JP5423317B2 - 増幅器、送信器および増幅方法 - Google Patents

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Description

本発明は、増幅器、送信器および増幅方法に関する。
D級・E級・F級などのスイッチングアンプは、高効率アンプとして知られている。スイッチングアンプは、理想的には、入力信号を100%の効率で増幅できる。
D級アンプは、PWM(Pulse Width Modulation)またはPDM(Pulse Density Modulation)といった1bitデジタル信号との相性が良い。このため、D級アンプは、オーディオ信号などの増幅に広く利用されている。D級アンプは、例えば、トランジスタのスイッチングを利用して入力信号を増幅する。このため、D級アンプは、半導体技術の向上に伴う回路動作の高速化により、今後、無線通信などの分野でも幅広く適用されてゆくことが期待されている。
図7は、D級アンプを用いた増幅器を示した図である。図7において、増幅器は、信号入力端子701、デジタル変調器(ΔΣ変調器)702、D級アンプ703、および、ローパスフィルタ(積分回路)704を有する。増幅器は、負荷705に、増幅した信号を供給する。
図10(a)は、信号入力端子701に入力される信号を示す図である。図10(b)は、D級アンプ703が出力する信号を示す図である。
図7において、信号入力端子701に入力された信号(図10(a)参照)は、デジタル変調器702によって1bitデジタル信号に変換される。デジタル変調器702から出力された1bitデジタル信号は、D級アンプ703によって増幅され、その後、ローパスフィルタ704を介して負荷705に供給される。
D級アンプ703の出力信号(図10(b)参照)が取る2つの値は、D級アンプ703の電源電圧における高電位側の電圧(VDD)と低電位側の電圧(-VDD)である。ローパスフィルタ704は、D級アンプ703の出力信号(図10(b)参照)から、D級アンプ703のスイッチング周期に応じた高周波成分を取り除く。このため、ローパスフィルタ704から負荷705に供給される信号は、図10(a)に示した信号が線形増幅された信号となる。
D級アンプは、効率が高い反面、1bit信号しか増幅することができない。このため、図7に示した増幅器では、D級アンプの前段のデジタル変調器に、増幅器のSNR(Signal to Noise Ratio)を高く取るための工夫を施す必要がある。この工夫としては、例えば、オーバーサンプリングまたは高次のΔΣ変調器を用いたノイズシェイピングがある。
しかし、オーバーサンプリングまたはノイズシェイピングを実現するためには、高速なクロックまたは複雑なフィードバック回路が必要となる。このため、オーバーサンプリングまたはノイズシェイピングを行う回路を実装することは非常に困難となる。
デジタル変調器のSNRを、高速なオーバーサンプリングまたは複雑なノイズシェイピングを利用せずに改善するには、デジタル変調器の出力を多bit信号にすることが好ましい。
しかし、D級アンプは1bit信号しか増幅できないため、図7に示したD級アンプ703の前段のデジタル変調器702の出力を多bit信号にすることはできない。
特許文献1には、2つのD級アンプを用いて3値のデジタル信号を増幅することによって、SNRを高くする増幅器が記載されている。
図8は、特許文献1に記載の増幅器を示した図である。
図8において、増幅器は、信号入力端子801、デジタル変調器(ΔΣ変調器)802、D級アンプ803および804、ローパスフィルタ(積分回路)805および806を有する。増幅器は、負荷807に、増幅した信号を供給する。
信号入力端子801に入力された信号は、デジタル変調器802によって3値のデジタル信号に変換される。デジタル変調器802の出力信号は、D級アンプ803および804によって増幅され、その後、ローパスフィルタ805および806を介して負荷807に供給される。
負荷807は、入力用の2端子を有する。入力用の2端子のうち片方の端子は、ローパスフィルタ805の出力に接続され、他方の端子はローパスフィルタ806の出力に接続されている。
図8に示した回路のように、2つのD級アンプを使用して負荷を駆動する回路構成は、フルブリッジ回路(または、Hブリッジ回路)と呼ばれており、1bit(2値)のデジタル信号を増幅する回路として知られている。
図8に示した増幅器では、D級アンプ803および804の動作方法を工夫することで3値の信号が増幅される。
図9は、D級アンプ803および804を用いて3値の信号を表現する方法を示す図である。
まず、D級アンプ803の出力信号の電位がD級アンプ804の出力信号の電位よりも高い状態を「プラス」と定義する。そして、デジタル変調器802の出力信号が「+1」であるとき、D級アンプ803の出力信号はHighでD級アンプ804の出力信号はLowの状態を取るとする。すると、D級アンプ803の出力状態がLowでD級アンプ804の出力信号がLowの状態が、デジタル変調器802の出力信号が「0」である状態を表現し、D級アンプ803の出力信号がLowでD級アンプ804の出力信号がHighの状態が、デジタル変調器802の出力信号が「−1」である状態を表現することになる。
図10(c)は、信号入力端子801に図10(a)に示す信号が入力された状況で、D級アンプ803から出力される信号から、D級アンプ804から出力される信号を、差し引いた値(差)を示した図である。
図8に示した増幅器では、デジタル変調器802の出力信号が3値となっているため、2値の信号を増幅する図7に示した増幅器に比べてSNRが改善されやすくなる。
特開2008−167072号公報
D級アンプを使用した増幅器では、効率とSNRを同時に改善することが課題となる。この課題を解決する方法としては、D級アンプで増幅される信号を多値化することが好ましい。
しかし、特許文献1に記載のD級アンプを使用した増幅器では、最大でも3値までの信号しか増幅できないという課題があった。
本発明の目的は、上述した課題を解決可能な増幅器、送信器および増幅方法を提供することである。
本発明の増幅器は、
1ビットの第1情報と1ビットの第2情報とによって構成される入力信号を増幅する増幅器であって、
第1電源電圧が供給されている状況で前記第1情報を受け付けると、当該第1情報が示す値に応じて、前記第1電源電圧の高電位側電圧と、前記第1電源電圧の低電位側電圧と、を択一的に出力する第1アンプと、
前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧が供給されている状況で前記第2情報を受け付けると、当該第2情報が示す値に応じて、前記第2電源電圧の高電位側電圧と、前記第2電源電圧の低電位側電圧と、を択一的に出力する第2アンプと、
前記第1アンプの出力を積分する第1積分回路と、
前記第2アンプの出力を積分する第2積分回路と、
前記第1積分回路の出力と前記第2積分回路の出力とを、前記入力信号の増幅結果として出力する出力部と、を含む。
本発明の送信器は、上記増幅器と、前記増幅器に含まれる第1積分回路の出力と前記増幅器に含まれる第2積分回路の出力との差を求め当該差を出力するバランと、前記バランの出力に応じた無線信号を送信するアンテナと、を含む。
本発明の増幅方法は、
1ビットの第1情報と1ビットの第2情報とによって構成される入力信号を増幅する増幅器が行う増幅方法であって、
第1アンプが、第1電源電圧が供給されている状況で前記第1情報を受け付けると、当該第1情報が示す値に応じて、前記第1電源電圧の高電位側電圧と、前記第1電源電圧の低電位側電圧と、を択一的に出力する第1出力ステップと、
第2アンプが、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧が供給されている状況で前記第2情報を受け付けると、当該第2情報が示す値に応じて、前記第2電源電圧の高電位側電圧と、前記第2電源電圧の低電位側電圧と、を択一的に出力する第2出力ステップと、
前記第1アンプの出力を積分する第1積分ステップと、
前記第2アンプの出力を積分する第2積分ステップと、
前記第1積分ステップでの出力と前記第2積分ステップでの出力とを、前記入力信号の増幅結果として出力する第3出力ステップと、を含む。
本発明によれば、D級アンプを用いて4値のデジタル信号を増幅することが可能となり、高いSNRの増幅器を実現することが可能になる。
本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態にて、2bitの信号を表現するためのD級アンプの制御法を示す図である。 本発明の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。 第2の実施形態にて、2bitの信号を表現するためのD級アンプの制御法を示す図である。 本発明の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態における電力増幅器において、負荷の別構成を示したブロック図である。 D級アンプを使用した増幅器の関連技術を示すブロック図である。 3値出力のD級アンプを使用した増幅器の関連技術を示す図である。 図8に示した増幅器において、3値の信号を表現するためのD級アンプの制御法を示す図である。 増幅器の入出力信号を示したタイムチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の電力増幅器(以下、単に「増幅器」と称する)を示した図である。
図1において、増幅器100は、信号入力端子(以下、単に「入力端子」と称する)101および102、D級アンプ(スイッチングアンプ)103および104、ローパスフィルタ(積分回路)105および106、および、出力部107を有する。入力端子101とD級アンプ103は、アンプ11に含まれる。入力端子102とD級アンプ104は、アンプ12に含まれる。増幅器100は、負荷108に、増幅した信号を供給する。
入力端子101および102は、それぞれ、D級アンプ103の入力部103aおよびD級アンプ104の入力部104aにつながっている。1ビットの第1情報と1ビットの第2情報とによって構成される入力信号が、入力端子101および102によって受け付けられる。入力端子101は、入力信号のうち第1情報を受け付ける。入力端子102は、入力信号のうち第2情報を受け付ける。
D級アンプ103には、第1電源電圧が供給される。D級アンプ103は、第1電源電圧が供給されている状況で入力端子101から第1情報を受け付けると、第1情報が示す値に応じて、第1電源電圧のhigh側電圧(高電位側電圧)と、第1電源電圧のlow側電圧(低電位側電圧)と、を択一的に出力する。
アンプ11は、一般的に第1アンプと呼ぶことができる。
アンプ11は、入力端子101とD級アンプ103とを含むため、第1電源電圧が供給されている状況で第1情報を受け付けると、第1情報が示す値に応じて、第1電源電圧のhigh側電圧と、第1電源電圧のlow側電圧と、を択一的に出力する。
D級アンプ104には、第1電源電圧と異なる第2電源電圧が供給される。D級アンプ104は、第2電源電圧が供給されている状況で入力端子102から第2情報を受け付けると、第2情報が示す値に応じて、第2電源電圧のhigh側電圧(高電位側電圧)と、第2電源電圧のlow側電圧(低電位側電圧)と、を択一的に出力する。
アンプ12は、一般的に第2アンプと呼ぶことができる。
アンプ12は、入力端子102とD級アンプ104とを含むため、第2電源電圧が供給されている状況で第2情報を受け付けると、第2情報が示す値に応じて、第2電源電圧のhigh側電圧と、第2電源電圧のlow側電圧と、を択一的に出力する。
積分回路であるローパスフィルタ105は、一般的に第1積分回路と呼ぶことができる。ローパスフィルタ105は、D級アンプ103のスイッチング周期成分をカットして、D級アンプ103の出力を積分する。
積分回路であるローパスフィルタ106は、一般的に第2積分回路と呼ぶことができる。ローパスフィルタ106は、D級アンプ104のスイッチング周期成分をカットして、D級アンプ104の出力を積分する。
出力部107は、ローパスフィルタ105の出力とローパスフィルタ106の出力とを、入力信号の増幅結果として、負荷108に出力する。本実施形態では、出力部107は、ローパスフィルタ105の出力とローパスフィルタ106の出力とを、駆動電源電圧として、負荷108に出力する。
負荷108は、入力用の2端子を有する。入力用の2端子のうち片方の端子は、ローパスフィルタ105の出力に接続され、他方の端子はローパスフィルタ106の出力に接続されている。
本実施形態では、D級アンプ103の電源電圧(第1電源電圧)は、high側(高電位側)とlow側(低電位側)の両方とも、D級アンプ104の電源電圧(第2電源電圧)の2倍の電圧となっている。本実施形態において、出力振幅を図7に示した回路と合わせる場合は、D級アンプ103の電源電圧は±2VDD/3となり、D級アンプ104の電源電圧は±VDD/3となる。
図2は、D級アンプ103および104のそれぞれの出力信号を用いて4値の信号を表現する制御方法を示す図である。
まず、D級アンプ103の出力信号がD級アンプ104の出力信号に比べて電位が高い状態をプラスと定義する。そして、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のHigh側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のLow側電圧である状態のときに「+1」を表すものとする。
すると、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のHigh側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のHigh側電圧である状態が「+1/3」を表現し、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のLow側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のLow側電圧である状態が「−1/3」を表現し、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のLow側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のHigh側電圧である状態が「−1」を表現することになる。
よって、D級アンプ103および104のそれぞれの出力を用いて4値の信号を表現することができる。
本実施形態では、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のHigh側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のLow側電圧である状態のときに、4つの値のうち最大値が出力される。
そして、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のHigh側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のHigh側電圧である状態のときに、4つの値のうち上から2番目の値が出力される。
そして、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のLow側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のLow側電圧である状態のときに、4つの値のうち上から3番目の値が出力される。
そして、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のLow側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のHigh側電圧である状態のときに、4つの値のうち最小値が出力される。
図10(d)は、図10(a)に示した信号を増幅器100で増幅した際のD級アンプ103および104の出力信号を示す図である。
本実施形態によれば、アンプ11は、第1電源電圧が供給されている状況で第1情報を受け付けると、第1情報が示す値に応じて、第1電源電圧のhigh側電圧と、第1電源電圧のlow側電圧と、を択一的に出力する。アンプ12は、第2電源電圧が供給されている状況で第2情報を受け付けると、第2情報が示す値に応じて、第2電源電圧のhigh側電圧と、第2電源電圧のlow側電圧と、を択一的に出力する。ローパスフィルタ105は、D級アンプ103の出力を積分する。ローパスフィルタ106は、D級アンプ104の出力を積分する。出力部107は、ローパスフィルタ105の出力とローパスフィルタ106の出力とを、入力信号の増幅結果として、負荷108に出力する。
このため、D級アンプを用いた増幅器の出力で4値の信号を表現できるようになる。したがって、4値のデジタル信号である入力信号を増幅することが可能となり、SNRの高い電力増幅器を実現することが容易になる。
本実施形態では、第1電源電圧は、第2電源電圧の2倍の電源電圧である。この場合、増幅器が出力可能な4値の間隔を等しくすることが可能になる。
第1電源電圧の高電位側電圧はM(Mは正数)ボルトであり、第1電源電圧の低電位側電圧は−Mボルトであり、第2電源電圧の高電位側電圧はM/2ボルトであり、第2電源電圧の低電位側電圧は−M/2ボルトであることが望ましい。
また、第1電源電圧の電圧と第2電源電圧の関係は、等しい値でなければ2倍以外でもかまわない。だだし、増幅器が出力可能な4値の間隔は等しくならない。たとえば、第1電源電圧の高電位側電圧をM(Mは正数)ボルト、第1電源電圧の低電位側電圧を−Mボルトにし、第2電源電圧の高電位側電圧をM/3ボルト、第2電源電圧の低電位側電圧を−M/3ボルトにしたとする。このとき出力可能な電位は、4M/3ボルト、2M/3ボルト、−2M/3ボルト、−4M/3ボルトの4値になる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図3は、本発明の第2実施形態の増幅器を示した図である。図3において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
図3において、増幅器300は、ローパスフィルタ105および106の代わりに、バンドパスフィルタ305および306を有する点と、D級アンプ103および104に供給される電源電圧が増幅器100に供給される電源電圧と異なる点とが、増幅器100と異なる。
積分回路であるバンドパスフィルタ305は、第1積分回路と呼ぶことができる。バンドパスフィルタ305は、DC(Direct current)成分およびD級アンプ103のスイッチング周期成分をカットして、D級アンプ103の出力を積分する。
積分回路であるバンドパスフィルタ306は、第2積分回路と呼ぶことができる。バンドパスフィルタ306は、DC成分およびD級アンプ104のスイッチング周期成分をカットして、D級アンプ104の出力を積分する。
出力振幅を図7に示した回路と合わせる場合、D級アンプ103の電源電圧の高電位側電圧として+4VDD/3が用いられ、D級アンプ103の電源電圧の低電位側電圧として接地電圧(GND)つまり0Vが用いられ、D級アンプ104の電源電圧の高電位側電圧として+2VDD/3が用いられ、D級アンプ104の電源電圧の低電位側電圧として接地電圧(GND)つまり0Vが用いられる。
このため、増幅器300は、第1実施形態の増幅器100に比べて、使用する電源の数を少なくできる。具体的には、増幅器100が、D級アンプ103および104の電源電圧として、4種類の電源電圧を使用するのに対して、増幅器300は、D級アンプ103および104の電源電圧として、2種類の電圧とグランドとを使用する。
なお、本実施形態では、電源の数が減る代わりに、2つのD級アンプ103および104から出力される信号に、DCレベルのオフセットが存在する。このため、バンドパスフィルタ305および306が必要になる。したがって、DC近傍の周波数成分を必要とするような用途には不向きである。
図4は、図3に示したD級アンプ103および104のそれぞれの出力信号を用いて4値の信号を表現する制御方法を示す図である。
まず、D級アンプ103の出力信号がD級アンプ104の出力信号に比べて電位が高い状態をプラスと定義する。そして、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のHigh側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のLow側電圧である状態のときに「+4/3」を表すものとする。
すると、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のHigh側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のHigh側電圧である状態が「+2/3」を表現し、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のLow側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のLow側電圧である状態が「0」を表現し、D級アンプ103の出力信号が第1電源電圧のLow側電圧でD級アンプ104の出力信号が第2電源電圧のHigh側電圧である状態が「−2/3」を表現することになる。
図2と図4に示したように、第2実施形態での出力信号は、第1実施形態の出力信号を「+1/3」だけオフセットしたものになる。
なお、実際に負荷108に供給される電力は、DC成分をカットするバンドパスフィルタ305および306を介して供給されるため、DCオフセット分はカットされる。
本実施形態では、第1電源電圧の高電位側電圧は2N(Nは正数)ボルトであり、第1電源電圧の低電位側電圧は0ボルトであり、第2電源電圧の高電位側電圧はNボルトであり、第2電源電圧の低電位側電圧は0ボルトである。この場合、電源電圧の種類を減らすことができる。
また、第1電源電圧の電圧と第2電源電圧の関係は、等しい値でなければ2倍以外でもかまわない。だだし、増幅器が出力可能な4値の間隔は等しくならない。たとえば、第1電源電圧の高電位側電圧を3N(Nは正数)ボルト、第1電源電圧の低電位側電圧を0ボルトにし、第2電源電圧の高電位側電圧をNボルト、第2電源電圧の低電位側電圧を0ボルトにしたとする。このとき出力可能な電位は、3Nボルト、2Nボルト、0ボルト、−Nボルトの4値になる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図5は、本発明の第3実施形態を示した図である。図5において、図3に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
図5に示した送信器では、第2実施形態の増幅器300(図3参照)が、無線信号通信に用いられるトランシーバ回路で使用されている。送信器内のトランシーバ回路ではDC信号を増幅する必要がないため、増幅器300はトランシーバ回路と相性がよい。なお、増幅器300の代わりに増幅器100が使用されてもよい。
図5において、送信器は、ベースバンド部511と、変調器52と、増幅器300と、負荷108と、を有する。なお、ベースバンド部511と変調器52と増幅器300とは、電力増幅器に含まれる。
ベースバンド部511は、通信に使用するI(in-phase)信号およびQ(quadrature phase) 信号を生成する。ベースバンド部511は、I信号出力端子512とQ信号出力端子513を持ち、I信号出力端子512からI信号を出力し、Q信号出力端子513からQ信号を出力する。
変調器52は、一般的に変調部と呼ぶことができる。
変調器52は、ベースバンド部511にて生成されたI信号およびQ信号に基づいて、増幅器300用の入力信号を生成する。変調器52は、その入力信号を構成する第1情報をD級アンプ103に供給し、その入力情報を構成する第2情報をD級アンプ104に供給する。
変調器52は、搬送波生成器521、移相器522、乗算器523および524、加算器525、並びに、バンドパスΔΣ変調器526を有する。
搬送波生成器521は、無線通信に用いる搬送波(以下「第1搬送波」と称する)を生成し、第1搬送波を移相器522に出力する。
移相器522は、搬送波生成器521から第1搬送波を受け付けると、第1搬送波から任意の位相(例えば、0度)だけ位相が遅延した搬送波(以下「第2搬送波」と称する)と、第2搬送波から90度だけ位相が回転した(例えば、第2搬送波から90度だけ位相が遅れた)搬送波(以下「第3搬送波」と称する)と、を生成する。
移相器522は、第2搬送波を乗算器523に出力し、第3搬送波を乗算器524に出力する。
乗算器523は、第1乗算器と呼ぶことができる。乗算器523は、I信号出力端子512から出力されたI信号と移相器522から出力された第2搬送波とを乗算し、その乗算結果を加算器525に出力する。
乗算器524は、第2乗算器と呼ぶことができる。乗算器524は、Q信号出力端子513から出力されたQ信号と移相器522から出力された第3搬送波とを乗算し、その乗算結果を加算器525に出力する。
加算器525は、乗算器523の出力(乗算結果)と乗算器524の出力(乗算結果)を加算する処理を行い、その加算結果を、バンドパスΔΣ変調器526に出力する。
バンドパスΔΣ変調器526は、加算器525からの入力信号を、2bitの信号、つまり、増幅器300用の入力信号に変換し、2bitの信号のうちの1bitの情報(第1情報)を入力端子101を介してD級アンプ103に供給し、2bitの信号のうちの残りの1bitの情報(第2情報)を入力端子102を介してD級アンプ104に供給する。
図6は、第3実施形態で使用される負荷108を示した図である。
図6において、負荷108は、バラン3071とアンテナ3072とを有する。
バラン3071は、バンドパスフィルタ(積分回路)305の出力とバンドパスフィルタ(積分回路)306の出力との差を求め、その差をアンテナ3072に出力する。これにより、2つのD級アンプ103および104の出力信号の差分が、バンドパスフィルタ305および306を介して、アンテナ3072に供給される。
本実施形態では、変調器52は、ベースバンド部511にて生成されたI信号およびQ信号に基づいて、増幅器300用の入力信号を生成し、その入力信号を構成する第1情報をD級アンプ103に供給し、その入力情報を構成する第2情報をD級アンプ104に供給する。
この場合、ベースバンド部511にて生成されたI信号およびQ信号を、D級アンプを用いて増幅することが可能になる。
また、本実施形態では、バラン3071は、バンドパスフィルタ305の出力とバンドパスフィルタ306の出力との差を求め、その差をアンテナ3072に出力する。このため、I信号およびQ信号に応じた情報を無線送信することが可能になる。
なお、上記各実施形態において、D級アンプ103および104は、半導体スイッチ、機械スイッチ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スイッチなどのスイッチを用いて構成することができる。
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
100、300 増幅器
101、102 信号入力端子
103、104 D級アンプ
103a、104a 入力部
105、106 ローパスフィルタ
107 出力部
108 負荷
305、306 バンドパスフィルタ
11、12 アンプ
511 ベースバンド部
512 I信号出力端子
513 Q信号出力端子
52 変調器
521 搬送波発生器
522 移相器
523、524 乗算器
525 加算器
526 バンドパスΔΣ変調器
3071 バラン
3072 アンテナ

Claims (11)

  1. 1ビットの第1情報と1ビットの第2情報とによって構成される入力信号を増幅する増幅器であって、
    第1電源電圧が供給されている状況で前記第1情報を受け付けると、当該第1情報が示す値に応じて、前記第1電源電圧の高電位側電圧と、前記第1電源電圧の低電位側電圧と、を択一的に出力する第1アンプと、
    前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧が供給されている状況で前記第2情報を受け付けると、当該第2情報が示す値に応じて、前記第2電源電圧の高電位側電圧と、前記第2電源電圧の低電位側電圧と、を択一的に出力する第2アンプと、
    前記第1アンプの出力を積分する第1積分回路と、
    前記第2アンプの出力を積分する第2積分回路と、
    前記第1積分回路の出力と前記第2積分回路の出力とを、前記入力信号の増幅結果として出力する出力部と、を含み、
    4値のデジタル信号である前記入力信号を増幅する、増幅器。
  2. 前記入力信号は2ビット信号であり、前記2ビット信号である入力信号を増幅する、請求項1に記載の増幅器。
  3. 前記第1電源電圧は、前記第2電源電圧の2倍の電源電圧である、請求項1または2に記載の増幅器。
  4. 前記第1電源電圧の高電位側電圧は、M(Mは正数)ボルトであり、
    前記第1電源電圧の低電位側電圧は、−Mボルトであり、
    前記第2電源電圧の高電位側電圧は、M/2ボルトであり、
    前記第2電源電圧の低電位側電圧は、−M/2ボルトである、請求項1から3のいずれか1項に記載の増幅器。
  5. 前記第1電源電圧の高電位側電圧は、2N(Nは正数)ボルトであり、
    前記第1電源電圧の低電位側電圧は、0ボルトであり、
    前記第2電源電圧の高電位側電圧は、Nボルトであり、
    前記第2電源電圧の低電位側電圧は、0ボルトである、請求項1から3のいずれか1項に記載の増幅器。
  6. 通信に使用するI信号およびQ信号を生成するベースバンド部と、
    前記ベースバンド部にて生成されたI信号およびQ信号に基づいて、前記入力信号を生成し、当該入力信号を構成する第1情報を前記第1アンプに供給し、当該入力情報を構成する第2情報を前記第2アンプに供給する変調部と、をさらに含む、請求項1からのいずれか1項に記載の増幅器。
  7. 前記変調器が、
    第1搬送波を生成する搬送波生成器と、
    前記搬送波生成器にて生成された第1搬送波を受け付けると、当該第1搬送波から任意の位相だけ位相が遅延した第2搬送波と、前記第2搬送波から90度だけ位相が回転した第3搬送波と、を生成する移相器と、
    前記ベースバンド部にて生成されたI信号と、前記移相器にて生成された第2搬送波と、を乗算する第1乗算器と、
    前記ベースバンド部にて生成されたQ信号と、前記位相器にて生成された第3搬送波と、を乗算する第2乗算器と、
    前記第1乗算器の乗算結果と前記第2乗算器の乗算結果とを加算する加算器と、
    前記加算器の加算結果に基づいて、前記入力信号を生成し、当該入力信号を構成する第1情報を前記第1アンプに供給し、当該入力情報を構成する第2情報を前記第2アンプに供給するバンドパスΔΣ変調器と、を含む、請求項に記載の増幅器。
  8. 請求項1からのいずれか1項に記載された増幅器と、
    前記増幅器に含まれる第1積分回路の出力と前記増幅器に含まれる第2積分回路の出力との差を求め、当該差を出力するバランと、
    前記バランの出力に応じた無線信号を送信するアンテナと、を含む送信器。
  9. 1ビットの第1情報と1ビットの第2情報とによって構成される入力信号を増幅する増幅器が行う増幅方法であって、
    第1アンプが、第1電源電圧が供給されている状況で前記第1情報を受け付けると、当該第1情報が示す値に応じて、前記第1電源電圧の高電位側電圧と、前記第1電源電圧の低電位側電圧と、を択一的に出力する第1出力ステップと、
    第2アンプが、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧が供給されている状況で前記第2情報を受け付けると、当該第2情報が示す値に応じて、前記第2電源電圧の高電位側電圧と、前記第2電源電圧の低電位側電圧と、を択一的に出力する第2出力ステップと、
    前記第1アンプの出力を積分する第1積分ステップと、
    前記第2アンプの出力を積分する第2積分ステップと、
    前記第1積分ステップでの出力と前記第2積分ステップでの出力とを、前記入力信号の増幅結果として出力する第3出力ステップと、を含み、
    4値のデジタル信号である前記入力信号を増幅する、増幅方法。
  10. 前記入力信号は2ビット信号であり、前記2ビット信号である入力信号を増幅する、請求項9に記載の増幅方法。
  11. 前記第1電源電圧は、前記第2電源電圧の2倍の電源電圧である、請求項9または10に記載の増幅方法。
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