JP5468073B2 - タンパク質の定量方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多重反応モニタリング(multiple reaction monitoring:MRM )法を用いたタンパク質の定量方法に関する。より詳細には、本発明は、生体試料などのタンパク質混合物中に含まれる標的タンパク質の絶対量を測定するために有用な方法に関する。
生命は多数のタンパク質によって構成されるネットワークによってその恒常性を維持している。各種疾患はこの恒常性の破綻として捉えることができることから、各タンパク質の生体内での存在量は、疾患の分子機構の解明や診断のためのバイオマーカー、あるいは治療における予後判定の基準となりえる。かかる目的のためには、タンパク質の検出・定量において高い網羅性と高感度を両立させる必要があるが、現時点では実用上十分な技術は存在しない。
例えば高感度なタンパク質の検出法として、各タンパク質に対する特異的抗体を利用したウェスタン・ブロット法に代表される免疫化学的手法がある。しかし、免疫化学的手法では特異的抗体の取得が前提であり、また、得られる結果は使用する抗体の質に大きく左右される。また、免疫化学的手法で複数のタンパク質を検出するためには、それぞれのタンパク質に対する抗体をすべて揃え、各々の抗体で解析を繰り返す必要があり、実質的に網羅的解析は不可能である。
またタンパク質の網羅的解析法としては、質量分析計を基盤技術としたプロテオーム解析法が存在するが、従来のプロテオーム解析法では微量タンパク質の検出が極めて困難である。たとえば、典型的なプロテオーム発現解析法である二次元電気泳動では、検出できるタンパク質は発現量が高いタンパク質に限られる。また、LC-MS/MS法と安定同位体標識法(SILAC法, ICAT法、iTRAQ法)を組み合わせた定量的ショットガン・プロテオミクスを用いた場合でも、検出できるタンパク質は数百〜3,000程度であり、この範囲の検出数では微量タンパク質を検出・定量することは不可能である(非特許文献1〜3参照)。また、これらの方法は一般にタンパク質の絶対定量ではなく、相対定量を目的とするものである。このため、かかる方法を用いて異なる研究・検査機関で、個々に得られたタンパク質の定量値を、相互に比較し、タンパク質間の量的関係を導き出すのは困難である。
このような従来のタンパク質定量解析の問題点を克服するための手法として、従来低分子化合物の定量分析に用いられてきた多重反応モニタリング(multiple reaction monitoring:MRM)[選択反応モニタリング(selective reaction monitoring:SRM)とも言う]をペプチドの定量に利用することが提案されている(非特許文献4参照)。しかしながら、MRM法を行う場合、事前に対象ペプチドのMS/MSスペクトル情報を取得しておく必要がある。
通常、一つのタンパク質から酵素消化等によって生じるペプチドは、数十から時には数百におよぶこともある。この中からMRM法に資する標的ペプチドの選定が、本方法の感度を規定する上できわめて重要なステップとなる。現在、このMRM法のための標的ペプチドの選定は、ショットガン・プロテオーム解析で得られた実測スペクトルを流用する、あるいは特定条件に沿った理論的推定法に依存している。
しかしながら、微量タンパク質について実測スペクトルが得られることは稀であることや、理論的推定が必ずしも最高感度のペプチド選定を保証できるわけではないことから、MRM法を網羅的かつ高感度に行うためには、MRM標的ペプチドを効率良く選定するための方法の開発が必要である。
このため、現時点ではMRM法はショットガン・プロテオーム解析等で得られた結果を精査・確認するための方法論として認識されているに過ぎず、大規模なスクリーニング法としての利用は想定されていない。
Ong SE, Blagoev B, KratchmarovaI, Kristensen DB, Steen H, PandeyA, Mann M. Mol Cell Proteomics. 1(5):376-86.2002 Gygi SP, Rist B, Gerber SA, Turecek F, Gelb MH, Aebersold R.Nat Biotechnol. 17(10):994-9.1999 Tan HT, Tan S, Lin Q, Lim TK, Hew CL, Chung MC. Mol Cell Proteomics. 7(6):1174-85. 2008 Lange V, MalmstromJA, Didion J, King NL, Johansson BP, Schafer J, Rameseder J, Wong CH, Deutsch EW, BrusniakMY, Buhlmann P, Bjorck L, Domon B, Aebersold R. Mol Cell Proteomics. 7(8):1489-500, 2008 Lange V, Picotti P, Domon B, Aebersold R. Mol Syst Biol. 2008;4:222
本発明は、上記したタンパク質定量技術の現状および問題点を鑑み、多種類のタンパク質の混合物である生体試料中に含まれる標的タンパク質を絶対定量する方法、より好ましくは標的タンパク質の絶対定量を高速に実現することが可能な方法を提供することを目的とする。かかる本発明の方法によれば、近年充実してきたゲノム情報資産を利用することで、従来は特定タンパク質の解析手段であったMRM法を、タンパク質の超高感度大規模解析法に変換することも可能になる。
MRM法とは、特定質量を持つイオン(ここではペプチド)を通過させる質量フィルター(Q1)とガス衝突誘導開裂(CID: Collision Induced Dissociation)によって生じる断片を通過させる質量フィルター(Q3)の組み合わせ(MRM-transition:Q1とQ3の質量(m/z)の組み合わせ)を設定し、この二つの質量フィルターを通過できるイオン(ペプチド)を検出することで、複雑な試料中に含まれる特定成分を特異的に定量する方法である(非特許文献5)。
プロテオームが有する広大なダイナミックレンジの問題を解決できる新技術として期待されているが、MRM解析を行うためには、検出したいペプチドのCIDによって生じるフラグメントの質量情報(MS/MSスペクトル)を事前に知っておく必要がある。一般に、これらの情報はショットガン・プロテオミクス解析で得られたMS/MSスペクトルの情報が利用されているため、ショットガン解析で検出できない微量なタンパク質に対してMRM解析を行うことは困難である。この問題、特に後者の問題を解決するための手段として本発明に至った。
本発明は、下記の構成を有するものである:
項1.タンパク質を複数含む被験試料中の標的タンパク質を同定および定量する方法であって、下記の工程(A)〜(D)を有することを特徴とする方法:
(A)標的タンパク質を含む試料を断片化処理して、安定同位体Xで標識する工程、
(B)上記工程(A)で得られた試料に、標的タンパク質と同一の標準タンパク質を断片化処理して安定同位体Yで標識してなる既知量の内部標準物を添加する工程、
(C)上記工程(B)で得られた試料をLC-MS/MS装置に供し、内部標準物について選択したMRM-transitionを用いて、多重反応モニタリング(MRM)解析を行う工程、
(D)上記工程(C)で検出されたMRMクロマトグラムにおいて、内部標準物に由来するペプチド(内部標準ペプチド)と保持時間が一致する標的タンパク質に由来するペプチド(標的ペプチド)を同定し、内部標準ペプチドのピーク面積と標的ペプチドのピーク面積との対比から、被験試料中の標的タンパク質を定量する工程。
項2.上記MRM-transitionが、下記の工程(1)〜(3)を有する方法で選択されたものである項1記載の方法:
(1)標的タンパク質と同一の標準タンパク質を断片化処理して安定同位体Yで標識して内部標準物を調製する工程、
(2)上記工程(1)で得られた内部標準物をLC-MS/MS装置に供し、上記標準タンパク質に由来するペプチドに対応するペプチドフラグメントイオン強度を求める工程、
(3)一つのペプチドあたり強度が強いフラグメントイオンを2つ以上選択し、そのシグナル強度平均を求め、強度平均が高い順に2種類以上のペプチドを選択し、MRM-transitionとして選択する工程。
項3.工程(C)または(D)を、標準タンパク質について作成した較正標準表に基づいて行う、項1または2に記載する方法。
項4.標準タンパク質について較正標準表を作成する下記の工程(a)〜(d)を有する、項3に記載する方法:
(a)既知量の標準タンパク質を断片化処理して、安定同位体Yで標識して内部標準物を調製する工程、
(b)上記(a)で得られた内部標準物をLC-MS/MS装置に供し、内部標準物について選択したMRM-transitionを用いて、多重反応モニタリング(MRM)解析を行う工程、
(c)MRMクロマトグラムにおいて、検出されたペプチドのうち感度の高い順に2種類以上を選択し、それを保持時間とともにリスト化する工程、
(d)工程(c)で作成したリストを、当該標準タンパク質の較正標準表として使用するために保存する工程。
項5.2以上の標準タンパク質について、(a)〜(d)の工程を繰り返して、各標準タンパク質についてそれぞれ較正標準表を作成保存して、標準タンパク質のライブラリーを構築する工程を有する、項4に記載する方法。
本発明の方法によれば、第1に、タンパク質を直接定量するのではなく、消化処理により得たペプチド断片を定量するので、タンパク質分子の溶解性に影響されず、様々な化学的性質を持つタンパク質を同一の方法で取り扱うことが可能となる。
第2に、本発明の方法によれば、質量分析計を用いて測定を行うので、数fmolのタンパク質を定量することが可能である、
第3に、複数の標的タンパク質にそれぞれ対応する内部標準ペプチドを同時に使用することで、一度の分析から、複数の標的タンパク質の定量を行うことが可能となる。
実施例1において、PFTS を用いたMRM-transitionの選定手法を示す。(A)PFTS(mTRAQ-117標識p27Kip1消化物)を、データ依存自動MS/MS取得モードにてLC-MS/MS解析を行った結果を示す。横軸は時間(分)、縦軸は強度(cps)を示す。但し、具体的な数値そのものは発明の本質に特に関係するものではない。(B)Aで得られたデータを、MASCOTおよびProteinPilotにてデータベース検索し、MRM-transitionを選定し、選定したMRM-transitionにて実際にPFTS(mTRAQ-117標識p27Kip1消化物)を試料としたMRM解析を行い、シグナル強度が強い二つのペプチド(矢印)を定量用transitionとした。図B中、横軸は時間(分)、縦軸は強度(cps)を示す。但し、具体的な数値そのものは発明の本質に特に関係するものではない。 PFTSを用いて作成した検量線を示す。mTRAQ-113 p27Kip1消化物/mTRAQ-117 p27Kip1消化物の面積比を算出し、mTRAQ-113 p27Kip1消化物の濃度に対してプロットした検量線である。 実施例2においてモデル細胞としてSkp2遺伝子ノックダウンHeLa細胞(Skp2KD1-2細胞、Skp2KD3-10細胞)を調製し、組み換えp27Kip1を対照標品としてウェスタン・ブロットによる細胞内のp27Kip1量を測定した結果を示す。 実施例1において、PFTS(mTRAQ-117標識p27Kip1消化物)を用いて作製したp27Kip1のMRM-transition(2種類のペプチド)および検量線を用いて、MRM解析を行い、Skp2遺伝子ノックダウン細胞中(Skp2KD1-2細胞、Skp2KD3-10細胞)のp27Kip1の存在量(絶対量)をコントロール細胞(Mock)と比較した結果を示す。図4Aは、MRM解析を行ったクロマトグラムを示す。横軸は時間(分)、縦軸は強度(cps)を示す。但し、具体的な数値そのものは発明の本質に特に関係するものではない。図4Bは、その結果から、各細胞抽出物(コントロール細胞(Mock)、ノックダウン細胞(Skp2 KD 1-2細胞)、ノックダウン細胞(Skp2 KD 3-10細胞))(20μg)中のp27Kip1の含有量を示す。図4A中、矢印aは試料に由来するピークを、また矢印bは内部標準物に由来するピークを示す。
本発明の方法は、タンパク質を複数含む被験試料に含まれる標的タンパク質を同定および定量する方法であり、下記の工程(A)〜(D)を有することを特徴とする:
(A)標的タンパク質を含む試料を断片化処理して、安定同位体Xで標識する工程、
(B)上記工程(A)で得られた試料に、標的タンパク質と同一の標準タンパク質を断片化処理して安定同位体Yで標識してなる既知量の内部標準物を添加する工程、
(C)上記工程(B)で得られた試料をLC-MS/MSに供し、内部標準物について選択したMRM-transitionを用いて、多重反応モニタリング(MRM)解析を行う工程、
(D)上記工程(C)で検出されたMRMクロマトグラムにおいて、内部標準物に由来するペプチド(内部標準ペプチド)と保持時間が一致する標的タンパク質に由来するペプチド(標的ペプチド)を同定し、内部標準ペプチドのピーク面積と標的ペプチドのピーク面積との対比から、被験試料中の標的タンパク質を定量する工程。
本発明の方法が対象とする被験試料はタンパク質を2以上含むものであればよく、特に制限されない。かかる試料としては、微生物、植物、および動物(ヒトを含む)等の生体に由来する試料(生体試料)を挙げることができる。具体的には、血液、尿、唾液、毛髪、細胞および細胞組織、並びにその処理物、また遺伝子組み換え技術によって得られるタンパク質含有試料などを挙げることができる。
以下、各工程について説明する。
工程(A)(断片化処理および標識処理)
当該工程では、まず標的タンパク質を断片化処理してペプチドの集合物とし、次いでこれを安定同位体Xで標識する操作が行われる。
標的タンパク質の断片化には、標的タンパク質を、例えばトリプシン等で代表されるタンパク分解酵素(プロテアーゼ)で消化処理する方法、臭化シアンに代表される化学的切断方法を使用することができる。好ましくはプロテアーゼによる消化処理である。なお、タンパク質の分解的消化が完結まで進行する場合には、所与のモル量のタンパク質は各トリプシンペプチド解裂生成物に対して同一のモル量を生じることが知られている。このため所与のタンパク質のトリプシンペプチドのモル量を求めることによって、試料中に存在している元のタンパク質のモル量を求めることが可能になる。すなわち、プロテアーゼ消化物(ペプチドの集合物)中に含まれる標的タンパク質に由来するペプチドの絶対量を求めることにより、標的タンパク質の絶対量を求めることが可能になる。従って、タンパク質の分解的消化を完結まで進行させるために、トリプシンによるプロテアーゼ消化処理に先立ち、還元及びアルキル化処理を行い、標的タンパク質に含まれるジスルフィド結合を還元しアルキル化しておくことが好ましい。
次いで得られた消化物(ペプチド集合物)は安定同位体Xによる標識に供される。安定同位体Xとしては、水素原子であればHとH,炭素原子であれば12Cと13C、および窒素原子であれば14Nと15Nを挙げることができ、これらの中から任意に選択することができる。ここで安定同位体Xによる標識は、安定同位体を含んだ試薬を上記消化物(ペプチド集合物)と反応させることによって実施することができる。かかる商業的に入手可能な試薬としては、アミン特異的な安定同位体試薬キットであるmTRAQ(登録商標)(Applied Biosystems社製)を好適に例示することができる。当該mTRAQは、同位体標識により一定質量差を持たせた2ないし3種類の試薬(mTRAQ-lightとmTRAQ-heavy, あるいはmTRAQ-D0、mTRAQ-D4, およびmTRAQ-D8)からなり、ペプチドのN端またはリジン残基の一級アミンに結合する。
工程(B)(内部標準物の添加)
当該工程において、上記工程(A)で得られた試料に、既知量の内部標準物が添加される。ここで使用される内部標準物は、測定対象である標的タンパク質と同一のアミノ酸配列からなるタンパク質(標準タンパク質)を断片化処理し、得られた消化物(ペプチド集合物)について、安定同位体Yで標識されてなるものである。ここで断片化処理は、前述する標的タンパク質と同一の方法で実施することができる。また、安定同位体Yによる標識も標的タンパク質の場合と同様に実施することができる。しかし、ここで使用される安定同位体Yは、標的タンパク質の消化物に対する標識に使用する前述の安定同位体Xとは、質量が異なる同位体を使用することが必要である。例えば、前述するmTRAQ(登録商標)(Applied Biosystems社製)を使用する場合、標的タンパク質の消化物に対する標識には、例えばmTRAQ-lightを用いた場合、標準ペプチドの消化物に対する標識には、mTRAQ-heavyを用いることが必要である。
工程(C)(LC-MS/MSおよびMRM解析)
当該工程では、まず上記工程(B)で得られた試料をLC-MS/MS装置に供し、次いで内部標準物について選択したMRM-transitionを用いて、多重反応モニタリング(MRM)解析が行われる。
LC-MS/MS装置のLC(液体クロマトグラフィー)により、上記工程(B)で得られた試料(安定同位体で標識されたペプチド集合物)は、まず一次元または多次元の高速液体クロマトグラフィーにより分離される。
ここで液体クロマトグラフィーとして、具体的には、ペプチドの電荷の違いを利用して分離を行なう陽イオン交換クロマトグラフィー、ペプチドの疎水性の違いを利用して分離を行なう逆相クロマトグラフィーを挙げることができ、両者を組み合わせて使用することもできる。
次いで分離された各ペプチドについて、質量分析計を2台直列に連結したタンデム質量分析装置(MS/MS装置)を用いて、タンデム質量分析(MS/MS)を行う。質量分析計を用いることで、数fmolの標的タンパク質の検出が可能となる。そのうえ、MS/MS分析を行なうことで、ペプチドの内部配列情報を解析することが可能となり、擬陽性の無い同定が可能となる。質量分析におけるイオン化の方法はソフトイオン化法であるエレクトロスプレーイオン化法(ESI法)を用いることが好ましい。質量分析では、各種イオン化法により生成したペプチド由来イオンはアナライザーで質量に応じて分離される。例えば、磁場型質量分離装置(Sector MS)、四重極型質量分離装置(QMS)、飛行時間型質量分離装置(TOFMS)、フーリエ変換イオンサイクロトロン型質量分離装置(FT-ICRMS)が挙げられ、さらにこれらを組み合わせたアナライザーが例示される。
本発明の方法では、上記標的ペプチドの選別に際して、内部標準物について選択したMRM-transitionを用いて、多重反応モニタリング(MRM)解析を行うことを特徴とする。
ここで、MRM-transitionの選択、およびそれを用いた標的ペプチドの選別は、下記の工程(1)〜(3)を有する方法で行うことができる。
(1)標的タンパク質と同一の標準タンパク質を断片化処理して安定同位体Yで標識して内部標準物を調製する工程、
(2)上記工程(1)で得られた内部標準物をLC-MS/MS装置に供し、上記標準タンパク質に由来するペプチドに対応するペプチドイオン強度を求める工程、
(3)一つのペプチドあたり強度が強いフラグメントイオを2つ以上選択し、そのシグナル強度平均を求め、強度平均が高い順に2種類以上のペプチドを選択し、MRM-transitionとして選択する工程。
ここで(1)および(2)の工程は、標的タンパク質と同一のアミノ酸配列からなる組み換えタンパク質(標準タンパク質)について、前述するように、トリプシンなどの蛋白質分解酵素によって消化し、次いで安定同位体で標識したもの(例えばmTRAQ試薬のheavyなど:IS標識とする)を、プリカーサー-フラグメント遷移選定評品(Precursor-fragment transition selection standard:PFTS)として、LC-MSによって自動MS/MS解析モードで測定することによって実施される。ここで標準タンパク質は完全長cDNAライブラリーをもとに作製した組み換えタンパク質であることが好ましい。
次いで、得られたデータを検索エンジンにかけることでスペクトルの帰属を行い、各タンパク質に対して実験的に検出されるペプチドのリスト化を行う。検出されたペプチドをタンパク質毎にグループ化するとともに、各MS/MSスペクトルからプリカーサーイオンより大きなm/zを有するフラグメント3つ以上とm/z 500以上のフラグメント3つ以上を、スペクトル上のシグナル強度順に選定する。このうち強度が強いものから順に2つ以上を選定し、その強度平均をMRR-transitionの期待感度とする。ひとつのタンパク質から複数のペプチドが検出された場合は、この期待感度を指標に最も感度が高いペプチドを標準ペプチドとして2つ以上選定する。なお、PFTSは単一の組み換えタンパク質精製品からなるものであってもよいし、また複数タンパク質の混合物よりなるものであってもよい。
なお、上記方法で期待感度が高いペプチド(標準タンパク質について選別される標準ペプチド)については、液体クロマトグラフィーにおけるクロマトグラム(例えば逆相クロマトグラム)上での溶出時間(保持時間)を、カラム個体間で誤差が生じないように再現性よく取得しておくことが好ましい。具体的には2つ以上の標準ペプチドの溶出時間を用いてクロマトグラムを標準化し、溶出時間の誤差を±1分以内に収めるようにすることが好ましい。こうすることで、溶出時間依存的なMRM解析(Scheduled MRM解析)も可能になり、一度の分析で定量できるタンパク質数が飛躍的に増加する(400タンパク質/run程度)。
工程(D)(被験試料中の標的タンパク質の定量)
当該工程は、上記工程(C)で検出されたMRMクロマトグラムにおいて、内部標準物に由来するペプチド(内部標準ペプチド)と保持時間が一致する標的タンパク質に由来するペプチド(標的ペプチド)を同定し、内部標準ペプチドのピーク面積と標的ペプチドのピーク面積との対比から、被験試料中の標的タンパク質を定量する工程である。
標的タンパク質の定量は、標準タンパク質について事前に作成した検量線を利用して行うことができる。
検量線の作成は、下記の方法により行うことができる。
まず標的タンパク質と同一のアミノ酸配列からなる組み換えタンパク質(標準タンパク質)について、前述するように、トリプシンなどの蛋白質分解酵素によって消化し、次いで異なる2種類の安定同位体で標識(一方を内部標準ペプチドの標識に使用する安定同位体で標識し(IS標識)、他方を標的ペプチドの標識に使用する安定同位体で標識する(T標識))を施した、濃度既知のプリカーサー-フラグメント遷移選定評品(Precursor-fragment transition selection standard:PFTS)を作成し、一定量のIS標識PTFSに対して、種々濃度のT標識PTFSを混合した複数の試料を作製し、これらの試料を前述するLC-MS/MS装置に供して、MRM解析を行う。斯くして得られたMRMクロマトグラムの、IS標識PTFSに対するT標識PTFSの面積比(T標識PTFS/IS標識PTFS)を、T標識PTFSの量に対してプロットすることで検量線を作製する(図2参照)。
かかる検量線を利用することにより、被験試料中に含まれる標的タンパク質の絶対量を算出することができる。
なお、本発明の方法において、各標的タンパク質に応じた標準タンパク質について、事前にMRM-transition、標準タンパク質に由来する標準ペプチド、および当該標準ペプチドに関するLC-MS/MSにおける保持時間などについて、予め較正標準表が作成されていることが好ましい。また、各標的タンパク質に応じた標準タンパク質について、予め前述する検量線が作成されていることが好ましい。この場合、かかる較正標準表および検量線を参照して、前述する工程(C)および(D)を実施することができる。
かかる較正標準表の作成は、下記の方法により行うことができる。
(a)既知量の標準タンパク質を断片化処理して、安定同位体Yで標識して内部標準物を調製する工程、
(b)上記(a)で得られた内部標準物をLC-MS/MS装置に供し、内部標準物について選択したMRM-transitionを用いて、多重反応モニタリング(MRM)解析を行う工程、
(c)MRMクロマトグラムにおいて、検出されたペプチドのうち感度の高い順に2種類以上選択し、その保持時間とともにリスト化する工程、
(d)工程(c)で作成したリストを、当該標準タンパク質の較正標準表として使用するために保存する工程。
なお、2以上の標準タンパク質について、上記(a)〜(d)の工程を繰り返して、各標準タンパク質についてそれぞれ較正標準表を作成保存して、標準タンパク質のライブラリーを構築してもよい。かかるライブラリーの構築により、本発明の方法によりすべてのタンパク質について絶対的な定量が可能になる。
本発明は、タンパク質の量を測定する方法であるが、リン酸化、糖鎖化、ニトロ化、シトルリン化などの翻訳後修飾を受ける部分に対応する内部標準ペプチドを、翻訳後修飾部位を含んだペプチドとして合成し使用することで、翻訳後修飾を受けた標的タンパク質の量を測定することが可能となる。また、生体内に存在するペプチドに対する内部標準ペプチドを合成し使用すれば、ペプチドの量を測定することも可能となる。
実施例1 PFTS を用いたMRM-transitionの選定と検量線作成
(1)組換えヒトサイクリン依存性キナーゼ阻害タンパク質(組換えp27Kip1)のcDNAからの調製
ヒトサイクリン依存性キナーゼ阻害タンパク質であるp27Kip1 のcDNAをpGEX-6P1大腸菌発現ベクターに組み込み、大腸菌にGST融合タンパク質として発現させた。次いでGST融合p27Kip1をグルタチオンセファロースに結合させた後、GST部分をPrecission protease (GE Healthcare)処理によって切断し溶出した。斯くして得られた組み換えp27Kip1を、電気泳動に供して、その純度および濃度を測定した。
(2)組換えp27Kip1の酵素処理(消化)
上記で調製した精製済みのp27Kip1(600ng)を、7Mグアニジン塩酸を含む100 mM Tris-HCl(pH8.5)100μlに溶解し、86℃にて1時間インキュベーションした。これを、急冷後、等量の100 mM Tris-HCl(pH8.5)と混合し、0.1μgのリシルエンドペプチダーゼを添加して、一晩インキュベーション(37℃)を行った。
次いで、100 mM TCEP(Tris(2-carboxyethyl)phosphine)5μlを添加して、56℃にて30分間還元処理(ジスルフィド結合の切断)した後、室温に戻し、5μlの500 mM ヨードアセトアミドを添加して、室温にて30 分間放置した。これを600μlの精製水にて希釈した後、0.1μgのトリプシンを添加し、一晩インキュベーション(37℃)を行った。
得られた処理物(p27Kip1消化物)をSepPAK C18(日本ウォーターズ(株)製) (50 mg)を用いて脱塩処理した後、遠心濃縮を行った。
(3)安定同位体標識
遠心濃縮して得られた乾燥処理物(p27Kip1消化物)を40μlのiTRAQバッファー(Applied Biosystems製:iTRAQ試薬キットに添付)に再溶解し、二つのチューブに等量分注し、各々、mTRAQ-light(mTRAQ-113:1unit)およびmTRAQ-heavy(mTRAQ-117:1unit)で、室温にて2時間処理して標識した。これに100μlの超純水を加えて混和し、室温にて1 時間放置した後、再度遠心濃縮し、各々20μlの0.5% トリフルオロ酢酸水溶液に再溶解し、ストック試料とした(mTRAQ-113標識p27Kip1消化物、mTRAQ-117標識p27Kip1消化物:各々10 pmol/ul)。
(4)LC-MS/MS解析
mTRAQ-heavy(mTRAQ-117)で標識したp27Kip1消化物(mTRAQ-117標識p27Kip1消化物)をプリカーサー・フラグメント遷移選定標品(PFTS)として、この20 fmolを、多次元クロマトグラフィ用HPLCシステム(Paradigm MS2:Michrom社製)とオートサンプラー(HTS-PAL:HCT社製)を連結したトリプル四重極質量分析システム(QTRAP5500:AB/Sciex社製)で、LC-MS/MS解析(IDAモード)を行った。なお、分析カラムとして、L-column (化学物質評価機構製:充填剤径3 μm, 内径100μm, カラム長15cm)を用い、移動相Aは0.1%蟻酸/2容量% メタノール水溶液、移動相Bは0.1%蟻酸/98%メタノール水溶液、流量は0.2mL/分、グラジエントは、5−95%移動相B/30分間、95−95%移動相B/10分間、95−5%移動相B/1分間、5−5%移動相B/20分間で測定した。結果を図1Aに示す。
得られたデータは、データベース検索サイトMASCOTおよびPloteinPilotソフトウェア(Applied Biosystems製)にて、ヒトタンパク質データベースであるhuman IPI version 3.1.6に対して検索を行った。
検索によって同定されたペプチドのうち、期待感度が高い10種類のペプチドを選定し、それぞれのペプチドに対して2種類以上のフラグメントイオン(MRM-transition)を選定した。選定したMRM-transitionにて実際にmTRAQ-117標識p27Kip1消化物を試料として、再びMRM解析を行った。
結果を図1Bに示す。得られたMRMクロマトグラムから2種類のペプチド(図1B中で矢印で示す)が高感度に検出できることが判明した。この2種類のペプチドについて高感度なMRM-transition設定情報と保持時間を記録した。
(5)p27Kip1の定量
(3)で調製したmTRAQ-117標識p27Kip1消化物とmTRAQ-113標識p27Kip1消化物を表1に示す割合で混合し、その1μlを用いてMRMの測定を行った。得られたMRMクロマトグラムをMultiQuant(Applied Biosystems社)で解析することでmTRAQ-113 p27Kip1消化物/mTRAQ-117 p27Kip1消化物の面積比を算出し、これをmTRAQ-113 p27Kip1消化物の濃度に対してプロットし、検量線を作製し、MultiQuant用検量線ファイルとして保存した(図2参照)。
Figure 0005468073
図2から、検量線が直線に乗っており、その定量の信頼性が保証されていることが確認された。
実施例2 MRM法による内在性タンパク質の絶対定量
(1)内在性タンパク質の調製
Skp2タンパク質をコードする遺伝子をノックダウンしたHeLa細胞(Skp2 KD 1-2およびSkp2 KD3-10)、およびコントロール細胞(Mock)を原料として、細胞抽出物を調製した。なお、Skp2タンパク質は、実施例1で調製したp27Kip1(ヒトサイクリン依存性キナーゼ阻害タンパク質)のユビキチン化酵素である。
ノックダウンによる細胞中のSkp2タンパク質の減少(図3下段)およびそれによるp27Kip1の蓄積(図3上段)をウェスタン・ブロット法にて確認した。結果を図3に示す。20μg細胞抽出物中のp27Kip1の存在量を概算すると、コントロール細胞(Mock)では3 fmol、ノックダウン細胞(Skp2 KD 1-2細胞)では20 fmol、ノックダウン細胞(Skp2 KD 3-10細胞)では10 fmolであることが確認された。
(2)酵素処理(消化)
上記で調製した細胞抽出物100μgを、TCA沈澱した後、アセトンにて洗浄し、次いで7 Mグアニジン塩酸を含む100 mM Tris-HCl(pH8.5)100μlに溶解し、86℃にて1時間インキュベーションした。次いで、急冷したのちに等量の100 mM Tris-HCl(pH8.5)と混合し、1μgのリシルエンドペプチダーゼを添加して、一晩インキュベーション(37℃)を行った。
これに100 mM TCEPを5μl添加して、56℃にて30分間還元処理した後、室温に戻し、500mM ヨードアセトアミドを5μl添加して、室温にて30分間放置した。これを600μlの精製水にて希釈した後、トリプシンを1μg添加し、一晩インキュベーション(37℃)を行った。
得られた処置物(消化物)をSepPAK C18 (日本ウォーターズ(株)製)(50 mg)を用いて脱塩処理後、遠心濃縮を行った。
(3)安定同位体標識
遠心濃縮して得られた乾燥処理物(消化物)を20μlのiTRAQバッファー(Applied Biosystems製:iTRAQ試薬キットに添付)に再溶解し、mTRAQ-light(mTRAQ-113)(1 unit)で室温にて2時間処理して標識した。これに100μlの超純水を加えて混和し、室温にて1時間放置した後、再度遠心濃縮し、20μlの0.5% トリフルオロ酢酸水溶液に再溶解した。これに内部標準物質として500 fmolのp27Kip1-heavy(mTRAQ-117標識p27Kip1消化物)を添加し、逆相マイクロカラムにて脱塩し、遠心濃縮を行った。
(4)LC-MS/MS解析
2μg(10 fmol のp27Kip1-heavyを含む)を用いてMRM解析を行った。結果を図4AおよびBに示す。図4Aからわかるように、内部標準物質(p27Kip1-heavy)由来のMRMピークと全く重なる試料由来のピークが検出された。本実測データをMultiQuant(Applied Biosystems社)で読み込み、その面積比を算出させ、ステップ4で得た検量線を呼び出すことで、試料中のp27Kip1-light(p27Kip1-113)の絶対量を算出した。その結果から、図4Bに示すように、20μg細胞抽出物中のp27Kip1の含有量は、コントロール細胞(Mock)では3 fmol、ノックダウン細胞(Skp2 KD 1-2細胞)では約17 fmol、ノックダウン細胞(Skp2 KD 3-10細胞)では約11 fmolであり、上記概算値とほぼ一致していることが確認された。

Claims (5)

  1. タンパク質を複数含む被験試料中の標的タンパク質を同定および定量する方法であって、下記の工程(A)〜(D)を有することを特徴とする方法:
    (A)標的タンパク質を含む試料を断片化処理して、安定同位体Xで標識する工程、
    (B)上記工程(A)で得られた試料に、標的タンパク質と同一の標準タンパク質を断片化処理して安定同位体Yで標識してなる既知量の内部標準物を添加する工程、
    (C)上記工程(B)で得られた試料をLC-MS/MS装置に供し、内部標準物について選択したMRM-transitionを用いて、多重反応モニタリング(MRM)解析を行う工程、
    (D)上記工程(C)で検出されたMRMクロマトグラムにおいて、内部標準物に由来するペプチド(内部標準ペプチド)と保持時間が一致する標的タンパク質に由来するペプチド(標的ペプチド)を同定し、内部標準ペプチドのピーク面積と標的ペプチドのピーク面積との対比から、被験試料中の標的タンパク質を定量する工程。
  2. 上記MRM-transitionが、下記の工程(1)〜(3)を有する方法で選択されたものである請求項1記載の方法:
    (1)標的タンパク質と同一の標準タンパク質を断片化処理して安定同位体Yで標識して内部標準物を調製する工程、
    (2)上記工程(1)で得られた内部標準物をLC-MS/MS装置に供し、上記標準タンパク質に由来するペプチドに対応するペプチドイオン強度を求める工程、
    (3)ペプチドイオン強度の高い順に少なくとも3つ選択して、それらの強度平均をMRM-transitionとして選択する工程。
  3. 工程(D)を、標準タンパク質について作成した較正標準表に基づいて行う、請求項1または2に記載する方法。
  4. 標準タンパク質について較正標準表を作成する下記の工程(a)〜(d)を有する、請求項3に記載する方法:
    (a)既知量の標準タンパク質を断片化処理して、安定同位体Yで標識して内部標準物を調製する工程、
    (b)上記(a)で得られた内部標準物をLC-MS/MS装置に供し、内部標準物について選択したMRM-transitionを用いて、多重反応モニタリング(MRM)解析を行う工程、
    (c)MRMクロマトグラムにおいて、検出されたペプチドのうち感度の高い順に2種類以上選択し、その保持時間とともにリスト化する工程、
    (d)工程(c)で作成したリストを、当該標準タンパク質の較正標準表として使用するために保存する工程。
  5. 2以上の標準タンパク質について、(a)〜(d)の工程を繰り返して、各標準タンパク質についてそれぞれ較正標準表を作成保存して、標準タンパク質のライブラリーを構築する工程を有する、請求項4に記載する方法。
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