〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態は、認証情報として、連続的に取得した複数の部分画像を合成して再構成した生体画像に対し、合成の不整合領域を抽出し、その不整合領域を利用して認証に用いる適正領域を抽出する生体情報処理装置である。
第1の実施の形態について、図1及び図2を参照する。図1は、第1の実施の形態に係る生体情報処理装置の機能構成を示す図、図2は、合成した生体画像の不整合領域及び適正領域の抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図1及び図2に示す構成や処理手順等は一例であって、これに限定されるものではない。
この生体情報処理装置2は、本開示の生体情報処理装置、生体情報処理方法及び生体情報処理プログラムの一例であって、複数の部分生体画像を合成した生体画像に対し、その合成状態に基づいて、生体認証に適用できる適正領域を抽出する手段の一例である。
そこで、読取装置に備えられたスウィープ型センサ等で取り込んだ複数の部分生体画像4を合成して再構成した生体画像に対し、その画像取り込みの特性を利用して、生体画像の特徴情報等から合成状態を解析する。この解析により、例えば、取り込まれた生体情報が基の生体に対して正確に合成されていない、又は生体情報に歪みが生じている等の不整合領域を抽出する。そして、抽出した不整合領域を利用し、生体画像内の適正に合成された領域を抽出する。
このように合成状態を解析し、抽出した不整合領域を利用して適正領域の抽出を行う生体情報処理装置2は、例えば、生体画像取得部6、不整合領域抽出部8、適正領域抽出部10を備えている。
生体画像取得部6は、複数の部分生体画像を取得して再構成する手段、又は再構成された生体画像を取り込む手段の一例である。この生体画像取得部6は、例えば、部分生体画像4の読取手段として、例えば、既述のスウィープ型センサを備える。そして、相対的に移動する生体について、複数の部分生体画像4を連続的に採取し、結合させて生体画像の再構成を行う。
ここで、部分生体画像4の合成は、スウィープ型センサを用いた場合の画像の合成を行う処理であればよく、例えば、読取装置に対して相対的に移動する生体の移動距離や相対移動方向等に基づいて合成すればよい。この生体画像の再構成については、例えば、上記の特許文献1〜6に示す手段を用いてもよい。
不整合領域抽出部8は、再構成された生体画像の合成状態について、基の生体に対して不整合な状態となっている領域を解析して抽出する、生体情報の処理機能部の一例である。この生体画像の不整合領域の抽出には、部分生体画像4の取り込み特性として、例えば、後述する生体情報の不連続状態や歪み状態、繰り返し状態等を利用している。また、この不整合領域は、例えば、生体の相対移動方向、又は生体画像取得手段に対して相対移動方向とみなす方向と直行する方向に沿って解析を行ってもよい。
適正領域抽出部10は、合成により再構成した生体画像に対し、抽出した不整合領域に基づいて認証に利用できる適正領域を抽出する、生体情報の処理機能部の一例である。例えば、生体画像に対して、抽出した不整合領域を除去することで、適正領域の候補を抽出してもよい。そして、その適正領域の候補に対して、所定の条件として、例えば、認証可能な生体情報の大きさ(例えば、画素数)等の条件に基づいて、適正領域の抽出を行ってもよい。抽出する適正領域は、生体画像に対して1つとは限られず、例えば、不整合領域の大きさ等によって、複数の適正領域を抽出してもよい。
そして、抽出した適正領域の情報は、例えば、生体認証部12側に送られ、認証処理が行われる。
次に、生体画像に対する不整合領域の抽出、適正領域の抽出処理について、図2を参照する。
この抽出処理は、生体情報処理方法、生体情報処理プログラムの一例であって、既述のように、複数の部分生体画像4を再構成して生体画像を取得し、この生体画像から不整合領域を抽出し、この不整合領域を利用して、適正領域を抽出する。この抽出処理手順には、生体画像取得機能(ステップS11)、不整合領域抽出機能(ステップS12)、適正領域抽出機能(ステップS13)が含まれる。
生体画像の取得では、複数の部分生体画像4を取り込み、再構成した生体画像を取得する(ステップS11)。そして、この生体画像について、合成の不整合な領域の抽出を行う(ステップS12)。この不整合領域の抽出では、例えば、生体情報が指紋情報であり、連続的に取り込んだ複数の画像の合成結果が指紋の場合において、その隆線の方向や、隆線間の間隔情報を利用して、生体画像を解析すればよい。また、指紋の隆線の端部や、分岐点等のマニューシャ等の特徴情報を利用してもよい。そして、部分生体画像4の取り込み特性として例えば、指紋の隆線の接線角度の変化量検出や周波数を用いた歪みの検出等を行う。この解析は、例えば、生体画像の全領域に対して行ってもよく、又は、所定の画素単位毎に区切って行ってもよい。
この解析により、生体画像中において、生体情報が不連続となっている領域、歪みが生じている領域、同様の画像が繰り返しとなっている領域の候補を抽出する。この処理では、例えば、既述した生体情報の不連続状態の解析、歪み状態の解析、繰り返し状態の解析の全てを行ってもよく、又はこれらの何れか1つを行い、又は複数を組み合わせてもよい。
不整合領域を抽出したら、生体画像の適正領域の抽出に移行する(ステップS13)。この処理では、生体画像に対して、抽出した不整合領域を除去することで、適正領域を抽出する。
抽出した不整合領域情報や適正領域情報は、例えば、生体認証部12側へと転送して、生体認証処理に利用すればよく、又は、記憶手段に記憶してもよい。
斯かる構成によれば、再構成された生体画像の不整合領域を抽出し、この不整合領域を用いて適正領域を抽出することで、本人の受け入れ拒否や他人の受け入れを防止することができ、生体認証の信頼性を向上させることができる。また、認証可能な適正領域の抽出を行うことで、部分生体画像が不整合に合成された場合でも、生体情報の再入力を繰り返す必要がなく、利用者の利便性が高められる。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、第1の実施の形態に示す構成に加え、抽出した適正領域に対して、認証への適用性の判定処理を行う。
第2の実施の形態について、図3及び図4を参照する。図3は、第2の実施の形態に係る生体情報処理装置の機能構成を示す図、図4は、第2の実施の形態に係る生体画像の処理を示すフローチャートである。なお、図3、図4に示す構成、処理手順等は一例であって、これに限定されない。また、図3、図4において、図1、図2と同等の構成又は同等の処理については、説明を省略する。
この生体情報処理装置2は、本開示の生体情報処理装置、生体情報処理方法又は生体情報処理プログラムの構成例であって、第1の実施の形態に対して、抽出した適正領域が認証に利用可能か否かの判定を含む構成である。そこで、この生体情報処理装置2には、例えば、既述の生体画像取得部6、不整合領域抽出部8、適正領域抽出部10に加え、判定部14を備えている。
判定部14は、生体情報の読取り状態を判定する手段の一例であって、例えば、生体画像から抽出した適正領域が、生体認証部12で認証を行うことができる条件を満たしているかを判定する。この判定では、例えば、抽出した適正領域の、認証に利用可能な画素数や、生体画像内における位置情報等を判定すればよい。そして、取得した生体画像の認証可能な適正領域の有無が、生体情報の読取り状態の判定結果となる。
また、例えば、抽出された適正領域の候補に対して、判定部14が所定の条件を有するかを判定することで、最も認証に適した適正領域を抽出するようにしてもよい。
第2の実施の形態に係る生体情報の処理について、図4を参照する。
この生体情報処理は、生体情報処理方法、生体情報処理プログラムの一例であって、抽出した適正領域が認証に利用可能か否かの判定を行う。そこで、既述の生体画像取得機能(ステップS21)、不整合領域抽出機能(ステップS22)、適正領域抽出機能(ステップS23)に加えて、判定処理機能(ステップS24)が含まれる。
図4に示した生体画像取得機能(ステップS21)、不整合領域抽出機能(ステップS22)、適正領域抽出機能(ステップS23)については、第1の実施の形態に示すステップS11〜ステップS13(図2)と同様に行えばよい。
そして、判定処理では、抽出した適正領域に対して、認証に利用可能か否かを判定する(ステップS24)。この処理では、例えば、生体画像に対して、適正領域と不整合領域との位置関係に基づいて判定したり、又は適正領域の画素数等に基づいて判定する。
この判定により、認証に利用可能と判定した場合(ステップS24のYES)には、その適正領域情報を認証情報として、生体認証部12側へと送信する。又は、記憶部等に記憶させてもよい。また、認証に利用できないと判断した場合(ステップS24のNO)は、生体情報の読取りが良好ではないので、例えば、ステップS21に戻り、再度の生体画像の取得を指示する。この場合、例えば、生体情報処理装置2の表示部168(図37)等を利用して、利用者に対して生体情報の再入力を促す。更に、生体情報の入力の仕方について、アドバイスを行ってもよい。
斯かる構成によれば、再構成された生体画像の不整合領域を抽出し、この不整合領域を用いて適正領域を抽出することで、本人の受け入れ拒否や他人の受け入れを防止することができ、生体認証の信頼性を向上させることができる。また、再構成した生体画像に対し、抽出した適正領域の位置や大きさ等に基づいて画像の読取り状態を判定することにより、生体認証の信頼性を向上させることができる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、生体情報処理装置の具体的な構成例を示す。生体情報処理では、既述のように、複数の部分生体画像を取り込み、合成により再構成した生体画像に対して合成の不整合領域を抽出し、この不整合領域を利用して適正領域の抽出を行う。生体画像の不整合領域の抽出は、取り込んだ複数の部分生体画像の取り込み特性として、例えば、生体情報の不連続部分、繰り返し部分、歪み部分を解析して判断する。
第3の実施の形態について、図5、図6、図7、図8及び図9を参照する。図5は、生体情報処理装置の機能部を示す図、図6は、特徴情報抽出部及び不整合領域抽出部の機能構成例を示す図、図7は、スウィープ型センサに対する生体情報の入力状態を示す図、図8は、隆線方向の検出を示す図、図9は、隆線情報と隆線方向情報の例を示す図である。なお、図5、図6、図7、図8及び図9に示す構成は一例であって、これに限られない。また、第1又は第2の実施の形態と同等の構成については、説明を省略する。
この生体情報処理装置2は、本開示の生体情報処理装置、生体情報処理方法又は、生体情報処理プログラムの一例であり、例えば、生体認証装置を構成する。合成した生体画像の不整合の解析では、例えば、生体画像から抽出される特徴情報を利用する。そして不整合領域の抽出では、取り込んだ複数の部分画像の取り込み特性である隆線不連続、周波数不連続、濃淡不連続、繰り返しパターン等となっている画像の解析を行う。なお、ここで利用する生体情報は、例えば、生体指紋情報を示している。
そこで、この生体情報処理装置2は、図5に示すように、生体画像取得部6、不整合領域抽出部8、適正領域抽出部10、判定部14、認証部16の他、特徴情報抽出部18を備える。また、不整合領域抽出部8は、例えば、隆線不連続検出部20、周波数不連続検出部22、濃淡不連続検出部24、繰り返しパターン検出部26を備えている。これらの機能部はコンピュータ処理によって実現される。
特徴情報抽出部18は、再構成された生体画像、又は部分生体画像から、生体の特徴情報を解析し、抽出する手段である。この特徴情報として、例えば、指紋の隆線方向情報、指紋中心情報、マニューシャ情報、隆線間隔情報等を抽出すればよい。そして、これらの特徴情報を利用し、再構成された生体画像の不整合領域の抽出を行う。
なお、この特徴情報の抽出は、認証処理で利用する生体情報の特徴情報の抽出と同様に行えばよく、例えば、ここで得られた特徴情報を利用して、生体認証を行ってもよい。
隆線不連続検出部20は、抽出した特徴情報を利用した不整合領域の抽出機能部の一例であって、例えば、隆線方向不連続検出部28を備え、生体画像の隆線が不連続な状態に合成されている部分の解析を行う。隆線方向不連続検出部28は、例えば、隆線方向情報又は隆線の接線の変位情報等に基づいて所定の隆線方向を予測し、この予測方向と、生体画像の隆線方向とを比較して不連続を検出する。
周波数不連続検出部22は、例えば、隣り合う指紋の隆線間、又は隆線と谷線との間の間隔情報を周波数として解析し、生体画像上に直線的に分布する周波数の不連続を検出する手段である。この周波数不連続検出により、例えば、読取装置に対する生体の移動速度の変化等によって生じる生体画像の歪みを検出する。
濃淡不連続検出部24は、隆線の不連続部分の検出を行う機能部の一例であって、例えば、生体画像の隆線の濃淡が変化した部分を示す画素の強度を算出し、生体の相対移動方向に対する隆線のズレを検出する。そして、生体の相対移動方向に対して直交方向に採った検出領域について、画素の持つ隆線の強度を表す値が不連続となっている領域を不整合領域として検出する。
繰り返しパターン検出部26は、生体の同一部位を取り込んだ複数の部分生体画像を繰り返して合成している領域を検出する手段の一例であり、隆線方向同一部位検出部30を備えている。この隆線方向同一部位検出部30は、例えば、生体画像の隆線方向が同一となる所定の領域が、直線上に連なって合成されている部位を検出する手段である。これにより、例えば、隆線方向が同一となる領域が隣接して平行に分布している領域を、合成の不整合を示す繰り返しパターンとして検出する。
更に、この実施の形態の生体情報処理装置2は、図6に示すように、特徴情報抽出部18及び不整合領域抽出部8が構成される。
特徴情報抽出部18は、既述の生体画像取得部6で取得した生体画像の提供を受け、その生体画像から特徴情報を抽出する機能部である。そこで、特徴情報抽出部18は例えば、隆線方向検出部50、指紋中心検出部52、マニューシャ検出部54、間隔検出部56を備えている。
この場合、生体画像取得部6には、複数の部分生体画像4を取得する手段として、例えば、図7に示すスウィープ型センサ40を備えており、利用者が指42をスライドさせて取り込んだ部分指紋画像を合成して、指紋画像を再構成する。
隆線方向検出部50は、生体画像から隆線方向を検出する手段である。隆線方向の検出は、図8に示すように、例えば、指紋画像60を所定の小領域に分割し(図8A)、2値化等の処理を施して、方向性フィルタ等によって画像処理をすればよく、このような処理により隆線方向62が得られる(図8B)。この指紋画像60の隆線方向62と隆線64を図9に示す。このような隆線方向の検出として、例えば、特開平5−242227号公報に示す方法を利用してもよい。
指紋中心検出部52は、合成された指紋画像60から、指紋の中心を検出する手段である。この指紋中心の検出は、例えば、指紋画像上の各位置における指紋紋様の曲率を求め、この曲率の最大点を求める方法がある。また、例えば、「D.Maltoni 他著『指紋認識ハンドブック』Springer Science, p.100 」や、「M.Kawagoe and A.Tojo, Fingerprint Pattern Classification, Pattern Recognition, Vol.17, No.3, pp. 295-303, 1984. 」に示すように、ポアンカレ指数を用いて特異点を検出する方法を利用してもよい。
間隔検出部56は、合成された指紋画像の隆線同士、谷線同士、又は隆線と谷線との間隔情報を検出する手段である。
不整合領域抽出部8には、例えば、不連続検出部70、繰り返し検出部72、歪み検出部74が構成されている。
不連続検出部70は、不整合領域として、隆線の不連続部分を検出する手段の一例であって、例えば、既述の隆線不連続検出部20、濃淡不連続検出部24に対応する。この不連続検出部70には、不連続候補点検出部76、直線検出部78、不連続判定部80を備えている。
不連続候補点検出部76は、隆線方向情報、濃淡情報の解析により、例えば、隆線毎に不連続になっている点を検出する手段である。図10に示すように、不連続候補点100は、画像合成のズレにより生じた隆線の不連続位置であり、指紋画像60に対して水平方向に複数発生する。
直線検出部78は、不連続候補点100が直線上に発生しているか否かを検出する手段である。即ち、指紋画像60は、複数の部分生体画像4を生体の相対移動方向に沿って合成している。これにより、隣接した隆線に対して不連続部分が、生体の相対移動方向に対して直交方向に直線上に生じることになる。
不連続判定部80は、不連続候補点検出部76及び直線検出部78の検出結果に基づいて、不連続の発生を判定する手段の一例である。既述のように、検出した不連続候補点100が、直線状に発生している場合には、この部分を不連続発生部分と判断する。
繰り返し検出部72は、既述の繰り返しパターン検出部26に対応しており、合成した生体画像の繰り返しを検出する手段の一例であって、領域分割部82、領域形状推定部84、繰り返し性判定部86を備える。
領域分割部82は、後述するように、繰り返し検出処理において、生体画像に対して、繰り返し状態となる可能性がある領域を抽出するための2値化処理を行う手段の一例である。
領域形状推定部84は、例えば、上記の2値化画像において、指の接触幅の差を検出し、繰り返し状態となる可能性がある繰り返しパターン候補を含む領域を推定する手段の一例である(図25)。
繰り返し性判定部86は、例えば、上記の繰り返しパターン候補に対して、隆線方向情報等を利用し、繰り返しパターンか否かを判定する手段の一例である。
また、歪み検出部74は、既述の周波数不連続検出部22に対応しており、再構成した生体画像に、歪み領域が発生していることを検出する手段であり、例えば、周波数算出部88、領域分割部90、歪み判定部92を備える。
周波数算出部88は、例えば、所定領域における指紋の隆線間等の間隔情報を示す周波数について、生体画像の水平方向毎に閾値を算出したり、投影情報を算出する手段である。
領域分割部90は、歪み領域に対し、周波数算出や歪み判定の対象である複数の領域に分割する手段である。
歪み判定部92は、上記の算出した投影情報が所定の閾値を超えている場合に歪み領域として検出する手段である。
次に、生体画像の不整合領域抽出の具体的な解析処理例について示す。この不整合領域抽出では、生体情報として、指紋情報を利用した場合を示す。
(1)不連続検出
生体画像の不連続検出について、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19、図20及び図21を参照する。図11は、不連続の発生状態を示す図、図12は、不連続検出の処理手順を示すフローチャート、図13は、濃淡不連続検出の原理を示す図、図14は、エッジ強度を算出するための演算子の一例を示す図、図15は、指紋部位によりエッジの状態が異なることを示す図、図16は、エッジ強度解析の状態を示す図、図17は、不連続部分の直線解析を示す図、図18は、濃淡不連続検出の処理手順を示すフローチャート、図19は、隆線の接線方向を利用した不連続検出の原理を示す図、図20は、不連続部分の直線解析を示す図、図21は、隆線の接線方向を利用した不連続検出の処理手順を示すフローチャートである。なお、図11〜図21に示す構成、処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。
取得した複数の画像が不連続に合成された指紋画像60では、隆線64が途中で折れ曲がる、又は段差が生じる等の状態となり、指の接触領域101も同様に歪んだ状態となる。適正に合成された隆線の例を図11Aに示す。これに対し、不整合な合成が行われると、例えば、図11Bに示すように、不整合に合成された不連続部分102から連続的に画像が合成されるので、指紋が歪んだ状態となる。このような隆線から抽出した特徴情報を生体認証に利用すると、上記の折れ曲がりの位置や、段差部分を隆線の端部と誤認識するおそれがある。
そこで、不連続検出では、隆線64の連続状態を解析し、図11Bに示す不連続部分102を検出する。この不連続検出では、例えば、既述した濃淡不連続検出や、隆線の接線方向不連続検出を利用する。
不連続検出の処理手順として、例えば、図12に示すように、濃淡不連続検出処理F1を行った後に、隆線の接線方向を利用した不連続検出処理F2を行えばよい。
まず、処理F1として、指紋画像60の濃淡情報を利用した不連続候補点100を検出し(ステップS101)、この不連続候補点100を用いて直線検出を行う(ステップS102)。即ち、図10及び図11Bに示すように、隆線64の不連続点は指紋画像60の水平方向に対して直線上に生じることから、不連続候補点100が直線上に検出されているか否かの判断を行う。この直線検出には、例えば、ハフ変換、最小自乗法による算出処理を行えばよい。
不連続候補点100の検出結果、直線検出の結果に基づいて、濃淡の不連続の判定を行う(ステップS103)。
次に、処理F2として、隆線64の接線方向を解析し、任意の各点の変位状態から不連続候補点100を検出し(ステップS104)、上記のように、この不連続候補点100の直線検出を行う(ステップS105)。そして、不連続候補点の検出結果と、直線検出結果に基づいて、接線方向に基づいた不連続の判定を行う(ステップS106)。
なお、この処理F1と処理F2の手順は、何れか一方のみを行うものであってもよい。
(A)濃淡不連続検出(図13)
濃淡不連続検出では、例えば、特徴情報抽出部18で抽出した指紋画像60の隆線64のエッジを利用する。図13に示すように、例えば、ローパスフィルタ等を用いて、1画素幅に細線化した隆線64に対して、垂直方向として例えば、生体の相対移動方向に濃淡の変化が急な部分を示すエッジ強度104の算出を行う。エッジ強度104は、例えば、図14に示すソーベルオペレータ等の演算子106を用いて算出する。この演算子106は、画像解析のフィルタの一例であって、注目画素とその近傍画素の濃度値に対して、係数の重み付けを行う。算出処理では、例えば、演算子106の行列を用いて積和演算を行い、新たな濃淡値を設定する。
指紋画像60のエッジ強度104が高い画素をエッジ画素とし、また、エッジ画素が連なっている長さをエッジ長とする。そして、エッジ画素が指紋画像60の水平方向に直線状に並んでいる部分を不連続部分であるとみなす。
そして、不連続部分に対して演算子106を利用して算出したエッジ強度104は、図13Bに示すように検出される。
しかしながら、図15に示すように、指の先端側等のように水平方向に伸びた隆線64(図15A)や、僅かに斜め方向に傾いた隆線64(図15B)のように、不連続でない場合にも、垂直方向のエッジ強度104が検出される場合がある。即ち、水平方向に長く伸びた隆線64(図15A)では、エッジが水平方向に長く繋がっていると判断される。また、斜め方向に伸びた隆線64(図15B)では、水平方向に、例えば、1〜2画素程度のエッジ部分108として検出される場合がある。従って、これらの場合を区別する処理が必要となる。
そこで、エッジ長を利用した判断を行う。即ち、水平方向に伸びている隆線64では水平方向のエッジ長が長くなる。また、僅かに斜め方向に伸びている隆線64では、水平方向のエッジ長が例えば、1画素程度と小さい値となる。よって、エッジ長が所定の閾値Thmin からThmax の間であるエッジ画素を検出し、この部分を不連続候補として検出する。
また、図16に示すように、隆線64と谷線110が互い違いになって合成される(図16A)。この場合には、単純にエッジ長を検出すると、水平方向に伸びた隆線64と同じように長いエッジ長が検出されることになり、既述の閾値を利用すると、不連続と判断されないことになる。
そこで、このように長いエッジ長の検出に対しては、エッジ強度の算出により得られた符号情報を利用する。即ち、指紋画像60に対して、検出を行う基準面を設定する。例えば、谷線110から隆線64への境界線のエッジ強度104の符号と、逆に、隆線64から谷線110への境界線のエッジ強度112の符号が異なる(図16B)。これにより、同じ符号のエッジ強度104又はエッジ強度112であって、エッジ長が所定の閾値Thmin からThmax の間であるエッジ画素群を不連続候補として判断する。
このエッジ長の検出は、指紋画像60に対して、水平方向に所定の画素幅毎に行う。
次に、不連続候補の直線検出では、図17に示すように、検出した各エッジ長Lenを利用して、水平方向に所定の画素幅毎のエッジ長Lenの投影情報ΣLenを算出する。直線検出は、例えば、指紋画像60に対して所定の画素幅に設定した検出エリア114毎に検出を行う。この場合、既述のように、エッジ強度104とエッジ強度112の符号が異なることから、この算出処理では、例えば、二乗処理や絶対値による算出を行えばよい。そして、エッジ長の投影情報ΣLenが所定の閾値を超えている検出エリア114を不連続箇所として検出する。
この濃淡不連続の検出処理について、図18を参照する。この処理は、生体情報処理方法及び生体情報処理プログラムの一例である。
指紋画像60に演算子106(図14)を適用して垂直方向のエッジ強度を検出する(ステップS201)。エッジ強度の絶対値が所定の閾値を超える画素をエッジ画素として検出する(ステップS202)。
検出したエッジ画素について、エッジ強度の符号が同じであり、かつエッジ長が水平方向に所定の閾値Thmin からThmax の間であるエッジ画素群を不連続候補として検出する(ステップS203)。
検出した不連続候補点100に対する直線検出として、不連続候補のエッジ画素の長さLenについて、水平方向の投影情報ΣLenを算出する(ステップS204)。
そして、算出したエッジ画素の投影情報ΣLenが所定の閾値を超えているかの判断に移行し(ステップS205)、超えている場合(ステップS205のYES)には、不連続箇所が直線上に並んで生じているとみなして、生体画像の不連続部分として検出する(ステップS206)。
全ての投影情報ΣLenの極大値を判定した場合(ステップS207のYES)には、この処理を終了する。
検出した不連続部分の情報については、例えば、生体情報処理装置2の記憶部等に記憶させればよい。
(B)隆線の接線方向不連続検出(図19)
隆線の接線方向を利用した不連続検出では、図19に示すように、例えば、1画素幅に細線化した隆線64について、所定の間隔毎に区分けした接線方向検出位置Pにおける接線Sの角度θの角度変化を検出する。これにより、接線Sの角度変化を利用して隆線方向を予測し、この予測方向と、生体画像の隆線方向とを比較する。そして、隆線64が予測範囲外にあるとき、つまり、接線Si が所定の閾値以上に急激に変化した場合に不連続として検出する。
この接線Si の角度変化検出では、例えば、隣り合う接線方向検出位置Pi+1 −Pi 間における接線方向の角度差Δθi を算出する。このように、例えば、接線方向検出位置Pに沿って解析する。そして、角度θの差分Δθが急激に変化している位置があれば、不連続箇所Xを含む検出位置Pを不連続候補点116として検出する。
隆線64に設定した接線方向検出位置Pにおける接線Sの角度変化Δθを検出したら、図20に示すように、直線検出処理を行う。直線検出は、既述のように、所定の画素幅の検出エリア114毎に行う。この指紋画像60は、部分生体画像4を隆線64に沿って合成しており、また、隣合う隆線64は略平行になるので、隣り合う隆線64においても不連続となる。この直線検出では、検出エリア114内の隆線64に対して、算出した接線角度の差分Δθを足し合わせた値ΣΔθを投影情報として算出する。
この隆線の接線方向不連続の検出処理について、図21を参照する。この処理は、生体情報処理方法及び生体情報処理プログラムの一例である。
隆線64を細線化し(ステップS301)、例えば、1画素程度にする。この細線化の手段として、例えば、隆線周囲から少しずつ画素を削り取る処理を繰り返す、収縮処理を行えばよい。又はその他の方法を利用してもよい。
細線化した隆線64に対して一定間隔毎(検出位置P)に接線角度θを算出し(ステップS302)、隣合う検出位置Pに対して接線角度θの差分Δθを算出する(ステップS303)。
全ての隆線64の接線角度θの差分Δθを算出したら、直線検出処理に移行する。接線方向の差分について、指紋画像60の水平方向の投影情報として、ΣΔθを算出する(ステップS304)。
例えば、図20に示す検出エリア114毎に投影情報ΣΔθを解析し、極大値が、設定した所定の閾値を超えているかを判断する(ステップS305)。そして、投影情報ΣΔθの極大値が閾値を超えている場合(ステップS305のYES)には、不連続箇所が直線状に並んでいるとみなして、その検出エリア114を不連続線150(図31等)として検出する(ステップS306)。
全ての投影情報ΣΔθの極大値を判定したかを判断し(ステップS307)、全ての投影情報ΣΔθの極大値を判定した場合(ステップS307のYES)には、この処理を終了する。
なお、この不連続検出では、例えば、隆線64と谷線110との間の境界線の接線方向に基づいて検出を行ってもよい。以上のような処理により、不連続検出が行える。
(2)繰り返しパターン検出(図22)
次に、指紋画像に対する不整合領域抽出手段の1つである繰り返しパターン検出の具体的な処理例を示す。
繰り返しパターン検出について、図22、図23、図24、図25、図26及び図27を参照する。図22は、指の先端側の隆線に対して繰り返しパターンが生じた状態を示す図、図23は、指の根元側の隆線に対して繰り返しパターンが生じた状態を示す図、図24は、繰り返しパターンにおける隆線方向を示す図、図25は、繰り返しパターンの検出原理を示す図、図26は、領域分割処理及び領域形状推定分割処理を示すフローチャート、図27は、繰り返しパターン検出処理を示すフローチャートである。なお、図22〜図27に示す構成、処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。
生体情報の不整合領域である繰り返しパターンは、生体の同一部位を取り込んだ複数の部分生体画像4が繰り返して合成された状態である。例えば、図22に示すように、指の接触領域101に対する接触境界線120や隆線64について、適正に再構成された指紋画像(図22A、図23A)に対して、繰り返し領域122では、同一部分の部分画像を連続的に合成されている(図22B、図23B)。
画像の繰り返しは、例えば、生体の読取りにおいて、生体とセンサとの間のスライドで生じる摩擦力等より、一時的に生体とセンサとの相対移動が止まることによって同一部位の画像を複数枚取得することにより生じる。このとき、これらの画像から検出される生体とセンサとの相対移動距離は0であり、生体画像の再構成処理において冗長な画像を切り捨て、又は重なり合う位置で合成すれば繰り返しパターンは生じない。しかし、画像のノイズや僅かなセンサに対する生体の押圧変化によって、同じ部位の画像であっても重ね合わせる位置が検出されない場合があり、ずれた位置で重ね合わせられることで繰り返し領域122が発生する。
生体画像の繰り返し領域122は、同じ部位の画像を繰り返しているため、ずれた位置で合成されると平行移動した状態で生体画像が合成される。従って、図24に示すように、繰り返しパターンが発生している繰り返し領域122内の隆線64の隆線方向62は、同一方向を示している。また、指のスライド速度は、入力開始から徐々に速くなることから、指先側での繰り返し領域122を示す平行四辺形の幅が狭くなる(図24A)。逆に、根元側では幅が広くなり(図24B)、指紋情報のマニューシャが無くなってしまうことになる。
このような繰り返し検出では、例えば、指紋画像60に対して、繰り返しが生じている可能性が高い領域を区別するため、領域分割処理、領域形状推定分割処理を行う。そして、分割された繰り返しパターン候補について、隆線64の方向同一部位検出による繰り返し性の判定を行う。
領域分割では、取得した生体画像について、画像の縮小化処理、又は既述の細線化処理を行う。そして、得られた画像に対して、指の接触範囲と背景部分とを区別するために二値化処理を行う。この領域分割処理により、図25に示すように、指の接触範囲123を示す指紋画像124が得られる。
次に、繰り返しパターンを含む領域の候補を検出する領域形状推定分割処理を行う。繰り返しパターンは、指紋画像124において、指の接触範囲123と背景との、対向する左右の境界線126、128、130、132が、水平方向に平行になっている領域に発生する。即ち、図25に示すように、対向する境界線126と境界線130、境界線128と境界線132が平行となっている範囲134が繰り返しパターンの可能性が高い領域である。
そこで、この範囲134を検出するため、水平方向にスライスするように、例えば、所定の画素数毎の細長い検出領域136を設定する。そして、各検出領域136において、指の接触幅138の差を検出し、この接触幅138の差が小さい場合には、繰り返しパターンを形成する可能性の高い範囲134であると判断し、この検出領域を繰り返しパターン候補とする。また、逆に、接触幅138の変化の大きい領域では、繰り返しパターンは無いと判断できる。
繰り返しパターン候補を検出したら、繰り返し性の判定を行う。この判定では、既述のように、特徴情報抽出部18で取得した隆線方向62を利用し、境界線126、128、130、132と平行に隆線方向62が同一とみなせる部位を探索する。
例えば、隣合う検出領域136を対比して、対応する隆線方向62の角度(φ)の差分Δφを算出し、その差分が所定の閾値より小さい場合には、同一方向の隆線64が繰り返されていると判断して、繰り返しパターンであると判断してもよい。また、検出領域136毎に差分Δφの総和ΣΔφを算出してもよい。即ち、隣接する検出領域136で繰り返しパターンが発生している場合、その隆線方向62が平行になるので、その差分Δφが小さくなる。
次に、繰り返し検出処理について、図26及び図27を参照する。この処理は、生体情報処理方法及び生体情報処理プログラムの一例である。
領域分割処理として、指紋画像124の縮小画像を生成し(ステップS401)、この縮小画像に対して、画像中の背景と指の接触範囲123を分割するための閾値を算出する(ステップS402)。この閾値算出では、例えば、大津の閾値自動決定法等を利用すればよい。そして、この閾値を利用して、縮小画像を二値化し、接触範囲123を検出する(ステップS403)。
次に、領域形状推定分割処理に移行する。この処理では、上記の検出領域136について、指紋画像124の上端から下端までの接触幅138を算出し(ステップS404)、隣接する接触幅138の差分を検出する(ステップS405)。
検出した差分について、所定の閾値を下回るかを判定し(ステップS406)、接触幅138に差がない場合(ステップS406のYES)には、この検出領域136を繰り返しパターンを含む領域の候補として分割する(ステップS407)。また、接触幅138に大きな差がある場合(ステップS406のNO)には、繰り返しパターンではないとして、次の検出領域136の差分判定を行う。
そして、この差分判定を指紋画像124の上端から下端まで判定した場合(ステップS408のYES)には、この処理を終了する。
次に、繰り返し性の判定に移行する。
検出した繰り返しパターン候補を選択し(ステップS501)、繰り返しパターン候補の隆線方向62を検出する(ステップS502)。隆線方向62は、既述のように特徴情報抽出部18で抽出した情報を利用すればよい。
繰り返しパターン候補から方向同一部位の検出単位を選択し(ステップS503)、指の接触範囲123の境界線方向に沿って、方向情報の差分の総和ΣΔφを算出する(ステップS504)。
この差分の総和ΣΔφが所定の閾値を下回るかを判定し(ステップS505)、差分の総和ΣΔφが所定の閾値より小さい場合には(ステップS505のYES)、繰り返しによって、同一方向の隆線が繰り返されているので、繰り返しパターンとして検出する(ステップS506)。また、差分の総和ΣΔφが所定の閾値より大きい場合には(ステップS505のNO)、ステップS507に移行する。そして、同一の繰り返しパターン候補内の全てを判定したかを判断し(ステップS507)、判定していない場合(ステップS507のNO)には、ステップS503に戻り、他の繰り返しパターン候補との差分検出を行う。
また、全ての繰り返しパターン候補を判定したかを判断し(ステップS508)、全ての繰り返しパターン候補を判定した場合(ステップS508のYES)には、この処理を終了する。全ての候補の判定をしていない場合には、ステップS501に戻り、新たな繰り返し候補パターンを選択して、上記の処理を行う。
(3)歪み検出(図28)
次に、指紋画像に対する不整合領域抽出手段の一例として、周波数不連続検出による歪み検出処理の具体例を示す。
歪み検出について、図28、図29及び図30を参照する。図28は、生体画像の歪み部分の状態を示す図、図29は、周波数検出の原理を示す図、図30は、歪み検出処理を示すフローチャートである。なお、図28〜図30に示す構成、処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。
生体画像の歪み領域の検出では、例えば、図28に示すように、適正に合成された指紋画像60(図28A)に対して、特定の位置から隆線間隔が一定とならない歪み領域140を検出する(図28B)。この歪み領域140は、例えば、指の移動量が変化することにより生じる。
指紋画像60の歪み領域140は、指紋画像60上に設定した着目領域毎に周波数の主要成分ωpを算出することで検出する。この周波数は、例えば、この着目領域における指紋の凹凸濃淡波形等の解析により算出すればよい。
周波数の検出では、図29に示すように、指紋画像60に対して、所定画素値毎に設定した着目領域142を設定する。この着目領域142は、例えば、指紋画像60の分解能が500〔dpi〕の場合には、隆線64が複数本含まれるように縦横16画素×16画素ないし32画素×32画素を設定すればよい。着目領域142は、指紋画像60の全てを覆うように隙間なく設定してもよく、又は所定の間隔毎に設定してもよい。
そして、着目領域142毎に算出した周波数の主成分ωp について、直線検出を行う。この直線検出では、既述のように、例えば、指紋画像60の水平方向に所定の画素毎の検出領域144を設定すればよい。そして、各検出領域144毎に各着目領域142から検出した主成分ωp の水平方向の投影情報Σωp /nを算出する。この投影情報Σωp /nが、主成分ωp の平均値に基づいた所定の閾値で設定される範囲の外にある場合は、不連続箇所を含む領域、即ち、歪み領域140であると判定する。
次に、歪み検出処理について、図30を参照する。
着目領域142から周波数の主成分ωp を検出し(ステップS601)、この周波数の主成分ωp の平均値に基づいた閾値を算出する(ステップS602)。また、周波数の主成分ωp の水平方向の投影情報Σωp /nを算出する(ステップS603)。
直線検出として、投影情報Σωp /nが算出した閾値を超えているかを判断し(ステップS604)、超えている場合(ステップS604のYES)には、この直目領域142を含んだ検出領域144を歪み領域140として検出する(ステップS605)。
そして、全ての投影情報を判定した場合(ステップS606のYES)には、この処理を終了する。
検出した歪み領域情報は、例えば、生体情報処理装置2の記憶部に記憶させればよい。
以上のように、連続的に取り込んだ複数の部分生体画像の取り込み特性として、不連続検出、繰り返し検出、歪み検出を行うことで生体画像の不整合領域を抽出することができる。なお、上記の不連続検出、繰り返し検出、歪み検出は、上記した順序に限られない。
次に、生体画像に対する適正領域の抽出処理、及び生体画像の判定処理について、図31、図32、図33、図34、図35及び図36を参照する。図31は、生体画像の接触部に対して、不連続線によって分割した状態を示す図、図32は、生体画像の接触部に対して、複数の不連続線によって分割した状態を示す図、図33は、分割した生体画像に対して、指紋中心を基準とした適正領域を抽出する状態を示す図、図34及び図35は、適正領域候補に対する判定処理の原理を示す図、図36は、適正領域抽出処理、及び判定処理を示すフローチャートである。なお、図31〜図36に示す構成、処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。
適正領域は、既述のように、生体画像として指紋画像60から、抽出した画像の不整合領域を除いた領域の大きさに基づいて抽出する。即ち、認証アルゴリズム側で要求される画像の寸法、例えば、所定の画素数で構成される領域を適正領域として抽出する。また、適正領域の判定は、適正領域が認証に適しているかについて、抽出した不整合領域と適正領域の抽出位置に基づいて判定する。生体認証に利用するマニューシャ情報等は、指紋中心付近に多いので、この指紋中心付近の領域が適正領域として抽出されているかを判定し、生体画像の読取り状態を評価する。
指紋画像60に対する不整合領域を除いた適正領域の抽出は、図31、図32に示すように、繰り返し領域122や歪み領域140を除去した後、生体の接触領域101に対して、検出した不連続線150によって分割処理を行う。そして、分割した接触領域101に対して、例えば、最も大きい接触領域101を適正領域として判断してもよい。この不連続線150は、既述の不連続領域として検出された検出エリア114を利用すればよい。
また、不連続線150により、同等の大きさの適正領域が複数抽出され、1つを選択する場合、図33に示すように、既述の特徴情報抽出処理で得た指紋中心152を含む接触領域101を適正領域とする。複数の適正領域候補が抽出されている場合には、上記の判定処理の定義から、指紋中心152を含む領域を適正領域とすることで、認証適用性も満たすことができる。
次に、抽出した適正領域に対する認証適用性の判断として、図34、図35に示すように、指紋中心152に最も近い接触領域101の境界線120までの距離L1 、L2 を判断する。上記のように、指紋中心152を含む接触領域101であっても、指紋中心152が接触領域101の境界線120に近い場合、認証に適した範囲が十分に含まれないと判断する。この指紋中心152と最も近い境界線120との距離の閾値は、認証アルゴリズムにより決められる。
なお、複数の適正領域候補をそのまま適正領域として利用する場合には、上記の指紋中心152を基準とした選択処理、判定処理は行わない。
この適正領域の抽出処理及び判定処理について、図36を参照する。
再構成した指紋画像60に対して、繰り返し領域122や歪み領域140を除いた領域を適正領域候補として検出する(ステップS701)。そして、この適正領域候補内に不連続線があれば、不連続線を境界線として、適正領域候補を分割する(ステップS702)。
分割した適正領域候補に対して、大きさが所定の閾値を超えているかを判断する(ステップS703)。閾値を超えている場合(ステップS703のYES)には、適正領域候補内に指紋中心が含まれているかを判定する(ステップS704)。この適正領域候補の大きさ判定(ステップS703)、又は指紋中心が含まれるか否かの判定(ステップS704)を満たしていない場合(ステップS703のNO又はステップS704のNO)には、この適正領域候補は、抽出条件を満たさないことになる。そして、他の適正領域候補があるかの判断に移行する(ステップS707)。
また、この適正領域の条件を満たした場合(ステップS704のYES)、認証への適用性判定に移行する。指紋中心から最も近い境界線までの距離が所定の閾値を超えているかを判断し(ステップS705)、超えている場合(ステップS705のYES)には、この適正領域候補を適正領域と決定し、記憶部へと格納する(ステップS706)。また、閾値を超えない場合(ステップS705のNO)には、ステップS707に移行し、他の適正領域候補があれば(ステップS707のYES)、ステップS703に戻り、次の適正領域候補に対して判断を行う。
そして、この判定処理によって、認証に適した適正領域が抽出されない場合には、利用者に対して、生体情報の再入力を促す。このとき、例えば、生体情報の入力の仕方について、生体情報処理装置2の表示部168(図37)を利用して、アドバイス等を行ってもよい。
斯かる構成によれば、再構成された生体画像の不整合領域を抽出し、この不整合領域を用いて適正領域を抽出することで、本人の受け入れ拒否や他人の受け入れを防止することができ、生体認証の信頼性を向上させることができる。また、再構成した生体画像に対し、抽出した適正領域の位置や大きさ等に基づいて画像の読取り状態を判定することにより、生体認証の信頼性を向上させることができる。また、認証可能な適正領域の抽出を行うことで、部分生体画像が不整合に合成された場合でも、生体情報の再入力を繰り返す必要がなく、利用者の利便性が高められる。
この第3の実施の形態について、特徴的な構成や効果を列挙すれば次の通りである。
(1) この生体情報処理装置2では、合成画像から、部分画像を誤った位置で合成されて生体情報が不適切に読み取られたことを、2以上の部分画像から検出した相対移動に関する情報を利用せずに判断することができる。
(2) 読取装置と生体との相対速度、移動方向により、誤って合成されるパターンが複数生じることから、この生体情報処理装置2では、そのパターンに応じて検出を行う。
(3) 合成画像内において、誤った位置で部分画像が合成された場合でも、認証に適切な領域を利用することが可能となり、本人拒否率を下げることができる。言い換えれば、他人受け入れ率の上昇を防ぐことができる。
(4) 生体情報は、元来からテクスチャ等のパターンが不連続に分布するパターンを呈する場合があるため、直線的に配置されている。これにより、誤って不連続領域を検出するのを防止することができる。
(5) 利用者に対し、生体情報の再入力の要求を減らすことで、操作回数を増加させることがなく、認証性能を向上させることができる。
(6) 生体の相対移動速度を誤検出して合成した場合においても、隆線方向、濃淡が連続している領域を抽出することで、適切な領域を選択して認証を行うことができ、本人拒否率を下げることができる。
(7) 例えば、生体の相対移動速度を過剰に大きく検出することで、繰り返し画像を合成した場合でも、隆線方向、又は隆線の濃淡が適正に合成されている領域を抽出して、認証に利用するので、認証機能の信頼性を向上させることができる。
(8) 生体画像の合成処理において、生体の相対移動方向を誤検出して合成した画像に対して、認証に適切な領域を抽出して認証に利用するので、認証機能の信頼性を向上させることができる。
(9) また、合成された生体画像に対して、例えば、センサに対する生体の相対移動速度等の情報を利用せず、抽出した特徴情報に基づいて生体画像の状態判断を行うことができる。
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態は、生体情報処理装置のハードウェア構成例及びその処理手順の一例を示す。
第4の実施の形態について、図37及び図38を参照する。図37は、生体情報処理装置のハードウェア構成例を示す図、図38は、生体情報処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図37及び図38に示す構成、処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。また、上記実施の形態と同様の構成、処理内容については、説明を省略する。
この生体情報処理装置2は、部分生体画像4を取得し、再構成した生体画像に対して、認証に適した領域を抽出し、又はその生体画像の認証適用性を判定する手段であって、コンピュータによって構成されている。また、この生体情報処理装置2は、生体認証装置を構成してもよい。例えば、図37に示すように、生体情報読取部160、CPU(Central Processing Unit ) 162、メモリ164、入出力部166、表示部168等を備えている。
生体情報読取部160は、生体画像の読取り手段の一例であって、生体画像取得部6を構成する。この生体情報読取部160は、スウィープ型指紋センサで構成され、利用者が指をスライドさせることによって、複数の部分生体画像4を取り込む。
CPU162は、メモリ164に記憶されているOS(Operating System)や、その他の処理プログラム等を演算して実行するための演算手段の一例であって、生体情報処理装置2の情報処理部を構成する。そして、プログラムの実行により、取得した生体画像の合成、特徴情報の抽出、不整合領域の抽出、適正領域の抽出、読取判定処理を実行する。
メモリ164は、記憶手段又は記録手段の一例であって、例えば、生体情報処理装置2の動作制御プログラムや処理プログラム等、また、取得した生体画像等を記憶する。メモリ164の構成は、例えば、プログラム記憶部170、データ記 憶部172、RAM(Random Access Memory)174等で構成されている。
プログラム記憶部170は、生体情報処理装置2の動作制御や、既述の生体画像に対する解析処理等を行うプログラムを記憶する手段の一例であって、コンピュータ読取り可能な媒体で構成される。例えば、ROM(Read Only Memory)で構成してもよい。このプログラム記憶部170には、例えば、OS1701の他、特徴情報情報抽出プログラム1702、不整合領域抽出プログラム1703、適正領域抽出プログラム1704、読取判定プログラム1705等が記憶されている。これらの処理プログラムの実行により、既述の不連続検出処理、繰り返しパターン検出処理、歪み検出処理等を行う。
データ記憶部172は、取り込んだ生体画像や、抽出した特徴情報、生体画像の不整合領域や適正領域の情報を記憶する手段の一例であって、例えば、ROMやフラッシュメモリ等で構成されればよい。データ記憶部172には、例えば、特徴情報記憶部176や生体画像記憶部178等が構成されている。
なお、このプログラム記憶部170やデータ記録部172は、例えば、電気的に内容を書き換えることができるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )等で構成されてもよい。
また、上記の各処理プログラムは、プログラム記憶部170等に記憶されたものに限られない。例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータで読出し可能な記録媒体に記憶されているものを利用してもよい。さらに、ネットワーク上にあるサーバやデータベース等からプログラム等を読み込んで利用してもよい。
RAM174は、上記の制御プログラム等を実行させるためのワークエリアを構成している。そして、CPU162が制御プログラムを実行することで、既述の不整合領域抽出部8、適正領域抽出部10、判定部14等を機能させる。
入出力部166は、生体情報処理装置2の入力手段又は音声等の出力手段の一例であって、例えば、キーボード等の入力手段、又はスピーカ等の音声出力手段で構成されればよい。
表示部168は、画面表示が可能なLCD(Liquid Crystal Display) 表示素子等で構成された表示手段の一例であって、例えば、認証を行う利用者に対して、生体情報の入力指示、照合結果又は生体情報の入力アドバイス等を表示してもよい。
このような構成により、図38に示す生体画像処理を行う。
即ち、既述のように、生体情報読取部160において部分生体画像4を取得し、合成により再構成した生体画像を取り込む(ステップS801)。この生体画像から特徴情報を抽出し(ステップS802)、この特徴情報を利用して、既述の処理によって不整合領域を抽出する(ステップS803)。そして、生体画像から、この不整合領域を利用して適正領域を抽出し(ステップS804)、認証への適用性判断により、生体画像の読取判定を行う(ステップS805)。
生体画像に認証可能な適正領域がなければ(ステップS805のNO)、生体画像の再入力を指示する。また、生体画像によって認証が可能であれば(ステップS805のYES)、この適正領域情報等の生体情報を出力する(ステップS806)。
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態は、不整合領域抽出に用いる特徴情報の抽出と、認証に利用する特徴情報の抽出を分けて行う場合を示している。
第5の実施の形態について、図39を参照する。図39は、第5の実施の形態に係る生体情報処理装置の機能構成を示す図である。なお、図39に示す構成は一例であって、これに限定されない。また、図39において、図6と同一構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
この生体情報処理装置2は、本開示の生体情報処理装置、生体情報処理方法又は生体情報処理プログラムの一例であって、例えば、特徴情報抽出部18において、不整合領域の抽出に利用する特徴情報のみを抽出する。そして、読取判定により、取得した生体画像が認証可能であると判断された場合に、認証に必要な特徴情報の抽出を行う。
生体情報処理装置2には、既述のように、特徴情報抽出部18、不整合領域抽出部8、適正領域抽出部10、判定部14、認証部16の他、例えば、記憶部180、特徴抽出部182を備えている。
記憶部180は、例えば、既述の特徴情報記憶部176に対応しており、特徴情報抽出部18で抽出した特徴情報を記憶する。
特徴抽出部182は、読取判定によって認証可能である判定された生体情報から認証に必要な特徴情報を抽出する手段の一例である。この生体情報は、例えば、再構成された生体画像、又はこの生体画像から抽出した適正領域情報を利用する。また、記憶部180と接続し、特徴情報抽出部18で抽出した特徴情報を利用することもできる。従って、この特徴抽出部182では、認証に必要な特徴情報の内、記憶部180に記憶されていない特徴情報を抽出すればよい。
斯かる構成によれば、既述のように、抽出した不整合領域を用いて適正領域を抽出して認証することで、本人の受け入れ拒否や他人の受け入れを防止することができ、生体認証の信頼性を向上させることができる。また、不整合領域の抽出処理において、必要な特徴情報のみを抽出すればよく、処理の軽減が図られ、適正領域抽出処理、判定処理の迅速化が図られる。さらに、認証処理において、既に取得した共通の特徴情報を利用できるので生体認証処理を軽減できる。また、認証適用性のある生体画像に対して特徴抽出を行うので、抽出処理の無駄を省くことができる。
〔第6の実施の形態〕
第6の実施の形態は、不整合領域を抽出する手段の組み合わせの変形例を示す。
第6の実施の形態について、図40を参照する。図40は、第6の実施の形態に係る生体情報処理装置の機能構成例を示す図である。なお、図40に示す構成は、一例であって、これに限定されない。図40において、図5と同一部分には同一符号を付してある。
この生体情報処理装置2では、不整合領域抽出部8に濃淡不連続検出部24、繰り返しパターン検出部26を備える構成である。即ち、不整合領域の抽出処理として、濃淡不連続検出、繰り返しパターン検出を行う場合を示している。
生体認証に用いる生体画像では、合成による隆線の多少の歪み状態や寸詰まり状態が発生しても、所定の誤差程度であれば認証に適用することができる場合がある。しかし、上記の検出処理において示すように、濃淡不連続や繰り返しパターンが発生した画像では、全く異なる生体情報となっており、この隆線画像から認証に用いる特徴情報を抽出すれば、本人であっても認証を受けられないことがある。
従って、この実施の形態では、不整合領域の抽出として、隆線不連続検出や周波数不連続検出(図5等)を省略し、濃淡不連続検出、繰り返しパターン検出を優先的に実行する。
なお、不整合領域の抽出処理は、図40の場合に限られず、例えば、この濃淡不連続検出、繰り返しパターン検出に、既述の周波数不連続検出又は隆線の接線方向を利用した不連続検出を組み合わせてもよい。
斯かる構成によれば、不整合領域抽出処理の迅速化を図ることができる。
〔第7の実施の形態〕
第7の実施の形態は、不整合領域抽出処理の処理手順の変形例を示している。
第7の実施の形態について、図41を参照する。図41は、生体情報処理装置の不整合領域抽出処理の一例を示すフローチャートである。なお、図41に示す処理手順は一例であって、これに限定されない。
この不整合領域抽出では、例えば、他の検出処理に比べて処理負荷が軽いものを先に行い、これらの処理で検出した不整合領域から、この段階での適正領域候補を抽出する。そして、この適正領域候補に対して、他の検出処理を行う。
例えば、生体画像を取得したら(ステップS901)、隆線不連続検出処理(ステップS902)、周波数不連続検出処理(ステップS903)を行い、これらの処理で検出した不連続線を生体画像から除去し、適正領域候補を抽出する(ステップS904)。
そして、この適正領域候補に対して、濃淡不連続(ステップS905)、繰り返しパターン検出(ステップS906)を行い、抽出した不整合領域を利用して、適正領域を抽出し(ステップS907)、生体画像を出力する(ステップS908)。
斯かる構成によれば、処理負荷の大きい検出処理に対して、検出対象を絞り込むことができ、不整合領域抽出処理の迅速化を図ることができる。
〔他の実施の形態〕
(1) 上記の実施の形態に係る生体情報処理装置2を搭載する電子機器の例として、例えば、図42、図43及び図44に示すように、携帯電話機200、PC(Personal Computer) 300、携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)400がある。この携帯電話機200(図42)は、例えば、表示側筐体部202と操作側筐体部204とがヒンジ部206によって開閉可能に連結されている。表示側筐体部202には、表示部208、レシーバ210等が備えられており、操作側筐体部204には、生体情報読取部212、操作入力部214等を備える。
また、PC(図43)300は、例えば、キー側筐体部302と表示側筐体部304とをヒンジ部306で開閉可能に構成されている。キー側筐体部302側には生体情報読取部308、キーボード310が備えられ、表示部側筐体部304には表示部312が備えられている。PDA400(図44)は、表示部402、操作部404、生体情報読取部406を備えている。
(2) 上記実施の形態では、生体情報の一例として指紋画像を利用したが、これに限られず、例えば、掌紋、掌形、手のひら静脈、指静脈等を利用してもよい。
(3) 上記実施の形態では、不整合領域抽出処理において、図41に示すように、処理負荷の軽い検出処理から実行したが、これに限られず、例えば、処理の重い処理を先に行っておき、ここで不整合が検出されなければ他の処理を行わないようにしてもよい。また、不整合が検出された場合には、この処理で検出した不整合領域を除いた領域について、他の検出処理を行うようにしてもよい。
次に、以上述べた実施の形態に関し、特徴事項を列挙する。
(1) この生体情報処理装置は、生体情報入力手段と、部分画像合成手段と、不整合領域検出手段と、適正領域検出手段と、読取判定手段とを備えればよい。この場合、生体情報入力手段では、相対的に移動している生体部位の生体情報を映像化して、該生体情報についての複数の部分画像を連続的に採取する。部分画像合成手段では、該生体情報入力手段によって入力される該複数の部分画像を、相対的に移動している生体部位の装置移動距離と相対移動方向に基づいて合成する。不整合領域検出手段では、該部分画像合成手段によって合成された合成画像から、該部分画像合成手段で算出される相対移動方向あるいは、該生体情報入力手段の設置状態に基づいて相対移動方向とみなす所定の方向と直交する方向に沿って不適切に合成された領域を検出する。適正領域検出手段では、該合成画像における該不整合領域を除いた領域の大きさに基づいて適正な領域を検出する。そして、読取判定手段では適正領域と不整合領域との位置関係に基づいて読取状態を判定する。
(2) 更に、この生体情報処理装置は隆線不連続検出手段を備えてもよい。該隆線不連続検出手段は、該合成画像における局所領域から検出される隆線方向に基づいて、該合成画像上に直線的に分布する不連続領域を検出する。この隆線不連続検出手段を備えれば、該不整合領域検出手段は該不連続情報に基づいて不整合領域を検出することができる。
(3) 更に、この生体情報処理装置は周波数不連続検出手段を備えてもよい。該周波数不連続検出手段は、該合成画像の局所領域から、隆線あるいは隆線と谷線との間に定めた境界線に沿った周波数情報に基づいて、該合成画像上に直線的に分布する不連続領域を検出する。該不整合領域検出手段は、該不連続情報に基づいて不整合領域を検出する構成とすればよい。
(4) 更に、この生体情報処理装置は、隆線方向同一部位検出手段と、繰り返しパターン検出手段とを備えてもよい。隆線方向同一部位検出手段は、局所領域から算出した隆線方向が同一となる局所領域が直線状に連なっている隆線方向同一部位を検出する。繰り返しパターン検出手段は、該隆線方向同一部位が隣接し合い、かつ平行に分布している、又は、局所領域から算出した隆線方向が同一となる局所領域が広く分布しているときに繰り返しパターンを検出する。そして、該不整合領域検出手段は、該繰り返しパターンの位置と形状に基づいて不整合領域を検出する構成とすればよい。
(5) 既述の繰り返しパターンについて、隆線方向同一部位内の画像に対して隆線方向の接線方向が持つ周波数よりも低く、かつ波数が2以上となる周波数以上の帯域を選択してもよい。この場合、所定の閾値より大きい強度を有する場合に繰り返しパターンを有していると判断すればよい。
(6) 更に、この生体情報処理装置は、隆線方向不連続検出手段を備えてもよい。隆線方向不連続検出手段は、生体の相対移動方向あるいは、相対移動方向とみなす所定の方向に隣接する隣接局所領域における隆線方向の取り得る予測範囲を予測する。そして、該隣接局所領域における隆線方向が、該予測範囲外にあるときに隆線方向が不連続であるとみなして、隆線方向が不連続となる領域を検出する。そして、該不整合領域検出手段は、該不連続情報に基づいて不整合領域を検出するように構成すればよい。この相対移動方向は、該合成画像の局所領域に関して算出した隆線方向から、該部分画像合成手段で算出すればよい。また、相対移動方向とみなす所定の方向は、該生体情報入力手段の設置状態に基づいて算出すればよい。
(7) 更に、生体情報処理装置は、濃淡不連続検出手段を備えてもよい。濃淡不連続検出手段は、相対移動方向あるいは、相対移動方向とみなす所定の方向に対して濃淡変化を算出し、該隆線方向と該合成画像面内の直交方向と、該相対移動方向との差分に基づいて、濃淡不連続を検出する。そして、該不整合領域検出手段は、該不連続情報に基づいて不整合領域を検出すればよい。ここで、相対移動方向は、該部分画像合成手段で算出すればよく、また、相対移動方向とみなす所定の方向は、該生体情報入力手段の設置状態に基づいて算出すればよい。
以上述べたように、本開示の生体情報処理装置、生体情報処理方法又は生体情報処理プログラムの実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。