JP5448624B2 - シャー刃およびアルミニウムの押出加工装置 - Google Patents

シャー刃およびアルミニウムの押出加工装置 Download PDF

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Description

この発明は、押出加工においてディスカードを切断するためのシャー刃およびその関連技術に関する。
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、アルミニウムは純アルミニウムおよびアルミニウム合金の両方を含む意味で用いる。また、押出材およびビレットの進む方向とは逆の方向を上流側と称する。
押出材品質の一つである表面性状は、要求水準が日々厳しくなっている。中でも外観に対する要求は特に厳しくなっている。
押出加工時に発生する外観不良としてエアーの巻き込みがある。エアーの巻き込みが発生した押出材に引抜や曲げ等の加工を行うと、加工品に破断(割れ)が発生するおそれがあるため、単に製品の見栄えに止まらない重要な問題である。
アルミニウムの熱間押出加工において、押出加工装置のコンテナに装填したビレットを押出した後、押出を停止してコンテナ内に押し残ったディスカードをシャーで切断し、次のビレットをコンテナに装填して先のビレットに押し継ぐことは一般的である。上述したエアー巻き込みの発生原因の一つは、先のビレットの切断面が平滑でないために次のビレットとの間にエアー溜まりが生じ、そのまま押し継がれることにある。
アルミニウムの熱間押出加工におけるディスカードの切断は、ワークをしっかりと保持し、ワークの形状に応じて切断条件を設定できる押出材や圧延板の切断とは異なり、切断面の平滑性が損なわれる以下のような要因がある。
(1)400℃以上の熱間での切断であるため、切断時にディスカードが変形しやすく、またシャー刃に付着しやすい。
(2)コンテナを後退させ、先のビレットをダイス側で片持ちした状態で切断するので、ディスカードがダイスから引き千切られやすい。
(3)押出停止中にダイス温度が低下すると次のビレットの押出に影響を及ぼすので、短時間でディスカードを切断しなければならない。
(4)押出材の仕様、材料合金によってディスカードの厚みや切断時の温度等の切断条件が異なる。
(5)押出材形状によってダイスのポートホールの数や形状が異なるので、ダイス側に残る部分の形状や体積が異なる。
また、ディスカードの切断装置は、押出加工装置の構造に鑑みてディスカードを上方から下方に切断する方式が採用され、押出材品質の維持、生産効率の向上という観点から、短時間で切断可能な、扁平板状のシャー刃が下降するタイプが一般的である。その他の切断方法は設備、作業、押出材品質の面から実用することが難しいからである。そして、扁平板状のシャー刃において、従来の切断方向に垂直な刃先を有するシャー刃に対し、刃先形状の改良により切断面の平滑性を向上させる試みが提案されている(特許文献1、2参照)。
特許文献1に記載されているシャー刃は、刃先をシャー刃の移動方向(下方)に対して凸状とし、かつ切断面に対向する面に0.1〜1.5°の逃げ角を形成したものである。特許文献2に記載のシャー刃は、刃先をシャー刃の移動方向(下方)に対して凹状の円弧形に形成したものである。
特開平9−29535号公報 特開2003−112220号公報
上述した2種類のシャー刃はいずれも切断面の平滑性向上に効果がある。しかしながら、刃先形状が特殊であるために加工費が高いという問題がある。
また、ディスカードと最初に接触する刃先を鋭角にすることによって切断面の平滑性は向上するが、切断時に最も大きな力が加わるために破損や摩耗を起こしやすくなる。その結果、刃先の状態が悪化してダイスポート内の材料持ち出し等を発生させ、切断面の平滑性を低下させる原因となる。さらに、鋭角な刃先が切断面に摺るため、刃先にディスカードが付着しやすい。
本発明は、上述した背景技術に鑑み、押出加工においてディスカードを切断する際に、平滑性の高い切断面が得られ、かつディスカードの付着や破損や摩耗を軽減して良好な切断面を持続させることができるシャー刃を低コストで提供することを目的とする。
即ち、本発明は下記[1]〜[6]に記載の構成を有する。
[1]アルミニウムの熱間押出加工において、下降してディスカードを切断するシャー刃であって、
刃先の先端部に付着防止部を有し、この付着防止部はシャー刃の移動方向に垂直な面に対して傾斜する平面で形成され、
前記付着防止部に続く第1すくい面のシャー刃の移動方向に対する傾斜角度(θ)と、この第1すくい面に続く第2すくい面のシャー刃の移動方向に対する傾斜角度(θ)とが、θ>θの関係を満たしていることを特徴とするシャー刃。
[2]前記刃先の傾斜角度(α)が5〜10°である前項1に記載のシャー刃。
[3]前記刃先の付着防止部の厚み(t)が0.5〜5mmである前項1または2に記載のシャー刃。
[4]アルミニウムビレットをダイスから押出した後、押し残ったディスカードを切断し、その切断面に新たなビレットを押し継ぎして押出を継続する押出加工方法であって、
押出温度が400〜550℃であり、前記ディスカードの切断を前項1〜3のいずれかに記載のシャー刃で行うことを特徴とするアルミニウムの押出加工方法。
[5]前記ビレットはJIS 3000系アルミニウム合金またはJIS 6000系アルミニウム合金からなる前項4に記載のアルミニウムの押出加工方法。
[6]ダイスと、前記ダイスの上流側に配置してアルミニウムビレットを装填するコンテナとを備え、
前記コンテナに装填したアルミニウムビレットをダイスから押出した後、押し残ったディスカードを切断するシャー刃として、前項1〜3のいずれかに記載のシャー刃を備えることを特徴とするアルミニウムの押出加工装置。
上記[1]に記載の発明にかかるシャー刃は、刃先の先端の付着防止部がシャー刃の移動方向に垂直な面に対して傾斜する平面で形成された斜め刃である。このため、ディスカード切断時、シャー刃の下降によってディスカードにかかる力(F)は分解されて、シャー刃の移動方向に対して小さい斜め方向の力がディスカードに孔を空けようとする力(F)として作用し、刃先はディスカードを斜め方向に切断していく。即ち、力(F)よりも小さい力(F)によってディスカードが切断される。前記ディスカードに孔を空けようとする力(F)は、さらにすくい面に働く力(F’)に分解され、ポートホール内の押出材料を持ち出そうとする力として作用する。従来の垂直刃を有するシャー刃では、ディスカードに孔を空けようとする力がディスカードにかかる力(F)に等しいため、垂直刃におけるすくい面に働く力(F’)と上述した斜め刃におけるすくい面に働く力(F’)とはF’>F’となる。従って、斜め刃を有する本発明のシャー刃は垂直刃よりもポートホール内の押出材料を持ち出そうとする力が小さく、これにより押出材料の持ち出しによるエアーポケットの形成が抑制される。
また、切断は、第1すくい面でくさびを打ち込むようにして始まり、第1すくい面による切断部分が第2すくい面上を進むことで進行する。第1すくい面の傾斜角度(θ)と第2すくい面の傾斜角度(θ)とはθ>θであるから、第1すくい面による切断部分が第2すくい面でシャー刃から引き離されることなく切り進んで行くので、ポートホールからの押出材料の持ち出しが抑制される。
このように、斜め刃および2段のすくい面の傾斜角度差によってポートホールからの押出材料の持ち出しが抑制されるので、平滑性の高い切断面が形成される。そして、従来平滑な切断が困難であった、アルミニウムの熱間押出加工においても、平滑性の高い切断面を得ることができ、ひいては押し継ぎにおけるエアーの巻き込みを抑制できる。
さらに、前記刃先の付着防止部が平面で形成され、先がディスカードに接触した時の衝撃が吸収されるので刃先の破損や摩耗が防がれるので、平滑性の高い切断面を持続できる。このとき付着防止部は、シャー刃の移動方向に垂直な面に対して傾斜する平面で形成されているために切断部分に生じた新生面と摺ることが少ないので、ディスカードが付着する事が無い。
本発明において規定されるシャー刃の形状は平面および直線の組み合わせであるから、かかる刃先形状を形成するための加工は容易であり、シャー刃の製作コストも高くならない。
上記[2]に記載の発明によれば、特に平滑性の高い切断面を形成できる。
上記[3]に記載の発明によれば、ディスカード接触時の衝撃吸収効果と切れ味とを両立できる。
上記[4]に記載の発明によれば、400〜550℃のアルミニウム熱間押出おいて、のディスカードを平滑性の高い切断面で切断できるので、継ぎ押し時のエアーの巻き込みを抑制できる。
上記[5]に記載の発明によれば、JIS 3000系アルミニウム合金またはJIS 6000系アルミニウム合金の熱間押出において、継ぎ押し時のエアーの巻き込みを抑制できる。
上記[6]に記載の発明によれば、上記[4][5]に記載のアルミニウムの熱間押出加工を好適に実施することができる。
本発明にかかるシャー刃の一実施形態を示す正面図である。 図1Aのシャー刃の側面図である。 押し継ぎを行う押出加工方法における第1工程を示す図である。 押し継ぎを行う押出加工方法における第2工程を示す図である。 押し継ぎを行う押出加工方法における第3工程を示す図である。 押し継ぎを行う押出加工方法における第4工程を示す図である。 垂直刃によるディスカードの切断を、ダイスの上流側から見た図である。 図3Aのディスカード切断において、切断後のダイスの上流側端面を示す図である。 図3Aのディスカード切断において、切断後の状態を示す断面図である。 垂直刃によるディスカードの切断において、ディスカードにかかる力を説明する図である。 垂直刃によるディスカードの切断において、すくい面側に働く力を説明する図である。 斜め刃によるディスカードの切断において、ディスカードにかかる力を説明する図である。 斜め刃によるディスカードの切断において、すくい面側に働く力を説明する図である。
図1Aおよび図1Bは本発明にかかるシャー刃の一実施形態を示している。図2A〜図2Dは、前記シャー刃を備えた押出加工装置と押し継ぎによる押出加工方法の工程を示している。これらの図において、(1)はシャー刃、(20)は押出ダイス、(21)はコンテナ、(22)はステム、(23)はディスカード、(24)は押出材、(25)はポートホール、(26)は押出材料(押出ダイス内に流入したビレット)、(S)(S2)はビレットである。
前記シャー刃(1)は扁平板状体であり、下降することによってディスカード(23)を切断する。前記シャー刃(1)の下端部に形成された刃先(10)は、矢印で示すシャー刃(1)の移動方向に垂直な面に対して、傾斜角度(α)で傾斜している。以下の説明において、シャー刃の移動方向に垂直な面に対し傾斜角度(α)が0°を超える角度に形成された刃先を「斜め刃」、傾斜角度(α)が0°に形成された刃先を「垂直刃」とそれぞれ略称する。
前記刃先(10)の先端部である付着防止部(11)は平面、即ちシャー刃(1)の移動方向に垂直な面に対して傾斜角度(α)で傾斜する平面で形成されている。また、すくい面は、付着防止部(11)に続く第1すくい面(12)と、この第1すくい面(12)に続く第2すくい面(13)の2段に形成されている。前記第1すくい面(12)のシャー刃(1)の移動方向に対する傾斜角度は(θ)、第2すくい面(13)のシャー刃(1)の移動方向に対する傾斜角度は(θ)である。これらの傾斜角度(θ)(θ)はθ>θの関係を満たしている。
本発明においては、刃先(10)を斜め刃とすることにより、押出ダイス(10)のポートホール(25)からの押出材料(26)の持ち出しを抑制し、切断面の平滑性を高めている。
図3Aは、垂直刃(30)をするシャー刃(31)でディスカード(23)を切断する工程を押出ダイス(20)の上流側から見た図である。前記シャー刃(31)でディスカード(23)を切断すると、ポートホール(25)の上部は押出材料(26)が持ち出されやすく、持ち出された箇所は微少なエアーポケット(27)となる(図3B参照)。また、ディスカード(23)の厚みが厚い場合、シャー刃(31)がディスカード(23)の下端に到達する前に押出ダイス(20)から引き千切られてしまい、下方のポートホール(25)内の押出材料が持ち出されてエアーポケット(27)が発生する(図3C参照)。このとき付着防止部(11)は、シャー刃の移動方向に垂直な面に対して傾斜する平面で形成されているために切断部分に生じた新生面と摺ることが少ないので、ディスカードが付着する事が無い。
ここで、シャー刃(1)(31)の下降によるディスカード(23)の切断において、刃先(10)(30)の傾斜の有無が切断に及ぼす影響について、図4A〜図5Bを参照しつつ説明する。
図4Aに示すように、垂直刃(30)で切断する場合、シャー刃(31)からディスカード(23)にかかる力は下向きの力(F)であり、この力(F)の全てがディスカード(23)に孔を空けようとする力として作用する。そして、ディスカード(23)はシャー刃(31)の移動方向である直下方向に切断されていく。一方、図5Aに示すように、斜め刃(10)で切断する場合、シャー刃(1)からディスカード(23)にかかる下向きの力(F)は分解され、シャー刃(1)の移動方向に対して斜め方向の力がディスカード(23)に孔を空けようとする力(F)として作用する。そして、ディスカード(23)は前記力(F)の方向に沿って斜め方向に切断されていく。
図4Bおよび図5Bに示すように、これらのディスカード(23)に孔を空けようとする力(F)(F)は、それぞれすくい面側に働く力(F’)(F’)に分解される。これらのすくい面側に働く力(F’)(F’)は押出ダイス(20)のポートホール(25)内の押出材料(26)を持ち出そうとする力である。従って、これらの力(F’)(F’)が大きくなるほどポートホール(25)から押出材料(26)が持ち出されやすくなって、エアーポケット(27)が発生しやすくなり、小さくなるほどエアーポケット(27)が発生しにくくなる。また、ポートホール(25)の上部は切断時にポートホール(25)と押出材料(26)との接触部に力が加わるために、押出材料(26)がポートホール(25)の壁面から離れやすい状況にある。この為、ポートホール(25)の上部にエアーポケット(27)が発生しやすい(図3B参照)。
そして、上記の2種類のシャー刃(1)(31)に作用する力を比較すると、ディスカード(23)に孔を空けようとする力(F)(F)はF>Fの関係にあるから、すくい面側に働く力(F’)(F’)はF’>F’の関係にある。従って、斜め刃(10)は垂直刃(30)を有するシャー刃(31)よりもエアーポケット(27)が発生しにくくなる。さらに、斜め刃(10)はディスカード(23)を斜め方向に切断していくため、直下方向の切断と比較して、押出ダイス(20)がディスカード(23)を支持する力が強くなる。このため、ディスカード(23)の下端まで切断することができ、図3Cに示すような下方のポートホール(25)からの持ち出しが抑制される。これらにより、斜め刃(10)を有するシャー刃(1)は垂直刃(30)を有するシャー刃(31)よりも平滑性の高い切断面で切断することができる。
上述したポートホール(25)内の押出材料(26)の持ち出し抑制効果は、刃先(10)が傾斜していれば得られるので、本発明における傾斜角度(α)の条件はα>0となる。ただし、傾斜角度(α)が小さくなるほど力の分解による上記効果が小さくなるので、傾斜角度(α)は5°以上が好ましい。一方、傾斜角度(α)が大きくなるほどシャー刃(1)の長さを長くする必要があり、切断時の下降ストロークも長くしなければならなので、サイクルタイムが長くなる。サイクルタイムが長くなると刃先(10)の剛性が落ち、シャー刃(1)がディスカード(23)から逃げて不均一な切断厚みになるおそれがある。これらの観点より、傾斜角度(α)は10°以下が好ましい。特に好ましい刃先(10)の傾斜角度(α)は5〜8°である。
さらに、本発明においては、刃先(10)の先端部(11)がシャー刃(1)の移動方向に垂直な面に対して傾斜する平面で形成され、かつ第1すくい面(12)の傾斜角度(θ)と第2すくい面(13)の傾斜角度(θ)とがθ>θの関係を満たしていることを要件とする。かかる構成により、刃先(10)がディスカード(23)に接触した際の衝撃を平面の付着防止部(11)で吸収して刃先(10)の破損や摩耗を防ぎ、第1すくい面(12)でくさびを打ち込むようにして切断を開始し、第1すくい面(12)による切断部分を第2すくい面(13)上を滑らかに進ませ、第1すくい面(12)による切断を助長して平滑性の高い切断面を形成することができる。即ち、第1すくい面(12)による切断部分が第2すくい面(13)でシャー刃(1)から引き離されないように切り進むことで、平滑性の高い切断面を得ることができる。そして、[背景技術]の欄で説明したような、ディスカードを平滑な面で切断することが困難な熱間押出、特に400〜550℃のアルミニウム熱間押出においても、平滑性の高い切断面を得ることができる。
前記刃先(1)の付着防止部(11)の厚み(t)は、0.5〜5mmの範囲が好ましい。付着防止部(11)の厚み(t)が0.5mm以下では衝撃吸収効果が小さくシャー刃(1)の寿命が短くなる。一方、5mmを超えると切れ味が悪くなって切断面の平滑性が低下するおそれがある。特に好ましい付着防止部(11)の厚み(t)は0.5〜3mmである。
また、前記第1すくい面(12)の傾斜角度(θ)と第2すくい面(13)の傾斜角度(θ)とがθ≦θの関係にある時は、第1すくい面(12)による切断部分を第2すくい面(13)がシャー刃(1)から引き離そうとする力が増大してポートホール(25)から押出材料(26)が持ち出され易くなるので、切断面の平滑性が損なわれる。前記第1すくい面(12)の好ましい傾斜角度(θ)は45〜60°であり、第2すくい面(13)との好ましい傾斜角度の差(θ−θ)は30〜45°である。
上述したように、本発明のシャー刃の刃先は単純な斜め刃であり、この斜め刃の付着防止部を平面とし、2段のすくい面の傾斜角度を規定しているに過ぎない。これらによって規定される刃先形状は平面および直線を組み合わせであるから、かかる刃先形状を形成するための加工は容易であり、特許文献1、2に記載された凸状または凹状のシャー刃に比べて製作コストを抑えることができる。従って、本発明の発明によれば、平滑性の高い切断面を形成でき、かつ寿命の長いシャー刃を低コストで得ることができる。
(押し継ぎによる押出加工方法)
図2A〜図2Dは押し継ぎによる押出加工方法の工程を模式的に示している。押し継ぎによる押出加工は下記(1)〜(4)の工程を繰り返すことにより行う。
(1)図2A:ビレット(S)により押出材(24)を押し出す。
(2)図2B:ビレット(S)を押し出した後、コンテナ(21)を後退させてディスカード(23)を露出させる。シャー刃(1)を下降させてディスカード(23)を切断する。この工程中に次のビレット(S)の装填準備をする。
(3)図2C:シャー刃(1)を上昇させて上方に待機させるとともに、コンテナ(21)を前進させる。
(4)図2D:コンテナ(21)に次のビレット(S)を装填して押出を行う。押出ダイス(20)内の押出材料(26)は次のビレット(S)に押し継がれ、押出材(24)が継続して押し出される。
アルミニウムの熱間押出加工は400〜550℃で行われ、シャー刃(1)が切断するディスカード(23)の温度も前記温度範囲である。本発明の押出加工方法においては、上述した斜め刃(10)を有するシャー刃(1)でディスカード(23)の切断を行うから、押出ダイス(20)内の押出材料(26)の切断面の平滑性が高いので、次のビレット(S)との間にエアー溜まりを形成することなく押し継がれる。この方法で製造された押出材(24)はエアーの巻き込みがなく外観品質が良好である。さらに、引抜加工や曲げ加工の加工素材として前記押出材(24)を用いることにより、引抜材や曲げ材等の加工品の品質も向上させることができる。
また、本発明の熱間加工押出方法はアルミニウムの種類を限定するものではないが、JIS 3000系アルミニウム合金またはJIS 6000系アルミニウム合金の押出加工に適している。前記アルミニウム合金は、感光ドラム用素管、OA用部品、建材、エクステリア材等の材料として好適に用いられる合金であり、これらの製品は中空押出材または中空押出材を引抜や曲げの加工素材として用いて製作されるため、本発明の適用により製品品質の向上を見込めるためである。
図2A〜図2Dに参照される押し継ぎによる円筒管の押出加工において、シャー刃の形状を変えてディスカードの切断を行う切断試験を行った。
切断試験に用いたビレットは直径155mmのJIS 6000系アルミニウム合金製であり、押出温度(ビレットの実体温度)を450℃とした。
切断試験に用いたシャー刃の形状は表1〜表3に示すものであり、刃先の傾斜角度(α)、第1すくい面の傾斜角度(θ)、第2すくい面の傾斜角度(θ)、付着防止部の厚み(t)は図1Aおよび図1Bに示す各部の角度または寸法である。
表1のNo.1〜8は、刃先の付着防止部の厚み(t)を固定し、刃先の傾斜の有無(無:α=0°、有:α=5°)および第1すくい面および第2すくい面の傾斜角度(θ)(θ)の差による影響を調べたものである。なお、傾斜の無い(α=0°)刃先とは、図3Aに参照される垂直刃(30)である。
表2のNo.11〜14は、刃先の傾斜角度(α)、第1すくい面および第2すくい面の傾斜角度(θ)(θ)を固定し、付着防止部の厚み(t)による影響を調べたものである。
表3のNo.21〜26は、第1すくい面および第2すくい面の傾斜角度(θ)(θ)、付着防止部の厚み(t)を固定し、刃先の傾斜角度(α)による影響を調べたものである。
各シャー刃について、1日につき250本のビレットを押し継いで押出加工を行い、試験開始時、1週間後、2週間後に切断面の状態を下記の基準に従って評価した。また、刃先寿命は、押出試験終了後の刃先の状態により下記の基準に従って評価した。さらに、切断面の状態と刃先寿命の両面から、シャー刃の実用性について総合的に評価した。
〔切断面の状態〕
ポートホールからのアルミニウムの持ち出しに基づいて6段階で評価した。
5(非常に良好):持ち出しがなく、切断面は極めて良好。
4(良好):殆ど持ち出しが殆どなく、切断面は良好。
3(概ね良好):刃先(斜め刃):持ち出しが時々発生するが、切断面は概ね良好。
2(少し悪い):持ち出しの発生頻度が高く、切断面が少し悪く品質上問題がある。
1(悪い):2よりも持ち出しの発生頻度が高く、切断面が悪く品質上問題がある。
0(不可):持ち出しの発生頻度がかなり高く、切断面が極めて悪く品質上問題がある。また、刃先の状態も悪い。
〔刃先寿命〕
○:破損、摩耗が殆どない。
△:一部に破損、摩耗が見られる。
×:試験開始後すぐに破損、摩耗が見られる。
〔総合評価〕
◎:非常に良い。特に使用に適する。
○:良い。使用に適する。
△:交換頻度を高くすれば、使用できる。
×:使用に適さない。
Figure 0005448624
Figure 0005448624
Figure 0005448624
以上の評価結果より、本発明で規定した形状のシャー刃は、切断面においてポートホールからのアルミニウムの持ち出しがなく、平滑性の高い切断面を形成できることを確認した。また、刃先の破損や摩耗が少なく、寿命の長いものであった。
本発明はアルミニウムの熱間押出加工における押し継ぎに利用することができる。
1、31…シャー刃
10…刃先(斜め刃)
11…付着防止部
12…第1すくい面
13…第2すくい面
30…刃先(垂直刃)
α…刃先の傾斜角度
t…付着防止部の厚み
θ…第1すくい面の傾斜角度
θ…2すくい面の傾斜角度

Claims (6)

  1. アルミニウムの熱間押出加工において、下降してディスカードを切断するシャー刃であって、
    刃先の先端部に付着防止部を有し、この付着防止部はシャー刃の移動方向に垂直な面に対して傾斜する平面で形成され、
    前記付着防止部に続く第1すくい面のシャー刃の移動方向に対する傾斜角度(θ)と、この第1すくい面に続く第2すくい面のシャー刃の移動方向に対する傾斜角度(θ)とが、θ>θの関係を満たしていることを特徴とするシャー刃。
  2. 前記刃先の傾斜角度(α)が5〜10°である請求項1に記載のシャー刃。
  3. 前記刃先の付着防止部の厚み(t)が0.5〜5mmである請求項1または2に記載のシャー刃。
  4. アルミニウムビレットをダイスから押出した後、押し残ったディスカードを切断し、その切断面に新たなビレットを押し継ぎして押出を継続する押出加工方法であって、
    押出温度が400〜550℃であり、前記ディスカードの切断を請求項1〜3のいずれかに記載のシャー刃で行うことを特徴とするアルミニウムの押出加工方法。
  5. 前記ビレットはJIS 3000系アルミニウム合金またはJIS 6000系アルミニウム合金からなる請求項4に記載のアルミニウムの押出加工方法。
  6. ダイスと、前記ダイスの上流側に配置してアルミニウムビレットを装填するコンテナとを備え、
    前記コンテナに装填したアルミニウムビレットをダイスから押出した後、押し残ったディスカードを切断するシャー刃として、請求項1〜3のいずれかに記載のシャー刃を備えることを特徴とするアルミニウムの押出加工装置。
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