JP5443600B2 - ターボ機械のための環状流路 - Google Patents

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Description

本発明は、周方向に連続して配置されている多数のステータブレードを備えたステータブレードリングであって、ブレード根元部と、プラットフォームと、流路内部に向かってラジアル方向に突出しているブレード翼とを備えているステータブレードリングを有している、ターボ機械のための環状流路セクションであって、流路の境界が、プラットフォーム側において、2つの直接隣り合っているブレード翼同士の間に配設されているシールド要素によって形成されている、環状流路セクションに関する。
例えば特許文献1は、[技術分野](introduction)において言及した環状流路セクションを開示している。詳細には、公開された特許明細書は、プラットフォームがブレード翼のラジアル方向外側(根元側)端部とラジアル方向内側(先端側)端部とに設けられている場合において、軸流式流体機械の型成形されたステータブレードであって、空気力学を考慮して湾曲されたブレード翼を有しているステータブレードのリングを開示している。プラットフォームは、タービンに据え付けられている場合に、セラミック製遮熱部材によって覆われている。遮熱部材は、一組の遮熱部材毎に、直接隣り合っている2つのステータブレードのプラットフォーム半体を覆うように設計されている。従って、遮熱部材は、基本的に第1のステータブレードのブレード翼の負圧側壁から第2のステータブレードのブレード翼の正圧側壁に至るまで延在している。この場合には、セラミック製遮熱部材が、当該遮熱部材が熱交換可能な状態で固定されるように、トングを介してガスタービンのブレードに固定状態で接続されている。このようなカバーを固定するための構造が、特許文献1ではなく、特許文献2に開示されている。
しかしながら、セラミック製遮熱部材は、固定式ガスタービン内で発生する高温気体の温度に永続的に且つ高信頼性を以て耐えるために、比較的大きな壁厚を必要とする。このようなセラミック製遮熱部材がステータブレードの先端側プラットフォーム及び根元側プラットフォームの両方で利用される場合には、これにより、比較的大きなタービンのステータブレードが必要となる共に、これに対応して大きな空間が必要となるので、製造コストが嵩む。
超合金から成るシュラウドを利用することが、特許文献2に開示されている。しかしながら、このようなシュラウドのコストは比較的大きい。
さらに、特許文献3に開示されるように、2つのシート状の金属製カバーを備えたモジュール式タービンブレードは、関連するプラットフォーム半体と、空気力学を考慮して湾曲されたブレード翼への移行部分とを覆っている。しかしながら、この場合には、溝に挿入されたシール要素によって隣り合うタービンブレードの当接しているプラットフォーム半体同士の間に形成された間隙を密封することは、不利である。流路を形成する型が、これとは異なるが、特許文献4に開示されている。特許文献4は、シート状の金属製カバーのうち1つが隣り合うタービンブレードに支持されている場合に、特許文献3の装置のプラットフォーム半体が省略可能なことを開示している。このために、一のプラットフォーム半体が省略可能とされる。しかしながら、この発展形態の場合には、シート状の金属製カバーが隣り合うタービンブレードに密接に接触しているとは限らない。
欧州特許第1219787号明細書 米国特許出願公開第2007/0237630号明細書 欧州特許第1557535号明細書 欧州特許第1557534号明細書
従って、本発明の目的は、比較的省スペースであると共に、流路の境界を形成する構成部材が早期磨耗することなく、特に長期間に亘る高信頼性及び安全性を以て流路セクション内に流れる高温気体を案内する、ターボ機械のための環状流路セクションを提供することである。
本発明の目的は、シールド要素が間隙を形成した状態でプラットフォームに配置されており、衝突冷却用穴がシールド要素を衝突冷却するためにプラットフォームに形成されている、ターボ機械のための環状流路セクションによって達成される。
本発明は、シールド要素がセラミック製でない場合であっても、ステータブレード上に形成されたプラットフォーム半体を高温気体自体並びに当該高温気体による腐食及び熱の影響から保護するという技術的思想に基づいている。この場合には、シールド要素が適度に冷却される。本発明では、冷却することを目的として、シールド要素を衝突冷却する。シールド要素を冷却した結果として、シールド要素において、従来技術の場合と比較して薄い壁厚を実現することができる。シールド要素の壁を比較的薄肉に構成することによって、省スペース化が達成され、対費用効果が高められる。対応するステータブレードのブレード翼は、結果的に従来技術に基づく流路セクションと比較して本発明における環状流路セクションの流路断面積を小さくすることなく、スパンが短い構成とすることができる。
本発明における流路セクションで利用されるステータブレードは、通常、型成形プロセスで製造されるので、その大部分が一体に成形されている。このようなステータブレードのプラットフォーム又はプラットフォーム半体は、従来においては高温気体の圧力に耐えることのみならず、ブレード翼の−流体に起因する力が発生させる−機械的負荷を後側のフック固定部に伝達させる必要があったので、比較的中実な壁すなわち大きな壁厚の壁を備えていた。このため、プラットフォームの冷却性能は乏しかったので、以前は、ステータブレードの耐用寿命がプラットフォームによって制限されていた。本発明のシールド要素を利用することによって、プラットフォームに作用する熱的負荷が低減され、これによりステータブレードの耐用寿命が著しく向上する。
さらに、特にシールド要素を備えていないステータブレードを利用する流路セクションの場合に、具体的にはプラットフォームからブレード翼に至る中空のフィレット状移行部分の近傍において、対応する湾曲部分の結果として発生する物質蓄積(mass accumulation)が不十分に冷却されるにすぎない。移行部分の不十分な冷却性能によって、クラックのような疲労現象も移行部分において発生する。シールド要素とブレード翼壁又は移行部分との間には、シールド要素を衝突冷却するために利用される冷却媒体、例えば衝突冷却が完了した後における低温空気が流路内部に排出される際に通過する間隙が存在するので、シールド要素を利用することによって、移行部分は、流路内を流れる高温気体との直接接触及び影響からさらに良好に保護される。これによって、プラットフォームからブレード翼に至る移行部分における熱的負荷が低減されるので、ステータブレードの耐用寿命も向上する。
この場合には、シールド要素それぞれが、2つの直接隣り合っているステータブレードのプラットフォームによってその境界が形成されている、間隙全体に亘って延在している。これによって、相互に隣り合っているプラットフォームが熱膨張によって移動する場合であっても、流路内において高温気体を案内する際に発生する損失を低くすることができる。
さらなる優位な発展形態は従属請求項に記載されている。
好ましくは、シールド要素は、流路の境界を形成すると共にステータブレードとは別に製造される金属製ベースプレートを有している。シールド要素の冷却性能は金属材料に依存する。さらに、シールド要素全体がステータブレードとは別に製造される。このことは、磨耗現象がシールド要素に発生した場合には、シールド要素のみを交換すれば良く、シールド要素を有していないステータブレードのプラットフォームの場合のように、完全なステータブレードに交換する必要がない点において優位である。
シールド要素は、好ましくは良好な絶縁特性を有している金属材料から作られている。
さらなる優位な発展形態では、ベースプレートの壁は、シールド要素によって覆われているプラットフォームの壁より薄肉である。シールド要素の壁を薄くすればする程、衝突冷却によってシールド要素が良好に冷却される。さらに、比較的薄肉のシールド要素を利用することによって、本発明における流路セクションにおいては、従来技術と比較して必要な空間が小さくなるので、このような流路セクションのための製造コスト及び材料コストが低減される。
好ましい発展形態では、プラットフォームの側壁に接続可能とされる垂直な壁区分が、ベースプレートの縁部に設けられている。これにより、シールド要素をステータブレードに適切に固定することができる。
高温気体に対するシールド要素の熱抵抗性をさらに向上させるために、シールド要素が保護コーティング、特に遮熱コーティングを流路側面に有しているならば、このことは優位である。
図面に表わす典型的な実施例に基づいて、本発明をさらに説明する。
シールド要素がステータブレードのプラットフォームの上方に配置されている状態における、環状流路区間のブレード翼のうち2つのブレード翼の断面図である。 断面II−IIにおけるステータブレードのプラットフォームとシールド要素との断面図である。
図1は、例えばガスタービンのようなターボ機械の、高温気体がアキシアル方向に流れる際に通過する環状流路区間12の2つのステータブレード10のブレード翼14の断面図である。流路区間12は、基本的に、周方向に連続して配置されている多数のステータブレード10を有するステータブレードリングを備えている。図1は、従来技術の多くの事例において知られているステータブレードリングの中で、ステータブレード10のうち2つのステータブレードのみを表わす。この場合には、ステータブレード10は、従来の手法でステータブレードキャリアに固定されている。図1は、ブレード翼14の断面図であり、ステータブレード10のプラットフォーム16の平面図である。シールド要素22は、図1の下方に表わすステータブレード10の負圧側のブレード翼壁18と図1の上方に表わすステータブレード10の正圧側のブレード翼壁20との間に、これらブレード翼壁の外形に適応するように配置されている。シールド要素22は、基本的にすなわち高温気体側において、一体に形成されており、2つの直接隣り合っているステータブレード10のブレード翼14同士の間においてプラットフォーム16の下方に配置された半体を完全に覆っている。理解を容易にするために、流路区間12内に配置されているシールド要素22のうち一のシールド要素のみを図示する。特にステータブレードリングは、いかなる場合であっても、直接隣り合う一組のブレード翼14それぞれの間に、このようなシールド要素22を有している。さらに、隣り合うシールド要素22は、可能な限り小さな間隙を形成した状態で、ブレード翼14の前縁21の上流側及びブレード翼14の後縁23の下流側と互いに隣接している。
さらに、衝突冷却用穴24がプラットフォーム16に例えば格子状に配置されている。図2は、断面II−IIにおけるステータブレード10及びシールド要素22の断面図である。図1及び図2で用いられる部材名及び参照符号は同一である。シールド要素22は、高温気体側において、プラットフォーム16との間に間隙を形成した状態で、例えばプラットフォーム16を貫通して斜方向に延在している衝突冷却用穴24が形成されているプラットフォーム16上に配置されている。ターボ機械の運転中においては、冷却媒体Kが、流路26の反対側に配置されている後方空隙28に送られ、これにより後方空隙28から衝突冷却用穴24を通じて排出され、シールド要素22とプラットフォーム16との間に形成された間隙にジェット噴流として流入する。衝突冷却のためのジェット噴流の衝突によってシールド要素22が冷却されるので、高温気体が流路26を通じて流れているにも関わらず、当該シールド要素は適度な耐用寿命を有することができる。
図2に断面図として表わすシールド要素22は、金属から成り、プラットフォームの流路側表面に対して並列に延在しているベースプレート30を備えている。壁区間32が、互いに反対側に配設されているベースプレートの2つの縁部に設けられており、両縁部においてベースプレート30に対して直角に突出しており、プラットフォーム16の対応する側壁を係止するように囲んでいる。この場合には、ベースプレート30の壁は、衝突冷却用穴24の近傍におけるプラットフォーム16の壁より著しく薄肉である。
シールド要素22をステータブレード10又はプラットフォーム16に固定するために、シールド要素22は、例えば一点鎖線で示すようにボルトによって締結されている場合がある。例えば締付、特にプラットフォーム16に対してシールド要素22を嵌合状態で締め付けるような他のタイプの固定方法であっても良い。必要に応じて、シールド要素22は、高温気体に曝露されている当該シールド要素の表面において、当該シールド要素の熱抵抗をさらに高めるために遮熱コーティングが施されている場合がある。
冷却媒体Kは、シールド要素22とプラットフォームの表面との間に形成された間隙に流入し、衝突冷却が実施された後に、シールド要素22と負圧側のブレード翼壁18又は加圧側のブレード翼壁20との間に形成された隙間36(図1参照)において流出する。
この場合には、環状流路区間12内で利用されるステータブレード10がブレード翼14の両端においてブレード翼14に対して直角に延在しているプラットフォーム16を有しているならば、図2に表わすプラットフォーム16と当該プラットフォームの上方に配置されたシールド要素22とが、ステータブレード10の後端側のプラットフォーム及び先端側のプラットフォームとすることができる。当然ながら、本発明は、このようなステータブレード10の2つのプラットフォームのうち一方のプラットフォームのみで利用される場合もある。
まとめると、本明細書には、周方向に連続して配置された多数のステータブレード10を備えたステータブレードリングを有しており、いかなる場合であっても、プラットフォーム16と、流路26内部に向かってラジアル方向に突出しているブレード翼14とを備えている、ターボ機械のための環状流路区間12であって、流路26の境界が、プラットフォーム側において、2つの直接隣り合っているブレード翼14の間に配置されているシールド要素22によって形成されており、シールド要素22が、部分的に省スペース化された流路区間12を形成するために、プラットフォーム16との間において間隙を形成した状態でプラットフォーム16の上方に配置されており、衝突冷却用穴24が、プラットフォーム16に配設されている環状流路区間12が開示されている。
10 ステータブレード
12 環状流路区間
14 ブレード翼
16 プラットフォーム
18 負圧側のブレード翼壁
20 正圧側のブレード翼壁
21 前縁
22 シールド要素
23 後縁
24 衝突冷却用穴
26 流路
28 後方空隙
30 ベースプレート
32 壁区間
36 隙間
K 冷却媒体

Claims (5)

  1. ターボ機械のための環状の流路区間(12)であって、周方向において連続して配置された複数のステータブレード(10)であって、固定するために設けられたブレード根元部と、2つのプラットフォーム半体から成る少なくとも1つの根元側のプラットフォーム(16)と、流路(26)内部に向かってラジアル方向に突出しているブレード翼(14)とを備えている、前記ステータブレード(10)を有しているステータブレードリングを備えてなる前記流路区間(12)において、
    前記流路(26)の境界が、前記プラットフォーム側において、シールド要素(22)によって形成されており、
    前記シールド要素(22)のうち一のシールド要素が、2つの直接隣り合っている前記ブレード翼(14)の間において前記ブレード翼に隣接した状態で配置されており、直接隣り合っている前記ステータブレード(10)の前記プラットフォーム半体によってその境界が形成されている間隙を覆っており、
    前記シールド要素(22)が、前記プラットフォーム(16)との間に間隙を形成した状態で前記プラットフォーム(16)の上方に配置されており、衝突冷却用穴(24)が、前記シールド要素(22)を衝突冷却するために前記プラットフォーム(16)に形成されており、
    前記シールド要素とブレード翼壁又は移行部分との間には、衝突冷却するための冷却媒体を吹き出すための間隙が形成されていることを特徴とする流路区間(12)。
  2. 前記シールド要素(22)が、金属材料から成るベースプレート(30)を有しており、
    前記ベースプレート(30)が、前記流路(26)の境界を形成しており、前記ステータブレード(10)とは別に製造されることを特徴とする請求項1に記載の流路セクション(12)。
  3. 前記ベースプレート(30)の壁が、前記プラットフォーム(16)の壁より薄肉であり、
    前記プラットフォーム(16)が、前記シールド要素(22)によって覆われていることを特徴とする請求項2に記載の流路セクション(12)。
  4. 前記ベースプレート(30)に対して直角に配置されている壁区分(32)が、前記ベースプレート(30)に設けられており、
    前記壁区分(32)が、前記プラットフォーム(16)の側壁に接続可能とされることを特徴とする請求項2又は3に記載の流路セクション。
  5. 前記シールド要素(22)が、前記流路の側壁に保護コーティングを有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の流路セクション(12)。
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