JP5479731B2 - 微生物を解析するためのペプチド核酸プローブ - Google Patents
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- C07K14/003—Peptide-nucleic acids (PNAs)
Description
本出願は、2005年6月2日に仮出願がなされた米国仮特許出願番号第60/687,178、および2005年8月1日に仮出願がなされた米国仮特許出願番号第60/704,552に基づく優先権を主張するものである。なお、これら仮出願のそれぞれの内容全体は、参照によって、本明細書に援用される。
本発明は、試料中に存在していてもよい微生物の解析に用いるためのペプチド核酸(PNA)プローブ、PNAプローブセット、および方法に関する。本発明のプローブの対象となる微生物には、エシェリキア・コリ(Escherichia coil)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、アシネトバクター(Acinetobacter)属、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)およびそれらの門、ならびにフンギ(菌類(Fungi))が含まれる。さらに、本発明は、そのようなPNAプローブを含む診断キットに関する。
感染症の診断は、例えば、表現型マーカーの培養試験および生化学試験のような、いまだ、古典的な細菌学的手法に基づいて行われることが多い。そして、一般的に、最終的な診断が下されるまでに、1日、2日〜数週間、さらには数ヶ月を要する。その間、患者には、しばしば、予備的な試験結果および臨床的な症状に基づいて、経験的な治療が施され、これによりしばしば、抗生物質の不必要な使用および後遺症が招かれる。
本発明は、関心のある試料中に存在していてもよい微生物の解析に有用なPNAプローブ、およびその使用、ならびにキットを対象としている。本発明によれば、PNAプローブは、rRNA、または、該rRNAもしくはその相補体に対応しているゲノム配列(rDNA)を対象としている。好ましい実施の形態において、本発明のプローブは、試料中に存在していてもよい任意の微生物のインサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーション解析に使用される。また、最も好ましいインサイチューハイブリダイゼーション解析は、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション解析である。
<1.定義>
(a)本明細書で用いられる場合、用語「核酸塩基」とは、自然発生的または非自然発生的な複素環の部分(moiety)であって、核酸技術またはペプチド核酸技術を利用する者に一般的に知られ、核酸に配列特異的に結合することができるポリマーを生じる複素環の部分を意味する。
Lagriffoulら, Bioorg & Medical Chemistry Letters 4: 1081-1082 (1994);
Petersenら, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 6: 793-796 (1996);
Diderichsenら, Tett. Lett. 37: 475-478 (1996);
Fujiiら, Bioorg. Med. Chem. Lett. 7: 637-627 (1997);
Jordanら Bioorg. Med. Chem. Lett. 7: 687-690 (1997);
Krotzら, Tett. Lett. 36: 6941-6944 (1995);
Lagriffoulら, Bioorg. Med. Chem. Lett. 4: 1081-1082 (1994);
Diederichsen, U., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 7: 1743-1746 (1997);
Loweら, J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 , (1997) 1 : 539-546;
Loweら, J. Chem. Soc. Perkin Trans. 11 : 547-554 (1997);
Loweら, J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 1 :5 55- 560 (1997);
Howarth ら., J. Org. Chem. 62: 5441-5450 (1997);
Altmann, K- Hら, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 7: 1119-1122 (1997);
Diederichsen, U., Bioorganic & Med. Chem. Lett., 8: 165-168 (1998);
Diederichsenら, Angew. Chem. Int. Ed., 37: 302-305 (1998);
Cantinら, Tett. Lett, 38: 4211-4214 (1997);
Ciapettiら, Tetrahedron, 53: 1167-1176 (1997);
Lagriffouleら, Chem. Eur. J., 3: 912-919 (1997);
Kumarら, Organic Letters 3(9): 1269-1272 (2001);ならびに、
国際公開公報WO96/04000に開示されているような、Shahらによるペプチド核酸をもとにする核酸模倣体(ペナム(PENAM))。最も好ましい実施の形態では、PNAサブユニットは、メチレンカルボニル結合によって、N‐[2‐(アミノエチル)]グリシンのバックボーンのアザ窒素原子に結合した、自然発生的または非自然発生的な核酸塩基からなる。
(1)総論
〔PNA合成〕
PNAを化学的に組み立てる方法は、よく知られている(米国特許第5,539,082号、第5,527,675号、第5,623,049号、第5,714,331号、第5,718,262号、第5,736,336号、第5,773,571号、第5,766,855号、第5,786,461号、第5,837,459号、第5,891,625号、第5,972,610号、第5,986,053号、第6,107,470号、第6,201,103号、第6,350,853号、第6,357,163号、第6,395,474号、第6,414,112号、第6,441,130号、第6,451,968号、第6,969,766号、および第7,022,851号を参照)。これら特許文献は、全て、参照によって本明細書に援用される組み込まれる。また、PNAを化学的に組み立てる方法については、PerSeptive Biosystems社および/またはApplied Biosystems社の製品文献も参照されたい。また、PNA合成の方法論の一般的な参考文献として、Nielsen ら., Peptide Nucleic Acids; Protocols and Applications, Horizon Scientific Press, Norfolk England (1999)も参照されたい。
PNAを標識するための好ましい非限定的な方法は、米国特許第6,110,676号、第6,361,942号、第6,355,421号、第6,969,766号、および第7,022,851号、本明細書の後述の実施例に記載されている。または、そうでなければ、PNA合成およびペプチド合成の技術分野でよく知られている。
本発明の実施に使用されるPNAプローブを標識するのに適した検出可能な部分(標識)の非限定的な例には、デキストラン抱合体、分枝核酸検出システム、発色団、蛍光団、スピンラベル、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジウムエステル、および化学発光化合物が含まれる。その他の適した標識試薬および好ましい連結方法は、PNA合成、ペプチド合成、または核酸合成の技術分野の通常の知識を有する者によって認識されうる。
本発明の実施に用いられるプローブは、本発明の方法(例えば、固体の支持体に結合させるとき)において、作用可能なように、検出可能な部分によって標識されている必要はない。
ビーコンプローブは、ドナー部分およびアクセプター部分を含む自己表示プローブの例である。該ドナー部分およびアクセプター部分は、該アクセプター部分が該ドナー部分から伝達されるエネルギーを受け取ったり、さもなければ、該ドナー部分からのシグナルを消失させたりするように作用する。また、上説した(適切なスペクトル特性を有する)蛍光団は、エネルギー伝達アクセプターとしても作用する。好ましくは、該アクセプター部分は、クエンチャー部分である。好ましくは、該クエンチャー部分は、非蛍光性の芳香部分または複素環部分である。好ましいクエンチャー部分は、4‐((‐4‐(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸(ダブシル)である。好ましい実施の形態では、上記自己表示ビーコンプローブは、米国特許第6,485,901号により詳しく記載されているようなPNA直鎖ビーコンである。
一般的に、スペーサーは、かさ高い標識試薬がプローブのハイブリダイズ特性に与える不利な効果を最小限にするために使用される。本発明の核酸塩基ポリマーにとって好ましいスペーサー部分/リンカー部分は、1以上のアミノアルキルカルボン酸(例えば、アミノカプロン酸)、アミノ酸側鎖(例えば、リジンまたはオミチン(omithine)の側鎖)、天然アミノ酸(例えば、グリシン)、アミノオキシアルキル酸(例えば、8‐アミノ‐3,6‐ジオキサオクタン酸)、アルキルジ酸(例えば、コハク酸)、アルキルオキシジ酸(例えば、ジグリコール酸)、またはアルキルジアミン(例えば、1,8‐ジアミノ‐3,6‐ジオキサオクタン)からなる。
ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを課したり、制御したりするために共通に用いられる因子には、ホルムアミド濃度(またはその他の化学変性剤)、塩濃度(すなわち、イオン強度)、ハイブリダイゼーション温度、界面活性剤濃度、pH、およびカオトロピック試薬の有無が含まれるということを、核酸ハイブリダイゼーションの技術分野の通常の知識を有する者は、認識するだろう。プローブと標的配列との組み合わせに応じた最適なストリンジェンシーは、しばしば、上記のストリンジェンシー因子のいくつかを固定し、ストリンジェンシー因子の1つだけを変化させたときの影響を調べるというよく知られた技術によって見出される。PNAのハイブリダイゼーションはイオン強度には全く依存しないことを除いては、同じストリンジェンシー因子を調整することにより、PNAの核酸に対するハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを制御することができる。あるアッセイに対して最適なストリンジェンシーは、所望の程度の識別が達成されるまで、各ストリンジェンシー因子を試験することにより、実験的に決定することができる。
一般的に、バックグラウンドを引き起こす核酸配列が、標的配列に密接に関連していればしているほど、より注意深くストリンジェンシーを制御しなければならない。また、ストリンジェンシー因子の最適化による識別力の改良可能な限度を越えて、識別力を改良するための手段として、ブロッキングプローブが用いられてもよい。したがって、適したハイブリダイゼーション条件には、あるアッセイによって、(該アッセイにとって望まれる許容範囲内で)正確かつ再現可能な結果が得られるような、所望の程度の識別力を達成する条件が含まれる。本発明は、PNAプローブを使用するため、DNAプローブを用いた従来の方法よりも、著しく優れている。PNAの利点の1つは、PNAは、DNAプローブには好ましくない、または不安定な条件でハイブリダイズすることである。そのような条件としては、例えば、低イオン強度(低塩)条件、および高濃度の低級アルコール(すなわち、50%エタノール)条件が挙げられる。
ブロッキングプローブは、プローブするポリマーのプローブする核酸塩基配列が非標的配列に結合することを抑制するために用いることが可能な核酸プローブまたは非核酸プローブである。好ましいブロッキングプローブは、PNAプローブである(米国特許第6,110,676号を参照)。ブロッキングプローブは、プローブする核酸塩基配列と非標的配列との間のハイブリダイゼーションによって形成されるというより、非標的配列とハイブリダイズし、より熱力学的に安定な複合体を形成することにより、作用すると考えられている。より安定で好ましい複合体を形成することは、プローブする核酸塩基配列と非標的配列との間でより不安定で好ましくない複合体が形成されることを阻害する。したがって、存在して、該アッセイの能力を妨げる非標的配列に、該プローブが結合することを抑制するために、ブロッキングプローブを、本発明の方法、キット、および組成物に用いることができる。ブロッキングプローブは、特に、系統学的に近縁の種の識別に有利である。
本発明のプローブのプローブする核酸塩基配列は、該構成物の特異的な配列認識部分である。したがって、プローブする核酸塩基配列は、特定の標的配列にハイブリダイズするように設計された核酸塩基配列である。該プローブする核酸塩基配列によれば、標的配列の存在の有無または量を用いて、試料中の関心のある生物の存在の有無または数を直接または間接的に検出することができる。結果的に、該プローブのプローブする核酸塩基配列の長さおよび配列組成は、一般的に、選択するアッセイの形態において、プローブに要求されることを十分に考えて、例えば、適切なハイブリダイゼーション条件で、標的配列と安定な複合体を形成するように、選択される。
検出とは、試料中に存在していてもよい生物の存在の有無を解析することを意味する。また、同定とは、属名および種名による該生物の認識を成し遂げることを意味する。定量とは、試料中の生物を計数することを意味する。あるアッセイの形態では、検出、同定および計数を同時に行う(例えば、Stender, H. ら., J. Microbiol. Methods. 45:31-39 (2001)を参照)。別のアッセイの形態では、検出と同定とを行う(例えば、Stender, H. ら., Int. J. Tuberc. Lung Dis. 3:830-837 (1999)を参照)。さらに別のアッセイの形態では、同定のみを行う(例えば、Oliveira, K ら. J. Clin. Microbiol. 40:247-251 (2002)を参照)。
抗生物質に対する耐性を決定するとは、耐性に関与する特定の遺伝子または変異に基づいて、抗生物質に対する生物の感受性を解析すること、または抗菌物質に対する感受性を解析することを意味する。
(a)PNAプローブ
一実施の形態において、本発明のPNAプローブは、微生物を検出、同定および/または定量するために適している。上記解析に適したPNAプローブの一般的な特徴(例えば、長さ、標識、核酸塩基配列、およびリンカー等)は、本明細書に記載されている。本発明のPNAの好ましいプローブする核酸塩基配列は、表1に一覧されている。
本発明のプローブセットは、2以上のPNAプローブを含む。一実施の形態では、プローブセット中のいくつかのPNAプローブは、ブロッキングプローブであってもよい。プローブセットにおいて、本発明の1以上のプローブは、いかなるグループのプローブであってもよい。また、標識プローブまたは未標識プローブのいずれを含んでいてもよい。また、本明細書に具体的には記載されていないプローブを含んでいてもよい。しかし、上記プローブセットは、本発明のプローブを少なくとも1つは含む。好ましいプローブセットには、クレブシエラ属を検出するためのCAC-CTA-CAC-ACC-AGC(配列番号2)およびCAC-TTA-CCA-TCA-GCG(配列番号3);ストレプトコッカス・アガラクチエバリアントを検出するためのACA-CCA-AAC-CTC-AGC(配列番号4)およびACA-CCA- AAC-ATC-AGC(配列番号5);フンギを検出するためのCCC-TAG-TCG-GCA-TAG(配列番号6)およびCCA-AGA-GAT-CCG-TTG(配列番号7);アシネトバクター属を検出するためのCCT-CTC-ATC-GCA-TTA-C(配列番号8)およびGCT-CAC-CAG-TAT-CG(配列番号9)が含まれる。
別の実施の形態において、本発明は、試料中に含まれていてもよい微生物を解析するのに適した方法を対象としている。微生物の解析に適したPNAプローブの一般的で特有の特徴は、本明細書で既に説明した。好ましいプローブする核酸塩基配列を表1に一覧している。
本発明のPNAプローブ、方法、キット、および組成物は、特に、微生物をプローブを用いて迅速に解析することに有効である。好ましい実施の形態では、インサイチューハイブリダイゼーションまたはPCRは、微生物を解析するためのアッセイ形態として用いられる。最も好ましいアッセイ形態は、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(PNA FISH)またはリアルタイムPCRである(Stender ら. J. Microbiol. Methods 48:1-17 (2002)によって総説)。PNA FISH解析のための顕微鏡用塗布標本は、ハイブリダイゼーションに先立ち、架橋剤または酵素で処理されていないことが好ましい。
PNA FISHを実施するための代表的な方法は、Oliveira et., J. Clin. Microbiol 40:247-251 (2002);Rigby ら., J. Clin. Microbiol. 40:2182-2186 (2002);Stender ら., J. Clin. Microbiol. 37:2760-2765 (1999);Perry- O'Keefe ら., J. Microbiol. Methods 47:281-292 (2001)に見出すことができる。ある方法によれば、試料の顕微鏡用塗布標本(例えば、陽性の血液培養液、ただしこれに限定されない)は、顕微鏡のスライドガラス上で調製され、ハイブリダイゼーション緩衝液に溶解したフルオレセイン標識のPNAプローブの1滴で覆われる。該顕微鏡用塗布標本上に、カバーガラスをのせ、確実に、均等に覆う。続いて、該スライドガラスを、スライドウォーマーまたはインキュベーター上で、55℃で90分間置いておく。ハイブリダイゼーション後、該スライドガラスを、予め温めておいたストリンジェントな洗浄溶液にスライドガラスを沈めることにより、上記カバーガラスを除去する。そして、該スライドガラスを30分間洗浄する。最後に、該顕微鏡用塗布標本を、1滴のマウント液を用いてマウントし、カバーガラスで覆い、蛍光顕微鏡で検査する。
さらに別の実施の形態において、本発明は、試料中に存在していてもよい微生物を解析するアッセイを実施するのに適したキットを対象としている。微生物の解析に適したPNAプローブの一般的で好ましい特徴は、本明細書に既に記載されている。好ましいプローブする核酸塩基配列は、表1に一覧されている。さらに、試料中の微生物を解析するためのPNAプローブを用いるのに適した方法は、既に明細書に記載されている。
本発明のPNAプローブ、方法、およびキットは、食品、飲料、水、医薬品、パーソナルケア用品、乳製品、または環境試料、ならびにそれらの培養液の中の微生物の解析だけではなく、臨床試料(例えば、尿、血液、傷、唾液、咽喉診察用の綿棒、胃洗浄液、気管支洗浄液、生体組織、呼気、および痰)中の微生物の解析に、特に有効である。
フルオレセインおよびTamraによって標識したプローブについて説明したが、感知可能な第3の色を生成する蛍光標識のあらゆる組み合わせを用いることは、本発明の範疇に含まれる。同様に、複数の感知可能な色を生成する2以上の標識を用いることもまた、想像される。潜在的に蛍光性を有する標識は、本明細書に記載されている。2以上の蛍光部分の同時発生的な蛍光は、色のスペクトルを生成させる上で、有効であることが実証されている(Kool ら JACS 2003)。色の組み合わせは、2以上の蛍光団を混合し、それらの割合を調整することにより実現される。例えば、2つの赤色部分と、1つの緑色部分とを組み合わせると、1つの赤色部分と、2つの緑色部分との組み合わせによる色とは異なる色を生成することができる。これらの様々な色合いの目による正確な感知は、現実的には限界があるが、そのような微妙な色の変化を正確に感知する装置を考えることは困難ではない。
多重ハイブリダイゼーションアッセイは、本発明によれば実施することができる。多重アッセイでは、関心のある多くの条件が、同時に試験される。多重解析は、アッセイ中またはアッセイ完了後に、試料成分を分類する能力、またはそれに関連するデータに依存する。本発明の好ましい実施の形態では、1以上の全く独立して検出可能な部分を用いて、あるアッセイに用いられる2以上の異なるプローブが標識されうる。独立して検出可能な各部分を区別および/または定量する能力は、ハイブリダイゼーションアッセイを多重化するための手段を提供する。全く別々に(独立して)標識された各プローブのハイブリダイゼーションを、特定の核酸配列と関連付けることは、該試料中で検出しようとする各生物の存在の有無、または量の指標となる。
(a)患者から生物試料を取得する工程
(b)微生物の存在を決定、微生物の量を決定、および/または微生物を同定する工程、ならびに、
(c)感染症を排除するために、活性を有する抗生物質を、少なくとも1種投与する工程。
本発明について、以下の実施例に基づいて説明するが、本発明を決して限定するものではない。
<PNAプローブ配列>
Kpn23S01‐Flu FIu-OO-CACCTACACACCAGC-NH2(配列番号2)
Kox23S01‐Tam Tam-OO-CACTTACCATCAGCG-NH2(配列番号3)
(注釈:上記PNAプローブの末端の説明に用いられる汎用の専門用語に関し、Oは8‐アミノ‐3,6‐ジオキサオクタン酸、fluは5(6)‐カルボキシ‐フルオレセイン、tamは5(6)‐カルボキシテトラメチローダミンである。)
クレブシエラ・ニューモニエおよび クレブシエラ・オキシトカ種を含む様々な典型的なグラム陰性桿菌の寄託株(American Type Culture Collection, Manassas, VA)を一晩培養して準備した。
各菌株について、1%(v/v)Triton‐X100を含むリン酸緩衝生理的食塩水1滴と、培養液1滴とを混合することによって、テフロン(登録商標)でコーティングされた顕微鏡スライドガラス(AdvanDx, Woburn, MA)の直径8mmのウェル上に、顕微鏡用塗布標本を作製した。その後、該スライドガラスを55℃のスライドウォーマー上に、20分間置いて、上記顕微鏡用塗布標本を乾燥させた。続いて、該顕微鏡用塗布標本を、96%(v/v)エタノールに5分間〜10分間浸すことにより殺菌し、風乾させた。
顕微鏡用塗布標本を、10%(w/v)硫酸デキストラン、10mM NaCl、30%(v/v)ホルムアミド、0.1%(w/v)ピロリン酸ナトリウム、0.2%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.2%(w/v)フィコール、5mM Na2EDTA、1%(v/v)Triton X‐100、50mM Tris/HCl(pH7.5)、ならびに500nM Kpn23S01‐Fluプローブおよび500nM Kox23S01‐Tamプローブ(Fluは、特徴的な緑色の蛍光を発する蛍光色素であり、Tamは、特徴的な赤色の蛍光を発する蛍光色素である)を含むハイブリダイゼーション液1滴で覆った。上記顕微鏡用塗布標本をハイブリダイゼーション液で確実に、かつ均一に覆うために、上記顕微鏡用塗布標本の上にカバーガラスを置いた。続いて、該スライドガラスをスライドウォーマー(Slidemoat, Boekel, Germany)の上に置いて、55℃で90分間インキュベートした。ハイブリダイゼーション後、該スライドガラスを、ウォーターバス内で、55℃に予め温めておいた25mM Tris(pH10)、137mM NaCl、3mM KCl(スライドガラス1枚あたり約20ml)に沈めることにより、上記カバーガラスを取り除き、30分間洗浄した。最後に、マウティリング溶液(AdvanDx, Woburn, MA)を一滴用いて、各顕微鏡用塗布標本をマウントし、カバーガラスで覆った。顕微鏡試験は、FITC/テキサスレッドの2波長帯フィルターセットを備える蛍光顕微鏡を用いて行った。クレブシエラ・ニューモエは、緑色の蛍光を発する桿菌として同定された。また、クレブシエラ・オキシトカは、赤色の蛍光を発する桿菌として同定された。結果を表2に示す。
<PNAプローブ配列>
Saga16S03‐Flu Flu-OO-ACACCAAACCTCAGC(配列番号4)
Saga16S04‐Flu Flu-OO-ACACCAAACATCAGC(配列番号5)
(注釈:上記PNAプローブの末端の説明に用いられる汎用の専門用語に関し、Oは8‐アミノ‐3,6‐ジオキサオクタン酸、fluは、5(6)‐カルボキシ‐フルオレセインである。)
ストレプトコッカス・アガラクチエを含む様々な典型的なグラム陽性球菌の寄託株(American Type Culture Collection, Manassas, VA)を一晩培養して準備した。
顕微鏡用塗布標本は、実施例1で説明した通りに作製した。
ハイブリダイゼーションは、プローブに、500nM Saga16S03‐Flu、500nM Saga16S04‐Flu、もしくは500nM Saga16S03‐Fluおよび500nM Saga16S04‐Fluの組み合わせ(”デュアルプローブ”)のいずれかを用いたことを除いて、実施例1で説明した通りに行った。顕微鏡試験は、FITC/テキサスレッドの2波長帯フィルターセットを備える蛍光顕微鏡を用いて行った。ストレプトコッカス・アガラクチエは、緑色の蛍光を発する球菌として同定された。結果を表3に示す。
<PNAプローブ配列>
PF‐Adx1 Flu-OO-CCCTAGTCGGCATAG(配列番号6)
PF‐Adx2 Flu-OO-CCAAGAGATCCGTTG(配列番号7)
(注釈:上記PNAプローブの末端の説明に用いられる汎用の専門用語に関し、Oは8‐アミノ‐3,6‐ジオキサオクタン酸、fluは、5(6)‐カルボキシ‐フルオレセインである。)
ストレプトコッカス・アガラクチエを含む様々な典型的なグラム陽性球菌の寄託株(American Type Culture Collection, Manassas, VA)を一晩培養して準備した。
顕微鏡用塗布標本は、実施例1で説明した通りに作製した。
ハイブリダイゼーションは、プローブに、500nM PF‐Adx1、または500nM PF‐Adx2のいずれかを用いたことを除いて、実施例1で説明した通りに行った。顕微鏡試験は、FITC/テキサスレッドの2波長帯フィルターセットを備える蛍光顕微鏡を用いて行った。フンギは、緑色の蛍光を発する球菌または菌糸として同定された。結果を表4に示す。
<PNAプローブ配列>
Eco23S277‐Flu Flu-OO-ACA-CAC-ACT-GAT-TCA(配列番号1)
Abau23S‐03b‐Flu Flu-OO-CCT-CTC-ATC-GCA-TTA-C(配列番号8)
Abau16S‐04c‐Flu Flu-OO-GCT-CAC-CAG-TAT-CG(配列番号9)
(注釈:上記PNAプローブの末端の説明に用いられる汎用の専門用語に関し、Oは8‐アミノ‐3,6‐ジオキサオクタン酸、fluは、5(6)‐カルボキシ‐フルオレセインである。)
様々なグラム陰性桿菌(細菌)全ての様々な典型的な細菌種の寄託株(American Type Culture Collection, Manassas, VA)を一晩培養して準備した。
顕微鏡用塗布標本は、実施例1で説明した通りに作製した。
ハイブリダイゼーションは、プローブに、500nM Eco23S277‐Flu、200nM Abau23S‐03b‐Fluまたは200nM Abau16S‐04c‐Fluのいずれかを用いたことを除いて、実施例1で説明した通りに行った。顕微鏡試験は、FITC/テキサスレッドの2波長帯フィルターセットを備える蛍光顕微鏡を用いて行った。緑色の蛍光を発する桿菌(rods)(桿菌(bacilli))をポジティブとして同定した。結果を表4に示す。
本発明を具体的に示し、好ましい実施の形態を参照しながら説明したが、特許請求の範囲に定義したように、当技術分野の通常の技能を有する者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変形例を理解し、改変することができるであろう。当技術分野において通常の技能を有する者は、僅かな日常的な実験を用いて、本明細書に記載した本発明の特定の実施の形態と同等の多くの実施の形態を確認することができる。各請求項の範囲は、このような同等物を含有することを意図するものである。
Claims (10)
- アシネトバクター属の解析に適した核酸塩基配列を含有しているPNAプローブであって、前記核酸塩基配列が配列番号8または9であるPNAプローブ。
- アシネトバクター属を検出、同定または定量するためのPNAプローブであって、前記PNAプローブの核酸塩基配列が配列番号8または9であるPNAプローブ。
- 前記プローブが、1以上の検出可能な部分によって標識されている、請求項1に記載のPNAプローブ。
- 試料中に存在していてもよい微生物を解析するためのインサイチューハイブリダイゼーションに使用される、請求項1に記載のPNAプローブ。
- 試料中のアシネトバクター属の微生物を検出、同定または定量するための方法であって;
前記試料に、請求項1に記載のPNAプローブの少なくとも1つを接触させる工程;
試料中のアシネトバクター属の微生物の標的配列に、前記PNAプローブをハイブリダイズさせる工程;ならびに
試料中のアシネトバクター属の微生物の存在、同定および/または量を示すハイブリダイゼーションを検出する工程、を含んでいる方法。 - 解析がインサイチューにて行われる、請求項5に記載の方法。
- 前記方法が、前記PNAプローブと非標的配列との任意のハイブリダイゼーションを、減少または除去させるためのブロッキングプローブを、少なくとも1つ添加する工程を含んでいる、請求項5に記載の方法。
- 前記方法が、請求項2に記載のPNAプローブのセットの使用を含んでいる、請求項5に記載の方法。
- 請求項1に記載の1以上のPNAプローブおよび使用上の注意を含んでいる、1以上のアシネトバクター属の微生物を検出、同定、または定量するためのキット。
- 請求項1に記載のPNAプローブの少なくとも1つを含んでいるPNAプローブセットであって、2以上のプローブが、同時蛍光により第3の色を生成するために使用される、PNAプローブセット。
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