JP5430679B2 - 光ファイバ - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバ、特に、フォトニック結晶ファイバに関するものである。
光伝送システムにおいて伝送容量の大容量化及び伝送距離の長距離化を図るためには、伝送媒体である光ファイバの実効断面積を大きくすることが重要である。光ファイバの実効断面積が大きくなれば、非線形効果による伝送品質の劣化を生じさせることなく、伝送する光信号のパワーを大きくすることが可能になるためである。
実効断面積が拡大された光ファイバとして、例えば、非特許文献1に記載の単一モードファイバが知られている。非特許文献1に記載の単一モードファイバは、W型の屈折率分布(クラッド領域の内周側の屈折率がクラッド領域の外周側の屈折率よりも低くなる屈折率分布)を採用することによって、実効断面積の拡大が図られた単一モードファイバである。同文献には、W型の屈折率分布を採用することによって、実効断面積を150μmまで拡大し得ることが示されている。コアネットワークや海底システムなどの長距離伝送システムで使用されている光ファイバは、主に、このようにして実効断面積が拡大された単一モードファイバである。
しかしながら、非特許文献1に記載の単一モードファイバのように、クラッド領域にドーパントを添加することによって、クラッド領域の内周側とクラッド領域の外周側との間に屈折率に差を付けた光ファイバでは、実効断面積の拡大に限界がある。このため、より大きな実効断面積を有する光ファイバとして、フォトニック結晶ファイバを利用することが検討されている。ここで、フォトニック結晶ファイバとは、クラッド領域に空孔を設けることによって、コアとクラッドとの間に屈折率に差を付けた光ファイバのことを指す。
図11に、従来のフォトニック結晶ファイバ20の構成(非特許文献4参照)を示す。図11(a)は、フォトニック結晶ファイバ20の断面構造を示す断面図であり、図11(b)は、フォトニック結晶ファイバ20の実効屈折率分布を示すグラフである。
フォトニック結晶ファイバ20は、図11(a)に示すようにクラッド領域22に空孔22aを周期的に配置することによって、図11(b)に示すようにクラッド領域22の実効屈折率をコア領域21の屈折率よりも低くした光ファイバである。コア領域21及びクラッド領域22は、同一の材料(例えば純石英)により構成されており、コア領域21とクラッド領域22との間の屈折率差は、空孔の有無に由来する。なお、本明細書においては、コア領域21の屈折率とクラッド領域22の実効屈折率との差のことを、「コア領域21とクラッド領域22との間の屈折率差」と記載する。
このようなフォトニック結晶ファイバ20における光の閉じ込めは、コア領域21とクラッド領域22との間の屈折率差に起因する全反射によって実現される。このため、このようなフォトニック結晶ファイバ20を「屈折率導波型のフォトニック結晶ファイバ」と呼んで、フォトニックバンドギャップにより光を閉じ込める「フォトニックバンドギャップ型のフォトニック結晶ファイバ」と区別することもある。
非特許文献2には、単一モードファイバと同様に単一モード伝送が可能であり、かつ、単一モードファイバと同等の曲げ損失特性をもつフォトニック結晶ファイバにおいて、実効断面積を157μmまで拡大し得ることが示されている。また、非特許文献3には、単一モードファイバであっても、光学特性を最適化することによって実効断面積を160μmまで拡大し得ることが報告されている。
T. Kato et al, "Ultra-low nonlinearity low-loss pure silica core fiberfor long-haul WDM transmission", Electronic Letters,vol.35,no.19,pp.1615-1617,Sep.1999. 松井ら,"フォトニック液晶ファイバの実効断面積拡大に関する検討,"2008年電子情報通信学会ソサイエティ大会,pp.275,Sep.2008. K. Mukasa et al, "Comparisons of merits on wide-band transmission systems between using extremely improved solid SMFs with Aeff of μm2and loss of 0.175dB/km and using large-Aeff holey fibers enabling transmission over 600nm bandwidth", Proceedings of OFC2008, OthR1, Feb.2008. T. Sorensen et al, "Macro-bending loss properties of photonic crystal fiber", Electronic Letters, vol.37, no.5, pp.387-289, Mar.2001.
しかしながら、従来の単一モードファイバ及び従来のフォトニック結晶ファイバにおいては、実効断面積の上限が160μmであり、これが伝送容量の更なる大容量化及び伝送距離の更なる長距離化の妨げになるという問題があった。
単一モードファイバにおいては、クラッド領域にドーパントを添加することによって、クラッド領域の内周側とクラッド領域の外周側との間に屈折率に差を付ける構成を採用しているため、上述したように実効断面積のこれ以上の拡大は困難である。
また、フォトニック結晶ファイバにおいては、例えば、クラッド領域の内周側に配設する空孔の直径をクラッド領域の外周側に配設する空孔の直径よりも大きくすることによって実効断面積を拡大し得る可能性があるものの、その製造は極めて困難である。実効断面積が拡大されたフォトニック結晶ファイバを得るためにはクラッド領域の内外に配設する空孔の直径の比を最適化する必要があるが、この比が所定の値になるようにフォトニック結晶ファイバを母材から線引きすることが極めて困難なためである。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバでありながら、従来のフォトニック結晶ファイバよりも実効断面積が大きく、かつ、製造が容易な光ファイバを実現することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る光ファイバは、コア領域と、該コア領域を取り囲む第1のクラッド領域と、該第1のクラッド領域を取り囲む第2のクラッド領域とを含む断面構造を有する光ファイバであって、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域には、上記第1のクラッド領域の実効屈折率及び上記第2のクラッド領域の実効屈折率が上記コア領域の屈折率よりも低くなるように、直径が同一の空孔が周期的に形成されており、上記第1のクラッド領域の実効屈折率が上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低いことを特徴としている。
上記の構成によれば、周期的に空孔が配設されたクラッド領域(第1のクラッド領域及び第2のクラッド領域)にコア領域が取り囲まれているので、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、全反射を原理とする光の閉じ込めが実現される。このため、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、広い波長域で単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバを実現することができる。しかも、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしているので、ステップ型の実効屈折率分布(図11(b)参照)をもつ従来のフォトニック結晶ファイバよりも大きい実効断面積を有する光ファイバを実現することができる。
更に、上記の構成によれば、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域に配設する空孔の直径が同一であるため、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域に配設する空孔の直径を異ならせることによって実効断面積の拡大を図る場合のように、その製造が困難になることはない。
したがって、上記の構成によれば、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバでありながら、従来のフォトニック結晶ファイバよりも実効断面積が大きく、かつ、製造が容易な光ファイバを実現することができるという効果を奏する。
なお、「空孔が周期的に形成されている」とは、空孔が形成された光ファイバがフォトニック結晶ファイバとして機能する程度に空孔の配置が周期的であることを意味する。また、2つの空孔の直径が「同一」であるとは、これら2つの空孔の直径の差が製造誤差よりも小さいことを意味する。
なお、本発明に係る光ファイバにおいては、例えば、(1)上記第1のクラッド領域における空孔の数密度を上記第2のクラッド領域における空孔の数密度よりも高くすることによって、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしてもよいし、(2)上記第1のクラッド領域に屈折率を下げるためのドーパントを添加することによって、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしてもよいし、(3)これらの組み合わせによって、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしてもよい。なお、上記第1のクラッド領域における空孔の数密度を上記第2のクラッド領域における空孔の数密度よりも高くする構成を採用する場合、より低損失な光ファイバを実現することができる。何故なら、第1のクラッド領域と第2のクラッド領域との間に屈折率差を付けるためにドーパントを添加する必要がないので、ドーパントによる散乱に起因する損失が生じないためである。
上記課題を解決するために、本発明に係る光ファイバは、コア領域と、該コア領域を取り囲む第1のクラッド領域と、該第1のクラッド領域を取り囲む第2のクラッド領域とを含む断面構造を有する光ファイバであって、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域に空孔を周期的に配設することによって、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域の実効屈折率を上記コア領域の屈折率よりも低くし、かつ、上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の断面積占有率を異ならせることによって、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くした、ことを特徴としている。
上記の構成によれば、周期的に空孔が配設されたクラッド領域(第1のクラッド領域及び第2のクラッド領域)にコア領域が取り囲まれているので、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、全反射を原理とする光の閉じ込めが実現される。このため、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、広い波長域で単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバを実現することができる。しかも、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしているので、ステップ型の実効屈折率分布をもつ従来のフォトニック結晶ファイバよりも大きい実効断面積を有する光ファイバを実現することができる。
更に、上記の構成によれば、上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の断面積占有率を異ならせることによって上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしているので、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くするために上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の直径を異ならせる必要がない。したがって、上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の直径を異ならせることによって上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くした光ファイバよりも製造が容易である。
したがって、上記の構成によれば、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバでありながら、従来のフォトニック結晶ファイバよりも実効断面積が大きく、かつ、製造が容易な光ファイバを実現することができるという効果を奏する。
本発明によれば、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバでありながら、従来のフォトニック結晶ファイバよりも実効断面積が大きく、かつ、製造が容易な光ファイバを実現することができる。
(a)は、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバの構成を示す断面図であり、(b)は、その光ファイバの実効屈折率分布を示すグラフである。 (a)は、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバにおける曲げ損失特性(実線)と、従来のフォトニック結晶ファイバにおける曲げ損失特性(破線)とを示したグラフであり、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバにおける高次モードの閉じ込め損失特性(実線)と、従来のフォトニック結晶ファイバにおける高次モードの閉じ込め損失特性(破線)とを示したグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る光ファイバにおける基本モードに対する曲げ損失特性を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る光ファイバにおける高次モードに対する曲げ損失特性を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る光ファイバにおいて、曲げ損失条件を充足する空孔径d及び空孔間隔Λの範囲と、単一モード条件を充足する空孔径d及び空孔間隔Λの範囲とを示す特性図である。 本発明の第1の実施形態に係る光ファイバにおける実効断面積の空孔間隔依存性を示すグラフである。 (a)は、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバにおける基本モードに対する実効断面積(実線)及び曲げ損失(破線)の波長依存性を示すグラフであり、(b)は、図1に示した光ファイバにおける高次モードに対する閉じ込め損失(実線)及び曲げ損失(破線)の波長依存性を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る光ファイバの構成を示す断面図である。 (a)は、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバにおける曲げ損失特性(破線)と、従来のフォトニック結晶ファイバにおける曲げ損失特性(実線)とを示したグラフであり、(b)は、図7に示した光ファイバにおける高次モードの閉じ込め損失特性(破線)と、従来のフォトニック結晶ファイバにおける高次モードの閉じ込め損失特性(実線)とを示したグラフである。 (a)は、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバにおける基本モードに対する実効断面積(実線)及び曲げ損失(破線)の波長依存性を示すグラフであり、(b)は、図7に示した光ファイバにおける高次モードに対する閉じ込め損失(実線)及び曲げ損失(破線)の波長依存性を示すグラフである。 (a)は、従来のフォトニック結晶ファイバの構成を示す断面図であり、(b)は、そのフォトニック結晶ファイバの実効屈折率分布を示すグラフである。
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について、図1〜図7に基づいて説明する。
(光ファイバの構造)
第1の実施形態に係る光ファイバ10の構成について、図1を参照して説明する。図1(a)は、第1の実施形態に係る光ファイバ10の構成を示す断面図であり、図1(b)は、第1の実施形態に係る光ファイバ10の実効屈折率分布を示すグラフである。
光ファイバ10は、図1(a)に示すように、円板状のコア領域11と、コア領域11を取り囲む円環状の第1のクラッド領域12と、第1のクラッド領域12を取り囲む円環状の第2のクラッド領域13とを含む断面構造を有している。光ファイバ10を構成する各領域は、同一の材料(例えば、純石英)により構成されている。
第1のクラッド領域12及び第2のクラッド領域13には、それぞれ、同一の直径を有する空孔12a及び空孔13aが周期的に配設されている。したがって、図1(b)に示すように、第1のクラッド領域12の実効屈折率及び第2のクラッド領域13の実効屈折率は、それぞれ、空孔が配設されていないコア領域11の屈折率よりも低くなっている。これにより、光ファイバ10は、図11に示した従来のフォトニック結晶ファイバ20と同様、屈折率導波型のフォトニック結晶ファイバとして機能する。
しかも、図1(a)に示すように、第1のクラッド領域における空孔12aの数密度(単位断面積あたりの空孔数)は、第2のクラッド領域13における空孔13aの数密度よりも高い。したがって、図1(b)に示すように、第1のクラッド領域12の実効屈折率は、第2のクラッド領域13の実効屈折率よりも低くなる。これにより、コア領域11の屈折率と第1のクラッド領域12の実効屈折率との差を、図11に示した従来のフォトニック結晶ファイバ20よりも大きくすることができる。したがって、コア領域11の断面積を広げて(直径を大きくして)光ファイバ10の実効断面積を図11に示した従来のフォトニック結晶ファイバ20よりも大きくしても、単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さいというフォトニック結晶ファイバの性質が損なわれることはない。
なお、第1のクラッド領域12と第2のクラッド領域13とは、その実効屈折率の違いによって互いに区別されるべきものである。第1の実施形態においては、第1のクラッド領域12と第2のクラッド領域13とを構成する材料を同一にしたうえで、空孔の数密度を異ならせることよって屈折率差を付けている。したがって、第1のクラッド領域12と第2のクラッド領域13とは、空孔の数密度の違いによって互いに区別されることになる。
光ファイバ10における空孔配置について、図1(a)を参照してもう少し詳しく説明すれば以下のとおりである。
すなわち、第1のクラッド領域12には、中心−頂点間距離がΛ×iの正8角形上に配置された8×i個の空孔12aからなる空孔群がM層設けられている(iは1以上M以下の自然数)。なお、図1(a)においては、M=1の場合、すなわち、中心−頂点間距離がΛの正8角形の各頂点上に配置された計8個の空孔12aからなる1層目の空孔群のみを設ける構成を例示しているが、M≧2であってもよい。一般に、第1のクラッド領域12を構成するi層目(i≧2)の空孔群は、中心−頂点間距離がΛ×iの正8角形の各頂点上、及び、同正8角形の各辺のi等分点上に配置された計8×i個の空孔12aにより構成することができる。
一方、第2のクラッド領域13には、中心−頂点間距離がΛ×jの正6角形上に配置された6×j個の空孔13aからなる空孔群がN層設けられている(jはM+1以上M+N以下の自然数)。図1(a)においては、N=2の場合、すなわち、中心−頂点間距離が2×Λの正6角形の各頂点、及び、同正6角形の各辺の中点(2等分点)上に配置された計12個の空孔13aからなる2層目の空孔群を設け、更に、中心−頂点間距離が3×Λの正6角形の各頂点、及び、同正6角形の各辺の3等分点上に配置された計18個の空孔13aからなる3層目の空孔群を設ける構成を例示しているが、N=1であってもN≧3であってもよい。一般に、第2のクラッド領域13を構成するj層目(j≧2)の空孔群は、中心−頂点間距離がΛ×jの正6角形の各頂点上、及び、同正6角形の各辺のj等分点上に配置された計6×j個の空孔13aにより構成することができる。第2のクラッド領域13において空孔13aをこのように配置した場合、上述したΛは、第2のクラッド領域13における空孔間隔、すなわち、互いに隣接する2つの空孔13aの中心間距離に一致する。
なお、第1のクラッド領域12及び第2のクラッド領域13における空孔配置は、第1のクラッド領域12における空孔12aの数密度が第2のクラッド領域13における空孔13aの数密度よりも高くなる空孔配置であればよく、ここで説明した具体例に限定されるものではない。例えば、第2のクラッド領域13において、中心−頂点間距離がΛ×jの正6角形上に配置された6×j個の空孔13aからなる空孔群をN層設ける構成を採用する場合、第1のクラッド領域12においては、中心−頂点間距離がΛ×iの正L角形上に配置されたL×i個の空孔12aからなる空孔群をM層設ける構成を採用することができる(Lは7以上の自然数)。この場合、第1のクラッド領域12及び第2のクラッド領域13において、空孔12a及び空孔13aが等方的に配置されることになる。また、第2のクラッドにおいて、空孔13aが最密に配置されることになる。このため、これらの空孔を安定的に形成することができる。
更に、第1のクラッド領域12における空孔12aの数密度が第2のクラッド領域13における空孔13aの数密度よりも高くなる空孔配置であれば、第1のクラッド領域12において、各層を構成する空孔群を正8角形上に配置する代わりに、正9角形上に配置したり、正10角形上に配置したり、円周上に配置したりしてもよい。また、第2のクラッド領域13において、各層を構成する空孔群を正6角形上に配置する代わりに、正5角形上に配置したり、正4角形(正方形)上に配置したり、円周上に配置したりしてもよい。第1のクラッド領域12における空孔12aの数密度が第2のクラッド領域13における空孔13aの数密度よりも高くなる空孔配置であれば、星型配置や籠目型配置を採用してもよい。
このように、第1のクラッド領域12における空孔12aの数密度が第2のクラッド領域13における空孔13aの数密度よりも高くなる空孔配置を採用することによって、第1のクラッド領域12における空孔12aの断面積占有率を第2のクラッド領域13における空孔13aの断面積占有率よりも高くし、もって、第1のクラッド領域12の実効屈折率を第2のクラッド領域13の実効屈折率よりも低くすることができる。換言すれば、図1(b)に示した実効屈折率分布、すなわち、第1のクラッド領域12の実効屈折率、及び、第2のクラッド領域13の実効屈折率が、それぞれ、コア領域11の屈折率よりも低くなり、かつ、第1のクラッド領域12の実効屈折率が、第2のクラッド領域13の実効屈折率よりも低くなるW型の実効屈折率分布を実現することができる。
ドーパントを添加することによって屈折率差を付けた光ファイバにおいて、W型の屈折率分布を有する光ファイバ(例えば、非特許文献1に記載の単一モードファイバ)とステップ型の屈折率分布を有する光ファイバとを比較すると、次のことが言える。すなわち、W型の屈折率分布を有する光ファイバにおいては、コア領域の断面積を広げて(直径を大きくして)実効断面積を大きくしても、遮断波長、及び、曲げ損失を、ステップ型の屈折率分布を有する光ファイバと同等にすることができる。また、ステップ型の屈折率分布を有する光ファイバにおいて、空孔を形成することによって屈折率差を付けた光ファイバ(例えば、非特許文献2に記載のフォトニック結晶ファイバ)とフッ素を添加することによってファイバ内に屈折率差をつけた光ファイバとを比較すると、次のことが言える。すなわち、空孔を形成することによって屈折率差を付けた光ファイバにおいては、コア領域の断面積を広げて(直径を大きくして)実効断面積を大きくしても、遮断波長、及び、曲げ損失を、フッ素を添加することによって屈折率差を付けた光ファイバと同等とすることができる。したがって、W型の屈折率を有する光ファイバであって、かつ、空孔を形成することによって屈折率差を付けた光ファイバである第1の実施形態に係る光ファイバ10においては、遮断波長、及び、曲げ損失を、非特許文献1に記載の単一モードファイバや非特許文献2に記載のフォトニック結晶ファイバと同等に保ちつつ、実効断面積を、非特許文献1に記載の単一モードファイバや非特許文献2に記載のフォトニック結晶ファイバよりも大きくすることができる。
しかも、第1の実施形態に係る光ファイバ10は、第1のクラッド領域12と第2のクラッド領域13とにおける空孔の数密度を異ならせることによってW型の屈折率分布を実現しているので、(1)実効断面積の拡大を図るために第1のクラッド領域12と第2のクラッド領域13とにおける空孔径(空孔の直径)を異ならせたり、(2)第1のクラッド領域に屈折率を下げるためのドーパントを添加したりする必要がない。このため、(1)製造が容易であり、かつ、(2)ドーパントによる散乱に起因する損失のない低損失な光ファイバを実現することができる。
(光ファイバの特性)
次に、第1の実施形態に係る光ファイバ10(図1参照)の特性について、図2〜図7を参照して説明する。
図2(a)は、第1の実施形態に係る光ファイバ10における曲げ損失特性(実線)と、従来のフォトニック結晶ファイバにおける曲げ損失特性(破線)とを示したグラフである。ここでは、波長λを1550nmとし、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを0.5とした場合の、曲げ半径30mmに対する計算結果を示している。なお、比較に用いた従来のフォトニック結晶ファイバは、第1のクラッド領域12の空孔数を6個にした点、すなわち、第1のクラッド領域12における空孔の数密度を第2のクラッド領域13における空孔の数密度と同じにした点を除き、第1の実施形態に係る光ファイバ10と同様に構成されたものである。
図2(a)から、第1の実施形態に係る光ファイバ10の空孔配置、すなわち、第1のクラッド領域12における空孔の数密度を第2のクラッド領域13における空孔の数密度よりも高くする空孔配置を採用することによって、従来のフォトニック結晶ファイバよりも曲げ損失が小さくなることが確かめられる。
図2(b)は、第1の実施形態に係る光ファイバ10における高次モード(第1高次モードあるいはLP11モード)の閉じ込め損失特性(実線)と、従来のフォトニック結晶ファイバにおける高次モード(第1高次モードあるいはLP11モード)の閉じ込め損失特性(破線)とを示したグラフである。ここでは、波長λを1450nmとし、空孔径dの空孔間隔Λに対する比d/Λを0.5とした場合の計算結果を示す。なお、比較に用いた従来のフォトニック結晶ファイバは、第1のクラッド領域12の空孔数を6個にした点を除き、第1の実施形態に係る光ファイバ10と同様に構成されたものである。
図2(b)から、第1の実施形態に係る光ファイバ10の空孔配置、すなわち、第1のクラッド領域12における空孔の数密度を第2のクラッド領域13における空孔の数密度よりも高くする空孔配置を採用することによって、従来のフォトニック結晶ファイバよりも高次モードの閉じ込め損失が大きくなることが確かめられる。一般に、高次モードの閉じ込め損失が大きくなるほど、高次モードが光ファイバ外に漏れ易くなって単一モード伝送が実現され易くなる。従って、第1の実施形態に係る光ファイバ10の空孔配置を採用することによって、従来のフォトニック結晶ファイバよりも単一モード伝送が実現され易い光ファイバを実現することができる。
ここで、第1のクラッド領域12における空孔の数密度を高くしても、実効的に第1のクラッド領域12の屈折率を低下させることができるので、従来のフォトニック結晶ファイバと比較して、コア領域11の断面積(直径)の減少、すなわち、実効断面積の減少は僅かである点に留意されたい。したがって、図2に示した計算結果は、第1のクラッド領域12における空孔の数密度を高くすることによって、実効断面積を小さくすることなく、曲げ損失を小さくし、かつ、高次モードの閉じ込め損失を大きくし得ることを意味している。逆に言えば、第1のクラッド領域12における空孔の数密度を高くすることによって、曲げ損失を大きくしたり、高次モードの閉じ込め損失を小さくしたりすることなく、実効断面積を大きくし得ることを意味している。
図3は、第1の実施形態に係る光ファイバ10における基本モードに対する曲げ損失特性を示すグラフである。実線、破線、及び点線は、それぞれ、空孔間隔Λが14μm、16μm、及び18μmの場合を示す。何れも、波長λを1450nmとした場合の曲げ半径30mmに対する計算結果である。
なお、伝送する光の波長λを1450nmとしたときの計算結果を示しているのは、長距離光伝送において広く用いられている波長帯であるS〜Lバンド(1460nm以上1625nm以下)における利用を想定してのことである。非特許文献4にも示されているように、フォトニック結晶ファイバにおいては、短波長側ほど曲げ損失が大きくなる。したがって、波長λを1450nmとしたときの曲げ損失の値が分かれば、S〜Lバンドにおける曲げ損失がその値以下になることが分かる。
図3から、空孔間隔Λが一定であれば、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを大きくするほど(すなわち、空孔径dを大きくするほど)、基本モードに対する閉じ込め効果が強くなり、曲げ損失が小さくなることが確かめられる。例えば、空孔間隔Λが14μm以下であれば、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを0.505以上とすることによって、1450nm以上の波長においてITU−T656において推奨された曲げ損失条件(曲げ半径30mmに対する曲げ損失が100巻きあたり0.5dB以下)を充足することが分かる。また、空孔間隔Λが16μm以下であれば、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを0.525以上とすることによって、1450nm以上の波長においてITU−T656において推奨された上記の曲げ損失条件を充足することが分かる。
図4は、第1の実施形態に係る光ファイバ10における高次モード(第1高次モードあるいはLP11モード)に対する曲げ損失特性を示すグラフである。実線、破線、及び点線は、それぞれ、空孔間隔Λが14μm、16μm、及び18μmの場合を示す。何れも、波長λを1625nmとした場合の曲げ半径140mmに対する計算結果である。
図4から、空孔間隔Λが一定であれば、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを小さくするほど(すなわち、空孔径dを小さくするほど)、高次モードに対する閉じ込め効果が弱くなり、単一モード伝送が実現され易くなることが分かる。例えば、空孔間隔Λが14μmであれば、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを0.515以下とすることによって、1625nm以下の波長において非特許文献2に記載の単一モード条件(曲げ半径140mmに対する曲げ損失が1dB/m=10dB/km以上)を充足することが分かる。また、空孔間隔が16μmであれば、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを0.52以下とすることによって、1625nm以下の波長において非特許文献2に記載の上記の単一モード条件を充足することが分かる。
図5は、第1の実施形態に係る光ファイバ10において、ITU−T656において推奨された曲げ損失条件を充足する空孔径d及び空孔間隔Λの範囲と、非特許文献2に記載の単一モード条件を充足する空孔径d及び空孔間隔Λの範囲とを示す特性図である。
図5において、実線よりも上の領域が、基本モードに対する曲げ損失がITU−T656において推奨された曲げ損失条件(曲げ半径30mmに対する曲げ損失が100巻きあたり0.5dB以下)を充足する領域であり、破線よりも下の領域が高次モードに対する曲げ損失が非特許文献2に記載の単一モード条件(曲げ半径140mmに対する曲げ損失が1dB/m=10dB/km以上)を充足する領域である。また、斜線を付した領域が曲げ損失条件と単一モード条件とを同時に充足する領域である。実線と破線との交点における空孔間隔Λは15.6μmであり、実線と破線との交点における空孔径dと空孔間隔Λとの比は0.521である。
図5から、(1)空孔間隔Λが15.6μm以下であれば、空孔径dを適宜設定することによって、曲げ損失条件と単一モード条件とを同時に充足する光ファイバを実現し得ること、及び、(2)空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λが0.521以下であれば、空孔間隔Λを適宜設定することによって、曲げ損失条件と単一モード条件とを同時に充足する光ファイバを実現し得ることが分かる。更に、空孔間隔Λを大きくするほどコア領域11の断面積が大きくなることを考慮すれば、(3)空孔間隔Λが15.6μmであり、かつ、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λが0.521である場合に、曲げ損失条件と単一モード条件とを同時に充足する、最も実効断面積が大きい光ファイバが実現されることが分かる。
図6は、第1の実施形態に係る光ファイバ10における実効断面積の空孔間隔依存性を示すグラフである。ここでd/Λは0.5とし、波長は1550nmとした。光ファイバ10において、コア断面積は空孔間隔Λの増加に伴って増加するため、より大きな空孔間隔Λをとるほどより大きな実効断面積を得られる。図6から、空孔間隔Λが12.6μm以上であれば、従来の光ファイバの限界であった160μm以上の実効断面積が実現されることが分かる。したがって、図5及び図6から、空孔間隔Λが12.6μm以上15.6μm以下の範囲において、曲げ損失条件と単一モード条件とを同時に充足しながら、従来の光ファイバよりも大きな実効断面積を実現できることが分かる。
図7(a)は、第1の実施形態に係る光ファイバ10における基本モードに対する実効断面積(実線)及び曲げ損失(破線)の波長依存性を示すグラフである。ここでは、曲げ損失条件と単一モード条件とを同時に充足する、最も実効断面積が大きい光ファイバ10、すなわち、空孔間隔Λを15.6μmとし、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを0.521とした光ファイバ10に対する計算結果を示す。
図7(a)から、1250nm以上1650nm以下の波長帯において、実効断面積が235μm程度となることが確かめられる。すなわち、第1の実施形態に係る光ファイバ10の空孔配置を採用することによって、1250nm以上1650nm以下の波長帯において、従来の単一モードファイバが有する実効断面積(約80μm)の約3倍、従来のフォトニック結晶ファイバが有する実効断面積(約157μm)の1.5倍に相当する、格段に大きな実効断面積を有する光ファイバを実現し得ることが分かる。また、図7(a)から、S〜Lバンド(1460nm以上1625nm以下の波長帯)において、ITU−T656において推奨された曲げ損失条件(曲げ半径30mmに対する曲げ損失が100巻きあたり0.5dB以下)を充足していることが確かめられる。
図7(b)は、第1の実施形態に係る光ファイバ10における高次モード(第1高次モードあるいはLP11モード)に対する閉じ込め損失(実線)及び曲げ損失(破線)の波長依存性を示すグラフである。ここでも、曲げ損失条件と単一モード条件とを同時に充足する、最も実効断面積が大きい光ファイバ10、すなわち、空孔間隔Λを15.6μmとし、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを0.521とした光ファイバ10に対する計算結果を示す。
図7(b)から、1250nm以上1650nm以下の波長帯において、高次モードに対する曲げ損失(曲げ半径140mm)が10dB/m=10dB/km程度となることが確かめられる。すなわち、第1の実施形態に係る光ファイバ10の空孔配置を採用することによって、1250nm以上1650nm以下の波長帯において、非特許文献2に記載の単一モード条件(曲げ半径140mmに対する曲げ損失が1dB/m=10dB/km以上)を充足する光ファイバを実現し得ることが分かる。なお、高次モードに対する閉じ込め損失は0.01dB/m=10dB/km程度の小さな値となるが、高次モードに対する曲げ損失(曲げ半径140mm)が上述したように十分に大きな値となるので、これにより単一モード伝送が実効的に阻害されることはない。
なお、以上の説明においてはS〜Lバンドにおける使用を想定して光ファイバ10の特性を示したが、光ファイバ10の使用可能範囲はS〜Lバンド内に限定されるものではない。すなわち、光ファイバ10は、1.0μm以上1.7μm以下の波長帯、あるいは、それよりも広い波長帯において使用可能(曲げ損失条件を満たしつつ単一モード動作可能)である。
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について、図8〜図10に基づいて説明する。
(光ファイバの構成)
第2の実施形態に係る光ファイバ10’の構成について、図8を参照して説明する。図8は、第2の実施形態に係る光ファイバ10’の構成を示す断面図である。
光ファイバ10’は、図8に示すように、円板状のコア領域11’と、コア領域11’を取り囲む円環状の第1のクラッド領域12’と、第1のクラッド領域12’を取り囲む円環状の第2のクラッド領域13’とを含む断面構造を有している。光ファイバ10’を構成する各領域は、第1のクラッド領域12’を除き、同一の材料(例えば、純石英)により構成されている。
第1のクラッド領域12’及び第2のクラッド領域13’には、それぞれ、同一の直径を有する空孔12’a及び空孔13’aが周期的に配設されており、第1のクラッド領域12’の実効屈折率及び第2のクラッド領域13’の実効屈折率は、それぞれ、空孔が配設されていないコア領域11’の屈折率よりも低くなっている。これにより、光ファイバ10’は、図11に示した従来のフォトニック結晶ファイバ20と同様、屈折率導波型のフォトニック結晶ファイバとして機能する。
しかも、第1のクラッド領域12’には、ドーパント(添加物)が添加されている。このため、第1のクラッド領域12’を構成する構成材料の屈折率(空孔12’aを考慮に入れない屈折率)は、第2のクラッド領域13’を構成する構成材料の屈折率(空孔13’aを考慮に入れない屈折率)よりも低くなる。その結果、第1のクラッド領域12’の実効屈折率(空孔12’aを考慮に入れた屈折率)は、第2のクラッド領域13’の実効屈折率(空孔13’aを考慮に入れた屈折率)よりも低くなる。これにより、光ファイバ10’の実効断面積が、図11に示した従来のフォトニック結晶ファイバ20の実効断面積よりも大きくなる。なお、第1のクラッド領域12’を構成する構成材料の屈折率を低下させるためのドーパントとしては、例えば、フッ素やホウ素などを挙げることができる。
なお、第1のクラッド領域12’と第2のクラッド領域13’とは、実効屈折率の違いによって互いに区別されるべきものである。第2の実施形態においては、第1のクラッド領域12’と第2のクラッド領域13’とにおける空孔の数密度を同一にしたうえで、第1のクラッド領域12’にドーパントを添加することによって屈折率差を付けている。したがって、第1のクラッド領域12’と第2のクラッド領域13’とは、このドーパントの有無によって互いに区別される。
光ファイバ10’の空孔配置は、従来のフォトニック結晶ファイバ20(図11参照)と同様の空孔配置、すなわち、中心−頂点間距離がΛ×iの正6角形上に配置された6×i個の空孔12’a・13’aからなる空孔群をN層設ける空孔配置である(iは1以上N以下の自然数)。図8においては、N=3の場合、すなわち、中心−頂点間距離がΛの正6角形の各頂点上に配置された計6個の空孔12’aからなる1層目の空孔群と、中心−頂点間距離が2×Λの正6角形の各頂点、及び、同正6角形の各辺の中点(2等分点)上に配置された計12個の空孔13’aからなる2層目の空孔群と、中心−頂点間距離が3×Λの正6角形の各頂点、及び、同正6角形の各辺の3等分点上に配置された計18個の空孔13’aからなる3層目の空孔群とを設ける構成を例示しているが、N=2であってもN≧4であってもよい。一般に、i層目(i≧2)の空孔群は、中心−頂点間距離がΛ×iの正6角形の各頂点上、及び、同正6角形の各辺のi等分点上に配置された計6×i個の空孔12’a・13’aにより構成することができる。
なお、図8においては、内周側から数えて1層目の空孔群のみを包含するようにドーパントを添加する領域を設ける構成を例示しているが、これに限定されるものではない。すなわち、内周側から数えてM層目(N−1≧M≧1)まで空孔群を包含するようにドーパントを添加する領域を設けてもよい。また、図8においては、第1のクラッド領域12’を構成する各空孔12’aを真に包含するようにドーパントを添加する領域を設けているが、これに限定されるものではない。すなわち、第1のクラッド領域12’を構成する空孔12’aのうち最内周又は最外周に配置されたものがドーパントの添加された領域とドーパントの添加されていない領域との境界を跨いでいてもよい。
このように、第1のクラッド領域12’にフッ素やホウ素などのドーパントを添加する構成を採用することによって、第1のクラッド領域12’と第2のクラッド領域13’とにおける空孔の数密度が同一であっても、第1のクラッド領域12’の実効屈折率を、第2のクラッド領域13’の実効屈折率よりも低くすることができる。換言すれば、第1の実施形態に係る光ファイバ10と同様の実効屈折率分布、すなわち、第1のクラッド領域12’の実効屈折率、及び、第2のクラッド領域13’の実効屈折率が、それぞれ、コア領域11’の屈折率よりも低くなり、かつ、第1のクラッド領域12’の実効屈折率が、第2のクラッド領域13’の実効屈折率よりも低くなるW型の実効屈折率分布を実現することができる。
なお、第2の実施形態においては、第1のクラッド領域12’にのみフッ素やホウ素などのドーパントを添加することによって、第1のクラッド領域12’の実効屈折率を第2のクラッド領域13’の実効屈折率よりも低くする構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1のクラッド領域12’と第2のクラッド領域13’とに添加するドーパントの濃度を異ならせることによって、あるいは、第1のクラッド領域12’と第2のクラッド領域13’とに添加するドーパントの種類を異ならせることによって、第1のクラッド領域12’の実効屈折率を第2のクラッド領域13’の実効屈折率よりも低くする構成を採用してもよい。
(光ファイバの特性)
次に、第2の実施形態に係る光ファイバ10’(図8参照)の特性について、図9〜図10を参照して説明する。
図9(a)は、比屈折率差Δが−0.2%となるように第1のクラッド領域12’にフッ素を添加した光ファイバ10’における曲げ損失特性(破線)と、従来のフォトニック結晶ファイバにおける曲げ損失特性(実線)とを示したグラフである。ここでは、波長λを1450nmとし、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを0.5とした場合の曲げ半径30mmに対する計算結果を示している。なお、比較に用いた従来のフォトニック結晶ファイバは、第1のクラッド領域12’にドーパントが添加されていない(比屈折率差Δが0%である)点を除き、第2の実施形態に係る光ファイバ10’と同様に構成されたものである。
なお、比屈折率差Δは、純石英(コア領域11’の構成材料)の屈折率をn1、フッ素が添加された石英(第1のクラッド領域12’の構成材料)の屈折率をn2としたときに、(n2−n1)/n1を百分率で表したものである。
図9(a)から、第1のクラッド領域12’にフッ素を添加する構成を採用することによって、従来のフォトニック結晶ファイバよりも曲げ損失が小さくなることが確かめられる。
図9(b)は、比屈折率差Δが−0.2%となるように第1のクラッド領域12’にフッ素を添加した光ファイバ10’における高次モード(第1高次モードあるいはLP11モード)の閉じ込め損失特性(破線)と、従来のフォトニック結晶ファイバにおける高次モード(第1高次モードあるいはLP11モード)の閉じ込め損失特性(実線)とを示したグラフである。ここでは、波長λを1450nmとし、空孔直径dの空孔間隔Λに対する比d/Λを0.5とした場合の計算結果を示す。なお、比較に用いた従来のフォトニック結晶ファイバも、第1のクラッド領域12’にドーパントが添加されていない点を除き、第2の実施形態に係る光ファイバ10’と同様に構成されたものである。
図9(b)から、第1のクラッド領域12’にフッ素を添加する構成を採用することによって、従来のフォトニック結晶ファイバよりも高次モードの閉じ込め損失が大きくなること、すなわち、単一モード伝送が実現され易くなることが確かめられる。
図10(a)は、比屈折率差Δが−0.2%となるように第1のクラッド領域12’にフッ素を添加した光ファイバ10’における基本モードに対する実効断面積(実線)及び曲げ損失(破線)の波長依存性を示すグラフである。ここでは、空孔間隔Λを15.0μmとし、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを0.5とした光ファイバ10’に対する計算結果を示す。
図10(a)から、例えば、波長1550nmにおいて、実効断面積が220μm程度となることが確かめられる。すなわち、比屈折率差Δが−0.2%となるように第1のクラッド領域12’にフッ素を添加することによって、例えば、波長1550nmにおいて、従来のSMFが有する実効断面積(約80μm)の約2.7倍、従来のフォトニック結晶ファイバが有する実効断面積(約157μm)の1.4倍に相当する、大きな実効断面積を有する光ファイバを実現し得ることが分かる。また、図10(a)から、例えば、波長1550nmにおいて、基本モードに対する曲げ損失(曲げ半径30mm)を100巻きあたり0.3dB以下に抑えられること、すなわち、ITU−T656において推奨された曲げ損失条件(曲げ半径30mmに対する曲げ損失が100巻きあたり0.5dB以下)を充足する光ファイバを実現し得ることが確かめられる。
図10(b)は、比屈折率差Δが−0.2%となるように第1のクラッド領域12’にフッ素を添加した光ファイバ10’における高次モード(第1高次モードあるいはLP11モード)に対する閉じ込め損失(実線)及び曲げ損失(破線)の波長依存性を示すグラフである。ここでも、空孔間隔Λを15.0μmとし、空孔径dと空孔間隔Λとの比d/Λを0.5とした光ファイバ10’に対する計算結果を示す。
図10(b)から、S〜Lバンド(1460nm以上1625nm以下の波長帯)において、高次モードに対する閉じ込め損失及び曲げ損失が1dB/m程度となることが確かめられる。すなわち、比屈折率差Δが−0.2%となるように第1のクラッド領域12’にフッ素を添加する構成を採用することによって、S〜Lバンドにおいて、非特許文献2に記載の単一モード条件(曲げ半径140mmに対する曲げ損失が1dB/m=10dB/km以上)を概ね充足する、単一モード伝送可能な光ファイバを実現し得ることが確かめられる。
〔まとめ〕
以上のように、本発明に係る光ファイバは、コア領域と、該コア領域を取り囲む第1のクラッド領域と、該第1のクラッド領域を取り囲む第2のクラッド領域とを含む断面構造を有する光ファイバであって、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域には、上記第1のクラッド領域の実効屈折率及び上記第2のクラッド領域の実効屈折率が上記コア領域の屈折率よりも低くなるように、直径が同一の空孔が周期的に形成されており、上記第1のクラッド領域の実効屈折率が上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低いことを特徴としている。
上記の構成によれば、周期的に空孔が配設されたクラッド領域(第1のクラッド領域及び第2のクラッド領域)にコア領域が取り囲まれているので、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、全反射を原理とする光の閉じ込めが実現される。このため、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、広い波長域で単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバを実現することができる。しかも、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしているので、ステップ型の実効屈折率分布(図11(b)参照)をもつ従来のフォトニック結晶ファイバよりも大きい実効断面積を有する光ファイバを実現することができる。
更に、上記の構成によれば、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域に配設する空孔の直径が同一であるため、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域に配設する空孔の直径を異ならせることによって実効断面積の拡大を図る場合のように、その製造が困難になることはない。
したがって、上記の構成によれば、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバでありながら、従来のフォトニック結晶ファイバよりも実効断面積が大きく、かつ、製造が容易な光ファイバを実現することができるという効果を奏する。
なお、「空孔が周期的に形成されている」とは、空孔が形成された光ファイバがフォトニック結晶ファイバとして機能する程度に空孔の配置が周期的であることを意味する。また、2つの空孔の直径が「同一」であるとは、これら2つの空孔の直径の差が製造誤差よりも小さいことを意味する。
なお、本発明に係る光ファイバにおいては、上記第1のクラッド領域における空孔の数密度を上記第2のクラッド領域における空孔の数密度よりも高くすることによって、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしてもよいし、上記第1のクラッド領域に屈折率を下げるためのドーパントを添加することによって、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしてもよいし、あるいは、これらの組み合わせによって、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしてもよい。上記第1のクラッド領域における空孔の数密度を上記第2のクラッド領域における空孔の数密度よりも高くする構成を採用する場合には、ドーパントを添加する必要がないため、ドーパントによる散乱に起因する損失のない、より低損失な光ファイバを実現することができる。
本発明に係る光ファイバにおいては、上記第1のクラッド領域にはM層の空孔群が形成されており(Mは任意の自然数)、上記第2のクラッド領域にはN層の空孔群が形成されており(Nは任意の自然数)、上記M+N層の空孔群のうち内周側から数えてi層目の空孔群は、中心と頂点との距離がΛ×iとなる正L角形上に配置されたL×i個の空孔からなり(Lは7以上の自然数、iは1以上M以下の自然数)、上記M+N層の空孔群のうち内周側から数えてj層目の空孔群は、中心と頂点との距離がΛ×jとなる正6角形上に配置された6×j個の空孔からなる(jはM+1以上M+N以下の自然数)、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記第1のクラッド領域、及び、上記第2のクラッド領域において、空孔を等方的に配置することができる。しかも、上記第2のクラッド領域において、空孔を最密に配置しつつ、上記第1のクラッド領域における空孔の数密度を上記第2のクラッド領域における空孔の数密度よりも高くすることができる。
本発明に係る光ファイバにおいては、上記M+N層の空孔群のうち内周側から数えてi層目の空孔群は、中心と頂点との距離がΛ×iとなる正8角形上に配置された8×i個の空孔からなることが好ましい。
上記の構成によれば、上記空孔の直径と、上記第2のクラッド領域において互いに隣接する2つの空孔の中心間距離Λとを適宜調整することによって、基本モードに対する曲げ損失がITU−T656において推奨された曲げ損失条件(曲げ半径30mmに対する曲げ損失が100巻きあたり0.5dB以下)と、非特許文献2に記載の単一モード条件(曲げ半径140mmに対する高次モードの曲げ損失が1dB/m=10dB/km以上)とを同時に充足する光ファイバを実現することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る光ファイバにおいては、上記第2のクラッド領域において互いに隣接する2つの空孔の中心間距離Λが15.6μm以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、上記空孔の直径を適宜設定することによって、非特許文献2に記載の単一モード条件(曲げ半径140mmに対する高次モードの曲げ損失が1dB/m=10dB/km以上)を充足しつつ、基本モードに対する曲げ損失がITU−T656において推奨された曲げ損失条件(曲げ半径30mmに対する曲げ損失が100巻きあたり0.5dB以下)を達成することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る光ファイバにおいては、上記第2のクラッド領域において互いに隣接する2つの空孔の中心間距離Λが12.6μm以上であることが好ましい。
上記の構成によれば、従来の光ファイバの限界であった160μm以上の実効断面積を実現することができる。
本発明に係る光ファイバにおいては、上記第2のクラッド領域において互いに隣接する2つの空孔の中心間距離Λと上記空孔の直径dとの比d/Λが0.521以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、上記第2のクラッド領域において互いに隣接する2つの空孔の中心間距離Λを適宜設定することによって、基本モードに対する曲げ損失がITU−T656において推奨された曲げ損失条件(曲げ半径30mmに対する曲げ損失が100巻きあたり0.5dB以下)を充足しつつ、非特許文献2に記載の単一モード条件(曲げ半径140mmに対する高次モードの曲げ損失が1dB/m=10dB/km以上)を達成することができるという更なる効果を奏する。
また、本発明に係る光ファイバは、コア領域と、該コア領域を取り囲む第1のクラッド領域と、該第1のクラッド領域を取り囲む第2のクラッド領域とを含む断面構造を有する光ファイバであって、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域に空孔を周期的に配設することによって、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域の実効屈折率を上記コア領域の屈折率よりも低くし、かつ、上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の断面積占有率を異ならせることによって、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くした、ことを特徴とする光ファイバであると表現することもできる。
上記の構成によれば、周期的に空孔が配設されたクラッド領域(第1のクラッド領域及び第2のクラッド領域)にコア領域が取り囲まれているので、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、全反射を原理とする光の閉じ込めが実現される。このため、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、広い波長域で単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバを実現することができる。しかも、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしているので、ステップ型の実効屈折率分布をもつ従来のフォトニック結晶ファイバよりも大きい実効断面積を有する光ファイバを実現することができる。
更に、上記の構成によれば、上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の断面積占有率を異ならせることによって上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしているので、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くするために上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の直径を異ならせる必要がない。したがって、上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の直径を異ならせることによって上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くした光ファイバよりも製造が容易である。
したがって、上記の構成によれば、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバでありながら、従来のフォトニック結晶ファイバよりも実効断面積が大きく、かつ、製造が容易な光ファイバを実現することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る光ファイバは、コア領域と、該コア領域を取り囲む第1のクラッド領域と、該第1のクラッド領域を取り囲む第2のクラッド領域とを含む断面構造を有する光ファイバであって、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域に空孔を周期的に配設することによって、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域の実効屈折率を上記コア領域の屈折率よりも低くし、かつ、上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の数密度を異ならせることによって、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くした、ことを特徴とする光ファイバであると表現することもできる。
上記の構成によれば、周期的に空孔が配設されたクラッド領域(第1のクラッド領域及び第2のクラッド領域)にコア領域が取り囲まれているので、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、全反射を原理とする光の閉じ込めが実現される。このため、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、広い波長域で単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバを実現することができる。しかも、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしているので、ステップ型の実効屈折率分布をもつ従来のフォトニック結晶ファイバよりも大きい実効断面積を有する光ファイバを実現することができる。
更に、上記の構成によれば、上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の数密度を異ならせることによって上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くしているので、上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くするために上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の直径を異ならせる必要がない。したがって、上記第1のクラッド領域と上記第2のクラッド領域とにおける空孔の直径を異ならせることによって上記第1のクラッド領域の実効屈折率を上記第2のクラッド領域の実効屈折率よりも低くした光ファイバよりも製造が容易である。
したがって、上記の構成によれば、従来のフォトニック結晶ファイバと同様、単一モード伝送が可能であり、かつ、曲げ損失が小さい光ファイバでありながら、従来のフォトニック結晶ファイバよりも実効断面積が大きく、かつ、製造が容易な光ファイバを実現することができるという効果を奏する。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、光信号を伝送する伝送媒体として用いられる光ファイバに利用することができる。特に、長距離伝送用の光ファイバに好適に利用することができる。
10,10’ 光ファイバ
11,11’ コア領域
12,12’ 第1のクラッド領域
12a,12’a 空孔
13,13’ 第2のクラッド領域
13a,13’a 空孔

Claims (2)

  1. コア領域と、該コア領域を取り囲む第1のクラッド領域と、該第1のクラッド領域を取り囲む第2のクラッド領域とを含む断面構造を有する光ファイバであって、
    上記第1のクラッド領域の実効屈折率及び上記第2のクラッド領域の実効屈折率が上記コア領域の屈折率よりも低くなるように、上記第1のクラッド領域及び上記第2のクラッド領域に直径が同一の複数の空孔が周期的に配設されており、
    上記複数の空孔は、上記第1のクラッド領域における1層の空孔群及び上記第2のクラッド領域におけるN層の空孔群(Nは任意の自然数)を構成し、
    上記1+N層の空孔群のうち内周側から数えて1層目の空孔群は、中心と頂点との距離がΛとなる正8角形上に配置された8個の空孔からなり、
    上記1+N層の空孔群のうち内周側から数えてj層目の空孔群は、中心と頂点との距離がΛ×jとなる正6角形上に配置された6×j個の空孔からなり(jは2以上1+N以下の自然数)、
    上記第2のクラッド領域において互いに隣接する2つの空孔の中心間距離Λと上記空孔の直径dとの比d/Λが0.521以下であ
    上記第2のクラッド領域において互いに隣接する2つの空孔の中心間距離Λが12.6μm以上15.6μm以下であり、
    波長1550nmにおいて実効断面積が160μm 以上であり、
    1460nm以上1625nm以下の波長帯において単一モード伝送が可能であり、かつ、基本モードに対する曲げ半径30mmでの曲げ損失が100巻きあたり0.5dB以下である、
    ことを特徴とする光ファイバ。
  2. 上記第1のクラッド領域には、屈折率を下げるためのドーパントが添加されている、
    ことを特徴とする請求項に記載の光ファイバ。
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