図1は本発明の実施の形態に係る基地局1を有する無線通信システム100の構成を示す図である。無線通信システム100は、例えば、上述の非特許文献1に記載されているWiMAXに準拠したシステムである。図1に示されるように、無線通信システム100には、OFDMA方式で複数の通信端末2と双方向の無線通信を行う基地局1が設けられている。基地局1は、サブチャネルとOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルとで特定される無線リソースを複数の通信端末2のそれぞれに個別に割り当てることによって、当該複数の通信端末2と同時に通信することが可能となっている。
また、無線通信システム100では、基地局1と通信端末2との間の通信には、空間多元接続方式の一種であるMIMO(Multiple Input Multiple Output)空間多重を使用することが可能となっている。このWiMAXでのMIMO空間多重は、「MIMOマトリックスB」と呼ばれている。これにより、基地局1と通信端末2との間では、複数のデータストリームについての通信を、同一周波数帯域を使用して同時に行うことができる。以後、通信端末2が他の通信端末2に向けて送信するデータを「ユーザデータ」と呼ぶ。また、MIMO空間多重を使用した通信を「MIMO通信」と呼び、MIMO空間多重を使用しない通信を「通常通信」と呼ぶ。
なお、MIMOとして使用される一般的な方式としては、STC(Space Time Coding)ベースで一つの信号ビット列(データストリーム)を複数のアンテナより送信することによってダイバーシチゲインを得るもの(WiMAXでは「MIMOマトリクスA」として知られている)と、空間多重(SM:Spatial Multiplex)ベースで、複数の信号ビット列を複数のアンテナより同一周波数で多重送信し、受信側で分離復号するもの(WiMAXでは「MIMOマトリクスB」として知られている)がある。前者はエリア改善効果があり、後者はスループット改善効果がある。
さらに、無線通信システム100では、基地局1と通信端末2との間の複信方式には、TDD(Time Division Duplexing、時分割複信)方式が採用されている。したがって、無線通信システム100では、1フレームは、基地局1が通信端末2に向けて送信する期間と、通信端末2が基地局1に向けて送信する期間とで構成されている。
基地局1は、ネットワーク3と接続されており、当該ネットワーク3から送られてくるユーザデータを通信端末2に送信したり、通信端末2からのユーザデータをネットワーク3に出力する。ネットワーク3に出力された、通信端末2からのユーザデータは、他の通信端末2に向けて送信される。
図2は基地局1の構成を示す図である。図2に示されるように、基地局1は、通信端末2と無線通信を行う無線通信部10と、ネットワーク3と通信を行うネットワーク通信部14と、無線通信部10及びネットワーク通信部14を制御する制御部15とを備えている。
ネットワーク通信部14は、ネットワーク3から送られてくるIP(Internet Protocol)パケットを受信して、それを制御部15に出力する。また、ネットワーク通信部14は、制御部15から入力されるIPパケットをネットワーク3に送信する。
無線通信部10は、複数のアンテナ11aで構成されたアレイアンテナ11と、送信部12と、受信部13とを備えている。受信部13は、アレイアンテナ11で受信されたOFDM信号に対して増幅処理やダウンコンバートを行って、アレイアンテナ11で受信されたOFDM信号をベースバンド信号に変換して出力する。本実施の形態では、アレイアンテナ11は、例えば2つのアンテナ11aで構成されている。送信部12は、制御部15で生成されたベースバンド信号を、アップコンバート及び増幅処理を行った後、アレイアンテナ11に入力する。これにより、アレイアンテナ11からは通信端末2に向かって搬送帯域のOFDM信号が無線送信される。基地局1がMIMO空間多重を使用して送信する場合には、複数のアンテナ11aの数をN本(本実施の形態ではN=2)とすると、MIMO空間多重を使用しない場合と比較して、送信データレートがN倍となる。
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)などで構成されている。制御部15は、受信部13から出力されるベースバンド信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)処理などの各種処理を行い、ベースバンド信号を構成する複数のサブキャリアに含まれる送信データを取得する。制御部15は、取得した送信データに含まれるユーザデータを含むIPパケットを生成し、それをネットワーク通信部14に出力する。
また制御部15は、ネットワーク通信部14からのIPパケットから、当該IPパケットに含まれるユーザデータを取得する。制御部15は、取得したユーザデータを含む送信データを生成する。そして、制御部15は、生成した送信データを含む複数のサブキャリアで構成されたベースバンド信号を生成する。このベースバンド信号は無線通信部10において搬送帯域のOFDM信号に変換される。そして、アレイアンテナ11から、制御部15で生成された送信データを含むOFDM信号が無線送信される。
図3は制御部15内の一部の機能ブロックを示す図である。図3に示されるように、制御部15は、MAC(Media Access Control)層での処理を行うMAC処理部150と、PHY(PHYsical)層(物理層)での処理を行うPHY処理部170とを備えている。
MAC処理部150はスケジューラ160を備えている。スケジューラ160は、各通信端末2についての送信データ量のスケジューリングを行うパケットスケジューラ161と、誤り訂正符号化部162と、各通信端末2に対する送信に使用する無線リソースのスケジューリングを行うバーストスケジューラ163とを備えている。
MAC処理部150は、ネットワーク通信部14からのIPパケットに含まれるユーザデータを、送信先の通信端末2ごとに振り分ける。MAC処理部150は、パケットスケジューラ161において、通信対象の各通信端末2について、1フレーム分の送信データ量を決定する。そして、MAC処理部150は、パケットスケジューラ161において、各通信端末2について、決定した送信データ量のユーザデータから成る送信データを生成する。その後、MAC処理部150は、誤り訂正符号化部162において、パケットスケジューラ161が生成した送信データに対して、例えば畳み込み符号等を用いて誤り訂正符号化処理を行う。そして、MAC処理部150は、バーストスケジューラ163において、各通信端末2について、誤り訂正符号化処理後の送信データの送信に使用する無線リソース、つまり送信周波数帯域及び送信時間帯を当該送信データに割り当てる。
このように、MAC処理部150のスケジューラ160は、通信対象の通信端末2ごとに、送信データを生成し、当該送信データの送信に使用する無線リソースを、当該送信データに割り当てるスケジューリング(生成割当処理)を行う。
PHY処理部170は、I/Qマッピング処理やIFFT(Inverse FFT)処理を用いて、MAC処理部150で生成された、誤り訂正符号化処理後の送信データを含むベースバンド信号を生成する。PHY処理部170は、スケジューラ160で送信データに割り当てられた無線リソース(送信周波数帯域)に基づいて、当該送信データを含むベースバンド信号を生成する。以後、送信データから当該送信データを含むベースバンド信号を生成する処理を「PHY送信処理」と呼ぶ。
PHY処理部170は、生成したベースバンド信号を、当該ベースバンド信号に含まれる送信データに割り当てられた無線リソース(送信時間帯)に基づいて無線通信部10に入力する。これより、無線通信部10からは、制御部15で生成された送信データが、それに割り当てられた無線リソースで送信される。
またPHY処理部170は、受信部13から出力されるベースバンド信号に対してFFT処理などの各種処理を行い、ベースバンド信号を構成する複数のサブキャリアに含まれる送信データを取得する。PHY処理部170で取得された送信データはMAC処理部150に入力される。MAC処理部150は、入力された送信データのうちのユーザデータを含むIPパケットを生成してネットワーク通信部14に入力する。
さらにPHY処理部170は、候補データバッファ171及び送信データバッファ172を備えている。これらの構成要素は、基地局1と通信端末2との間で再送制御が行われる際に機能する。送信データバッファ172は無線通信部10が送信する送信データを記憶する。候補データバッファ171は、送信候補の新規の送信データ、つまり、送信データバッファ172に記憶されている送信データの次に送信される新規の送信データを記憶する。候補データバッファ171及び送信データバッファ172の動作については後で詳細に説明する。
図4は各通信端末2の構成を示す図である。図4に示されるように、通信端末2は、基地局1と無線通信を行う無線通信部20と、無線通信部20を制御する制御部24とを備えている。
無線通信部20は、複数のアンテナ21aで構成されたアレイアンテナ21と、送信部22と、受信部23とを備えている。受信部23は、アレイアンテナ21で受信されたOFDM信号に対して増幅処理やダウンコンバートを行って、アレイアンテナ21で受信されたOFDM信号をベースバンド信号に変換して出力する。本実施の形態では、アレイアンテナ21は、例えば2つのアンテナ21aで構成されている。送信部22は、制御部24で生成されたベースバンド信号を、アップコンバート及び増幅処理を行った後、アレイアンテナ21に入力する。これにより、アレイアンテナ21からは基地局1に向かって搬送帯域のOFDM信号が無線送信される。
制御部24は、CPUやDSPなどで構成されている。制御部24は、受信部23から出力されるベースバンド信号に対してFFT処理などの各種処理を行い、ベースバンド信号を構成する複数のサブキャリアに含まれる送信データを取得する。制御部24は、取得した送信データに基づいて各種処理を行う。
また制御部24は、ネットワーク3に接続された他の通信端末2向けのユーザデータを含む送信データを生成する。そして、制御部24は、生成した送信データを含む複数のサブキャリアで構成されたベースバンド信号を生成する。このベースバンド信号は無線通信部20において搬送帯域のOFDM信号に変換される。そして、アレイアンテナ21から、制御部24で生成された送信データを含むOFDM信号が無線送信される。
図5は制御部24内の一部の機能ブロックを示す図である。図5に示されるように、制御部24は、受信データバッファ240、再送データバッファ241、誤り訂正復号化部242及び再送制御信号生成部243を備えている。これらの構成要素は、基地局1と通信端末2との間で再送制御が行われる際に機能する。
受信データバッファ240は、基地局1からの送信データを記憶する。誤り訂正復号化部242は、受信データバッファ240が記憶する送信データに対して誤り訂正復号化処理を行う。再送データバッファ241は、基地局1からの再送を待つ対象の送信データを記憶する。再送制御信号生成部243は、誤り訂正復号化部242での送信データに対する誤り検出の結果に基づいて、当該送信データについて基地局1に対して再送を要求するか否かを示す再送制御信号を生成する。受信データバッファ240、再送データバッファ241、誤り訂正復号化部242及び再送制御信号生成部243の動作については後で詳細に説明する。
<WiMAXでのフレーム構成の説明>
次に、無線通信システム100で使用されるフレーム200の構成について説明する。図6はフレーム200の構成例を示す図である。図6に示されるように、一つのフレーム200は、基地局1から通信端末2へ信号を送信するための下りサブフレーム201と、通信端末2から基地局1に信号を送信するための上りサブフレーム202とで構成されている。そして、フレーム200内には、基地局1が送信から受信に切り替える際のガード時間であるTGG(Transmit Transition Gap)と、基地局1が受信から送信に切り替える際のガード時間であるRTG(Receive Transition Gap)が設けられている。
図6に示されるように、下りサブフレーム201と上りサブフレーム202のそれぞれは、OFDMシンボルの番号で与えられる時間軸と、サブチャネルの番号で与えられる周波数軸とから成る2次元で表現される。ここで、OFDMA方式では、複数のサブキャリアが複数のサブチャネルにグループ分けされ、通信端末2へのサブキャリアの割り当ては、サブチャネル単位で行われる。OFDMA方式では、各通信端末2に対する無線リソースの割り当てが、周波数軸と時間軸とで表現される2次元で行われる。
下りサブフレーム201には、例えば、プリアンブル領域201a、FCH(Frame Control Header)領域201b、DL−MAP(Downlink Map)領域201c、UL−MAP(Uplink Map)領域201d及び下りデータ領域201eが配置される。下りサブフレーム201における、プリアンブル領域201a等の各領域の範囲は、サブチャネル数とOFDMシンボル数とで決定される。このような下りサブフレーム201は、基地局1の制御部15で生成される。プリアンブル領域201a、FCH領域201b、DL−MAP領域201c及びUL−MAP(Uplink Map)領域201dには通信端末2向けの制御信号が含められ、下りデータ領域201eには、通信端末2に向けた、他の通信端末2からのユーザデータが含められる。
一方で、上りサブフレーム202には、例えば、レンジング領域202a、CQICH領域202b、ACK領域202c及び上りデータ領域202dが配置される。下りサブフレーム201と同様に、上りサブフレーム202における、レンジング領域202a等の各領域の範囲は、サブチャネル数とOFDMシンボル数とで決定される。レンジング領域202a、CQICH領域202b及びACK領域202cには基地局1向けの制御信号が含められ、上りデータ領域202dには、他の通信端末2に向けたユーザデータが含められる。
プリアンブル領域201aには、通信端末2が基地局1との同期をとるために必要な信号が含められる。FCH領域201bには、DL−MAP領域201cに含まれるDL−MAPメッセージの長さと、そこで使用されている誤り訂正符号の方式及び繰り返し符号の繰り返し数を示すDLFP(Downlink Frame Prefix)などが含められる。通信端末2はDLFPの内容に従ってDL−MAP領域201cに含まれるDL−MAPメッセージを復調する。
下りデータ領域201eには、複数の下りバースト領域を配置することができる。各下りバースト領域には、互いに異なった通信端末2を、DL−MAP領域201cのDL−MAPメッセージによって割り当てることが可能である。各下りバースト領域には、それに割り当てられた通信端末2へのユーザデータ(バーストデータ)が含められる。
DL−MAP領域201cは、DL−MAPメッセージを含んでいる。DL−MAP領域201cのDL−MAPメッセージには、当該DL−MAP領域201cが属する下りサブフレーム201において通信を行う各通信端末2に対する無線リソースの割り当てを示している。DL−MAPメッセージには、下りサブフレーム201において、各下りバースト領域がどの領域に割り当てられているのか、各下りバースト領域に対してどの通信端末2が割り当てられているのかなどの情報が含まれている。したがって、DL−MAP領域201cのDL−MAPメッセージによって、当該DL−MAP領域201cが属する下りサブフレーム201で通信を行う通信端末2と、当該通信端末2と通信を行う際に使用されるサブチャネルと、当該通信端末2と通信を行う時間帯とが特定される。各通信端末2は、DL−MAPメッセージを解析することによって、自装置宛のデータが基地局1からどの時間帯(OFDMシンボル)でどのサブチャネルを使用して送信されるかを知ることができる。その結果、各通信端末2では、基地局1からの自装置宛のデータを適切に受信することができる。
また、基地局1と通信端末2との間で、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)方式の再送制御(以後、「HARQ再送制御」と呼ぶ)が行われる際には、下りデータ領域201eには、図6に示されるように、少なくとも一つのHARQバースト領域201fが配置される。下りデータ領域201eには、HARQバースト領域201fだけが配置されることもあるし、下りバースト領域とともにHARQバースト領域201が配置されることもある。HARQ方式は、通信端末2が基地局1に対して自動的に再送要求を行うARQ(Automatic Repeat reQuest)方式と誤り訂正符号とを組み合わせた方式である。HARQ再送制御については後で詳細に説明する。
HARQバースト領域201fは、複数のサブバースト領域201gで構成される。図6の例では、HARQバースト領域201fは、第1サブバースト領域201g〜第4サブバースト領域201gで構成されている。HARQバースト領域201fは、最大で16個のサブバースト領域201gで構成することができる。
各サブバースト領域201gには、1つの通信端末2が割り当てられる。そして、各サブバースト領域201gには、それに割り当てられた1つの通信端末2に向けた、他の通信端末2からのユーザデータが含められる。各サブバースト領域201gには、それに割り当てられた1つの通信端末2から再送要求があった場合には再送データが含められる。
なお、各サブバースト領域201gには、任意の通信端末2を割り当てることができる。したがって、複数のサブバースト領域201gには、互いに異なる複数の通信端末2が割り当てられたり、同一の通信端末2が割り当てられたりする。また、HARQバースト領域201fが、第1サブバースト領域201g〜第4サブバースト領域201gで構成される場合には、例えば、第1及び第2サブバースト領域201gには1つの通信端末2が割り当てられ、第2及び第3サブバースト領域201gには、第1及び第2サブバースト領域201gに割り当てられた通信端末2とは別の1つの通信端末2が割り当てられる。以後、サブバースト領域201gを使用して送信されるユーザデータを「サブバーストデータ」と呼ぶことがある。
下りデータ領域201eにHARQバースト領域201fが配置される場合には、DL−MAPメッセージには、下りサブフレーム201において、HARQバースト領域201fの各サブバースト領域201gがどの領域に割り当てられているのか、各サブバースト領域201gに対してどの通信端末2が割り当てられているのか、各サブバースト領域201gに含まれるサブバーストデータが再送データ及び新規データのどちらであるかなどの情報が含まれる。したがって、通信端末2は、基地局1との間でHARQ再送制御を行う際には、DL−MAPメッセージを解析することによって、自装置宛のデータを含むサブバースト領域201gを特定することができ、当該サブバースト領域201gに含まれるサブバーストデータが再送データ及び新規データのどちらであるのかを認識することができる。
UL−MAP領域201dは、UL−MAPメッセージを含んでいる。UL−MAP領域201dのUL−MAPメッセージには、それが属する下りサブフレーム201に続く上りサブフレーム202において通信対象となる各通信端末2に対する無線リソースの割り当てを示している。UL−MAPメッセージには、上りサブフレーム202において、後述する各上りバースト領域がどの領域に割り当てられているのか、上りサブフレーム202中の各上りバースト領域に対してどの通信端末2が割り当てられているのかなどの情報が含まれている。したがって、UL−MAP領域201dのUL−MAPメッセージによって、当該UL−MAP領域201dが属する下りサブフレーム201に続く上りサブフレーム202において通信を行う通信端末2と、当該通信端末2と通信を行う際に使用されるサブチャネルと、当該通信端末2と通信を行う時間帯とが特定される。各通信端末2は、UL−MAPメッセージの内容を解析することによって、他の通信端末2向けのユーザデータをどの時間帯でどのサブチャネルを使用して送信すべきかを知ることができる。
このようなDL−MAPメッセージ及びUL−MAPメッセージは、制御部15が、各通信端末2に対する無線リソースの割り当て結果に基づいて生成する。
上りデータ領域202dには、複数の上りバースト領域を配置することができる。複数の上りバースト領域のそれぞれには、互いに異なった通信端末2が、UL−MAP領域201dのUL−MAPメッセージによって割り当てられている。各上りバースト領域には、割り当てられた通信端末2が他の通信端末2に向けて送信するユーザデータが含められる。
レンジング領域202aには、帯域要求やレンジングを行うための信号が含められる。CQICH領域202bにはチャネル品質情報が含められる。ACK領域202cには、各通信端末2からの再送制御信号が含められる。再送制御信号は、サブバースト領域201gのサブバーストデータに対して、通信端末2が基地局1に対して再送を要求するか否かを示す信号である。再送制御信号は、ACK(Acknowledgement)及びNACK(Negative Acknowledgement)のどちらか一方を示す。再送制御信号がACKを示す場合には、通信端末2が基地局1に対してサブバーストデータの再送を要求していないことを意味し、再送制御信号がNACKを示す場合には、通信端末2が基地局1に対してサブバーストデータの再送を要求していることを意味する。各通信端末2は、1つのフレーム200において、複数のサブバースト領域201gにそれぞれ含まれる複数のサブバーストデータを受信すると、サブバーストデータごとに、サブバーストデータの再送を基地局1に要求するかどうかを判断する。そして、各通信端末2は、サブバーストデータごとに再送制御信号を生成する。
<HARQ再送制御の概要説明>
次に本実施の形態に係るHARQ再送制御の概要について説明する。図7は無線通信システム100がHARQ再送制御を行う場合の基地局1の動作を示すフローチャートである。図8は無線通信システム100がHARQ再送制御を行う場合の通信端末2の動作を示すフローチャートである。
図7に示されるように、ステップs1において、基地局1では、制御部15が、通信端末2向けのサブバーストデータを生成し、当該サブバーストデータに対して誤り訂正符号化処理を行う。制御部15は、誤り訂正符号化処理後のサブバーストデータに対して無線リソースを割り当てる。そして、ステップs2において、基地局1では、無線通信部10が、誤り訂正符号化処理後のサブバーストデータを、それに割り当てられた無線リソース(サブバースト領域201g)を用いて送信する。
その後のステップs3において、基地局1では、無線通信部10が、送信先の通信端末2からNACKを示す再送制御信号を受信すると、ステップs4において、ステップs2で送信したサブバーストデータを再送する。
これに対して、通信端末2では、図8に示されるように、ステップs11において、無線通信部20が基地局1からサブバーストデータを受信すると、ステップs12において、制御部24は、当該サブバーストデータが再送データ及び新規データのどちらであるのかを判断する。具体的には、制御部24は、無線通信部20において受信される、基地局1からのDL−MAPメッセージを参照することによって、サブバーストデータが再送データ及び新規データのどちらであるのかを判断する。
ステップs12において、制御部24は、サブバーストデータが新規データであると判断すると、ステップs13において、サブバーストデータに対して誤り訂正復号化処理を行う。具体的には、制御部24は、受信したサブバーストデータに対して誤り訂正を行う。そして、制御部24は、誤り訂正後のサブバーストデータに対して誤り検出を行う。
次にステップs14において、制御部24は、ステップs13での誤り検出の結果に基づいて、サブバーストデータに誤りがあるかを判断する。制御部24は、サブバーストデータに誤りがないと判断すると、ステップs15において、ACKを示す再送制御信号を生成する。このACKを示す再送制御信号は無線通信部20から基地局1に送信される。
一方で、制御部24は、ステップs14において、サブバーストデータに誤りがあると判断すると、ステップs16において、制御部24はNACKを示す再送制御信号を生成する。この再送制御信号は、無線通信部20から基地局1に送信される。誤りが検出された新規のサブバーストデータは、基地局1からの再送を待つ対象として、再送データバッファ241に記憶される。
上述のステップs12において、ステップs11で受信されたサブバーストデータが再送データであると判断されると、ステップs17が実行される。ステップs17では、制御部24が、再送データバッファ241に記憶している、誤りが検出されたサブバーストデータと、再送されてきたサブバーストデータとを最大比合成する。その後、制御部24は、ステップs13において、最大比合成によって得られた新たなサブバーストデータに対して誤り訂正復号化処理を行う。その後、ステップs14が実行されて、最大比合成によって得られた新たなサブバーストデータに誤りがあるか判断される。ステップs14で誤りが検出されない場合にはステップs15が実行され、ステップs14で誤りが検出された場合にはステップs16が実行される。なお、サブバーストデータについての再送は数回実行されると終了する。再送が終了されたサブバーストデータは、再送データバッファ241内から消去される。
<HARQ再送制御の詳細説明>
上述のように、基地局1が送信したサブバーストデータについての再送制御信号がNACKを示す場合には、基地局1は、当該サブバーストデータを再送する必要がある。したがって、サブバーストデータが再送されるフレーム200においては、当該サブバーストデータの再送で使用される無線リソースの分、新規のサブバーストの送信に使用することができる無線リソースが少なくなる。
一方で、基地局1が送信したサブバーストデータについての再送制御信号がACKを示す場合には、当該サブバーストデータの再送は不要であるため、新規のサブバーストの送信に使用することができる無線リソースが多くなる。
このように、再送制御信号がACKを示すか、NACKを示すかによって、新規のサブバーストデータの送信に使用できる無線リソースの量が変化することになる。したがって、スケジューラ160は、再送制御信号が入力された後に、新規のサブバーストデータの送信にどれだけの量の無線リソースを使用することができるかを判断することができる。再送制御信号が入力されたスケジューラ160が、再送するサブバーストデータの有無に基づいて、新規のサブバーストデータについてのスケジューリングを開始すると、新規のサブバーストデータの送信がどうしても遅れてしまう。
そこで、本実施の形態では、スケジューラ160が再送制御信号を受け取る前に、言い換えれば、スケジューラ160がサブバーストデータの再送が必要かどうかを認識する前に、スケジューラ160が、新規のサブバーストデータについてのスケジューリングを開始する。これにより、新規のサブバーストデータの送信を早めることができる。以下にこのことについて詳細に説明する。
図9は無線通信システム100がHARQ再送制御を行う際の基地局1の動作を示す図である。以下の説明では、一例として、下りサブフレーム201には、第1サブバースト領域201g〜第4サブバースト領域201gで構成された1つのHARQバースト領域201fが配置されるものとする。したがって、1つのフレーム200において、基地局1からは、4つのサブバーストデータが送信される。以後、第1サブバースト領域201g〜第4サブバースト領域201gを使用して送信される4つのサブバーストデータを、第1〜第4サブバーストデータとそれぞれ呼ぶことがある。なお、図9中の(n−2)、(n−1)、n、(n+1)等の符号は、時系列的に連続する複数のフレーム200に対して便宜的に付したフレーム番号を示している。
図9に示されるように、第(n−2)フレームにおいて、スケジューラ160が、新規の第1〜第4サブバーストデータを生成し、それぞれに無線リソースを割り当てる。つまり、下りデータ領域201e内での第1〜第4サブバースト領域102gの範囲(位置及び大きさ)を決定する。第1〜第4サブバーストデータは、少なくとも一つの通信端末2に向けたデータである。スケジューラ160は、生成した第1〜第4サブバーストデータを新規の送信対象データとしてPHY処理部170に入力する。また、スケジューラ160は、送信指示を行うための送信指示情報及びDL−MAPメッセージを生成して、それらをPHY処理部170に入力する。DL−MAPメッセージには、第1〜第4サブバーストデータのそれぞれについて、サブバーストデータの送信先の通信端末2を特定するための情報、サブバーストデータに割り当てられた無線リソースを特定するための情報、サブバーストデータが再送データ及び新規データのいずれであるのかを特定するための情報が含まれる。
第(n−2)フレームにおいて、PHY処理部170は、送信指示情報が入力されると、送信データバッファ172が空であるかを判断する。PHY処理部170は、送信データバッファ172が空であるなら、入力された送信対象データを送信データバッファ172内に書き込む。一方で、PHY処理部170は、送信データバッファ172が空でないなら、入力された送信対象データを候補データバッファ171内に書き込む。図9の例では、送信データバッファ172が空であるため、送信対象データである第1〜第4サブバーストデータは、送信データバッファ172に書き込まれる。
第(n−1)フレームにおいて、PHY処理部170は、第(n−2)フレームでデータを書き込んだ送信データバッファ172から、第1〜第4サブバーストデータを読み出す。そして、PHY処理部170は、入力されたDL−MAPメッセージと、読み出した第1〜第4サブバーストデータとを含む送信データを生成し、当該送信データに対してPHY送信処理を行う。これにより、第(n−1)フレームにおいて、当該送信データを含むベースバンド信号が生成される。
PHY処理部170で生成されたベースバンド信号は、第nフレームにおいて、無線通信部10において搬送帯域のOFDM信号に変換される。そして、第nフレームにおいて、第1〜第4サブバーストデータを含むOFDM信号がアレイアンテナ11から無線送信される。
第nフレームにおいて、m個(本例では1≦m≦4)のサブバーストデータを受信した通信端末2では、制御部24が、当該m個のサブバーストデータを受信データバッファ240に書き込む。制御部24は、受信データバッファ240内のm個のサブバーストデータのそれぞれに対して誤り訂正復号化処理を行う。そして、制御部24は、m個のサブバーストデータのうち、誤りが検出されたサブバーストデータを、基地局1からの再送を待つ対象として再送データバッファ241に記憶する。また制御部24は、m個のサブバーストデータにそれぞれ対応したm個の再送制御信号を生成する。このm個の再送制御信号は、第(n+1)フレームにおいて通信端末2から基地局1に無線送信される。
第(n+1)フレームにおいて、無線通信部10は、第nフレームで送信した第1〜第4サブバーストデータにそれぞれ対応する4つの再送制御信号を受信する。図9の例では、第1〜4サブバーストデータについての再送制御信号は、NACK、ACK、NACK及びACKをそれぞれ示している。したがって、第1及び第3サブバーストデータの再送が要求されていることになる。
なお、第nフレームにおいて、第1〜第4サブバーストデータが一つの通信端末2に向けて送信される場合には、第(n+1)フレームにおいて、基地局1は、一つの通信端末2から4つの再送制御信号を受信することになる。また、第nフレームにおいて、第1〜第4サブバーストデータが、互いに異なる4つの通信端末2に向けてそれぞれ送信される場合には、第(n+1)フレームにおいて、基地局1は、4つの通信端末2のそれぞれから1つの再送制御信号を受信することになる。
基地局1では、第(n+1)フレームにおいて、スケジューラ160が、新規のサブバーストデータについてのスケジューリングを行う。このスケジューリングは、スケジューラ160に再送制御信号が入力される前に開始される。つまり、スケジューラ160は、第nフレームで送信されたサブバーストデータの再送が要求されているか否かを認識する前に、新規のサブバーストデータについてのスケジューリングを開始する。
本実施の形態に係るHARQ再送制御では、基地局1が送信した第kサブバーストデータ(本例では1≦k≦4)についての再送制御信号がACKを示し、第kサブバーストデータの再送が要求されていない場合には、この再送制御信号に対応する次の第kサブバーストデータとして、基地局1は新規データを送信する。スケジューラ160は、この新規データ、つまり、基地局1が送信したサブバーストデータについての再生制御信号が再送を要求していないことを示す場合に送信する新規のサブバーストデータについてのスケジューリングを、当該再送制御信号を受け取る前に開始する。
具体的には、第(n+1)フレームにおいて、スケジューラ160は、第nフレームで送信した第kサブバーストデータと同じデータ量を有する、誤り訂正符号化処理後のデータを生成する。スケジューラ160は、生成したこのデータを、第nフレームで送信した第kサブバーストデータについての再生制御信号がNACKを示す場合に、第kサブバースト領域201gを使用して送信する新規の第kサブバーストデータ(以後、「候補第kサブバーストデータ」と呼ぶ)とする。そして、スケジューラ160は、生成した候補第kサブバーストデータの送信に使用する無線リソースとして、第nフレームで送信した第kサブバーストデータで使用した無線リソースを割り当てる。つまり、スケジューラ160は、候補第kサブバーストデータの送信に使用される第kサブバースト領域201gの範囲を、第nフレームで送信した第kサブバーストデータで使用した第kサブバースト領域201gの範囲と一致させる。スケジューラ160は、この処理を、第nフレームに送信した新規の第1〜第4サブバーストデータのそれぞれについて行う。これにより、第(n+1)フレームにおいて、候補第1サブバーストデータ〜候補第4サブバーストデータが生成される。そして、第(n+1)フレームにおいて、スケジューラ160は、生成した候補第1サブバーストデータ〜候補第4サブバーストデータを新規の送信対象データとして、送信指示情報とともにPHY処理部170に入力する。
第(n+1)フレームにおいて、PHY処理部170は、送信指示情報が入力されると、送信データバッファ172が空であるかを判断する。PHY処理部170は、送信データバッファ172が空であるなら、入力された送信対象データを送信データバッファ172内に書き込む。一方で、PHY処理部170は、送信データバッファ172が空でないなら、入力された送信対象データを候補データバッファ171内に書き込む。図9の例では、送信データバッファ172は空でないため、新規の送信対象データである第1候補サブバーストデータ〜第4候補サブバーストデータは、候補データバッファ171に書き込まれる。
なお、図9中のタイミングT1は、スケジューラ160が再送制御信号を受け取るタイミングを示している。上述の図6に示されるように、再送制御信号が含められるACK領域202cは上りサブフレーム202の先頭付近に配置されることから、無線通信部10のアレイアンテナ11は、第(n+1)フレームの真ん中あたりのタイミングで再送制御信号を受信する。アレイアンテナ11で受信された再送制御信号は、受信部13及びPHY処理部170を通じてスケジューラ160に入力されることから、図9に示されるように、第(n+1)フレームの末尾あたりのタイミングで再送制御信号がスケジューラ160に入力される。つまり、スケジューラ160は、第(n+1)フレームの末尾あたりにおいて、第nフレームで送信されたサブバーストデータの再送が要求されているかどうかを判断することができる。例えば、スケジューラ160では、アレイアンテナ11で再送制御信号が受信される前に、上述の新規データのスケジューリングを開始し、再送制御信号を受け取るタイミングT1付近において、当該スケジューリングが終了する。
スケジューラ160は、タイミングT1において、4つの再送制御信号を受け取ると、この4つの再送制御信号に応じて基地局1が送信する第1〜第4サブデータバーストを特定し、第1〜第4サブバーストデータについての新たなDL−MAPメッセージを生成する。図9の例では、第nフレームで送信された第2及び第4サブバーストデータについての再送制御信号はACKを示すことから、この再生制御信号に対応する次の第2及び第4サブバーストデータは、候補第2サブバーストデータ及び候補第4サブバーストデータとなる。第nフレームで送信された第1及び第3サブバーストデータについての再生制御信号はNACKを示すことから、この再生制御信号に対応する次の第1及び第3サブバーストデータは再送データとなる。
また、スケジューラ160は、入力された4つの再送制御信号に基づいて、第nフレームで送信された第1〜第4サブバーストデータのそれぞれについて、再送が要求されているか否かを通知するための再送通知情報を生成する。スケジューラ160で生成されたDL−MAPメッセージ及び再送通知情報は、第(n+2)フレームにおいてPHY処理部170に入力される。
第(n+2)フレームにおいて、PHY処理部170は、MAC処理部150から通知された再送通知情報に基づいて、第nフレームで送信した、送信データバッファ172内の第1〜第4サブバーストデータのそれぞれについて、再送が要求されているかどうかを特定する。そして、PHY処理部170は、送信データバッファ172に記憶されている第1〜第4サブバーストデータのうち、再送が要求されていない第kサブバーストデータを、候補データバッファ171内の候補第kサブバーストデータに置き換える。図9の例では、送信データバッファ172に記憶されている第2及び第4サブバーストデータが、候補データバッファ171内の候補第2サブバーストデータ及び候補第4サブバーストデータにそれぞれ置き換えられる。その結果、送信データバッファ172内には、第nフレームで送信された第1及び第3サブバーストデータと、新規の第2及び第4バーストデータが記憶される。候補データバッファ171内のデータは、送信データバッファ172に書き込まれると、候補データバッファ171内から消去される。
次に、PHY処理部170は、第(n+2)フレームにおいて、送信データバッファ172から、第1〜第4サブバーストデータを読み出す。そして、PHY処理部170は、入力されたDL−MAPメッセージと、読み出した第1〜第4サブバーストデータとを含む送信データを生成し、当該送信データに対してPHY送信処理を行う。これにより、第(n+2)フレームにおいて、当該送信データを含むベースバンド信号が生成される。
第(n+3)フレームにおいて、PHY処理部170で生成されたベースバンド信号は、無線通信部10において搬送帯域のOFDM信号に変換される。そして、第(n+3)フレームにおいて、第1〜第4サブバーストデータを含むOFDM信号がアレイアンテナ11から無線送信される。第(n+3)フレームでは、第1及び第3サブバーストデータについては再送データが、第2及び第4サブバーストデータについては新規データが送信される。
このように、第nフレームで基地局1から送信された送信データについてのHARQ再送制御の結果が、第nフレームよりも3フレーム後の第(n+3)フレームに反映される。言い換えれば、第nフレームで基地局1から送信された送信データについての再生制御信号に応じたデータ送信が、第nフレームよりも3フレーム後の第(n+3)フレームに行われる。以後、送信データが送信されるフレーム200の先頭から、当該送信データについての再送制御信号に応じたデータ送信が行われるフレーム200の先頭までの期間を「HARQ反映間隔」と呼ぶ。本実施の形態では、HARQ反映間隔が3フレーム分の時間となっている。
第(n+3)フレームにおいて、m個のサブバーストデータを受信した通信端末2では、制御部24が、当該m個のサブバーストデータを受信データバッファ240に記憶する。このとき、受信データバッファ240に記憶されている、以前に基地局1から送られてきたサブバーストデータは消去される。
制御部24は、受信データバッファ240に記憶されているm個のサブバーストデータのうち、新規データについては誤り訂正復号化処理を行う。そして、制御部24は、誤り訂正復号化処理を行った新規データのうち、誤りが検出されたサブバーストデータを、基地局1からの再送を待つ対象として再送データバッファ241に記憶する。また、制御部24は、誤り訂正復号化処理を行った新規データのうち、誤りが検出されたサブバーストデータについての再送制御信号としてNACKを示す再送制御信号を生成し、誤りが検出されなかったサブバーストデータについての再送制御信号としてACKを示す再送制御信号を生成する。
一方で、制御部24は、受信データバッファ240に記憶されているm個のサブバーストデータのうち、再送されてきた第kサブバーストデータについては、当該第kサブバーストデータと、再送データバッファ241に記憶されている、誤りが検出された初回の第kサブバーストデータとを最大比合成する。そして、制御部24は、最大比合成によって得られたデータを新たな第kサブバーストデータとして、当該第kサブバーストデータに対して誤り訂正復号化処理を行う。制御部24は、新たな第kサブバーストデータに誤りがある場合には、第kサブバーストデータについて、NACKを示す再送制御信号を生成する。一方で、制御部24は、新たな第kサブバーストデータに誤りがない場合には、第kサブバーストデータについて、ACKを示す再送制御信号を生成する。なお、最大比合成によって得られた新たな第kサブバーストデータに誤りが無い場合には、再送データバッファ241からは、初回の第kサブバーストデータが消去される。
制御部24において、m個のサブバーストデータにそれぞれ対応したm個の再送制御信号が生成されると、当該m個の再送制御信号は、第(n+4)フレームにおいて、通信端末2から基地局1に無線送信される。
第(n+4)フレームにおいて、無線通信部10は、第(n+3)フレームで送信した第1〜第4サブバーストデータにそれぞれ対応する4つの再送制御信号を受信する。図9の例では、第1〜4サブバーストデータについての再送制御信号は、ACK、ACK、ACK及びNACKをそれぞれ示している。したがって、第4サブバーストデータの再送が要求されていることになる。
第(n+4)フレームでは、スケジューラ160が、第(n+3)フレームで送信した第1〜第4サブバーストデータのうちの新規データであった各サブバーストデータについて、当該サブバーストデータの再生制御信号が再送を要求していないことを示す場合に送信する新規のサブバーストデータについてのスケジューリングを、当該再送制御信号を受け取る前に開始する。
本例では、スケジューラ160は、第(n+3)フレームで送信した新規の第2サブバーストデータと同じデータ量を有する、誤り訂正符号化処理後のデータを生成する。スケジューラ160は、生成したこのデータを、候補第2サブバーストデータとする。そして、スケジューラ160は、生成した候補第2サブバーストデータの送信に使用する無線リソースとして、第(n+3)フレームで送信した第2サブバーストデータで使用した無線リソースを割り当てる。
スケジューラ160は、同様にして、第(n+3)フレームで送信した新規の第4サブバーストデータの再生制御信号がNACKを示す場合に送信する候補第4サブバーストデータを生成する。そして、スケジューラ160は、生成した候補第4サブバーストデータの送信に使用する無線リソースとして、第(n+3)フレームで送信した第4サブバーストデータで使用した無線リソースを割り当てる。
第(n+4)フレームにおいて生成された候補第2サブバーストデータ及び候補第4サブバーストデータは、新規の送信対象データとして、送信指示情報とともにPHY処理部170に入力される。
第(n+4)フレームにおいて、PHY処理部170は、送信指示情報が入力されると、送信データバッファ172が空であるかを判断する。PHY処理部170は、送信データバッファ172が空であるなら、入力された送信対象データを送信データバッファ172内に書き込む。一方で、PHY処理部170は、送信データバッファ172が空でないなら、入力された送信対象データを候補データバッファ171内に書き込む。図9の例では、送信データバッファ172は空でないため、新規の送信対象データである第2候補サブバーストデータ及び第4候補サブバーストデータは候補データバッファ171に書き込まれる。
スケジューラ160は、第(n+4)フレームにおけるタイミングT1において、4つの再送制御信号を受け取ると、この4つの再送制御信号に応じて次に基地局1から送信される第1〜第4サブデータバーストを特定し、第1〜第4サブバーストデータについての新たなDL−MAPメッセージを生成する。さらに、スケジューラ160は、入力された4つの再送制御信号に基づいて、第(n+3)フレームで送信された第1〜第4サブバーストデータのそれぞれについて、再送が要求されているか否かを通知するための再送通知情報を生成する。スケジューラ160で生成されたDL−MAPメッセージ及び再送通知情報は、第(n+5)フレームにおいてPHY処理部170に通知される。
第(n+5)フレームにおいて、PHY処理部170は、MAC処理部150から通知された再送通知情報に基づいて、第(n+3)フレームで送信した、送信データバッファ172内の第1〜第4サブバーストデータのそれぞれについて、再送が要求されているかどうかを特定する。そして、PHY処理部170は、送信データバッファ172に記憶されている第1〜第4サブバーストデータのうち、再送が要求されていない第kサブバーストデータを、候補データバッファ171内の候補第kサブバーストデータに置き換える。図9の例では、送信データバッファ172に記憶されている第1〜第3サブバーストデータが、候補データバッファ171内の候補第1サブバーストデータ、候補第2サブバーストデータ及び候補第3サブバーストデータにそれぞれ置き換えられる。その結果、送信データバッファ172内には、第(n+3)フレームで送信された第4サブバーストデータと、新規の第1〜第3バーストデータが記憶される。候補データバッファ171内のデータは、送信データバッファ172に書き込まれると、候補データバッファ171内から消去される。
次に、PHY処理部170は、第(n+5)フレームにおいて、送信データバッファ172から第1〜第4サブバーストデータを読み出す。そして、PHY処理部170は、入力されたDL−MAPメッセージと、読み出した第1〜第4サブバーストデータとを含む送信データを生成し、当該送信データに対してPHY送信処理を行う。これにより、当該送信データを含むベースバンド信号が生成される。このベースバンド信号は、第(n+6)フレームにおいて、無線通信部10で搬送帯域のOFDM信号に変換される。そして、第(n+6)フレームにおいて、アレイアンテナ11から、第1〜第4サブバーストデータを含むOFDM信号が無線送信される。
このように、第(n+3)フレームで基地局1から送信された送信データについてのHARQ再送制御の結果が、第(n+3)フレームよりも3フレーム後の第(n+6)フレームに反映される。
以後、無線通信システム100では、同様にしてHARQ再送制御が行われる。
なお、送信データバッファ172及び候補データバッファ171に空きが無い場合には、MAC処理部150で生成された新規のサブバーストデータを送信データバッファ172あるいは候補データバッファ171に書き込むことができない。したがって、この場合には、スケジューラ160は、基地局1が送信したサブバーストデータについての再生制御信号が再送を要求していないことを示す場合に送信する新規のサブバーストデータについてのスケジューリングを行わない。例えば、第(n+4)フレームにおいて、候補データバッファ171及び送信データバッファ172に空きが無い場合には、スケジューラ160は、スケジューリングを行わずに、送信指示情報をPHY処理部170に通知する。この場合には、第(n+4)フレームにおいて、MAC処理部150からの新規のサブバーストデータはPHY処理部170に到着しない。
また、スケジューラ160は、基地局1が送信すべき新規のサブバーストデータが全く無い場合には、スケジューリングを行わずに、再送制御信号が入力される前に送信指示情報をPHY処理部170に通知する。例えば、第(n+4)フレームにおいて、新規のサブバーストデータが無ければ、スケジューラ160は、スケジューリングを行わずに、再送制御信号が入力される前に送信指示情報をPHY処理部170に通知する。第(n+3)フレームにおいて基地局1が送信した第kサブバーストデータについての再送制御信号がACKを示す場合であって、候補データバッファ171内に候補第kサブバーストデータが存在する場合には、基地局1は、第(n+6)フレームにおいて、候補第kサブバーストデータを新規の第kサブバーストデータとして送信する。一方で、第(n+3)フレームにおいて基地局1が送信した第kサブバーストデータについての再送制御信号がACKを示す場合であって、候補データバッファ171内に候補第kサブバーストデータが存在しない場合には、基地局1は、第(n+6)フレームにおいては新規の第kサブバーストデータは送信しない。
以上に説明したPHY処理部170の動作を一般化すると、図10のフローチャートのようになる。図10のフローチャートは、一つのサブバーストデータに着目した際のPHY処理部170の動作を示している。
図10に示されるように、ステップs21において、PHY処理部170は、MAC処理部150から送信指示情報を受け取ると、ステップs22において、新規の第kサブバーストデータが到着しているか否かを判断する。PHY処理部170は、新規の第kサブバーストデータが到着していると判断すると、ステップs24において、送信データバッファ172が空がどうかを判断する。PHY処理部170は、送信データバッファ172が空の場合には、ステップs24において、新規の第kサブバーストデータを送信データバッファ172に書き込む。そして、ステップs25において、PHY処理部170は、送信データバッファ172内の第kサブバーストデータに対してPHY送信処理を行う。一方で、PHY処理部170は、送信データバッファ172が空でない場合には、ステップs26において、新規の第kサブバーストデータを候補データバッファ171に書き込む。
ステップs26の後、PHY処理部170は、MAC処理部150から再送通知情報を受け取ると、基地局1が送信した第kサブバーストデータについて再送が要求されているかを判断する。PHY処理部170は、再送が要求されていると判断すると、ステップs25を実行して、送信データバッファ172内の第kサブバーストデータに対してPHY送信処理を行う。一方で、PHY処理部170は、再送が要求されていないと判断すると、ステップs28において、候補データバッファ171内の第kサブバーストデータを読み出し、これを送信データバッファ172に書き込む。このとき、送信データバッファ172内の第kサブバーストデータは消去される。その後、PHY処理部170は、ステップs25を実行して、送信データバッファ172内の第kサブバーストデータに対してPHY送信処理を行う。
ステップs22において、PHY処理部170は、新規の第kサブバーストデータが到着していないと判断し、再送通知情報を受け取ると、第kサブバーストデータについて上述のステップs27を実行する。PHY処理部170は、再送が要求されている場合には、上述のステップs25を実行する。一方で、PHY処理部170は、再送が要求されていない場合にはステップs28を実行し、その後ステップs25を実行する。なお、ステップs27において再送が要求されていないと判断された場合に、候補データバッファ171内に候補第kサブバーストデータが存在しない場合には、PHY処理部170は、基地局1から送信すべき新規の第kサブバーストデータが存在しないと判断する。そして、PHY処理部170は、送信データバッファ172内の第kサブバーストデータを消去する。
以上のように、本実施の形態では、スケジューラ160が、再送制御信号を受け取る前に、当該再送制御信号がACKを示す場合に送信する新規のサブバーストデータについてのスケジューリングを開始するため、再送制御信号を受け取った後にスケジューリングを開始する場合と比較して、再送が要求されない場合に新規のサブバーストデータをすぐに送信することができる。
また、本実施の形態では、基地局1があるフレーム200で送信した複数のサブバーストデータについての複数の再送制御信号にACKを示す再送制御信号とNACKを示す再送制御信号が含まれる場合には、当該複数の再送制御信号に対応する再送データ及び新規データが同じフレーム200で送信される。このような場合に、新規データについてのスケジューリングを早く開始することによって、再送データ及び新規データを早く送信することができる。よって、再送遅延を低減することができるとともに、新規データを早く送信できる。
図11は、本実施の形態とは異なり、スケジューラ160が、再送制御信号を受け取った後にスケジューリングを開始する場合の無線通信システム100のHARQ再送制御を示す図である。図11に示されるように、nフレームにおいて、基地局1が新規の複数のサブバーストデータを送信すると、nフレームにおいて通信端末2は当該複数のサブバーストデータを受信する。通信端末2は、受信した複数のサブバーストデータに対して誤り訂正復号化処理を行って、当該複数のサブバーストデータについての再送制御信号を第(n+1)フレームに送信する。
基地局1では、第(n+1)フレームにおいて複数の再送制御信号を受信すると、スケジューラ160が、当該複数の再送制御信号がACK及びNACKのいずれを示すかに基づいて、送信対象の複数のサブバーストデータについてのスケジューリングを開始する。具体的には、スケジューラ160は、第kサブバーストデータの再送制御信号がACKを示す場合には、新規の第kサブバーストデータを生成して、当該新規の第kサブバーストデータに対して無線リソースを割り当てる。一方で、第kサブバーストデータの再送制御信号がNACKを示す場合には、当該第kサブバーストデータを再送するための無線リソースを当該第kサブバーストデータに対して割り当てる。
次に、基地局1は、第(n+3)フレームにおいて、送信対象の複数のサブバーストデータに対してPHY送信処理を行って、第(n+4)フレームにおいて、送信対象の複数のサブバーストデータを含むOFDM信号を無線送信する。通信端末2は、第(n+4)フレームにおいて複数のサブバーストデータを受信する。この複数のサブバーストデータには再送データ及び新規データの少なくとも一方が含まれる。
図12は、本実施の形態に係る無線通信システム100のHARQ再送制御を、図11に対応させて示した図である。図12に示されるように、nフレームにおいて、基地局1が新規の複数のサブバーストデータを送信すると、通信端末2は、当該複数のサブバーストデータについての再送制御信号を第(n+1)フレームに送信する。
基地局1では、複数の再送制御信号を受信する前に、スケジューラ160が、再送制御信号がACKを示す場合に送信する新規のサブバーストデータについてスケジューリングを開始する。基地局1は、複数の再送制御信号を受信すると、送信対象の複数のサブバーストデータを決定する。基地局1は、nフレームで送信した第kサブバーストデータの再送制御信号がACKを示す場合には、スケジューラ160で生成された新規の第kサブバーストデータを送信対象とする。一方で、基地局1は、nフレームで送信した第kサブバーストデータの再送制御信号がNACKを示す場合には、当該第kサブバーストデータを送信対象とする。
その後、基地局1は、第(n+2)フレームにおいて、送信対象の複数のサブバーストデータに対してPHY送信処理を行って、第(n+3)フレームにおいて、送信対象の複数のサブバーストデータを含むOFDM信号を無線送信する。通信端末2は、第(n+3)フレームにおいて複数のサブバーストデータを受信する。
以上のように、スケジューラ160が、再送制御信号を受け取った後にスケジューリングを開始した場合には、スケジューリング及びPHY送信処理のそれぞれに約1フレーム分の時間が必要であることから、基地局1が第nフレームに送信したサブバーストデータについての再送制御信号に応じて、再送データあるいは新規データが第(n+4)フレームに基地局1から送信される。つまり、HARQ反映間隔が4フレーム分の長さとなる。
これに対して、本実施の形態のように、スケジューラ160が、再送制御信号を受け取る前にスケジューリングを開始した場合には、基地局1が第nフレームに送信したサブバーストデータについての再送制御信号に応じて、再送データあるいは新規データが第(n+3)フレームに基地局1から送信される。つまり、HARQ反映間隔が3フレーム分の長さとなる。したがって、再送データあるいは新規データをすぐに送信することができる。
なお、上述の図9の例において、スケジューラ160は、第(n−2)フレームにおいて生成した、ある通信端末2に向けたサブバーストデータが送信された後に、当該通信端末2の再送データバッファ241に空きがあるようであれば、第(n−1)フレームにおいて、当該通信端末2に向けた新規のサブバーストデータについてのスケジューリングを行っても良い。再送データバッファ241には、誤りが検出された、再送待ちのサブバーストデータが記憶されることから、スケジューラ160は、第(n−2)で生成したサブバーストデータについての再送制御信号を受け取らない限り、再送データバッファ241の空き容量を正確には知ることができない。したがって、スケジューラ160は、第(n−2)フレームにおいて生成したサブバーストデータについて、通信端末2が誤りを検出するものと仮定して、再送データバッファ241の空き容量を推定する。第(n−1)フレームでのスケジューリングで生成された新規のサブバーストデータは、第(n+1)フレームにおいて基地局1から通信端末2に送信される。そして、第(n+1)フレームで送信されるサブバーストデータに対する再送制御の結果は、第(n+1)フレームよりも3フレーム後の第(n+4)フレームに反映される。つまり第(n+1)フレームで基地局1から送信された送信データについての再生制御信号に応じたデータ送信が、第(n+4)フレームに行われる。
また、第nフレームにおいても、その時点で通信端末2の再送データバッファ241に空きがあるようであれば、当該通信端末2に向けた新規のサブバーストデータのスケジューリングを行っても良い。第nフレームでのスケジューリングで生成されたサブバーストデータは、第(n+2)フレームにおいて基地局1から通信端末2に送信される。そして、第(n+2)フレームで送信されるサブバーストデータに対する再送制御の結果は、第(n+2)フレームよりも3フレーム後の第(n+5)フレームに反映される。
<通信端末の受信スループットの向上>
通信端末2の再送データバッファ241の容量が小さい場合には、HARQ反映間隔(本実施の形態では3フレーム分の長さ)において、基地局1が当該通信端末2に対して送信するサブバーストデータのデータ量が、当該通信端末2の再送データバッファ241の容量と同じとなることがある。この場合には、HARQ反映間隔ごとに、当該通信端末2は、その再送データバッファ241の容量と同じデータ量を受信することになる。したがって、この場合の当該通信端末2の受信スループットRS(単位:bps(bits per second))は以下の式(1)で表される。
RS=BC÷TI×CR1×FN ・・・(1)
ここで、BCは、再送データバッファ241の容量(単位:ビット)を示す。TIは、HARQ反映間隔に相当するフレーム数を示す。本実施の形態ではTI=3となる。CR1は、サブバーストデータについての符号化率を示す。そして、FNは、1秒間におけるフレーム200の数を示している。WiMAXでは、1フレーム200の時間長は5msに設定されていることから、FN=200となる。式(1)で示される受信スループットRSは、1秒間において通信端末2が基地局1から受信する情報量を示している。
本実施の形態において、例えば、ある通信端末2の再送データバッファ241の容量BCが370720ビット(WiMAXで規定されている最大値)、符号化率CR1が5/6(WiMAXで規定されている最大値))であるとすると、当該通信端末2の受信スループットRSは、以下のようになる。
RS=370720ビット÷3×5/6×200≒20.6Mビット
一方で、上述の図11に示されるように、スケジューラ160が再送制御信号を受け取った後にスケジューリングを開始する場合には、HARQ反映間隔は4フレーム分の長さになることから、この場合の通信端末2の受信スループットRSは以下のようになる。
RS=370720ビット÷4×5/6×200≒15.4Mビット
このように、基地局1が、HARQ反映間隔において、1つの通信端末2に対して送信するサブバーストデータのデータ量が、当該通信端末2の再送データバッファ241の容量と同じである場合には、本実施の形態のように、HARQ反映間隔を短くすることによって、当該通信端末2の受信スループットRSを向上することができる。
なお、通常通信を行う基地局1が、下りサブフレーム201における下りデータ領域201eの全領域を使って1つの通信端末2に対してデータを送信する場合において、当該通信端末2が1フレーム200の間で受信する情報量N−IF(以後、「通常通信時の1フレームあたりの受信情報量N−IF」と呼ぶ)は、以下の式(2)で表される。
N−IF=SLN×DC×MB×CR2 ・・・(2)
ここで、SLNは、下りデータ領域201eを構成するスロットの数を示す。DCは、1つのスロットに含まれるデータキャリアの数を示す。MBは、1つのデータキャリアで送信可能なビット数を示している。そして、CR2は、基地局1の送信データについての符号化率を示す。
WiMAXにおいて、下り通信のサブチャネル配置法として下りPUSC(Partial Usage of Subchannels)が使用される場合には、1スロットは、1つのサブチャネルと2つのOFDMシンボルで構成される。基地局1が下りPUSCを使用して通常通信を行うと、SLNは以下の式(3)で表される。
SLN=SCN×SN÷2 ・・・(3)
ここで、SCNは、1フレーム200に含まれるサブチャネルの数を示す。SNは、下りデータ領域201eに含まれるOFDMシンボルの数を示す。
一方で、2つのアンテナ11aを使用してMIMO通信(MIMOマトリックスBを使用した通信)を行う基地局1が、下りサブフレーム201における下りデータ領域201eの全領域を使って1つの通信端末2に対してデータを送信する場合において、当該通信端末2が1フレーム200の間に受信する情報量M−IF(以後、「MIMO通信時の1フレームあたりの受信情報量M−IF」と呼ぶ)は、以下の式(4)で示されるように、通常通信時の1フレームあたりの受信情報量N−IFの2倍となる。
M−IF=2×N−IF ・・・(4)
本実施の形態において、例えば、下りサブフレーム201が29個のOFDMシンボルを含み、プリアンブル領域201aが1つのOFDMシンボルを含み、DL−MAP領域201c及びUL−MAP領域201dが合計6つのOFDMシンボルを含むとすると、下りデータ領域201eに含まれるOFDMシンボルの数SNは、SN=29−1−6=22となる。そして、SCN=30とすると、SLN=30×22÷2=330となる。DC=48、MB=6(基地局1の送信データの変調方式として64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)が使用された場合)、CR2=5/6とすると、通常通信時の1フレームあたりの受信情報量N−IFは以下のようになる。
N−IF=330×48×6×5/6=0.079Mビット
また、MIMO通信時の1フレームあたりの受信情報量N−IFは以下のようになる。
M−IF=2×0.079Mビット=0.158Mビット
以上のような数値例において、MIMO通信を行う基地局1が、下りデータ領域201eの全領域を使用して1つの通信端末2にデータを送信する場合、1フレームあたりに基地局1が送信するデータのデータ量は、(0.158Mビット×6/5)=0.1896Mビットとなる。そして、通信端末2の再送データバッファ241の容量BCは、BC=370720ビット=0.37072Mビットである。したがって、基地局1が、通信端末2の再送データバッファ241の容量と同じデータ量のデータを当該通信端末2に対して送信するために必要なフレーム数は、(0.37072Mビット÷0.1896Mビット)≒2となる。つまり、MIMO通信を行う基地局1が、下りデータ領域201eの全領域を用いて1つの通信端末2にデータを送信する場合には、約2フレームの間、基地局1が当該通信端末2に対してデータを送信すると、基地局1は、再送データバッファ241の容量と同じデータ量のデータを当該通信端末2に対して送信することになる。上述の図9の例では、第(n−2)フレームと第(n−1)フレームとで生成された新規のサブバーストデータを基地局1が通信端末2に送信すると、基地局1は、再送データバッファ241の容量と同じデータ量を当該通信端末2に対して送信することになる。
上述のように、基地局1は、あるフレームにおいて生成した、通信端末2に向けた新規のサブバーストデータを送信した後においても当該通信端末2の再送データバッファ241に空きがあるようであれば、当該あるフレームの次のフレームにおいて、当該通信端末2に向けた新規のサブバーストデータを生成する。そして、基地局1は、当該あるフレームにおいて生成したサブバーストデータについて、通信端末2が誤りを検出するものと仮定して、当該通信端末2の再送データバッファ241の空き容量を推定する。したがって、基地局1は、第(n−2)フレームと第(n−1)フレームとで生成した新規のサブバーストデータを通信端末2に送信すると、再送データバッファ241の容量と同じデータ量を当該通信端末2に対して送信することになる場合には、第(n+3)フレームでは、スケジューリングを行わずに新規のサブバーストデータを生成しない。このような場合には、HARQ反映間隔において基地局1が通信端末2に対して送信するサブバーストデータのデータ量が、当該通信端末2の再送データバッファ241の容量と同じになる。
なお、上記の例では、スケジューラ160は、HARQ再送制御を行っている際に、基地局1が送信すべき新規のサブバーストデータが無くなった場合には、スケジューリングを行わずに、再送制御信号が入力される前に送信指示情報をPHY処理部170に通知していた。この場合には、基地局1は、受信した再送制御信号がNACKであった場合には再送データをすぐに送信できるものの、受信した再送制御信号がACKであった場合には、その再送制御信号に対応したサブバーストデータに割り当てられた無線リソースを使用することができない。
そこで、スケジューラ160は、基地局1がHARQ再送制御を行っている際に、基地局1が送信すべき新規のサブバーストデータが無くなった場合には、図11の例と同様に、再送制御信号が入力された後に、下りデータ領域201eを用いて送信するデータについてのスケジューリングを行っても良い。これにより、基地局1は無線リソースを有効利用できる。
また上記の例では、本願発明をWiMAXに適用する場合について説明したが、本願発明は、WiMAX以外の他の通信システム、例えばLTE(Long Term Evolution)にも当然に適用することができる。