JP5457508B2 - 車両前照灯 - Google Patents
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Description
しかしながら、白色LEDの高出力化とはいっても、一つのLED光源では、従来のハロゲン電球やHID等の放電灯を利用した光源と比較して、光束や輝度が共に低く、現状ではハロゲン電球の約20分の1,HIDの約60分の1程度の光束である。そして、将来的にもLEDがHIDと同等の光束や輝度に達することは困難であると考えられることから、車両前照灯の光源としてLEDを使用するためには、複数個のLEDを利用した光学系により車両前照灯を構成する必要がある。
まず、図25に示す車両前照灯1は、前方に向かって凹状の基板表面に、複数個のLED2aを並べて実装した光源モジュール2と、光源モジュール2の前方に配置された投影レンズ3と、投影レンズ3の光源側の焦点位置F付近に配置された遮光部材4と、から構成されている。
上記投影レンズ3は、凸レンズから構成されており、光源モジュール2の各LED2aから出射する光を、前方に向かって集束して照射するようになっている。
上記遮光部材4は、すれ違いビームの配光パターンとなるようなカットオフを形成するように、その端縁4aが形成されている。
その際、上記光は、遮光部材4によりカットオフを形成されることにより、図26に示すように、所謂すれ違いビームの配光パターンLの範囲で、前方に向かって照射されることになる。これにより、対向車や歩行者に対して眩惑光を与えないようになっている。
上記リフレクタ7は、例えば回転楕円面から構成されており、その第一の焦点位置付近に光源モジュール6の各LED6aが配置されていると共に、その第二の焦点位置が投影レンズ3の光源側の焦点位置付近に位置するようになっている。
その際、上記光は、遮光部材4によりカットオフを形成されることにより、図26に示すように、所謂すれ違いビームの配光パターンLの範囲で、前方に向かって照射されることになる。これにより、対向車や歩行者に対して眩惑光を与えないようになっている。
これに対して、光を投影レンズによって集束させる光学系においては、光度値は投影レンズの焦点位置付近での光の密度(光束発散度)と灯具面積に比例する関係にある。従って、ハロゲン電球やHID等の放電灯と比較して輝度が著しく低いLEDを光源として使用する場合、リフレクタや投影レンズを利用する前述した従来の光学系により上述した光度を得るためには、光学系の大きさが非常に大きくなってしまう。
図28において、車両前照灯8は、縦横にマトリックス状に配置された複数個のLED9aに対して、それぞれリフレクタ9b,投影レンズ9c及び遮光部材9dを設けて、各LED9a毎に対応するリフレクタ9b及び投影レンズ9cにより、各LED9aの像を前方に向かって投影するように構成されている。
しかしながら、このような構成の車両前照灯8においては、リフレクタ9b及び投影レンズ9cによる光学系が、車両前照灯5の場合と同様に、ハロゲン電球や放電灯を前提とした構成であることから、同様に光源としてLEDを使用するには適していない。
上記それぞれの照射領域に対応した各照明部の照射光を重ね合わせることにより、全体として一つの配光パターンを形成し、
上記集光領域に光を照射する集光領域照明部が、
複数の光源モジュールと、それぞれの当該光源モジュールに対応する投影レンズを光学系として備え、上記配光パターンのうち中心付近において集光したカットオフを有する部分を形成し、
上記拡散領域に光を照射する拡散領域照明部が、
一つ以上の直線的な稜線のある発光部を有する光源モジュールを備え、上記発光部付近を焦点位置として上記光源モジュールからの光を前方に向かって投影して照射するリフレクタを光学系として備え、上記リフレクタにより照射される上記発光部の投影像により配光パターンのうち水平線方向に拡散した部分を形成し、
上記配光パターンにおける集光領域に対する拡散領域の配光割合が、拡散領域の配光割合の方が大きいものとされ、
上記集光領域照明部は、
LEDチップからの光と蛍光体による励起光の混色光が出射する発光部を備えた第1の光源モジュールと、その第1の光源モジュールの発光部前方に配置される第1の投影レンズからなり、上記第1の投影レンズの上記第1の光源モジュール側の焦点位置が上記発光部付近に位置するように配置された第1の集光領域照明部と、
LEDチップからの光と蛍光体による励起光の混色光が出射する発光部を備えた第2の光源モジュールと、その第2の光源モジュールの発光部前方に配置される第2の投影レンズからなり、上記第2の投影レンズの上記第2の光源モジュール側の焦点位置が上記発光部付近に位置するように配置された第2の集光領域照明部と、を有しており、
上記第1の投影レンズと上記第2の投影レンズは、焦点距離が異なるものを配置して配光パターンにおける光度および投影サイズを異なるものとしていることを特徴とする、車両前照灯により、達成される。
これにより、車両前照灯が全体として、複数組の光源モジュール及び光学系の組合せによって、所望の光度分布を有する所望の配光パターンを形成することができる。その際、各光源モジュールの各LEDは、光学系と共に、対応する配光パターンの領域に対して最適化されることにより、各LEDからの光の利用効率が向上し、より明るい照射光が得られることになる。
従って、光源としてハロゲン電球やHID等の放電灯と比較して輝度の低いLEDを使用しても、十分な最大光度を得ることができるので、高効率で且つ小型,薄型の車両前照灯を実現することができる。
さらに、光源モジュールの組合せにより、所望の配光特性を形成することができるので、配光の自由度そして車両前照灯のデザインの自由度を大きくすることができる。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、第二組の照明部21は、上記配光パターンのうち、エルボラインの必要のない広い範囲の領域である拡散域に対して光を照射するようになっている。
さらに、第三組の照明部31は、上記配光パターンのうち、上記集光域と拡散域の配光のコントラストを円滑に接続するように、その間の中間域に対して光を照射するようになっている。
第一組の照明部11は、図2に示すように、光源モジュール12及び光学系13から構成されている。
光源モジュール12は、図3に示すように、LEDチップを蛍光体により包囲したLEDから成る発光部12aを備えており、例えば樹脂製のレンズハウス12bによりパッケージ化されている。上記発光部12aは、外部からリード12cを介して給電されることにより、LEDチップから出射した光が蛍光体に当たり、LEDチップからの光と蛍光体による励起光の混色光が外部に出射するようになっている。
これにより、光源モジュール12の各LED12aからの光が光学系13により前方に向かって集光されることにより、図2にて符号Laで示す配光パターン領域(集光域)を形成するようになっている。
また、リレーレンズを使用して、発光部12aの像を遮光部材12e付近に結像させて、この像を投影レンズにより集光域に向かって投影するような構成の光学系の場合には、光学系が複雑になって、部品コスト及び組立コストが高くなり、さらに車両前照灯全体の奥行きが大きくなってしまうと共に、焦点位置における発光部12aの像の輝度が低下することになり、集光域における最大光度値も同様に低下してしまう。
第二組の照明部21は、図6に示すように、光源モジュール22及び光学系23から構成されている。
光源モジュール22は、LEDによる例えば長方形等の一つ以上の直線的な稜線のある発光形状、例えば図7に示すように長方形の発光部22aを備えている。
これにより、光源モジュール22の発光部22aからの光が、光学系23により反射され、図6にて符号Lbで示す配光パターン領域(拡散域)を形成するようになっている。
その際、光源モジュール22の発光部22aの直線的な稜線を水平方向に配置して、光学系23により前方に向かって投影することにより、この稜線を配光パターンの水平ラインのカットオフ形成に利用することができる。
これにより、配光パターンの拡散域は、各反射面による発光部22aの投影像が互いに重ね合わせられることによって、図9に示すように、光度分布即ちグラデーションを有する配光特性を備えることができる。
第三組の照明部31は、図12に示すように、光源モジュール32及び光学系33から構成されている。
光源モジュール32は、図2における光源モジュール12から遮光部材12eを除いた構成であって、発光部12aの表面が、光学系33の光軸に沿って配置されている。
尚、この場合、光源モジュール32の発光部32aの形状は、制約がないが、光学系33の投影レンズ33bへの入射効率を高め、更に光学系サイズを小型化するためには、発光部32aはできるだけ小さく、輝度が高いものが好ましい。
ここで、リフレクタ33aは例えば回転楕円面から構成されており、一方の焦点位置が光源モジュール32の発光部32aの中心付近に、他方の焦点位置が前方にて光学系33の光軸上に位置するように配置されている。
投影レンズ33bは、凸レンズであって、その光源側の焦点位置が、リフレクタ33aの前側の焦点位置付近に位置するように配置されている。
さらに、上記遮光部材33cは、投影レンズ33bの光源側の焦点位置付近に配置されており、その端縁33dが上端にてカットオフを形成するようになっている。
尚、図16における光学系ではLED光源が面発光であり、反射面はレンズ中心より上方もしくは下方にしか存在しない場合、投影レンズ33bの中心より下面もしくは上面にしか光が入射しなくなるため、投影レンズ33bの上方半分もしくは下方半分をカットすることにより、上下方向に関して小型化を図ることができると共に、より高光度の配向パターンを得るために、複数個の照明部31を上下方向に重ねて配置する場合に、上下方向により密接して配置することが可能になる。
これにより、光源モジュール12の発光部12aから出射した光は、遮光部材12eによりカットオフを形成され、光学系13の投影レンズにより集光されて、前方に向かって照射され、配光パターンの集光域Laを形成する。
また、光源モジュール22の発光部22aから出射した光は、光学系23のリフレクタにより反射されることにより、前方に向かって照射され、配光パターンの拡散域Lbを形成する。
さらに、光源モジュール32の発光部32aから出射した光は、光学系33のリフレクタ33aにより反射され、さらに投影レンズ33bにより集束されると共に、遮光部材33cによりカットオフを形成されて、前方に向かって照射され、配光パターンの集光域Laと拡散域Lbの間の中間域を形成する。
図17において、車両前照灯40は、前述した車両前照灯10の具体的な実施形態であって、図1に示した車両前照灯10と同様に、三組の照明部41,51,61から構成されている。
また、拡散域に対応する第二組の照明部51は、図1に示した車両前照灯の第二組の照明部21とほぼ同様に構成されており、左50度から右50度までの範囲に対して光を照射するようになっている。
さらに、中間域に対応する第三組の照明部61は、図1に示した車両前照灯の第三組の照明部31とほぼ同様に構成されており、左20度から右20度までの範囲に対して光を照射するようになっている。
尚、各領域、即ち集光域,中間域及び拡散域に対する配光割合(光束割合)は、好ましくは1:2:4となるように設定されている。
また、各投影レンズ43a,43b,43c,43dは、図4に示す構成と同様にして、互いに異なる焦点距離を有している。
そして、各投影レンズ43a,43b,43c,43dの焦点距離を適宜に選定することによって、スクリーン上における光度及び投影サイズが得られるようになっている。
各光源モジュール52a,52bは、それぞれ車両前照灯10の第二組の照明部21における光源モジュール22と同様に構成されており、左右方向に背中合わせに配置されている。
ここで、各光源モジュール52a,52bの発光部は、例えば長方形のような一つ以上の直線的な稜線を備えており、この稜線は、従来のハロゲン電球のフィラメントやHIDのアーク電極形状より長く、例えばフィラメントの二倍の長さを有していることが望ましい。特に、図11に示すように、所謂マルチチップタイプの複数個のLEDチップを一つのパッケージ内に直線的に配置した光源パッケージを使用することにより、光源パッケージ自体の光束を増大させることができると共に、車両前照灯全体を小型に構成することが可能である。
これにより、上記光源モジュール52a,52bの発光部が比較的長い直線的な稜線を有していても、リフレクタ53a,53bの形状に基づいて、発光部の投影像位置を任意にコントロールすることが可能であり、発光部からの光束の70%以上を前方に向かって照射することができる。
各光源モジュール62a,62b,62cは、それぞれ車両前照灯10の第三組の照明部31における光源モジュール32と同様に構成されていると共に、中心軸の周りに等角度間隔で配置されている。
ここで、各光源モジュール62a,62b,62cの発光部は、できるだけ小さく、例えば従来のハロゲン電球のフィラメントやHIDのアーク電極形状より小さく選定されていることが望ましい。
また、遮光部材65は、それぞれ車両前照灯10の第三組の照明部31における遮光部材33cと同様に構成されており、投影レンズ64の光源側の焦点位置付近に配置されている。
そして、各照明部41,51,61による配光パターンLa,Lb,Lcを重ね合わせることにより、図24に示すように、すれ違いビームに適した配光パターンLを形成することができる。
その際、新たに追加する照明部を着脱可能に構成しておくことにより、当該照明部をオプションにより任意に追加したり、外したりすることができる。
11 第一組の照明部
12 光源モジュール
12a 発光部(LED)
12e 遮光部材
13 光学系(投影レンズ)
21 第二組の照明部
22 光源モジュール
22a 発光部(LED)
23 光学系(リフレクタ)
31 第三組の照明部
32 光源モジュール
32a,32a’ 発光部(LED)
33 光学系
33a,33a’ リフレクタ
33b 投影レンズ
33c 遮光部材
40 車両前照灯
41 第一組の照明部
42a,42b,42c,42d 光源モジュール
43a,43b,43c,43d 光学系(投影レンズ)
51 第二組の照明部
52a,52b 光源モジュール
53a,53b 光学系(リフレクタ)
61 第三組の照明部
62a,62b,62c 光源モジュール
33 光学系
63a,63b,63c リフレクタ
64 投影レンズ
65 遮光部材
Claims (4)
- 光源としてLEDを備えた複数個の光源モジュール及び上記複数個の光源モジュールのそれぞれに対応した個数の光学系からなり、各光源モジュールからの光をそれぞれ前方に向かって照射する照明部を、配光パターンにおける集光領域および拡散領域のそれぞれの照射領域に対応して領域ごとに異なる光学系の構成を有し当該領域ごとに異なる配光を形成するものとして少なくとも各領域一組ずつ備えており、
上記それぞれの照射領域に対応した各照明部の照射光を重ね合わせることにより、全体として一つの配光パターンを形成し、
上記集光領域に光を照射する集光領域照明部が、
複数の光源モジュールと、それぞれの当該光源モジュールに対応する投影レンズを光学系として備え、上記配光パターンのうち中心付近において集光したカットオフを有する部分を形成し、
上記拡散領域に光を照射する拡散領域照明部が、
一つ以上の直線的な稜線のある発光部を有する光源モジュールを備え、上記発光部付近を焦点位置として上記光源モジュールからの光を前方に向かって投影して照射するリフレクタを光学系として備え、上記リフレクタにより照射される上記発光部の投影像により配光パターンのうち水平線方向に拡散した部分を形成し、
上記配光パターンにおける集光領域に対する拡散領域の配光割合が、拡散領域の配光割合の方が大きいものとされ、
上記集光領域照明部は、
LEDチップからの光と蛍光体による励起光の混色光が出射する発光部を備えた第1の光源モジュールと、その第1の光源モジュールの発光部前方に配置される第1の投影レンズからなり、上記第1の投影レンズの上記第1の光源モジュール側の焦点位置が上記発光部付近に位置するように配置された第1の集光領域照明部と、
LEDチップからの光と蛍光体による励起光の混色光が出射する発光部を備えた第2の光源モジュールと、その第2の光源モジュールの発光部前方に配置される第2の投影レンズからなり、上記第2の投影レンズの上記第2の光源モジュール側の焦点位置が上記発光部付近に位置するように配置された第2の集光領域照明部と、を有しており、
上記第1の投影レンズと上記第2の投影レンズは、焦点距離が異なるものを配置して配光パターンにおける光度および投影サイズを異なるものとしていることを特徴とする、車両前照灯。
- 上記照明部が、さらに配光パターンにおける中間領域に対応する照明部を備え、
上記配光パターンにおける集光領域、拡散領域、及び中間領域のそれぞれの照射領域に対応して領域ごとに異なる光学系の構成を有し当該領域ごとに異なる配光を形成するものとして少なくとも各領域一組ずつ備えており、
上記それぞれの照射領域に対応した各照明部の照射光を重ね合わせることにより、全体として一つの配光パターンを形成し、
上記中間領域に光を照射する照明部が、
光源モジュールの光を反射するリフレクタと上記遮光部材付近を焦点とし上記リフレクタの反射光を投影する投影レンズを光学系として備え、上記配光パターンのうち上記集光領域と拡散領域の中間となる大きさを持ち水平ラインのカットオフを形成することを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯。 - 上記中間領域に光を照射する照明部が、
直線的な稜線のある発光部を有する光源モジュールを備え、上記リフレクタが灯具光軸より上方に位置し、上記発光部の長手方向を上記灯具光軸に対して垂直に配置することを特徴とする、請求項2に記載の車両前照灯。 - さらに、補助ランプの配光領域に対して光を照射するために最適化された光源モジュール及び光学系を備えていることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の車両前照灯。
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