JP5478029B2 - 硝酸塩含有量の低減した食用植物の生産に適した肥料 - Google Patents
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Description
かかる点から、硝酸塩含有量の少ない食用植物を、生育障害などを生ずることなく健全に生育させて、高収量で生産し得る方法の開発が求められている。
近年の鳥インフルエンザの影響もあって、常時発生する鶏糞は、高温での焼却処理が義務付けられるようになっており、それに伴って大量の鶏糞燃焼灰が発生している。
鶏糞燃焼灰は、高アルカリ性で、しかも窒素以外の無機養分を多く含有していることから、その一部は施肥と土壌pHの調整を同時に行うための資材として利用されているが、大半は産業廃棄物として埋め立てられており、その有効利用が強く求められている。
これらの特許文献1〜3の従来技術による場合は、鶏糞燃焼灰の有効利用は可能であるが、特許文献1〜3の従来技術で得られる肥料を用いて野菜類などの食用植物を栽培しても、硝酸塩含有量の少ない食用植物を得ることは困難である。
特に、本発明の目的は、どちらもその有効な処理が求められてきた、鶏糞燃焼灰と、屎尿処理場などの廃水処理施設やバイオエネルギー利用のためのメタン発酵などの嫌気性発酵の際に発生する硫化水素の酸化によって生成する硫酸水溶液(廃硫酸水溶液)を用いて、硝酸塩含有量の低減した食用植物を生育状態を良好に維持しながら栽培、生産することのできる肥料を提供することである。
さらに、本発明の目的は、鶏糞燃焼灰と硫酸を組み合わせて用いた肥料を使用して、硝酸塩含有量の低減した食用植物を生産する方法を提供することである。
さらに、本発明者らは、鶏糞燃焼灰を硫酸で処理して得られる処理物として、鶏糞燃焼灰に硫酸水溶液を反応させて得られる懸濁液を3日間以上熟成してpHを4〜10に調整した懸濁液を使用するか、または当該熟成した懸濁液を乾燥処理したものを使用すると、食用植物をより良好に生育させ得ることを見出した。
また、本発明者らは、鶏糞燃焼灰を硫酸で処理するに当たって、硫酸として、屎尿処理場などの廃水処理施設や、バイオエネルギー利用のためのメタン発酵などの嫌気性発酵の際に発生する硫化水素を硫黄酸化菌(チオバチルス菌など)による生物酸化やその他の方法で酸化して得られる硫酸水溶液を用いることで、従来中和して廃棄されていた硫酸水溶液の有効利用を同時に図れることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
(1) 鶏糞燃焼灰を硫酸で処理して得られる処理物に尿素を組み合わせたことを特徴とする肥料である。
(2) 鶏糞燃焼灰を硫酸で処理して得られる処理物が、鶏糞燃焼灰に硫酸水溶液を反応させて得られる懸濁液を3日間以上熟成してpH4〜10に調整した懸濁液である前記した(1)の肥料;
(3) 鶏糞燃焼灰を硫酸で処理して得られる処理物が、鶏糞燃焼灰に硫酸水溶液を反応させて得られる懸濁液を3日間以上熟成してpH4〜10に調整した懸濁液を乾燥処理して得られる粉末である前記(1)の肥料;および、
(4) 硝酸塩含有量の低減した食用植物の生産用の肥料である前記(1)〜(3)のいずれかの肥料;
である。
さらに、本発明は、
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかの肥料を使用して食用植物を栽培することを特徴とする硝酸塩含有量の低減した食用植物の生産方法である。
本発明の肥料は、肥料として必要なカリウム、リン酸、カルシウム、および窒素成分を多く含み、さらにマグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、硫酸成分を含み、しかも微量元素として鉄、マンガン、亜鉛成分なども含んでいるため、植物に対する肥効性が高く、野菜類をはじめとする食用植物を良好に生育させることができる。
本発明による場合は、従来産業廃棄物としてその取り扱いが苦慮されてきた鶏糞燃焼灰を肥料として有効に利用することができる。
さらに、本発明による場合は、従来中和して廃棄されてきた、屎尿処理場などの廃水処理施設での嫌気性発酵や、バイオエネルギー利用のためのメタン発酵などの嫌気性発酵の際に発生する硫化水素の生物酸化やその他の酸化処理によって生成する硫酸水溶液をも肥料として有効に利用することができる。
本発明で用いる鶏糞燃焼灰は、養鶏によって排出される鶏糞を焼却処理して得られる灰である。本発明では、鶏糞燃焼灰の種類は特に限定されず、例えば、産卵鶏、ブロイラーやその他の肉用鶏、などの糞を焼却処理した後に残留する灰のいずれを用いてもよい。また、場合によっては、鶏以外の家禽類、例えば、カモ、マガモなどの糞を焼却処理して得られる灰を用いてよい。
それに対して、鶏糞燃焼灰を硫酸で中和処理した処理物(以下これを「鶏糞燃焼灰の硫酸処理物」ということがある)を用いる本発明では、硫酸による中和処理によって鶏糞燃焼灰に含まれている上記した有効成分の大半が易溶出性に変化しているので、鶏糞燃焼灰に含まれている上記した有効成分は短期間に土壌中に溶出し、植物の生育促進に有効に利用される。
そのうちでも、本発明では、資源循環による資源の有効利用、環境汚染の防止などの観点から、鶏糞燃焼灰を中和処理するための硫酸として、屎尿処理場などの廃水処理施設で発生する硫化水素を硫黄酸化菌(チオバチルス菌など)による生物酸化やその他の酸化処理で酸化することによって生成する硫酸水溶液、バイオエネルギー利用のためのメタン発酵などの嫌気性発酵の際に発生する硫化水素を生物酸化やその他の酸化処理で酸化することによって生成する硫酸水溶液などが好ましく用いられる。
屎尿処理場などの廃水処理場で発生する硫化水素を硫黄酸化菌(チオバチルス菌など)によって生物酸化して得られる硫酸水溶液は、硫酸濃度が通常、0.1〜0.7N程度で、pHが0.3〜3.0程度であり、そのため、当該硫酸水溶液をそのまま直接鶏糞燃焼灰の硫酸処理物の調製に用いてもよいし、または必要に応じて所定の濃度、pHに希釈してから鶏糞燃焼灰の硫酸処理物の調製に用いてもよい。
かかる点から、本発明では、鶏糞燃焼灰の硫酸処理物として、鶏糞燃焼灰に硫酸水溶液を反応させて得られる懸濁液[すなわち鶏糞燃焼灰に硫酸水溶液を混合して得られる混合液(懸濁液)]を3日間以上熟成してpH4〜10に調整することによって得られる懸濁液、または鶏糞燃焼灰に硫酸水溶液を反応させて得られる懸濁液[すなわち鶏糞燃焼灰に硫酸水溶液を混合してなる混合液(懸濁液)]を3日間以上熟成してpH4〜10に調整することによって得られる懸濁液を乾燥処理して得られる粉末が好ましく用いられる。
長期保存安定性、取り扱い性、流通性などの点からは、鶏糞燃焼灰に硫酸水溶液を反応させて得られる懸濁液を3日間以上熟成してpH4〜10に調整することによって得られる懸濁液を乾燥処理して得られる粉末がより好ましく用いられる。
鶏糞燃焼灰の硫酸処理物としては、鶏糞燃焼灰に硫酸水溶液を反応させて得られる懸濁液を3〜14日間程度、特に5〜10日間程度熟成して、pH4〜10、特にpH5〜8に調整することによって得られる懸濁液、または鶏糞燃焼灰に硫酸水溶液を反応させて得られる懸濁液を3〜14日間程度、特に5〜10日間程度熟成して、pH4〜10、特にpH5〜8に調整することによって得られる懸濁液を乾燥処理して得られる粉末がより好ましく用いられる。
前記した熟成処理は、自然環境温度下で行なうことができ、一般的には、0〜40℃、特に5〜35℃の温度が好ましく採用される。
尿素の使用割合は、鶏糞燃焼灰の硫酸処理物100質量部(乾物換算)に対して、尿素量が3〜25質量部であることが好ましく、7〜15質量部であることがより好ましい。尿素の使用割合が多すぎると窒素過多による発育障害を引き起こす場合があり、一方尿素の使用割合が少なすぎると、窒素分が不足して植物の健全な生育が行なわれにくくなる。
鶏糞燃焼灰の硫酸処理物と組み合わせて使用する尿素としては、一般に肥料として用いられている尿素であればいずれでもよい。
特に、鶏糞燃焼灰の硫酸処理物が乾燥粉末である場合は、当該乾燥粉末に粉末状の尿素肥料を所定の割合で混合することによって、長期保存安定性、取り扱い性、流通性などに優れる本発明の肥料(粉末状の肥料)を得ることができる。
そのうちでも、本発明の肥料は、人体にとって有害な硝酸塩含有量の低減した植物を栽培し、生産できる点から、食用植物用の肥料として有効である。
本発明の肥料を施用することのできる食用植物としては、例えば、野菜類;稲、麦、ヒエ、粟などの穀類用植物;豆類(大豆、小豆、インゲン、グリンピース、サヤエンドウ、ソラマメ、落花生など);果樹(リンゴ、柑橘類、キウイ、カキ、桃、ナシ、クリ、ブドウなど);などを挙げることができる。
そのうちでも、本発明の肥料は、野菜類用の肥料として有用であり、本発明の肥料を用いて野菜類を栽培することにより、従来市販の肥料を用いる場合に比べて、硝酸塩含有量の低減した安全性の高い野菜類を生産することができる。
本発明の肥料を用いて栽培し得る野菜類の種類は限定されず、具体例としては、ニンジン、大根、カブ、サツマイモ、里芋、ジャガイモ、クワイ、タマネギ、ゴボウ、山芋、長芋などの根菜類;キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、ホウレンソウ、レタス、リーフレタス、シュンギク、セルリー、ブロッコリー、ハナヤサイ(カリフラワー)、ニラ、サントウサイ、ミズナ、ノザワナ、サラダナ、モロヘイヤ、ツルムラサキ、セリ、クレソン、葉ジソなどの葉菜類;キュウリ、トマト、ピーマン、パプリカ、トウガラシ、カボチャ、スイカ、メロン、イチゴなどの果菜類(果物)などを挙げることができる。
そのうちでも、本発明の肥料を用いてニンジンなどの根菜類を栽培すると、硝酸塩含有量の大幅に低減した根菜類を、良好な生育性で生産性よく生産することができる。
以下の例中、野菜(ホウレンソウ、ミニニンジン)中の硝酸塩含有量は、以下の方法で測定した。
野菜中の硝酸塩含有量を、以下の手法により測定した。
野菜の所定量(以下の例に記載した量)を秤り取り、それを水400mlに投入してミキサーにかける。それにより得られる混合物の水で1〜50倍に希釈し、希釈液に試験紙(MERCK社製「Nitrate Test」、型番1.16995.0001)を浸して発色させ、反射式分光光度計(MRECK社製「RQflex plus 10」、型番1.16955.0001)にて硝酸イオン濃度を測定して、野菜中の硝酸塩含有量を硝酸換算で算出した。
(1) 鶏糞燃焼灰(南国興産株式会社製)1質量部に対して、硫酸水溶液(岡山市神崎衛生施設組合の屎尿処理施設から排出されている硫酸水溶液、硫酸濃度=0.4N、pH=1.0)を20質量部の割合で混合し、温度20〜25℃の環境下で7日間放置して熟成して、pH5.6の懸濁液を得た。この懸濁液を25℃で乾燥して、粉末状の鶏糞燃焼灰の硫酸処理物(以下「鶏糞燃焼灰硫酸処理物粉末」ということがある)を調製した。
(2) また、中和ピートモス(ピートモス1L当たりにつき消石灰を5gの割合で添加して中和したもの)と真砂土を、中和ピートモス:真砂土=1:2(体積比)で混合して、ホウレンソウ栽培用の土壌を調製した。
(3) 上記(2)で調製したホウレンソウ栽培用の土壌に、当該土壌1Lに対して、上記(1)で調製した鶏糞燃焼灰硫酸処理物粉末を6gおよび尿素肥料[チッソ旭肥料株式会社製「LPコート」3ヶ月タイプ(窒素成分含有量42質量%)]を1gの割合で均一に混合して、ホウレンソウ栽培用の肥料入り土壌を調製した。
(5) 40日後に、各ポットで栽培した各ホウレンソウ株における最も長い葉の長さを測定し、平均値を採って「最大葉長」とした。その結果を下記の表1に示す。
(6) 次に、各ポットで40日間栽培した各ホウレンソウ株の地上部(根の部分を除いた葉株部分)の質量をそれぞれ測定して、1株当たりの平均値を採って、ホウレンソウの「地上部平均質量」を求めた。その結果を下記の表1に示す。
(7) 上記(4)で40日間栽培したホウレンソウ10株の地上部(根を除いたもの)をみじん切りにした後に良く混ぜ合わせて、その100gを採取して、上記した方法で、硝酸塩含有量を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(8) 上記(7)でみじん切りしたホウレンソウの残りの部分を、ラップに包み電子レンジで加熱して食したところ、苦みがなく、良好な味であった。
(1) 実施例1の(2)で調製したのと同じホウレンソウ栽培用の土壌[ピートモス1Lに当たり消石灰を5gの割合で添加して調製した中和ピートモスと真砂土を1:2(体積比)で混合した土壌]を、直径15cmのポット10個に1ポット当たり1Lの量で充填し、各ポットに、ホウレンソウ[品種「おかめ」]の苗(播種後2週間栽培したもの)]を1株ずつ移植し、温度10〜30℃で、1/2濃度園試処方培養液(成分:NO3態のN=112ppm、NH4態のN=9.5ppm、P=20.5ppm、K=157ppm、Ca=80ppm、Mg=20.5ppm)を、1日に1回、1ポットあたり50mlの量で潅水して40日間栽培した。
(2) 40日後に、各ポットで栽培した各ホウレンソウ株における最も長い葉の長さを測定し、実施例1と同様にして、10株の平均値を採って「最大葉長」を求めた。その結果を下記の表1に示す。
(3) 次に、各ポットで40日間栽培した各ホウレンソウ株の地上部(根の部分を除いた葉株部分)の質量をそれぞれ測定して、実施例1と同様にして、1株当たりの平均値を採って、ホウレンソウの「地上部平均質量」を求めた。その結果を下記の表1に示す。
(4) 上記(1)で40日間栽培したホウレンソウ10株の地上部(根を除いたもの)をみじん切りにした後に良く混ぜ合わせて、その100gを採取して、上記した方法で硝酸塩含有量を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(5) 上記(4)でみじん切りしたホウレンソウの残りの部分をラップに包み電子レンジで加熱して食したところ、苦みがなく、良好な味であった。
(1) 実施例1の(2)で調製したのと同じホウレンソウ栽培用の土壌[ピートモス1Lに当たり消石灰を5gの割合で添加して調製した中和ピートモスと真砂土を1:2(体積比)で混合したもの]1Lに対して、実施例1の(1)で調製したのと同じ鶏糞燃焼灰硫酸処理物粉末6gおよび硝酸アンモニウム(ナカライテスク社製JIS試薬特級、窒素成分含有量35.0質量%)1gの割合で均一に混合して、ホウレンソウ栽培用の肥料入り土壌を調製した。
(2) 上記(1)で調製した肥料入り土壌を、直径15cmのポット10個に1ポット当たり1Lの量で充填し、各ポットに、ホウレンソウ[品種「おかめ」]の苗(播種後2週間栽培したもの)]を1株ずつ移植し、温度10〜30℃で、1日に1回、1ポットあたり50mlの水道水を潅水して40日間栽培した。
(3) 40日後に、各ポットで栽培した各ホウレンソウ株における最も長い葉の長さを測定し、実施例1と同様にして、平均値を採って「最大葉長」とした。その結果を下記の表1に示す。
(4) 次に、各ポットで40日間栽培した各ホウレンソウ株の地上部(根の部分を除いた葉株部分)の質量をそれぞれ測定し、実施例1と同様にして、1株当たりの平均値を採って、ホウレンソウの「地上部平均質量」を求めた。その結果を下記の表1に示す。
(5) 上記(1)で40日間栽培したホウレンソウ10株の地上部(根を除いたもの)をみじん切りにした後に良く混ぜ合わせて、その100gを採取して、上記した方法で、硝酸塩含有量を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(6) 上記(5)でみじん切りしたホウレンソウの残りの部分をラップに包み電子レンジで加熱して食したところ、苦みがややあり、やや不良な味であった。
また、鶏糞燃焼灰の硫酸処理物に尿素を組み合わせた本発明の肥料を用いて栽培した実施例1のホウレンソウは、鶏糞燃焼灰の硫酸処理物に硝酸アンモニウムを組み合わせた肥料を用いて栽培した比較例2のホウレンソウと比べても、生育状態において遜色がなく、味の点ではむしろ優れている。そして、本発明の肥料を用いて栽培した実施例1のホウレンソウは、硝酸塩含有量が比較例2で得られたホウレンソウの48%(約2.1分の1)であって、比較例2に比べても硝酸塩含有量が大きく低減しており、安全性の点で優れている。
(1) 鶏糞燃焼灰(南国興産株式会社製)1質量部に対して、硫酸水溶液(岡山市神崎衛生施設組合の屎尿処理施設から排出されている硫酸水溶液、硫酸濃度=0.4N、pH=1.0)20質量部を混合し、温度20〜25℃の環境下で7日間放置して熟成して、pH5.6の懸濁液を得た。
(2) 畑土、山土およびパーライトを畑土:山土:パーライト=2:1:1(体積比)で混合したもの1容量部に、中和ピートモス(ピートモス1Lに対して消石灰5gを添加混合したもの)を3容量部の割合で混合して、ミニニンジン栽培用の土壌を調製した。
(3) 上記(2)で調製したミニニンジン栽培用の土壌に、当該土壌1Lに対して、尿素肥料[チッソ旭肥料株式会社製「LPコート」3ヶ月タイプ(窒素成分含有量42質量%)]を2gの割合で均一に混合して、ミニニンジン栽培用の尿素入り土壌を調製した。
(4) 容量30Lのプランター2個を準備し、各プランターに上記(3)で調製したミニニンジン栽培用の尿素入りの土壌を1プランター当たり30Lの量で充填し、ミニニンジン(品種「ピッコロ」)の種を1プランター当たり50粒の割合で直播きした。直播きから25日経過後から、1週間に1回の頻度で、上記(1)で調製した懸濁液を1プランター当たり630gの量で施与してミニニンジンを栽培し、直播きから76日後にミニニンジンを収穫した。
(ii) また、上記(4)で収穫した各ミニニンジン株の根(食用部分)の長さを測定し、1株当たりの根の平均長さを求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。その際に、根の平均長さは、2個のプランターで生育した全ミニニンジン株の根の長さの合計を、2個のプランターで生育したミニニンジンの合計株数で割って求めた。
(iii) また、上記(4)で収穫した各ミニニンジン株の根(食用部分)の最も太い部分の直径を測定し、1株当たりの根の平均直径を求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。その際に、根の平均直径は、2個のプランターで生育した全ミニニンジン株の根の最も太い部分の直径の合計を、2個のプランターで生育したミニニンジンの合計株数で割って求めた。
(6) 上記(5)で根の平均質量と平均直径を測定したミニニンジンについて、各ミニニンジン株の根のほぼ中央部から厚さ約5mmの輪切り片を採取し、全ミニニンジン株の当該輪切り片から5gを採取して、上記した方法で、硝酸塩含有量を測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(7) 上記(6)で輪切りの試験片を採取したミニニンジンの残りの部分を生のまま食したところ、甘みのある良好な味であった。
(1) 実施例2の(2)と同じように、畑土、山土およびパーライトを、畑土:山土:パーライト=2:1:1(体積比)で混合したもの1容量部に、中和ピートモス(ピートモス1Lに対して消石灰5gを添加混合したもの)3容量部を混合して、ミニニンジン栽培用の土壌を調製した。
(2) 容量30Lのプランター2個を準備し、各プランターに上記(1)で調製したミニニンジン栽培用の土壌を1プランター当たり30Lの量で充填し、ミニニンジン(品種「ピッコロ」)の種を1プランター当たり50粒の割合で直播きした。直播きから25日経過後から、1週間に1回の頻度で、1/2濃度園試処方培養液(成分:NO3態のN=112ppm、NH4態のN=9.5ppm、P=20.5ppm、K=157ppm、Ca=80ppm、Mg=20.5ppm)を、1プランター当たり630gの量で施与してミニニンジンを栽培し、直播きから76日後にミニニンジンを収穫した。
(3)(i) 上記(2)で収穫したミニニンジンの葉部分を切断して除き、各ミニニンジン株の根(食用部分)の質量を測定して、実施例2と同様にして、1株当たりの根の平均質量を求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。
(ii) また、上記(2)で収穫した各ミニニンジン株の根(食用部分)の長さを測定し、実施例2と同様にして、1株当たりの根の平均長さを求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。
(iii) 上記(2)で収穫した各ミニニンジン株の根(食用部分)の最も太い部分の直径を測定し、1株当たりの根の平均直径を実施例2と同様にして求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) 上記(3)で根の平均質量と平均直径を測定したミニニンジンについて、各ミニニンジン株の根のほぼ中央部から厚さ約5mmの輪切り片を採取し、全ミニニンジン株の当該輪切り片から5gを採取して、上記した方法で、硝酸塩含有量を測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(5) 上記(4)で輪切りの試験片を採取したミニニンジンの残りの部分を生のまま食したところ、甘みのある良好な味であった。
Claims (7)
- 鶏糞燃焼灰を硫酸水溶液で処理して得られる処理物に、尿素を組み合わせた肥料であって;
前記処理物が、鶏糞燃焼灰に、嫌気性発酵の際に発生する硫化水素を酸化することによって生成する濃度が0.1〜2.0Nの硫酸水溶液を、鶏糞燃焼灰100gに対して硫酸量が0.1〜1.0モルとなる量で加えて反応させて得られる処理物である;
ことを特徴とする肥料。 - 鶏糞燃焼灰を硫酸水溶液で処理して得られる前記処理物が、鶏糞燃焼灰に嫌気性発酵の際に発生する硫化水素を酸化することによって生成する0.1〜2.0Nの硫酸水溶液を反応させて得られる懸濁液を3日間以上熟成してpH4〜10に調整した懸濁液である請求項1に記載の肥料。
- 鶏糞燃焼灰を硫酸水溶液で処理して得られる前記処理物が、鶏糞燃焼灰に嫌気性発酵の際に発生する硫化水素を酸化することによって生成する0.1〜2.0Nの硫酸水溶液を反応させて得られる懸濁液を3日間以上熟成してpH4〜10に調整した懸濁液を乾燥処理して得られる粉末である請求項1に記載の肥料。
- 硝酸塩含有量の低減した食用植物の生産用の肥料である請求項1〜3のいずれか1項に記載の肥料。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の肥料を使用して食用植物を栽培することを特徴とする硝酸塩含有量の低減した食用植物の生産方法。
- 鶏糞燃焼灰に、嫌気性発酵の際に発生する硫化水素を酸化することによって生成する0.1〜2.0Nの硫酸水溶液を、鶏糞燃焼灰100gに対して硫酸量が0.1〜1.0モルとなる量で加えて反応させて処理物を調製し、当該処理物に尿素を組み合わせて肥料を製造する方法。
- (i)(a)鶏糞燃焼灰に嫌気性発酵の際に発生する硫化水素を酸化することによって生成する0.1〜2.0Nの硫酸水溶液を反応させて懸濁液をつくり、当該懸濁液を3日間以上熟成してpH4〜10の懸濁液状の処理物を調製するか、または(b)鶏糞燃焼灰に嫌気性発酵の際に発生する硫化水素を酸化することによって生成する0.1〜2.0Nの硫酸水溶液を反応させて懸濁液をつくり、当該懸濁液を3日間以上熟成してpH4〜10の懸濁液にした後、乾燥処理して粉末状の処理物を調製し、(ii)前記(i)の(a)で得られる縣濁液状の処理物または前記(i)の(b)で得られる粉末状の処理物に、尿素を組み合わせて肥料を製造する請求項6に記載の方法。
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