JP5423828B2 - 放射線撮像装置 - Google Patents

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この発明は、X線透視撮影装置やX線CT装置などに用いられる放射線撮像装置に係り、特に、散乱放射線を除去する技術に関する。
従来、医用のX線透視撮影装置やX線CT(computed tomography)では、被検体からの散乱X線(以下、「散乱線」と略記する)がX線検出器に入射するのを防止するために、散乱線を除去するグリッド(散乱放射線除去手段)が用いられている。しかし、グリッドを用いてもグリッドを透過する散乱線による偽像、およびグリッドを構成する吸収箔による偽像が生じる。特に、検出素子が行列状(2次元マトリックス状)に構成されたフラットパネル型(2次元)X線検出器(FPD: Flat Panel Detector)をX線検出器として用いる場合には、グリッドの吸収箔の間隔とFPDの画素間隔とが異なることから生じるモアレ縞などの偽像が、散乱線による偽像の他にも生じる。かかる偽像を低減させるために偽像補正が必要となっている。また、最近、このようなモアレ縞を起こさないように、配置方向が検出素子の行列方向のいずれかに対して平行であり、かつFPDの画素間隔の整数倍で配置された吸収箔を有する同期型グリッドが提案されており、それを用いた補正法も必要となっている(例えば、特許文献1参照)。
現在では、モアレ縞の補正についてはスムージングなどを含む画像処理による方法が行われているが、偽像補正が過剰の場合には、直接X線(以下、「直接線」と略記する)の分解能も低下する傾向にある。したがって、画像処理において偽像を確実に低減させようとすると直接線の分解能まで低下して画像が鮮明でなくなり、逆に、直接線の分解能を重視して画像を鮮明にさせようとすると画像処理において偽像が低減しなくなり、いわゆる画像処理と鮮明さとのトレードオフとなる。このようなことから、完全な偽像処理が困難となっている。また、グリッドを用いても残ってしまう散乱線の補正法についても、様々な方法が提案されているが、補正演算に時間がかかるなどの問題がある。
本出願人は、既に、上述した同期型グリッドを用いた補正法について、直接線が吸収箔により遮蔽される画素について補正し、その遮蔽された画素列あるいは画素行から、グリッドを透過した散乱線分布を求め、その分布に基づいて他の画素の信号を補正する方法を提案している。また、その方法では、グリッドとX線検出器との距離を吸収箔の高さの整数倍にすることや、X線管のような放射線照射手段、グリッドおよびX線検出器の位置が変化しても、吸収箔の陰影が一定の画素列あるいは画素行内に収まるようなグリッドの位置および吸収箔の形状が設定されていることなどが提案されている。
特開2002−257939号公報
しかしながら、1.同期型グリッド以外のグリッドが多用されており、それらを用いた場合には本出願人が提案した上述した方法は適用することができない。2.また、同期型グリッドを適用するとしても、グリッドを構成する吸収箔の変形による位置ズレや、それを構成する吸収箔の並びが検出器の行列方向のいずれにも完全に平行でないことで生じるグリッド全体の位置・向きのズレによる影響が考慮されていない。
3.また、本出願人が提案した上述した方法では、吸収箔による遮蔽画素列あるいは画素行に対してのみ補正を加えると限定しているが、それ以外の画素列あるいは画素行においても、直接線は吸収箔以外のグリッドの構成によって吸収されて減衰してしまう。具体的には、吸収箔等を覆うグリッドカバーは、実際には、カーボンファイバやアルミニウム薄板で形成されており、グリッドカバーによる吸収がある。また、吸収箔の間に配置され、X線を透過させる中間物質がアルミニウムや有機物質で形成されている場合には、中間物質による吸収がある。それらによる吸収・減衰を考慮していないので、遮蔽画素も含め、全ての画素の推定直接線強度評価に誤差が生じる可能性がある。
4.さらに、本出願人が提案した上述した方法では、遮蔽された画素列あるいは画素行から、グリッドを透過した散乱線分布を求め、その分布に基づいて他の画素の信号を補正するとしているが、吸収箔の変形による位置ズレの散乱線への影響が考慮されていない。したがって、その影響による散乱線強度分布の誤差によって、逆に偽像が生じる恐れがある。
5.また、本出願人が提案した上述した方法では、各画素からのグリッド見込み角の総和をほぼ同じにするために、上述したようにグリッドとX線検出器との距離を吸収箔の高さの整数倍(その方法では、グリッドとX線検出器との距離が吸収箔の高さと同じ例が記述)にしている。しかし、実際には、各画素のグリッド見込み角が角度分布を持っており、実際の散乱線強度が画素からの見込み角に対して強度分布を持っている。したがって、補正演算で求められる散乱線強度分布に誤差が生じる可能性が高い。
6.また、本出願人が提案した上述した方法では、放射線照射手段、グリッドおよびX線検出器の位置が変化しても、吸収箔の陰影が一定の画素列あるいは画素行内に収まるようなグリッドの位置および吸収箔の形状が設定されているとしているが、現実には、循環器撮影装置などでは、放射線照射手段、グリッドおよびX線検出器の距離をその都度変更して撮影することが多い。したがって、吸収箔の陰影が一定の画素列あるいは画素行内に収まるような条件を満足するためには限定された範囲でしか使えないことになる。さらに、グリッドを構成する吸収箔の変形や設計位置からのズレもその条件内に収める必要があり、機械精度や組み立て精度が厳しくなり、コストや技術的な面で実用化が困難である。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、汎用の散乱放射線除去手段にも適用することができ、散乱放射線除去手段の設置状態に依存せずに、適切な放射線画像を得ることができる放射線撮像装置を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、放射線画像を得る放射線撮像装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、散乱放射線を除去する散乱放射線除去手段と、放射線を検出する複数の検出素子が行列状に構成された放射線検出手段とを備えるとともに、前記放射線画像を構成する各々の画素のうち、所定の画素を特定する画素特定手段と、その画素特定手段で特定された前記所定の画素での散乱放射線強度、前記所定の画素での直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度を推定する強度推定手段と、その強度推定手段で推定された散乱放射線強度、直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度に基づいて、特定されなかった画素での散乱放射線強度、特定されなかった画素での直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度を補間する強度補間手段とを備え、
被検体のない状態での実測により求められた前記散乱放射線除去手段による直接放射線の透過前および透過後の透過率である直接線透過率を求める透過率算出手段を備え、
前記透過率算出手段で求められた直線透過率と、被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での放射線強度を推定することを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、放射線照射手段から放射線を照射して、散乱放射線除去手段を介して放射線検出手段に入射させる。一部の散乱放射線が散乱放射線除去手段によって除去されて、放射線検出手段は放射線を検出して放射線画像を得る。このとき、放射線画像を構成する各々の画素のうち、所定の画素を画素特定手段は特定する。その画素特定手段で特定された所定の画素での散乱放射線強度、所定の画素での直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度を強度推定手段は推定する。したがって、散乱放射線除去手段の設置状態が考慮された所定の画素での散乱放射線強度、直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度を適切に推定することができる。一方で、特定されなかった画素については以下のようにする。すなわち、強度推定手段で推定された散乱放射線強度、直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度に基づいて、特定されなかった画素での散乱放射線強度、特定されなかった画素での直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度を強度補間手段は補間する。したがって、特定された画素については強度推定手段によって放射線強度が推定され、特定されなかった画素については強度補間手段によって放射線強度が補間される。そして、このような放射線強度に基づいて放射線画像が適切に得られ、散乱放射線除去手段の陰影が消え、散乱放射線が完全に除去された直接放射線だけの放射線画像が得られる。かかる画素特定手段、強度推定手段および強度補間手段によって得られる放射線画像では、特別な散乱放射線除去手段(例えば同期型グリッド)に依らずに、いずれの散乱放射線除去手段においても適切に得られる。その結果、汎用の散乱放射線除去手段にも適用することができ、散乱放射線除去手段の設置状態に依存せずに、適切な放射線画像を得ることができる。また、全ての画素について放射線強度を推定する必要はなく、特定された所定の画素での放射線強度のみを推定して、残りの特定されなかった画素での放射線強度については補間を行って求めればよいので、演算処理を軽減化、短時間化することができるという効果をも奏する。
また、被検体のない状態で放射線撮像を予め行って、透過率を予め求める。すなわち、放射線照射手段は、被検体のない状態で放射線を照射して、散乱放射線除去手段を介して放射線検出手段に入射させることで、被検体のない状態での実測データが得られる。その被検体のない状態での実測により求められた散乱放射線除去手段による直接放射線の透過前および透過後の透過率である直接線透過率を求める透過率算出手段を備える。このように透過率算出手段を備えることで、直接線透過率を求めることができる。
また、この直接線透過率を用いて、実際の被検体(例えばファントム(phantom))のある状態での放射線撮像に反映させる。すなわち、放射線照射手段は、実際の被検体のある状態で放射線を照射して、散乱放射線除去手段を介して放射線検出手段に入射させることで、被検体のある状態での実測での散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度が得られる。透過率算出手段で求められた直接線透過率と、被検体のある状態での実測での上述した実測強度とに基づいて、強度推定手段は、画素特定手段で特定された所定の画素での放射線強度を推定する。このように、被検体のない状態での実測データに基づいて直接線透過率が求められ、その直接線透過率を用いて、被検体のある状態での実測強度に基づいて放射線強度を推定することができる。
上述した発明において用いられる散乱放射線除去手段の一例は以下の通りである。すなわち、散乱放射線を吸収する吸収層の配置方向が検出素子の行方向、列方向の少なくとも1つの方向に対して平行であり、かつ互いに隣接する吸収層間の間隔が、互いに隣接する画素間の間隔の整数倍となるように、散乱放射線除去手段を構成する(請求項2に記載の発明)。すなわち、このように構成された散乱放射線除去手段は同期型グリッドである。同期型グリッドの場合には、吸収層とそれ以外の層(中間層)との画素の落差が、各々の画素間で一致して周期性を有するので、規則的に、かつ周期的に演算を行うことができる。したがって、処理が簡単になり、演算処理を単純化、短時間化することができる。その結果、より簡単に放射線強度を推定することができるとともに、放射線強度を補間することができる。
具体的には、強度推定手段が、画素特定手段で特定された所定の画素での未知である放射線強度を推定する際に、既知である直接線透過率の既知の個数および既知である実測強度の既知の個数に応じて、画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を決定して、その決定された所定の画素毎の実測強度,直接線透過率および推定されるべき放射線強度に関する連立方程式を解くことで、強度推定手段は放射線強度を推定する(請求項3に記載の発明)。このような連立方程式を解くことで放射線強度を簡易に推定することができる。
また、連立方程式の解に含まれる分母の絶対値が所定値以下の場合には、かかる連立方程式を正確に解くことができない恐れがあるので、下記のようにするのが好ましい。すなわち、かかる場合には、画素特定手段は、その連立方程式の組み合わせとなる所定の画素を選択せずに、別の所定の画素を組み合わせとして選択して特定して、その特定された所定の画素毎の連立方程式を解くことで、強度推定手段は放射線強度を推定し、選択されなかった画素での放射線強度については、強度補間手段によって補間するのが好ましい(請求項4に記載の発明)。
連立方程式を解く場合において、より具体的な一例として下記のような推定がある。すなわち、推定されるべき放射線強度が、散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度、および被検体を透過し、かつ散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度のときには、既知である直接線透過率の既知の個数および既知である実測強度の既知の個数に応じて、画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を3つと決定する。そして、(n−1)番目の画素、それに隣接するn番目の画素、さらにそれに隣接する(n+1)番目の画素からなる3つの画素の組み合わせを特定する。上述した隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、実測強度をGn−1,G,Gn+1とするとともに、直接線透過率をCpn−1,Cp,Cpn+1とし、透過散乱線強度をScn−1,Sc,Scn+1とし、推定直接線強度をPn−1,P,Pn+1としたときに、下記(A)式と、(B−1),(B−2),(B−3)式と、(C)式とから得られる連立方程式を解くことで、強度推定手段は、透過散乱線強度または推定直接線強度を推定する。
(A)式は、各画素の透過散乱線強度は、隣接する画素の透過散乱線強度の補間演算により求められる式で、
Sc=(Scn+1+Scn−1)/2 …(A)
で表される。
(B−1),(B−2),(B−3)式は、実測強度は推定直接線強度・直接線透過率の積と透過散乱線強度との和に等しいとする、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の連立方程式で、
n+1=Pn+1・Cpn+1+Scn+1 …(B−1)
=P・Cp+Sc …(B−2)
n−1=Pn−1・Cpn−1+Scn−1 …(B−3)
でそれぞれ表される。
また、(C)式は、推定直接線強度は隣接する3つの画素間で等しいとする式で、
n−1=P=Pn+1 …(C)
で表される(請求項5に記載の発明)。このような(A)式と、(B−1),(B−2),(B−3)式と、(C)式とから得られる連立方程式を解くことで透過散乱線強度または推定直接線強度を簡易に推定することができる。また、このような連立方程式は、直接線の透過厚さが一定、すなわち各画素での推定直接線強度が全て同じ値とみなせる、例えばアクリル平板のファントムを被検体として用いる場合に有用である。なお、本明細書では「画素」とは、束ね処理(すなわちビニング処理)されていない1画素はもちろんのこと、複数の画素を束ねて(すなわちビニング)1画素扱いする画素も含む。
また、連立方程式を解く場合において、より具体的な他の一例として下記のような推定がある。すなわち、上記の一例と同様に、推定されるべき放射線強度が、散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度、および被検体を透過し、かつ散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度のときには、既知である直接線透過率の既知の個数および既知である実測強度の既知の個数に応じて、画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を3つと決定する。そして、(n−1)番目の画素、それに隣接するn番目の画素、さらにそれに隣接する(n+1)番目の画素からなる3つの画素の組み合わせを特定する。上述した隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、実測強度をGn−1,G,Gn+1とするとともに、直接線透過率をCpn−1,Cp,Cpn+1とし、透過散乱線強度をScn−1,Sc,Scn+1とし、推定直接線強度をPn−1,P,Pn+1としたときに、連立方程式を解くことで透過散乱線強度または推定直接線強度を推定するのは、上述した一例と同様であるが、さらに下記のような条件が加わる。すなわち、推定直接線強度は既知である推定直接線分布とその変換係数との積で表され、変換係数をaとし、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、推定直接線分布をP(n−1),P(n),P(n+1)とする。このときに、下記(A)式と、(B−1)´,(B−2)´,(B−3)´式とから得られる連立方程式を解くことで、強度推定手段は、透過散乱線強度または推定直接線強度を推定する。
上述した一例と同様に、(A)式は、各画素の透過散乱線強度は、隣接する画素の透過散乱線強度の補間演算により求められる式で、
Sc=(Scn+1+Scn−1)/2 …(A)
で表される。
(B−1)´,(B−2)´,(B−3)´式は、実測強度は推定直接線強度・直接線透過率の積と透過散乱線強度との和に等しいとする、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の連立方程式で、
n+1=a・P(n+1)・Cpn+1+Scn+1 …(B−1)´
=a・P(n)・Cp+Sc …(B−2)´
n−1=a・P(n−1)・Cpn−1+Scn−1 …(B−3)´
でそれぞれ表される(請求項6に記載の発明)。このような(A)式と、(B−1)´,(B−2)´,(B−3)´式とから得られる連立方程式を解くことで透過散乱線強度または推定直接線強度を簡易に推定することができる。また、このような連立方程式は、実際の被検体に近いファントム(例えば人体の胴部の撮影が目的の場合には、それとほぼ同じ透過率の水円柱)を被検体として用いる場合に有用である。かかるファントムの場合には、シミュレーション演算により、各画素nでの推定直接線分布P(n)を求めることができて、その既知である推定直接線分布を用いて連立方程式を解くことができる。
上述したこれらの発明において、被検体のない状態で放射線撮像を予め行って、直接線透過率を予め求め、さらに被検体(例えば、アクリル平板のファントムや水円柱のファントム)のある状態で放射線撮像を行って、放射線強度に関する全ての画素についての基準強度として、平均値またはスムージング・補間計算により求められる各画素の値を求め、その値対する各画素の変化率を求めるのがより好ましい(請求項7に記載の発明)。あるいは、被検体のない状態で、模擬的な散乱線源を用いた実測に基づいて推定された透過散乱線強度に関する全ての画素についての基準強度として、平均値またはスムージング・補間により求められる各画素の値を求め、その値に対する各画素の変化率を求めるのがより好ましい(請求項8に記載の発明)。すなわち、前者の場合には、放射線照射手段は、被検体(ここではファントム)のある状態で放射線を照射して、散乱放射線除去手段を介して放射線検出手段に入射させることで、被検体(ファントム)のある状態での実測に基づいて強度推定手段で推定された放射線強度が得られる。後者の場合には、被検体のない状態で、模擬的な散乱線源を用いた実測により、散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度を推定し、その推定された透過散乱線強度が得られる。その放射線強度または透過散乱線強度に関する上述した変化率を求める変化率算出手段を備え、その変化率算出手段で求められた変化率を用いて、別の被検体(実際の放射線撮像に用いられる被検体)に対する放射線撮像に反映させる(請求項7、または請求項8に記載の発明)。
放射線照射手段と散乱放射線除去手段および放射線検出手段との距離が変化する場合には、上述した変化率算出手段は、放射線照射手段と散乱放射線除去手段および放射線検出手段との離散的な距離に対して変化率を求め、その変化率を、上述した離散的な距離に前後する距離に対して補間する変化率補間手段を備えるのがより好ましい(請求項9に記載の発明)。このように変化率算出手段および変化率補間手段を備えることで、放射線照射手段と散乱放射線除去手段および放射線検出手段との距離が変化したとしても、その距離に対応した変化率を求めることができる。
このように反映させる具体的な内容は以下の通りである。すなわち、放射線照射手段は、別の被検体(ここでは実際の放射線撮像に用いられる被検体)のある状態で放射線を照射して、散乱放射線除去手段を介して放射線検出手段に入射させることで、被検体のある状態での実測での散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度が得られる。変化率算出手段で求められた変化率(請求項10、11に記載の発明)、または、変化率補間手段で補間された変化率(請求項12、13に記載の発明)と、透過率算出手段で求められた直接線透過率(請求項10、12に記載の発明),または、透過率補間手段で補間された直接線透過率(請求項11、13に記載の発明)と、別の被検体(実際の放射線撮像に用いられる被検体)のある状態での実測での上述した実測強度とに基づいて、強度推定手段は、画素特定手段で特定された所定の画素での放射線強度を推定する(請求項10〜13に記載の発明)。このように、被検体のない状態での実測データに基づいて直接線透過率が求められ、その直接線透過率を用いて、被検体(ここではファントム)のある状態で放射線撮像を行って変化率が求められ、その変化率、または変化率補間手段により補間された変化率を用いて、別の被検体(ここでは実際の放射線撮像に用いられる被検体)のある状態で放射線撮像を行って、その被検体(実際の放射線撮像に用いられる被検体)のある状態での実測強度に基づいて放射線強度を推定することができる。
具体的には、強度推定手段が、画素特定手段で特定された所定の画素での未知である放射線強度を推定する際に、既知である変化率の既知の個数,既知である直接線透過率の既知の個数および既知である実測強度の既知の個数に応じて、画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を決定して、その決定された所定の画素毎の実測強度,変化率,直接線透過率および推定されるべき放射線強度に関する連立方程式を解くことで、強度推定手段は放射線強度を推定する(請求項14に記載の発明)。このような連立方程式を解くことで放射線強度を簡易に推定することができる。
また、連立方程式の解に含まれる分母の絶対値が所定値以下の場合には、請求項4に記載の発明と同様に、かかる連立方程式を正確に解くことができない恐れがあるので、下記のようにするのが好ましい。すなわち、かかる場合には、画素特定手段は、その連立方程式の組み合わせとなる所定の画素を選択せずに、別の所定の画素を組み合わせとして選択して特定して、その特定された所定の画素毎の連立方程式を解くことで、強度推定手段は放射線強度を推定し、選択されなかった画素での放射線強度については、強度補間手段によって補間するのが好ましい(請求項15に記載の発明)。
連立方程式を解く場合において、より具体的な例として下記のような推定がある。すなわち、変化率が(散乱放射線除去手段の箔の不均一性などによる)散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度の変化率、推定されるべき放射線強度が、別の被検体で散乱・透過し、散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度、および、その被検体を透過し、かつ散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度のときには、既知である変化率の既知の個数,既知である直接線透過率の既知の個数および既知である実測強度の既知の個数に応じて、画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を3つと決定する。そして、(n−1)番目の画素、それに隣接するn番目の画素、さらにそれに隣接する(n+1)番目の画素からなる3つの画素の組み合わせを特定する。上述した隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、実測強度をGn−1,G,Gn+1とするとともに、変化率をRcsn−1,Rcs,Rcsn+1とし、直接線透過率をCpn−1,Cp,Cpn+1とし、(散乱放射線除去手段が箔の不均一性などの無い理想的な設置状態での)透過散乱線強度をScn−1,Sc,Scn+1とし、推定直接線強度をPn−1,P,Pn+1としたときに、下記(A)´´式と、(B−1)´´,(B−2)´´,(B−3)´´式と、(C)´´式とから得られる連立方程式を解くことで、強度推定手段は、透過散乱線強度または推定直接線強度を推定する。
(A)´´式は、透過散乱線強度が散乱放射線除去手段の不均一性の為に生じる変化率を除けば、滑らかにしか変化しないので、透過散乱線強度は隣接する3つの画素間で等しいとする式で、
Scn−1=Sc=Scn+1 …(A)´´
で表される。
(B−1)´´,(B−2)´´(B−3)´´式は、実測強度は推定直接線強度・直接線透過率の積と透過散乱線強度・変化率の積との和に等しいとする、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の連立方程式で、
n+1=Pn+1・Cpn+1+Scn+1・Rcsn+1 …(B−1)´´
=P・Cp+Sc・Rcs …(B−2)´´
n−1=Pn−1・Cpn−1+Scn−1・Rcsn−1 …(B−3)´´
でそれぞれ表される。
また、(C)´´式は、各画素の推定直接線強度は、隣接する画素の推定直接線強度の補間演算により求められる式で、
=(Pn+1+Pn−1)/2 …(C)´´
で表される(請求項16に記載の発明)。このような(A)´´式と、(B−1)´´,(B−2)´´,(B−3)´´式と、(C)´´式とから得られる連立方程式を解くことで透過散乱線強度または推定直接線強度を簡易に推定することができる。
また、請求項17に記載の発明は、放射線画像を得る放射線撮像装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、散乱放射線を除去する散乱放射線除去手段と、放射線を検出する複数の検出素子が行列状に構成された放射線検出手段とを備えるとともに、被検体を透過し、かつ前記散乱放射線除去手段を透過する前の直接線放射線強度である推定直接線強度を、平均またはスムージング・補間により求める推定直接線強度算出手段と、その推定直接線強度算出手段で求められた推定直接線強度に基づいて、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度を求める透過散乱線強度算出手段とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項17に記載の発明によれば、もし被検体が平板や水柱など既知の形状、材質であり、推定直接線強度が滑らかな変化であることが既知であれば、その推定直接線強度を平均またはスムージング・補間により求める。平均化あるいはスムージングは統計変動誤差によるバラツキを低減させる効果もあり、推定直接線強度は真値に近い値が得られる。その真値に近い推定直接線強度に基づいて透過散乱線強度を求める。透過散乱線強度に対しては、平均化またはスムージング・補間計算を行っていないので、透過散乱線強度の画像に分解能の劣化が無い。また、透過散乱線強度の分解能が維持され、散乱放射線除去手段のグリッド箔の変形などによる透過散乱線強度の微細な変化を正確に求めることができる。
また、請求項18に記載の発明は、放射線画像を得る放射線撮像装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、散乱放射線を除去する散乱放射線除去手段と、放射線を検出する複数の検出素子が行列状に構成された放射線検出手段とを備えるとともに、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度を、平均またはスムージング・補間により求める透過散乱線強度算出手段と、その透過散乱線強度算出手段で求められた透過散乱線強度に基づいて、被検体を透過し、かつ前記散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度を求める推定直接線強度算出手段とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項18に記載の発明によれば、もし放射線がX線やγ線であり、被検体が水柱や人体などであれば透過散乱線強度は推定直接線強度に比べ滑らかに変化することが既知であり、その透過散乱線強度を平均またはスムージング・補間により求める。平均化あるいはスムージングは統計変動誤差によるバラツキを低減させる効果もあり、透過散乱線強度は真値に近い値が得られる。その真値に近い透過散乱線強度に基づいて推定直接線強度を求める。推定直接線強度に対しては、平均化またはスムージング・補間計算を行っていないので、推定直接線強度の画像に分解能の劣化が無く、被検体の形状、材質の微細な変化に対する微細な変化を正確に求めることができる。
また、上述したこれらの発明(前者)に係る放射線撮像装置(請求項1〜16に記載の発明)とは別の発明は、次のような構成をとる。
すなわち、請求項19に記載の発明は、放射線画像を得る放射線撮像装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、散乱放射線を除去する散乱放射線除去手段と、放射線を検出する複数の検出素子が行列状に構成された放射線検出手段とを備えるとともに、前記放射線画像を構成する各々の画素のうち、所定の画素を特定する画素特定手段と、その画素特定手段で特定された前記所定の画素での直接放射線強度を少なくとも推定する強度推定手段と、その強度推定手段で推定された少なくとも直接放射線強度に基づいて、特定されなかった画素での少なくとも直接放射線強度を補間する強度補間手段とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項19に記載の発明によれば、放射線照射手段から放射線を照射して、散乱放射線除去手段を介して放射線検出手段に入射させる。一部の散乱放射線が散乱放射線除去手段によって除去されて、放射線検出手段は放射線を検出して放射線画像を得る。このとき、放射線画像を構成する各々の画素のうち、所定の画素を画素特定手段は特定する。その画素特定手段で特定された所定の画素での直接放射線強度を少なくとも強度推定手段は推定する。したがって、散乱放射線除去手段の設置状態が考慮された所定の画素での少なくとも直接放射線強度を適切に推定することができる。一方で、特定されなかった画素については以下のようにする。すなわち、強度推定手段で推定された少なくとも直接放射線強度に基づいて、特定されなかった画素での少なくとも直接放射線強度を強度補間手段は補間する。したがって、特定された画素については強度推定手段によって直接放射線強度が推定され、特定されなかった画素については強度補間手段によって直接放射線強度が補間される。そして、このような直接放射線強度に基づいて放射線画像が適切に得られ、散乱放射線除去手段の陰影が消え、散乱放射線が完全に除去された直接放射線だけの放射線画像が得られる。かかる画素特定手段、強度推定手段および強度補間手段によって得られる放射線画像では、特別な散乱放射線除去手段(例えば同期型グリッド)に依らずに、いずれの散乱放射線除去手段においても適切に得られる。その結果、汎用の散乱放射線除去手段にも適用することができ、散乱放射線除去手段の設置状態に依存せずに、適切な放射線画像を得ることができる。また、全ての画素について放射線強度(直接放射線強度)を推定する必要はなく、特定された所定の画素での放射線強度(直接放射線強度)のみを推定して、残りの特定されなかった画素での放射線強度(直接放射線強度)については補間を行って求めればよいので、演算処理を軽減化、短時間化することができるという効果をも奏する。
この発明(前者)に係る放射線撮像装置によれば、放射線画像を構成する各々の画素のうち、所定の画素を画素特定手段は特定し、その画素特定手段で特定された所定の画素での散乱放射線強度、所定の画素での直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度を強度推定手段は推定し、強度推定手段で推定された散乱放射線強度、直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度に基づいて、特定されなかった画素での散乱放射線強度、特定されなかった画素での直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度を強度補間手段は補間することで、汎用の散乱放射線除去手段にも適用することができ、散乱放射線除去手段の設置状態に依存せずに、適切な放射線画像を得ることができる。
また、放射線照射手段は、被検体のない状態で放射線を照射して、散乱放射線除去手段を介して放射線検出手段に入射させることで、被検体のない状態での実測データが得られる。その被検体のない状態での実測により求められた散乱放射線除去手段による直接放射線の透過前および透過後の透過率である直接線透過率を求める透過率算出手段を備える。このように透過率算出手段を備えることで、直接線透過率を求めることができる。
また、放射線照射手段は、実際の被検体のある状態で放射線を照射して、散乱放射線除去手段を介して放射線検出手段に入射させることで、被検体のある状態での実測での散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度が得られる。透過率算出手段で求められた直接線透過率と、被検体のある状態での実測での上述した実測強度とに基づいて、強度推定手段は、画素特定手段で特定された所定の画素での放射線強度を推定する。このように、被検体のない状態での実測データに基づいて直接線透過率が求められ、その直接線透過率を用いて、被検体のある状態での実測強度に基づいて放射線強度を推定することができる。
また、前者に係る放射線撮像装置とは別の発明(後者)に係る放射線撮像装置によれば、放射線画像を構成する各々の画素のうち、所定の画素を画素特定手段は特定し、その画素特定手段で特定された所定の画素での直接放射線強度を少なくとも強度推定手段は推定し、強度推定手段で推定された少なくとも直接放射線強度に基づいて、特定されなかった画素での少なくとも直接放射線強度を強度補間手段は補間することで、汎用の散乱放射線除去手段にも適用することができ、散乱放射線除去手段の設置状態に依存せずに、適切な放射線画像を得ることができる。
実施例1,2に係るX線撮像装置のブロック図である。 フラットパネル型X線検出器(FPD)の検出面の模式図である。 同期型クロスグリッドの概略図である。 実施例1,2に係る具体的な画像処理部の構成およびデータの流れを示したブロック図である。 実施例1,2に係る一連のX線撮像の流れを示すフローチャートである。 被検体のない状態でのX線撮像を模式的に示した図である。 SIDと直接線透過率および変化率との関係を模式的に示したグラフである。 アクリル平板のファントムを被検体として用いる場合の実施例1に係る被検体のある状態でのX線撮像を模式的に示した図である。 水円柱のファントムを被検体として用いる場合の実施例2に係る被検体のある状態でのX線撮像を模式的に示した図である。 (a),(b)は、変形例に係る同期型グリッドの概略図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、後述する実施例2を含んだ実施例1に係るX線撮像装置のブロック図であり、図2は、フラットパネル型X線検出器(FPD)の検出面の模式図であり、図3は、同期型クロスグリッドの概略図である。また、後述する実施例2も含めて、本実施例1では、放射線としてX線を例に採って説明する。
後述する実施例2も含めて、本実施例1に係るX線撮像装置は、図1に示すように、被検体Mを載置した天板1と、被検体Mに向けてX線を照射するX線管2と、X線管2から照射されて被検体Mを透過したX線を検出するフラットパネル型X線検出器(以下、「FPD」と略記する)3と、FPD3によって検出されたX線に基づいて画像処理を行う画像処理部4と、画像処理部4によって各種の画像処理されたX線画像を表示する表示部5とを備えている。表示部5はモニタやテレビジョンなどの表示手段で構成されている。また、FPD3の検出面側にはグリッド6を配設している。X線管2は、この発明における放射線照射手段に相当し、フラットパネル型X線検出器(FPD)3は、この発明における放射線検出手段に相当し、グリッド6は、この発明における散乱放射線除去手段に相当する。
画像処理部4は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。なお、各種の画像処理を行うためのプログラム等をROM(Read-only Memory)などに代表される記憶媒体に書き込んで記憶し、その記憶媒体からプログラム等を読み出して画像処理部4のCPUが実行することでそのプログラムに応じた画像処理を行う。特に、画像処理部4の後述する画素特定部41や透過率算出部42や透過率補間部43や強度推定部44や強度補間部45や変化率算出部46や変化率補間部47は、所定の画素の特定や直接線透過率の算出・補間や強度の推定・補間や変化率の算出に関するプログラムを実行することで、そのプログラムに応じた所定の画素の特定や直接線透過率の算出・補間や強度の推定・補間や変化率の算出・補間をそれぞれ行う。
画像処理部4は、所定の画素を特定する画素特定部41と、直接線透過率を求める透過率算出部42と、直接線透過率を補間する透過率補間部43と、強度を推定する強度推定部44と、強度を補間する強度補間部45と、変化率を求める変化率算出部46と、変化率を補間する変化率補間部47とを備えている。画素特定部41は、この発明における画素特定手段に相当し、透過率算出部42は、この発明における透過率算出手段に相当し、透過率補間部43は、この発明における透過率補間手段に相当し、強度推定部44は、この発明における強度推定手段に相当し、強度補間部45は、この発明における強度補間手段に相当し、変化率算出部46は、この発明における変化率算出手段に相当し、変化率補間部47は、この発明における変化率補間手段に相当する。また、強度推定部44は、この発明における推定直接線強度算出手段および透過散乱線強度算出手段にも相当する。
FPD3は、図2に示すように、その検出面にはX線に有感な複数の検出素子dを2次元マトリックス状に配列して構成されている。検出素子dは、被検体Mを透過したX線を電気信号に変換して一旦蓄積して、その蓄積された電気信号を読み出すことで、X線を検出する。各々の検出素子dでそれぞれ検出された電気信号を、電気信号に応じた画素値に変換して、検出素子dの位置にそれぞれ対応した画素にその画素値を割り当てることでX線画像を出力して、画像処理部4の画素特定部41や透過率算出部42や強度推定部44(図1、図4を参照)にX線画像を送り込む。このように、FPD3は、X線を検出する複数の検出素子dが行列状(2次元マトリックス状)に構成されている。検出素子dは、この発明における検出素子に相当する。
グリッド6は、図3に示すように、散乱線(散乱X線)を吸収する吸収箔6a,6bと散乱線を透過させる中間層6cとを交互に並べて構成されている。吸収箔6a,6b、中間層6cを覆うグリッドカバー6dは、X線の入射面および逆側の面から吸収箔6a,6b、中間層6cを挟み込む。吸収箔6a,6bの図示を明確にするために、グリッドカバー6dについては二点鎖線で図示し、その他のグリッド6の構成(吸収箔6a,6bを支持する機構等)については図示を省略する。吸収箔6a,6bは、この発明における吸収層に相当する。
後述する実施例2も含めて、本実施例1では、グリッド6として同期型クロスグリッドを採用している。具体的には、図3中のX方向に沿った吸収箔6aと中間層6cとを図3中のY方向に順に交互に並べるとともに、図3中のY方向に沿った吸収箔6bと中間層6cとを図3中のX方向に順に交互に並べることで、吸収箔6aと吸収箔6bとを互いにクロスさせる。ここで、図3中のX方向は、FPD3の検出素子d(図2を参照)の行方向に平行であり、図3中のY方向は、FPD3の検出素子d(図2を参照)の列方向に平行である。したがって、本実施例1では、吸収箔6a,6bの配置方向が検出素子dの行方向および列方向の両方向に対して平行である。
また、Y方向において互いに隣接する吸収箔6a間の間隔Kgyが、互いに隣接する画素間の間隔Kfyの整数倍になって同期している(図3では2倍で図示)。同様に、X方向において互いに隣接する吸収箔6b間の間隔Kgxが、互いに隣接する画素間の間隔Kfxの整数倍になって同期している(図3では2倍で図示)。このように、吸収箔6a,6bの配置方向が検出素子dの行方向および列方向の両方向に対して平行でであり、かつ互いに隣接する吸収箔6a,6bの間隔Kgy,Kgxが、互いに隣接する画素間の間隔Kfy,Kfxの整数倍になるように、同期型クロスグリッドは構成されている。
後述する実施例2も含めて、本実施例1では、中間層6cは空隙になっている。したがって、グリッド6はエアグリッドでもある。なお、吸収箔6a,6bについては、鉛などのようにX線に代表される放射線を吸収する物質であれば、特に限定されない。中間層6cについては、上述した空隙の他に、アルミニウムや有機物質などのようにX線に代表される放射線を透過させる中間物質であれば、特に限定されない。
後述する実施例2も含めて、本実施例1に係る実際のX線撮像およびデータの流れについて、図4〜図8を参照して説明する。図4は、具体的な画像処理部の構成およびデータの流れを示したブロック図であり、図5は、一連のX線撮像の流れを示すフローチャートであり、図6は、被検体のない状態でのX線撮像を模式的に示した図であり、図7は、SIDと直接線透過率および変化率との関係を模式的に示したグラフであり、図8は、アクリル平板のファントムを被検体として用いる場合の実施例1に係る被検体のある状態でのX線撮像を模式的に示した図である。
図4に示すように、X線画像を構成する各々の画素のうち、所定の画素を画素特定部41は特定する。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、(n−1)番目の画素、それに隣接するn番目の画素、されにそれに隣接する(n+1)番目の画素からなる3つの画素の組み合わせ(図4中では「n−1」,「n」,「n+1」で表記)を画素特定部41は特定して強度推定部44に送り込む。なお、後述する連立方程式の解に含まれる分母の絶対値が所定値以下(後述する実施例2も含めて、本実施例1では分母が“0”)の場合には、画素特定部41は、その連立方程式の組み合わせとなる所定の画素を選択せずに、別の所定の画素を組み合わせとして選択して特定する。連立方程式は後述する説明から明らかなように強度推定部44から求められるので、強度設定部44から求められる分母に関するデータ(図4中では「denominator」で表記)を画素特定部41に送り込む。
被検体のない状態での実測により求められたグリッド6による直接線(直接X線)の透過前および透過後の透過率である直接線透過率を、X線管2とグリッド6およびFPD3との離散的な距離に対して透過率算出部42は求める。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、直接線透過率(図4中では「Cp」で表記)を透過率算出部42は求めて透過率補間部43や強度推定部44に送り込む。
透過率算出部42で求められた直接線透過率Cpを、上述した離散的な距離に前後する距離に対して透過率補間部43は補間する。そして、補間された直接線透過率Cpも強度推定部44に送り込む。
画素特定部41で特定された所定の画素での散乱線強度(散乱X線強度)、所定の画素での直接線強度(直接X線強度)の少なくとも1つの強度を強度推定部44は推定する。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、透過率算出部42で求められた直接線透過率Cp,または、透過率補間部43で補間された直接線透過率Cpと、被検体Mのある状態での実測でのグリッド6を透過した後の強度である実測強度(図4中では「G」で表記)とに基づいて、透過散乱線強度(図4中では「Sc」で表記)や推定直接線強度(図4中では「P」で表記)を強度推定部44は推定して強度補間部45や変化率算出部46や表示部5などに送り込む。また、後述する実施例2も含めて、本実施例1では、強度推定部44は連立方程式を解くことで透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pを推定するので、連立方程式の解に含まれる分母に関するデータdenominatorも求まり、その分母に関するデータdenominatorを画素特定部41に送り込む。
強度推定部44で推定された所定の画素での散乱線強度(散乱X線強度)、所定の画素での直接線強度(直接X線強度)の少なくとも1つの強度を強度補間部45は補間する。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、強度推定部44で推定された透過散乱線強度Scまたは推定直接線強度Pを強度補間部45は補間して変化率算出部46や表示部5などに送り込む。
被検体Mのある状態での実測に基づいて強度推定部44で推定された強度を用いて、その強度に関する全ての画素についての基準強度として、平均値またはスムージング・補間計算により求められる各画素の値を求め、その値に対する各画素の変化率を変化率算出部46は求める。そして、強度推定部44で推定された変化率、または変化率補間部47で補間された変化率を用いて、別の被検体Mに対するX線撮像に反映させる。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、強度推定部44で推定された透過散乱線強度Sc,強度補間部45で補間された透過散乱線強度Scを用いて、変化率(図4中では「Rcs」で表記)を求めて、強度推定部44に再度送り込む。
後述する実施例2も含めて、本実施例1では、実際のX線撮像は、図5に示すようなフローとなる。
(ステップS1)被検体のない状態での実測
被検体のない状態でX線撮像を行う。図6に示すように、X線管2とグリッド6との間に被検体を介在させずに、X線管2からX線をグリッド6およびFPD3に向けて照射することで、被検体のない状態でX線撮像を行って被検体のない状態での実測を行う。すなわち、X線管2は、被検体のない状態でX線を照射して、グリッド6を介してFPD3に入射させることで、被検体のない状態での実測データが得られる。具体的には、被検体のない状態でのX線をFPD3の検出素子d(図3を参照)は電気信号に変換して読み出して、電気信号に応じた画素値に変換する。
(ステップS2)直接線透過率の算出・補間
その画素値は、被検体のない状態での実測により求められたグリッド6を透過した後の強度と同等である。一方、グリッド6を透過する前の強度は既知であるので、グリッド6を透過する前(透過前)およびグリッド6を透過した後(透過後)の透過率である直接線透過率Cpは、グリッド6を透過する前の強度とグリッド6を透過した後の強度(すなわちFPD3で検出された画素値)との比率で表される。
そこで、FPD3から画素値と同等であるグリッド6を透過した後の強度と、既知であるグリッド6を透過する前の強度とを透過率算出部42に送り込むことで、透過率算出部42は、グリッド6による透過前の強度と透過後の強度との比率で表された直接線透過率Cpを求める。かかる直接線透過率CpをX線管2とグリッド6およびFPD3との離散的な距離に対して透過率算出部42は求める。X線管2とグリッド6およびFPD3との距離は、グリッド6およびFPD3が互いに近接して配置されているので、X線管2の焦点からFPD3までの検出面(入射面)までの距離(SID: Source Image Distance)となる。
X線管2の焦点からFPD3までの検出面までの距離SIDは、実際のX線撮像では、図6に示すように変化する。そこで、同じく被検体のない状態でX線撮像を行い、図7中の黒丸に示すように、離散的な距離Ls+1,Ls+2,Ls+3,…ごとに、透過率算出部42は直接線透過率Cpを求める。離散的な距離Ls+1,Ls+2,Ls+3,…に対する直接線透過率Cpを透過率補間部43や強度推定部44に送り込む。なお、各々の画素ごとにも透過率算出部42は直接線透過率Cpを求めて透過率補間部43や強度推定部44に送り込む。
透過率算出部42で求められた直接線透過率Cpを、離散的な距離Ls+1,Ls+2,Ls+3,…に前後する距離に対して透過率補間部43は補間する。その補間結果は、例えば図7中の実線に示す通りである。補間の方法については、互いに隣接する離散的な距離(例えばLs+1,Ls+2)に対する2つの直接線透過率Cpの相加平均(加算平均)あるいは相乗平均によって得られた値を、上述した隣接する離散的な距離の間にある距離に対する直接線透過率Cpとして求めてもよいし、ラグランジェ補間を用いてもよいし、最小自乗法を用いて図7中の実線の近似式を用いて実線中に乗っていて距離に対応する値を直接線透過率Cpとして求めてもよいなど、通常において用いられる補間であれば特に限定されない。透過率算出部42で補間された直接線透過率Cpを強度推定部44に送り込む。
(ステップS3)ファントムのある状態での実測
次に、被検体Mのある状態でX線撮像を行う。図8に示すように、直接線の透過厚さが一定、すなわち各画素での推定直接線強度Pが全て同じ値とみなせるアクリル平板のファントムPhを被検体Mとして用いる。なお、本実施例1では、図8に示すようにファントムPhがアクリル平板であったのに対して、後述する実施例2では、図9に示すようにファントムPhが水円柱である。
本実施例1の説明に戻って、X線管2とグリッド6との間にアクリル平板のファントムPhを介在させて、X線管2からX線をグリッド6およびFPD3に向けて照射することで、ファントムPhのある状態でX線撮像を行ってファントムPhのある状態の実測を行う。すなわち、X線管2は、ファントムPhのある状態でX線を照射して、グリッド6を介してFPD3に入射させることで、ファントムPhのある状態での実測でのグリッド6を透過した後の強度である実測強度Gが得られる。具体的には、ファントムPhのある状態でのX線をFPD3の検出素子d(図3を参照)は電気信号に変換して読み出して、電気信号に応じた画素値に変換する。
(ステップS4)強度の推定・補間
その画素値は、ファントムPhのある状態での実測でのグリッド6を透過した後の強度である実測強度Gと同等である。一方、画素特定部41は、上述したように隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)を3つの画素の組み合わせとして特定する。そして、透過率算出部42で求められた直接線透過率Cp,透過率補間部43で補間された直接線透過率Cpと、FPD3から画素値と同等である実測強度Gとに基づいて、画素特定部41で特定された隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)での透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pを強度推定部44は推定する。
ここで、実測強度GはステップS3で実測によって求められており既知である。直接線透過率CpはステップS1で実測によって得られ、ステップS2で算出・補間されており既知である。一方、透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pは強度推定部44で推定されるべき値であり、この時点では未知である。そこで、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の連立方程式を解くことで、強度推定部44は透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pを推定する。
隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、実測強度GをGn−1,G,Gn+1とするとともに、直接線透過率CpをCpn−1,Cp,Cpn+1とし、透過散乱線強度ScをScn−1,Sc,Scn+1とし、推定直接線強度PをPn−1,P,Pn+1とする。各画素の透過散乱線強度Scは、グリッド6(散乱放射線除去手段)の不均一性などにより隣接する3つの画素間で変化するが、それを考慮して隣接する画素の透過散乱線強度Scの補間演算により求められるものとする。本実施例1では、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)内での透過散乱線強度Scの変化は下記(1)式のように直線近似できるものとする。
Sc=(Scn+1+Scn−1)/2 …(1)
上記(1)式は、この発明における(A)式に相当する。また、透過散乱線強度Scの補間方法については、直接線透過率Cpの補間でも述べたのと同様で、例えばラグランジェ補間を用いてもよく、通常において用いられる補間であれば特に上記(1)式に限定されない。
実測強度Gは推定直接線強度P・直接線透過率Cpの積と透過散乱線強度Scとの和に等しいとする、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の連立方程式(2)〜(4)式で表される。
n+1=Pn+1・Cpn+1+Scn+1 …(2)
=P・Cp+Sc …(3)
n−1=Pn−1・Cpn−1+Scn−1 …(4)
上記(2)式は、この発明における(B−1)式に相当し、上記(3)式は、この発明における(B−2)式に相当し、上記(4)式は、この発明における(B−3)式に相当する。
上述したようにファントムPhとして用いられるアクリル平板では直接線の透過厚さが一定となるように形成されているので、推定直接線強度Pは隣接する3つの画素間で等しいとする(5)式で表される。
n−1=P=Pn+1 …(5)
上記(5)式は、この発明における(C)式に相当する。
このように、画素特定部41で特定された隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)での未知である透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pを推定する際に、既知である直接線透過率Cpの既知の個数および既知である実測強度Gの既知の個数に応じて、画素特定部41は特定されるべき所定の画素の個数を決定する。そして、その決定された所定の画素毎の実測強度G,直接線透過率Cpおよび推定されるべき透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pに関する連立方程式を解くことで、強度推定部44は透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pを推定することになる。
上記(1)式は、各画素の透過散乱線強度Scは、隣接する画素の透過散乱線強度Scの補間演算により求められる式であるので、未知の個数を1つ減らすことができる。一方、上記(5)式は、推定直接線強度Pは隣接する3つの画素間で等しいとする式であるので、未知の個数を1つにすることができる。したがって、上記(1)、(5)式以外の連立方程式では、特定される画素の個数分だけ連立方程式を立てればよいので、この場合には任意の個数だけ画素特定部41は特定すれば、連立方程式を解くことができる。本実施例1では、その個数を3つとして、上記(2)〜(4)式である連立方程式を立てている。
このような上記(1)〜(5)式から得られる連立方程式を解くことで、推定直接線強度P(=Pn+1=Pn−1)、透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1は、下記(6)〜(9)式のように求められる。
=(Gn+1+Gn−1−2G)/(Cpn+1+Cpn−1−2Cp) …(6)
Scn+1=Gn+1−Pn+1・Cpn+1 …(7)
Sc=G−P・Cp …(8)
Scn−1=Gn−1−Pn−1・Cpn−1 …(9)
上記(6)〜(9)式では、先ず上記(6)式で既知である実測強度Gn−1,G,Gn+1と既知である直接線透過率Cpn−1,Cp,Cpn+1と用いて推定直接線強度Pを求めて、推定直接線強度Pを既知とした後に、その既知となった推定直接線強度P(=Pn+1=Pn−1)も用いて上記(7)〜(9)式で透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1をそれぞれ求めている。
このように、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)の組み合わせを1組とすると、各々の組についてそれぞれ1つの推定直接線強度Pが求まるが、上記(5)式でも述べたように、本来は3つの画素の組み合わせにおいて全ての組で推定直接線強度Pは同じ値となるべきである。しかし、実際には、グリッド6の周辺部で散乱線の透過率変化の影響により異なっていたり、統計変動誤差により異なっていたりする。このようなグリッド6の設置状態や統計変動誤差による影響を低減させるため実験誤差の少ない中央部の推定直接線強度Pの平均値を求める。例えば、上述したようなグリッド6の周辺部で少しずつ異なる場合には、上記(6)式を用いて、グリッド6の中央部の3つの画素(n−1),n,(n+1)の組み合わせにおいて複数組の推定直接線強度Pをそれぞれ求めて、平均値P^を求める。その平均値P^を上記(2)〜(4)式にそれぞれ再代入(すなわち、上記(7)〜(9)式を変形した下記(10)〜(12)式に代入)して、再度、各組の全ての透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1をそれぞれ求める。
Scn+1=Gn+1−P^・Cpn+1 …(10)
Sc=G−P^・Cp …(11)
Scn−1=Gn−1−P^・Cpn−1 …(12)
このように上記(10)〜(12)式で透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1をそれぞれ求めることで強度推定部44は推定する。強度推定部44で推定された透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を強度補間部45や変化率算出部46や表示部5などに送り込む。
ここで、上記(1)〜(5)式の連立方程式の解に含まれる分母に注目すると、本実施例1では、上記(6)式から明らかなように“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”である。上記(6)式を上記(7)〜(9)式に代入した場合でも分母は“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”である。分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”の絶対値が所定値以下の場合には、かかる連立方程式を解くことができない恐れがある。
特に、分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0”のときには、上記(1)〜(5)式の連立方程式を解くことができない。分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0”のとき、すなわち、各画素の中央画素における直接線透過率Cpが、隣接する画素の直接線透過率Cpn+1,Cpn−1の相加平均(Cpn+1+Cpn−1−2Cp=0、すなわちCp=(Cpn+1+Cpn−1)/2)のときには、そのときの連立方程式の組み合わせとなる3つの画素(n−1),n,(n+1)を画素特定部41は選択しても連立方程式を解くことができない。好ましくは、分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0”のときには、画素特定部41は、その連立方程式の組み合わせとなる3つの画素(n−1),n,(n+1)を選択せずに、別の3つの画素(n´−1),n´,(n´+1)の画素(例えばn,(n+1),(n+2)の画素、あるいは(n−2),(n−1),nの画素など)を組み合わせとして選択して特定する。そして、その特定された別の3つの画素(n´−1),n´,(n´+1)の画素の上記(1)〜(5)式の連立方程式を解く。
上記のように特定された画素については、連立方程式を解くことができ、求められた推定直接線強度Pを用いて前述のような方法で推定直接線強度Pの平均値を求める。推定直接線強度Pの平均値P^が求まれば、分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0”のときの組み合わせとなる3つの画素(n−1),n,(n+1)の透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1についても、上記(10)〜(12)式で求めることができる。
連立方程式を解くことのついての説明をまとめると、分母 “Cpn+1+Cpn−1−2Cp” が“0” でないときの推定直接線強度P(=Pn+1=Pn−1)を上記(6)式からそれぞれ求めて、平均値P^を求める。平均値P^を上記(10)〜(12)式に代入して、分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0” でないときの透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1をそれぞれ求める。分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0” のときの透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1についても同様に上記(10)〜(12)式に代入して、透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1をそれぞれ求めることができる。このように、分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0” でないときに求められる推定直接線強度Pを先に求めて、平均値P^を求めてから、それを使って分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0” でないときの透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1、および分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0” のときの透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1も同様に求める。
この方法では、被検体がアクリル平板のファントムPh(後述する実施例2では水円柱のファントムPh)であり、推定直接線強度Pの変化が既知で、滑らかであることを利用して、最初に画素特定部41で特定された画素(特定画素)について求められた推定直接線強度Pをスムージング・補間計算する、あるいは推定直接線強度Pの平均値を求めて、推定直接線強度P(本実施例1では平均値P^)を求めている。推定直接線強度Pの変化が滑らかであることと、平均化あるいはスムージングは統計変動誤差によるバラツキを低減させる効果もあり、推定直接線強度Pは真値に近い値が得られる。その真値に近い推定直接線強度Pを上記(2)式〜(4)式に代入することで透過散乱線強度Scを直接に求めており、透過散乱強度Scに対しては、平均化またはスムージング・補間計算を行っていないので、透過散乱線強度Scの画像に分解能の劣化が無いという大きな利点がある。また、透過散乱線強度Scの分解能が維持され、グリッド箔の変形などによる透過散乱線強度Scの微細な変化を正確に求めることができる。
別の方法として、例えば、分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0” でないときの透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を推定直接線強度Pよりも先に求めて、透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1の補間で、分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0” のときの透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を求め、それぞれ求められた透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を上記(7)〜(9)式に代入することで、分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0” でないとき、および分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0” のときの推定直接線強度Pを求めて、分母“Cpn+1+Cpn−1−2Cp”が“0” のときも含めて、グリッド6の中央部の3つの画素(n−1),n,(n+1)の組み合わせにおける複数組の推定直接線強度Pの平均値P^を求めてもよい。また、この平均値P^を用いて上記(10)〜(12)式に代入することで、透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を再度求めて、その再度求められた透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を用いて、後述するステップS5において変化率Rcsを求めてもよい。
(ステップS5)変化率の算出・補間
強度推定部44で推定された透過散乱線強度Sc(Scn−1,Sc,Scn+1)を用いて変化率算出部46は変化率Rcsを求める。具体的には、透過散乱線強度Scの基準強度として、全ての画素についてのその値に対する各画素の変化率Rcsを求めるために平均値Sc^またはスムージング・補間計算により求められる各画素の値Scを求める。各画素の透過散乱線強度Scと平均値Sc^または各画素の値Scとの比率を変化率Rcsとして、各画素の変化率RcsをRcsとすると、下記(13)式で表される。
Rcs=Sc/Sc^
または Rcs=Sc/Sc …(13)
透過散乱線の変化率を求める時に、分母に置く基準推定散乱強度については、散乱線強度は箔に歪などがなく、設置条件に拠らない理想的なグリッドの場合の散乱線強度に相当する。
その方法として、
1)簡便に散乱線強度分布を二次元的に一定と近似して平均値を用いる
2)用いたファントムの形状やグリッドの周辺部など設置条件などによる散乱線強度変化を厳密に考慮して、各画素の推定された散乱線強度を二次元的にスムージング・補間して得られる値を用いる方法があり、1)の平均値はスムージング・補間計算の最も簡略な方法とも言える。
このようにして、基準値との比を取ることにより吸収箔6a,6bの変形などがあるために生じるグリッド6の設置状態が考慮された透過散乱線強度Scの変化は、変化率Rcsで表わされる。変化率Rcsを変化率算出部46は全ての画素で求める。変化率算出部46で求められた変化率Rcsn−1,Rcs,Rcsn+1を必要に応じて変化率補間部47で補間した後、強度推定部44に再度送り込む。
変化率Rcsも、直接線透過率Cpと同様に、図7中の黒塗りの方形に示すように、離散的な距離Ls+1,Ls+2,Ls+3,…ごとに変化する。変化率算出部46で求められた変化率Rcsを、離散的な距離Ls+1,Ls+2,Ls+3,…に前後する距離に対して変化率補間部47は補間する。その補間結果は、例えば図7中の点線に示す通りである。補間の方法については、互いに隣接する離散的な距離(例えばLs+1,Ls+2)に対する2つの変化率Rcsの相加平均(加算平均)あるいは相乗平均によって得られた値を、上述した隣接する離散的な距離の間にある距離に対する変化率Rcsとして求めてもよいし、ラグランジェ補間を用いてもよいし、最小自乗法を用いて図7中の点線の近似式を用いて点線中に乗っていて距離に対応する値を変化率Rcsとして求めてもよいなど、通常において用いられる補間であれば特に限定されない。
(ステップS6)実際の被検体のある状態での実測
次に、ステップS3〜S5で用いられた被検体M(ここではファントムPh)とは別の被検体Mのある状態でX線撮像を行う。図1に示すように、実際のX線撮像に用いられる被検体Mを用いる。X線管2とグリッド6との間に実際の被検体Mを介在させて、X線管2からX線をグリッド6およびFPD3に向けて照射することで、実際の被検体Mのある状態でX線撮像を行って実際の被検体Mのある状態の実測を行う。すなわち、X線管2は、実際の被検体M(実際のX線撮像に用いられる被検体M)のある状態でX線を照射して、グリッド6を介してFPD3に入射させることで、被検体Mのある状態での実測でのグリッド6を透過した後の強度である実測強度Gが、ステップS3と同様に得られる。具体的には、被検体Mのある状態でのX線をFPD3の検出素子d(図3を参照)は電気信号に変換して読み出して、電気信号に応じた画素値に変換する。
(ステップS7)強度の推定・補間
ステップS4でも述べたように、その画素値は、被検体Mのある状態での実測でのグリッド6を透過した後の強度である実測強度Gと同等である。同様に、画素特定部41は、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)を3つの画素の組み合わせとして特定する。そして、変化率算出部46で求められた変化率Rcs、または変化率補間部47で補間された変化率Rcsと、透過率算出部42で求められた直接線透過率Cp,または透過率補間部43で補間された直接線透過率Cpと、FPD3から画素値と同等である実測強度Gとに基づいて、画素特定部41で特定された隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)での透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pを強度推定部44は再度に推定する。
ステップS4と同様に、連立方程式を解くことで透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pを推定するが、ステップS4と異なる部分は、変化率Rcsというパラメータが考慮されている点と、透過散乱線強度Scに関する式と、推定直接線強度Pに関する式とがそれぞれ異なっている点である。なお、ステップS4と共通する箇所については、その説明を省略する。
ステップS7では、透過散乱線強度Scは、グリッド6の吸収箔に変形などのような箔の不均一性がなく設置状態が理想的な場合の透過散乱線強度としている。透過散乱線強度Scがグリッド6の不均一性の為に生じる変化率を除けば、被検体が水柱(例えば水円柱)や人体などであり、放射線がX線やγ線の場合は、その変化が滑らかであることから、隣接する3つの画素間で等しいとする下記(1)´´式で表される。
Scn−1=Sc=Scn+1 …(1)´´
上記(1)´´は、この発明における(A)´´式に相当する。
実測強度Gは推定直接線強度P・直接線透過率Cpの積と透過散乱線強度Sc・変化率Rcsの積との和に等しいとする、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の連立方程式(2)´´〜(4)´´式で表される。
n+1=Pn+1・Cpn+1+Scn+1・Rcsn+1 …(2)´´
=P・Cp+Sc・Rcs …(3)´´
n−1=Pn−1・Cpn−1+Scn−1・Rcsn−1 …(4)´´
上記(2)´´式は、この発明における(B−1)´´式に相当し、上記(3)´´式は、この発明における(B−2)´´式に相当し、上記(4)´´式は、この発明における(B−3)´´式に相当する、
各画素の推定直接線強度Pは、ステップS3のアクリル平板のファントムPhの場合と異なり、被検体Mの形状、材質などによる変化があり、その変化は隣接する画素の推定直接線強度Pの補間演算で表わせるものとする。本実施例1では、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)内での推定直接線強度Pの変化は下記(5)´´式のように直線近似できるものとする。
=(Pn+1+Pn−1)/2 …(5)´´
上記(5)´´式は、この発明における(C)´´に相当する。また、推定直接線強度Pの補間方法については、直接線透過率Cpの補間やステップS4の透過散乱線強度Scの補間でも述べたのと同様で、例えばラグランジェ補間を用いてもよく、通常において用いられる補間であれば特に上記(5)´´式に限定されない。
このような上記(1)´´〜(5)´´式から得られる連立方程式を解くことで、推定直接線強度Pn−1,P,Pn+1、透過散乱線強度Sc(=Scn+1=Scn−1)は、下記(6)´´〜(9)´´式のように求められる。
Sc=Gn+1/Rcsn+1−{(Cp・Rcsn−1−2Cpn−1・Rcs
・Gn+1+2Cpn−1・Rcsn+1・G−Cp・Rcsn+1
n−1}/(Cpn+1・Cp・Rcsn+1・Rcsn−1−2Cpn+1
・Cpn−1・Rcsn+1・Rcs+Cp・Cpn−1
・Rcsn+1 ) …(6)´´
n−1={(Cp・Rcsn−1−2Cpn−1・Rcs)・Gn+1+2Cpn−1
・Rcsn+1・G−Cp・Rcsn+1・Gn−1}/(Cpn+1
Cp・Rcsn−1−2Cpn+1・Cpn−1・Rcs+Cp
Cpn−1・Rcsn+1) …(7)´´
=G/Cp−Rcs・[Gn+1/Rcsn+1−{(Cp・Rcsn−1
2Cpn−1・Rcs)・Gn+1+2Cpn−1・Rcsn+1・G−Cp
Rcsn+1・Gn−1}/(Cpn+1・Cp・Rcsn+1・Rcsn−1
2Cpn+1・Cpn−1・Rcsn+1・Rcs+Cp・Cpn−1
Rcsn+1 )] …(8)´´
n+1=Gn+1/Cpn+1−Rcsn−1・[{(Cp・Rcsn−1
2Cpn−1・Rcs)・Gn+1+2Cpn−1・Rcsn+1・G−Cp
Rcsn+1・Gn−1}/(Cpn+1・Cp・Rcsn+1・Rcsn−1
2Cpn+1・Cpn−1・Rcsn+1・Rcs+Cp・Cpn−1
Rcsn+1 )] …(9)´´
上記(6)´´〜(9)´´式を用いて求められた推定直接線強度Pn−1,P,Pn+1、透過散乱線強度Sc(=Scn+1=Scn−1)は、上記(1)´´〜(5)´´式の連立方程式の解に含まれる分母が“0”でないときに求められる値である。
上記(1)´´〜(5)´´式の連立方程式の解に含まれる分母が“0”のときには、上記(1)´´〜(5)´´式の連立方程式を解くことができないので、分母が“0”のときの組み合わせとなる3つの画素(n−1),n,(n+1)では、そのときの推定直接線強度Pn−1,P,Pn+1あるいは透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1が求められずに推定できないことになる。分母が“0”のときの組み合わせとなる3つの画素(n−1),n,(n+1)場合の推定直接線強度Pn−1,P,Pn+1あるいは透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1の推定方法には、例えば下記の1)、2)の2つの方法がある。
1)の方法は、透過散乱線強度Scを先に求める方法である。グリッド6の吸収箔に変形などなく設置状態が理想的な場合の透過散乱線強度Scとしているので、先ず、分母が“0”でないときに得られた複数の透過散乱線強度Scを用いて、分母が“0” のため未だ得られていない画素を含め、適切なスムージング・補間計算により全ての画素に対する透過散乱線強度Sc を求める。上記(1)´´式でも述べたように、被検体が水柱(例えば水円柱)や人体などであり、放射線がX線やγ線の場合は、変化は滑らかであることと、スムージングは統計変動誤差によるバラツキを低減させる効果もあり、透過散乱線強度Scの真値に近い値Sc が得られる。このようにして求められた透過散乱線強度Sc を、全ての画素について上記(3)式のScに代入し、推定直接線強度Pを直接に求める。この方法では、上述のように、推定直接線強度Pに対して、分母が“0”でない画素の値からのスムージング・補間計算をしないので、推定直接線強度Pの画像に分解能の劣化が無いという大きな利点がある。
2)の方法は、上記(7)´´〜(9)´´式で既に得られた推定直接線強度Pn−1,P,Pn+1を用いて、未だ得られていない推定直接線強度Pn−1,P,Pn+1を、上記(5)´´式と同様に補間する方法である。すなわち、強度推定部44で推定された推定直接線強度Pn−1,P,Pn+1を強度補間部45は補間する。このときの補間についても、通常において用いられる補間であれば特に上記(5)´´式に限定されない。強度補間部45で補間された推定直接線強度Pn−1,P,Pn+1を表示部5などに送り込む。
このように、ステップS4と同様に、上記のように、透過散乱線強度Scを先に求めてもよいし、推定直接線強度Pを先に求めてもよい。
このように、ステップS1〜S7を経て、ステップS7で求められた推定直接線強度Pを画素値として用いることで、散乱線やグリッド6による偽像を低減させたX線画像が適切に得られる。かかるX線画像を、上述した表示部5に表示出力してもよいし、RAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体に書き込んで記憶して、適宜必要に応じて読み出してもよいし、プリンタなどに代表される印刷手段に印刷出力してもよい。また、ステップS7の1)の方法で推定直接線強度Pよりも先に透過散乱線強度Scを求めた場合には、後で推定直接線強度Pを求めてからX線画像として表示部5や記憶媒体や印刷手段などに出力すればよい。
また、X線管2の焦点からFPD3までの検出面までの距離SIDごとに、ステップS2で直接線透過率Cpを求めているので、ステップS3〜S7で求められるパラメータは、距離SIDごとに適切に得られる値である。さて、距離SIDが変化しても被検体MとFPD3との距離が変化しなければ、直接線透過率Cpと異なり散乱線分布の変化は少なく、透過散乱線強度Scの変化率Rcsの変化は殆ど無視できる。その場合には、あるSIDで変化率Rcsを求めておけば、異なる距離SIDに対してもその値を使用できるので、ステップS3〜S5を省略することができる。そして、ステップ6以降の実際の被検体Mのある状態での実測以降を行えばよい。さらに、距離SIDの変化に対する変化率Rcsの変化が無視できない場合には、離散的な距離Ls+1,Ls+2,Ls+3,…ごとに、変化率Rcsを求めておき、実際の距離SIDに対してはそれらの補間計算により求めれば、やはりステップS3〜S5を省略することができる。そして、ステップ6以降の実際の被検体Mのある状態での実測以降を行えばよい。したがって、実際のX線撮像において、距離SIDが図6に示すように変化しても、その距離SIDごとに考慮された直接線透過率Cpと透過散乱線強度Scの変化率Rcsを用いることで、循環器撮影装置などのように、X線管2、グリッド6およびFPD3の距離をその都度変更して撮影する場合においても適用することができる。
本実施例1に係るX線撮像装置によれば、X線管2からX線を照射して、グリッド6を介してFPD3に入射させる。一部の散乱X線(散乱線)がグリッド6によって除去されて、FPD3はX線を検出してX線画像を得る。このとき、X線画像を構成する各々の画素のうち、所定の画素を画素特定部41は特定する。その画素特定部41で特定された所定の画素での散乱X線強度(散乱線強度)、所定の画素での直接X線強度(直接線強度)の少なくとも1つの強度を強度推定部44は推定する。したがって、グリッド6の設置状態が考慮された所定の画素での散乱X線強度、直接X線強度の少なくとも1つの強度を適切に推定することができる。
一方で、特定されなかった画素については以下のようにする。すなわち、強度推定部44で推定された散乱X線強度、直接X線強度の少なくとも1つの強度に基づいて、特定されなかった画素での散乱X線強度、特定されなかった画素での直接X線強度の少なくとも1つの強度を強度補間部45は補間する。したがって、特定された画素については強度推定部44によって強度が推定され、特定されなかった画素については強度補間部45によって強度が補間される。そして、このようなX線強度に基づいてX線画像が適切に得られ、グリッド6の陰影が消え、グリッド6を透過した散乱X線(散乱線)も含めて散乱線が完全に除去された直接X線(直接線)だけのX線画像が得られる。かかる画素特定部41、強度推定部44および強度補間部45によって得られるX線画像では、特別なグリッド(例えば本実施例1のような同期型グリッド6)に依らずに、いずれの散乱放射線除去手段においても適切に得られる。その結果、汎用の散乱放射線除去手段にも適用することができ、グリッド6に代表される散乱放射線除去手段の設置状態に依存せずに、適切なX線画像を得ることができる。また、全ての画素について強度を推定する必要はなく、特定された所定の画素での強度のみを推定して、残りの特定されなかった画素での強度については補間を行って求めればよいので、演算処理を軽減化、短時間化することができるという効果をも奏する。
また、ステップ7の1)の方法では、特定された画素の透過散乱線強度Scからスムージング・補間計算によりSc を求めているが、前述のように透過散乱線強度分布の変化は滑らかであることと、平均化あるいはスムージングは統計変動誤差によるバラツキを低減させる効果もあり、透過散乱線強度Sc は真値に近い値が得られる。その真値に近い透過散乱線強度Sc を(3)式のScに代入して推定直接線強度Pを直接に求めており、推定直接線強度Pに対しては、分母が“0”でない画素の値からのスムージング・補間計算を行っていないので、推定直接線強度Pの画像に分解能の劣化が無いという大きな利点がある。また、推定直接線強度Pの分解能が維持され、被検体の形状、材質の微細な変化に対する推定直接線強度Pの微細な変化を正確に求めることができる。
グリッド6の設置状態に依存せずに、適切なX線画像を得る具体的な効果としては、グリッド6と画素行あるいは画素列との全体的な位置ズレがある場合でも、グリッド6を構成する吸収箔6a,6bの個別の変形による位置ズレがある場合でも適用することができる。また、グリッド6を構成する吸収箔6a,6bの変形によるズレや、被検体Mからの散乱線の角度分布があっても、全ての画素の強度(例えば推定直接線強度P)を正確に求めることができる。これは、全ての画素に対してグリッドによる直接線透過率Cpを考慮しているだけでなく、透過散乱線強度Scとその変化率Rcsも考慮しているからである。
また、全ての画素について強度を推定する必要はなく、特定された所定の画素での強度のみを推定して、残りの特定されなかった画素での強度については補間を行っているので、上述したように演算処理を軽減化、短時間化することができ、透過散乱線強度Scの変化率Rcsを考慮しない場合に生じるスムージングなどによる散乱線分布の誤差が、逆に偽像の原因になる恐れがない。
また、X線管2、グリッド6およびFPD3の位置が変化した場合や、吸収箔6a,6bの変形による位置ズレによって、吸収箔6a,6bの陰影が一定の画素行や画素列内に収まらない場合でも、適用することができる。上述したように、循環器撮影装置などのように、X線管2、グリッド6およびFPD3の距離をその都度変更して撮影する場合においても適用することができる。さらに、吸収箔6a,6bの変形による位置ズレの許容値をその条件で設定する必要がなく、低コスト化や技術的容易さの面で効果が大きい。
また、吸収箔6a,6bの変形による位置ズレの許容値は、被検体Mからの散乱線の角度分布の影響とともに、位置ズレの影響を補正することができるので、実際的な機械強度や組み立て精度に合わせて許容値を決定することができる。したがって、上の段落と同じく低コスト化や技術的容易さの面で効果が大きい。
本実施例1では、散乱放射線除去手段として、散乱線を吸収する吸収箔6a,6bの配置方向が検出素子dの行方向および列方向の両方向に対してそれぞれ平行であり、かつ互いに隣接する吸収箔6a,6b層間の間隔Kgy,Kgxが、互いに隣接する画素間の間隔Kfy,Kfxの整数倍(図3では2倍で図示)となるように構成された同期型クロスグリッド6を用いている。このような同期型グリッドの場合には、吸収箔6a,6bとそれ以外の層(中間層6c)との画素の落差が、各々の画素間で一致して周期性を有するので、規則的に、かつ周期的に演算を行うことができる。したがって、処理が簡単になり、演算処理を単純化、短時間化することができる。その結果、より簡単に強度を推定することができるとともに、強度を補間することができる。
さらに、上述したようにX線管2、グリッド6およびFPD3の距離が変化した場合でも、上述した連立方程式の解に含まれる分母の絶対値が所定値(本実施例1では“0”)以下のときの組み合わせとなる所定の画素と、所定値を超えたときの組み合わせとなる画素との設定が、実測で得られる各画素の直接線の透過率(直接線透過率Cp)および変化率Rcsからだけでなく、幾何学的なシミュレーション演算から予測することができるという効果をも奏する。
好ましくは、被検体のない状態でX線撮像を予め行って、透過率を予め求めている。すなわち、X線管2は、被検体のない状態でX線を照射して、グリッド6を介してFPD3に入射させることで、被検体のない状態での実測データが得られる。その被検体のない状態での実測により求められたグリッド6による直接線の透過前および透過後の透過率である直接線透過率Cpを求める透過率算出部42を備えている。このように透過率算出部42を備えることで、直接線透過率Cpを求めることができる。
X線管2とグリッド6およびFPD3との距離が変化する場合には、上述した透過率算出部42は、X線管2とグリッド6およびFPD3との離散的な距離に対して直接線透過率Cpを求め、より好ましくは、その透過率算出部42で求められた直接線透過率Cpに基づいて、直接線透過率Cpを、上述した離散的な距離に前後する距離に対して補間する透過率補間部43を備えている。このように透過率算出部42および透過率補間部43を備えることで、X線管2とグリッド6およびFPD3との距離が変化したとしても、その距離に対応した直接線透過率Cpを求めることができる。
また、吸収箔6a,6bによる遮蔽がある画素行あるいは画素列に対してのみでなく、直接線のグリッドカバー6d、中間物質による吸収による減衰も含めて全ての画素に対する直接線の透過率(直接線透過率Cp)も考慮しており、その値を使って求める推定直接線強度Pが全ての画素について正確に求めることができる。
この直接線透過率Cpを用いて、実際の被検体M(本実施例1ではファントムPh)のある状態でのX線撮像に反映させる。すなわち、X線管2は、実際のファントムPhのある状態でX線を照射して、グリッド6を介してFPD3に入射させることで、ファントムPhのある状態での実測でのグリッド6を透過した後の強度である実測強度Gが得られる。透過率算出部42で求められた直接線透過率Cp,または、透過率補間部43で補間された直接線透過率Cpと、ファントムPhのある状態での実測での上述した実測強度Gとに基づいて、強度推定部44は、画素特定部41で特定された所定の画素での強度を推定する。このように、被検体のない状態での実測データに基づいて直接線透過率Cpが求められ、その直接線透過率Cpを用いて、ファントムPhのある状態での実測強度Gに基づいて強度を推定することができる。
具体的には、強度推定部44が、画素特定部41で特定された所定の画素での未知である強度を推定する際に、既知である直接線透過率Cpの既知の個数および既知である実測強度Gの既知の個数に応じて、画素特定部41は特定されるべき所定の画素の個数を決定して、その決定された所定の画素毎の実測強度G,直接線透過率Cpおよび推定されるべき強度に関する連立方程式を解くことで、強度推定部44は強度を推定する。このような連立方程式を解くことで強度を簡易に推定することができる。
上記(1)〜(5)式から得られる連立方程式を解くことで透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pを簡易に推定することができる。また、このような連立方程式は、直接線の透過厚さが一定、すなわち各画素での推定直接線強度Pが全て同じ値とみなせる、例えばアクリル平板のファントムPhを被検体Mとして用いる場合に有用である。
好ましくは、被検体のない状態でX線撮像を予め行って、直接線透過率Cpを予め求め、さらに被検体M(例えば、アクリル平板のファントムPhや水円柱のファントムPh)のある状態でX線撮像を行って、強度に関する全ての画素についての基準値(平均値、または、スムージング・補間計算により求められる各画素の値)に対する各画素の変化率Rcsを求めている。すなわち、X線管2は、ファントムPhのある状態でX線を照射して、グリッド6を介してFPD3に入射させることで、ファントムPhのある状態での実測に基づいて強度推定部44で推定された強度が得られる。その強度に関する上述した変化率Rcsを求める変化率算出部46を備え、その変化率算出部46で求められた変化率Rcsを用いて、別の被検体M(実際のX線撮像に用いられる被検体M)に対するX線撮像に反映させる。
X線管2とグリッド6およびFPD3との距離が変化する場合には、上述した変化率算出部46は、X線管2とグリッド6およびFPD3との離散的な距離に対して変化率を求め、より好ましくは、その変化率を、上述した離散的な距離に前後する距離に対して補間する変化率補間部47を備えている。このように変化率算出部46および変化率補間部47を備えることで、X線管2とグリッド6およびFPD3との距離が変化したとしても、その距離に対応した変化率を求めることができる。
X線管2は、別の被検体M(ここでは実際のX線撮像に用いられる被検体M)のある状態でX線を照射して、グリッド6を介してFPD3に入射させることで、被検体Mのある状態での実測でのグリッド6を透過した後の強度である実測強度Gが得られる。変化率算出部46で求められた変化率Rcs,変化率補間部47で補間された変化率Rcsと、透過率算出部42で求められた直接線透過率Cp,透過率補間部43で補間された直接線透過率Cpと、別の被検体M(実際のX線撮像に用いられる被検体M)のある状態での実測での上述した実測強度Gとに基づいて、強度推定部44は、画素特定部41で特定された所定の画素での強度を推定する。このように、被検体のない状態での実測データに基づいて直接線透過率Cpが求められ、その直接線透過率Cpを用いて、被検体M(ここではファントムPh)のある状態でX線撮像を行って変化率Rcsが求められ、その変化率Rcs、または変化率補間部47により補間された変化率を用いて、別の被検体M(ここでは実際のX線撮像に用いられる被検体M)のある状態でX線撮像を行って、その被検体M(実際のX線撮像に用いられる被検体M)のある状態での実測強度Gに基づいて強度を推定することができる。
具体的には、強度推定部44が、画素特定部41で特定された所定の画素での未知である強度を推定する際に、既知である変化率Rcsの既知の個数,既知である直接線透過率Cpの既知の個数および既知である実測強度Gの既知の個数に応じて、画素特定部41は特定されるべき所定の画素の個数を決定して、その決定された所定の画素毎の実測強度G,変化率Rcs,直接線透過率Cpおよび推定されるべき強度に関する連立方程式を解くことで、強度推定部44は強度を推定する。このような連立方程式を解くことで強度を簡易に推定することができる。
上記(1)´´〜(5)´´式から得られる連立方程式を解くことで透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pを簡易に推定することができる。
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図9は、水円柱のファントムを被検体として用いる場合の実施例2に係る被検体のある状態でのX線撮像を模式的に示した図である。なお、上述した実施例1と共通する箇所については、同じ符号を付して、その説明を省略するとともに、図示を省略する。本実施例2においても、実施例1と同じX線撮像装置を用いて(図1を参照)、実施例1と同じFPD3を用いて(図2を参照)、実施例1と同じ同期型クロスグリッド6を用いる(図3を参照)。
また、本実施例2においても、具体的な画像処理部4の構成およびデータの流れは、実施例1と同じであり(図4を参照)、実際のX線撮像は、実施例1と同じフローとなる(図5を参照)。実施例1との相違点は、ステップS3(図5を参照)でのファントムのある状態での実測において、上述した実施例1では、図8に示すようにファントムPhがアクリル平板であったのに対して、本実施例2では、図9に示すようにファントムPhが水円柱である点である。したがって、ステップS3およびそれに関するステップS4以外のフローについてはその説明を省略する。
(ステップS3)ファントムのある状態での実測
被検体Mのある状態でX線撮像を行う。図9に示すように、実際の被検体Mに近いファントムPhを被検体Mとして用いる。例えば、人体の胴部の撮影が目的の場合には、それとほぼ同じ透過率の水円柱のファントムPhを被検体Mとして用いる。このステップS3での実測によって、実施例1と同様に実測強度Gが得られる。
(ステップS4)強度の推定・補間
実測強度GはステップS3で実測によって求められており既知である。直接線透過率CpはステップS1で実測によって得られ、ステップS2で算出・補間されており既知である。推定直接線強度Pそのものは未知であるが、既知のファントムPhを利用していることで、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、推定直接線分布をP(n−1),P(n),P(n+1)としたときに、この推定直接線分布P(n−1),P(n),P(n+1)は既知である。FPD3の中心の直上に水円柱のファントムPhを置いたときに、FPD3の中心からの距離をxとし、透過前のX線強度をIとして、FPD3の中心からの距離xにおける推定直接線分布P(x)、すなわち距離xで透過後のX線強度をIとして、水の減衰率をμHOとして、水円柱をX線が透過する長さである透過長をLとすると、距離xにおける推定直接線分布P(x)(=距離xで透過後のX線強度I)は、下記(14)式で表される。
P(x)=I=I・exp(−μHO・L) …(14)
上記(14)式で求められる推定直接線分布P(x)が既知であることから、3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の推定直接線分布P(n−1),P(n),P(n+1)も既知である。ただ、最終的に推定される推定直接線強度Pは既知であり、推定直接線強度Pは既知である推定直接線分布P(n−1),P(n),P(n+1)とその変換係数との積で表される。変換係数をaとしたときに、この変換係数も当然未知である。このように、実施例1で用いられる上記(2)〜(4)式中の推定直接線強度P,Pn+1,Pn−1は、それぞれPn+1=a・P(n+1)、P=a・P(n)、Pn−1=a・P(n−1)で表される。この式と実施例1で用いられる上記(2)〜(4)式とを組み合わせた式は、連立方程式(2)´〜(4)´式で表される。
なお、本実施例2でも、上述した実施例1と同様に、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)内での透過散乱線強度Scの変化は下記(1)式のように直線近似できるものとする。
Sc=(Scn+1+Scn−1)/2 …(1)
上記(1)式は、この発明における(A)式に相当する。また、上記(1)式は、実施例1で述べた上記(1)式と同一である。実測強度Gは推定直接線強度P・直接線透過率Cpの積と透過散乱線強度Scとの和に等しいとする、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の連立方程式(2)´〜(4)´式で表される。
n+1=a・P(n+1)・Cpn+1+Scn+1 …(2)´
=a・P(n)・Cp+Sc …(3)´
n−1=a・P(n−1)・Cpn−1+Scn−1 …(4)´
上記(2)´式は、この発明における(B−1)´式に相当し、上記(3)´式は、この発明における(B−2)´式に相当し、上記(4)´式は、この発明における(B−3)´式に相当する。
このような上記(1),(2)´〜(4)´式から得られる連立方程式を解くことで、変換係数a、透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1は、下記(6)´〜(9)´式のように求められる。
=(Gn+1+Gn−1−2G)/{P(n+1)・Cpn+1+P(n−1)
・Cpn−1−2P(n)・Cp} …(6)´
Scn+1=Gn+1−a・P(n+1)・Cpn+1 …(7)´
Sc=G−a・P(n)・Cp …(8)´
Scn−1=Gn−1−a・P(n−1)・Cpn−1 …(9)´
上記(6)´〜(9)´式では、先ず上記(6)´式で既知である実測強度Gn−1,G,Gn+1と既知である直接線透過率Cpn−1,Cp,Cpn+1と用いて変換係数aを求めて、変換係数aを既知とした後に、その既知となった変換係数aも用いて上記(7)´〜(9)´式で透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1をそれぞれ求めている。
このように、隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)の組み合わせを1組とすると、各々の組についてそれぞれ1つの変換係数aが求まるが、本来は3つの画素の組み合わせにおいて全ての組で変換係数aは同じ値となるべきである。しかし、実際には、上述した実施例1でも述べたようにグリッド6の周辺部で少しずつ異なっていたり、統計変動誤差により異なっていたりする。このようなグリッド6の設置状態や統計変動誤差による影響を低減させるには変換係数aの平均値を求めればよい。例えば、上述したようなグリッド6の周辺部で少しずつ異なる場合には、上記(6)´式を用いて、グリッド6の中央部の3つの画素(n−1),n,(n+1)の組み合わせにおいて複数組の変換係数aをそれぞれ求めて、平均値a^を求める。その平均値a^を上記(2)´〜(4)´式にそれぞれ再代入(すなわち、上記(7)´〜(9)´式を変形した下記(10)´〜(12)´式に代入)して、再度、各組の全ての透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1をそれぞれ求める。
Scn+1=Gn+1−a^・P(n+1)・Cpn+1 …(10)´
Sc=G−a^・P(n)・Cp …(11)´
Scn−1=Gn−1−a^・P(n−1)・Cpn−1 …(12)´
このように上記(10)´〜(12)´式で透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1をそれぞれ求めることで強度推定部44は推定する。
上述した実施例1と同様に、上記(1),(2)´〜(4)´式の連立方程式の解に含まれる分母に注目し、分母“{P(n+1)・Cpn+1+P(n−1)・Cpn−1−2P(n)・Cp}”が“0”のときの組み合わせとなる3つの画素(n−1),n,(n+1)では、そのときの透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1が求められずに推定できないことになる。そこで、先ず、分母が0”でないときの変換係数aを上記(6)´式からそれぞれ求めて、それらから平均値a^を求め、その値を、分母が0”でない組み合わせ画素に対してだけでなく、“0”のときの組み合わせ画素も含め、全ての画素の透過散乱線強度Scを、上記(10)〜(12)式に代入することにより求める。
連立方程式を解くことのついての説明をまとめると、分母 “{P(n+1)・Cpn+1+P(n−1)・Cpn−1−2P(n)・Cp}”が“0” でないときの変換係数aを上記(6)´式からそれぞれ求めて、平均値a^を求める。この平均値a^を全ての画素に対する上記(10)´〜(12)´式に代入して、透過散乱線強度Scを求める。このように、分母“{P(n+1)・Cpn+1+P(n−1)・Cpn−1−2P(n)・Cp}”が“0” でないときに求められる変換係数aから、平均値a^を求めてから、分母“{P(n+1)・Cpn+1+P(n−1)・Cpn−1−2P(n)・Cp}”が“0” のときを含む全ての透過散乱線強度Scを(10)´〜(12)´式より求めたが、これに限定されない。
例えば、分母“{P(n+1)・Cpn+1+P(n−1)・Cpn−1−2P(n)・Cp}”が“0” でないときの透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を変換係数aよりも先に求めて、透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1の補間で、分母“{P(n+1)・Cpn+1+P(n−1)・Cpn−1−2P(n)・Cp}”が“0” のときの透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を求め、それぞれ求められた透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を上記(7)´〜(9)´式に代入することで、分母“{P(n+1)・Cpn+1+P(n−1)・Cpn−1−2P(n)・Cp}”が“0” でないとき、および分母“{P(n+1)・Cpn+1+P(n−1)・Cpn−1−2P(n)・Cp}”が“0” のときの変換係数aを求めて、分母“{P(n+1)・Cpn+1+P(n−1)・Cpn−1−2P(n)・Cp}”が“0” のときも含めて、グリッド6の中央部の3つの画素(n−1),n,(n+1)の組み合わせにおける複数組の変換係数aの平均値a^を求めてもよい。また、この平均値a^を用いて上記(10)´〜(12)´式に代入することで、透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を再度求めて、その再度求められた透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を用いて、変化率Rcsを求めてもよい。
このように求められた透過散乱線強度Scn−1,Sc,Scn+1を用いて、上述した実施例1と同様に、実施例1のステップS5で述べた上記(13)式を用いて変化率Rcsを求めて、さらにステップS6で実際の被検体Mのある状態での実測によって求められた実測強度G、ステップS5で算出・補間された変化率RcsおよびステップS1で算出・補間された直接線透過率Cpを用いて、ステップS7で述べた上記(1)´´〜(5)´´式式から得られる連立方程式を解くことで、推定直接線強度Pn−1,P,Pn+1、透過散乱線強度Sc(=Scn+1=Scn−1)を推定するのは、実施例1と同様なので、その説明を省略する。
本実施例2に係るX線撮像装置では、実施例1に係るX線撮像装置と同様の作用・効果を奏するので、作用・効果については省略する。
本実施例2では、上記(1),(2)´〜(4)´式から得られる連立方程式を解くことで透過散乱線強度Scや推定直接線強度Pを簡易に推定することができる。また、このような連立方程式は、実際の被検体Mに近いファントムPh(例えば人体の胴部の撮影が目的の場合には、それとほぼ同じ透過率の水円柱)を被検体Mとして用いる場合に有用である。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した各実施例では、放射線としてX線を例に採って説明したが、X線以外の放射線(例えばγ線など)に適用してもよい。
(2)上述した各実施例では、放射線撮像装置は、医用等に用いられる、図1に示すような天板1に被検体を載置して撮影を行う構造であったが、これに限定されない。例えば、工業用等に用いられる非破壊検査装置のように被検体(この場合には検査の対象物が被検体)をベルト上に運搬させて撮影を行う構造であってもよいし、医用等に用いられるX線CT装置などのような構造であってもよい。
(3)上述した各実施例では、グリッドに代表される散乱放射線除去手段として、同期型クロスグリッドで、かつエアグリッドを採用したが、これに限定されない。空隙の他に、アルミニウムや有機物質などのようにX線に代表される放射線を透過させる中間物質で構成されたグリッドでもよいし、グリッドを構成する吸収箔や中間層の配置方向についても検出素子の行方向、列方向に必ずしも平行になる必要はない。また、図10(a)や図10(b)に示すように、クロスグリッド以外に、吸収箔の配置方向が、検出素子の行方向、列方向の少なくとも1つの方向に対して平行であり、かつ互いに隣接する吸収箔間の間隔が、互いに隣接する画素間の間隔の整数倍となるように構成された同期型グリッドであってもよい。
(4)上述した各実施例では、透過散乱線の変化率を被検体のある状態での実測に基づいて推定された透過散乱線強度Scを用いて、その透過散乱線強度Scに関する全ての画素についての平均値に対する各画素の変化率を求める方法について述べた。しかし、透過散乱線の変化率を求める方法としては、被検体のない状態での実測により、変化率Rcsを求める方法として、グリッドに対し、放射線照射源を二次元的にスキャンして散乱線と同等の広い方向からの直接線が散乱放射線除去手段に入射するようにして模擬的な散乱線源(直接線のない)とし、その積算値から、全画素の平均値との比を求めて変化率Rcsを求める方法があり、いずれの方法を用いてもよい。
(5)上述した各実施例では、画素特定手段(各実施例では画素特定部41)が特定されるべき所定の画素の個数を3つとしたが、3つに限定されない。連立方程式に応じて個数を決定すればよい。
(6)上述した各実施例では、連立方程式の解に含まれる分母の絶対値が所定値以下の場合には、画素特定手段(各実施例では画素特定部41)は、その連立方程式の組み合わせとなる所定の画素を選択しなかったが、その所定値については上述した“0”に限定されない。上述した各実施例で連立方程式の解に含まれる分母は、(ステップS2)直接線透過率Cpの算出・補間での推定直接線強度Pに含まれる分母と、(ステップS7)強度の推定・補間での被検体の透過散乱線強度Scに含まれる分母とがあり、比較的簡単な、(ステップS2)直接線透過率Cpの算出・補間での推定直接線強度Pに含まれる分母(Cpn+1+Cpn−1−2Cp)の場合について説明する。
例えばグリッド箔による遮蔽画素をn、遮蔽画素でない画素をn+1、n−1とすると、箔に歪などの無い場合は、その時のそれぞれの直接線透過率Cpの値は予め計算できる。例えば、画素の幅が150μm、グリッド箔の厚みが30μm、中間物質がエアーの場合は、グリッドカバーの吸収を無視すると、Cpn+1=1, Cpn−1=1, Cp=0.7となる。したがって、この時の分母は、Cpn+1+Cpn−1−2Cp=1+1-2x0.7=0.6となる。
一方、Pの分子は(Gn+1+Gn−1−2G)であるが、その統計変動誤差はGn+1,Gn−1,Gの統計変動誤差から予測でき、最終的に得られるPの統計変動誤差は分母の値で割った値となる。上記の例では、理想的な箔の設置状態で0.6であり、箔に歪などがあればその値が小さくなる場合があり、分子の統計変動誤差をその値で割った場合に、統計変動誤差が大きくなり、後で求めるPの平均値に大きな誤差を与えることになる。したがって、例えば、その許容値を理想的な場合の3倍とすると、分母の所定値が0.2となり、信頼性の高いPの値だけを求めることができる。このようにして、所定値を決め、画素を特定することができる。
(ステップS7)の場合も同様に、正常な場合の分母の値と比較して、所定値を、最終的に得られるSnの統計変動誤差の許容値から決定することができる。上記はいずれも、求めたい値の統計変動誤差の許容値を基準に所定値を決めたが、別の基準値から所定値を決めてもよい。
(7)上述した各実施例では、透過散乱線強度および推定直接線強度を推定したが、いずれか一方の強度のみを推定してもよい。
(8)上述したように、本明細書では「画素」とは、束ね処理(ビニング処理)されていない1画素はもちろんのこと、複数の画素を束ねて(ビニング)1画素扱いする画素も含む。したがって、画素を特定する場合や、特定された特定画素を用いる場合には、ビニングされた画素に適用してもよいし、ビニングされていない画素に適用してもよい。
2 … X線管
3 … フラットパネル型X線検出器(FPD)
d … 検出素子
6 … グリッド
6a,6b … 吸収箔
41 … 画素特定部
42 … 透過率算出部
43 … 透過率補間部
44 … 強度推定部
45 … 強度補間部
46 … 変化率算出部
47 … 変化率補間部
gx,Kgy … 吸収箔間の間隔
fx,Kfy … 画素間の間隔
(n−1),n,(n+1) … 画素
G,Gn−1,G,Gn+1 … 実測強度
Cp,Cpn−1,Cp,Cpn+1 … 直接線透過率
Sc,Scn−1,Sc,Scn+1 … 透過散乱線強度
P,Pn−1,P,Pn+1 … 推定直接線強度
P(n−1),P(n),P(n+1) … 推定直接線分布
… 変換係数
Rcs,Rcsn−1,Rcs,Rcsn+1 … 変化率
M … 被検体

Claims (38)

  1. 放射線画像を得る放射線撮像装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、散乱放射線を除去する散乱放射線除去手段と、放射線を検出する複数の検出素子が行列状に構成された放射線検出手段とを備えるとともに、前記放射線画像を構成する各々の画素のうち、所定の画素を特定する画素特定手段と、その画素特定手段で特定された前記所定の画素での散乱放射線強度、前記所定の画素での直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度を推定する強度推定手段と、その強度推定手段で推定された散乱放射線強度、直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度に基づいて、特定されなかった画素での散乱放射線強度、特定されなかった画素での直接放射線強度の少なくとも1つの放射線強度を補間する強度補間手段とを備え、
    被検体のない状態での実測により求められた前記散乱放射線除去手段による直接放射線の透過前および透過後の透過率である直接線透過率を求める透過率算出手段を備え、
    前記透過率算出手段で求められた直線透過率と、被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での放射線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  2. 請求項1に記載の放射線撮像装置において、前記散乱放射線を吸収する吸収層の配置方向が前記検出素子の行方向、列方向の少なくとも1つの方向に対して平行であり、かつ互いに隣接する前記吸収層間の間隔が、互いに隣接する前記画素間の間隔の整数倍となるように、前記散乱放射線除去手段を構成することを特徴とする放射線撮像装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の放射線撮像装置において、前記強度推定手段が、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での未知である前記放射線強度を推定する際に、既知である前記直接線透過率の既知の個数および既知である実測強度の既知の個数に応じて、画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を決定して、その決定された所定の画素毎の実測強度,直接線透過率および推定されるべき放射線強度に関する連立方程式を解くことで、強度推定手段は放射線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  4. 請求項3に記載の放射線撮像装置において、前記連立方程式の解に含まれる分母の絶対値が所定値以下の場合には、前記画素特定手段は、その連立方程式の組み合わせとなる所定の画素を選択せずに、別の所定の画素を組み合わせとして選択して特定して、その特定された所定の画素毎の前記連立方程式を解くことで、前記強度推定手段は前記放射線強度を推定し、前記選択されなかった画素での放射線強度については、前記強度補間手段によって補間することを特徴とする放射線撮像装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の放射線撮像装置において、前記推定されるべき放射線強度が、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度、および前記被検体を透過し、かつ散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度であり、既知である前記直接線透過率の既知の個数および既知である前記実測強度の既知の個数に応じて、前記画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を3つと決定して、(n−1)番目の画素、それに隣接するn番目の画素、さらにそれに隣接する(n+1)番目の画素からなる3つの画素の組み合わせを特定して、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、実測強度をGn−1,G,Gn+1とするとともに、直接線透過率をCpn−1,Cp,Cpn+1とし、前記透過散乱線強度をScn−1,Sc,Scn+1とし、前記推定直接線強度をPn−1,P,Pn+1としたときに、各画素の透過散乱線強度は、隣接する画素の透過散乱線強度の補間演算により求められる(A)式と、
    Sc=(Scn+1+Scn−1)/2 …(A)
    実測強度は推定直接線強度・直接線透過率の積と透過散乱線強度との和に等しいとする、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の前記連立方程式(B−1),(B−2),(B−3)式と、
    n+1=Pn+1・Cpn+1+Scn+1 …(B−1)
    =P・Cp+Sc …(B−2)
    n−1=Pn−1・Cpn−1+Scn−1 …(B−3)
    推定直接線強度は前記隣接する3つの画素間で等しいとする(C)式と、
    n−1=P=Pn+1 …(C)
    から得られる連立方程式を解くことで、前記強度推定手段は、透過散乱線強度または推定直接線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  6. 請求項3または請求項4に記載の放射線撮像装置において、前記推定されるべき放射線強度が、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度、および前記被検体を透過し、かつ散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度であり、既知である前記直接線透過率の既知の個数および既知である前記実測強度の既知の個数に応じて、前記画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を3つと決定して、(n−1)番目の画素、それに隣接するn番目の画素、さらにそれに隣接する(n+1)番目の画素からなる3つの画素の組み合わせを特定して、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、実測強度をGn−1,G,Gn+1とするとともに、直接線透過率をCpn−1,Cp,Cpn+1とし、前記透過散乱線強度をScn−1,Sc,Scn+1とし、前記推定直接線強度をPn−1,P,Pn+1としたときに、推定直接線強度は既知である推定直接線分布とその変換係数との積で表され、前記変換係数をaとし、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、前記推定直接線分布をP(n−1),P(n),P(n+1)とすると、各画素の透過散乱線強度は、隣接する画素の透過散乱線強度の補間演算により求められる(A)式と、
    Sc=(Scn+1+Scn−1)/2 …(A)
    実測強度は推定直接線強度・直接線透過率の積と透過散乱線強度との和に等しいとする、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の前記連立方程式(B−1)´,(B−2)´,(B−3)´式と、
    n+1=a・P(n+1)・Cpn+1+Scn+1 …(B−1)´
    =a・P(n)・Cp+Sc …(B−2)´
    n−1=a・P(n−1)・Cpn−1+Scn−1 …(B−3)´
    から得られる連立方程式を解くことで、前記強度推定手段は、透過散乱線強度または推定直接線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の放射線撮像装置において、前記被検体のある状態での実測に基づいて前記強度推定手段で推定された前記放射線強度を用いて、その放射線強度に関する全ての画素についての基準強度として、平均値またはスムージング・補間計算により求められる各画素の値を求め、その値に対する各画素の変化率を求める変化率算出手段を備え、その変化率算出手段で求められた変化率を用いて、別の被検体に対する放射線撮像に反映させることを特徴とする放射線撮像装置。
  8. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の放射線撮像装置において、被検体のない状態で、模擬的な散乱線源を用いた実測により、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度を推定し、その推定された透過散乱線強度に関する全ての画素についての基準強度として、平均値またはスムージング・補間により求められる各画素の値を求め、その値に対する各画素の変化率を求める変化率算出手段を備え、その変化率算出手段で求められた変化率を用いて、別の被検体に対する放射線撮像に反映させることを特徴とする放射線撮像装置。
  9. 請求項7または請求項8に記載の放射線撮像装置において、前記変化率算出手段は、前記放射線照射手段と前記散乱放射線除去手段および前記放射線検出手段との離散的な距離に対して前記変化率を求め、その変化率を、前記離散的な距離に前後する距離に対して補間する変化率補間手段を備えることを特徴とする放射線撮像装置。
  10. 請求項7または請求項8に記載の放射線撮像装置において、前記変化率算出手段で求められた変化率と、前記透過率算出手段で求められた直接線透過率と、前記別の被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での放射線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  11. 請求項7または請求項8に記載の放射線撮像装置において、前記透過率算出手段は、前記放射線照射手段と前記散乱放射線除去手段および前記放射線検出手段との離散的な距離に対して前記直接線透過率を求め、その透過率算出手段で求められた前記直接線透過率に基づいて、直接線透過率を、前記離散的な距離に前後する距離に対して補間する透過率補間手段を備え、前記変化率算出手段で求められた変化率と、前記透過率補間手段で補間された直接線透過率と、前記別の被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での放射線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  12. 請求項9に記載の放射線撮像装置において、前記変化率補間手段で補間された変化率と、前記透過率算出手段で求められた直接線透過率と、前記別の被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での放射線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  13. 請求項9に記載の放射線撮像装置において、前記透過率算出手段は、前記放射線照射手段と前記散乱放射線除去手段および前記放射線検出手段との離散的な距離に対して前記直接線透過率を求め、その透過率算出手段で求められた前記直接線透過率に基づいて、直接線透過率を、前記離散的な距離に前後する距離に対して補間する透過率補間手段を備え、前記変化率補間手段で補間された変化率と、前記透過率補間手段で補間された直接線透過率と、前記別の被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での放射線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  14. 請求項10から請求項13のいずれかに記載の放射線撮像装置において、前記強度推定手段が、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での未知である前記放射線強度を推定する際に、既知である前記変化率の既知の個数,既知である前記直接線透過率の既知の個数および既知である実測強度の既知の個数に応じて、画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を決定して、その決定された所定の画素毎の実測強度,変化率,直接線透過率および推定されるべき放射線強度に関する連立方程式を解くことで、強度推定手段は放射線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  15. 請求項14に記載の放射線撮像装置において、前記連立方程式の解に含まれる分母の絶対値が所定値以下の場合には、前記画素特定手段は、その連立方程式の組み合わせとなる所定の画素を選択せずに、別の所定の画素を組み合わせとして選択して特定して、その特定された所定の画素毎の前記連立方程式を解くことで、前記強度推定手段は前記放射線強度を推定し、前記選択されなかった画素での放射線強度については、前記強度補間手段によって補間することを特徴とする放射線撮像装置。
  16. 請求項14または請求項15に記載の放射線撮像装置において、前記変化率が、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度の変化率であるとともに、前記推定されるべき放射線強度が、前記別の被検体で散乱・透過し、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度、および前記別の被検体を透過し、かつ散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度であり、既知である前記変化率の既知の個数,既知である前記直接線透過率の既知の個数および既知である前記実測強度の既知の個数に応じて、前記画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を3つと決定して、(n−1)番目の画素、それに隣接するn番目の画素、さらにそれに隣接する(n+1)番目の画素からなる3つの画素の組み合わせを特定して、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、実測強度をGn−1,G,Gn+1とするとともに、変化率をRcsn−1,Rcs,Rcsn+1とし、直接線透過率をCpn−1,Cp,Cpn+1とし、前記透過散乱線強度をScn−1,Sc,Scn+1とし、前記推定直接線強度をPn−1,P,Pn+1としたときに、透過散乱線強度は前記隣接する3つの画素間で等しいとする(A)´´式と、
    Scn−1=Sc=Scn+1 …(A)´´
    実測強度は推定直接線強度・直接線透過率の積と透過散乱線強度・変化率の積との和に等しいとする、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の前記連立方程式(B−1)´´,(B−2)´´,(B−3)´´式と、
    n+1=Pn+1・Cpn+1+Scn+1・Rcsn+1 …(B−1)´´
    =P・Cp+Sc・Rcs …(B−2)´´
    n−1=Pn−1・Cpn−1+Scn−1・Rcsn−1 …(B−3)´´
    各画素の推定直接線強度は、隣接する画素の推定直接線強度の補間演算により求められる(C)´´式と、
    =(Pn+1+Pn−1)/2 …(C)´´
    から得られる連立方程式を解くことで、前記強度推定手段は、透過散乱線強度または推定直接線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  17. 放射線画像を得る放射線撮像装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、散乱放射線を除去する散乱放射線除去手段と、放射線を検出する複数の検出素子が行列状に構成された放射線検出手段とを備えるとともに、被検体を透過し、かつ前記散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度を、平均またはスムージング・補間により求める推定直接線強度算出手段と、その推定直接線強度算出手段で求められた推定直接線強度に基づいて、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度を求める透過散乱線強度算出手段とを備えることを特徴とする放射線撮像装置。
  18. 放射線画像を得る放射線撮像装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、散乱放射線を除去する散乱放射線除去手段と、放射線を検出する複数の検出素子が行列状に構成された放射線検出手段とを備えるとともに、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度を、平均またはスムージング・補間により求める透過散乱線強度算出手段と、その透過散乱線強度算出手段で求められた透過散乱線強度に基づいて、被検体を透過し、かつ前記散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度を求める推定直接線強度算出手段とを備えることを特徴とする放射線撮像装置。
  19. 放射線画像を得る放射線撮像装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、散乱放射線を除去する散乱放射線除去手段と、放射線を検出する複数の検出素子が行列状に構成された放射線検出手段とを備えるとともに、前記放射線画像を構成する各々の画素のうち、所定の画素を特定する画素特定手段と、その画素特定手段で特定された前記所定の画素での直接放射線強度を少なくとも推定する強度推定手段と、その強度推定手段で推定された少なくとも直接放射線強度に基づいて、特定されなかった画素での少なくとも直接放射線強度を補間する強度補間手段とを備えることを特徴とする放射線撮像装置。
  20. 請求項19に記載の放射線撮像装置において、前記散乱放射線を吸収する吸収層の配置方向が前記検出素子の行方向、列方向の少なくとも1つの方向に対して平行であり、かつ互いに隣接する前記吸収層間の間隔が、互いに隣接する前記画素間の間隔の整数倍となるように、前記散乱放射線除去手段を構成することを特徴とする放射線撮像装置。
  21. 請求項19または請求項20に記載の放射線撮像装置において、被検体のない状態での実測により求められた前記散乱放射線除去手段による直接放射線の透過前および透過後の透過率である直接線透過率を求める透過率算出手段を備えることを特徴とする放射線撮像装置。
  22. 請求項21に記載の放射線撮像装置において、前記透過率算出手段は、前記放射線照射手段と前記散乱放射線除去手段および前記放射線検出手段との離散的な距離に対して前記直接線透過率を求め、その透過率算出手段で求められた前記直接線透過率に基づいて、直接線透過率を、前記離散的な距離に前後する距離に対して補間する透過率補間手段を備えることを特徴とする放射線撮像装置。
  23. 請求項21に記載の放射線撮像装置において、前記透過率算出手段で求められた直線透過率と、被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での直接放射線強度を少なくとも推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  24. 請求項22に記載の放射線撮像装置において、前記透過率算出手段で求められた直接線透過率,前記透過率補間手段で補間された直接線透過率と、被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での直接放射線強度を少なくとも推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  25. 請求項23または請求項24に記載の放射線撮像装置において、前記強度推定手段が、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での未知である前記直接放射線強度を少なくとも推定する際に、既知である前記直接線透過率の既知の個数および既知である実測強度の既知の個数に応じて、画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を決定して、その決定された所定の画素毎の実測強度,直接線透過率および推定されるべき少なくとも直接放射線強度に関する連立方程式を解くことで、強度推定手段は直接放射線強度を少なくとも推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  26. 請求項25に記載の放射線撮像装置において、前記連立方程式の解に含まれる分母の絶対値が所定値以下の場合には、前記画素特定手段は、その連立方程式の組み合わせとなる所定の画素を選択せずに、別の所定の画素を組み合わせとして選択して特定して、その特定された所定の画素毎の前記連立方程式を解くことで、前記強度推定手段は前記直接放射線強度を少なくとも推定し、前記選択されなかった画素での少なくとも直接放射線強度については、前記強度補間手段によって補間することを特徴とする放射線撮像装置。
  27. 請求項25または請求項26に記載の放射線撮像装置において、前記推定されるべき少なくとも直接放射線強度が、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度、および前記被検体を透過し、かつ散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度であり、既知である前記直接線透過率の既知の個数および既知である前記実測強度の既知の個数に応じて、前記画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を3つと決定して、(n−1)番目の画素、それに隣接するn番目の画素、さらにそれに隣接する(n+1)番目の画素からなる3つの画素の組み合わせを特定して、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、実測強度をGn−1,G,Gn+1とするとともに、直接線透過率をCpn−1,Cp,Cpn+1とし、前記透過散乱線強度をScn−1,Sc,Scn+1とし、前記推定直接線強度をPn−1,P,Pn+1としたときに、各画素の透過散乱線強度は、隣接する画素の透過散乱線強度の補間演算により求められる(A)式と、
    Sc=(Scn+1+Scn−1)/2 …(A)
    実測強度は推定直接線強度・直接線透過率の積と透過散乱線強度との和に等しいとする、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の前記連立方程式(B−1),(B−2),(B−3)式と、
    n+1=Pn+1・Cpn+1+Scn+1 …(B−1)
    =P・Cp+Sc …(B−2)
    n−1=Pn−1・Cpn−1+Scn−1 …(B−3)
    推定直接線強度は前記隣接する3つの画素間で等しいとする(C)式と、
    n−1=P=Pn+1 …(C)
    から得られる連立方程式を解くことで、前記強度推定手段は、推定直接線強度を推定、あるいは透過散乱線強度および推定直接線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  28. 請求項25または請求項26に記載の放射線撮像装置において、前記推定されるべき少なくとも直接放射線強度が、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度、および前記被検体を透過し、かつ散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度であり、既知である前記直接線透過率の既知の個数および既知である前記実測強度の既知の個数に応じて、前記画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を3つと決定して、(n−1)番目の画素、それに隣接するn番目の画素、さらにそれに隣接する(n+1)番目の画素からなる3つの画素の組み合わせを特定して、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、実測強度をGn−1,G,Gn+1とするとともに、直接線透過率をCpn−1,Cp,Cpn+1とし、前記透過散乱線強度をScn−1,Sc,Scn+1とし、前記推定直接線強度をPn−1,P,Pn+1としたときに、推定直接線強度は既知である推定直接線分布とその変換係数との積で表され、前記変換係数をaとし、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、前記推定直接線分布をP(n−1),P(n),P(n+1)とすると、各画素の透過散乱線強度は、隣接する画素の透過散乱線強度の補間演算により求められる(A)式と、
    Sc=(Scn+1+Scn−1)/2 …(A)
    実測強度は推定直接線強度・直接線透過率の積と透過散乱線強度との和に等しいとする、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の前記連立方程式(B−1)´,(B−2)´,(B−3)´式と、
    n+1=a・P(n+1)・Cpn+1+Scn+1 …(B−1)´
    =a・P(n)・Cp+Sc …(B−2)´
    n−1=a・P(n−1)・Cpn−1+Scn−1 …(B−3)´
    から得られる連立方程式を解くことで、前記強度推定手段は、推定直接線強度を推定、あるいは透過散乱線強度および推定直接線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  29. 請求項23から請求項28のいずれかに記載の放射線撮像装置において、前記被検体のある状態での実測に基づいて前記強度推定手段で推定された少なくとも前記直接放射線強度を用いて、その少なくとも直接放射線強度に関する全ての画素についての基準強度として、平均値またはスムージング・補間計算により求められる各画素の値を求め、その値に対する各画素の変化率を求める変化率算出手段を備え、その変化率算出手段で求められた変化率を用いて、別の被検体に対する放射線撮像に反映させることを特徴とする放射線撮像装置。
  30. 請求項23から請求項28のいずれかに記載の放射線撮像装置において、被検体のない状態で、模擬的な散乱線源を用いた実測により、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度を推定し、その推定された透過散乱線強度に関する全ての画素についての基準強度として、平均値またはスムージング・補間により求められる各画素の値を求め、その値に対する各画素の変化率を求める変化率算出手段を備え、その変化率算出手段で求められた変化率を用いて、別の被検体に対する放射線撮像に反映させることを特徴とする放射線撮像装置。
  31. 請求項29または請求項30に記載の放射線撮像装置において、前記変化率算出手段は、前記放射線照射手段と前記散乱放射線除去手段および前記放射線検出手段との離散的な距離に対して前記変化率を求め、その変化率を、前記離散的な距離に前後する距離に対して補間する変化率補間手段を備えることを特徴とする放射線撮像装置。
  32. 請求項29または請求項30に記載の放射線撮像装置において、前記変化率算出手段で求められた変化率と、前記透過率算出手段で求められた直接線透過率と、前記別の被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での直接放射線強度を少なくとも推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  33. 請求項29または請求項30に記載の放射線撮像装置において、前記透過率算出手段は、前記放射線照射手段と前記散乱放射線除去手段および前記放射線検出手段との離散的な距離に対して前記直接線透過率を求め、その透過率算出手段で求められた前記直接線透過率に基づいて、直接線透過率を、前記離散的な距離に前後する距離に対して補間する透過率補間手段を備え、前記変化率算出手段で求められた変化率と、前記透過率補間手段で補間された直接線透過率と、前記別の被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での直接放射線強度を少なくとも推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  34. 請求項31に記載の放射線撮像装置において、前記変化率補間手段で補間された変化率と、前記透過率算出手段で求められた直接線透過率と、前記別の被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での直接放射線強度を少なくとも推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  35. 請求項31に記載の放射線撮像装置において、前記透過率算出手段は、前記放射線照射手段と前記散乱放射線除去手段および前記放射線検出手段との離散的な距離に対して前記直接線透過率を求め、その透過率算出手段で求められた前記直接線透過率に基づいて、直接線透過率を、前記離散的な距離に前後する距離に対して補間する透過率補間手段を備え、前記変化率補間手段で補間された変化率と、前記透過率補間手段で補間された直接線透過率と、前記別の被検体のある状態での実測での前記散乱放射線除去手段を透過した後の放射線強度である実測強度とに基づいて、前記強度推定手段は、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での直接放射線強度を少なくとも推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  36. 請求項32から請求項35のいずれかに記載の放射線撮像装置において、前記強度推定手段が、前記画素特定手段で特定された前記所定の画素での未知である前記直接放射線強度を少なくとも推定する際に、既知である前記変化率の既知の個数,既知である前記直接線透過率の既知の個数および既知である実測強度の既知の個数に応じて、画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を決定して、その決定された所定の画素毎の実測強度,変化率,直接線透過率および推定されるべき少なくとも直接放射線強度に関する連立方程式を解くことで、強度推定手段は直接放射線強度を少なくとも推定することを特徴とする放射線撮像装置。
  37. 請求項36に記載の放射線撮像装置において、前記連立方程式の解に含まれる分母の絶対値が所定値以下の場合には、前記画素特定手段は、その連立方程式の組み合わせとなる所定の画素を選択せずに、別の所定の画素を組み合わせとして選択して特定して、その特定された所定の画素毎の前記連立方程式を解くことで、前記強度推定手段は前記直接放射線強度を少なくとも推定し、前記選択されなかった画素での少なくとも直接放射線強度については、前記強度補間手段によって補間することを特徴とする放射線撮像装置。
  38. 請求項36または請求項37に記載の放射線撮像装置において、前記変化率が、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度の変化率であるとともに、前記推定されるべき少なくとも直接放射線強度が、前記別の被検体で散乱・透過し、前記散乱放射線除去手段を透過した後の散乱放射線強度である透過散乱線強度、および前記別の被検体を透過し、かつ散乱放射線除去手段を透過する前の直接放射線強度である推定直接線強度であり、既知である前記変化率の既知の個数,既知である前記直接線透過率の既知の個数および既知である前記実測強度の既知の個数に応じて、前記画素特定手段は特定されるべき所定の画素の個数を3つと決定して、(n−1)番目の画素、それに隣接するn番目の画素、さらにそれに隣接する(n+1)番目の画素からなる3つの画素の組み合わせを特定して、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎に、実測強度をGn−1,G,Gn+1とするとともに、変化率をRcsn−1,Rcs,Rcsn+1とし、直接線透過率をCpn−1,Cp,Cpn+1とし、前記透過散乱線強度をScn−1,Sc,Scn+1とし、前記推定直接線強度をPn−1,P,Pn+1としたときに、透過散乱線強度は前記隣接する3つの画素間で等しいとする(A)´´式と、
    Scn−1=Sc=Scn+1 …(A)´´
    実測強度は推定直接線強度・直接線透過率の積と透過散乱線強度・変化率の積との和に等しいとする、前記隣接する3つの画素(n−1),n,(n+1)毎の前記連立方程式(B−1)´´,(B−2)´´,(B−3)´´式と、
    n+1=Pn+1・Cpn+1+Scn+1・Rcsn+1 …(B−1)´´
    =P・Cp+Sc・Rcs …(B−2)´´
    n−1=Pn−1・Cpn−1+Scn−1・Rcsn−1 …(B−3)´´
    各画素の推定直接線強度は、隣接する画素の推定直接線強度の補間演算により求められる(C)´´式と、
    =(Pn+1+Pn−1)/2 …(C)´´
    から得られる連立方程式を解くことで、前記強度推定手段は、推定直接線強度を推定、あるいは透過散乱線強度および推定直接線強度を推定することを特徴とする放射線撮像装置。
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