くなるが、晴れていれば太陽光発電装置7による発電が行われており、夕方にかけて日中での発電量は増えていく。もちろん天候や季節によってことなるが、日の出〜日没の時間帯は使用電力の余裕が大きくなるとともに電力使用量が安い時間帯となる。
したがって、発電力検知手段17によって24時間/曜日毎/月毎の家庭の発電量を記憶・学習して発電量が所定値以上となる時間帯を検知して本実施の形態1・2の予約運転と連携させることができる。さらに、外部の情報サーバと連携して天気予報情報を取得し、これによって明日が晴れ/曇り/雨によって予約運転の開始時間・終了時間を切り替えてもよい。
同様に、燃料電池装置8は発電とともに給湯も行うので給湯量検知手段18に24時間/曜日毎/月毎の家庭の給湯量を記憶・学習し、給湯の必要な時刻と必要量にこの給湯量を考慮して貯湯機器の予約運転を行う。あるいは貯湯機器の予約運転にあわせて燃料電池装置8を運転させる、また、第一・第二の電気機器の予約運転で電力需要が増えるときに燃料電池装置8を運転させるなど本実施の形態1・2の予約運転と連携させることができる。
これによって自家用太陽発電や燃料電池など発電によって電力が増える時間帯を含めて予約運転を行うのでより経済的なほうを選択することができる。
なお、上記実施の形態で、図3、図6は第一、第二、第三の電気機器の予約運転について説明したが、第四以上の電気機器を含めて予約運転してもよい。また第一の電気機器の必要運転時間が23時〜午前7時よりも長い場合は第一の電気機器のみで予約運転してもよい。
同様に、図10において第一、第二の電気機器で説明したが、第三以上の電気機器を含めて予約運転してもよいし、第一の電気機器のみで予約運転してもよい。この場合、第一の電気機器の必要運転時間が23時〜午前7時よりも長い場合は、第一の電気機器のみで図10(a)の開始時間優先の予約運転と図10(b)の終了時刻優先の予約運転とを比較して選択してもよい。
なお、電気機器に備える動作検知手段や個別電力計測手段、発電量検知手段、給湯量検知手段のいくつかに携帯電話網や無線回線網等の宅外無線通信手段を備えて宅外と通信し、制御装置は電力供給者やエネルギーサービス事業者が備えてもよい。