JP5430344B2 - 4輪駆動車の駆動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、4輪駆動車の前後駆動力配分を制御する駆動制御装置に関し、特にブレーキによる制動時であっても前後輪の制駆動力配分を適切に維持するものに関する。
例えば乗用車等の自動車における4輪駆動車(AWD車)は、エンジン等の走行用動力源の出力を前輪側及び後輪側に配分するトランスファを備えている。このようなトランスファは、例えば、旋回等に起因する前後輪の差回転を吸収する差動機構(センターディファレンシャル)、及び、この差動機構の差動を制限する差動制限クラッチ等を備えて構成されている。このようなトランスファにおいて、例えばプラネタリギア式のセンターディファレンシャル及びその差動を制限するクラッチ機構を用いて、前後の駆動トルク配分を連続的に可変するようにしたものが知られている。このような前後トルク配分可変式の4輪駆動車においては、例えば、車両の旋回状態(舵角等)とエンジントルクに基づいて、ハンドリング特性を最適化した目標前後駆動トルク配分が設定される制御マップを備えている。
また、このような4輪駆動車の駆動制御において、ブレーキング時には制動性能を向上するため駆動制御の状態を通常時とは異ならせることが知られている。
例えば、特許文献1には、センターディファレンシャルの差動制限機構の制御装置において、エンジンが高負荷状態でブレーキ操作された場合に、各車輪の制動不足状態や過制動を防止する目的で、センターディファレンシャルの差動機能を無効にすることが記載されている。
また、特許文献2には、4輪駆動車の駆動力配分制御装置等において、4輪駆動状態でブレーキを操作した場合でも、ABS非作動の制動時における車両安定性とABSとの適合性を両立することを目的として、4輪駆動モードは通常制御とABS作動時制御の2つの制御データを備え、通常制御で駆動力伝達装置を制御しているとき、ブレーキ信号が検出されると、通常制御からABS作動時制御に切り換えて、トランスファクラッチの目標トルクを上限制限トルク以下に制御することが記載されている。
特開平4―78725号公報 特開2003−127690号公報
上述した従来技術によれば、制動力の前後配分を接地荷重の前後配分(理想制動力配分)に近づけて前輪又は後輪の早期ロックを防止したり、ABSとの干渉を防止して車両の安定性を高めることができる。
しかし、ドライバによるブレーキ操作には、前輪又は後輪が早期ロックする懸念の無い緩減速等、車両の減速が主目的ではなく減速度を利用した前後荷重移動やバネ上姿勢(ピッチング)の微調整のために行われるものがある。さらに、例えば先行車追従制御等の自動運転機能によって、運転者の意図とは関係なく自動的にブレーキが作動することもありうる。このような場合にもブレーキの作動に応じて通常走行時とは別個の制御に切り換えた場合、前後の制駆動力配分が急激に変化して車両のハンドリング特性が変化して挙動が変化したり、ドライバに違和感を与えることが懸念される。
また、ドライバによるブレーキ操作や自動ブレーキ制御による制動時であっても非制動時と同様の駆動力配分制御を継続することも考えられるが、この場合、一般的にブレーキの制動トルクは前輪側が後輪側よりも大きく設定されていることから、前輪の駆動トルクが制動トルクによって吸収される度合が後輪よりも大きくなり、制動力と駆動力とを合わせた制駆動力配分という観点で見た場合、駆動力配分が極端に後輪寄りになる等、駆動力配分制御において意図した駆動力配分(トランスファにおける駆動力配分)と車輪での実際の制駆動力配分とが乖離することが懸念される。
本発明の課題は、ドライバによるブレーキ操作や自動ブレーキ制御による制動力付与時にも前後輪の制駆動力配分を適切に設定する4輪駆動車の駆動制御装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する
請求項の発明は、走行用動力源の出力を前輪及び後輪にそれぞれ伝達する駆動力伝達装置と、前記前輪及び前記後輪をそれぞれ制動する制動装置と、を有する4輪駆動車の前後駆動力配分を制御する駆動制御装置であって、車両の旋回状態及び制駆動力に応じて前記前輪及び前記後輪の目標制駆動力配分を設定する第1の目標制駆動力配分設定手段と、車両の制動力増加に応じて前記前輪及び前記後輪の目標制駆動力配分を理想制動力配分に近づける第2の目標制駆動力配分設定手段と、前記第1の目標制駆動力配分設定手段及び前記第2の目標制駆動力配分設定手段がそれぞれ設定する前記目標制駆動力配分に基づいて制御目標制駆動力配分を演算するとともに、横加速度の増加に応じて前記第1の目標制駆動力配分設定手段の目標制駆動力配分の重み付けを大きくする制御目標制駆動力配分演算手段と、前記制動装置による制動時に前記駆動力伝達装置及び前記制動装置によって前記前輪及び前記後輪に付与される制駆動力の前後配分が、前記制御目標制駆動力配分に近づくよう前記駆動力伝達装置による前後駆動力配分を制御する駆動力配分制御手段とを備えることを特徴とする4輪駆動車の駆動制御装置である。
請求項の発明は、前記駆動力伝達装置は、走行用動力源の出力を所定のトルク比で前記前輪及び前記後輪に配分する駆動力配分機構、及び、前記駆動力配分機構の前輪側出力部と後輪側出力部との差動を制限する差動制限機構を備え、前記駆動力配分制御手段は、前記制御目標駆動力配分、総駆動力、前記トルク比、総制動力、及び、前記制動装置の前後制動力配分に基づいて前記差動制限機構の差動制限トルクを設定することを特徴とする請求項1に記載の4輪駆動車の駆動制御装置である。
請求項の発明は、前記駆動力伝達装置は、前記前輪又は前記後輪の一方が変速機の出力部と直結されるとともに、前記前輪又は前記後輪の他方へ駆動力を伝達するトランスファクラッチを備え、前記駆動力配分制御手段は、前記制御目標駆動力配分、総駆動力、総制動力、及び、前記制動装置の前後制動力配分に基いて前記トランスファクラッチの伝達トルクを設定することを特徴とする請求項1に記載の4輪駆動車の駆動制御装置である。
本発明によれば、制動装置による制動時に駆動力伝達装置及び制動装置によって前輪及び後輪に付与される制駆動力の前後配分が制御目標制駆動力配分に近づくよう駆動力伝達装置による駆動力配分を制御することによって、車輪における制駆動力配分が制御目標駆動力配分から乖離することを防止し、ブレーキング時における制駆動力配分及びハンドリング特性の変化を抑制できる。
また、車両の旋回状態及び制駆動力に応じて前輪及び後輪の目標制駆動力配分を設定する第1の目標制駆動力配分設定手段と、車両の制動力増加に応じて前輪及び後輪の目標制駆動力配分を理想制動力配分に近づける第2の目標制駆動力配分設定手段とを備え、第1の目標制駆動力配分設定手段及び第2の目標制駆動力配分設定手段がそれぞれ設定する目標制駆動力配分に基づいて制御目標制駆動力配分を演算するとともに、横加速度の増加に応じて第1の目標制駆動力配分設定手段の目標制駆動力配分の重み付けを大きくすることによって、緩制動時にはハンドリング特性の変化を抑制することを優先し、急制動時には車両の制動力の最適化を優先した制御とすることができ、運転状態に応じた適切な制駆動力配分を得ることができる。
本発明を適用した4輪駆動車の駆動制御装置の実施例が設けられる車両のパワートレーンの構成を示す模式図である。 実施例の駆動制御装置の構成を示す図である。 実施例の駆動制御装置における制駆動トルクの前後配分目標値のマップの一例を示す図である。 実施例の駆動制御装置における総制動トルクと差動制限トルク目標値2との相関を示すグラフである。 実施例の駆動制御装置における横加速度と差動制限トルク目標値1,2の重み付け係数との相関を示すグラフである。 実施例の駆動制御装置における駆動制御を示すフローチャートである。
本発明は、ドライバによるブレーキ操作や自動ブレーキ制御による制動力付与時にも前後輪の制駆動力配分を適切に設定する4輪駆動車の駆動制御装置を提供する課題を、制駆動トルク及びハンドル角に基づいて制駆動トルクの前後配分目標値を設定するとともに、ブレーキ装置による前後輪の制動トルク作用時にも制動トルクと駆動トルクを合わせた制駆動トルクの車輪での前後配分が前後配分目標値に近づくようにトランスファクラッチの伝達トルクを制御することによって解決した。
以下、本発明を適用した4輪駆動車の駆動制御装置(以下、「駆動制御装置」と称する)の実施例について説明する。
実施例1の駆動制御装置は、例えば4輪のAWD乗用車等の自動車に設けられ、駆動力を前後に配分するAWDトランスファの前後輪側出力部間を拘束するトランスファクラッチの締結力を制御するものである。
図1に示すように、車両のパワートレーンは、エンジン10、トルクコンバータ20、変速機構部30、AWDトランスファ40、フロントディファレンシャル50、リアディファレンシャル60等を備えて構成されている。
エンジン10は、車両の走行用動力源であって、例えばガソリンエンジン等の内燃機関である。
トルクコンバータ20は、エンジン10の出力を変速機構部30に伝達する流体継ぎ手であって、入力側と出力側とを直結するロックアップクラッチを備えている。
変速機構部30は、例えば、一対の可変プーリ及びチェーン、ベルト等からなるバリエータを有する無段変速機(CVT)や複数列のプラネタリギアセットを有するステップAT等であって、トルクコンバータ20から入力されるエンジン10の出力の増減速を行うものである。変速機構部30は、トルクコンバータ20と協働してトランスミッションを構成している。
AWDトランスファ40は、変速機構部30から入力される駆動力を、フロントディファレンシャル50及びリアディファレンシャル60に配分して伝達する駆動力伝達装置である。
AWDトランスファ40は、センターディファレンシャル41、トランスファクラッチ42等を備えて構成されている。
センターディファレンシャル41は、例えば、複合プラネタリギアセットを有して構成され、トルク配分比が例えば約35:65〜45:55程度となるようにフロントディファレンシャル50及びリアディファレンシャル60へトルク配分を行う駆動力配分機構である。また、センターディファレンシャル41は、例えば旋回時の前後輪軌跡差等に起因するフロントディファレンシャル50及びリアディファレンシャル60の差回転を吸収する差動機構としても機能する。
トランスファクラッチ42は、センターディファレンシャル41の前後輪側出力部間の差動を拘束する差動制限機構である。トランスファクラッチ42は、例えば、油圧又は電磁力によって駆動される湿式多板クラッチを備え、その締結力(クラッチ圧着力)すなわち差動制限トルクは後述する駆動制御装置100によって制御されている。
フロントディファレンシャル50は、AWDトランスファ40から伝達される前輪側駆動力を、最終減速するとともに右前輪51及び左前輪52に伝達するものである。また、フロントディファレンシャル50は、右前輪51と左前輪52との差回転を吸収する差動機構として機能する。
リアディファレンシャル60は、AWDトランスファ40から伝達される後輪側駆動力を、最終減速するとともに右後輪61及び左後輪62に伝達するものである。また、リアディファレンシャル60は、右後輪61と左後輪62との差回転を吸収する差動機構として機能する。
また、車両には、制動装置であるブレーキ装置70が設けられている。
ブレーキ装置70は、ブレーキペダル71、マスタシリンダ72、ハイドロリックコントロールユニット(HCU)73、ブレーキFR74、ブレーキFL75、ブレーキRR76、ブレーキRL77等を備えて構成されている。
ブレーキペダル71は、ドライバがブレーキ操作を行う入力部である。
マスタシリンダ72は、ブレーキペダル71に連結され、ブレーキペダル71の踏込み操作に応じて、ブレーキフルードを加圧するものである。マスタシリンダ72には、エンジン10の吸気管負圧を用いてブレーキペダル71からの入力を増幅する真空倍力装置が設けられている。
HCU73は、例えばアンチロックブレーキ制御、ヨーコントロール制御、自動ブレーキ制御等のため、各車輪のホイールシリンダへ供給されるブレーキフルードの液圧を個別に増減するものである。
ブレーキFR74、ブレーキFL75、ブレーキRR76、ブレーキRL77は、それぞれ右前輪51、左前輪52、右後輪61、左後輪62に設けられている。各ブレーキは、車輪とともに回転する円盤状のロータ、及び、ロータにパッドを加圧接触させるキャリパ等をそれぞれ備えている。キャリパは、ECU73から供給されるブレーキフルードの液圧によってパッドを押圧するホイールシリンダを備えている。
車両は、AWDトランスファ40のトランスファクラッチ42の締結力(差動制限トルク)を設定する駆動制御装置100を備えている。
駆動制御装置100は、ハンドル角センサ101、車輪速センサ102、駆動トルク検出手段103、ブレーキ操作検出手段104、自動ブレーキ制御装置105、制動トルク演算手段106、駆動トルク前後配分目標値演算部107、差動制限トルク目標値1演算部108、差動制限トルク目標値2演算部109、横加速度計算値演算部110、重み付け係数設定部111、差動制限トルク指示値演算部112、AWD制御装置113等を備えて構成されている。
ハンドル角センサ101は、ステアリングホイールの回転をステアリングギアボックスに伝達する図示しないステアリングシャフトに設けられ、その角度位置を検出するエンコーダを備えている。
車輪速センサ102は、右前輪51、左前輪52、右後輪61、左後輪62を回転可能に支持するホイールハブ部に設けられ、各車輪の回転速度に応じた車速パルス信号を出力するものである。
駆動トルク検出手段103は、エンジン10のスロットル開度、吸気管負圧、燃料噴射量、点火時期、過給圧等の各種運転パラメータ、トルクコンバータ20のトルク比、変速機構部30のギヤ比、フロント、リアディファレンシャル50、60の最終減速比、タイヤ径等に基づいて、車輪における車両の総駆動トルクTを求めるものである。
変速機構部30の出力トルク(トランスミッション出力トルク)Tが既知である場合、総駆動トルクTは、以下の式1によって表される。

=T・G ・・・(式1)
:トランスミッション出力トルク
:最終減速比(ファイナルギア比)
ブレーキ操作検出手段104は、ドライバによるブレーキ操作及び自動ブレーキ制御によるブレーキ装置70の制動状態を検出するものである。ブレーキ操作検出手段104として、例えば、HCU73に設けられたブレーキフルードの液圧センサが用いられる。
自動ブレーキ制御装置105は、例えば、先行車との位置関係、相対速度に基いて車両の加減速を行うアダプティブクルーズコントロール装置等に設けられ、必要に応じてHCU73によってブレーキフルード液圧を発生させ、ブレーキ装置70を作動させるものである。
制動トルク演算手段106は、ECU73から取得したブレーキフルードの液圧、及び、ブレーキ装置70の仕様等に基いて、車輪における総制動トルクT、及び、制動トルクの前後配分Dを演算するものである。
ここで、制動トルクの前後配分Dは、例えば、ブレーキロータにブレーキパッドを押圧するホイールシリンダの径及び個数、ブレーキロータの有効径、ブレーキパッドの摩擦係数等のブレーキ装置の仕様から求めることができる。
また、総制動トルクTは、このようなブレーキ装置の仕様及びブレーキフルードの液圧から求めることができる。
駆動トルク前後配分目標値演算部107は、駆動トルク検出手段103が検出する総駆動トルクT、及び、制動トルク演算手段106が演算する総制動トルクTを合算した総制駆動トルクと、ハンドル角センサ101が検出するハンドル角とに基づいて、AWDトランスファ40における駆動トルク前後配分目標値Dを演算するものである。
駆動トルク前後配分目標値Dは、例えば、図3に示す予め設定されたマップから読み出される車輪での駆動トルク前後配分目標値Dに基いて算出される。車輪での駆動トルク前後配分目標値Dは、車両のハンドリング特性を最適化するよう車両の開発段階でシミュレーション、実車実験等によって設定されている。
駆動トルク前後配分目標値演算部107は、差動制限トルク目標値1演算部108と協働して本発明にいう第1の目標制駆動力配分設定手段として機能する。
ここで、各車輪での制駆動トルク前後配分Dは、以下の式2によって表される。

Figure 0005430344

:車輪での制駆動トルク前後配分=前軸トルク/総トルク
:AWDトランスファでの駆動トルク前後配分
:制動トルクの前後配分
:車輪での総駆動トルク
:総制動トルク
上記した式2は、以下の式3に変形することができる。
Figure 0005430344
また、AWDトランスファ40での駆動トルク前後配分目標値Dは、以下の式4によって表される。
Figure 0005430344
:AWDトランスファでの駆動トルク前後配分目標値
:車輪での制駆動トルク前後配分目標値
差動制限トルク目標値1演算部108は、駆動トルク前後配分目標値演算部107が演算する駆動トルク前後配分目標値Dに基づいて、トランスファクラッチ42の差動制限トルク目標値1を演算するものである。
トランスファクラッチ42の差動制限トルクの目標値1基準値T1iは、以下の式5によって表される。
Figure 0005430344
li:トランスファクラッチ差動制限トルク目標値1基準値
:センターディファレンシャル(ギヤ部)の駆動トルク前後配分
差動制限トルク目標値1Tは、上述したT1iを用いて、以下の式6によって表わされる。
Figure 0005430344
:センタデフ差動制限トルクの目標値(1)
Δω:前後軸(差動制限クラッチ)の差回転数
=(ωfr+ωfl)−(ωrr+ωrl)
差動制限トルク目標値2演算部109は、制動トルク演算手段106が演算する総制動トルクTに基づいて、総制動トルクTの増加に応じて車両の制動力配分を理想制動力配分に近づけるトランスファクラッチ42の差動制限トルク目標値2Tを演算するものである。
図4に示すように、差動制限トルク目標値2Tは、総制動トルクTが0である場合には0であり、ここから総制動トルクTの増加に応じて、所定の上限値まで増加する。そして、上限値に達した後は、総制動トルクTがさらに増加しても差動制限トルクTは上限値(一定値)となっている。この上限値は、車両の制動力配分を理想制動力配分(制動時における前後輪接地荷重配分)に近づけるとともに、トラクションコントロール(TCS)制御、アンチロックブレーキ(ABS)制御との干渉を防止することを考慮して設定されている。
TCS制御は、駆動力が過大なことによっていずれかの車輪にスリップ(ホイールスピン)又はその兆候が検出された場合に、エンジン出力を抑制するとともに、当該車輪をブレーキによって制動するものである。
ABS制御は、ブレーキロックが生じた車輪のブレーキフルード圧を断続的に減圧してロック状態から回復させるものである。
差動制限トルク目標値2演算部109は、本発明にいう第2の目標制駆動力配分設定手段として機能する。
横加速度計算値演算部110は、ハンドル角センサ101が検出するハンドル角、及び、車輪速センサ102が検出する車輪速に基づいて、車両に作用する横加速度(旋回による求心加速度)を演算するものである。
横加速度Aは、以下の式7によって求められる。
Figure 0005430344
上述した横加速度ゲインは、以下の式8によって求められる。

Figure 0005430344
A:スタビリティファクタ(車両固有の定数)
V:車速
l:ホイールベース
n:ステアリングギヤ比
重み付け係数設定部111は、トランスファクラッチ42の制御における差動制限トルク目標値1Tと差動制限トルク目標値2Tとの重み付け係数(差動制限トルク目標値2Tの制御分担比)Kを設定するものである。
図5に示すように、重み付け係数Kは、横加速度Aが微小な領域では0であり、横加速度Aが所定値以上の領域では1となり、これらの中間領域では横加速度Aの増加に応じて増加する。
差動制限トルク指示値演算部112は、以下の式9を用いて、トランスファクラッチ差動制限トルクの目標値Tcを算出する。

=T・K+T(1−K) ・・・(式9)
:トランスファクラッチ差動制限トルクの目標値
:差動制限トルク目標値1
:差動制限トルク目標値2
K:重み付け係数
AWD制御装置113は、差動制限トルク指示値演算部112が算出したトランスファクラッチ差動制限トルクの目標値Tcに基いて、AWDトランスファ40のトランスファクラッチ42の締結力を制御する。
以下、本実施例の駆動制御装置100におけるブレーキ装置70の作動時(制動時)の駆動制御について、図6を参照して説明する。
以下、図6の各ステップ毎に説明する。
<ステップS01:車両の走行状態を検出>
車輪速センサ102、駆動トルク検出手段103等は、車速やエンジン10、トルクコンバータ20、変速機構部30の運転状態等の制御に必要な情報を取得する。
その後、ステップS02に進む。
<ステップS02:ドライバの運転操作等を検出>
ハンドル角センサ101は、ドライバの操舵操作によるハンドル角を検出し、ブレーキ操作検出手段104は、ブレーキフルードの液圧を検出する。なお、ここで検出されるブレーキフルード液圧は、ドライバのブレーキ操作によるものに限らず、自動ブレーキ制御装置105の自動ブレーキ制御によるものも含まれる。
その後、ステップS03に進む。
<ステップS03:差動制限トルク目標値1を演算>
差動制限トルク目標値1演算部108は、上述した式5及び式6を用いて、差動制限トルク目標値1Tを算出する。
その後、ステップS04に進む。
<ステップS04:差動制限トルク目標値2を演算>
差動制限トルク目標値2演算部109は、制動トルク演算手段106が演算する総制動トルクT及び図4に示す総制動トルクTと差動制限トルク目標値2Tとの相関に基づいて、差動制限トルク目標値2Tを算出する。
その後、ステップS05に進む。
<ステップS05:重み付け係数を演算>
重み付け係数設定部111は、横加速度計算値演算部110が算出した横加速度Aに基づいて、差動制限トルク目標値1Tと差動制限トルク目標値2Tとの重み付け係数Kを算出する。
その後、ステップS06に進む。
<ステップS06:差動制限トルク指示値を設定・実行>
差動制限トルク指示値演算部112は、上述した式9を用いて、トランスファクラッチ差動制限トルクの目標値Tcを算出し、これに基づいてAWDトランスファ40のトランスファクラッチ42を制御する。
その後、一連の処理を終了(リターン)する。
以上説明した実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)駆動制御装置100は、横加速度Aが比較的大きい領域においては、ブレーキ装置70による車両の制動時(制動トルク付与時)であっても、制駆動トルクT,T及び舵角からハンドリング特性を最適化するよう設定される車輪での駆動トルク前後配分目標値Dが維持されるように、AWDトランスファ40での駆動トルク配分Dを設定してトランスファクラッチ42の差動制限トルクTを制御しているため、例えばコーナリング中にドライバがブレーキ操作を行ったり、自動ブレーキ制御が働いた場合であっても、車輪における制駆動トルク配分及びハンドリング特性が急激に変化することがなく、車両の旋回性能を確保することができる。
(2)駆動制御装置100は、横加速度Aが比較的小さい領域においては、制動トルクTの増加に応じてトランスファクラッチ42の締結力を増加させ、車両の制駆動力の前後配分を理想制動力配分に近づける制御を行い、さらに横加速度Aの増加に応じてこのような制御の制御分担比(1−K)を大きくすることによって、直進又は比較的シビアでないコーナリング時において、車両の制動性能を最適化することができる。
(3)差動制限トルク目標値Tを設定する際に、センターディファレンシャル41の差回転方向を検出し、制御により意図する方向へのトルク伝達が不可能な場合には差動制限トルク目標値Tを0としているため、差回転方向によって制御が逆効果となってしまうことを防止し、上述した効果をより確実に発揮することができる。
(4)差動制限トルク目標値2が所定の上限値を有することによって、TCS制御やABS制御との干渉を防止しつつ車両の制駆動トルク配分を理想制動力配分に近づけることができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)4輪駆動車の駆動力伝達装置の構成は、上述した実施例のものに限定されず、適宜変更することができる。例えば、前輪又は後輪の一方が変速機に直結され、他方には伝達トルクを連続的に可変可能な油圧式、電磁式等のクラッチを介して駆動力が伝達されるものでもよい。例えば、前輪側が直結である場合には、上述した値D=1とすればよい。
また、4輪駆動車の駆動力伝達装置の構成は、前輪及び後輪が異なった動力源によって駆動されるものであってもよい。このようなものの例として、例えばエンジンに接続された変速機を前輪又は後輪の一方に直結し、他方を電動モータによって駆動する構成としてもよい。
(2)実施例では、図3に示すように制駆動力と舵角に基づいて目標制駆動力配分が設定されているが、目標制駆動力配分の設定に用いられるパラメータはこれらに限らず、例えば横加速度、ヨーレート、車速等の他の情報を考慮して目標制駆動力配分を設定するようにしてもよい。
(3)車両の各構成要素は上述した実施例のものに限らず、適宜変更することができる。例えば、走行用動力源はエンジンに限らず、電動モータやエンジン−電気ハイブリッドシステムであってもよい。また、変速機構部もCVTやステップATには限定されず、手動変速機やDCTであってもよい。
10 エンジン 20 トルクコンバータ
30 変速機構部 40 AWDトランスファ
41 センターディファレンシャル 42 トランスファクラッチ
50 フロントディファレンシャル 51 右前輪
52 左前輪 60 リアディファレンシャル
61 右後輪 62 左後輪
70 ブレーキ装置 71 ブレーキペダル
72 マスタシリンダ
73 ハイドロリックコントロールユニット(HCU)
74 ブレーキFR 75 ブレーキFL
76 ブレーキRR 77 ブレーキRL
100 駆動制御装置 101 ハンドル角センサ
102 車輪速センサ 103 駆動トルク検出手段
104 ブレーキ操作検出手段 105 自動ブレーキ制御装置
106 制動トルク演算手段 107 駆動トルク前後配分目標値演算部
108 差動制限トルク目標値1演算部 109 差動制限トルク目標値2演算部
110 横加速度計算値演算部 111 重み付け係数設定部
112 差動制限トルク指示値演算部 113 AWD制御装置

Claims (3)

  1. 走行用動力源の出力を前輪及び後輪にそれぞれ伝達する駆動力伝達装置と、
    前記前輪及び前記後輪をそれぞれ制動する制動装置と、
    を有する4輪駆動車の前後駆動力配分を制御する駆動制御装置であって、
    車両の旋回状態及び制駆動力に応じて前記前輪及び前記後輪の目標制駆動力配分を設定する第1の目標制駆動力配分設定手段と、
    車両の制動力増加に応じて前記前輪及び前記後輪の目標制駆動力配分を理想制動力配分に近づける第2の目標制駆動力配分設定手段と、
    前記第1の目標制駆動力配分設定手段及び前記第2の目標制駆動力配分設定手段がそれぞれ設定する前記目標制駆動力配分に基づいて制御目標制駆動力配分を演算するとともに、横加速度の増加に応じて前記第1の目標制駆動力配分設定手段の目標制駆動力配分の重み付けを大きくする制御目標制駆動力配分演算手段と、
    前記制動装置による制動時に前記駆動力伝達装置及び前記制動装置によって前記前輪及び前記後輪に付与される制駆動力の前後配分が、前記制御目標制駆動力配分に近づくよう前記駆動力伝達装置による前後駆動力配分を制御する駆動力配分制御手段と
    を備えることを特徴とする4輪駆動車の駆動制御装置。
  2. 前記駆動力伝達装置は、走行用動力源の出力を所定のトルク比で前記前輪及び前記後輪に配分する駆動力配分機構、及び、前記駆動力配分機構の前輪側出力部と後輪側出力部との差動を制限する差動制限機構を備え、
    前記駆動力配分制御手段は、前記制御目標駆動力配分、総駆動力、前記トルク比、総制動力、及び、前記制動装置の前後制動力配分に基づいて前記差動制限機構の差動制限トルクを設定すること
    を特徴とする請求項1に記載の4輪駆動車の駆動制御装置。
  3. 前記駆動力伝達装置は、前記前輪又は前記後輪の一方が変速機の出力部と直結されるとともに、前記前輪又は前記後輪の他方へ駆動力を伝達するトランスファクラッチを備え、
    前記駆動力配分制御手段は、前記制御目標駆動力配分、総駆動力、総制動力、及び、前記制動装置の前後制動力配分に基いて前記トランスファクラッチの伝達トルクを設定すること
    を特徴とする請求項1に記載の4輪駆動車の駆動制御装置。
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