JP5473595B2 - 磁極検出方法および駆動案内システム - Google Patents

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Description

本発明は、磁極検出方法および駆動案内システムに関し、特に、駆動手段にリニアモータを用いた駆動案内装置に適用して好適なものである。
従来、三相交流を用いたリニアモータからなるアクチュエータにおいては、0または1を出力する磁極検知センサであるホールセンサを、磁極ピッチに相当する幅に対応して3素子分設置することにより、磁極の検出を6通りの磁極判定ポイントで実現していた。
すなわち、一般に、リニアモータにおいては、互いに2π/3(rad)(120°)だけ位相がずれた交流電流が、それぞれU相、V相およびW相として3つの電源相に対応して供給される。そこで、それぞれ1つのホールセンサをU相、V相およびW相のそれぞれの電源相に対応させて3つ設置することにより、磁極の検出を、3素子×(0または1の)2通り=6通りの磁極判定ポイントとしていた。
また、位置検出としては、互いにπ/2(rad)(90°)だけ位相がずれた2つの信号を出力する磁気センサを1つ設置することによって、磁極ピッチに相当した位置情報の検出が実現していた。
以上のことから、従来技術においては、リニアモータを有して構成される駆動案内装置において、磁極検知センサを用いた磁極検出と位置検出とを行うためには、検知手段が最低でも4素子必要であった。
モータにおける磁極検知センサを用いた磁極検出と位置検出に関する技術として、特開2003−235228号公報に記載の発明では、DCブラシレスモータにおいて、リング状の着磁面の磁極の極数がAである位置磁界発生手段と、磁界を検出する磁気センサとを備える。この発明では、着磁面における磁極のそれぞれに対応する範囲を3個の単位エリアに分割するとともに、3個の単位エリアの互いの位置関係を、単位エリアが磁気センサ24の検出位置に位置するときの各単位エリアから磁気センサまでの距離が互いに異なる位置関係とする。そして、磁気センサの出力レベルが、6つに分割されたレベル範囲のうちのどのレベル範囲に入るのかに基づいて、ステータコイルに流れる電流を切り換える。これにより、磁気センサの個数を1つにし、構成を簡略化している。
また、特開2000−316290号公報に記載の発明では、モータのサーボ制御装置の構成として、複数のモータに対する回転速度信号を発生する複数の回転速度信号発生手段と、回転速度信号に応じて複数のモータに流す励磁電流を決めるPWM信号を発生するデジタル制御手段と、複数のモータのロータ位置を検出する複数のロータ位置検出手段と、複数のモータのロータ位置検出結果に応じて複数のモータに流す励磁電流を切り替える切り換え信号とPWM信号を合成して電流制御信号を発生する複数のプリドライバと、複数のプリドライバからの電流制御信号に基づいて複数のモータをそれぞれ駆動する複数のドライバと、を設けている。
また、特開平5−52583号公報に記載の発明では、位相差検出方式による磁気エンコーダにおいて位置測定精度向上の大きな妨げになっていたA相とB相の振幅比の変動による検出誤差をなくし、高い測定精度の磁気エンコーダを得るために、MR素子と位相差検出回路との間に、MR素子から得られるA相信号とB相信号とを、両者の位相情報を保持しつつ振幅が等しい2信号に変換する振幅比調整回路を挿入している。
ところで、リニアモータにおいて、そのときどきに最適なトルクを発生させるためには、より細かい磁極情報が必要となる。そして、この磁極情報を細かくするためには、磁極判定ポイントを増加させる必要がある。
ところが、磁極判定ポイントの増加を行うには、上述したホールセンサなどの検知手段を増やす必要が生じる。そして、センサを増加させると、その設置スペースが必要になるのみならず、センサを増加させることによるコスト増も問題になる。
したがって、この発明の目的は、設置する検知手段の数を最小限にしてコスト増を抑制しつつ、磁極判定ポイントを増加させて、磁極検出の精度を向上させ、リニアモータをより精度良く動作させることができる駆動案内システムおよび磁極検出方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、この発明の第1の発明は、
交流電流が供給されるコイルを有して構成される一次側と、磁極が交互に並んだ磁石を有して構成される二次側とから構成されるリニアモータと、
リニアモータの一次側と二次側との相対運動を案内する案内手段と、
少なくともリニアモータおよび案内手段を制御する制御手段と、
磁石の磁極を検知し、磁石の磁極に対応した0又は1の第1の信号を出力する磁極検知手段と、
磁石の1つの磁極ごとに1周期となる交流信号を、位相が互いにπ/2ずれた2つの第2の信号および第3の信号として出力することによって、リニアモータの一次側と二次側との相対的位置を検出する磁気検知手段と、
第2の信号における交流信号および第3の信号における交流信号を、それぞれ0又は1の信号に変換する信号変換手段と、を有し、
制御手段により、第1の信号、第2の信号および第3の信号の組み合わせを算出することによって、一次側の磁石の磁極内における位置を検出するように構成されていることを特徴とする駆動案内システムである。
この発明の第2の発明は、交流電流が供給されるコイルを有して構成される一次側と、磁極が交互に並んだ磁石を有して構成される二次側とから構成されるリニアモータにおける、磁石の磁極内の位置を検出する磁極検出方法において、
磁極検知手段により、磁石の磁極を検知し、磁石の磁極に対応した0又は1の第1の信号が出力され、磁気検知手段により、磁石の1つの磁極ごとに1周期となる交流信号が、位相が互いにπ/2ずれた2つの第2の信号および第3の信号として出力されて、リニアモータの一次側と二次側との相対的位置が検出されるとともに、第2の信号における交流信号および第3の信号における交流信号を、信号変換手段によりそれぞれ0又は1の信号にそれぞれ変換して、第1の信号、第2の信号および第3の信号の組み合わせを制御手段により算出して、一次側の磁石の磁極内における位置を検出することを特徴とする磁極検出方法である。
この発明の第3の発明は、交流電流が供給されるコイルを有して構成される一次側と、磁極が交互に並んだ磁石を有して構成される二次側とから構成されるリニアモータにおける、磁石の磁極内の位置を検出するための、制御手段により実行可能な磁極検出プログラムにおいて、
磁極検知手段により磁石の磁極が検知されて、磁極検知手段から磁石の磁極に対応した0又は1の第1の信号が制御手段に供給され、磁気検知手段により磁石の1つの磁極ごとに1周期となる交流信号が、位相が互いにπ/2ずれた2つの第2の信号および第3の信号として制御手段に供給され、第2の信号および第3の信号からリニアモータの一次側と二次側との相対的位置を算出するとともに、制御手段により、第2の信号における交流信号および第3の信号における交流信号がそれぞれ0又は1の信号にそれぞれ変換され、第1の信号、第2の信号および第3の信号の組み合わせにより、一次側の磁石の磁極内における位置を算出することを特徴とする磁極検出プログラムである。
この発明によれば、磁極検出手段からの第1の信号として、0および1が出力される1周期の間に、一つの磁気検知手段から、互いに位相がπ/2(rad)(90°)だけずれて0又は1に量子化された第2の信号および第3の信号を2周期分出力させることができる。そのため、第1の信号が0(又は1)を出力している間に、磁気検知手段からは、第2の信号と第3の信号として、互いにπ/2(90°)だけ位相がずれた0および1の値が出力される。これによって、単一の磁極(S極またはN極)において、第2の信号および第3の信号は、00、01,10,11の4通りの組み合わせが得られる。この4通りの組み合わせは、一対の磁極においてそれぞれ得られるため、第1の信号と、第2の信号および第3の信号との組み合わせは、全部で8通り得られる。すなわち、磁極検出手段かから1ビット、磁気検知手段から2ビットの、合計3ビットの出力が得られ、磁極の一対の組み合わせ(N極およびS極)に対して磁極を8分割して検出することが可能となる。
第1図は、この発明の一実施形態による駆動案内装置の構成を示す断面図である。 第2図は、この発明の一実施形態による駆動案内装置の構成を示す正面図である。 第3図は、この発明の一実施形態による駆動案内装置の構成を示す側面図である。 第4図は、この発明の一実施形態による駆動案内装置の案内機構を示す斜視図である。 第5図は、この発明の一実施形態による駆動案内装置および駆動ドライバの構成を説明するためのブロック図である。 第6図は、この発明の一実施形態による駆動案内装置においてドライバによる位置検出方法および磁極検出方法を説明するためのセンサの出力波形およびモータ駆動電流を示す図である。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。図1に、この発明を適用可能な駆動案内装置の一例を示す。
図1に示すように、リニアモータ10は電機子コイルを含む通電側である一次側11と、磁石などを備えた非通電側である二次側12とから構成されている。リニアモータ10の一次側11は、テーブル13を介して案内手段としての案内機構14の、移動台としての移動ブロック15に連結されている。また、リニアモータ10の二次側12は、ベース16に固定され、このベース16は定盤17の上面に固定されている。
また、ベース16には、移動ブロック15とともに案内手段を構成する2本のレール18が互いに平行に配設されている。そして、移動ブロック15はリニアモータ10から駆動力を得て、これらのレール18に沿って移動可能に構成されている。
また、この一実施形態による駆動案内装置は、リニアモータ10の一次側11とテーブル13との間に、一次側11において発生する熱がテーブル13に伝達するのを抑制する断熱材19が設けられている。このように、リニアモータ10の一次側11とテーブル13との間に断熱材19を設けることにより、一次側11の電機子コイル(図示せず)に駆動電流を通電させることによって生じる熱がテーブル13や移動ブロック15に伝達されなくなる。これによって、テーブル13や移動ブロック15の熱膨張を防止することができる。そのため、案内機構14の移動ブロック15、15の無限循環路に配列・収容された複数のボール等の転動体に与えられた予圧(接触圧)に変動を与えることなく、転がり抵抗を一定に維持することが可能となり、駆動案内装置の長寿命化を実現可能となる。
なお、この断熱材19は必ずしも設ける必要はなく、断熱材19の代わりにフィンなどの空冷手段を設けるようにしても良い。また、この断熱材19の材質としては、ガラス入りエポキシ樹脂材やセラミック材等が用いられる。また、テーブル13の下面と断熱材19に囲まれた部分に断熱空間として作用する凹部(図示せず)を設けて、一次側11からの輻射熱を遮断することも可能である。また、断熱材19はレール18の長手方向、すなわちテーブル13、移動ブロック15の運動方向に沿って長尺とすることにより、この方向に沿った剛性が増加し、発振現象を防止することができる。
(駆動案内装置の具体的構成例)
次に、この発明の一実施形態による駆動案内装置の具体的構成例について説明する。図2および図3に、この一実施形態による駆動案内装置の構成例を示す。図2および図3において、図1におけると同一符号を付した部分は同一又は相当部分を示す。
図2および図3に示すように、リニアモータ10の一次側11は電機子コイル及び電機子コアから構成され、二次側12はマグネットプレートで構成される。二次側12はベース16上に固定されている。マグネットプレートから構成されるリニアモータ10の二次側12の両側にはそれぞれレール18がベース16上に平行に配設(固定)されている。
また、このレール18には、それぞれ複数個(図においては2個)の移動ブロック15がレール18に沿って移動自在に配設されている。そして、テーブル13はそれぞれのレール18に移動自在に配設された複数個(図においては4個)の移動ブロック15に支持されている。
リニアモータ10の一次側11の電機子コイル(図示せず)に駆動電流を通電することによって、一次側11と二次側12との間に磁気相互作用が生じ、一次側11が二次側12に沿って移動する。その移動力がテーブル13を介して移動ブロック15に伝達されて、移動ブロック15はレール18に沿って移動する。
ベース16の両端部にはエンドプレート21が取り付けられ、このエンドプレート21には、それぞれストッパ22が取り付けられている。また、テーブル13の両端にはスクレーパ23が取り付けられている。
そして、図3に示すように、ベース16の一方の側部には、リニアモータ10の二次側12における磁石の磁極と同期するように磁極が交互に並べられた磁石からなるリニアスケール24が設けられている。ここで、リニアスケール24は二次側12に設けられており、リニアモータ10を駆動するための磁石と同じ周期で磁極が並べられて構成されている。
また、テーブル13の一方の側部には、このリニアスケール24を読み取り、テーブル13の移動位置(移動距離)を検出するための磁気検知手段としての例えばMRセンサからなる磁気センサ25aがブラケット26を介して取り付けられている。この磁気センサ25aからは、2つの交流波形が出力される。この2つの交流波形は、互いにπ/2(rad)(90°)だけ位相がずれ、リニアスケール24の磁極の並び、すなわち二次側12の磁石の磁極の並びの1周期に対して2周期の交流波形が出力される。
さらに、テーブル13の二次側12に対向した部分には、磁極検知手段としての例えばホール(HALL)センサからなる磁極センサ25bが設けられている。この磁極センサ25bにより、二次側12における磁石の磁極の種類が検知される。そして、磁極センサ25bからは、磁極に対応した0または1の信号が出力される。
また、図2に示すように、ベース16の他方の側部には、ケーブルチェーン取付板27が取り付けられ、テーブル13の他方の側部にはケーブルチェーン受け28が取り付けられている。ケーブルチェーン取付板27に配置されたリニアモータ10の一次側11に駆動電力を供給するための動力ケーブル29、信号を送受するための信号ケーブル30、一次側11を冷却するための水等を供給するナイロンチューブ31はケーブルチェーン受け28を通してリニアモータ10の一次側11に接続されている。
(案内機構)
図4に、案内手段としての案内機構14の詳細構成を示す。図4に示すように、断面矩形状のレール18には、その長手方向に沿って転動体転走面としてのボール転走溝18−1が左右側面に2条ずつ、計4条形成されている。また、移動ブロック15にはボール転走溝18−1に対向する負荷転動体転走路をなす負荷転走溝15−1を含む無限循環路が形成されている。さらに、この無限循環路には、レール18及び移動ブロック15の相対移動に伴ってボール転走溝18−1と負荷転走溝15−1との間で転動して循環する複数の転動体として複数のボール32が配列・収容されている。この案内機構14はラジアル方向の荷重、水平方向の荷重は勿論、各方向のモーメントなど、あらゆる方向の荷重を負荷できるように構成されている。
移動ブロック15は、負荷転走溝15−1及びこれに平行なボール戻し路が形成された移動ブロック本体15aと、移動ブロック本体15aの両端に結合されて該負荷転走溝15−1及びボール戻し路を連絡する方向転換路を有するエンドキャップ15bとから構成され、レール18を跨ぐように取り付けられている。移動ブロック15の上面はテーブル13が搭載され取り付けられるようになっている。この移動ブロック15に形成された負荷転走溝15−1は、レール18に形成されたそれぞれのボール転走溝18−1に対向して形成されており、これら負荷転走溝15−1とボール転走溝18−1との間に、転動体としての複数のボール32が挟み込まれている。これらのボール32は移動ブロック15の移動に伴い、エンドキャップ15bに形成された方向転換路を介してボール戻し路へと送り込まれ、再び負荷転走溝15−1に導かれ、無限循環路を循環する。
(モータ駆動ドライバ)
次に、以上のようにして構成された駆動案内装置(リニアモータアクチュエータ)を制御するモータ駆動ドライバについて説明する。図5に、この発明の一実施形態による駆動案内装置とモータ駆動ドライバのブロック図を示す。
図5に示すように、この一実施形態による駆動案内装置は、入力される駆動電流や出力される信号に基づくと、リニアモータとセンサ部とから構成される。すなわち、駆動案内装置は、3相コイルからなるモータ駆動回路を有する一次側11と、磁極が交互に並んで構成された、少なくとも1つの磁石を有する二次側12とから構成される。そして、この一実施形態において用いられるセンサ部は、従来技術において位置検出に用いられる磁気検知手段としてのMRセンサなどの磁気センサ25aと、磁極検知手段としてのHALLセンサからなる磁極センサ25bとから構成される。
磁気センサ25aからは、第2の信号および第3の信号として、互いに位相がπ/2(rad)(90°)だけずれた2つの交流波形からなる信号が出力される。すなわち、磁気センサ25aから出力される第2の信号がサイン波形(sinθ)であれば、第3の信号はコサイン波形(cosθ)となる。さらに、磁気センサ25aから出力される2つの交流波形は、二次側12の磁石の単一の磁極に対して1周期の波形である。すなわち、位置検出信号は、磁石のS極およびN極の一対の磁極において、2周期の交流波形として出力される。
他方、磁極センサ25bからは、0又は1の、第1の信号としての磁極検出信号が出力される。この磁極検出信号の出力波形は例えば矩形波であり、S極およびN極における単一の磁極に対して一対一に対応している。すなわち、磁極検出信号は、磁石の一つの磁極において、1周期の矩形の交流波形として出力される。
また、この一実施形態によるモータ駆動ドライバ101は、制御手段としての例えばCPUからなる制御回路103、出力電流制御回路104、インターポレータ105および比較器106を有して構成される。また、制御回路103には、磁極を検出する磁極検出部107と、一次側11と二次側12との相対的位置を検出する位置検出部108とが含まれている。
そして、磁極センサ25bから出力された磁極検出信号は、モータ駆動ドライバ101に入力され、制御回路103の磁極検出部107に供給される。他方、磁気センサ25aから出力された2つの位置検出信号(A/B相)もモータ駆動ドライバ101に入力される。
ここで、この一実施形態においては、磁気センサ25aから出力された2つの位置検出信号が、R/Dコンバータであるインターポレータ105に供給されるとともに、信号変換手段としての比較器106に供給される。インターポレータ105に供給された位置検出信号は、制御回路103の位置検出部108に供給され、従来公知の方法により、この位置検出部108によって一次側11と二次側12との相対的位置が検出される。
他方、信号変換手段としての比較器106に供給された位置検出信号は、例えば交流波形におけるピークピーク電圧(Vpp)の半分(Vpp/2)を閾値としてプラスかマイナスで比較されることにより、0又は1が出力される矩形波として出力される。そして、比較器106により矩形波となった2つの位置検出信号は、磁極検出部107に供給される。
そして、磁極センサ25bから出力された磁極検出信号と、比較器106によりいわゆる量子化されて矩形波となった2つの位置検出信号とは、制御回路103の磁極検出部107に供給される。すなわち、磁極検出部107には、磁気センサ25aおよび磁極センサ25bの2つのセンサから、0又は1に規格化された3つの信号が供給されることになる。
そして、この磁極検出部107において、第1の信号としての磁極検出信号、第2の信号および第3の信号としての2つの規格化された位置検出信号との組み合わせが算出され、二次側12の磁石の磁極内における位置が、後述の方法によって詳細に検出される。
(磁極検出方法)
以下に、この磁極検出部107における磁極検出プログラムに基づいて実行される磁極検出方法について、より詳細に説明する。この磁極検出方法は、制御回路103に設けられた記憶部(図示せず)に記憶された磁極検出プログラムに基づいて制御回路103における処理により実行される。図6に、二次側12の磁石の極性(マグネット極性)と、上述した磁極センサ25bの出力および磁気センサ25aの2つの交流波形を示す。なお、図6において、「磁極判定」とは、二次側12におけるリニアモータの一方の磁石の磁極内における位置を詳細に検出することである。
図6に示すように、マグネット極性に同期した状態で、磁極センサ25bから磁極検出信号が出力される。この一実施形態においては、N極の場合に「1」(またはオン状態)が出力され、S極の場合に「0」(またはオフ状態)が出力される。
また、この一実施形態において、磁気センサ25aからの位置検出信号としての出力は、一つの磁極内において1周期となり一対の磁極(N極およびS極)において2周期となる、サイン波形(図6中、磁気センサ出力A)および位相がπ/2(rad)(90°)ずれたコサイン波形(図6中、磁気センサ出力B)である。これらの2つの信号は、比較器106に供給されて、それぞれ下段の(比較器出力)と付記された2つの矩形波として、「0(またはオフ状態)」または「1(またはオン状態)」として出力される。なお、比較器106から出力された矩形波においても、相互にπ/2の位相ずれは維持されている。
以上の磁極センサ25bからの磁極検出信号と、比較器106から出力された2つの位置検出信号との合計3つの信号においては、それぞれの信号が「0」または「1」の2つの状態をとる。そのため、組み合わせとしては、2(ビット)×2(ビット)×2(ビット)=8(ビット)の8通りの組み合わせが可能となる。
そして、この一実施形態においては、図6の「磁極判定」に示すように、この組み合わせに基づいて一対の磁極内における一次側11と二次側12との相対的位置が8箇所のうちから1箇所検出可能となる。
具体的に例えば、磁極検出信号が「1」(マグネット極性がN極)、位置検出信号の一方の出力である磁気センサ25aから比較器106を経由した出力B(B相)が「1」、位置検出信号の他方の出力である磁気センサ25aから比較器106を経由した出力A(A相)が「0」の場合、磁極検出部107に入力される信号は「110」となる。そして、この「110」の信号が入力された磁極検出部107においては、二次側12に対する一次側11の相対的位置が、「判定箇所1」であることが算出される。この判定箇所1の状態において、図6の最下段に記載した駆動電流における判定箇所1に対応した3相の駆動電流が、出力電流制御回路104から一次側11に、それぞれモータ駆動電流として供給される。これによって、最適なトルクを確保してリニアモータ10を駆動させることができる。
すなわち、
磁極検出部107に入力される信号が「110」の時に、判定箇所1
磁極検出部107に入力される信号が「111」の時に、判定箇所2
磁極検出部107に入力される信号が「101」の時に、判定箇所3
磁極検出部107に入力される信号が「100」の時に、判定箇所4
磁極検出部107に入力される信号が「010」の時に、判定箇所5
磁極検出部107に入力される信号が「011」の時に、判定箇所6
磁極検出部107に入力される信号が「001」の時に、判定箇所7
磁極検出部107に入力される信号が「000」の時に、判定箇所8
となり、一対の磁極内における一次側11と二次側12との位置関係が決定され、これらの判定箇所に応じたモータ駆動電流を出力電流制御回路104から一次側11に供給することにより、磁極内の位置に応じて適切なモータ駆動電流を得ることができる。
以上説明したように、この一実施形態においては、従来技術による磁極判定の判定箇所が6箇所(π/3(60°)の位相差)であったのに対し、8箇所(π/4(45°)の位相差)に判定箇所を増加させることが可能となる。これにより、モータ駆動電流の位相を6分割から8分割にすることができるので、リニアモータの通電側に供給するモータ駆動電流をより細かく決定することが可能となり、リニアモータをより効率よく駆動させることが可能となる。
さらに、併せて、磁気センサ25aからの2相(A相/B相)のアナログ信号出力により、位置情報を検出することができるので、2つの検出手段としての磁気センサ25aおよび磁極センサ25bから出力される3つの信号によって、磁極検出と位置検出とを同時に実現することが可能となる。従って、設置する検知手段の数を最小限にしてコスト増を抑制しつつ、磁極判定ポイントを増加させて、磁極検出の精度を向上させ、リニアモータをより精度良く動作させることができる。
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
例えば、上述の一実施形態による駆動案内装置においては、駆動案内装置における通電側である一次側11と非通電側である二次側12とが並行に対向するような構成であるが、必ずしもこのような構成に限定されるものではなく、例えば、一次側11の内部に二次側12を貫通させるような構成を採用することも可能である。すなわち、磁極が交互に並べられた磁石からなる二次側12が、一次側11の電機子コイルの内部を貫通可能に構成され、二次側12が一次側に対して、相対移動可能になるようにしてもよい。
また、例えば上述した一実施形態においては、直動案内装置を例に説明したが、リニアモータにおいて位置検出に磁気検知手段を用いたあらゆる構成を採用することが可能である。すなわち、この発明は、スプライン、ねじ、アクチュエータ関連製品全般に適用することが可能である。
以上説明したように、この発明によれば、設置する検知手段の数を最小限の2つにしてコスト増を抑制しつつ、磁極判定ポイントを増加させて、磁極検出の精度を向上させ、リニアモータをより精度良く動作させることができる。

Claims (4)

  1. 交流電流が供給されるコイルを有して構成される一次側と、磁極が交互に並んだ磁石を有して構成される二次側とから構成されるリニアモータと、
    前記リニアモータの一次側と二次側との相対運動を案内する案内手段と、
    少なくとも前記リニアモータおよび前記案内手段を制御する制御手段と、
    前記磁石の磁極を検知し、前記磁石の磁極に対応した0又は1の第1の信号を出力する磁極検知手段と、
    前記磁石の1つの磁極ごとに1周期となる交流信号を、位相が互いにπ/2ずれた2つの第2の信号および第3の信号として出力することによって、前記リニアモータの一次側と二次側との相対的位置を検出する磁気検知手段と、
    前記第2の信号における交流信号および前記第3の信号における交流信号を、それぞれ0又は1の信号に変換する信号変換手段と、を有し、
    前記制御手段により、前記第1の信号、前記第2の信号および前記第3の信号の3つの信号によって前記一次側の前記磁石の磁極内における位置を検出するように構成されていることを特徴とする駆動案内システム。
  2. 前記案内手段が、レールと、前記レールに対して相対運動自在に配設された移動台とを有し、前記レールまたは前記移動台が前記リニアモータの一次側と連結されていることを特徴とする請求項1記載の駆動案内システム。
  3. 交流電流が供給されるコイルを有して構成される一次側と、磁極が交互に並んだ磁石を有して構成される二次側とから構成されるリニアモータにおける、前記磁石の磁極内の位置を検出する磁極検出方法において、
    磁極検知手段により、前記磁石の磁極を検知し、前記磁石の磁極に対応した0又は1の第1の信号が出力され、
    磁気検知手段により、前記磁石の1つの磁極ごとに1周期となる交流信号が、位相が互いにπ/2ずれた2つの第2の信号および第3の信号として出力されて、前記リニアモータの一次側と二次側との相対的位置が検出されるとともに、
    前記第2の信号における交流信号および前記第3の信号における交流信号を、信号変換手段によりそれぞれ0又は1の信号にそれぞれ変換して、
    前記第1の信号、前記第2の信号および前記第3の信号の3つの信号によって、前記一
    次側の前記磁石の磁極内における位置を検出する
    ことを特徴とする磁極検出方法。
  4. 交流電流が供給されるコイルを有して構成される一次側と、磁極が交互に並んだ磁石を有して構成される二次側とから構成されるリニアモータにおける、前記磁石の磁極内の位置を検出するための、制御手段により実行可能な磁極検出プログラムにおいて、
    磁極検知手段により前記磁石の磁極が検知されて、前記磁極検知手段から前記磁石の磁極に対応した0又は1の第1の信号が前記制御手段に供給され、
    磁気検知手段により前記磁石の1つの磁極ごとに1周期となる交流信号が、位相が互いにπ/2ずれた2つの第2の信号および第3の信号として前記制御手段に供給され、前記第2の信号および前記第3の信号から前記リニアモータの一次側と二次側との相対的位置を算出するとともに、
    前記制御手段により、前記第2の信号における交流信号および前記第3の信号における交流信号がそれぞれ0又は1の信号にそれぞれ変換され、
    前記第1の信号、前記第2の信号および前記第3の信号の3つの信号によって、前記一次側の前記磁石の磁極内における位置を算出する
    ことを特徴とする磁極検出プログラム。
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