JP5472221B2 - 電磁ポンプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、側面に周方向の一部の切り欠きによりポートが形成されたハウジングと、該ハウジング内を往復動することにより前記ポートを通じて流体を圧送するピストンと、該ピストンを往復動させる電磁部とを有する電磁ポンプを備える電磁ポンプ装置に関する。
従来、この種の電磁ポンプ装置としては、コイルと、コイルの電磁力により押圧を受けて圧力室の容積を変更するピストンと、ピストンを付勢する戻しばねと、吸入弁および吐出弁と、ピストンと戻しばねと吸入弁および吐出弁とを収容するポンプハウジングとからなるソレノイドポンプ(電磁ポンプ)と、このソレノイドポンプが装着される基体とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、ポンプハウジングの挿入部が、基体に形成された取付穴にOリングを介して油密に挿入されており、リング状の抜け止め部材により脱落不能に固定されている。
特開2011−21532号公報
上述した装置では、ポンプハウジングを基体に挿入する製造過程でOリングの破損(切れ)が生じたり、使用過程で経年劣化が生じたりすると、十分な油密を確保できない場合がある。不十分な油密は、ポンプの油漏れの原因となり、その性能を発揮できなくなるから、改善が望まれる。
本発明の電磁ポンプ装置は、ポンプの流体漏れを抑制して性能を発揮させることを主目的とする。
本発明の電磁ポンプ装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の電磁ポンプ装置は、
側面の周方向の一部に切り欠きによりポートが形成されたハウジングと、該ハウジング内を往復動することにより前記ポートを通じて流体を圧送するピストンと、該ピストンを往復動させる電磁部とを有する電磁ポンプを備える電磁ポンプ装置であって、
前記ハウジングを挿入可能な挿入孔と、該挿入孔に前記ハウジングが挿入されたときに前記ポートと連通する流路とが形成されたケースと、
前記ハウジングが前記ケースの挿入孔に挿入された状態で該ハウジングのポートを前記挿入孔の流路側に押し付ける押し付け部材と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の電磁ポンプ装置では、ケースに、電磁ポンプのハウジングを挿入可能な挿入孔と挿入孔にハウジングが挿入されたときにハウジングに形成されたポートと連通する流路とを形成し、押し付け部材により、ハウジングがケースの挿入孔に挿入された状態でハウジングのポートを挿入孔の流路側に押し付ける。これにより、シール部材を用いることなく、ハウジングのポート側の面と挿入孔の流路側の面との間のクリアランスを詰めることができるから、この間の流体漏れを抑制することができる。この結果、電磁ポンプの性能を十分に発揮させることができる。
こうした本発明の電磁ポンプ装置において、前記ハウジングは、流体を吸入する吸入ポートと、該吸入した流体を吐出する吐出ポートとを有し、少なくとも前記吐出ポートが側面の周方向の一部に切り欠きにより形成され、前記押し付け部材は、前記ハウジングの吐出ポートを前記挿入孔の流路側に押し付ける部材であるものとすることもできる。こうすれば、電磁ポンプの吐出ポートからの作動油の漏れを抑制することができる。
また、本発明の電磁ポンプ装置において、前記押し付け部材は、前記電磁ポンプを前記ケースに軸心周りに回動不能に固定するブラケット部材であるものとすることもできるし、前記押し付け部材は、端部を前記ケースに固定すると共に非端部領域で前記電磁ポンプを押圧するクランプ部材であるものとすることもできる。後者の場合、前記ハウジングは、側面にピン溝が形成され、前記ハウジングが前記ケースの挿入孔に挿入された状態で外部から前記ピン溝に挿入することにより該ハウジングの軸心周りの回動を規制すると共に引き抜きが不能にロックするピンと、前記ピンの抜けを防止するためのピン押さえ部材とを備え、前記クランプ部材は、前記ピン押さえ部材を兼ねてなるものとすることもできる。こうすれば、部品点数を少なくすることができ、構成を簡素化することができる。
本発明の一実施例としての電磁ポンプ装置10の構成の概略を示す構成図である。 実施例の電磁ポンプ装置10の組み付けの様子を示す説明図である。 実施例の電磁ポンプ装置10の組み付け後の外観を示す外観図である。 図1の電磁ポンプ装置10のA−A断面およびB−B断面を示す断面図である。 変形例の電磁ポンプ装置10Bの構成の概略を示す構成図である。 変形例の電磁ポンプ装置10Bの組付けの様子を示す説明図である。 変形例の電磁ポンプ装置10Bの組み付け後の外観を示す外観図である。 図5の電磁ポンプ装置10BのC−C断面およびD−D断面を示す断面図である。 変形例の電磁ポンプ装置110の構成の概略を示す構成図である。 変形例の電磁ポンプ装置110の回路構成を説明する説明図である。
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての電磁ポンプ装置10の構成の概略を示す構成図であり、図2は、実施例の電磁ポンプ装置10の組付けの様子を示す説明図であり、図3は、実施例の電磁ポンプ装置10の組み付け後の外観を示す外観図である。
実施例の電磁ポンプ装置10は、例えば、エンジンと自動変速機とを備える自動車に搭載されて自動変速機(クラッチ)を油圧制御するための油圧制御装置の一部として構成されており、図示するように、ソレノイド部30からの電磁力でピストン60を往復動させることにより作動油を圧送するピストンポンプとして構成された電磁ポンプ20と、電磁ポンプ20が組み付けられるバルブボディ80と、を備える。なお、油圧制御装置は、図示しないが、電磁ポンプ20の他に、エンジンからの動力により作動油を圧送する機械式オイルポンプや、機械式オイルポンプからの圧油を調圧してライン圧を生成するレギュレータバルブ、ライン圧を調圧してクラッチ(油圧室)に供給する調圧バルブ、各バルブを駆動するリニアソレノイドなどを備えている。
電磁ポンプ20は、電磁力を発生させるソレノイド部30と、ソレノイド部30の電磁力により作動するポンプ部40と、を備える。
ソレノイド部30は、底付き円筒部材としてのソレノイドケース31に、電磁コイル32,可動子としてのプランジャ34,固定子としてのコア36が配置されており、電磁コイル32に電流を印加することにより、ソレノイドケース31,プランジャ34,コア36を磁束が周回する磁気回路が形成され、プランジャ34が吸引されてプランジャ34の先端に当接するシャフト38を押し出す。
ポンプ部40は、ソレノイド部30からの電磁力でピストン60を往復動させることにより作動油を圧送するピストンポンプとして構成されており、一端がソレノイド部30のソレノイドケース31に接合された中空円筒状のシリンダ50と、シリンダ50内を摺動可能に配置され基端面がソレノイド部30のシャフト38の先端に同軸上で当接するピストン60と、ピストン60に先端面に当接しソレノイド部30からの電磁力が作用する方向とは逆向きにピストン60を付勢するスプリング72と、スプリング72をピストン60の先端面とは反対側から支持しポンプ室58への吸入する方向の作動油の流れを許可し逆方向の流れを禁止する吸入用逆止弁74と、ピストン60に内蔵されポンプ室58から吐出する方向の作動油の流れを許可し逆方向の流れを禁止する吐出用逆止弁76と、シリンダ50の他端をシリンダ50内にピストン60と吐出用逆止弁76と吸入用逆止弁74とが配置された状態で覆うシリンダカバー78と、を備える。ポンプ部40は、吸入ポート52がシリンダカバー78の軸中心に形成され、吐出ポート54がシリンダ50の側面に周方向の一部を切り欠くようにして形成されている。なお、吸入ポート52,吐出ポート54は、電磁ポンプ20がバルブボディ80に組み付けられると、それぞれバルブボディ80に形成された吸入用油路80a,吐出用油路80bに連通するようになっている。また、シリンダ50の側面には、後述する電磁ポンプ20のバルブボディ80への組み付けの際に、ピン92が係合されるピン溝55が形成されている(図2参照)。
ピストン60は、円筒形状のピストン本体62と、ピストン本体62よりも外径が小さく端面がソレノイド部30のシャフト38の先端に当接された円筒形状のシャフト部64とにより形成されており、ソレノイド部30のシャフト38に連動してシリンダ50内を往復動する。ピストン60は、軸中心に、円筒形状の底付き中空部62aが形成されており、この中空部62aに吐出用逆止弁76が配置されている。また、中空部62aは、ピストン60の先端面からピストン本体62内部を貫通しシャフト部64内部の途中まで延伸されている。シャフト部64には、径方向に、互いに90度の角度で交差する2本の貫通孔64a,64bが形成されている。シャフト部64の周囲には吐出ポート54が形成されており、中空部62aは2本の貫通孔64a,64bを介して吐出ポート54と連通している。
シリンダ50は、内壁56とピストン60の先端面と吸入用逆止弁74のスプリング72側の面とにより囲まれる空間によりポンプ室58を形成する。ポンプ室58は、スプリング72の付勢力によりピストン60が移動すると、ポンプ室58内の容積の拡大に伴って吸入用逆止弁74が開弁すると共に吐出用逆止弁76が閉弁して吸入ポート52を介して作動油を吸入し、ソレノイド部30の電磁力によりピストン60が移動すると、ポンプ室58内の容積の縮小に伴って吸入用逆止弁74が閉弁すると共に吐出用逆止弁76が開弁して吸入した作動油を吐出ポート54を介して吐出する。
また、シリンダ50は、ピストン本体62が摺動する内壁56と、シャフト部64が摺動する内壁57とが段差をもって形成されており、段差部分に吐出ポート54が形成されている。この段差部分は、ピストン本体62とシャフト部64との段差部分の環状の面とシャフト部64の外周面とにより囲まれる空間を形成する。この空間は、ピストン本体62を隔ててポンプ室58とは反対側に形成されるから、ポンプ室58の容積が拡大する際に容積が縮小し、ポンプ室58の容積が縮小する際に容積が拡大する。このとき、この空間の容積変化は、ピストン本体62のポンプ室58側からの圧力を受ける面積(受圧面積)が吐出ポート54側から圧力を受ける面積(受圧面積)よりも大きいため、ポンプ室58の容積変化よりも小さくなる。このため、この空間は第2のポンプ室59として機能する。即ち、スプリング72の付勢力によりピストン60が移動すると、ポンプ室58の容積の拡大分に相当する量の作動油が吸入ポート52から吸入用逆止弁74を介してポンプ室58に吸入される一方で第2のポンプ室59の容積の縮小分に相当する量の作動油が第2のポンプ室59から吐出ポート54を介して吐出され、ソレノイド部30の電磁力によりピストン60が移動すると、ポンプ室58の容積の縮小分に相当する量の作動油がポンプ室58から吐出用逆止弁76を介して第2のポンプ室59に送り出されると共にポンプ室58の容積の縮小分と第2のポンプ室59の容積の拡大分との差分に相当する量の作動油が吐出ポート54を介して吐出されることになる。したがって、ピストン60の一回の往復動で作動油が吐出ポート54から2回吐出されるから、吐出ムラを少なくすることができ、吐出性能を向上させることができる。以上、電磁ポンプ20の詳細について説明した。
こうして構成された実施例の電磁ポンプ20のバルブボディ80への組み付けは、図2および図3に示すように、シリンダ50をバルブボディ80に形成された中空円筒状の挿入孔82に挿入し、吐出ポート54が吐出用油路80bと連通するようにシリンダ50の軸心周りの位置決めを行なった後にピン92をピン穴84に通すことにより挿入孔82の内部でピン92をピン溝55に係合させ、ブラケット90により電磁ポンプ20をバルブボディ80に固定することにより行なう。ここで、ブラケット90は、ソレノイドケース31の外周面に溶接などにより接合されており、ブラケット90のボルト穴91をバルブボディ80側のボルト穴85に合わせ、ボルト穴91にボルト(図示せず)を通して締め付けることにより電磁ポンプ20をバルブボディ80に固定する。これにより、シリンダ50は、軸方向および軸心周りの回動方向に移動不能となる。また、シリンダ50は、ブラケット90により挿入孔82の片側に押し付けられ、押し付け方向におけるシリンダ50の外面と挿入孔82の内面とのクリアランスが詰められている。図4に、図1の電磁ポンプ装置10のA−A断面およびB−B断面を示す。なお、図4(a)にA−A断面を示し、図4(b)にB−B断面を示す。図示するように、ブラケット90は、シリンダ50の吐出ポート54を挿入孔82の吐出用油路80b側に押し付けており、吐出ポート54と吐出用油路80bとの間のクリアランスが詰められている。したがって、吐出ポート54から吐出用油路80bに作動油が吐出される際に漏れが生じるのを抑制することができる。
以上説明した実施例の電磁ポンプ装置10によれば、電磁ポンプ20をバルブボディ80の挿入孔82に挿入してブラケット90を取り付けたときに、ブラケット90によりシリンダ60の吐出ポート54を挿入孔82の吐出用油路80b側に押し付けた状態で電磁ポンプ20をバルブボディ80に固定するから、吐出ポート54と吐出用油路80bとの間で作動油の漏れが生じるのを抑制することができる。この結果、電磁ポンプ20の性能を発揮させることができる。しかも、ブラケット90により電磁ポンプ20を軸方向および軸心周りの回動方向に移動不能に固定するから、電磁ポンプ20のガタつきをなくすことができ、作動油の漏れを更に抑制することができる。
実施例の電磁ポンプ装置10では、吸入ポート52をシリンダ50の端面(シリンダカバー78)に形成するものとしたが、シリンダ50の側面に形成するものとしてもよい。この場合、吐出ポート54と同方向に形成するのが望ましい。
実施例の電磁ポンプ装置10では、シリンダ50をバルブボディ80の挿入孔82に挿入した状態でシリンダ50に形成されたピン溝55にピン92を係合させると共にブラケット90によりソレノイドケース31をバルブボディ80に固定するものとしたが、ブラケット90だけで電磁ポンプ20をバルブボディ80に固定するものとしてもよい。
実施例の電磁ポンプ装置10では、ブラケット90を用いて電磁ポンプ20をバルブボディ80の挿入孔82の片側に押し付けるものとしたが、ブラケット90に代えてクランプ90Bを用いるものとしてもよい。図5は、変形例の電磁ポンプ装置10Bの構成の概略を示す構成図であり、図6は、変形例の電磁ポンプ装置10Bの組付けの様子を示す説明図であり、図7は、変形例の電磁ポンプ装置10Bの組み付け後の外観を示す外観図である。変形例の電磁ポンプ装置10Bでは、バルブボディ80の上面に挿入孔82と連通する窓82aが形成されており、シリンダ50を窓82aを通してクランプ90Bにより挿入孔82の片側に押し付けている。この変形例では、電磁ポンプ20のバルブボディ80への組み付けは、図6および図7に示すように、シリンダ50をバルブボディ80の挿入孔82に挿入し、吐出ポート54が吐出用油路80bと連通するようにシリンダ50の軸心周りの位置決めを行なった後にピン92をピン穴84に通すことにより挿入孔82の内部でピン92をピン溝55に係合させ、クランプ90Bをバルブボディ80に取り付けることにより行なう。ここで、クランプ90Bは、中央部が下方に突出し、両端部にボルト穴91a,91bが形成されている。クランプ90Bの取り付けは、クランプ90Bのボルト穴91a,91bをそれぞれバルブボディ80のボルト穴86a,86bに合わせ、ボルト穴91a,91bにボルトを通して締め付けることにより行なう。このクランプ90Bは、図6および図7に示すように、ピン穴84を覆うように取り付けられるため、ピン92の抜けを防止するためのピン押さえとしても機能する。図8に、図5の電磁ポンプ装置10BのC−C断面およびD−D断面を示す断面図である。なお、図8(a)がC−C断面を示し、図8(b)にD−D断面を示す。図示するように、クランプ90Bは、シリンダ50の吐出ポート54が挿入孔82の吐出用油路80b側に押し付けており、吐出ポート54と吐出用油路80bとの間のクリアランスを詰められている。したがって、実施例と同様に、吐出ポート54から吐出用油路80bに作動油が吐出される際に漏れが生じるのを抑制することができる。
実施例の電磁ポンプ装置10やその変形例では、吸入用逆止弁74と吐出用逆止弁76とをシリンダ50に内蔵したタイプの電磁ポンプを用いるものとしたが、吸入用逆止弁74と吐出用逆止弁76のいずれか一方または両方をシリンダ50外のバルブボディ80に組み込むものとしてもよい。
実施例の電磁ポンプ装置10やその変形例では、電磁ポンプ20をシリンダ50とピストン60とを備えるポンプとして構成するものとしたが、スリーブとスプールとを備える電磁弁に電磁ポンプの機能を持たせるものとしてもよい。図9は、変形例の電磁ポンプ装置110の構成の概略を示す構成図であり、図10は、変形例の電磁ポンプ装置110の回路構成を説明する説明図である。変形例の電磁ポンプ装置110は、図示するように、リニアソレノイドバルブとして機能すると共に電磁ポンプとしても機能する電磁弁120と、電磁弁120が組み付けられるバルブボディ180と、を備える。電磁弁120は、実施例と同様にソレノイドケース31と電磁コイル32とプランジャ34とコア36とシャフト38とにより構成されるソレノイド部30と、ソレノイド部30からの電磁力により作動するバルブ部140と、を備え、切替バルブ170を介してクラッチ(油圧室)に接続されている。
バルブ部140は、一端がソレノイド部30のソレノイドケース31に接合された中空円筒状のスリーブ150と、スリーブ150内を摺動可能に配置され基端面がソレノイド部30のシャフト38の先端に同軸上で当接されたスプール160と、スプール160の先端面に当接しソレノイド部30からの電磁力が作用する方向とは逆向きにスプール160を付勢するスプリング162と、スリーブ150の他端にネジ止めされスプリング162をスプール160の先端面とは反対側から支持するエンドプレート164と、を備える。スリーブ150には、調圧室156と連通する入力ポート151と出力ポート152とドレンポート153とが形成されると共に、ポンプ室158と連通するポンプ用ポート154が形成されている。なお、入力ポート151,出力ポート152,ドレンポート153,ポンプ室用ポート154は、電磁弁120がバルブボディ180に組み付けられると、それぞれバルブボディ180に形成された入力用油路180a,出力用油路180b,ドレン用油路180c,ポンプ室用油路180dに連通するようになっている。
切替バルブ170は、信号圧用ポート172aと入力ポート172bと連絡ポート172c,172dと吸入ポート172eと入力ポート172fと吐出ポート172gと出力ポート172hとドレンポート172i,172jとポンプ室用ポート172k,172lと出力ポート172mの各種ポートが形成された中空円筒状のスリーブ172と、スリーブ172内を摺動可能に配置されたスプール174と、スプール174を付勢するスプリング175と、スリーブ172内に配置されポンプ室用油路180dを介して電磁弁120のポンプ室158と連通するようポンプ室178を形成する吸入用逆止弁176および吐出用逆止弁177と、を備える。信号圧用ポート172aは、スプール174をスプリング175の付勢力が作用する方向とは逆向きに押圧する信号圧を導入するポートであり、信号圧としてライン圧を入力する。また、入力ポート172bは、ライン圧を入力し、連絡ポート172c,172dは、図示しないオイルパンに接続されると共に吸入ポート172eに接続される。また、入力ポート172fは、電磁弁120の出力ポート152に出力用油路180bを介して接続され、吐出ポート172gと出力ポート172hは、クラッチに接続されている。さらに、ポンプ室用ポート172k,172lは、ポンプ室用油路180dを介して電磁弁120のポンプ室用ポート154に接続され、出力ポート172mはチェック弁179を介してクラッチに接続されている。
切替バルブ170は、ライン圧PLが信号圧用ポート172aに入力されていないときには、スプリング175の伸張を伴ってスプール174が図中上方に移動することにより、入力ポート172bと連絡ポート172d(吸入ポート172e)との連通を遮断し、連絡ポート172c,172d間を連通し、入力ポート172fと出力ポート172m(チェック弁179)とを連通し、入力ポート172fと出力ポート172hとの連通を遮断し、吸入ポート172eと吐出ポート172gとを吸入用逆止弁176および吐出用逆止弁177を介して連通し、ポンプ室用ポート172k,172lとドレンポート172i,172jとの連通を遮断する。切替バルブ170のポンプ室用ポート172k,172lは、ポンプ室用油路180dを介して電磁弁120のポンプ室用ポート154に接続されていることから、電磁弁120のポンプ室158と切替バルブ170のポンプ室178とが連通する。したがって、電磁弁120のスプリング162の付勢力によりスプール160が移動すると、ポンプ室158とポンプ室用油路180dとポンプ室178全体の容積が拡大し、吸入用逆止弁176が開弁すると共に吐出用逆止弁177が閉弁して連絡ポート172c,172d,吸入ポート172eを介して作動油を吸入する。また、電磁弁120のソレノイド部30の電磁力によりスプール160が移動すると、ポンプ室158とポンプ室用油路180dとポンプ室178全体の容積が縮小し、吸入用逆止弁176が閉弁すると共に吐出用逆止弁177が開弁して吐出ポート172gを介してクラッチに吐出される。
一方、ライン圧PLが信号圧用ポート172aに入力されているときには、ライン圧PLによりスプリング175の収縮を伴ってスプール174が図中下方に移動することにより、入力ポート172bと連絡ポート172d(吸入ポート172e)とを連通し、連絡ポート172c,172d間の連通を遮断し、入力ポート172fと出力ポート172m(チェック弁179)との連通を遮断し、入力ポート172fと出力ポート172hとを連通し、吸入ポート172eと吐出ポート172gとの連通を遮断し、ポンプ室用ポート172kとドレンポート172jとを連通する。したがって、電磁弁120をリニアソレノイドバルブとして機能させることにより、電磁弁120の出力ポート152から出力された作動油を出力用油路180bと入力ポート172fと出力ポート172hとを介してクラッチに供給することができる。このとき、ポンプ室158内に残存している作動油は、ポンプ室用ポート154からポンプ室用油路180d,ポンプ室用ポート172k,ドレンポート172jを介してドレンされ、ポンプ室178内に残存している作動油はポンプ室用ポート172lからポンプ室用ポート172k,ドレンポート172jを介してドレンされる。
こうした構成された電磁弁120をバルブボディ80の挿入孔182に挿入して組み付ける際には、上述したクランプやブラケットを用いて電磁弁120を挿入孔182の片側に押し付けることにより、ポンプ用ポート154とポンプ用油路180dとの間のクリアランスを詰めることができるから、実施例と同様の効果を奏することができる。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、シリンダ50が「ハウジング」に相当し、ピストン60が「ピストン」に相当し、吐出ポート54やポンプ室用ポート154が「ポート」に相当し、吐出用油路80bやポンプ室用油路180dが「流路」に相当し、ソレノイド部30が「電磁部」に相当し、バルブボディ80が「ケース」に相当し、ブラケット90やクランプ90Bが「押し付け部材」に相当する。また、吸入ポート52が「吸入ポート」に相当し、吐出ポート54が「吐出ポート」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、電磁ポンプ装置の製造産業に利用可能である。
10,10B,110 電磁ポンプ装置、20 電磁ポンプ、30 ソレノイド部、31 ソレノイドケース、32 電磁コイル、34 コア、36 プランジャ、38 シャフト、40 ポンプ部、50 シリンダ、52 吸入ポート、54 吐出ポート、55 ピン溝、56,57 内壁、58 ポンプ室、59 第2のポンプ室、60 ピストン、62 ピストン本体、62a 中空部、 64 シャフト部、64a,64b 貫通孔、72 スプリング、74 吸入用逆止弁、76 吐出用逆止弁、78 シリンダカバー、80,180 バルブボディ、80a 吸入用油路、80b 吐出用油路、82,182 挿入孔、82a 窓、84 ピン穴、85,86a,86b ボルト穴、90 ブラケット、90B クランプ、92 ピン、120 電磁弁、140 バルブ部、150 スリーブ、151 入力ポート、152 出力ポート、153 ドレンポート、154 ポンプ室用ポート、156 調圧室、158 ポンプ室、160 スプール、162 スプリング、164 エンドプレート、170 切替バルブ、172 スリーブ、172a 信号圧用ポート、172b 入力ポート、172c,172d 連絡ポート、172e 吸入ポート、172f 入力ポート、172g 吐出ポート、172h 出力ポート、172i,172j ドレンポート、172k,172l ポンプ室用ポート、174 スプール、175 スプリング、176 吸入用逆止弁、177 吐出用逆止弁、178 ポンプ室、180a 入力用油路、180b 出力用油路、180c ドレン用油路、180d ポンプ室用油路。

Claims (5)

  1. 側面の周方向の一部に切り欠きによりポートが形成されたハウジングと、該ハウジング内を往復動することにより前記ポートを通じて流体を圧送するピストンと、該ピストンを往復動させる電磁部とを有する電磁ポンプを備える電磁ポンプ装置であって、
    前記ハウジングを挿入可能な挿入孔と、該挿入孔に前記ハウジングが挿入されたときに前記ポートと連通する流路とが形成されたケースと、
    前記ハウジングが前記ケースの挿入孔に挿入された状態で該ハウジングのポートを前記挿入孔の流路側に押し付ける押し付け部材と、
    を備えることを特徴とする電磁ポンプ装置。
  2. 請求項1記載の電磁ポンプ装置であって、
    前記ハウジングは、流体を吸入する吸入ポートと、該吸入した流体を吐出する吐出ポートとを有し、少なくとも前記吐出ポートが側面の周方向の一部に切り欠きにより形成され、
    前記押し付け部材は、前記ハウジングの吐出ポートを前記挿入孔の流路側に押し付ける部材である
    ことを特徴とする電磁ポンプ装置。
  3. 前記押し付け部材は、前記電磁ポンプを前記ケースに軸心周りに回動不能に固定するブラケット部材であることを特徴とする請求項1または2記載の電磁ポンプ装置。
  4. 前記押し付け部材は、端部を前記ケースに固定すると共に非端部領域で前記電磁ポンプを押圧するクランプ部材であることを特徴とする請求項1または2記載の電磁ポンプ装置。
  5. 請求項4記載の電磁ポンプ装置であって、
    前記ハウジングは、側面にピン溝が形成され、
    前記ハウジングが前記ケースの挿入孔に挿入された状態で外部から前記ピン溝に挿入することにより該ハウジングの軸心周りの回動を規制すると共に引き抜きが不能にロックするピンと、
    前記ピンの抜けを防止するためのピン押さえ部材とを備え、
    前記クランプ部材は、前記ピン押さえ部材を兼ねてなる
    ことを特徴とする電磁ポンプ装置。
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