以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
<LEDプリントヘッドを搭載した画像形成装置>
まず、LEDプリントヘッドを搭載した画像形成装置について説明する。
電子写真方式で画像を形成する複写機、プリンタ等では、感光体ドラムに潜像を書き込む露光装置として、従来のレーザROS(Raster Output Scanner)方式の露光装置に代わり、発光ダイオード(LED)を光源に用いたLED方式の露光装置が主流になりつつある。LED方式の露光装置では、走査光学系は不要であり、レーザROS方式に比べて大幅な小型化が可能である。また、ポリゴンミラーを駆動する駆動モータも不要であり、機械的なノイズが発生しないという利点もある。
LED方式の露光装置は、LEDプリントヘッドと称され、LPHと略称されている。従来のLEDプリントヘッドは、長尺状の基板上に多数のLEDが配列されたLEDアレイと、多数の屈折率分布型のロッドレンズが配列されたレンズアレイと、を備えている。LEDアレイには、例えば1インチ当り1200画素(即ち、1200dpi)と、主走査方向の画素数に対応して多数のLEDが配列されている。従来、レンズアレイには、セルフォック(登録商標)などロッドレンズが用いられている。各LEDから射出された光は、ロッドレンズにより集光されて、感光体ドラム上に正立等倍像が結像される。
ロッドレンズに代えて「ホログラム素子」を用いたLEDプリントヘッドが検討されている。本実施の形態に係るホログラム記録装置及びプログラムは、以下に説明する「ホログラム素子アレイ」を備えたLEDプリントヘッドを作製するのに好適である。
図1は画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。この画像形成装置は、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタであり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部としての画像形成プロセス部10、画像形成装置の動作を制御する制御部30、及び画像読取装置3と例えばパーソナルコンピュータ(PC)2等の外部装置とに接続され、これらの装置から受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部40を備えている。
画像形成プロセス部10は、一定の間隔で並列に配置される4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kを備えている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの各々は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。なお、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kを、適宜「画像形成ユニット11」と総称する。
各画像形成ユニット11は、静電潜像を形成してトナー像を担持する像担持体としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を所定電位で一様に帯電する帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光する露光装置としてのLEDプリントヘッド(LPH)14、LPH14によって得られた静電潜像を現像する現像器15、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16を備えている。
LPH14は、感光体ドラム12の軸線方向の長さと略同じ長さの長尺状のプリントヘッドである。LPH14は、その長さ方向が感光体ドラム12の軸線方向を向くように、感光体ドラム12の周囲に配置されている。本実施の形態では、LPH14には、長さ方向に沿って複数のLEDがアレイ状(列状)に配列されている。また、LEDアレイ上には、複数のLEDに対応する複数のホログラム素子がアレイ状に配列されている。
後述する通り、ホログラム素子アレイを備えたLPH14の作動距離は長く、感光体ドラム12の表面から数cm離間して配置されている。このため、感光体ドラム12の周方向における占有幅が小さく、感光体ドラム12の周囲の混雑が緩和されている。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト21、各画像形成ユニット11の各色トナー像を中間転写ベルト21に順次転写(一次転写)させる一次転写ロール22、中間転写ベルト21上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写ロール23、及び二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器25を備えている。
次に上記画像形成装置の動作について説明する。
まず、画像形成プロセス部10は、制御部30から供給された同期信号等の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。その際に、画像読取装置3やPC2から入力された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、インターフェースを介して各画像形成ユニット11に供給される。
例えば、イエローの画像形成ユニット11Yでは、帯電器13により所定電位で一様に帯電された感光体ドラム12の表面が、画像処理部40から得られた画像データに基づいて発光するLPH14により露光されて、感光体ドラム12上に静電潜像が形成される。即ち、LPH14の各LEDが画像データに基づいて発光することで、感光体ドラム12の表面が主走査されると共に、感光体ドラム12が回転することで副走査されて、感光体ドラム12上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上にはイエローのトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11M,11C,11Kにおいて、マゼンタ、シアン、黒の各色トナー像が形成される。
各画像形成ユニット11で形成された各色トナー像は、図1の矢印A方向に回動する中間転写ベルト21上に、一次転写ロール22により順次静電吸引されて転写される(一次転写)。中間転写ベルト21上には、重畳されたトナー像が形成される。重畳トナー像は、中間転写ベルト21の移動に伴って二次転写ロール23が配設された領域(二次転写部)に搬送される。重畳トナー像が二次転写部に搬送されると、トナー像が二次転写部に搬送されるタイミングに合わせて用紙Pが二次転写部に供給される。
そして、二次転写部にて二次転写ロール23により形成される転写電界により、重畳トナー像は搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される(二次転写)。重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト21から剥離され、搬送ベルト24により定着器25まで搬送される。定着器25に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着器25によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙トレー(不図示)に排出される。
ロッドレンズを用いたLPHでは、レンズアレイ端面から結像点までの光路長(作動距離)は数mm程度と短く、感光体ドラムの周囲における露光装置の占有割合が大きくなる。これに対して、ホログラム素子アレイを備えたLPH14は、作動距離が数cm程度と長く、感光体ドラムの周囲が混み合わず、全体として画像形成装置が小型化される。
また、一般に、インコヒーレント光(非干渉性の光)を射出するLEDを用いるLPHでは、コヒーレンス性が低下してスポットぼけ(いわゆる色収差)が生じ、微小スポットを形成することは容易ではない。これに対して、ホログラム素子アレイを備えたLPH14は、ホログラム素子の入射角選択性及び波長選択性が高く、感光体ドラム12上には輪郭の鮮明な微小スポットが形成される。
<LEDプリントヘッド(LPH)>
図2はホログラム素子アレイを備えたLEDプリントヘッドの構成の一例を示す概略斜視図である。図2に示すように、LEDプリントヘッド(LPH14)は、複数のLED50を備えたLEDアレイ52と、複数のLED50の各々に対応して設けられた複数のホログラム素子54を備えたホログラム素子アレイ56と、を備えている。図2に示す例では、LEDアレイ52は6個のLED501〜506を備え、ホログラム素子アレイ56は6個のホログラム素子541〜546を備えている。なお、各々を区別する必要がない場合には、LED501〜506を「LED50」と総称し、ホログラム素子541〜546を「ホログラム素子54」と総称する。
複数のLED50の各々は、LEDチップ53上に配列されている。複数のLED50が配列されたLEDチップ53は、LED50の各々を駆動する駆動回路(図示せず)と共に、長尺状のLED基板58上に実装されている。LEDチップ53は、複数のLED50が主走査方向に並ぶように位置合わせをして、LED基板58上に配置されている。これにより、LED50の各々は、感光体ドラム12の軸線方向と平行な方向に沿って配列される。
LED50の配列方向が「主走査方向」である。また、LED50の各々は、互いに隣接する2つのLED50(発光点)の主走査方向の間隔(発光点ピッチ)が一定間隔となるように配列されている。なお、感光体ドラム12の回転により副走査が行われるが、「主走査方向」と直交する方向を「副走査方向」として図示している。また、以下では、LED50の配置される位置を、適宜「発光点」と称する。
LEDアレイ52としては、複数のLEDがチップ単位で基板上に実装されたLEDアレイ等、種々の形態のLEDアレイを用いてもよい。複数のLEDが配列されたLEDチップを複数個配列する場合には、複数のLEDチップは、直列に配置してもよく、千鳥状に配置してもよい。また、副走査方向に2個以上配置してもよい。図2においては、複数のLED50が1個のLEDチップ53上に一次元状に配列されたLEDアレイ52を概略的に図示しているに過ぎない。
後述するように、本実施の形態では、LEDアレイ52には、複数のLEDチップ53が千鳥状に配列されている(図6参照)。即ち、複数のLEDチップ53は、主走査方向に並ぶように一列に配置されると共に、副走査方向に一定間隔ずらして二列に配置されている。複数のLEDチップ53に分けられていても、複数のLED50の各々は、互いに隣接する2つのLED50の主走査方向の間隔が、一定間隔となるように配列されている。
LEDアレイ52としては、複数の自己走査型LED(SLED:Self-scanning LED)が配列されたSLEDチップ(図示せず)が、各LEDが主走査方向に並ぶように、複数個に配列されて構成されたSLEDアレイを用いてもよい。SLEDアレイは、スイッチのオン・オフを二本の信号線によって行い、各SLEDを選択的に発光させて、データ線を共通化する。このSLEDアレイを用いることで、LED基板58上での配線数が少なくて済む。
上記のLEDチップ53を覆うように、LED基板58上にはホログラム記録層60が形成されている。ホログラム素子アレイ56は、LED基板58上に形成されたホログラム記録層60内に形成されている。後述する通り、LED基板58とホログラム記録層60とは密着している必要はなく、空気層や透明樹脂層などを介して所定距離だけ離間されていてもよい。例えば、ホログラム記録層60は、LED基板58から所定高さだけ離間された位置に、図示しない保持部材により保持されていてもよい。
ホログラム記録層60には、複数のLED501〜506の各々に対応して、主走査方向に沿って複数のホログラム素子LED541〜546が形成されている。ホログラム素子54の各々は、互いに隣接する2つのホログラム素子54の主走査方向の間隔が、上記のLED50の主走査方向の間隔と、ほぼ同じ間隔となるように配列されている。即ち、互いに隣接する2つのホログラム素子54が互いに重なり合うように、径の大きいホログラム素子54が形成されている。また、互いに隣接する2つのホログラム素子54が異なる形状を有していてもよい。
ホログラム記録層60は、ホログラムを永続的に記録保持することが可能な高分子材料から構成されている。このような高分子材料としては、いわゆるフォトポリマーを用いてもよい。フォトポリマーは、光重合性モノマーのポリマー化による屈折率変化を利用してホログラムを記録する。
LED50を発光させると、LED50から射出された光(インコヒーレント光)は、発光点からホログラム径まで拡がる拡散光の光路を通る。LED50の発光により、ホログラム素子54に参照光が照射されたのと略同じ状況となる。図2に示すように、LEDアレイ52とホログラム素子アレイ56とを備えたLPH14では、6個のLED501〜506の各々から射出された各光は、対応するホログラム素子541〜546のいずれかに入射する。ホログラム素子541〜546は、入射された光を回折して回折光を生成する。ホログラム素子541〜546の各々で生成された各回折光は、拡散光の光路を避けて、その光軸が発光光軸と角度θを成す方向に射出され、感光体ドラム12の方向に集光される。
射出された各回折光は、感光体ドラム12の方向に収束して、数cm先の焦点面に配置された感光体ドラム12の表面で結像される。即ち、複数のホログラム素子54の各々は、対応するLED50から射出された光を回折して集光し、感光体ドラム12表面に結像させる光学部材として機能する。感光体ドラム12の表面には、各回折光による微小なスポット621〜626が、主走査方向に一列に配列されるように形成される。換言すれば、LPH14により、感光体ドラム12が主走査される。なお、各々を区別する必要がない場合には、スポット621〜626を「スポット62」と総称する。
<ホログラム素子の形状>
図3(A)はホログラム素子の概略形状を示す斜視図であり、図3(B)はLEDプリントヘッドの副走査方向の断面図であり、図3(C)はLEDプリントヘッドの主走査方向に沿った断面図である。
図3(A)及び図3(B)に示すように、ホログラム素子54の各々は、ホログラム記録層60の表面側を底面とし、LED50側に向かって収束する円錐台状に形成されている。この例では円錐台状のホログラム素子について説明するが、ホログラム素子の形状はこれには限定されない。例えば、円錐、楕円錐、楕円錐台等の形状としてもよい。円錐台状のホログラム素子54の直径は、底面で最も大きくなる。この円形の底面の直径を「ホログラム径rH」とする。
ホログラム素子54の各々は、LED50の主走査方向の間隔よりも大きな「ホログラム径rH」を有している。例えば、LED50の主走査方向の間隔は30μmであり、ホログラム径rHは2mm、ホログラム厚さhHは250μmである。従って、図2及び図3(C)に示すように、互いに隣接する2つのホログラム素子54は、互いに大幅に重なり合うように形成されている。複数のホログラム素子54は、例えば、球面波シフト多重により多重記録されている。
複数のLED50の各々は、対応するホログラム素子54側に光を射出するように、発光面をホログラム記録層60の表面側に向けて、LED基板58上に配置されている。LED50の「発光光軸」は、対応するホログラム素子54の中心(例えば、円錐台の対称軸)付近を通り、LED基板58と直交する方向を向いている。図示した通り、発光光軸は、上記の主走査方向及び副走査方向の各々とも直交する。
また、図示は省略するが、LPH14は、ホログラム素子54で生成された回折光が感光体ドラム12の方向に射出されるように、ハウジングやホルダー等の保持部材により保持されて、図1に示す画像形成ユニット11内の所定位置に取り付けられている。なお、LPH14は、調整ネジ(図示せず)等の調整手段により、回折光の光軸方向に移動するように構成されていてもよい。ホログラム素子54による結像位置(焦点面)が、感光体ドラム12表面上に位置するように、上記の調整手段により調整する。また、ホログラム記録層60上に、カバーガラスや透明樹脂等で保護層が形成されていてもよい。保護層によりゴミの付着を防止する。
<ホログラムの記録方法>
次に、ホログラムの記録方法について説明する。図4は、ホログラム記録層にホログラム素子54が形成される様子、即ち、ホログラム記録層にホログラムが記録される様子を示す図である。感光体ドラム12の図示は省略し、結像面である表面12Aだけを図示する。また、ホログラム記録層60Aは、ホログラム素子54が形成される前の記録層であり、符号Aを付して、ホログラム素子54が形成されたホログラム記録層60と区別する。
図4に示すように、表面12Aに結像される回折光の光路を通るコヒーレント光が、信号光としてホログラム記録層60Aに照射される。同時に、ホログラム記録層60Aを通過する際に、発光点から所望のホログラム径rHまで拡がる拡散光の光路を通るコヒーレント光が、参照光としてホログラム記録層60Aに照射される。コヒーレント光の照射には、半導体レーザ等のレーザ光源が用いられる。
信号光と参照光とは、ホログラム記録層60Aに対し、同じ側(LED基板58が配置される側)から照射される。信号光と参照光との干渉により得られる干渉縞(強度分布)が、ホログラム記録層60Aの厚さ方向にわたって記録される。これにより、透過型のホログラム素子54が形成されたホログラム記録層60が得られる。ホログラム素子54は、面方向及び厚さ方向に干渉縞の強度分布が記録された体積ホログラムである。このホログラム記録層60を、LEDアレイ52が実装されたLED基板58上に取り付けることで、LPH14が作製される。
<ホログラムの再生方法>
次に、ホログラムの再生方法について説明する。図5(A)及び(B)は、ホログラム素子から回折光が生成される様子、即ち、ホログラム記録層に記録されたホログラムが再生されて回折光が生成される様子を示す図である。図5(A)に示すように、LED50を発光させると、LED50から射出された光は、発光点からホログラム径rHまで拡がる拡散光の光路を通る。LED50の発光により、ホログラム素子54に参照光が照射されたのと略同じ状況となる。
図5(B)に示すように、点線で図示する参照光の照射により、実線で図示するように、ホログラム素子54から信号光と同じ光が再生され、回折光として射出される。射出された回折光は収束して、数cmの作動距離で感光体ドラム12の表面12Aに結像される。表面12Aにはスポット62が形成される。なお、図5(B)では、表面12Aが概略的に図示されているが、ホログラム径rHは数mm、作動距離Lは数cmであるから、表面12Aはかなり離れた位置にある。このため、ホログラム素子54は、図示されたような円錐状ではなく、図3(A)に示すように、円錐台状に形成される。
図2に示すように、感光体ドラム12上には、LEDアレイ52のLED501〜506に対応して、6個のスポット621〜626が主走査方向に一列に並ぶように形成される。6個のスポット621〜626は、ホログラム素子541〜546の回折光が結像した結像スポットである。特に、体積ホログラムは入射角選択性及び波長選択性が高く、高い回折効率が得られる。このためバックグラウンドノイズ(背景雑音)が低減され、信号光が精度よく再生されて表面12Aには輪郭の鮮明な微小スポット(集光点)が形成される。
詳細については後述するが、本実施の形態に係るホログラム記録装置では、上記のホログラム記録方法と同じ原理を用いて、複数のホログラム素子54の各々を記録する。このときに、LED50の発光強度から求めた必要な露光エネルギーに応じて、記録条件を変えてホログラム素子54を記録することで、LED50の発光強度のばらつきに拘わらず、感光体ドラム12の表面に形成される複数のスポット62の光量(即ち、回折光強度)が一定になる。
<LPHの具体的な構成>
次に、LPHのより具体的な構成について説明する。図2においては、概略的に6個のLED501〜506が1列に配列されている例を図示したが、実際の画像形成装置では、主走査方向の解像度に応じて数千個のLED50が配列されている。例えば、SLEDアレイを例に説明すると、128個のSLEDが1200spi(spots per inch)間隔で配列されたSLEDチップが、SLEDが主走査方向に沿って並ぶように、58個直列に配列されてSLEDアレイが構成されている。換算すると、1200dpiの解像度の画像形成装置では、7424個のSLEDが21μmの間隔で配列されている。これら7424個のSLEDに対応して、感光体ドラム12上には7424個のスポット62が主走査方向に一列に並ぶように形成される。
図6はSLEDアレイに対応してホログラム素子アレイが形成されたLEDプリントヘッドの部分的構成の一例を示す分解斜視図である。図6の分解斜視図は、図2に概略的に図示したLPHの構成をより具体的に図示したものであり、実際の画像形成装置に使用される構成に近い。なお、「LED」に代えて「SLED」を用いる場合には、LED50と同じ符号を付して「SLED50」と称する。また、SLEDチップにも同じ符号を付して「SLEDチップ53」と称する。
上述した通り、実際の画像形成装置のLPH14には、主走査方向の解像度に応じて数千個のSLEDが配列されている。図6に示すLPH14は、LEDアレイ52が実装されたLED基板58と、複数のホログラム素子54が形成されたホログラム記録層60と、を備えている。LEDアレイ52は、複数のSLEDチップ53が2列の千鳥状に配置されたSLEDアレイである。
図6に示す分解斜視図では、実際の構成に近いLPH14の一部として、4個のSLEDチップ531〜534が2列の千鳥状に配置されている様子を示す。4個のSLEDチップ531〜534の各々には、9個のSLED50が所定間隔で一次元状に配列されている。そして、4個のSLEDチップ531〜534の各々は、SLED50の配列方向が主走査方向を向くように配置されている。
1行目のSLEDチップ53と2行目のSLEDチップ53とは、主走査方向に2列ずらして(即ち、千鳥状に)配置されている。即ち、LEDアレイ52の1行目には、SLEDチップ531とSLEDチップ5323とが互いに隣接するように配置され、LEDアレイ52の2行目には、SLEDチップ532とSLEDチップ534とが互いに隣接するように配置されている。従って、図6に示す例では、2行に配列された合計36個のSLED50(SLED501〜5036)が図示されている。
そして、36個のSLED50の各々に対応して、予め設計された位置及び形状の36個のホログラム素子541〜5436が形成されている。これにより、感光体ドラム12の表面12Aには、36個のSLED501〜5036の各々に対応して、36個のスポット621〜6236が主走査方向に沿って所定間隔で一列に形成されている。実際の画像形成装置では、数千個のSLED50に対応して、数千個のスポット62が形成される。本実施の形態では、数千個のSLED50の発光強度のばらつきに拘わらず、数千個のスポット62の光量が一定となる。
<ホログラム記録装置>
図7は本発明の実施の形態に係るホログラム記録装置の構成の一例を示す概略図である。また、図8は図7に示すホログラム記録装置の計測時の動作を説明する概略図である。図7に示すように、このホログラム記録装置100には、コヒーレント光であるレーザ光を発振するレーザ光源102が設けられている。レーザ光源102の光出射側には、開閉可能に構成されたシャッタ104、一対のレンズ106、レンズ108、入射光の光路を折り曲げる反射ミラー112が、レーザ光源102側からこの順序でレーザ光の光路上に配置されている。
シャッタ104は、後述するシャッタ駆動部に接続されている。シャッタ104は、シャッタ駆動部により矢印方向に駆動されて、レーザ光の光路に挿入された状態(閉状態)又は光路から退避させられた状態(開状態)となる。一対のレンズ106、レンズ108は、2枚のレンズを焦点位置が一致するように組み合わせたものであり、レーザ光のビーム径を拡大するビームエキスパンダとして機能する。レンズ106、レンズ108の焦点面には、ピンホール(微小開口)を備えた空間フィルタ110が配置されている。
反射ミラー112の光反射側には、一部の入射光を透過すると共にそれ以外の入射光を反射するビームスプリッタ114が配置されている。ビームスプリッタ114は、入射光の光路を、信号光用光路と参照光用光路とに分岐して、信号光用光と参照光用光の二光波を生成する。
ビームスプリッタ114の光反射側には、レンズ116、レンズ118、レンズ120、及びLPH14を保持するステージ124が、ビームスプリッタ114側からこの順序でレーザ光の光路上に配置されている。レンズ116、レンズ118の焦点面には、ピンホールを備えた空間フィルタ122が配置されている。ビームスプリッタ114で反射された参照光用光は、レンズ116、空間フィルタ122、レンズ118、及びレンズ120を通過して、レンズ120により集光されて、ステージ124に保持されたLPH14に参照光として照射される。
一方、ビームスプリッタ114の光透過側には、入射光の光路を折り曲げる反射ミラー126、反射ミラー128、及びレンズ130が、ビームスプリッタ114側からこの順序でレーザ光の光路上に配置されている。ビームスプリッタ114を透過した信号光用光は、反射ミラー126、反射ミラー128で光路が折り曲げられ、レンズ130により集光されて、ステージ124に保持されたLPH14に信号光として照射される。
また、参照光光路上のレンズ116と空間フィルタ122との間には、移動可能に構成されたパワーメータ134が配置されている。パワーメータ134は、LPH14を構成するLEDアレイ52の各LED50の位置及び発光強度を計測するために設けられている。パワーメータ134は、後述するパワーメータ駆動部に接続されている。パワーメータ134は、パワーメータ駆動部により矢印方向に駆動されて、レーザ光の光路に挿入された状態(計測状態)又は光路から退避させられた状態(非計測状態)となる。また、パワーメータ134は、後述する制御部に接続されており、計測データを制御部に入力する
<ホログラム記録装置の駆動制御系の構成>
次に、上記ホログラム記録装置の電気的構成について説明する。図9はホログラム記録装置の駆動制御系の構成を示すブロック図である。ホログラム記録装置100は、図9に示すように、装置全体を制御する制御部200を備えている。制御部200には、制御信号に応じて、レーザ光源102を駆動するレーザ駆動部(駆動回路)202が接続されている。制御部200には、制御信号に応じて、シャッタ104を開閉駆動するシャッタ駆動部204が接続されている。制御部200には、制御信号に応じて、ステージ124を駆動するステージ駆動部206が接続されている。
また、制御部200には、制御信号に応じて、パワーメータ134を駆動するパワーメータ駆動部208が接続されている。また、パワーメータ134は、制御部200に接続されており、パワーメータ134から検出信号を取得する。更に、制御部200には、ホログラムを記録する記録条件を設定するため際に、種々の情報を表示・入力する表示入力部210が接続されている。表示入力部210は、例えば、操作入力画面を備えたタッチパネル等で構成されている。
制御部200は、装置各部の制御及び各種演算を行うCPU(中央処理装置)、OS等の各種プログラムを記憶したROM、及びプログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAMを備えている。また、制御部200は、ハードディスク等の各種情報を記憶する外部記憶装置、入出力ポート、通信インターフェース、及び各種ドライブを備えていてもよい。制御部200を構成する各部は、バスにより相互に接続されている。CPUは、プログラムをROM又は外部記憶装置等の記憶装置から読み出し、RAMにロードする。そして、RAMをワークエリアとして使用し、ロードされたプログラムを実行する。後述する「ホログラム記録条件設定プログラム」等は、ROM又は外部記憶装置に記憶されている。
<ホログラムの記録動作>
次に、図7及び図9を参照して、ホログラム記録装置100の記録動作について説明する。ホログラムの記録時には、図7に示すように、シャッタ104は、シャッタ駆動部204により駆動されて「開状態」とされている。また、ステージ駆動部206によりステージ124が駆動されて、LPH14を構成するホログラム記録層60A(未記録)は、ステージ124によって所定の記録位置に保持されている。
レーザ駆動部202により駆動されて、レーザ光源102から所定波長のレーザ光が発振する。レーザ光源102から発振されたレーザ光は、ビームエキスパンダとして機能する一対のレンズ106、108によりビーム径が拡大される。レンズ106、レンズ108の焦点面に配置された空間フィルタ110は、ピンホールを通過できない一部のレーザ光を遮断する。ピンホールを通過したレーザ光は、レンズ108で平行光化されて、反射ミラー112に入射する。反射ミラー112で反射されて光路が約90°折り曲げられた光は、ビームスプリッタ114に入射する。ビームスプリッタ114は、例えば、光の半分を透過し半分を反射するハーフミラーとして機能する。
ビームスプリッタ114で反射されたレーザ光は、一対のレンズ116、レンズ118によりリレーされる。レンズ116、レンズ118の焦点面に配置された空間フィルタ122は、ピンホールを通過できない一部のレーザ光を遮断する。レンズ118により平行光化されたレーザ光は、レンズ120により集光される。レンズ120により集光されたレーザ光は、ステージ124に保持されたLPH14のホログラム記録層60Aに、参照光として照射される。
ビームスプリッタ114を透過したレーザ光は、反射ミラー126で反射されて光路が約90°折り曲げられ、反射ミラー128で更に反射されて光路がステージ側に折り曲げられて、レンズ130に入射する。レンズ130により集光されたレーザ光は、ステージ124に保持されたLPH14のホログラム記録層60Aに、信号光として照射される。
上記の通り、信号光と参照光とは、同じレーザ光源102から発振されたレーザ光を分岐して生成される。これら信号光と参照光とは、光記録媒体であるLPH14のホログラム記録層60Aの同じ位置に同時に且つ同じ側から照射される。これによって、ホログラム記録層60A内で信号光と参照光とが干渉して、干渉パターンがホログラムとして記録される。なお、ホログラム記録層60Aの同じ位置とは、1つのホログラム(干渉縞)を記録するのに必要な範囲で同じを意味する。
ホログラムを記録する記録条件としては、信号光及び参照光の各々に関し、照射強度、照射角度、照射位置、照射時間、照射波長、環境温度、環境湿度等、種々の条件があるが、例えば、信号光及び参照光を一定強度で照射する場合の照射時間、又は信号光及び参照光を一定時間で照射する場合の照射強度としてもよい。信号光及び参照光の照射時間は、上記のホログラム記録装置100の記録動作では、シャッタ104の開閉時間により調整することができる。
ている。
<LEDの計測動作>
次に、図8及び図9を参照して、ホログラム記録装置100の計測動作について説明する。このホログラム記録装置100では、LPH14を構成するLEDアレイ52の各LED50の位置及び発光強度が、パワーメータ134により計測される。計測動作時には、ステージ駆動部206によりステージ124が駆動されて、LPH14を構成するLEDアレイ52は、ステージ124によって所定の計測位置に保持されている。また、計測動作時には、パワーメータ駆動部208によりパワーメータ134が移動されて、パワーメータ134が参照光の光路上に挿入された状態(計測状態)となる。
なお、計測動作時には、レーザ光源102からレーザ光が発振しないように、レーザ駆動部202によりレーザ光源102が駆動される。また、シャッタ104は、シャッタ駆動部204により駆動されて「閉状態」とされており、レーザ光が発振されてもシャッタ104で遮断される。
図8に示すように、LEDアレイ52を構成する複数のLED50の各々を順次点灯させて、各LED50の位置及び発光強度を計測する。ここで、「発光強度」とは、パワーメータ134で計測されるLED50の最大発光強度であり、「位置」とは、パワーメータ134で最大発光強度を検出したときのLED50の空間位置座標である。例えば、XYZ座標系で表される三次元座標系を用いて、LPH14の角部等を原点(0,0,0)として、LED50の位置を座標(X,Y,Z)で表す。
LEDアレイ52のLED50から射出された光は、記録動作時とは逆に、レンズ120で平行光化され、レンズ118で集光されて、空間フィルタ122に照射される。空間フィルタ122のピンホールを通過した光は、パワーメータ134の受光面に結像する。これにより、パワーメータ134では、LED50の発光強度が測定される。ここで測定される発光強度は、放射量を表す放射強度である。また、LED50の位置は、ステージ駆動部206によるステージ124の駆動情報から取得される。
<回折光強度を一定化するための露光プロセス>
LEDアレイ52を構成する複数のLED50は、その発光強度にばらつきがあるのが通常である。本実施の形態では、LED50の発光強度のばらつきに拘わらず、感光体ドラム12の表面に、一定の光量(回折光強度)の複数のスポット62を形成するための「露光プロセス」を提案する。ホログラム素子アレイ56を構成する複数のホログラム素子54の各々について、LED50の発光強度から求めた必要な露光エネルギーに応じて、記録条件を変えてホログラム素子54を記録することで、LED50の発光強度のばらつきに拘わらず、感光体ドラム12の表面に形成される複数のスポット62の光量が一定になる。
次に、制御部200により実行される「ホログラム記録処理」の処理手順について説明する。図10はホログラム記録処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。この「ホログラム記録処理」は、LED50の発光強度のばらつきに拘わらず一定の光量(回折光強度)のスポット62を形成するための「露光プロセス」である。ここで、計測及び記録の対象となるLPH14は、複数のLED50を備えたLEDアレイ52と、未記録のホログラム記録層60Aとを備えている
LPH14は、ステージ駆動部206によりステージ124に既に保持されている。ここでは、LPH14のLEDアレイ52の各LED50の発光強度等を計測した後に、続けてLPH14のホログラム記録層60Aにホログラム素子54を記録する場合について説明する。なお、発光強度等の計測動作と、ホログラムの記録動作とは、別々に行ってもよい。
まず、ステップ100で、LPH14を計測位置に移動するための制御信号を、ステージ駆動部206に入力する。この制御信号に応じて、ステージ124がステージ駆動部206により駆動されて、LPH14が計測位置に移動される。
次に、ステップ102で、LED50の発光強度から求めた必要な露光エネルギーに応じて、対応するホログラム素子54の記録条件を設定する「ホログラム記録条件設定処理」を行う。図11は「ホログラム記録条件設定処理プログラム」を実行するための処理ルーチンを示すフローチャートである。ここで、「ホログラム記録条件設定処理」について先に説明する。
図11に示すように、ステップ200で、パワーメータ134を挿入するための制御信号を、パワーメータ駆動部208に入力する。この制御信号に応じて、パワーメータ134がパワーメータ駆動部208により移動されて、パワーメータ134が参照光の光路上に挿入された状態(計測状態)となる。
次に、ステップ202で、LPH14を計測対象となるLED50の計測位置に移動するための制御信号を、ステージ駆動部206に入力する。この制御信号に応じて、ステージ124がステージ駆動部206により駆動されて、LPH14が所定の計測位置に移動される。
次に、ステップ204で、計測対象となるLED50を点灯するための制御信号を、ステージ駆動部206に入力する。ステージ駆動部206は、ステージ124に保持されたLPH14のLEDアレイ52の各LED50を点灯駆動するドライバとしても機能する。従って、この制御信号に応じて、LEDアレイ52がステージ駆動部206により駆動されて、計測対象となるLED50が発光する。
次に、ステップ206で、パワーメータ134から検出信号を取得する。即ち、計測対象となるLED50を発光させて、パワーメータ134によりLED50の発光強度「Iin」を計測し、計測データを取得する。
次に、ステップ208で、所望の回折光強度「Iout」を得るためのホログラム素子54の目標回折効率「η」を演算する。回折光強度「Iout」を一定にするために、所望の回折光強度「Iout」の値が予め設定されている。設定は表示入力部210等を用いて行う。発光強度「Iin」は、ホログラム素子54に入射する入射光の強度であるから、目標回折効率「η」は(Iin/Iout)で表される。目標回折効率ηは、LED50の発光強度「Iin」の計測値に応じて、対応するホログラム素子54毎に算出される。
次に、ステップ210で、目標回折効率「η」のホログラム素子54を得るために必要な露光エネルギー「E」を取得する。目標回折効率「η」と露光エネルギー「E」との関係は、例えば実験等により、LPH14のホログラム記録層60Aに応じて予め取得されている。例えば、目標回折効率「η」と露光エネルギー「E」との関係は、n次の関数(nは1以上の整数)を用いた近似式で表してもよい。そして、この近似式を用いて、目標回折効率「η」を得るための露光エネルギーEを取得する。
次に、ステップ212で、予め設定された基準露光エネルギー「Eref」との差分「ΔE」を演算する。基準露光エネルギー「Eref」が予め設定されており、差分「ΔE」は(E−Eref)で表される。設定は表示入力部210等を用いて行う。この例では、差分「ΔE」は、設定値である基準露光エネルギー「Eref」の補正値として求められる。
次に、ステップ214で、実際にホログラム素子54を記録するための露光エネルギー「E」を決定する。露光エネルギーの決定は、LED50の発光強度のばらつきに応じて、設定値「Eref」を補正値「ΔE」で補正するものである。露光エネルギー「E」は(Eref+ΔE)で表される。これにより、LED50の発光強度「Iin」の計測値に応じて、ホログラム素子54を記録するための露光エネルギー「E」が取得される。
次に、ステップ216で、決定された露光エネルギー「E」に応じて、ホログラム素子54を記録するためのホログラム記録条件を取得する。ホログラム記録条件は、例えば、信号光及び参照光を一定強度で照射する場合の照射時間としてもよい。一定強度の信号光及び参照光の照射時間は、シャッタ104の開閉時間として算出される。
次に、ステップ218で、取得されたホログラム記録条件を、点灯した、即ち、今回計測対象としたLED50及びそのLED50の位置と関連付けて、ROMやハードディスク等の記憶手段に記憶しておく。例えば、LEDアレイ52を構成する複数のLED50に配列順に番号を付与し、複数のLED50の各々について、LEDの番号、LEDの位置座標、及びLEDに対応したホログラム記録条件(例えば、シャッタ開閉時間)をテーブルで記憶しておいてもよい。
次に、ステップ220で、次に計測対象となるLED50が在るか否かを判断する。次に計測対象となるLED50がある場合には、肯定判定してステップ202に戻り、次に計測対象となるLED50について計測動作を繰り返す。一方、次に計測対象となるLED50が無い場合には、否定判定して図11に示す「ホログラム記録条件設定処理」のルーチンを終了する。こうして、LEDアレイ52を構成する複数のLED50の各々について、対応するホログラム素子54を記録するためのホログラム記録条件が記憶される。
LEDアレイ52を構成する複数のLED50の各々について、回折光強度が一定になるように(所望の回折光強度「Iout」が得られるように)、対応するホログラム素子54を記録するためのホログラム記録条件が記憶されるので、LED50の発光強度のばらつきに拘わらず、感光体ドラム12の表面に形成される複数のスポット62の光量が一定になる。
ここで、図10のホログラム記録処理の処理ルーチンに戻る。図10のホログラム記録処理のステップ102で表される「ホログラム記録条件設定処理」のルーチンが終了すると、次のステップ104で、記憶しておいたホログラム記録条件を読み出す。そして、LPH14のホログラム記録層60Aに、複数のホログラム素子54を多重記録する記録動作を開始する。
まず、ステップ106で、LPH14を最初のホログラム記録位置に移動するための制御信号を、ステージ駆動部206に入力する。この制御信号に応じて、ステージ124がステージ駆動部206により駆動されて、LPH14が最初のホログラム記録位置に移動される。
次に、ステップ108で、ホログラム記録層60Aに最初のホログラムを記録するための制御信号を、レーザ駆動部202、シャッタ駆動部204、パワーメータ駆動部208の各々に入力する。この制御信号に応じて、シャッタ104がシャッタ駆動部204により駆動されて「開状態」となり、パワーメータ134がパワーメータ駆動部208により移動されて、パワーメータ134が参照光の光路から退避させられた状態(非計測状態)となる。そして、レーザ光源102がレーザ駆動部202により駆動されて、レーザ光源102が点灯してレーザ光が発振する。
レーザ光源102からレーザ光が発振されると、上述した通り、ホログラムの記録動作が実施されて、記録するホログラム素子54について予め設定されたホログラム記録条件で、ホログラム記録層60Aに最初のホログラムが記録される。
上述したように、複数のLED50の各々について、LEDの番号、LEDの位置座標、及びLEDに対応したホログラム記録条件(シャッタ開閉時間)を記憶しておいた場合には、第1のLED50の位置座標と、対応する第1のホログラム素子54を記録するときのシャッタ開閉時間とが取得される。
そして、第1のLED50の位置座標に応じたホログラム記録層60Aの所定位置に、設定されたシャッタ開閉時間で信号光及び参照光が照射され、第1のホログラム素子54が記録される。即ち、第1のホログラム素子54の記録が終了すると、シャッタ104がシャッタ駆動部204により駆動されて「閉状態」となる。
次に、ステップ110で、LPH14を次のホログラム記録位置に移動するための制御信号を、ステージ駆動部206に入力する。この制御信号に応じて、ステージ124がステージ駆動部206により駆動されて、LPH14が次のホログラム記録位置に移動される。
次に、ステップ112で、ホログラム記録層60Aに次のホログラムを記録するための制御信号を、レーザ駆動部202、シャッタ駆動部204の各々に入力する。この制御信号に応じて、シャッタ104がシャッタ駆動部204により駆動されて「開状態」となり、レーザ光源102がレーザ駆動部202により駆動されて、レーザ光源102が点灯してレーザ光が発振する。
レーザ光源102からレーザ光が発振されると、上述した通り、ホログラムの記録動作が実施されて、記録するホログラム素子54について予め設定されたホログラム記録条件で、次のホログラムが記録される。上記の例に従えば、第2のLED50の位置座標に応じたホログラム記録層60Aの所定位置に、設定されたシャッタ開閉時間で信号光及び参照光が照射され、第2のホログラム素子54が記録される。第2のホログラム素子54の記録が終了すると、シャッタ104がシャッタ駆動部204により駆動されて「閉状態」となる。
次に、ステップ114で、次に記録するホログラムが在るか否かを判断する。次に記録するホログラムがある場合には、肯定判定してステップ110に戻り、次のホログラムについて記録動作を繰り返す。次に記録するホログラムが無い場合には、否定判定して図10に示すホログラム記録処理の処理ルーチンを終了する。こうして、LEDアレイ52を構成する複数のLED50の各々について、対応するホログラム素子54が記録される。
<その他の変形例>
なお、上記の応用例では、複数のLEDを備えたLEDプリントヘッドを備える例について説明したが、LEDに代えて電界発光素子(EL)、レーザダイオード(LD)等、他の発光素子を用いてもよい。発光素子の特性に応じてホログラム素子を設計すると共に、インコヒーレント光による不要露光を防止することで、インコヒーレント光を射出するLEDやELを発光素子として用いた場合でも、コヒーレント光を射出するLDを発光素子として用いた場合と同様に、輪郭が鮮明な微小スポットが形成される。
また、上記の実施例では、ステージ124を調整することで調整を行っているが、ステージ124を固定し信号光と参照光との照射位置が動くように各光学系を適宜駆動して行っても構わない。具体的には、参照光側の照射位置が動くようにレンズ120を駆動する方法がある。
また、上記の応用例では、球面波シフト多重により複数のホログラム素子を多重記録する例について説明したが、所望の回折光が得られる多重方式であれば、他の多重方式で複数のホログラム素子を多重記録してもよい。また、複数種類の多重方式を併用しても良い。他の多重方式としては、参照光の入射角度を変えながら記録する角度多重記録、参照光の波長を変えながら記録する波長多重記録、参照光の位相を変えながら記録する位相多重記録等が挙げられる。多重記録された複数のホログラムからは、別々の回折光がクロストークなく再生される。
また、上記の応用例では、画像形成装置がタンデム型のデジタルカラープリンタであり、その各画像形成ユニットの感光体ドラムを露光する露光装置としてのLEDプリントヘッドについて説明したが、露光装置により感光性の画像記録媒体を像様露光することで画像が形成される画像形成装置であればよく、上記の応用例には限定されない。例えば、画像形成装置は、電子写真方式のデジタルカラープリンタには限定されない。銀塩方式の画像形成装置や光書込み型電子ペーパー等の書き込み装置等にも本発明の露光装置を搭載してもよい。また、感光性の画像記録媒体は、感光体ドラムには限定されない。シート状の感光体や写真感光材料、フォトレジスト、フォトポリマー等の露光にも、上記応用例に係る露光装置を適用してもよい。