以下、本発明の実施形態に係る監視制御システムの一実施例である監視制御システム10(10A〜10E)について、添付の図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る監視制御システムの一例である第1の監視制御システム10Aの構成を示すブロック図である。
第1の監視制御システム10Aは、入出力インターフェイスを有し監視操作を行う複数台のHMI(Human Machine Interface)装置20(20a)と、タグ伝送方式のデータ伝送方式を採用した1台以上のタグ伝送方式の制御装置(以下、「タグ伝送式制御装置」と称する。)40(40p)と、ブロック伝送方式のデータ伝送方式を採用した1台以上のブロック伝送方式の制御装置(以下、「ブロック伝送式制御装置」と称する。)50(50x,50y)とを具備し、各HMI(Human Machine Interface)装置20と、各タグ伝送式制御装置40と、各ブロック伝送式制御装置50とは、ネットワーク60を介して相互に信号伝送可能に接続される。
図1に示される第1の監視制御システム10Aは、HMI装置20が4台、タグ伝送式制御装置40が1台、ブロック伝送式制御装置50が2台の場合の例であり、4台のHMI装置20aと、タグ伝送式制御装置40pと、ブロック伝送式制御装置50x,50yとを具備し、4台のHMI装置20a、タグ伝送式制御装置40pおよびブロック伝送式制御装置50x,50yがネットワーク60を介して相互に信号伝送可能に接続される。
HMI装置20(20a)は、ユーザの入力操作を受け付ける入力機能とシステム側からユーザに情報を提供する出力機能とを有し、タグ伝送方式のデータに基づいて制御装置40,50を監視および操作する監視操作手段21と、ブロック伝送方式のデータとタグ伝送方式のデータとを相互に変換するブロック/タグ変換手段31とを備える。
監視操作手段21は、監視操作処理部23と、タグデータベース(以下、データベースを「DB」と省略する。)24と、HMIタグ伝送部25とを備える。また、ブロック/タグ変換手段31は、ブロック伝送部33と、記憶部34と、タグ化処理部35と、タグDB更新部36とを備える。
監視操作処理部23は、ユーザの入力操作を受け付ける入力手段(入力インターフェイス:図を省略)と、を有し、受け付けた入力操作に基づき、自動または手動によって監視操作処理を実行する。また、監視操作処理部23は、状態変化時間および警報時間等の時間情報を更新するための時刻管理機能を有し、タグDB24に格納される情報の更新の際には時間情報を反映することができる。
監視操作処理には、例えば、制御装置40,50が取得したデータの収集、収集したデータとタグDB24に記憶される情報との照合、正常/異常の判断、時刻管理、タグDB24に格納される情報の更新、および、制御装置40,50に記憶されるデータの更新指令の送信等の制御装置40,50の監視操作に関わる一連の処理ステップが含まれる。
タグDB24は、ネットワーク60を介してデータの送受信される制御装置40,50のタグを装置毎に集めてデータベース化したものである(詳細は図2を引用して後述する)。図1に示される第1の監視制御システム10Aの例では、タグ伝送式制御装置40pのタグ(タグデータ)と、ブロック伝送式制御装置50xおよびブロック伝送式制御装置50yの各ブロックデータを変換したタグとを集めてデータベース化してタグDB24が構成される。
ここで、タグとは、タグ伝送式制御装置40が制御対象となる装置において適用されるセンサ、アクチュエータ等の機器単位で、必要な信号、時刻および警報状態等の情報を集めて構造化したデータである。このようなタグ単位で情報を取り扱うことで、エンジニアリングコストを低減できる。
HMIタグ伝送部25は、タグをHMI装置20とタグ伝送式制御装置40との間で伝送する機能を有し、タグ伝送式制御装置40から受け取ったタグを監視操作処理部23へ送る一方、監視操作処理部23からは変化のあったタグをタグ伝送式制御装置40へ通知する。すなわち、タグ伝送式制御装置40へタグ更新指令を送信する。
ブロック伝送部33は、ブロック伝送方式によって伝送されるブロックデータをHMI装置20とブロック伝送式制御装置50との間で伝送する機能を有し、ブロック伝送式制御装置50から受け取ったブロックデータを記憶部34およびタグ化処理部35へ送る一方、ブロック伝送部33からは状態の変化があったブロックデータの送信元となるブロック伝送式制御装置50へその旨を通知する。すなわち、ブロック伝送式制御装置50へブロックデータの更新指令を送信する。
記憶部34は、ブロック伝送部33およびタグ化処理部35がアクセスして読み込みおよび書き込みが可能な記憶領域を有し、当該記憶領域に、ブロック伝送式制御装置50へ伝送されるブロックデータと、タグ化処理部35で実行されるタグとブロックとのデータ形式の相互変換用の変換テーブル(以下、「タグ/ブロック変換テーブル」と称する。)38(図1において省略。図4を引用して後述する)を記憶し格納する。
記憶部34に格納されたブロックデータは、予め設けられたブロック伝送式制御装置50毎の送信用データ領域(送信領域)および受信用データ領域(受信領域)に格納される。ブロック伝送部33からネットワーク60を介して接続される外部装置(自己の装置以外の装置)へ送信する場合、ブロック伝送部33は送信先となるブロック伝送式制御装置50の送信用データ領域に格納されるデータを送信する。また、ネットワーク60を介して接続される外部装置(自己の装置以外の装置)から受信する場合、ブロック伝送部33は、受信元となるブロック伝送式制御装置50の受信用データ領域に受信したデータを格納する。
ブロックデータは、予め定めておいた所定長(ブロックサイズ)のバイトまたはビットのデータ(以下、「ブロック」と称する。)を有して構成される。ブロック伝送式制御装置50から伝送されるブロックデータは、制御対象となる機器の状態を示す物理量(状態量)をブロックとするものであり、例えば、後述する図3に示されるように、第1の制御装置から第nの制御装置の各装置において取得される状態量を、デジタルで表現された信号(デジタル信号)のブロックと、アナログで表現された信号(アナログ信号)のブロックとがそれぞれ順番に配列されて構成される。
タグ化処理部35は、記憶部34に格納されたブロックデータと、タグ/ブロック変換テーブル38とを読み出して、現在保持する値(前回値)と読み出したブロックデータのデータ(カレント値)とを対比し、前回値とカレント値とが変化している項目のみをタグDB更新部36へ通知する。一方、タグDB更新部36からタグを受信すると、タグ/ブロック変換テーブル38を参照して状態に変化のあったタグの状態値(カレント値)を、記憶部34の記憶領域に格納されたブロックデータの該当箇所(変化のあった項目)に記録する。すなわち、該当箇所のデータを更新する。尚、より詳細な処理ステップについては、図5(a)および(b)を引用して後述する。
タグDB更新部36は、例えば、状態変化時間および警報時間等の時間情報を更新するための時刻管理機能を有し、状態変化時間および警報時間等の時間情報と共にタグDB24に格納されるタグの情報を更新する。また、ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)へ制御情報を伝送する際に、タグDB24を読み出し、読み出したタグ化処理部35へタグを送信する。
タグ伝送式制御装置40(40p)は、制御タグ伝送手段41と、タグDB42と、ブロック伝送手段43と、記憶手段44と、ロジック演算手段45とを備える。また、ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)は、ブロック伝送手段53と、記憶手段54と、ロジック演算手段55とを備える。
制御タグ伝送手段41は、ネットワーク60を介してデータの送受信可能に接続されるHMI装置20とデータを送受信する機能を有し、HMI装置20からデータを受信する一方、HMI装置20へデータを送信する。
タグDB42は、自己のタグ伝送式制御装置40(40p)のタグを集めてデータベース化してものであり、タグDB24と同様に構成されたデータベースである。すなわち、タグ伝送式制御装置40pに格納されるタグDB42は、タグ伝送式制御装置40pのタグを集めてデータベース化して構成される。
ブロック伝送手段43は、ブロック伝送方式によって伝送されるブロックデータを送受信する手段である。タグ伝送式制御装置40は、HMI装置20とのデータ伝送ではタグ伝送方式によりデータを伝送するが、他の装置間でのデータ伝送はブロック伝送方式によってなされる。
記憶手段44は、タグデータを記憶し格納する記憶領域を有し、この記憶領域に格納されたタグデータが制御タグ伝送手段41からネットワーク60を介して接続される外部装置(自己の装置以外の装置)と送受信される。
ロジック演算手段45は、タグ伝送式制御装置40の制御対象となる機器を制御する制御ロジックを演算処理し、所定の制御処理を実行する。すなわち、制御対象となる機器を所定の範囲内で動作させるべく制御信号を出力したり、所定の情報を取得したりする等、制御装置として要求される制御処理を実行する。
ブロック伝送手段53は、ブロック伝送方式によって伝送されるブロックデータをHMI装置20とブロック伝送式制御装置50との間で伝送する機能を有し、HMI装置20から受け取ったブロックデータを記憶手段54へ送る一方、記憶手段54に格納される所定の情報を周期的または非周期的に発生するHMI装置20の要求に応じて、要求元のHMI装置20へ送信する。
記憶手段54は、デジタル信号、アナログ信号が連続したブロックデータを記憶し格納する記憶領域を有し、この記憶領域に格納されたブロックデータがブロック伝送手段53からネットワーク60を介して接続される外部装置(自己の装置以外の装置)と送受信される。
ロジック演算手段55は、ブロック伝送式制御装置50の制御対象となる機器を制御する制御ロジックを演算処理し、所定の制御処理を実行する。すなわち、制御対象となる機器を所定の範囲内で動作させるべく制御信号を出力したり、所定の情報を取得したりする等、制御装置として要求される制御処理を実行する。
図2は、タグDBの一例としてタグDB24のデータ構成について説明する説明図である。
タグDB24は、監視する全制御装置、すなわち、図1に示される例では、タグ伝送式制御装置40pのタグおよびブロック伝送式制御装置50x,50yのブロックデータを変換したタグを集めてデータベース化したものである。尚、図1においては、タグDB24が全制御装置のタグを集めてデータベース化していることを示すため便宜上「タグDB_all」と表している。
タグDB24のデータ構成は、制御装置40,50が制御する制御対象となる要素(例えば、ポンプ、バルブまたはセンサ等の構成機器)単位にタグが構成されており、各タグは、例えば、個々のタグを識別するタグID(ユニークID)と、状態が変化した時間(状態変化時間)や警報発生時間を示すタイムスタンプと、警報等の現在の状態(ステータス)を示すタグステータスと、タグ名称と、要求する操作の内容を示す操作と、プロセス値を示すプロセス値と、その他各種設定のパラメータを示す各種設定パラメータ等、監視制御の際に必要となる情報をそれぞれ有する。
尚、他のタグDB(例えば、図1に示されるタグDB42等、タグDB24以外のタグDB)についても、基本的なデータ構成はタグDB24と同様であり、異なるのは、制御対象となる要素の数、すなわち、構成機器単位のタグの数である。
図1に示される例の場合、タグDB42は、自己の制御装置(タグ伝送式制御装置40p)についてのタグを集めてデータベース化したものであり、換言すれば、タグDB24の一部を有している。尚、図1においては、タグDB42が自己の制御装置のタグを集めてデータベース化していることを示すため便宜上「タグDB p」と表している。
図3は、ブロック伝送式制御装置50とHMI装置20との間で送受信され、HMI装置20の記憶部34に格納されるブロックデータについて説明する説明図である。
ブロックデータは、HMI装置20との間で送受信されるブロック伝送式制御装置50の各装置において取得される状態量を、デジタルで表現された信号(デジタル信号)のブロックと、アナログで表現された信号(アナログ信号)のブロックとがそれぞれ順番に配列されて構成される。例えば、ブロック伝送式制御装置50が、第1の装置から第nの装置までn個存在するものとすると、例えば、第1の装置のデジタル信号、第1の装置のアナログ信号、・・・、第nの装置のデジタル信号、および、第nの装置のアナログ信号のブロックといった予め規定した順番に配列される。
デジタル信号は、例えば、1語(ワード)が16ビットのデータを複数語有して構成されるビット行列として構成される。図3に示されるビット行列の例では、一番上の行(横方向)および一番左の列(縦方向)を0とし、一番下の行をz+1(zは0以上の任意の整数)および一番右の列を15として表現される。従って、図3に示される信号名称2−11は、上から3行目のワードの左から12番目のビット(図3に示される矢印のビット)に対応し、このビットの数値(0または1)が当該信号の状態を表している。また、アナログ信号は、例えば、32ビット浮動小数点等の方法で表現されるアナログ信号値を格納する。
続いて、第1の監視制御システム10Aが行なう制御装置40,50の監視制御手順(以下、「第1の監視制御手順」と称する。)について説明する。
第1の監視制御手順は、HMI装置20が監視制御する制御装置40,50からデータを受信するデータ受信処理手順と、HMI装置20から監視制御する制御装置40,50へデータを送信するデータ送信処理手順と、を具備する。換言すれば、第1の監視制御手順は、タグ伝送式制御装置40(40p)からタグを受信するタグ受信工程とブロック伝送式制御装置50(50x,50y)からブロックデータを受信するブロックデータ受信工程とを備えるデータ受信処理手順と、タグ伝送式制御装置40(40p)へデータを送信するタグ送信工程とブロック伝送式制御装置50(50x,50y)へデータを送信するブロックデータ送信工程とを備えるデータ送信処理手順と、を具備する。
タグ受信工程では、HMI装置20においてタグ伝送式制御装置40(40p)からタグを受信すると、監視操作手段21がタグ伝送式制御装置40(40p)から受信したタグの内容をタグDB24に反映する。より詳細には、タグ伝送式制御装置40からタグをHMIタグ伝送部25が受信した旨を監視操作処理部23が認識し、受信したタグの内容をタグDB24に反映する。また、タグ送信工程では、監視操作手段21が送信するタグをタグDB24から読み出し、読み出したタグをタグ伝送式制御装置40(40p)へ送信する。
一方、ブロックデータ受信工程では、ブロック伝送式制御装置50からのデータをブロック伝送部33が受信し、記憶部34の記憶領域に予め設けられたブロックデータ伝送用のデータ領域(ブロック伝送領域)の受信領域に格納するステップと、タグ化処理部35が受信して記憶部34に格納されたブロックデータとタグ/ブロック変換テーブル38を読み出して、読み出したブロックデータのうち、状態に変化のあった項目のみをタグに変換してタグDB更新部36へ通知するステップと、タグDB更新部36がタグDB24を更新するステップとを備える。
また、ブロックデータ送信工程では、タグDB更新部36がタグDB24から更新したタグを読み出し、タグ化処理部35へ送るステップと、タグ化処理部35が記憶部34に格納されたブロックデータとタグ/ブロック変換テーブル38を読み出して、受信したタグをブロックデータへ変換して記憶部34の記憶領域に予め設けられたブロックデータ伝送用のデータ領域(ブロック伝送領域)の送信領域に格納するステップと、ブロック伝送部33が記憶部34から送信するデータを読み出してブロック伝送式制御装置50へ送信するステップと、を備える。
図4は、本発明の実施形態に係る監視制御システムの一例である第1の監視制御システム10AのHMI装置20(記憶部34)に格納されるタグ/ブロック変換テーブル38およびタグとブロックデータとの相互変換を説明する説明図である。
タグ/ブロック変換テーブル38は、例えば、タグを特定するタグ固有の「タグナンバー」(TAG No.)の欄と、各制御対象となる機器の状態を示す「状態」の欄と、信号の名称を示す「信号名称」の欄と、警報の有無を示す「警報」の欄と、送信元および送信先となるブロック伝送式制御装置50を示す「装置」の欄と、ブロック伝送式制御装置50とのデータの送受信する方向を示す「方向」の欄と、記憶部34が有する記憶領域であるブロック伝送領域におけるビット(位置)を示す「ブロック」欄とを有する。
このように、ブロック伝送領域に格納されるブロックデータとタグDB24に格納されるタグとを関連付けたタグ/ブロック変換テーブル38を予め作成しておき、タグ/ブロック変換テーブル38に従い、タグとブロックデータとの相互変換を実現する。
タグからブロックデータ(図4において右矢印の方向)への変換は、タグ/ブロック変換テーブル38の各欄の情報に従い、ブロック伝送式制御装置50へ送信するデータをHMI装置20の記憶部34に予め設けられたブロック伝送領域の送信領域の所定位置(ビット)にデータ(0または1)を格納することでなされる。
例えば、図4に示されるタグDB24の「PUMP1」については、タグナンバーが「PUMP001」であり、当該タグに含まれる「起動指令」については、タグ/ブロック変換テーブル38に記載される、TAG No.「PUMP001」の状態「起動指令」に対応する信号名称「ポンプ1起動指令」、警報「No」、装置「Y」、方向「送信」、および、ブロック「DP0000」に従ってデータが格納される。すなわち、TAG No.「PUMP001」の「起動指令」に対しては、ブロック伝送式制御装置50yへ送信するデータとして、「DP0000」が示すビット(例えば、図4に示されるビット)に0(起動指令off)または1(起動指令on)が格納される。「停止指令」についても同様である。
一方、ブロックデータからタグ(図4において左矢印の方向)への変換は、HMI装置20の記憶部34の予め設けられたブロック伝送領域の受信領域に格納されるブロック伝送式制御装置50からの受信データ(ブロックデータ)を読み出し、読み出したブロックデータのうち、状態に変化のあった項目のみをタグに変換してタグDB24の所定位置に記録(更新)することでなされる。
図5は、本発明の実施形態に係る監視制御システムの一例である第1の監視制御システム10AのHMI装置20において実行されるブロックデータの送受信処理(受信工程および送信工程)を示す処理フロー図であり、図5(a)がブロック伝送式制御装置50からの受信処理を示すブロックデータ受信工程の処理フロー図、図5(b)がブロック伝送式制御装置50への送信処理を示すブロックデータ送信工程の処理フロー図である。
図5(a)に示されるブロックデータ受信工程は、まず、ステップS1でタグ化処理部35がタグ/ブロック変換テーブル38を参照し、方向=受信のデータを取得する。その後、ステップS2で現在保持する値(前回値)と読み出したブロックデータのデータ(カレント値)とを比較する。
ステップS3に進み、比較結果から前回値とカレント値が相違する場合、すなわち、状態に変化があった場合(ステップS3でYESの場合)、ステップS4に進み、タグ化処理部35が現在の状態を判定する。現在の状態を示すカレント値が予め設定される正常域を逸脱した警報域にある場合(ステップS4でYESの場合)、ステップS5に進む。
ステップS5では、タグ化処理部35が、タグ/ブロック変換テーブル38を参照し、判定を行なったデータに対応するタグを更新するようにタグDB更新部36へ指令し、この指令を受けたタグDB更新部36がタグDB24のタグのうち更新要求のあったタグのタグステータスを警報状態にセットし、タイムスタンプ(警報発生時間)を更新する。そして、ステップS6に進み、タグDB更新部36は、当該タグの状態にカレント値をセットし、タイムスタンプ(状態更新時間)を更新する。ステップS6の処理ステップが完了すると、ブロックデータ受信工程は終了する(処理終了)。
一方、ステップS3において、前回値とカレント値が一致し、状態に変化がない場合(ステップS3でNOの場合)、ステップS7に進み、タグ化処理部35は、カレント値を前回値として格納(記憶)し、ステップS2へ進む。その後、ステップS2以降の処理ステップを実行する。また、ステップS4において、タグ化処理部35が現在の状態を判定して警報状態にない場合(ステップS4でNOの場合)、ステップS6へ進み、ステップS6以降の処理ステップを実行する。
図5(b)に示されるブロックデータ送信工程は、まず、ステップS11でタグDB更新部36から更新したタグを受け取ったタグ化処理部35が記憶部34に格納されたブロックデータとタグ/ブロック変換テーブル38を参照して、方向=送信のデータを取得する。その後、ステップS12でタグ化処理部35が現在保持する値(前回値)と読み出したタグのカレント値とを比較する。
続くステップS13で、比較結果から前回値とカレント値が相違する場合、すなわち、状態に変化があった場合(ステップS13でYESの場合)、ステップS14に進み、タグ化処理部35が比較を行なった信号に対して、当該信号の装置のブロックで該当する信号のブロックデータの記憶領域にカレント値をセットする。ステップS14について、図4に示されるTAG No.「PUMP001」の状態「起動指令」を例に説明すれば、タグ/ブロック変換テーブル38に示されるように、このタグ「PUMP001」の状態「起動指令」が意味する信号は、装置「Y」、すなわち、ブロック伝送式制御装置50yのポンプ1起動指令信号であり、当該信号を示すブロックデータの記憶領域があるブロック「DP0000」にカレント値をセットする。
一方、ステップS13において、前回値とカレント値が一致し、状態に変化がない場合(ステップS13でNOの場合)、ステップS15に進み、タグ化処理部35は、カレント値を前回値として格納(記憶)し、ステップS12へ進む。その後、ステップS12以降の処理ステップを実行する。
次に、第1の監視制御システム10Aおよび第1の監視制御手順について、HMI装置20と、タグ伝送式制御装置40およびブロック伝送式制御装置50と、1台以上のゲートウェイ装置とを設置し、これらをネットワーク60で接続して構成される監視制御システムおよび当該監視制御システムにおいて実行される監視制御手順と対比して説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る監視制御システムの一例(第1の監視制御システム10A〜第5の監視制御システム10E)との比較例に係る監視制御システム(以下、単に「監視制御システム」と称する。)1の構成を示すブロック図である。
監視制御システム1は、ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)とHMI装置20とをネットワーク60で接続して構成されるブロック伝送方式を採用した監視制御システムと、タグ伝送式制御装置40(40p)とHMI装置20とをネットワーク60で接続して構成されるタグ伝送方式を採用した監視制御システムとを専用のゲートウェイ装置70によって相互に伝送可能に接続して構成される。
監視制御システム1では、HMI装置20(20b)と、ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)との間で伝送されるデータについては、一旦、ゲートウェイ装置70に送られ、ゲートウェイ装置70がタグとブロックとのデータフォーマットを相互に変換した後、送信先となるHMI装置20またはブロック伝送式制御装置50へ送信される。尚、図6に示される監視制御システム1では、ゲートウェイ装置70は1台であるが、ゲートウェイ装置70は必ずしも1台とは限らず複数台設置される場合もある。一般には設置する制御装置40,50の台数が増えると増加する。
第1の監視制御システム10Aは、監視制御システム1に具備される専用のゲートウェイ装置70を具備していない。すなわち、タグ伝送式制御装置40とブロック伝送式制御装置50とが混在する監視制御システムにおいて、専用のゲートウェイ装置70を設けることなくタグ伝送式制御装置40とブロック伝送式制御装置50とを有機的に接続することができる。
また、第1の監視制御システム10Aでは、タグとブロックデータとの相互変換を複数台設置したHMI装置20aで行なうため、装置故障発生時におけるタグとブロックデータとの相互変換処理が停止する確率を下げることができる。すなわち、HMI装置20aのうちの使用していた1台が機能不全となりタグとブロックデータとの相互変換が上手く行なえない状況になっても、他のHMI装置20aを使用することで、第1の監視制御手順を継続できる。
上述したように、第1の監視制御システム10Aおよび第1の監視制御手順によれば、専用のゲートウェイ装置70を設置することなくタグとブロックデータとの相互変換することができ、タグ伝送式制御装置40とブロック伝送式制御装置50とが混在する監視制御システムにおいても、HMI装置20とタグ伝送式制御装置40およびブロック伝送式制御装置50を相互に伝送可能に接続することができる。
尚、第1の監視制御システム10Aでは、設置される全てのHMI装置20がタグとブロックデータとを相互に変換可能なHMI装置20aであるが、必ずしも全てのHMI装置20をHMI装置20aとする必要はなく、少なくとも1台がHMI装置20aであれば、第1の監視制御手順を実行できる。すなわち、図1に示される4台のHMI装置20aのうち、例えば3台が図6等に示されるHMI装置20b(タグとブロックデータとを相互に変換できないHMI装置)であっても良い。
また、図1に示される第1の監視制御システム10Aにおいては、監視操作手段21にタグDB24が格納されているが、タグDB24等のHMI装置20に格納されるデータベースは、タグDB24と読み取りまたは書き込み処理を行なう当該HMI装置20の処理部がアクセス可能である限り格納されている場所は問わない。この点は、後述する他のデータベースおよび監視制御システム10B〜10Eについても同様である。
さらに、記憶部34についても、データベースの場合と同様であり、ブロック/タグ変換手段31内の処理部がアクセス可能である限り設置されている場所は問わない。すなわち、図1に示される第1の監視制御システム10Aのように、必ずしも、ブロック/タグ変換手段31が記憶部34を備える構成でなくても良い。
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係る監視制御システムの一例である第2の監視制御システム10Bの構成を示すブロック図である。
第2の監視制御システム10Bは、第1の監視制御システム10Aに対して、ブロック/タグ変換手段31を備える4台のHMI装置20aを具備する代わりに、ブロック/タグ変換手段31Bを備えるHMI装置20cを少なくとも1台具備する点で相違するが、他の構成要素については実質的に異ならない。そこで、実質的に異ならない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
第2の監視制御システム10Bは、HMI装置20の少なくとも1台がブロック伝送式制御装置50(50x,50y)のブロックデータをタグに変換するブロック/タグ変換手段31Bを備えたHMI装置20cを備えて構成される。
例えば、図7に示される第2の監視制御システム10Bでは、1台のブロック伝送式制御装置50x,50yのブロックデータをタグに変換する機能を有するHMI装置20cと、3台のHMI装置20bと、タグ伝送式制御装置40(40p)と、ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)とを具備し、これらがネットワーク60で相互伝送可能に接続される。
HMI装置20cは、ユーザの入力操作を受け付ける入力機能とシステム側からユーザに情報を提供する出力機能とを有し、タグ伝送方式のデータに基づいて制御装置40,50を監視および操作する監視操作手段21と、ブロック伝送方式のデータとタグ伝送方式のデータとを相互に変換するブロック/タグ変換手段31Bとを備える。
ブロック/タグ変換手段31Bは、ブロック/タグ変換手段31に対して、タグDB更新部36の代わりに、タグを他のHMI装置20(20b)へ送信する制御タグ伝送部81と、全ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)について各ブロックデータを変換したタグを集めてデータベース化したタグDB82と、を備える点で相違する。すなわち、ブロック/タグ変換手段31Bは、ブロック伝送部33と、記憶部34と、タグ化処理部35と、制御タグ伝送部81と、タグDB82と、を備える。
制御タグ伝送部81は、ネットワーク60を介してデータの送受信可能に接続されるHMI装置20(図7に示される例ではHMI装置20b)とデータを送受信する機能を有し、HMI装置20からデータを受信する一方、HMI装置20へデータを送信する。より詳細には、タグ82の状態確認を行ない、ネットワーク60を介して、HMI装置20(20b,20c)(より詳細にはタグ伝送部25)へ変化があったタグの情報を通知する。
また、タグDB82は、タグDB24のうち、ブロック伝送式制御装置50xおよびブロック伝送式制御装置50yの各ブロックデータを変換したタグをデータベース化したものであり、図7では、タグDB82の内容を表すため、便宜上「タグDB x,y」と表している。
このように構成される第2の監視制御システム10Bは、第1の監視制御システム10Aのブロック/タグ変換手段31におけるタグDB24の更新手段(更新処理部)としてのタグDB更新部36の作用を制御タグ伝送部81とタグDB82で実現するものである。すなわち、第2の監視制御システム10BにおけるタグDB24の更新手段は、制御タグ伝送部81とタグDB82とを備える構成として実現される。
続いて、第2の監視制御システム10Bが行なう制御装置40,50の監視制御手順(以下、「第2の監視制御手順」と称する。)について説明する。
第2の監視制御手順は、タグ伝送式制御装置40(40p)からタグを受信するタグ受信工程とブロック伝送式制御装置50(50x,50y)からブロックデータを受信するブロックデータ受信工程とを備えるデータ受信処理手順と、タグ伝送式制御装置40(40p)へデータを送信するタグ送信工程とブロック伝送式制御装置50(50x,50y)へデータを送信するブロックデータ送信工程とを備えるデータ送信処理手順と、を具備し、第1の監視制御手順と同様の工程を具備するが、詳細な処理ステップのレベルでは、ブロックデータ受信工程およびブロックデータ送信工程で相違する。
第2の監視制御手順におけるブロックデータ受信工程(以下、「第2のブロック受信工程」と称する。)は、ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)からのデータをブロック伝送部33が受信し、記憶部34の記憶領域に予め設けられたブロックデータ伝送用のデータ領域(ブロック伝送領域)の受信領域に格納するステップと、タグ化処理部35が受信して記憶部34に格納されたブロックデータとタグ/ブロック変換テーブル38を読み出して、読み出したブロックデータのうち、状態に変化のあった項目のみをタグに変換してタグDB82を更新するステップと、制御タグ伝送部81がタグDB82のうち更新したタグをHMI装置20(20b,20c)へ送信するステップ(更新タグ送信ステップ)と、HMI装置20(20b,20c)へ送信されたタグを受信して当該タグの内容をタグDB22に反映する(更新する)ステップ(更新タグ反映ステップ)と、を備える。
すなわち、第2のブロック受信工程は、第1のブロック受信工程に対して、更新するデータベースがタグDB24の代わりにタグDB82となる点と、その後に、更新タグ送信ステップと、更新タグ反映ステップと、をさらに備える点で相違するが、その他の点については実質的に相違しない。
更新タグ送信ステップでは、更新したタグの情報をネットワーク60に接続される各HMI装置20(20b,20c)へ送信する。図7に示されるHMI装置20の一例であるHMI装置20cでは、自己のHMI装置20cについても更新したタグの情報が送信され、HMI装置20cのHMI伝送部25によって受信される。また、更新タグ反映ステップでは、HMI伝送部25が受信したタグをタグDB22に反映する。
第2の監視制御手順におけるブロックデータ送信工程(以下、「第2のブロック送信工程」と称する。)は、タグ化処理部35がタグDB82から更新したタグと記憶部34に格納されたブロックデータとタグ/ブロック変換テーブル38とを読み出して、読み出したタグをブロックデータへ変換して記憶部34の記憶領域に予め設けられたブロックデータ伝送用のデータ領域(ブロック伝送領域)の送信領域に格納するステップと、ブロック伝送部33が記憶部34から送信するデータを読み出してブロック伝送式制御装置50へ送信するステップと、を備える。すなわち、第2のブロック送信工程は、第1のブロック送信工程に対して、変換対象となるタグの格納元となるデータベースがタグDB24の代わりにタグDB82となる点で相違するが、その他の点については実質的に相違しない。
第2の監視制御システム10Bおよび第2の監視制御手順によれば、第1の監視制御システム10Aおよび第1の監視制御手順と同様の効果に加えて、タグの状態変化時、警報発生時のタイムスタンプを一元化できる。また、複数あるHMI装置20のうち、少なくとも1台がブロック/タグ変換手段31Bを備えたHMI装置20cであれば良いので、負荷の軽減を図ることができる。
尚、図7に示される第2の監視制御システム10Bでは、3台のHMI装置20bを具備しているが、このHMI装置20bは必須の構成要件ではない。すなわち、第2の監視制御システム10Bは、少なくとも1台のHMI装置20cを備えて構成されていれば良いため、HMI装置20の全てをHMI装置20cで構成しても良い。
また、ブロック伝送式制御装置50x,50yのブロックデータを変換して得られた当該ブロック伝送式制御装置50x,50yのタグについては、一旦ネットワーク60を経由して受信したHMI伝送部25がタグDB24を更新するように構成されているが、ブロックデータをタグに変換するネットワークタグ化処理部34がタグDB82の更新と同様にしてタグDB24を直接更新するように構成しても良い。
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態に係る監視制御システムの一例である第3の監視制御システム10Cの構成を示すブロック図である。
第3の監視制御システム10Cは、第1の監視制御システム10Aに対して、ブロック/タグ変換手段31を備える4台のHMI装置20aを具備する代わりに、ブロック/タグ変換手段31Cを備えるHMI装置20d,20eを1台ずつと、2台のHMI装置20bを具備する点で相違するが、他の構成要素については実質的に異ならない。そこで、実質的に異ならない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
第3の監視制御システム10Cは、HMI装置20として、ブロック伝送式制御装置50xのブロックデータをタグに変換するブロック/タグ変換手段31Cを備えたHMI装置20dと、ブロック伝送式制御装置50yのブロックデータをタグに変換するブロック/タグ変換手段31Cを備えたHMI装置20eと、2台のHMI装置20bとを具備して構成される。
例えば、図8に示される第3の監視制御システム10Cでは、1台のブロック伝送式制御装置50xのブロックデータをタグに変換する機能を有するHMI装置20dと、1台のブロック伝送式制御装置50yのブロックデータをタグに変換する機能を有するHMI装置20eと、2台のHMI装置20bと、タグ伝送式制御装置40(40p)と、ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)とを具備し、これらがネットワーク60で相互伝送可能に接続される。換言すれば、第3の監視制御システム10Cは、第2の監視制御システム10BのHMI装置20(20c)が有するタグDB82を2台等の複数に分散して有する構成を採用している。
HMI装置20d,20eは、ユーザの入力操作を受け付ける入力機能とシステム側からユーザに情報を提供する出力機能とを有し、監視操作手段21と、監視操作の対象となるブロック伝送式制御装置50(50x,50y)のうち、一部のブロック伝送式制御装置50から伝送されるブロック伝送方式のデータとタグ伝送方式のデータとを相互に変換するブロック/タグ変換手段31Cとを備える。すなわち、複数のHMI装置20で監視操作対象となる全ブロック伝送式制御装置50との伝送データの相互変換に対応する。
図8に示される第3の監視制御システム10Cでは、HMI装置20dは、監視操作手段21と、ブロック伝送式制御装置50x,50yのうち、ブロック伝送式制御装置50xから伝送されるブロック伝送方式のデータとタグ伝送方式のデータとを相互に変換するブロック/タグ変換手段31Cとを備える。HMI装置20eは、監視操作手段21と、ブロック伝送式制御装置50x,50yのうち、ブロック伝送式制御装置50yから伝送されるブロック伝送方式のデータとタグ伝送方式のデータとを相互に変換するブロック/タグ変換手段31Cとを備える。
ブロック/タグ変換手段31Cは、ブロック/タグ変換手段31Bに対して、タグDB82の代わりに、監視操作の対象となる全ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)を、例えば2つ等の複数のグループに分けて、各グループにおけるブロック伝送式制御装置50の各ブロックデータを変換したタグを集めてデータベース化したタグDB83を備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。
すなわち、HMI装置20dのブロック/タグ変換手段31Cは、タグを他のHMI装置20(20b,20e)へ送信する制御タグ伝送部81と、ブロック伝送式制御装置50xについて各ブロックデータを変換したタグを集めてデータベース化したタグDB83とを備える一方、HMI装置20eのブロック/タグ変換手段31Cは、タグを他のHMI装置20(20b,20d)へ送信する制御タグ伝送部81と、ブロック伝送式制御装置50yについて各ブロックデータを変換したタグを集めてデータベース化したタグDB83とを備える。
尚、図8では、タグDB83の内容を表すため、便宜上、ブロック伝送式制御装置50xから伝送されるブロック伝送方式のデータをタグ伝送方式のデータに変換したタグを集めたタグDB83を「タグDB x」と表し、ブロック伝送式制御装置50yから伝送されるブロック伝送方式のデータをタグ伝送方式のデータに変換したタグを集めたタグDB83を「タグDB y」と表している。
続いて、第3の監視制御システム10Cが行なう制御装置40,50の監視制御手順(以下、「第3の監視制御手順」と称する。)について説明する。
第3の監視制御手順は、第2の監視制御手順と実質的に同様の工程を具備し、第2のブロック受信工程の更新対象となるデータベースおよび第2のブロック送信工程における変換対象となるデータベースがタグDB82の代わりにタグDB83となる点で処理ステップの実行主体において相違するが、その他の点については実質的に相違しない。
第3の監視制御手順におけるブロックデータ受信工程(以下、「第3のブロック受信工程」と称する。)では、HMI装置20dにおいて、ブロック伝送式制御装置50xからのデータをブロック伝送部33が受信し、記憶部34の記憶領域に予め設けられたブロックデータ伝送用のデータ領域(ブロック伝送領域)の受信領域に格納するステップと、タグ化処理部35が受信して記憶部34に格納されたブロックデータとタグ/ブロック変換テーブル38を読み出して、読み出したブロックデータのうち、状態に変化のあった項目のみをタグに変換してタグDB83(タグDB x)を更新するステップと、制御タグ伝送部81がタグDB83のうち更新したタグをHMI装置20(20b,20d,20e)へ送信するステップ(更新タグ送信ステップ)と、HMI装置20(20b,20d,20e)へ送信されたタグを受信して当該タグの内容をタグDB22に反映する(更新する)ステップ(更新タグ反映ステップ)と、を実行する。
また、HMI装置20eにおいては、ブロック伝送式制御装置50yからのデータをブロック伝送部33が受信し、記憶部34の記憶領域に予め設けられたブロックデータ伝送用のデータ領域(ブロック伝送領域)の受信領域に格納するステップと、タグ化処理部35が受信して記憶部34に格納されたブロックデータとタグ/ブロック変換テーブル38を読み出して、読み出したブロックデータのうち、状態に変化のあった項目のみをタグに変換してタグDB83(タグDB y)を更新するステップと、制御タグ伝送部81がタグDB83のうち更新したタグをHMI装置20(20b,20d,20e)へ送信するステップ(更新タグ送信ステップ)と、HMI装置20(20b,20d,20e)へ送信されたタグを受信して当該タグの内容をタグDB22に反映する(更新する)ステップ(更新タグ反映ステップ)と、を実行する。
一方、第3の監視制御手順におけるブロックデータ送信工程(以下、「第3のブロック送信工程」と称する。)では、HMI装置20dのタグ化処理部35がそれぞれのタグDB83(タグDB x)から更新した各ブロック伝送式制御装置50xのタグと記憶部34に格納されたブロックデータとタグ/ブロック変換テーブル38とを読み出して、読み出したタグをブロックデータへ変換して記憶部34の記憶領域に予め設けられたブロックデータ伝送用のデータ領域(ブロック伝送領域)の送信領域に格納するステップと、ブロック伝送部33が記憶部34から送信するデータを読み出してブロック伝送式制御装置50xへ送信するステップと、を実行し、HMI装置20eのタグ化処理部35がそれぞれのタグDB83(タグDB y)から更新した各ブロック伝送式制御装置50yのタグと記憶部34に格納されたブロックデータとタグ/ブロック変換テーブル38とを読み出して、読み出したタグをブロックデータへ変換して記憶部34の記憶領域に予め設けられたブロックデータ伝送用のデータ領域(ブロック伝送領域)の送信領域に格納するステップと、ブロック伝送部33が記憶部34から送信するデータを読み出してブロック伝送式制御装置50yへ送信するステップと、を実行する。
第3の監視制御システム10Cおよび第3の監視制御手順によれば、第1の監視制御システム10Aおよび第1の監視制御手順と同様の効果に加えて、タグDB83のように、全ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)について各ブロックデータを変換したタグを格納したタグDB82を分割して構成し、各々のタグDB83を複数のHMI装置20(20d,20e)に分散して配置しているので、個々のHMI装置20(20d,20e)の故障等に伴いタグデータベースの機能が喪失したとしても、その範囲を限定化することができる。また、ブロック/タグ変換手段31Cを備えるHMI装置20(20d,20e)を限定できるので、HMI装置20側での負荷分散を実現できる。
尚、図8に示される第3の監視制御システム10Cでは、2台のHMI装置20bを具備しているが、このHMI装置20bは必須の構成要件ではない。すなわち、第3の監視制御システム10Cは、HMI装置20d,20eをそれぞれ少なくとも1台ずつ備えて構成されていれば良いため、例えば、4台のHMI装置20を、2台のHMI装置20dと2台のHMI装置20eとする、3台のHMI装置20dと1台のHMI装置20eとする等しても良い。
[第4の実施形態]
図9は、本発明の第4の実施形態に係る監視制御システムの一例である第4の監視制御システム10Dの構成を示すブロック図である。
第4の監視制御システム10Dは、第1の監視制御システム10Aに対して、ブロック/タグ変換手段31を備える4台のHMI装置20aを具備する代わりに、ブロック/タグ変換手段31Dを備える4台のHMI装置20f(20f1,20f2,20f3,20f4)を具備する点で相違するが、他の構成要素については実質的に異ならない。そこで、実質的に異ならない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
第4の監視制御システム10Dは、HMI装置20の少なくとも2台がブロック伝送式制御装置50(50x,50y)のブロックデータをタグに変換するブロック/タグ変換手段31Dを備え、監視操作の優先順位付けが可能に構成されたHMI装置20fを備えて構成される。
例えば、図9に示される第4の監視制御システム10Dでは、4台のブロック伝送式制御装置50x,50yのブロックデータをタグに変換する機能とHMI装置20の監視操作の優先順位を認識し親機と子機とを切り替える機能とを有するHMI装置20fと、タグ伝送式制御装置40(40p)と、ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)とを具備し、これらがネットワーク60で相互伝送可能に接続される。
HMI装置20fは、ユーザの入力操作を受け付ける入力機能とシステム側からユーザに情報を提供する出力機能とを有し、タグ伝送方式のデータに基づいて制御装置40,50を監視および操作する監視操作手段21と、ブロック伝送方式のデータとタグ伝送方式のデータとを相互に変換するブロック/タグ変換手段31Dとを備える。
ブロック/タグ変換手段31Dは、ブロック/タグ変換手段31に対して、タグDB更新部36の代わりに、タグを他のHMI装置20fへ送信する制御タグ伝送部81と、全ブロック伝送式制御装置50(50x,50y)について各ブロックデータを変換したタグを集めてデータベース化したタグDB82と、自己のHMI装置20fが正常であることを示す状態情報を他のHMI装置20fへ通知するとともに、HMI装置20fの優先順位に基づいて自己の制御タグ伝送部81およびブロック伝送部33を制御するタグDB同期部85と、を備える点で相違する。
すなわち、ブロック/タグ変換手段31Dは、ブロック伝送部33と、記憶部34と、タグ化処理部35と、制御タグ伝送部81と、タグDB82と、を備えるブロック/タグ変換手段31Bに対して、さらに、タグDB同期部85を備える。
タグDB同期部85は、自己のHMI装置20fが有効に機能していることを示す状態情報を他のHMI装置20fへ定期的に通知する一方、他のHMI装置20fから通知された状態情報を受信する。また、タグDB同期部85は、記憶部34に格納されたHMI情報テーブル86を参照し、HMI情報テーブル86に記録される自己の優先順位に基づいて、自己のHMI装置20fが親機(以下単に「親」と称する。)であるか子機(以下単に「子」と称する。)であるかを判断する。
タグDB同期部85は、自己のHMI装置20fが親であると判断した場合、すなわち、優先順位が最も上位であり、かつ、状態情報が「有効」である場合、自己のHMI装置20fの制御タグ伝送部81およびブロック伝送部33の機能を有効にし、自己のHMI装置20fが子であると判断した場合、自己のHMI装置20fの制御タグ伝送部81およびブロック伝送部33の機能を無効にする。すなわち、子であるHMI装置20fでは、制御タグ伝送部81およびブロック伝送部33が動作しない。
続いて、第4の監視制御システム10Dが行なう制御装置40,50の監視制御手順(以下、「第4の監視制御手順」と称する。)について説明する。
第4の監視制御手順は、第2の監視制御手順に対して、自己のHMI装置20fが親かを判断して、自己の制御タグ伝送部81およびブロック伝送部33の機能を有効または無効に切り替えるHMI切替処理工程を、さらに具備する点で相違するが、その他の点については実質的に相違しない。第4の監視制御手順では、各HMI装置20fにおいて、自己が親か子かを判断し、自己の制御タグ伝送部81およびブロック伝送部33の機能を有効または無効に切り替えるHMI切替処理工程を実行した後、データ受信処理手順と、データ送信処理手順と、が実行される。
図10は、第4の監視制御システム10DのHMI装置20(20f)においてHMI切替処理工程を実行する際に参照されるHMI情報テーブル86の一例について説明する説明図である。
HMI情報テーブル86は、HMI装置20を識別する情報と、HMI装置20の優先順位の情報と、HMI装置20が正常に動作している(有効)か否(無効)かを示す状態情報と、情報を更新した日時を示す更新日の情報と時刻の情報とが記録されている。HMI情報テーブル86は、例えば記憶部34等のタグDB同期部85が読み出し可能な記憶領域に格納されており、自己のHMI装置20を示す識別情報および状態情報を参照して、優先順位が最も上位であり、かつ、状態情報が「有効」であるかを後述するHMI切替処理工程の処理フローに従って判断する。
図11は、第4の監視制御システム10DのHMI装置20(20f)において実行されるHMI切替処理工程を示す処理フロー図である。
HMI切替処理工程では、まず、ステップS21で、タグDB同期部85は自身が正常であることを示す状態情報を周期的または不定期に生じる要求に応じて他のタグDB同期部85へ通知する。続くステップS22で、タグDB同期部85は通知されたHMI装置20fの状態情報に基づいて、HMI情報テーブル86の通知のあったHMI装置20fの状態情報を有効にし、更新日および時刻を更新する。尚、一定時間通知がないHMI装置20fについてはその状態情報を無効にし、更新日および時刻を更新する。
続くステップS23で、タグDB同期部85は優先順位iの状態情報が有効であるか否かを判断して有効である場合(ステップS23でYESの場合)、続くステップS24で優先順位iのHMI装置20fが自身であるか否かを判断する。優先順位iのHMI装置20fが自身である場合(ステップS24でYESの場合)、ステップS25に進み、ステップS24の判断を行なった優先順位iのHMI装置20fが、自身の制御タグ伝送部81およびブロック伝送部33の機能を有効にして、自身が親となる。その後、HMI切替処理工程は終了する。
また、ステップS23でタグDB同期部85が優先順位iの状態情報が有効であるか否かを判断した結果、無効である場合(ステップS23でYESの場合)、ステップS26に進み、iにi+1を格納して(ステップS26)、ステップS23に戻る。
さらに、ステップS24で、タグDB同期部85が優先順位iのHMI装置20fが自身であるか否かを判断した結果、優先順位iのHMI装置20fが自身でなかった場合(ステップS24でNOの場合)、ステップS27に進み、ステップS24の判断を行なった優先順位iではないHMI装置20fが、自身の制御タグ伝送部81およびブロック伝送部33の機能を無効にし、自身が子となる。その後、HMI切替処理工程は終了する。
第4の監視制御システム10Dおよび第4の監視制御手順によれば、第1の監視制御システム10Aおよび第1の監視制御手順と同様の効果に加えて、全ブロック伝送式制御装置50x,50yに対応するタグDB82を持つHMI装置20を複数冗長化でき、タグDB82の機能喪失を防ぐことができる。
また、優先順位が1位のHMI装置20f1(図10に示される「f1」に相当する)が故障した場合、HMI情報テーブル86におけるHMI装置20f1の状態情報が無効となり、他のHMI装置20f2,20f3,20f4(図10に示される「f2」、「f3」、「f4」等)のうち、次の優先順位である2位のHMI装置20f2(図10に示される「f2」に相当する)を親に遷移させることができる。換言すれば、一部のHMI装置20fが故障しても、有効に作用している1台が親に遷移して監視操作を継続することができる。ここでは、1台のHMI装置20fが故障した場合を説明したが、複数のHMI装置20fの故障においても、全HMI装置20fが故障しない限り、同様に作用することができる。
尚、図9に示される第4の監視制御システム10Dでは、4台のHMI装置20fを具備しているが、台数は複数であれば任意であり、また、配置する全てのHMI装置20をHMI装置20fとする必要もない。
[第5の実施形態]
図12は、本発明の第5の実施形態に係る監視制御システムの一例である第5の監視制御システム10Eの構成を示すブロック図である。
第5の監視制御システム10Eは、第3の監視制御システム10Cに対して、ブロック/タグ変換手段31Cを備える1台のHMI装置20dと1台のHMI装置20eを具備する代わりに、ブロック/タグ変換手段31Eを備える複数のHMI装置20gと複数のHMI装置20hとを具備する点で相違するが、他の構成要素については実質的に異ならない。そこで、実質的に異ならない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
第5の監視制御システム10Eは、HMI装置20として、ブロック伝送式制御装置50xのブロックデータをタグに変換するブロック/タグ変換手段31Eを備えた複数のHMI装置20gと、ブロック伝送式制御装置50yのブロックデータをタグに変換するブロック/タグ変換手段31Eを備えた複数のHMI装置20hと、を具備して構成される。例えば、図12に示される第5の監視制御システム10Eでは、合計6台のHMI装置20を具備しており、詳細には、複数の一例である2台のHMI装置20g(20g1,20g2)と、複数の一例である2台のHMI装置20h(20h1,20h2)と、2台のHMI装置20b(20b1,20b2)とを具備する。
ブロック/タグ変換手段31Eは、ブロック/タグ変換手段31Cに対して、さらにタグDB同期部85を備える点と、HMI情報テーブル86の代わりにHMI情報テーブル87を記憶部34に格納する点とで相違する。
図13は、第5の監視制御システム10EのHMI装置20がHMI切替処理工程を実行する際に参照されるHMI情報テーブルの一例であるHMI情報テーブル87について説明する説明図である。
HMI情報テーブル87は、HMI情報テーブル86と同様に構成されるが、HMI情報テーブル86と異なる点は、グループ単位に優先順位を規定している点である。図13に示されるHMI情報テーブル87では、ブロック伝送式制御装置50xのタグを格納するタグDB83を備えたHMI装置20gで構成される「装置X」のグループと、ブロック伝送式制御装置50yのタグを格納するタグDB83を備えたHMI装置20hで構成される「装置Y」のグループと、「装置N」のグループとに分けて、各グループに対して優先順位が規定されている。尚、HMI情報テーブル87のグループ「なし」とは、HMI装置20b1,20b2で構成されるHMI切替処理工程を行なわないHMI装置20bのグループである。
続いて、第5の監視制御システム10Eが行なう制御装置40,50の監視制御手順(以下、「第5の監視制御手順」と称する。)について説明する。
第5の監視制御手順は、第3の監視制御手順に対して、自己のHMI装置20g,20hが各グループにおける親かを判断するHMI切替処理工程を、さらに具備する点で相違するが、その他の点については実質的に相違しない。第5の監視制御手順では、HMI装置20g1,20g2,20h1,20h2において、自己が親か子かを判断し、自己の制御タグ伝送部81およびブロック伝送部33の機能を有効または無効に切り替えるHMI切替処理工程を実行した後、データ受信処理手順と、データ送信処理手順と、が実行される。このHMI切替処理工程は、HMI装置20g1,20g2で構成されるグループと、HMI装置20h1,20h2で構成されるグループとが独立して判断される。
第5の監視制御システム10Eおよび第5の監視制御手順によれば、第3の監視制御システム10Cおよび第3の監視制御手順と同様の効果に加えて、タグDB83を持つHMI装置20g,20hを複数冗長化でき、タグDB83の機能喪失を防ぐことができる。
また、HMI装置20gで構成されるグループにおいて、優先順位が1位のHMI装置20g1(図13に示される「g1」に相当する)が故障した場合、HMI情報テーブル87におけるHMI装置20g1の状態情報が無効となり、次の優先順位である2位のHMI装置20g2(図13に示される「g2」に相当する)を親に遷移させることができる。HMI装置20hで構成されるグループについても、同様に親に遷移させることができる。すなわち、HMI装置20g,20hの一部が故障したとしても、有効に作用しているHMI装置20g,20hがそれぞれ1台あれば、それぞれ親に遷移して監視操作を継続することができる。
以上、監視制御システム10A,10B,10C,10D,10Eおよび監視制御システム10A,10B,10C,10D,10Eが行なう監視制御手順によれば、専用のゲートウェイ装置70を設置することなくタグとブロックデータとの相互変換することができ、タグ伝送式制御装置40とブロック伝送式制御装置50とが混在する監視制御システムにおいても、HMI装置20とタグ伝送式制御装置40およびブロック伝送式制御装置50を相互に伝送可能に接続することができる。
第2の監視制御システム10Bおよび第2の監視制御手順によれば、タグの状態変化時、警報発生時のタイムスタンプを一元化でき、HMI装置20側での負荷の軽減を図ることができる。また、第3の監視制御システム10Cおよび第3の監視制御手順によれば、タグデータベースの機能喪失の範囲を限定化できるだけでなく、HMI装置20側での負荷分散を実現できる。
第4の監視制御システム10Dおよび第4の監視制御手順によれば、全ブロック伝送式制御装置50x,50yに対応するタグDB82を持つHMI装置20を複数冗長化でき、タグDB82の機能喪失を防ぐことができる。また、第5の監視制御システム10Eおよび第5の監視制御手順によれば、タグDB83を持つHMI装置20g,20hを複数冗長化でき、タグDB83の機能喪失を防ぐことができる。
尚、本明細書において、幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、一例を提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。