JP5430378B2 - 作業負荷予測装置 - Google Patents

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本発明は、作業に伴って人が出す筋力を予測する技術に関する。
これまで、運動データから筋力を推定する技術が知られていた(例えば特許文献1、特許文献2)。
国際公開WO2005/122900号パンフレット 特開2006−110217号公報
人は、例えば重量物を運搬する作業などにおいて、無意識に過大な筋力を発生してしまうことがある。未来(現在時刻より僅かな時間の後)に人が発生する筋力を予測することができれば、人が過大な筋力を実際に発生する前に注意を促すことができる。特許文献1や2の技術は、現時刻における筋力を推定することを目的としたものであり、未来に発生し得る筋力を予測する技術ではないので、上記課題に適用することはできない。本発明は、そのような課題に鑑みて創作された。本明細書は、未来に発生し得る筋力を予測する技術と、その技術を用いて、予め定められた閾値を超える筋力が発生することが予測される場合にその旨を人に伝える作業負荷予測装置を提供する。
本明細書が開示する新規な技術の一つは、筋力予測方法に具現化することができる。その方法は、計測ステップ、予測関節角算出ステップ、予測関節トルク算出ステップ、及び、予測筋力算出ステップを含む。各ステップの処理は具体的には以下の通りである。
(1)計測ステップ:角度を含む人の関節の現在時刻tにおける状態量と、人に作用している外力を計測する。
(2)予測関節角算出ステップ:計測ステップにて計測された状態量から、時刻t+dtにおける関節の予測関節角を算出する。
(3)予測関節トルク算出ステップ:予測関節角から、関節が発生する関節トルクであり時刻t+dtにおける予測関節トルクを算出する。
(4)予測筋力算出ステップ:関節トルクと関節トルクを発生させる筋力との関係を記述した筋骨格モデル式に予測関節トルクを代入して時刻t+dtにおける予測筋力を算出する。
関節の状態量とは、典型的には関節の角度、角速度、及び、角加速度である。計測するのは角度だけでもよい。角速度と角加速度は、角度の経時的な計測値から演算によって求めることができるからである。本明細書では、「角速度を計測する」という表現は、角度の計測データから演算によって角速度を求めることも含む。同様に、「角加速度を計測する」という表現は、角度の計測データから演算によって角加速度を求めることも含む。
人に作用している外力とは、作用することによって関節の状態量に影響する外力を意味する。また、関節が発生する関節トルクとは、外力に抗して関節が発生するトルクを意味する。また、筋骨格モデル式は、種々の式が知られているのでここでは説明を省略する。例えは特許文献2に、筋骨格モデル式の一つが開示されているので参照されたい。
上記の方法は、時刻tに計測した関節状態量から、時刻t+dtにおいて人が出す筋力を予測する。なお、「dt」は、予め定められた僅かな時間であり、例えば1秒或いは5秒に設定される。上記の方法を用いれば、dt秒後に人が発生する筋力が予測できるので、例えは、筋力が予め定められた閾値を超えると予測される場合に事前に人に注意を促すことができる。
発明者らは、上記した筋力予測方法を具現化する上で、関節角を予測する新規な方法を創作した。その方法は以下の通りである。即ち、上記した予測関節角算出ステップは、以下のステップを含む。
(1)関節角によって位置が定まる人の特定部位の時刻t+dtにおける第1予測位置を、特定部位位置の過去の経時変化のデータを補外して算出する。
(2)関節角を時間変数のべき乗と変数Aの積の多項式で表した近似式を用いた評価関数であり、時間変数に時刻t+dtを代入した前記近似式の関節角によって表される特定部位の時刻t+dtにおける第2予測位置と前記第1予測位置との差分の絶対値を含む第1項と、前記近似式を3回微分した関節角躍度の時刻tからt+dtまでの積分を含む第2項とを有する評価関数を最小にする変数Aを算出する。ここで、より詳しくは、変数Aは、時間変数のべき乗の項数と同じ数の要素を有するベクトル変数であり、近似式は、時間変数のべき乗の各次の項と、その項に対応する変数(ベクトル変数の要素)との積の和で表される。
(3)算出された変数Aを近似式に代入して関節角の時刻t+dtにおける予測関節角を算出する。
上記した予測関節角算出方法は、関節角を時間変数のべき乗と変数Aの積の多項式で表した近似式を用いた評価関数を導入した点に特徴がある。詳しくは実施形態で述べるが、そのような評価関数を導入することによって、未来の(時刻t+dtにおける)関節角を精度よく予測することが可能となる。従って上記の予測関節角算出方法を用いた筋力予測方法は、精度よくdt秒後の筋力を予測することができる。
なお、予測関節トルク算出ステップは、より具体的には、次の処理を含む。
(1)関節角と外力の関係を記述した外力モデル式に予測関節角を代入して時刻t+dtにおける予測外力を算出する。
(2)外力と関節トルクと関節角状態量の関係を記述した関節の運動方程式に予測関節角と予測外力を代入して時刻t+dtにおける予測関節トルクを算出する。
外力モデル式は、例えば、外力と、外力が作用する人体部位の変位との関係をバネダンパ系で近似した方程式を採用する。関節の運動方程式は、ロボットの技術分野でよく知られているので詳しい説明は省略する。なお、関節の運動方程式は、関節の角速度を含む項と角加速度を含む項を有しているが、それら角速度と角加速度は、予測関節角の経時データを数値微分することによって得られる。
本明細書が開示する新規な技術の他の一つは、上記した筋力予測技術を利用した作業負荷予測装置に具現化することができる。その作業負荷予測装置は、角度を含む人の関節の状態量と、人に作用している外力を計測するセンサを備えており、上記した筋力予測方法を実行することのできる筋力予測装置と、筋力予測装置が算出した予測筋力が閾値を超えた場合にその旨(予測筋力が閾値を超えたこと)を人に知らせるメッセージを出力する出力装置を備える。ここで「メッセージ」とは、例えば、ブザー音や、ランプの点灯など、単純なものでよい。或いは合成音声によるメッセージの音声出力であってもよい。この作業負荷予測装置を用いることで、過負荷が予測される場合に、事前に作業者に注意を促すことができる。
過負荷の状態には様々な種類が考えられる。例えば、特に腰に負担が集中する負荷や、背中に負担が集中する負荷などが考えられる。負荷の状態に応じて個別のメッセージを作業者に提示できれば好ましい。負荷の状態は、作業者の姿勢で分類することができる。作業者の姿勢は、関節の角度で分類できる。そこで、作業負荷予測装置の出力装置は、複数の関節角範囲の夫々に異なる角度別メッセージを対応付けて記憶しており、予測筋力が閾値を超えたときの予測関節角が属する関節角度範囲に対応付けられた角度別メッセージを出力することが好ましい。予測関節角のかわりに現在時刻tにおける関節角が属する関節角度範囲に応じた角度別メッセージを出力してもよい。
本発明によれば、予め定められた閾値を超える筋力の発生が予測される場合に注意情報を発する作業負荷予測装置を実現することができる。
実施例の作業負荷予測装置の模式図を示す。 作業負荷予測装置が実行する筋力予測処理のフローチャート図である。 作業負荷予測装置が実行するメッセージ出力処理のフローチャート図である。
図面を参照して、実施形態の作業負荷予測装置10を説明する。図1は、作業者Hが装着した状態の作業負荷予測装置10の模式図を示す。本実施形態の作業負荷予測装置10は、荷物Wを運搬する作業における作業者の腕の筋力を予測し、予測された筋力が予め決められた閾値を超えた場合にその旨を作業者に通知する装置である。
作業負荷予測装置10は、作業者の腕に装着する装具12、グローブ16、コントローラ20、及び、ヘッドセット26を備えている。装具12は、作業者Hの夫々の腕に沿って装着される。なお、図1では、右腕の装具12のみを示しており、左腕の装具は図示を省略している。
装具12は、作業者の腕に沿って装着されるリンク機構を有している。なお、図1では、装具12を模式的に示しており、具体的な機構は図示を省略している。装具12のリンク機構は、作業者の腕の動作に伴って揺動する。装具12は、作業者Hの手首、肘、及び肩関節の角度を計測する角度センサ14a、14b、及び14cを備えている。左腕の装具にも同様の角度センサが備えられている。角度センサ14a、14b、14c、及び他方の装具の角度センサ群を角度センサ14と総称する。角度センサ14が計測する各関節の角度を関節角ベクトルq(t)で表す。なお、「t」は時間を表す。関節角が時間の関数で表されるのは、関節角が経時的に変化するからである。また、以下では簡単化のため、「関節角ベクトルq(t)」を単に関節角q(t)と称する。
グローブ16には、作業者Hの手が荷物Wから受ける外力を計測する圧力センサ(外力センサ)16aが取り付けられている。作業者Hの手が荷物Wから受ける外力を外力ベクトルr(t)で表す。この外力r(t)は、今注目している関節(関節角q(t)を計測する関節)に影響を与える外力に相当する。なお、夫々の手が3軸方向の外力成分を有するので、外力ベクトルr(t)は、6次元ベクトルである。以下では簡単化のため、「外力ベクトルr(t)」を単に外力r(t)と称する。
図1における符号pは、手先の位置を示す。手先位置pが具体的に手のどの位置に対応するかは、予め決められている。手先位置pは、関節角q(t)によって位置が定まる。関節角q(t)によって手先位置pが定まることはロボット工学の分野で良く知られており、その関係式は順キネマティクス変換と呼ばれている。手先位置pが関節角q(t)の関数(順キネマティクス変換式)で定まるから、以後、手先位置をp(q(t))と表すことがある。手先位置p(q(t))は、関節角q(t)によって位置が定まる人の特定部位に相当する。
角度センサ14が計測した関節角q(t)と外力センサ16aが計測した外力r(t)は、コントローラ20に送られる。コントローラ20は、現在時刻tにおけるセンサ値から、時刻t+dt後の荷物Wに抗する腕の筋力を予測する筋力予測モジュール22と、予測された筋力の大きさに依存したメッセージをヘッドセット26を介して作業者に出力する出力モジュール24を備えている。
筋力予測モジュール22が実行する筋力予測処理の方法を説明する。以下の算出式で用いる記号を説明する。現在時刻をtで表し、dt時間の未来の時刻をt+dtで表す。関節角q(t)の1回微分(角速度)をdq(t)で表し、2回微分(角加速度)をddq(t)で表す。関節角q(t)の3回微分(躍度)をdddq(t)で表す。
図2に筋力予測処理のフローチャートを示す。筋力予測モジュール22は、まず、センサによって、現在時刻tにおける関節角q(t)と外力r(t)を取得する(S2)。筋力予測モジュール22は、過去の関節角q(t)のデータから数値差分によって関節角速度dq(t)と関節角加速度ddq(t)を求める。なお、関節角速度dq(t)と関節角加速度ddq(t)は共に計測される関節角q(t)から得られるので、本明細書では、それらも「センサによって取得する」と表現する。関節角q(t)、角速度dq(t)、及び角加速度ddq(t)は、関節の状態量に相当する。
次に筋力予測モジュール22は、手先位置p(t)の時刻t+dtにおける予測位置を、手先位置p(t)の過去の経時変化のデータを補外して算出する(S4)。補外して得られる時刻t+dtにおける手先予測位置を第1予測位置と称し、符号p*で表す。なお、「補外」は、外挿とも言われ、既知の数値データを基にしてそのデータの範囲(本件の場合が過去の時間範囲)の外側で予想される数値を求めることである。補外には様々な具体的な方法が良く知られているのでここでは具体的な手法の説明は省略する。
次に筋力予測モジュール22は、次の(数1)で表される変数Aと時間tの評価関数cを最小にする変数Aminを求める(S6)。
Figure 0005430378
(数1)において、q(A,t)は、変数Aと時間tのN次多項式で関節角q(t)を近似した式であり、次の(数2)で表される。(数2)は、発明者らが新たに導入した式である。なお、(数1)右辺第2項の記号「b」は予め定められる係数である。
Figure 0005430378
(数2)から理解されるとおり、変数Aは、A=[a、a、a、・・・、aN−1]で表されるベクトルである。(数2)において記号tは時間を表しており、記号Aは新たに導入される変数(変数ベクトル)である。次数Nは、3以上であり、予め定められる。Nが3以上であるのは、(数1)において関数q(A,t)の時間に関する3回微分を用いるからである。なお、(数1)における記号「dddq(A,t)」が、q(A,t)の3回微分を表している。(数2)の特徴は、関節角q(t)を、時間変数のべき乗と変数Aの積の多項式で近似したことにある。変数Aはベクトルであるから、より詳しく言えば、(数2)は、関節角q(t)を、時間変数のべき乗t(i=0〜N−1)と、べき乗の各次の項の係数a(i=0〜N−1)を要素に有する変数ベクトルA(=[a、a、a、・・・、aN−1])で構成される多項式で近似したものである。
(数1)の右辺第1項は、関節角q(t)の近似多項式q(A,t)を3回微分した躍度(関節角の躍度)の現在時刻tから時刻t+dtまでの積分項である。なお、「躍度」とは「加加速度」或いは「ジャーク」とも呼ばれており、加速度の時間微分に相当する。
(数1)の右辺第2項は、関節角qの近似値を表すq(A,t)の時間変数に時刻t+dtを代入した予測関節角q(A、t+dt)によって表される手先位置pの時刻t+dtにおける予測位置p(q(A,t+dt)と、前記した第1予測位置P*との差分の絶対値を含む項である。以下では、時刻t+dtにおける予測関節角q(A、t+dt)によって表される、時刻t+dtにおける手先の予測位置p(q(A,t+dt)を第2予測位置と称する。
筋力予測モジュール22は、(数1)で表される評価関数cの最小値を与える変数A(変数ベクトル)の値Aminを算出する(S6)。なお、変数Aがベクトルであるため、Aminは、評価関数cを最小にする変数ベクトルを表すことに留意されたい。以下では、Aminを変数最小値と称する。次いで筋力予測モジュール22は、算出された変数最小値Aminを関節角の近似多項式(数2)に代入した時刻t+dtにおける予測関節角q(Amin,t+dt)を算出する(S8)。
変数最小値Aminを(数2)に代入した予測関節角q(Amin,t+dt)は、時刻t+dtにおける関節角を良い精度で表す。これは次の理由による。(数1)の右辺第1項は、関節角q(A,t)の時刻tからt+dtまでの積分項であるり、評価関数cが最小になるときのこの右辺第1項は、躍度が最小となることを意味する。関節角の躍度最小は、関節角がスムースに動作することを意味する。人はできるだけ円滑な動きをするから、躍度最小、即ち、関節角ができるだけスムースに動くということが、現実に近い動きを表す。
(数2)の右辺第2項は、上記した時刻t+dtにおける手先の第1予測位置p*と、時刻t+dtにおける予測関節角q(A、t+dt)との差を最小にするための項である。この右辺第2項は、計測された関節角q(t)から得られる手先の時刻t+dtにおける第1予測位置p*と、時刻t+dtにおける予測関節角q(A、t+dt)から得られる手先の第2予測位置p(q(A、t+dt))との差を最小とするという制約条件に相当する。
(数1)の評価関数cの最小値を与える変数最小値Aminを代入した予測関節角q(Amin、t+dt)は、躍度最小で滑らかな動きを実現しつつ、手先位置が妥当な位置へ移動するものとなる。なお、評価関数cの最小値を与える変数最小値Aminを求める算術には、最小値問題を解く様々な手法の一つを用いればよい。ここでは、評価関数cの最小値を与える変数最小値Aminを求める具体的な算術方法の説明は省略する。
次に筋力予測モジュール22は、関節角q(t)と外力r(t)の関係を記述した外力モデル式に時刻t+dtにおける予測関節角q(Amin,t+dt)を代入して時刻t+dtにおける予測外力r(t+dt)を算出する(S10)。外力モデル式は、手先位置Pと荷物Wとの間の接触関係を例えばバネ・ダンパ系で模擬した予め用意されたモデル式を用いればよい。接触関係をモデル式で表すことは力学の分野でよく行われることであり、またモデル式の具体的な形は個々のケースの物理的事情に依存するから、ここでは具体的な説明を省略する。
以上までの処理によって、時刻t+dtにおける予測関節角q(Amin,t+dt)と、予測外力r(t+dt)が求まった。なお、予測関節角q(Amin,t+dt)を数値微分することによって、或いは解析的に微分することによって、時刻t+dtにおける予測関節角速度dq(Amin,t+dt)、及び予測関節角速度ddq(Amin,t+dt)も求まる。筋力予測モジュール22は、時刻t+dtにおけるこれらの予測値を、外力r(t)と関節トルクg(t)と関節角q(t)の状態量(即ち角度、角速度、及び、角加速度)の関係を記述した関節の運動方程式に代入し、時刻t+dtにおける予測関節トルクg(t+dt)を算出する(S12)。関節の運動方程式はよく知られており、一般的に次の(数3)で表される。
Figure 0005430378
(数3)において、Mは作業者の質量や慣性モーメントなどの慣性特性を表す慣性行列であり、ddqは関節角qの2回微分、即ち関節角加速度を表し、gは関節トルクを表す。またh(・)は、運動方程式における関節角qと関節角速度dqと外力rを含む項の一般表現である。(数3)に上記したt+dtにおける予測値を代入すると次の(数4)となり、時刻t+dtにおける予測関節トルクg(t+dt)が求まる。
Figure 0005430378
次に筋力予測モジュール22は、関節トルクgと関節トルクを発生させる筋力fとの関係を記述した筋骨格モデル式に時刻t+dtにおける予測関節トルクg(t+dt)を代入して時刻t+dtにおける予測筋力f(t+dt)を算出する(S14)。例えば、筋骨格モデル式は、次の(数5)で表される。
Figure 0005430378
(数5)において、A(q)は、筋力fと関節トルクgとの間の関係を表すマトリクスであり、関節角qに依存して変化する。マトリクスA(q)は、ロボット工学の分野でよく知られたヤコビアンに相当する。(数5)に時刻t+dtにおける予測関節角q(Amin,t+dt)と予測関節トルクg(t+dt)を代入することで、次の(数6)のとおり、時刻t+dtにおける予測筋力f(f+dt)が求まる。
Figure 0005430378
(数6)においてJ−1(・)はヤコビアンJ(・)の逆行列である。
以上の処理により、筋力予測モジュール22は、荷物Wの運搬作業を行う作業者の時刻t+dtにおける予測筋力f(t+dt)を算出する。算出された予測筋力f(t+dt)は、出力モジュール24に送られる。
次に出力モジュール24が実行するメッセージ出力処理について説明する。出力モジュール22は、予測筋力f(t+dt)が、予め定められた閾値fthを超えていた場合(S20:YES)に、その旨を作業者に知らせるメッセージをヘッドセット26を介して出力する。このとき出力モジュール24は、筋力予測モジュール22がステップS8で算出した予測関節角q(Amin,t+dt)の範囲に応じて異なる種類のメッセージを出力する(S22、S24、S26、及び、S28)。以下、簡単のため、予測関節角q(Amin,t+dt)を単に予測関節角qと表す。
例えば、出力モジュール22は、予測関節角qが関節角範囲の第1境界値Q1よりも小さい場合にはメッセージ1を出力する(S24)。出力モジュール22は、予測関節角qが関節角範囲の第1境界値Q1と第2境界値Q2の間に属するにはメッセージ2を出力する(S26)。出力モジュール22は、予測関節角qが関節角範囲の第2境界値Q2よりも大きいメッセージ3を出力する(S28)。例えば、q<Q1は、腕が伸びている姿勢を表し、Q1≦q≦Q2は、腕がやや曲がった姿勢を示しており、Q2<qは、腕が大きく曲がった姿勢を示す。出力モジュール22は、筋力が閾値を超えることが予測されるとき、そのときの姿勢に応じて異なるメッセージを出力する。なお、メッセージは、合成音声であり、作業者は、メッセージを聞くことによって、姿勢と過大な筋力を出すことが予測されること、即ち、現在の作業を続けるとまもなく過負荷となることが予測されることを知る。メッセージを聞いた作業者は、予定された動作パターンを変更し、過負荷となることを回避することができる。閾値fthや境界値Q1、Q2は、予め定められている。
作業負荷予測装置10の筋力予測モジュール22が実行する処理を以下に纏める。
ステップS2:角度を含む人の関節の現在時刻tにおける状態量(角度、角速度、角加速度)と、人に作用する外力であり状態量に影響する外力を計測する。
ステップS4:関節角によって位置が定まる人の特定部位(手先)の時刻t+dtにおける第1予測位置を、特定部位位置の過去の経時変化のデータを補外して算出する。
ステップS6:経時変化する関節角を、時間変数のべき乗と変数Aの積の多項式で表した近似式を用いた評価関数であり、時間変数に時刻t+dtを代入した近似式の関節角によって表される特定部位の時刻t+dtにおける第2予測位置と第1予測位置との差分の絶対値を含む第1項と、近似式を3回微分した関節角躍度の時刻tからt+dtまでの積分を含む第2項とを有する評価関数cを最小にする変数A(Amin)を算出する。なお、変数A、Aminは、前述した通りベクトルであることに留意されたい。
ステップS8:算出された変数Aminを近似式に代入して関節角の時刻t+dtの予測関節角を算出する。
ステップS10:関節角と外力の関係を記述した外力モデル式に予測関節角を代入して時刻t+dtにおける予測外力を算出する。
ステップS12:外力と、外力に抗して関節が発生する関節トルクと関節角の状態量の関係を記述した関節の運動方程式に予測関節角と予測外力を代入して時刻t+dtにおける予測関節トルクを算出する。
ステップS14:関節トルクと関節トルクを発生させる筋力との関係を記述した筋骨格モデル式に予測関節トルクを代入して時刻t+dtにおける予測筋力を算出する。
上記のステップS4、S6、及びS8をまとめて予測関節角算出ステップと称することができる。上記のステップS10とS12をまとめて予測関節トルク算出ステップと称することができる。
上記した実施形態の留意点を述べる。実施形態の作業負荷予測装置は、腕の各関節角と、手先に加わる外力を計測し、作業中の予測筋力を算出する。作業負荷予測装置は、他の作業における筋力の負荷予測に適用することができる。計測する関節角は腕の関節のみならず、脚の関節の角度の計測値を使っても良い。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:作業負荷予測装置
12:装具
14:角度センサ21
20:コントローラ
22:筋力予測モジュール
24:出力モジュール
26:ヘッドセット

Claims (3)

  1. 角度を含む人の関節の状態量と、人に作用している外力を計測するセンサを備えている筋力予測装置と、
    筋力予測装置が算出した予測筋力が閾値を超えた場合にその旨を人に知らせるメッセージを出力する出力装置と、
    を備えており、
    前記筋力予測装置が、
    角度を含む人の関節の現在時刻tにおける状態量と、人に作用している外力を計測する計測ステップと、
    前記状態量から、時刻t+dtにおける関節の予測関節角を算出する予測関節角算出ステップと、
    予測関節角から、関節が発生する関節トルクであり時刻t+dtにおける予測関節トルクを算出する予測関節トルク算出ステップと、
    関節トルクと関節トルクを発生させる筋力との関係を記述した筋骨格モデル式に予測関節トルクを代入して時刻t+dtにおける予測筋力を算出する予測筋力算出ステップと、
    を実行することを特徴とする作業負荷予測装置。
  2. 前記予測関節角算出ステップは、
    関節角によって位置が定まる人の特定部位の時刻t+dtにおける第1予測位置を、特定部位位置の過去の経時変化のデータを補外して算出するステップと、
    関節角を時間変数のべき乗と変数Aの積の多項式で表した近似式を用いた評価関数であり、時間変数に時刻t+dtを代入した前記近似式の関節角によって表される特定部位の時刻t+dtにおける第2予測位置と前記第1予測位置との差分の絶対値を含む第1項と、前記近似式を3回微分した関節角躍度の時刻tからt+dtまでの積分を含む第2項とを有する評価関数を最小にする変数Aを算出するステップと、
    算出された変数Aを前記近似式に代入して関節角の時刻t+dtにおける予測関節角を算出するステップと、を含み、
    前記予測関節トルク算出ステップは、
    関節角と外力の関係を記述した外力モデル式に予測関節角を代入して時刻t+dtにおける予測外力を算出するステップと、
    外力と関節トルクと関節角状態量の関係を記述した関節の運動方程式に予測関節角と予測外力を代入して時刻t+dtにおける予測関節トルクを算出するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の作業負荷予測装置
  3. 出力装置は、複数の関節角範囲の夫々に異なる角度別メッセージを対応付けて記憶しており、予測筋力が閾値を超えたときの予測関節角が属する関節角度範囲に対応付けられた角度別メッセージを出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業負荷予測装置。
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