JP5453229B2 - 乗員判別装置、及び、乗員判別方法 - Google Patents
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子供が補助シートを用いて着座しているときには、下肢領域の体積は補助シートによって見かけ上(計測上)増大し、上肢領域の体積は実際の子供の体積となる。このため、子供が補助シートを用いて着座しているときには、対象物の全体の体積に対する乗員の上肢領域の体積の比率が閾値よりも小さくなり、大人がシートに着座しているときには、対象物の全体の体積に対する乗員の上肢領域の体積の比率が閾値以上になる。したがって、対象物の全体の体積に対する乗員の上肢領域の体積の比率を閾値と比較することにより、補助シートを用いて着座した子供と、シートに着座した大人が正確に判別される。
乗員がシートに正規姿勢で深く腰掛けているときには、傾斜直線の傾斜角度は所定角度の範囲内となり、乗員がシート上で正座しているときのように腰位置が極端に高い場合や、腰位置を前方に大きくずらして着座している場合には、傾斜直線の傾斜角度は所定角度の範囲から外れることになる。このため、傾斜直線の傾斜角度が所定角度の範囲内の場合には、傾斜直線から細線化処理線までの距離が最も大きい点と傾斜直線とを最短で結ぶ直線が乗員のほぼ腰位置を通ることになり、傾斜直線の傾斜角度が所定角度の範囲から外れる場合には、傾斜直線の中点と直交する直線が乗員のほぼ腰位置を通ることになる。
図1は、この実施形態の乗員判別装置10を採用した車両の車室内を示す図であり、同図中1A,1Bは、運転席側と助手席側のシート、2は、前席前方に配置されたインストルメントパネル、3は,インストルメントパネル2内の助手席前方位置に配置されたエアバッグモジュールである。また、4は、運転席と助手席の間の天井部に助手席側に向けて設置された単眼式の距離画像センサであり、5は、距離画像センサ4の検出信号を受けて乗員判別を行い、衝撃の入力時に、乗員判別の結果に応じてエアバッグモジュール3の作動を制御する制御装置である。制御装置5によるエアバッグモジュール3の作動制御は、例えば、空席の場合に非作動とし、大人が着席している場合には通常作動、子供が着席している場合には弱い展開力での作動、若しくは、非作動とする。
この実施形態の乗員判別装置10は、距離画像センサ4と制御装置5を主要な要素として構成され、距離画像センサ4で取得した距離画像データに対して各種の画像処理を行い、その画像処理の結果に基づいて、助手席に着座する乗員を判別する。
この実施形態の距離画像センサ4は、照射された光が対象物で反射し戻ってくるまでの時間を計測し、その時間を基にして対象物までの距離を求めるTOF(time of flight)方式のセンサを採用している。
距離画像センサ4は、発光部6が、近赤外線LED11と、近赤外線LED11を所定周波数でパルス発光させる駆動回路12と、近赤外線LED11の光を散乱させて対象物に照射する散乱板13と、によって構成され、受光部7が、対象物で反射した光を集光する集光レンズ15と、ノイズ光を除去するフィルター16と、フィルター16を透過した光のエネルギーを電荷として蓄積し電圧信号に変換するCCD撮像素子17と、によって構成されている。そして、距離画像センサ4は、発光部6と受光部7が処理部19によって制御され、処理部19内の距離画像生成部19Aと輝度画像生成部19Bが発光パルスと受光パルスの位相のずれを基にして距離画像データと輝度画像データを生成するようになっている。
距離画像センサ4の処理部19で生成された距離画像データと輝度画像データは制御装置5に出力される。
図3は、直交座標変換部20での処理の一例のイメージを示したものである。
直交座標変換部20では、距離画像センサ4で取得した距離画像データをシート1Bを中心とした直交座標内の細分化した立方体空間(voxel)にあてはめ、対象物の表面形状を数値化する。二値画像変換部21では、直交座標変換部20で得られた対象物の表面形状をシート1Bの側方から見える平面に投影した二値画像に変換し、その後の画像処理に備えるようにしている。
この実施形態の判別手段31は、直交座標変換部20と二値画像変換部21で得られた画像データを基にして空席状態(シート1B上に乗員が存在するかしないか)を判別し、体積算出部24で得られた結果に基づいて乗員が子供であるか否かを判別する。
このため、判別手段31は、体積算出部24の算出結果から子供でないと判定された場合であっても、比率演算部27で算出した上肢比率が閾値以上であるか否かをさらに判定し、上肢比率が閾値以上である場合には大人であるものと判別し、上肢比率が閾値に満たない場合には、補助シート8に着座した子供であるものと判別する。
同図に示すように、シート1Bに着座した大人と、補助シート8を用いてシート1Bに着座した子供は、いずれも全体体積がある程度以上に大きく、全体体積だけでは両者を明確に判別することが難しいが、さらにこれらの集合に対して、上肢比率の大小を比較することによって両者を明確に判別することができる。
最初に、ステップS101において、距離画像センサ4から距離画像と輝度画像のデータを受け取り、ステップS102において、距離画像をT軸,B軸,H軸を持つ直交座標画像に変換する。次に、ステップS103において、直交座標画像を平面投影二値画像に変換し、つづくステップS104において、直交座標画像と平面投影二値画像を基にしてシート1B上が空席であるか否かを判定する。このときYesの場合には、「乗員なし」と判定し、Noの場合には、ステップS105へと進む。
ステップS108で乗員の上肢比率の算出が行われた後には、次のステップS109において、上肢比率が閾値以上であるか否かを判定し、ここでYesの場合には、大人と判別し、Noの場合には、補助シート8を用いた子供と判別する。
この上肢比率算出処理では、最初のステップS201において、平面投影二値画像に対して細線化処理を行う。図8は、細線化処理を行う前の平面投影二値画像を示し、図9は、細線化処理を行った後の画像を示している。
ステップS202においては、図9に示すように、細線化処理によって得られた画像(以下、「細線化処理線m」と呼ぶ。)の上端部(H方向の端部)の点と前端部(T方向の端部)の点を結ぶ傾斜直線nのT軸に対する傾斜角度θを算出する。
傾斜直線nの傾斜角度θが所定角度の範囲内でステップS204に進んだ場合には、傾斜直線nからの離間距離が最も大きい細線化処理線m上の点pと傾斜直線nとを最短で結ぶ直線を腰位置分離線Lとする。
一方、傾斜直線nの傾斜角度θが所定角度の範囲から外れステップS205に進んだ場合には、傾斜直線nの中点と直交する直線を腰位置分離線Lとする。
最後のステップS206においては、腰位置分離線Lを直交座標画像に反映させて、図11のイメージ図に示すように乗員の上肢領域の体積を求め、対象物全体の体積に対する上肢領域の体積の比率(上肢比率)を算出する。
4…距離画像センサ
8…補助シート
10…乗員判別装置
30…上肢比率算出手段
31…判別手段
L…腰位置分離線
m…細線化処理線
n…傾斜直線
θ…傾斜角度
Claims (4)
- シートに着座した乗員が、大人であるのか、背もたれが無く座面部がかさ上げされる補助シートを用いて着座した子供であるのかを判別する乗員判別装置において、
乗員を含むシート上の対象物の距離画像データを取得する距離画像センサと、
前記対象物の距離画像データを基に、当該対象物の全体の体積に対する乗員の上肢領域の体積の比率を求める上肢比率算出手段と、
この上肢比率算出手段で算出した比率が閾値以上の場合に大人であるものと判別し、前記算出した比率が閾値よりも小さい場合に前記補助シートに着座した子供であるものと判別する判別手段と、を備えていることを特徴とする乗員判別装置。 - 前記上肢比率算出手段は、
前記対象物の距離画像データを、前記シートの前後方向、左右方向、上下方向を軸とした直交座標画像に変換し、
その直交座標画像を前記シートの前後方向と上下方向を含む平面に投影した平面投影二値画像に変換し、
その平面投影二値画像を基に乗員の腰位置分離線を求め、その腰位置分離線よりも上方側を乗員の上肢領域として、前記対象物の全体の体積と乗員の上肢領域の体積の比率を算出することを特徴とする請求項1に記載の乗員判別装置。 - 前記上肢比率算出手段は、
前記平面投影二値画像に細線化処理を行い、
細線化処理によって得られた画像の上端部の点と前端部の点を結ぶ傾斜直線の傾斜角度を求め、
ここで求められた傾斜角度が所定角度の範囲内であれば、前記傾斜直線からの離間距離が最も大きい細線化処理線上の点と前記傾斜直線とを最短で結ぶ直線を前記腰位置分離線とし、
前記傾斜角度が所定角度の範囲から外れる場合には、前記傾斜直線の中点と直交する直線を前記腰位置分離線とすることを特徴とする請求項2に記載の乗員判別装置。 - シートに着座した乗員が、大人であるのか、背もたれが無く座面部がかさ上げされる補助シートを用いて着座した子供であるのかを判別する乗員判別方法において、
乗員を含むシート上の対象物の距離画像データを距離画像センサによって取得し、
前記対象物の距離画像データを基に、当該対象物の全体の体積に対する乗員の上肢領域の体積の比率を求め、
ここで求めた比率が閾値以上の場合に大人であるものと判別し、前記比率が閾値よりも小さい場合に前記補助シートに着座した子供であるものと判別することを特徴とする乗員判別方法。
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