JP5475995B2 - 動的核分極(dnp)法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、分極すべきサンプルの分極レベルを向上させる動的核分極(DNP)法、並びに当該方法で用いられる組成物及び分極剤に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴(MR)イメージング(MRI)は、X線のような潜在的に有害な放射線に患者及び医療従事者を被曝させることなく、患者の身体又はその一部の画像を非侵襲的な方法で得ることができるため、医師にとって特に魅力的なイメージング技術である。高画質の画像が得られるため、MRIは、軟組織及び器官の好適なイメージング法であり、正常組織と腫瘍や病巣等の患部組織との識別が可能になる。
【0003】
MRは、MR造影剤の使用の有無を問わず実施できる。しかし、コントラスト強調MRIでははるかに微小な組織病変を検出することができ、例えば小さな腫瘍や転移等の初期組織変化の検出のための強力なツールである。
【0004】
何種類かの造影剤がMRIに用いられている。水溶性の常磁性金属キレート、例えばOmniscan(登録商標)(GE Healthcare社)のようなガドリニウムキレートは、広く用いられているMR造影剤である。これらは低分子量であるので、血管系に投与されると速やかに細胞外空間(血液及び間質)に到達し、さらに、比較的速やかに体外に排出される。
【0005】
一方、血液プールMR造影剤、例えば超常磁性酸化鉄粒子は、血管系に長時間残留する。これらは肝臓でのコントラストの増強だけでなく、腫瘍における血管新生等に起因する「漏出性」の毛細血管壁等の、毛細血管の透過性異常の検出にも極めて有用であることが実証されている。
【0006】
上述の造影剤が優れた特性を備えていることに議論の余地はないが、それらの利用にリスクがないわけではない。常磁性金属キレート錯体は通常は高い安定度定数を有しているが、投与後に体内で有毒な金属イオンが放出される可能性がある。さらに、この種の造影剤は特異性に劣る。
【0007】
国際公開第99/35508号には、高T1造影剤の過分極溶液をMRI造影剤として用いて患者をMR検査する方法が開示されている。「過分極」という用語は、高T1造影剤中に存在するNMR活性核種、つまり核スピンがゼロでない核種、好ましくは13C又は15N核種の核分極を、室温及び1T(熱分極)で認められるレベルを超えるまで高めることを意味する。NMR活性核種の核分極を高めると、これらの核種の励起状態と基底状態の核スピンの分布差が顕著に増大し、MRの信号強度が100倍以上増強される。過分極13C及び/又は15N濃縮高T1造影剤を用いると、13C及び/又は15Nの天然存在比は無視できるほど小さいので、バックグラウンド信号の影響がほぼ無くなり、信号強度だけでなく画像コントラストも好都合に高まる。従来のMRI造影剤と過分極高T1造影剤の主な相違点は、前者では、体内の水のプロトンの緩和時間に影響することによってコントラスト変化が生じるのに対して、後者の造影剤は、投与した造影剤のみからMR信号が得られるので非放射性トレーサーとみなすことができることである。
【0008】
国際公開第99/35508号には、MR造影剤としての使用に適した様々な高T1造影剤が開示されており、非内在性及び内在性の化合物、例えば酢酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩又はグルコン酸塩、グルコース又はフルクトース等の糖、尿素、アミド、グルタミン酸塩、グリシン、システイン又はアルパラギン酸塩等のアミノ酸、ヌクレオチド、アスコルビン酸等のビタミン、ペニシリン誘導体及びスルホンアミド等が例示されている。国際公開第99/35508号には、さらに、クエン酸回路のような代謝サイクルの中間体(例えばフマル酸)が代謝活性のMRイメージング用の好ましい造影剤であると記載されている。
【0009】
ここで強調しておくと、過分極造影剤の信号は、緩和、及び患者の身体に投与したときは希釈によって減衰する。従って、体液(血液等)中での造影剤のT1値が十分に高く、薬剤が、高度に過分極した状態で患者の体内の標的部位に到達できるものでなければならない。造影剤が高いT1値を有するだけでなく、高い分極レベルを達成することも極めて有益である。
【0010】
過分極高T1造影剤を得る幾つかの方法が国際公開第99/35508号に開示されており、その一つは、不対電子を含む化合物である分極剤、いわゆるDNP剤を用いてサンプルの分極を実施する動的核分極(DNP)法である。DNP法では、エネルギーを通常はマイクロ波の形態で加えて、最初にDNP剤を励起する。基底状態へと減衰する際に、DNP剤の不対電子からサンプルのNMR活性核種へと分極の移動が起こる。一般に、中乃至高磁場及び極低温がDNP法に用いられ、例えば、DNP法は液体ヘリウム中約1T以上の磁場で実施される。別法として、中程度の磁場と十分な分極増大が起こる温度とを使用し得る。DNP法は、例えば、国際公開第98/58272号及び同第01/96895号に記載されており、それらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0011】
DNP剤の選択によって、分極すべきサンプルをどのレベルまで分極できるかが大きく左右されるので、DNP剤は、DNP法で決定的な役割を果たす。各種のDNP剤(国際公開第99/35508号では、「OMRI造影剤」と呼ばれている)が公知である。国際公開第99/35508号、同第88/10419号、同第90/00904号、同第91/12024号、同第93/02711号又は同第96/39367号に記載されているような酸素系、硫黄系又は炭素系の安定トリチルラジカルを使用すると、多種多様なサンプルを高度に分極させることができる。
【特許文献1】 国際公開第99/35508号パンフレット
【特許文献2】 国際公開第98/58272号パンフレット
【特許文献3】 国際公開第01/96895号パンフレット
【特許文献4】 国際公開第88/10419号パンフレット
【特許文献5】 国際公開第90/00904号パンフレット
【特許文献6】 国際公開第91/12024号パンフレット
【特許文献7】 国際公開第93/02711号パンフレット
【特許文献8】 国際公開第96/39367号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
今回、本発明者らは、DNP法で分極すべきサンプルと、DNP剤としてのトリチルラジカルとを含む組成物に、常磁性金属イオンを加えると、サンプルの分極レベルが大幅に増大するという予想外の知見を得た。これは、患者のMR検査にMR造影剤として分極サンプルを使用するMR造影剤として使用するような臨床的状況で特に有益である。サンプルの分極レベルを例えば倍に高めることができれば、MR検査に要するサンプル濃度を半分に減らすことができる。いうまでもなく、これは経済的にも有利なだけでなく、倍の濃度では不都合な副作用を示すようなサンプルも利用できる可能性につながる。
【0013】
そこで、本発明の一態様では、サンプルとトリチルラジカルと常磁性金属イオンとを含む組成物を調製し、該組成物の動的核分極を実施することを含んでなる固体過分極サンプルの製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、「過分極」という用語と「分極」という用語は互換的に用いられ、過剰の核分極レベルをいう。「過分極」及び「分極」という用語は、好ましくは0.1%過剰の核分極レベル、さらに好ましくは1%過剰、最も好ましくは10%過剰の核分極レベルをいう。
【0015】
分極レベルは、例えば、過分極サンプル中のNMR活性核種を固体NMRで測定することによって求めることができる。例えば、過分極サンプル中のNMR活性核種が13Cであれば、サンプルの固体13C−NMRを得る。固体13C−NMRの測定は、好ましくは、低フリップ角を用いた単純パルス取得NMRシーケンスからなる。過分極サンプルの信号強度を、動的核分極プロセス前のサンプルの分極レベルと比較する。次いでDNPの前後のサンプルの信号強度の比から分極レベルを計算する。
【0016】
同様に、溶解した過分極サンプルの分極レベルは、過分極サンプル中のNMR活性核種を液体NMRで測定することによって求めることができる。この場合も、溶解過分極サンプルの信号強度を、動的核分極プロセス前のサンプルの分極レベルと比較する。次いでDNPの前後のサンプルの信号強度の比から分極レベルを計算する。
【0017】
「サンプル」という用語は、動的核分極(DNP)によって過分極すべき1種以上の分子をいう。一般に、サンプルは1種以上の化合物である。
【0018】
本発明の方法は、分極すべきサンプルの高い分極レベルをもたらす。原則的に、本発明の方法ではあらゆる化合物をサンプルとして使用できる。好ましい実施形態では、サンプルは、薬剤候補物質(好適には2000Da未満の低有機分子)又は数種類の薬剤候補物質の混合物であり、過分極薬剤候補物質は、例えばある種の受容体に対する結合親和性を求めるためのNMRアッセイや酵素アッセイに使用し得る。かかるアッセイは、国際公開第2003/089656号又は同第2004/051300号に記載されており、これらは好ましくは液体NMR分光分析の使用に基づくものであり、分極後の過分極固体サンプルを、好ましくは溶解又は溶融によって液化する必要がある。サンプルは同位体濃縮したものでも、非濃縮のものでもよい。
【0019】
別の好ましい実施形態では、サンプルは造影剤又はその前駆体であり、過分極サンプルはMRイメージング及び/又は化学シフトイメージングの造影剤として用いられる。好ましいサンプルは、縦緩和が遅く、生体内への移行とその後のイメージングに十分な時間にわたって分極が維持される分極核を含むものである。好ましいサンプルは、縦緩和時間定数(T1)が10秒超、好ましくは30秒超、さらに好ましくは60秒超の核種を含む。こうした「高T1造影剤」と呼ばれる造影剤は、例えば国際公開第99/35508号に記載されている。或いは、サンプル候補のT1値は文献に見出すこともできるし、サンプル候補のNMRスペクトルの取得、例えば13C−NMRスペクトルを得て13C標識サンプル候補のT1を測定することによって求めることもできる。
【0020】
特に好ましいサンプルは、ヒト及びヒト以外の動物の体内の代謝プロセスで何らかの役割を果たすサンプルである。かかる過分極造影剤は、インビボMR検査で組織の代謝状態に関する情報を得るのに使用でき、代謝活性のインビボMRイメージングに有用である。組織の代謝状態に関する情報は、例えば、健常(正常)組織と患部組織との識別に使用できる。そこで、特に好ましいサンプルは内在性化合物、さらに好ましくはヒト又はヒト以外の動物の体内での代謝過程で何らかの役割を果たす内在性化合物である。特に好ましいサンプルは、アミノ酸(プロトン化又は脱プロトン化された形態のもの)、好ましくはアラニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、アスパラギン及びアスパラギン酸、酢酸塩、ピルビン酸、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、乳酸、クエン酸塩、重炭酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、オキサロ酢酸、α−ケトグルタル酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩、イソクエン酸塩及び尿素から選択される。非常に好ましい実施形態では、上述の好ましいサンプルは、同位体濃縮、さらに好ましくは13C又は15N同位体濃縮、最も好ましくは13C同位体濃縮されたものである。
【0021】
一般に、MR造影剤として用いられるサンプルは、好ましくは同位体濃縮化合物であり、同位体濃縮は、核スピンがゼロでない核種(MR活性核種)、好ましくは15N及び/又は13C、さらに好ましくは13Cの同位体濃縮である。同位体濃縮は、化合物分子内の1以上の部位での選択的濃縮であってもよいし、或いは全部位での均一な濃縮であってもよい。同位体濃縮は例えば化学合成又は生物学的標識によって達成でき、いずれの方法も当技術分野で公知であり、適切な方法は同位体濃縮すべき化合物に応じて選択すればよい。
【0022】
MR造影剤として用いられるサンプルの好ましい実施形態は、分子の1箇所だけで同位体濃縮したサンプルであり、好ましくは10%以上、さらに好ましくは25%以上、さらに好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上濃縮されたものである。理想的には、濃縮は100%である。
【0023】
同位体濃縮に最適な位置は、MR活性核種の緩和時間に依存する。好ましくは、化合物はT1緩和時間が長くなる位置で同位体濃縮される。カルボキシル炭素原子、カルボニル炭素原子又は四級炭素原子で13C濃縮した化合物を使用するのが好ましい。
【0024】
好ましい実施形態では、ピルビン酸又はピルビン酸塩が本発明の方法におけるサンプルとして使用される。ピルビン酸及びピルビン酸塩の同位体濃縮は、C1位(131−ピルビン酸/ピルビン酸塩)、C2位(132−ピルビン酸/ピルビン酸塩)、C3位(133−ピルビン酸/ピルビン酸塩)、C1及びC2位(131,2−ピルビン酸/ピルビン酸塩)、C1及びC3位(131,3−ピルビン酸/ピルビン酸塩)、C2及びC3位(132,3−ピルビン酸/ピルビン酸塩)、C1、C2及びC3位(131,2,3−ピルビン酸/ピルビン酸塩)で行うことができる。C1位が13C同位体濃縮の好ましい位置である。好ましいサンプルとしては、さらに、13C−アラニン、13C−グリシン、13C−グルタミン、13C−グルタミン酸、13C−システイン、13C−アスパラギン、13C−アスパラギン酸(いずれのアミノ酸も、プロトン化又は脱プロトン化された形態のいずれかである。)、13C−酢酸塩、13C−シュウ酸塩、13C−リンゴ酸塩、13C−フマル酸塩、13C−乳酸塩、13C−乳酸、13C−クエン酸塩、13C−重炭酸塩、13C−マロン酸塩、13C−コハク酸塩13C−オキサロ酢酸13C−α−ケトグルタル酸塩、13C−イソクエン塩、13C−3−ヒドロキシ酪酸塩及び13C−尿素が挙げられる。
【0025】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法のサンプルは固体NMR分光法に用いられる。この場合、過分極固体サンプルは静止又はマジック角回転固体NMR分光法で分析できる。この実施形態では、サンプルは、特定の特性をもつ化合物に限定されず、あらゆる大きさ及び種類の分子を本方法におけるサンプルとして用いることができる。
【0026】
本発明の方法で用いられるトリチルラジカルはDNP剤として作用し、このDNP剤の大きな電子スピン分極が電子のラーモア振動数に近いマイクロ波の照射によってサンプル内の核種の核スピン分極へと変換されるのでDNP方法において必須である。マイクロ波は、e−e遷移及びe−n遷移によって電子系と核スピン系との伝達を刺激する。DNPを効果的に実施するには、上述の電子系と核スピン系との伝達に必要なサンプルとDNP剤とが緊密な接触するように、分極すべきサンプル中でDNP剤が安定で可溶性である必要がある。これに関して、安定トリチルラジカルが極めて有用なDNP剤であることが判明している。酸素系、硫黄系又は炭素系の安定トリチルラジカルは、例えば国際公開第99/35508号、同第88/10419号、同第90/00904号、同第91/12024号、同第93/02711号又は同第96/39367号に記載されている。
【0027】
最適なトリチルラジカルの選択は、幾つかの側面に左右される。上述の通り、トリチルラジカルとサンプルとは、サンプルの分極レベルを最適にするために、DNPの間は密に接触している必要がある。従って、好ましい実施形態では、トリチルラジカルはサンプル又はサンプル溶液に可溶性である。かかるサンプル溶液を調製するには、溶媒又は混合溶媒を使用して、サンプルを溶解すればよい。しかし、分極サンプルを、インビボMRイメージング等のインビボ用途に使用する場合、溶媒量を最低限にとどめるか、可能であれば溶媒の使用自体を避けるのが好ましい。分極すべきサンプルが、例えば液体であったり、サンプルを溶融等で液相へと転相すれば、溶媒を使用しなくてもすむであろう。インビボ造影剤として使用する場合、分極サンプルは通常比較的高濃度で投与される。すなわち、DNPプロセスでは高濃縮サンプルが使用されるので、溶媒量を最小限にとどめるのが好ましい。これに関して付言すると、サンプル含有組成物(つまり、DNP剤、サンプル、必要に応じて溶媒)の質量をできるだけ少なくすべきである。質量が高いと、DNPプロセス後に、固体過分極サンプルをMR造影剤として用いるため、溶解によって液体へと変換する際に、溶解プロセスの効率に悪影響を与える。組成物の質量の増加に伴って、溶解効率が下がり、得られた分極を保ちにくくなることが観察されている。これは、おそらく、組成物の体積が三乗で増大するのに対し、組成物の表面は二乗でしか増大しないことによるものだろう。また、ある種の溶媒を用いるには、生理学的に許容されないことがあるので、過分極サンプルをMR造影剤として患者に投与する前に溶媒を除去しておく必要が生じることもある。
【0028】
分極すべきサンプルが、親油性(親水性)化合物である場合、トリチルラジカルも親油性(親水性)とすべきである。トリチルラジカルの親油性又は親水性は、トリチルラジカル分子に親油性又は親水性を付与する適当な残基の選択によって影響される。さらに、トリチルラジカルは、サンプル存在下で安定である必要がある。従って、分極すべきサンプルが酸(塩基)の場合、トリチルラジカルは酸性(塩基性)条件下で安定であるべきである。分極すべきサンプルが反応性基を含んでいる場合、かかる反応性基に比較的不活性であるトリチルラジカルを使用すべきである。以上から明らかな通り、トリチルラジカルの選択が、サンプルの化学的性質に大きく依存する。
【0029】
J.H.Ardenkjaer−Larsen他,PNAS 100(18),2003,10158−10163には、トリチルラジカル(トリス{8−カルボキシル−2,2,6,6−テトラ[2−(1−ヒドロキシエチル)]−ベンゾ(1,2−d:4,5−d’)ビス(1,3)ジチオール−4−イル}メチルのナトリウム塩(米国特許第6013810号に詳述)及び溶媒としてのグリセロールを使用した13C標識及び非標識尿素のDNP分極を成功裡に行うことが記載されており、尿素で高い分極レベルが得られている。
【0030】
国際公開第2006/011811号には、各種のトリチルラジカルが開示されており、これらは、乳酸、ピルビン酸などの酸性有機化合物のDNP分極に特に有用なDNP剤である。
【0031】
本発明の方法の好ましい実施形態では、サンプルはピルビン酸であり、さらに好ましくは13C−ピルビン酸、最も好ましくは131−ピルビン酸又はピルビン酸塩であり、さらに好ましくは13C−ピルビン酸塩であり、最も好ましくは131−ピルビン酸塩であり、トリチルラジカルは次の式(1)のラジカルである。
【0032】
【化1】
式中、Mは水素又は一価陽イオンであり、R1は同一又は異なるもので、直鎖もしくは枝分れC1〜C6アルキル基又は−(CH2n−X−R2基(式中、nは1、2又は3であり、XはO又はSであり、R2は直鎖又は枝分れC1〜C4アルキル基である。)である。
【0033】
好ましい実施形態では、Mは水素又は一価の生理学的に許容される陽イオンを表す。「生理学的に許容される陽イオン」とは、ヒト又はヒト以外の動物の生体で許容される陽イオンをいう。好ましくは、Mは、水素又はアルカリ陽イオン、アンモニウムイオン又は有機アミンイオン、例えばメグルミンである。最も好ましくは、Mは水素又はナトリウムである。
【0034】
別の好ましい実施形態では、R1はいずれも同一であり、さらに好ましくは直鎖又は枝分れC1〜C4アルキル基、最も好ましくはメチル、エチル又はイソプロピルである。
【0035】
別の好ましい実施形態では、R1は同一又は異なるもの、好ましくは同一であって、−CH2−OCH3、−CH2−OC25、−CH2−CH2−OCH3、−CH2−SCH3、−CH2−SC25又は−CH2−CH2−SCH3を表し、最も好ましくは−CH2−CH2−OCH3である。
【0036】
さらに好ましい実施形態では、Mは水素又はナトリウムを表し、R1は同一であって−CH2−CH2−OCH3を表す。
【0037】
本発明の方法で用いるトリチルラジカルは、国際公開第88/10419号、同第90/00904号、同第91/12024号、同第93/02711号、同第96/39367号、同第2006/011811号に記載の通り合成することができる。
【0038】
本発明の方法で使用する常磁性金属イオンは、原子番号58〜70のランタニド金属又は原子番号21〜29、42又は44の遷移金属の常磁性金属イオンである。本発明の方法では、1種以上の金属の常磁性金属イオンを使用できる、好ましくは、1種の金属の常磁性金属イオンを用いる。適当な常磁性イオンとしては、Cr3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Nd3+、Sm3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+及びYb3+が挙げられる。好ましい実施形態では、常磁性金属イオンは、Cr3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Gd3+及びTb3+からなる群から選択され、さらに好ましい実施形態では、Cr3+、Mn2+、Fe3+及びGd3+からなる群から選択される。
【0039】
好適には、常磁性金属イオンはキレート又はその塩の形態で使用される。
【0040】
分極すべきサンプルを固体NMRに付す場合、常磁性金属イオンは好ましくは塩の形態で使用される。適当な塩としては、例えば、常磁性金属イオンの無機又は有機塩、例えば、CrCl3、MnCl2、FeCl2、FeCl3、GdCl3、Gd(III)酢酸塩又はGd(III)ピルビン酸塩が挙げられる。分極すべきサンプルが液体であるか或いは溶媒中のサンプルの溶液である場合、液体サンプル又はサンプル溶液に可溶性の塩を選択するのが有利である。別の実施形態では、常磁性金属イオンはキレートの形態で加えてもよい。
【0041】
液体NMR或いはヒト又は動物の生体内での造影剤として使用する場合、固体過分極サンプルを溶解又は溶融して溶液又は液体とする必要がある。しかし、かかる溶液又は液体中の遊離常磁性イオンは、サンプル中の分極核のT1緩和時間を劇的に短くし、分極の自然減衰を加速するので、サンプルを有用なMR造影剤とするのに十分なMR信号強度をサンプルが与える時間が短くなってしまう。一方、遊離常磁性金属イオンは、(最終的な注射用造影剤から除去されていない場合には)、生理学的許容性に乏しいか全く欠けることがあり、不都合な影響、例えば毒作用を有しかねない。
【0042】
上述の遊離常磁性金属イオンの作用を克服するため、常磁性金属イオンはキレートの形態で使用し得る。或いは、これらを塩の形態で使用して、過分極サンプルの溶解又は溶融後に迅速に除去してもよい。常磁性金属イオンの迅速な除去法については、本願で後述する。別の実施形態では、上述の作用は、塩の形態の常磁性金属イオンを使用し、キレート剤を溶媒に加えて、遊離常磁性金属イオンの錯体を形成することによって克服することもできる。この場合、キレート剤は、a)溶媒に可溶性で安定であり、しかもb)遊離常磁性金属イオンと迅速に安定錯体を形成するように選択すべきである。
【0043】
上述の通り、常磁性金属イオンはキレートの形態で本発明の方法に使用できる。以下、「常磁性キレート」という用語は、キレートの形態の常磁性金属イオン、つまり常磁性金属イオンとキレート剤とを含む錯体を意味する。
【0044】
この目的では、様々なキレート剤が公知である。一般に、N、O、P、Sなどのヘテロ原子を含むことの多い環状及び非環状キレート剤を使用することができるが、環状キレート剤が好ましい。適当な非環状キレート剤の例としては、DTPA及びその誘導体、例えばDTPA−BMA、DTPA−BP、DTPA−BMEA、EOB−DTPA、BOPTA、MS−325、EDTA及びその誘導体、例えばEDTA−BMA、DPDP、PLED、HPTA、アミド又はジアミド、例えばTOGDA、スルホネート又はホスホネートが挙げられる。適当なキレート剤の例としては、クリプタンド、PCTA−[12]、PCTP−[12]、PCTP−[13]、DOTA、DO3A及びその誘導体、例えばHP−DO3A、DO3A−ブトリオールが挙げられる。DOTA、DO3A及びその誘導体が、好ましい環状キレート剤である。上述のキレート剤はその製造方法と併せて当技術分野で公知である。
【0045】
別の好ましい実施形態では、フラーレンやゼオライトのような比較的不活性な化学物質であるキレート剤を使用する。このような(Gd3+のような常磁性金属イオンを封入する)キレート剤の使用は、分極すべきサンプルが反応性化合物(例えば、前節で列挙したもののように官能基を有するキレート剤と反応する応性基を含むもの)であるときに特に好ましい。
【0046】
本発明の方法では、常磁性キレートは、単量体常磁性キレート、つまりキレート剤と単一の常磁性金属イオンとからなる化学成分、例えばGdDTPA−BMA及びMnDPDPとすることができる。一方、常磁性キレートは、多量体常磁性キレート、つまり2以上のサブユニットからかり、各サブユニットがキレート剤と単一の常磁性金属イオンとからなるような化学成分であってもよい。三量体常磁性キレートの例としては、1,3,5−トリス−(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2メチルフェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオンを挙げることができ、この常磁性キレートは、トリアジントリオンのコアと、このコアに結合した3つのサブユニットから構成され、各サブユニットは、常磁性金属イオンとしてGd3+を、キレート剤としてDO3A誘導体を含む常磁性キレートを含んでいる。この三量体常磁性キレートを、ピルビン酸の分極に用いると、高レベルの分極を行うことができる。この三量体常磁性キレートの詳しい合成方法については、本出願の実施例の部分に記載してある。
【0047】
上述のトリチルラジカルだけでなく、分極すべきサンプルも、常磁性金属イオンと密に接触している必要がある。以下では、特記しない限り、「常磁性金属イオン」という用語は、常磁性金属イオン、例えば塩の形態の常磁性金属イオンと、常磁性キレートの両方について使用する。サンプルが液体であったり、サンプルの溶液であったりする場合には、液体サンプル又はサンプルの溶液に可溶な常磁性金属イオンを用いるのが好ましい。分極すべきサンプルが親油性(親水性)の化合物である場合には、常磁性キレートを使用し、常磁性キレートも、親油性(親水性)とする必要がある。常磁性キレートを親油性とするか、親水性とするかについては、例えば、親油性又は親水性の残基を含むキレート剤を選択することによって選択できる。また、常磁性キレートは、サンプルの存在下では安定であるのが好ましい。これは、錯体が解離(dechelation)すると常磁性イオンが放出され、固体過分極サンプルを液化したり、溶媒中でキレート剤を用いて錯体としたりした後に、遊離常磁性金属イオンを迅速かつ効率的に除去しない限り、上述の液状サンプル中で分極が減衰し、分極レベル有害な影響が生じるためである。また、分極すべきサンプルが酸(塩基)である場合には、常磁性金属イオンは、酸性(塩基性)条件で安定である必要がある。分極すべきサンプルが反応性基を含んでいる場合には、かかる反応性基に対して比較的不活性であるような常磁性金属イオンを使用する必要がある。上述した内容からもわかるように、常磁性金属イオンの選択は、サンプルの化学的性質及び最終使途(固体NMR、液体NMR又は造影剤)によって大きく左右される。
【0048】
本発明の別の態様は、液体過分極サンプルの製造方法であり、この方法は、サンプル又はその前駆体と、トリチルラジカルと、常磁性金属イオンとを含む組成物を調製し、組成物の動的核分極を実施し、組成物を液化し、適宜、液化した組成物からトリチルラジカル及び/又は常磁性金属イオンを除去する工程を含む。
【0049】
本発明の方法を実施するにあたっての第一の工程は、トリチルラジカルと常磁性金属イオンとを含有する組成物を製造する工程である。本発明の方法で使用するサンプルが、ピルビン酸の場合のように室温で液体である場合には、サンプルを、選択したトリチルラジカル及び選択した常磁性金属イオンと混合して、化合物同士が密に接触している組成物を形成することができる。選択したトリチルラジカル及び常磁性金属イオンは、液体サンプルに可溶であるのが好ましい。密な混合は、撹拌、ボルテックス、超音波処理など、当技術分野で公知の幾つかの方法によって推進することができる。本発明の方法で使用するサンプルが室温で固体である場合には、サンプルを溶融し、溶融したサンプルを選択したトリチルラジカル及び選択した常磁性金属イオンと混合することができる。別の実施形態では、固体サンプルの溶液を、例えば、固体サンプルを適当な溶媒又は混合溶媒、好ましくは良好なガラス形成剤で、冷却/凍結時にも組成物の結晶化が生ることを防止しうるような溶媒に溶解することによって調製することができる。適当なガラス形成剤の例としては、グリセロール、プロパンジオール、グリコールが挙げられる。その後、溶解したサンプルを、選択したトリチルラジカル及び選択した常磁性金属イオンと混合する。ガラス形成剤は、サンプルが冷却/凍結時に結晶化する場合には、液体サンプル又は非ガラス形成剤である溶媒に溶解したサンプルに加えることもできる。しかし、上述の通り、溶媒及び/又はガラス形成剤の添加量は、必要最小限にとどめる必要がある。従って、好ましいのは、サンプルに可溶或いはサンプルと混和性のトリチルラジカル及び常磁性金属イオンを選択することである。
【0050】
組成物中のトリチルラジカルの濃度は、5〜25mMとするのが適当であり、10〜20mMとするのが好ましい。組成物中の常磁性金属イオンの濃度については、0.1〜6mM(金属イオン)とするのが適当であり、0.5〜4mMとするのが好ましい。
【0051】
組成物の冷却及び/又は凍結は、結晶化が生じないような方法で行うのが好ましい。冷却及び/又は凍結は、当技術分野で公知の方法、例えば、組成物を液体窒素中で凍結させたり、組成物を単にDNP分極装置中に位置させて、そこで液体ヘリウムで凍結させたりすることによって実施することができる。
【0052】
組成物は、冷却/凍結の前に脱気しておくことができる。脱気は、ヘリウムガスを、(例えば、2〜15分間にわたって)組成物に通気させることによって行うことができるが、別の方法で行ってもよい。
【0053】
DNPの方法については、例えば、国際公開第98/58272号及び同第01/96895号に記載されており、それらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。一般に、DNPのプロセスでは、DNPのプロセスを、例えば、液体ヘリウム中で約1T以上の磁場にて実施することによって、中〜高度の磁場と極めて低い温度を使用する。また、中度の磁場と、十分な分極の強化を得ることができる任意の温度を用いることもできる。好ましい実施形態では、DNPのプロセスは、液体ヘリウムと約1T以上の磁場で実施する。適当な分極ユニット(=分極装置)は、例えば、国際公開第02/37132号に記載されている。好ましい実施形態では、分極ユニットは、低温槽と、分極手段、例えば、磁場生成手段、例えば超伝導磁石に周囲を囲まれた中央穴に収納された導波管によってマイクロ波源に連結されたマイクロ波チャンバを備えている。穴は、鉛直方向に、少なくとも、磁場の強度がサンプルの核を分極させるのに十分な程度まで高い(例えば1〜25Tの範囲)超伝導磁石に近い領域「P」のレベルまで下向きに延在している。プローブ(=分極すべき組成物)用の穴は、封止可能であることが好ましく、定圧、例えば1mbar以下程度の圧力まで排気することができる。プローブ挿入手段、例えば脱着可能な輸送管を、穴の内側に収納し、この管は、穴の上部からマイクロ波チャンバの領域Pまで挿入できる。領域Pは、液体ヘリウムによって、分極が生じるのに十分な低音、好ましくは0.1〜100K程度の温度、さらに好ましくは0.5〜10K程度の温度、最も好ましくは1〜5K程度の温度まで冷却する。プローブ挿入手段は、穴内の減圧を維持できる任意の方法で上端が封止可能であるのが好ましい。プローブ保持容器、例えば、プローブ保持カップを、プローブ挿入手段の下端に脱着可能にはめこむことができる。プローブ保持容器は、比熱容量が低く低温特性のよい軽量の材料、例えば、KelF(ポリクロロトリフルオロ−エチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などで作ることが好ましく、2以上のプローブを保持できるよう設計することもできる。
【0054】
プローブは、プローブ保持容器に挿入して液体ヘリウムに沈め、マイクロ波、好ましくは周波数が約94GHzのマイクロ波に200mWで照射する。分極レベルは、例えば、分極すべきサンプルに応じて、マイクロ波を照射する間にプローブの固体NMR信号を測定することによって監視することができる。一般に、飽和曲線は、NMR信号を時間に対してプロットしたグラフとして得られるので、いつ最適の分極レベルに達したかを判定することができる。
【0055】
分極したサンプルを、MR造影剤として使用する場合には、過分極サンプルを含む組成物は、固体の状態から液体の状態に転化(すなわち、液化)しておくのが好ましい。この液化は、DNPのプロセスの後に、固体組成物を適当な溶媒又は混合溶媒、例えば、緩衝液などの水性の担体に溶解するか、溶融することによって行う。溶融後は、適宜、適当な溶媒又は混合溶媒に溶解又は希釈する工程を行ってもよい。過分極固体組成物を溶解するうえで適当な方法及び装置は、例えば、国際公開第02/37132号に記載されている。過分極固体組成物を溶融するうえで適当な方法及び装置は、例えば、国際公開第02/36005号に記載されている。過分極サンプルをMR造影剤として用いる場合には、過分極サンプルを含む固体組成物を、好ましくは水性の担体又は適当な溶媒に溶解して、生理学的に許容される溶液を生成する。或いは、過分極サンプルを含む固体組成物を溶融し、溶融した組成物を、好ましくは水性の担体又は適当な溶媒に希釈/溶解して、生理学的に許容される溶液を生成する。
【0056】
本発明の方法の場合、過分極サンプルを含む固体組成物の溶解に用いる溶媒は、過分極サンプルを溶解するだけでなく、異なる過分極化学成分に転化させる可能性もある。この場合、固体過分極サンプルは、「サンプルの前駆体」と称することになる。例えば、過分極した酸を含む固体組成物(サンプルの前駆体)の溶解に、塩基を含む溶媒を用いた場合には、過分極した酸は中和され、塩に転化される。従って、液体過分極サンプルは、もはや酸そのものではなく、酸の塩ということになる。
【0057】
本発明の方法のその次の工程では、トリチルラジカル及び/又は常磁性金属イオン及び/又はそれらの反応生成物を、適宜、液化した組成物から除去する。過分極サンプルを、ヒト又は動物の生体内でMR造影剤として使用する場合には、組成物から、トリチルラジカルと常磁性金属イオンの両方を除去しておくのが好ましい。
【0058】
トリチルラジカルと常磁性金属イオンを部分的、実質的にすべて又はすべて除去するうえで有用な方法は、当技術分野で公知である。一般に、利用できる方法は、トリチルラジカルと常磁性金属イオンの性質に左右される。過分極サンプルを含む固体組成物を溶解又は溶融すると、トリチルラジカル及び/又は常磁性金属イオンが沈殿し、液体から濾過によって容易に分離できることもある。沈殿が生じるかどうかは、もちろん、溶媒の性質と、トリチルラジカル及び/又は常磁性金属イオンの性質とに左右される。
【0059】
沈殿が生じない場合には、トリチルラジカルと常磁性金属イオンは、クロマトグラフィーによる分離、例えば、逆相クロマトグラフィーなどの液相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、(固相)抽出、当技術分野で公知の他のクロマトグラフィーによる分離によって除去することができる。液体サンプルでの分極はT1緩和によって減衰するので、通常、トリチルラジカルと常磁性金属イオンの双方を一工程で除去できる方法を使用するのが好ましい。液体サンプルから、望ましくないすべての化合物を迅速に取り除くほど、サンプル中で保持される分極レベルは高くなる。従って、サンプルとトリチルラジカルと常磁性金属イオンとを密に接触させるという点身体けでなく、より迅速かつ効率的に除去するという点からも、トリチルラジカルと常磁性金属イオンとは化学的特性の似たものを選択するのが(例えば、双方とも、親油性又は親水性の化合物とするなど)有利である。例えば、親油性のトリチルラジカルと親油性の常磁性キレートを使用した場合、これらの両化合物を、逆相液体クロマトグラフィーによって、単一のクロマトグラフィーカラムで、一工程で除去できる。
【0060】
遊離常磁性金属イオンが、(例えば、常磁性の金属塩を使用したために)液化した組成物中に存在している場合には、これらのイオンは、O.Vigneauら(Anal.Chim.Acta435(1),2001,75−82)に開示されたようにして、陽イオン交換カラム又はイオンインプリント樹脂を使用することによって除去するのが好ましい。利用できる別の方法としては、A.Sorinら(J.Membrane Science267(1−2),2005,41−49)に開示された、遊離常磁性金属イオンの帯電有機膜への選択的な錯体形成によるナノ濾過が挙げられる。また、遊離常磁性金属イオンを、S.Donaldら(J.Inorg.Biochem.56(3),1994,167−171)の開示内容と似たかたちで、アフィニティークロマトグラフィーによって液化した組成物から除去することもできる。別の態様では、遊離常磁性金属イオンを、表面改質ポリマー抽出剤(Smopex(登録商標))によって除去することもできる。Smopex(登録商標)は、活性のスカベンジャー基を含むスカベンジャーで、このスカベンジャー基は、ほぼすべて、遷移表面に位置している。表面改質ポリマー抽出剤は、反応が迅速で、金属担持量も多く、機械的にも化学的にも安定である。さらに別の実施形態では、遊離常磁性金属イオンを沈殿によって除去し、この場合、遊離常磁性金属イオンとともに溶解度の低い化合物、例えば溶解度の低い塩を形成するような溶媒を選択するか、組成物を分極させる前に、組成物に沈殿助剤を加えておく。例えば、組成物がGdCl3のようなGd3+塩を含む場合には、組成物に、沈殿助剤としてNa3PO4を加えておき、結果的にサンプル、トリチルラジカル、GdCl3、Na3PO4を含んでいる組成物の動的核分極を行う。例えば、水性担体に溶解させた場合には、GdCl3とNa3PO4は溶解度の低いGdのリン酸塩を形成し、この塩は沈殿するので、濾過によって容易に除去できる。一方、過分極サンプル、トリチルラジカル、GdCl3を含む固体組成物は、Na3PO4を含む水性担体に溶解して、溶解度の低いために沈殿するようなGdのリン酸塩を形成させることができる。
【0061】
トリチルラジカルは、特徴的なUV/可視域の吸収スペクトルを示すので、トリチルラジカルの除去後に液体サンプル中にトリチルラジカルが存在しているかどうかを確認する際は、このUV/可視域の吸収の測定を利用することができる。定量的な結果、すなわち液体サンプル中のトリチルラジカルの濃度を得るためには、液体サンプルを分取したものについて特定の波長での吸収がみられれば、それによって対応するサンプル中のトリチルラジカルの濃度が得られるよう、光学分光計のキャリブレーションを行っておけばよい。液体過分極サンプルを、ヒト又はヒト以外の動物の体内でのインビボMRイメージングを行うための造影剤として使用する場合には、トリチルラジカルを除去しておくことが最も好ましい。
【0062】
常磁性金属イオン及び/又はトリチルラジカルの除去後、液体サンプルは、常磁性金属イオン及び/又はトリチルラジカルが残っていないかどうか、確認することができる。
【0063】
常磁性キレートの存在について調べる方法としては、キレートが(強い)発色団を含んでいるのであれば、蛍光又はUV/可視域の吸収の測定値を使用することができる。常磁性キレートの存在について調べる別の方法としては、キレート中に電気的に活性な部分が存在している場合には、電気化学的検出が挙げられる。
【0064】
組成物中に常磁性金属塩を使用する場合には、液体組成物から遊離常磁性金属イオンを除去した後に、遊離常磁性金属イオンが残っていないかどうかチェックする際に、蛍光の測定を利用できる。例えば、Gd3+塩を使用する場合には、遊離Gd3+を高い特異性で検出できる方法として、励起波長が275nmの蛍光と、314nmでの発光の監視を利用することができる。また、遊離Gd3+は、比色分析剤PAR(4−(2−ピリジラゾ)レゾルシノール)と錯体を形成させた後に530〜550nmの可視域で吸光度を測定することによっても検出できる。当技術分野では、他の常磁性金属イオン用の他の比色分析剤も公知であり、同様にして使用できる。
【0065】
本発明の方法の好ましい実施形態では、組成物は、サンプルの前駆体である13C−ピルビン酸、好ましくは131−ピルビン酸又はサンプルである13C−ピルビン酸塩、好ましくは131−ピルビン酸塩と、式(1)のトリチルラジカルと、GdCl3又はGd(III)ピルビン酸塩のようなGd3+又はGd3+塩を含む常磁性キレートである常磁性金属イオンとを含んでいる。組成物は、式(1)のトリチルラジカルと常磁性金属イオンと、適宜ガラス形成剤を、13C−ピルビン酸又は13C−ピルビン酸塩の溶媒(好ましくは水)への溶液に溶解することによって調製する。化合物を十分に混合し、組成物を冷却及び/又は凍結する。動的核分極の後、過分極13C−ピルビン酸又は13C−ピルビン酸塩を含む固体組成物を、水性担体、好ましくは緩衝水溶液に溶解するか、溶融し、その後水性担体に溶解するか、水性担体で希釈する。
【0066】
13C−ピルビン酸(サンプルの前駆体)の場合、組成物を塩基で中和して、13C−ピルビン酸塩(サンプル)を得る。一実施形態では、過分極13C−ピルビン酸を含む固体組成物を液状の塩基と反応させて、溶解するのと同時に、13C−ピルビン酸塩に転化し、その後、緩衝液を加えて、溶解を終了させ、適宜、残りの13C−ピルビン酸を13C−ピルビン酸塩に転化する。好ましい実施形態では、塩基は、NaOH水溶液である。別の好ましい実施形態では、緩衝液はトリス緩衝液、クエン酸塩緩衝液又はリン酸緩衝液である。さらに別の好ましい実施形態では、緩衝液と塩基をアルカリ性の溶液中で混合して、この溶液を、過分極13C−ピルビン酸を含む固体組成物に加え、溶解と、13C−ピルビン酸の13C−ピルビン酸塩への転化を同時に行う。
【0067】
常磁性金属イオンとしてGd3+塩を使用した場合、溶解した13C−ピルビン酸塩からGd3+塩をなるべく迅速かつ効率的に除去することが重要となる。適当な方法としては、O.Vigneauら(Anal.Chim.Acta435(1),2001,75−82)に開示されたようにして、陽イオン交換カラム又はイオンインプリント樹脂を使用することによって除去する方法が挙げられる。利用できる別の方法としては、A.Sorinら(J.Membrane Science267(1−2),2005,41−49)に開示された、遊離Gd3+の帯電有機膜への選択的な錯体形成によるナノ濾過が挙げられる。また、遊離Gd3+を、S.Donaldら(J.Inorg.Biochem.56(3),1994,167−171)の開示したようにして、アフィニティークロマトグラフィーによって液化した組成物から除去することもできる。別の好ましい実施形態では、遊離Gd3+の錯体を迅速かつ効率的に形成できるキレート剤、例えばDTPA、DTPA−BMA、EDTA又はEDTA及びDTPAの誘導体のようなキレート剤を溶媒に加えることによって遊離Gd3+を除去する。こうして得られたGdキレートは、次の段落に記載するようにして、溶解したサンプルから除去することができる。
【0068】
キレートを常磁性金属イオンとして使用した場合には、キレートは、逆相液体クロマトグラフィーを用いて除去することができ、この場合、式(1)のトリチルラジカルとGdキレートとを同時に除去することができる。
【0069】
精製液体サンプルに残留している遊離Gd3+、Gdキレート及び式(1)のトリチルラジカルをチェックするのに適した方法については、英文明細書18/19頁に記載してある。
【0070】
組成物が、13C−ピルビン酸と、式(1)のトリチルラジカルと、Gd3+塩とを含んでおり、この固体組成物を溶融した場合には、溶融組成物中の過分極13C−ピルビン酸を塩基で中和して13C−ピルビン酸塩を得る前に、遊離Gd3+金属イオンを除去しておくのが好ましい。13C−ピルビン酸塩の転化と、溶解/希釈は、上述のようにして実施すればよい。溶融組成物からの遊離Gd3+金属イオンの除去は、陽イオン交換固相抽出に、例えば、適当な陽イオン交換固相抽出用カートリッジ又はカラムを使用することによって行うのが好ましい。
【0071】
本発明の方法によって製造した液体過分極13C−ピルビン酸塩は、「通常の」MR造影剤として、すなわち、解剖学的な造影用でのコントラストの強調に用いることができる。本発明の方法によって製造した液体過分極13C−ピルビン酸塩の別の利点としては、ピルビン酸塩が内在的な化合物であって、高濃度の場合も含め、人体での許容度が高いことが挙げられる。ピルビン酸塩は、クエン酸サイクルでの前駆体として、ヒトの体内で代謝上重要な役割を果たしている。ピルビン酸塩は、異なる化合物に転化され、すなわち、ピルビン酸塩がトランスアミノ化されるとアラニンが生じ、酸化的脱カルボキシルを経るとアセチル−CoA及び重炭酸塩に転化され、還元されると乳酸塩が生じ、カルボキシル化されるとオキサロ酢酸が生じる
また、過分極13C−ピルビン酸塩から過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩(131−ピルビン酸塩の場合は、1312−ピルビン酸塩又は13123−ピルビン酸塩のみ)及び過分極13C−アラニンへの代謝による転化は、ヒトの体内での代謝プロセスをインビボでMRによって調べる際に利用できる。13C−ピルビン酸塩のヒトの全血での37℃のT1緩和時間は約42秒であるが、過分極13C−ピルビン酸塩から過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩及び過分極13C−アラニンへの転化は、親化合物である13C−ピルビン酸塩やその代謝産物から信号を検出するうえで十分迅速であることがわかった。アラニン、重炭酸塩及び乳酸塩の量は、検査対象組織の代謝状態に左右される。過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩及び過分極13C−アラニンのMRでの信号強度は、これらの化合物の量及び検出時に残存している分極度と関連しているので、過分極13C−ピルビン酸塩から、過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩及び過分極13C−アラニンへの転化を監視することによって、MRでの非侵襲的な造影を利用して、ヒト又はヒト以外の動物の体内での代謝プロセスをインビボで調べることが可能となる。
【0072】
各種のピルビン酸塩代謝物によって生じるMR信号の増幅のされ方は、組織の種類によって異なることを見いだした。アラニン、乳酸塩、重炭酸塩、ピルビン酸塩によって形成される独特な代謝のピークパターンは、検査対象組織の代謝状態のフィンガープリントとして利用することができ、従って、健常組織と腫瘍組織を識別することができる。そのため、本発明の組成物は、インビボMR腫瘍イメージング用に極めて優れた造影剤となる。腫瘍の造影に過分極13C−ピルビン酸塩を使用することについては、国際公開第2006/011810号に詳述されている。
【0073】
また、過分極13C−ピルビン酸塩を心臓の造影に使用することは、国際公開第2006/054903号に詳述されている。
【0074】
本発明の別の態様は、サンプルとトリチルラジカルと常磁性金属イオンとを含んでなる組成物に関する。
【0075】
本発明のさらに別の態様は、サンプルとトリチルラジカルと常磁性金属イオンとを含んでなる動的核分極用組成物に関する。
【0076】
本発明のさらに別の態様は、過分極サンプルとトリチルラジカルと常磁性金属イオンとを含んでなる組成物であって、当該組成物が動的核分極によって得られたものである組成物に関する。
【0077】
本発明のさらに別の態様は、トリチルラジカルと常磁性金属イオンとを含む動的核分極用の分極剤である。好ましい実施形態では、分極剤は、トリチルラジカルと常磁性金属イオンとを含み、さらに好ましくはトリチルラジカルと常磁性キレート又はトリチルラジカルと塩の形態の常磁性金属イオンとからなる。
【実施例】
【0078】
実施例1:GdDTPA−BMA(常磁性キレートである)を用いた場合と用いなかった場合の 13 1 −ピルビン酸の固体分極の比較
実施例1a:トリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−(テトラ(メトキシエチル)ベンゾ−[1,2−4,5’]ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩(トリチルラジカル)の合成
国際公開第98/39277号の実施例7に従って合成した10g(70mmol)のトリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−(テトラ(ヒドロキシエチル)ベンゾ−[1,2−4,5’]−ビス−(1,3)−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩を、アルゴン雰囲気中で、280mlのジメチルアソトアミドに懸濁した。水素化ナトリウム(2.75g)、次にヨウ化メチル(5.2ml)を加え、わずかに発熱性の反応を、1時間、34℃の水浴中で60分間進行させた。水素化ナトリウムとヨウ化メチルの添加(各化合物は同量)を、2回繰り返し、最後の添加の後、混合物を室温で68時間撹拌し、500mlの水に加えた。pHを、40mlの1MのNaOH(aq)を用いてpH>13に調製し、混合物を周囲温度で15時間撹拌し、形成したメチルエステルを加水分解した。その後、混合物を、50mlの2MのHCl(aq)を用いてpH約2の酸性とし、酢酸エチルで3回(500ml及び2×200ml)抽出した。有機相を一緒にして、Na2SO4で乾燥し、乾燥するまで蒸発させた。粗生成物(24g)を、調製用HPLCで、溶出剤としてアセトニトリル/水を使用して精製した。集めた分画を蒸発させて、アセトニトリルを除去した。残存した水相を酢酸エチルで抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、乾燥するまで蒸発させた。残留物に水(200ml)を加え、pHを0.1MのNaOH(aq)でpH7に注意深く調整したところ、この過程を通じて、残留物が徐々に溶解した。中性とした後、水溶液を凍結乾燥した。
【0079】
実施例1b:実施例1aのラジカルを用いた過分極 13 C−ピルビン酸の製造
実施例1aのトリチルラジカル131−ピルビン酸(553mg)と非標識ピルビン酸(10.505g)の混合物に溶解することによって、実施例1aのトリチルラジカルを15mM含む組成物を調製した。組成物を均質になるまで撹拌し、溶液の一部(2.015g)をプローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。4時間後に、分極を停止した。
【0080】
固体13C−NMRによって固体分極を測定したところ、固体組成物1mg当たり5.72(インテグラル)であった。固体13C−NMRの測定は、低フリップ角を使用して、単純パルスでNMRを順次取得することによって行った。動的核分極によって分極させたサンプルの信号強度を、熱分極サンプル、すなわち、動的核分極プロセスを開始する前の室温でのサンプルの自然分極と比較した。サンプルがどの時点で最大分極に達したかを決定するために、低フリップ角の固体13C−NMRスペクトルを、動的核分極プロセス開始後の複数の異なる時点で取得した。分極は、熱分極サンプルと、動的核分極によって分極させたサンプルの信号強度の比から計算した。
【0081】
実施例1c:実施例1aのラジカルとGdDTPA−BMAを用いた過分極 13 1 −ピルビン酸の製造
この実施例は、組成物が、131−ピルビン酸と非標識ピルビン酸の混合物にトリチルラジカルとともに溶解したGdDTPA−BMAを含む以外は、実施例1bと同様に実施した。組成物は、15mMのトリチルラジカルと1.5mMのGd3+を含有していた。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。4時間後に、分極を停止した。
【0082】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、固体組成物1mg当たり9.69(インテグラル)であった。
【0083】
分極すべき組成物中に常磁性金属イオンが存在することで、13C−ピルビン酸の固体分極をほぼ2倍とすることができた。
【0084】
実施例2:Gd(III)酢酸塩を用いた場合と用いなかった場合の 13 1 −ピルビン酸の固体分極の比較
実施例1aのトリチルラジカルを43.7mgの131−ピルビン酸に溶解することによって、トリチルラジカルを15mM含む組成物を調製した。組成物を均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。
【0085】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、固体組成物1mg当たり5.72(インテグラル)であった。
【0086】
別の実験では、実施例1aのトリチルラジカルを43.7mgの131−ピルビン酸に溶解することによって、トリチルラジカルを15mM含む組成物を調製した。さらに、Gd(III)酢酸塩を混合物に加えたところ、Gd3+を2mM含む組成物が得られた。組成物を均質になるまで撹拌し、溶液の一部(2.015g)をプローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。
【0087】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、固体組成物1mg当たり9.37(インテグラル)であった。
【0088】
常磁性金属イオンを添加した結果、固体分極が約2倍増強された。
【0089】
例3:常磁性金属イオンの不在下での過分極 13 1 −ピルビン酸塩溶液の製造(比較例)
実施例1aのトリチルラジカル131−ピルビン酸に溶解することによって、18.9mMのトリチルラジカルを含む組成物43mgを調製した。組成物を均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。2時間後に、分極を停止し、組成物を、国際公開第02/37132号に従って溶解装置を用いて、水酸化ナトリウムとトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)の水溶液に溶解し、ピルビン酸塩の合計濃度が約78mMである過分極131−ピルビン酸ナトリウムの40mMのトリス緩衝液中への中性溶液を得た。
【0090】
液体分極を液体13C−NMRで400MHzで測定したところ、20.8%であった。
【00】
【0091】
実施例4:1,3,5−トリス−(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオンのGdキレート(10)の合成
4a)2−メチル−4−ニトロフェニルイソシアネート(1)の合成
【0092】
【化2】
2−メチル−4−ニトロアニリン(35.0g、230mmol)を酢酸エチル(400ml)に溶解し、0℃に冷却した。ホスゲン(180ml、20%トルエン溶液)を30分間にわたって滴下して加えたところ、瞬時に白色の塩が沈殿した。添加終了後、温度を徐々に室温まで上昇させ、その後、反応混合物を加熱還流した(約100℃)。還流を2時間30分継続し、200mlの溶媒を留去してから、温度を80℃に下げ、ホスゲン(140ml、20%トルエン溶液)を滴下して加えた。添加終了後、反応溶液を3時間還流し、室温まで放冷し、濃縮乾燥した。この褐色/黄色物質をジエチルエーテル(250ml)に溶解し、濾過し、濃縮したところ、淡褐色の粉末が得られた(36g、88%)。
【0093】
4b)1,3,5−トリス−(4−ニトロ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(2)の調製
250mlのフラスコに入れた2−メチル−4−ニトロフェニルイソシアネート(36.0g)にDMSO(50ml)を加え、フラスコをガラス栓で密封し、ガラス栓は、プラスチック製クリップで固定した。フラスコをただちに下降させて、85℃に加熱しておいたオイルバス中に入れ、濃褐色の反応溶液を16時間30分加熱した。オイルバスを取り除き、反応溶液を室温まで放冷してから、水(800ml)に加え、超音波処理し、沈殿を濾別した。フィルターケーキをエタノール(500ml)に加え、4時間還流し、室温まで放冷してから、生成物を濾別たところ、白色粉末(28.1g、78%)が得られた。
【0094】
4c)1,3,5−トリス−(4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(3)の調製
1,3,5−トリス−(4−ニトロ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(2.86g、5.4mmol)をTHF(70ml)に溶解した。HCl(4.5ml、6M)、水(18ml)、Pd/C(0.6g、10%)を加えた。反応容器を排気し、アルゴンを3サイクルで充填してから、パール水素添加装置(60psi)で、水素添加した。2時間後、過剰な水素を膜ポンプで排気し、Pd/C(10%)を濾別した。透明な反応溶液を、THFがなくなるまで濃縮し、NaHCO3(約3.7g)でpHを7に調製した。水相を酢酸エチル(3×100ml)で抽出し、有機相を一緒にして、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮したところ、褐色の粉末が得られた。粗生成物をメタノールで再結晶させ、オフホワイトの粉末が得られた(1.9g、80%)。
【0095】
【化3】
4d)1,3,5−トリス−(4−ホルムアミド−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(4)の調製
ギ酸(175ml)を氷冷した500ml丸底フラスコに加え、無水酢酸(15ml、0.16mol)を加えて、黄色の溶液をアルゴン雰囲気中で0℃にて1時間撹拌した。この溶液にトリアミン3(8.7g、0.020mol)を加え、氷浴を取り除いた。アルゴン中で室温で30分撹拌した後にHPLCを行ったところ、反応は完了していた。溶媒を真空中で除去し、褐色のねばねばした残留物をH2Oに懸濁し、濾別した。この残留物をさらにH2Oでよく洗浄して、酸をすべて除去した。生成物は、淡褐色の固形物(10.2g、99%)であった。
【0096】
【化4】
4e)1,3,5−トリス−(N−ホルミル−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(5)の調製
ガラス機器類を炉中で注意深く乾燥し、DMFを4Aの分子篩い上で乾燥した。500mlの丸底フラスコ中で、4(10.2g、0.0193mol)のDMF溶液(115ml)に、Li(Me3Si)2N(116ml、0.116mol、1Mヘキサン溶液)を加えた。淡褐色からレンガ色のスラリーに変化した反応混合物をアルゴン雰囲気中で1時間撹拌した。ヨウ化メチル(12.2ml、0.196mol)を加え、反応混合物を、HPLCでメチル化が完了したことが示されるまで、2時間撹拌した。ヘキサンをロータリーエバポレーターで除去し、残留物を激しく撹拌しながらNaH2PO4溶液(1300ml、100mM)に加えた。生成した沈殿物5を濾別したところ、淡色の固形物(6.7g、60%)が得られた。
【0097】
【化5】
4f)1,3,5−トリス−(N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(6)の調製
ジオキサン(52ml)と、HCl(52ml、6M)と、5(6.5g、11mmol)を、250mlの丸底フラスコ中で混合して、淡色のスラリーを形成した。反応混合物をアルゴン中で30分間加熱還流した。黄色となった溶液を室温まで放冷し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。橙色の残留物を500mlのH2Oに溶解し、激しく撹拌しながら、NaHCO3(飽和)溶液で中和した。生成した沈殿物を濾別し、H2Oで数回洗浄したところ、淡色の固形物(4.7g、84%)が得られた。
【0098】
【化6】
4g)1,3,5−トリス−(N−クロロアセチル−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(7)の調製
100mlの丸底フラスコ中で、6(4.6g、9.5mmol)をDMA(15ml)に溶解し、クロロアセチルクロリド(2.6ml、33mmol)を0℃で撹拌しながら加えた。反応生成物をアルゴン雰囲気中で室温にて30分間又はHPLCでクロロアセチル化の完了が示されるまで撹拌した。スラリーを水(500ml)とともに、激しく機械的に撹拌しながら大型ビーカーに注いだ。生成した沈殿を濾別し、真空中で0.3mbarで乾燥した(6.3g)。淡色の固形物を70mlのアセトニトリルに溶解し、500mlのH2Oに機械的に激しく撹拌しながら加えた。生成した沈殿を濾別し、デシケータで乾燥させた(6.1g、89%)。
【0099】
【化7】
4h)1,3,5−トリス−(N−(DO3At−ブチルエステル−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(8)の調製
50mlの丸底フラスコで、7(0.50g、0.70mmol)を、DO3At−ブチルエステル(2.5g、4.2mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(910μl、5.2mmol)、アセトニトリル(15ml)とともに懸濁した。超音波処理後、反応混合物をアルゴン雰囲気中で75℃でLC/MSでカップリングの終了が示されるまで撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、その後の反応で、粗生成物(2.9g)を使用した。
【0100】
【化8】
4i)1,3,5−トリス−(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(9)の調製
8の粗生成物(1.9g)をTFA(130ml)及びCH2Cl2(130ml)に溶解し、50℃でアルゴン雰囲気中で撹拌した。溶液を、1時間又はLC/MSで脱保護の完了が示されるまで撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残留物を真空中で一晩除去した。粗生成物(2.4g)を最終工程で使用した。
【0101】
【化9】
4j)1,3,5−トリス−(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオンのガドリニウムキレート(10)の調製
9の粗生成物(2.4g)を水に溶解し、Gd(OAc)3(1.4g、4.2mmol)を撹拌しながら加えた。真空(0.3mbar)を引き、反応をLC/MSで連続的に監視した。錯体形成の完了が検出されたら、溶媒を真空下で除去した。3.1gの粗生成物を調製用HPLC(410mg、7の42%)で精製した。
【0102】
実施例5:実施例4のGdキレートの存在下での過分極 13 1 ピルビン酸塩溶液の製造
実施例1aのトリチルラジカル131−ピルビン酸に溶解することによって、18.9mMのトリチルラジカルを含む組成物43mgを調製した。実施例4のGdキレートを加えたところ、実施例4のGdキレートを0.63mM、すなわちGd3+を1.89mM含む組成物が得られた。組成物を均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。2時間後に、分極を停止し、組成物を、国際公開第02/37132号に従って溶解装置を用いて、水酸化ナトリウムとトリスの水溶液に溶解し、40mMのトリス緩衝液中のピルビン酸塩の合計濃度が約78mMである過分極131−ピルビン酸ナトリウムの中性溶液を得た。
【0103】
液体分極を液体13C−NMRで400MHzで測定したところ、44.7%であった。
【0104】
実施例3と実施例5の比較から、組成物中に常磁性金属イオンが存在することで、サンプルの分極レベルを2倍以上上昇させることができたことがわかる。
【0105】
実施例6:常磁性金属イオンの存在下での過分極 13 1 ピルビン酸塩溶液の製造と、分極の前の組成物の脱気
実施例1aのトリチルラジカル131−ピルビン酸に溶解することによって、15mMのトリチルラジカルを含む組成物43mgを調製した。実施例4のGdキレートを加えたところ、実施例4のGdキレートを0.5mM、すなわちGd3+を1.5mM含む組成物が得られた。ヘリウムガスを10分間通気することによって組成物を脱気して、空気を除去した。組成物をトリチルラジカルとGdキレートについて濃縮したところ、実施例1aのトリチルラジカルを18.9mM、実施例4のGdキレートを0.63mM、すなわちGd3+を1.89mM含有する組成物が得られた。この組成物を均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。2時間後に、分極を停止し、組成物を、国際公開第02/37132号に従って溶解装置を用いて、水酸化ナトリウムとトリスの水溶液に溶解し、40mMのトリス緩衝液中のピルビン酸塩の合計濃度が約78mMである過分極131−ピルビン酸ナトリウムの中性溶液を得た。
【0106】
液体分極を液体13C−NMRで400MHzで測定したところ、55.3%であった。
【0107】
実施例5と実施例6の比較から、組成物を脱気することによって、131−ピルビン酸塩の分極レベルをさらに約10%上昇させることができたことがわかる。
【0108】
実施例8:実施例4のGdキレートを用いた場合と用いなかった場合の1,1−ビス(ヒドロキシ−メチル)シクロプロパン−1− 13 Cの固体分極の比較
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、9μlの1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン−1−13Cと36μlのエチレングリコールの混合物に溶解することによって、トリチルラジカルを15mM含む組成物を調製した。組成物を均質になるまで撹拌し、組成物カップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止した。
【0109】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、25.8(インテグラル)であった。
【0110】
別の実験では、国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、9μlの1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン−1−13Cと36μlのエチレングリコールに溶解することによって、トリチルラジカルを15mM含む組成物を調製した。さらに、実施例4のGdキレートを加えたところ、実施例4のGdキレートを0.62mM、すなわちGd3+を1.86mM含む組成物が得られた。組成物を均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止した。
【0111】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、44.9(インテグラル)であった。
【0112】
常磁性金属イオンを添加した結果、固体分極が約2倍増強された。
【0113】
実施例9:GdCl 3 を用いた場合と用いなかった場合の 13 1 −ピルビン酸の固体分極の比較
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)3.1mgを、90μlの131−ピルビン酸に溶解することによって、トリチルラジカルを15mM含む組成物を調製した。組成物を均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。2時間後に、分極を停止した。
【0114】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、25%であった。
【0115】
別の実験では、国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)3.1mgを、90μlの131−ピルビン酸に溶解することによって、トリチルラジカルを15mM含む組成物を調製した。さらに、GdCl3(10mM水溶液10μl)を混合物に加えたところ、Gd3+を1mM含む組成物が得られた。組成物を均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。2時間後に、分極を停止した。
【0116】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、50%であった。
【0117】
分極すべき組成物に常磁性金属イオンを添加した結果、サンプルの固体分極が約2倍増強された。
【0118】
実施例10:実施例4のGdキレートを用いた場合と用いなかった場合の 13 1 −D 2 −フマル酸塩の固体分極の比較
例10a:実施例4のGdキレートを用いない 13 1 −D2−フマル酸塩の固体分極(比較例)
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、0.21mmolの131−D2−フマル酸と0.24mmolのトリスの混合物の17μlの水への溶液に溶解することによって、トリチルラジカルを10mM含む組成物を調製した。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止した。
【0119】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、220(インテグラル/mmol−13C)であった。
【0120】
実施例10b:実施例4のGdキレートを用いた 13 1 −D2−フマル酸塩の固体分極
別の実験では、国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、0.21mmolの131−D2−フマル酸と0.24mmolのトリスを17μlの水への溶液に溶解することによって、トリチルラジカルを10mM含む組成物を調製した。さらに、実施例4のGdキレートを加えたところ、実施例4のGdキレートを0.7mM、すなわちGd3+を2.1mM含む組成物が得られた。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止した。
【0121】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、630(インテグラル/mmol−13C)であった。
【0122】
常磁性金属イオンを添加した結果、固体分極が約3倍増強された。
【0123】
実施例11:実施例4のGdキレートを用いた場合と用いなかった場合の過分極 13 1 −フマル酸塩溶液の製造
例11a:実施例4のGdキレートを用いない過分極 13 1 −フマル酸塩溶液の製造(比較例)
実施例10aの分極固体組成物を、国際公開第02/37132号の溶解装置を用いて水酸化ナトリウムの水溶液に溶解して、フマル酸塩濃度が約40mMの過分極トリス−131−フマル酸塩の40mMのトリス緩衝液への中性の溶液を得た。
【0124】
液体分極を液体13C−NMRで400MHzで測定したところ、9%であった。
【0125】
実施例11b:実施例4のGdキレートを用いた過分極 13 1 −フマル酸塩溶液の製造
実施例10bの分極固体組成物を、国際公開第02/37132号の溶解装置を用いて水酸化ナトリウムの水溶液に溶解して、フマル酸塩濃度が約40mMの過分極トリス−131−フマル酸塩の40mMのトリス緩衝液への中性の溶液を得た。
【0126】
液体分極を液体13C−NMRで400MHzで測定したところ、23%であった。
【0127】
常磁性金属イオンを添加した結果、液体分極が2.5倍増強された。
【0128】
実施例12:実施例4のGdキレートを用いた場合と用いなかった場合の 13 1 −酢酸塩の固体分極の比較
例12a:実施例4のGdキレートを用いない 13 1 −酢酸塩の固体分極(比較例)
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、0.199mmolのトリス−131−酢酸塩と13μlの水の混合物に溶解することによって、トリチルラジカルを10mM含む組成物を調製した。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止した。
【0129】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、195(インテグラル/mmol−13C)であった。
【0130】
実施例12b:実施例4のGdキレートを用いた 13 1 −酢酸塩の固体分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、0.199mmolのトリス−131−酢酸塩と13μlの水の混合物に溶解することによって、トリチルラジカルを10mM含む組成物を調製した。さらに、実施例4のGdキレートを加えたところ、実施例4のGdキレートを0.2mM、すなわちGd3+を0.6mM含む組成物が得られた。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止した。
【0131】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、450(インテグラル/mmol−13C)であった。
【0132】
常磁性金属イオンを添加した結果、固体分極が2.3倍増強された。
【0133】
実施例13:実施例4のGdキレートを用いた場合と用いなかった場合の 13 1 −重炭酸塩の固体分極の比較
例13a:実施例4のGdキレートを用いない 13 1 −重炭酸塩の固体分極(比較例)
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、21mgのCs−131−重炭酸塩と、5μlのグリセロールと、8μlの水との混合物に溶解することによって、トリチルラジカルを10mM含む組成物を調製した。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止した。
【0134】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、70(インテグラル/mmol−13C)であった。
【0135】
実施例13b:実施例4のGdキレートを用いた 13 1 −重炭酸塩の固体分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、21mgのCs−131−重炭酸塩と、5μlのグリセロールと、8μlの水との混合物に溶解することによって、トリチルラジカルを10mM含む組成物を調製した。さらに、実施例4のGdキレートを加えたところ、実施例4のGdキレートを0.7mM、すなわちGd3+を2.1mM含む組成物が得られた。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止した。
【0136】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、390(インテグラル/mmol−13C)であった。
【0137】
常磁性金属イオンを添加した結果、固体分極が5.6倍増強された。
【0138】
実施例14:実施例4のGdキレートを用いた場合と用いなかった場合の 13 1 −乳酸塩の固体分極の比較
例14a:実施例4のGdキレートを用いない 13 1 −乳酸塩の固体分極(比較例)
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、0.23mmolの131−乳酸塩(57%水溶液)に溶解することによって、トリチルラジカルを13mM含む組成物を調製した。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。2時間後に、分極を停止した。
【0139】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、28(インテグラル/mmol−13C)であった。
【0140】
実施例14b:実施例4のGdキレートを用いた 13 1 −乳酸塩の固体分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、0.23mmolの131−乳酸塩(57%水溶液)に溶解することによって、トリチルラジカルを13mM含む組成物を調製した。さらに、実施例4のGdキレートを加えたところ、実施例4のGdキレートを0.4mM、すなわちGd3+を1.2mM含む組成物が得られた。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。2時間後に、分極を停止した。
【0141】
固体分極を、実施例1bに記載の通り固体13C−NMRで測定したところ、178(インテグラル/mmol−13C)であった。
【0142】
常磁性金属イオンを添加した結果、固体分極が6.4倍増強された。
【0143】
実施例15:実施例4のGdキレートを用いた場合と用いなかった場合の3−ヒドロキシ酪酸塩の液体分極の比較
例15a:実施例4のGdキレートを用いない3−ヒドロキシ酪酸塩の液体分極(比較例)
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、0.224mmolの3−ヒドロキシ酪酸塩(天然存在度の13C)と15μlの水との混合物に溶解することによって、トリチルラジカルを13mM含む組成物を調製した。組成物をボルテックスとわずかな加熱の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止し、組成物を、国際公開第02/37132号に従って溶解装置を用いて、20mMのリン酸緩衝水溶液(pH7.4)に溶解し、合計濃度が約40mMの過分極3−ヒドロキシ酪酸塩の中性溶液を得た。
【0144】
液体分極を液体13C−NMRで400MHzで測定したところ、8%であった。
【0145】
実施例15b:実施例4のGdキレートを用いた3−ヒドロキシ酪酸塩の液体分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、0.224mmolの3−ヒドロキシ酪酸塩(天然存在度の13C)と15μlの水との混合物に溶解することによって、トリチルラジカルを13mM含む組成物を調製した。さらに、実施例4のGdキレートを加えたところ、実施例4のGdキレートを0.5mM、すなわちGd3+を1.5mM含む組成物が得られた。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止し、組成物を、国際公開第02/37132号に従って溶解装置を用いて、20mMのリン酸緩衝水溶液(pH7.4)に溶解し、合計濃度が約40mMの過分極3−ヒドロキシ酪酸塩の中性溶液を得た。
【0146】
液体分極を液体13C−NMRで400MHzで測定したところ、26%であった。
【0147】
常磁性金属イオンを添加した結果、液体分極が3倍超増強された。
【0148】
実施例16:実施例4のGdキレートを用いたトリス− 13 1 −グルタミン酸塩の液体分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、0.06mmolの131−グルタミン酸と、74μmolのトリスと、7μの水の混合物に溶解することによって、トリチルラジカルを16mM含む組成物を調製した。さらに、実施例4のGdキレートを加えたところ、実施例4のGdキレートを0.3mM、すなわちGd3+を0.9mM含む組成物が得られた。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止し、組成物を、国際公開第02/37132号に従って溶解装置を用いて、20mMのリン酸緩衝水溶液(pH7.4)に溶解し、合計濃度が約10mMのTRIS−131−グルタミン酸塩の中性溶液を得た。
【0149】
液体分極を液体13C−NMRで400MHzで測定したところ、25%であった。
【0150】
実施例17:実施例4のGdキレートを用いたトリス− 13 1 −アスパラギン酸塩の液体分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカル(トリス−(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3−ジチオール−4−イル)メチルのナトリウム塩)を、0.058mmolの131−アスパラギン酸と、72μmolのトリスと、7μlの水との混合物に溶解することによって、トリチルラジカルを16mM含む組成物を調製した。さらに、実施例4のGdキレートを加えたところ、実施例4のGdキレートを0.3mM、すなわちGd3+を0.9mM含む組成物が得られた。組成物をボルテックス、わずかな加熱、超音波処理の組合せによって均質になるまで撹拌し、プローブカップに入れ、DNP分極装置に挿入した。組成物を、マイクロ波(93.950GHz)を照射しつつ、3.35Tの磁場で、1.2Kにて、DNP条件下で分極した。3時間後に、分極を停止し、組成物を、国際公開第02/37132号に従って溶解装置を用いて、20mMのリン酸緩衝水溶液(pH7.4)に溶解し、合計濃度が約10mMのTRIS−131−アスパラギン酸塩の中性溶液を得た。
【0151】
液体分極を液体13C−NMRで400MHzで測定したところ、16%であった。

Claims (9)

  1. アラニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、酢酸塩、ピルビン酸、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、乳酸、クエン酸塩、重炭酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、オキサロ酢酸塩、α−ケトグルタル酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩、イソクエン酸塩及び尿素から選択される内在性の15N又は13C濃縮化合物であるサンプルと、以下の式(1)の炭素系トリチルラジカルと、ガドリニウムイオンとを含んでなる動的核分極用の組成物。
    式中、
    Mは水素又は一価陽イオンを表し、
    R1は同一又は異なるもので、直鎖もしくは枝分れC 1 〜C 6 アルキル基又は−(CH 2 n −X−R2基(式中、nは1、2又は3であり、XはO又はSであり、R2は直鎖又は枝分れC 1 〜C 4 アルキル基である。)である。
  2. 前記ガドリニウムイオンがキレート又は塩の形態である、請求項記載の組成物。
  3. 前記ガドリニウムイオンがキレートの形態であり、キレート剤が、適宜N、O、S及びPからなる群のヘテロ原子を含んでいてもよい環状又は非環状キレート剤である、請求項1又は請求項記載の組成物。
  4. 前記ガドリニウムイオンがキレートの形態であり、キレート剤がDOTA及びDO3Aからなる群から選択される、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の組成物。
  5. 前記ガドリニウムイオンが前記サンプル又はサンプル溶液に可溶である、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の組成物。
  6. アラニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、酢酸塩、ピルビン酸、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、乳酸、クエン酸塩、重炭酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、オキサロ酢酸塩、α−ケトグルタル酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩、イソクエン酸塩及び尿素から選択される内在性の15N又は13C濃縮化合物である過分極サンプルと、以下の式(1)の炭素系トリチルラジカルと、ガドリニウムイオンとを含んでなる組成物であって、当該組成物が動的核分極で得られたものである組成物。
    式中、
    Mは水素又は一価陽イオンを表し、
    R1は同一又は異なるもので、直鎖もしくは枝分れC 1 〜C 6 アルキル基又は−(CH 2 n −X−R2基(式中、nは1、2又は3であり、XはO又はSであり、R2は直鎖又は枝分れC 1 〜C 4 アルキル基である。)である。
  7. アラニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、酢酸塩、ピルビン酸、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、乳酸、クエン酸塩、重炭酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、オキサロ酢酸塩、α−ケトグルタル酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩、イソクエン酸塩及び尿素から選択される内在性の15N又は13C濃縮化合物であるサンプルの動的核分極に用いられる分極剤であって、以下の式(1)の炭素系トリチルラジカルとガドリニウムイオンとを含んでなる分極剤。
    式中、
    Mは水素又は一価陽イオンを表し、
    R1は同一又は異なるもので、直鎖もしくは枝分れC 1 〜C 6 アルキル基又は−(CH 2 n −X−R2基(式中、nは1、2又は3であり、XはO又はSであり、R2は直鎖又は枝分れC 1 〜C 4 アルキル基である。)である。
  8. アラニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、酢酸塩、ピルビン酸、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、乳酸、クエン酸塩、重炭酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、オキサロ酢酸塩、α−ケトグルタル酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩、イソクエン酸塩及び尿素から選択される内在性の15N又は13C濃縮化合物である固体過分極サンプルの製造方法であって、前記内在性の15N又は13C濃縮化合物であるサンプルと以下の式(1)の炭素系トリチルラジカルとガドリニウムイオンとを含む組成物を調製し、該組成物で動的核分極を実施することを含んでなる方法。
    式中、
    Mは水素又は一価陽イオンを表し、
    R1は同一又は異なるもので、直鎖もしくは枝分れC 1 〜C 6 アルキル基又は−(CH 2 n −X−R2基(式中、nは1、2又は3であり、XはO又はSであり、R2は直鎖又は枝分れC 1 〜C 4 アルキル基である。)である。
  9. アラニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、酢酸塩、ピルビン酸、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、乳酸、クエン酸塩、重炭酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、オキサロ酢酸塩、α−ケトグルタル酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩、イソクエン酸塩及び尿素から選択される内在性の15N又は13C濃縮化合物である液体過分極サンプルの製造方法であって、前記内在性の15N又は13C濃縮化合物であるサンプル又はその前駆体と以下の式(1)の炭素系トリチルラジカルとガドリニウムイオンとを含んでなる組成物を調製し、該組成物で動的核分極を実施し、該組成物を好ましくは溶解によってを液化し、適宜、液体組成物からトリチルラジカル及び/又はガドリニウムイオンを除去することを含んでなる方法。
    式中、
    Mは水素又は一価陽イオンを表し、
    R1は同一又は異なるもので、直鎖もしくは枝分れC 1 〜C 6 アルキル基又は−(CH 2 n −X−R2基(式中、nは1、2又は3であり、XはO又はSであり、R2は直鎖又は枝分れC 1 〜C 4 アルキル基である。)である。
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