JP5425543B2 - バーナ - Google Patents

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本発明は、微粉炭、チャーなどの粉体燃料をガス化炉等に噴射する内部水冷式のバーナに関する。
各種ボイラやガス化炉等の燃焼装置においては、微粉炭や可燃性ガス、油等の燃料を噴射するためのバーナを備えている。このバーナは、一般に炉外から炉壁の貫通孔を通じて挿入され、挿入されたバーナの先端部が炉内に突出した状態で取り付けられている。バーナの先端部分には、燃料を噴射する燃料噴出孔と、燃料噴出孔の周囲に配置され、空気等の酸化材を噴出する複数の酸化剤供給孔が設けられている。
従来のガス化炉用の一例として、バーナが設けられた石炭ガス化炉の断面を図6の左図に示す。ガス化炉101は、バーナ103、ガス化部105、冷却部107、クエンチ部109を備えている。ガス化部105に設けられるバーナ103から炉内に噴出された微粉炭等の粉体燃料と酸化剤は、高温下で反応することにより、COと水素を主成分とする生成ガスが生じると共に微粉炭中に含まれる灰分が溶融状態となる。生成ガスは上方の冷却部107に移動して熱回収され、排気口111から炉外へ排出された後、後方のガスタービンや燃料電池等の燃料として使用される。
バーナ103は、図6の右図(横断面図)に示すように、円筒状のガス化炉内に旋回流を形成するため、炉の中心に対して軸の向きをずらして配置されている。炉内で旋回流が生じることにより、炉内に供給された微粉炭中の灰分は、旋回流によってガス化炉の内壁113に付着する。この内壁113に付着した灰分は、溶融灰となって内壁113を伝って下方のクエンチ部109に流下し、冷却水プール115で水砕された後、スラグとして炉外へ排出される。
このようなガス化炉に設置されるバーナとしては、例えば、中央に微粉炭燃料を供給する供給路を備え、これを包囲するように酸化剤を供給する供給路を配置し、さらにその外周側に冷却水の供給路を備えたバーナの構造が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
特開昭63−142095号公報 特開平2−206687号公報
ところで、微粉炭燃料は、使用される石炭種ごとに石炭中に含まれる酸素量や灰分の特性等が異なっている。そのため、微粉炭燃料の石炭種が変化するときには、酸化剤の供給量を石炭種に応じて最適な供給量に切り替える必要がある。また、炉内の旋回速度、つまり酸化剤の投入流速は、溶融灰の捕集量を確保するために、使用する石炭種等によらず一定値又は石炭種に応じて最適値に保つ必要がある。そのため、いずれにしても酸化剤供給孔の大きさや孔数は、使用する石炭種等に応じて適宜変更することが求められる。
特許文献1、2のように、従来のバーナ構造においては、酸化剤供給管がその外側を取り囲む冷却水供給管に固定される構造のため、石炭種が変わり酸化剤供給孔を切り替える必要が生じた場合、少なくとも冷却水供給管と酸化剤供給管を一体的に炉壁から取り外し、酸化剤供給管を別のものと交換しなければならず、大がかりな改造が必要になる。このように、従来のバーナ構造においては、使用する石炭種の変更による運転条件の変更について十分に配慮がされていなかった。
本発明の課題は、使用する石炭種の変更に伴うバーナの交換作業を最小限にとどめ、多種多様な燃料に対して柔軟に対応することができるバーナを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するため、搬送気体により搬送される粉体燃料を噴出する燃料ノズルと、この燃料ノズルと同軸に外周を包囲して設けられた酸化剤供給管路と、この酸化剤供給管路の外周を包囲して設けられた冷却水管路とを備えてなるバーナにおいて、燃料ノズルの先端部は、酸化剤供給管路の先端部の内面に接する拡径部と、この拡径部に形成された複数の酸化剤噴出孔とを有して形成され、燃料ノズルは、酸化剤供給管路に軸方向で挿脱可能に支持されてなり、拡径部の外周面と酸化剤供給管路の内周面との間には、シール部材が介装され、拡径部の外周面と酸化剤供給管路の内面とが対向する部位との間には、伝熱充填剤よりなる伝熱促進剤が充填されていることを特徴とする。
このように、酸化剤噴出孔を有する拡径部を燃料ノズルの一部として形成し、その燃料ノズルを軸方向に挿脱可能な構造とすることにより、冷却水管路を取り外すことなく燃料ノズルだけを抜き出して酸化剤噴出孔の孔径や孔数等が異なる他の燃料ノズルを酸化剤供給管路の内側に装着することができる。このようなバーナ構造を採用することにより、バーナの交換作業を最小限にとどめることができ、多種多様な燃料に対して柔軟かつ容易に対応することが可能になる。また、拡径部の外周面の酸化剤供給管路の内面とが対向する部位には、伝熱充填材よりなる伝熱促進剤が充填されているから、拡径部と酸化剤供給管路との間にわずかな隙間が生じても、その隙間を埋めて拡径部や燃料ノズルの冷却効率の低下を抑制することができる。
また、拡径部の外周面と酸化剤供給管路の内面との間にはシール部材が介装されているため、拡径部の外周面と酸化剤供給管路の内周面との間の気密性を高めることができる。これにより、酸化剤ガスの漏洩を抑制し、酸化剤ガスの噴出速度をより安定化させることができる。このように酸化剤ガスの噴出速度が安定化すると、炉内の旋回速度も安定化するため、生成ガス中の灰分の分離効率を向上させることができる。
この場合において、シール部材は、200℃以下の低温部に配置されることが好ましい。これによれば、シール部材の耐久性を向上させることができ、かつ経済性を高めることができる。
また、冷却水管路を画成する管路部材の先端部分は、半球状に突出して環状に形成され、その先端部分の内部は冷却水を折り返す構造をなしているものとする。このようにすれば、冷却水管路の先端部分において、冷却水のよどみを生じることなく、流れが円滑になるため、冷却効果を改善することができる。また、このように断面が半球状の構造は、発生する熱応力を分散できるため、熱応力の発生を最小限にすることができ、その結果繰り返しの熱による熱疲労割れを抑制することが可能となる。
ところで、従来、冷却水管路の管路部材の先端部分には、耐熱性(耐酸化性)を考慮して、Cr含有量18〜50%のオーステナイト鋼が使用されている。しかし、バーナより噴出される微粉炭燃料の種類等によっては火炎の大きさが不安定となり、火炎からの熱輻射が大きく変動することがある。この変動が続くとバーナの先端側の表面温度が繰り返し上下し、例えば、燃料ノズルの肉厚方向に繰り返し温度差が発生し、熱疲労(熱衝撃)が生じてノズル表面に多数のき裂が生じるおそれがある。
そのため、本発明では、冷却水管路を画成する管路部材の先端部分を、Cr含有量9〜17%のフェライト鋼で形成するものとする。このように最も熱疲労が問題となる冷却水管路の先端部分を、オーステナイト鋼やNi基合金よりも熱伝導率が大きく線膨張係数が小さいフェライト鋼で形成することにより、先端部分に発生する熱応力を小さく抑えることができ、バーナの熱疲労寿命を長くすることができる。
一方、高温かつ燃焼ガス成分が充満した還元性雰囲気の炉内にバーナの冷却水管路が長時間曝された場合、上記のフェライト鋼で形成される冷却水管路の先端部分には、硫化及び酸化減肉等の不具合により高温腐食が進行し、耐熱疲労寿命が低下するおそれがある。
そこで、冷却水管路を画成する管路部材の先端部分は、Cr含有量9〜17%のフェライト鋼に代えて、AlとTiを強化元素として添加しないNi基合金で形成されるものとする。高強度Ni基合金は、一般にAlとTiを添加することによりγ´相を析出させて強化しているが、長時間使用すると時効硬化により感受性が高くなり、溶接割れ等が発生することがある。このため、本発明者らは、AlとTiを強化元素として添加しないNi基合金について高温腐食性を評価したところ、耐高温腐食性がCr含有量9〜17%のフェライト鋼よりも格段に優れていることを知見した。
このAlとTiを強化元素として添加しないNi基合金で形成される冷却水管路の先端部分は、フェライト鋼よりも熱伝導率が小さく線膨張係数が大きいが、冷却水管路の先端部分に発生する硫化及び酸化減肉等による耐熱疲労性の著しい低下を抑制することができ、かつ、熱疲労寿命はオーステナイト鋼よりも優れている。したがって、Cr含有量9〜17%のフェライト鋼よりも高温腐食性の過酷な環境下で使用するバーナの寿命を一層向上させることができる。
この場合において、冷却水管路を画成する管路部材の先端部分以外の残りの部分は、Cr含有量18%以上のオーステナイト鋼又はCr含有量9〜17%のフェライト鋼のいずれかで形成され、先端部分と残りの部分が溶接材料を用いて周溶接構造で接合されるとともに、その接合部分は、先端部分が炉外から炉壁を通して炉内に挿入された状態で、炉壁内面よりも炉外側となる位置に設けられているものとする。
すなわち、接合部分は異材溶接部であり、大きな温度変化があると他の部分よりも大きな熱応力が発生するが、本発明の構成によれば、接合部分および冷却水管路の先端部分以外の残りの部分がバーナから噴射された燃料により形成される火炎の輻射熱を直接受けることがないため、これらの部分の熱疲労に伴う劣化を抑制することができる。なお、接合部分の位置は、炉壁の内面よりも炉外側であってもよい。
本発明によれば、使用する石炭種の変更に伴うバーナの交換作業を最小限にとどめることができ、多種多様な燃料に対し、柔軟に対応することができる。
本発明を適用してなる第1の実施形態のバーナの構成を示す縦断面図である。 図1のA−A矢視断面図である。 図1のB部を拡大して示す断面図である。 燃料ノズルの一例を示す断面図である。 Alloy625の高温硫化腐食試験の結果を示す線図である。 従来のガス化炉の構成を示す図である。
以下、本発明を適用してなる微粉炭燃料噴出バーナ(以下、バーナと略す。)の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のバーナの構成を示す縦断面図、図2は、図1のA−A矢視断面図、図3は、図1のB部を拡大して示す断面図、図4は、燃料ノズルの一例を示す断面図である。
本実施形態のバーナ1は、ガス化炉の炉壁3の貫通孔に挿入され、先端側を炉壁3から炉内側に突き出した状態で炉壁3に装着されている。このバーナ1は、窒素ガスにより搬送される微粉炭燃料を噴出する円筒状の燃料ノズル5と、燃料ノズル5の外側を同軸に包囲して設けられる酸化剤供給管路7と、酸化剤供給管路7の外側を同軸に包囲して設けられる冷却管19を備えて構成される。酸化剤供給管路7は、燃料ノズル5の外周面と冷却管19の内周面との隙間に形成されて円環状の空間をなしている。冷却管19の内部には、円環状の冷却水管路9が形成されている。
図1,2に示すように、燃料ノズル5の先端部分には、燃料噴出孔11が設けられ、燃料噴出孔11の外周側には、酸化剤ガスを噴出する酸化剤噴出孔13が周方向に複数(8個)設けられている。燃料ノズル5の先端部分には、外周面を拡径させた大径の拡径部15が形成され、この拡径部15には、拡径部15の軸中心側に向かって斜めに貫通する酸化剤噴出孔13が設けられ、これにより噴出速度を高める構造になっている。
冷却管19は、その先端側の内周面が拡径部15の外周面と内接するとともに、先端側と基端側が封止された状態で、炉壁3に固定される構造になっている。すなわち、冷却管19の外周面にはフランジ部21が全周方向に張り出して形成され、このフランジ部21は、炉壁3の貫通孔の内面から炉外側に張り出した筒状の金属板の先に形成されるフランジ部23とガスケット22を介して締結されている。
冷却管19は、その内部の冷却水管路9が仕切り壁25により内側流路27と外側流路29に区画された2重管構造となっている。冷却管19の炉内側に突き出した先端部分31は、炉内側に半球状に張り出して形成され、その内側を冷却水が折り返す構造になっている。冷却管19の炉外側の外周面には、冷却水が供給される冷却水供給口33と冷却水を排出する冷却水排出口35が設けられ、冷却水供給口33から供給された冷却水が内側流路27を流れて炉内の先端部分で折り返し、外側流路29を流れた冷却水が冷却水排出口35から排出されるようになっている。
燃料ノズル5は、炉内に位置する拡径部15の端面が炉内の冷却管19の先端部分31とほぼ同じ位置に配置され、炉外の微粉炭と窒素が供給される基端部分が冷却管19の基端よりも炉外側に位置するようになっている。この冷却管19の基端よりも炉外側に位置する燃料ノズル5には、外周面を同軸で包囲する円筒管37が取り付けられている。この円筒管37は、基端が燃料ノズル5の外周面から周方向に張り出した板状の面によって封止され、炉壁3側の開口端には、全周方向に張り出したフランジ部39が形成されている。
一方、冷却管19の基端には、冷却菅19の内周面を炉外側に延出させた筒状の連結管41が設けられている。連結管41の基端には、全周方向に張り出したフランジ部43が形成され、このフランジ部43と円筒管37のフランジ部39が締結されるようになっている。
このように、燃料ノズル5は、炉壁3に取り付けられた冷却管19と連結する連結管41に、燃料ノズル5と連結された円筒管37を着脱自在に取り付けることにより、炉壁3に支持される構造になっている。
円筒管37には、酸化剤が供給される酸化材供給孔45が形成され、酸化剤供給孔45から導入された酸化剤ガスは、円筒管37、連結管41、酸化剤供給管路7の内部を順次通過して、酸化剤噴出孔13から炉内へ噴出されるようになっている。
図3に示すように、拡径部15の冷却管19に内接する内面には、断面が例えば半円状の溝47が全周方向に形成されており、溝47内には、オーリング49が装着されている。このように拡径部15の外周面と冷却管19の内面との間にオーリング49を介在させることにより、拡径部15と冷却管19との隙間を気密に保ち、酸化剤の漏洩を防ぐことができる。オーリング49は、できるだけ炉内側から離れた位置、好ましくは、冷却管19の冷却効果により、オーリング49の表面温度が200℃以下となる位置に配置するのがよい。これにより、耐熱温度の低い一般的なシール材を用いても長時間にわたってシール機能を保つことができる。なお、オーリング51の材質としては、例えば、耐熱温度200℃のフッ素樹脂製のものを用いることができる。
このようにして構成されるバーナ1においては、先ず、燃料ノズル5を炉外側から拡径部15を冷却管19の内側に摺動させながら挿入し、燃料ノズル5と連結された円筒管37のフランジ部39を連結管41のフランジ部43と締結することにより、バーナ1に取り付けることができる。反対に、フランジ部39とフランジ部43の締結を解除して、燃料ノズル5をバーナ1から抜き出すことにより、燃料ノズル5をバーナ1から取り外すことができる。
次に、微粉炭燃料を含む窒素ガスが燃料ノズル5内に供給されるとともに、酸化剤供給口45から酸化剤となる空気又は酸素が酸化剤供給管路7に供給されると、燃料噴出孔11より噴出された微粉炭燃料と酸化剤噴出孔13より噴出された酸化剤とが炉内で接触して部分酸化反応を開始する。この反応時の発熱によりガス化反応が進行し、高温のCO、水素ガス等が炉内で生成される。
ここで、炉内に生じる旋回流が弱いときは、炉壁3への灰分の付着量が減少するため、ガス化部105(図6)における溶融灰の捕集量が低下する。
反対に、炉内の旋回流が強すぎるときは、炉壁3に付着した溶融灰が再飛散して溶融灰の捕集量が低下する。すなわち、例えば、使用する微粉炭燃料が、酸素含有率が高く、或いは、発熱量が小さい石炭種に切り替えられた場合、酸化剤噴出孔13をそのままの状態にして酸化剤の供給量を増やすと、酸化剤噴出孔13から噴出される酸化剤の速度が増加して炉内の旋回速度が上昇し、旋回流によって炉壁3に捕集された溶融スラグが再飛散し、溶融灰の捕集量が低下、つまり炉内から排出される排ガスのスラグ含有量が増加することになる。
このような現象を抑制するためには、酸化剤噴出孔13の大きさや孔数等を適宜切り替えて、酸化剤の供給速度を調整することにより、旋回流の強さを最適化することが必要となる。
本実施形態のバーナ1は、冷却管19を炉壁3に固定したままの状態で、酸化剤噴出孔13が形成された拡径部15を有する燃料ノズル5をバーナ1から挿脱して交換するだけで、酸化剤噴出孔13の交換を可能とするものである。このため、従来のバーナ構造のように、大幅な改造工事を必要とせず、交換作業の負担を大幅に低減することができる。
例えば、酸化剤の噴出速度を低減させるには、図1の燃料ノズル5を抜き出して、図4に示すように、別途用意しておいた燃料ノズル5´を挿入することにより、酸化剤噴出孔を8個から10個に切り換えることができる。これにより、酸化剤の噴出速度を低減できるため、酸素含有量が低く、発熱量の少ない石炭種に切り替わった場合でも、短時間で酸化剤噴出孔の孔径や孔数を変更することができ、適正な酸化剤の供給量のもと、効率よく運転を行うことができる。
また、本実施形態では、燃料ノズル5は、バーナ1全体からみると比較的小さな構成品であり、このような小さな燃料ノズル5だけを交換することでバーナ1の交換を実質的に可能としていることから、交換作業の負担を少なくし、交換費用を低減することができる。
また、従来のバーナ構造によれば、長期の運転を行うと、冷却管19と炉壁3との接続部分に溶融スラグが付着し、或いは、ガス化炉本体に熱変形等が生じるなどにより、バーナの交換作業に弊害を生じていたのに対し、本実施形態のバーナ1によれば、燃料ノズル5が小さく、酸化剤の噴出も手伝って、溶融スラグの付着に伴う弊害を抑制することができる。これにより、燃料ノズル5の抜き出しを容易に行うことができる。
また、本実施形態では、燃料ノズル5の拡径部15と冷却管19との間にオーリング49などのシール機構を設けているため、酸化剤ガスの漏洩を防ぐことができる。これにより、酸化剤ガスの噴出速度を安定化することができるため、ガス化炉内の旋回速度を安定に保つことができ、溶融スラグの回収効率をより安定化することができる。
また、本実施形態では、冷却管19の先端部分31を、炉内側に半球状に突出させて形成し、その先端部分の内側を冷却水が折り返す構造としているため、先端部分が例えば平坦面の構造と比べて冷却水の流れが円滑になり、よどみが抑制されるため、高い冷却効果を得ることができる。また、このように断面が半球状の構造は、発生する熱応力を分散できるため、熱応力の発生を最小限にすることができ、その結果繰り返しの熱による熱疲労割れを抑制することが可能となる。
ところで、拡径部15と冷却管19との隙間はできるだけ小さい方が気密性や冷却性能を向上させる上で望ましいが、燃料ノズル5の挿脱性を確保するためには、ある程度、隙間量(例えば、約0.3mm)を確保しておくことが好ましい場合もある。ただし、ガス化炉内のガス温度は1500℃〜1800℃と非常に高温のため、隙間を設けることによって拡径部15の冷却が不十分になると、バーナ1の先端部分が高温化し、長期運転による表面摩耗を招くおそれがある。
このため、本実施形態では、例えば隙間部分に位置する拡径部15の表面に、予め伝熱促進剤を装着するようにしている。このようにすれば、拡径部15と冷却管19の内周面との間にわずかな隙間が生じても、伝熱促進剤がその隙間を埋めて拡径部15や燃料ノズル5の冷却効率の低下を防ぐことができる。ここで、伝熱充填剤としては、伝熱セメント、セラミック系コーティング剤等を用いることができる。
さらに、本実施形態では、炉内側に突出する冷却管19の先端部分を、Cr含有量9〜17%のフェライト鋼で形成している。従来は、冷却管19の先端部分は、耐熱性(耐酸化性)を考慮して、Cr含有量18〜50%のオーステナイト鋼の素材が用いられていた。しかし、微粉炭燃料によっては、火炎の大きさが不安定で火炎からの熱輻射が大きく変動する場合があり、この変動が続くと、バーナ1の先端部分の表面温度が繰り返し上下して冷却管19等の肉厚方向に繰り返し温度差が生じ、熱疲労(熱衝撃)で表面にき裂が生じるおそれがある。特に、冷却管19の内部には、冷却水が流れているため、温度差による熱疲労が大きい。本実施形態では、このような熱疲労が最も問題となる冷却管19の先端部分に熱疲労寿命に優れたフェライト鋼を用いているため、従来構造に比べて大幅なバーナの寿命改善を得ることができる。
ここで、先端部分31とは、少なくとも半球状に突出して形成される冷却管19の球面部分を含み、好ましくは、その先端部分31とその他の本体部分との周溶接による溶接部分(接合部)は、完全に炉壁3の内部に位置するようにする。つまり球面部分から炉壁内部の所定の位置までの広い範囲を先端部分31としてもよい。これはバーナ1から噴射される燃料で形成される火炎からの輻射熱を溶接部分が直接受けないようにするためである。また溶接部分は、異材溶接部であり、大きな温度変化があると他の部分よりも大きな熱応力が発生するため、それを避けるためでもある。なお、溶接部分の位置は、炉壁3の内面よりも炉外側であってもよい。
次に、冷却管19の先端部分31について、他の素材を用いる場合について説明する。上記のように、冷却管19の先端部分は、Cr含有量9〜17%のフェライト鋼で形成することにより、先端部分に発生する熱応力を小さくし、バーナの熱疲労寿命を大幅に長くすることができる。しかしながら、高温の炉内で燃焼ガス成分が満たされた還元性雰囲気において、バーナの冷却管19の先端部分が長時間曝されると、フェライト鋼では耐高温腐食性が十分ではないため、冷却管19の先端部分に硫化及び酸化減肉等の不具合が発生し、高温腐食が進行することがある。これにより、熱疲労が蓄積し、長時間連続運転が困難となる場合がある。
本実施形態では、このような問題を解決するため、フェライト鋼に代えて、AlとTiを強化元素として添加しないNi基合金を用いて、冷却管19の先端部分を形成するようにしている。
一般に、高強度Ni基合金は、AlとTiを添加してγ´相を析出させることにより強化しているが、長時間使用すると時効硬化により感受性が高くなり、溶接割れが発生することがある。そこで、本発明者らは、AlとTiを強化元素として添加しないNi基合金について、冷却管19の素材としての適否を検討した。具体的には、AlとTiを強化元素として添加しないNi基合金として、Alloy625を用いた所定形状のブランクを作製すると共にCr含有量9%のフェライト鋼を用いたブランクを比較用として作製した。そして、これらのブランクを600℃の還元性の腐食環境中に放置し、時間毎の減肉量を測定した。このときの時間と減肉量の関係を図5に示す。また、Alloy625の組成を表1に示す。
Figure 0005425543
図5に示すように、Cr含有量9%のフェライト鋼を用いたブランクは、時間経過と共に減肉量が増大するのに対し、Alloy625を用いたブランクは100時間経過してもブランクの減肉は進行せず、減肉量はゼロであった。このことから、Alloy625は、Cr含有量9%のフェライト鋼と比べて優れた耐高温腐食性を示すことが判明した。
このように、AlとTiを強化元素として添加しないNi基合金は、フェライト鋼よりも熱伝導率が小さく線膨張係数が大きいが、硫化及び酸化減肉等による耐熱疲労性の著しい低下を抑制することができ、かつ、熱疲労寿命はオーステナイト鋼よりも優れている。したがって、AlとTiを強化元素として添加しないNi基合金を用いて冷却管19等を形成することにより、Cr含有量9〜17%のフェライト鋼よりも高温腐食における過酷な環境下で使用するバーナの寿命を長くすることができる。
本実施形態では、AlとTiを強化元素として添加しないNi基合金として、Alloy625を示したが、これに限られるものではなく、他の添加元素の含有率についても特に制限はない。ここで、Ni基合金においてAlとTiが強化元素となるのは、組織中にγ´相が析出されて素材の強度向上が発現されるまでこれらの元素を添加した場合に限られる。したがって、AlとTiが不可避的に含まれるNi基合金についても、AlとTiを強化元素として添加しないNi基合金に含まれる。
一方、冷却管19の先端部分31を除く部分(以下、本体部分という。)は、Cr含有量18%以上のCrオーステナイト鋼、又はCr含有量9〜17%のフェライト鋼で形成するものとする。また、先端部分31と本体部分との周溶接による溶接部分は、例えば、線膨張係数がフェライト鋼とオーステナイト鋼の両者の中間的な値を示すNi基合金用溶材を溶接材料として用いるのがよい。
また、先端部分31は、フェライト鋼を用いる場合と同様、バーナ1から噴射される燃料で形成される火炎からの輻射熱を溶接部分が直接受けないようにするため、少なくとも半球状に突出して形成される冷却管19の球面部分を含み、好ましくは、その先端部分31とその他の本体部分との溶接部分は、完全に炉壁3の内部に位置するようにする。つまり球面部分から炉壁内部の所定の位置までの広い範囲を先端部分31としてもよい。尚、溶接部分の位置は、炉壁3内部の内面より炉外側であってもよい。
このように、本実施形態によれば、冷却管19の先端部分を、耐熱疲労性や耐高温腐食性に優れたAlとTiを強化元素として添加しないNi基合金で形成しているため、高温腐食が生じやすい還元性雰囲気の環境においても、バーナの寿命を格段に向上させることができる。また、冷却管19の先端部分の材質は時効効果が生じなく、溶接割れの感受性が低いため、万一き裂が発生しても、溶接部分で切断し、先端部分31のみの交換を簡単に行うことができる。さらに、貴金属のNi基合金が先端部分だけに使用されるため、保守面での経済性を向上させることができる。
1 バーナ
3 炉壁
5 燃料ノズル
7 酸化剤供給管路
9 冷却水管路
11 燃料噴出孔
13 酸化剤噴出孔
15 拡径部
19 冷却管
21,23,39,43 フランジ部
25 仕切り壁
31 先端部分
33 冷却水供給口
35 冷却水排出口
37 円筒管
41 連結管
45 酸化材供給孔
47 溝
49 オーリング

Claims (6)

  1. 搬送気体により搬送される粉体燃料を噴出する燃料ノズルと、該燃料ノズルと同軸に外周を包囲して設けられた酸化剤供給管路と、該酸化剤供給管路の外周を包囲して設けられた冷却水管路とを備えてなるバーナにおいて、
    前記燃料ノズルの先端部は、前記酸化剤供給管路の先端部の内面に接する拡径部と、該拡径部に形成された複数の酸化剤噴出孔とを有して形成され、該燃料ノズルは、前記酸化剤供給管路に軸方向で挿脱可能に支持されてなり、
    前記拡径部の外周面と前記酸化剤供給管路の内周面との間には、シール部材が介装され、前記拡径部の外周面と前記酸化剤供給管路の内面とが対向する部位との間には、伝熱充填剤よりなる伝熱促進剤が充填されていることを特徴とするバーナ。
  2. 前記シール部材は、200℃以下の低温部に設けられることを特徴とする請求項1に記載のバーナ。
  3. 前記冷却水管路を画成する管路部材の先端部分は、半球状に突出して環状に形成され、その先端部分の内部は冷却水を折り返す構造をなしていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバーナ。
  4. 前記冷却水管路を画成する管路部材の先端部分は、Cr含有量9〜17%のフェライト鋼で形成されることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のバーナ。
  5. 前記冷却水管路を画成する管路部材の先端部分は、AlとTiを強化元素として添加しないNi基合金で形成されることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のバーナ。
  6. 前記冷却水管路を画成する管路部材の前記先端部分以外の残りの部分は、Cr含有量18%以上のオーステナイト鋼又はCr含有量9〜17%のフェライト鋼のいずれかで形成され、前記先端部分と前記残りの部分が溶接材料を用いて周溶接構造で接合されるとともに、その接合部分は、前記先端部分が炉外から炉壁を通して炉内に挿入された状態で、炉壁内面よりも炉外側となる位置に設けられていることを特徴とする請求項に記載のバーナ。
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