以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の一実施形態の光硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂と、光重合開始剤と、アルナイト型化合物粒子とを含有することを特徴とするものである。
ここで、カルボキシル基含有樹脂としては、公知のカルボキシル基を含む樹脂を用いることができる。このうち、エポキシ樹脂を出発原料として使用していないカルボキシル基含有樹脂を用いることが望ましい。このようなカルボキシル基含有樹脂は、ハロゲン化物イオン含有量が非常に少なく、絶縁信頼性の劣化を抑えることができる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。そして、その不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタアクリル酸又はそれらの誘導体由来のものが好ましい。なお、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述するような分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(感光性モノマー)を併用する必要がある。
本実施形態に用いることができるカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)後述するような2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(2)後述するような2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基を、さらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸などの不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸などの多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物などの1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に、(メタ)アクリル酸などの不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(5)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(6)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物などのジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に、酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(7)ジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などのカルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(8)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(9)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレンなどの不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(10)後述するような多官能オキセタン樹脂に、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などのジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に、2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどの1分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)上述した(1)〜(10)のカルボキシル基含有樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、以下他の類似の表現についても同様である。
このようなカルボキシル基含有樹脂の中でも、上述したように、エポキシ樹脂を出発原料として用いていないカルボキシル基含有樹脂を好適に用いることができる。従って、上述したカルボキシル基含有樹脂の具体例のうち、(4)〜(8)を特に好適に用いることができる。
このように、エポキシ樹脂を出発原料として用いないことにより、塩素イオン不純物量を例えば100ppm以下と非常に少なく抑えることができる。本実施形態に好適に用いられるカルボキシル基含有樹脂の塩素イオン不純物含有量は0〜100ppm、より好ましくは0〜50ppm、さらに好ましくは0〜30ppmである。
また、エポキシ樹脂を出発原料として用いないことにより、水酸基を含まない樹脂を容易に得ることができる。一般的に水酸基の存在は水素結合による密着性の向上など優れた特徴も有しているが、著しく耐湿性を低下させることが知られており、水酸基を含まないことにより、耐湿性を向上させることが可能となる。
具体的には、塩素イオン不純物を含まないフェノールノボラック樹脂をアルキルオキシド変性したフェノール樹脂を、部分的にアクリル化し、酸無水物を導入することにより、二重結合等量300〜550、酸価40〜120mgKOH/gの範囲で、理論上水酸基を有さない樹脂を得ることが可能である。なお、塩素イオン不純物を含まないフェノールノボラック樹脂は、容易に入手することができる。
一方、一般的なソルダーレジストに使用されているエポキシアクリレート変性樹脂を用いた場合、類似のフェノールノボラック樹脂より合成されたエポキシ樹脂のエポキシ基を全てアクリル化し、全ての水酸基に酸無水物を導入すると、二重結合等量400〜500で酸価が非常に大きくなってしまい、露光後でも耐現像性を有する塗膜が得られなくなる。さらには、酸価が高いことから、耐水性に劣り、絶縁信頼性、PCT耐性を著しく低下させる。すなわち、類似のフェノールノボラック型エポキシ樹脂より誘導されたエポキシアクリレート系樹脂から完全に水酸基を無くすことは、非常に困難である。
なお、ホスゲンを出発原料として用いていないイソシアネート化合物、エピハロヒドリンを使用しない原料から合成され、塩素イオン不純物量が0〜30ppmのカルボキシル基含有ウレタン樹脂も好適に用いられる。このようなウレタン樹脂において、水酸基とイソシアネート基の当量を合わせることにより、水酸基を含まない樹脂を容易に合成することができる。
また、ウレタン樹脂の合成の際に、ジオール化合物としてエポキシアクリレート変性原料を使用することもできる。塩素イオン不純物は入ってしまうが、塩素イオン不純物量をコントロールできるといった点から使用することは可能である。
このような観点から、例えば半導体パッケージ用ソルダーレジストとしてより優れたPCT耐性、HAST耐性、冷熱衝撃耐性を有するソルダーレジスト組成物を得るためには、上述したカルボキシル基含有樹脂(4)〜(8)を、より好適に用いることができる。
また、先に示した不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂(9)に対し、一分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物として3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレートを反応させたカルボキシル基含有感光性樹脂も、脂環式エポキシを使用していることから、塩素イオン不純物が少なく、好適に用いることができる。
一方、カルボキシル基含有樹脂(9)に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物としてグリシジルメタアクリレートを反応させたものや、不飽和基含有化合物としてグリシジルメタアクリレートを共重合させたものは、塩素イオン不純物量が多くなる懸念がある。
このようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、アルカリ水溶液による現像が可能である。
また、このようなカルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜150mgKOH/gであることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であると、アルカリ現像が困難となる。一方、150mgKOH/gを超えると、現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せ、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となる。より好ましくは、0〜130mgKOH/gである。
また、このようなカルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000であることが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。より好ましくは、5,000〜100,000である。
このようなカルボキシル基含有樹脂の配合量は、全組成物中に、20〜60質量%であることが好ましい。20質量%より少ない場合、塗膜強度が低下してしまう。一方、60質量%より多い場合、粘性が高くなり、塗布性などが低下してしまう。より好ましくは、30〜50質量%である。
本実施形態に用いられる光重合開始剤としては、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を使用することができ、これらのうち少なくとも1種以上用いることが好ましい。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のCGI−325、イルガキュア(登録商標)OXE01、イルガキュアOXE02、アデカ社製N−1919、アデカアークルズ(登録商標)NCI−831などが挙げられる。
また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
(式中、Xは、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)を表し、Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、Arは、炭素数1〜10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5−ピロール−ジイル、4,4’−スチルベン−ジイル、4,2’−スチレン−ジイルを表し、nは0又は1の整数である)
特に、式中、X、Yが、それぞれ、メチル基又はエチル基であり、Zはメチル又はフェニルであり、nは0であり、Arは、フェニレン、ナフチレン、チオフェン又はチエニレンであることが好ましい。
このようなオキシムエステル系光重合開始剤の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部とすることが好ましい。0.01質量部未満であると、銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離するとともに、耐薬品性などの塗膜特性が低下する。一方、5質量部を超えると、ソルダーレジスト塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは、0.5〜3質量部である。
α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379などが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、BASF社製のルシリン(登録商標)TPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819などが挙げられる。
これらα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜15質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、同様に銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離するとともに、耐薬品性などの塗膜特性が低下する。一方、15質量部を超えると、十分なアウトガスの低減効果が得られず、さらにソルダーレジスト塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは0.5〜10質量部である。
その他、本実施形態の光硬化性樹脂組成物に好適に用いることができる光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、及びキサントン化合物などを挙げることができる。
ベンゾイン化合物としては、具体的には、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
アントラキノン化合物としては、具体的には、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどが挙げられる。
チオキサントン化合物としては、具体的には、例えば2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ケタール化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、具体的には、例えばベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、具体的には、例えばエタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、市販品では、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達(株)製ニッソキュアー(登録商標)MABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学(株)製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)などのジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬(株)製カヤキュアー(登録商標)EPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセティクス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬(株)製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)などが挙げられる。
これらのうち、チオキサントン化合物及び3級アミン化合物が好ましい。特に、チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。
このようなチオキサントン化合物の配合量としては、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。チオキサントン化合物の配合量が20質量部を超えると、厚膜硬化性が低下するとともに、製品のコストアップに繋がる。より好ましくは、10質量部以下である。
また、3級アミン化合物としては、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、最大吸収波長が350〜450nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物及びケトクマリン類が特に好ましい。
ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが毒性が低いことから好ましい。ジアルキルアミノ基含有クマリン化合物は、最大吸収波長が350〜410nmと紫外線領域にあるため、着色が少なく、無色透明な感光性組成物はもとより、着色顔料を用い、着色顔料自体の色を反映した着色ソルダーレジスト膜を得ることが可能となる。特に、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オンが、波長400〜410nmのレーザー光に対して優れた増感効果を示すことから好ましい。
このような3級アミン化合物の配合量としては、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。3級アミン化合物の配合量が0.1質量部未満であると、十分な増感効果を得ることができない傾向にある。一方、20質量部を超えると、3級アミン化合物による塗膜の表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは、0.1〜10質量部である。
これらの光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
このような光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤の総量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して35質量部以下であることが好ましい。35質量部を超えると、これらの光吸収により深部硬化性が低下する傾向にある。
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として働くことがある。しかしながら、これらは組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストのライン形状及び開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の加工精度を向上させることができる。
本実施形態に用いられるアルナイト型化合物粒子は、単一分散微粒子であり、アルミニウムを含む塩基性硫酸塩である。その組成は、例えば下記一般式:
Ma[Al1−xM’x]3(SO4 2−)y(OH)z・mH2O
(式中、MはNa+、K+、NF4+及びH3O+の少なくともいずれかの陽イオン、M’はCu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+及びTi4+の少なくともいずれかの陽イオンであり、0.8≦a≦1.35、0≦m≦5、0≦x≦0.4、1.7≦y≦2.5、4≦z≦7である)
で表される。
このようなアルナイト型化合物粒子を充填剤として用いることにより、例えば硫酸バリウムや破砕、あるいは溶融シリカなどの充填剤では得られない優れた硬化物物性を付与することが可能になる。
アルナイト型化合物粒子は、硬化物の低CTE化に大きな効果を発揮するだけでなく、用いる樹脂類と屈折率(n=1.50)が近いため、高充填しても解像性を劣化させることがなく、物性の向上と優れた解像性の両立が可能となる。
また、アルナイト型化合物粒子自体、耐酸性、耐溶剤性が高く、粒子構造が破砕構造ではないため、例えば、サーマルサイクルテスト(TCT)などでのクラックの原因とならない。さらに、アルナイト型化合物粒子は、円板状や中空状、米粒状、多面体状、球状など特異的な形状にすることも可能であり、従来のフィラー類では発現できない諸特性の付与が可能な材料であると考えられる。プリント配線板用のソルダーレジストとして用いる場合、その粒径は、D50=5.0μm以下とすることが好ましい。
アルナイト型化合物粒子の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、5質量部以上、300部質量部以下であることが好ましい。5質量部未満ではその効果が確認されず、一方、300質量部を超えると光硬化性樹脂組成物として分散不良をおそれがあるためである。より好ましくは、10〜200質量部である。
アルナイト型化合物粒子としては、例えば協和化学工業株式会社のアルミクロン(登録商標)205、アルミクロン210、アルミクロン230、アルミクロン250、アルミクロン105、アルミクロン110などを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、必要に応じて、塗膜や硬化物の物理的強度を上げるために、併せてその他の充填剤を配合してもよい。このような充填剤としては、公知の無機又は有機充填剤が使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカ及びタルクが好ましい。さらに、白色の外観や難燃性を得るために、酸化チタンや金属酸化物、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物を充填剤としても使用することができる。
さらに、本実施形態の光硬化性樹脂組成物には、耐熱性を付与するために、熱硬化性成分を加えることができる。熱硬化性成分としては、イソシアネート、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物などの公知の熱硬化性樹脂が使用できる。
このうち、イソシアネート、ブロックイソシアネート化合物や、アミノ樹脂は、水酸基やあるいはカルボキシル基と容易に反応可能である。これらを反応させることで、強固な3次元ネットワークに組み込まれ、著しく柔軟性を付与した硬化物を得ることができる。
特に、上述の熱硬化性成分の中で、1分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略称する)を有するものが好ましい。これら環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、市販されている種類が多く、その構造によって多様な特性を付与することができる。
このような分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、分子中に3、4又は5員環の環状エーテル基、又は環状チオエーテル基のいずれか一方又は2種類の基を2個以上有する化合物であり、例えば、分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子中に少なくとも2つ以上のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子中に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂などが挙げられる。
多官能エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ブロム化エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;ジグリシジルフタレート樹脂;テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;ナフタレン基含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体;CTBN変性エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの多官能エポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体などの多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。これらの多官能オキセタン化合物は、単独又は2種以上を併用することができる。
エピスルフィド樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。これらのエピスルフィド樹脂は、単独又は2種以上を併用することができる。
このような分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分の配合量は、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基1当量に対して、0.6〜2.5当量であることが好ましい。分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分の配合量が0.6未満である場合、ソルダーレジスト膜にカルボキシル基が残り、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性などが低下する。一方、2.5当量を超える場合、低分子量の環状(チオ)エーテル基が塗膜に残存することにより、塗膜の強度などが低下する。より好ましくは、0.8〜2.0当量である。
さらに、好適に用いることができる熱硬化性成分として、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体などが挙げられる。例えばメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物及びメチロール尿素化合物などがある。さらに、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物及びアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれのメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物及びメチロール尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については、特に限定されるものではなく、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基などとすることができる。特に人体や環境に優しいホルマリン濃度が0.2%以下のメラミン誘導体が好ましい。これらのメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体は、単独又は2種以上を併用することができる。
また、イソシアネート、ブロックイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、すなわちポリイソシアネート化合物、又は1分子中に2個以上のブロック化イソシアネート基を有する化合物、すなわちブロックイソシアネート化合物などが挙げられる。これらを用いることにより、組成物の光硬化性樹脂組成物の硬化性、及び得られる硬化物の強靭性を向上させることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート及び2,4−トリレンダイマーが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)及びイソホロンジイソシアネートが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、ビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体及びイソシアヌレート体が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物に含まれるブロック化イソシアネート基は、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて、一時的に不活性化された基である。所定温度に加熱されたときに、そのブロック剤が解離して、イソシアネート基が生成する。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型などが挙げられる。このイソシアネート化合物としては、例えば、上述した芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール及びエチルフェノールなどのフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンなどの活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル及び乳酸エチルなどのアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノールなどのメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド及びマレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミン及びプロピレンイミンなどのイミン系ブロック剤などが挙げられる。
これらポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましい。配合量が1質量部未満の場合、十分な塗膜の強靭性が得られず、一方、100質量部を超えた場合、保存安定性が低下する。より好ましくは、2〜70質量部である。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物には、水酸基やカルボキシル基とイソシアネート基との硬化反応を促進させるために、ウレタン化触媒を加えることができる。ウレタン化触媒としては、錫系触媒、金属塩化物、金属アセチルアセトネート塩、金属硫酸塩、アミン化合物、又は/及びアミン塩よりなる群から選択される1種以上のウレタン化触媒を使用することが好ましい。
錫系触媒としては、例えばスタナスオクトエート、ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物、無機錫化合物などが挙げられる。
金属塩化物としては、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu又はAlからなる金属の塩化物で、例えば、塩化第二コバルト、塩化第一ニッケル、塩化第二鉄などが挙げられる。
金属アセチルアセトネート塩としては、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu又はAlからなる金属のアセチルアセトネート塩であり、例えば、コバルトアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネートなどが挙げられる。
金属硫酸塩としては、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu又はAlからなる金属の硫酸塩で、例えば、硫酸銅などが挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、公知のトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジモルホリノジエチルエーテル、N−メチルイミダゾール、ジメチルアミノピリジン、トリアジン、N’−(2−ヒドロキシエチル)−N,N,N’−トリメチルービス(2−アミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、2−アミノキヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、4−アミノキヌクリジン、2−キヌクリジオール、3−キヌクリジノール、4−キヌクリジノール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)イミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(3’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、メラミン又は/及びベンゾグアナミンなどが挙げられる。
アミン塩としては、例えば、DBU(1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7)の有機酸塩系のアミン塩などが挙げられる。
これらウレタン化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えばカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜10.0質量部である。
上述した分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミンなどのアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;ジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物;二環式アミジン化合物及びその塩などが挙げられる。
特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物などのS−トリアジン誘導体を用いることもできる。また、これら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用することが好ましい。
これら熱硬化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えばカルボキシル基含有樹脂又は分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15.0質量部である。
さらに、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、着色剤を配合することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄などの公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点から、ハロゲンを含有しないことが好ましい。
赤色着色剤:
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などが挙げられる。
青色着色剤:
青色着色剤としては、フタロシアニン系、アントラキノン系が挙げられる。その他、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
緑色着色剤:
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系が挙げられる。その他、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤:
黄色着色剤としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系などが挙げられる。
その他、色調を調整する目的で、紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。
これらの着色剤の配合割合は、特に制限はないが、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0〜10質量部で充分である。より好ましくは0.1〜5質量部である。
また、本実施形態の光硬化性樹脂組成物において、活性エネルギー線照射により、光硬化して、カルボキシル基含有樹脂を、アルカリ水溶液に不溶化、又はカルボキシル基含有樹脂の不溶化を助けるため、分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有することができる。このような化合物としては、公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが使用でき、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;上記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類及びメラミンアクリレート、及び/又はこれらアクリレート類に対応する各メタクリレート類などが挙げられる。
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などが挙げられる。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる
このような分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、5〜100質量部であることが好ましい。配合量が、5質量部未満の場合、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となる。一方、100質量部を超えた場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下して、塗膜が脆くなる。より好ましくは、1〜70質量部である。
さらに、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、指触乾燥性の改善、ハンドリング性の改善などを目的に、バインダーポリマーを含有することができる。例えばポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステルウレタン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリエステルアミド系ポリマー、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリ乳酸系ポリマー、フェノキシ系ポリマーなどを用いることができる。これらのバインダーポリマーは、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
また、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、柔軟性の付与、硬化物の脆さを改善することなどを目的に、エラストマーを使用することができる。
その他、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステルウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステルアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマーを用いることができる。また、種々の骨格を有するエポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴムで変性した樹脂なども使用できる。さらには、エポキシ含有ポリブタジエン系エラストマー、アクリル含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有ポリブタジエン系エラストマーなども使用することができる。これらのエラストマーは、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
さらに、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂の合成や組成物の調整のため、又は基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のため、有機溶剤を含有することができる。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤などである。このような有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
また、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、酸化を防ぐために酸化防止剤を添加することができる。一般に、高分子材料の多くは、一度酸化が始まると、次々と連鎖的に酸化劣化が起き、高分子素材の機能低下をもたらすが、酸化防止剤の添加により、機能低下を抑制することができる。
酸化防止剤としては、発生したラジカルを無効化するようなラジカル捕捉剤や、発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする過酸化物分解剤として働くものが挙げられる。
ラジカル捕捉剤として働く酸化防止剤としては、具体的には、例えばヒドロキノン、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンなどのフェノール系、メタキノン、ベンゾキノンなどのキノン系化合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、フェノチアジンなどのアミン系化合物などなどが挙げられる。
過酸化物分解剤として働く酸化防止剤としては、具体的には、例えばトリフェニルフォスファイトなどのリン系化合物、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネートなどの硫黄系化合物などが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。一般に、高分子材料は光を吸収し、分解・劣化を起こすが、紫外線吸収剤を添加することにより、紫外線に対する安定化を図ることができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シンナメート誘導体、アントラニレート誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体などが挙げられる。
ベンゾフェノン誘導体の具体的な例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン及び2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾエート誘導体の具体的な例としては、2−エチルヘキシルサリチレート、フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート及びヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール誘導体の具体的な例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)べンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
トリアジン誘導体の具体的な例としては、ヒドロキシフェニルトリアジン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンなどが挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、酸化防止剤と併用することで、本実施形態の光硬化性樹脂組成物より得られる硬化物の安定化を図ることができる。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物には、感度を向上するために、連鎖移動剤として、公知のNフェニルグリシン類、フェノキシ酢酸類、チオフェノキシ酢酸類、メルカプトチアゾールなどを用いることができる。
具体的には、例えばメルカプト琥珀酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メチオニン、システイン、チオサリチル酸及びその誘導体などのカルボキシル基を有する連鎖移動剤;メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトプロパンジオール、メルカプトブタンジオール、ヒドロキシベンゼンチオール及びその誘導体などの水酸基を有する連鎖移動剤;1−ブタンチオール、ブチル−3−メルカプトプロピオネート、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2,2−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、エタンチオール、4−メチルベンゼンチオール、ドデシルメルカプタン、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、1−オクタンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、チオグリセロール、4,4−チオビスベンゼンチオールなどが挙げられる。
また、多官能性メルカプタン系化合物を用いることができる。多官能性メルカプタン系化合物は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えばヘキサン−1,6−ジチオール、デカン−1,10−ジチオール、ジメルカプトジエチルエーテル、ジメルカプトジエチルスルフィドなどの脂肪族チオール類、キシリレンジメルカプタン、4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィド、1,4−ベンゼンジチオールなどの芳香族チオール類;エチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、ポリエチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、プロピレングリコールビス(メルカプトアセテート)、グリセリントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(メルカプトアセテート)などの多価アルコールのポリ(メルカプトアセテート)類;エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ポリエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)などの多価アルコールのポリ(3−メルカプトプロピオネート)類;1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリリトールテトラキス(3−メルタプトブチレート)などのポリ(メルカプトブチレート)類を用いることができる。
さらに、連鎖移動剤として、メルカプト基を有する複素環化合物を用いることができる。具体的には、例えばメルカプト−4−ブチロラクトン(別名:2−メルカプト−4−ブタノリド)、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メトキシ−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エトキシ−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、2−メルカプト−6−ヘキサノラクタム、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、及び2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。
特に、光硬化性樹脂組成物の現像性を損なうことがない、メルカプトベンゾチアゾール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾールが好ましい。
これらの連鎖移動剤は、単独又は2種以上を併用することができる。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、層間の密着性、又は樹脂層と基材との密着性を向上させるために、密着促進剤を含有することができる。具体的には、例えばベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアゾール−2−チオン、2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤などがある。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイトなどのチキソ化剤を含有することができる。有機ベントナイト、ハイドロタルサイトは、チキソ化剤としての経時安定性が高く、特にハイドロタルサイトは電気特性に優れている。
また、その他、熱重合禁止剤や、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系などのシランカップリング剤、防錆剤、ビスフェノール系、トリアジンチオール系などの銅害防止剤、といった公知の添加剤類を配合することができる。
熱重合禁止剤は、重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために用いられる。熱重合禁止剤としては、例えば4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル又はアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレートなどが挙げられる。
このように構成される本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、例えば以下のようにして用いられる。
先ず、有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法などの方法により塗布する。そして、約60〜100℃の温度で、組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、タックフリーの塗膜を形成する。
次いで、活性エネルギー線の照射により選択的にパターン露光して硬化させる。そして、未露光部をアルカリ水溶液(例えば0.3〜3%炭酸ナトリウム水溶液)により現像して、パターンが形成される。
形成されたパターンについて、必要に応じて熱処理(熱硬化)を行うことができる。熱硬化性成分を含有している場合、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基と、分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基を有する熱硬化性成分が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性に優れた硬化物を形成することができる。なお、熱硬化性成分を含有していない場合でも、熱処理することにより、露光時に未反応の状態で残った光硬化性成分のエチレン性不飽和結合が、熱ラジカル重合して、塗膜特性を向上させることができる。
ここで、塗膜が形成される基材としては、予め回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス−ポリイミド、ガラス布/不繊布−エポキシ樹脂、ガラス布/紙−エポキシ樹脂、合成繊維−エポキシ樹脂、フッ素樹脂・ポリエチレン・PPO・シアネートエステルなどの複合材を用いた全てのグレード(FR−4など)の銅張積層板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板などを用いることができる。
また、揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブンなど、蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて、乾燥機内の熱風を、向流接触させる方法やノズルより支持体に吹き付ける方法などを用いて行うことができる。
また、活性エネルギー線照射には、フォトマスク(接触、非接触)を用いて塗膜にパターン露光を行う露光機や、コンピューターからのCADデータにより、塗膜に直接画像を描く直接描画装置を用いることができる。
露光機の光源としては、例えばメタルハライドランプ、(超)高圧水銀ランプ、水銀ショートアークランプなどを用いることができる。また、直接描画装置の光源としては、ガスレーザー、固体レーザーなどのレーザーや、(超)高圧水銀ランプなどの紫外線ランプなどを用いることができる。このような直接描画装置としては、例えば日本オルボテック社製、ペンタックス社製などのものを使用することができる。
活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあればよく、その露光量は膜厚などによって異なるが、一般には5〜500mJ/cm2、好ましくは5〜200mJ/cm2である。
現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法などを用いることができる。また、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、液状の組成物を直接基材に塗布する形態以外にも、ドライフィルムの形態で使用することができる。
ドライフィルムは、キャリアフィルムと、光硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥して得られる乾燥塗膜と、必要に応じて用いられる剥離可能なカバーフィルムとが、順次積層された構造を有するものである。
このようなドライフィルムは、キャリアフィルムに乾燥塗膜を形成した後に、カバーフィルムをその上に積層するか、カバーフィルムに乾燥塗膜を形成し、この積層体をキャリアフィルムに積層することにより得られる。このとき、乾燥塗膜は、例えば液状の光硬化性樹脂組成物を、ブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーターなどにより、10〜150μmの厚さで均一に塗布し、乾燥して、形成される。
キャリアフィルムとしては、2〜150μmの厚みのポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性フィルムが用いられる。また、カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどを使用することができるが、ソルダーレジスト層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
このようなドライフィルムを用いて、例えばプリント配線板上に保護膜(永久保護膜)を作製するには、必要に応じてカバーフィルムを剥がし、光硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜と回路形成された基材を重ね、ラミネーターなどを用いて張り合わせ、回路形成された基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する。そして、同様に露光、現像、必要に応じて熱処理(熱硬化)を行うことにより、硬化物(硬化塗膜)を形成することができる。このとき、キャリアフィルムは、露光前又は露光後のいずれかに剥離すればよい。
以下、実施例及び比較例を示して、本実施形態について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。なお、以下において「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
(カルボキシル基含有樹脂の合成)
合成例1
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置及び撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(昭和高分子(株)製、ショウノール(登録商標)CRG951、OH当量:119.4)119.4g、水酸化カリウム1.19g及びトルエン119.4gを仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。
次いで、プロピレンオキシド63.8gを徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cm2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56gを添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。
そして、得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0g、アクリル酸43.2g、メタンスルホン酸11.53g、メチルハイドロキノン0.18g及びトルエン252.9gを、撹拌機、温度計及び空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6gの水が留出した。
その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35gで中和し、次いで水洗した。そして、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1gで置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。さらに、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5g及びトリフェニルホスフィン1.22gを、撹拌器、温度計及び空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8gを徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させた。
このようにして、固形物の酸価88mgKOH/g、不揮発分71%のカルボキシル基含有感光性樹脂の樹脂溶液を得た。以下、これをワニスA−1と称す。
合成例2
温度計、撹拌機及び環流冷却器を備えた5リットルのセパラブルフラスコに、ポリマーポリオールとしてポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業(株)製、PLACCEL(登録商標)208、分子量830)1,245g、カルボキシル基を有するジヒドロキシル化合物としてジメチロールプロピオン酸201g、ポリイソシアナートとしてイソホロンジイソシアナート777g及びヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとして2−ヒドロキシエチルアクリレート119g、さらにp−メトキシフェノール及びジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエンを各々0.5gずつ投入した。
攪拌しながら60℃まで加熱して停止し、ジブチル錫ジラウレート0.8gを添加した。反応容器内の温度が低下し始めたら再度加熱して、80℃で攪拌を続け、赤外線吸収スペクトルでイソシアナート基の吸収スペクトル(2280cm−1)が消失したことを確認して反応を終了し、粘稠液体のウレタンアクリレート化合物を得た。そして、得られたウレタンアクリレート化合物を、カルビトールアセテートを用いて、不揮発分=50質量%に調整した。
このようにして、固形物の酸価47mgKOH/g、不揮発分50%のカルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物の樹脂溶液を得た。以下、これをワニスA−2と称す。
合成例3
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル900g、及び重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、パーブチル(登録商標)O)21.4gを加えて90℃に加熱した。
加熱後、ここに、メタクリル酸309.9g、メタクリル酸メチル116.4g、及びラクトン変性2−ヒドロキシエチルメタクリレート(ダイセル化学工業(株)製、PLACCEL(登録商標)FM1)109.8gを、重合開始剤であるビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(日油(株)製、パーロイル(登録商標)TCP)21.4gと共に3時間かけて滴下して加え、さらに6時間熟成することにより、カルボキシル基含有共重合樹脂を得た。なお、反応は、窒素雰囲気下で行った。
次に、得られたカルボキシル基含有共重合樹脂に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル化学工業(株)製、商品名;サイクロマー(登録商標)A200)363.9g、開環触媒としてジメチルベンジルアミン3.6g、重合抑制剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル1.80gを加え、100℃に加熱し、攪拌することによりエポキシの開環付加反応を16時間行った。
このようにして、固形分酸価が108.9mgKOH/g、重量平均分子量が25,000、固形分54%の樹脂溶液を得た。以下、これをワニスA−3と称す。
合成例4
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、EPICLON(登録商標) N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、及びハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。
次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)415g、テトラヒドロ無水フタル酸456.0g(3.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行い、冷却した。
このようにして、固形分酸価89mgKOH/g、固形分65%の樹脂溶液を得た。以下、これをワニスR−1と称す。
合成例5
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN(登録商標)−104S、軟化点92℃、エポキシ当量220)2200部、ジメチロールプロピオン酸134部、アクリル酸648.5部、メチルハイドロキノン4.6部、カルビトールアセテート1131部及びソルベントナフサ484.9部を仕込み、9 0℃に加熱し撹拌し、反応混合物を溶解した。
次いで、反応液を60℃まで冷却し、トリフェニルフォスフィン13.8部を仕込み、100℃に加熱し、約32時間反応させ、酸価が0.5mgKOH/gの反応物を得た。次に、これにテトラヒドロ無水フタル酸364.7部、カルビトールアセテート137.5部及びソルベントナフサ58.8部を仕込み、95℃に加熱し、約6時間反応させ、冷却した。
このようにして、固形分酸価40mgKOH/g、不揮発分65%のカルボキシル基含有感光性樹脂の樹脂溶液を得た。以下、これをワニスR−2と称す。
合成例6
エポキシ当量800、軟化点79℃のビスフェノールF型固型エポキシ樹脂400部をエピクロルヒドリン925部とジメチルスルホキシド462.5部を溶解させた後、攪拌下70℃で、98.5%NaOH 81.2部を、100分かけて添加した。添加後、さらに70℃で3時間反応を行なった。
次いで、過剰の未反応エピクロルヒドリン及びジメチルスルホキシドの大半を減圧下に留去し、副生塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、さらに30%NaOH 10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量290、軟化点62℃のエポキシ樹脂(a−1)370部を得た。
得られたエポキシ樹脂(a−1)2900部(10当量)、アクリル酸720部(10当量)、メチルハイドロキノン2.8部、カルビトールアセテート1950部を仕込み、90℃に加熱、攪拌し、反応混合物を溶解した。次いで、反応液を60℃に冷却し、トリフェニルフォスフィン16.7部を仕込み、100℃に加熱し、約32時間反応させ、酸価が1.0mgKOH/gの反応物を得た。次に、これに無水コハク酸786部(7.86モル)、カルビトールアセテート423部を仕込み、95℃に加熱し、約6時間反応を行った。
このようにして、固形分酸価100mgKOH/g、固形分65%の樹脂溶液を得た。以下、これをワニスR−3と称す。
(実施例1〜13及び比較例4〜6の光硬化性樹脂組成物の調製)
これら合成例の樹脂溶液を用い、表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、光硬化性樹脂組成物を調製した。ここで、得られた光硬化性樹脂組成物の分散度を、エリクセン社製グラインドメータによる粒度測定にて評価したところ、15μm以下であった。
塗膜特性評価:
<最適露光量>
銅厚18μmの回路パターン基板を、銅表面粗化処理(メック(株)製メックエッチボンド(登録商標)CZ−8100)後、水洗し、乾燥した。そして、基板全面に、実施例1−11及び比較例1−3の光硬化性樹脂組成物を、乾燥膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で60分間乾燥させた。
乾燥後、高圧水銀灯搭載の露光装置を用いてステップタブレット(Kodak No.2)を介して露光した。現像(30℃、0.2MPa、1wt%炭酸ナトリウム水溶液)を60秒で行い、残存するステップタブレットのパターンが7段の時の露光量を、最適露光量とした。
<最大現像ライフ>
実施例1−11及び比較例1−3の光硬化性樹脂組成物を、パターン形成された銅箔基板上に、乾燥膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で乾燥を行った。そして、20分から80分まで10分おきに基板を取り出し、それぞれ室温まで放冷した。
乾燥時間の異なる基板に、それぞれ30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.2MPaの条件で、60秒間現像を行い、残渣が残らない最大許容乾燥時間を最大現像ライフとした。
硬化物特性評価:
実施例及び比較例の光硬化性樹脂組成物を、パターン形成された銅箔基板上に、乾燥膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分間乾燥し、室温まで放冷した。この基板に高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて、最適露光量でパターンを露光した後、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.2MPaの条件で、90秒間現像を行い、パターンを得た。
この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm2の条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化させ、硬化物パターンの形成された評価基板を得た。
得られた評価基板を用いて、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、耐無電解金めっき性、PCT耐性について、以下のように評価した。また、同様にして評価基板を作成し、冷熱衝撃耐性、HAST耐性、CTE測定、解像性について、以下のように評価した。
<耐酸性>
評価基板を、10vol%H2SO4水溶液に室温で30分間浸漬し、染み込みや塗膜の溶け出しを目視にて確認し、さらにテープピーリングによる剥がれを確認した。判定基準は以下のとおりである。
○:変化が認められないもの
△:ほんの僅か変化しているもの
×:塗膜に膨れあるいは膨潤脱落があるもの
<耐アルカリ性>
評価基板を、10vol%NaOH水溶液に室温で30分間浸漬し、染み込みや塗膜の溶け出しを目視にて確認し、さらにテープピーリングによる剥がれを確認した。判定基準は以下のとおりである。
○:変化が認められないもの
△:ほんの僅か変化しているもの
×:塗膜に膨れあるいは膨潤脱落があるもの
<はんだ耐熱性>
評価基板にロジン系フラックスを塗布した後、予め260℃に設定したはんだ槽に浸漬した。そして、変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:10秒間浸漬を3回以上繰り返しても剥がれが認められない。
△:10秒間浸漬を3回以上繰り返すと少し剥がれる。
×:10秒間浸漬を3回以内にレジスト層に膨れ、剥がれがある。
<耐無電解金めっき性>
評価基板について、市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル5μm、金0.05μmの条件でめっきを行った。メッキされた評価基板において、テープピーリングにより、レジスト層の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:めっき後にしみ込みが見られず、テープピーリング後に剥がれはない。
△:めっき後に白化が確認されるが、テープピーリング後の剥がれはない。
×:めっき後に僅かなしみ込みが確認され、テープピーリング後に剥がれも見られる。
<PCT耐性>
耐無電解金めっき性の評価と同様に無電解金めっきを施した評価基板を、PCT装置(エスペック(株)製HAST SYSTEM TPC−412MD)を用いて、121℃、飽和、0.2MPaの条件で168時間処理し、塗膜の状態によりPCT耐性を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:膨れ、剥がれ、変色、溶出のないもの
△:若干の膨れ、剥がれ、変色、溶出があるもの
×:膨れ、剥がれ、変色、溶出が多く見られるもの
<冷熱衝撃耐性>
同様にして、基板上に□抜き、○抜きの硬化物パターンを形成して得られた冷熱衝撃耐性評価基板について、冷熱衝撃試験器(エタック(株)製)により、−55℃/30分〜150℃/30分を1サイクルとして、1000サイクルの耐性試験を行った。
試験後、処理後の硬化物パターンを目視により観察し、クラックの発生状況を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:クラック発生率30%未満
△:クラック発生率30〜50%
×:クラック発生率50%以上
<HAST耐性>
クシ型電極(ライン/スペース=30ミクロン/30ミクロン)が形成されたBT基板上に、同様にして光硬化性樹脂組成物の硬化物パターンを形成し、HAST耐性評価基板を作成した。この評価基板を、130℃、湿度85%の雰囲気下の高温高湿槽に入れ、電圧12Vを荷電し、168時間、槽内HAST試験を行った。
168時間経過時の槽内絶縁抵抗値を測定し、HAST耐性を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:108Ω以上
△:106〜108Ω
×:106Ω以下
<CTE測定>
約40μm厚の光硬化性樹脂組成物の硬化物を形成し、TMA(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製 TMA/SS 6100)により、線膨張係数(CTE)を測定した。測定は硬化収縮などの影響を排除するため、1stRunでアニール処理を行い、2ndRunの測定にてCTEを算出した。また測定したCTEの値は、30℃〜80℃の平均値として決定した。
<解像性評価>
同様にして、基板上に、100μmの開口を有する光硬化性樹脂組成物の硬化物パターンを形成し、SEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、その開口径を測長することにより解像性を評価した。評価基準は下記のように判断した。
○:開口径縮小率15%未満
×:開口径縮小率15%以上
実施例12〜19及び比較例4〜6
表1に示す配合割合で調製した実施例1〜7、11及び比較例1〜3の各光硬化性樹脂組成物を、メチルエチルケトンにて希釈し、PETフィルム上に塗布した。これを80℃で30分乾燥し、厚さ20μmの乾燥塗膜を形成し、さらにその上にカバーフィルムを貼り合わせて、実施例12〜19、比較例4〜6のドライフィルムを作製した。
得られたドライフィルムについて、以下のように評価を行った。
<ドライフィルム評価>
得られたドライフィルムからカバーフィルムを剥がし、パターン形成された銅箔基板に、ドライフィルムを熱ラミネートした。次いで、この基板に高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて、最適露光量でパターン露光を行った。
露光後、キャリアフィルムを剥がし、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.2MPaの条件で90秒間現像を行い、パターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm2の条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化し、硬化物パターンの形成された評価基板を得た。
得られた評価基板について、実施例1〜11、比較例1〜3の評価と同様にして、各特性の評価を行った。結果を表3に示す。
表2及び表3に示す結果より、本実施形態の光硬化性樹脂組成物及びそのドライフィルムにおいて、優れた塗膜特性を有し、その硬化物において、例えば半導体パッケージ用ソルダーレジストに必要とされるPCT耐性、冷熱衝撃耐性、HAST耐性を有するとともに、優れた硬化物物性、解像性を兼ね備えることがわかる。