JP5482218B2 - 配管設備 - Google Patents

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Description

本発明は、LNG基地において、LNG船からLNGを受け入れる時に用いる配管設備に関するものである。
従来、火力発電所等の燃料として、天然ガス等の化石燃料を用いることが知られている。天然ガスは、冷却することで低温(約−160℃)の液化天然ガス(LNG)となり、専用のLNG船によってLNG基地に海上輸送され貯蔵タンクに貯蔵される。
このLNG船から貯蔵タンクへのLNG受け入れは、全長が1000mにも及ぶ受入配管を用いて行われている。通常、このような受入配管では、LNG船からのLNG受入れが終了した後も、配管内にLNGを常時満たした状態を保ち、配管を冷却し続けるようにしている。これは、受入れが終了した後に配管内を空にすると、受入配管の温度が高くなり、次回の受け入れ時に長時間をかけて受入配管を冷却しなければならなくなるためである。長距離の受入配管を約−160℃まで冷却するには、数日間の作業時間を要するため、受入配管にLNGを満たしたまま冷却を続けた方が、全体として作業効率が良いと考えられている。
配管の冷却方式としては、配管内に充填された低温のLNGによる冷却(自然冷却方式)が知られている。しかし、この自然冷却方式は維持コストが安価である一方で種々の課題を有している。
例えば、自然冷却方式を採用する配管内では、外部からの侵入熱を蓄熱して沸騰したLNGから気泡を生じ、この気泡が配管の立ち上がり部分においてLNGを押し上げ、配管を激しく振動させながら液面からLNGとともに吹き出すガイザリングと呼ばれる現象を生じることがある。この現象は、配管の疲労や破損の原因となるため、安全面に問題が生じるおそれがある。
また、沸騰時にはメタンやエタンなどの低沸点成分が先に蒸発するため、沸点の高い重質分(プロパン/ブタン/ペンタン)等が蓄積し、配管内のLNGが重質分を多く含むものへと組成変化する重質化と呼ばれる現象を生じる。そのため、品質管理上で問題が生じるおそれがある。
そこで、自然冷却方式に変わる配管の冷却方式として、加圧注入冷却、強制循環冷却などが提案されている。
加圧注入冷却方式は、受入配管の途中に立上がり管部と、立上がり管部に連通し内部にLNGの液面を形成させる水平管部と、を設け、立上がり管部内のLNGにより液ヘッドをかけておくことにより、受入配管内のLNGに所定の圧力をかけておくようにする方式である(例えば、特許文献1参照)。この方式では、自然冷却方式と同様に配管内に充填された低温のLNGによって配管を冷却するとともに、立ち上がり管部における液ヘッドの加圧によって受入配管内のLNGの沸騰を抑制し、さらに、水平管部において徐々にLNGを蒸発させることにより、ガイザリングを生じさせることなく侵入熱を放出している。
また、強制循環冷却方式は、液体温度が飽和圧力における温度以下の液を大量に受入配管に循環させて、侵入熱を循環する冷却液に吸収させて系外に放出させ、受入配管の温度上昇を防止して冷却保持する方式である。
実開平06−32900公報
しかしながら、上記方法には次のような問題がある。すなわち、加圧注入冷却方式ではガイザリングの問題は生じにくいが、長期保存をすると重質化が生じてしまう。すると、品質管理のために受入配管内の液入れ替えをする必要が生じる。また、保存中にLNGが蒸発しBOG(ボイルオフガス)が発生することは避けられず、蒸発分のLNGが減少するため、配管冷却のための運転コストが課題となりやすい。また、強制循環冷却方式は、常時循環ポンプを駆動させるために、やはり運転コストが課題となりやすい。
そのため、上述のいずれの冷却方式を用いても、LNGの受け入れ間隔が長い場合(例えば、受け入れ頻度が1ヶ月に1回程度の場合)には、配管内にLNGを貯留しておくための維持コストが課題となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、LNGの受け入れ間隔が長い場合の維持管理コストを低廉化することができる配管設備を提供することを目的とする。
発明者は、配管内にLNGを貯留して配管の冷却を続け、次回受入時の配管冷却の時間と手間とを省くという従来の考え方を、LNGの受入間隔が長い場合には採用する必要がない、という逆転の発想により本発明に至った。
すなわち、上記の課題を解決するため本発明の配管設備は、LNGを積載して輸送する輸送手段とLNGを貯蔵する貯蔵タンクとを接続し、前記輸送手段から前記貯蔵タンクへLNGを供給する配管設備であって、前記輸送手段から前記貯蔵タンクへLNGを供給する受入配管と、前記受入配管から分岐し前記貯蔵タンクへ接続される液抜き配管と、前記液抜き配管に連通して設けられ、前記受入配管から前記貯蔵タンクへLNGを送液するポンプと、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、LNGの受け入れ間隔が長い場合に、受入配管内のLNGを抜き取り貯蔵タンクへ送ることができる。そのため、受入配管内でLNGを長期保留する際に生じ得る重質化の問題が発生せず、また、冷却状態維持のための運転コストが不要となるため、LNGの受け入れ間隔が長い場合の配管の維持管理コストを低廉化することが可能となる。
本発明においては、前記液抜き配管は、前記受入配管と接続する第1液抜き配管と、前記第1液抜き配管よりも細い内径を有し前記第1液抜き配管と連通する第2液抜き配管と、を有することが望ましい。
この構成によれば、第1液抜き配管をバッファとして用いることができるため、受入配管内のLNGを全て抜き取った後、急激に液抜き配管内のLNGが無くなることがなく、ポンプの破損を抑制することができる。
本発明においては、前記受入配管および前記第1液抜き配管におけるLNGの液位を計測する液面計を有することが望ましい。
この構成によれば、液面計の計測結果からLNGの液位を確認しながらLNG抜き取り操作を行うことができ、例えば、覗き窓から液位を目視確認しながらLNG抜き取り操作を行う場合よりも、ポンプ停止の判断を行い易く、抜き取り操作が容易となる。
本発明においては、前記ポンプの駆動を制御する制御装置を有し、前記制御装置は、前記液面計の計測結果に基づいて、LNGの液面が前記第1液抜き配管内に位置したときに、前記ポンプの運転を停止させることが望ましい。
この構成によれば、ポンプ停止が自動化されるため、安全で確実な抜き取り操作を実施することができる。
本発明においては、前記貯蔵タンクから前記受入配管内へLNGを供給する供給配管を有することが望ましい。
この構成によれば、抜き取ったLNGを受入配管へ供給することができ、LNGの受入に先だって受入配管内がLNGで満たされた状態とすることができる。
本発明においては、前記供給配管は前記液抜き配管と接続し、前記供給配管と前記液抜き配管とが一部を共有していることが望ましい。
この構成によれば、受入配管から分岐する箇所が1箇所で済むため、受入配管に多くの加工をする必要がなく、装置構成が簡略化される。
本発明においては、前記受入配管は、水平方向に延在しLNGを送液する主管を有し、前記供給配管は、前記主管の延在方向の中央部に接続されていることが望ましい。
LNG供給の開始時には、受入配管は外部からの侵入熱によって暖められているため、低温のLNGを供給すると低沸点成分が蒸発し、受入配管の冷却ガスとして受入配管内に広がることとなる。この構成によれば、受入配管と液抜き配管との接続箇所は、受入配管のうち水平方向に延在する主管の中央部であるため、冷却ガスが受入配管の中央から均等に広がり、効率的に冷却を行うことができる。
ここで、主管は陸上から海上にかけて配設されることがある。そのため「主管の中央部」とは、主管が全て陸上に配設されている場合には、主管の中央部に供給配管が接続され、主管の中央部が海上である場合には、陸上において最も主管の中央部に近い位置に供給配管が接続されていることを指している。
本発明においては、前記貯蔵タンクは、出荷するLNGを払い出す払出配管を有し、前記供給配管は前記払出配管から分岐し、前記払出配管と前記供給配管とが一部を共有していることが望ましい。
この構成によれば、既存の設備を供給配管の一部として利用することで、装置構成が簡略化される。
この発明によれば、LNGの受け入れ間隔が長い場合に、受入配管内からLNGを抜き取ることが可能となるため、受入配管を冷却し続けるための運転コストが不要となり、維持管理コストを低廉化することができる。
配管設備を用いたLNG船からのLNG受け入れの様子を示す模式図である。 本実施形態の配管設備についての説明図である。
以下、図1,2を参照しながら、本発明の実施形態に係る配管設備について説明する。なお、以下の図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
図1は、配管設備1を用いたLNG船からのLNG受け入れの様子を示す模式図である。LNG船Sが桟橋J近くに係留されると、桟橋Jに設けられた第1ローディングアーム110および第2ローディングアーム910がLNG船Sに接続される。LNG船Sによって輸送されてきたLNGは、第1ローディングアーム110及び受入配管10を介して貯蔵タンクTに送られる。このとき、LNG船SのLNGタンクを負圧にしない為、貯蔵タンクT内において外部入熱により発生するボイルオフガス(BOG)を、リターン配管90及び第2ローディングアーム910を介してLNG船Sへと送り返す操作(リターンガス)を行っている。
本実施形態の配管設備1では、符号ARで示した受入配管10の中央部に設けられた液抜き配管(後述)から、受入配管10内のLNGを抜き取り可能な構成となっている。液抜き配管の取り付け箇所は、概ね受入配管10の中央部付近が好ましく、LNG基地の配置により受入配管10の中央部が符号Mで示す海上に位置する場合には、符号Lで示す陸上で受入配管10の中央部に近い箇所から分岐を行うことが好ましい。
図2は本実施形態の配管設備1についての説明図である。配管設備1は、LNG船と貯蔵タンクTとを接続し、LNG船から供給されるLNGが内部を流れる受入配管10と、受入配管10から分岐し貯蔵タンクTに接続される液抜き配管20と、液抜き配管20の経路に配置された送液ポンプ(ポンプ)30と、を有している。このような構成を有する配管設備1では、受入配管10内のLNGを、必要に応じて液抜き配管20を介して抜き取ることが可能となっている。
受入配管10は、LNG船と接続される主管11と、主管11から分岐し貯蔵タンクTに接続する立ち上がり配管12とを有している。主管11の長さは、設置するLNG基地の構成によるが、1000mにも及ぶことがある。また、主管11からは複数の立ち上がり配管12が分岐し、不図示の複数の貯蔵タンクTと接続している。貯蔵タンクTの頂部には、貯蔵タンクTで発生するBOGを放出する配管13が設置されており、BOGを燃料用途などに利用可能となっている。
液抜き配管20は、受入配管10において主管11の地面側から分岐している。液抜き配管20は主管11に接続する第1液抜き配管21と、第1液抜き配管21と連通し貯蔵タンクTと接続する第2液抜き配管22と、を有しており、第2液抜き配管22に送液ポンプ30が接続されている。
第1液抜き配管21は、主管11の分岐箇所から、例えば鉛直下方に2m延在して設置される。第1液抜き配管21の内径は、第2液抜き配管22の内径よりも大きくなっており、LNG抜き取り時におけるバッファとして用いることができる。すなわち、受入配管10内のLNGを全て抜き取った後には、バッファとして用いる第1液抜き配管21内のLNGを徐々に抜き出すこととなるため、急激に液抜き配管20内のLNGが無くなることがない。したがって、送液ポンプ30を空運転するおそれがなく、送液ポンプ30の破損を抑制することができる。
第2液抜き配管22には、第1液抜き配管21と送液ポンプ30との間の経路中に複数のバルブ23,24やストレーナ25が設けられており、送液ポンプ30と貯蔵タンクTとの間の経路中にはバルブ26が設けられている。また、バルブ24をまたいでバイパス配管27が設けられている。バイパス配管27にはオリフィスが挿入されており、LNGを少量ずつ送液ポンプ30の方へ流すことで、常に送液ポンプ30を冷却している。さらに、バルブ23とバルブ24との間には、後述する供給配管45が接続されている。
送液ポンプ30は、第1液抜き配管21に設けられた液面計50の計測結果に基づいて、制御装置60により運転制御されている。もちろん、制御装置60を設けずに、液面計50の計測結果に基づいて、作業者が送液ポンプ30の停止操作を行うこととしても良い。
払出配管40は、貯蔵タンクTに貯留するLNGを燃料目的や販売目的のために出荷する際の払い出しのために設けられており、バルブ41やポンプ42を用いて送液を制御している。また、払出配管40からは供給配管45が分岐しており、第2液抜き配管22のバルブ23,24の間に接続している。第2液抜き配管22への接続箇所の直前には、バルブ43,44が設けられている。また、払出配管40において、払出配管40と供給配管45との接続箇所よりも下流側には、バルブ46が設けられている。
このような構成の配管設備1では、LNGの受け入れ間隔が長い場合に、受入配管内からLNGを抜き取ることが可能となる。具体的には、LNG受入が終了すると、バルブ44を閉じるとともに、バルブ23,24,26を開き、送液ポンプ30を起動してLNG抜き取りを開始する。そして、液面計50が受入配管10および第1液抜き配管21内のLNGの液位を計測し、LNGの液面が第1液抜き配管21内に位置することを検出すると、制御装置60は、受入配管10内のLNGの抜き取りが終了したものとして、送液ポンプ30を停止する。
また、貯蔵タンクTへのLNG受入作業が近づくと、受入配管10内へのLNG供給を行う。具体的には、バルブ24およびバルブ46を閉じるとともに、バルブ23,41,43,44を開き、ポンプ42を起動してLNG供給を開始する。LNG供給の開始時には、受入配管10は外部からの侵入熱によって暖められているため、低温のLNGを供給するとLNGが蒸発し、受入配管10の冷却ガスとして受入配管10内に広がる。このとき、受入配管10と液抜き配管20との接続箇所は、主管11の中央部であるため、冷却ガスが均等に広がり、効率的に冷却を行うことができる。受入配管10内へのLNGの供給は、例えば、液面計50を用いてLNGの液位を確認し、主管11内にLNGが満ちたことを確認して停止する。または、LNGの液位が立ち上がり配管12内に達したことを確認して停止しても良い。
以上のような構成の配管設備1によれば、LNGの受け入れ間隔が長い場合に、受入配管10内からLNGを抜き取ることが可能となるため、受入配管10を冷却し続けるための運転コストが不要となり、維持管理コストを低廉化することができる。
なお、本実施形態の配管設備1では、第1液抜き配管21が主管11に直接接続している構成としたが、これに限らず、第1液抜き配管21と主管11との間に他の配管を挟む構成であっても良い。
また、本実施形態の配管設備1では、供給配管45が液抜き配管20に接続され、主管11からの分岐箇所を1箇所にまとめる構成を採用しているが、主管11から液抜き配管20が分岐する箇所と、主管11に供給配管45が接続する箇所とが異なる構成としても良い。
また、供給配管45は貯蔵タンクTと接続され、貯蔵タンクT内に貯蔵されているLNGを受入配管10内に供給する構成としているが、LNGの供給源はこれに限らない。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
1…配管設備、10…受入配管、20…液抜き配管、21…第1液抜き配管、22…第2液抜き配管、30…送液ポンプ(ポンプ)、40…払出配管、45…供給配管、50…液面計、60…制御装置、S…LNG船(輸送手段)、T…貯蔵タンク、

Claims (7)

  1. LNGを積載して輸送する輸送手段とLNGを貯蔵する貯蔵タンクとを接続し、前記輸送手段から前記貯蔵タンクへLNGを供給する配管設備であって、
    前記輸送手段から前記貯蔵タンクへLNGを供給する受入配管と、
    前記受入配管から分岐し前記貯蔵タンクへ接続される液抜き配管と、
    前記液抜き配管に連通して設けられ、前記受入配管から前記貯蔵タンクへLNGを送液するポンプと、を備え
    前記液抜き配管は、前記受入配管と接続する第1液抜き配管と、
    前記第1液抜き配管よりも細い内径を有し前記第1液抜き配管と連通する第2液抜き配管と、を有することを特徴とする配管設備。
  2. 前記受入配管および前記第1液抜き配管におけるLNGの液位を計測する液面計を有することを特徴とする請求項に記載の配管設備。
  3. 前記ポンプの駆動を制御する制御装置を有し、
    前記制御装置は、前記液面計の計測結果に基づいて、LNGの液面が前記第1液抜き配管内に位置したときに、前記ポンプの運転を停止させることを特徴とする請求項に記載の配管設備。
  4. 前記貯蔵タンクから前記受入配管内へLNGを供給する供給配管を有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の配管設備。
  5. 前記供給配管は前記液抜き配管と接続し、前記供給配管と前記液抜き配管とが一部を共有していることを特徴とする請求項に記載の配管設備。
  6. 前記受入配管は、水平方向に延在しLNGを送液する主管を有し、
    前記供給配管は、前記主管の延在方向の中央部に接続されていることを特徴とする請求項4または5に記載の配管設備。
  7. 前記貯蔵タンクは、出荷するLNGを払い出す払出配管を有し、
    前記供給配管は前記払出配管から分岐し、前記払出配管と前記供給配管とが一部を共有していることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の配管設備。
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