JP5460234B2 - 高圧蒸気タービンのグランドシール装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主として、原子力発電所などの蒸気タービンシステムであって、主蒸気管又は補助蒸気管のいずれからもシール蒸気をグランド部に供給可能な蒸気タービンシステムにおける高圧蒸気タービンのグランドシール装置に関するものである。
蒸気タービンは、静翼が設けられたステータと、動翼が設けられたロータとで構成されており、ロータの両端には、車室(静翼及び動翼が収容される容器)とロータ周面との間の間隙を流入蒸気を利用してシールするためのグランド部が形成されている。そして、高圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンの2つのタービンから成る蒸気タービンシステムの場合、高圧蒸気タービンのグランド部は、蒸気が車室外部に漏出するのを防止すると共に、空気が車室内部に流入するのを防止するようになっており、また、低圧蒸気タービンのグランド部は、内部が真空になっていることから空気が車室内部に流入することだけを防止するようになっている。
ここで、蒸気タービンシステムとしては、主蒸気源(原子炉)又は補助蒸気源(補助ボイラ)のいずれからも蒸気を供給可能なタイプと、補助蒸気源のみから蒸気を供給するタイプとの2つのタイプのシステムがある。後者のタイプの蒸気タービンシステムの構成は、例えば特許文献1に開示されているが、前者のタイプの蒸気タービンシステムの構成については適当な特許文献が見当たらない。本願発明は、前者のタイプの蒸気タービンシステムにおける新規有用な技術を提供しようとするものである。
図5は、このように主蒸気源又は補助蒸気源のいずれからもシール蒸気をグランド部に供給可能な蒸気タービンシステムについての構成図である。
図5において、高圧蒸気タービン1の両端部にはグランド部2,2が設けられている。同様に、低圧蒸気タービン3の両端部にはグランド部4,4が設けられている。これらグランド部2,2及びグランド部4,4は、ラビリンスパッキンによるシール構造を有するものである。
図示を省略している主蒸気源としての原子炉からは、主蒸気供給調節弁6が設けられている主蒸気管5に蒸気が送出されるようになっており、また、補助蒸気源としての補助ボイラからは、補助蒸気供給調節弁8が設けられている補助蒸気管7に蒸気が送出されるようになっている。これら蒸気管5,7は調節弁6,8の下流側で合流し、その合流点より下流側ではシール蒸気供給母管9を形成している。
シール蒸気供給母管9からは、グランド部2,2にシール蒸気を供給するためのシール蒸気供給管10,10、及びグランド部4,4にシール蒸気を供給するためのシール蒸気供給管11,11が分岐している。このシール蒸気供給管は、SSH(スチームシールヘッダ)と呼ばれることがある。
また、グランド部2,2にはリーク蒸気を排出するためのリーク蒸気排出管12,12が接続され、同様に、グランド部4,4にもリーク蒸気を排出するためのリーク蒸気排出管13,13が接続されている。このリーク蒸気排出管は、SPE(スチームパッキンエグゾースト)と呼ばれることがある。
リーク蒸気排出管12,12及びリーク蒸気排出管13,13は、下流側で合流してリーク蒸気排出母管14を形成しており、このリーク蒸気排出母管14からのリーク蒸気はグランド蒸気復水器15に送出されるようになっている。このグランド蒸気復水器15には、復水器内部を負圧に保持してリーク蒸気を大気に漏出させないようにするためのファン16が接続されている。
グランド部2,2には、また、余剰蒸気を排出するためのリークオフ抽出管17,17が接続されている。このリークオフ抽出管はSPL(スチームパッキンリークオフ)と呼ばれることがある。リークオフ抽出管17,17は合流してリークオフ管18を形成しており、このリークオフ管18に調節弁19,20が設けられている。そして、調節弁19,20の中間部に給水加熱器21が接続され、調節弁20の下流側に復水器22が接続されている。
次に、図5の動作につき説明する。タービン起動時には補助蒸気供給調節弁8のみが開いており、主蒸気供給調節弁6及び調節弁19,20は閉じている。したがって、まず補助蒸気源である補助ボイラからの蒸気が補助蒸気管7を通ってシール蒸気供給母管9に送られ、この蒸気がシール蒸気としてシール蒸気供給管10,10から高圧蒸気タービン1のグランド部2,2に供給されると共に、シール蒸気供給管11,11から低圧蒸気タービン3のグランド部4,4にも供給される。
このようなシール蒸気の供給によって、グランド部2,2においては内部蒸気の外部への漏出、及び外部空気の内部への流入が防止され、また、グランド部4,4においては外部空気の内部への流入が防止される。
そして、グランド部2,2及びグランド部4,4からのリーク蒸気は、それぞれリーク蒸気排出管12,12及びリーク蒸気排出管13,13を通ってリーク蒸気排出母管14に送られ、このリーク蒸気排出母管14からグランド蒸気復水器15に送出される。グランド蒸気復水器15に送出された蒸気は、熱交換により復水され冷却水として回収される。このとき復水器内部はファン16の回転により負圧に保持されているので、蒸気が大気に漏出されるのが防止される。
高圧蒸気タービン1及び低圧蒸気タービン3の起動後に主蒸気管5の圧力が上昇してシール蒸気供給母管9の圧力以上になると、主蒸気供給調節弁6が開くと共に補助蒸気供給調節弁8が閉じられる。したがって、主蒸気源である原子炉からの主蒸気のみが主蒸気管5を通ってシール蒸気供給母管9に送られ、この蒸気がシール蒸気としてシール蒸気供給管10,10から高圧蒸気タービン1のグランド部2,2に供給されると共に、シール蒸気供給管11,11から低圧蒸気タービン3のグランド部4,4にも供給される。
この後、タービン負荷の増加に伴って高圧蒸気タービン1の圧力が上昇すると、グランド部2,2内ではシール蒸気供給口付近のラビリンス部の圧力が増大する。そのため、グランド部2,2の圧力が所定レベル以上に上昇すると、グランド部2,2からリークされる蒸気の一部が今度は破線矢印で示すように、シール蒸気供給管10,10を逆方向に通ってシール蒸気供給母管9に送られる。
そして、このシール蒸気供給管10,10からの蒸気と主蒸気管5からの蒸気とが合わさった量の蒸気が、シール蒸気供給管11,11を通って、シール蒸気としてグランド部4,4に供給される。なお、このときグランド部2,2及びグランド部4,4のリーク蒸気の一部は、相変わらずリーク蒸気排出管12,12及びリーク蒸気排出管13,13を通ってリーク蒸気排出母管14に送られ、このリーク蒸気排出母管14からグランド蒸気復水器15に送出されている。
その後、シール蒸気供給管10,10を破線矢印方向に流れる蒸気の量が増大すると、主蒸気供給調節弁6が閉じられる。したがって、シール蒸気供給管11,11を通ってグランド部4,4に供給されるシール蒸気は、シール蒸気供給管10,10からの蒸気のみになる。
その後更に、シール蒸気供給管10,10を破線矢印方向に流れる蒸気の量が増大しシール蒸気供給管10,10の圧力が上昇すると、調節弁19が開かれる。したがって、シール蒸気供給管10,10及びリーク蒸気排出管12,12を通り抜けられずグランド部2,2内に溜まった余剰蒸気は、リークオフ抽出管17,17、リークオフ管18、調節弁19を通って給水加熱器21へ送られ、ここで原子炉又は補助ボイラへの給水の加熱に供される。
調節弁19が開放された後、更にシール蒸気供給管10,10の圧力上昇が継続すると、今度は調節弁20も開放される。したがって、グランド部2,2内の余剰蒸気は、復水器22にも送られて復水される。
特開2002−129907号公報
ところで、上述したように、高圧蒸気タービン1のグランド部2においては、シール蒸気供給管10からのシール蒸気の導入、シール蒸気供給管10へのリーク蒸気の排出、リーク蒸気排出管12へのリーク蒸気の排出、リークオフ抽出管17への余剰蒸気の排出などが行われている。
しかし、グランド部2におけるこれらの蒸気の導入量又は排出量については、格別な制御が行われているわけではなく、その時々のラビリンス部付近の圧力に応じて変動するので、必ずしも熱効率向上の観点からは好ましいレベルの導入量又は排出量になっているわけではない。
例えば、グランド部2内の圧力が所定レベル以上となり、図5の破線矢印で示すように、グランド部2からの蒸気がシール蒸気供給母管9に向かって排出されている状態であって、未だそれほどグランド部2内の圧力が高くなっておらず或る程度余裕がある場合には、リーク蒸気排出管12又はリークオフ抽出管17への蒸気排出よりもシール蒸気供給管10への蒸気排出の割合を大きくしてグランド部4側への蒸気供給量を増加させた方が熱効率向上の観点からは好ましい。
一方、上記と同様に、グランド部2からの蒸気がシール蒸気供給母管9に向かって排出されている状態であって、グランド部2内の圧力がかなりの程度高くなっている場合には、グランド部4側への蒸気供給量は既に充分になっていると考えられるので、リーク蒸気排出管12又はリークオフ抽出管17への蒸気排出の方の割合をシール蒸気供給管10への蒸気排出よりも大きくした方が熱効率向上の観点からは好ましい。
ところが、従来システムにおけるグランド部2では、圧力が変化したとしても各配管に対する蒸気の導入量及び排出量の割合は一定になっているので熱効率の向上が充分に図られていない結果となっている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、熱効率の向上を充分に図ることが可能な高圧蒸気タービンのグランドシール装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、主蒸気管又は補助蒸気管のいずれからの蒸気も導入可能なシール蒸気供給母管と、前記シール蒸気供給母管からのシール蒸気を高圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンの各グランド部に供給するシール蒸気供給管と、前記高圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンの各グランド部からのリーク蒸気をグランド蒸気復水器へ排出するリーク蒸気排出管と、前記高圧蒸気タービンのグランド部からの余剰蒸気を給水加熱器及び復水器へ送出するリークオフ抽出管と、を備え、しかも前記高圧蒸気タービンのグランド部の圧力が所定レベル以上に上昇した場合に、このグランド部からのリーク蒸気を、高圧蒸気タービン用の前記シール蒸気供給管、前記シール蒸気供給母管、及び低圧蒸気タービン用の前記シール蒸気供給管を経由して前記低圧蒸気タービンのグランド部へシール蒸気として供給することが可能な蒸気タービンシステムにおいて、前記高圧蒸気タービンのロータ周面に対して離間接近可能に配設された複数のパッキンリングにより構成されるグランドパッキンと、前記シール蒸気供給管又は前記低圧蒸気タービンのグランド部の圧力変化に応じて、前記複数のパッキンリングのそれぞれを前記ロータ周面に対して離間又は接近する方向に個別に駆動制御するパッキンリング駆動制御手段と、を備え、前記複数のパッキンリングは、グランド部から前記リーク蒸気排出管への蒸気量を増減するための第1のパッキンリング、グランド部から前記シール蒸気供給管への蒸気量を増減するための第2のパッキンリング、グランド部から前記リークオフ抽出管への蒸気量を増減するための第3のパッキンリングを含んで構成されており、前記パッキンリング駆動制御手段は、前記高圧蒸気タービンのグランド部の圧力が所定レベル以上に上昇した場合であり且つ前記シール蒸気供給管又は前記低圧蒸気タービンのグランド部の圧力が設定値以下のときには、前記第2のパッキンリングを前記ロータ周面に対して離間する方向へ駆動するか、又は、前記第1若しくは第3のパッキンリングを前記ロータ周面に対して接近する方向へ駆動し、また、前記高圧蒸気タービンのグランド部の圧力が所定レベル以上に上昇した場合であり且つ前記シール蒸気供給管又は前記低圧蒸気タービンのグランド部の圧力が設定値を超えたときには、前記第2のパッキンリングを前記ロータ周面に対して接近する方向へ駆動するか、又は、前記第1若しくは第3のパッキンリングを前記ロータ周面に対して離間する方向へ駆動する、ことを特徴とする。
本発明に係る高圧蒸気タービンのグランドシール装置によれば、熱効率の向上を充分に図ることが可能になる。
本発明の実施形態の要部構成図であり、図5における高圧蒸気タービン1のグランド部2内に配設されているグランドパッキンの断面図。 図1における第1のパッキンリングPR1をロータ23の横断面方向から見た場合の構造を示す説明図。 本発明の他の実施形態の要部構成図であり、図2と同様に、図1における第1のパッキンリングPR1をロータ23の横断面方向から見た場合の構造を示す説明図。 本発明の更に他の実施形態の要部構成図。 従来又は本発明の蒸気タービンシステムについての構成図。
図1は、本発明の実施形態の要部構成図であり、図5における高圧蒸気タービン1のグランド部2内に配設されているグランドパッキンの断面図である。なお、本実施形態に係る蒸気タービンシステム全体の構成は、図5に示した従来構成と同様である。
図1において、グランドパッキンGPは、第1〜第4のパッキンリングPR1〜PR4により構成されている。各パッキンリングは、ロータ23が挿通しているリング本体24と、このリング本体24に形成された環状溝部に嵌合している嵌合リング25と、ロータ周面23aと対向するようにこの嵌合リング25に取り付けられたフィン部材26とを有している。
また、第1のパッキンリングPR1と第2のパッキンリングPR2との間にはSPL(リークオフ抽出管17)に通ずる流路27が形成され、第2のパッキンリングPR2と第3のパッキンリングPR3との間にはSSH(シール蒸気供給管10)に通ずる流路28が形成され、第3のパッキンリングPR3と第4のパッキンリングPR4との間にはSPE(リーク蒸気排出管12)に通ずる流路29が形成されている。
そして、第1〜第4のパッキンリングPR1〜PR4のうち第4のパッキンリングPR4を除く第1〜第3のパッキンリングPR1〜PR3は、各フィン部材26がロータ周面23aに対して離間又は接近する方向に(つまり間隙G1〜G3が可変するように)パッキンリング駆動制御手段30によって個別に駆動制御されるようになっている。
例えば、パッキンリング駆動制御手段30が第1のパッキンリングPR1に対して、間隙G1が小さくなるように駆動制御を行うと流路27に流れる蒸気流量が減少し、逆に、間隙G1が大きくなるように駆動制御を行うと流路27に流れる蒸気流量が増加するようになっている。
同様に、パッキンリング駆動制御手段30が第2のパッキンリングPR2に対して、間隙G2が小さくなるように駆動制御を行うと流路28に流れる蒸気流量が減少し、逆に、間隙G2が大きくなるように駆動制御を行うと流路28に流れる蒸気流量が増加するようになっている。
同様に、パッキンリング駆動制御手段30が第3のパッキンリングPR3に対して、間隙G3が小さくなるように駆動制御を行うと流路29に流れる蒸気流量が減少し、逆に、間隙G3が大きくなるように駆動制御を行うと流路29に流れる蒸気流量が増加するようになっている。
パッキンリング駆動制御手段30は、第1〜第3のパッキンリングPR1〜PR3に対する駆動制御を圧力検出器31からの検出信号に基づき行うようになっている。この圧力検出器31は、本実施形態では、SSHすなわちシール蒸気供給管10の圧力を検出する場合を想定しているが、その他の個所の圧力(低圧蒸気タービン3側のグランド部4内の圧力など)を検出するようにしてもよい。
図2は、図1における第1のパッキンリングPR1をロータ23の横断面方向から見た場合の構造を示す説明図である。この図2は、第1のパッキンリングPR1の構造のみを代表例として示したものであり、第2及び第3のパッキンリングPR2,PR3も同様の構造である。なお、図2では図面簡略化のため、フィン部材26、嵌合リング25等の部材については図示を省略している。
図2において、第1のパッキンリングPR1は、グランド部2内に固定された半裁状の固定リングR1aと、この固定リングR1aに対し図2の垂直方向へ変位可能に取り付けられた半裁状の可動リングR1bとで形成されている。固定リングR1aに対する可動リングR1bの取付は、固定リングR1a側に固着された係合ピン32の端部を、可動リングR1b側に設けられた長孔に挿通させることにより行っている。
グランド部2内には、固定部材である取付板33が配設され、この取付板33に孔部33aが形成されている。一方、押圧座34には支持棒35の一端側が固着されており、この支持棒35の他端側は孔部33aを挿通した状態で可動リングR1bの中央部に固着されている。また、押圧座34と取付板33との間にはバネ部材36が支持棒35に介挿されている。したがって、このバネ部材36のバネ力により押圧座34及び可動リングR1bは、ロータ周面23aから離間する方向(図2の上方向)に弾撥付勢されている。
そして、パッキンリング駆動制御手段30は、油圧又は電磁力等を利用したアクチュエータ(図示せず)を介し、バネ部材36の弾撥付勢力に抗して押圧座34を図2の下方向へ押圧可能になっている。ここで、バネ部材36のバネ長Hは最大バネ長Hmaxと最小バネ長Hminとの間で可変するが、蒸気タービン起動後においてパッキンリング駆動制御手段30は、このバネ長Hが所定の基準長H0(HmaxとHminとの中間値)となるように押圧座34をある程度押圧した状態になっている。したがって、バネ長Hが基準長H0である状態で、パッキンリング駆動制御手段30が押圧座34に対する押圧力を弱めればバネ長Hは基準長H0より長くなり(つまり間隙G1を大きくできる)、逆に、押圧力を強めればバネ長Hは基準長H0より短くなる(つまり間隙G1を小さくできる)。
次に、本実施形態の動作を図1、図2、及び図5を参照しつつ説明する。図5において、既述したように、高圧蒸気タービン1及び低圧蒸気タービン3の起動後に主蒸気管5の圧力が上昇してシール蒸気供給母管9の圧力以上になると、主蒸気供給調節弁6が開くと共に補助蒸気供給調節弁8が閉じられる。したがって、主蒸気源である原子炉からの主蒸気のみが主蒸気管5を通ってシール蒸気供給母管9に送られ、この蒸気がシール蒸気としてシール蒸気供給管10,10から高圧蒸気タービン1のグランド部2,2に供給されると共に、シール蒸気供給管11,11から低圧蒸気タービン3のグランド部4,4にも供給される。
この後、タービン負荷の増加に伴って高圧蒸気タービン1の圧力が上昇すると、グランド部2,2内ではシール蒸気供給口付近のラビリンス部の圧力が増大する。そのため、グランド部2,2の圧力が所定レベル以上に上昇すると、グランド部2,2からリークされる蒸気の一部が今度は破線矢印で示すように、シール蒸気供給管10,10を逆方向に通ってシール蒸気供給母管9に送られる。そして、このシール蒸気供給管10,10からの蒸気と主蒸気管5からの蒸気とが合わさった量の蒸気が、シール蒸気供給管11,11を通って、シール蒸気としてグランド部4,4に供給される。
このときパッキンリング駆動制御手段30は、圧力検出器31からの検出信号(シール蒸気供給管10の圧力検出値)を監視しており、検出値が予め設定してある設定値以下であれば、図1における第2のパッキンリングPR2のみを駆動制御して間隙G2が大きくなるようにする。これにより、流路28に流れる蒸気流量が増大し、また、流路28の蒸気流量が増大した分だけ流路29に流れる蒸気流量が減少する(なお、この時点では未だ調節弁19,20が閉じられているので、リークオフ抽出管17(SPL)側つまり流路27側へは蒸気が流れていない。)。したがって、図5において、グランド部2,2からリーク蒸気排出管12,12へ排出される蒸気量よりも、グランド部2,2からシール蒸気供給管10,10を経由してグランド部4,4側へ供給するシール蒸気の量を多くすることができ、熱効率の向上を図ることが可能になる。
一方、パッキンリング駆動制御手段30は、圧力検出器31からの検出値が設定値を超えていれば、図1における第2のパッキンリングPR2のみを駆動制御して間隙G2が小さくなるようにする。これにより、流路28に流れる蒸気流量が減少し、また、流路28の蒸気流量が減少した分だけ流路29に流れる蒸気流量が増大する。したがって、グランド部2,2からシール蒸気供給管10,10を経由してグランド部4,4側へ供給するシール蒸気の量(既に充分に供給されているはず)よりも、グランド部2,2からリーク蒸気排出管12,12へ排出される蒸気量の方を多くすることができ、熱効率の向上を図ることが可能になる。
なお、上記の説明では、パッキンリング駆動制御手段30が第2のパッキンリングPR2のみを駆動制御して間隙G2を変化させることにより、流路28,29の蒸気流量を制御しているが、第3のパッキンリングPR3のみを駆動制御して間隙G3を変化させることにより、流路28,29の蒸気流量を制御するようにしてもよい。あるいは更に、第2及び第3のパッキンリングPR2,PR3を制御して間隙G2,G3の双方を変化させることにより、流路28,29のそれぞれの蒸気流量をよりきめ細かく制御するようにしてもよい。
さて、上記のように、シール蒸気供給管10,10からの蒸気と主蒸気管5からの蒸気とが合わさった量の蒸気が、シール蒸気供給管11,11を通って、シール蒸気としてグランド部4,4に供給されている状態において、シール蒸気供給管10,10を破線矢印方向に流れる蒸気の量が増大すると、主蒸気供給調節弁6が閉じられる。したがって、シール蒸気供給管11,11を通ってグランド部4,4に供給されるシール蒸気は、シール蒸気供給管10,10からの蒸気のみになる。その後更に、シール蒸気供給管10,10を破線矢印方向に流れる蒸気の量が増大しシール蒸気供給管10,10の圧力が上昇すると調節弁19が開かれ、更に圧力が上昇すると調節弁20も開放される。
調節弁19,20が開放されることにより、グランド部2,2からの蒸気はリークオフ抽出管17,17へも排出されるので、パッキンリング駆動制御手段30は、それまでの第2及び第3のパッキンリングPR2,PR3の駆動制御の他に、第1のパッキンリングPR1も加えて駆動制御を行うことになる。そして、パッキンリング駆動制御手段30は、第1〜第3のパッキンリングPR1〜PR3に対する駆動制御を個別に行うことができるので、高圧蒸気タービン1及び低圧蒸気タービン3の運転状態や各配管の圧力等の状態に応じて、間隙G1,G2,G3をそれぞれ最適値に調節することが可能である。したがって、本実施形態の技術を適用することにより、蒸気タービンのグランドシールに関する熱効率を従来よりも大きく向上させることができるようになる。
図3は、本発明の他の実施形態の要部構成図であり、図2と同様に、図1における第1のパッキンリングPR1をロータ23の横断面方向から見た場合の構造を示す説明図である。図3が図2と異なる点は、第1のパッキンリングPR1を構成する2つの半裁状リング部材がいずれも可動リングになっている点である。
すなわち、図3において、第1のパッキンリングPR1は、図3の垂直方向へ変位可能に配設された第1及び第2の可動リングR1c,R1dにより形成されている。そして、第1及び第2の可動リングR1c,R1dの各端部には長孔が設けられており、係合ピン32はこれらの長孔を挿通している(係合ピン32はいずれの可動リングにも固着されておらず長孔内で遊嵌状態になっている。)。
また、第1及び第2の可動リングR1c,R1dには、押圧座34、支持棒35、及びバネ部材36等が図2と同様の構造で取り付けられている。そして、パッキンリング駆動制御手段30は、図2で既述したのと同様の駆動制御により、上下一対の押圧座34,34に対する押圧力を加減することができ、図1における間隙G1を変化させることができる。
この他の実施形態によれば、第1のパッキンリングPR1を構成する半裁状の2つのリングがいずれも可動リングになっているので、蒸気流量を一層きめ細かく制御することが可能になる。
図4は、本発明の更に他の実施形態の要部構成図である。この実施形態では、グランドパッキンGPを構成する第1〜第4のパッキンリングPR1〜PR4のうち第4のパッキンリングPR4を除く第1〜第3のパッキンリングPR1〜PR3の各フィン部材26Aが、ロータ周面23aに対して離間又は接近する方向に(つまり間隙G1〜G3が可変するように)変位できるように、嵌合リング25に取り付けられている。そして、この実施形態では図1におけるパッキンリング駆動制御手段30の代わりにフィン駆動制御手段37が用いられている。
フィン駆動制御手段37は、パッキンリングPR1〜PR3の各フィン部材26Aを駆動制御することにより、図1のパッキンリング駆動制御手段30について既述したのと同様にして、間隙G1,G2,G3を最適値に調整して流路27〜29を流れる蒸気流量を適正に制御するようになっている。
本実施形態では、フィン駆動制御手段37が第1〜第3のパッキンリングPR1〜PR3のリング本体24をロータ周面23aに対して変位させるのではなく、フィン部材26Aのみを変位させるようにしているので、図2又は図3に示したように、パッキンリングを半裁状のリング部材で形成する必要はなく、また、取付板33、押圧座34、支持棒35、及びバネ部材36のような部材を設ける必要もない。したがって、グランド部2についても、これらの部材を収納するための広いスペースを確保する必要もなくなり、設計上の自由度を大きくすることができる。
なお、この実施形態のフィン駆動制御手段37は、基本的には、各パッキンリングに設けられている複数のフィン部材26Aを一律に(揃って)駆動制御するものであるが、複数のフィン部材26Aの一本一本を個別に駆動制御するようにして更にきめ細かな蒸気流量制御を行うようにすることも可能である。
1:高圧蒸気タービン
2:グランド部
3:低圧蒸気タービン
4:グランド部
5:主蒸気管
6:主蒸気供給調節弁
7:補助蒸気管
8:補助蒸気供給調節弁
9:シール蒸気供給母管
10:シール蒸気供給管
11:シール蒸気供給管
12:リーク蒸気排出管
13:リーク蒸気排出管
14:リーク蒸気排出母管
15:グランド蒸気復水器
16:ファン
17:リークオフ抽出管
18:リークオフ管
19:調節弁
20:調節弁
21:給水加熱器
22:復水器
23:ロータ
23a:ロータ周面
24:リング本体
25:嵌合リング
26,26a:フィン部材
27:流路
28:流路
29:流路
30:パッキンリング駆動制御手段
31:圧力検出器
32:係合ピン
33:取付板
33a:孔部
34:押圧座
35:支持棒
36:バネ部材
37:フィン駆動制御手段
GP:グランドパッキン
PR1〜PR4:第1〜第4のパッキンリング
G1〜G3:間隙
R1a:固定リング
R1b:可動リング
R1c:第1の可動リング
R1d:第2の可動リング
SSH:スチームシールヘッダ
SPL:スチームパッキンリークオフ
SPE:スチームパッキンエグゾースト

Claims (4)

  1. 主蒸気管又は補助蒸気管のいずれからの蒸気も導入可能なシール蒸気供給母管と、
    前記シール蒸気供給母管からのシール蒸気を高圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンの各グランド部に供給するシール蒸気供給管と、
    前記高圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンの各グランド部からのリーク蒸気をグランド蒸気復水器へ排出するリーク蒸気排出管と、
    前記高圧蒸気タービンのグランド部からの余剰蒸気を給水加熱器及び復水器へ送出するリークオフ抽出管と、
    を備え、しかも前記高圧蒸気タービンのグランド部の圧力が所定レベル以上に上昇した場合に、このグランド部からのリーク蒸気を、高圧蒸気タービン用の前記シール蒸気供給管、前記シール蒸気供給母管、及び低圧蒸気タービン用の前記シール蒸気供給管を経由して前記低圧蒸気タービンのグランド部へシール蒸気として供給することが可能な蒸気タービンシステムにおいて、
    前記高圧蒸気タービンのロータ周面に対して離間接近可能に配設された複数のパッキンリングにより構成されるグランドパッキンと、
    前記シール蒸気供給管又は前記低圧蒸気タービンのグランド部の圧力変化に応じて、前記複数のパッキンリングのそれぞれを前記ロータ周面に対して離間又は接近する方向に個別に駆動制御するパッキンリング駆動制御手段と、
    を備え、
    前記複数のパッキンリングは、グランド部から前記リーク蒸気排出管への蒸気量を増減するための第1のパッキンリング、グランド部から前記シール蒸気供給管への蒸気量を増減するための第2のパッキンリング、グランド部から前記リークオフ抽出管への蒸気量を増減するための第3のパッキンリングを含んで構成されており、
    前記パッキンリング駆動制御手段は、
    前記高圧蒸気タービンのグランド部の圧力が所定レベル以上に上昇した場合であり且つ前記シール蒸気供給管又は前記低圧蒸気タービンのグランド部の圧力が設定値以下のときには、前記第2のパッキンリングを前記ロータ周面に対して離間する方向へ駆動するか、又は、前記第1若しくは第3のパッキンリングを前記ロータ周面に対して接近する方向へ駆動し、
    また、前記高圧蒸気タービンのグランド部の圧力が所定レベル以上に上昇した場合であり且つ前記シール蒸気供給管又は前記低圧蒸気タービンのグランド部の圧力が設定値を超えたときには、前記第2のパッキンリングを前記ロータ周面に対して接近する方向へ駆動するか、又は、前記第1若しくは第3のパッキンリングを前記ロータ周面に対して離間する方向へ駆動する、ことを特徴とする高圧蒸気タービンのグランドシール装置。
  2. 前記パッキンリングは、グランド部内に固定された半裁状の固定リング部材と、この固定リングに対し変位可能に取り付けられた半裁状の可動リング部材とで形成され、
    前記パッキンリング駆動制御手段は、前記半裁状の可動リング部材を前記ロータ周面に対して離間接近する方向へ駆動制御するものである、
    ことを特徴とする請求項1記載の高圧蒸気タービンのグランドシール装置。
  3. 前記パッキンリングは、グランド部内に変位可能に配設された半裁状の第1及び第2の可動リング部材により形成され、
    前記パッキンリング駆動制御手段は、前記半裁状の第1及び第2の可動リング部材を前記ロータ周面に対して離間接近する方向へ駆動制御するものである、
    ことを特徴とする請求項1記載の高圧蒸気タービンのグランドシール装置。
  4. 前記グランドパッキンを構成する複数のパッキンリングのそれぞれは、前記高圧蒸気タービンのロータ周面に対して離間接近可能に取り付けられた複数のフィン部材を有しており、
    前記パッキンリング駆動制御手段に代えて、前記シール蒸気供給管又は前記低圧蒸気タービンのグランド部の圧力変化に応じて、前記複数のフィン部材を前記ロータ周面に対して離間又は接近する方向へ各パッキンリング毎に個別に駆動制御するフィン駆動制御手段を用いた、
    ことを特徴とする請求項1記載の高圧蒸気タービンのグランドシール装置。
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