JP5466949B2 - 編地移送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トッピング装置を使用して、編地を針床の編針から外しマガジン針が列設されたマガジンに預けおく際に、トッピング装置のトッピング針からマガジン針に編地を移動させるための編地移送装置に関する。
横編機では、歯口部を挟んで対向する針床から編針を歯口に進出させ、歯口の上方から給糸した編糸を編針のフックに引っ掛けて針床に引き込むことで編地の編成が行われている。歯口への編糸の給糸は、歯口の上方で針床の長手方向に往復運動する給糸部材の給糸口から行う。このような横編機を使用することで、例えばセーターやカーディガンなどを無縫製で編成することができる。
一方で、デザイン上の都合などにより、複数の編地をリンキング処理して衣類を完成させたいというニーズもある。例えば、セーターなどで身頃と衿とを別々に編成し、後工程においてリンキングすることが行われている。この場合、身頃と衿との接合位置における編目同士を対応させた状態でリンキングすると、仕上がりが美しく、着心地の良いセーターとすることができる。しかし、リンキングの際に、出来上がった身頃と衿の編目をいちいち合わせることは煩雑で時間もかかるので、生産効率が悪い。
上記のような問題点を解決するために、例えば、特許文献1や2に記載のトッピング装置が提案されている。トッピング装置とは、針床の編針と一対一対応したトッピング針を列設した軸部と、軸部を支えて移動させるアームとを備え、自動で編地を針床の編針から外し、トッピング針と一対一対応したマガジン針が列設されるマガジンに預けおく装置である。このトッピング装置により、編地をマガジンに連続的に移送して、マガジンに預けおかれた編地が所定数に達したら、マガジンごとリンキング工程にまわすことで、効率的に衣類を完成することができる。
このようなトッピング装置でマガジンに編地を移送する際には、トッピング針からマガジン針への編地の受け渡しを円滑に行う構成が必要になる。例えば、特許文献1の図1には、マガジン(10)側に、マガジン(10)とは別部材で編地の移送装置(11)が設けられている。また、特許文献2の図5には、マガジン針(5)の近傍に、同針(5)に係止される編地を奥に押し込む装置(49)が設けられている。
米国特許第3446042号明細書 独国特許発明第2005439号明細書
しかし、これらの文献に記載の編地の移送装置は、マガジン針に覆いかぶさるようにマガジン針の近傍に固定して設けられているため、編地が預けおかれたマガジンの取り扱いが煩雑になるという問題がある。特に、マガジン針に預けおかれた編地をリンキング工程にまわすときに、上記移送装置が邪魔でマガジンを取り外しにくい。
そこで、本発明の目的の一つは、トッピング装置のトッピング針からマガジンのマガジン針に編地を移動させることができると共に、マガジンの取り扱いを容易にすることができる編地移送装置を提供することにある。
本発明は、横編機の針床で編成された編地の編目を係止するトッピング針を備えるトッピング装置により、前記編目を前記針床から取り外してマガジン針に受け渡す際に、前記トッピング針から前記マガジン針に前記編目を移動させるための編地移送装置に係る。本発明の編地移送装置は、前記トッピング針近傍でトッピング装置に回転自在に支持される回転軸部と、前記回転軸部に列設される複数の編地移送プレートと、前記回転軸部を回転させる駆動機構とを備える。そして、前記回転軸部を回転させることで、前記編地移送プレートを隣接するトッピング針の間に介在させて、前記編地移送プレートの縁部によりトッピング針からマガジン針に編地を送り出すように構成されていることを特徴とする。
本発明の一形態として、トッピング針に係止される編目の並列方向におけるトッピング針からマガジン針への編地の移動に時間差が生じるように、前記複数の編地移送プレートの少なくとも一部が、その他の編地移送プレートに対して前記縁部がずれた状態に配置されていることが好ましい。このような構成として、代表的には、形状の同じ編地移送プレートを縁部がずれるように配置する構成と、形状の異なる編地移送プレートを使用する構成の2つが挙げられる。
上述した列設される編地移送プレートの縁部をずらして編地の移動に時間差を設けるにあたり、前記複数の編地移送プレートの少なくとも一部を、その他の編地移送プレートと形状が異なるように形成する場合、マガジン針に移動された編地の編目が最終的に編目の並列方向に揃うように、前記形状の異なる編地移送プレートの各々に、縁部の形状が一致する共通縁部を形成することが好ましい。
本発明の編地移送装置によれば、編地の受け取り側であるマガジン近傍の構成を簡素にすることができ、その結果、マガジン近傍にフリースペースが形成される。そのため、横編機へのマガジンの取り付け、取り外しが容易であり、後工程の編地のリンキング工程を円滑に行うことができる。また、マガジンの近傍に形成されるフリースペースを利用して、一台の横編機に複数のマガジンを設けることができる。さらに、一台の横編機に対して複数のマガジンを設けた場合でも、編地移送装置は一つで済むので、経済的である。
また、列設される複数の編地移送プレートのうち、少なくとも一部の編地移送プレートを、その他の編地移送プレートと縁部がずれるように配置することで、トッピング針に係止される編目の並列方向における編地の移動に時間差を設けることができる。この構成により、トッピング針に係止される編地の編目が複数回に分けてマガジン針に移送されるため、回転軸部を回転させる駆動機構への負荷を軽減することができる。そのため、よりコンパクトな駆動機構を採用することができ、本発明の編地移送装置が取り付けられるトッピング装置への負荷も低減できる。さらに、トッピング装置への負荷が低減すれば、トッピング装置をコンパクト化することも可能になる。
また、列設される編地移送プレートの縁部をずらすにあたって、形状の異なるプレートを採用すると共に、これら形状の異なる編地移送プレートの各々に、縁部の形状が一致する共通縁部を設けることで、編地をマガジンに移動させたときに、マガジン針に係止される編地の編目を最終的に編目の並列方向に揃えることができる。マガジンに預け置かれる編地の編目を編目の並列方向に揃えることで、後工程において、マガジンに係止される編地と、この編地とは別に編成された編地とをリンキングする際に、両編地の編目を容易に対応させることができる。
実施形態に示す横編機の概略正面図である。 実施形態に示す横編機の概略側面図である。 (a)は形状の異なる5つの編地移送プレートの正面図であり、(b)〜(f)は(a)で示したプレートを備える編地移送装置で編地を移動させる様子を示した説明図である。 実施形態に示すトッピング装置で編地を移送する過程を示す第一説明図であって、第三軸部がSからBに移動する様子を示す。 図4における歯口近傍の拡大図である。 実施形態に示すトッピング装置で編地を移送する過程を示す第二説明図であって、第三軸部がBからDに移動する様子を示す。 実施形態に示すトッピング装置で編地を移送する過程を示す第三説明図であって、第三軸部がDからEに移動する様子を示す。 実施形態に示すトッピング装置で編地を移送する過程を示す第四説明図であって、第三軸部がEからHに移動する様子を示す。 実施形態に示すトッピング装置で編地を移送する過程を示す第五説明図であって、(a)は図8の状態から編地移送装置を作動させたときのトッピング針とマガジン針と編地移送装置の位置関係を、(b)は(a)の状態からマガジン針の根元側に編地を押し込む際に第三軸部がHからJに移動したときの軌跡を、(c)は第三軸部がJにあるときのトッピング針とマガジン針と編地移送装置の位置関係を示す。
符号の説明
1 横編機
2 トッピング装置
21 第一軸部 22 第二軸部 23 第三軸部
201 第一アーム対 202 第二アーム対
m1〜m4 モーター c2〜c4 動力伝達部材
25 トッピング針
3 マガジン
31 マガジン針 32 マガジンバー
4 編地移送装置
41,41A,41B,41C,41D,41E 編地移送プレート
410 基部 411 嵌合部 415 突出部
44 第四軸部(回転軸部)
42A,42B,42C,42D,42E 押圧縁部 43 共通縁部
5 針床 51 前針床 52 後針床 50 キャリッジ
501 針本体 502 スライダ
6 給糸部材 61 糸道レール
7 支持部材 71 支持腕部 72 支持柱部
8 編糸 80 編地
8c コーン 8t 天バネ装置
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の編地移送装置を具えるトッピング装置を取り付けた横編機の正面図を、図2は横編機の左側面図を示す。
横編機1は、対向して配置される前後一対の針床5(前針床51、後針床52)の間の歯口に給糸部材6から編糸8を給糸して、針床5に列設される編針により編地を編成する機械である。編針は、針床5上を往復するキャリッジ50に搭載されるカムシステム(図示せず)の作用により歯口に対して進退することで、ニット、タック、ミスの3つの編成動作と前後の針床の間で編目の受け渡しを行う。
給糸部材6は、コーンスタンドに設置されたコーン8cから、天バネ装置8t、横編機の側方のサイドテンション装置(図示せず)を介して繰り出された編糸8の供給を受ける。この給糸部材6は、横編機1の両端に立設される支持部材7間に架設され、前針床51の上方で針床5の長手方向に沿って伸びる複数の糸道レール61にスライド自在に取り付けられている。
このような横編機1を使用して編地80を編成した場合、通常、編み上がった編地80は、歯口の下方に送り出されて、横編機1下方の取り出し口から回収される。しかし、この横編機1で、例えば、衿だけを連続的に編成し、後工程において編み上がった衿を衿とは別に編成した身頃にリンキングする場合、衿の最終コースの編目を、編針に係止されていたときの並列状態を維持したまま置いておくとリンキングする際に便利である。そこで、図1、2に例示する横編機1は、針床5の編針に係止される編地80を、最終コースの編目の並列状態を維持したまま編針から外すトッピング装置2と、トッピング装置2から編地80を受け取って編地80を一時的に置いておくマガジン3(図1では省略)と、トッピング装置2からマガジン3に編地を移す編地移送装置4(図1では省略)とを備える。
上記トッピング装置2は、図2に示すように、針床5の編針に係止される編地80を取りにいき、編地80を針床5の上方に取り出して、給糸部材6の上方に設置されるマガジン3に移送する装置である。このトッピング装置2からマガジン3への編地80の受け渡しは、トッピング装置2の先端(後述する第三軸部23)に設けた編地移送装置4により行う。以下、トッピング装置2、マガジン3、編地移送装置4について詳細に説明すると共に、編地の移動の様子を説明する。
<トッピング装置>
トッピング装置2は、互いに平行な第一軸部21、第二軸部22、第三軸部23および第一軸部21と第二軸部22とを繋ぐ第一アーム対201、第二軸部22と第三軸部23とを繋ぐ第二アーム対202、並びに、第三軸部23に列設されるトッピング針25とを備える。
第一軸部21は、糸道レール61の上方で針床5に平行に伸びるように架設されている。より具体的には、第一軸部21は、支持部材7の一部であって、糸道レール61よりもさらに上方に伸び、且つ、給糸部材6が並ぶ編機手前側とは反対の編機奥側に湾曲する支持腕部71に回転自在に支持されている。つまり、第一軸部21は、後針床52の歯口側上方に配置され、給糸部材6やキャリッジ50のスライドの邪魔にならないようになっている。この第一軸部21は、モーターm1により、支持腕部71に対して回転する。さらに、第一軸部21の内部には後述する第二軸部22を回転させるためのモーターm2が配置されている。
第一軸部21と第二軸部22とを繋ぐ第一アーム対201は、第一軸部21の両端部から第一軸部21の軸方向と直交する方向に伸びる一対のI型片である。各I型片の一端側は、第一軸部21に固定されており、第一軸部21を回転させることで第一軸部21の軸心を中心に回転する。また、I型片の長さは、I型片(第一アーム対201)を回転させたときに横編機本体からはみ出ない長さである。さらに、一方のI型片の内部には、第一軸部21の内部に配置されるモーターm2の動力を伝達する動力伝達部材(例えば、チェーンやタイミングベルトなど)c2が配置されている。
第一軸部21と反対側の第一アーム対201の端部には、各アームの端部を繋ぐように第二軸部22が回転自在に支持されており、動力伝達部材c2を介して伝達されるモーターm2の駆動力により回転する。第二軸部22の一方の端部(図1の紙面右側)には、後述する第三軸部23を回転させるためのモーターm3が内蔵されている。また、第二軸部22の他方の端部(図1の紙面左側)には、後述する編地移送装置4(図2を参照)の第四軸部44(図5を参照)を回転させるためのモーターm4が内蔵されている。
第二軸部22と第三軸部23とを繋ぐ第二アーム対202は、第二軸部22の両端部における第一アーム対201よりも内側の位置から第二軸部22の軸方向と直交する方向に伸びる一対のL型片である。各L型片の一辺は、第二軸部22に固定され、L型片の他辺が第二軸部22の軸方向に対して直交する方向に伸びるように配されている。また、L型片の他辺の長さは、第一アーム対201の長さよりも短く形成されており、第二アーム対202を回転させたときに、第二アーム対202の先端部や、第二アーム対202に取り付けられる第三軸部23および編地移送装置4が、第一アーム対201を支持する第一軸部21に接触しないようになっている。
第二軸部22と反対側の第二アーム対202の端部(L型片の他辺端部)には、第二アーム対202を繋ぐように第三軸部23が第二軸部22に平行に架設されている。第三軸部23は、第三軸部23の軸心を中心に回転自在に支持されており、動力伝達部材c3を介して伝達されるモーターm3の駆動力により回転するように構成されている。また、この第三軸部23には、針床5に係止される編地80をすくい取るトッピング針25が固定されている。トッピング針25は、L字型の針であり、針床5に列設される編針と同じ数だけ第三軸部23の軸方向に列設されている。このトッピング針25は、その先端側の所定領域が断面V字状に形成されている。
なお、トッピング装置の各部は、図4の二点鎖線で示す待機位置から、予め決められた回転角度、回転速度で動作するようにコンピュータにより制御されている。
<編地移送装置>
さらに、第三軸部23には、トッピング針25に係止された編地80の編目を、トッピング針25から外す方向に送り出す編地移送装置4が設けられている。編地移送装置4は、図9に示すように、第三軸部23に沿うように第二アーム対202に回転自在に支持される第四軸部(回転軸部)44と、第四軸部44の軸方向に列設される複数の編地移送プレート41と、第四軸部44を回転させる駆動機構(図1のモーターm4)とを備える。なお、モーターm4は、既に述べたように第二軸部22に内蔵され、動力伝達部材c4を介して第四軸部44を回転させる。
編地移送プレート41は、第四軸部44を貫通する貫通孔を有する環状の基部410と、基部410から径方向外方に突出する突出部415とを備える板状片である(図3と図9を合わせて参照)。各編地移送プレート41は、第四軸部44を回転させたときに、隣接するトッピング針25の間に介在されるように第四軸部44に列設されており、突出部415の縁部で編地80をトッピング針25から押し出すことができる。
本実施形態では、図3(a)に示す形状の異なる5つの編地移送プレート41A〜41Eを使用している。各編地移送プレート41A〜41Eの基部410には嵌合部411が設けられており、編地移送プレート41を第四軸部44に嵌め込んだときに突出部415の突出方向が規定されるようになっている。また、突出部415には、編地移送プレート41を回転させたときに、トッピング針25に係止される編地80を押圧して編地80をトッピング針25から外れる方向に送り出す押圧縁部42A〜42Eと、送り出された編地80をさらに押圧して、マガジン針31における最終的な編地80の位置決めを行う共通縁部43とが設けられている。なお、編地移送プレート41Eは、突出部415における同一個所が押圧縁部42Eと共通縁部43とを兼ねる。
また、本実施形態では、同じ形の編地移送プレートを12枚連続して並べたものを1ユニットとして、この12枚を一単位とするユニットを図1の左側から編地移送プレート41Aのユニット→41B→41C→41D→41E→41D→41C→41B…の順に並ぶように配置した。なお、ユニットの配置順は、上記のものに限定されるわけではなく、ユニットを構成する編地移送プレートの数も特に限定されない。また、隣接する編地移送プレート同士が形状の異なる編地移送プレートとなるように配置しても良い。さらに、形状の異なる編地移送プレートの数は、任意に選択することができ、全ての編地移送プレートの形状を同一としてもかまわない。
上述の異なる形状の5つの編地移送プレート41A〜41Eを第四軸部44に配置すると、図3(b)に示すように、各編地移送プレートの押圧縁部42A〜42Eがずれて配置されると共に、共通縁部43が一致した状態になる。この状態で、編地移送プレート41A〜41Eを回転させると、まず初めに編地移送プレート41Aの押圧縁部42Aが編地80に接触して編地80を送り出す(図3(c)参照)。さらに、編地移送プレート41A〜41Eを回転させると、図3(d),(e)に示すように、編地80における紙面手前側の部分が、編地移送プレート41Aよりも紙面手前側に位置する編地移送プレート41B,41Cの押圧縁部42B,42Cにより送り出される。そして、最終的には、編地80が各プレート41A〜41Eの共通縁部43にほぼ接する状態、即ち、紙面垂直方向に編地80の編目が揃った状態になる(図3(f)を参照)。
上述したように、列設される編地移送プレート41A〜41Eの押圧縁部42A〜42Eがずれて配置されていることにより、編地80の編目が列設される方向における編地80の移動に時間差を設けることができる。つまり、この構成によれば、トッピング針25に係止される編目を一斉にマガジン針31に移すのではなく、順次移すことができるので、編地移送プレート41A〜41Eを回転させる駆動機構(図1のモーターm4)への負荷を低減できる。そのため、編地移送プレート41A〜41Eを回転させる駆動機構に小型のモーターを採用できるので、編地移送装置4を含むトッピング装置2の大型化を回避することができる。
<マガジン>
トッピング装置2で針床5から外した編地80は、マガジン3に取りおかれる。本実施形態では、3つのマガジン3は、支持部材7の一部であって、支持腕部71からさらに上方に伸びる支持柱部72に着脱自在に取り付けられている。各マガジン3は、図7〜9に示すように、各軸部21〜23に平行に伸びるマガジンバー32と、マガジンバー32に列設されるマガジン針31とを備える。マガジン針31は、トッピング針25と同数配置されており、マガジンバー32の長手方向における列設位置は、第四軸部44の軸方向におけるトッピング針25の列設位置と一対一で対応している。即ち、マガジンバー32の長手方向におけるマガジン針31の列設位置は、針床長手方向における編針の列設位置とも対応している。また、マガジン針31は、その先端側の所定領域が、断面逆V字状に形成されており、この逆V字状の溝にトッピング針25のV字状先端部を収納できるようになっている。なお、本実施形態のトッピング装置2は3つ軸部21,22,23と2組のアーム対201,202を有する構成のため、編地の移送範囲が広く、マガジン3の配置位置をトッピング針25の届く範囲で任意に選択することができる。
<トッピング装置を使用した編地の移送過程>
以上の構成を備えるトッピング装置で編地を移送する過程を図4〜9に基づいて以下に説明する。図4,6〜9は、トッピング装置で編地を移送する過程を経時的に説明する説明図であり、図5は、図4における歯口近傍の拡大図である。これら図4,6〜9において、第二軸部22の中心軸の軌跡と、第三軸部23の中心軸の軌跡を図中に一点鎖線で示すと共に、第三軸部23の軌跡における要となる位置にアルファベットを付している。また、図4〜9において、編地80の移送に関係のない横編機の構成、例えば、給糸部材などは図示を省略する。さらに、図中の編地移送プレート41として、図3に示す編地移送プレート41Aのみを代表して図示する。
本実施形態では、図4に示すように、後針床52に係止される編地80(例えば、衿など)を、待機位置(図中、二点鎖線で示す)にあるトッピング装置2で取りにいく例を説明する。
まず、編地80の編成が終了したら、図5に示すように、編針のスライダ502を歯口に進出させ、編地80の編目を針本体501のフックから外してスライダ502に係止させておく。本実施形態における編針は、先端部にタングを有する2枚のブレードを含むスライダ502と、先端部にフックを有する針本体501とで構成される複合針(例えば、特許2917146号公報を参照)を使用しており、スライダ502に係止される編目は、二枚のスライダ502で広げられた状態になる。
次に、図4の二点鎖線で示す待機位置にあるトッピング装置2を駆動して編地80を取りにいく。具体的には、各アーム対201,202を回転させ、第三軸部23をSからAに移動させることで、トッピング針25のL字の先端が編目80のほぼ真横に水平状態で配置される。そして、第三軸部23をAからBに移動させることで、トッピング針25の先端が水平移動して、2枚のスライダ502の間に差し込まれる(図5を合わせて参照)。
次に、スライダ502を後針床52に引き込んで、編針から編地80を完全に外して、トッピング針25に編地80の編目が係止された状態にすると共に、編地80を後述するマガジンに移送する際に、トッピング針25に受け渡された編地80が編針に引っ掛からないようにする。次いで、図6に示すように、第三軸部23を反時計回りに回転させて、編地80の編目がトッピング針25の屈曲位置にくるようにして、編地80の移送時に編地80がトッピング針25から外れないようにする。そして、第三軸部23をほぼ垂直に引き上げた(BからCに移動させた)後、Dに移動させ、トッピング装置2をほぼ待機位置の状態に戻す。なお、第三軸部23を一旦垂直に引き上げることで、第三軸部23がDに移動する過程で編地80が編針に引っ掛かり難くなる。また、後述する編地80の移送中にも、編地80の編目が常にトッピング針25の屈曲位置にあるように、トッピング針25の姿勢を保ち、編地80がトッピング針25から外れないように、トッピング装置2の各構成を制御する。
さらに、図7に示すように、アーム対201,202を回転させて、編地80が3段のマガジン3の近傍に来るように、第三軸部23をDからEに移動させる。なお、本実施形態では次述のように、中段に位置するマガジンン3に編地80を預ける操作を説明するが、上段と下段に編地80を預けるときにも、トッピング装置2は、一旦、第三軸部23がEの位置となる図7の実線の配置をとる。
最後に、図8,9に示すように、トッピング針25からマガジン3のマガジン針31に編地80を受け渡す。より具体的には、第三軸部23をEからFに移動させると共に第三軸部23を回転させ、トッピング針25の先端部分をマガジン針31と平行で、且つ、マガジン針31よりも低い位置に配置する。次いで、第三軸部23をFからGに移動させ、上面視したときにトッピング針25とマガジン針31とが重なるようにする。このとき、トッピング針25は、マガジン針31よりも低い位置にあるため両者が接触して損傷することがない。そして、第三軸部23をGからHに移動させ、マガジン針31の逆V字溝にトッピング針25のV字状先端が嵌め込まれるようにする。この嵌め込みにより、両針25,31がほぼ段差なく連結されるので、トッピング針25からマガジン針31に編目を円滑に案内することができる。
次に、図9(a)に示すように、編地移送装置4の編地移送プレート41を反時計回りに回転させて、突起部415の押圧縁部42で編地80をマガジン針31側に押し込み、トッピング針25に係止されていた編地80の編目をマガジン針31に受け渡す。このとき、共通縁部43が編地80にほぼ接した状態になる。また、図9では省略されているが、図3を参照して既に説明したように、第四軸部44に列設される全ての編地移送プレート41A〜41Eの共通縁部43が揃った状態にある。
さらに、図9(b),(c)に示すように、第三軸部23をH→G→F→I→Jの順に移動させることで、共通縁部43で編地80の編目をマガジン針31の根元側にさらに押し込む。このとき、列設される編地移送プレート41の共通縁部43が揃った状態にあるので、マガジン針31に係止される全ての編目を、編目の並列方向に揃った状態で押し込むことができる。また、この追加の押し込みは、トッピング装置2のアームの駆動によってのみ行われるので、編地移送装置2の駆動機構に負荷はかからない。なお、編地80の押し込み量は、トッピング装置2の各構成の駆動量を調節することで、制御可能である。
上記のように共通縁部43で編地80の編目をさらに押し込む際に、編地80の押し込み量を変化させることで、一つのマガジン3に複数の編地を預けおくときに、各編地80をマガジン針31の奥側(根元側)から手前側(先端側)にかけてマガジン針31の針長を有効に利用しつつ、移送順に従って係止させることができる。なお、第三軸部23がI,Jの位置にあるときには、トッピング針25はマガジン針31の上にあり、両針25,31が接触・損傷することはない。
編地80の押し込みが終了したら、図9(b)に示すように、第三軸部23の位置をEに戻し、さらにトッピング装置全体を待機位置(図4の二点鎖線で示す配置)に戻し、編地80の移送を完了する。そして、針床5での編地80の編成と、編地80のマガジン3への移送をくり返し、所定数の編地80がマガジン3に係止されれば、マガジン3を横編機1から取り外して、リンキング工程に回す。
以上説明した横編機1に備わる編地移送装置4は、トッピング装置2に設けられているため、横編機1の針床5からマガジン3に編地80を移送し終われば、マガジン3から離れた位置に配置される。そのため、マガジン3の近傍がフリースペースとなるのでマガジン3を横編機1から外し易く、また、マガジン3を取り付け易い。また、本実施形態のように、マガジン3近傍にフリースペースができるので、複数のマガジン3を設けることが可能であり、複数のマガジン3に多くの編地80を預けおくことができる。さらに、複数のマガジン3を設けた場合でも、編地移送装置4は一つで良いので、複数の編地移送装置4を設ける手間も時間も費用も削減することができる。
なお、本発明の実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、編地80の移送先であるマガジン3の数を増やしたり減らしたりすることもできる。あるいは、編地80を編成する横編機の構成を変更したり、トッピング装置2の構成を変更してもかまわない。
本発明の編地移送装置は、トッピング装置からマガジンに編地を移動させることに好適に利用可能である。

Claims (3)

  1. 横編機の針床で編成された編地の編目を係止するトッピング針を備えるトッピング装置により前記編目を前記針床から取り外してマガジン針に受け渡す際に、前記トッピング針から前記マガジン針に前記編目を移動させるための編地移送装置であって、
    前記トッピング針近傍でトッピング装置に回転自在に支持される回転軸部と、
    前記回転軸部に列設される複数の編地移送プレートと、
    前記回転軸部を回転させる駆動機構とを備え、
    前記回転軸部を回転させることで、前記編地移送プレートを隣接するトッピング針の間に介在させて、前記編地移送プレートの縁部によりトッピング針からマガジン針に編地を送り出すように構成されていることを特徴とする編地移送装置。
  2. トッピング針に係止される編目の並列方向におけるトッピング針からマガジン針への編地の移動に時間差が生じるように、前記複数の編地移送プレートの少なくとも一部が、その他の編地移送プレートに対して前記縁部がずれた状態に配置されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の編地移送装置。
  3. 前記複数の編地移送プレートの少なくとも一部が、その他の編地移送プレートと形状が異なるように形成されており、
    マガジン針に移動された編地の編目が、最終的に編目の並列方向に揃うように、前記形状の異なる編地移送プレートの各々に、縁部の形状が一致する共通縁部が形成されていることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の編地移送装置。
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