JP5474174B2 - 回路パターン検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置や液晶装置等、微細な回路パターンを有する基板の欠陥検査技術に係わり、特に半導体装置の製造過程途中の半導体ウエハに代表される基板上のパターンの欠陥検査技術に関する。
半導体ウエハの検査を一例として、回路パターン検査装置の従来の技術を説明する。半導体装置は、半導体ウエハ上に、フォトマスクに形成された回路パターンをリソグラフィー処理及びエッチング処理により転写する工程を繰り返すことにより製造される。半導体装置の製造過程において、リソグラフィー処理及びエッチング処理の良否や異物発生等は、半導体装置の歩留まりに大きく影響を及ぼす。従って、このような製造過程における異常や不良発生を早期にまたは事前に検知するために、製造過程の半導体ウエハ上の回路パターンに存在する欠陥を検査する各種装置(回路パターン検査装置)が用いられている。
回路パターン検査装置としては、半導体ウエハに光を照射し、光学画像を用いて複数のLSIの同種の回路パターンを比較する光学式欠陥検査装置や、半導体ウエハに電子線等の荷電粒子線を照射し、発生する2次電子や反射電子を検出してその信号を画像化し、欠陥を検出する電子線式欠陥検査装置が実用化されている。
電子線式欠陥検査装置は、SEM(走査型電子顕微鏡)画像の比較により欠陥検査を行う。SEM画像を取得する方法としては、ステージをステップ&リピート移動させるとともに各ステージ停止位置にて電子線を2次元に走査して画像を取得する方法と、ステージを一定速度で一方向にスキャン移動させると同時に電子線をステージ移動方向と垂直方向に1次元走査しながら連続的に画像を取得する方法が存在する。電子線式欠陥検査装置においては、スループットに優れた後者の方法が主に利用されている。電子線式欠陥検査装置としては、非特許文献1、非特許文献2、特許文献1、及び特許文献2に、通常のSEMの100倍以上(10nA以上)の電子線を導電性基板に照射し、発生する2次電子、反射電子、及び透過電子のいずれかを検出して、その信号から形成される画像を隣接する同一パターン間にて比較検査する方法が開示されている。
特開平5−258703号公報 U.S.Pat.5502306
J.Vac.Sci.Tech.B,Vol.9,No.6,pp.3005−3009(1991) J.Vac.Sci.Tech.B,Vol.10,No.6,pp.2804−2808(1992)
半導体ウエハ(基板)上に形成される回路パターンの寸法の微細化に伴い、光学式や電子線式の欠陥検査装置での検査においては、従来よりも高倍率の画像を用いて検査する必要が生じている。しかし、高倍率の画像を用いた場合には、単位時間あたりに検査できるエリアが減少する。このため、欠陥が発生しやすい領域を選択的に検査することによる検査の効率化が求められている。
半導体ウエハの製造工程においては、ウエハ上に形成されたメモリマットの境界などパターン密度が大きく変化する部分の近傍において、欠陥が発生する確率が高い。
メモリマットの境界では、ウエハに向かってメモリマットの上下端付近の周辺回路と左右端付近の周辺回路など、欠陥が発生しやすい領域に多く含まれる回路パターンの方向(特にパターンの長手方向)がそれぞれ異なる場合もある。このような場合、該当領域を検査するのに最適なビーム走査方向がそれぞれ異なる。
しかしながら、従来のステージ連続移動方式の回路パターン検査装置においては、後述するスワスと呼ばれる電子線照射領域を設定してウエハの画像を取得するため、検査領域の設定自由度が制限されている。さらには、検査領域毎にビーム走査方向を変えて検査することができないため、検査領域によっては最適でないビーム走査方向にて検査を行っている。ステップ&リピート方式の検査装置であれば、検査領域の設定自由度は比較的大きいが、スループットの点で実用にはならない。このため、従来の回路パターン検査装置には、欠陥が発生しやすい領域を効率的に検査することが困難であるという課題がある。
本発明は、ステージ連続移動方式の回路パターン検査装置において、スワス内に設定される任意の被検査領域の画像を、効率的に取得可能な回路パターン検査装置を提供することを目的とする。
本発明においては、従来1次元走査のみしか行われていなかったステージ連続移動方式の回路パターン検査において、2次元のビーム偏向制御を導入することにより、上記の課題を解決する。
すなわち、本発明においては、ステージの移動方向と平行な第1の方向への電子線偏向制御と、当該第1の方向と交差する第2の方向への電子線偏向制御とを併用することにより、前記スワス内に設定される任意の被検査領域の画像取得を可能とする。上記第1および第2の方向への電子線の偏向信号波形は、検査条件(被検査領域のサイズ、ビーム偏向周波数、フレーム積算数、プリスキャンの有無などといった電子線の走査条件とステージ移動速度)に応じて制御される。
被検査領域以外の画像は、撮像してもしなくともよいが、好ましくは、設定された被検査領域のみの画像を取得するよう電子線の偏向制御を行う。
本発明により、半導体ウエハ(基板)の製造工程において欠陥が発生しやすい半導体ウエハのパターン境界などの領域を選択的に検査することが可能となり、効率的な半導体ウエハの検査を実現することができる。
実施例1の回路パターン検査装置の構成を示す概略図。 従来の電子線式ウエハ検査装置における照射電子線の軌跡を示す図。 従来の電子線式ウエハ検査装置における検査領域、及びX偏向信号とY偏向信号を示す図。 実施例1の回路パターン検査装置における検査領域、及びX偏向信号とY偏向信号を示す図。 実施例1の回路パターン検査装置における検査領域での電子線走査を示す図。 実施例2の回路パターン検査装置における検査領域、及びX偏向信号とY偏向信号を示す図。 実施例2の回路パターン検査装置における検査領域での電子線走査を示す図。 実施例3の回路パターン検査装置における検査領域、及びX偏向信号とY偏向信号を示す図。 実施例3の回路パターン検査装置における検査領域での電子線走査を示す図。 実施例4の回路パターン検査装置における検査領域、及びX偏向信号とY偏向信号を示す図。 実施例4の回路パターン検査装置における検査領域での電子線走査を示す図。 実施例5の回路パターン検査装置における検査領域、及びX偏向信号とY偏向信号を示す図。 実施例6の回路パターン検査装置における検査領域、及びX偏向信号とY偏向信号を示す図。 実施例7の回路パターン検査装置における検査領域、及びX偏向信号とY偏向信号を示す図。 実施例7の回路パターン検査装置における検査領域での電子線走査を示す図。 実施例8の回路パターン検査装置における検査領域、X偏向信号、Y偏向信号、及びY偏向信号を合成するための連続走査信号とオフセット信号を示す図。 フラッシュメモリのダイレイアウトとスワスの関係を示す模式図。 被検査試料上のROI領域と視野M内でのROI領域の見え方をステージ速度が同期速度の場合と非同期速度の場合で対比して示す模式図。 ROI領域における走査ラインの位置とビームシフト量との関係を示す模式図。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、各実施例との比較例として、従来の電子線式ウエハ検査装置の検査方法について、図2Aと図2Bを用いて説明する。以下の説明において、ステージの移動方向をX軸方向と定義し、ウエハ面内でステージの移動方向に垂直な方向をY軸方向と定義する。図2B以後の図では、紙面上、左向きが−X方向、右向きが+X方向であり、上向きが+Y方向、下向きが−Y方向となる。
図2Aは、ウエハ上での照射電子線の軌跡を示す図である。照射電子線21は、図に示されていないディフレクタによりY方向に連続走査されながら、ウエハ22に照射される。このとき、図に示されていないステージが−X方向に移動し、ウエハ22を矢印23のように−X方向に移動させることにより、照射電子線21は、矢印24で示される軌跡にてウエハ22上に照射される。
図2Bは、ウエハ上の検査領域の一部、及び照射電子線を走査させるX偏向信号とY偏向信号を示す図である。以下の実施例では、ステージの1回の連続移動中に照射電子線がウエハを所定の走査幅で走査した場合に、照射電子線がウエハ上に描く軌跡に相当する領域をスワスと呼ぶ。ステージの1回の動作とは、あるスワスに対してステージが静止状態からスワスの長手方向に移動を開始して移動を終了するまでのステージの連続移動のことを指す。なお、以降の説明では、スワスに相当する領域を電子線で照射することを「スワス」と称する場合もある。
図2Bにおいて、スワス25には、複数の検査領域26a、26b、26cが含まれる。X偏向信号28は、照射電子線をX方向に走査させる信号であり、Y偏向信号29は、照射電子線をY方向に走査させる信号である。図示したX偏向信号とY偏向信号の縦軸はディフレクタの偏向電圧、横軸はX方向の位置に対応する。スワス25の幅(図2Bの場合はY方向の長さ)が電子線の1次元走査の走査幅に相当する。
ステージの1回の動作により、スワス25の走査が実行される。このとき、X偏向信号28及びY偏向信号29がゼロの場合の電子線の照射位置は、スワス25の中心を示す点線27に沿って、ウエハ上を−X方向から+X方向(図2Bの左から右方向)へ移動する。以後、「X偏向信号及びY偏向信号がゼロの場合における電子線の照射位置」、すなわち、検査装置に備えられた電子光学カラムの中心軸(電子線光軸)の試料上への投影位置を「電子線基準位置」と称する。
図2Bにおいて、X偏向信号28とY偏向信号29は、スワス25の位置に対応するX方向とY方向のディフレクタの偏向信号量をそれぞれ示している。従来の検査方法においては、1つのスワス内では、ステージ移動方向と平行方向(X方向)のX偏向信号28は常にゼロである。従って、照射電子線は、ステージ移動方向と垂直方向(Y方向)のY偏向信号29のみにより偏向され、ウエハを連続走査する。
次に、ステージ速度と照射電子線の偏向速度の関係について説明する。図2Bに示す場合において、一次荷電粒子線走査によりスワス25の全画像を取得するためには、一次元走査の走査方向(図2Bの場合はY方向)に照射電子線が一往復する間、すなわち走査ライン1本の走査に要する時間の間に、走査ライン1本のステージ移動方向の長さ分(すなわち1画素分)だけステージが移動すればよい。走査ライン1本を一次荷電粒子線が走査する所要時間は、ディフレクタの偏向周波数をfとして1/fに等しい。検査装置に備えられた2次電子や反射電子の検出器からは、通常、上記1/fの時間あたり走査ライン一本分の画像データが出力される。従って、この1/fは1ラインの画像検出時間に等しく、ステージ連続移動方式の検査装置においては、ステージ速度は、通常、上記1/fの時間に1画素サイズ分移動できる速度に設定される。以降の説明では、上のステージ速度をビーム走査と同期した通常のステージ速度と称し、記号Vで表す。
本実施例では、メモリマット上の任意の一部領域を検査するのに好適な電子ビーム偏向制御機能を備えた回路パターン検査装置の例について説明する。上述の通り、半導体チップに発生する欠陥は、メモリマット端部など一部領域に集中する傾向がある。従って、欠陥が発生する箇所を予め想定し、目的とする領域の画像のみを取得して検査を行うことができれば、画像処理の負担が減り、より効率的な検査を行うことができる。なお本実施例のビーム偏向制御は、以降説明する各実施例のビーム偏向制御の基本形態をなすものである。
図1は、本実施例の回路パターン検査装置の一例である電子線式ウエハ検査装置の構成図である。本電子線式ウエハ検査装置の本体は、電子光学系であるカラム1、及びウエハ(基板)8を載置するXYステージ2からなる。カラム1は、ウエハ8に電子線を照射して走査する電子線走査手段となる。ウエハ8には、回路パターンが形成されている。本電子線式ウエハ検査装置は、さらに、ビーム走査コントローラ11、ステージコントローラ12、及び画像処理ユニット13を備える。
カラム1は、照射電子線(以下、単に「電子線」とも称する)9を発生させる電子銃3、照射電子線9を収束させてウエハ8に照射するためのコンデンサレンズ4と対物レンズ5、照射電子線9をウエハ8に対して走査させるディフレクタ6、及び照射電子線9によりウエハ8から発生する2次電子10を検出するための2次電子検出器7を有している。
ディフレクタ6は、ビーム走査コントローラ11からの信号(X偏向信号とY偏向信号)に従って、照射電子線9を偏向させてウエハ8に対して走査させる。XYステージ2は、ステージコントローラ12からの信号に従って移動し、カラム1に対してウエハ8を移動させる。
ビーム走査コントローラ11には、各走査パターンに応じたX偏向信号とY偏向信号の信号パターンを発生させるシーケンサが内蔵されており、発生させたX偏向信号とY偏向信号をディフレクタ6に送信し、照射電子線9の走査や偏向の制御を行う。ステージコントローラ12は、XYステージ2に信号を送信し、XYステージ2の移動制御を行う。
また、2次電子検出器7からの信号は、画像処理ユニット13に送られる。画像処理ユニット13は、2次電子検出器7からの信号をビーム走査コントローラ11及びステージコントローラ12からの位置情報とリンクさせて、欠陥検出のための画像処理を実行する。具体的には、画像処理ユニット13は、ある回路パターンに対する2次電子検出器7からの信号を画像化し、この画像を他の同一の回路パターンから形成された画像と比較し、比較結果から回路パターンの欠陥を検出する。ビーム走査コントローラ11、ステージコントローラ12、及び画像処理ユニット13は、制御PC14によって制御される。また、制御PC14には画面表示手段とマウスなどのポインティングデバイスが備えられており、装置を動作させるための各種の設定条件を入力する設定画面が上記の画面表示手段上に表示される。装置オペレータは、上記の設定画面を介して、検査領域の設定など、検査に必要な各種の情報を設定・登録する。
次に、図3A、図3Bを用いて、本実施例の回路パターン検査装置における電子ビーム偏向制御について説明する。
図3Aは、ウエハ上に設定されるスワス、及び照射電子線を走査させるX偏向信号とY偏向信号の例について示す図である。図に示すX偏向信号、Y偏向信号の縦軸は偏向電圧である。横軸については、スワスのX方向位置と対応させるため、検査領域上のX方向位置で示しているが、わかりやすさのため時刻情報も併記する。
本実施例では、スワス下端部、上端部、中心、任意領域、の各検査領域の例として、検査領域32、33、34、35の各検査領域がスワス31上に設定された場合を考える。
簡単のため、検査領域32、33、34、35の形状は矩形であるものとする。スワス31の走査中、照射電子線の走査速度(画素サンプリング周波数)は一定であり、ステージ速度も走査速度に同期しているものとする。ステージの移動方向は、白抜き矢印で示されるように−X方向向きであり、ウエハは+X方向側から−X方向側に移動される。
ステージの1回の動作により、スワス31が実行される。ステージは−X方向に移動するため、電子線基準位置は、スワス31の中心を示す点線36に沿って、ウエハ上を−X方向から+X方向(図3Aの左から右方向)へ移動する。各検査領域32、33、34、35の中の矢印は、照射電子線の走査方向を示している。検査領域32、34では、ステージ移動方向と垂直方向(Y方向)に電子線が走査され、検査領域33、35ではステージ移動方向と平行方向(X方向)に電子線が走査される。以上の走査方向の設定は、単なる例示であって、走査方向は各検査領域で任意に設定できる。例えば、検査領域32でX方向に電子線を走査してもよいし、検査領域35でY方向の電子線走査を行っても良い。
以下、各検査領域32、33、34、35の電子線走査時にディフレクタ6に印加されるX偏向信号37及びY偏向信号38の信号波形について説明する。X偏向信号37は、照射電子線が+X方向(図3Aの右方向)に振れる方向をプラスとし、Y偏向信号38は、照射電子線が+Y方向(図3Aの上方向)に振れる方向をプラスとする。
初めに、検査領域32での電子線走査の方法を説明する。ステージ移動により、電子線照射位置が、時刻t1で位置Xとスワス31の中心線36との交点に到達すると、Y方向の電子線走査が開始される。図示されるように、検査領域32はスワス31の下部(−Y方向の端部)に設定されており、かつ電子線の走査方向はY方向と設定されている。従って、Y偏向信号38の信号波形は、走査幅が検査領域32のY方向の長さになるような振幅のノコギリ波形の信号パターンに、スワス31の中心から走査の開始点(検査領域32の左下隅)分のマイナス方向のオフセット信号が加算された信号波形となる。X方向の走査は行われないので、X偏向信号37は一定である。
時刻t2で電子線照射位置が位置X2に到達すると検査領域32の電子線走査は終了する。
次に、検査領域33を走査する手順を説明する。補足説明のため、適宜、図3Bも使用する。検査領域33は、走査領域の上端がスワスの上端(+Y方向の端部)と接するように設定され、かつ電子線の走査方向はX方向に設定されている。時刻t3で電子線照射位置が検査領域33の左端(X3)に到達すると、X方向の電子線走査が開始される。図3Bには、検査領域33での電子線走査を示す。図3Bに示すように、検査領域33では、検査領域33の下側から矢印39a、39b、39c、39dの順に電子線が走査される。
矢印39aで示される電子線走査については、時刻t3には、電子線基準位置は、位置X3上に位置している。従って、矢印39a〜39dに対応するX偏向信号37は、領域33のX方向サイズ(X4−X3)に対応する信号振幅を有するノコギリ波形の偏向信号にステージ速度に同期する−X方向への単調減少信号パターンが加算された形状を有している。ノコギリ波形の立ち上がりが+X方向への電子線走査であり、立下りがステージ移動方向(−X方向)への振り戻し偏向である。
ステージは−X方向に移動しているため、矢印39aのX方向の走査が完了する時刻には、電子線照射位置は位置X3からは少し右側に移動している。そこで、ステージ移動方向と同じ方向へのビーム偏向(振り戻し偏向)により、次走査ライン39bの走査開始位置をウエハ上での位置X3と一致させる。また、ステージが移動しているのに+X方向へのビーム偏向が必要となるのは、+X方向へのビーム偏向実施時間でのステージ移動距離が1画素サイズ程度と、ステージ速度が遅いため、+X方向へのビーム偏向を停止した状態でステージが移動しても、領域33のX方向サイズ(X4−X3)分の走査を完了できないからである。
以降、各走査ラインのX方向の走査が完了すると、振り戻し偏向により次走査ラインの開始位置を位置X3と整合させる処理が行われ、矢印39b〜39dのX方向のビーム偏向制御が順次実行される。走査が矢印39aから39dと進むにつれ、各走査ラインのX方向のビーム偏向開始時刻は、領域33の走査開始時刻t3からの隔たりが大きくなる。従って、各走査ラインに対する振り戻し偏向量は、領域33の走査開始時刻t3からの経過時間に応じて定められる。
一方、時刻t3で矢印39aの走査が開始されると、Y偏向信号37は、Y方向の矢印39aの存在位置(スワス31の中心線36と矢印39aとの距離)に相当する大きさのプラスのオフセット信号が印加される。また、矢印39aの走査の間は、Y方向のビーム偏向は行われないため、電子線が矢印39a上を走査している間は、Y偏向信号37は一定である。矢印39aのX方向ビーム偏向が完了すると、次走査ラインである矢印39bのY座標位置に合わせてビーム照射位置を上方向にシフトさせる。以上のビーム偏向が、矢印39c、39dに対応する走査ラインに対しても行われるため、Y偏向信号37の信号波形は、図3Aに示すような階段状の信号パターンとなる。t4で領域33の走査が終了すると、Y偏向信号37はゼロに戻される。なお、走査ラインの本数が多くなれば、図3Aに示した階段状の信号パターンは、単調増加または単調減少する一次関数状の信号パターンに近づく。
検査領域34は、照射電子線の走査方向が同一である検査領域32と同じ要領で走査され、検査領域35は、照射電子線の走査方向が同一である検査領域33と同じ要領で走査されるため、詳細説明は省略する。
このように、本実施例によれば、ウエハの任意領域を検査することが可能なステージ連続方式の回路パターン検査装置が実現できる。なお、本実施例では、検査領域32〜35以外のスワス31の画像は取得しないという前提で説明を行ったが、原理的には、各検査領域以外の部分の画像を取得しながら、走査領域が各検査領域に差し掛かったときに走査方向を切替えて各検査領域の画像を取得することも可能である。
実施例1では、ステージ速度がビーム走査速度と同期している場合のビーム偏向制御について説明した。しかしながら、スワスの一部しか検査領域としない場合、言い換えれば、スワスの大部分には電子線を照射しないような検査を行う場合、ステージ速度を高速化して、電子線を照射しない領域をスキップするような検査を行うことができれば、検査の高速化に非常に有利である。以下、本実施例では、ビーム走査速度とは非同期に高速ステージ移動を行うことが可能な検査装置の構成について説明する。なお、ハードウェア構成は実施例1とほぼ同一であるので、以下の説明では、図1を適宜引用する。
図4Aには、ウエハ上に設定されるスワス、及び高速ステージ移動を可能とするX偏向信号とY偏向信号の構成例を示す図を、また図4Bにある検査領域における走査ラインの配置を示す模式図を、それぞれ示した。
実施例1と同様、スワス41には、複数の検査領域42、43、44、45が設定されている。配置や形状といった、検査領域の設定条件は、実施例1で説明した検査領域32〜35と同一であり、検査領域42、44では、ステージ移動方向と垂直方向(Y方向)に電子線が走査され、検査領域43、45では、ステージ移動方向と平行方向(X方向)に電子線が走査される。また、ステージの移動方向も、実施例1と同様、−X方向向きであり、よってウエハは+X方向側から−X方向側に移動される。なお、実施例1とは異なり、本実施例では、検査領域42、43、44、45以外の領域には電子線は照射されない。従って、電子線が照射されない領域も含まれるため、本実施例の「スワス」は、従来の「スワス」とは異なり、ステージ移動方向と交差する方向(例えば、図4AではY方向)へあるビーム偏向幅(電子線の移動幅であって走査幅とは異なる)を設定した場合に、ステージの1回の動作でステージが連続移動する距離と当該偏向幅の積で形成される仮想的な領域と定義される。実際の検査においては、設定できるスワスの幅は電子光学カラムの最大視野サイズ(軸外収差が無視できる範囲での最大偏向長さ)に制約され、かつ一回のステージ移動で複数の検査領域を検査するためには、複数の検査領域(例えば、領域42と43など)が含まれるようにスワス幅を設定する必要がある。従って、仮想的な量であっても「スワス」という概念は依然として有効であり、レシピ設定時には、装置オペレータに設定される検査領域とビーム変更幅の設定値から、検査に最適なスワスが装置により自動計算される。
次に実際のビーム偏向制御の説明に戻る。本実施例の場合、ステージ速度を、通常の同期速度よりも高速(例えばV;V>V0に)設定する。検査のスループットを落とさないため、各領域の電子線走査中にはステージ速度およびビーム走査速度(すなわちディフレクタ6の偏向周波数)は一定のまま変更しない。さて、実施例1の場合は、ステージ速度とビーム走査速度が同期しているので、ビーム偏向は、電子線基準位置が各走査領域の端部、例えば位置X1やX3などに到達した時点で開始していた。つまり、検査領域上での走査開始位置とビーム偏向開始時刻とが一致していた。しかし本実施例の場合、ステージ速度とビーム走査速度は非同期であり、図3Aと同様に、電子線基準位置と検査領域上での走査開始位置の同期時刻に合わせてビーム偏向開始時刻を設定すると、電子線基準位置が検査領域の左端を通過する時刻から検査領域の右端を通過するまでの時刻の間に電子線走査が終了しないという事態が発生する。
これを解消する最も単純な考え方は以下の通りである。すなわち、検査領域を電子線が実際に走査する実時間(検査領域内の総走査距離を走査速度で割った時間)は、画像取得のために必要な時間であり増減はできない。一方、ビーム走査時間中にウエハが動く距離は、非同期のステージ高速移動のため検査領域のステージ移動方向長さよりも長くなる。
従って、ビーム偏向の開始時刻をビーム走査速度にあわせて前倒しに設定し、終了時刻については逆に後ろ倒しに設定する。開始時刻と終了時刻をずらしたことによる電子線基準位置と検査領域(電子線が本来走査すべき位置)との位置ずれについては、X方向のビーム偏向により吸収する。この考え方に基づくビーム偏向制御より、ステージを高速移動させつつ必要な領域の画像を取得することが可能となる。
以下、図4A、図4Bを用いて、上の概念について説明する。初めに、検査領域42での電子線走査の方法を説明する。検査領域42は、スワス41の下側端部に接するように設定された検査領域であり、走査方向はY方向である。そこで、検査領域42の走査時のY偏向信号48のビーム偏向開始時刻tを、電子線基準位置が検査領域42の左端X2を通過する時刻tよりも前に設定する。このとき、実ウエハ上では、電子線基準位置は、検査領域42の左端X2よりも手前側(−X方向側)にずれた位置X1に存在している。この位置X1と位置X2のずれを解消するため、時刻tにおいて、偏向長さが(X2−X1)に相当し、かつ極性が+X方向のオフセットをX偏向信号47に重畳させる。これにより、ビーム偏向開始時刻tにおけるビーム走査位置のずれが解消される。同様に、X偏向信号47ないしY偏向信号48のビーム偏向終了時刻tも、電子線基準位置が検査領域42の右端X3を通過する時刻tよりも後に設定する。この際発生する電子線基準位置と検査領域42の右端X3とのずれも、偏向長さが(X4−X3)に相当し、極性が−X方向のオフセットをX偏向信号47に重畳することにより解消される。
X偏向信号47には、時刻tでオフセットが重畳された後、電子線基準位置と検査領域42内の走査対象位置との差を補正する信号が連続的に付加される。電子線基準位置と本来ビームが照射されるべき位置との位置ずれ量は、ステージ速度とビーム走査速度の速度差かける経過時間に依存して変化するため、X偏向信号47の補正量は、検査領域42の走査が進行するに従って単調に減少していく。距離の次元で考えれば、ビーム偏向開始時刻を前倒しにすることは、ある大きさの距離のマージンをもって電子線走査を開始することに等しいが、ステージ速度がビーム走査速度よりも大きいため、ステージ移動による(本来照射するべき)ビーム照射位置の移動がビーム走査による電子線基準位置の移動にだんだん追い付き、ある時点でマージンを使い果たしてゼロになる。以降の走査では、ビーム走査による電子線基準位置の移動はステージ移動によるビーム照射位置の移動からだんだん離されていき、ビーム偏向終了時刻には、電子線基準位置は、位置X4と本来照射すべき位置X3よりも右側(ステージ移動方向の後方)にまで引き離される。
図4Aに示す例では、上記の距離マージンを使い果たす位置(つまり、本来走査されるべきビーム照射位置と電子線基準位置とが一致する位置)が検査領域42の中央となるようにビーム偏向の制御条件を設定している。すなわち、検査領域42の左側では、目的とする走査ラインは常に電子線基準位置の右側にあり、検査領域42の右側では、目的とする走査ラインは常に電子線基準位置の左側に存在することになる。よって、検査領域42の左側ではX偏向信号47の補正量は常にプラスであり、検査領域42の右側ではX偏向信号47の補正量は常にマイナスである。ビーム偏向の制御条件をこのように設定することにより、位置X1,X4および位置X2,X3の相対関係が対称となり、X偏向信号およびY偏向信号のタイミング制御が非常に簡単になる。これにより±X方向のステージ移動での両方向検査が容易に実現できるとともに、検査速度を最適化することができる。
位置X1,X4が対称となるようにビーム偏向条件を設定する場合、位置X1と位置X4は、以下の関係に基づき算出することができる。本実施例のステージ速度Vが、通常ステージ速度V0よりもα倍(V=αV0:α>1)であるとした場合、通常ステージ速度にて検査領域42を位置X2から位置X3まで走査したのと同一の走査時間を確保するため、(X4−X1)/(X3−X2)=αと設定する。また、X偏向信号47の最大偏向量制限に対する尤度を確保するために、(X2−X1)=(X4−X3)と設定する。これらの関係から、走査開始位置X1と走査終了位置X4とを決定する。なお、以降は、ステージ移動速度Vと通常のステージ速度V0との比αをステージ移動の速度係数と称する。
次に、検査領域43におけるビーム偏向制御について説明する。検査領域43は、スワス41の上側端部に接するように設定された検査領域であり、走査方向はX方向であるが、ビーム偏向制御の基本的な考え方は検査領域42の場合と同様である。すなわち、X偏向信号47およびY偏向信号48のビーム偏向開始時刻tを、電子線基準位置が検査領域43の左端X2を通過する時刻tよりも前に設定し、X偏向信号47およびY偏向信号48のビーム偏向終了時刻tも、電子線基準位置が検査領域43の右端である位置X7を通過する時刻tよりも後に設定する。
次に、検査領域43の電子線走査時にディフレクタ6に印加されるX偏向信号47及びY偏向信号48の信号波形について説明する。
図4Bには、検査領域43での電子線走査を模式的に示した。検査領域43では、図4Bに示すように、矢印49a、49b、49c、49dの順に電子線が走査される。実施例1と同様、矢印49a〜49dに対応するXYの各偏向信号は、基本的には、走査方向に対してはノコギリ波形、走査方向と交差する方向に対しては階段状波形を有する信号パターンであり、領域43のX方向サイズ(X7−X6)に対応する信号振幅を有するノコギリ波形の偏向信号にステージ速度に同期する−X方向への単調減少信号パターンが加算された形状を有している。ノコギリ波形の立ち上がりが+X方向への電子線走査であり、立下りがステージ移動方向(−X方向)への振り戻し偏向である。
矢印49aで示される照射電子線の偏向開始時(時刻t)には、電子線基準位置は位置X5に存在し、電子線が本来走査されるべき検査領域43の左端(位置X6)よりも(X6−X5)だけ左側にある。このため、X偏向信号47には、時刻tで(X6−X5)相当の偏向電圧が付加される。矢印49aの電子線走査は、この状態を開始点として、領域43のX方向サイズ(X7−X6)に対応する信号振幅分のX偏向信号47が立ち上がることにより行われる。その後、振り戻し偏向に対応する信号振幅分だけ信号パターンが立下り、以降、立ち上がりと立下りが連続して繰り返されることにより、矢印49b〜矢印49dの走査ラインの電子線走査が実行される。
Y偏向信号48は、実施例1と同様、X偏向信号47の信号立ち上がりに同期した+Y方向のインクリメント分と、+X方向へのビーム偏向時間に同期した水平成分とを持つ階段状の信号パターンとなる。X偏向信号47の信号立ち上がりとY偏向信号48のインクリメント分の立ち上がりは、厳密には同期しないが、細かな時間制御を無視すれば、おおよそ同期していると考えてよい。
以上説明したビーム偏向制御を行う際の走査開始位置X5と走査終了位置X8は、検査領域42と同様に、(X8−X5)/(X7−X6)=αかつ(X8−X7)=(X6−X5)となるように決定する。
検査領域44は、照射電子線の走査方向が同一である検査領域42と同様な手順で走査される。検査領域45は、照射電子線の走査方向が同一である検査領域43と同様な手順で走査される。ただし、検査領域44は検査領域42と、検査領域45は検査領域43と、それぞれスワス41内でのY方向の位置が異なるので、Y偏向信号48に付加されるオフセット信号の大きさを、各検査領域44、45のY方向の位置に合わせて変える必要がある。
以上説明したビーム偏向制御を行う場合、例えば位置X2,X3,X6、X7といった位置情報は、検査を行うウエハにより定まる量であり、ステージ移動の速度係数αは、どの程度の高速検査を行うかどうかの情報により定まる量である。従って、以上のビーム偏向制御を装置実装する場合には、装置オペレータにより、以上の位置X2,X3,X6、X7およびαに相当する情報(あるいはそれらを計算するための情報)が、制御PC14の設定画面上で入力され、それに基づき、位置X1,X4,X5,X8といった制御情報が制御PC14により算出される。ビーム走査コントローラ11やステージコントローラ12は、制御PC14により計算された位置X1,X4,X5,X8の各制御情報に基づき、XY偏向信号の電圧やタイミング制御、あるいはステージ速度を制御する。
以上、本実施例の検査装置により、ウエハの任意領域を検査することが可能という実施例1の効果を保ちつつ、従来よりも格段に検査速度を高速化可能な回路パターン検査装置が実現される。
本実施例では、実施例1あるいは実施例2で説明したビーム偏向制御を応用して、メモリマットの周辺回路のみを高速に検査可能な回路パターン検査装置の構成例について説明する。実施例2と同様、装置のハードウェア構成は実施例1とほぼ同一であるので、以下の説明では、図1を適宜引用する。
図5Aは、ウエハのメモリマットとその周辺回路領域、及び照射電子線を走査させるX偏向信号とY偏向信号を示す図である。ウエハ上に形成されたチップ内には、メモリマットと呼ばれるメモリセルが規則的に配列された領域が設けられるが、メモリマットの周囲には、更に周辺回路部と呼ばれる領域が設けられる。
図5Aの上図は、メモリマット52、メモリマット52の上下(Y方向)間に配置された周辺回路領域53、同左右(X方向)間に配置された周辺回路領域54が含まれるようにスワスを設定した場合の模式図が示されている。スワスの幅(ステージ移動方向と交差する方向の長さ)は、オペレータにより、実施例1で説明した設定画面を介して事前にメモリマットの幅に合わせて設定されているものとする。また、ステージの移動方向は、実施例1,2と同様、−X方向であるものとし、ステージ移動中にはビーム走査速度(画素サンプリング周波数)の変更は行わないものとする。
従来のステージ連続移動方式の検査装置では、ステージ連続移動中に電子線の走査方向を変えることが困難であった。よって、図5Aの上図に示された周辺回路領域53、54を検査する場合、同じY方向に一次元走査した電子線で両者の画像を取得するしかなかった。
走査方向が同じ場合、周辺回路領域53に比べて周辺回路領域54の方がステージ移動に対して垂直方向(Y方向)の領域長が長いため、電子線が各領域を往復する所要時間は、周辺回路領域53に比べて周辺回路領域54の方が大きくなる。比較例で説明した通り、通常速度でステージを移動させる場合、ステージ速度は、電子線が走査ライン1本を往復する間に1画素サイズ分移動できる速度に設定される。従って、周辺回路領域54の検査に設定できるステージ速度は、周辺回路領域53の検査に設定できるステージ速度よりも遅くなってしまう。このため、それぞれの領域での走査の開始と終了位置をそれぞれの領域の左右端に合わせようとした場合、ステージ速度を遅い方の速度に合わせ、周辺回路領域53の走査時では電子線走査間に待ち時間を入れることでステージ速度と電子線による走査の進行速度を合わせなくてはならない。しかし、この方法は、待ち時間の分だけ検査速度が低下してしまうため、好ましくない。
そこで本実施例では、周辺回路領域53,54の形状(長手方向の向き)にあわせて走査方向を変更(長手方向に対して交差する方向)し、かつ各周辺回路領域にあわせて偏向信号波形を制御することにより、検査途中でのステージ速度の変更やビーム走査速度の変更をせずに、待ち時間なしでの検査が可能な検査装置を実現する。
具体的には、長手方向がステージ移動方向である周辺回路領域53に対しては走査方向をY方向、長手方向がステージ移動方向とは交差する方向の周辺回路領域54に対しては走査方向をX方向とし、ステージ速度を(X5−X1)/(T1+T2)として求め、電子線基準位置が周辺回路領域53と周辺回路領域54を合わせた距離だけ移動する時間に合わせて、周辺回路領域53と周辺回路領域54の電子線走査が終了するようにする。ここで、T1、T2は、周辺回路領域53、54の1つを照射電子線でそれぞれ走査するのに要する時間である。
走査方向およびステージ速度を上のように設定した場合、周辺回路領域53に対しては、ステージ速度は電子線走査速度よりも遅くなり、周辺回路領域54に対しては、ステージ速度は電子線走査速度よりも速くなる。従って、周辺回路領域54に対しては実施例2と同じ状況が発生し、周辺回路領域53に対しては実施例2と逆の状況が発生する。よって、周辺回路領域54に対しては実施例2と同様に、ビーム偏向の開始時刻を前倒しにし、終了時刻を後ろ倒しにし、逆に周辺回路領域53に対してはビーム偏向の開始時刻を後ろ倒しにし、終了時刻を前倒しにするようなビーム偏向制御を行って検査を実行する。
次に、図5Aおよび図5Bを用いて、周辺回路領域53と周辺回路領域54の電子線走査時のビーム偏向制御について説明する。図5Bは、スワス51の、メモリマット52の周辺回路領域53と周辺回路領域54の電子線走査を示す図である。
まず、周辺回路領域53の電子線走査について説明する。走査開始位置X2にて周辺回路領域53の走査が開始されると、矢印58a、58b、58c、58d、58e、58fの順に周辺回路領域53の電子線が走査される。
矢印58aで示される走査を行う場合、検査装置は、電子線基準位置が位置X2に到達した時点(時刻t)でビーム偏向を開始する。この場合、電子線基準位置は、本来電子線を照射すべき周辺回路領域53の左端(位置X1)よりも(X2−X1)だけ右側にある。従って、矢印58aに対応するX偏向信号56には、(X2−X1)の距離に相当する偏向量だけマイナス方向のオフセット信号が付加される。周辺回路領域53では、電子線による走査速度がステージ速度よりも速いために、X偏向信号56によるマイナス方向のオフセットは次第に減少し、周辺回路領域53の中央まで走査が終了した位置でオフセットはゼロとなる。それ以降はプラス方向のオフセットが次第に増加し、走査終了位置X3では(X4−X3)の距離に相当するプラスの偏向量がオフセットとしてX偏向信号56に付加される。周辺回路領域53はスワス51の上側(+Y方向の端部)に位置しているために、Y偏向信号57は、Y方向の走査を行うノコギリ波形信号にY方向の走査位置分のプラス方向のオフセットが加算された信号となる。以下、矢印58b、58c、58d、58e、58fついても、矢印58aと同様のビーム偏向制御が行われ、他の周辺回路領域53が走査される。
次に、周辺回路領域54の電子線走査について説明する。周辺回路領域53の走査終了後、走査開始位置X3にて周辺回路領域54の走査が開始され、矢印59g、59h、59i、59jの順に周辺回路領域54の電子線が走査される。
矢印59gで示される照射電子線の走査時では、電子線基準位置は(X4−X3)だけ周辺回路領域54の左端(X4)よりも左側(−X方向)にある。このため、矢印59gに対応するX偏向信号56は、(X4−X3)相当のプラス方向のオフセット量から開始され、周辺回路領域54のX方向サイズ(X5−X4)に対応する信号振幅を有する。
矢印59h、59iで示される照射電子線の走査時には、各々、前の走査ラインである矢印59gないし矢印59hの走査開始時からのステージ移動量相当分だけ、前の走査ラインに対するX偏向信号56よりもマイナス側から開始される。
矢印59jで示される照射電子線の走査時には、電子線基準位置が(X6−X5)だけ周辺回路領域54の右端(X5)よりも右側(+X方向)にある。このため、矢印59jで示される照射電子線の走査は、(X6−X4)に相当するマイナスのオフセット量から開始されて、(X6−X5)に相当するマイナスの偏向量にて終了する走査信号となる。
また、Y偏向信号57には、矢印59g、59h、59i、59jで示される電子線のY方向の走査位置に対応したオフセット信号が付加される。なお、Y偏向信号57の信号波形は、実施例1,2と同様の階段状波形であるが、図示が複雑なため、図5Aでは直線で表してある。
以上説明したビーム偏向制御を装置実装する場合、装置オペレータにより、検査領域と各検査領域のビーム走査方向、ならびに画素サイズと画素サンプリング周波数の情報が、制御PC14の設定画面上で入力され、制御PC14は、各領域のビーム走査に要する時間(T1、T2)を算出する。また、制御PC14は、周辺回路領域53の走査開始位置X2と走査終了位置X3を、{(X3−X2)/T1}={(X6−X3)/T2}、及び(X4−X3)=(X6−X5)を満たすように決定する。また、検査領域の繰り返し特性より(X6−X5)=(X2−X1)であることから、周辺回路領域54の走査終了位置X6を決定する。各領域の走査方向については、事前に取得した各検査領域の画像(もしくは設計情報)から、制御PC14が各検査領域パターンの長手方向を判断し、判断結果に基づき走査方向を決めることも可能である。ビーム走査コントローラ11やステージコントローラ12は、制御PC14により計算された走査方向や位置X1,X4,X5,X8の位置といった各制御情報に基づき、XY偏向信号の電圧やタイミング制御、あるいはステージ速度を制御する。
以上、本実施例により、検査途中でのステージ速度の変更やビーム走査速度の変更といったスループット低下要因となる制御動作の変更を行わずに、待ち時間なしでの検査が可能な検査装置が実現される。なお、本実施例では、照射電子線の走査はX方向とY方向の2方向であるが、走査方向はこの2方向に限られるものではない。例えば、X方向に対して45度の方向に走査してもよい。
本実施例では、実施例3で説明した検査装置の変形例として、メモリマット内のマット外周近傍部を検査領域として検査を行う検査装置の構成例について説明する。なお、以上説明した実施例と同様、装置のハードウェア構成は実施例1とほぼ同一であるので、以下の説明では、図1を適宜引用する。また、基本的な前提条件も今までと同様であるので、同じ説明は繰り返さない。
図6Aは、ウエハのメモリマットのマット周辺部、及び照射電子線を走査させるX偏向信号とY偏向信号を示す図である。ウエハには、メモリマット62が配列され、メモリマット62内のマット外周近傍部63が検査領域である。スワス61には、マット外周近傍部63を含むメモリマット62配列が含まれる。
本実施例では、以下の方法にてステージ速度を決定する。
まず、図6Aにおいて、(X7−X6)=(X9−X8)={(X9−X6)−β}/2となるように、検査領域(マット外周近傍部63)に対する照射電子線の走査の開始位置と終了位置を決定する。位置X6はマット外周近傍部63の右端(+X方向)の位置であり、(X9−X6)は、メモリマット62の間隔である。位置X7、X8は、メモリマット間隔(X9−X6)とメモリマット62のX方向の幅(X6−X2)を基に定める。βは、ある検査領域(マット外周近傍部63)の走査終了からその次の検査領域(マット外周近傍部63)の走査を始めるまでに必要な準備時間をとるための距離であるが、メモリマット間隔(X9−X6)に比べて十分に小さい。
次に、検査領域(マット外周近傍部63)全体を走査するのに必要な時間Tを検査エリアのサイズと電子線走査条件から計算し、ステージ速度を計算式(X6−X1)/Tにより求める。ここで、パターンの繰り返し性より(X9−X8)=(X2−X1)である。
図6Bは、スワス61の、メモリマット62のマット外周近傍部63の電子線走査を示す図である。図6Bを用いて、マット外周近傍部63の電子線走査を説明する。
検査領域(マット周辺部63)は、矢印67a、67b、67c、67d、67e、67f、67g、67hの順で照射電子線が走査されるが、このようにマット境界に対して平行にビーム走査した場合、マット境界に垂直にビーム走査するよりも、検査領域全体でのビーム走査数が少ないため、トータルのビームの振り戻し時間を小さくして検査時間Tを短縮出来る。
矢印67a、67bは、メモリマット62の左側(−X方向側)の周辺部の走査を示している。X偏向信号65は、各照射電子線の走査時の電子線基準位置と走査対象位置との差分を補正するオフセット信号が出力される。Y偏向信号66は、Y方向の走査信号が出力される。
矢印67c、67dは、メモリマット62の下側(−Y方向側)の周辺部の走査を示している。X偏向信号65は、各照射電子線の走査時の電子線基準位置と走査対象位置との差分を補正するオフセット信号がX方向の走査信号に対して加算された信号が出力される。Y偏向信号66は、Y方向の走査位置に対応したオフセット信号が出力される。
矢印67e、67fは、メモリマット62の上側(+Y方向側)の周辺部の走査を示している。X偏向信号65は、X方向の走査信号とオフセット信号とが加算された信号が出力される。Y偏向信号66は、Y方向の走査位置に対応したオフセット信号が出力される。
矢印67g、67hは、メモリマット62の右側(+X方向側)の周辺部の走査を示している。X偏向信号65は、各照射電子線の走査時の電子線基準位置と走査対象位置との差分を補正するオフセット信号が出力される。Y偏向信号66は、Y方向の走査信号が出力される。
以上、本実施例により、検査途中でのステージ速度の変更やビーム走査速度の変更といったスループット低下要因となる制御動作の変更を行わずに、待ち時間なしでの検査が可能という実施例3の効果に加え、ビームの振り戻しに掛かる時間の短縮により、さらなる高速化が可能な検査装置が実現される。なお以上の説明では、照射電子線の走査はX方向とY方向の2方向としたが、走査方向はこの2方向に限られない点は、実施例3と同様である。
本実施例では、スワス中に設定された検査領域の画像をフレーム加算することが可能な検査装置の構成例について説明する。フレーム積算とは、検査領域について複数の画像を取得し、得られた画像を積算することである。積算により画像信号のS/Nが向上するため高精細な画像が得られ、欠陥検出の精度が向上する。同じ領域について複数の画像が必要となるため、同一の検査領域について積算回数分の走査を行う必要がある。以降、本実施例では、検査途中でのステージ速度の変更やビーム偏向周波数の変更をすることなく上の制約を満たすことが可能なステージ連続移動方式の検査装置について説明する。なお、簡単のため、以降の説明ではフレーム積算数は2回、ステージ速度は通常速度であるものと仮定するが、フレーム積算数およびステージ速度の設定はこれに限られるものではなく、フレーム積算数3回以上あるいはステージ速度非同期であってもよい。また、以上説明した実施例と同様、本実施例の説明に当たっては図1を適宜引用し、共通する部分についても同じ説明は繰り返さない。
本実施例の場合、ステージ速度の変更やビーム偏向周波数の変更無しに各検査領域をフレーム積算数分だけ繰り返して走査しなければならないという制約がある。これを実現するための基本的な考え方は実施例2と同様であり、ビーム偏向の開始時刻をビーム走査速度にあわせて前倒しに設定し、終了時刻については逆に後ろ倒しに設定する。以下、図7を用いて本実施例のビーム偏向制御について説明する。
図7は、ウエハの検査領域、及び照射電子線を走査させるX偏向信号とY偏向信号を示す図である。スワス71は、複数の検査領域72、73、74、75が含まれるように設定されている。各検査領域72、73、74、75の電子線走査方向は、それぞれ矢印に示される通りとする。
はじめに、検査領域72におけるビーム偏向制御について説明する。ビーム偏向の開始時刻tには、電子線基準位置は位置X1に位置しており、本来走査されるべき位置X2よりも(X2−X1)だけ左側(−X方向)に位置している。このため、X偏向信号77には、(X2−X1)分の位置ずれを補正するプラス方向の信号が付加される。その後、X偏向信号77には電子線基準位置と検査領域72内の走査対象位置との差を補正する連続信号が付加されていき、同時にノコギリ波形のY偏向信号78によるY方向の走査が行われる。以上の要領で検査領域72が連続的に走査される。ここで、検査領域72におけるY偏向信号78は、スワス71の下部(−Y方向の端部)に設定されているために、連続走査信号にマイナス方向のオフセットが加算された信号となる。
時刻tに電子線基準位置が検査領域72のX方向の中点である位置X3に到達すると、検査領域72の1回目の走査が完了する。
続いて、2回目の電子線走査を再び検査領域72の左端から行うため、X偏向信号77は、領域72のステージ移動方向の幅(X4−X2)に相当する分だけマイナス側にシフトされる。その後、再び電子線基準位置と検査領域72内の走査対象位置との差を補正する信号をX偏向信号77に付加しながら連続的に走査を行い、位置X5にて検査領域72の右端(+X方向の端)が走査されて、領域72の2回目の走査が完了する。
次に、検査領域73を走査する手順を説明する。走査開始位置X6は、検査領域73の左端(X7)よりも(X7−X6)だけ左側(−X方向)に位置する。このため、X偏向信号77は、(X7−X6)相当の偏向量だけプラス方向から開始される偏向信号であり、領域73のX方向サイズ(X9−X7)に対応する信号振幅を有する。この時のY偏向信号78には、スワス71の上側(+Y方向側)にある検査領域73の下端(−Y方向の端)が走査されるように、プラスの信号が印加される。
その後、ステージ移動量に対応してX偏向信号77の走査開始位置をマイナス側にシフトさせるとともに、Y偏向信号78に印加するプラスの信号を増加させながら検査領域73の走査を行い、検査領域73のX方向の中点である位置X8にて検査領域73の上端(+Y方向の端)が走査されて、検査領域73の1回目の走査が完了する。
続いて、検査領域73の2回目の電子線走査を再び検査領域73の下側から行うため、Y偏向信号78を、検査領域73のY方向の幅に相当する分だけマイナス側にシフトさせて、X偏向信号77による走査を行う。その後、再び、ステージ移動量に対応してX偏向信号77の走査開始位置をマイナス側にシフトさせるとともに、Y偏向信号78に印加するプラスの信号を増加させながら検査領域73の走査を行い、位置X10にて検査領域73の2回目の走査が完了する。
検査領域74、75に対しても、検査領域72、73と同じ要領で走査すればよい。ただし、Y偏向信号78に付加されるオフセット信号の大きさを、スワス71内での検査領域74、75のY方向の位置に合わせて変える必要がある。
フレーム積算数が3回以上の場合には、走査開始時刻のマージン(時間t−tないしt−t)および走査終了時刻のマージン(時間t−tないしt10−t9)を大きく取れば対応できることは明らかである。すなわち、ビーム偏向開始時の電子線基準位置X1、X6、ビーム偏向終了時の電子線基準位置X5,X10を、検査領域の端部からみてフレーム積算数2回の場合よりも離して設定し、ビーム偏向開始時の電子線基準位置とビーム偏向終了時の電子線基準位置の距離(つまり、X1とX5の距離あるいはX6とX10の距離)をフレーム積算数で均等分した位置を、各フレームに対する走査の終了/開始位置として設定し、均等分された各領域内で、上述した要領のビーム偏向制御を行う。
また、本実施例の構成を用いてステージ速度を通常速度よりも高速に設定できることも明らかである。すなわち、フレーム積算数で均等分された各領域に対し、実施例2と同じ要領で、ステージ速度通常速度に対するステージ速度の比αを考慮したビーム偏向開始位置と終了位置のマージンを設定する。これにより、フレーム積算による高画質化と高速ステージ移動による検査速度の両方のメリットをもつ回路パターン検査装置が実現できる。
以上のビーム偏向制御を装置実装する場合には、制御PC14の設定画面を介して装置オペレータにより入力される検査領域の位置情報(X2,X4,X7、X9)およびステージ速度の情報(速度係数αあるいはαを計算するための情報)を元に、位置X1,X5,X6,X10といった制御情報が制御PC14により算出される。ビーム走査コントローラ11やステージコントローラ12は、制御PC14により計算された位置X1,X5,X6,X10の各制御情報に基づき、XY偏向信号の電圧やタイミング制御、あるいはステージ速度を制御する。
以上、本実施例により、ウエハの任意領域を検査することが可能なため効率的な検査が可能という実施例1の効果に加え、フレーム積算による高精細な画像が取得可能なため虚報が少なく信頼性の高い回路パターン検査装置が実現できるという効果を奏することが可能となる。また、フレーム積算により同一箇所の画像を一定時間おいて取得することで、帯電の影響を抑えた回路パターン検査が可能となる。
本実施例では、一次電子線を用いてプリスキャンを実行可能な回路パターン検査装置の構成例について説明する。「プリスキャン」とは、検査領域の除電あるいは所望の帯電電位形成を目的として画像取得用電子線の照射前に電子線を走査することである。検査領域周辺も含めて帯電状態を均一にするために、プリスキャン実行時の走査領域のサイズは、検査領域のサイズよりも大きく設定される場合が多い。以下、本実施例の説明を行うが、本実施例の説明に当たっては図1を適宜引用し、共通する部分について同じ説明は繰り返さない。また簡単のため、走査中、ステージ速度は通常速度で一定であるものとする。
図8は、ウエハの検査領域、及び照射電子線を走査させるX偏向信号87とY偏向信号88を示す図である。スワス81は、図3、図4あるいは図7に示した配置と同様の複数の検査領域82、83、84、85が含まれるよう設定されている。
まず、検査領域82に対する電子線走査について説明する。図8に示す通り、検査領域82での走査方向はY方向であり、検査領域82の周囲には点線で示されるプリスキャン領域が設定されている。プリスキャン領域は、本来であればY方向だけではなくX方向にも設定されるが、説明の簡単のため、図8ではY方向のみにプリスキャン領域を設けるように図示してある。
本実施例において、各検査領域の電子線走査は、プリスキャン→所定の待ち時間分走査停止→本スキャン(画像取得のための電子線走査)というシーケンスで実行される。つまり、プリスキャンと走査停止は、電子線基準位置が検査領域82の左側に存在する間に実行され、本スキャンは、電子線基準位置が検査領域82の右側に存在する間に実行される。また、プリスキャン時の走査領域と本スキャン時の走査領域のサイズが異なるため、本実施例においては、プリスキャン時と本スキャン時とでは、振幅や傾き、あるいは立ち上がりのタイミングなど、異なる波形を有する第1のXY偏向信号と第2のXY偏向信号とが使用される。
検査領域82のプリスキャンは、電子線基準位置が位置X1の時点(時刻t)で開始され、位置X3の時点(時刻t)で完了される。従って、X偏向信号87は、時刻tでは本来走査されるべき位置X2との位置ずれ補正量(X2−X1)に相当するプラスの偏向電圧が設定される。プリスキャンの終了時には電子線基準位置は位置X3にあるが、本来電子線を走査すべき走査ラインは検査領域82の右端(位置X5)であり、電子線基準位置は依然として本来の走査ラインよりも左側に位置している。従って、プリスキャンの終了時のX偏向信号87も、位置X5とX3との位置ずれ補正量(X5−X3)に相当するプラスの偏向電圧が設定される。
本実施例の場合、プリスキャン時のビーム偏向周波数に対して、ステージ速度が同期しているため、時刻tにおける電子線基準位置と本来の走査ラインとの位置ずれ量は、時刻tにおける位置ずれ量と同一である。従って、時刻tから時刻tまでのX偏向信号87は一定の値となる。
Y偏向信号88については、プリスキャンの間、ノコギリ波形の偏向信号がディフレクタ6に印加される。ここで、プリスキャンの振幅は検査領域82のサイズよりも十分大きく(例えば2倍に)設定されている。したがって、ノコギリ波形の信号振幅は、プリスキャン領域の走査幅に対応して本スキャン時のノコギリ波形の信号振幅の2倍である。
時刻tにおけるプリスキャン終了時点では、電子線基準位置は位置X3に存在し、電子線照射位置は領域82の右下端に存在している。時刻tで待ち時間のシーケンスが開始され、照射電子がブランキングされると共に、X偏向信号87は(X4−X2)分だけマイナス方向にシフトされ、電子線照射位置は検査領域82の左端に戻される。ブランキングを行うのは、待ち時間の間、ウエハ上の固定箇所にビームが照射されるとウエハの帯電条件が変化する虞があるためである。
時刻tにて、照射電子のブランキングが解除され、画像取得のための電子線走査が開始される。前述の通り、時刻t時点での電子線基準位置は位置X4にあり、本来の走査ライン位置X2よりも(X4−X2)だけ右側(+X方向)に位置するが、時刻tで既にマイナス分シフトしているため、電子線照射位置はX2に存在している。その後、電子線基準位置と検査領域82内の走査対象位置との差を補正する信号をX偏向信号87に付加しながらY方向の走査を行い、検査領域82を連続的に走査する。時刻tから時刻tまでのX偏向信号87は、ステージ速度とX方向のビーム走査速度とが同期しているため、一定値となっている。一方、Y偏向信号88の信号波形は、通常通りノコギリ波形である。
位置X6(時刻t)にて検査領域82の右端(+X方向の端)が走査されて、検査領域82全体の走査が完了する。
次に、検査領域83を走査する手順を説明する。図8に示す通り、検査領域83での走査方向はX方向であり、検査領域83の周囲には点線で示されるプリスキャン領域が設定されている。検査領域82と同様、説明の簡単のため、図8ではX方向のみにプリスキャン領域を設けるように図示してある。
時刻tにて検査領域83のプリスキャンを開始し、位置X9(時刻t)にて検査領域83のプリスキャンが完了される。時刻tでのX偏向信号波形は、振幅値が位置X7とX8との位置ずれ補正量(X8−X7)に相当する量であり、その後、時刻tまでプリスキャン領域の領域長に応じた振幅のノコギリ波形の信号パターンが続く。
位置X9にてプリスキャン終了後、位置X10にて画像取得のための電子線走査を検査領域83の下側(−Y方向)から開始する。ここで、位置X10は、検査領域83の左端(X8)よりも(X10−X8)だけ右側(+X方向)に位置するため、X偏向信号87は、(X10−X8)に相当する偏向量だけマイナス方向から開始される偏向信号であり、検査領域83のX方向サイズ(X11−X8)に対応する信号振幅を有する。この時のY偏向信号88には、スワス81の上側(+Y方向側)にある検査領域83の下端(−Y方向の端)が走査されるように、プラスの信号が付加される。
その後、ステージ移動量に対応してX偏向信号87の走査開始位置をマイナス側にシフトさせるとともに、Y偏向信号88に付加するプラスの信号を増加させながら検査領域83の走査を行い、位置X11にて検査領域83の上端(+Y方向の端)が走査されて、検査領域83の全体の走査が完了する。
検査領域84、85に対しても、それぞれ検査領域82、83と同様に走査する。ただし、Y偏向信号88に付加されるオフセット信号の大きさを、スワス81内での検査領域84、85のY方向の位置に合わせて変える必要がある。
以上のビーム偏向制御を装置実装する場合には、制御PC14の設定画面を介して装置オペレータにより入力される検査領域の位置情報(X2,X5,X8、X11)およびプリスキャン領域の情報を元に、位置X1,X5,X6,X10といった制御情報が制御PC14により算出される。ビーム走査コントローラ11やステージコントローラ12は、制御PC14により計算された位置X1,X5,X6,X10の各制御情報に基づき、XY偏向信号の電圧やタイミング制御、あるいはステージ速度を制御する。なお、本実施例の構成をステージ高速化と組み合わせることも可能であり、その場合には、装置オペレータにより設定されるステージ移動の速度情報(速度そのものあるいは速度係数α、ないしはαを計算するための情報)を使用して、上記位置X1,X5,X6,X10の各制御情報を計算すればよい。
以上、プリスキャン時と本スキャン時で異なる波形のXY偏向信号を用いるという本実施例により、ウエハの任意領域を検査することが可能なため効率的な検査が可能という実施例1の効果に加え、プリスキャンによる帯電形成により、コンタクトホールの孔底や高抵抗材料の配線パターンなど、通常の走査では良好な電位コントラストを得にくい被検査試料に対しても検査を行えるという効果を奏することができる。また、プリスキャン後の待ち時間の設定により、プリスキャンにて形成された帯電の緩和状態の観察が行えるという効果を奏することができる。
図9A、図9Bを用いて、本実施例の回路パターン検査装置の実施例7を説明する。本実施例は、いわゆるヘリカルスキャンを実行するためのビーム偏向制御に関する実施例であり、電子線の走査方向を走査ごとに連続的に変更し、各走査毎の走査長を連続的に短縮していく方式の電子線走査を実現するものである。
以下、図9A、9Bを用いて、X偏向信号95及びY偏向信号96による各検査領域92、93での電子線走査の方法を説明する。図示の単純化のため、図9においては、同一方向について2本の走査線しか図示していないが、実際には走査線の本数はもっと多数である。X偏向信号95は、照射電子線が+X方向(図9Aの右方向)に振れる方向をプラスとし、Y偏向信号96は、照射電子線が+Y方向(図9Aの上方向)に振れる方向をプラスとする。
図9Bは、スワス91の検査領域92の電子線走査を示す図である。図9Bを用いて、検査領域92の電子線走査を説明する。
検査領域92は、矢印97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g、97hの順で照射電子線が走査される。矢印97bで示される電子線走査は、矢印97aで示される電子線走査の終点から開始される。また、矢印97cで示される電子線走査は、矢印97bで示される電子線走査の終点から開始される。このように、ある電子線走査の終点は、常に次の電子線走査の始点になる。従って、電子線走査後に、次の電子線走査の開始位置まで電子線を振り戻す必要がない。このため、振り戻しにかかっていた時間の分だけ、検査領域92の電子線走査に必要な時間を短くすることができる。
図9Bにおいて、矢印97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g、97hの長さ(電子線走査の距離)や位置(電子線走査の位置)は、検査領域92の大きさ(幅)と検査領域の画像の画素サイズとから電子線走査の軌跡を算出することにより求めることができる。以下、矢印97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g、97hに対応する電子線走査の距離を、矢印97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g、97hの長さで表す。
まず、電子線基準位置X1にて、矢印97aで示される電子線走査の偏向信号が印加される。矢印91aで示される電子線走査はY方向の走査のため、Y偏向信号96には、矢印97aの長さに相当する走査信号が印加される。また、X偏向信号95には、電子線基準位置と走査対象位置との差を補正する信号が印加される。
次に、位置X2にて、矢印97bで示される電子線走査の偏向信号が印加される。矢印97bで示される電子線走査はX方向走査のため、X偏向信号95に走査信号が印加されるが、その振幅は、矢印97bの長さから走査時間中のステージ移動距離を引いた距離に相当する量となる。また、矢印97bで示される電子線走査はスワス91の上側(+Y方向)にあるため、Y偏向信号96には走査位置に対応するプラスのオフセット信号が印加される。
次に、位置X3にて、矢印97cで示される電子線走査の偏向信号が印加される。矢印91cで示される電子線走査はY方向の下向き(−Y方向)の走査であるため、Y偏向信号96にはプラスからマイナスに変化する走査信号が印加される。また、X偏向信号95には、電子線基準位置と走査対象位置との差を補正する信号が印加される。
さらに、位置X4にて、矢印97dで示される電子線走査の偏向信号が印加される。矢印91dで示される電子線走査はX方向の左向き(−X方向)の走査であるため、X偏向信号95にはプラスからマイナスに変化する走査信号が印加される。この走査信号の振幅は、矢印97dの長さに走査時間中のステージ移動距離を加算した距離に相当する量となる。また、矢印97dで示される電子線走査はスワス91の下側(−Y方向)にあるため、Y偏向信号96には走査位置に対応するマイナスのオフセット信号が印加される。
その後、位置X1、X2、X3、X4に対して説明したのと同様に、位置X5、X6、X7、X8にて、それぞれ矢印97e、97f、97g、97hで示される電子線走査に対応するX偏向信号95とY偏向信号96印加され、領域92全体の走査が完了する。
本実施例により、振り戻し偏向に要する時間を省略でき、検査領域の電子線走査に必要な時間を短縮可能な検査装置が実現される。
図10を用いて、本実施例の回路パターン検査装置の実施例8を説明する。実施例8では、ステージ移動方向と垂直方向に分離された複数の領域を検査領域としているが、同一スワス内で分離された複数の検査領域を検査するため、ステージ移動方向に垂直方向(Y方向)の偏向信号として、連続走査信号とオフセット信号を足し合わせた信号を付加する。
図10は、ウエハの検査領域、及び照射電子線を走査させるX偏向信号106、Y偏向信号107、Y偏向信号107を作成するための連続走査信号108とオフセット信号109を示す図である。スワス101には、複数の検査領域102、103、104が含まれる。X偏向信号106は、照射電子線をX方向に走査させる信号であり、Y偏向信号107は、照射電子線をY方向に走査させる信号である。Y偏向信号107は、連続走査信号108とオフセット信号109を足し合わせた信号として作成される。連続走査信号108とオフセット信号109はそれぞれ独立したディフレクタに印加され、2つのディフレクタが連動することでY偏向信号107にて照射電子線を走査する。ここで、連続走査信号108を印加するディフレクタは、オフセット信号109を印加するディフレクタに比べて、最大偏向幅は小さいが応答性が速いという特徴を有する。ステージは−X方向に移動して、ウエハを−X方向に移動させる。
ステージの1回の動作により、スワス101が実行される。このとき、電子線基準位置は、スワス101の中心を示す点線105に沿って、ウエハ上を−X方向から+X方向(図10の左から右方向)へ移動する。各検査領域102、103、104の中の矢印102a、102b、102c、103a、103b、103c、104a、104b、104cは、照射電子線の走査方向を示している。
以下、X偏向信号106及びY偏向信号107による各検査領域102、103、104での電子線走査の方法を説明する。X偏向信号106は、照射電子線が+X方向(図10の右方向)に振れる方向をプラスとし、Y偏向信号107は、照射電子線が+Y方向(図10の上方向)に振れる方向をプラスとする。
図10にて、X2−X1=X3−X2=X4−X3であり、電子線基準位置がX1からX2まで移動する間に矢印102a、102b、102cの照射電子線の走査が、X2からX3まで移動する間に矢印103a、103b、103cの照射電子線の走査が、X3からX4まで移動する間に矢印104a、104b、104cの照射電子線の走査が順次なされる。
初めに、検査領域102での電子線走査の方法を説明する。位置X1にて電子線基準位置が検査領域102の始点に到達すると、Y方向の電子線走査が開始される。ここで、連続走査信号108には、検査領域102の幅(Y方向の長さ)に相当する振幅の連続走査信号が印加される。また、検査領域102は、図10に示したスワス101の下部(−Y方向の端部)に設定されているため、オフセット信号109には、マイナス方向の信号が印加される。その結果、Y偏向信号107は、マイナス方向のオフセットを持った走査信号となり、矢印102aの照射電子線の走査がなされる。続いて矢印102bの電子線走査がなされるが、このときの電子線基準位置は、走査対象位置よりも左側であるため、X偏向信号106に正のオフセット信号が印加される。矢印102c走査時には、さらに、電子線基準位置と走査対象位置の差が大きくなるため、X偏向信号106には、より大きな正のオフセット信号が印加される。
次に、検査領域103での電子線走査の方法を説明する。電子線基準位置がX2にて検査領域103の走査が開始されるが、矢印103aの電子線走査時には、電子線基準位置が走査対象位置よりも右側であるため、X偏向信号106には負のオフセット信号が印加される。続いて矢印103bの電子走査時は、電子線基準位置が走査対象位置にあるため、X偏向信号106のオフセット信号は0となる。さらに、矢印103cの電子線走査時は、電子線基準位置が走査対象位置よりも左側であるため、X偏向信号106には正のオフセット信号が印加される。また、検査領域103は、スワス101の中央部に設定されているため、オフセット信号109は0となる。
次に、検査領域104での電子線走査の方法を説明する。電子線基準位置がX3にて検査領域104の走査が開始されるが、矢印104aの電子線走査時には、電子線基準位置が走査対象位置よりも右側であるため、X偏向信号106には負のオフセット信号が印加される。検査領域104の走査が進みにつれて電子線基準位置と走査対象位置の差が次第に小さくなるが、矢印104cの電子線走査時に差がなくなり、このときのX偏向信号106に印加されるのオフセットは0となる。検査領域104は、図10に示したスワス101の上部(+Y方向の端部)に設定されているため、オフセット信号109には、プラス方向の信号が印加される。
矢印104cの電子線走査が終了すると、続いて電子線基準位置がX4からX5に対応する部分の検査が同様の手順にて実行される。
実施例8では、各検査領域にて3本の走査を行った後、次の検査領域に移動する検査動作としたが、各領域にて3本以上の走査を行った後で次の検査領域に移動する動作としてもよい。また、1本もしくは2本の走査を行ったら次の検査領域に移動する動作としてもよい。
本実施例では、実施例2で説明した高速ステージ移動の検査方式をNAND型フラッシュメモリの検査に適用した例について説明する。装置の全体構成は、図1に示す構成と同様であり、図1は実施例1で説明済みであるので、装置の全体構成に関する説明は省略し、また以下の説明では図1を適宜引用する。
NAND型フラッシュメモリのコンタクトホール形成工程では、図11に示すようにダイ1101中に2つあるいは3つ程度のメモリ領域が形成されている。図11のA図は、メモリ領域1102とメモリ領域1103が形成されたダイを示しており、このメモリ領域の中に数ミクロン周期にてコンタクトホール列1104が形成されている。検査の際には、スワス1105が複数のダイに渡って配置され、スワス内の画像を取得する。
さて、従来の検査方法で図11のA図に示すNAND型フラッシュメモリを検査する場合、ダイ1101上にスワス1105を適当な本数だけ設定し、XYステージ2をディフレクタ6のビーム偏向周波数に同期した速度で一方向に連続移動させ、スワス1105内の全領域の画像を取得して検査を行うことになる。
NAND型フラッシュメモリのコンタクトホール形成工程の場合、コンタクトホール列1104はメモリ領域中に間欠的に配置されており、コンタクトホール列1104の幅よりも複数のコンタクトホール列間の長さの方が長く、更にコンタクトホール列とコンタクトホール列の間にはパターンが全く存在しないという特徴がある。従って、コンタクトホール列間の画像を取得するのは非常に無駄である。よって、実施例2で説明した高速ステージ移動の検査方式を適用することにより、従来よりもスループットの高い検査を実現することが可能となる。
実際に検査を行う際には、制御PC14に備えられた画面表示手段に表示される設定画面で、コンタクトホール列1104の一部を表示させ、コンタクトホール列を含む検査対象領域、すなわち画像取得領域1106を設定する。この操作は、装置のオペレータが上述の設定画面でポインタ操作を行うことにより実行される。以降、上述の画像取得領域1106を、以下ROI領域(Region Of Interest)と称する。
一度ROI領域が決まれば、設定されたROI領域の大きさと位置の情報をもとに、ROI領域の幅(ステージ移動方向の長さ)、隣接ROI領域とのピッチあるいはスワス幅などが制御PC14により自動設定される。また、コンタクトホール列1104など、検査対象とするパターンの周期性に基づき、他の被検査対象となるダイあるいはコンタクトホール列を含む領域にROI領域の設定位置が展開され、他のダイあるいはメモリ領域内でのROI領域の座標が自動設定される。この演算処理も制御PC14により実行される。
次に、高速検査を行うためのステージ移動制御について説明する。
今、図11のB図に示すように、スワス1105内で画像を取得するための撮像視野(FOV:Field Of View)の大きさをMとする。一般にFOVの大きさMは数十μm以上、パターンのピッチは5〜10μm程度であり、FOV内に少なくとも1つのROI領域の終端ラインと次に走査するROI領域の開始端が収まるようサイズMを設定する。ROI領域の幅(ステージ移動方向への長さ)はL、ROI領域間のピッチはP、スワス幅はWであるものとする。また、検査画像の画素サイズをσ、ROI領域内に配置される走査ラインの本数をN(N=L/σ)本と設定したものとする。
図12に、ステージ移動速度がビーム偏向と同期している場合の一次荷電粒子線照射位置の変化と同期していない場合の一次荷電粒子線照射位置の変化を対比して示す。
図12のA図は、被検査試料がビーム偏向と同期したステージ移動速度で搬送されている場合のビーム照射位置の移動を模式的に示した図であり、点線で示される領域1201がROI領域の先頭走査ラインの走査開始時点のROI領域の位置を、実線で示される領域1202がN番目の走査ラインの走査終了時のROI領域の位置を示す。この場合、一次荷電粒子線は図中の一点鎖線上をY方向のみに走査されるだけであり、ROI領域内の1番目の走査ライン1205とN番目の走査ライン1206は、視野Mの範囲内で、ウエハ上の実距離Lに相当する長さしか動かない。これは前述の通り、ステージ移動速度とビームの走査速度が同期しているためである。
図12のD図は、被検査試料がビーム偏向と非同期なステージ移動速度で搬送されている場合のビーム照射位置の移動を模式的に示した図である。A図と同様に、点線で示される領域1203がROI領域の先頭走査ラインの走査開始時点のROI領域の位置を、実線で示される領域1204および領域1204'がN番目の走査ラインの走査終了時のROI領域の位置を示す。
今、E図に示されるように1番目の走査ライン1205が視野Mの左端に位置した時点で走査を開始するものとすると、ステージの移動速度によっては、N番目の走査ラインを走査すべき時点で、走査すべきラインが視野Mを飛び出してしまう場合が生じる。例えば、N番目の走査ラインを走査すべき時点でROI領域が位置1204'に移動している場合、N番目走査ラインはF図の位置1207に存在し、視野Mの外にあるためN番目走査ラインの画像(画素信号)は取得できないことになる。
これを防止するには、ステージの移動速度を、1番目走査ライン1205が視野Mに入った時点(視野Mの左端にある時点)で画像取得が開始され、N番目走査ラインが視野M内に存在している間に走査が終了するように、すなわち、N番目走査ラインの走査終了時刻にN番目走査ラインがF図の位置1208よりも左側にあるようにステージ移動速度を設定すればよい。図11に示すように視野M内に複数のROI領域を設定した場合には、一つのROI領域の走査完了後、ステージ移動方向とは逆方向への振り戻し偏向を行って、次のROI領域の先頭走査ラインから一次荷電粒子線の走査が開始できるようにする。
図12から直感的に分かるように、高速検査の際のステージ移動速度Vは無制限に大きくできるものではなく、視野領域の大きさMとROI領域の長さL(本質的にはROI領域の面積)との比によって制約される。以下の数式1は、この制約条件を示すもので、大きさMの視野領域内に長さLの撮像領域を設定する場合、撮像領域内を漏れなく撮像するためには、ステージ移動速度は数式1の右辺以上には大きくできないことを示す。
V≦((L+M)/L)V ・・・ 〔数式1〕
一方、ステージ移動速度の上限は、ROI領域の長さLと、ROI領域のステージ移動方向の配列ピッチPによっても制約を受ける。以下の数式2は、この制約条件を示す。
V≦(P/L)V ・・・ 〔数式2〕
数式1、2は、画像を取得するROI領域の間に走査のスキップ領域が設定されたと考えると理解しやすい。スキップ領域の長さが大きければステージの移動速度をスピードアップできる。逆にROI領域の幅が大きければステージの移動速度を落とす必要がある。このため、走査領域の幅とスキップ領域の幅との比に対応してステージの移動速度が設定される。
図11のB図に示すように、ROI領域1106の長さがL、ステージ移動方向への配列ピッチがPであれば、走査スキップ領域の大きさはP−Lとなる。走査のスキップ間隔をSと表記するとS=P−Lであるから、P=S+Lと書き直して数式2に代入すると、
V≦((L+S)/L)V ・・・ 〔数式3〕
となり、見かけ上、数式1と等しくなる。すなわち、数式1、2は、走査スキップ領域の最大値がM、すなわち、ROI領域の先端走査ラインと後端走査ラインが同一の視野領域M内に存在できる条件が連続でビームを走査するための走査スキップ領域の上限であることを意味する。走査スキップ領域がこれ以上大きい場合には、ビームを連続で走査することは出来ず、後端走査ラインを走査した後、視野Mの左端(ステージ進行方向とは逆の端部)にビーム偏向位置を振り戻し、次のROI領域の先端走査ラインが視野に入った時点で走査を再開することになる。
従って、視野サイズMより大きな走査スキップ領域を設定すると、ビームを照射しない時間、すなわち次のROI領域の先端走査ラインが視野に入ってくるまでの待ち時間が発生することになり、単位時間あたりの検査領域面積つまり検査速度が低下する。
また、検査画像の画素サイズをσ、ROI領域内に配置する走査ラインの数をNで表せば、L=σ×Nであるから、式1をステージ移動速度は、視野サイズのステージ移動方向の長さ、画素サイズおよびROI領域内の走査ライン数に応じて設定されることを示すと解釈することもできる。同様に式3を、ステージ移動速度が、走査スキップ領域のステージ移動方向の長さ、画素サイズおよびROI領域内の走査ライン数に応じて設定されることを示すと解釈することもできる。
なお、実際の運用上は、ROI領域間でステージ移動とは逆方向にビームを距離Mだけ振り戻す時間が必要であり、またステージ速度のばらつきを考慮する必要がある。従って、現実的にはステージ速度を((L+S)/L)Vに設定するのは難しく、上記ビームの振り戻し時間とステージ速度のばらつきを考慮して実際のステージ速度を設定する。
更に、数式3は、
V−V=ΔV=(S/L)V ・・・ 〔数式4〕
と変形でき、これは、ROI検査におけるステージ移動速度のVからの増加分が、スキップ領域の長さとROI領域の長さの比または視野サイズMとROI領域の長さの比に応じて定まることを示している。またこのことから、視野領域M内へのROI領域の設定数あるいは面積を増やせば、その分ステージ移動速度も遅くしなければならないことが分かる。
以上説明したステージ移動制御はステージコントローラ12により実行される。
次に、高速検査を行うためのビーム偏向制御について説明する。
実施例2で説明したように、高速ステージ移動の検査方式においては、ステージ移動方向と交差する方向へのビーム偏向制御に加えて、ステージ移動方向へのビーム偏向を併用して所望の検査領域へのビーム走査を実現する。
視野M内に複数のROI領域を設定した場合には、上述したように、一つのROI領域の走査完了後、ステージ移動方向あるいは逆方向へのビーム偏向により一次荷電粒子線の照射位置を次のROI領域の1番目走査ラインへ移動するが、本実施例の高速ステージ移動の場合、ステージ移動速度Vはビーム偏向と非同期であるので、一つのROI領域の中でも、ビーム照射位置の本来照射されるべき走査ラインからのずれが発生している。
そこで、本実施例の検査装置では、ビーム走査コントローラ11の制御により、一次荷電粒子線の照射位置をステージ移動方向と同じ方向に偏向させることにより、本来照射すべき位置からのビームの照射位置のずれを解消している。
ここで、ステージ移動方向への偏向速度をU、高速検査で設定するステージ速度Vとビーム偏向に同期するステージ速度Vの比をα(α>1)とすれば、適切な偏向速度は以下の式で表される。
U=(α−1)V ・・・ 〔数式5〕
この式の物理的な意味は、ビーム照射位置のステージ移動方向への相対速度を考えれば明らかで、V−U=V−(α−1)V=V−(V/V−1)V=Vとなることから、ステージ移動方向へのビーム照射位置移動の相対速度が同期速度に等しくなる偏向速度である。相対速度が同期速度であれば、走査ライン1本をステージ移動方向と交差する方向へ走査する間に、ビーム照射位置がステージ移動方向に1画素分移動することになるので、位置ずれを吸収できることになる。
上述の位置ずれは、第1走査ラインから第N走査ラインに向けて走査の繰り返しが進むにつれて増加するので、偏向によるビームシフト量もROI領域内での走査が進むに連れて増大する。
図13には、ROI領域内での走査が進むに連れて偏向によるビームシフト量が増大する様子を、通常のステージ移動速度による検査と対比して示した。
図13のA図、B図は、被検査試料1301上のある検査領域1302が設定され、この領域内にN本の走査ラインが設定された様子を横から見た図である。A図左側のハッチングを付した検査領域1302は、ビーム照射がまだ終了していない領域であることを示し、A図右側の塗りつぶした検査領域1302はビーム照射が終了した領域であることを示す。
通常のステージ移動速度による検査の場合、図13のA図に示すように、ビーム偏向速度とステージ移動速度が同期しているため、固定されたビーム走査位置だけ走査していても特段の位置ずれは発生しない。しかし、非同期のステージ速度による高速検査の場合、図13のB図の左図に示すように、第1走査ラインでの位置ずれはゼロであるが、B図の中央図に示すように、M番目走査ライン(M:1<M<Nの整数)では、シフト量はM(α−1)本のライン分となり、B図の右図に示すように、N番目の最終走査ラインでは、シフト量はN(α−1)本のライン分となる。画素サイズをσとすれば、ビームシフト量はN(α−1)σであり、ビーム走査コントローラ11は、同一のROI領域内で上記のシフト量だけビーム偏向を行って、ビーム照射位置を目標位置に整合させている。
前述の通り、ステージ移動方向のビーム照射の位置ずれは、ROI領域内で走査の繰り返しが進むと共に増加するので、位置ずれ補正に必要な偏向距離(ディフレクタ6のビーム偏向角)は大きくなる。従って、ビーム偏向距離の大きなディフレクタほどステージ移動の高速化を高める上で有利である。
視野の大きさMは、原理的にはディフレクタの最大ビーム偏向距離まで大きくできるが、実際には軸外収差や像面湾曲収差による画質の劣化が目立たないという条件に制約される。従って、実際の装置運用では、視野の大きさMを変えて標準試料の画像を取得し、収差などの影響や歪などがほぼ同等の画像の検出ができる条件を決定している。定められた視野サイズMの情報は制御PC14に格納され、検査時、ビーム制御コントローラ11によって参照される。
以上、本実施例により、NAND型フラッシュメモリのコンタクトホール形成工程の検査を従来よりも格段に高速に実行可能な検査装置が実現される。なお、本実施例の検査装置が、NAND型フラッシュメモリだけではなくNOR型フラッシュメモリあるいはDRAMといった半導体メモリデバイス、ロジックICあるいは液晶ディスプレイの駆動基板などの検査に適用可能であることはいうまでもない。
以上、各実施例について説明してきたが、以上の説明は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の技術思想に反しない限り、各実施例の組み合わせについても本発明の範疇に属する。
1…カラム、2…XYステージ、3…電子銃、4…コンデンサレンズ、5…対物レンズ、6…ディフレクタ、7…2次電子検出器、8…ウエハ、9…照射電子線、10…2次電子、11…ビーム走査コントローラ、12…ステージコントローラ、13…画像処理ユニット、14…制御PC、21…照射電子線、22…ウエハ、23…ステージの移動方向を示す矢印、24…電子線走査を示す矢印、25…スワス、26a,26b,26c…検査領域、27…スワスの中心を示す点線、28…X偏向信号、29…Y偏向信号、31…スワス、32,33,34,35…検査領域、36…スワスの中心を示す点線、37…X偏向信号、38…Y偏向信号、39a,39b,39c,39d…電子線走査を示す矢印、41…スワス、42,43,44,45…検査領域、46…スワスの中心を示す点線、47…X偏向信号、48…Y偏向信号、49a,49b,49c,49d…電子線走査を示す矢印、51…スワス、52…メモリマット、53…周辺回路領域、54…周辺回路領域、55…スワスの中心を示す点線、56…X偏向信号、57…Y偏向信号、58a,58b,58c,58d,58e,58f,59g,59h,59i,59j…電子線走査を示す矢印、61…スワス、62…メモリマット、63…マット外周近傍部、64…スワスの中心を示す点線、65…X偏向信号、66…Y偏向信号、67a,67b,67c,67d,67e,67f,67g,67h…電子線走査を示す矢印、71…スワス、72,73,74,75…検査領域、76…スワスの中心を示す点線、77…X偏向信号、78…Y偏向信号、81…スワス81、82,83,84,85…検査領域、86…スワスの中心を示す点線、87…X偏向信号、88…Y偏向信号、91…スワス、92,93…検査領域、94…スワスの中心を示す点線、95…X偏向信号、96…Y偏向信号、97a,97b,97c,97d,97e,97f,97g,97h…電子線走査を示す矢印、101…スワス、102,103,104…検査領域、102a,102b,102c,103a,103b,103c,104a,104b,104c…電子線走査を表す矢印、105…スワスの中心を示す点線、106…X偏向信号、107…Y偏向信号、108…連続走査信号、109…オフセット信号。

Claims (16)

  1. 予め設定された電子線の移動幅とステージの連続移動とにより仮想的に形成されるスワス内で被検査領域の画像を取得することにより、基板上に形成された回路パターンを検査する回路パターン検査装置であって、
    前記回路パターンが形成された基板を移動させるステージと、
    前記基板に対し電子線を走査する電子線走査手段と、
    前記ステージの移動を制御するステージコントローラと、
    前記電子線走査手段の動作を制御するビーム走査コントローラとを備え、
    前記ステージの移動方向と平行な第1の方向への電子線偏向制御と、前記第1の方向と交差する第2の方向への電子線偏向制御とを併用することにより、前記スワス内に設定される任意の被検査領域の画像を取得し、
    前記被検査領域の長手方向が前記ステージ移動と平行な方向である場合には、前記電子線を前記第1の方向と平行な方向に走査して前記被検査領域の画像を取得し、
    前記被検査領域の長手方向が前記ステージ移動と交差する方向である場合には、前記電子線を前記第2の方向と平行な方向に走査して前記被検査領域の画像を取得することを特徴とする回路パターン検査装置。
  2. 予め設定された電子線の移動幅とステージの連続移動とにより仮想的に形成されるスワス内で被検査領域の画像を取得することにより、基板上に形成された回路パターンを検査する回路パターン検査装置であって、
    前記回路パターンが形成された基板を移動させるステージと、
    前記基板に対し電子線を走査する電子線走査手段と、
    前記ステージの移動を制御するステージコントローラと、
    前記電子線走査手段の動作を制御するビーム走査コントローラとを備え、
    前記ステージの移動方向と平行な第1の方向への電子線偏向制御と、前記第1の方向と交差する第2の方向への電子線偏向制御とを併用することにより、前記スワス内に設定される任意の被検査領域の画像を取得し、
    前記被検査領域の長手方向が前記ステージ移動と交差する方向である場合には、前記電子線を前記第1の方向と平行な方向に走査して前記被検査領域の画像を取得し、
    前記被検査領域の長手方向が前記ステージ移動と平行な方向である場合には、前記電子線を前記第2の方向と平行な方向に走査して前記被検査領域の画像を取得することを特徴とする回路パターン検査装置。
  3. 請求項1または2に記載の回路パターン検査装置において、
    前記ステージ移動の移動速度を保持したまま前記被検査領域の画像を取得する回路パターン検査装置。
  4. 請求項1または2に記載の回路パターン検査装置において、
    前記設定された被検査領域の端部に対して時間または距離のマージンを設定し、前記設定したマージン分先んじて、前記被検査領域への前記電子線走査を開始または終了することを特徴とする回路パターン検査装置。
  5. 請求項1または2に記載の回路パターン検査装置において、
    前記ステージコントローラは、前記電子線の走査速度よりも高速に前記ステージを移動させるよう制御を行うことを特徴とする回路パターン検査装置。
  6. 請求項1または2に記載の回路パターン検査装置において、
    同一の前記被検査領域に対して複数回の前記電子線走査を実行し、
    各走査により得られる画像を積算して検査画像とすることを特徴とする回路パターン検査装置。
  7. 請求項1または2に記載の回路パターン検査装置において、
    同一の前記被検査領域に対し、プリスキャンと本スキャンを実行することを特徴とする回路パターン検査装置。
  8. 請求項に記載の回路パターン検査装置において、
    前記第1の方向または前記第2の方向への前記電子線の走査長を、前記プリスキャンの設定領域のサイズおよび前記本スキャンの設定領域のサイズに応じて設定することを特徴とする回路パターン検査装置。
  9. 請求項またはに記載の回路パターン検査装置において、
    前記プリスキャンと前記本スキャンの間に、走査を停止する待ち時間が設定されることを特徴とする回路パターン検査装置。
  10. 予め設定された電子線の移動幅とステージの連続移動とにより仮想的に形成されるスワス内で被検査領域の画像を取得することにより、基板上に形成された回路パターンを検査する回路パターン検査装置であって、
    前記回路パターンが形成された基板を移動させるステージと、
    前記基板に対し電子線を走査する電子線走査手段と、
    前記ステージの移動を制御するステージコントローラと、
    前記電子線走査手段の動作を制御するビーム走査コントローラとを備え、
    前記ステージの移動方向と平行な第1の方向への電子線偏向制御と、前記第1の方向と交差する第2の方向への電子線偏向制御とを併用することにより、前記スワス内に設定される任意の被検査領域の画像を取得し、
    前記スワス内に設定される前記被検査領域に関する事前に取得された画像もしくは設計情報から前記被検査領域の長手方向を判定し、
    前記判定結果に基づき、前記スワス内に設定される前記被検査領域内の前記電子線走査方向を決定する演算手段を備えることを特徴とする回路パターン検査装置
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の回路パターン検査装置において、
    前記第1の方向および前記第2の方向への電子線偏向制御を実行する走査シーケンサを備えたことを特徴とする回路パターン検査装置。
  12. 所定パターンが周期的に配列されて形成された領域を備える被検査試料に対し、一次荷電粒子線を前記被検査試料が載置されたステージの移動方向と交差する方向に走査し、前記走査により前記被検査試料から発生する二次電子または反射電子を検出して得られる信号をもとに検査画像を取得し、前記検査画像を用いて前記被検査試料を検査する荷電粒子線装置において、
    前記一次荷電粒子線を所定の偏向速度で走査する走査偏向器を備えた荷電粒子カラムと、
    前記ステージが前記偏向速度とは非同期な速度で移動するよう制御可能なステージコントローラとを備え、
    前記ステージの移動方向への前記一次荷電粒子線の偏向を行うことにより、前記一次荷電粒子線を所望の検査領域に走査させ
    前記ステージコントローラは、前記検査領域に含まれる第1の領域の走査終端と、前記第1の領域よりも後に画像が取得される第2の領域の走査開始端とが、前記ステージの移動方向への前記一次荷電粒子線の走査範囲内で収差および歪が同一とみなせる視野内に収まるように前記ステージの移動速度を設定することを特徴とする荷電粒子線装置。
  13. 所定パターンが形成された領域を備える被検査試料に対し、一次荷電粒子線を前記被検査試料が載置されたステージの移動方向と交差する方向に走査し、前記走査により前記被検査試料から発生する二次電子または反射電子を検出して得られる信号をもとに検査画像を取得し、前記検査画像を用いて前記被検査試料を検査する荷電粒子線装置において、
    前記荷電粒子線装置は、前記パターンが形成された領域の一部を検査領域、一部を検査のスキップ領域として設定する機能を備え、
    更に、前記ステージの移動速度を制御するステージコントローラを備え、
    前記ステージコントローラは、前記検査領域に配置される走査ラインの本数、前記検査画像の画素サイズおよび前記スキップ領域の前記ステージ移動方向の長さに応じて、前記ステージの移動速度を設定し、更に、前記検査領域に含まれる第1の領域の走査終端と、前記第1の領域よりも後に画像が取得される第2の領域の走査開始端とが、前記ステージの移動方向への前記一次荷電粒子線の走査範囲内で収差および歪が同一とみなせる視野内に収まるように前記ステージの移動速度を設定することを特徴とする荷電粒子線装置。
  14. 一次荷電粒子線を被検査試料が載置されたステージの移動方向と交差する方向に走査し、前記走査により前記被検査試料から発生する二次電子または反射電子を検出して得られる信号をもとに検査画像を取得し、前記検査画像を用いて前記被検査試料を検査する荷電粒子線装置において、
    前記荷電粒子線装置は、前記被検査試料上の一部のみを検査領域として設定する機能を備え、
    前記一次荷電粒子線を所定の偏向速度で走査する走査偏向器を備えた荷電粒子カラムと、
    前記ステージが前記偏向速度とは非同期な速度で移動するよう制御可能なステージコントローラとを備え、
    前記偏向速度に同期する前記ステージ移動速度の前記非同期な前記ステージ移動速度に対する比をαとし、前記検査領域に複数本の走査ラインを配置して前記検査領域の画像を取得するとき、
    前記走査偏向器は、前記複数本の走査ラインのうちのN番目の走査ラインの走査時、(α−1)Nラインに相当する距離分、前記ステージの移動方向に前記一次荷電粒子線の偏向制御を行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
  15. 請求項14に記載の荷電粒子線装置において、
    前記ステージコントローラは、前記検査領域に含まれる第1の領域の走査終端と、前記第1の領域よりも後に画像が取得される第2の領域の走査開始端とが、前記ステージ移動方向への前記一次荷電粒子線走査範囲内で収差および歪が同一とみなせる視野内に収まるように前記ステージの移動速度を設定することを特徴とする荷電粒子線装置。
  16. 所定パターンが周期的に配列されて形成された領域を備える被検査試料に対し、一次荷電粒子線を前記被検査試料が載置されたステージの移動方向と交差する方向に走査し、前記走査により前記被検査試料から発生する二次電子または反射電子を検出して得られる信号をもとに検査画像を取得し、前記検査画像を用いて前記被検査試料を検査する荷電粒子線装置において、
    前記一次荷電粒子線を所定の偏向速度で走査する走査偏向器を備えた荷電粒子カラムと、
    前記ステージが前記偏向速度とは非同期な速度で移動するよう制御可能なステージコントローラとを備え、
    前記ステージの移動方向への前記一次荷電粒子線の偏向を行うことにより、前記一次荷電粒子線を所望の検査領域に走査させ、
    前記走査偏向器は、前記非同期な前記ステージ移動速度と前記偏向速度に同期する前記ステージ移動速度との差に相当する偏向速度で、前記ステージの移動方向への前記一次荷電粒子線の偏向を行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
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