JP5475527B2 - 自重補償型脚歩行アシスト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、怪我や病気、高齢等のために自力歩行が困難な者の歩行動作を補助したり、歩行ロボットやパワーアシストスーツの歩行や脚屈伸の動作を行うモータ等の負荷を軽減したりするために用いられる歩行アシスト装置に関し、特に、歩行者やロボット等の自重を補償して歩行動作や脚屈伸動作をアシストするための自重補償型脚歩行アシスト装置に関する。
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、歩行動作をアシストして歩行動作に要するエネルギーを軽減する手段を備えた歩行ロボットの提案や、特許文献2に記載されていうように、高齢者等の歩行補助、重労働作業現場の移動補助などに用いられる下肢パワー増幅装置の提案がなされている。
前記特許文献1に記載されている歩行ロボットにおいては、その歩行動作と連動して、所定の閉空間内で制御用空気の動きを制御することで、該歩行ロボットの歩行をアシストする空気回路部を備えている。
前記空気回路部は、歩行ロボットの歩行時において、脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際に、該脚を構成する各リンク部材の各関節部を介して行われる相対位置の変化に伴って制御用空気を介して該歩行のエネルギーの一部を歩行エネルギー回収部に回収し、脚が遊脚状態から立脚状態へ移行する際に、歩行エネルギー回収部によって回収された歩行エネルギーを開放して該脚の立脚状態への移行をアシストするようにしている。
また、前記特許文献2に記載されている下肢パワー増幅装置は、サドルと連結されたベース部材と当該ベース部材に対して前後左右方向に揺動可能に連結されて搭乗者の脚部に沿って延在する一対の脚部ユニットを備えており、搭乗者は前記サドルに跨って起立状態で搭乗し、これらの脚部ユニット下部にそれぞれ連結されたペダルに左右両足を載せて下肢を動作させることにより、アクチュエータの駆動によって人間の下肢の動作に用いられる力がアシストされるようにしたものである。
特開2009−274142号公報 特開2008−253539号公報
前述した特許文献1に記載されているものは、歩行エネルギーの回収と開放を歩行動作のタイミングに合わせて切り換えるために、制御用空気の流れを切り換える電磁弁やこの電磁弁を切換制御する制御装置等が必要であり、また、立脚状態から遊脚状態に至る歩行動作の過程において、制御用空気が空気回路部の絞り弁を通過する際の流動抵抗を利用して膝部の急激な屈伸動作を制動しているため、回収できる歩行エネルギに損失が生じ、遊脚状態の後、膝部を伸展させる際に利用できるエネルギーが減ってしまう問題があった。
また、前述した特許文献2に記載されているものは、左右の脚部ユニットを人間の下肢の動きに合わせて動作させるために、これらの脚部ユニットを駆動する複数のアクチュエータや左右のペダル上の搭乗者の足の動きを検出するための圧力センサユニット、これらの圧力センサユニットの出力信号によって前記アクチュエータを制御するための制御機器等を組み込んでいるため、構造が複雑になり製造コストが高くなる問題があった。
また、これらのアクチュエータや制御部等を動作させるためには、充電池等を搭載する必要があり、屋外等、電源が容易に確保できない場所での使用が制限される問題もあった。
そこで、本発明は、前述したような従来技術における問題点を解消し、駆動源を必要とせずに、歩行者や歩行ロボット等の自重を補償して歩行動作を効率的にアシストすることができる自重補償型脚歩行アシスト装置を提供することを目的とする。
前記目的のために提供される本発明の自重補償型歩行アシスト装置は、左右対称に構成された一対の脚部と、これらの脚部の上端間を連結する上体保持枠と、それぞれの脚部に対して設けられ、遊脚となる脚部に作用する重力負荷を補償する遊脚自重補償機構と、それぞれの脚部に対して設けられ、支持脚となる脚部に作用する上体の重力負荷を補償する上体自重補償機構とを備え、左右の脚部に対応する遊脚自重補償機構と上体自重補償機構とを歩行動作とともに交互に働かせて歩行動作のアシストを行うものである。
なお、ここで遊脚とは歩行時に上体の重量が負荷されておらず床面から離すことができる側の脚を意味し、支持脚とは上体の重量を支える側の脚を意味している。また、両足で床面に立っている場合には、左右両側の脚が支持脚となる。
また、以後の説明において、床面とは屋内の床面の他、本発明の自重補償型歩行アシスト装置によって歩行することのできる屋外の路面等を含むものとする。
本発明の自重補償型歩行アシスト装置においては、左右それぞれの脚部は、上端がそれぞれ上体保持枠に回動自在に軸着された一対の上脚リンクと、これらの上脚リンクの下端がそれぞれ回動自在に軸着されたガイドフレームと、当該ガイドフレームに前後方向に所定距離スライド自在に取り付けられたスライダと、当該スライダに上端がそれぞれ回動自在に軸着された一対の下脚リンクと、これらの下脚リンクの下端がそれぞれ回動自在に軸着された足部から構成されている。
また、上体保持枠、一対の上脚リンク、ガイドフレームによって、上体保持枠に対してガイドフレームが前後方向を含む鉛直面内で並進運動可能な上部平行リンク機構が形成されているとともに、スライダ、一対の下脚リンク、足部によって、スライダに対して足部が前後方向を含む鉛直面内で並進運動可能な下部平行リンク機構が形成されている。
前記それぞれの遊脚自重補償機構は、遊脚自重補償ばねと、当該遊脚自重補償ばねの付勢力を受けるピストンロッドを有する上部マスタシリンダユニットと、上部平行リンク機構に組み込まれて、上部マスタシリンダユニットと遊脚時のみ開かれる開閉弁を途中に有する管路を介して連結され、遊脚自重補償ばねの付勢力を上部平行リンク機構に伝達する上部作動シリンダユニットから構成されている。
また、前記それぞれの上体自重補償機構は、上体自重補償ばねと、先端に係合部を設けたピストンロッドを有する下部マスタシリンダユニットと、当該下部マスタシリンダユニットのピストンロッドに沿ってスライド自在に設けられるとともに、上体自重補償ばねの付勢力を受けて、前記係合部と当接したときに、当該ピストンロッドへ上体自重補償ばねの付勢力を伝達するばね力伝達体と、前記下部平行リンク機構に組み込まれて、下部マスタシリンダユニットと管路を介して連結され、上体自重補償ばねの付勢力を当該下部平行リンク機構に伝達する下部作動シリンダユニットから構成されている。
また、それぞれの脚部に対応する上体自重補償機構の下部マスタシリンダユニットどうしはピストンロッドを同じ側に向けて並列に設けられているとともに、それぞれのピストンロッドに対応するばね力伝達体は、両者一体もしくは同調してスライドするように構成されている。
本発明の自重補償型歩行アシスト装置においては、上体保持枠には搭乗者が跨るサドルが付設されているとともに、搭乗者が上体を左右何れかの側に傾ける動きに応動し、中立位置から左右何れかの側に所定角度傾いたときに、傾斜側と反対側の脚部の遊脚自重補償機構の開閉弁を開く傾斜応動部材と、前記反対側の脚部のガイドフレームが上体保持枠に対する下降限界位置より上方に位置しているときに、前記ガイドフレームを含む上部平行リンク機構に連動して前記傾斜応動部材の中立位置への復帰を阻止し前記開閉弁を開状態に保持するインターロック機構とを備えていることが望ましい。
請求項1記載の発明に係る自重補償型歩行アシスト装置によれば、駆動源を用いることなく、歩行者や歩行ロボット等の自重を補償して歩行動作を効率的にアシストすることができ、特に歩行ロボットやパワーアシストスーツに取り付けた場合には、歩行用アクチュエータの負荷やエネルギ消費を大幅に低減することができる。
また、請求項2記載の発明に係る自重補償型歩行アシスト装置によれば、歩行者の歩行アシストのために有効に利用でき、搭乗者はサドルに跨った立ち姿勢で、自然な歩行動作を行うことが可能となる。
また、歩行動作時に、支持脚側では上体自重補償機構が動作して上体自重が補償され、一方、遊脚側では脚部の自重が遊脚自重補償機構によって補償され、歩進に伴ってこれらの補償力を左右交互に切り替えることができるため、怪我や病気、高齢等のために、脚の筋力が衰弱して自力では歩行が困難な者でも、車椅子等に乗ることなく両手が自由に使える状態で容易に歩行することができ、また、定位置における脚の屈伸動作を伴う作業等も膝や腰に負担がかからず容易に行うことができる。
本発明に係る自重補償型歩行アシスト装置の1実施形態を示す正面図である。 本発明に係る自重補償型歩行アシスト装置の1実施形態を示す側面図である。 本発明に係る自重補償型歩行アシスト装置の1実施形態における左側の脚部3Aの構造を簡略化して示した側面図である。 本発明に係る自重補償型歩行アシスト装置の1実施形態における遊脚自重補償機構の概略構造図である。 図4における作動シリンダユニットのピストンロッドと上脚リンク間の幾何学的関係を説明する図である。 本発明に係る自重補償型歩行アシスト装置の1実施形態における上体自重補償機構の概略構造図である。 本発明に係る自重補償型歩行アシスト装置の1実施形態における開閉弁制御機構の概略構造図である。 図7に示す開閉弁制御機構における固定ガイドとゲート板の関係を概略的に示す部分斜視図である。 図7に示す開閉弁制御機構において、傾斜応動部材の右への傾動により、左脚側の開閉弁が開かれた状態を示す図である。 図7に示す開閉弁制御機構において、右脚側のゲート板の上昇により、傾斜応動部材が傾動位置で保持されている状態を示す図である。 本発明に係る自重補償型歩行アシスト装置による定位置における両脚屈伸動作の説明図である。 本発明に係る自重補償型歩行アシスト装置による歩行動作の説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る自重補償型歩行アシスト装置(以下、単に歩行アシスト装置という。)の1実施形態における概略構造を示す正面図、図2はその側面図であって、これらの図に示す歩行アシスト装置1は、歩行者の自重等を補償してその歩行動作をアシストするためのものである。
この歩行アシスト装置1は、上体保持枠2の左右両側に一対の脚部3A、3Bが連結されていて左右対称な構造となっている。なお、以下の説明では、歩行アシスト装置1に乗って使用する搭乗者Mの正面を前側、背面を後側とし、また、搭乗者Mの左脚側を左側、右脚側を右側とする。
搭乗者Mは、これらの脚部3A、3Bの下端に有する足部4A、4B上に左右の足を載せて適宜の手段により固定し、上体保持枠2の前側中央に取り付けられているサドル5に跨がった立ち姿勢で歩行アシスト装置1に乗る。なお、本実施形態のものにおいては、このサドル5の上部には搭乗者Mの腰部をサドル5に固定するための固定ベルト6が付属している。
図3は、その左側の脚部3Aの構造を簡略化して示した側面図であって、右側の脚部3Bについては、脚部3Aと左右対称構造である点を除いて同一構造であるため、以下、脚部3Aについて説明する。
同図に示すように、脚部3Aは、それぞれ上端を上下方向に離間して設けられた支軸7、8で上体保持枠2の側部に対して回動自在に軸着されている同じ長さの一対の上脚リンク9、10を有している。
これらの上脚リンク9、10の下端は、前記支軸7、8間と等しい軸間距離をもって、上下方向に離間して設けられた支軸11、12でガイドフレーム13に回動自在に軸着されていて、上体保持枠2、一対の上脚リンク9、10、及び、ガイドフレーム13によって、前後方向に平行な鉛直面内において揺動可能な上部平行リンク機構14が形成されている。
前記ガイドフレーム13は、支軸11、12が取り付けられている垂直部13Aと、当該垂直部13Aの下端に連続して後方に伸びている水平部13Bから略L字形に構成されていて、前記水平部13Bの下面には、スライダ15が前後方向に所定距離スライド自在に案内支持されている。
前記スライダ15には、前後方向に離間して設けられた支軸16、17で、同じ長さの一対の下脚リンク18、19の上端が回動自在に軸着されている。これらの下脚リンク18、19の下端は、前記支軸16、17と等しい軸間距離をもって前後方向に離間してけられた支軸20、21により、足部4Aの上部に回動自在に軸着されており、スライダ15、下脚リンク18、19、及び、足部4Aによって、前後方向に平行な垂直面内で揺動可能な下部平行リンク機構22が形成されている。
また、一方の上脚リンク10と上体保持枠2との間には、後述する遊脚自重補償機構の一部を構成する上部作動シリンダユニット23が連結されている。この上部作動シリンダユニット23は、上脚リンク10の長手方向途中位置に支軸24で先端部が回動自在に軸着されたピストンロッド23Aと、支軸8の鉛直上方に所定距離離れた位置で、支軸25によりロッド側端部近傍を回動自在に軸着されているシリンダ本体23Bから構成されている。
図4は、遊脚自重補償機構の概略構造図であって、本実施形態の歩行アシスト装置1においては、遊脚自重補償機構は左右両側の脚部3A、3Bに対してそれぞれ左右対称に設けられているが、両者の構造は基本的に同一であるため、左側の脚部3A側のものでその構造を説明する。
遊脚自重補償機構は、前述した上部作動シリンダユニット23と、上部マスタシリンダユニット26、これらの間を連結する管路27、この管路27の途中に設けられた開閉弁28、及び、圧縮コイルばねを用いた遊脚自重補償ばね29から構成されていて、上部マスタシリンダユニット26と開閉弁28、及び遊脚自重補償ばね29は、上体保持枠2に搭載されている。
同図に示すように、シリンダ本体23Bを上体保持枠2に回動自在に連結している支軸25は、上脚リンク10と前記上体保持枠2を連結している支軸8の鉛直上方に中心間距離hだけ離間して配置されている。
また、シリンダ本体23Bから外部に突出しているピストンロッド23Aの先端と上脚リンク10とを回動自在に連結している支軸24は、支軸8から上脚リンク10の長手方向に中心間距離pだけ離間して配置されている。
上部作動シリンダユニット23のシリンダ本体23B内には、ピストンロッド23Aの一端に固定されたピストン23Cがスライド自在に嵌挿されている。また、前記シリンダ本体23Bのロッド側の端部近傍とヘッド側の端部近傍にはそれぞれ、シリンダ本体23Bの内部と外部とを連通するポートP1、P2が設けられている。
一方、上部マスタシリンダユニット26は、上部作動シリンダユニット23と同様な構造であるが、そのピストンロッド26Aの先端には、外径を拡大したばね受部26Bが形成されていて、シリンダ本体26Cのロッド側の端面と前記ばね受部26Bとの間に、前述した遊脚自重補償ばね29が所定量圧縮された状態で組み込まれている。
また、シリンダ本体26Cのロッド側端部近傍とヘッド側端部近傍にはそれぞれ、上部作動シリンダユニット23のシリンダ本体23Bと同様なポートP1、P2が設けられていて、両者のロッド側ポートP1どうしが屈曲自在な管路27によって連結されている。
また、上部作動シリンダユニット23のシリンダ本体23Bと、上部マスタシリンダユニット26のシリンダ本体26Cのそれぞれのヘッド側ポートP2はともに、大気中に開放されている。
シリンダ本体23Bとシリンダ本体26C内部にそれぞれピストン23C、26Dによって画成されたヘッド側シリンダ室と、これらのシリンダ室間を連通する前述の管路27の内部には油のような非圧縮性の作動流体が封入されている。
前記管路27の途中に設けられている開閉弁28が同図に示すように閉じられている場合には、上部作動シリンダユニット23においては、シリンダ本体23BのポートP1を通して管路27側との作動流体の出入りは遮断されているため、そのピストンロッド23Aは動かず、従って、上脚リンク10の支軸8回りの回動はロックされている。
一方、開閉弁28が開かれているときには、上脚リンク10を支軸8回りに回動させると、上部作動シリンダユニット23のピストンロッド23Aが伸縮し、その動きは管路27を通る作動流体を介して上部マスタシリンダユニット26のピストンロッド26Aに伝達される。
すなわち、上部作動シリンダユニット23側のピストンロッド23Aが長さδLだけ伸長(収縮)すると、上部マスタシリンダユニット26側のピストンロッド26Aは、これに連動して長さδLだけ収縮(伸長)する。
ここで、上部作動シリンダユニット23のピストン23Cの受圧面積をS、上部マスタシリンダユニット26のピストン26Dの受圧面積をSとすると、作動流体が油のように非圧縮性流体の場合においては、上部作動シリンダユニット23側で流出(または流入)する作動流体の容積は、上部マスタシリンダユニット26側で流入(または流出)する容積に等しいから下記の関係が成り立つ。
δL=δL (1)
また、遊脚自重補償ばね29のばね定数をKとすると、これが自然長からδLだけ圧縮された時に、遊脚自重補償ばね29が上部マスタシリンダユニット26のピストンロッド26Aに作用する力F(引っ張り力)は次のようになる。
F=KδL (2)
また、上部マスタシリンダユニット26側から管路27を流れる作動流体を介して上部作動シリンダユニット23のピストンロッド23Aに伝達される力をfとすると、パスカルの原理により、
f=(S/S)F (3)
(3)式に(1)式と(2)式を適用すると、
f=(S/S)KδL=(S/S KδL (4)
ここで、k=(S/S Kとおくと、f=kδLと表せるから、上部作動シリンダユニット23は見かけ上、前記ばね定数kのばねと等価な機能を有している。
一方、図4に示すように、支軸24と支軸25との間の中心間距離がLsのときに、前記遊脚自重補償ばね29は、その自然長(無負荷時の長さ)より( S/S )Lsだけ圧縮された状態でピストンロッド26Aに組み付けられている。
その結果、上部作動シリンダユニット23のピストンロッド23Aには、(S/S KLsの引っ張り力が作用して、これが支軸8回りに上脚リンク10を同図で時計回りに回動させようとする補償トルクを発生させる。
ここで、上体保持枠2が反対側の脚部3B(図1参照)のみで支えられて、左側の足部4Aが地面から離れた遊脚状態を考える。この状態において、上脚リンク10の自重を含めた左側の脚部3Aの全重量Wが、当該上脚リンク10上に仮想した作用点Gに集中しているものとする。
図5は、上体保持枠2、上脚リンク10、ピストンロッド23Aの間の幾何学的関係を簡略化した模式図であって、同図において、O点は支軸8の中心位置、a点は、支軸25の中心位置、b点は支軸24の中心位置をそれぞれ表している。
また、θは、水平方向(図中Xで示す方向)から上脚リンク10が下方に傾斜した角度、φは、鉛直方向(図中Yで示す方向)に対するピストンロッド23Aの傾斜角を表している。
作用点Gに作用する左側の脚部3Aの全重量Wが上脚リンク10に及ぼすO点回りの負荷トルクをτw、O点と作用点G間の距離をLとすると、
τw=WLcosθ (5)
一方、ピストンロッド23Aに作用する引っ張り力が上脚リンク10に及ぼすO点回りの補償トルクをτsとすると、(4)式中でδLをLsと置き換えて、
τs=(S/S KLshsinφ (6)
ここで、図5の幾何学的関係から明らかなように、
Lssinφ=pcosθ (7)
であるから、(7)式と(6)式からsinφを消去すると、
τs=(S/S Kphcosθ (8)
ここで、補償トルクτsと負荷トルクτwは向きが反対であり、遊脚自重補償ばね29のばね定数Kを下記のように選択すれば、上脚リンク10の角度θに関係なく脚部3Aに作用する重力による負荷の補償が可能となる。
K=(S /SWL/ph (9)
なお、実際に使用する遊脚自重補償ばね29は、上記ばね定数Kよりやや小さいものを選択して、補償トルクτsが負荷トルクτwより僅かに下回るように調整しておく。
前述した遊脚自重補償機構は、歩行アシスト装置1で歩行動作を行う際に、遊脚側の開閉弁28を開くことによって、これらの脚部3A、3Bを持ち上げる動作の負担を軽減する役割を果たす。
なお、本実施形態のものにおいては、図3に示すように、上部作動シリンダユニット23のピストンロッド23Aの先端を上脚リンク10の長手方向途中位置に支軸24で回動自在に連結し、シリンダ本体23Bを上体保持枠2に支軸25で回動自在に連結してあるが、上部作動シリンダユニット23の連結位置は、これに限定するものではなく、先に述べた(8)式に示すように、上部作動シリンダユニット23によって生じる補償トルクが上脚リンク9、10の傾斜角度の余弦に比例して変化するような幾何学的関係を満たしていれば、前記ばね定数Kを適宜選択することによって、遊脚時の自重補償が可能である。
また、図3に示すように、下部平行リンク機構22の構成要素となっている一方の下脚リンク19とスライダ15の下面に設けられているブラケット15Aとの間には、後述する上体自重補償機構の一部を構成する下部作動シリンダユニット30が連結されている。
下部作動シリンダユニット30は、下脚リンク19の長手方向途中位置に支軸31で先端部が回動自在に軸着されたピストンロッド30Aと、支軸17の鉛直下方に所定距離離れた位置で、支軸31Aによりロッド側端部近傍を回動自在に軸着されたシリンダ本体30Bから構成されている。
図6は、上体自重補償機構の概略構造図であって、下部作動シリンダユニット30、下部マスタシリンダユニット32、及び、これらの間を連結する管路33、上体自重補償ばね34、ならびに、下部マスタシリンダユニット32のピストンロッド32Aと上体自重補償ばね34との間に介在されているばね力伝達体35によって、左脚側、右脚側それぞれに対して上体自重補償機構が構成されている。
同図から明らかなように、下部作動シリンダユニット30、下部マスタシリンダユニット32、及び、これらの間を連結する管路33については、左脚用と右脚用に同一構造のものが2組用いられ、上体自重補償ばね34とばね力伝達体35は左右共用で一組用いられている。
下部マスタシリンダユニット32は、前述した上体保持枠2に取り付けられている矩形状の保持枠36内に、左右それぞれのシリンダ本体32Bのヘッド側端部が固定されて並列して取り付けられている。
また、これらのシリンダ本体32Bの間には、ガイドロッド37がその両端を保持枠36の上下に対向する2辺間に固定されていて、このガイドロッド37は、前述のばね力伝達体の中央部に形成されたガイド孔35Aを貫通し、当該ばね力伝達体35を軸方向にスライド自在に案内支持している。
ばね力伝達体35には、ガイド孔35Aに対して左右対称位置に、一対のピストンロッド受孔35Bが形成されている。これらのピストンロッド受孔35Bには、左右一対の下部マスタシリンダユニット32のピストンロッド32Aがそれぞれ軸方向にスライド自在に貫通している。
これらのピストンロッド32Aの先端には、ばね力伝達体35上面のピストンロッド受孔35Bの周縁部と係合する外径が拡大された係合部32Cが設けられている。
また、上体自重補償ばね34は、保持枠36とばね力伝達体35の間において、ガイドロッド37に伸縮可能に嵌挿されて保持されていて、常時ばね力伝達体35を上向きに付勢している。
一方、左右それぞれの下部作動シリンダユニット30のシリンダ本体30B内には、ピストンロッド30Aの一端に固定されたピストン30Cがスライド自在に嵌挿されている。また、前記シリンダ本体30Bのロッド側の端部近傍と、ヘッド側の端部近傍にはそれぞれ、シリンダ本体30Bの内部と外部とを連通するポートP1、P2が設けられている。
また、下部マスタシリンダユニット32のシリンダ本体32Bのロッド側端部近傍とヘッド側端部近傍にはそれぞれ、下部作動シリンダユニット30のシリンダ本体30Bと同様なポートP1、P2が設けられていて、左脚側と右脚側それぞれに、両者のロッド側ポートP1どうしが管路33で連結されている。
一方、下部作動シリンダユニット30のシリンダ本体30Bと、下部マスタシリンダユニット32のシリンダ本体32Bのそれぞれのヘッド側ポートP2はともに、大気中に開放されている。
また、シリンダ本体30Bとシリンダ本体32Bの内部にそれぞれピストン30C、32Dによって画成されたヘッド側シリンダ室と、これらのシリンダ室間を連通する前述の管路33の内部には油等の非圧縮性の作動流体が満たされている。
前述したように構成されている上体自重補償機構は、図6に示すように、左脚側、右脚側それぞれの下脚リンク18、19が左右同一角度に傾斜して、左右両方の下部作動シリンダユニット30のピストンロッド30Aが同一長さ突出している状態においては、左右のマスタシリンダユニット32のピストンロッド32A先端に設けられているそれぞれの係合部32Cは同一高さにあり、両方ともばね力伝達体35と係合している。
この状態においては、上体自重補償ばね34の付勢力は、ばね力伝達体35を介して左右のピストンロッド32Aに均等に分配されて伝達され、それぞれに管路33を介して、左右の下部作動シリンダユニット30のピストンロッド30Aに収縮させる向きの補償力として伝達されて、左右それぞれ脚リンク19を支軸21に対して、図6の反時計回りに回動させようとする補償トルクを生じる。
前記補償トルクは、ここでは説明は省略するが、上体自重補償ばね34のばね定数を選択することによって、先に説明した遊脚自重補償機構の場合と同様にして、脚リンク18、19の傾き角度に関係なく、足部4A、4Bの上方に作用する搭乗者を含む歩行アシスト装置1の上体自重を補償することができる。
なお、実用上は、上体自重補償ばね34のばね定数は、支軸21中心に時計回りに作用する負荷トルクより、前記補償トルクがやや下回るように選択してある。
また、本実施形態のものにおいては、図3に示すように、下部作動シリンダユニット30のピストンロッド30Aの先端を下脚リンク19の長手方向途中位置に支軸31で回動自在に連結し、シリンダ本体30Bをスライダ15の下面に設けられているブラケット15Aに支軸31Aで回動自在に連結してあるが、下部作動シリンダユニット30の連結位置は、これに限定するものではなく、上部作動シリンダ23と同様に、下部作動シリンダユニット30によって生じる補償トルクが下脚リンク18、19の傾斜角度の余弦に比例して変化するような幾何学的関係を満たしていればよい。
ここで、図1に示すように左右の足部4A、4Bに均等に体重を載せていた搭乗者Mが、右側の脚部担持体4B側に体重を移動すると、右側の下部作動シリンダユニット30のピストンロッド30Aは、負荷の方が補償力より大きくなるため、伸長方向に引っ張られる。
その結果、管路33で連結されている右側の下部マスタシリンダユニット32のピストンロッド32Aが収縮方向へ引っ張られる力は増加し、一方、左側の下部作動シリンダユニット30のピストンロッド30Aの負荷は減少するため、左側の下部マスタシリンダユニット32のピストンロッド32Aが収縮方向へ引っ張られる力は減少する。
左右それぞれの下部マスタシリンダユニット32のピストンロッド32Aは、ばね力伝達体35に対して相対的に係合部32Cが離れてしまうと上体自重補償ばね34からの付勢力は伝達されなくなるから、右側への体重移動によって、左右の下部マスタシリンダユニット32のピストンロッド32Aに作用する負荷の均衡状態が崩れると、右側の下部マスタシリンダユニット32のピストンロッド32Aのみに、ばね力伝達体35を介して上体自重補償ばね34の付勢力の全てが伝達されることになる。
その結果、右脚側に体重を移動することにより、上体重自重補償ばね34による補償力を全て右脚側に作用させることができる。また同様に、左脚側に体重を移動したときには、補償力を全て左脚側に作用させることができる。
なお、本実施形態のものにおいては、一つの上体自重補償ばね34を用いているが、これに限定するものではなく、例えば、左右それぞれの下部マスタシリンダユニット32のピストンロッド30Aのそれぞれに、一つずつ装着してもよい。
また、本実施形態のものにおいては、単一のばね力伝達体35を用いているが、左右それぞれのピストンロッド30Aに対してばね力伝達体を個別に一つずつ設け、これらをリンク等の連動部材によって連結して、左右のばね力伝達体どうしが同調してスライドするようにしてもよい。
次に、図7は前述した開閉弁28の開閉制御を行うための開閉弁制御機構の概略構造図であって、開閉弁制御機構38は、前述した上体保持枠2に対して回動自在に軸受支持されている、前後方向に向いた回動軸39を有している。
この回動軸39には、左右対称な輪郭形状の板カム40が固定されており、前述した開閉弁28は、この板カム40を挟んだ左右両側に一対配置されている。また、回動軸39は、板カム40に連結された戻しばね41によって、常時中立位置へ復帰する回動習性を付与されている。
板カム40の左右両側にそれぞれ配置されている開閉弁28は、前述した図4で説明した上部作動シリンダユニット23に連結されている管路27に組み込まれているもので、図7において左側に配置されているものが左脚側に、右側に配置されているものが右脚側のものにそれぞれ対応している。
板カム40は、中立位置から時計回りに所定角度回転すると同図において左側の開閉弁28(左脚用)に設けられたローラフォロワ28Aを押して当該開閉弁28を開き、一方、反時計回りに所定角度回転すると、右側の開閉弁28(右脚用)を同様に開くようになっている。
また、前記回転軸39には、その中立位置において鉛直上方を向いた姿勢をとる棒状の傾斜応動部材42の下端が固定されており、この傾斜応動部材42の長手方向途中位置には、短い円柱状の係合ピン43が後方に向けて突設されている。
なお、詳細な図示は省略するが、傾斜応動部材42は、図1に示す歩行アシスト装置1の上体保持枠2に対して搭乗者Mが上半身を左または右に傾けたときに、その動きによって傾動するようにしてある。
一方、回動軸39の上方で、当該回動軸39の中心軸線が含まれる鉛直面に対して左右対称位置にはそれぞれ、一対の固定ガイド44とこれらの固定ガイド44間で上下方向に所定の距離だけスライド自在に案内支持されるゲート板45が設けられている。
左右それぞれの組の一対の固定ガイド44とゲート板45は、図8に示すように、ゲート板45が下降限界位置まで下りているときに、互いに重なって横断方向に開口する略コ字状の切欠a、bを有している。
また、左右それぞれのゲート板45は、図7に示すように、引きばね46によって、常時下降限界位置に下がっているように付勢されている。また、図8に示すように、重なっている切欠a、bは、傾斜応動部材42が回動軸39を中心に左右何れかの向きに傾動したときに、傾斜応動部材42に設けられている係合ピン43が通過できるように、これらの位置とサイズが設定されている。
そして、左右それぞれのゲート板45が下降限界位置にあるときには、図9に示すように、傾斜応動部材42が右に傾いて、係合ピン43が右側のゲート板45の切欠aを外側に通り抜けると、板カム40は左側の開閉弁28を開き、また、前記傾斜応動部材42が左に傾いて係合ピン43が右側のゲート板45の切欠aを外側に通り抜けると、右側の開閉弁28を開くようになっている。
また、それぞれのゲート板45の上端部には、連結具47を介してワイヤ48が連結されている。詳細な説明と図示は省略するが、図7における右側のゲート板45は、ワイヤ48を介して前述した図3に示す左脚側の上部平行リンク機構14に連動し、また左側のゲート板45は、右脚側の上部平行リンク機構(左脚側と同一構造のため図示せず)に連動するようになっている。
すなわち、左脚側、右脚側とも、上部平行リンク機構14のリンク要素となっている上体保持枠2に対して、相対的にガイドフレーム13が下降限界位置まで降りているときには、ゲート板45はこれを案内している一対の固定ガイド44とそれぞれの切欠a、bが連通する下降限界位置に移動している。
また、ガイドフレーム13が下降限界位置より上方へ持ち上がったときには、前記ワイヤ48を介してゲート板45は引きばね46の付勢力に抗して上方へ引き上げられ、ゲート板45の切欠aと一対の固定ガイド44の切欠bの位置が上下方向にずれて開口が閉じられる。
したがって、図10に示すように、右側のゲート板45の外側に係合ピン43が移動しているときに、上体フレーム2に対して相対的に左側のガイドフレーム13が持ち上げられると、右側のゲート板45が上昇して開口が閉じられ、係合ピン43の復帰移動が阻止されるため、傾斜応動部材42は右に傾斜した状態で保持される。
この状態は、左側のガイドフレーム13を下降限界位置に戻すことにより、切欠a、bが重なると解除され、傾斜応動部材42は中立位置へ復帰回動することができる。なお、傾斜応動部材42が左に傾斜した場合については、左右の動作が入れ替わるだけであるので説明は省略する。
なお、前述した固定ガイド44、ゲート板45、ワイヤ48、引きばね46等は、本発明におけるインターロック機構を構成している。このインターロック機構は、前述した構成に限定するものではなく、ガイドフレーム13が上体保持枠2に対する下降限界位置より上方に位置するときに、当該ガイドフレーム13を含む上部平行リンク機構14に連動して傾斜応動部材42の中立位置への復帰を阻止し、開閉弁28を開状態に保持する機能を有していればよい。
また、本実施形態のものにおいては、開閉弁28の開閉制御を機械的に行っているが、これに代えて電磁式の開閉弁を用い、且つ搭乗者の上体の傾動や、上体保持枠2に対するガイドフレーム13の上下位置をリミットスイッチ等の位置検知手段で検知することにより、電気的に行ってもよい。
次に、本発明の自重補償型脚歩行アシスト装置の動作について説明する。
A)両足を接地して屈伸動作を行う場合
図11は、前述した歩行アシスト装置1の定位置における両脚屈伸動作の説明図であって、同図(a)は下脚リンク18、19を伸長した(引き起こした)状態、(b)は下脚リンク18、19を屈曲させた(傾倒させた)状態を示している。
なお、同図において搭乗者の図示は省略してあるが、搭乗者は、図1及び図2で先に説明したように、サドル5に跨って両足を足部4A、4Bに載せた起立姿勢で搭乗している。
屈伸動作時には、搭乗者の上体は、上体保持枠2に対して左右いずれの側にも傾いていないため、前述した図7に示す傾斜応動部材42は中立位置にあり、したがって、図4に示す開閉弁18は左右両側とも閉じている。
この状態では、左右の上部作動シリンダユニット23への作動流体の出入りは遮断されており、これらのピストンロッド23Aの伸縮はできないため、上脚リンク9、10を含む上部平行リンク機構14は、左右両脚側とも固定され、屈伸動作は下脚リンク18、19を含む下部平行リンク機構22の動きのみによって行われる。
また、搭乗者を含む歩行アシスト装置1の重心が中央にある状態においては、図6に示すように、上体自重補償機構に組み込まれている上体自重補償ばね34の補償力が、左右両側の下部作動シリンダユニット30のピストンロッド30Aに対して均等に作用しているため、搭乗者が自己の両脚を定位置で同時に屈伸させると、左右の下脚リンク18、19は搭乗者の動きに追従し、当該上体自重補償機構で自重補償されて容易に屈伸動作を行うことができる。
なお、屈伸運動の際は、図11(a)、(b)に示すように、左右のスライダ15はそれぞれのガイドフレーム13に対する可動範囲内で前後方向にスライドし、下脚リンク18、19上端の前後の動きを吸収する。
B)歩行動作を行う場合
次に、図12は、自重補償型歩行アシスト装置1による歩行動作の説明図であって、同図においても図11と同様に、搭乗者の図示は省略してある。
図12(a)は、前述の図11(a)と同じように、両脚を揃えて立っている状態を側面から見た図であって、足部4A、4Bは前後に重なった位置にある。この状態では、前述したように左右の上部作動シリンダユニット23への作動流体の出入りは両方とも遮断されている。
この際、左右両側とも上脚リンク9、10は、上体保持枠2に対して同一角度で下降限界位置で固定されている。一方、下脚リンク18、19は、左右同一角度で上体自重補償機構により左右均等に自重補償されている。また、左右のガイドフレーム13に対してそれぞれのスライダ15は前後方向の可動範囲の中間位置にある。
次に、搭乗者が体の重心を右脚側に移動すると、前述したように、図6に示す上体補償ばね34の補償力は全て右脚側の下部作動シリンダユニット30に伝達される。なお、この段階では、左右の下部作動シリンダユニット30のピストンロッド30Aにはストロークの変化は生じていない。
さらに、搭乗者が上体を右に傾けることによって、前述した図9に示すように、傾斜応動部材42は右側に傾き、左側の開閉弁28が開かれる。その結果、左脚側の上部作動シリンダユニット23のピストンロッド23Aから補償力が作用した状態で、左側の上脚リンク9、10は上体保持枠2に対して上方への回動が可能となる。
次いで、搭乗者が左脚を上げることにより、左側の上脚リンク9、10は下降限界位置から上方に回動し、図12(b)のように、左脚側の足部4Aが床面から離れる。この際前述したように遊脚自重補償機構は脚部重量より弱い補償力を発揮しているため、搭乗者が意図的に脚を持ち上げる力を発揮しない限り、当該上脚リンク9、10は持ち上がらない。
左脚側の上脚リンク9、10の上方への回動に連動して、図10に示すようにワイヤ48を介して右側のゲート板45が引き上げられ、係合ピン43が右側のゲート板45の外側の面に係合する。その結果、傾斜応動部材42は右方へ傾いた状態に拘束され、左脚側の上脚リンク9、10を下降限界位置まで降ろさない限り、左脚側の開閉弁28は開かれた状態のまま保持される。
次に、図10(c)に示すように、搭乗者は自分の左脚を前方に踏み出すことによって、左脚側のガイドフレーム13に支持されているスライダ15を前方へスライドさせて、下脚リンク18,19を含む左脚側の下部平行リンク機構22全体を前進させるとともに、右脚を屈曲させて、上体自重補償されている右側の下脚リンク18、19を後方に傾倒させる。
この際、右側の上部平行リンク機構14における上脚リンク9、10は、右側の開閉弁28が閉じていることで回動を拘束されているため、搭乗者が右脚を屈曲させると下脚リンク18、19のみがこれに追従して屈曲する。
さらに、図10(d)に示すように、搭乗者は左側の足部4Aを前方に着地させる。この際、左下脚リンク18、19には、右下脚リンク18、19と等しい角度に傾くまでは上体自重補償機構の補償力は作用しないため、左脚側の上脚リンク9、10は、下降限界位置まで下方に回動する。
そうすると、図9に示すように右側のゲート板45は下降してその切欠aが両側に隣接する固定ガイド44の切欠bと重なり、係合ピン43が通過できる開口が形成されるので、ここで搭乗者が上体の傾きを戻すことによって、傾斜応動部材42を図7に示す中立位置側へ回動させると、左側の開閉弁28は閉じて左脚側の上脚リンク9、10は下降限界位置で固定される。
さらに、搭乗者が体重を両脚中央に移動すると、上体自重補償機構は、図6に示す状態になって、左右両側の下脚リンク18、19に対して均等な補償力を作用させる。その後、搭乗者は両膝を伸ばすことによって、図10(e)のように左右両側の下脚リンク18、19を引き起こす。以上に説明した手順を左脚側と右脚側で交互に行うことにより、歩行動作を繰り返すことができる。
なお、前述した実施形態における歩行アシスト装置1は、歩行者の補助を目的としているため、上体保持枠2にサドルや固定ベルトを設けているが、本発明の歩行アシスト装置は、これに限定するものではなく、上体保持枠を脚歩行ロボットやパワーアシストスーツの胴体部に取り付け、また、左右の足部に脚歩行ロボットやパワーアシストスーツの足部を連結することにより、ロボットやパワーアシストスーツ用の歩行アシスト装置として構成ことができる。
本発明の自重補償型脚歩行アシスト装置は、脚歩行を行うロボットや、パワーアシストスーツに取り付けたり一体に組み込んで、歩行用アクチュエータの負荷やエネルギ消費を軽減するために利用することができ、また、怪我や病気、高齢等のために脚力が弱って自力歩行が困難な者の歩行補助装置として利用することができる。
1 歩行アシスト装置
2 上体保持枠
3A、3B 脚部
4A、4B 足部
5 サドル
6 固定ベルト
7、8 支軸
9、10 上脚リンク
11、12 支軸
13 ガイドフレーム
13A 垂直部
13B 水平部
14 上部平行リンク機構
15 スライダ
15A ブラケット
16、17 支軸
18、19 下脚リンク
20、21 支軸
22 下部平行リンク機構
23 上部作動シリンダユニット
23A ピストンロッド
23B シリンダ本体
23C ピストン
24、25 支軸
26 上部マスタシリンダユニット
26A ピストンロッド
26B ばね受部
26C シリンダ本体
26D ピストン
27 管路
28 開閉弁
28A ローラフォロワ
28A 操作部
29 遊脚自重補償ばね
30 下部作動シリンダユニット
30A ピストンロッド
30B シリンダ本体
30C ピストン
31、31A 支軸
32 下部マスタシリンダユニット
32A ピストンロッド
32B シリンダ本体
32C 係合部
32D ピストン
33 管路
34 上体自重補償ばね
35 ばね力伝達体
35A ガイド孔
35B ピストンロッド受孔
36 保持枠
37 ガイドロッド
38 開閉弁制御機構
39 回動軸
40 板カム
41 戻しばね
42 傾斜応動部材
43 係合ピン
44 固定ガイド
45 ゲート板
46 引きばね
47 連結具
48 ワイヤ

Claims (2)

  1. 左右対称に構成された一対の脚部と、これらの脚部の上端間を連結する上体保持枠と、それぞれの脚部に対して設けられ、遊脚となる脚部に作用する重力負荷を補償する遊脚自重補償機構と、それぞれの脚部に対して設けられ、支持脚となる脚部に作用する上体の重力負荷を補償する上体自重補償機構とを備え、左右の脚部に対応する遊脚自重補償機構と上体自重補償機構とを歩行動作とともに交互に働かせて歩行動作のアシストを行う自重補償型歩行アシスト装置であって、
    それぞれの脚部は、上端がそれぞれ上体保持枠に回動自在に軸着された一対の上脚リンクと、これらの上脚リンクの下端がそれぞれ回動自在に軸着されたガイドフレームと、当該ガイドフレームに前後方向に所定距離スライド自在に取り付けられたスライダと、当該スライダに上端がそれぞれ回動自在に軸着された一対の下脚リンクと、これらの下脚リンクの下端がそれぞれ回動自在に軸着された足部から構成され、
    上体保持枠、一対の上脚リンク、ガイドフレームによって、上体保持枠に対してガイドフレームが前後方向を含む鉛直面内で並進運動可能な上部平行リンク機構が形成され、
    スライダ、一対の下脚リンク、足部によって、スライダに対して足部が前後方向を含む鉛直面内で並進運動可能な下部平行リンク機構が形成され、
    それぞれの遊脚自重補償機構は、遊脚自重補償ばねと、当該遊脚自重補償ばねの付勢力を受けるピストンロッドを有する上部マスタシリンダユニットと、上部平行リンク機構に組み込まれて、上部マスタシリンダユニットと遊脚時のみ開かれる開閉弁を途中に有する管路を介して連結され、遊脚自重補償ばねの付勢力を上部平行リンク機構に伝達する上部作動シリンダユニットから構成され、
    それぞれの上体自重補償機構は、上体自重補償ばねと、先端に係合部を設けたピストンロッドを有する下部マスタシリンダユニットと、当該下部マスタシリンダユニットのピストンロッドに沿ってスライド自在に設けられるとともに、上体自重補償ばねの付勢力を受けて、前記係合部と当接したときに、当該ピストンロッドへ上体自重補償ばねの付勢力を伝達するばね力伝達体と、
    前記下部平行リンク機構に組み込まれて、下部マスタシリンダユニットと管路を介して連結され、上体自重補償ばねの付勢力を当該下部平行リンク機構に伝達する下部作動シリンダユニットから構成され、
    それぞれの脚部に対応する上体自重補償機構の下部マスタシリンダユニットどうしはピストンロッドを同じ側に向けて並列に設けられているとともに、それぞれのピストンロッドに対応するばね力伝達体は、両者一体もしくは同調してスライドするように構成されていることを特徴とする自重補償型歩行アシスト装置。
  2. 上体保持枠には搭乗者が跨るサドルが付設されているとともに、搭乗者の上体の左右方向の傾動に応動して、上体が中立位置から左右何れかの側に所定角度傾いたときに、傾斜側と反対側の脚部の遊脚自重補償機構の開閉弁を開く傾斜応動部材と、前記反対側の脚部のガイドフレームが上体保持枠に対する下降限界位置より上方に位置しているときに、前記ガイドフレームを含む上部平行リンク機構に連動して前記傾斜応動部材の中立位置への復帰を阻止して前記開閉弁を開状態に保持するインターロック機構とを備えたことを特徴とする請求項1記載の自重補償型歩行アシスト装置。
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