JP5448149B2 - 分散型低電圧加速装置による円形粒子線加速器 - Google Patents

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Description

本発明は、荷電粒子を加速する粒子線加速器に係わり、特に加速装置で使用する一次電流の電圧値、電流値を低く抑えながら、粒子線を十分な速度まで、加速させるようにした分散型低電圧加速装置による円形粒子線加速器に関する。
粒子線を相対論レベルの高エネルギーまで加速する円形加速器の加速手法として、従来から、サイクロトロン、マイクロトロン、シンクロトロン、FFAG、円形粒子線加速器が知られている。
図15に示す従来型の円形粒子線加速器101は、粒子線の通り路となる複数の真空ダクト102を連結して形成される正多角形状(ほぼ円形状)の加速路103と、加速路103と連通する真空ダクト104によって構成され、粒子発生源で得られた粒子を加速路103内に導く入射路105と、加速路103と連通する真空ダクト106によって構成され、加速路103で十分に加速された粒子集群を取り出す出射路107と、加速路103の各所に配置され、加速路103内で加速される粒子集群の進路を偏向させる複数の偏向電磁石108と、加速路103に取り付けられ、加速路103内の粒子集群を閉じ込めながら、加速させる加速装置109とを備えている。
そして、粒子発生源で得られた粒子を粒子発生源→入射路105→加速路103なる経路で加速路103内に導き、各偏向電磁石108によって、加速路103内の粒子集群を偏向させて、粒子集群の軌道を加速路103の中心線とほぼ一致させながら、加速装置109によって、加速路103内の粒子集群を連続的に加速させた後、十分に加速させた粒子集群を加速路103→出射路107→ターゲットなる経路で、ターゲットに導く。
特開2006−032281号公報 特開2006−310013号公報
ところで、このような円形粒子線加速器101で使用される加速装置109は、図16に示す如く厚さ数cM程度のトロイダルコア110などを多層化させた磁性体111と、磁性体111に巻き付けられる一次巻き線112と、磁性体111に巻き付けられる二次巻き線113とによって表すことができる。これを真空管を用いたスイッチングで数十KVの高電圧を発生させる。
近年の半導体技術の発展により、真空管でのスイッチングの役割を半導体で置き換えることが可能となってきた。円形粒子線加速器に関しては高応答(周波数特性の優れた物)の半導体素子は耐電圧性能に限界があるが、多直列接続及び同時スイッチングにより、高電圧出力が可能となる。駆動装置114内で、直列に接続された多数の半導体スイッチング素子115を同時にオンさせ、直列に接続された多数のコンデンサ116に蓄積されている電荷を放電させることにより、一次巻き線112に高電圧(ここでは例として16KV)、大電流の一次電流(1波長分の高周波駆動電流)を供給し、このとき発生する磁束によって、二次巻き線113に誘導起電圧を発生させ、加速路103内の粒子集群を加速させる。
この際、各半導体スイッチング素子115のスイッチングタイミングがずれると、各半導体スイッチング素子115の少なくともいずれか1つが過負荷状態になり、破損してしまう恐れがある。このため、このような加速装置109では、安全性の観点から、各半導体スイッチング素子115の耐圧値を半分にした値を設計値にして、加速装置109を設計しなければならず、コスト高になってしまうという問題があった。
また、一次巻き線112に対し、16KVに達する高電圧、大電流の一次電流を供給しなければならないことから、駆動装置114などを構成する抵抗器、伝送線(例えば、同軸ケーブル)117などの個別受動素子を高耐圧仕様にしなければならない。このため、各個別受動素子が大型化し、その分だけ内部インダクタンスが増加してしまい周波数特性の劣化につながるデメリットとなるだけでなく、これを補正するために高電圧部と低電圧部を近づける等の処置を施しここでの耐電圧の問題が再浮上するという問題があった。
また、このような従来の円形粒子線加速器101では、加速装置109によって、粒子集群を閉じ込めるとき、時間的に変化する電圧(1波長分の高周波駆動電圧)を必要とすることから、加速装置109に一次電流を供給する駆動装置114の回路構成が複雑になってしまうという問題があった。
さらに、このような従来の円形粒子線加速器101では、粒子集群を加速するのに必要な1波長分の高周波駆動電圧値と、粒子集群を閉じ込めるのに必要な1波長分の高周波駆動電圧値とが異なることから、複数の駆動装置114によって、異なる電圧値の高周波駆動電圧を生成させなければならず、システム全体の製造コストが高くなってしまうという問題があった。
工学的問題のみならず、ビーム物理の観点からも問題が発生する。円形粒子線加速器における加速装置の従来技法は、「加速装置を1箇所に(もしくは局在的に)配置し、電磁石技術で粒子集群を加速装置に繰り返し入射する徐々にエネルギーを高めていく」ことを基本概念としている。粒子群は1回当り数KVから数MVの加速を受け、これを繰り返す事で、数GeVから数TeVの高エネルギーまで到達する。この過程において、粒子群は次の加速を得るまで、円形粒子線加速器1周分の長い距離を走行しなければならない。粒子群は同極の電荷を有しているので、クーロン力により、粒子群内の粒子それぞれに対して反発力を常に発生、且つ、受けている。この力により自発的に粒子群が散逸してしまい、損失となる。粒子進行方向に対して垂直方向の散逸現象は、相対論的ローレンツ力により、粒子のエネルギーの3乗に比例した自発的散逸抑止効果があり、その抑止効果で不足する部分は従来技術では多極電磁石での集束効果で補う形としている。他方、粒子進行方向の散逸現象は、加速器の出力強度性能を決定する一要因である。粒子進行方向の散逸現象は、粒子のエネルギーの1乗に比例した自発的散逸抑止しかない。直線型加速器においては大きな問題ではないが、円形粒子線加速器においては、粒子の運動量(もしくはエネルギー)が1%程度異なると加速装置に到達させることができず、損失につながる。加速器の大出力化を目指し粒子数を増やしていくとクーロン力が増え上述のような現象が起こる。その一例と示した物が図17であり、1/4周後、半周後、3/4周後、1周後になるにつれ左右に散逸してしまう。この散逸による運動量偏差は図18のように距離とともに増えていく。このような損失過程の原因は、長い距離を走行することにある。これが短い距離で済む概念があれば加速器出力の大強度化が期待できる。
本発明は上記の事情に鑑み、請求項1では、加速装置を稼働させる際の電圧値、電流値を低く抑えさせながら、短い時間で、十分な速度まで、粒子集群を加速させることができる円形粒子線加速器を提供することを目的としている。
また、請求項2では、加速装置を稼働させるのに必要な駆動装置の回路構成を簡素化させて、システム全体のコストを大幅に低減させ、さらに加速装置を稼働させる際の電圧値、電流値を低く抑えさせながら、短い時間で、十分な速度まで、粒子集群を加速させることができる円形粒子線加速器を提供することを目的としている。
また、請求項3では、単一の高周波駆動電圧で、加速装置を稼働させて、システム全体のコストを大幅に低減させ、さらに加速装置を稼働させる際の電圧値、電流値を低く抑えさせながら、短い時間で、十分な速度まで、粒子集群を加速させることができる円形粒子線加速器を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明は、請求項1では、加速装置を使用して、粒子集群を閉じ込め、加速させる円形粒子線加速器において、粒子走行距離が円形加速器の周長より短くなるように加速路の各的にセクション毎に各々、分散的に配置され、前記加速路内の粒子集群を閉じ込めさせながら、加速させるN(但し、Nは整数)台の加速装置と、指定された周期で、粒子が円形加速器を1周するための要する時間を1波長とする高周波電圧、またはパルス電圧を各々、発生し、前記各加速装置を個別単位、またはグループ単位で駆動するM(但し、Mは“M≦N”を満たす整数)台の駆動装置とを備え、前記各駆動装置を協調動作させて、前記各加速装置に粒子集群の閉じ込め処理、加速処理を行なわせることを特徴としている。
また、請求項2では、加速装置を使用して、粒子集群を閉じ込め、加速させる円形粒子線加速器において、粒子走行距離が短くなるように加速路の各ストレートセクションに各々、分散的に配置され、前記加速路内の粒子集群を閉じ込める処理、または加速させる処理のいずれかを行うN(但し、Nは整数)台の加速装置と、先頭閉じ込め用のパルス電圧発生回路、後方閉じ込め用のパルス電圧発生回路、加速用のパルス電圧発生回路のいずれかを持ち、指定された周期で、指定された電圧値のパルス電圧を各々、発生し、前記各加速装置を個別単位、またはグループ単位で駆動するM(但し、Mは“M≦N”を満たす整数)台の駆動装置とを備え、前記各加速装置を構成する、粒子集群の先頭閉じ込め処理を行う各加速装置、粒子集群の後方閉じ込め処理を行う各加速装置、粒子集群の加速処理を行う各加速装置を協調動作させて、粒子集群の閉じ込め処理、加速処理を行なわせることを特徴としている。
また、請求項3では、加速装置を使用して、粒子集群を閉じ込め、加速させる円形粒子線加速器において、粒子走行距離が短くなるように加速路の各ストレートセクションに各々、分散的に配置され、前記加速路内の粒子集群を閉じ込める動作(台数L台、但し、Lは整数)、または加速させる動作(台数N台、但し、Nは整数)のいずれか一方を行うL×N台の加速装置と、指定された周期で、指定された電圧値にされた、1波長分の高周波駆動電圧、またはパルス電圧を発生し、前記各加速装置を個別単位、またはグループ単位で駆動するM(但し、Mは“M≦L×N”を満たす整数)台の駆動装置とを備え、前記加速路内の粒子集群を閉じ込めるのに必要な本来の誘導起電圧値と、加速させるのに必要な本来の誘導起電圧値との比率“M:1”(但し、Mは整数)に基づき、前記各加速器のうち、L×N×(M−1)/M台に閉じ込め動作を割り当てるとともに、L×N×1/M台に加速動作を割り当てて、前記各駆動装置を協調動作させ、粒子集群の閉じ込め処理、加速処理を行なわせることを特徴としている。
本発明による、請求項1の円形粒子線加速器では、加速装置を稼働させる際の電圧値、電流値を低く抑えさせながら、短い時間で、十分な速度まで、粒子集群を加速させることができる。
また、請求項2の円形粒子線加速器では、加速装置を稼働させるのに必要な駆動装置の回路構成を簡素化させて、システム全体のコストを大幅に低減させ、さらに加速装置を稼働させる際の電圧値、電流値を低く抑えさせながら、短い時間で、十分な速度まで、粒子集群を加速させることができる。
また、請求項3の円形粒子線加速器では、単一の高周波駆動電圧、パルス電圧で、加速装置を稼働させて、システム全体のコストを大幅に低減させ、さらに加速装置を稼働させる際の電圧値、電流値を低く抑えさせながら、短い時間で、十分な速度まで、粒子集群を加速させることができる。
本発明による円形粒子線加速器のうち、請求項1に対応する形態を示す概略平面図である。 図1に示す各加速装置、各駆動装置の電気的な特性を示す等価回路図である。 一般的な円形粒子線加速器で使用されている各加速装置、各駆動装置の電気的な特性を示す等価回路図である。 図1に示す円形粒子線加速器で使用されている各加速装置、各駆動装置の電気的な特性と、一般的な円形粒子線加速器で使用されている各加速装置、各駆動装置の電気的な特性とを示す表である。 図1に示す円形粒子線加速器と、一般的な円形粒子線加速器とを示す概略平面図である。 本発明による円形粒子線加速器のうち、請求項2に対応する形態を示す概略平面図である。 図6に示す各加速装置、各駆動装置のうち、先端閉じ込め処理を行う加速装置、駆動装置の電気的な特性を示す等価回路図である。 図7に示す加速装置、駆動装置で、先端閉じ込め処理される先頭閉じ込め粒子群、加速粒子群の一例を示す模式図である。 図6に示す各加速装置、各駆動装置のうち、後方閉じ込め処理を行う加速装置、駆動装置の電気的な特性を示す等価回路図である。 図9に示す加速装置、駆動装置で、後方閉じ込め処理される後方閉じ込め粒子群、加速粒子群の一例を示す模式図である。 図6に示す各加速装置、各駆動装置のうち、加速処理を行う加速装置、駆動装置の電気的な特性を示す等価回路図である。 図11に示す加速装置、駆動装置で、加速処理される加速粒子群の一例を示す模式図である。 本発明による円形粒子線加速器のうち、請求項3に対応する形態を示す概略平面図である。 図13に示す各加速装置の詳細な構成例を示す概略平面図である。 従来から知られている円形粒子線加速器の一例を示す概略構成図である。 図15に示す加速装置部分の一般的な回路構成例を示す等価回路図である。 自己場による粒子進行方向分散の様子を示す模式図である。 粒子走行距離に対する運動量の散逸現象の一例を示す図である。
1.本発明の第1の実施の形態
図1は本発明による円形粒子線加速器のうち、請求項1に対応する形態を示す概略平面図である。
図1に示す円形粒子線加速器1aは、粒子集群の通り路となる複数の真空ダクト2を連結して形成される正多角形状(ほぼ円形状)の加速路3と、加速路3と連通する真空ダクト4によって構成され、粒子発生源で得られた粒子を加速路3内に導く入射路5と、加速路3と連通する真空ダクト6によって構成され、加速路3で十分に加速された粒子集群を取り出す出射路7と、加速路3の各所に配置され、加速路3内で加速される粒子集群の進路を偏向させる複数の偏向電磁石8と、加速路3の各ストレートセクション(偏向電磁石8が無いスペース)9に取り付けられ、加速させるN台、例えば16台の加速装置10aとを備えている。
そして、粒子発生源で得られた粒子を粒子発生源→入射路5→加速路3なる経路で加速路3内に導き、各偏向電磁石8によって、加速路3内の粒子集群を偏向させて、粒子集群の軌道を加速路3の中心線とほぼ一致させながら、N台の加速装置10aによって、加速路3内の粒子集群を連続的に加速させた後、十分に加速させた粒子集群を加速路3→出射路7→ターゲットなる経路で、ターゲットに導く。
各加速装置10aは各々、粒子集群の通り路となる加速空洞と、加速空洞内に配置される筒状の磁性体と、磁性体に巻き付けられる一次巻き線と、磁性体に巻き付けられる二次巻き線(加速空洞のギャップを含む部分)とを備えており、電気的には、図2に示す如く厚さ数センチメートル程度のトロイダルコア20などによって構成される磁性体21と、磁性体21に巻き付けられる一次巻き線22と、磁性体21に巻き付けられる二次巻き線23とによって表すことができる。
そして、各駆動装置24の半導体スイッチング素子25を同時にスイッチングさせて、各コンデンサ26に蓄積されている電荷を各々、放電させることにより、1KV程度の電圧値で、各一次巻き線22に一次電流(1波長分の高周波駆動電流、または短いパルス電流、長いパルス電流)を各々、供給し、このとき発生する磁束によって、各二次巻き線23に誘導起電圧を各々、発生させ、これらを重畳させた誘導起電圧で、加速路3内の粒子集群を閉じ込めながら、加速させる。
このように、この形態では、1KV程度の電圧値を持つ1波長分の高周波駆動電圧、または短いパルス電圧、長いパルス電圧で稼働させることができるN台の加速装置10aによって、N×1KVに相当する誘導起電圧で、加速路3内の粒子集群を閉じ込めながら、加速させることができることから、図3(図16に対応する図)に示す如くNKVの電圧値を持つ1波長分の高周波駆動電圧で、加速路3内の粒子集群を閉じ込めながら、加速させる1台の加速装置109と同等な加速性能を得ることができる(請求項1の効果)。
さらに、各半導体スイッチング素子25が電気的に分離されているので、制御の自由度を大幅に高めさせることができるとともに、各半導体スイッチング素子25のスイッチングタイミングがずれても、各半導体スイッチング素子25が過負荷状態にならないようにすることができる。これにより、図4の比較表27に示す如く各半導体スイッチング素子25の耐圧値などをそのまま使用して、各駆動装置24を設計することができ、コストを抑制させることかできる(請求項1の効果)。
また、各駆動装置24を構成する抵抗器、伝送線(例えば、同軸ケーブル)28などの個別受動素子を高耐圧仕様にする必要が無いことから、各個別受動素子を小型化させることができるのみならず、各個別受動素子の高周波特性を向上させることができる(請求項1の効果)。
さらに、各加速装置10aを小型化させることができ、これによって最近、小型化が進んだ粒子線を出し入れする機器、補正電磁石、粒子線診断装置などと組み合わせることにより、図5に示す如く各ストレートセクション9を小さくして、円形粒子線加速器1a全体をコンパクト化させることができる(請求項1の効果)。
2.本発明の第2の実施の形態
図6は本発明による円形粒子線加速器のうち、請求項2に対応する形態を示す概略平面図である。なお、図6において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
図6に示す円形粒子線加速器1bが、図1に示す円形粒子線加速器1aと異なる点は、閉じ込め機能、加速機能を併せ持つ加速装置10aに代えて、閉じ込め機能、または加速機能のうち、いずれか一方の機能のみを持つ加速装置10bを配置したことである。
この際、粒子集群の先端閉じ込め機能のみを持たせるときには、図7に示す駆動装置31を使用して、加速装置10bをパルス駆動する。
図7に示す駆動装置31は、1KV〜3KV程度の電圧値となるように充電されるコンデンサ32と、コンデンサ32に蓄積されている電荷を放電させる半導体スイッチング素子33と、コンデンサ32に蓄積されている電荷を使用して、クロス方式(逆相方式)で、加速装置10bの一次巻き線34に一時電流を供給し、磁性体35に磁束を発生させるパルス伝送線(同軸ケーブル)36と、一次巻き線34に対する給電が終了したとき、一次巻き線34に生じる逆起電流を通過させる帰還ダイオード37と、帰還ダイオード37がオン状態になっているとき、逆起電流を通過させながら、減衰させる抵抗器38とを備えている。
そして、コンデンサ32に十分な電荷を蓄積させた状態で、半導体スイッチング素子33をオンさせて、コンデンサ32の正電極側→パルス伝送線36→加速装置10bの一次巻き線34→パルス伝送線36→半導体スイッチング素子33→コンデンサ32の負電極側なる経路で、加速装置10bの一次巻き線34に一次電流を供給して、加速装置10bの二次巻き線39に誘導起電圧を発生させ、図8に示す如く加速路3内を通過する粒子集群の先端部分(先端閉じ込め粒子群)の速度を遅くさせて、粒子集群の中央部分(加速粒子群)に集合させる。
この後、半導体スイッチング素子33をオフさせて、コンデンサ32の放電を停止させるとともに、加速装置10bを構成する一次巻き線34の正電圧側→パルス伝送線36→抵抗器38→帰還ダイオード37→パルス伝送線36→加速装置10bを構成する一次巻き線34の負電圧側なる経路で流れる帰還電流を抵抗器38で減衰させて、加速装置10bの一次巻き線34に発生した逆起電圧を急激に減衰させる。
また、粒子集群の後方閉じ込め機能のみを持たせるときには、図9に示す駆動装置41を使用して、加速装置10bをパルス駆動する。
図9に示す駆動装置41は、1KV〜3KV程度の電圧値となるように充電されるコンデンサ42と、コンデンサ42に蓄積されている電荷を放電させる半導体スイッチング素子43と、コンデンサ42に蓄積されている電荷を使用して、ストレート方式(同相方式)で、加速装置10bの一次巻き線34に一時電流を供給し、磁性体35に磁束を発生させるパルス伝送線(同軸ケーブル)44と、一次巻き線34に対する給電が終了したとき、一次巻き線34に生じる逆起電流を通過させる帰還ダイオード45と、帰還ダイオード45がオン状態になっているとき、逆起電流を通過させながら、減衰させる抵抗器46とを備えている。
そして、コンデンサ42に十分な電荷を蓄積させた状態で、半導体スイッチング素子43をオンさせて、コンデンサ42の正電極側→パルス伝送線44→加速装置10bを構成する一次巻き線34→パルス伝送線44→半導体スイッチング素子43→コンデンサ42の負電極側なる経路で、加速装置10bの一次巻き線34に一次電流を供給して、加速装置10bの二次巻き線39に誘導起電圧を発生させ、図10に示す如く加速路3内を通過する粒子集群の後方部分(後方閉じ込め粒子群)の速度を速くさせて、粒子集群の中央部分(加速粒子群)に集合させる。
この後、半導体スイッチング素子43をオフさせて、コンデンサ42の放電を停止させるとともに、加速装置10bを構成する一次巻き線34の正電圧側→パルス伝送線44→抵抗器46→帰還ダイオード45→パルス伝送線44→加速装置10bを構成する一次巻き線34の負電圧側なる経路で流れる帰還電流を抵抗器46で減衰させて、加速装置10bの一次巻き線34に発生した逆起電圧を急激に減衰させる。
また、粒子集群の加速機能のみを持たせるときには、図11に示す駆動装置51を使用して、加速装置10bをパルス駆動する。
図11に示す駆動装置51は、1KV程度の電圧値となるように充電されるコンデンサ52と、コンデンサ52に蓄積されている電荷を放電させる半導体スイッチング素子53と、コンデンサ52に蓄積されている電荷を使用して、フライバック方式で、加速装置10bの一次巻き線34に一時電流を供給し、磁性体35に磁束を発生させるパルス伝送線(同軸ケーブル)54とを備えている。
そして、コンデンサ52に十分な電荷を蓄積させた状態で、半導体スイッチング素子53をオンさせて、コンデンサ52の正電極側→パルス伝送線54→加速装置10bの一次巻き線34→パルス伝送線54→半導体スイッチング素子53→コンデンサ52の負電極側なる経路で、加速装置10bの一次巻き線34に一次電流を供給して、加速装置10bの二次巻き線39に誘導起電圧を発生させ、図12に示す如く加速路3内を通過する粒子集群(加速粒子群)を加速させる。
このように、この形態では、各半導体スイッチング素子33、43、53として、一般的に入手可能な低電圧規格の半導体スイッチング素子を使用させて、各コンデンサ32、42、52の放電時間を制御させ、パルス状の一次電流を出力させるようにしているので、簡単なパルス回路だけで、駆動装置31、41、51を構成させることができ、これによって駆動装置31、41、51の製造コストを飛躍的に低減させることができる。
3.本発明の第3の実施の形態
図13は、本発明による円形粒子線加速器のうち、請求項3に対応する形態を示す概略平面図である。なお、図13において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
図13に示す円形粒子線加速器1cが図1に示す円形粒子線加速器1aと異なる点は、閉じ込め機能、加速機能を併せ持つ加速装置10aに代えて、閉じ込め機能、または加速機能のうち、いずれか一方の機能のみを持つ加速装置10cを配置するとともに、これら各加速装置10cを駆動する駆動装置の出力電圧を同一(または、ほぼ同一)にして、駆動装置の規格化を容易にさせ、システム全体の製造コストを低減させるようにしたことである。
各加速装置10cは、図14に示す如く500V程度の電圧値にされた1波長分の高周波駆動電圧を使用して、閉じ込め機能、または加速機能のうち、いずれか一方の機能のみを実現する第1加速器61と、この第1加速器61に隣接するように配置され、500V程度の電圧値にされた1波長分の高周波駆動電圧を使用して、閉じ込め機能、または加速機能のうち、いずれか一方の機能のみを実現する第2誘導加速器62とによって構成される。
そして、ストレートセクション9の一方に配置される加速装置10c、例えば粒子集群(加速粒子群)の先頭側となる加速装置10cの第1加速器61に、高周波駆動電圧の平坦な部分(頂点部分)を使用させて、粒子集群の加速処理を行わせる。
また、ストレートセクション9の一方に配置される加速装置10c、例えば粒子集群(加速粒子群)の先頭側となる加速装置10cの第2加速器62と、ストレートセクション9の他方に配置される加速装置10c、例えば粒子集群(加速粒子群)の後方側となる加速装置10cの第1加速器61と、第2誘導加速器62とに、高周波駆動電圧の傾き部分を使用させて、粒子集群の閉じ込め処理を行わせる。
これにより、円形粒子線加速器1cにおいて、加速処理に必要な電圧値と、閉じ込め処理に必要な電圧値との比を“1:3”に保持させながら、高電圧、大電流に対応するように特化され、加速機能、閉じ込め機能を併せ持つ機能結合型の加速装置10aに比べ、汎用性を高くさせるとともに、低電圧化をさらに進めさせ、また磁性体などの寸法を小さくさせることができる。
この結果、円形粒子線加速器1c全体の製造コストをさらに低減させることができるとともに、局在化自動制御を容易にさせることができる。
1a、1b、1c:円形粒子線加速器
2:真空ダクト
3:加速路
4:真空ダクト
5:入射路
6:真空ダクト
7:出射路
8:偏向電磁石
9:ストレートセクション
10a、10b、10c:加速装置
20:トロイダルコア
21:磁性体
22:一次巻き線
23:二次巻き線
24:駆動装置
25:半導体スイッチング素子
26:コンデンサ
31:駆動装置
32:コンデンサ
33:半導体スイッチング素子
34:一次巻き線
35:磁性体
36:パルス伝送線
37:帰還ダイオード
38:抵抗器
39:二次巻き線
41:駆動装置
42:コンデンサ
43:半導体スイッチング素子
44:パルス伝送線
45:帰還ダイオード
46:抵抗器
51:駆動装置
52:コンデンサ
53:半導体スイッチング素子
54:パルス伝送線
61:第1加速器
62:第2誘導加速器

Claims (3)

  1. 加速装置を使用して、粒子集群を閉じ込め、加速させる円形粒子線加速器において、
    粒子走行距離が円形加速器の周長より短くなるように加速路の各的にセクション毎に各々、分散的に配置され、前記加速路内の粒子集群を閉じ込めさせながら、加速させるN(但し、Nは整数)台の加速装置と、
    指定された周期で、粒子が円形加速器を1周するための要する時間を1波長とする高周波電圧、またはパルス電圧を各々、発生し、前記各加速装置を個別単位、またはグループ単位で駆動するM(但し、Mは“M≦N”を満たす整数)台の駆動装置と、を備え、
    前記各駆動装置を協調動作させて、前記各加速装置に粒子集群の閉じ込め処理、加速処理を行なわせることを特徴とする円形粒子線加速器。
  2. 加速装置を使用して、粒子集群を閉じ込め、加速させる円形粒子線加速器において、
    粒子走行距離が短くなるように加速路の各ストレートセクションに各々、分散的に配置され、前記加速路内の粒子集群を閉じ込める処理、または加速させる処理のいずれかを行うN(但し、Nは整数)台の加速装置と、
    先頭閉じ込め用のパルス電圧発生回路、後方閉じ込め用のパルス電圧発生回路、加速用のパルス電圧発生回路のいずれかを持ち、指定された周期で、指定された電圧値のパルス電圧を各々、発生し、前記各加速装置を個別単位、またはグループ単位で駆動するM(但し、Mは“M≦N”を満たす整数)台の駆動装置と、を備え、
    前記各加速装置を構成する、粒子集群の先頭閉じ込め処理を行う各加速装置、粒子集群の後方閉じ込め処理を行う各加速装置、粒子集群の加速処理を行う各加速装置を協調動作させて、粒子集群の閉じ込め処理、加速処理を行なわせることを特徴とする円形粒子線加速器。
  3. 加速装置を使用して、粒子集群を閉じ込め、加速させる円形粒子線加速器において、
    粒子走行距離が短くなるように加速路の各ストレートセクションに各々、分散的に配置され、前記加速路内の粒子集群を閉じ込める動作(台数L台、但し、Lは整数)、または加速させる動作(台数N台、但し、Nは整数)のいずれか一方を行うL×N台の加速装置と、
    指定された周期で、指定された電圧値にされた、1波長分の高周波駆動電圧、またはパルス電圧を発生し、前記各加速装置を個別単位、またはグループ単位で駆動するM(但し、Mは“M≦L×N”を満たす整数)台の駆動装置と、を備え、
    前記加速路内の粒子集群を閉じ込めるのに必要な本来の誘導起電圧値と、加速させるのに必要な本来の誘導起電圧値との比率“M:1”(但し、Mは整数)に基づき、前記各加速器のうち、L×N×(M−1)/M台に閉じ込め動作を割り当てるとともに、L×N×1/M台に加速動作を割り当てて、前記各駆動装置を協調動作させ、粒子集群の閉じ込め処理、加速処理を行なわせることを特徴とする円形粒子線加速器。
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