JP5458238B2 - 臓器再生用デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、臓器再生用デバイスに関するものである。
創傷治癒のカスケードは、種々の増殖因子が関与して再生と修復という2種類の機構が組み合わされて進行するが、通常、人間では修復の機構が主体となる。
また、組織再生の研究における最近の知見では、morphogen(形原)と言われる一群の増殖因子が、組織再生にも重要な役割を果たしていると考えられるようになっている。すなわち、創復治癒においても、胎生期における組織の発生と同様、個々の細胞は、morphogenの局所的発現濃度に依存して、広範な組織形成・再生に関与する可能性が明らかとされている。
さらに、in vitroの環境における幹細胞の修飾により、種々の組織の再生が可能であるとの研究成果が得られていることを踏まえて、最近では組織幹細胞を、分離した上でin situの環境で種々のmorphogenで刺激するなどして、制御することによっても組織さらには臓器の再生が可能であると考えられるようになっている。すなわち、同手法を用いることにより、組織幹細胞から皮膚付属器の分化を誘導可能であると考えられるようになってきている(例えば、非特許文献1参照。)。
以上のように、臓器の再生の際には、細胞の増殖・分化に種々の増殖因子が関与していることから、臓器の欠損部位において、これらの増殖因子が細胞の増殖・分化を促進し得るように構成された生体材料を移植することにより、臓器の再生を実現し得るものと考えられる。
ここで、上述した生体材料を用いて、臓器の欠損部位をより正常な状態に再生するには、増殖因子を適正な時期に、適正な濃度で供給し得ることが重要となる。また、臓器として、皮膚を一例とすると、皮膚の付属器官である毛嚢や脂腺を備える毛包脂腺系の再生が誘導されるには、これら付属器官に応じた複数の増殖因子が供給されることが必要であると考えられる。これらのことから、複数の増殖因子を供給し得るように構成された生体材料(移植材料)では、増殖因子毎に、供給する部位、その部位における濃度、および、供給する時期のような各種ファクターが巧みに制御できることが望まれる。
しかしながら、これらファクターを制御して各種の増殖因子を供給し得る生体材料は、開発されておらず、現状の技術では、皮膚のような臓器を正常な状態に再生させるには至っていない。
Eming et al. , Expert Opin Biol Ther, 4, 1373−1386, 2004.
本発明の目的は、一部が欠損した臓器を、正常な状態に再生することができる臓器再生用デバイスを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(18)の本発明により達成される。
(1) 外胚葉系の組織と内胚葉系の組織とが隣接して形成される臓器の欠損部位に補填して、当該臓器の再生を行う臓器再生用デバイスであって、
前記臓器の欠損部位に対応した形状をなす基体と、
該基体に担持され、当該基体と異なる材料で構成された粒子と、
前記基体に担持され、血管形成誘導因子および/または血管形成誘導因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸を含む増殖関連物質と、
前記粒子に担持され、モルフォゲン(morphogenおよび/またはモルフォゲン(morphogenのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸を含む他の増殖関連物質とを有することを特徴とする臓器再生用デバイス。
これにより、一部が欠損した臓器を、正常な状態に再生することができる。
また、前記増殖関連物質は、血管形成誘導因子および/または血管形成誘導因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸を含むものであることにより、欠損部位およびその周囲において、血管形成が促進されて、新生血管が活発に形成される。そして、この形成された新生血管により、組織の再生に必要な各種基質や幹細胞が供給される。
さらに、前記増殖関連物質は、前記血管形成誘導因子とは異なる他の増殖因子および/または他の増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸を含むものであることにより、臓器が備える付属器官を構成する細胞の増殖・分化を促進することができ、正常な状態に臓器を確実に再生することができる。
また、前記他の増殖因子および/または他の増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸は、粒子に担持されていることにより、他の増殖因子を供給する部位および時期を制御することができ、臓器が備える付属器官が正常な部位に確実に再生されることとなる。
さらに、本発明の臓器再生用デバイスでは、前記臓器は、外胚葉系の組織と、内胚葉系の組織とが隣接した臓器であり、このような臓器の再生に適用したときに、特に効率よく臓器が再生される。
(2) 前記基体は、主として生体吸収性を有する材料で構成される上記(1)に記載の臓器再生用デバイス。
これにより、欠損部位で臓器が再生する過程で、基体がその場から消失することになるので、基体を取り出すことなく、生体内に残存するのを確実に防止することができる。その結果、臓器の再生をより精度よく行うことができる。
(3) 前記生体吸収性を有する材料は、可溶性コラーゲンである上記(2)に記載の臓器再生用デバイス。
可溶性コラーゲンは、生体適合性を有することから、生体に埋植する基体の構成材料として適している。
(4) 前記基体は、三次元ネットワーク構造を有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
これにより、増殖関連物質や、増殖因子を放出する宿主細胞等を、より容易かつ確実に基体に担持させることができるとともに、欠損部位の周囲に存在する細胞や、血流に乗って供給される細胞が基体内に侵入し易くなり、臓器の再生にとって有利に作用する。
(5) 前記基体の空孔率は、30〜95%である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
これにより、基体の機械的強度を好適に維持しつつ、生体側の細胞の基体内への侵入がさらに容易となり、基体をより好適な組織再生の場とすることができる。
(6) 前記基体は、主としてコラーゲンスポンジで構成される上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
コラーゲンスポンジは、生体吸収性を有し、かつ、三次元ネットワーク構造を有することから、コラーゲンスポンジで構成される基体は、基体として優れた機能を発揮し、臓器の再生にとって有利に作用する。
(7) 前記粒子は、その少なくとも表面付近が、主としてリン酸カルシウム系化合物で構成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
リン酸カルシウム系化合物は、各種細胞との親和性(細胞親和性)が高いため、かかる粒子は、その表面に宿主細胞を担持し得るものとして好適に使用される。
(8) 前記リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイトを主成分とするものである上記(7)に記載の臓器再生用デバイス。
ハイドロキシアパタイトは、生体材料として用いられるものであり、粒子に宿主細胞を効率よく担持させることができるようになる。また、ハイドロキシアパタイトは、細胞に対するダメージを与える可能性が特に低いため、粒子に担持させた宿主細胞や、基体を足場として増殖・分化する細胞の働きに殆ど悪影響を与えない。これにより、欠損部位における組織の再生を効率よく行うことができる。
(9) 前記粒子の平均粒径は、50〜1000μmである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
これにより、粒子の表面に、細胞を容易に付着、増殖させることができる。また、欠損部位が治癒する過程で、粒子をその場から確実に消失させることができる。
(10) 前記粒子の空孔率は、10〜75%である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
これにより、粒子の表面積をより増大させることができ、粒子への細胞の付着率や付着した細胞の増殖効率をより向上させることができる。その結果、粒子に担持される宿主細胞の数を、より増大させることができる。
11) 前記血管形成誘導因子は、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)のうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
これらのものは、血管形成能に優れるため、得られる臓器再生用デバイスは、特に、優れた臓器再生能を有するものとなる。
(12) 前記他の増殖関連物質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸は、発現プラスミド由来の塩基配列を含む組換えプラスミドであり、
該組換えプラスミドが、前記粒子に直接的に担持されている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
これにより、この組換えプラスミドを取り込んだ細胞内から、増殖因子が確実に産生して、この細胞内における増殖因子の発現効率を、極めて高くすることができる。
(13) 前記粒子に担持されたベクターを有し、
該ベクターに、前記組換えプラスミドが導入されている上記(12)に記載の臓器再生用デバイス。
これにより、細胞への組換えプラスミドの取り込みを促進することができ、結果として、より迅速な組織再生が可能となる。
14) 前記ベクターは、非ウイルス由来のベクターである上記(13)に記載の臓器再生用デバイス。
これにより、限局した部位に比較的大量の組換えプラスミドを、容易かつ確実に供給することができ、また、感染を起こさないことから患者のより高い安全性を確保することができるという利点もある。
(15) 前記粒子に担持された宿主細胞を有し、
該宿主細胞に、前記ベクターが導入されている上記(14)に記載の臓器再生用デバイス。
これにより、他の増殖因子により増殖・分化が促進される細胞が選択的に増殖・分化することとなる。その結果、臓器が備える付属器官の再生を迅速に行うことができる。
16) 前記臓器は、皮膚である上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
本発明の臓器再生用デバイスは、皮膚の再生に適用したときに、さらに効率よく臓器が再生される。
(17) 前記他の増殖関連物質は、ウイングレス(Wingless) イント(int 3(Wnt)および骨形態形成タンパク質(BMP)の少なくとも一方である上記(16)に記載の臓器再生用デバイス。
これにより、皮膚の再生において、毛包脂腺系を、正常な間隔および傾斜角度で確実に形成することができる。
(18) 前記臓器の欠損部位に補填した際に、前記粒子は、前記基体の表面付近に局在され、前記基体の表面側から裏面側に沈降するよう構成されている上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
本発明によれば、一部が欠損した臓器を、正常な状態に再生することができる。
例えば、本発明の臓器再生用デバイスを、皮膚の欠損部位に補填した場合には、この欠損部位に、脂腺、毛幹およびアポクリン腺等を備える毛包脂腺系の形成を伴って、皮膚を正常な状態に再生することができる。また、毛包脂腺系を、正常な間隔および傾斜角度で形成することができる。
以下、本発明の臓器再生用デバイスについて詳細に説明する。
図1は、本発明の臓器再生用デバイスの一例を示す模式図である。
本発明の臓器再生用デバイス1は、基体2と、基体2に担持された粒子3と、基体2および粒子3の少なくともいずれかに担持された図示しない増殖関連物質とを有するものであり、臓器の欠損部位に補填して臓器の再生を行うものである。
この臓器再生用デバイス1は、各種臓器の再生に適用されるが、外胚葉系の組織と内胚葉系の組織とが隣接して形成される臓器(生体組織)を特に効率よく再生できることから、このような臓器の再生に好適に適用される。
具体的には、皮膚、腹膜、腸管、肺、腎臓、肝臓および分泌腺等(以下、これらを総称して「臓器」と言う。)に好適に適用されるが、以下では、外胚葉系の組織が上皮であり、内胚葉系の組織が真皮である皮膚の再生に、本発明の臓器再生用デバイス1を適用した場合を一例に詳述する。
なお、本明細書中おいて、「臓器の再生」とは、臓器の欠損部位において、細胞の増殖・分化が繰り返し行われることにより、欠損部位に組織や、臓器が備える付属器官が再生して、臓器がほぼ元の正常な状態に復元されることをいう。
また、「欠損部位」とは、火傷、交通事故、病気等により不可避的に損傷(欠損)した部位であってもよいし、メス、レーザメス等により人為的に形成した部位であってもよい。
基体2は、臓器の欠損部位に対応した形状をなし、臓器再生用デバイス1による臓器の再生を行う際、臓器の欠損部位に埋植(補填)される。
なお、以下では、基体2において、臓器の欠損部位に埋植された状態で、臓器の表面側となる面2aを「表面」、臓器の深部側となる面2bを「裏面」と言う。
基体2は、I:欠損部位で、細胞が増殖・分化するための足場としての機能と、II:該基体2に担持された後述する増殖関連物質や、粒子3に担持された宿主細胞から放出される増殖因子を保持し、さらに徐放する担体としての機能とを有している。
基体2がIの機能を有することにより、欠損部位が比較的大きく、臓器再生用デバイス1を移植される生体側で細胞が増殖・分化する足場が失われている場合であったとしても、この基体2を足場として、細胞が効率よく増殖・分化できることから、欠損部位に組織が再生されて、臓器を正常な状態に復元することができる。
また、基体2がIIの機能を有することにより、基体2に担持された増殖関連物質または粒子3に担持された宿主細胞から放出される増殖因子を、欠損部位やその周囲に適正な濃度で、かつ、適正な時期に供給することができる。その結果、欠損部位に、組織を確実に再生することができる。
この基体2は、生体吸収性を有するものであるのが好ましい。基体2が生体吸収性を有することにより、欠損部位で臓器が再生する過程で、基体2がその場から消失することになるので、基体2を取り出すことなく、生体内に残存するのを確実に防止することができる。その結果、臓器の再生をより精度よく行うことができる。
なお、「生体吸収性を有する」とは、生体内で徐々に分解・吸収されて消失することを言う。
生体吸収性を有する基体2の構成材料としては、可溶性コラーゲン、ゼラチン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ポリカプロラクトン、カルボキシメチルセルロース、セルロースエステル、デキストロール、デキストラン、キトサン、ヒアルロン酸、フィコール、コンドロイチン硫酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、水溶性ポリアクリレートおよび水溶性ポリメタクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、主として可溶性コラーゲンで構成されるのがこのましい。可溶性コラーゲンは特に生体適合性に優れる。
また、基体2は、多孔質構造のような三次元ネットワーク構造を有することが好ましい。基体2が三次元ネットワーク構造を有することにより、後述する増殖関連物質や、増殖因子(タンパク質)を放出する宿主細胞等を、より容易かつ確実に基体2に担持させることができるとともに、欠損部位の周囲に存在する細胞や、血流に乗って供給される細胞(以下、これらの細胞を総称して「生体側の細胞」と言うこともある。)が基体2内に侵入し易くなり、臓器の再生にとって有利に作用する。
この場合、基体2の空孔率は、30〜95%程度であるのが好ましく、55〜90%程度であるのがより好ましい。空孔率を前記範囲内に設定することにより、基体2の機械的強度を好適に維持しつつ、生体側の細胞の基体2内への侵入がさらに容易となり、基体2をより好適な組織再生の場とすることができる。
以上のことを考慮して、生体吸収性を有し、かつ、三次元ネットワーク構造を有する基体2としては、特に、可溶性コラーゲンを主材料として構成されるコラーゲンスポンジが好適に用いられる。
粒子3は、基体2内に保持され、増殖関連物質、増殖関連物質が導入されたベクターおよび宿主細胞のうちの少なくとも1種を担持する担体として機能するものである。粒子3に担持された増殖関連物質や、粒子3に担持された宿主細胞から放出される増殖因子は、徐々に基体2側に拡散する。そして、基体2に拡散した増殖関連物質および増殖因子は、基体2がIIの機能を有することにより、欠損部位やその周囲に適正な濃度で、かつ、適正な時期に供給される。
基体2中における粒子3の分布は、特に限定されず、基体2の全体に亘って粒子3が存在していてもよく、基体2の一部に粒子3が局在していてもよいが、粒子3から放出される増殖関連物質の供給部位および供給時期が、基体2中における粒子3の分布によって制御することができるので、これらが適正なものとなるように、粒子3の分布を調整するのが好ましい。
すなわち、基体2の全体に亘って粒子3を保持(担持)させた場合には、粒子3から放出される増殖関連物質等は、比較的早期に、欠損部位およびその周囲に一様に供給される。
また、基体2の表面付近に粒子3を局在させた場合には、粒子3から放出される増殖関連物質等は、臓器の表面付近には比較的早期に供給されるが、臓器の深部には、経路の途中での損失があるため、ほとんど供給されないか、供給されたとしても、表面付近に比べて遅れて供給される。
逆に、基体2の裏面付近に粒子3を局在させた場合には、粒子3から放出される増殖関連物質等は、臓器の深部には比較的早期に供給されるが、臓器の表面付近には、経路の途中での損失があるため、ほとんど供給されないか、供給されたとしても、裏面付近に比べて遅れて供給される。
このような傾向を基に、増殖関連物質等の生体側での供給部位および供給時期が適正となるように粒子3の分布を調整することにより、より正常な状態に近い臓器を確実に再生することができる。
また、本実施形態では、各粒子3は、基体2の表面付近に偏在して、厚さ方向に重なることなく、互いに間隔を空けて配設されている。これにより、各粒子3から基体2側に拡散した増殖関連物質等の流路が十分に確保され、増殖関連物質を臓器の欠損部位の周囲に効率よく供給することができる。
また、粒子3は、臓器の欠損部位に基体2を埋植した後、その場に留まっているものであってもよく、基体2の表面2a側から裏面2b側に(基体2の厚さ方向に)徐々に沈降するものであってもよい。
粒子3が、その場に留まっているものである場合には、粒子3から放出される増殖関連物質を、一定の領域に持続的に供給することができる。これにより、この領域に、その増殖関連物質によって再生が誘導される組織を、迅速かつ確実に再生することができる。
また、粒子3が裏面2b側に向かって徐々に沈降するものである場合には、粒子3から放出される増殖関連物質の供給部位が、経時的に表面側から深部側に移動する。このことは、付属器官が主器官の厚さ方向に伸長して存在するような臓器を再生する場合に有利となる。
なお、基体2中における粒子3の沈降度(沈降のし易さ)は、粒子3の質量および平均粒子径、基体2の平均孔径および粘弾性等の物性によって制御することができる。
次に、粒子3の構成について説明する。
図1に示す粒子3は、ほぼ球状をなしている。なお、粒子3の形状は、これに限られるものではなく、長円状、針状、葉状等の如何なる形状をなすものであってもよいが、ほぼ球状であるのが好ましい。これにより、この粒子3は、増殖関連物質を高い均一性で付着させたり、細胞を高い均一性で付着、増殖させたりすることができる。また、このような粒子3は、例えば、粒子3と細胞とを分散させた培養液を攪拌しながら、粒子3の表面で細胞を培養する場合に、培養液中へより均一に懸濁させることができる。
また、粒子3の構成材料としては、生体適合性を有し、基体2の構成材料と異なるものであればよく、特に限定されないが、例えば、ハイドロキシアパタイト、フッ素アパタイト、炭酸アパタイト、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウムのようなリン酸カルシウム系化合物、アルミナ、チタニア、ジルコニア、イットリア等のセラミックス材料、チタンまたはチタン合金、ステンレス鋼、Co−Cr系合金、Ni−Ti系合金等の各種金属材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
かかる構成材料で構成される粒子3の中でも、粒子3は、その少なくとも表面付近が、主としてリン酸カルシウム系化合物で構成されたものであるのが好ましい。リン酸カルシウム系化合物は、各種細胞との親和性(細胞親和性)が高いため、かかる粒子3は、その表面に宿主細胞を担持し得るものとして好適に使用される。
本実施形態では、粒子3は、その全体が、リン酸カルシウム系化合物を主材料として構成されている。ここで、リン酸カルシウム系化合物は、生体吸収性を示すことから、粒子3の全体をリン酸カルシウム系化合物で構成することにより、粒子3は、優れた生体吸収性を示し、欠損部位が治癒した後に、その場から消失させることができる。その結果、治癒した部位に、粒子に由来する異物が残存せず、より正常な状態に近い臓器を再生することができる。また、全体がリン酸カルシウム系化合物で構成される粒子3は、増殖関連物質や宿主細胞を効率よく担持させることができる。
リン酸カルシウム系化合物としては、特に限定されず、Ca/P比が1.0〜2.0の各種化合物を用いることができ、例えば、Ca10(PO(OH)、Ca10(PO、Ca10(POCl、Ca(PO、Ca、Ca(PO、CaHPO等のうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、リン酸カルシウム系化合物としては、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))を主成分とするものが好適である。ハイドロキシアパタイトは、生体材料として用いられるものであり、粒子3に宿主細胞を効率よく担持させることができるようになる。また、ハイドロキシアパタイトは、細胞に対するダメージを与える可能性が特に低いため、粒子に担持させた宿主細胞や、基体2を足場として増殖・分化する細胞の働きに殆ど悪影響を与えない。これにより、欠損部位における組織の再生を効率よく行うことができる。
なお、これらのリン酸カルシウム系化合物は、公知の湿式合成法、乾式合成法などによって合成することができる。この場合、リン酸カルシウム系化合物中には、その合成の際に残存する物質(原料等)または合成の過程で生じる二次反応生成物等が含まれていてもよい。
なお、粒子3は、リン酸カルシウム系化合物を含む構成とする場合、上述のようにその表面付近が主としてリン酸カルシウム系化合物で構成されていれば良く、その内部を樹脂材料を主材料とする基材で構成してもよい。かかる構成とすれば、粒子3の形状、大きさ(平均粒径等)、物性(密度等)等の調整を比較的容易に行うことができる。
基材を構成する樹脂材料としては、各種熱硬化性樹脂、各種熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン等、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、熱硬化性ポリウレタン、エボナイド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、基材を構成する樹脂材料としては、ポリアミド樹脂およびエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とするものであるのが好ましい。例えば、基材の表面付近に、主としてリン酸カルシウム系化合物で構成された被覆用粒子の一部を貫入させる場合には、基材を前述した材料で構成することにより、その硬さ(硬度)を適度なものとすることができるので、前記被覆用粒子による被覆を容易かつ確実に行うことができる。
粒子の大きさ(サイズ)は、特に限定されないが、細胞(付着させる細胞)の最大長さをL1[μm]とし、粒子3の平均粒径をL2[μm]としたとき、L2/L1が2〜100であるのが好ましく、5〜50であるのがより好ましい。具体的には、前記L2は、50〜500μm程度であるのが好ましく、70〜250μm程度であるのがより好ましい。
このような平均粒径の粒子3は、その表面積を細胞の大きさ(サイズ)に対して十分に大きくすることができるため、細胞が付着、増殖するのがより容易となる。なお、粒子3の平均粒径が小さ過ぎると、細胞が効率よく付着しないばかりでなく、粒子3同士の間での凝集が容易に生じる場合がある。一方、粒子3の平均粒径が大き過ぎると、欠損部位が治癒した後に、粒子をその場から完全に消失させるのが難しく、再生した臓器に、粒子に由来する異物が残存する可能性がある。また、粒子3の平均粒径が大きいと、培養液中での粒子3の沈降速度が大きくなるので、細胞培養の際の攪拌速度(後述参照)を大きくしなければならず、この場合、粒子3同士が互いに衝突し合い、その結果、粒子3の表面に付着した細胞が破壊されるおそれがある。
また、粒子3を培養液中でより均一に懸濁させる観点からは、粒子3の密度は、水の密度に近いものが好ましい。具体的には、粒子3の密度を、0.8〜1.4g/cm程度とするのが好ましく、0.9〜1.2g/cm程度とするのがより好ましい。粒子3の密度を前記範囲とすることにより、粒子3を培養液中でより均一に懸濁させることができる。
また、粒子3は、その少なくとも表面付近が多孔質なものであるのが好ましい。これにより、粒子3の表面積をより増大させることができ、粒子3への細胞の付着率や付着した細胞の増殖効率をより向上させることができる。その結果、粒子3に担持される宿主細胞の数を、より増大させることができる。
具体的には、粒子3の空孔率は、10〜75%程度であるのが好ましく、30〜60%程度であるのがより好ましい。空孔率をかかる範囲内に設定することにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
増殖関連物質は、細胞の増殖・分化を直接的または間接的に促進する機能を有する物質である。この増殖関連物質は、基体2および粒子3の少なくとも一方に、直接的または間接的に担持されている。
ここで、本明細書中では「細胞の増殖・分化を直接的に促進する物質」とは、細胞に接触することにより、細胞の増殖・分化を促進する物質、すなわち、増殖因子(タンパク質)のことを言う。
また、「細胞の増殖・分化を間接的に促進する物質」とは、細胞内に導入された状態で、細胞内における増殖因子の産生(合成)に関与する物質である。このような物質としては、具体的には、増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸(以下、「増殖関連核酸」と言うこともある。)等が挙げられる。このような増殖関連核酸が導入された細胞は、増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を鋳型として、順次、増殖因子を産生する。この産生された増殖因子によって、欠損部位およびその周囲に存在する細胞の増殖・分化が促進される。
ここで、増殖関連核酸は、臓器再生用デバイス1の内部または外部で、欠損部位やその周囲に存在した生体側の細胞に導入されて発現することにより、増殖因子を産生するようにしてもよく、臓器再生用デバイス1の基体2および粒子3の少なくとも一方に、該核酸を導入した宿主細胞を担持しておき、この宿主細胞から増殖因子が放出されるようにしてもよい。これについては、後に詳述する。
これらのうち、増殖関連物質として、増殖因子(タンパク質)を用いることにより、細胞の増殖・分化が直接的に促進されるため、該増殖因子によって再生が誘導される組織や臓器が備える付属器官を比較的早期に再生することができる。また、欠損部位の周囲に供給する増殖因子の供給量を、容易に制御することができるという利点がある。
一方、増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸(増殖関連物質)を用いることにより、増殖因子(タンパク質)を用いる場合と比較して、増殖因子を比較的遅くに産生することができるとともに、欠損部位およびその周囲に持続的に供給(徐放)することができる。また、増殖因子が比較的変性し易いものである場合でも、非変性の増殖因子を、欠損部位およびその周囲に長期間に亘って供給することができる。したがって、増殖関連物質としてこのような核酸を用いることにより、欠損部位が比較的大きい場合でも、該核酸に対応する増殖因子によって再生が誘導される組織や臓器が備える付属器官を、確実に再生することができる。
増殖因子としては、特に限定されないが、DPP(decapentaplegic)、トランスフォーミング成長因子ベータ、Hh(Hedgehog)、shh(ソニックHedgehog)、Wingless int 3(Wnt)、骨形態形成タンパク質(BMP)、Epidermal成長因子およびインスリン様増殖因子(ILGF)等のmorphogen(形原)や、塩基性繊維芽細胞増殖因子(basic Fibroblast Growth Factor:bFGF)、血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor:VGEF)、肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor:HGF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(Granulocyte Macrophage−Colony Stimulating Factor:GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte−Colony Stimulating Factor:G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(Macrophage−Colony Stimulating Factor:M−CSF)、幹細胞因子(Stem Cell Factor:CSF)、アンジオポエチン−1(Angiopoietin−1)、アンジオポエチン−2(Angiopoietin−2)、リポヌクレアーゼ類似タンパク質、ニコチンアミド、プロスタグランジンE(プロスタグランジンE1、プロスタグランジンE2、プロスタグランジンE3)、プロリン誘導体、ディブチルサイクリックAMP(dBcAMP)のようなサイクリックAMP誘導体等の血管形成誘導因子が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、血管形成誘導因子は、血管形成を促進し得る増殖因子であり、中でも、特に、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。これらのものは、血管形成能に優れるため、得られる臓器再生用デバイス1は、特に、優れた臓器再生能を有するものとなる。
また、morphogenは、再生される臓器や組織の中で、その臓器や組織の性質(特徴)を決定付ける細胞(臓器が備える付属器官を構成する細胞)の増殖・分化を促進し得る増殖因子(他の増殖因子)である。そのため、本実施形態のように、臓器再生用デバイス1を皮膚の再生に適用した場合、morphogenとしては、皮膚が備える毛包脂腺系の再生に関与すると考えられる、WntおよびBMPのうちの少なくとも1種を用いるのが好ましい。
また、BMPとしては、毛包脂腺系の再生を促す活性を有するものであればよく、特に限定されないが、例えば、BMP1、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8、BMP9、BMP12(以上、ホモダイマー)、もしくは、これらのBMPのヘテロダイマーまたは改変体(すなわち、天然に存在するBMPのアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列を有し、かつ、天然に存在するBMPと同じ活性を有するタンパク質)等が挙げられる。
Wntとしても同様に、毛包脂腺系の再生を促す活性を有するものであればよく、特に限定されないが、例えば、Wnt、SHH、BMP Notch signal、Friizzied、Nestin、Hairless等が挙げられる。
なお、本実施形態の他に、例えば、臓器再生用デバイス1を肺の再生に適用した場合にはbFGFが、臓器再生用デバイス1を腎臓の再生に適用した場合にはWnt、HGFが、臓器再生用デバイス1を肝臓の再生に適用した場合にはHGFがmorphogenとして好適に用いられる。
これら増殖因子は、基体2および粒子3の双方に担持されてもよく、いずれか一方に担持されてもよく、該増殖因子によって再生が誘導される組織や臓器が備える付属器官の種類や分布に応じて適宜選択するのが好ましい。
例えば、基体2に担持された増殖因子は、欠損部位およびその周囲に、比較的早期に一様に供給される。
一方、粒子3に担持された増殖因子は、基体2中での粒子3の分布や沈降度を制御することにより、生体側での供給部位および供給時期を制御することができる。
したがって、例えば、皮膚組織のように臓器の主体(主器官)となる組織の再生に関与する増殖因子、すなわち血管形成誘導因子は、基体2に担持しているのが好ましい。
また、主器官の局部に存在する付属器官(例えば、皮膚の場合には毛包脂腺系)の再生に関与する増殖因子は、すなわち、morphogen(他の増殖因子)は、粒子3に担持しているのが好ましい。
かかる構成とすることにより、まず主体となる組織が早期に構築され、次いで、この組織を土台として、付属器官(毛包脂腺系)が正常な部位に確実に再生されることとなる。
なお、基体2に増殖因子を担持させる場合、用いる増殖因子の量は、特に限定されないが、基体2の体積1cmあたり1〜100μg程度であるのが好ましく、10〜70μg程度であるのがより好ましい。
また、粒子3に増殖因子を担持させる場合も同様に、用いる増殖因子の量は、特に限定されないが、粒子3の体積1cmあたり1〜100μg程度であるのが好ましく、10〜70μg程度であるのがより好ましい。
いずれの場合にも、用いる増殖因子の量が少な過ぎると、迅速な組織再生を促すことができない場合がある。一方、用いる増殖因子の量を前記上限値を超えて多くしても、それ以上の効果の増大が見込めない。
増殖因子が担持された基体2は、増殖因子を基体2に接触させることにより作製(製造)することができる。具体的には、増殖因子が担持された基体2は、例えば、増殖因子を含む液体(溶液または懸濁液)を基体2に供給すること、あるいは、これらの液体に基体2を浸漬すること等により、容易に作製することができる。
また、増殖因子が担持された粒子3は、増殖因子を粒子3に接触させることにより作製(製造)することができる。具体的には、増殖因子が担持された粒子3は、例えば、増殖因子を含む液体(溶液または懸濁液)を粒子3に供給すること、あるいは、これらの液体に粒子3を浸漬すること等により、容易に作製することができる。
また、増殖関連核酸は、上述したような増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸であり、この核酸の塩基配列としては、通常、cDNAが用いられる。
この塩基配列としては、天然に存在する増殖因子をコードする塩基配列と同一、または、天然に存在する増殖因子をコードする塩基配列において1以上の塩基が欠失、置換および/または付加されたものであればよい。また、これらのものは、1種または2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。
ところで、増殖関連核酸は、細胞(後述するような臓器再生用デバイス1に担持された宿主細胞、または、臓器の欠損部位およびその周囲に存在する生体側の細胞)に取り込まれ、この細胞内で、増殖関連核酸を鋳型として用いて増殖因子が産生される。そのため、増殖因子を直接、臓器再生用デバイス1に導入した場合と比較して、増殖関連核酸に由来する増殖因子は遅れて臓器再生用デバイス1に産生されることとなる。
ここで、本実施形態のように臓器再生用デバイス1を皮膚の再生に用いる場合、morphogenとしては、前述のようにWntおよびBMPのうちの少なくとも1種が好適に用いられるが、このようなmorphogenは、毛包脂腺系の再生に関与するため、皮膚に血管および表皮等の主器官が形成された後に、産生されるのが好ましい。そのため、血管形成誘導因子のような増殖因子は、直接、増殖因子(タンパク質)の状態で臓器再生用デバイス1に含まれ、WntおよびBMPのような増殖因子(他の増殖因子)は、これら増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸(増殖関連核酸)から産生されるのが好ましい。
BMPのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸(cDNA)は、例えば、特表平2−500241号公報、特表平3−503649号公報、特表平3−505098号公報等に記載の方法に従って、入手することができる。
また、Wntのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸(cDNA)は、例えば、Kobune M et al: Wnt3/RhoA/ROCK signaling pathway is involved in adhesion-mediated drug resistance of multiple myeloma in an autocrine mechanism. Mol Cancer Ther 6: 1774-1784, 2007.等に記載の方法に従って、入手することができる。
また、このような増殖関連核酸は、増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含んでいればよいが、さらに発現プラスミド由来の塩基配列を含むもの、すなわち、増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を発現プラスミドに組み込んだ(導入した)ものが好適に用いられる。なお、以下では、増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を発現プラスミドに組み込んだ増殖関連核酸を、「組換えプラスミド」と言うこともある。
このような組換えプラスミドを用いることにより、これを取り込んだ細胞(後述するような臓器再生用デバイス1に担持された細胞、または、臓器の欠損部位およびその周囲に存在する生体側の細胞)内から、増殖因子を確実に産生(発現)させることができ、この細胞内における増殖因子の発現効率を、極めて高くすることができる。
発現プラスミドには、遺伝子組換え工学技術の分野で広く用いられるものの中から選択することができ、例えば、pCAH、pCAcc、pSC101、pBR322、pUC18等の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、この組換えプラスミドには、適宜、増殖因子の発現を適切に制御する塩基配列(DNA断片)を導入することができる。
発現プラスミドに、増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列や、この他の塩基配列を組み込む方法には、公知の方法を用いることができる。
このような組換えプラスミドの一例として、BMP2のアミノ酸配列をコードするcDNAを、発現プラスミドであるpCAHに導入した組換えプラスミドを図2に示す。
この組換えプラスミドは、Amp(アンピシリン)に耐性を示すDNA断片を含むとともに、サイトメガロウイルス(CMV)由来のエンハンサー・プロモーターを含むDNA断片と、BMP2 cDNAの下流域には、SV40由来の転写終結信号を含むDNA断片とが組み込まれている。
また、図3に示す発現プラスミドであるpCAccのXの領域に、Wntのアミノ酸配列をコードするcDNAを導入した組換えプラスミドが挙げられる。
この組換えプラスミドは、ベータラクタマーゼ阻害剤に耐性を示すDNA断片を含むとともに、サイトメガロウイルス(CMV)由来のエンハンサー・プロモーターを含むDNA断片と、Wnt cDNAの下流域には、SV40由来の転写終結信号を含むDNA断片とが組み込まれている。
このような増殖関連核酸は、前述した増殖因子と同様に、基体2および粒子3の双方に担持されてもよく、いずれか一方に担持されてもよい。
また、増殖関連核酸は、組換えプラスミドの状態で基体2および/または粒子3に直接的に担持されてもよく、後述するベクターまたは宿主細胞内に導入された状態で基体2および/または粒子3に間接的に担持されてもよい。
ここで、組換えプラスミドの状態で担持された増殖関連核酸は、臓器再生用デバイス1を欠損部位に埋植すると、欠損部位やその周囲に存在する生体側の細胞が臓器再生用デバイス1内に移動した際に、この細胞内に導入される。または、この増殖関連核酸自体が、臓器再生用デバイス1から放出され、欠損部位やその周囲に存在する生体側の細胞内に導入される。
これらのようにして組換えプラスミドの状態で担持された増殖関連核酸が細胞内に導入されると、この細胞内において増殖因子が産生され、産生された増殖因子が、細胞外に分泌されると、この増殖因子により増殖・分化が促進される細胞が選択的に増殖・分化することとなる。
また、増殖関連核酸(組換えプラスミド)を担持させる担体は、この増殖関連核酸により間接的に再生が誘導される組織および臓器が備える付属器官の種類や分布に応じて適宜選択するのが好ましい。
例えば、基体2に担持された増殖関連核酸は、欠損部位およびその周囲に、比較的早期に一様に供給される。
一方、粒子3に担持された増殖関連核酸は、基体2中での粒子3の分布や沈降度を制御することにより、生体側での供給部位および供給時期を制御することができる。
したがって、例えば、皮膚組織のように臓器の主体(主器官)となる組織の再生に関与する増殖関連核酸(血管形成誘導因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する核酸)は、基体2に担持させるのが好ましい。
また、主器官の局部に存在する付属器官(例えば、皮膚の場合には毛包脂腺系)の再生に関与する増殖関連核酸(BMPおよびWnt等のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する核酸)は、粒子3に担持させるのが好ましい。
かかる構成とすることにより、まず主体となる組織が早期に構築され、次いで、この組織を土台として、付属器官(毛包脂腺系)が正常な部位に確実に再生されることとなる。
なお、増殖関連核酸(組換えプラスミド)が担持された基体2は、増殖関連核酸を基体2に接触させることにより作製(製造)することができる。具体的には、増殖関連核酸が担持された基体2は、例えば、増殖関連核酸を含む液体(溶液または懸濁液)を基体2に供給すること、あるいは、これらの液体に基体2を浸漬すること等により、容易に作製することができる。
また、増殖関連核酸(組換えプラスミド)が担持された粒子3は、増殖関連核酸を粒子3に接触させることにより作製(製造)することができる。具体的には、増殖関連核酸が担持された粒子3は、例えば、増殖関連核酸を含む液体(溶液または懸濁液)を粒子3に供給すること、あるいは、これらの液体に粒子3を浸漬すること等により、容易に作製することができる。
ところで、組換えプラスミド(増殖関連核酸)の生体側の細胞内への導入効率(取り込み効率)を向上させる、すなわち、より早期により多くの増殖因子を分泌させるには、組換えプラスミド(増殖関連核酸)は、ベクターに導入された状態で、基体2および/または粒子3に間接的に担持されているのが好ましい。
なお、ベクターとは、組換えプラスミドを保持し、欠損部位の周囲に存在する細胞への組換えプラスミドの取り込みを促進する機能を有するものである。ベクターを用いることにより、結果として、より迅速な組織再生が可能となる。
本発明では、このようなベクターとしては、ウイルス由来でないベクター(すなわち、非ウイルス由来のベクター)、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクターのようなウイルス由来のベクターのいずれを用いてもよいが、非ウイルス由来のベクターを用いるのが好ましい。非ウイルス由来のベクターを用いることにより、限局した部位に比較的大量の組換えプラスミドを、容易かつ確実に供給することができ、また、感染を起こさないことから患者のより高い安全性を確保することができるという利点もある。さらに、非ウイルス由来のベクターを用いる方法は、ウイルスベクターや細胞を用いるex vivo等の方法では、ウイルスベクターや細胞への核酸の導入操作、核酸を導入したウイルスベクターや細胞を増殖させる操作等が必要であるのに対し、これらの操作を必要としないことから、時間と手間とを低減できるという点においても優れている。
非ウイルス由来のベクターとしては、種々のものを用いることができるが、リポソーム(脂質膜)を用いるのが好適である。リポソームは、細胞膜の構成成分に近い成分で構成されるため、細胞膜への結合(融合)が比較的容易かつ円滑になされる。このため、増殖関連核酸の細胞内への取り込みの効率をより向上させることができる。
リポソームとしては、例えば、表面に組換えプラスミドを吸着する形態の正荷電リポソーム、内部に組換えプラスミドを封入する形態の負荷電リポソーム等を用いることができる。これらのリポソームは、単独または組み合わせて用いることもできる。
正荷電リポソームは、例えば、DOSPA(2,3-dioleyloxy-N-[2(sperminecarboxamido)ethyl]-N,N-dimethyl-1-propanaminium trifluoroacetate)のようなポリカチオン性脂質を主としてなるものである。なお、正荷電リポソームとしては、例えば、QIAGEN社製の「SuperFect」等の市販品を用いることができる。
一方、負荷電リポソームは、例えば、3−sn−ホスファチジルコリン、3−sn−ホスファチジルセリン、3−sn−ホスファチジルエタノールアミン、3−sn−ホスファチダルエタノールアミン、または、これらの誘導体のようなリン脂質を主としてなるものである。
用いるベクターの量は、特に限定されないが、ベクターと組換えプラスミドとの配合比が、重量比で1:1〜20:1程度であるのが好ましく、2:1〜10:1程度であるのがより好ましい。用いるベクターの量が少な過ぎると、ベクターの種類等によっては、組換えプラスミドの細胞への取り込みの効率を十分に大きくすることができない場合がある。一方、用いるベクターの量を前記上限値を超えて多くしても、それ以上の効果の増大が見込めないばかりでなく、細胞毒性が生じる場合がある。また、コストの増大を招き好ましくない。
組換えプラスミドを導入したベクターが担持された基体2は、組換えプラスミドおよびベクターを基体2に接触させることにより作製(製造)することができる。具体的には、このベクターが担持された基体2は、例えば、組換えプラスミドおよびベクターの双方を含む液体を基体2に供給すること、または、この液体に基体2を浸漬すること等により、容易に作製することができる。
また、組換えプラスミドを導入したベクターが担持された粒子3は、組換えプラスミドおよびベクターを粒子3に接触させることにより作製(製造)することができる。具体的には、このベクターが担持された粒子3は、例えば、組換えプラスミドおよびベクターの双方を含む液体を粒子3に供給すること、または、この液体に粒子3を浸漬すること等により、容易に作製することができる。
さらに、増殖関連核酸(組換えプラスミド)が宿主細胞内に導入された状態で基体2および/または粒子3に間接的に担持された臓器再生用デバイス1では、この宿主細胞内で増殖因子が産生される。そして、この産生された増殖因子が、宿主細胞から分泌(放出)されると、この増殖因子により増殖・分化が促進される細胞が選択的に増殖・分化することとなる。かかる構成の臓器再生用デバイス1において、宿主細胞として、増殖関連核酸の導入効率や増殖因子の産生能に優れたものを選択することにより、損傷部位の周囲に存在する生体側の細胞に増殖因子を効率よく供給することができる。その結果、臓器の再生を迅速に行うことができる。
増殖関連核酸を導入する宿主細胞としては、特に限定されず、各種細胞が用いられ、例えば、繊維芽細胞(皮膚繊維芽細胞)、象牙芽細胞、骨芽細胞のような芽細胞等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、宿主細胞としては、繊維芽細胞を用いるのが好ましい。繊維芽細胞は、増殖させ易く、また、分化し難いことから、これを宿主細胞として用いれば、得られる臓器再生用デバイス1は、増殖因子を十分な量で安定的に供給し得るものとなる。また、臓器再生用デバイス1側の宿主細胞が分化して、臓器の再生に悪影響を及ぼすようになるのを確実に防止することができる。
増殖関連核酸が導入された宿主細胞を担持させる担体は、この増殖関連核酸によって間接的に再生が誘導される組織および臓器が備える付属器官の種類や分布に応じて適宜選択するのが好ましい。
例えば、基体2に担持された宿主細胞から放出される増殖因子は、欠損部位およびその周囲に、比較的早期に一様に供給される。
一方、粒子3に担持された宿主細胞から放出される増殖因子は、基体2中での粒子の分布や沈降度を制御することにより、生体側での供給部位および供給時期を制御することができる。
したがって、例えば、皮膚組織のように臓器の主体となる組織の再生に関与する増殖関連核酸が導入された宿主細胞は、基体2に担持させるのが好ましい。また、主器官の局部に存在する付属器官(例えば、皮膚の場合には毛包脂腺系)の再生に関与する増殖関連核酸(具体的には、BMPおよびWnt等をコードする核酸)が導入された宿主細胞は、粒子3に担持させるのが好ましい。これにより、主体となる組織が早期に構築され、この組織を土台として、臓器が備える付属器官を、正常な部位に確実に再生することができる。
なお、宿主細胞を粒子3に担持させる場合に、粒子3として、前述したようなその少なくとも表面付近が、主としてリン酸カルシウム系化合物で構成されたものを使用とすると、その宿主細胞との親和性の高さから、粒子3の表面に、宿主細胞を効率よく付着させ、増殖させることができる。
以上のような増殖関連核酸(組換えプラスミド)が導入された宿主細胞が担持された粒子3は、例えば、次のような工程を経て得ることができる。
[A1] まず、粒子3と、粒子3に付着させる細胞とが懸濁させた培養液を用意する。
培養液としては、用いる細胞の種類等により適宜選択され、特に限定されないが、例えば、MEM培地、αMEM培地、ダルベッコMEM培地、BME培地、MCDB−104培地、MSCBM培地等が挙げられる。
また、これらの培養液中には、必要に応じて、例えば、血清、アルブミン等の血清タンパク質、各種ビタミン類、各種アミノ酸、塩類等の添加剤を添加するようにしてもよい。
次いで、用意した培養液を攪拌する。これにより、粒子3の表面に、細胞をほぼ均一に付着させることができ、この細胞が時間の経過とともに増殖する。また、培養液を攪拌しつつ、細胞を培養することにより、培養液が細胞にほぼ均一に接触することとなり、細胞の増殖効率を向上させることができる。
培養液の攪拌速度は、特に限定されないが、5〜100rpm程度とするのが好ましく、10〜50rpm程度とするのがより好ましい。攪拌速度が遅すぎると、粒子3の密度、平均粒径(サイズ)等によっては、粒子3を培養液中で均一に分散することができない場合があり、この場合、粒子3の表面で細胞が十分に増殖できないおそれがある。一方、攪拌速度が速すぎると、粒子3が攪拌され過ぎ、粒子3同士が激しく衝突し合い、付着した細胞が破壊されてしまうおそれがある。
また、培養液の温度(培養温度)は、培養する細胞の種類に応じて適宜設定され、特に限定されないが、通常、20〜40℃程度、好ましくは25〜37℃程度とされる。
[A2] 次に、前記工程[A1]終了後の粒子3が懸濁している培養液に、増殖関連核酸(例えば、組換えプラスミド)が懸濁された懸濁液を添加し、放置する。これにより、粒子3の表面で増殖した細胞に、増殖関連核酸が導入される。
なお、増殖関連核酸は、ベクターに保持されているのが好ましい。これにより、宿主細胞への増殖関連核酸の取り込みを促進することができる。
ベクターとしては、例えば、前述したのと同様のものを用いることができる。
培養液の温度(処理温度)は、特に限定されないが、通常、20〜40℃程度、好ましくは25〜37℃程度とされる。
また、処理時間は、特に限定されないが、通常、0.1〜5時間程度、好ましくは1〜3時間程度とされる。
また、増殖関連核酸(組換えプラスミド)が導入された宿主細胞が担持された基体2は、例えば、次のような工程を経て得ることができる。
[B1] まず、基体2に付着させる細胞を懸濁させた培養液を用意する。
培養液としては、例えば、前述したのと同様のものを挙げることができる。
次いで、用意した培養液に、基体2を浸漬する。
これにより、基体2の表面には、細胞が付着し、この細胞は、時間の経過とともに増殖することとなる。
培養液の温度(培養温度)は、培養する細胞の種類に応じて適宜設定され、特に限定されないが、通常、20〜40℃程度、好ましくは25〜37℃程度とされる。
[B2] 次に、前記工程[B1]終了後の基体2が浸漬している培養液に、増殖関連核酸(例えば、組換えプラスミド)が懸濁された懸濁液を添加し、放置する。これにより、粒子3の表面で増殖した細胞に、増殖関連核酸が導入される。
なお、増殖関連核酸は、ベクターに保持されているのが好ましい。これにより、宿主細胞への増殖関連核酸の取り込みを促進することができる。
ベクターとしては、例えば、前述したのと同様のものを用いることができる。
培養液の温度(処理温度)は、特に限定されないが、通常、20〜40℃程度、好ましくは25〜37℃程度とされる。
また、処理時間は、特に限定されないが、通常、0.1〜5時間程度、好ましくは1〜3時間程度とされる。
上記で説明した増殖因子、増殖関連核酸(組換えプラスミド)、増殖関連核酸が導入されたベクター、および、増殖関連核酸が導入された宿主細胞は、それぞれ、別々に用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。中でも、複数種の増殖関連物質によって臓器の再生を行う臓器再生用デバイス1では、各増殖関連物質同士で、好ましい作用時期が異なる場合には、これらを組み合わせるのが好ましい。
すなわち、増殖因子(タンパク質)が担持された臓器再生用デバイス1では、増殖因子が直接的に細胞の増殖・分化を促進する。したがって、増殖因子を、生体側で比較的早期に作用させることができる。
また、増殖関連核酸が導入された宿主細胞が担持された臓器再生用デバイス1では、この宿主細胞内で増殖因子が産生され、この産生された増殖因子が生体側に放出されて細胞の増殖・分化を促進する。したがって、この臓器再生用デバイス1では、増殖因子が担持されたものに比べて、遅れて増殖因子が細胞の増殖・分化を促進する。
さらに、組換えプラスミド(増殖関連核酸)が担持された臓器再生用デバイス1では、組換えプラスミドが、生体側の細胞に導入される。そして、組換えプラスミドが導入された細胞内で増殖因子が産生され、この増殖因子が細胞外に分泌されることにより、この増殖因子により増殖・分化が促進される細胞が選択的に増殖・分化する。したがって、この臓器再生用デバイス1では、増殖関連核酸が宿主細胞内に導入された状態で担持されたものより、さらに遅れて増殖因子が細胞の増殖・分化を促進する。
なお、組換えプラスミド(増殖関連核酸)導入されたベクターが担持された臓器再生用デバイス1では、組換えプラスミド(増殖関連核酸)が担持された臓器再生用デバイス1と比較して、組換えプラスミドの生体側の細胞に対する導入をより円滑に行われるようになる。そのため、この臓器再生用デバイス1では、組換えプラスミド(増殖関連核酸)が担持されたものと、増殖関連核酸が宿主細胞内に導入された状態で担持されたものとの中間の速さで、増殖因子が細胞の増殖・分化を促進する。
これらのことから、増殖因子で細胞の増殖・分化を促進させるには、増殖因子、増殖関連核酸が導入された宿主細胞、増殖関連核酸が導入されたベクター、および、増殖関連核酸(組換えプラスミド)を臓器再生用デバイス1に含有されればよいが、細胞を増殖・分化させる時期もこの順になっていることから、増殖因子を分泌(供給)させたい時期に応じて、臓器生成用デバイス1に含有させるものを選択すればよい。
したがって、臓器の再生において、比較的早期に細胞に作用させたい増殖因子の場合には、増殖因子の状態で臓器再生用デバイス1に担持させるのが好ましい。このような増殖因子としては、例えば、血管形成誘導因子が挙げられる。血管形成誘導因子を選択すると、皮膚の再生において、臓器再生用デバイス1が補填された皮膚の欠損部に、早期に血管が再生される。血管は、臓器が備える組織の再生に必要な各種基質や幹細胞を供給する経路となるため、新生血管が活発に形成されることにより、このような基質や幹細胞が組織再生の場に効率よく供給され、迅速な臓器再生がなされる。
また、臓器の再生過程において、比較的遅くに細胞に作用させたい増殖因子の場合には、増殖関連核酸が導入された宿主細胞、増殖関連核酸が導入されたベクター、または、増殖関連核酸(組換えプラスミド)の状態で臓器再生用デバイス1に担持させるのが好ましい。このような増殖因子としては、例えば、臓器が備える付属器官の再生に関与する増殖因子、すなわち本実施形態では、毛包脂腺系の再生に関与するBMPおよびWntが挙げられる。
これにより、各増殖因子を好ましい時期に作用させることができ、ほぼ正常に近い状態で臓器を再生させることができる。
以上のことを考慮すると、増殖因子で細胞の増殖・分化を促進させる時期および位置は、増殖因子、増殖関連核酸が導入された宿主細胞、増殖関連核酸が導入されたベクター、および、増殖関連核酸(組換えプラスミド)の種類を選択すること、さらには、これらのものを担持させる位置、すなわち、基体2および粒子3のいずれか一方さらにはこれらの双方に担持させることによって適宜設定することができる。そして、本実施形態のように、欠損した皮膚の一部を再生する際に、本発明の臓器再生用デバイス1を適用した場合には、基体2に増殖因子として血管形成誘導因子を担持させ、粒子3にBMPおよびWntのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸が導入された宿主細胞を担持させるのが好ましい。
以下、欠損した皮膚を再生する臓器再生用デバイス1として、前記のもの、すなわち、基体2に増殖因子として血管形成誘導因子(例えば、bFGF)が担持され、粒子3に、BMPおよびWntのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸が導入された宿主細胞が担持されているものを用いて、皮膚の欠損部位が再生される過程を説明する。
図4は、本発明の臓器再生用デバイス1を皮膚の再生に適用した場合における、臓器再生用デバイス1により、皮膚の欠損部位が再生される過程を説明するための模式図である。
図4(a)に示すように、皮膚10は、主として、体表面を構成する皮膚組織101と、この皮膚組織101の厚さ方向に対して斜めに延びる毛包脂腺系102とで構成されており、毛包脂腺系102は体表面にほぼ等間隔で点在している。
このような皮膚10の欠損部位20の再生は、臓器再生用デバイス1を用いて、次のようにして行われる。
[C1] まず、臓器再生用デバイス1を、基体2の表面2aが体表面側、その裏面2bが皮膚の深部側となるように、皮膚の欠損部位20に埋設(補填)する(図4(a)参照。)。
このように臓器再生用デバイス1を埋設すると、図4(b)に示すように、基体2に担持された血管形成誘導因子が生体側に放出されるとともに、基体2内に生体側の細胞が侵入する。その結果、血管形成誘導因子で増殖・分化が促進された細胞により、基体2の近傍および基体2の内部において、新生血管103が活発に形成される。このように新生血管103が形成されると、この血管103を介して皮膚組織101および毛包脂腺系102の再生誘導に必要な基質や幹細胞が供給される。その結果、皮膚組織101の再生が誘導されることとなり、欠損部位の辺縁を基端として、新生皮膚104が形成される。
[C2] 次に、新生皮膚104が形成され、さらに、基体2の表面2a側から裏面2b側に徐々に粒子3が沈降し、それとともに、この粒子3に担持された宿主細胞からWntおよびBMPが産生されると、この領域において、毛包脂腺系102の再生誘導に必要な幹細胞の増殖・分化が促進される(図4(c)参照。)。
[C3] 次に、幹細胞の増殖・分化が促進されると、図4(d)に示すように、毛嚢、脂腺等を備える毛包脂腺系(皮膚の付属器官)102が表皮側から真皮下方に向けて伸長して形成されることにより、皮膚10の再生が進行する。
なお、臓器再生用デバイス1に含まれる基体2および粒子3は、前述したような生体吸収性を有する材料で構成されている場合、このような皮膚再生の過程で徐々に吸収され、消失する。
以上のようにして、臓器再生用デバイス1を用いて、欠損部位20(一部)が欠損した皮膚10が正常な状態に再生される。
次に、臓器再生用デバイス1の製造方法として、前述した構成の臓器再生用デバイス1を製造する場合を一例に説明する。
[D1]まず、前記工程[A1]と同様にして、培養液中で、粒子3の表面に細胞を付着させ、増殖させる。
[D2]次に、前記工程[D1]終了後の細胞が付着した粒子3が懸濁している培養液を、シャーレに滴下し、シャーレの底面に、それぞれが重ならない状態で粒子3を配置する。
そして、これら粒子3の上に、基体2を、その平坦面が粒子3側(シャーレの底面側)となるように載置する。
これにより、基体2の平坦面に、粒子3が減り込み、基体2の表面2a近傍に粒子3が担持された状態となる。
[D3]次に、血管形成誘導因子、および、毛包脂腺系の再生を誘導する増殖因子(BMPおよびWnt)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する組換えプラスミドが導入されたベクターを溶解または懸濁させた液材を用意し、この溶液を、粒子3および基体2が収容されているシャーレに注入した後、インキュベートする。
これにより、基体2に、血管形成誘導因子が担持され、粒子3に担持された宿主細胞に、毛包脂腺系の再生を誘導する増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する組換えプラスミドが導入された臓器再生用デバイス1が得られる。
なお、インキュベートの時間は、0.2〜5時間程度であるのが好ましく、1〜3時間程度であるのがより好ましい。
以上、本発明の臓器再生用デバイスの好適な実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
例えば、前記実施形態では、増殖因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列として、cDNAを代表に説明したが、塩基配列は、増殖因子のアミノ酸配列に対応するmRNA、あるいは、これらに任意の塩基を付加したもの等であってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
1.組換えプラスミドの調製
公知の方法により、BMP2 cDNA(BMP2をコードする塩基配列)と、所望の塩基配列とを、発現プラスミドに組み込んで、図2に示すようなBMP2−組換えプラスミドを得た。
また、公知の方法により、所望の塩基配列が組み込まれた図3に示すような発現プラスミドに、Wnt(human Wnt 3) cDNA(Wntをコードする塩基配列)を組み込んで、Wnt−組換えプラスミドを得た。
そして、これら組換えプラスミドを、それぞれ、次のようにして増殖させた。
まず、室温で、組換えプラスミドを、DH5α(Competent Bacteria)の懸濁液200μLに添加した。
次に、この混合液をLB寒天培地に添加して、37℃×12時間、培養した。
次に、この培養終了後、LB寒天培地に増殖したコロニーの中から比較的大きいコロニーを選択し、これをAmp(アンピシリン)を含むLB寒天培地に移植し、さらに37℃×12時間、培養した。
その後、Ampを含むLB寒天培地で増殖したDH5αの細胞膜を破壊し、その溶液から、組換えプラスミドを精製分離した。
2.組換えプラスミドのベクターへの導入
公知の方法により、Wnt−組換えプラスミドおよびBMP2−組換えプラスミドを、それぞれ、アデノウイルスに導入した。
3.細胞が担持されたHAPビーズの作製
公知の湿式合成法によりハイドロキシアパタイトを合成し、このハイドロキシアパタイトのスラリーを噴霧乾燥した後、700℃で焼成することにより、HAPビーズ(平均粒径:80μm、比表面積:約20m/g)を得た。このHAPビーズと、繊維芽細胞の懸濁液とを、ダルベッコMEM培地(培養液)に添加した。
なお、ダルベッコMEM培地中には、10vol%のウシ胎児血清を添加して用いた。
各ダルベッコMEM培地を、室温で、17〜24時間攪拌しつつ、繊維芽細胞を培養した。
そして、培養後のHAPビーズについて、クリスタルバイオレットを用いた染色法によって繊維芽細胞の付着の様子を観察したところ、HAPビーズの表面を覆うように繊維芽細胞が増殖(付着)していることが確認された。
4.臓器再生用デバイスの作製
まず、HAPビーズ(粒子)が懸濁しているダルベッコMEM培地(培養液)0.2mLを、24穴培養シャーレに滴下することにより、各シャーレの底面に、約50個のHAPビーズを各ビーズ同士が重ならないように配置した。
そして、各穴の粒子の上に、それぞれ、円板状のコラーゲンスポンジ(「テルダーミス」、テルモ社製:気孔径約200μm、直径10mm、厚さ3mm)を、その平坦面が粒子側となるように載置した。
これにより、コラーゲンスポンジ(基体)の平坦面に、HAPビーズが入り込むこととなり、コラーゲンスポンジの表面近傍にHAPビーズが担持された状態とした。
次に、10μg/mLのbFGF溶液0.1mL、アデノウイルスベクターに導入されたWnt−組換えプラスミドを含有する懸濁液0.2mL、および、アデノウイルスベクターに導入されたBMP2−組換えプラスミドを含有する懸濁液0.2mLを、粒子および基体が収容されているシャーレが備える穴に注入した後、COインキュベータを用いてインキュベートを1時間行った。
これにより、bFGF、Wnt−組換えプラスミド、BMP2−組換えプラスミドをコラーゲンスポンジに浸透させて、コラーゲンスポンジ(基体)にbFGFを担持させるとともに、粒子の表面に担持された繊維芽細胞に、Wnt−組換えプラスミドおよびBMP2−組換えプラスミドを導入した。
(実施例2)
臓器再生用デバイスを作製する工程において、粒子および基体が収容されているシャーレの穴に、アデノウイルスベクターに導入されたBMP2−組換えプラスミドを含有する懸濁液を注入することなく、これに代えて培養液0.2mLを注入した以外は、前記実施例1と同様にして、臓器再生用デバイスを作製した。
(実施例3)
臓器再生用デバイスを作製する工程において、粒子および基体が収容されているシャーレの穴に、アデノウイルスベクターに導入されたWnt−組換えプラスミドを含有する懸濁液を注入することなく、これに代えて培養液0.2mLを注入した以外は、前記実施例1と同様にして、臓器再生用デバイスを作製した。
(実施例4)
臓器再生用デバイスを作製する工程において、粒子および基体が収容されているシャーレの穴に、アデノウイルスベクターに導入されたWnt−組換えプラスミドを含有する懸濁液およびアデノウイルスベクターに導入されたBMP2−組換えプラスミドを含有する懸濁液を注入することなく、これに代えて培養液0.4mlを注入した以外は、前記実施例1と同様にして、臓器再生用デバイスを作製した。
以上のようにして、各実施例の臓器再生用デバイスを得た。
<評価>
1.評価実験
まず、5頭のラットを用意し、各ラットに、それぞれ、以下のような処置を施した(図5参照)。
まず、ラットに対して、腹腔内麻酔を施した後、ラットの背部を剃毛し、その剃毛部の4箇所において、直径8mmの皮膚パンチを用いて、肉様膜が露出するように皮膚全層を切除した。
次に、皮膚を切除したラットの皮膚欠損部の止血後、これら皮膚欠損部に、それぞれ、各実施例で製造した臓器再生用デバイスを1つずつ埋植、固定させた。
次に、皮膚欠損部に固定された臓器再生用デバイスを、アブソキュアサジカルで被覆し、さらに、スキンスタプラーおよびテープを用いて固定した。
そして、処置が施されたラットを、それぞれ、ケージに入れて飼育した。
2.評価結果
処置後、2、4、8、12、16週目に、それぞれ、ラットに麻酔薬を過量投与することにより屠殺した。
その後、欠損部位の組織を採取して組織標本を作製した。
得られた各組織標本について、それぞれ、デジタルカメラ(DP−12)付き実体顕微鏡システムSZX−12(オリンパス社製)で撮影し、皮膚の再生の様子を観察した。
その結果、各実施例の臓器再生用デバイスを移植した皮膚欠損部においても、欠損部位の周辺からの上皮化は、図6および図7から明らかなように、4週目には全て終了していた。
このうち、実施例1の臓器再生用デバイスを移植した皮膚欠損部では、4週目にfollicle germまたはprimitive hair germの出現が確認でき、8週目頃から、真皮内に伸長してfollicular pegが形成され、さらに毛幹が形成されているのが観察され、8〜12週目頃には脂腺の形成が認められた(図7〜図9参照)。また、このとき、欠損部の周辺ほど成熟した毛嚢が形成されているのが観察され、このことから、皮膚欠損の周辺から表皮化が進んだ後に、毛嚢が形成されることが示唆された。そして、16週目には、欠損部位に、成熟した毛包脂腺系を有する皮膚が形成されているのが確認された(図10参照)。また、この毛包脂腺系は、等間隔(300μm前後)に形成されており、さらに、体表に対して正常皮膚と同様の傾斜を有していた。
なお、BMP2および/またはWntを担持させていない臓器再生用デバイス(実施例2〜実施例4)を移植した皮膚欠損部では、毛包脂腺系の再生が認められるが、実施例1と比較して、16週目の欠損部位の状態から明らかなように、その再生の度合いが不完全であった。
このことから、正常な皮膚を再生するには、血管形成誘導因子、BMP2およびWntを組み合わせて用い、このうち血管形成誘導因子はタンパク質として基体に直接担持させ、さらにBMP2およびWntは、そのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する核酸が導入された宿主細胞を粒子に担持させ、この宿主細胞内で産生されるようにすると、皮膚の再生がより確実に行い得ることが明らかとなった。
本発明の臓器再生用デバイスの一例を示す模式図である。 BMP2のアミノ酸配列をコードするcDNAを、発現プラスミドであるpCAHに導入した組換えプラスミド。 Wntのアミノ酸配列をコードするcDNAを、発現プラスミドであるpCAccに導入した組換えプラスミド。 本発明の臓器再生用デバイスにより、皮膚の欠損部位が再生される過程を説明するための模式図である。 ラットに施した処置を説明するための写真である。 2週目における各実施例の臓器再生用デバイスが埋設された皮膚の再生の様子を示す実体顕微鏡写真である。 4週目における各実施例の臓器再生用デバイスが埋設された皮膚の再生の様子を示す実体顕微鏡写真である。 8週目における各実施例の臓器再生用デバイスが埋設された皮膚の再生の様子を示す実体顕微鏡写真である。 12週目における各実施例の臓器再生用デバイスが埋設された皮膚の再生の様子を示す実体顕微鏡写真である。 16週目における各実施例の臓器再生用デバイスが埋設された皮膚の再生の様子を示す実体顕微鏡写真である。
符号の説明
1 臓器再生用デバイス
2 基体
2a 表面
2b 裏面
3 粒子
10 皮膚
101 皮膚組織
102 毛包脂腺系
103 新生血管
104 新生皮膚
20 欠損部位

Claims (18)

  1. 外胚葉系の組織と内胚葉系の組織とが隣接して形成される臓器の欠損部位に補填して、当該臓器の再生を行う臓器再生用デバイスであって、
    前記臓器の欠損部位に対応した形状をなす基体と、
    該基体に担持され、当該基体と異なる材料で構成された粒子と、
    前記基体に担持され、血管形成誘導因子および/または血管形成誘導因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸を含む増殖関連物質と、
    前記粒子に担持され、モルフォゲン(morphogenおよび/またはモルフォゲン(morphogenのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸を含む他の増殖関連物質とを有することを特徴とする臓器再生用デバイス。
  2. 前記基体は、主として生体吸収性を有する材料で構成される請求項1に記載の臓器再生用デバイス。
  3. 前記生体吸収性を有する材料は、可溶性コラーゲンである請求項2に記載の臓器再生用デバイス。
  4. 前記基体は、三次元ネットワーク構造を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
  5. 前記基体の空孔率は、30〜95%である請求項1ないし4のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
  6. 前記基体は、主としてコラーゲンスポンジで構成される請求項1ないし5のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
  7. 前記粒子は、その少なくとも表面付近が、主としてリン酸カルシウム系化合物で構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
  8. 前記リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイトを主成分とするものである請求項7に記載の臓器再生用デバイス。
  9. 前記粒子の平均粒径は、50〜1000μmである請求項1ないし8のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
  10. 前記粒子の空孔率は、10〜75%である請求項1ないし9のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
  11. 前記血管形成誘導因子は、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)のうちの少なくとも1種である請求項1ないし10のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
  12. 前記他の増殖関連物質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸は、発現プラスミド由来の塩基配列を含む組換えプラスミドであり、
    該組換えプラスミドが、前記粒子に直接的に担持されている請求項1ないし11のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
  13. 前記粒子に担持されたベクターを有し、
    該ベクターに、前記組換えプラスミドが導入されている請求項12に記載の臓器再生用デバイス。
  14. 前記ベクターは、非ウイルス由来のベクターである請求項13に記載の臓器再生用デバイス。
  15. 前記粒子に担持された宿主細胞を有し、
    該宿主細胞に、前記ベクターが導入されている請求項14に記載の臓器再生用デバイス。
  16. 前記臓器は、皮膚である請求項1ないし15のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
  17. 前記他の増殖関連物質は、ウイングレス(Wingless) イント(int 3(Wnt)および骨形態形成タンパク質(BMP)の少なくとも一方である請求項16に記載の臓器再生用デバイス。
  18. 前記臓器の欠損部位に補填した際に、前記粒子は、前記基体の表面付近に局在され、前記基体の表面側から裏面側に沈降するよう構成されている請求項1ないし17のいずれかに記載の臓器再生用デバイス。
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