<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機10」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は第1の実施の形態におけるパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場の島設備に設置される。
この外枠11によって遊技機主部12が開閉可能な状態で支持されている。具体的には、後述する支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前面扉14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
内枠13には、図2に示すように、前面扉14が支持されており、同前面扉14はパチンコ機10の正面視における左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
次に、前面扉14について説明する。なお、以下の説明では、図1及び図2を参照するとともに、前面扉14の背面の構成については図4を参照する。図4は前面扉14の背面図である。
図2に示すように、前面扉14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20と、同枠体20の前面側に固定された前面カバー21とを主体に構成されており、内枠13における前面側のほぼ全域を覆っている。枠体20及び前面カバー21の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部20a,21aが形成されており、同窓部20a,21aはガラスユニット30によって同前面扉14の背面側から覆われている。
図4に示すように、枠体20には窓部20aを囲むようにしてガラスユニット設置部22が形成されている。詳しくは、ガラスユニット設置部22は、枠体20の背面側に配されているとともにパチンコ機10の前方に向けて凹んでおり、その底部に上記窓部20aが配設されている。ガラスユニット30は、ガラスユニット設置部22に嵌まることで上下方向及び左右方向への変位が規制されている。
ガラスユニット30は、透明性を有するガラスパネル31,32とそれらガラスパネル31,32を保持するガラスホルダ33とを有してなり、同ガラスホルダ33が枠体20に取り付けられたレバー部材23と同枠体20とによって挟持されることで、当該枠体20に対して一体化されている。なお、ガラスパネル31,32の間に所定の隙間が確保されており、それらガラスパネル31,32によって遊技領域PEがパチンコ機10の正面側から2重に覆われた状態となっている。
再び図1を参照して説明すれば、窓部20a,21aの周囲には各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部20a,21aの周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部24が設けられている。環状電飾部24では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部24の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部25が設けられ、窓部20a,21aの左右両側には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部26が設けられている。また、中央のエラー表示ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部27が設けられている。
前面扉14(詳しくは前面カバー21)における窓部21aの下方には、手前側へ膨出した上側膨出部28と下側膨出部29とが上下に並設されている。上側膨出部28内側には上方に開口した上皿28aが設けられており、下側膨出部29内側には同じく上方に開口した下皿29aが設けられている。上皿28aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導く機能を有している。また、下皿29aは、上皿28a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。
下側膨出部29並びとなる位置には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前面扉14の背面には、図2及び図4に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿28aに通じる前扉側上皿通路51と、下皿29aに通じる前扉側下皿通路52とが形成されてなる。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51の入口部分と前扉側下皿通路52の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿28aに導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿29aに導かれる。
次に、図1及び図5に基づき内枠13と同内枠13及び外枠11の関係とについて詳細に説明する。図5は内枠13の正面図である。なお、図5においては、図2と同様にパチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース60を主体に構成されている。樹脂ベース60の高さ寸法(上下方向における長さ寸法)は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース60は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース60との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース60(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では同樹脂ベース60が幕板の上に載ることとなる。
幕板は着色された不透明な樹脂により薄板状に形成されており、同幕板の前面にはパチンコ機10のメーカ名(図示略)が記されている。幕板の後方となる領域にはスピーカユニットが配されており、同スピーカユニットが外枠11の下側枠部に固定されている。スピーカユニットは、その一部が幕板に形成された開口部を通じてパチンコ機10の前方に露出した状態となっている。
これらスピーカユニットは、後述する音声ランプ制御装置に配線を用いて電気的に接続されており、同音声ランプ制御装置から入力される信号に基づいて音声を出力する。既に説明したようにパチンコ機10(詳しくは前面扉14)の上部にはスピーカ部が設けられており、同スピーカ部とスピーカユニットとを併用することで、すなわちパチンコ機10の上部及び下部に配することで、パチンコ機10の音響に関する機能の向上を図っている。なお、スピーカユニットは必須の構成ではなくこれを省略することも可能である。
図5に示すように、樹脂ベース60の回動基端側(図5の左側)には、後述する支持機構が設けられており、この支持機構によって前面扉14が内枠13に対する回動が許容された状態で支持されている。
内枠13(詳しくは樹脂ベース60)の前面において、同内枠13の回動先端側となる部位には施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、前面扉14に向けて延びる複数の前扉用鉤部材76を有している。これら前扉用鉤部材76に対応させて、前面扉14の背面には内枠13側に延びる鉤受け部材59が複数設けられている。前扉用鉤部材76が鉤受け部材59に引っ掛かることにより前面扉14が閉じた状態で施錠される。また、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース60の右下隅部には、施錠装置の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置に一体化されており、その先端部分(鍵穴部分)が上記前面扉14に設けられた孔部を通じてパチンコ機10の前方に露出している。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すことで内枠13に対する前面扉14の施錠が解除され、同キーを左に回すことで外枠11に対する内枠13の施錠が解除される。
樹脂ベース60の前面における略中央部分には、遊技盤80を収容する遊技盤収容部61が形成されている。遊技盤収容部61は、パチンコ機10の後方に凹み、遊技盤80を収容する収容空間を区画形成しており、樹脂ベース60に取り付けられた遊技盤80がその収容空間に嵌まった状態となっている。
遊技盤収容部61は、遊技盤80の背面に対向する平板状の対向板部62と、同対向板部62から起立し遊技盤80の周縁に沿って延びる周壁部63とによって構成されている。対向板部62は、その略中央に上述した中央開口64が形成されており、内枠13の正面視において略矩形枠状をなしている。周壁部63は、遊技盤80における上下左右の各端面に対して個々に対向する上側壁部65,下側壁部66,左側壁部67,右側壁部68が連なってなり、全体として遊技盤80を囲む環状をなしている。なお、周壁部63は中央開口64を囲むようにして形成されているとも言える。
遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が遊技盤収容部61の開放部分を通じて樹脂ベース60の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット30(詳しくはガラスパネル32)によって覆われている。ガラスパネル32は、遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80は木製に限定されるものではなく、合成樹脂材料製とすることも可能である。
また、本実施の形態における遊技盤80は樹脂ベース60に対して着脱可能な構成となっており、遊技盤収容部61には遊技盤80の取り外しを許容する許容状態と、同遊技盤80の取り外しを不可とする阻止状態とに切替可能なロック装置70が複数設けられている。このようにロック装置70を用いて遊技盤80を着脱可能な構成を採用することで、メンテナンス作業等の容易化が図られている。
以下、図6に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図6は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83b、スルーゲート84及び可変表示ユニット85等がそれぞれ設けられている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83a,83bに遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口86が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口86を通って遊技領域PEから排出される。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘87が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘87や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確立で発生するように調整されている。
可変入賞装置82は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置82の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、同可変入賞装置82の開放が複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として繰り返されるように設定されている。
可変表示ユニット85は遊技盤80の中央上寄りに配置されており、その下方に作動口83a,83bが配置されている。より詳しくは、作動口83a,83bは、作動口83aを上側、作動口83bを下側として上下に並設されている。可変表示ユニット85及び作動口83a,83bは、遊技性を司る部位であり遊技者の注意が集まりやすい。それら可変表示ユニット85及び作動口83a,83bを遊技機中央において上下に並べて配置することで両者間での視線の移動量を抑え、遊技者の目に生じる負担の低減に貢献している。
可変表示ユニット85は、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置94を備えている。図柄表示装置94は、液晶ディスプレイ(表示画面94a)を備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御されている。具体的には、表示画面94aにおいては、上段,中段及び下段に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示される。そして、大当たり発生時には、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示され、特別遊技状態へと移行される。なお、表示画面94aにおける表示態様を以下のように変更してもよい。すなわち、左,中及び右に並べて図柄を表示し、それら図柄を上下スクロールさせるようにして変動表示させてもよい。
また、可変表示ユニット85は、図柄表示装置94を囲むようにして形成されたセンターフレーム95を備えている。センターフレーム95の上部には、第1特定ランプ部96及び第2特定ランプ部97が設けられている。また、センターフレーム95の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部98,99が設けられている。下側の保留ランプ部98は、図柄表示装置94及び第1特定ランプ部96に対応しており、遊技球が作動口83を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部98の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部99は、第2特定ランプ部97に対応しており、遊技球がスルーゲート84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部99の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
再び図5を用いて説明すれば、樹脂ベース60における遊技盤収容部61(遊技盤80)の下方には、遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース60用の補強プレートを介して樹脂ベース60に取り付けられている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域区画部材と共に遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分104と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分105とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分104→出口部分105)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分105の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
誘導レール100は、遊技球発射ハンドル41が遊技球を遊技領域PEに到達させることができる程度に操作された場合に、すなわち遊技球発射ハンドル41の操作量が第1の規定量を超えた場合に、発射レール112から打ち出された遊技球が当該誘導レール100の入口部分104、詳しくは外レール102において発射レール112の延長上に位置する特定部位に着地するように形成されている。なお、外レール102は、その特定部位における接線の向きが発射レール112のレール方向と略同一となるように形成されている。発射された遊技球の移動方向と、特定部位の接線方向を揃えることにより、遊技球の着地によって生じる衝撃を低減するとともに同遊技球の跳ね返りを抑え、誘導レール100によるそれら遊技球の円滑な誘導を可能としている。
同図5に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分104と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路55が配設されている。ファール球通路55は前面扉14の通路形成ユニット50に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路55内に入ることとなる。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は図1に示した下皿29aに排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース60において発射レール112の左方(詳しくは前面扉14を支持している側)には樹脂ベース60を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース60に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前面扉14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている(図2参照)。
樹脂ベース60において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123からの遊技球の流出を規制するシャッタ124が設けられている。シャッタ124は、両通路の出口部分を狭め遊技球の流出を阻止する阻止位置と、遊技球の流出を許容する許容位置との両位置に切り替え可能な状態で樹脂ベース60によって支持されている。また、樹脂ベース60にはシャッタ124を阻止位置に向けて付勢する付勢部材が取り付けられており、前面扉14を内枠13に対して開いた状態では付勢部材の付勢力によってシャッタ124が阻止位置に留まる構成となっている。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前面扉14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が回避されている。これに対し、前面扉14を閉じた状態では、前面扉14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により上記付勢力に抗してシャッタ124が許容位置に押し戻される。この状態では、本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51と、本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52とがそれぞれ連通し、遊技球の移動が許容されることとなる。
次に、内枠13(樹脂ベース60及び遊技盤80)の背面構成について説明する。樹脂ベース60の背面における回動基端側には、軸受け金具が取り付けられている。軸受け金具には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース60の背面には、裏パックユニット15を内枠13に固定するための固定レバー134が複数設けられている。
既に説明したように樹脂ベース60における遊技盤収容部61の底部分、すなわち上記対向板部62には樹脂ベース60の厚さ方向に貫通し同樹脂ベース60の背面側に開放された中央開口64が形成されており、その中央開口64が遊技盤収容部61に収容された遊技盤80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤80の背面には制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は中央開口64を通じて内枠13の背側に露出した状態となっている。ここで、図7に基づき遊技盤80の背面の構成について詳細に説明する。図7は遊技盤80を後方から見た斜視図である。
遊技盤80の背面には、可変表示ユニット85を遊技盤80に対して搭載する合成樹脂製の台座部材141が固定されている。台座部材141は、遊技盤80側に開放された略箱状をなしており遊技盤80の背面のほぼ全域を覆っている。台座部材141の一部は樹脂ベース60の中央開口64を通じて同樹脂ベース60の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置94と、その図柄表示装置94を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置94及び表示制御装置は前後方向(樹脂ベース60の厚さ方向)に図柄表示装置が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。さらに、遊技盤80には、表示制御装置の後方に位置するようにして音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
音声ランプ制御装置ユニット142の下方には、台座部材141を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤80の背面に固定された合成樹脂製の取付台170と、その取付台170に搭載された主制御装置180とを有している。主制御装置180は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。
台座部材141において遊技盤80の背面と対向している部分には、前記一般入賞口81,可変入賞装置82,上作動口83a,下作動口83bの遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下方に集合する構成となっている。つまり、台座部材141には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口86についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口86を介して排出通路内に導出される。
また、上記回収通路には、遊技盤80表側の一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチと、可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知するカウントスイッチと、作動口83a,83bに入った遊技球を検知する作動口スイッチとが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。更に、台座部材141において可変表示ユニット85の左右両側には、スルーゲート84を通過する遊技球を検知するゲートスイッチが設けられている。これら各種スイッチは主制御装置180に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置180に出力される構成となっている。
次に、図3,図8及び図9に基づき裏パックユニット15について説明する。図8はパチンコ機10の背面図、図9は裏パックユニット15の正面図である。
図8に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、図11に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット85を囲むのに十分な大きさを有する(図8参照)。
ベース部211には、その右上部に外部端子板(図示略)が設けられている。外部端子板には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。ベース部211には、内枠13に設けられた固定レバー134が挿通される複数の挿通部215が形成されており、固定レバー134が挿通部215に挿通された状態にてベース部211に後方から当接することにより内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿28a、下皿29a又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51を介して上皿28aに通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52を介して下皿29aに通じるように形成されている(図2及び図3参照)。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
図9に示すように、制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243にはRAM消去スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
<主制御装置180の構成>
次に、主制御装置180の構成を図10〜図12に基づいて詳細に説明する。図10は主制御装置180の正面図、図11は主制御装置180を表側から見た斜視図、図12は主制御装置180の分解斜視図である。
図10に示すように、主制御装置180は、横長の板状をなす主制御基板310と同主制御基板310の長手方向と同一方向に長い横長四角箱状の基板ボックス320(図11参照)とを備えており、当該基板ボックス320によって区画形成された内部空間に主制御基板310が収容されてなる。
主制御基板310は、主たる制御を司るMPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM等を備えている。本実施の形態においては、これらMPU等が1チップ化されてなるMPUチップ311が同主制御基板310に着脱可能な状態で取り付けられている。また、詳細な説明は省略するが、主制御基板310には上記MPUチップ311以外にも、入出力ドライバ用ICチップ,ラッチ用ICチップ,コンデンサ,抵抗などの各種素子や、複数のコネクタ312(図12参照)が搭載されている。
図12に示すように、主制御基板310においてはMPUチップ311を除く上記各種構成が全て同一の板面上に搭載されており、それら各種構成はその逆側の板面にて半田付けされている。つまり、主制御基板310は、一方の板面が素子搭載面315となっており、他方の板面が半田面316となっている。なお、半田面316とは、素子搭載面315に搭載される各種素子の半田付け部分が設けられる面であるが、当該半田面316に対して回路パターンが形成されていてもよい。
基板ボックス320は、複数のボックス構成体として、表側構成体(ボックスカバー)350と裏側構成体(ボックスベース)450とを有しており、それら両構成体350,450が相互に組み合わされてなる(図11参照)。これら表側構成体350及び裏側構成体450は、基板ボックス320内に収容された主制御基板310の素子搭載面315及び半田面316を基板ボックス320外から視認可能となるように透明性を有する合成樹脂材料(具体的には無色透明のポリカーボネート樹脂)により形成されている。なお、基板ボックス320の形成材料はこれに限定されることなく、アクリル樹脂等であってもよい。また、基板ボックス320内部を必ずしも視認可能とする必要はなく、例えば同基板ボックス320を有色不透明とし、当該基板ボックス320の内部を視認不可とすることも可能である。
表側構成体350は、図12に示すように、表側構成体350の周縁を規定する表側周縁部351と、当該表側周縁部351から一方に膨出するようにして形成された膨出部352とが一体成形されてなり、全体として主制御基板310側に開放された略矩形箱状をなしている。
膨出部352は主制御基板310に対向する平面部353と同平面部353から起立するとともに主制御基板310を囲む周壁部356とを有してなり、同膨出部352によって主制御基板310を収容する収容空間の一部が区画形成されている。なお、詳細な説明は省略するが、表側周縁部351には主制御基板310に設けられたコネクタ312を基板ボックス320外に露出させるための開口部や、放熱用の開口部等が形成されている。
表側構成体350にはその背面側から主制御基板310がネジ止めされている。表側構成体350への主制御基板310の固定を主制御基板310の半田面側から行うことにより主制御基板310の素子搭載面315に搭載された各種素子を主制御基板310と表側構成体350との間の領域内に収容している。このため、表側構成体350と主制御基板310とが一体化された状態では、同表側構成体350及び主制御基板310によって上記素子へのアクセスが妨げられることとなる。
このようにして主制御基板310が一体化された表側構成体350の開放部分を覆うようにして同表側構成体350と裏側構成体450とが組み合わされている。
裏側構成体450は、長板状をなす平面部451と当該平面部451の周縁を囲むようにして形成された裏側周縁部452とが一体形成されてなり、主制御装置180の正面視にて横長の矩形状をなしている。
表側構成体350に対してその裏面側から裏側構成体450を固定することにより、表側構成体350の表側周縁部351と裏側構成体450の裏側周縁部452とが重なり、膨出部352の裏面側への開放部分が裏側構成体450の平面部451により塞がれている。この場合、主制御基板310の半田面316は、裏側構成体450によって覆われることとなる。つまり、主制御基板310の素子搭載面315はその全体が表側構成体350と対向しており、主制御基板310の半田面316はその全体が裏側構成体450と対向している。上記構成の主制御装置180は、表側構成体350の表面がパチンコ機10後方を向くようにして搭載されている(図7及び図8参照)。
次に、表側構成体350と裏側構成体450との固定に係る構成について説明する。両構成体350,450の固定に係る構成としては、両構成体350,450の相対変位を特定方向のみに規制する規制手段と、当該特定方向への相対変位を妨げるようにして両構成体350,450を相互に固定する固定手段とが採用されている。
先ず、図12(特に部分拡大図)に基づき規制手段について詳細に説明する。
表側構成体350には規制手段を構成するフック部355が一体形成されている。フック部355は表側周縁部351の両長辺部(具体的には、上縁部及び下縁部)にそれぞれ配設されており、それら長辺部に沿って延びている。また、それらフック部355は、裏側構成体450側に向けて起立しており、各フック部355において自由端側となる部位(先端部分)が他方のフック部355とは反対側に向けて折れ曲がっている(図12の部分拡大図参照)。
裏側構成体450(詳しくは平面部451)の上下の各長辺部には、上記フック部355とともに規制手段を構成する溝部453が形成されている。各溝部453は、平面部451の各長辺に沿って延びているとともに表側構成体350側に開放されており、その開放部分を通じてフック部355の先端部分が同溝部453内に嵌まっている。
これら開放部分には、フック部355の先端部分に対して表側構成体350側から当接する当接部454が形成されており、溝部453に嵌まったフック部355はこれら当接部454によって溝部453からの脱落が抑えられた状態で同溝部453内を摺動可能となっている。
溝部453における一方の端部(すなわち裏側構成体450の一方の短辺部)には、他方の端部(他方の短辺部)とは反対側に開放された入口部453aが形成されており、この入口部453aを通じてフック部355が挿入又は離脱可能となっている。例えば表側構成体350のフック部355を上記入口部453aに挿入してそのまま表側構成体350を同挿入方向(上記特定方向)へスライドさせることで、両構成体350,450を組み合わせることができる。
裏側構成体450(詳しくは平面部451)において入口部453aが形成されている側とは反対側の短辺部には、同短辺部から起立し、表側構成体350の膨出部352(詳しくは周壁部354)に対向する対向壁部455が設けられている。上述した溝部453に沿って表側構成体350を組み合わせ側にスライド(相対変位)させた場合には、表側構成体350が対向壁部455に当接する位置へ到達することで、同方向へのそれ以上のスライドが阻止されることとなる。
また、対向壁部455の外周縁には他方の短辺側に起立する起立壁部456が形成されており、これら対向壁部455及び起立壁部456によって表側構成体350における膨出部352の一側部を囲む囲み部457が構成されている。両構成体350,450の組み合わせが完了した状態では、この囲み部457に対して膨出部352の一側部が嵌まる。これにより、同囲み部457によって上記特定方向と交差する方向への両構成体350,450の相対変位が規制されることとなる。つまり、囲み部457を有する構成とすることにより、溝部453やフック部355に生じる負荷を分散させることが可能となっている。
基板ボックス320において対向壁部455が設けられている側の端部には、両構成体350,450を相互に固定する固定手段330が設けられている(図11参照)。固定手段330は、基板ボックス320において上記内部空間を区画形成している本体部321から側方(主制御基板310とは反対側)に突出しており、同固定手段330によって主制御基板310が見えづらくなることが回避されている。
<固定手段330>
固定手段330については、主制御基板310を基板ボックス320内に封印する封印手段としての機能が付与されている。つまり、固定手段330によって表側構成体350と裏側構成体450とが固定され、開封の痕跡を残存させること無く基板ボックス320を開封することが困難となる。このように固定手段330を用いて封印を施すことで、主制御基板310に対する不正なアクセス等が抑制される。
固定手段330は、個別に設けられた第1固定手段330A及び第2固定手段330Bを有してなり、それら各固定手段330A,330Bによる封印をそれぞれ解除することにより基板ボックス320が開封され、両構成体350,450の分離が許容されることとなる。本実施の形態においては特に、各固定手段330A,330Bに異なる固定手法が適用されている。そこで以下、図11〜図13(a)を参照して第1固定手段330Aについて説明し、その後第2固定手段330Bについて説明する。図13(a)は両構成体350,450の組み合わせ完了前の状態を示す斜視図である。
<第1固定手段330A>
第1固定手段330Aは、表側構成体350に設けられた表側固定部331と、裏側構成体450に設けられた裏側固定部332とを有してなる(図12参照)。
図13(a)に示すように、表側固定部331は、周壁部354において裏側構成体450の対向壁部455に対向している側の壁部に一体的に設けられている。表側固定部331は、同周壁部354から上記特定方向と同じ方向(側方)に延設された複数のアーム部361を有している。アーム部361は周壁部354に一体形成されており、同アーム部361の先端部分には第1係止金具370を搭載する台座部362が設けられている。
台座部362は各アーム部361に跨るようにして形成されており、台座部362に対して第1係止金具370がネジ止めされることで同第1係止金具370が表側構成体350に対して一体化されている。
裏側構成体450の対向壁部455には、表側固定部331に対応する開口部458が形成されている。開口部458は、対向壁部455の厚さ方向に貫通するとともに表側固定部331の通過を許容する大きさに形成されており、同開口部458を通じて表側固定部331が基板ボックス320の本体部321とは反対側に突出しているとともに表側構成体350の周壁部354によって本体部321側から塞がれている。
より具体的には、開口部458からアーム部361が突出することで、台座部362及び第1係止金具370が囲み部457の外側に張り出した状態となっている。このように表側固定部331において開口部458から囲み部457外に張り出している部分が上記裏側固定部332によって覆われている。
裏側固定部332は、表側固定部331を収容する収容部461を有している。収容部461は、対向壁部455に一体成形されており、開口部458側に開放された略箱状をなしている。つまり、収容部461は開口部458と連通しており、同開口部458を通じた当該収容部461内への表側固定部331の移動を許容している。
収容部461には、第1係止金具370と対をなす第2係止金具470を挿通可能な挿通部462が形成されている。挿通部462は収容部461の内外に通じる通路状をなしており、その延長上に上記第1係止金具370が配置されている。より詳しくは、第1係止金具370には第2係止金具470を挿入可能な挿入部371が形成されており、上記挿通部462と挿入部371とが連通するようにして第1係止金具370が配置されている。
第2係止金具470は挿入部371に挿入される長板状のベース部471を有しており、このベース部471において一端寄りとなる部分が挿入部371の内面に対向するとともに同ベース部471において他端寄りとなる部分が挿通部462の内面に対向している。このため、両構成体350,450を上記特定方向に相対移動させようとすると、ベース部471が挿入部371の内面及び挿通部462の内面に当接し、それら両構成体350,450の相対移動が規制されることとなる。
第1係止金具370には、挿入部371の内側へ突出する爪部372が設けられており、第2係止金具470のベース部471には同爪部372が係合する係合孔472が形成されている。爪部372が係合孔472に対して係合することで、挿入部371からの第2係止金具470の取り外しが規制される。
ベース部471における挿通部462側の端部は同挿通部462の途中に位置しており、その端部には折曲部473が形成されている。折曲部473は、その外形が挿通部462の内形に合わせて形成されており、挿通部462を当該挿通部462の内側から塞ぐ大きさを有している。この折曲部473によって上記爪部372等へのアクセスが妨げられている。また、折曲部473の挿通部462からの突出が抑えられており、第2係止金具470を掴んで引っ張るといった行為が困難となっている。
このように、第2係止金具470が基板ボックス320に取り付けられ、両係止金具370,470が係止状態となった後は、それら係止金具370,470の係止状態を解除して両構成体350,450を分離することが不可となる。つまり、主制御基板310が基板ボックス320内に封印された状態となる。
<第1固定手段330Aの封印解除に関する構成>
次に、再び図11及び図13(a)を参照して、両係止金具370,470による係止状態を解除する場合に利用される構成、すなわち第1固定手段330Aによる封印を解除する(開封する)場合に利用される構成について説明する。
収容部461において対向壁部455と繋がっている部分には、収容部461の内外に貫通する複数のスリット464が形成されており、収容部461の強度が部分的に弱くなるように設定されている。言い換えれば、スリット464間の肉部分(以下、繋ぎ部465と称する)を介して収容部461と対向壁部455とが繋がっている。各繋ぎ部465は表側固定部331のアーム部361に対して外側から重なる位置に配されており、カッターやニッパ等の工具を用いて繋ぎ部465ごとアーム部361を切断することにより、第1固定手段330Aの主要部分が基板ボックス320から分離されることとなる。つまり、上記両係止金具370,470の係止状態そのものを解除するのではなく、それら係止金具370,470を含んだ固定部331,332を基板ボックス320から分離することにより、両構成体350,450の固定が解除される。これにより、基板ボックス320が開封されることとなる。
このように、第1固定手段330Aによる封印を解除した場合には、基板ボックス320に破壊の痕跡(開封痕跡)が残存することとなり、事後的に基板ボックス320の開封がなされたことを目視にて確認可能となっている。第1固定手段330Aに開封痕跡を残存させる機能が付与されている点に着目すれば、第1固定手段330A(特に繋ぎ部465)を「第1痕跡手段」と称することも可能である。
特に、上述したスリット464(繋ぎ部465)は、係止金具370,470の係止状態を解除したり、収容部461の繋ぎ部465以外の部分を破壊する等して第1固定手段330Aを基板ボックス320から分離したりして基板ボックス320を開封させるよりも同開封作業が容易となるように形成されている。
また、スリット464は、同スリット464よりも上記台座部362や第1係止金具370のほうが収容部461の奥側に位置するように配されている。これにより、同スリット464を通じてワイヤ等の不正具が挿入された場合であっても、同不正具が係止部位へ到達することを困難なものとし、防犯機能の低下を好適に抑制することが可能となっている。
以上詳述した第1固定手段330Aは、基板ボックス320の各長辺部寄りとなる位置、すなわち各溝部453寄りとなる位置にそれぞれ配置されており、封印機能の向上が図られている。
それら両第1固定手段330Aによって挟まれた位置に上記第2固定手段330Bが配置されている(図10参照)。第1固定手段330Aにおいては目視によって開封事実の確認を可能としたが、第2固定手段330Bについては目視による開封事実の確認機能に加え、目視以外の方法による開封事実の確認機能が付与されている。以下、図13及び図14に基づき第2固定手段330Bについて説明する。図13(b)は図10のA−A線部分断面図、図14は第2固定手段330B及びそれに関連する構成を分解して示す基板ボックス320の拡大斜視図である。
<第2固定手段330B>
図13に示すように、第2固定手段330Bは、両構成体350,450を結合する結合手段(結合部材)としてのネジ411と、同ネジ411の取付部位を構成する取付ベース341とを備えている。
取付ベース341は、表側構成体350の短辺部(詳しくは周壁部354)から突出する表側取付ベース部381と、裏側構成体450の短辺部(詳しくは対向壁部455)から突出する裏側取付ベース部481とを有してなる。対向壁部455には裏側取付ベース部481に並べて挿通孔459が形成されており、表側構成体350及び裏側構成体450が組み合わされた状態においては、同挿通孔459に挿通された表側取付ベース部381と裏側取付ベース部481とが両構成体350,450の並設方向に重なっている。
表側取付ベース部381は周壁部354から起立する平板部382を有している。平板部382は、表側構成体350の短辺部に沿って延びる長板状をなしている。平板部382の各短辺部寄りとなる位置には、裏側取付ベース部481を構成する1組のアーム部482が配設されている。アーム部482は対向壁部455から起立しており、その突出量が周壁部354からの平板部382の突出量よりも小さくなるように形成されている。
アーム部482の途中位置には両ベース部381,481の並設方向に貫通するネジ孔483が形成されており、平板部382にはそれらネジ孔483に連通する連通孔384が形成されている。より詳しくは、連通孔384は、ネジ孔483に対して同一軸線上となるように配置されている。そして、裏側取付ベース部481とは反対側からそれら連通孔384に挿入されたネジ411が各ネジ孔483に対して螺着されることにより、両取付ベース部381,481の固定が行われている。このようにネジ411によって両取付ベース部381,481を固定することにより、両構成体350,450の相対変位が規制されている。
連通孔384においてネジ孔483とは反対側となる部位はネジ411の頭部に対応させて拡径されており(以下便宜上、拡径部483aと称する)、それら拡径部483a内にネジ411の頭部が収容されている。つまり、平板部382において裏側取付ベース部481とは反対側の板面からのネジ411の突出が回避されている。本実施の形態においては、ネジ411と共に第2固定手段330Bを構成する封印シール500を有し、同封印シール500を平板部382に貼り付けてネジ411を覆うことにより、ネジ411の取り外し痕跡を残存させることを特徴の1つとしているが、ネジ411の頭部の突出を抑える構成を採用したのは、表側取付ベース部381への封印シール500の貼付を容易化するための工夫である。
ここで、表側取付ベース部381と封印シール500との関係について説明する。
表側取付ベース部381において裏側取付ベース部481とは反対側の板面には、封印シール500を貼り付けるための貼付領域AEが区画形成されている。具体的には、平板部382の周縁部において、同平板部382の自由端側の周縁部を除く部位には当該平板部382から起立する一連の周壁部383が形成されている。周壁部383は、上記連通孔384(詳しくは開口部分)を囲んでおり、当該周壁部383によって同開口部分を含んだ領域が上記貼付領域AEとして区画形成されている。
この貼付領域AEに対して封印シール500を貼り付けることによりネジ411が覆われた状態となり、同ネジ411を取り外す際には封印シール500が破壊されることとなる。
<封印シール500>
以下、図15及び図16に基づき封印シール500について説明する。図15(a)は封印シール500の正面図、図15(b)は封印シール500の裏面図、図16は封印シール500の断面図である。
封印シール500は、図15及び図16に示すように、略矩形状のベースシート501を備えており、ベースシート501の裏面には粘着剤が塗布されてなる粘着層502が設けられている。粘着層502には電子タグ(又はRFIDタグ)としてのICタグ503が埋め込まれている。なお、図16においては、粘着層502に剥離シート504が積層されているが、当該剥離シート504は封印シール500を基板ボックス320に貼り付ける際に剥がされる。
ベースシート501はポリエステル系フィルムなどの可撓性樹脂フィルムにより形成されており適度な脆性を有し、さらに溶剤や熱に対して反応性を有する。具体的には、粘着層502を構成する粘着剤に対して溶解性を備えたトルエンなどがベースシート501に塗布されると、ベースシート501は変色する。また、粘着層502の粘着力が低下する温度(例えば、50℃)以上の熱が加えられた場合にもベースシート501は変色する。これにより、基板ボックス320の貼付領域AEから封印シール500を不正に剥がそうとして溶剤がかけられたり、熱が加えられたりした場合、ベースシート501が変色することで当該不正行為の痕跡を残すことができる。
ベースシート501の表面には、図15(a)に示すように、インク塗布部505、識別番号部506及び機種情報部507が設けられている。インク塗布部505には、紫外線などといった特定の波長の光が照射されることにより模様が表れる特殊インクが塗布されている。識別番号部506には、複数の数字が記載されており、当該識別番号部506に記載される数字はパチンコ機毎に異なっている。機種情報部507には、当該遊技機の機種名や当該遊技機の製造メーカー名などが記載されている。
粘着層502の粘着剤は、従来の封印シールと同様に、一旦貼り付けされた後に剥がされるとベースシート501から剥がれる程度の粘着力を有している。したがって、封印シール500が剥がされた場合には再度貼り付けすることが不可能なものであり、さらには粘着層502の一部が貼付領域側に残ることとなる。よって、封印シール500を不正に剥がした痕跡を残すことができる。
ICタグ503は、ICチップ511及びアンテナ部材512を備えている。ICチップ511は集積回路として形成されるものであり、制御部及びメモリ領域を有する。メモリ領域は、データ書き換え不可な不揮発性メモリ(ROM)により構成されており、その記憶容量は例えば128bitとなっている。メモリ領域には、識別情報としてのID情報が格納されている。具体的には、製造メーカ名(又は複数のメーカごとに付されたメーカ固有番号)、遊技機固有のID番号が格納されている。ICチップ511のメモリ領域はデータ書き換え不可であるため、ID情報が不正に改ざんされる等の不都合が抑制できるようになっている。
アンテナ部材512は平面矩形状であって比較的薄い(例えば、10〜200μm)長尺状となっており、アルミや銅等の金属の導体箔として形成されている。アンテナ部材512の長手方向(又は長さ方向)のほぼ中央には、ICチップ511が配置されている。かかるICチップ511の配置は、例えば異方導電性フィルムや導電ペーストなどの接着剤によって、ICチップ511の図示しない電極をアンテナ部材512に固定することで行われている。
アンテナ部材512においてICチップ511が配置された位置には、アンテナ部材512の表面から裏面に貫通させてスリット513が形成されている。スリット513は、ICチップ511からアンテナ部材512の長手方向に延びる第1スリット部514と、ICチップ511から上記長手方向に対して交差する方向、具体的には上記長手方向に直交する方向に延び、アンテナ部材512の端部に達する第2スリット部515とからなり、全体としてL字状に形成されている。スリット513は、ICチップ511の内部に形成されている容量素子と結合してICチップ511とアンテナ部材512との間のインピーダンスを整合させるマッチング回路を構成するインダクタとして機能する。この点、スリット513を整合用切り込みと称することができ、さらには当該スリット513が正常に機能しないとICタグ503において正常な通信が不可となる構成に鑑みると通信用整合部又は不可状態発生部と称することができる。
また、アンテナ部材512は共振調整回路としての機能を有しており、アンテナ部材512の長さ寸法は通信特性に重要な影響を与えるものである。最適なアンテナ部材512の長さ寸法は動作条件により変わるが、アンテナ部材512の周囲が空気である場合には、動作周波数のほぼ1/2波長が最適値となり、周囲が誘電体で覆われている場合には誘電体による波長短縮効果があるので、最適長さ寸法はこれより短い大きさとなることが知られている。本パチンコ機10におけるアンテナ部材512の長さ寸法は、動作周波数が一定周波数となるように、約50mmの大きさに設定されている。
ICチップ511のID情報は、制御部によって呼び出されてアンテナ部材512から電波として発信することができるように構成されており、アンテナ部材512から発信された電波を、リーダ装置で受信してID情報を読み取ることができるようになっている。
ICタグ503(アンテナ部材512)は、図15(b)に示すように、ベースシート501においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って斜めに配置されている。この場合、長尺状のアンテナ部材512はその長手方向がベースシート501のすべての辺方向と交差することとなる。
封印シール500にはアンテナ用切り込み516が形成されている。アンテナ用切り込み516はベースシート501の表面から粘着層502の表面まで貫通している。なお、粘着層502の表面とは、封印シール500の裏面側において露出している面であり、この点、アンテナ用切り込み516は封印シール500の表面から裏面まで貫通しているとも言える。
アンテナ用切り込み516は、アンテナ部材512の長手方向に対して直交する方向又は略直交する方向に延びる直線状である。ちなみに、アンテナ部材512の長手方向に対して直交する方向又は略直交する方向は、ベースシート501の全ての辺方向と交差する方向となる。
アンテナ用切り込み516は、アンテナ部材512の短手方向において当該アンテナ部材512を間に挟むようにして形成されているとともに、各長辺部側において長手方向に沿って等間隔となるように複数形成されている。各アンテナ用切り込み516は、ベースシート501においてアンテナ部材512の配置されていない領域側を一端として、他端側がアンテナ部材512の配置されている領域に若干かかる構成となっている。この場合に、一方の長辺部側のアンテナ用切り込み516は他方の長辺部側のアンテナ用切り込み516に対して短手方向に並ばないように形成されている。
複数のアンテナ用切り込み516の一部は、アンテナ部材512においてスリット513が形成された領域に対しても隣接させて設けられている。この場合、一方の長辺部側における一部のアンテナ用切り込み516が、アンテナ部材512においてスリット513が形成された領域に対して隣接させて設けられているとともに、他方の長辺部側における一部のアンテナ用切り込み516も、アンテナ部材512においてスリット513が形成された領域に対して隣接させて設けられている。つまり、アンテナ用切り込み516は、少なくともアンテナ部材512においてスリット513が形成された領域を間に挟むようにして形成されている。
封印シール500の4隅には、ベースシート501の表面側から粘着層502の表面まで貫通する隅側切り込み517がそれぞれ形成されている。隅側切り込み517は、封印シール500の隅角に沿うようにしてL字状に形成されている。また、封印シール500の外縁には、外縁端部から内側に向けて多数の外縁切り込み518が形成されている。これら外縁切り込み518は、内側から外側に向けて開くようにして鋭角のV字状となっており、さらに封印シール500の外周に沿って等間隔で形成されている。
上記のようにアンテナ用切り込み516、隅側切り込み517及び外縁切り込み518が形成されていることにより、封印シール500を貼付領域AEから剥がそうとすると、ベースシート501に破れが生じたり、アンテナ部材512が切断されたりする。
具体的には、封印シール500を貼付領域AEから剥がす場合、剥がす力に伴う応力が封印シール500の隅側切り込み517や外縁切り込み518に集中するため、封印シール500の破壊が生じる。これにより、ホール管理者等にとっては、剥がした後の封印シール500が再貼付されている場合にはその破壊を目視確認することで上記不正開放の事実を把握することが可能となる。
また、剥がす力に伴う応力がアンテナ用切り込み516の端部に集中することで、アンテナ用切り込み516を介してベースシート501が破壊され、それに伴ってアンテナ部材512が切断される。この場合、アンテナ部材512の長さ寸法が小さくなるため、通信可能距離が短くなる。これにより、上記管理者にとっては、リーダ装置を用いた通信がしづらい又は通信ができないことを確認することで、上記不正開放の事実を把握することができる。
なお、アンテナ用切り込み516がアンテナ部材512において一方の長辺部側に形成されているとともに他方の長辺部側に形成されていることにより、封印シール500が剥がされた場合にアンテナ用切り込み516を通じたスリット領域の破壊又は切断が生じ易くなっている。
また、各アンテナ用切り込み516は、ベースシート501においてアンテナ部材512の配置されていない領域側を一端として、他端側がアンテナ部材512の配置されている領域に若干かかるように形成されている。これにより、アンテナ用切り込み516を通じて封印シール500が破れた場合には、その破れ領域は封印シール500においてスリット領域に容易に達するため、アンテナ用切り込み516を通じたスリット領域の破壊又は切断が生じ易くなる。
また、アンテナ用切り込み516はベースシート501に形成されておりアンテナ部材512には形成されていない。さらに、アンテナ部材512の一方の長辺部側に形成されたアンテナ用切り込み516と他方の長辺部側に形成されたアンテナ用切り込み516とがアンテナ部材512の幅方向に並ばないように形成されている。これにより、アンテナ用切り込み516を通じてスリット領域が破壊又は切断され易くなるようにした構成において、封印シール500を貼付領域AEに正規に貼り付ける際に誤ってスリット領域が破壊又は切断されてしまう可能性が低減される。
<カバー部材550>
貼付領域AEに貼り付けられた封印シール500は上記取付ベース341と共にカバー部材550によって覆われており、主制御装置180の外部からの同封印シール500へのアクセスが制限されている。以下、このカバー部材550について、図13(b)及び図14を用いて説明する。
カバー部材550は、無色透明の合成樹脂(具体的にはポリカーボネート樹脂)からなり、当該カバー部材550を通じた上記封印シール500の視認性が担保されている。但し、カバー部材550は無色透明に限定されることはなく、カバー部材550外から封印シール500を目視確認できるようにする上では、封印シール500を目視確認できる程度の透明性を有していればよい。例えば有色透明とすることも可能である。また、カバー部材550外から封印シール500を目視確認することはできなくなるが、カバー部材550を非透明に形成してもよい。この場合、カバー部材550により囲まれた空間内を外部から確認することができないため、不正行為者にとってはカバー部材550への対策を採りづらくなる。
カバー部材550は、図14に示すように、基板ボックス320側に開口する略箱状をなしている。具体的には、カバー部材550は、取付ベース341に対して同取付ベース341の先端側から対向する奥壁部552と、同奥壁部552から取付ベース341側に起立するとともに同取付ベース341を各取付ベース部381,481の並設方向(取付ベース341の厚さ方向)両側から挟んで対向する1組の第1対向壁部553と、両第1対向壁部553に連なり取付ベース341を当該取付ベース341の幅方向両側から挟んで相対向する第2対向壁部554とを有してなる。これら各壁部552〜554によって区画形成されている空間は、封印シール500が貼り付けられた取付ベース341全体を収容可能な大きさを有している。
ここで、カバー部材550と封印シール500との関係について補足説明する。カバー部材550によって取付ベース341の略全体が囲まれていることにより、封印シール500はその全体がカバー部材550によって囲まれた状態となっている。これにより、封印シール500がカバー部材550により保護されることとなる。例えば、パチンコ機10の出荷時などにはシュリンクフィルムを熱収縮させてパチンコ機10が覆われることとなるが、主制御装置180がパチンコ機10の背面に露出している構成においては、シュリンクフィルムが熱収縮する際の収縮方向への負荷や熱などの封印シール500やICタグ503への影響を抑えることが好ましく、上記のようにカバー部材550が設けられていることにより上記影響を低減することができる。
また、カバー部材550は電波を透過可能に形成されているとともに、封印シール500のICタグ503とカバー部材550との間には電波を遮断する部材が設けられていない。したがって、遊技ホールの管理者等はICタグ503からID情報の読み取りを行う場合にカバー部材550を取り外すことなく当該読み取り作業を行うことができる。
この場合、遊技ホールの管理者等はICタグ503からID情報の読み取りを行う場合にリーダ装置の先端をカバー部材550に当接又は近接させることで、ID情報の読み取り作業を簡単且つ確実に行うことができる。つまり、カバー部材550はID情報の読み取り作業に際しての位置決め部として機能する。
ICタグ503がカバー部材550によって覆われているため、遊技ホールの管理者等がICタグ503へリーダ装置を近づけようとすると、カバー部材550と当接し、それ以上近づけることができない。換言すれば、ICタグ503に対してリーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置がICタグ503から予め定められた距離(カバー部材550とICタグ503との距離)よりも近づかないように制限されている。これにより、リーダ装置の先端をカバー部材550に当接又は近接させた状態で読み取り作業を行うように決めておけば、例えばアンテナ部材512に切断が生じることによってICタグ503の通信可能距離が短くなった場合には、リーダ装置にてID情報を読み取ることができなくなる。よって、アンテナ部材512に切断が生じた事実を把握することが可能となり、基板ボックス320の不正な開放操作が行われた可能性があることを認識することができる。
再び図14を参照して説明すれば、カバー部材550の第2対向壁部554には、当該カバー部材550において基板ボックス320側に開口する開口部551から奥壁部552に延びる溝部555が形成されている。溝部555はカバー部材550の内側に開放されており、カバー部材550を基板ボックス320に装着する際には取付ベース341の両側部、詳しくは表側取付ベース部381と裏側取付ベース部481とが重なっている部分を上記溝部555に挿入し、同溝部555内を取付ベース341が移動するようにしてカバー部材550を押し込むことにより同カバー部材550内に取付ベース341が収容される。以下便宜上、溝部555等によって規定された基板ボックス320側へのカバー部材550の移動方向を同カバー部材550の装着方向、基板ボックス320とは反対側へのカバー部材550の移動方向を同カバー部材550の取外方向と称する。
カバー部材550が装着完了位置に配置されている状態、すなわちカバー部材550の開口部551が基板ボックス320に近接している状態では、取付ベース341と第1対向壁部553との間に隙間が形成されており、基板ボックス320(詳しくは取付ベース341)からの当該カバー部材550の取り外しを規制する規制部材600が上記隙間に収まるようにして配設されている。
<規制部材600>
以下、図14,図17及び図18に基づき、規制部材600及びそれに付随する構成について説明する。図17は取付ベース341及びその周辺の部分拡大図、図18(a)は図17のB−B線部分断面図、図18(b)は図17のC−C線部分断面図である。なお、図17においては便宜上規制部材600にドットハッチングを付与している。
図13(b)に示すように、規制部材600は、カバー部材550の奥壁部552に対向するベース板部601を有しており、当該ベース板部601が奥壁部552に対してネジ止めされることで同規制部材600とカバー部材550に一体化されている。
ベース板部601において取付ベース341とは反対側の端部には、当該取付ベース341から起立する起立板部602が形成されている。起立板部602は、第1対向壁部553に沿って延びており、その先端部分がカバー部材550の開口部551に達している。
起立板部602の先端部分には、当該起立板部602を挟んでベース板部601と対向する対向板部603が形成されている。対向板部603は、裏側構成体450の対向壁部455に沿って取付ベース341側に延びており、その先端部にはベース板部601側に折曲成形された第1折曲部604が設けられている。第1折曲部604は、その先端部分に向けて取付ベース341との距離が小さくなるように傾斜している。
第1折曲部604は各アーム部482寄りとなる位置にそれぞれ配設されており、裏側取付ベース部481におけるアーム部482の先端部分には第1折曲部604側に突出しそれら第1折曲部604の先端部分に上記取外方向先側から対峙するストッパ部484が形成されている(図18参照)。ストッパ部484に対して第1折曲部604が当接することで、カバー部材550の取外方向への移動が規制されることとなる。
ここで、第1折曲部604及びストッパ部484によるカバー部材550の取外規制を解除する際に利用される構成について説明する。
カバー部材550の第1対向壁部553において平板部382(貼付領域AE)と対向している部分には、連通孔384及びネジ孔483と同一軸線上に位置するようにして第1貫通孔556が形成されている。第1貫通孔556は、その内径がネジ411の頭部の外径よりも若干大きく設定されており、当該第1貫通孔556を通じたネジ411の取り外しを許容している。
また、平板部382には、上記第1折曲部604の先端部分と対向している部分を含むようにしてスリット385が形成されている。スリット385は平板部382の厚さ方向に貫通しているとともに上記取外方向と同じ方向に延びており、その一端が取外方向先側に開放されている。カバー部材550の第1対向壁部553においてスリット385と対向している部分、詳しくはスリット385を通じて第1折曲部604の先端部分と対向している部分にはネジ受け部557が形成されている。ネジ受け部557は第1対向壁部553の厚さ方向に貫通するネジ孔557aを有しており、同ネジ孔557aの内径及び当該ネジ孔557aに形成されたネジ溝のピッチはネジ411における軸部の外径及びネジ溝のピッチに合わせて設定されている。
ネジ孔557aに螺着されたネジ411は、スリット385を通じて裏側取付ベース部481側に突出することとなる。スリット385を通過したネジ411の先端部分は第1折曲部604の先端部分に対して当接し、同ネジ411が取付完了位置までねじ込まれることで第1折曲部604を押圧して変形させることが可能となっている。ネジ411における軸部の長さ寸法は、当該ネジ411によって第1折曲部604を押して変形させることにより同第1折曲部604とストッパ部484との引っ掛かりが解除された解除状態に移行可能となるように設定されている。
つまり、基板ボックス320を開封する際には、両構成体350,450を固定しているネジ411を第1貫通孔556を通じて取り外した後、同ネジ411をネジ受け部557に挿通することで、第1折曲部604及びストッパ部484によるカバー部材550の取外規制が解除される。
本実施の形態においては、上述した第1折曲部604及びストッパ部484以外にも、カバー部材550の取り外しを規制する構成(第2規制手段)が採用されている。そこで以下、図17及び図18(c)に基づき係る取外規制に関する構成について説明する。図18(c)は図17のD−D線部分断面図である。
図17に示すように、表側取付ベース部381(詳しくは平板部382)において上記両スリット385の間となる部位にはネジ受け部386が設けられている。ネジ受け部386は、図18(c)に示すように、裏側取付ベース部481側に突出する円柱状をなしており、その中心部分には平板部382の厚さ方向に貫通するネジ孔386aが形成されている。このネジ孔386aに対して貼付領域AE側からネジ421が螺着されている。
平板部382においてネジ受け部386が配されている部分には、ネジ孔386aと同一軸線上となるようにして凹部387が形成されている。この凹部387にネジ421の頭部が収容されており、当該頭部の凹部387からの突出が回避されている。凹部387の開放部分については、上記連通孔384の入口部分と同様に封印シール500によって覆われており、封印シール500を破壊することなく同ネジ421を取り外すことが困難となっている。
ネジ421の軸部はネジ孔386aから貼付領域AEとは反対側に突出しており、規制部材600の対向板部603において両第1折曲部604の間となる部位にはネジ421の突出部分に対して取外方向手前側から対峙する第2折曲部605が設けられている。第2折曲部605は、同第1折曲部604と同じ側に折曲成形され、その先端部分に向けて表側取付ベース部381(平板部382)との距離が徐々に小さくなるように傾斜しているが、同第2折曲部605に関する詳細な説明は省略する。
この第2折曲部605がネジ421の軸部に対して当接することにより、カバー部材550の取外方向への移動が規制されることとなる。つまり、これらネジ421及び第2折曲部605によってカバー部材550の取り外しを規制する第2の規制手段が構成されている。
カバー部材550の第1対向壁部553においてネジ孔386aと同一軸線上となる部位には、同第1対向壁部553の厚さ方向に貫通する第2貫通孔558が形成されている。第2貫通孔558の内径はネジ421の通過を許容する大きさとなるように設定されており、当該第2貫通孔558を通じた上記ネジ421の取り外しが可能となっている。
つまり、第2規制手段による規制を解除する際には、ネジ421を第2貫通孔558を通じて取り外すことにより第2折曲部605の移動経路上からネジ421が離脱し、それらネジ421と第2折曲部605との引っ掛かりが解除される。これにより、第2規制手段による取外規制が解除される。
次に、封印シール500の貼付位置に係る構成について図19を用いて説明する。図19は貼付領域AEにおける封印シール500と取付ベース341との位置関係を示す概略図である。なお、説明の便宜上、同図19においては、隅側切り込み517及び外縁切り込み518を省略して示す。
図19に示すように、封印シール500は貼付領域AEに貼り付けられており、当該封印シール500によって貼付領域AEの略全体が覆われている。これにより、平板部382に形成されている連通孔384の入口部分,ネジ受け部386の入口部分(詳しくは凹部387の開放部分),スリット385の貼付領域AE側への開放部分が封印シール500により覆われている。これにより、ネジ411,421の取付操作や取外操作が封印シール500によって阻害される。よって、封印シール500を破壊することなく、カバー部材550を取り外したり基板ボックス320を開放させたりすることが困難になっている。
封印シール500においてアンテナ部材512は、既に説明したとおり、ベースシート501においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って配置されている。この場合、ICタグ503(アンテナ部材512)がスリット385を跨いでいる。これにより、スリット385に沿って封印シール500が切断された場合には、アンテナ部材512が配設された領域が切断され、ICタグ503において正常な通信が不可となる。
ここで、アンテナ部材512とネジ受け部386との位置関係について説明する。
アンテナ部材512における長手方向の一方の端部は、図17及び図20(b)に示すように、貼付領域AEにおけるネジ受け部386の入口部分を跨いでいる。詳細には、アンテナ部材512の短手方向の寸法はネジ受け部386の入口部分の孔径よりも小さくなっており、さらにアンテナ部材512がネジ受け部386の入口部分を挟んで当該入口部分の周縁部を架渡すように配置されている。このようにアンテナ部材512が配置されていることにより、アンテナ部材512の端部は、ネジ411におけるネジ溝側とは反対側の端部と対峙している。但し、ネジ411におけるネジ溝側とは反対側の端部(頭部)がネジ受け部386における軸線方向の途中位置に配置されているため、ネジ411とアンテナ部材512とは接触していない。
例えば、アンテナ部材512がネジ411に接触すると、設定された動作周波数(例えば、2.45GHz)が変化してしまい、アンテナ部材512を通じた通信が良好に行えなくなるおそれがある。そうすると、ICチップ511に記憶されたID情報をリーダ装置により読み取ろうとしてもそれが行えないおそれがあるが、上記のようにアンテナ部材512とネジ411とが接触していないことにより、上記不都合の発生が抑えられている。
既に説明したように取付ベース341には貼付領域AEを区画するように周壁部383が形成されている。つまり、貼付領域AEは周壁部383によって囲まれている。そして、貼付領域AEに貼り付けられている封印シール500の周縁はその全体が周壁部383に近接している。これにより、封印シール500を剥がそうとしても、その剥がし行為が困難なものとなっている。
封印シール500が周壁部383に近接していることにより、封印シール500の貼り付け作業に際しては、封印シール500が周壁部383によって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、アンテナ部材512とスリット385,ネジ受け部386,連通孔384との位置関係は、自ずと上記のような関係となる。
また、図19に示すように、周壁部383によって囲まれる領域は、封印シール500の面積よりも広くなっている。これにより、封印シール500の貼り付け作業に際しては、貼り付け位置に所定のゆとりが生まれ、貼り付け作業の作業性が向上されている。この場合に、その貼り付け位置のゆとりは、アンテナ部材512とスリット385,ネジ受け部386,連通孔384との位置関係が、自ずと維持される範囲内で設定されている。
<基板ボックス320の組立作業>
ここで、図20及び図21に基づき基板ボックス320の組立作業、すなわち主制御装置180における主制御基板310の封印作業について説明する。図20及び図21は基板ボックス320の組立作業の流れを示す概略図であり、主制御基板310を封印する際には図20(a)→図20(b)→図21(c)→図21(d)の順に作業が行われる。
主制御基板310を基板ボックス320内に封入する際には、先ず表側構成体350に対して主制御基板310を固定する。その後、図20(a)に示すように、表側構成体350のフック部355を裏側構成体450の溝部453に挿入し、表側構成体350を溝部453に沿ってスライドさせる。
表側構成体350の膨出部352が裏側構成体450の対向壁部455に対して当接する位置まで同表側構成体350を押し込むことで、当該表側構成体350に装着された第1係止金具370が裏側構成体450の収容部461内に収容され、同収容部461の挿通部462と第1係止金具370の挿入部371とが同一軸線上に並ぶこととなる。ここで、第2係止金具470を挿通部462を通じて挿入部371へ挿し込むことにより、それら係止金具370,470が係止状態となって両構成体350,450の分離が妨げられることとなる。
両構成体350,450が組み合わされた状態では、図20(b)に示すように、表側構成体350の表側取付ベース部381が裏側構成体450の挿通孔459を通じて基板ボックス320の側方に突出している。かかる状態では表側取付ベース部381と裏側取付ベース部481とが基板ボックス320の厚さ方向に重なり、表側取付ベース部381の連通孔384と裏側取付ベース部481のネジ孔483とが同一軸線上に並ぶこととなる。
ここで、表側取付ベース部381の連通孔384側から挿入したネジ411をネジ孔483に対して螺着することにより、両構成体350,450が固定されることとなる。そして、表側取付ベース部381のネジ受け部386にネジ421を螺着した後、表側取付ベース部381の貼付領域AEに対して封印シール500を貼り付けることで、それら各ネジ411,421の取り外し軌道上に封印シール500が配置され、同ネジ411,421の取り外しが同封印シール500によって妨げられた状態となる(図21(c)参照)。
図21(c)に示すように、封印シール500を貼り付けた後は、当該封印シール500を覆うカバー部材550の取り付けを行う。カバー部材550を取り付ける際には、カバー部材550の開口部551を通じて、当該カバー部材550内に取付ベース341が嵌まるようにカバー部材550を移動させる。より詳しくは、カバー部材550の溝部555に取付ベース341の両側部が挿入されるようにして、カバー部材550を基板ボックス320側に押し込むことで、カバー部材550の取付経路のばらつきが抑制される。
この押し込み操作に伴って、カバー部材550に内蔵された規制部材600の第1折曲部604が取付ベース341のストッパ部484に当たることとなる。その後、カバー部材550が取付完了位置に向けて押し込まれることで、第1折曲部604が当該第1折曲部604の傾斜によってストッパ部484から遠ざかる側に撓み変形(弾性変形)する。第1折曲部604は、図21(d)に示すようにカバー部材550が取付完了位置に達することでストッパ部484による押圧が回避され、自身に蓄えられた弾性力によって変形前の状態に復帰する。これにより、第1折曲部604に対してストッパ部484が取外方向先側から対峙し、ストッパ部484と第1折曲部604とが引っ掛かった状態となる。
また、規制部材600の第2折曲部605についても同様に、カバー部材550の押し込み操作に伴ってネジ421に当たり、カバー部材の550の更なる移動によってネジ421から遠ざかる側に撓み変形(弾性変形)することとなる。その後、図21(d)に示すように、カバー部材550が取付完了位置に達することで、ネジ421による押圧が回避され、自身に蓄えられた弾性力によって変形前の状態に復帰する。これにより、第2折曲部605に対してネジ421が取外方向先側から対峙し、それらネジ421と第2折曲部605とが引っ掛かった状態となる。
このように、ストッパ部484及び第1折曲部604が引っ掛かるとともにネジ421及び第2折曲部605が引っ掛かることにより、カバー部材550の取り外しが規制される。これにより、基板ボックス320の組み立てが完了し、主制御基板310が同基板ボックス320内に封入された状態となる。
<基板ボックス320の開封作業>
次に、図22〜図25に基づき基板ボックス320の開封作業、特に第2固定手段330Bによる封印を解除する際の作業について説明する。図22〜図25は、カバー部材550の取り外しの様子を示す概略図であり、第2固定手段330Bによる封印を解除する際には、図22(a)→図22(b)→図23(c)→図23(d)→図24(e)→図24(f)→図25(g)→図25(h)の順に作業が行われることとなる。なお、図22〜図25においては、便宜上封印シール500にドットハッチングを付与している。また、図22(a)及び図23(c)においては工具Tを2点差線を用いて仮想的に示している。
第2固定手段330Bによる封印を解除する際には、図22(a)に示すように工具Tを用いてネジ421の取外作業を行う。具体的には、先ずカバー部材550の第2貫通孔558を通じて工具T(詳しくはドライバ)を挿入し、封印シール500におけるネジ受け部386を覆っている部分を当該工具Tによって破壊することにより、ネジ421へのアクセス経路を確保する。その後、工具Tによってネジ421を回動させることにより、封印シール500の破壊部分→第2貫通孔558を通じてネジ421が取り外されることとなる(図22(b)参照)。
本実施の形態においては特に、カバー部材550の第1対向壁部553が表側取付ベース部381に近接させて配置されている。このため、ネジ421を引き抜く際に同ネジ421と封印シール500とが引っ掛かった場合であっても、封印シール500の取付ベース341からの浮き上がりが第1対向壁部553によって抑えられる。故に、封印シール500によってネジ421の取外作業が煩雑化することを好適に抑制可能となっている。
また、工具Tによる破壊痕跡が小さい場合(例えばネジ421の通過を許容するのに十分でない大きさ)であっても、ネジ421の取り外しによって少なくともネジ421の頭部が通過可能となる大きさに破壊痕跡が拡張されることとなる。このため、破壊痕跡が極端に小さくなって本来同破壊痕跡が奏するべき開封履歴の確認機能が十分に発揮されなくなるといった不都合を生じにくくすることができる。
このように封印シール500が破壊された際には、封印シール500のアンテナ部材512の一部が切断され、同アンテナ部材512による通信機能が低下する又は無効となる。これにより、上述したリーダ装置を用いた識別コードの読み取りが困難又は不可となり、上記管理者は上記不正開放の事実を把握することが可能となる。
図22(b)に示すように、ネジ421を取り外した場合には、同ネジ421と規制部材600の第2折曲部605との引っ掛かりが解消され、それらネジ421及び第2折曲部605によるカバー部材550の取外規制が解除される。
次に、図23(c)に示すように、工具Tを用いてネジ411の取外作業を行う。具体的には、先ずカバー部材550の第1貫通孔556を通じて工具Tを挿入し、封印シール500における連通孔384を覆っている部分を当該工具Tによって破壊することにより、ネジ411へのアクセス経路を確保する。その後、工具Tによってネジ411を回動させることにより、封印シール500の破壊部分→第1貫通孔556を通じてネジ411が取り外されることとなる(図23(d)参照)。
このようにしてネジ411を取り外した後は、図24(e)→図24(f)に示すように同ネジ411をカバー部材550のネジ受け部557(ネジ孔557a)に螺着する。ネジ411をネジ孔557aに沿ってねじ込むと、同ネジ411の軸部がネジ孔557aから突出して封印シール500に当接することとなる。そして、ネジ411のねじ込みを継続することで、同ネジ411の軸部が取付ベース341のスリット385に挿入され、当該軸部によって封印シール500が破壊されることとなる。これにより、ネジ411の取外作業時に形成された破壊痕跡とは別の位置に破壊痕跡が形成されることとなる。
更にネジ411のねじ込みが継続されると、同ネジ411の軸部が規制部材600の第1折曲部604に対して当接する。ネジ411のねじ込みが継続されることで、第1折曲部604が対向板部603側の固定端を基端として撓み変形し、取付ベース341のストッパ部484に対する掛かり代が徐々に減少することとなる。その後、ネジ411が当該ネジ411の頭部がネジ受け部557に対して当たる位置に到達することで、上記掛かり代が0となる。これにより、ストッパ部484と第1折曲部604との引っ掛かりが解消され、それらネジ411及び第1折曲部604によるカバー部材550の取外規制が解除される。
このようにして2種類の取外規制がそれぞれ解除されることで、カバー部材550の取り外しが許容されることとなる。
次に、図25(g)→図25(h)に示すように、カバー部材550を基板ボックス320の本体部321から遠ざかる側に引き抜きを行う。カバー部材550の引き抜きに際しては、同カバー部材550の移動に追従してネジ411がスリット385に沿って移動することとなる。これにより、ネジ411によって封印シール500が破壊され、スリット385に沿った2条の破壊痕跡が残存することとなる。このように破壊痕跡を拡大することにより、同破壊痕跡の視認性が向上される。
また、スリット385に沿った破壊痕跡は、封印シール500におけるアンテナ部材512を複数に分断するように形成されるため、アンテナ部材512による通信機能が一層低下することとなる。これにより、上述したリーダ装置を用いた識別コードの読み取りが困難又は不可となり、上記管理者は上記不正開放の事実を容易に把握可能となる。
カバー部材550を取り外した後は、第1固定手段330Aを基板ボックス320から分離することにより、両構成体350,450の結合が完全に解除され、それら両構成体350,450の分離操作が可能となる。これにより、基板ボックス320からの主制御基板310の取り外しが許容される。こうして表側構成体350から主制御基板310を取り外すことにより、主制御基板310(特にMPUチップ311)の検査が容易化される。
仮にカバー部材550の取外規制を解除した後、カバー部材550を取り付けた状態のまま、先に第1固定手段330Aを分離した場合には、両構成体350,450を分離方向へスライドさせることで、結果として封印シール500に上記破壊痕跡と同様の痕跡が形成されることとなる。
具体的には、表側構成体350をスライドさせると、表側構成体350に追従して表側取付ベース部381及び封印シール500が移動することとなる。この際、カバー部材550に固定されたネジ411が封印シール500によって表側構成体350の移動方向と同じ方向に引っ張られることで、カバー部材550は表側構成体350に追従して移動しようとする。ここで、封印シール500については取付ベース341とともに裏側構成体450(対向壁部455)の挿通孔459を通じて移動可能である一方、カバー部材550については裏側構成体450の対向壁部455に対して当接することにより同方向への移動が不可となる。このため表側構成体350とカバー部材550とは一体となって移動することはない。また、表側取付ベース部381においては、ネジ411が挿通されているスリット385が表側構成体350の移動方向とは反対側に延びており、同表側取付ベース部381によってネジ411(カバー部材550)が引っ張られることはない。
故に、ネジ411と封印シール500との相対位置が変化し、あたかもネジ411がスリット385内を移動したかのようになる。これにより、封印シール500には、ネジ411によってスリット385に沿って延びる破壊痕跡が形成されることとなる。
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、第1の実施の形態におけるパチンコ機10の電気的構成について、図26のブロック図に基づき説明する。図26では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置180に設けられた主制御基板310には、主制御回路702と停電監視回路703とが内蔵されている。主制御回路702には、上記MPU711が搭載されている。MPU711には、当該MPU711により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM712と、そのROM712内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM713と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM713は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源・発射制御装置243に設けられた電源・発射制御基板721からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
MPU711には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路702の入力側には、主制御基板310に設けられた停電監視回路703、払出制御装置242に設けられた払出制御基板722及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路703には電源・発射制御基板721が接続されており、主制御回路702には停電監視回路703を介して電力が供給される。
一方、主制御回路702の出力側には、停電監視回路703、払出制御基板722及び中継端子板723が接続されている。払出制御基板722には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板723を介して主制御回路702から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板724に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路703は、主制御回路702と電源・発射制御基板721とを中継し、また電源・発射制御基板721から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
払出制御基板722は、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU731は、そのMPU731により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM732と、ワークメモリ等として使用されるRAM733とを備えている。
払出制御基板722のRAM733は、主制御回路702のRAM713と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源・発射制御基板721からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
払出制御基板722のMPU731には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板722の入力側には、主制御回路702、電源・発射制御基板721、及び裏パック基板729が接続されている。また、払出制御基板722の出力側には、主制御回路702及び裏パック基板729が接続されている。
電源・発射制御基板721は、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路702や払出制御基板722等に対して各々に必要な動作電力を供給する。発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
音声ランプ制御基板724は、各種ランプ部24〜26やスピーカ部27、及び表示制御装置725を制御するものである。演算装置であるMPU741は、そのMPU741により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM742と、ワークメモリ等として使用されるRAM743とを備えている。
音声ランプ制御基板724のMPU741にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板724の入力側には中継端子板723に中継されて主制御回路702が接続されており、主制御回路702から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部24〜25、スピーカ部27、及び表示制御装置725を制御する。表示制御装置725は、音声ランプ制御基板724から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置94を制御する。
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
基板ボックス320が開封された場合にその開封の痕跡を残存させる構成(例えば封印シール500等)を採用することにより、同痕跡を目視等で確認することで事後的な開封事実の把握が可能となっている。これにより、例えば基板ケースに対する不正行為が行われた場合に、その事実の把握が可能となる。
このような開封痕跡を残存させる構成においては、基板ボックス320が開封されていないにも関わらずあたかも開封されたかのように痕跡が残存してしまうと、それを発見した場合に主制御基板310の検査等を不要であると判断することが難しくなり、無駄な確認作業を行う必要が生じ得る。特に、このような事象が繰り返された場合には、開封痕跡を残存させる機能に対しての信頼性が低下し、ひいては防犯機能を効果的に発揮させることが困難になると想定される。この点、本実施の形態においては、カバー部材550によって封印シール500を覆うことにより、同封印シール500の露出を抑えている。これにより、封印シール500へのアクセスを抑制し、上記不都合の発生を抑えることが可能となっている。
カバー部材550においては基板ボックス320からの取り外しが規制部材600等によって規制されており、その取外規制を解除するための規制解除操作を行うことで封印シール500が破壊されて破壊痕跡が形成されることとなる。例えばカバー部材550の取り外しを封印シール500によって妨げる構成とすることも可能である。しかしながら、係る構成においてはカバー部材550自体を痕跡を形成する際の操作部として活用することで利便性の向上が期待できる反面、作業ミス等によってカバー部材550が引っ張られる等した場合に開封作業が行われていないにも関わらず開封痕跡が残存するといった不都合が生じ得る。痕跡部を頑丈なものとすることでそのような不都合の発生を抑制することは可能であるが、係る対応では基板ボックス320開封時のカバー部材の取り外しが困難になり開封作業の効率が低下すると想定される。
この点、本実施の形態によれば、カバー部材550の取り外しを規制手段によって規制することで、仮に上述の如くカバー部材550が引っ張られる等した場合であっても、それに起因した封印シール500の破壊を好適に回避することができる。これにより、封印シール500の弱体化を促進することが可能となる。故に、防犯機能の向上を図りつつ、それに起因した開封作業の困難化を好適に抑制することができる。
また、取外規制の解除に用いたネジ411をそのまま封印シール500の破壊手段として活用することにより、破壊手段(破壊部材)を別途採用する場合と比較して遊技機における構成の複雑化を抑制することができる。つまり、構成の複雑化を抑えつつ、防犯機能を向上することができる。
特に、ネジ411は、ボックス構成体350,450同士の固定に使用されるため、ある程度の強度が要求される。このように、強度確保が必要となる部材を用いて上記封印シール500を破壊することで、破壊痕跡の形成をより確実なものとすることができる。
ネジ411は、取外規制の解除時にカバー部材550に対して固定され同カバー部材550の移動に追従して移動することとなる。つまり、カバー部材550の取り外しによって封印シール500及びネジ411の相対位置が変化することとなる。これにより、カバー部材550の取外操作時の操作力を直接的に封印シール500に伝えることができ、構成の複雑化を抑えつつ封印シール500の破壊機能を好適に向上させることができる。
また、ネジ411はネジ受け部557と係合することにより、解除位置にて保持されることとなる。故に、作業者に対して指等でネジ411を解除位置に保持したままカバー部材550を取り外すといった操作を強いることがなく、痕跡カバーの取外作業の煩雑化を好適に抑制することができる。
規制部材600は、カバー部材550に内蔵されており、同カバー部材550の取り外し操作に伴ってネジ411と第1折曲部604とが両者の位置関係を維持しながら移動する。これにより、カバー部材550の取り外し途中にて突如、規制状態に復帰し取外作業が妨げられるといった不都合を生じにくくすることができる。なお、第1折曲部604とネジ411との当接箇所に関しては、カバー部材550及び規制部材600によって覆われており、同当接箇所へのアクセスが妨げられている。
また、ネジ411に封印シール500の破壊機能を付与した場合、同封印シール500からの反力によってネジ411が変形又は変位することは規制解除機能が低下又は停止する要因となり得る。この点、ネジ受け部557によってネジ411を解除位置にて保持することにより、そのような不都合の発生を抑え、ネジ411に付与された破壊機能と規制解除機能とを好適に発揮させることができる。
「痕跡部」としての封印シール500がシート状をなす構成においては、当該封印シール500の占有領域の拡がりを抑えつつ、その視認性を好適に向上することができる。しかしながら、封印シール500をその拡がり方向に沿って破壊しようとした場合には、同封印シール500が撓む等して上手く破壊できない可能性がある。
そこで、本実施の形態においては、ネジ411を所定の解除位置に配置する(ネジ受け部557に取り付ける)ことにより、封印シール500に貫通孔が形成される構成とした。このため、封印シール500においてカバー部材550(ネジ411)の移動方向とは反対側となる部位が途切れることが回避され、ネジ411の移動方向と反対側となる部位が途切れている場合と比較してネジ411の移動に対する封印シール500の撓みを抑えることができる。これにより、破壊痕跡形成の確実性向上に貢献することができる。
また、封印シール500を規制部材600の第1折曲部604とネジ受け部557との間に配することにより、以下の効果が期待できる。すなわち、封印シールとネジ受け部との間に第1折曲部を配する場合と比較して、封印シール500を破壊する際にネジ411やネジ受け部557に生じる反力によってそれらネジ411やネジ受け部557が変形等することを抑制できる。これによりネジ411の規制解除機能が低下することを抑制し、同規制解除機能と破壊機能とを好適に共存させることができる。特に、封印シール500は、ネジ受け部557寄りとなる位置に配されていることで、封印シール500を破壊する際に発生する反力の影響を好適に抑制することが可能となる。これにより、規制解除機能と破壊機能とを一層好適に共存させることができる。
上述の如くネジ411を片持ちとする構成においては、封印シール500を破壊する際の反力によってネジ受け部557を基端としてネジ411が撓むことが想定される。この点、また、第1折曲部604においては、カバー部材550の取外方向とは反対側、すなわち封印シール500を破壊する際にネジ411に対して反力が作用する側に延びる構成を採用することで、仮に上記撓みが生じた場合であってもネジ411による第1折曲部604の押圧状態(解除状態)を維持することが可能となり、封印シール500からの反力によって規制解除状態が解除されるといった不都合を生じにくくすることができる。
ネジ411は、第1折曲部604が押圧されて撓み変形することにより、押圧方向(挿入方向)とは反対側に付勢されることとなる。これにより、ネジ受け部557との係合力を大きくしネジ411の緩み等を抑制することができる。故に、構成の複雑化及び大型化を抑えつつ、解除位置での保持機能を安定して発揮させることができる。
基板ボックス320を開封する際には、先ずネジ411を基板ボックス320(詳しくは固定位置)から取り外すことにより両構成体350,450の結合を解除し、その後、同ネジ411をカバー部材550(詳しくは解除位置)に配置することでカバー部材550の取り外しが許容されることとなる。このように、複数の構成体を組み合わせることで基板ボックスを形成する構成を採用した場合には、構成体同士を固定し、開封時に同固定を解除することで各構成体の分離を許容する構成とすることが防犯機能向上の観点から好ましいと想定される。
そこで、上述の如くネジ411を予め基板ボックス320に取り付けておき、更にネジ411に構成体350,450同士を固定する機能を付与しておくことで、固定解除作業をカバー部材550の取外規制解除のための予備的作業として利用できる。これにより、開封時の作業工程が増加することを抑制しつつ防犯機能を向上することが可能となり、実用上好ましい構成を実現することができる。
封印シール500においてはネジ411をネジ受け部557に取り付ける場合だけでなく、ネジ411を基板ボックス320の取付ベース341から取り外す場合にも、破壊痕跡が形成されることとなる。ネジ411を取り外す際に形成される破壊痕跡は、カバー部材550の取り外しに伴ってネジ411が通過する経路から外れた位置に形成される。このため、封印シール500においては広域に亘って破壊痕跡が形成されることとなり、同痕跡の目視による確認の容易化が期待できる。
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態における主制御装置180では、主制御基板310に対する不正行為を抑制する各種防犯構造が採用されていたが、本実施の形態においてはそれら防犯構造に関する構成の一部が上記第1の実施の形態と相違している。具体的には、カバー部材の取外規制に関する構成と、同取外規制の解除に関する構成とが相違している。そこで以下、図27〜図29に基づきそれら相違する構成について説明する。図27は第2固定手段及びそれに関連する構成を分解して示す基板ボックスの拡大斜視図、図28は取付ベース及びその周辺の部分を拡大して示す部分拡大図、図29(a)は図28のE−E線部分断面図、図29(b)は図29(a)の部分拡大図である。なお、以下の説明では上記第1の実施の形態と同一符号に係る構成についてはその説明を援用して、同構成に関する説明を簡略化又は省略し、第1の実施の形態との違いを主体に説明する。
図27に示すように本実施の形態における規制部材600Xにおいては、第1折曲部604Xに関する構成が上記第1の実施の形態における第1折曲部604と相違している。具体的には、本実施の形態における第1折曲部604Xは、表側取付ベース部381X(詳しくは平板部382X)に対して貼付領域AEとは反対側から対向する対向部604aXと、対向部604aX及び対向板部603を繋ぐ繋ぎ部604bXとを有してなる。
繋ぎ部604bXは、第1折曲部604Xの先端部分に向けて取付ベース341Xとの距離が小さくなるように傾斜している。カバー部材550Xを基板ボックス320に取り付ける際には、この繋ぎ部604bXが取付ベース341のストッパ部484Xに対して当たることとなる。そして、カバー部材550Xの押し込みに伴って第1折曲部604Xがストッパ部484Xから遠ざかるようにして撓み変形することで対向部604aXとストッパ部484Xとの引っ掛かりが回避され、同カバー部材550Xの取付完了位置への移動が許容されることとなる。つまり、第1の実施の形態において第1折曲部604に付与されていた当該第1折曲部604の撓み変形を生じさせるための機能が繋ぎ部604bに付与されており、対向部604aXに関しては同機能を有していない。
対向部604aXの中央部分には当該対向部604aXの厚さ方向に貫通する貫通孔611が形成されており、貫通孔611を挟んで表側取付ベース部381Xとは反対側には、ネジ受け部材612(詳しくはナット)が固定されている。ネジ受け部材612は、当該ネジ受け部材612に形成されたネジ孔612aが貫通孔611と同一軸線上に位置するようにして配置されており、同貫通孔611とネジ孔612aとが連通している。なお、貫通孔611の内径はネジ孔612aの内径よりも僅かに大きく設定されており、同ネジ孔612aへのアクセスが貫通孔611によって妨げられることが抑制されている。
図28に示すように、表側取付ベース部381Xのスリット385Xに関しては、第1折曲部604Xの先端部分に対峙する部位ではなく、上記ネジ孔612aに対応する部位にまで延設されている。また、カバー部材550Xのネジ受け部557Xについても同様に、当該ネジ受け部557Xのネジ孔557aXがネジ受け部材612のネジ孔612aと同一軸線上に位置するように配置されている。つまり、第1の実施の形態におけるスリット385及びネジ受け部557が、第1折曲部604の先端部に合わせて配置されていたのに対して、本実施の形態におけるスリット385X及びネジ受け部557Xは第1折曲部604Xのネジ孔612aに合わせて配置されている。そして、これらネジ孔557aX,スリット385,貫通孔611,ネジ孔612aによってネジ411Xの挿入を許容する一連の通路が形成されている。
ネジ孔557a,612aの内径寸法は、両構成体350,450を固定しているネジ411Xにおける軸部411aXの外径寸法に合わせて設定されている。また、ネジ孔557aXに形成された溝部T2及びネジ孔612aに形成された溝部T3の溝ピッチは、ネジ411Xの軸部411aXに形成された溝部T1の溝ピッチに合わせて設定されている。このため、ネジ411Xがネジ孔557aXに挿通され、同ネジ411Xの軸部411aXがネジ孔612aに到達した場合には、当該ネジ孔612aに対してネジ411Xがねじ込まれることとなる。
ネジ孔612aに関してはその途中位置にて溝部T3の一部が潰されている。ネジ411Xにおいては、軸部411aXの先端部がその潰された部分(以下便宜上、潰れ部STと称する)に到達することによりそれ以上のネジ411Xの回動が不可となり、当該ネジ411Xのネジ孔612a内への進入が妨げられることとなる。このように、ネジ411Xの進入を阻止する機能に着目すれば、同潰れ部STを「ストッパ部ST」と称することも可能である。
なお、潰れ部STに関しては必ずしも必須の構成ではなく、これを省略することも可能である。但し、ネジ411Xがネジ孔612aに対して嵌まっていることをネジ411Xの回動が妨げられることで把握できるため、目視による確認作業が不要となる点に鑑みれば、すなわち作業性を向上するという効果に鑑みれば、同潰れ部STを採用することが好ましい。
上記第1の実施の形態及び本実施の形態においてはネジ411Xをネジ受け部557,557Xに取り付けることで封印シール500が破壊されて基板ボックス320,320Xの開封痕跡が残存する構成を採用することにより、防犯機能の向上が図られている。しかしながら、このような開封痕跡を巧妙に隠蔽しつつ開封が行われた場合には、主制御基板310等への不正なアクセスが行われた可能性を把握することが困難になり、同不正行為に起因した損害が発生しやすくなると想定される。そこで、本実施の形態においては、第1折曲部604Xとストッパ部484Xとによる規制状態を解除する際に形成される封印シール500の破壊痕跡を好適に残存させる工夫が施されている。以下、図29に基づき係る構成について説明する。
図29(b)に示すように、ネジ孔561によってネジ411Xが挿入される一連の通路のうち最外部が形成されている。ネジ孔561の延長上(延長領域EE)には、第1折曲部604Xの貫通孔611及びネジ孔613が位置しており、同延長領域EEに第1折曲部604Xの肉部及びネジ受け部材612は位置していない。第1折曲部604Xを取付ベース341とは反対側に押圧するには、上記延長領域EEに対して重なる部位(掛かり代)が必要であると想定され、一見すると本実施の形態に示す第1折曲部604Xを押圧することが困難であると考えられる。
既に説明したようにネジ受け部材612のネジ孔612aは単なる貫通孔ではなく、その内壁部分にネジ411Xの軸部に形成された溝部T1と係合する溝部T3が形成されている。つまり、ネジ孔612aの溝部については延長領域EEへの突出は抑えられているものの、当該ネジ孔612aに到達したネジ411Xの溝部T1との係合が可能となっている。なお、図29(b)においては溝部(ネジ411Xの溝部T1,ネジ孔557aXの溝部T2,ネジ孔612aの溝部T3)の断面部分にドットハッチングを付与している。
ネジ孔612aの溝部は、延長領域EEへの突出が抑えられており、局所毎の掛かり代は小さく設定されている。しかしながら、ネジ411Xの回動にともない同ネジ411Xの全周に亘って溝部T1とT3とが係合することで、全体としての掛かり代を大きくすることができる。これにより、延長領域EEへの突出を抑えつつ、上記掛かり代が好適に確保される。
ここで、ネジ受け部557Xの変更点について補足説明する。ネジ受け部557Xは、カバー部材550Xの第1対向壁部553から取付ベース341Xとは反対側に突出する円筒状をなしており、上記第1の実施の形態と比較してネジ孔557aXの全長が拡大されている(少なくともネジ孔557aXの内径よりも長くなるように設定されている)。これにより、同ネジ受け部557Xにネジが取り付けられた状態にて、同ネジの移動方向がばらつくことが抑制されている。また、本実施の形態においては、ネジ孔561aとネジ孔612aとの間に表側取付ベース部381Xが介在しており、それらネジ孔561a,612aの間に隙間が形成されている。このため、ネジ孔612aに対して棒状の不正具等を斜めに挿入することで、第1折曲部604Xの板面に同不正具を到達させるといった行為がなされる可能性がある。そこで、上述の如くネジ孔557aの全長を拡大することにより、そのような不正行為を難しくしている。
また、本実施の形態におけるネジ411Xについては、上記第1の実施の形態におけるネジとはその形状が異なっている。具体的には、第1の実施の形態におけるネジ411は軸部全域に溝部が形成されていたの対して、本実施の形態におけるネジ411Xについては、図29(a)に示すように軸部411aXの先端側半分にのみ溝部T1が形成されている。このため、軸部411aXは先端側半分の外径寸法が、基端側半分の外径寸法よりも溝部T1が形成されている分だけ大きくなっている。より具体的には、軸部411aXの先端側半分の外径寸法D1は基端側半分の外径寸法D2に対して、溝寸法P1の2倍分大きく設定されている。
溝部T1は、ネジ411Xがネジ受け部557Xにおける所定位置まで挿入されることにより、同溝部T1全体がネジ受け部557Xから第1折曲部604側に突出し、溝部T2との係合が解除される構成となっている。また、溝部T1の全長は、軸部411aXの先端部分がネジ受け部材612のネジ孔612aに挿入され同溝部T1が溝部T3と係合した状態にて同溝部T1の一部が溝部T2に対して係合可能となるように設定されているとともに、軸部411aの先端部分が上記潰れ部STに当接した状態にて当該溝部T1と溝部T2との係合が解除されるように設定されている。つまり、溝部T1は、ネジ411Xの装着に伴って、溝部T1にのみ係合する状態→両溝部T2,T3に係合する状態→溝部T3にのみ係合する状態に変化する構成となっている。
ここで、図30及び図31に基づき、ネジ受け部557Xに対するネジ411Xの取付時の、規制部材600X等の動きについて説明する。図30及び図31は、規制部材600Xの動作を示す概略図であり、ネジ411Xをネジ受け部557Xに取り付ける際には、図30(a)→図30(b)→図31(c)→図31(d)の順に動作する。なお、図30及び図31においては、説明の便宜上、ネジ411Xの溝部T1にドットハッチングを付与している。
取付ベース341Xからネジ411Xを取り外して、両構成体350,450の固定を解除した後は、同ネジ411Xを用いてカバー部材550Xの取外規制を解除する。
ネジ411Xを取付ベース341から取り外して両構成体350X,450Xの固定を解除した後は、図30(a)→図30(b)に示すようにネジ411Xをカバー部材550Xのネジ受け部557X(詳しくはネジ孔557aX)にネジ411Xを挿入する。このネジ411Xの挿入過程においては、挿入操作に伴ってネジ411Xの軸部411aXがネジ孔557aXから突出し、封印シール500に対して当接することとなる。そのままネジ411Xのねじ込みを継続すると、軸部411aXによって封印シール500が破壊され(孔が形成され)、当該軸部411aXがスリット385Xに到達する。
その後、更にネジ411Xをねじ込むことで、軸部411aXの先端部分が規制部材600Xにおける第1折曲部604Xの貫通孔611に到達する(図30(b)参照)。
図30(b)→図31(c)に示すように、ネジ411Xの先端部分がネジ受け部材612のネジ孔612aに到達すると、ネジ411Xの軸部411aX(詳しくは溝部T1)とネジ孔612a(詳しくは溝部T3)とが係合し、ネジ411Xがネジ孔612a内に進入することとなる。この際、ネジ411Xのネジ孔612aに対する挿入量が所定量に達すると、ネジ411Xの溝部T1がネジ受け部557Xのネジ孔557aから離脱し、同溝部T1と溝部T2との係合が解除される。これにより、ネジ411Xのスライド操作(押込操作)が許容された状態となる。
軸部411aXの先端部分がストッパ部STに到達すると、それ以上の進入が不可となる。このように、軸部411aXの進入が不可となっている状態にてネジ411Xが押し込まれると、第1折曲部604Xは対向部604aXが取付ベース341から遠ざかようにして変形する。詳しくは、対向板部603側の基端部分を中心として撓み変形するとともに、繋ぎ部604bXと対向部604aとの境目を中心として撓み変形する。
既に説明したように、第1折曲部604Xは、対向板部603側の端部が固定端、反対側の端部が自由端となるように片持ちとなっており、上記変形に際して固定端を中心とする回転方向に応力が発生することとなる。つまり、第1折曲部604Xが変形することによりネジ411Xとネジ孔612aとの係合力が高まり、上述したストッパ部STに生じる負荷が溝部T1,T3における係合部分全体に分散されることとなる。
図31(d)に示すように、ネジ411Xの頭部がネジ受け部557Xに当接する位置までネジ411Xが押し込まれると、第1折曲部604Xとストッパ部484Xとの掛かり代が0となり、それら第1折曲部604Xとストッパ部484Xとの引っ掛かりが解消される。これにより、カバー部材550Xの取外規制が解除されることとなる。
このように、カバー部材550Xの取外規制を解除した後は、ネジ411Xを解除位置に保持したまま、同カバー部材550Xを基板ボックス320Xから遠ざかる側にスライド移動させることにより、同カバー部材550Xの取り外しが完了する。その後、上記第1の実施の形態と同様に、第1固定手段330Aを取り除くことで主制御基板310の取り出しが許容されることとなる。
例えば、図29(b)の2点鎖線に示すように、ネジ受け部材612に延長領域EE(ネジ411Xの移動経路上)に突出する突出片を設けることで、上記掛かり代を確保することも可能である。しかしながら、このような対応を行った場合には、錐等の不正具による押圧も容易となってしまう。このように、第1折曲部604Xをネジ411Xではなく不正具によって押圧することで開封の痕跡を目立たせないようにしてカバー部材550Xの取外規制が解除されることは好ましくない。
この点、溝部T2の潰れ部STをストッパとして活用することで、延長領域EEへの突出を好適に抑え、上記不都合の発生を好適に抑制することが可能となっている。また、延長領域EEへの突出量を抑えた場合にはストッパとしての機能が低下しやすいと想定されるが、第1折曲部604Xの押し込み量の増大に追従して、溝部T1,T2同士の係合力が高まり、ストッパへの依存度を下げることができるため、ストッパとしての機能を好適に担保することができる。
以上詳述した第2の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
基板ボックス320Xからカバー部材550Xを取り外す際には、規制部材600Xによる取外規制を解除する必要がある。係る規制解除には、第1折曲部604X(詳しくは対向部604aX)をカバー部材550Xのネジ孔557aXから遠ざかる側に押す必要があるが、対向部604aXには貫通孔611が形成されているため、例えばネジ411Xに代えて棒状の不正具等により同対向部604aXを押そうとしても同不正具によって押せる箇所を十分に確保することが困難となる。これにより、不正具等を用いた規制解除を困難なものとし、構成体350X,450X同士の固定解除に先行してカバー部材550Xが取り外されるといった不都合の発生を抑えることができる。故に、例えば痕跡部を巧妙に取り除く等して破壊痕跡を残存させること無く固定解除を行い、その後痕跡部を元の位置に戻すことで開封事実を隠蔽するといった行為を困難なものとすることができる。このように、開封痕跡が形成される前段階でのカバー部材550Xの取り外しを不可とすることで、同カバー部材550Xの存在意義が薄れるといった不都合を生じにくくすることができる。これにより、防犯性の向上を図ることができる。
ネジ411Xを使用して上記規制を解除する際には同ネジ411Xを所定の解除位置に取り付けるという操作を行うことで、特に対向部604aXとの掛かり等を気にすることなく規制を解除することができる。このため、上述した防犯機能の強化を図りつつ、それに起因した開封作業の煩雑化を好適に抑制することができる。
本実施の形態においては特に、対向部604aX及びネジ受け部材612のネジ孔612aの延長領域EE内への張り出しが回避されている。これにより、上述した防犯機能を一層好適なものとすることができる。つまり、上記不正具等によって対向部604aXを押圧しようとした場合であっても、同不正具は対向部604aXに形成された貫通孔611に入りやすくなり、同対向部604aXの押圧が困難になる。これにより、規制状態が不正に解除されることを抑制することができる。
カバー部材550Xのネジ孔557aXにおいては、その内壁面に溝部T2が形成されており、同溝部T2の底部においてネジ孔557aXの内部領域が部分的に拡張されている。ネジ411Xが回動されると、上記拡張された領域をネジ411Xに形成された溝部T1が移動することで、ネジ411Xが解除位置へと移動することとなる。このように、溝部T1,T2を利用することにより、例えば棒状の不正具等をネジ孔557aXに沿って真っ直ぐ押し込む(スライドさせる)場合と比較してより広い領域を移動領域として利用可能となっている。このため、不正具等をネジ孔557aXに沿って真っ直ぐ挿入する場合と、ネジ411Xを回転させながら挿入する場合とでは、前者よりも後者のほうがネジ孔557aXにおける中心軸線の放射方向にて許容される移動領域が広くなる。つまり、ネジ411Xは上記延長領域EE以下の領域の通過が許容されることとなり、同延長領域EE外での対向部604aXとの係合が可能となる。これにより、ネジ411Xを用いた規制解除を可能としつつ、ネジ411X以外の不正具等を用いた規制解除操作を困難なものとすることが可能となっている。
ネジ孔557aXに挿入したネジ411Xを回動させることにより、同ネジ411Xが対向部604aXに向けて移動する。その後、ネジ411Xがネジ受け部材612のネジ孔612aに到達すると、当該ネジ孔612aの溝部T3に対してネジ411Xが係合し、その後軸部411aXの先端部が潰れ部STに対して当接することとなる。このように、ネジ411Xの進入が潰れ部STによって阻止された後は、ネジ411Xの押し込み操作に伴ってネジ受け部材612が押され、規制部材600X(第1折曲部604)が上記解除状態へ移行されることとなる。
ここで、ネジ411Xによる押圧機能を安定させようとすれば、上記掛かり代を大きく設定すればよい。しかしながら、単に掛かり代を大きくするといった対応を行った場合には、同様に不正行為が容易化されるため好ましくない。
この点、本特徴においては、局所毎のネジ411Xとネジ受け部材612との掛かり代を小さくしつつ、全体での掛かり代を大きくすることができる。これにより、ネジ411Xとネジ受け部材612との係合外れを抑制しつつ、同ネジ受け部材612を不正具によって押すといった不正行為を困難なものとすることができる。故に、解除機能の安定化を図りつつ、それに起因した防犯機能の低下を抑制することができる。特に、局所的に掛かり代が大きくなる部分が形成されることを回避することができるため、上記防犯機能の低下を好適に抑えることができる。
ネジ411Xは、解除位置に配置されている状態では第1折曲部604Xによってネジ孔557aX側に付勢される。これにより、ネジ411Xとネジ受け部557Xとの係合力を高めることができ、ネジ411Xを解除位置にて安定して保持することができる。故に、例えばカバー部材550Xの取外作業中にネジ411Xが解除位置からずれて同取外作業が妨げられるといった不都合を好適に回避することができる。
上述の如くネジ411Xとネジ受け部材612との掛かり代を小さくする工夫を施すことにより防犯機能を好適に向上することが可能である。しかしながら、掛かり代が小さくなればなるほどネジ411Xとネジ受け部材612との外れ等の不具合が生じやすくなると想定される。この点、本実施の形態においては、第1折曲部604が規制解除に伴って撓み変形する。この撓み変形によってネジ受け部材612の中心軸線とネジ受け部557Xの中心軸線とがずれることでネジ411Xとネジ受け部材612との係合力を高めることができる。第1折曲部604Xを押圧することによって反力が増した場合にはそれに併せて係合力が増大する構成とすることで、上記不具合の発生を好適に抑制することができる。
<第3の実施の形態>
上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、ネジ411を主制御装置180,180Xから一旦取り外した後、同ネジ411をネジ受け部557,557Xに取り付けることでカバー部材550,550Xの取外規制を解除する構成としたが、本実施の形態においては同取外規制の解除に関する構成がそれら各実施の形態と相違している。そこで以下、図32に基づきそれら相違する構成について説明する。図32は第3の実施の形態における第2固定手段及びそれに関連する構成を示す断面図である。なお、以下の説明では上記第1の実施の形態と同一符号に係る構成についてはその説明を援用して、同構成に関する説明を簡略化又は省略し、第1の実施の形態との違いを主体に説明する。
図32に示すように、表側取付ベース部381Yには、平板部382Yから裏側取付ベース部481Y側に凸となるネジ受け部394が設けられている。ネジ受け部394は、裏側取付ベース部481Yのネジ孔483Yの中心軸線と同じ方向に延びる円筒状をなしており、同ネジ孔483Yに対して連通している。ネジ受け部394の内径寸法はネジ411(軸部411a及び頭部411b)の挿入を許容する大きさに設定されている。より詳しくは、ネジ受け部394の内径寸法は、頭部411bの外径寸法より僅かに大きく設定されており、当該ネジ受け部394に挿入されたネジ411の頭部411bによって塞がれた状態となっている。
ネジ受け部394の先端部分には、裏側取付ベース部481Yのアーム部482に対して当接する当接部395が形成されている。当接部395は円環状をなしており、その中央部分に形成された貫通孔395aは、ネジ411の軸部411aの通過を許容するとともに、ネジ411の頭部の通過を不可とする大きさに設定されている。
ネジ受け部394の途中位置には、ネジ411の頭部に対してカバー部材550Yの第1貫通孔556Yとは反対側から当接する突起396が形成されている。この突起396に対してネジ411の頭部が当接する位置に配置されることで、ネジ411の軸部411aが上記貫通孔395aを通じて裏側取付ベース部481Yのネジ孔483Yに対して螺着され、両構成体350Y,450Yが固定された状態となっている。
このようにネジ411が固定位置に配置された状態では、当該ネジ411の先端部がネジ孔483Y内に留まっており、同ネジ孔483Yからの突出が回避されている。ネジ孔483Yを挟んで上記第1貫通孔556Yとは反対側となる位置、詳しくはネジ孔483Yの延長には、規制部材600Yの第1折曲部604Yが配置されている。
第1折曲部604Yは、その先端部分がネジ411(詳しくは軸部411a)の先端部分と対峙するようにして形成されている。裏側取付ベース部481Yには、第1折曲部604Yの先端部分に対してカバー部材550Yの取外方向先側に位置するようにしてストッパ部484Yが形成されている。このストッパ部484Yと第1折曲部604Yとの関係が第1の実施の形態におけるストッパ部484と第1折曲部604との関係と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ここで、図33に基づきカバー部材550Yの取外規制の解除作業について説明する。図33は、取外規制の解除操作に基づいたネジ411及び規制部材600の動きを示す概略図である。
カバー部材550Yの取外規制を解除する場合には、図33(a)に示すように、先ずネジ411に対応する工具T(詳しくはドライバ)をカバー部材550Yの第1貫通孔556に挿入する。この際、工具Tによって封印シール500を破壊することにより、ネジ411の頭部411bへアクセス可能となる。
工具Tによってネジ411を回動させると、ネジ411の頭部411bに当接している突起396が裏側取付ベース部481Y側に押圧され、図33(b)に示すように同突起396が破壊されることとなる。これにより、ネジ411のネジ受け部394奥側への移動が許容される。このように、突起396が破壊されることで破壊痕跡が形成され、同破壊痕跡を事後的に確認することにより基板ボックス320Yが開封された可能性がある旨を把握できる点に着目すれば、突起396を「痕跡部396」と称することも可能である。
その後、ネジ411の挿入操作を継続することにより、同ネジ411(詳しくは軸部411a)の先端部分が裏側取付ベース部481Yのネジ孔483Yから突出し、規制部材600Yの第1折曲部604Yに対して当接することとなる。そして、更にネジ411をねじ込むことで、第1折曲部604Yが規制部材600Yの対向板部603側の端部を中心として撓み変形し、第1折曲部604Yとストッパ部484Yとの掛かり代が減少することとなる。
その後、図33(c)に示すように、ネジ411の移動がネジ受け部394の当接部395によって妨げられる位置(解除位置)に到達すると、第1折曲部604Yとストッパ部484Yとの引っ掛かりが解消され、カバー部材550Yの取り外しが許容されることとなる。
ここで、上記各実施の形態とは異なり、本実施の形態におけるネジ411は基板ボックス320に対して固定されており、カバー部材550の移動に追従して移動することはない。但し、少なくとも第1折曲部604Yの先端部分がストッパ部484Yに対して引っ掛かる位置を通過するまではネジ411による第1折曲部604Yの押圧が継続されるため、ネジ411による第1折曲部604Yの押圧が終わり、同第1折曲部604Yが元の状態に復帰したとしても、それによってカバー部材550Yの取り外し操作が妨げられることはない。
また、カバー部材550Yが取り外された後、両構成体350Y,450Yを分離する際には、両構成体350Y,450Yがスライド移動される。この際、ネジ411の頭部411bは、ネジ受け部394において基板ボックス320の本体部321Yとは反対側から同頭部411b(解除位置に配置されている状態での頭部411b)に対向する部分に形成された開口部397を通じてネジ受け部394から離脱可能となっている。このため、上述の如くネジ411がカバー部材550Yではなく基板ボックス320Y側に残存する構成に変更したとしても、同変更によって両構成体350Y,450Yの分離操作が妨げられることはない。
以上詳述した第3の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
ネジ411を固定位置から解除位置へ移動させることにより構成体350Y,450Y同士の固定が解除されるとともにカバー部材550Yの取外規制が解除されることとなる。ネジ411を基板ボックス320Yによって保持されている状態のまま固定位置から解除位置への移動させることができる。このため、例えばネジ411を基板ボックス320Yから取り外した後、同ネジ411を解除位置へ再取り付けする場合と比較して、開封作業の簡略化が期待できる。
ネジ411を解除位置へ移動させることで突起396が破壊されて基板ボックス320Yに開封痕跡が形成されることとなる。これにより、同痕跡を目視等で確認することで事後的な開封事実の把握が可能となる。
ネジ411は、封印シール500によって覆われており、同ネジ411が操作される際には、封印シール500が破壊されることとなる。つまり、上述した突起396だけでなく、封印シール500にも痕跡が形成されることとなる。このように、複数個所に痕跡を残存させることで、開封事実の目視による確認が容易化される。
また、第1貫通孔556Yを通じたネジ411の取り外しが不可となっているため、同ネジ411を操作することなくカバー部材550Yの取外規制を解除することが困難となっている。
ネジ411を固定位置から解除位置に移動させた場合には、同ネジ411が解除位置にて保持されることとなり、ネジ411を解除位置にて保持された状態とするための別途操作が不要となる。これにより、実用上好ましい構成が実現できる。
ネジ411の固定位置は解除位置よりも第1貫通孔556Y寄りとなるように構成されているため、ネジ411が固定位置に配置されている状態では、解除位置に配置されている場合と比較して第1貫通孔556Yを通じたネジ411へのアクセスが容易となる。これにより、解除位置が固定位置よりも第1貫通孔556Y寄りに設定されている場合と比較して、開封操作の容易化に貢献することができる。
ネジ受け部394を挟んで第1貫通孔556Yとは反対側に規制部材600Yの第1折曲部604Yを配し、同ネジ受け部394にネジ411を挿通させる構成を採用することにより、同ネジ受け部394のネジ孔394aを通じた第1折曲部604Yへのアクセスをネジ411によって妨げることができる。これにより、ネジ411を操作することなく、カバー部材550Yの取外規制が解除されるといった不都合を生じにくくし、防犯機能の向上に貢献することができる。
特に、上記ネジ孔394aは、ネジ411によって塞がれているため、同ネジ411を迂回して第1折曲部604Yにアクセスすることが一層困難となる。これにより上記防犯機能を一層好適なものとすることができる。
<その他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記第1実施の形態及び第2の実施の形態では、「痕跡部」として封印シール500を採用し、同封印シール500が破壊されることで基板ボックス320の開封痕跡が形成される構成としたが、これに限定されるものではない。上記第3の実施の形態に示したように、基板ボックス320の一部(例えば破壊が容易となるように形成された部分)が破壊されることで、同基板ボックス320の開封痕跡を形成する構成とすることも可能である。
(2)上記第1の実施の形態では、「規制手段」をカバー部材550に搭載された可動式の規制部材600と基板ボックス320に設けられた固定式のストッパ部484とによって構成したが、これを変更し、規制手段をカバー部材550に設けられた固定式のストッパ部とによって構成することも可能である。
(3)上記第1の実施の形態では、「解除部材」としてネジ411を採用したが、これに限定されるものではない。規制部材600等によるカバー部材550の取外規制を解除できるのものであれば足り、例えば第1折曲部604を押圧することで規制状態を解除する構成においては、ネジ411に代えてピン部材等を使用することも可能である。但し、係る構成を採用する場合には、ピン部材が解除位置に配置された場合に、同ピン部材に対して係合等することで当該ピン部材の解除位置からの移動を規制する規制部を別途設けることが好ましい。これにより、開封作業の煩雑化を抑制することができる。
また、第2の実施の形態及び第3の実施の形態においては、「規制部材」としてネジ411,411Xを採用したが、上記変形例と同様にネジ411,411Xに代えてピン部材等をしようすることも可能である。
(4)上記第1の実施の形態では、「解除部材」としてのネジ411をカバー部材550に取り付けることでカバー部材550の取り外しに追従したネジ411の変位を実現したが、これに限定されるものではない。「解除部材」はカバー部材550の取り外しに追従して封印シール500に対する相対移動が許容されていればよく、その取付対象を基板ボックス320に変更することも可能である。例えば、解除部材を基板ボックスに対して移動可能に取り付けるとともに、その移動範囲においては規制解除状態が維持される構成とすればよい。この場合、カバー部材550に当該カバー部材550が移動する際に解除部材を操作する操作部を設けることで、カバー部材550の動きに追従した解除部材の変位を好適に実現することができる。
但し、係る変更を行った場合には、解除部材やそれに付随する構成が複雑化すると想定されるため、望ましくは上記第1の実施の形態に示したように、解除部材をカバー部材550に取り付ける構成とするとよい。
(5)上記第1の実施の形態では、ネジ411をカバー部材550のネジ受け部557に取り付けて同カバー部材550の取り外しを解除することにより、封印シール500の一部が破壊される構成としたが、これに限定されるものではない。例えばカバー部材550の取り外しに伴ってネジ411が移動する経路上に封印シール500が位置すれば足り、必ずしも解除位置へ配置された時点で封印シール500が破壊される必要はない。
但し、ネジ411の移動に基づいて封印シール500を破壊しようとした場合には、上記変更を行うことに起因して封印シール500を破壊しにくくなる可能性がある。具体的には、ネジ411に対して同ネジ411の移動方向とは反対側となる位置に封印シール500が存在せず、更には同反対側で封印シール500が途切れた状態となっているため、ネジ411は封印シール500の端部を押すようにして破壊しようとした場合に同封印シール500が撓みやすくなると想定される。
故に、望ましくは、上記第1の実施の形態に示したように、ネジ411を解除位置に配置した際に、封印シール500がネジ411を取り巻くように存在する構成とするとよい。
(6)上記第1の実施の形態では、封印シール500を規制部材600の第1折曲部604よりもネジ受け部557寄りとなる位置に配置したが、封印シール500を規制部材600寄りとなる位置に配置してもよい。
(7)上記第1の実施の形態では、「受け部」としての第1折曲部604の先端部位をネジ411によって押圧する構成としたが、これに限定されるものではない。少なくとも第1折曲部604とストッパ部484との引っ掛かりを解除できるように同第1折曲部604を押圧することができるのであれば、第1折曲部604の中間部位等を押圧する構成とすることも可能である。
(8)上記第1の実施の形態では、ネジ421及び規制部材600の第2折曲部605によって規制部材600の取り外しを規制する構成としたが、これらネジ421及び第2折曲部605を省略することも可能である。但し、このような変更を行う場合には、封印シール500におけるICチップ511が破壊されなくなる。故に、係る変更を行う場合には、封印シール500においてネジ411にり破壊される部位にICチップ511を配置する構成とすることが好ましい。
(9)上記各実施の形態では、第1固定手段330A及び第2固定手段330Bを併用したがこれに限定されるものではない。少なくとも第2固定手段330Bを有していればよく、第1固定手段330Aを省略することも可能である。
更には、第1固定手段330Aの間に第2固定手段330Bを配置したが、第2固定手段330Bの配置は任意である。
(10)上記各実施の形態では、封印シール500が表側構成体350の表側取付ベース部381に貼り付けられる構成としたが、封印シール500の配置はこれに限定されるものではない。例えば裏側構成体450の裏側取付ベース部481に貼り付ける構成としてもよいし、両取付ベース部381,481に跨るようにして貼り付ける構成としてもよい。
(11)上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、「痕跡部」としてICタグ503を有する封印シール500を採用したが、「痕跡部」はICタグ503を有する封印シール500に限定されることはない。例えば、ICタグ503を有していない封印シール500であってもよく、封印シール500が不具備となった状態のICタグ503であってもよい。また、痕跡を残すことができるのであれば、封印シール500やICタグ503に限定されず、例えば周知のカシメ構造等を採用することも可能である。
また、封印シール500においてアンテナ部材512が斜めに配置されている構成に限定されることはなく、斜め以外の方向に配置されている構成としてもよい。また、封印シール500のベースシート501は長方形状であることに限定されることはなく、正方形状、他の多角形状又は円形状であってもよい。
(12)上記各実施の形態では、ICタグ503はリーダ装置からの呼出波を受信することにより識別情報を応答波として発信する構成としたが、これに代えて、識別情報を含んだ電波を常時発信するICタグとしてもよい。
(13)長尺状のアンテナ部材512に代えてループ状のアンテナ部材を用いてもよい。この場合、ループ部が切断された場合には通信不可又は通信しづらくなるように構成するとともに、当該ループ部を上記各実施の形態におけるスリット513に相当するものとして境界BLとの位置関係やアンテナ用切り込み516との位置関係を設定するとよい。例えば、ループ部に向けて延びる易破壊部を形成することで、封印シール500が剥がされた場合にはループ部の切断が期待される。また、ループ部が境界BLを跨ぐようにして封印シール500を配置することで、境界BLを露出させるべく封印シール500が切断された場合や封印シール500が剥がされた場合にはループ部の切断が期待される。
(14)上記第2の実施の形態では、溝部T3の一部を潰すことにより「阻止部」としての潰れ部STを形成したが、これに限定されるものではない。例えば、ネジ受け部材612のネジ孔612aに溝部T3が形成されていない部位を設け、同部位によって「阻止部」を構成することも可能である。
(15)上記第2の実施の形態では、第1折曲部604Xがネジ受け部材612を有する構成としたが、このネジ受け部材612を省略することも可能である。この場合、第1折曲部604の貫通孔611に対してネジ411の溝部T1が引っ掛かる構成とするとよい。しかしながら、このような構成を採用した場合には、ネジ411と第1折曲部604との掛かり代が減少し、ネジ411が貫通孔611を通過するといった不都合が生じ得る。これは、ネジ411における規制解除機能が低下する要因となり得るため好ましくない。故に、望ましくはネジ受け部材612を採用し、ネジ411との掛かり代を大きくする工夫をするとよい。
(16)上記第2の実施の形態では、ネジ411Xを用いて第1折曲部604Xを押圧することにより、カバー部材550の取外規制を解除する構成としたが、これを以下のように変更してもよい。以下、図34の概略図を参照して、本変形例における規制解除構造について説明する。図34に示すように、本変形例における取外規制部材600に関しては起立板部602Zが表側取付ベース部381Xに対して対向する位置に配置されており、同起立板部602Zにおいてネジ孔557aXの延長上に位置する部位には貫通孔602aZが形成されており、ネジ411Xを取り付ける際の同起立板部602Zとネジ411Xとの干渉が回避されている。第1折曲部604Zにおけるネジ受け部材612Zは、同第1折曲部604Zにおいてネジ孔557a側を向いた板面に取り付けられている。
また、本変形例におけるネジ受け部材612Zに関しては、上記第2の実施の形態において形成されていた潰れ部STが省略されており、係る変更に併せて第2の実施の形態において第1折曲部604X(詳しくは対向部604aX)に形成されていた貫通孔611が省略されている。ネジ受け部材612Zに挿通されたネジ411Xが対向部604aZに対して当接することにより、それ以上のネジ411の進入が阻止される。つまり、上記第2の実施の形態において潰れ部STに付与されていたストッパ機能が対向部604aXに対して付与されている。
上記第2の実施の形態においては、第1折曲部604Xがネジ受け部557Xから遠ざかる側に変位することにより、同第1折曲部604Xとストッパ部484Xとの引っ掛かりが解除され、カバー部材550Xの取外規制が解除される構成となっていたが、本変形例においては、第1折曲部604Zがネジ受け部557Xに近づく側に変位することにより、同第1折曲部604Zとストッパ部484Zとの引っ掛かりが解除され、カバー部材550Zの取外規制が解除される構成となっている。また、ストッパ部484Zは、同第1折曲部604Zがネジ受け部557Xから遠ざかる側に変位した場合においては第1折曲部604Zとストッパ部484Zとの引っ掛かりを維持可能な構成となっている。このため、仮に棒状の不正具等がネジ受け部材612Zのネジ孔612aZに挿入され、同不正具によって第1折曲部604Zをネジ受け部557Xから遠ざかる側に押された場合であっても、カバー部材550Zの取外規制が解除されることが回避される。
ここで、カバー部材550Zの取外作業について説明する。ネジ受け部557Xのネジ孔557aXに対してネジ411Xをねじ込むと、同ネジ411Xの溝部T1とネジ孔557aXに形成された溝部T2とが係合し、回動操作によって同ネジ411Xがカバー部材550Zの内方へとと移動する。その後、ネジ411Xが所定位置まで挿入されると、溝部T1がネジ孔557aXから離脱し、溝部T1,T2の係合が解除される。このように、溝部T1,T2の係合が解除された後、更にネジ411Xを押し込むことにより、同ネジ411Xの先端部が第1折曲部604Zのネジ受け部材612Zに到達する。
なお、ネジ411Xがネジ受け部材612Zに到達するまで、上記両溝T1,T2の係合が維持される構成とすれば、ネジ411Xの移動方向のばらつきを好適に抑制することができ、ネジ411Xの先端がネジ受け部材612Zのネジ孔612aZに対して導かれやすくなる。
ネジ411Xの先端部がネジ孔612aZに挿入された後、再ぶネジ411Xを回動させると、ネジ411Xの溝部T1がネジ孔612aZのネジ溝T4と係合する。この際、ネジ411Xの頭部411bXがカバー部材550Zの第1対向壁部553Zに対して挿入方向手前側から当接しており、同ネジ411Xの回動に併せてネジ受け部材612Zがネジ受け部557X側に引き寄せられることとなる。これにより、第1折曲部604Zがストッパ部484Xとの掛かり代が減少する側に変位する。
このようにして第1折曲部604Zが変位することで、図34(b)に示すように、第1折曲部604Zとストッパ部484Xとの引っ掛かりが回避され、カバー部材550Zの取外規制が解除されることとなる。
(17)上記第3の実施の形態では、「痕跡部」として封印シール500及び突起396を併用する構成としたが、必ずしもこれに限定されるものではない。これら両者のうち何れか一方を省略することも可能である。
(18)上記第3の実施の形態においては、ネジ受け部394内にネジ411を収容し、同ネジ受け部394からのネジ411の取り外しを不可とすることにより、規制部材600Yによるカバー部材550Yの取外規制にネジ411が必要となる構成を実現したが、規制解除にネジ411が必要となる構成を以下のようにして実現することも可能である。具体的には、規制部材600の第1折曲部604を押圧可能なネジ部材を、取付ベース341においてネジ孔557aと同一軸線上となる部位に回動可能な状態で配置する。そしてネジ部材の頭部に回転非対称となるように係合部を形成するとともに、ネジ411における軸部の先端部位にネジ部材の係合部に係合する係合部を形成する。これにより、ドライバ等の工具を用いてネジ部材を直接回動させることが困難になり、規制状態の解除に際して411が利用する必要が生じる。
(19)上記第3の実施の形態では、第1貫通孔556の内径をネジ411の頭部411bの外径よりも小さく設定することにより、同第1貫通孔556を通じたネジ411の取り外しを阻止する構成としたが、これを以下のように変更してもよい。すなわち、ネジ411の頭部411bにねじ込み方向への回転を許容するとともに、取り外し方向への回転を不可とする操作部を形成することにより、第1貫通孔556側への移動を不可とし、同第1貫通孔556を通じたネジ411の取り外しを阻止する構成としてもよい。
(20)上記各実施の形態では、基板ケースの開封痕跡を残存させる構成を、主制御装置180に適用したが、これに限定されるものではない。同様の技術的思想を払出制御装置242等の他の制御装置に適用することも可能である。
(21)上記各実施の形態では、「基板ケース」としての基板ボックス320が「ケース構成体」として表側構成体350と裏側構成体450とを有する構成とした。すなわち、2つの構成体350,450を組み合わせることにより基板ボックス320を形成する構成とした。「ケース構成体」の数は2つに限定されるものではなく任意である。例えば、3個以上の構成体が組み合わされて基板ボックス320が形成されていてもよい。
(22)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記各実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
特徴A1.遊技に関する制御を行う制御基板(主制御基板310)と、
内部空間が形成されており、その内部空間に前記制御基板を収容する基板ケース(基板ボックス320)と、
前記基板ケースに設けられ、当該基板ケースが開封された場合にその開封の痕跡を残存させる痕跡部(封印シール500)と、
前記基板ケースに対して着脱可能に取り付けられ、前記痕跡部を覆う痕跡カバー(カバー部材550)と、
前記痕跡カバーの前記基板ケースからの取り外しを規制するとともに、解除部材(ネジ411)が予め定められた解除位置に配置されることにより前記痕跡カバーの取外規制を解除する規制手段(規制部材600等)と
を備え、
前記解除部材は、前記解除位置に配された場合に前記痕跡カバーの取り外しに追従した変位が許容され、その変位により前記痕跡部に当接して同痕跡部を破壊することで前記開封の痕跡を残存させることを特徴とする遊技機。
特徴A1に示すように基板ケースが開封された場合にその開封の痕跡を残存させる構成においては、同痕跡を目視等で確認することで事後的な開封事実の把握が可能となる。これにより、例えば基板ケースに対する不正行為が行われた場合に、その事実の把握が可能となる。しかしながら、このような痕跡部を有する構成においては、基板ケースが開封されていないにも関わらずあたかも開封されたかのように痕跡が残存してしまうと、それを発見した場合に制御基板の検査等を不要であると判断することが難しくなり、無駄な確認作業を行う必要が生じ得る。特に、このような事象が繰り返された場合には、痕跡部の信頼性が低下し、ひいては防犯機能を効果的に発揮させることが困難になると想定される。この点、本特徴においては、痕跡カバーによって痕跡部を覆うことにより、同痕跡部へのアクセスを抑制し、上記不都合の発生を抑えることが可能となっている。
基板ケースからの痕跡カバーの取外操作により、痕跡部が破壊されて痕跡が形成されることとなる。このため、痕跡カバーの取外操作とは別に痕跡部を破壊するための操作を要する構成と比較して、作業の煩雑化を抑えることができる。例えば痕跡カバーの取り外しを痕跡部によって妨げる構成とすることも可能である。しかしながら、係る構成においては痕跡カバー自体を痕跡を形成する際の操作部として活用することで利便性の向上が期待できる反面、作業ミス等によって痕跡カバーが引っ張られる等した場合に開封作業が行われていないにも関わらず開封痕跡が残存するといった不都合が生じ得る。痕跡部を強固なものとすることでそのような不都合の発生を抑制することは可能であるが、係る対応では基板ケース開封時の痕跡カバーの取り外しが困難になり基板ケース開封時の作業効率が低下すると想定される。
この点、本特徴によれば、痕跡カバーの取り外しを規制手段によって規制することで、仮に上述の如く痕跡カバーが引っ張られる等した場合であっても、それに起因した痕跡部の破壊を好適に回避することができる。これにより、痕跡部の弱体化を促進することが可能となる。故に、防犯機能の向上を図りつつ、それに起因した開封作業の困難化を好適に抑制することができる。
また、解除部材をそのまま痕跡部の破壊用の部材として活用することにより、破壊用の部材を別途採用する場合と比較して遊技機における構成の複雑化を抑制することができる。つまり、構成の複雑化を抑えつつ、上述した防犯機能の向上に貢献することができる。
特徴A2.前記痕跡部は、前記痕跡カバーの取り外しに伴って前記解除部材が移動する経路上に当該痕跡部の一部が位置するように配設されていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
特徴A1に示した構成を実現するには、本特徴に示すように痕跡部の一部を解除部材の移動経路上に配するとよい。これにより、解除部材に対して痕跡部の破壊機能を好適に付与することができる。
特徴A3.前記解除部材は、前記解除位置へ配置されることで前記痕跡カバーに取り付けられた状態となり前記痕跡カバーの取り外しに伴って当該痕跡カバーと一体的に変位することを特徴とする特徴A1又は特徴A2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、痕跡カバーの取外時に解除部材が同痕跡カバーと一体となって変位する。これにより、痕跡カバーの取外操作時の操作力を直接的に痕跡部に作用させることができる。
仮に解除部材を変位可能な状態で基板ケース側に取り付ける場合を想定すれば、特徴A1に示した技術的思想を実現することも可能である。しかしながら、同構成を採用した場合には解除部材及びそれに付随する構成が複雑化すると想定される。この点、本特徴に示すように解除部材を痕跡カバー側に取り付ける構成とすれば、構成の簡素化を図りつつ上記技術的思想を好適に実現することができる。
特徴A4.前記規制手段は、前記基板ケース及び前記痕跡カバーの一方に設けられた可動式の第1係止部と、前記基板ケース及び前記痕跡カバーの他方に設けられた固定式の第2係止部とを有し、それら第1係止部(第1折曲部604)及び第2係止部(ストッパ部484)が係止状態となることにより前記基板ケースからの前記痕跡カバーの取り外しを規制するものであり、
前記第1係止部は、前記解除部材の前記解除位置への配置時に同解除部材によって押圧されることにより付勢力に抗して前記第2係止部との係止状態が解除される位置へ変位することを特徴とする特徴A1乃至特徴A3のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A4によれば、痕跡カバーの取外規制を解除している状態では付勢力によって第1係止部が変位前の位置に復帰しようとする。このため、痕跡カバーを取り外す際には、解除部材を解除位置にて保持したまま同痕跡カバーを移動させる必要が生じる。このように解除部材が解除位置にて保持される必要が生じることにより、以下の構成と比較して、実用上好ましい構成を実現できる。すなわち、例えば解除部材を解除位置に配置した後に同解除部材を解除位置から取り除いたとしても痕跡カバーの取外規制が解除されたままとなる構成においては、解除部材が取り除かれることで痕跡部を破壊することが困難になったり、痕跡を残存させる範囲を拡げることが困難になったりすると想定される。この点、本特徴においては、上述の如く痕跡カバーの取り外しに際して解除部材を解除位置にて保持する必要があるため、解除部材に付与された痕跡部の破壊機能を好適に発揮させることができ、上記各不都合を払拭することができる。
なお、例えば「前記第1係止部は、前記解除部材によって押圧されることにより変形し、同変形によって前記解除部材を前記押圧方向とは反対側へ付勢する」構成を採用するとよい。
特徴A5.前記痕跡カバーには、前記解除部材を前記解除位置にて保持する保持部(ネジ受け部557)が設けられていることを特徴とする特徴A4に記載の遊技機。
特徴A4に示した構成においては、仮に痕跡カバーの取り外しを行う際に解除部材を手で解除位置に保持したまま同痕跡カバーを移動させる必要が生じると、取外作業が煩雑化すると想定される。この点、本特徴に示すように、痕跡カバーに設けた保持部によって解除部材を保持する構成とすれば、痕跡カバーの取り外し時に解除部材を手で保持する必要がなくなる。これにより、取外作業の容易化と痕跡部の破壊機能の安定化に貢献することができる。
特徴A6.前記規制手段は、前記痕跡カバーによって囲まれた領域に配されており、
前記痕跡カバーには、当該痕跡カバーの内外に貫通し、前記解除部材が前記解除位置に配置される場合に同痕跡カバーの外側から同解除部材が挿入される挿入部(ネジ孔557a)が形成されており、
前記解除部材は、前記挿入部を通じて当該解除部材の一端部が前記痕跡カバー内に挿入され、当該一端部によって前記第1係止部を挿入方向先側へ向けて押圧することにより前記規制手段による前記取外規制を解除するものであり、
前記保持部は、前記解除部材における他端部を保持するものであり、
前記痕跡部は、前記規制手段と前記保持部との間に配されていることを特徴とする特徴A5に記載の遊技機。
特徴A6に示すように痕跡部を規制手段と保持部との間に配することにより、以下の効果が期待できる。すなわち、痕跡部と保持部との間に規制手段を配する場合と比較して、痕跡部を破壊する際に解除部材に生じる反力によって同解除部材が変形等することを抑制できる。これにより解除部材の規制解除機能が低下することを抑制し、同規制解除機能と破壊機能とを好適に共存させることができる。
特徴A7.前記痕跡部は、前記保持部及び前記規制手段のうち前記保持部寄りとなる位置に配されていることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。
特徴A7によれば、解除部材において保持部により保持されている部分に近い位置に痕跡部が存在することで、解除部材によって痕跡部を破壊する際に発生する反力の影響を好適に抑制することが可能となる。これにより、特徴A6に示した効果を一層顕著なものとすることができる。
特徴A8.前記第1係止部は、前記解除部材によって前記挿入部の延長方向に押圧されることにより前記付勢力に抗して変位するものであり、前記挿入部の延長上となる位置から前記痕跡カバーの取外方向とは反対側に延びていることを特徴とする特徴A6又は特徴A7に記載の遊技機。
痕跡部を破壊する際に生じる反力によって解除部材が保持部を基端として上記取外方向とは反対側に傾いたり、解除部材自身が撓んだりすると想定される。そこで、本特徴に示すように受け部が挿入部の延長上となる位置から取外方向とは反対側に延びる構成とすれば、仮に解除部材に上記傾き等が生じた場合であっても押圧状態(解除状態)を好適に維持することが可能となり、痕跡部からの反力によって痕跡カバーの取外規制解除が無効化されるといった不都合を生じにくくすることができる。
特徴A9.前記基板ケースは、相互に組み合わされることにより前記内部空間を区画形成する複数のケース構成体(表側構成体350及び裏側構成体450)を有してなり、
それらケース構成体は、前記解除位置とは異なる所定の結合位置に配置された前記解除部材によって結合されていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A8のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A9によれば、基板ケースを開封する際には、先ず解除部材を結合位置から取り外すことにより両ケース構成体の結合を解除し、その後、同解除部材を解除位置に配置することで痕跡カバーの取り外しが許容される。このように、複数のケース構成体を有する構成を採用した場合には、何らかの方法で両ケース構成体を結合し、開封時に同結合を解除することで各ケース構成体の分離を許容する構成とすることが防犯機能向上の観点から好ましいと想定される。
そこで、解除部材を予め基板ケースに配設し、更に同解除部材にケース構成体を結合する機能を付与しておくことで、開封時に必要となり得る結合解除作業を規制解除作業のための予備的作業として利用できる。開封時の作業工程が増加することを抑制しつつ防犯機能を向上することが可能となり、実用上好ましい構成を実現することができる。
特徴A10.前記解除部材は、前記痕跡部と共に前記痕跡カバーによって囲まれた領域に配されており、
前記痕跡部は、前記結合位置から前記解除位置に前記解除部材が移動される過程にて同解除部材が移動する移動経路と複数個所にて交差するように構成されていることを特徴とする特徴A9に記載の遊技機。
特徴A10によれば、痕跡部における広域に破壊痕跡を残存させることができ、同痕跡の目視による確認の容易化が期待できる。
特徴A11.前記痕跡カバーは、
当該該痕跡カバーの内外に貫通し、前記解除部材が前記結合位置から取り外される場合に同解除部材が通過する通過部(第1貫通孔556)と、
当該痕跡カバーの内外に貫通し、前記解除部材が前記解除位置に配置される場合に同痕跡カバーの外側から同解除部材が挿入される挿入部(ネジ孔557a)と
を有し、
前記解除部材は、前記痕跡部と共に前記痕跡カバーによって囲まれた領域に配されており、
前記痕跡部は、当該痕跡部の少なくとも一部が前記解除部材と前記通過部との間に位置するようにして配置されているとともに、同痕跡部において前記解除部材及び前記通過部の間に位置する部分が破壊されることにより前記通過部を通じた前記解除部材の取り外しを許容するものであり、
前記通過部及び前記挿入部は、前記痕跡カバーの取外方向とは異なる方向にずらして配されていることを特徴とする特徴A9又は特徴A10に記載の遊技機。
特徴A11によれば、解除部材を取り外す際も破壊痕跡が残存することとなる。このように解除部材の取り外しによって形成された痕跡は、痕跡カバーの取外操作によって形成される痕跡とは異なる位置に存在することとなり、両痕跡が同一箇所で重複することが回避される。つまり、痕跡カバーの取外操作によって形成される痕跡により、解除部材の取り外し時に形成される痕跡が吸収されることが回避される。これにより、より広範囲に破壊痕跡を残存させることが可能となり、開封事実の確認作業の更なる容易化に貢献することができる。
例えば、痕跡部がシート状をなす構成においては、同痕跡部の拡がり方向に通過部及び挿入部をずらして配置するとよい。
なお、特徴A6等に示す「挿入部」を有する構成との組み合わせにおいては、同「挿入部」と本特徴に示す「挿入部」とを同一のものとすることも可能である。
特徴A12.前記規制手段は、前記痕跡カバーによって囲まれた領域に配されており、
前記痕跡カバーには、当該痕跡カバーの内外に貫通し、前記解除部材が前記解除位置に配置される際に同痕跡カバーの外側から同解除部材が挿入される挿入部(ネジ孔557a)が形成されており、
前記痕跡部は、当該痕跡部の少なくとも一部が前記挿入部及び前記規制手段の間に位置するようにして配置されているとともに、前記挿入部に挿入された前記解除部材の延びている方向とは異なる方向に拡がるシート状をなしており、
前記解除部材は前記解除位置に配置された場合に、前記痕跡部に形成された貫通孔に挿通された状態となることを特徴とする特徴A1乃至特徴A11のいずれか1つに記載の遊技機。
痕跡部がシート状をなす構成においては、解除部材によって痕跡部を破壊する際に同痕跡部が撓む等して上手く破壊できない可能性がある。
この点、本特徴によれば、解除部材を解除位置に配置することにより、同解除部材が痕跡部に対して貫通した状態となる。痕跡カバーに追従した移動により解除部材が痕跡部を横切る場合には、痕跡部が撓んで破壊されにくくなるといった不都合を生じにくくすることができる。より詳しくは、痕跡部において解除部材の移動方向とは反対側となる部位が途切れていない(解除部材を囲む環状をなす)ことで、解除部材の移動方向と反対側となる部位が途切れている場合と比較して解除部材の移動に対する同痕跡部の撓みを抑え、破壊痕跡形成の確実性向上に貢献することができる。
例えば、解除部材が解除位置に配置される際に移動する経路上に痕跡部の一部が位置するようにして当該痕跡部を配置し、同解除部材によって痕跡部に貫通孔が形成される構成や、痕跡部において同経路上に位置する部分に解除部材の通過を許容する貫通孔が予め形成されている構成を採用するとよい。
なお、特徴A6等に示す「挿入部」を有する構成との組み合わせにおいては、同「挿入部」と本特徴に示す「挿入部」とを同一のものとすることも可能である。
特徴B1.遊技に関する制御を行う制御基板(主制御基板310)と、
相互に組み合わされることにより内部空間を区画形成する複数のケース構成体(表側構成体350Xや裏側構成体450X)を有し、前記内部空間に前記制御基板を収容してなる基板ケース(基板ボックス320X)と、
前記基板ケースに設けられ、当該基板ケースにおいて前記内部空間を区画形成している本体部(本体部321)から同本体部の外側へ突出する突出部(取付ベース341X)と、
前記基板ケースに対して着脱可能に取り付けられ、前記突出部を覆うカバー部(カバー部材550X,550Z)と、
前記カバー部の前記基板ケースからの取り外しを規制する規制状態、及び同規制を解除する解除状態に切替可能な取外規制手段(取外規制部材600X,600Z)と、
前記基板ケースにおける第1位置に配置されることにより前記ケース構成体同士を結合しているとともに、前記基板ケースから取り外されることで前記結合を解除した後、前記第1位置とは異なる第2位置に配置されることにより前記取外規制手段を前記規制状態から前記解除状態に切り替える結合部材(ネジ411X)と、
前記突出部に設けられているとともに前記カバー部によって覆われており、前記結合部材が前記基板ケースから取り外され同結合部材が前記第2位置に配置されることで前記取外規制手段が前記解除状態となり前記基板ケースから前記カバー部が取り外される過程にて破壊されることにより痕跡を残存させる痕跡部(封印シール500)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、カバー部の取外過程にて痕跡が形成される。同痕跡を目視等で確認することで、例えば基板ケースが開封された可能性があることを事後的に把握することができる。これにより、基板ケースや制御基板に対する不正行為が行われた場合に、その事実の把握が可能となる。
痕跡部はカバー部によって覆われており、同痕跡部の露出が抑えられている。これにより痕跡部へのアクセスを規制し、カバー部が取り外されていないにも関わらずあたかも取り外されたかのように痕跡が残存してしまうといった不都合を生じにくくすることができる。
複数のケース構成体によって制御基板を収容する空間を区画形成する構成を採用した場合には、何らかの方法で両ケース構成体の分離を不可とし、基板ケースの開封時にケース構成体の分離を可能とすることで制御基板へのアクセスや同制御基板の取り外しを許容する構成とすることが防犯機能向上の観点から好ましいと想定される。
そこで、基板ケースに配されている結合部材にカバー部の取外規制を解除する機能を付与しておくことで、開封時に必要となり得る結合解除作業を上記取外規制の解除作業のための予備的作業として利用できる。これにより、開封時の作業工程が増加することを抑制しつつ防犯機能を向上することが可能となり、実用上好ましい構成を実現することができる。
特に、ケース構成体同士の結合解除に先行してカバー部が取り外されるといった不都合の発生を抑えることができ、例えば痕跡部を巧妙に取り除く等して破壊痕跡を残存させること無く上記結合を解除し、その後痕跡部を元の位置に戻すことで開封事実を隠蔽するといった行為を困難なものとすることができる。このように、痕跡が形成される前のカバー部の取り外しを不可とすることで、同カバー部の存在意義が薄れるといった不都合を生じにくくすることができる。これにより、防犯性の向上を図ることができる。
特徴B2.前記カバー部には、同カバー部の内外に貫通し、前記第2位置へ前記結合部材が配置される場合に当該カバー部の外側から同結合部材が挿入される挿入部(ネジ孔557aX)が形成されており、
前記結合部材は、前記挿入部に挿入される軸部(軸部411aX)を有し、当該軸部の周面に結合部材側溝部(溝部T1)が形成されたネジ部材であり、
前記挿入部の内壁面には、前記結合部材側溝部と係合する挿入部側溝部(溝部T2)が形成されており、
前記挿入部及び前記結合部材は、同結合部材が前記挿入部に挿入された状態にて回動されることにより前記カバー部の内方に移動して同挿入部から当該結合部材が突出するように構成されており、
前記取外規制手段に設けられ、前記挿入部を通じて挿入された前記結合部材の溝部によって押圧されることで当該取外規制手段を前記解除状態とする受け部(第1折曲部604X,604Zのネジ受け部材612,612Z等)を有していることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、挿入部の内壁面に挿入部側溝部が形成されており、挿入部側溝部の底部においては挿入部の内部領域が部分的に拡張されている。このように拡張された領域を結合部材側溝部が通過することにより、結合部材を挿入部に沿って真っ直ぐ押し込む(スライドさせる)場合と比較してより広い領域にて当該結合部材の移動が許容されることとなる。つまり、例えば不正具等を挿入部に沿って真っ直ぐ挿入する場合と、結合部材を回転させながら挿入する場合とでは、前者よりも後者のほうが挿入部において移動が許容される範囲が広くなる。
ここで、結合部材の結合部材側溝部については挿入部の延長領域外の領域の通過が許容されることとなる。この結合側溝部によって取外規制手段の受け部が押圧される構成を採用することにより、結合部材を用いた解除操作が困難になることを抑制しつつ同結合部材を使用せずに解除操作を行うことを困難なものとし、作業性の担保と防犯機能の向上との両立に貢献することができる。
特徴B3.前記受け部は、前記結合部材側溝部が通過する通過領域に当該受け部の一部が位置するとともに、前記軸部において前記結合部材側溝部が形成されていない部位が通過する通過領域との重なりが回避されるようにして形成されていることを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、特徴B2に示した技術的思想を好適に具現化することができる。
特徴B4.前記結合部材側溝部は、前記軸部において前記結合部材の挿入方向先側の一端部を含んだ範囲に形成されており、
前記軸部において前記結合部材側溝部よりも他端部側となる範囲に設けられ、前記挿入部側溝部との係合を回避可能な回避部(軸部411aXにおいて溝部T3が形成されていいない部分)と、
前記受け部に設けられ、前記結合部材側溝部と係合する受け部側溝部(溝部T3)を有するネジ孔(貫通孔611)と
を備え、
前記結合部材、前記挿入部及び前記受け部は、前記結合部材側溝部と前記受け部側溝部とが係合している状態にて同結合部材側溝部と前記挿入部側溝部との係合が回避され、又は前記結合部材側溝部と前記受け部側溝部との係合に先行して同結合部材側溝部と前記挿入部側溝部との係合が回避され、同結合部材の前記受け部側へのスライド移動が許容されるように構成されていることを特徴とする特徴B2又は特徴B3に記載の遊技機。
特徴B4によれば、挿入部に挿入した結合部材を回動させることにより、結合部材が受け部に向けて移動する。その後、例えば結合部材が受け部のネジ孔に到達すると当該ネジ孔の受け部側溝部に対して結合部材(詳しくは結合部材側溝部)が係合し、係る状態では結合側溝部と挿入部側溝部との係合が回避される。このように挿入部側溝部と結合部材側溝部との係合が回避された状態にて結合部材を受け部側へ押し込むことにより、同結合部材の移動に伴って受け部が押圧され、上記解除状態へ移行されることとなる。
ここで、結合部材における受け部の押圧機能を安定して発揮させようとすれば、受け部と結合部材との掛かり代を大きく設定すればよい。しかしながら、単に掛かり代を大きくするといった対応を行った場合には、不正具を係合部に対して引っ掛けやすくし受け部の不正操作が容易になる要因となり得る。
この点、本特徴においては、局所毎の受け部と結合部材との掛かり代を小さくしつつ、全体での掛かり代を大きくすることができる。これにより、結合部材と受け部との係合外れ等を抑制しつつ、同係合部に不正具を引っ掛ける等して受け部を押すといった不正行為を困難なものとすることができる。故に、解除機能の安定化を図りつつ、それに起因した防犯機能の低下を抑制することができる。特に、局所的に掛かり代が大きくなる部分が形成されることを回避することができるため、上記防犯機能の低下を好適に抑えることができる。
例えば、結合部材の軸部における中間部位を境として当該軸部の一方側に結合部材側軸部を設け、他方側に外径寸法が同結合部材側溝部の外径寸法よりも小さく設定された縮径部を設けるとよい。なお、結合部材側溝部の外径寸法は、同溝部における底部分の外径寸法でななく、底部分とは反対側(言い換えれば山状部分の頂部)での外径寸法を示している。
なお、本特徴に示すネジ孔が貫通孔状をなす構成とすれば、実用上好ましい構成を実現することができる。
特徴B5.前記軸部の軸線方向において前記結合部材側溝部が形成されている範囲は、当該結合部材側溝部が前記挿入部側溝部及び前記受け部側溝部の両者に対して同時に係合可能となるとともに、それら挿入部側溝部及び受け部側溝部のうち一方に対して係合可能ととなるように設定されていることを特徴とする特徴B4に記載の遊技機。
特徴B5によれば、結合部材により上記取外規制を解除する際には、先ず結合部材側溝部と挿入部側溝部とが係合し、これら両溝部の係合が維持された状態にて結合部材側溝部が受け部側溝部と係合することとなる。これにより、結合部材側溝部と挿入部側溝部との係合が解除された状態にて結合部材側溝部と受け部側溝部との係合が行われる構成と比較して、結合部材の軸部があらぬ方向を向く等して当該軸部の先端ががネジ孔へ入りにくくなるといった不都合を好適に抑制することができる。
特徴B6.前記受け部において前記挿入部側を向いている部位は、同カバー部の内面に対して当接又は近接していることを特徴とする特徴B2乃至特徴B5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B6によれば、棒状の不正具等の挿入部に対して斜めに挿入された場合等であっても、同不正具が受け部において挿入部側を向いている面に到達することを好適に抑制することができる。
特徴B7.前記カバー部には、同カバー部の内外に貫通しており、前記解除位置へ前記結合部材が配置される場合に当該カバー部の外側から同結合部材が挿入される挿入部(ネジ孔557aX)が形成されており、
前記結合部材は、前記挿入部に挿入される軸部(軸部411aX)を有し、当該軸部の周面に結合部材側溝部(溝部T1)が形成されたネジ部材であり、
前記挿入部の内壁面には、前記結合部材側溝部と係合する挿入部側溝部(溝部T2)が形成されており、
前記挿入部及び前記結合部材は、同結合部材が前記挿入部に挿入された状態にて回動されることにより前記カバー部の内方に移動して同挿入部から当該結合部材が突出するように構成されており、
前記取外規制手段に設けられ、前記カバー部によって囲まれた領域であって前記挿入部の開放先となる領域に配されており、同挿入部を通じて挿入された前記結合部材によって操作されることにより当該取外規制手段を前記解除状態とする受け部(第1折曲部604Xの対向部604aX)を備え、
前記結合部材側溝部は、前記軸部において前記結合部材の挿入方向先側の一端部を含んだ範囲に形成されており、
前記軸部において前記結合部材側溝部よりも他端部側となる範囲に設けられ、前記挿入部側溝部との係合を回避可能な回避部と、
前記受け部に設けられ、前記結合部材側溝部と係合する受け部側溝部(溝部T3)を有するネジ孔(貫通孔611)と
を備え、
前記結合部材、前記挿入部及び前記受け部は、前記結合部材側溝部と前記受け部側溝部とが係合している状態にて同結合部材側溝部と前記挿入部側溝部との係合が回避され、又は前記結合部材側溝部と前記受け部側溝部との係合に先行して同結合部材側溝部と前記挿入部側溝部との係合が回避され、同結合部材の回動操作に基づいて前記受け部が前記挿入部側へ変位することにより前記取外規制手段による規制が解除されることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B7によれば、挿入部から結合部材を挿入し、同結合部材を回動させることでその先端部分が挿入部から突出する。更に、結合部材の回動を継続すると、例えば結合部材の結合部材側溝部が開放部側溝部と係合し、その後結合部材側溝部と挿入部側溝部との係合が回避される。このように、結合部材側溝部と挿入部側溝部とが係合している状態にて更に回動させると、受け部が挿入部側に変位してカバー部の取外規制が解除されることとなる。
本特徴においては、挿入部を通じて棒状の不正具等を挿入した場合、受け部を挿入部から遠ざかる側に押すことは容易となっても挿入部側に引き寄せることは困難となる。これにより、結合部材を使用することなく取外規制を解除することが困難となる。
なお、結合部材側溝部と開放部側溝部とが係合した後に、規制部材の受け部側への移動を阻止する阻止部を設けることで、上記技術的思想を好適に実現することができる。例えば、結合部材の頭部がカバー部の外面に対して当接する構成とすればよい。
特徴B8.遊技に関する制御を行う制御基板(主制御基板310)と、
相互に組み合わされることにより内部空間を区画形成する複数のケース構成体(表側構成体350Yや裏側構成体450Y)を有し、前記内部空間に前記制御基板を収容してなる基板ケース(基板ボックス320Y)と、
前記基板ケースに設けられ、当該基板ケースにおいて前記内部空間を区画形成している本体部(本体部321)から同本体部の外側へ突出する突出部(取付ベース341Y)と、
前記基板ケースに対して着脱可能に取り付けられ、前記突出部を覆うカバー部(カバー部材550Y)と、
前記カバー部の前記基板ケースからの取り外しを規制する規制状態、及び同規制を解除する解除状態に切替可能な取外規制手段(取外規制部材600Y等)と、
前記突出部に対して移動可能な状態で取り付けられ、同突出部における第1位置に配置されることにより前記ケース構成体同士を結合し、同突出部において前記第1位置とは異なる第2位置に移動されることにより前記結合を解除するとともに前記取外規制手段を前記規制状態から前記解除状態に切り替える結合部材(ネジ411)と、
前記突出部に設けられているとともに前記カバー部によって覆われており、前記結合部材が前記第1位置から前記第2位置に移動されることにより前記取外規制手段が前記解除状態となって前記基板ケースから前記カバー部が取り外される過程にて破壊されることにより痕跡を残存させる痕跡部(封印シール500)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B8によれば、カバー部の取外過程にて痕跡が形成され、同痕跡を目視等で確認することにより例えば基板ケースが開封された可能性があることを事後的に把握することができる。これにより、基板ケースや制御基板に対する不正行為が行われた場合に、その事実の把握が可能となる。
痕跡部はカバー部によって覆われており、同痕跡部の露出が抑えられている。これにより痕跡部へのアクセスを規制し、カバー部が取り外されていないにも関わらずあたかも取り外されたかのように痕跡が残存してしまうといった不都合を生じにくくすることができる。
複数のケース構成体によって制御基板を収容する空間を区画形成する構成を採用した場合には、何らかの方法で両ケース構成体の分離を不可とし、基板ケースの開封時にケース構成体の分離を可能とすることで制御基板へのアクセスや同制御基板の取り外しを許容する構成とすることが防犯機能向上の観点から好ましいと想定される。
そこで、基板ケース(詳しくは突出部)に配されている結合部材にカバー部の取外規制を解除する機能を付与しておくことで、開封時に必要となり得る結合解除作業を上記取外規制の解除作業のための予備的作業として利用できる。これにより、開封時の作業工程が増加することを抑制しつつ防犯機能を向上することが可能となり、実用上好ましい構成を実現することができる。
特に、ケース構成体同士の結合解除に先行してカバー部が取り外されるといった不都合の発生を抑えることができ、例えば痕跡部を巧妙に取り除く等して破壊痕跡を残存させること無く上記結合を解除し、その後痕跡部を元の位置に戻すことで開封事実を隠蔽するといった行為を困難なものとすることができる。このように、痕跡が形成される前のカバー部の取り外しを不可とすることで、同カバー部の存在意義が薄れるといった不都合を生じにくくすることができる。これにより、防犯性の向上を図ることができる。
また、結合部材を第1位置から第2位置へ移動させることによりケース構成体同士の結合が解除されるとともにカバー部の取外規制が解除されることとなる。この際、結合部材を基板ケースによって保持されている状態のまま第1位置から第2位置へ移動させることができる。このため、例えば結合部材を基板ケースから取り外した後、同結合部材の解除位置への再取り付けを行う構成と比較して、開封作業の簡略化が期待できる。
例えば、基板ケースによって結合部材をスライド可能な状態で保持する構成や、回動可能な状態で保持する構成を採用するとよい。
特徴B9.前記突出部には、前記各ケース構成に連通する連通孔(ネジ孔394a,395aやネジ孔483Y)が形成されており、
前記連通孔に前記結合部材が挿通されることでそれらケース構成体同士が結合されており、
前記結合部材は、前記カバー部内に収容されているとともに、前記連通孔に沿って移動することにより前記第2位置への配置が許容される構成となっており、
前記カバー部において前記連通孔の延長上となる部位には、当該カバー部の内外に貫通し、前記第1位置に配置された前記結合部材を露出させる開放部(第1貫通孔384Y)が形成されており、
前記開放部を通じた前記結合部材の取り外しを阻止する阻止手段を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B9によれば、開放部を通じて結合部材を操作し同結合部材を連通孔に沿って移動させることにより、同結合部材を第2位置へ配置することができる。このように、開放部を通じた結合部材へのアクセスを許容する構成においては、仮に同結合部材が開放部を通じて取り外され、同結合部材を迂回する等して取外規制手段に直接アクセスされた場合には、カバー部の取外規制が不正に解除され得る。そこで、開放部を通じた結合部材の取り外しを阻止する構成とすれば、上記不正行為を困難なものとし、防犯機能の向上に貢献することができる。
例えば、開放部を結合部材の通過が不可となる大きさに形成することにより、カバー部の本体部分を阻止手段として活用するとよい。
特徴B10.前記第1位置は、前記第2位置よりも前記開放部寄りとなるように設定されていることを特徴とする特徴B9に記載の遊技機。
特徴B9に示したように、カバー部内に結合部材を収容する構成においては、同結合部材への不正なアクセスを抑制し、防犯機能を向上することができる反面、以下の不都合が生じ得る。すなわち、結合部材へのアクセス経路が開放部を通じたものに限定されることで、結合部材の第1位置から第2位置への移動作業が行いにくくなる可能性がある。
この点、本特徴によれば、結合部材が第1位置に配置されている状態では、同結合部材が第2位置に配置されている場合と比較して開放部を通じた結合部材へのアクセスが容易となる。これにより、少なくとも第2位置が第1位置よりも開放部寄りに設定されている場合と比較して、上記移動作業の容易化に貢献することができる。
特徴B11.前記取外規制手段には、前記開放部に対して前記連通孔を挟んだ反対側に位置し、同開放部を通じて挿入された前記結合部材によって押圧されることで当該取外規制手段を前記解除状態とする受け部(第1折曲部604Zのネジ受け部材612Z)が設けられていることを特徴とする特徴B9又は特徴B10に記載の遊技機。
特徴B9等に示したように開放部を通じた結合部材の操作を許容する構成においては、同開放部を通じて取外規制手段が直接操作可能となることは上記破壊痕跡を残存させることなく基板ケースが開封される要因となり得るため好ましくない。
この点、本特徴においては、連通孔を挟んで開放部とは反対側に受け部を配し、同連通孔に結合部材を挿通させる構成を採用することにより、同連通孔を通じた受け部へのアクセスを結合部材によって妨げることができる。これにより、上述した不都合の発生を抑え、防犯機能の向上に貢献することができる。
特徴B12.前記結合部材によって前記連通孔が塞がれていることを特徴とする特徴B11に記載の遊技機。
特徴B12によれば、結合部材を迂回して受け部にアクセスすることが一層困難となり、特徴B11に示した防犯機能を一層好適なものとすることができる。
例えば結合部材をネジ部材とし、連通孔を同ネジ部材と係合するネジ孔とすることで、実用上好ましい構成を実現することができる。
特徴B13.前記結合部材は、前記連通孔内に収容されており、
前記痕跡部は、前記開放部側から前記連通孔を覆う位置に配置されていることを特徴とする特徴B9乃至特徴B12のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B9等に示した構成においては本特徴に示すように、結合部材を連通孔内に収容することにより、連通孔を迂回して結合部材へアクセスすることが困難となる。これにより、結合部材の不正操作を好適に抑制することができる。
また、連通孔を痕跡部によって覆うことで、痕跡部を破壊することなく結合部材へアクセスすることが困難となる。これにより、防犯機能の向上に好適に貢献することができる。
特徴B14.前記結合部材は、前記第2位置に配置された状態においては前記基板ケースにより同第2位置にて保持されることを特徴とする特徴B9乃至特徴B13のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B9等に示した構成においては、開放部を通じて挿入した工具によって結合部材を操作することにより、同結合部材を第2位置へと移動させることができる。しかしながら、係る構成においては、カバー部の取外時に作業者等が結合部材を第2位置にて保持する必要が生じ得る。この場合、上述した工具等がカバー部の取外作業を妨げられる要因になると想定される。
この点、本特徴においては、結合部材は、基板ケースによって第2位置にて保持される。これにより、上述した不都合の発生を好適に抑えることができ、実用上好ましい構成を実現できる。
特徴B15.前記結合部材は、前記痕跡カバーによって囲まれた領域に配されており、
前記カバー部には、当該カバー部の内外に貫通しており、前記結合部材が前記第1位置から取り外される場合に同結合部材が通過する通過部(第1貫通孔556)が形成されており、
前記痕跡部は、当該痕跡部の少なくとも一部が前記通過部と前記結合部材との間に位置するようにして配置されていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B7のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B15によれば、結合部材を基板ケースから取り外す際に痕跡部が破壊されることとなる。言い換えれば、痕跡部を迂回して、同痕跡部の破壊を回避しつつ結合部材を取り外すといった行為を困難なものとすることができる。
なお、本特徴を以下のように変更することも可能である。すなわち、「前記痕跡部は、前記結合部材が前記第1位置から取り外される場合に通過する経路上に配置されていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B7のいずれか1つに記載の遊技機」とすることも可能である。
特徴B16.前記痕跡部は、当該痕跡部の少なくとも一部が前記挿入部を通じて前記結合部材が前記第2位置に配置される際に通過する経路上に配置されていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B7のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B16によれば、基板ケースから取り外した結合部材を第2位置に配置する際に痕跡部が破壊されることとなる。言い換えれば、痕跡部を迂回して、同痕跡部の破壊を回避しつつカバー部の取外規制を解除することを困難なものとすることができる。これにより、上記痕跡を好適に残存させることができる。
特徴B17.前記結合部材は、前記痕跡カバーによって囲まれた領域に配されており、
前記カバー部には、当該カバー部の内外に貫通しており、前記結合部材が前記第1位置から取り外される場合に同結合部材が通過する通過部(第1貫通孔556)が形成されており、
前記痕跡部は、当該痕跡部の少なくとも一部が前記通過部と前記結合部材との間に位置するようにして配置されており、
前記通過部及び前記挿入部は、前記カバー部におけることなる箇所に配されていることを特徴とする特徴B16に記載の遊技機。
特徴B17によれば、結合部材を基板ケースから取り外す場合と、結合部材によって上記取外規制を解除する場合とで異なる箇所にそれぞれ破壊痕跡が形成されることとなる。これにより、より広範囲に破壊痕跡を残存させることが可能となり、開封事実の確認作業の更なる容易化に貢献することができる。
特徴B18.前記結合部材は、前記第2位置に配された状態にて前記カバー部によって同第2位置に保持され、
前記痕跡部は、当該痕跡部の少なくとも一部が前記カバー部の取外方向への移動に追従して前記結合部材が移動する経路上に配置されており、
前記通過部及び前記挿入部は、前記カバー部の取外方向とは異なる方向にずらして配されていることを特徴とする特徴B16に記載の遊技機。
特徴B18によればカバー部を取り外す際も破壊痕跡が形成されることとなる。このようにカバー部の取り外しによって形成された痕跡は、結合部材の基板ケースからの取り外しよって形成される痕跡とは異なる位置に存在することとなり、両痕跡が同一箇所で重複することが回避される。つまり、カバー部の取外操作によって形成される痕跡により、結合部材の取り外し時に形成される痕跡が吸収されることが回避される。これにより、より広範囲に破壊痕跡を残存させることが可能となり、開封事実の確認作業の更なる容易化に貢献することができる。
例えば、痕跡部がシート状をなす構成においては、同痕跡部の拡がり方向に通過部及び挿入部をずらして配置するとよい。
特徴B19.前記痕跡部は、当該痕跡部の少なくとも一部が前記開放部と前記結合部材との間に配置されていることを特徴とする特徴B9乃至B14のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B19によれば、痕跡部を迂回して結合部材を操作することが困難となる。これにより、結合部材を操作する際に痕跡部の破壊を要する構成とすることができ、上述した痕跡を好適に残存させることができる。
特徴B20.前記痕跡部は、当該痕跡部の少なくとも一部が、前記結合部材が前記第1位置から前記第2位置へ移動する場合に通過する経路上に位置するようにして配置されていることを特徴とする特徴B8乃至特徴B14のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B20によれば、結合部材を第2位置へ移動させることにより、痕跡部が破壊されることとなる。これにより、痕跡部を破壊させることなく結合部材を第2位置へと移動させるといった行為が困難となり、上記痕跡を好適に残存させることができる。
なお、本特徴に示す技術的思想を特徴B19と組み合わせることも可能である。この場合、更なる防犯機能の向上が期待できる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘87等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。