本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図12は、本発明を適用する映像ネットワークシステムの構成の一例を示すブロック図である。図12において、映像ネットワークシステムは、複数のカメラ220を含むカメラ群2−0、2−1と、複数のカメラ220を制御し、所望のカメラ220の画像を表示する監視センタ1と、監視センタ1と各カメラ群2−0、2−1を接続するネットワーク100と、監視センタ1のセンサ情報変換装置7に接続されてセンサノードからの情報(センサ情報)を転送するセンサネットワーク8を主体に構成される。
特に、本実施形態では、伝送制御装置又は画像表示装置の画像データの転送処理又は表示処理において、センサ情報変換装置が優先度決定の判断基準となる優先度情報を与える点に特徴を有する。ここで、優先度情報とは、センサネットワークが転送するセンサ情報に基づいてセンサ情報変換装置により生成されるものである。
図1は、本発明の実施の形態の映像ネットワークシステムの構成要素間の通信の概要を示すブロック図である。
<映像ネットワークシステムの構成>
本発明の実施の形態の映像ネットワークシステムは、複数のカメラ220、カメラに接続されたカメラPC210、本システムで取り扱われる画像を検索する画像検索装置6、カメラ220によって撮影された画像を蓄積する画像蓄積装置4、カメラ220によって撮影された画像の転送を制御する伝送制御装置20、画像蓄積装置4からの画像要求を中継するリクエスト変換装置3、及び、カメラ220によって撮影された画像を表示する画像表示装置5(及び、モニタ50)を備える。
さらに、本発明の実施の形態の映像ネットワークシステムは、複数のノードを無線ネットワークによって接続したセンサネットワーク8を備える。センサネットワーク8は、移動ノード810(例えば、利用者によって携帯される名札形状の端末でもよい)、移動ノード810と赤外線通信をする固定ノード820、移動ノード810と無線通信をする無線基地局800、ノード810、820から送信された情報を収集するセンサ情報変換装置7、及び、移動ノードの位置を表示する位置情報表示端末9を備える。
本発明の実施の形態の映像ネットワークシステムによると、建造物内などに複数のカメラ220が設置される。画像蓄積装置4は、各カメラ220によって取得された画像を格納する。画像表示装置5は、監視センタに設置され、管理者または監視員が画像監視装置5(モニタ50)を用いて、複数のカメラ220の画像を監視する。
画像表示装置5は、プロセッサ、メモリ、ネットワークインターフェース、操作部、及び表示部を備え、本映像ネットワークシステムの管理者が操作する計算機であり、複数のカメラ1によって撮影された画像データから選択された又は全ての画像データをモニタ画面50に表示する。具体的には、画像表示装置5は、複数のカメラ220によって撮影された画像のサムネイル画像(縮小画像)を表示し、選択されたカメラ220によって撮影された画像を高精細度によって表示する。
また、画像表示装置5は、予め設定されたノード810、820からのイベントを受信すると、イベントに関係する固定ノード820又は無線基地局800の位置に対応するカメラ220の画像をモニタ画面50に優先的に表示する。固定ノード820は、既知の位置に固定されており、カメラ220と対応付けられている。そして、ノード810、820から送信されたイベントに基づいて、画像表示装置5がイベント発生位置に対応するカメラ220の画像を表示させることによって、人や物の通過などを効率的に監視することができるとともに、画像表示装置の処理負荷を低減させることができる。また、画像表示装置5は、固定ノードに対応するカメラによって撮像された画像あるいは管理者が操作部の操作によって選択したカメラ220によって撮影された画像を画像蓄積装置4から取得して、選択されたカメラ220によって撮影された画像を高精細度で表示する。
このとき、選択されたカメラ220の識別子を選択カメラIDとして伝送制御装置20へ送信し、伝送制御装置20で対応するカメラの画像データの優先度が高くなるように、転送を制御してもよい。
前述の機能を実現するため、監視センタ1には、画像表示装置5、画像蓄積装置4、画像検索装置6、リクエスト変換装置3及びセンサ情報変換装置7が設置される。
<カメラ群の構成>
複数のカメラ220は、複数のカメラ群に区分されており、各カメラ群は建造物などの所定の領域(例えば、各フロア)毎、または、所定台数のカメラ220毎に設定されている。そして、1あるいは複数のカメラに1台のカメラPC210及び1台の伝送制御装置20が設置される。カメラPC210の台数はシステム規模や各構成要素間の処理性能の関係に応じて決まる。
カメラ220は、レンズを含む光学系、画像を電気信号に変換する撮像部及び通信インターフェースを備える。例えば、カメラ220は、IPネットワークに直接接続可能なIPカメラや、シリアルバスで接続可能なUSBカメラを用いることができる。カメラ220は、撮影対象領域に設置され、撮影対象領域の画像を撮影し、撮影された画像データを、所定のフレームレート及び解像度で出力する。カメラ220は、ネットワーク又はシリアルバスを介してカメラPC210に接続される。
カメラPC210(情報生成装置)は、プロセッサ、メモリ及びネットワークインターフェースを備える計算機である。
カメラPC210は、カメラ220によって撮影された動画を画像蓄積装置4からの要求に応じて所定の単位毎(例えば、1フレーム毎、1GOP毎)に画像蓄積装置4へ送信する。従って、カメラPC210は、画像蓄積装置4からの画像要求があったときにのみ、最新の画像(例えば、1フレームの画像)を画像蓄積装置4へ送信し、その他の画像(例えば、過去のフレームの画像)は、後述するサムネイル画像の生成及び特徴量の抽出が完了すると、破棄する。
カメラPC210は、画像登録プログラムを実行することによって、カメラ220によって撮影された画像データから画像特徴量を抽出する。抽出される画像特徴量の抽出は動き検出、顔検出の技術が用いられ、予め定められた動きや、予め定められた顔を撮影された画像データから抽出してもよい。さらに、カメラPC210は、画像登録プログラムを実行することによって、撮影された画像データから低精細度の画像データ(サムネイル画像)を生成する。
サムネイル画像は、カメラ220によって撮影された動画の解像度を小さくしたものである。例えば、カメラ220が640×480ドット(VGA)の解像度の画像を出力する場合には、カメラPC210はサムネイル画像として128×96ドットの画像を生成する。
なお、以下の説明では、カメラ220によって撮影された原画像またはサムネイル画像よりも高解像度の画像を高精細度画像という。
そして、抽出された画像特徴量及び生成された低精細度画像データはネットワークを介して画像検索装置6に送られる。
図には、1台のカメラPC210を図示したが、複数のカメラPC210が備わってもよい。また、1台のカメラPC210に接続されるカメラの数は、カメラPC210に備わるリソースの容量によって任意に選択することができる。なお、カメラ220に備わるプロセッサが画像登録プログラムを実行することによって、カメラPC210の機能を備えてもよい。
カメラPC210から画像蓄積装置4宛に送信される情報と、画像蓄積装置4からカメラPC210宛に送信される情報は、伝送制御装置20を介して転送される。
各カメラPC210には所定の識別子(例えば、IPアドレス)が予め付与されている。画像蓄積装置4は、カメラPC210に付与された識別子によって、あるいは、1台のカメラPC210に複数のカメラ220が対応付けられている場合は各カメラ220に付与された識別子との組合せによって、カメラ220を特定する。
画像蓄積装置4は、プロセッサ、メモリ、記憶装置及びネットワークインターフェースを備える計算機である。画像蓄積装置4は、画像蓄積サーバプログラムを実行することによって、カメラPC210に対して高精細度画像要求を送信し、カメラ220によって撮影された画像(動画)データを取得し、取得した画像データを記憶装置に格納する。具体的には、画像蓄積装置4は、画像を取得するカメラPC210のIPアドレスを指定して画像要求をリクエスト変換装置3へ送信する。
また、画像蓄積装置4は、画像表示装置5からの画像要求に基づいて、格納されている画像データを画像表示装置5に送信する。図には、1台の画像蓄積装置4を図示したが、複数の画像蓄積装置4が備わってもよい。
リクエスト変換装置3は、プロセッサ、メモリ及びネットワークインターフェースを備える計算機である。なお、アドレス変換機能を有するネットワーク機器(例えば、スイッチ、ルータ)であってもよい。
リクエスト変換装置3は、画像蓄積装置4から画像要求を受信すると、受信した画像要求の宛先を、後述するように各カメラ群の伝送制御装置20のアドレスとポート番号に変換してネットワークに送信する。
伝送制御装置20は、リクエスト変換装置3を介して画像要求を受信すると、画像要求の宛先ポート番号からカメラPC210を特定し、画像要求を特定したカメラPC210へ転送する。このため、伝送制御装置20は、ポート番号とカメラPC210の対応関係を示す転送先テーブルを備える。転送テーブルは、画像要求を受信したポートと、画像要求の転送先の宛先(例えば、URL)の対応が設定される。
カメラPC210は、伝送制御装置20からの画像要求に対して最新の画像(高精細度画像)を優先度を示す情報(例えば、前記画像の特徴量)と共に所定の単位(例えば、1フレーム)だけ返信する。伝送制御装置20は、画像の送信元のカメラPC210を特定するポート番号を宛先ポート番号に設定して、カメラPC210から受信した画像をリクエスト変換装置3へ送信する。リクエスト変換装置3は、受信した画像の宛先ポート番号から画像送信元のカメラPC210を特定し、特定されたカメラPC210のIPアドレスを送信元アドレスに設定して、リクエスト変換装置3から受信した画像を画像蓄積装置4へ送信する。画像蓄積装置4は、受信した画像の送信元のIPアドレスからカメラPC210を特定して画像を格納する。
伝送制御装置20はカメラPC210から返信メッセージを受信し、この返信メッセージ内に含まれる優先度の情報と、センサ情報変換装置7および画像表示装置5からの情報に従って当該高精細度画像を含む返信メッセージの送信の優先度を決定する。伝送制御装置20が管理するカメラPC210毎の優先度は、図13に示す優先度履歴テーブル240に格納される。図13に示す優先度履歴テーブル240は、伝送制御装置20に予め設定されたものであり、ひとつのエントリにカメラPC210の識別子を格納するカメラID2401と、当該カメラPC210の画像の最新の優先度を格納する最新優先度2402と、画像の優先度の平均値を格納する平均優先度2403と、センサ情報変換装置7や画像表示装置5から受信した情報を格納するセンサ情報2404とを含む。なお、ここでは、1台のカメラに対して1台のカメラPCが設置される実施形態を示しているが、1台のカメラPCに複数のカメラが対応づけられている場合は、各カメラに付された識別子との組合せによって、各カメラの優先度を管理する。 センサ情報2404には、センサ情報変換装置7からの優先度情報(優先カメラIDなど)と、画像表示装置5からのカメラPC210の優先度の指示が格納される。例えば、図13において、カメラID2401=Camera3のエントリのセンサ情報2404には、画像表示装置5からの優先度を高める指示があったことを示す情報として”disp”という情報が格納されている。
また、図13において、カメラID2401=Camera2のエントリのセンサ情報2404には、センサ情報変換装置7からの移動ノード810の識別子として、”Nameid1”と”Nameid2”が格納されており、これらの識別子を有する移動ノード810が固定ノード820の近傍を通過したことを示す。このようにセンサ情報2404に何らかの値が入っている場合、伝送制御装置20は該当カメラIDの情報を最高の優先度で送信する。
図14は、伝送制御装置20で行われる処理の一例を示し、リクエスト変換装置3から画像要求メッセージを受信したときに実行される処理のフローチャートである。
まず、伝送制御装置20は、リクエスト変換装置3から画像要求メッセージを受信すると、上述のように受信ポートをキーとして転送先テーブル230を検索して転送先のカメラPC210を決定し、画像要求を転送する(S11)。
そして、伝送制御装置20はカメラPC210からの返信メッセージを受信し、返信メッセージのヘッダに含まれる画像の優先度、およびカメラ220またはカメラPC210のIDを抽出する(S12)。そして、画像の優先度は変数Pnowに代入しておく。
次に伝送制御装置20は、カメラPC210のIDをキーとして優先度履歴テーブル240を検索する(S13)。検索されたエントリ内にセンサ情報が存在していた場合、このカメラPC210の画像は最高の優先度として扱うため、遅延を挿入せずに転送処理を行う(S14、S24、S20)。
ステップS20の転送処理では、返信メッセージのヘッダに優先度の情報とセンサ情報を追加して、リクエスト変換装置3に送信する。このとき、返信メッセージ内だけでなくその下位レイヤであるIPレイヤのパケットの優先度の情報として画像の優先度を書き込むことで、伝送制御装置20とリクエスト変換装置3の間のIPネットワークにおいて、IPレベルの優先度制御に利用することも可能である。
一方、ステップS14の判定で、検索されたエントリ内にセンサ情報が無かった場合、ステップS15以降で通常の送信優先度決定処理を行う。ステップS15では、返信メッセージに含まれている画像の優先度が0であるか否かを判定する。この判定の結果、返信メッセージに含まれている画像の優先度が0であった場合にはステップS21へ進み、そうでない場合にはステップS16へ進む。
ステップS21では、画像の優先度が0であるため、当該画像の優先度は非常に低いと判定し、再度転送先のカメラPC210に画像要求を行う。このとき、画像要求の繰り返しが長期間に及んで蓄積装置4への返信が中断されることを防止するため、繰り返しの回数が所定の上限値である10回未満の時のみ繰り返し処理を行い(S23、S11)、繰り返し回数が10回に達した時点で、優先度を最低にした上で前述の転送処理を行う(S22、S20)。なお、カメラPC210に画像要求を繰り返す際には、ステップS23で所定の遅延(例えば、200msec)を挿入する。
一方、ステップS15の判定で、画像の優先度が正の値であった場合は、ステップS16に進んで、上記ステップS12で抽出した現在の画像の優先度Pnowから、優先度履歴テーブル240に格納された平均優先度2403を差し引いた値を、最新の優先度2402として計算する。最新の優先度をP’nowとし、平均優先度をPaveとすると、
P’now=Pnow−Pave
となる。この処理によって、一旦優先度を高く設定したカメラPC210の画像は、センサ情報や画像表示装置5からの指示がない場合には、時間の経過とともに徐々に優先度が低下することになる。
次に、伝送制御装置20はステップ17で、優先度履歴テーブル240内の平均優先度および最新優先度の値の更新を行う。ここでは、前回までの優先度の平均と画像の最新の優先度の間で加重平均を取ることで、新しい平均優先度2403を求める。すなわち、新たな平均優先度をP’aveとすると、
P’ave=(99×Pave+Pnow)÷100
となる。伝送制御装置20は新たな平均優先度P’aveを現在着目しているカメラID2401のエントリの平均優先度2403に格納し、ステップS16で求めた最新の優先度Pnowを最新優先度2402に格納する。
次に、ステップS18では、上記ステップS16で求めた最新優先度2402と、優先度履歴テーブル240内の他のカメラIDの最新優先度2402とを比較して、現在着目しているカメラIDの優先度の順位を求める。次に、ステップS19では、当該カメラPC210の送信の優先度が上位3位までに入った場合は、遅延を挿入せずに転送処理に進む。一方、上位4位以下であった場合、当該カメラPC210の送信の優先度の順位が前回の値から下がる毎に所定の遅延(例えば、20msの)を挿入してステップS20の転送処理に進む(すなわち、遅延時間[ms]=(順位−3)*20)。
以上の処理により、優先度履歴テーブル240のセンサ情報2404に移動ノード810のIDや画像表示装置5からの表示の指示が設定されている場合には、カメラPC210から受信した画像(高精細度画像)をそのままリクエスト変換装置3に転送するが、優先度が低下するにつれて遅延が大きくなるため、カメラPC210の画像のフレームレートは低下することになる。
すなわち、本実施形態の蓄積装置4は、ひとつのカメラPC210に対して画像の要求を行う際に、1フレームずつ高精細画像を取得するので、高精細度画像が返信されてから、次の画像要求を行うことになり、遅延が大きくなれば一枚の画像を取得する時間がかかり、蓄積装置4に蓄積されるカメラPC210への画像要求の頻度が低下する。この結果、蓄積装置4に蓄積されるカメラPC210からの画像のフレームレートは低下することになる。
また、カメラ220の画像の過去の優先度の平均値と最新の優先度の差によって送信の優先度を評価することにより、恒常的に高い優先度を送信してくるカメラ220の画像の優先度を相対的に低下させることができる。
このように、本実施の形態では、伝送制御装置20を経由して画像要求を転送するので、当該要求に対する返信である高精細度画像も伝送制御装置20を経由する。このように、伝送制御装置20を経由して高精細度画像を転送するために、画像蓄積装置4からの画像要求をリクエスト変換装置3を経由させ、リクエスト変換装置3にて宛先を変換して転送する。
伝送制御装置20は、プロセッサ、メモリ及びネットワークインターフェースを備えるネットワーク機器(例えば、スイッチ、ルータ)であり、その配下に少なくとも1台のカメラPC210が接続されている。
伝送制御装置20は、リクエスト変換装置3から転送された画像要求をカメラPC210に転送し、画像要求に対する返答である画像データの転送を優先度に基づいて制御する。この優先度は、画像表示装置5から送信される選択カメラ情報や、センサ情報変換装置7から送信される優先度情報に基づいて決定される。伝送制御装置20によって転送される画像データが優先制御されることによって、優先度が低い画像データは転送されづらくなる。そして、本実施の形態では、画像データが転送されないと次の画像要求が送信されないので、優先度が低い画像データの単位時間当たりに転送されるフレーム数は低下する。よって、優先度が低い画像データのフレームレートを低下させることができる。
本実施の形態では、伝送制御装置20はモニタリング対象の拠点側(すなわち、カメラ220側)、リクエスト変換装置3は集約モニタリングを行う監視センタ側に設置される。また、伝送制御装置20とリクエスト変換装置3との間は、ネットワークによって接続されている。このように、伝送制御装置20及びリクエスト変換装置3が協働することによって、ネットワーク100によって転送されるトラフィックを削減することができる。
<監視センタの構成>
次に、監視センタの構成要素について説明する。
画像蓄積装置4は、前述したように、プロセッサ、メモリ、記憶装置及びネットワークインターフェースを備える計算機であり、カメラ220によって撮影された画像データを記憶装置に格納する。
センサ情報変換装置7は、プロセッサ、メモリ及び通信インターフェースを備えた計算機であり、センサネットワーク8から送られてくる情報を、伝送制御装置20及び画像検索装置6が解釈可能な形式および送信手順に変換して、変換されたメッセージを伝送制御装置20及び画像検索装置6に送信する。
センサ情報変換装置7は、固定ノード820の識別子とカメラPC210の識別子との対応を示すセンサ・カメラ管理テーブルを備える。センサ情報変換装置7は、このセンサ−カメラ管理テーブルを参照して、固定ノード820の識別子から、当該ノードに対応するカメラPC210の識別子を特定する。これによって、例えば、固定ノード820の近傍を通過する人や物体を撮影可能なカメラ220に接続されたカメラPC210のIPアドレスを特定することができる。
センサ情報変換装置7は、移動ノード810の位置情報を保持し、無線基地局800及び固定ノード820との接続(接近)/解除(離脱)を検出すると、位置情報を更新する。センサ情報変換装置7に保持される位置情報は、移動ノード810最新の位置情報の他、過去の位置情報の履歴を含めてもよい。
画像検索装置6は、プロセッサ、メモリ、記憶装置及びネットワークインターフェースを備える計算機であり、カメラ220によって撮影された画像データの画像特徴量及び低精細度画像データ(サムネイル画像)を記憶装置に格納する。さらに、センサ情報変換装置7から受信したセンサ情報を格納する。
画像検索装置6は、画像表示装置5からの検索要求に基づいて、画像蓄積装置4に蓄積された画像データの特徴量を検索し、検索結果(画像データの識別子及び低精細度画像データ)を画像表示装置5に返信する。なお、複数の画像検索装置6が、検索サーバ群を構成するとよい。
リクエスト変換装置3は、プロセッサ、メモリ及びネットワークインターフェースを備える計算機であり、画像蓄積装置4とカメラPC210の間の論理的な通信経路上に配置される。リクエスト変換装置3は、画像蓄積装置4からカメラPC210に送信される画像要求を中継する際に、伝送制御装置20を経由するようメッセージの送信元と宛先を変更し、かつ、伝送制御装置20から画像蓄積装置4に向かうメッセージの送信元と宛先を変更する。
具体的には、リクエスト変換装置3は、画像蓄積装置4から送信される画像要求に含まれる宛先(カメラPC210のIPアドレス)を伝送制御装置20のIPアドレスとポート番号(カメラPC210のIPアドレスに対応するポート番号)に変換し、送信元をリクエスト変換装置3に置き換えた画像要求を伝送制御装置20に送信する。また、リクエスト変換装置3は、伝送制御装置20から返信された高精細度画像データの宛先を画像蓄積装置4に変換し、送信元を返信された高精細度画像データの送信元であるカメラPC210のIPアドレスに変換した画像データを画像蓄積装置4に送信する。このため、リクエスト変換装置3は、カメラPC210のIPアドレスとポート番号を変換するためのアドレス変換テーブル30を備える。
画像表示装置5は、プロセッサ、メモリ、ネットワークインターフェース、操作部、及び表示部(モニタ50)を備え、本映像ネットワークシステムの管理者が操作する計算機であり、複数のカメラ220のサムネイル画像と、所望のカメラ220の画像を高精細度の画像でモニタ50に表示する。なお、操作部50は、ディスプレイとキーボードやマウスなどで構成される。
画像表示装置5は、画像検索装置を経由して受信する検知情報を元に、優先度の高いと判断したカメラからの画像を優先的に高精細度で表示する。ここで、検知情報とは、特定の特徴(動きや顔)を含む画像の特徴量と、そのサムネイル画像と、その画像の撮影元であるカメラIDを含む情報、あるいは、ある特定の移動ノード810の識別子と、その移動ノード810の位置を特定する固定ノード820の識別子と、その固定ノード820に対応したカメラ220のカメラIDを含む情報であり、画像検索装置により生成される。また、画像検索装置は、特定の移動ノード識別子を検索条件として管理し、センサ情報変換装置から送信される移動ノードの識別子が検索条件として管理している移動ノードの識別子と一致した場合に検知情報を生成するようにしてもよい。
また、画像表示装置5は、管理者が操作部の操作によって選択したカメラ220によって撮影された画像を画像蓄積装置4から取得して、選択されたカメラ220によって撮影された画像を表示する優先度を上げるように制御してもよい。
このように、画像表示装置の画像表示処理における優先度の決定において、画像処理結果(動き検出や顔検出)を組み合わせることによって、例えば、移動ノード810を携帯している人と携帯していない人が混在する場合にも、「顔検出はできているが、移動ノード810を携帯していない」場合の優先度を上げて監視することもできる。このような優先度の条件は、最終的にはシステムが適用される場所に依存するものである。例えば、量販店の店員(移動ノードを携帯している)と来客(移動ノードを携帯していない)や、銀行での従業員(移動ノード携帯している)と来客(移動ノードを携帯していない)などで、来客の動線をモニタすることができ、接客サービスの向上に繋げることができる。また、移動ノードを携帯していない人物を不審者として監視することで施設内のセキュリティ強化をサポートすることができる。
位置情報表示端末9は、プロセッサ、メモリ、通信インターフェース、及び表示部を備える計算機である。位置情報表示端末9は、無線基地局800及び固定ノード820の位置(地図上の座標)を保持しており、移動ノード810と無線基地局800との接続/解除、及び、移動ノード810と固定ノード820との接続/解除の情報を受信し、無線基地局800又は固定ノード820の位置に、移動ノードに対応するアイコンを表示する。これによって、移動ノード810の位置情報を可視化することができる。
<センサネットワーク>
次に、センサネットワーク8について説明する。
センサネットワーク8は、センサ情報変換装置7に接続された無線基地局800、無線ネットワークを介して無線基地局800に接続されたノード810、820を備える。
本実施形態のノードには、位置が既知の固定ノード820、及び、人や物体に装着される移動ノード810が含まれる。
固定ノード820は、予め設定された識別子を赤外線発信機から送信するノードである。固定ノード820は、予め設定された固定ノードの識別子を格納するID格納部、識別子を発信する赤外線通信部を備える。なお、固定ノード820は無線基地局800と通信する通信部を備えても良く、無線基地局800と固定ノード821との間の通信は、無線通信であっても有線通信であってもよい。
移動ノード810は、固定ノード820から赤外線通信によって送信された識別子を受信する赤外線通信部、予め設定された移動ノードの識別子を格納するID格納部、及び、赤外線通信部によって受信した固定ノード820の識別子を無線基地局800へ送信する無線通信部を備える。なお、無線通信部は、受信した固定ノード820の識別子と共に、移動ノードの識別子を無線基地局800へ送信する。
移動ノード810が固定ノード820の近傍を通過すると、赤外線通信部は固定ノード820から赤外線通信によって送信された識別子を受信し、受信した固定ノード820の識別子及び移動ノード810の識別子を無線基地局800へ送信する。無線基地局800は、移動ノード810が固定ノード820の近傍を通過したことを、センサ情報変換装置7に通知することができる。
なお、固定ノード820が赤外線送受信機能及び/又は無線通信機能を備えてもよい。固定ノード820が備える赤外線送受信機能によって、固定ノード820と移動ノード810とが赤外線通信によって相互に識別子を送受信することができる。
また、移動ノード810に、加速度検出部を設け、所定範囲外の加速度を検出した場合に、センサ情報変換装置7において、当該移動ノード810が通信中の固定ノード820に対応するカメラ220によって撮影された画像の転送を優先度を上げることができる。このようにすると、移動ノード810を携帯している者の不審な行動を検出することができる。
<カメラ、ノードの配置>
図10及び図11は、本発明の実施の形態のカメラ220、無線基地局800及び固定ノード820の配置例を示し、図10はその全体図、図11は部屋1の拡大図である。なお、図10では、カメラ220を省略した。
各部屋には、1台の無線基地局800が設けられており、無線基地局800は、無線通信可能範囲に存在する移動ノード810と無線通信をする。各部屋内には、複数の固定ノード820が設けられており、各固定ノード820は、赤外線通信可能範囲に存在する移動ノード810と赤外線通信をする。
例えば、図10に示すように、移動ノード810が部屋1から部屋5に移動した場合、移動ノード810は、部屋1の無線基地局800との通信を切断し(接続を解除し)、部屋5の無線基地局800との通信を開始する(接続する)。
また、図11に示すように、固定ノード820の通信範囲を撮影範囲に含むように複数のカメラ220が設けられる。各カメラ220と固定ノード820とは対応付けられている。また、室内には部屋俯瞰用カメラ221が設けられる。部屋俯瞰用カメラ221と無線基地局800とは対応付けられている。あるいは、無線基地局と複数のカメラを対応づけてもよい。この対応付けは、センサ情報変換装置7に保持されている基地局IDとカメラIDのカメラID変換テーブル(図7参照)に記録されている。
図10及び図11に示すように、無線通信は検出範囲が広いため、部屋単位等の広めで粗い位置単位で移動ノード810の位置を把握することができる。このため、無線通信によると、早期に移動ノード810の位置を把握することができる。一方、赤外線通信は検出範囲が狭いため、部屋内の狭く細かい位置単位で移動ノード810の位置を把握することができる。 図7は、本発明の実施の形態の基地局ID及び固定ノードIDとカメラIDの対応関係を示すカメラID変換テーブル700である。このカメラID変換テーブル700は、前述したように、センサ情報変換装置7に保持されている。
基地局IDとカメラIDのカメラID変換テーブル700は、無線基地局800の識別子710及びカメラ220の識別子720を含み、無線基地局800の識別子710及びカメラ220の識別子720が対応して記録されている。
なお、無線基地局800の識別子は、本実施の形態の映像ネットワークシステムに備わる無線基地局800に付与された一意の識別子である。なお、本実施の形態の映像ネットワークシステムに備わる固定ノード820にも一意の識別子が付与されており、カメラID変換テーブル700には、固定ノード820の識別子とカメラ220の識別子720との対応も記録されている。
固定ノード820とカメラ220との対応、及び、無線基地局800とカメラ220との対応は1対1の対応でなくてもよい。例えば、特定の位置を撮影している複数のカメラ220に一つの固定ノード820を対応させてもよい。
<移動ノードの状態>
図2は、本発明の実施の形態の移動ノード810の状態の遷移図である。
移動ノード810の位置は、センサ情報変換装置7によって管理される。移動ノード810の状態は、部屋及び位置の2変数において、各々「不明」又は「確定」の2状態があり、4種類の状態が発生する。
これらの状態間は、下記の四つのイベントによって遷移する。
GW−IN :移動ノード810と無線基地局800とが接続された。
GW−OUT:移動ノード810と無線基地局800との接続が解除された。
IR−IN :移動ノード810と固定ノード820とが接続された(移動ノード810が固定ノード820へ接近した)。
IR−OUT:移動ノード810と固定ノード820との接続が解除された(移動ノード810が固定ノード820から遠ざかった)。
また、移動ノード810の4種類の状態は以下のように定義される。
[状態1]
状態1は、GW−OUT及びIR−OUTの状態であり、移動ノード810が存在する部屋が不明で、かつ、移動ノード810の位置も不明な状態である。状態1では、移動ノード810に対応するアイコンを表示しない。状態1は、「移動ノードと無線基地局との接続が解除された」イベントを受信した場合に状態2から遷移し、「移動ノードと固定ノードとの接続が解除された」イベントを受信した場合に状態4から遷移する。
[状態2]
状態2は、GW−IN及びIR−OUTの状態であり、移動ノード810が存在する部屋は確定しているが、移動ノード810の部屋内の位置は不明な状態である。状態2では、移動ノード810に対応するアイコンが、移動ノード810と接続された基地局8が設置されている部屋の中心の位置に表示される。
なお、状態2では、アイコンの背景色は表示されない。状態2は、「移動ノードと無線基地局とが接続された」イベントを受信した場合に状態1から遷移し、「移動ノードと固定ノードとの接続が解除された」イベントを受信した場合に状態3から遷移する。
[状態3]
状態3は、GW−IN及びIR−INの状態であり、移動ノード810が存在する部屋は確定しており、かつ、移動ノード810の部屋内の位置も確定している状態である。状態3では、移動ノード810と接続された固定ノード820が設置されている位置に、移動ノード810に対応するアイコンが表示される。このとき、移動ノード810のアイコンをアニメーションによって(例えば、アイコンによって表された人が歩くように)、アイコンの表示位置を移動させるとよい。
なお、状態3では、移動ノード810のアイコンは、固定ノード820のアイコンの背景と同じ背景色で表示される。状態3は、「移動ノードと無線基地局とが接続された」イベントを受信した場合に状態2から遷移し、「移動ノードと固定ノードとが接続された」イベントを受信した場合に状態4から遷移する。
[状態4]
状態4は、GW−OUT及びIR−INの状態であり、移動ノード810が存在する部屋は不明であるが、移動ノード810の位置が確定している状態である。状態4では、移動ノード810と接続された固定ノード820が設置されている位置に、移動ノード810に対応するアイコンが表示される。
なお、状態4では、移動ノード810のアイコンは、固定ノード820のアイコンの背景と同じ背景色で表示される。すなわち、状態3から状態4に遷移した場合、アイコンの表示は変更されない。状態4は、「移動ノードと無線基地局とが接続された」イベントを受信した場合に状態1から遷移し、「移動ノードと固定ノードとの接続が解除された」イベントを受信した場合に状態3から遷移する。
<無線通信の有無から位置を把握する動作>
次に、無線通信によって移動ノード810の位置を把握する動作について説明する。
図11に示すように、室内に配置された部屋俯瞰用カメラ221は無線基地局800と対応付けられている。
センサ情報変換装置7は、移動ノード810が部屋毎に配置されている無線基地局800と接続したことを検出し、移動ノード810の位置を把握する。さらに、センサ情報変換装置7は、検出された移動ノード810の位置(例えば、移動ノード810が接続した無線基地局800が設けられた部屋の識別子)及び移動ノード810の位置に対応するカメラ220の識別子とを含む優先度情報を生成する。そして、センサ情報変換装置7は、生成された優先度情報を伝送制御装置20及び画像検索装置6へ送信する。
移動ノード810は、いずれかの無線基地局800と接続している間は、所定のタイミングで(例えば、周期的に)無線通信によって何らかのデータ,例えば図6(詳細は後述する)に示す赤外線観測データ,を送信する。この場合、赤外線通信によって固定ノードの識別子を受信していなかった場合、自移動ノードの識別子のみ含む赤外線観測データを送信する。 無線基地局800は、移動ノード810から無線通信で送られてくる赤外線観測データを受信すると、受信した赤外線観測データ及び当該無線基地局800に割り当てられた固有IDをセンサ情報変換装置7へ送信する。
センサ情報変換装置7は、移動ノード810毎にどの無線基地局800と接続しているか、又はいずれの基地局8にも接続していないかを表すフラグを管理している。具体的には、いずれかの無線基地局800と接続している場合は、接続先の無線基地局800の識別子がフラグに設定される。一方、いずれの無線基地局800にも接続していない場合は、「null」がフラグに設定される。
このように設定されたフラグ、無線基地局800から受信した移動ノード810の識別子及び無線基地局800の識別子を用いて、下記の位置情報生成処理を行なう。
1)無線基地局Aに移動ノードXが接続し、移動ノードXの接続先フラグが「null」の場合、移動ノードXの接続先フラグに無線基地局Aの識別子を設定し、「移動ノードXが無線基地局Aに接続した」情報を生成する。
2)移動ノードXの接続先フラグが「A」で、無線基地局Aから移動ノードXの観測値が所定時間(例えば、5秒間)受信できなかった場合、移動ノードXの接続先フラグを「null」に設定し、「移動ノードXが無線基地局Aの通信範囲から離脱した」情報を生成する。
3)移動ノードXのフラグが「A」であり、移動ノードXが無線基地局Bに接続した場合、移動ノードXの接続先フラグに無線基地局Bの識別子を設定し、「移動ノードXが無線基地局Aから離脱した」情報、及び「移動ノードXが無線基地局Bに接続した」情報を、続けて生成する。
生成された接続情報は優先度情報として、伝送制御装置20及び画像検索装置6に送信される。生成された接続情報には、少なくとも、接続又は離脱した時刻、移動ノード810の識別子、接続または離脱した無線基地局800の識別子、無線基地局800に対応する部屋俯瞰用のカメラ220の識別子を含む。あるいは,該当する部屋にある全てのカメラの識別子を含んでもよい。
<赤外線観測データから位置を把握する動作>
図11に示すように、赤外線を発信する固定ノード820はカメラ220とペアで配置される。
移動ノード810は、固定ノード820から送信される固定ノードの識別子を受信すると、受信した固定ノードの識別子を含むデータを無線基地局800に送信する。すなわち、移動ノード810は、新たな固定ノード820から識別子を受信すると、無線基地局に送信するデータに、新たな固定ノードの識別子を含める。
センサ情報変換装置7は、移動ノード810から送信されたデータに新たな受信ノードIDが含まれるように変化したことを検出すると、移動ノード810(当該移動ノード810を保持した人物)が、ある固定ノード820の前に来たことを検出し、移動ノード810の位置を把握する。さらに、センサ情報変換装置7は、移動ノード810の位置情報及び移動ノード810の位置に対応するカメラの識別子を含む優先度情報を生成し、生成された優先度情報を伝送制御装置20及び画像検索装置6へ送信する。
より具体的には、固定ノード820は、所定のタイミングで(例えば、0.25秒等の所定の時間間隔で)自ノードに付与された識別子を赤外線を用いて送信する。
移動ノード810は、所定時間(例えば、2秒間)赤外線を受信し、受信した固定ノードの識別子を含む赤外線観測データを無線基地局800へ送信する。
図6は、本発明の実施の形態の移動ノード810が無線通信によって送信する赤外線観測データ600の形式を示す説明図である。
赤外線観測データ600は、前記所定時間内に受信したノードのID数630、受信したノードのID640、及び、所定時間内における各IDの受信回数650を含む。さらに、赤外線観測データ600は、前記移動ノードから赤外線観測データを無線送信した時刻610及び自ノードの識別子620を含む。さらに、赤外線観測データ600は、移動ノード810の状態の情報(例えば、移動ノード810が計測した加速度)を含んでもよい。
なお、前記所定時間内に固定ノードの識別子を受信しなかった場合、赤外線観測データ600は送信時刻610及び自ノードの識別子620のみを含む。
無線基地局800は、移動ノード810から送信された赤外線観測データ600を受信すると、受信した赤外線観測データ600を自無線基地局の識別子と共に、センサ情報変換装置7へ送信する。
センサ情報変換装置7は、無線基地局800から送信された赤外線観測データ600を受信すると、受信した赤外線観測データ600から、移動ノード810が通信している固定ノード820の識別子を抽出する。そして抽出された固定ノード識別子に基づいて、移動ノード810毎に設けられた固定ノード820との通信状態を表す通信先フラグを設定する。具体的には、いずれかの固定ノード820と接続している場合は、接続先の固定ノード820の識別子がフラグに設定される。一方、いずれの固定ノード820にも接続していない場合は、「null」がフラグに設定される。
なお、センサ情報変換装置7の動作の詳細は、図4を用いて後述する。
センサ情報変換装置7は、前述したように固定ノードIDとカメラIDの対応表700(図7参照)を保持している。なお、本実施の形態では、固定ノードIDとカメラIDの対応表は、基地局IDとカメラIDのカメラID変換テーブル700に含まれているが、基地局IDとカメラIDのカメラID変換テーブル700とは別個に、固定ノードIDとカメラIDの対応表を設けてもよい。
センサ情報変換装置7は、移動ノード810が固定ノード820と接続した又は接続を解除した場合に、接続/解除時刻、移動ノードの識別子及びカメラの識別子を含む接続/離脱メッセージ900(図9参照)を、優先度情報として伝送制御装置20及び画像検索装置6へ送信する。なお、赤外線通信による「固定ノードへ接続」と、無線通信による「無線基地局へ接続」が同時に到来した場合、「固定ノードへ接続」が優先される。これにより、部屋単位等の広めで粗い位置単位ではなく、狭く細かい単位で移動ノードの位置を把握できるとともに監視が可能となる。
図9は、本発明の実施の形態の接続/離脱メッセージ900の形式を示す説明図である。
接続/離脱メッセージ900は、メッセージ長910、メッセージ種別920、移動ノードの識別子930、固定ノードの識別子/無線基地局の識別子940、カメラの識別子950及びタイムスタンプ960を含む。メッセージ種別920は、「接続通知」又は「離脱通知」に対応するコードが設定される。
画像検索装置6は、接続/離脱メッセージ900を受信すると、受信した接続/離脱メッセージ900を記憶する。画像検索装置6が、移動ノードの識別子930とカメラの識別子950と対応させて記憶することによって、移動ノードが特定された画像を(例えば、Aさんの写っている画像)を検索することが可能になる。
画像表示装置5は、受信したカメラの識別子に基づいて、表示の優先度を決定する。特定の位置を撮影している複数のカメラ220に一つの固定ノード820が対応している場合、当該固定ノード820に対応する複数のカメラ220の優先度を全て上げることができる。
また、前述したように、固定ノード820が赤外線送受信機能及び/又は無線通信機能を備える場合には、固定ノード820と移動ノード810とが赤外線通信によって相互に識別子を送受信することができる。そして、固定ノード820は、移動ノード810の識別子を受信した場合に、受信した移動ノードの識別子を含む赤外線観測データを、無線基地局800を経由して(又は、直接に)、センサ情報変換装置7に送る。このようにすれば、無線通信が不安定な場合にも、センサ情報変換装置7は、固定ノード820又は移動ノード810のどちらか一方から赤外線観測データが届けば、移動ノードの位置を認識することができ、信頼性を向上することができる。
次に、センサ情報変換装置7の動作について説明する。
図4及び図5は、本発明の実施の形態のセンサ情報変換装置7の動作を示すフローチャートである。
図4は、センサ情報変換装置7が、移動ノード810からの赤外線観測データに基づいて、移動ノード810が通信している固定ノード820を判定する処理を示す。
まず、センサ情報変換装置7は、赤外線観測データを受信する(401)。
その後、受信した赤外線観測データから自ノードのID620を抽出する。そして、ノードIDデータベースを参照して、抽出されたIDが移動ノードのIDであるか否かを判定する(402)。判定の結果、抽出されたIDが移動ノードのIDでなければ、受信した赤外線観測データは固定ノード820から送信されたものなので、ステップ420(図5)に進む。一方、抽出されたIDが移動ノードのIDであれば、受信した赤外線観測データは移動ノード810から送信されたものなので、ステップ403に進む。
なお、ノードIDデータベースは、本映像ネットワークシステムに含まれるノードの識別子及びノード属性(移動ノード/固定ノード、ノードの設置場所、ノードの所持者等)を含む。
ステップ403では、受信した赤外線観測データから、受信したIDの数630を抽出する。そして、抽出された受信したIDの数630が「0」であるか否かを判定する(404)。判定の結果、抽出された受信したIDの数630が「0」でなければ、移動ノード810は他のノードと通信しているので、ステップ405に進む。一方、抽出された受信したIDの数630が「0」であれば、移動ノード810はいずれのノードとも通信していないので、ステップ410に進む。
ステップ405では、受信した赤外線観測データから受信したID640を抽出する(405)。そして、ノードIDデータベースを参照して、抽出されたIDが固定ノードのIDであるか否かを判定する(406)。判定の結果、抽出されたノードIDが固定ノードのIDを含んでいれば、移動ノード810は固定ノード820と通信しているので、ステップ407に進む。一方、抽出された受信したノードのIDが固定ノードの識別子を含んでいなければ、移動ノード810はいずれの固定ノード820とも通信していないので、ステップ410に進む。
ステップ407では、赤外線観測データ600に含まれる各IDの受信回数650を比較し、最も通信回数が多いノードを特定する(407)。その後、自ノードIDに対応する接続先フラグを取得する(408)。そして、取得した接続先フラグが、最も通信回数が多いノードのIDであるか否かを判定する(409)。
その判定の結果、取得した接続先フラグが最も通信回数が多いノードのIDであれば、接続先フラグを変更する必要がないので、この処理を終了する。一方、取得した接続先フラグが最も通信回数が多いノードのIDでなければ、当該移動ノードの状態が変化しているので、従来の接続先からの離脱を示す接続/離脱メッセージ900(図9)を伝送制御装置20及び画像検索装置6へ送信し(414)、最も通信回数が多いノードのIDを接続先フラグに設定し(415)、新たな接続先(新たな接続先固定ノードのID)を示す接続/離脱メッセージ900を伝送制御装置20及び画像検索装置6へ送信する(416)。
ステップ404で、抽出された受信したノードのID650が「0」でないと判定された場合、及び、ステップ406で、抽出された受信したノードのIDが固定ノードのIDでないと判定された場合、接続先フラグを取得し(410)、取得した接続先フラグが「null」であるか否かを判定する(411)。その結果、取得した接続先フラグが「null」でなければ、当該移動ノードの状態が変化しているので、従来の接続先からの離脱を示す接続/離脱メッセージ900を伝送制御装置20及び画像検索装置6へ送信し(412)、接続先フラグを「null」に設定する(413)。その後、この処理を終了する。一方、取得した接続先フラグが「null」であれば、当該移動ノードの状態が変化しておらず、接続先フラグを変更する(及び、状態の変化を通知する)必要がないので、この処理を終了する。
図5は、センサ情報変換装置7が、固定ノード820からの赤外線観測データに基づいて、移動ノード810が通信している固定ノード820を判定する処理を示す。
ステップ402で、抽出されたIDが移動ノードのIDでないと判定された場合に、ステップ420では、受信した赤外線観測データから、受信したIDの数630を抽出する。そして、抽出された受信したノードの数630が「0」であるか否かを判定する(421)。判定の結果、抽出された受信したノードのIDの数630が「0」でなければ、固定ノード820は他のノードと通信しているので、ステップ422に進む。一方、抽出された受信したノードのIDの数630が「0」であれば、固定ノード820はいずれのノードとも通信していないので、この処理を終了する。
ステップ422では、受信した赤外線観測データから受信したノードのID640を抽出する。そして、ノードIDデータベースを参照して、抽出されたIDが移動ノードのIDを含んでいるか判定する(423)。判定の結果、抽出されたノードのIDが移動ノードのIDを含んでいれば、固定ノード820は移動ノード810と通信しているので、ステップ424に進む。一方、抽出された受信したノードのIDが移動ノードのIDを含んでいなければ、固定ノード820はいずれの移動ノード810とも通信していないので、この処理を終了する。
ステップ424では、抽出されたIDに対応する移動ノードの接続先フラグを取得し、取得した接続先フラグが、この赤外線観測データを送信した固定ノード820のIDを示しているか否かを判定する(425)。判定の結果、取得した接続先フラグが赤外線観測データを送信した固定ノード820のIDを示していれば、当該移動ノードの状態が変化しておらず、接続先フラグを変更する(及び、状態の変化を通知する)必要がないので、この処理を終了する。
一方、取得した接続先フラグが赤外線観測データを送信した固定ノード820のIDを示していなければ、当該移動ノードの状態が変化しているので、従来の接続先からの離脱を示す接続/離脱メッセージ900(図9)を伝送制御装置20及び画像検索装置6へ送信し(426)、抽出された移動ノードのIDを接続先フラグに設定し(427)、新たな接続先(赤外線観測データを送信した固定ノードの識別子)を示す接続/離脱メッセージ900を伝送制御装置20及び画像検索装置6へ送信する(428)。
図3は、本発明の実施の形態のセンサ情報変換装置7をイベント駆動アーキテクチャで実現した場合の論理ブロック図である。
SP1アダプタ310は、無線基地局800から、赤外線観測データ及び/又は基地局の識別子を受信すると(0)、受信した赤外線観測データ及び/又は基地局の識別子をイベントとして、イベントパブリッシャ320に送信する(1)。SP1アダプタ310は、無線基地局800の数だけ備わるが、イベントパブリッシャ320は、一つだけ備わる。
イベントパブリッシャ320は、受信したイベントに応じて、配送先が予め指定されている。無線基地局800が増減する場合は、SP1アダプタ310を追加または削除すればよい。
イベントパブリッシャ320は、赤外線観測データを受信すると、受信した赤外線観測データをIR変換イベントハンドラ330に転送する(1)。IR変換イベントハンドラ330は、各移動ノードの位置情報を管理している。IR変換イベントハンドラ330は、転送された赤外線観測データに基づいて、状態遷移図(図2)及び通信相手判定処理(図4、図5)に従って、移動ノードの位置情報を更新し、更新された位置情報をイベントとしてイベントパブリッシャ320に送信する((2)(3))。イベントパブリッシャ320は、IR変換イベントハンドラ330から受信した位置情報を、予め登録された伝送制御アダプタ340を介して伝送制御装置20へ送信し、予め登録された検索制御アダプタ350を介して画像検索装置6へ送信する。
<位置情報の取得および表示>
図8は、本発明の実施の形態の位置情報表示端末9の画面における位置情報の表示例を示す説明図である。
図8に示す表示画面では、部屋のフロア図上に固定ノードのアイコン及び移動ノードのアイコンが表示される。
センサ情報変換装置7は、各固定ノード820の位置を、フロア図上の座標として保持している。センサ情報変換装置7は、状態遷移図(図2)で、各移動ノード810と通信中の無線基地局800又は固定ノード820の座標を取得し、取得した無線基地局又は固定ノードの座標を移動ノードの(保持者の)座標に定める。そして定められた座標に移動ノードのアイコンを表示する。
なお、図8に示す表示形態の他に、以下の表示形態でもよい。
[1]固定ノードのアイコンの代わりに、固定ノード820に対応するカメラ220の画像を縮小して表示してもよい。このようにすると、カメラ画像とカメラの位置関係を容易に認識することができる。
[2]画像表示装置5に優先表示されているカメラ画像を色でラベル付けし、このラベル付けされた色と同じ色を、固定ノードのアイコンの背景色に用いてもよい。このようにすると、優先表示されているカメラ画像がどの位置にあるカメラ220かを容易に認識することができる。
[3]移動ノード810の位置の履歴(例えば、過去100回分)を蓄積し、移動ノード810の位置の軌跡を表示してもよい。このようにすると、人物の動線を表示することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態では、移動ノード810の位置情報に基づいてカメラ220を特定し、当該特定されたカメラ220によって撮像される画像データの転送の優先度を制御することによって、多数のカメラを備える監視システムにおける通信帯域を確保し、システムの負荷を軽減することができる。
また、特定の人物に移動ノード810を携帯させ、移動ノード810の位置を把握することによって、どの人物がどこにいるかを把握することができる。さらに、ある人物があるカメラ220の位置にいる情報を伝送制御装置20へと送信することによって、その特定のカメラ220からの画像のフレームレートを他のカメラ220からの画像のフレームレートよりも上げるように、画像の伝送を制御できる。さらに、ある人物があるカメラ220の位置にいる情報を画像表示装置5へ送信することによって、特定の人物が写っているカメラ画像を優先的にかつ高いフレームレートで表示でき、効率的な監視をすることができ、かつ、特定の人物の詳細な追跡画像を表示することができる。
また、移動ノード810を携帯している既知の特定の人物を指定して、蓄積された画像データから特定の人物が映っている画像を検索したり、動画を再生したりして監視作業における画像確認が容易になる。
また、無線通信と赤外線観測データを併用することによって、その検出範囲の違いにより、部屋程度の粗い粒度ではあるが迅速な位置把握と、部屋内の位置で細分化した詳細な粒度での位置把握とを併用することができる。このため、効率的なシステムの動作が可能になる。例えば、部屋単位の位置把握で、ある人物が部屋にいる情報を伝送制御装置20へ送信することによって、その部屋内の全てのカメラの優先度を高くしフレームレートを上げるよう伝送制御することができる。このようにすると、表示領域の都合上リアルタイムには一部のカメラの画像しか監視側で表示しない場合でも、後の画像検索対象とするために詳細な画像を蓄積しておくことができる。