以下、本発明の実施形態に係る回胴式遊技機Aについて図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは遊技媒体に遊技メダルを用いる回胴式遊技機を例にする。
図1は本実施形態に係る回胴式遊技機Aの外観斜視図である。
回胴式遊技機Aは、各種制御基板や回胴機構部材を収納した筐体1に、開閉自在に取り付けられた前扉5を有する。前扉5の上部2の中央には、演出報知装置としての液晶表示装置3の表示画面が配設されている。この表示画面には回胴遊技の進行に応じてキャラクターや文字、数字、メッセージ等が画像表示され、当選役の報知演出等の各種表示演出を行えるようになっている。液晶表示装置3の両側には、一対の上部スピーカ4が配設されており、液晶表示装置3による画像演出と同調して、各種の効果音等による音響演出を行えるようになっている。演出報知装置としては、カラー液晶に限らず、例えばカラーEL(エレクトロルミネッセンス)、カラープラズマディスプレイ装置、電子ペーパディスプレイ、7セグメント、LEDドット表示器等を用いた表示装置を使用することができる。
前扉5の略中央で、液晶表示装置3の下方には、図柄表示窓8が設けられている。図柄表示窓8は透明パネルからなり、図柄表示窓8を通じて、リール(回胴)8a、8b、8cが視認可能に筐体1内部に配置されている。リール8a〜8cにより、図柄表示窓8に表示される図柄を可変表示(変動)させる回胴表示部が構成されている。リール8a〜8cは、パルスモータ(図示せず)の回転軸に取り付けられ、そのモータ駆動により一定速度で回転駆動される。リール8a〜8cの外周面には、21個の図柄が回転方向に沿って形成されている。図柄表示窓8からは、各リール8a〜8cの図柄のうち、所定数、例えば3個ずつの図柄が視認可能となっている。本実施形態においては、リール表面に図柄を配し、リール回転によって図柄を変動する回胴表示部を用いているが、これに限らず、例えば無端ベルトの表面に図柄を配し、これを回転することにより図柄を変動する回胴表示部を使用することも可能であり、リール、ドラム、ベルト等の機械式回胴表示部の他に、擬似的に回胴及びその変動を画像表示するディスプレイを使用することも可能である。
図柄表示窓8には、各リールの停止図柄が3駒分視認される図柄停止有効領域が設けられている。図2は図柄表示窓8に設定された、各種当選役の入賞を確定するための4つの有効ラインL1〜L4を示す。有効ラインL1とL2は斜めラインであり、有効ラインL3及びL4は夫々、谷型、山型ラインであり、所謂、変則4ラインによって、入賞位置を特定する入賞位置特定形態が構成されている。リール8a〜8cの夫々の図柄停止位置はE11〜E13、E21〜E23、E31〜E33の合計9駒である。有効ラインL1はE11−E22−E33の停止位置の配置からなる。有効ラインL2はE13−E22−E31の停止位置の配置からなる。有効ラインL3はE11−E22−E31の停止位置の配置からなる。有効ラインL4はE13−E22−E33の停止位置の配置からなる。有効ラインの設定は入賞率の決定、押し順ARTの図柄停止制御等に関係するが、本発明においては、上記変則4ラインに限らず、図柄配列や出玉率の設計等に応じて各種有効ラインの組合せが可能であり、ライン数を3本以下又は5本にしてもよい。回胴式遊技機Aは、1遊技に供するメダル数が3枚必要とされる所謂3枚専用の回胴遊技機である。メダルが3枚投入されることにより遊技可能を表す有効化表示器(図示せず)が図柄表示窓8周辺のパネル面に配設されている。
図3は各リール8a〜8cに形成した図柄配列帯及び図柄種を示す。同図(3A)は各リール8a〜8cの図柄配列帯を示し、同図(3B)は図柄配列帯に配置される8種の図柄を示す。(3A)の左回胴、中回胴及び右回胴は夫々、リール8a〜8cの図柄配列帯に対応している。各図柄配列帯はリールに巻き付けられるリールテープからなり、テープ面には、内部抽選により当選した役(以下、「当選役」とも称する)に対応する図柄の組合せを構成するための図柄が印刷形成されている。本実施形態の図柄には、(3B)に示すように、赤7(符号31)、青7(符号32)、チェリー(符号33)、スイカ(符号34)、ベル(符号35)、ブランク(符号36)、リプレイ1(RP1:符号37)及びリプレイ2(RP2:符号38)の計8種類の図柄が使用されている。これらの図柄は各リールの外周面に沿って計21駒配置され、図柄の並び順に沿って図柄番号0番〜20番の駒番号が割り当てられている。ブランク36はキャラクターや文字の表記がない図柄である。
図柄表示窓8の下部には、BETランプ23、クレジット表示部24及び払出枚数表示部25からなるパネル表示部7が配設されている。BETランプはメダル投入(設定)枚数の1〜3枚に応じて点灯するランプからなり、1ゲームを行うために賭けられたメダル数(以下「BET数」という。)に応じて点灯する。クレジット表示部24及び払出枚数表示部25は7セグメントLEDによって構成されている。回胴式遊技機Aは投入メダルの枚数を予め記憶して貯留するクレジット機能を有し、クレジット表示部24にはクレジットされている残メダル枚数が表示される。回胴式遊技機Aにクレジットされる最大枚数は50枚であり、クレジット表示部24に表示されるクレジット枚数は50枚以下となる。なお、最大枚数の50枚がクレジットされている状態で、メダルを更に投入してもそのまま排出されて返却される。払出枚数表示部25は入賞時に払い出されるメダル枚数を表示する。払出枚数表示部25はボーナスゲームの遊技情報を表示する表示機能も有し、ボーナスゲーム中にはボーナスゲームで獲得した総払出枚数が累積表示される。
図柄表示窓8の更に下方には、遊技者が操作する操作部9が設けられている。操作部9には前方に緩やかに傾斜した傾斜部と、前扉1の前面側に設けた正面部からなる。操作部9の該傾斜部には、遊技媒体である遊技メダルを投入するためのメダル投入口10と、クレジットされた貯留枚数範囲内において、1ゲームに対して許容される賭け数の上限値(1ゲームに対して投入可能な遊技メダル数)まで遊技メダルを一度に投入(設定)するためのMAXベットボタン11、押した回数に応じて上記賭け数の上限値まで遊技メダルを加算的に設定するための1ベットボタン13、クレジット精算を行うための貯留メダル精算ボタン12が設けられている。MAXベットボタン11を押下して、メダル貯留残数が十分あるときには、賭け枚数が最大賭け枚数、つまり3枚に設定され、貯留残数が最大賭け枚数に満たない場合には、貯留残数全てが賭け枚数に加算される。
図柄表示窓8の左右両側の前扉5側部には、遊技演出を電飾表示するための装飾ランプ部6が設けられている。装飾ランプ部6は、RGB発光可能なLEDからなり、その発光色の種類や発光態様による光演出効果を発揮する。
操作部9の正面部には、リール8a〜8cの回転を開始させるための始動スイッチである回胴回転始動レバー15と、各リール8a〜8cに対応して設けられた回胴回転停止ボタン16a、16b、16cと、メダル投入口10から内部のメダル投入路に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン17が配設されている。前扉5の開放側端には前扉5の施錠状態を切り替えるための錠装置18が設けられている。
前扉5の下部14には、回胴式遊技機Aの機種名やモチーフ等に基づいた意匠デザインが形成された装飾パネル19が取り付けられており、パネル内側に設置された照明装置(図示せず)により点灯表示される。装飾パネル19の下側には、後述のメダルホッパー305により排出される賞メダル、あるいは返却操作により払い出されるメダルを排出するためのメダル払出口21と、メダル払出口21から排出されたメダルを貯留するためのメダル受皿20が設けられている。メダル払出口21の左右両側には下部スピーカ22a、22bが設けられている。メダル受皿20の横には灰皿26が配設されている。
本実施形態においては、液晶表示装置3による演出表示、上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる効果音、装飾ランプ部6の電飾効果を用いて、一般役や特別入賞役の当選、特典遊技(ART遊技)の付与等の演出、報知を視覚的且つ聴覚的に行う。演出効果手段としては、視覚、聴覚に限らず、触覚などの人間の五感を刺激することにより伝達する手段、例えば、遊技者の体に振動を伝える加振装置、骨伝導装置、送風装置等を使用することができる。
ART遊技中においては、6種類のAT役の夫々の回胴の停止操作順序を報知するための報知手段として液晶表示装置3による演出表示(例えば、停止操作手順の指示表示)、上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる効果音(例えば、停止操作順序に沿った左・中・右の指示音声)が使用される。本発明に係る報知可能状態は、ART遊技状態の移行前及び終了後の遊技状態に設定され、夫々、前段チャンスゾーン、後段チャンスゾーンと称する(以下、チャンスゾーンをCZと略す。)。前段又は後段のチャンスゾーンの遊技状態では、ART移行のための6種類の押し順リプレイの停止操作順序が所定条件の下で報知可能になっている。この所定条件は、当選リプレイの成立に有効な役情報として、当該当選に係るリプレイの押し順を含むナビ対象役、つまりAT役及び押し順リプレイの停止操作順序を報知(ナビ)する報知回数(以下、ナビポイントという。)の回数制限を満たすことに対応する。換言すれば、ナビポイント数Pがあり、且つ6択押し順リプレイが当選したときに正解の押し順が報知される。チャンスゾーン中におけるナビは、ART遊技中のAT役当選報知と同様の報知手段、つまり液晶表示装置3、上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22b等を用いて実行される。
本実施形態に係る回胴式遊技機Aの制御装置について説明する。
図4は回胴式遊技機Aの制御装置の概略構成を示す制御ブロック図である。
回胴式遊技機Aの制御装置は、遊技動作制御を統括的に司る主制御基板100と、主制御基板100から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出制御を統括的に司る演出制御基板200と、賞メダルの払出を制御する払出制御基板300と、AC24Vの外部電源から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板400とからなる。演出制御基板200は、演出I/F(インターフェイス)基板201を介して主制御基板100と接続されている。演出制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドの受信、演出内容の抽選や液晶制御基板203への液晶制御コマンドの送信、各スピーカの音制御、装飾ランプ部6等のLED発光制御等を行う。なお、図4において電源供給ルートは省略してある。
液晶制御基板203は、演出制御基板200から受信した液晶制御コマンドに基づき、液晶表示装置3の表示制御を行うために必要な制御データを生成してVDP(Video Display Processor)に出力する液晶制御用CPUと、液晶制御用CPUの動作手順を記述したプログラムを内蔵する制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する制御RAMと、液晶制御用CPUに接続されて画像展開処理を行う映像表示プロセッサVDPと、VDPが画像展開する必要な画像データを格納した画像データROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAMとを含んで構成されている。
図5は主制御基板100の構成を示す。
主制御基板100は、メインCPU102を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、メインROM103と、メインRAM104とを搭載したマイクロコンピュータ101(本実施形態ではZ80システム相当品を採用している)からなり、本発明の主制御部を構成する。マイクロコンピュータ101には、CTC(Counter Timer Circuit)105やメインCPU102に割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路106が設けられている。マイクロコンピュータ101には、周辺基板との間の信号を入出力するI/Oポート回路107、108が接続され、I/Oポート回路107、108には夫々、外部周辺基板との信号のやり取りを仲介するI/F回路109、110が接続されている。I/F回路109はスイッチ入力回路111を介して遊技中継基板150と接続されている。I/F回路110は電源基板400、払出中継基板301及び外部中継端子基板401と接続されている。更に、マイクロコンピュータ101にはカウンタ回路114及びモータ駆動回路115が接続されている。
メインROM103には、一連の遊技機制御手順が記述された制御プログラムの他、回胴の停止制御用の停止データを記述した停止テーブル(図示せず)、役を抽選するための役抽選テーブル(後述の図28参照)、入賞による払い出し枚数を設定するための入賞払出テーブル(図示せず)等の遊技動作制御に必要な所定のデータが格納されている。メインRAM104には、当選役を決定するための役の抽選に利用される抽選用乱数値や当選役情報や遊技状態情報等の遊技の進行に必要なデータを格納するためのワークエリアが形成されている。
カウンタ回路114は、ハードウェア的に一定範囲(乱数域:0〜65535)の乱数を生成する乱数生成回路と、当該乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含む。モータ駆動回路115は、マイクロコンピュータ101(メインCPU102)の制御の下、回胴(リール)駆動モータのステップモータ(左回胴駆動モータ251、中回胴駆動モータ252、右回胴駆動モータ253)を制御するための駆動パルス信号を供給し、リール8a〜8cの回転制御および停止制御を行う。メインCPU102から出力される演出制御コマンド等の信号は出力バッファ回路113を含む演出制御基板用I/F回路112を介して演出I/F基板201の入力バッファ回路202に出力される。
メインCPU102は、処理状態に応じて上記乱数発生回路により発生された乱数値を内部抽選用乱数値として取得し、内部抽選用乱数値は、主に、役に関する抽選処理に利用される。抽選処理は、主制御部を構成するマイクロコンピュータ101(メインCPU102)がリール8a〜8cの回転による単位回胴遊技(1ゲーム)の実行ごとに上記役抽選テーブルを参照して実行される。
主制御基板100には、図4に示すように、遊技中継基板150を介して、回胴回転始動レバー15の作動を検出する回胴回転始動スイッチ15aと、回胴回転停止ボタン16a〜16cの夫々の回胴回転停止スイッチ16e、16f、16gを搭載した停止スイッチ基板160と、メダル投入口10からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ10aと、MAXベットボタン11の作動を検出するMAXベットスイッチ11aと、1ベットボタン13の作動を検出する1ベットスイッチ13aと、貯留メダル精算ボタン12の作動を検出する貯留メダル精算スイッチ12aが接続され、主制御基板100は各種スイッチからの検出信号を受信可能となっている。メダル検出センサ10aはメダル投入口10から投入されたメダルが後述のメダルホッパー305のタンクに収容されるまでのメダル投入路に配置したメダル選別装置(図示せず)内に設置されている。
なお、回胴回転始動レバー15、回胴回転停止ボタン16a〜16c、MAXベットボタン11、1ベットボタン13、貯留メダル精算ボタン12には、操作部材内部にLED(図示せず)が設けられており、そのLEDの発光態様(たとえば、発光色)により、上記のレバー操作やボタン操作の有効又は無効が遊技者に報知可能となっている。
主制御基板100には、回胴中継基板250を介してリール8a〜8cを回転駆動するためのステップモータ(251、252、253)が接続され、また、各リールに設けた回胴回転位置検出センサ254、255、256が接続されている。主制御基板100の制御の下、回胴回転の後に、これら回胴位置検出センサからの検出信号を受信することにより、抽選結果と停止操作タイミングに応じて所定の位置に停止制御することが可能となっている。
図6は回胴式遊技機Aの内部構成を示す。筐体1は天板1a、側板1b、1c及び底板1dにより形成された箱体からなり、内部には、リール8a〜8c、メダルホッパー305、電源装置400a等が収納されている。リール8の上方には、主制御基板100を収納したメイン基板ボックス100aが取り付けられている。メイン基板ボックス100aの周辺には、演出制御基板200等のサブ基板も配設されている。メダルホッパー305はホッパーモータ302により駆動され、タンクに収納した収容メダルをメダル放出口305bを通じてメダル払出口21に連通した放出通路(図示せず)に向けて放出する遊技媒体払出装置である。
主制御基板100には、払出中継基板301及び払出制御基板300を介して、ホッパーモータ302と、メダル払出センサ303及び満杯検知装置304が接続されている。払出制御基板300は、払出中継基板301を介して主制御基板100からの払出制御コマンドを受けてホッパーモータ302を駆動制御する。メダル払出センサ303は前記放出通路に設置され、メダルホッパー305から払い出される遊技メダルを検出し、検出信号を払出中継基板301を介して主制御基板100に与える。主制御基板100は、入賞による遊技メダルの払い出しが必要な場合、払い出し枚数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板300に送信可能となっている。払出制御基板300は払出制御コマンドを受信してホッパーモータ302を駆動制御し、指定枚数の遊技メダルの払い出し処理を行う。払い出された遊技メダルはメダル払出センサ303により検出され、その検出信号は主制御基板100に入力され、払出完了の判定に供される。
メダルホッパー305の横には、メダルホッパー305のタンクの収容メダルがオーバーフローメダル放出口305aよりオーバーフローして溢れ出た遊技メダルを貯留する補助タンク306が配置されている。補助タンク306には、補助タンク306の満杯状態を監視する満杯検知装置304が設置されており、主制御基板100は満杯検知装置304からの検出信号を払出中継基板301を介して受信可能となっている。
図7は演出制御基板200の概略構成を示す。
演出制御基板200は、サブCPU206を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、サブROM207と、サブRAM208とを搭載したマイクロコンピュータ205からなり、本発明の副制御部を構成する。マイクロコンピュータ205には、CTC209やサブCPU206に割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路210が設けられている。また、演出制御基板200には演出I/F基板201との間の信号を入出力するI/Oポート回路211及びカウンタ回路212が設けられている。
サブROM207には、一連の演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、チャンスゾーン中の有効ナビ回数(ナビポイント)を決定するためのナビポイント抽選テーブル(図20参照)、前段チャンスゾーン及び後段チャンスゾーンの遊技モード中に用いる当選役押し順報知演出選択テーブル(図示せず)、ATモード中に用いる当選役押し順報知演出選択テーブル(図示せず)、ART遊技回数の上乗せ抽選テーブル、ART遊技の進行や遊技回数の変更を報知する演出テーブル(図示せず)等の演出動作制御に必要となる所定のデータが格納されている。サブRAM208には、演出に関する抽選に利用される演出抽選用乱数値や演出制御側の遊技状態(演出状態)情報等の演出を行うために必要なデータを格納するためのワークエリアが形成されている。また、サブRAM208にはATモードへの移行に伴ってセットされるART遊技フラグが記憶される。
カウンタ回路212はカウンタ回路114と同様に乱数生成回路とサンプリング回路を含む。サブCPU206は、演出処理状態(例えば、演出制御コマンドを受信したタイミング)に応じて当該サンプリング回路に指示を送ることにより乱数発生回路が生成している数値を演出用乱数値として取得し、この演出用乱数値は主として演出の抽選に利用される。
演出制御基板200には、主制御基板100からの演出制御コマンドを受けて光と音についての演出処理を行う機能を有し、上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bを通じて音楽、音声を出力させるための音響発生装置213に対して音響制御信号を出力する。また、装飾ランプ部6を構成するLED群を搭載したLED基板204が前扉5の内側部に取着されており、演出制御基板200はLED基板204に対してLED駆動制御信号を出力する。
演出制御基板200は演出制御コマンドに関連付けられた液晶制御コマンドを、液晶表示装置3に表示する画像再生が必要なタイミングで、液晶表示装置3の画像制御を行う液晶制御基板203に送信する。演出制御基板200は、主制御基板100から送られてくる演出制御コマンドに基づき、予め用意された複数種類の演出内容の中から抽選によりあるいは一意に決定し、この決定内容を実行指示する制御信号を必要なタイミングで、液晶制御基板203、音響発生装置213やLED基板204に送信して、各種演出内容に対応して、液晶表示装置3の演出画像と共に、効果音の再生と、装飾ランプ部6のLED点灯点滅駆動とが実現される。従って、サブCPU206を主構成とする副制御部の制御の下、回胴式遊技機Aの回胴遊技に設定されるモチーフ等に基づく演出シナリオに従い、時系列的に種々の演出内容を展開させて回胴遊技の興趣を盛り上げることができる。
演出制御基板200のサブROM207には、サブCPU206によるサブ制御の下で実行される、ART付与抽選によりART遊技を付与するか否かを決定するART付与決定処理プログラム、前段チャンスゾーン及び後段チャンスゾーンの遊技状態において、ナビ回数制限の下でAT役又は6択リプレイの当選役の押し順報知を行うCZ押し順報知制御プログラム、ナビポイント抽選処理プログラム、ART遊技状態においてAT役又は6択リプレイの当選役の押し順報知を行うAT押し順報知制御プログラム、ART遊技状態の遊技回数の上乗せ率の異なる上乗せ抽選テーブルの抽選処理プログラム、遊技回数の上乗せを上乗せ抽選テーブルに基づいて上乗せ抽選して決定する上乗せ決定プログラム及び前記上乗せが決定されたときにART遊技状態の遊技期間をその上乗せ分の遊技回数を上乗せして変更するART遊技期間変更処理プログラムが格納されている。演出制御基板200は前記AT押し順報知制御プログラムの実行制御により、ART遊技時に前記当選役の押し順報知を行う本発明に係るART遊技実行手段を構成している。
主制御基板100には、図4に示すように、外部集中端子基板401を介してホールコンピュータHC(パチンコホールの遊技機を統括的に管理するコンピュータ)が接続され、主制御基板100から所定の遊技情報がホールコンピュータHCに外部出力可能となっている。また、主制御基板100には回胴設定基板402が接続され、回胴設定基板402からの検出信号を受信可能となっている。回胴設定基板402には、出玉率を6段階のいずれかに設定する「6段階設定」を変更する設定スイッチ(図示せず)や、遊技動作エラーを解除するリセットスイッチ(図示せず)等が設けられ、回胴設定基板402における各スイッチの操作検出信号は主制御基板100に与えられる。
主制御基板100における主制御側メイン処理の処理手順を図面を参照して説明する。この処理手順には1回の遊技に必要な一連の流れが含まれている。
図8は主制御側メイン処理のフローチャートを示す。このメイン処理はメインCPU102の制御下により実行されるものであり、処理実行の主体を主制御基板(主制御部)100として説明する。
回胴式遊技機Aに電源投入が行われると、電源基板400から電源投入信号が送られ、主制御基板100はこの電源投入信号を受けて主制御側メイン処理を開始する。電源投入時にステップS1の初期設定処理(ステップS1)が行われた後、正常動作時の処理(ステップS2〜S17)が行われる。まず、RAM初期化処理(ステップS2)が行われ、RAM初期化処理では、前回のゲーム終了時において使用した所定のデータをクリアし、今回のゲームに必要なワークエリアを確保する。
次に、遊技状態フラグ生成処理が行われる(ステップS3)。遊技状態フラグ生成処理では、今回のゲームの遊技状態の種別(通常遊技、RT1遊技、RT2遊技、ボーナス持越遊技、ボーナス遊技等)を確認して、これに対応する遊技状態フラグ(通常遊技フラグ、RTフラグ、ボーナス間フラグ、ボーナス作動フラグ等)を設定する。これにより今回のゲームの遊技状態が確定され、その遊技状態に応じた処理が行われる。ART遊技の間は、リプレイの当選確率が高くなるRT2遊技状態になる。本実施形態では、サブ制御によりART付与決定処理が行われサブ側にてART遊技フラグがセットされるが、メイン側単独ないし、メイン側と協働してART付与決定処理を行ってメイン側にてART遊技フラグをセットしてART遊技を管理するようにしてもよい。
遊技メダル投入処理(ステップS4)が行われ、遊技メダル投入処理では、主に、遊技機本体に投入された遊技メダルの検出、クレジットの管理、再遊技の要求があった場合の遊技メダルの自動投入設定処理等を行うと共に、遊技開始に要する規定枚数の遊技メダルが投入された否かを監視する。該規定枚数の遊技メダルの投入又はクレジット設定が確認された場合には遊技開始条件を成立させ、この条件成立状態を保持したまま、遊技者の回胴回転始動レバー15の押下操作、つまり回胴回転始動スイッチ15aからの操作検出信号が送られてくるのを待機する。回胴回転始動スイッチ15aからの操作検出信号の受信により、主制御基板100は、カウンタ回路114のカウンタ値に基づき内部抽選用乱数値を取得する(ステップS5)。
上記取得した内部抽選用乱数値に基づく内部抽選処理を行う(ステップS6)。内部抽選処理では、取得した内部抽選用乱数値と現在の遊技状態に対応する役抽選テーブルとに基づく内部抽選が行われ、抽選結果に対応した当選役情報(当選フラグ)がメインRAM104に設定、記憶される。
図28は一般入賞役、ボーナス役(ビッグボーナスゲームBBとレギュラーボーナスゲームRB)、小役の入賞図柄組み合わせと、その抽選確率テーブルを示す。内部抽選は図28に示す役抽選テーブルに基づき実行される。役抽選テーブルは6段階の各段階に応じて出玉率が異なるように抽選確率が設定されてなり、図28はそのうちの一例を示す。図28には、乱数域(0〜65535)に対する各入賞役の振り分け抽選値の幅域により計算された抽選確率を示す。チェリー等の小役とボーナス役が同時に抽選可能なように当選乱数域幅が設定されている。本実施形態においては、RTとして2種類、RT1とRT2が生ずるが、実質的にリプレイ確率が向上するのはRT2のみであり、RT1中では通常遊技状態のリプレイ確率が1/100程度向上するだけである。RT1遊技状態は、ART遊技状態(RT2遊技状態)に移行させる6択のリプレイ遊技を実施するために設けられている。RT2遊技中の遊技状態においては、リプレイの抽選確率を通常遊技時の1/7.3より高確率の1/1.5に設定したRT中抽選テーブルが使用される。
本実施形態においては、特別遊技として、ビッグボーナスゲームBBとレギュラーボーナスゲームRBの2種類が付与可能になっている。ビッグボーナスゲームBBには、別々の当選フラグにより成立する2種類の特別図柄の組合態様(青7−青7−青7又は赤7−赤7−赤7)があり、これらを合成した抽選確率は1/360である。別々のビッグボーナス当選フラグが設定された内部当選状態において、いずれかの特別図柄組み合わせを4本の有効入賞ラインのいずれかに停止させると、ビッグボーナス遊技に移行させることができる。レギュラーボーナス役の場合は赤7−赤7−青7の1種類だけである。ボーナス役は所謂、0枚役であり、その入賞時には賞メダルの払出は行われない。ベル、スイカ、チェリーの各入賞時には、9枚、6枚、1枚の賞メダルが払い出される。チェリー入賞は左回胴の有効入賞位置に停止するだけで成立する。
ベル役は、リール8a〜8cの停止順序の組み合わせ(左回胴→中回胴→右回胴、左回胴→右回胴→中回胴、中回胴→左回胴→右回胴、中回胴→右回胴→左回胴、右回胴→中回胴→左回胴、右回胴→左回胴→中回胴)が異なる6種類の一般小役である。通常遊技状態のとき、ベル役の合成抽選確率は1/5であるが、ボーナスゲーム中は、停止順序に関係なく入賞可能な、所謂JAC役となって、1/1.1の高確率で当選する。JAC役としてのベル役が入賞すると、13枚の賞メダルが払い出される。押し順により区別された6種類のベル役は、ART遊技において、副制御部による押し順報知に従って各回胴が停止されることにより入賞可能になるAT役(押順ベル役)となる。通常遊技状態では、6択の各ベル役は1/30の抽選確率(全ベル役の合成抽選確率1/5)に基づき抽選されて、いずれかのベル役が入賞可能になるが、通常遊技状態においては、押し順が報知されないため、一般的に、左回胴から中・右回胴の順に停止させる、所謂順押しの停止操作が行うと、押し順が不正解となって入賞が生じない場合が多くなる。ART遊技状態では、押し順がナビ報知されることによりAT役の入賞確率は6倍に向上する。
リプレイはリプレイ図柄RP1とRP2の組み合わせ(RP1又は2−RP2−RP1又は2)からなり、ベル役と同様にリール8a〜8cの停止順序の組み合わせが異なる6種類のリプレイである。これらの停止順序の組み合わせが異なるリプレイは、RT1時にRT2移行のための押し順による選択遊技に供される。以上の役の他に、特殊小役としてチャンス役a、bが設けられている。チャンス役aは、「ブランク」−ベル−チェリーの組み合わせからなり、ART付与抽選に供される。チャンス役bは、ボーナスゲーム中に抽選され、青7−青7−青7又は赤7−赤7−赤7の組み合わせからなり、ART付与抽選に供される。
ART遊技状態においては、副制御部によるATナビ制御モードによりAT用小役(AT役:6種類のベル役)の押し順報知が実施されて、当選したAT役を確実に停止させることで、リプレイ発生の頻度が増えてメダル消費が少なく、且つAT役等の小役獲得によりART遊技中に保有メダルを漸増させることが可能になる。即ち、押し順報知ARTにおいては、ベル役の当選時に、ベル役を有効ラインに揃えるための左回胴・中回胴・右回胴の停止順序が決定され、その決定順序に従って停止させない限り、有効ラインに停止しないように回胴停止制御が行われる。6択のリプレイ当選時にも、同様の押し順が決定されて、決定順序以外の停止操作ではリプレイが生じないように停止制御が実行される。
ボーナス役の内部当選状態においては、ボーナス当選フラグを次回以降のゲームに持ち越し可能な持越役として設定されている。このため、ボーナス役の当選時においては、ボーナス役が入賞するまでの遊技期間、その当選フラグの成立状態が維持される。一方、ボーナス役以外の役は、その当選フラグを次回のゲームに持ち越すことができない持越不可能役として設定されている。ボーナス持越遊技中においても、通常通りに各役の抽選が行われるが、このとき当選した小役に対応する図柄の組合せを入賞させるか否かは、所定の引き込み優先順位に基づいて決定される。本実施形態では、「リプレイ>小役>ボーナス役」の順位で優先的に引き込む停止制御が行われる。
内部抽選処理においては、演出制御コマンドとして「遊技開始コマンド(遊技状態に関する情報や当選情報(抽選結果情報)を含む)」がセットされる。この遊技開始コマンドに含まれる「遊技状態に関する情報」には、「通常遊技中」、「RT遊技中」、「ボーナス遊技中」、「ボーナス持越遊技中」等の遊技状態に関する情報が含まれる。
次に、回胴回転始動時の設定処理(回胴回転開始設定処理)が行われる(ステップS7)。回胴回転開始設定処理においては、各リール8a〜8cの回転開始時に必要となるデータとして、例えば、遊技開始ウェイトタイマ(4.1秒)がセットされたり、回胴の回転状態を示す回胴状態フラグが「全回胴回転中」にセットされたりする。ついで、リール回転始動が行われると、演出制御コマンドとして回胴始動を示す「回胴起動コマンド」をセットして、各リール8a〜8cが回転状態に移行する。
リール回転の後に、回胴回転停止ボタン16a〜16cの停止操作による回胴回転停止スイッチ16e、16f、16gの検出信号が出力された場合には、停止対象となった回胴を停止制御するための回胴停止処理を行う(ステップS8)。回胴停止処理では、上記当選情報と回胴の停止操作手順(停止操作タイミング)とに基づき、後述の停止制御テーブルから滑りコマ数を算出し、これに基づく回胴の停止制御を行う。この停止制御処理は、各リールについて停止操作を行った位置である停止操作位置と抽選処理の抽選結果に基づいて、ROM103内に記憶されたリール停止テーブルを参照して、該当リール停止位置でリールの回転を停止させることにより行われる。リール停止位置は、停止操作タイミングの位置からみて、図柄の駒数で所定の駒数以内(遊技規則に定められた4駒)で引き込んで停止するように決定される。停止操作タイミングの位置から4駒以内に抽選結果に対応する図柄が有る場合には、当選役図柄が有効ライン上に揃うように停止制御される。殊に、再遊技の停止制御処理においては、通常遊技状態やボーナスフラグ持越状態においても再遊技が当選している場合、再遊技が必ず有効ライン上に整列するように優先的引き込み制御が行われる。
本実施形態では、前記停止順報知遊技(押し順ナビAT遊技)とRT遊技を併用した押し順ナビART遊技が特典遊技として付与され、押し順ナビART遊技中における回胴停止処理において、当選情報と回胴の停止順序を参照して停止制御が実行される。特典遊技として、AT図柄の種別を報知するART遊技を付与するようにしてもよい。演出制御コマンドとして、回胴の停止操作時には「停止情報受付コマンド」が、回胴が停止した際には「停止結果情報コマンド」がセットされる。「停止情報受付コマンド」には回胴の停止操作に関する情報が含まれ、「停止結果情報コマンド」には回胴の停止位置に関する情報が含まれる。
全リールの回転停止が確認されると、入賞判定処理が行われる(ステップS9)。入賞判定処理では、当選役に対応する図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止したか否か、つまり入賞が発生したか否かを確認し、入賞が確認された場合には停止した図柄の組合せに基づき、払い出すべき遊技メダル枚数の設定処理を行う。このときの入賞に係わる情報を持つ演出制御コマンドとして「入賞情報コマンド」がセットされる。入賞情報コマンドには、入賞役情報(全リール停止時の停止図柄情報)、入賞ライン情報等が含まれる。入賞が発生した場合にはメダル払出処理を行う(ステップS10)。メダル払出処理では、入賞判定処理で設定された払い出し情報に基づき、メダルホッパー305を駆動制御して払出枚数分の遊技メダルの払い出し処理やクレジットの加算処理を行う。
更に、RT1及びRT2におけるRT遊技管理処理が行われる(ステップS11)。RT遊技管理処理では、RT遊技中のときにはRT遊技終了条件が成立したか否かを判定し、当該終了条件が成立した場合にはRT遊技を終了させるための設定処理を行い、当該終了条件が成立していない場合にはRT遊技の継続を維持する。RT2遊技状態では、副制御部によるATナビ制御モードとなるので、RT2遊技終了条件は実質的にART遊技終了条件に対応するので、例えばART遊技1セット分が設定されているときは25ゲーム終了でRT遊技状態も解除され通常遊技状態に戻る。
続いて、リプレイが有効入賞ライン上に停止したか否かを判定し(ステップS12)、リプレイが停止した場合には、再遊技を付与するための設定処理を行った後(ステップS12、S15)、RAM初期化処理(ステップS2)に戻る。リプレイが停止していない場合には、ボーナス遊技中か否かを判定する(ステップS12、S13)。
ボーナス遊技中である場合にはボーナス遊技作動中処理を行う(ステップS13、S16)。ボーナス遊技作動中処理では、ボーナス遊技の継続およびその終了に要求される設定処理を行う。ボーナス遊技が終了した場合にはRAM初期化処理(ステップS2)に戻る。なお、上記ボーナス遊技作動中処理については図10により後述する。
ボーナス遊技中でない場合にはボーナス役(特別入賞役)の図柄組み合わせが有効入賞ライン上に停止したか否かを判定する(ステップS13、S14)。ボーナス役図柄が停止していない場合にはRAM初期化処理に移行する(ステップS14、S2)。一方、ボーナス役が停止した場合にはボーナス遊技作動開始処理を行う(ステップS14、S17)。ボーナス遊技開始処理では、ボーナス遊技を開始に要求される設定をしたり、演出制御コマンドとしてボーナス遊技の開始を示す「ボーナス開始コマンド」をセットしたりする。ボーナス遊技作動開始処理を終えると、ステップS2のRAM初期化処理に移行する。
図9はCTC105の計時に基づく一定時間ごとの割り込みにより起動される主制御側のタイマ割込処理を示すフローチャートである。図9を参照して、上記主制御側メイン処理において1.5ms程度ごとに実行されるタイマ割込処理について説明する。
主制御基板100は、タイマ割り込みが発生した場合、レジスタを所定のスタック領域に退避させる退避処理を行ってから(ステップS20)、ポート入力処理を行う(ステップS21)。ポート入力処理では遊技機に設けられたスイッチ類やセンサ類からの検出情報を管理する。ついで、回胴回転制御処理を行う(ステップS22)。回胴回転制御処理では、回胴状態フラグを確認した際の回胴始動時や停止指令フラグを確認した際の回胴停止時において、回胴駆動モータに出力するパルス信号を制御したり、現在の回胴の回転位置やその速度を監視したりする。更に、定期更新処理が行われる(ステップS23)。定期更新処理では、遊技動作に用いられるタイマを更新したり、ウォッチドッグタイマを定期的にクリアしたりする。例えば、遊技動作制御に異常が発生してプログラムが暴走状態となったときには、定期更新処理が実行されず、ウォッチドッグタイマがタイムアップすると、メインCPU102が自動的にリセットされて上記暴走状態から正常状態に復帰する。
次に、コマンド出力処理が行われて(ステップS24)、遊技の進行に伴う処理状態に応じてセットされる演出制御コマンドが演出制御基板200に送信される。主制御基板100は、割り込み毎に演出制御コマンドを1バイト分出力する。1つの演出制御コマンドは2バイト長であるので、連続する2回のタイマ割り込みで1つの演出制御コマンドが送信される。
ついで、メダル情報出力処理が行われて(ステップS25)、遊技メダル投入や遊技メダル払出しの際のメダル払出信号が出力される。このときの信号は外部集中端子基板401を介してホールコンピュータHCに送信される。更に、表示出力処理(ステップS26)及び異常監視処理(ステップS27)が行われる。表示出力処理では、遊技機に設けられたLEDや7セグメント等の発光制御等を行う制御信号を出力する。異常監視処理では、上記入力処理の情報に基づいて遊技動作状態を監視し、遊技機の異常(遊技動作エラー)を監視する。上記のステップS20〜ステップS27の処理を終えた後、レジスタの内容を復帰させて(ステップS28)、タイマ割込処理を終了する。
ボーナス遊技作動中処理(ステップS16)の処理内容を説明する。
図10はボーナス遊技作動中処理の処理内容を示す。
主制御基板100は、ボーナス遊技中の払い出し枚数(ボーナス遊技中獲得枚数)と予め規定された最大獲得枚数を比較する(ステップS171)。ボーナス遊技終了の規定枚数は、ビッグボーナス遊技で298枚、レギュラーボーナス遊技で104枚である。ボーナス遊技中獲得枚数が最大獲得枚数に達するまで、ボーナス遊技継続設定処理を行ってステップS171の処理を繰り返す(ステップS172、S173)。ボーナス遊技中獲得枚数が最大獲得枚数に達するかあるいは超えた場合には、ボーナス終了演出待機処理に移行する(ステップS172、S174)。ボーナス遊技終了時の演出待機時間(エンディング時間)をセットし、その演出待機時間がタイムアップするまで待機する。演出待機時間が終了したとき、ボーナス遊技終了時の各種設定を行う(ステップS175)。このとき、主に遊技状態移行準備処理(ART遊技獲得時には、遊技状態をボーナス遊技からART遊技フラグをセット)や演出制御コマンドとしてボーナス遊技が終了した旨を示す「ボーナス終了コマンド」をセットする。これらの設定処理を行った後、ボーナス遊技終了時のRAMクリア領域をクリアしてボーナス遊技作動中処理を終了する(ステップS176)。
図22はボーナス遊技中に行われるART付与抽選に使用される、設定1のときのART付与回数の振り分け抽選テーブルである。同図(22A)及び(22B)は夫々、BB又はRB時に使用する振り分け抽選テーブルである。同図における「チャンス」はチャンス役a又はbに対応する。この付与抽選は副制御部において行われ、振り分け抽選テーブルはサブROM207に格納されている。ART付与抽選はベル役又はチャンス役に当選したとき、あるいはハズレになったときに実行される。例えば、チャンス役に当選した場合には65064/655536の割合で25回分の遊技回数分(1セット)のART遊技が付与される。なお、本実施形態においては、ボーナス遊技中に行われるART付与及びそのセット数は最初にいずれかに当選したもので決まり、その後に当選しても合算されないが、ボーナス中の付与当選をすべて有効にしてセット数を合算するようにしてもよい。また、本発明においては、セット単位でのART遊技の付与に限らず、ART遊技回数の総数による振り分けで付与するようにしてもよい。ボーナス遊技終了後は通常遊技状態に戻るが、ART遊技の付与が決定されているときには、後述するように、AT準備モードM1に移行し、更にRT1状態に移ってリプレイの押し順が報知されて直ちにRT2状態(ART遊技状態)に移行可能になっている。
上記構成の回胴式遊技機Aにおける遊技時の動作概要を説明する。まず、遊技者は遊技する際にメダル投入口10から所定枚数のメダルを投入あるいはクレジット分からのBET設定した後、回胴回転開始始動レバー15を操作する。この始動操作が遊技機内部で行う抽選の契機となる。この始動操作により各リール8a〜8cが回転して、一定の速度に達した後、回胴回転停止ボタン16a〜16cの操作が有効となる。各停止操作のタイミングに基づき、遊技機内部の抽選結果に応じた位置に各リールは停止制御される。リプレイを除く、いずれかの入賞役に当選しているときには、タイミングよく、有効ライン上に当選役の図柄組み合わせが成立したとき、所定枚数のメダルの払出が行われる。
ART遊技獲得に関しての各遊技状態への移行条件となる6択リプレイの押し順当ての難易度に関して、副制御部におけるサブ遊技モード別に設定されており、サブ遊技モードには、低確遊技モード、高確遊技モード及び超高確遊技モードが含まれている。低確遊技モードでは、原則として6択リプレイの押し順報知は行われず、RT1移行時に抽選により高確遊技モード又は超高確遊技モードに移行可能になっている。高確遊技モードは、低確遊技モードと同様に6択リプレイの押し順報知は行われないが、RT1移行時に抽選により超高確遊技モードに移行可能になっている。超高確遊技モードは、AT役及び6択リプレイの押し順報知が100%行われ、ART遊技獲得が実質的に確定(保証)されたサブ遊技モードである。低確遊技モード及び高確遊技モードにおいては、原則として、遊技者が自力で6択リプレイの正解押し順を引き当てる以外にART遊技の獲得が難しくなっているが、前兆遊技状態時には、本発明に係るナビポイント付与によりART移行可能性を付与するようにしている。高確遊技モードでは、ナビポイント数Pを多く獲得可能にして低確遊技モードよりも有利なサブ遊技モードとなっている。低確遊技モード及び高確遊技モードだけでもART遊技付与態様を実現できるが、本実施形態においては、意外性を持たせるために発生頻度が僅かであるが、ART遊技獲得が極めて容易なサブ遊技モードとして超高確遊技モードを設けている。
図11は回胴式遊技機Aにおいて生ずる遊技状態の遷移関係を示す。同図は低確遊技モード及び高確遊技モードにおける遷移関係を示し、AT役及び6択リプレイの押し順報知が100%行われる超高確遊技モードの遊技状態遷移は省略している。同図において、メイン処理による遊技状態を太線で示し、太線枠内にはサブ処理を示す。
まず、主制御部によるメイン処理における遊技状態間の関係を説明する。RT状態、ART状態あるいはボーナスゲーム状態でもない通常遊技状態からRT1移行条件が成立すると第1のRT遊技状態RT1に移行する。第1のRT遊技状態RT1において、RT2移行条件が成立すると、第2のRT遊技状態RT2に移行する。第2のRT遊技状態RT2は副制御部によるAT役の停止ボタンの押し順報知が行われるART遊技状態に対応する。第2のRT遊技状態RT2(ART遊技状態)の終了条件が成立すると、通常遊技状態に戻る。通常遊技状態、第1のRT遊技状態RT1あるいは第2のRT遊技状態RT2においてBB又はRBのボーナスゲームが発生すると、ボーナスゲーム遊技状態の終了後、通常遊技状態に戻る。本実施形態では、通常遊技状態からART(RT2)遊技状態に直接的に移行させずに、通常遊技状態とRT2遊技状態の間でRT1遊技状態を経由させるモード移行システムを搭載しているが、本発明はRT1遊技状態を付加せずに通常遊技状態からART遊技状態に移行可能にした回胴式遊技機にも適用することができる。
AT役や6択リプレイの停止操作順序(押し順)の報知処理、チャンスゾーンにおける該押し順役の報知回数(ナビポイント数P)の決定処理、チャンスゾーン移行・解除処理、ART遊技付与処理及びART遊技実行処理は、内部抽選結果に基づき副制御部によるサブ処理によって実行される。
主なサブ処理には、通常遊技状態における非ATモードN1及びAT移行抽選に当選して非ATモードN1から移行するAT準備モードM1、RT1遊技状態における非ATモードN2及び非ATモードN2からAT移行抽選に当選して移行するAT準備モードM2、更にRT2遊技状態における非ATモードN3、N4及び非ATモードN3、N4から6択一リプレイの押し順正解により移行するATモードの各処理が含まれている。
非ATモードN3はART遊技状態に移行可能な遊技モードであり、ナビポイント数Pの初期設定値により2種類に振分けられ、ナビポイント数Pの初期設定値が1以上のときは、AT役及び6択リプレイの当選時にナビポント数を限度に当選役の押し順ナビを行うナビ実行モードとなり、ナビポイント数Pの初期設定値が0のときは、AT役及び6択リプレイの当選時に押し順ナビを行わないナビ無しモードとなる。前段チャンスゾーンはRT2遊技状態における非ATモードN3の遊技状態に対応し、更に、ナビポイント数Pの初期設定値により振り分けられる2種類の遊技状態(CZ1とCZ2)に対応する。つまり、RT2遊技状態におけるナビ無しモードの遊技状態が前段チャンスゾーンのCZ1モードに対応し、RT2遊技状態におけるナビ実行モードの遊技状態が前段チャンスゾーンのCZ2モードに対応する。
非ATモードN4はART遊技状態終了後に再度ART遊技状態に移行可能な遊技モードであり、ART終了時用のナビポイント数Pの付与設定値により押し順ナビが実行される。後段チャンスゾーンはRT2遊技状態における非ATモードN4の遊技状態に対応し、CZ3と称する。本実施形態では、図20のナビポイント抽選テーブルに示すように、ART終了時用のナビポイント数Pは1以上の設定が可能になっており、必ずART遊技終了の後にCZ3遊技状態(ART復活遊技態様)を出現させるようになっている。CZ3遊技においては、ナビポイントPの付与設定値の回数を限度に、AT役及び6択リプレイの当選時に当選役の押し順ナビが実行される。なお、ナビポイント数Pの付与設定値にナビ実行をしない「0」を含ませて、CZ3に移行しない場合を生じさせてもよい。
非ATモードN3及びN4は解除条件付きの遊技状態である。即ち、非ATモードN3及びN4はAT役の当選時にAT役が入賞しなかったことを解除条件として解除され、RT1遊技状態(非ATモードN2)に戻る。解除条件としては、所定の役が成立したときに解除となるようにして、解除役の報知によりその役成立又は入賞を技術介入性によって回避でき、また報知のないときには成立又は入賞して解除となるようにする。なお、CZ中の遊技回数の上限を設定して、上限を超えることを解除条件にしてもよい。
図11の各遊技状態における副制御部によるサブ処理の概要を説明する。
図12は副制御部による通常遊技状態時のモード処理を示す。
通常遊技状態では、AT役又はリプレイ役が当選しても押し順報知を行わない非ATモードN1に設定される。図12の(12A)は非ATモードN1におけるモード処理を示す。
非ATモードN1において、遊技の実行が行われる度に(ステップS50)、特定役に当選することを条件にAT移行抽選が行われる(ステップS51、S52)。特定役は、チェリー、スイカ、ボーナス役、チャンス役のいずれかである。このAT移行抽選確率は1/50である。AT移行抽選に当選すると、AT準備モードM1に移行する(ステップS53、S54)。
図12の(12B)はAT準備モードM1におけるモード処理を示す。
AT準備モードM1に移行した後、遊技の実行が行われ(ステップS60)、AT役(押し順ベル役)に当選したにも拘わらずAT役の非入賞が生じた場合に、つまりAT役を取りこぼすことを条件に、更にAT準備モードM2に移行する(ステップS61、S62)。
通常遊技状態におけるAT役の取りこぼしはメイン処理におけるRT1移行条件にも対応しており、RT1遊技状態でAT準備モードM2が設定される。即ち、通常遊技状態においてベル役が当選しても、それに応じて決定された押し順が遊技者に報知されないので、通常は、はずれ結果になるため、通常遊技状態が長期に継続することなく、RT1遊技状態に移行される。既述のように、RT1遊技状態では実質的にリプレイ確率が極めて僅かだけ向上するだけで、実質的には通常遊技状態と変わりはなく、RT2への移行可否を決定する、リプレイの押し順当ての遊技実行可能モードとなる。
図19は、各遊技状態のサブ処理において、ART遊技獲得が有利になる有利状態と非有利状態とに振り分けられるサブ遊技モードの設定に用いるモード移行抽選テーブルを示す。
図19の(19A)はRT1移行時のモード移行抽選テーブルを示す。RT1移行時には、(19A)のモード移行抽選テーブルに基づきモード移行抽選が行われる。通常遊技状態時は電源オン時には副制御部は低確遊技モードに設定されるため、RT1移行時には、37468/65536の確率で高確遊技モードに切換可能になっている。(19A)のモード移行抽選テーブルにおいて、現在のモードに高確遊技モード時も含まれているが、これはボーナスゲーム終了時に高確遊技モードに設定された場合に対応する。
図19の(19B)はRT1中のサブ遊技モード移行抽選テーブルを示す。RT1中に特定役の当選を契機に、(19B)のサブ遊技モード移行抽選テーブルに基づきモード移行抽選が行われる。このサブ遊技モード移行抽選テーブルによる抽選では、例えば、現在のサブ遊技モードが高確遊技モードのときには、低確遊技モードへの降格は行われず、超高確遊技モードに128/65536の確率で昇格移行可能になっている。
図19の(19C)はチャンスゾーンCZ1〜CZ3終了時のサブ遊技モード移行抽選テーブルを示す。各チャンスゾーン終了時に(19C)のモード移行抽選テーブルに基づきモード移行抽選が行われる。このモード移行抽選テーブルによる抽選において、チャンスゾーンCZ1終了時には32492/65536の確率で低確遊技モードに移行し、チャンスゾーンCZ3終了時には、それより高い43552/65536の確率で低確遊技モードに移行する。また、チャンスゾーンCZ2終了時には37468/65536の確率で高確遊技モードに最も移行しやすくなっている。また、各、チャンスゾーンから超高確遊技モードに移行可能になっている。
図13の(13B)はAT準備モードM2におけるモード処理を示す。
AT準備モードM2においては、遊技抽選の結果、6種類の押し順別のリプレイのいずれかに当選し、遊技者の正解押し順でリプレイが生ずると、非ATモードN3に移行する(ステップS81、S83)。RT1中に6択リプレイの正解押し順操作により当該リプレイが生じることはメイン処理によるRT2移行条件にも対応しており、メイン処理はRT2遊技状態に移行すると共に、サブ処理はナビポイント数制限下における報知対象役の報知が可能となるART付与前報知可能状態(非ATモードN3)に移行してチャンスゾーン遊技状態になる。ART付与前報知可能状態への移行に先立ち、ナビポイント決定処理が実行される(ステップS82)。非ATモードN3への移行条件としては、上記の押し順リプレイの成立に限らず、特定の小役等の当選有無ないし入賞を契機にしたり、あるいは併用してもよい。
図14はART付与前のナビポイント決定処理を示す。
前段チャンスゾーン遊技状態におけるナビポイント数Pのサブ抽選は図20のナビポイント抽選テーブルを用いて実行される。
図20はサブ遊技モード別にナビポイント数Pの値を割り付けたナビポイント抽選テーブルを示す。RT2移行時現在のサブ遊技モードの種別に応じて、図20のナビポイント抽選テーブルに基づくナビポイントのサブ抽選が行われる(ステップS150)。例えば、低確遊技モード時の場合には、32352/65536の確率でナビポイント数値「0」が決定される。高確遊技モード時の場合には、ナビポイント数値「0」及び「1」の割付はなく、例えば、23536/65536の確率でナビポイント数値「2」が決定されるなど、2〜4のナビポイント数値が決定される。従って、本実施形態においては、サブ遊技モード(低確遊技モード及び高確遊技モード)により、ナビポイントの取得条件が有利になる有利状態と、該取得条件が有利でない非有利状態とに振り分けて設定し、RT2移行時に、ナビポイント数の期待値に差異が生ずるナビポイント抽選テーブルを用いてナビポイント抽選を行うことにより、チャンスゾーン遊技状態におけるART遊技の付与率にバリエーションを付加することできるので、ART遊技獲得のためのチャンスゾーン遊技(前兆遊技態様)及びART遊技付与態様を多様化して回胴遊技の興趣を高め遊技継続の促進を図ることができる。なお、遊技モードの設定による振分けは、前記有利状態及び前記非有利状態の2種に限らず、ナビポイントの取得条件に3種以上に差異を設けるために、前記有利状態及び/又は前記非有利状態を夫々、多段階に有利・非有利となる複数の状態に振り分けるようにしてもよい。
ナビポイント抽選により、前段チャンスゾーン遊技におけるナビポイント数値が決定されると共に、その決定ポイント数値に応じて前段チャンスゾーンの振分けが行われる。決定ポイント数値はサブRAM208の前段ナビポイントエリア(ナビポイントカウンタ)に記憶される。ナビポイント抽選の結果、前段チャンスゾーン遊技におけるナビポイント数Pが0のとき、前段ナビポイントエリアに「0」が記憶されると共にチャンスゾーンCZ1が決定され、サブRAM208のCZフラグエリアにCZ1フラグがセットされる(ステップS151、S152)。ナビポイント数Pが1以上のとき、前段ナビポイントエリアに有効数値が記憶、セットされると共にチャンスゾーンCZ2が決定され、サブRAM208のCZフラグエリアにCZ2フラグがセットされる(ステップS151、S153)。
図15及び図16は非ATモードN3(CZ1又は2の遊技状態)におけるモード処理を示す。図15及び図16は夫々、CZ2、CZ1のモード処理を示す。非ATモードN3において、前段チャンスゾーンフラグが判別され(ステップS180)、CZ2フラグが成立しているときにはステップS180以下の処理に移り、CZ1フラグが成立しているときにはステップS190以下の処理に移る。
CZ2フラグ成立によるCZ2遊技状態において、回胴遊技が開始され内部抽選が実行されると(ステップS181)、当選役がCZ2における報知対象役(AT役又は6択リプレイ)か否か判断される(ステップS182)。報知対象役当選時にはナビポイント有無が判断される(ステップS183)。前段ナビポイントエリアにナビポイント値がある場合には、該当選に係る報知対象役のナビ(報知)が表示及び/又は音声により報知され実行される(ステップS184)。この報知実行により、前段ナビポイントエリアにナビポイント値が1減算され更新される(ステップS185)。ナビポイント値の残数がない場合には、該当選に係る報知対象役のナビは実行されず(ステップS183)、ステップS186に移る。
ナビポイントに基づくナビの実行により、当選した6択リプレイの正解押し順に従った停止操作が行われて当選リプレイが成立した場合には、AT設定処理に移行する(ステップS186、S187)。AT設定処理の後、ATモードに移行してART遊技状態になる(ステップS188)。AT役の当選ナビの場合にはAT設定処理に移行せずに次のステップS189に進む。報知対象役以外の役当選時にもステップS182からステップS189に進む。
ステップS189においては、AT役の取りこぼしか否か判断される。報知対象役以外の役当選時には、AT役の取りこぼしがないのでステップS181の遊技待機状態に戻る。AT役当選時に、ナビポイントに基づくAT役のナビが実行され、それに従ってベル役を入賞させたときはAT役の取りこぼしは発生せず、ステップS181の遊技待機状態に戻る。ナビ実行にも拘わらず停止操作ミスによりベル役が入賞しなかったり、ナビポイントなしでナビがなく、ベル入賞を逃したりしたときには、AT役の取りこぼしが生じて非ATモードN3の解除条件が成立してしまい、CZ2を解除してRT1遊技状態における非ATモードN2に戻る(ステップS189、S190)。解除条件の成立により、CZ2フラグ及びナビポイント値はクリアされる。メイン処理においては、RT2を解除し、RT1へ移行する。
CZ1フラグ成立によるCZ1遊技状態ではナビポイント数Pが「0」であるので、当選役が報知対象役であっても当選役の報知は実行されない。CZ1遊技状態において、回胴遊技が開始され内部抽選が実行されると(ステップS191)、6択リプレイの成立有無を判断し、自力により当選6択リプレイの正解押し順停止が生じたか否か判別され、当選6択リプレイの正解押し順停止が生じた場合には前記AT設定処理に移行する(ステップS192、S187)。AT設定処理に移行により、CZ2のナビポイントの残数があってもクリアされる。当選6択リプレイの正解押し順停止が生じていない場合には解除条件の成立有無が判断される(ステップS193)。即ち、AT役の取りこぼしが発生したときにはCZ1を解除して非ATモードN2に戻り(ステップS193、S190)、解除条件不成立時にはステップS191の遊技待機状態に戻る。
以上のように、CZ1遊技状態は、CZ2遊技状態に比べて、ART遊技獲得の可能性が極めて少ない遊技状態となっており、CZ2遊技状態との併設により、前段チャンスゾーン遊技(前兆遊技態様)におけるART遊技の獲得難易度を明確化して、回胴遊技の興趣を一層高揚させて遊技継続の促進を図ることができる。また、前段チャンスゾーン遊技中にAT役取りこぼしによる解除条件を設けているので、ナビポイントに基づく報知と関連して前段チャンスゾーンが無制限に継続するのを回避し得ると共に、前段チャンスゾーン中において前記解除に至る可能性を持たせて適度の緊張感を与えながらチャンスゾーン遊技を実行させることができ、回胴遊技の興趣向上に寄与する。前段チャンスゾーンの遊技時には遊技者に明示してもよいが、特に、CZ2のチャンスゾーン遊技状態では、CZ2中である旨を、遊技者に分かるように画像表示などにより、常にあるいは抽選により報知するのが興趣高揚の観点から好ましい。更に、ART遊技の獲得契機になる6択リプレイの成立に基づいて、前段チャンスゾーン移行条件が成立しCZ1又はCZ2の遊技状態に移行させるので、チャンスゾーン遊技状態においても6択リプレイの成立に関わるナビが得られるか否かといった前兆遊技態様を創出でき、ART遊技付与に至る遊技経緯を複雑化させずに遊技者の抱く期待感を6択リプレイの当選により統合、明瞭化して回胴遊技の興趣を高めて遊技継続の促進を図ることができる。
図17はATモードにおけるモード処理を示す。
ATモード、つまりART遊技状態において遊技が実行され(ステップS110)、ART遊技回数が予め設定された回数(上乗せ回数も含む)に達してAT処理を終了したとき(ステップS113)、RT2遊技状態におけるナビポイント決定処理を行い(ステップS114)、非ATモードN4に移行する(ステップS115)。AT処理によりAT役の正解押し順が報知されたにも拘らず、ATモード中にAT役の取りこぼし、つまりATパンクが発生したときは、RT1遊技状態における非ATモードN2に移行する(ステップS111、S112)。ATパンクの発生条件として、特定の小役ないしリプレイによるパンク役を設け、例えばパンク役に当選又は入賞(成立)したことを条件に終了させたり、ボーナス役の当選により終了させたりしてもよい。
メイン処理においては、ATモード中にAT役の取りこぼし(ATパンク;当選ベル役の非入賞)が発生することを条件に、RT2を解除し、RT1へ移行し、ART遊技状態が解除される。ATパンクの発生時にも、サブ抽選により当選したときなどを条件に、あるいは無条件でナビポイント決定処理(ステップS114)及び非ATモードN4に移行可能にしてもよい。
図29はART終了時のナビポイント決定処理(ステップS114)を示す。ART終了時のナビポイント決定処理は、ART付与時の場合と同様に、図20のナビポイント抽選テーブルに基づくサブ抽選により実行される。図20のナビポイント抽選テーブルでは、ART付与前の高確遊技モード時のナビポイント数Pの期待値、つまりナビポイント値×振分け確率値が、低確遊技モード及びART終了時よりも最も大きくなるように設定されている。即ち、ART終了時のナビポイント決定処理においては、少なくとも1又は2回分のナビポイント値が決定されやすくなっている。ART終了時と、ART付与前の低確遊技モード及び高確遊技モードの決定処理を比較すると、ART終了時には高確遊技モードの有利度ではないものの低確遊技モードよりはナビポイントの取得条件が有利となっている。従って、ART付与前の遊技モードとの差異を設けて、高確遊技モード時にはART遊技への移行難度を低くし、ART遊技後にはCZ3遊技をほぼ公平に付与することができるので、ART遊技獲得のためのチャンスゾーン遊技(CZ2及びCZ3)を多様化し、且つART遊技終了後のART遊技引き戻し(回復)への期待感を高めて遊技継続の促進を図ることができる。なお、ART終了後のナビポイント獲得の期待値がART付与前よりも大きくして、ART引き戻し率を向上させたナビポイント抽選テーブルを使用して、引き戻しARTを発生させやすくして遊技興趣を高める遊技態様を創出することも可能である。
ナビポイント抽選により、後段チャンスゾーン遊技におけるナビポイント数値が決定されると共に、決定ポイント数値はサブRAM208の後段ナビポイントエリア(ナビポイントカウンタ)に記憶される(ステップS155)。ついで、サブRAM208のCZフラグエリアにCZ3フラグがセットされる(ステップS156)。
図18は非ATモードN4(CZ3遊技状態)におけるモード処理を示す。
ART遊技終了に伴って移行する非ATモードN4において、回胴遊技が開始され(ステップS160)、遊技抽選の結果、6種類の押し順別のリプレイのいずれかに当選した場合には、ナビポイントの付与設定値の回数を限度に該当選に係る押し順が遊技者に報知可能になっている(ステップS161〜S163)。即ち、CZ2中と同様に、報知対象役当選時にはナビポイント有無が判断され、後段ナビポイントエリアにナビポイントの付与設定値がある場合には、該当選に係る報知対象役のナビ(報知)が表示及び/又は音声により報知され実行される(ステップS161〜S163)。この報知実行により、後段ナビポイントエリアにナビポイント値が1減算され更新される(ステップS164)。ナビポイント値の残数がない場合には、該当選に係る報知対象役のナビは実行されない(ステップS162)。
ナビポイントに基づくナビの実行により、当選した6択リプレイの正解押し順に従った停止操作が行われて当選リプレイが成立した場合には、AT設定処理に移行する(ステップS165、S166)。AT設定処理の後、ATモードに移行してART遊技状態が回復される(ステップS167)。AT役の当選ナビの場合にはAT設定処理に移行せずに次のステップS168に進む。報知対象役以外の役当選時にもステップS161からステップS168に進む。
ステップS168においては、ステップS189と同様にAT役の取りこぼしか否か判断される。報知対象役以外の役当選時には、AT役の取りこぼしがないのでステップS160の遊技待機状態に戻る。AT役当選時に、ナビポイントに基づくAT役のナビが実行され、それに従ってベル役を入賞させたときはAT役の取りこぼしは発生せず、ステップS160の遊技待機状態に戻る。ナビ実行にも拘わらず停止操作ミスによりベル役が入賞しなかったり、ナビポイントなしでナビがなく、ベル入賞を逃したりしたときには、AT役の取りこぼしが生じて非ATモードN4の解除条件が成立してしまい、CZ3を解除してRT1遊技状態における非ATモードN2に戻る(ステップS168、S169)。解除条件の成立により、CZ3フラグ及びナビポイント値はクリアされる。メイン処理においては、RT2を解除し、RT1へ移行する。上記の非ATモードN4を設けることにより、ART遊技終了後にもナビポイントに基づくART遊技状態に引き戻し可能なART回復遊技態様を付与することができるので、ART遊技が一旦終了してもART再獲得の期待感を与えて、回胴遊技の継続を一層促進することができる。なお、CZ3中である旨を、遊技者に分かるように画像表示などにより、常にあるいは抽選により報知するのが興趣高揚の観点から好ましい。
図13の(13A)は非ATモードN2におけるモード処理を示す。
非ATモードN2において、遊技の実行が行われる度に(ステップS70)、特定役に当選することを条件にAT移行抽選が行われる(ステップS71、S72)。特定役は、非ATモードN1の場合と同様に、チェリー、スイカ、ボーナス役、チャンス役のいずれかである。この場合のAT移行抽選確率は1/100である。AT移行抽選に当選すると、AT準備モードM2に移行してART遊技状態に移行可能になっている(ステップS73、S74)。
なお、図11に示すように、通常遊技状態、RT1遊技状態及びART遊技状態のときにボーナスゲームが発生すると、ボーナス遊技状態に移行し、ボーナスゲームの終了により通常遊技状態に戻る。サブ処理においては、ビッグボーナスゲームBBの終了後には高確遊技モードに設定され、またレギュラーボーナスゲームRBの終了後には低確遊技モードに設定される。本実施形態においては、ボーナス遊技中に行われるART付与抽選(図22参照)が行われるが、ボーナス中にART付与に当選した場合には、サブ処理としてはAT準備モードM1に設定される。従って、AT準備モードM1から更にRT1状態に移ってリプレイの押し順が報知されてART遊技状態に速やかに移行可能になっている。
図21は副制御部のAT設定処理(ステップS187及びステップS166)を示す。
ART移行条件が成立したとき、即ち、リプレイ当選時に正解手順で回胴停止操作が行われたとき、ART遊技の付与回数(セット数)の抽選が行われる(ステップS120)。
図22の(22C)は付与回数の振分け抽選テーブルを示す。サブROM207には設定段階に応じて該振分け率が異なる付与回数の抽選テーブルが記憶されており、図22の(22C)は設定1の場合に対応する。ART移行条件が成立したとき、本実施形態においては特典遊技としてART遊技が25ゲームを1単位(セット)として付与され、25ゲームを1〜10回のいずれかを付与回数(セット数)として付与することが抽選により決定される。例えば、(22C)の抽選テーブルにおいて、合計75回分の3回セットは128/65536の割合で振り分けられる。各設定の付与回数の抽選テーブルのうち設定6の場合には、セット数が2以上になる振分け率が最大になるように設定されている。付与回数の抽選により決定された付与回数はセット数単位で、サブRAM208に設けたART遊技セット数カウンタに記憶、セットされる(ステップS120、S121)。なお、AT設定処理をART移行条件が成立する前の段階、例えば、AT移行抽選の当選時(ステップS53又はS73)に行うようにしてもよい。
本実施形態において、ART遊技における遊技回数の上乗せパターンの多様化を図るために、付与回数の抽選と共に、ART遊技回数の上乗せ率の振り分け抽選処理の決定処理が行われる。上乗せ率の振り分け抽選処理は、上乗せ率の異なる、複数種の上乗せ遊技回数とその振り分け確率による上乗せ抽選テーブルに基づき実行される。本実施形態では、各設定毎に、振分け率の異なる2種類の上乗せ抽選テーブルが予めサブROM207に格納されている。
図23は設定1の場合における一組の上乗せ抽選テーブルの一例を示す。図23の(23B)及び(23C)の上乗せ抽選テーブルは、夫々、ART上乗せ回数とその振り分け確率からなり、互いに振分け率が同じで、上乗せ回数の設定値(上乗せ回数の割付値及び上限値)が異なる。(23C)の上乗せ抽選テーブル(スペシャルモード)は(23B)の上乗せ抽選テーブル(ノーマルモード)と比較して、1回の最大上乗せ回数が300回((19B)の場合、最大200回)まで選択可能で、全体として、遊技者により有利なART遊技回数が付与可能になっている。例えば、ノーマルモードのときに、リプレイ当選で成立したときには65096/65536の振分け率で10回の上乗せ回数が決定され、また、チェリー当選時には256/65536の振分け率で20回の上乗せ回数が決定される。スペシャルモード又はノーマルモードの上乗せ抽選テーブルは同図(23A)の振分け率により抽選、選択される(ステップS122)。ART遊技移行時に決定された、スペシャルモード又はノーマルモードの上乗せ抽選テーブルの種別はサブRAM208に記憶、設定される(ステップS123)。上記AT設定処理により付与回数、ART遊技回数の上乗せ率の振り分けが決定されてATモードに移行する(ステップS188又はS167)。
本実施形態においては、複数セットのART遊技が付与されているとき、各セット毎のART遊技の遊技期間において、遊技回数の上乗せ抽選を行って決定する。従って、上乗せを決定したとき、そのセット分のART遊技における遊技回数が変更されるので、ART遊技の付与段階で、より多くのセット数の取得への期待感と、各セットでのART遊技回数の上乗せ変更への期待感とが相乗効果となって、より一層の回胴遊技の興趣を向上させることができる。
特に、本実施形態においては、付与段階での実行可能回数の初期設定と、上乗せ決定によるART遊技実行可能回数の変更に加え、図23の(23B)及び(23C)の上乗せ抽選テーブルのいずれかを(23A)の振分け率により選択抽選して上乗せ率の選択設定を行うので、ART遊技の遊技実行可能回数を3段階に可変設定してバリエーションに富んだART遊技の付与態様を出現させることができる。
図23の(23B)及び(23C)の上乗せ抽選テーブルの場合、上乗せ期待値の差異により上乗せ率の相違を設けている。つまり、上乗せ回数の割付値Gi(i=1〜10)と振分け確率値Fj(j=1〜10)による上乗せ期待値Gi・Fjの総和の違いから両上乗せ抽選テーブルの上乗せ率が異なっている。(23B)の上乗せ抽選テーブルの割付値Giは0、10、20、30、・・・、120、150、200であり、(23C)の上乗せ抽選テーブルの割付値Giは0、15、30、45、・・・、180、225、300であり、夫々の振分け確率値Fjは共通であるから、後者の方が上乗せ期待値が高くなっている。
異なる上乗せ率の設定は、上記の上乗せ期待値の差異によるものの他に、上乗せ回数の割付値が共通で、振分け確率値の相違する上乗せ抽選テーブル、割付値及び振分け確率値が相違する上乗せ抽選テーブルを使用して行うことができ、更に、単一種の上乗せ回数を使用し、振分け確率値を相違させて異なる上乗せ率の設定を行なってもよい。上乗せ抽選テーブルには、上乗せ回数の割付値が共通で振分け確率値を異ならせて上乗せ期待値に差異を設けた抽選テーブルを使用したり、上乗せ期待値は同じか略同じに維持し、上乗せ回数の割付値又は上限値の振分け割合を異ならせた複数の上乗せ抽選テーブルを使用してもよい。
図24は副制御部のART遊技状態時の制御処理を示す。
ART遊技に移行すると(ステップS130)、ART遊技のセット回数を記憶するART遊技セット数カウンタの値NSが1減算される(ステップS131)。更に、サブRAM208に設けたART遊技回数カウンタに初期値(25)が記憶、セットされる(ステップS132)。
ついで、メダル投入又はクレジット設定の投入、リール回転始動操作により1回の回胴遊技が実行されると(ステップS133)、主制御部から内部抽選結果を取得して、当選役に応じて、予め選択して決定された上乗せ抽選テーブルに基づき、ART遊技回数の上乗せ抽選を実行し、上乗せ回数を決定する(ステップS134)。上乗せ抽選に当選しなかった場合には(ステップS135)、ART遊技回数カウンタの更新を行わずに1回分の減算を行う(ステップS136)。
上乗せ抽選に当選した場合には(ステップS135)、ART遊技回数カウンタの更新を行い、1回分の減算を行う(ステップS136、S137)。上記のART遊技回数カウンタの更新により、ART遊技期間の途中での上乗せ変更が実行される。以上の1セット分のART遊技を実行し、途中の上乗せ分も含めた遊技回数を消化し、ART遊技回数カウンタの値が0になると(ステップS138)、ART遊技セット数カウンタの値NSが0か否か、つまり、セット回数の残回数があれば(ステップS140)、再び、セット回数の減算及びART遊技回数カウンタの初期値セットを行って(ステップS131、S132)、1セット分のART遊技実行を繰り返す。セット回数の残回数がなくなると(ステップS140)、ART遊技を終了する。また、ART遊技中にATパンクが発生したときにはその時点で終了する(ステップS139)。
図25は、本実施形態におけるART付与態様と従来のART付与態様との比較を示す。同図の(25A)は本実施形態のART付与態様の一例を示し、同図の(25B)及び(25C)は従来のART付与態様の一例を示す。図25の矢印はART遊技の進行(ゲーム消化の時系列変化)を表す。
従来のART付与態様では、ART遊技の付与をセット単位で決定し、(25B)に示すように、例えば、ART遊技が1セット(ART遊技実行可能回数:N)分付与された場合には、N回のART遊技を消化したとき終了する。仮に、2セット付与が決定されているときには、(25C)に示すように、1セット終了時に継続報知(25a)が行われて2回目のART遊技状態に移行し、2回目のART遊技をN回実行したとき終了する。従って、従来のセット数単位のみで付与する付与態様では、実行中のART遊技が終了した時点で追加のARTが発生するか否かといった画一的な付与パターンに陥り単調なART遊技になっている。
本実施形態のART付与態様では、まず、ART移行前段階で、ナビポイントによる前段チャンスゾーン遊技に突入して、その後にART遊技が付与される。最初のART付与段階で、仮にART遊技が1セット(遊技回数:M)分付与された場合であっても、(25A)に示すように、ART遊技中に途中上乗せに当選した場合に(25b)、ART遊技回数カウンタの更新が行われる(ステップS136)。例えば、ART遊技回数の上乗せ分10の加算変更が行われて、ART遊技回数が(M+10)に更新される(25c)。(25A)の場合は、その後にも、ART遊技回数の変更が順に実行され、ART遊技回数が(M+10+10)、(M+10+10+20)、(M+10+10+20+10)に順次更新される例(25e、25f、25h、25i、25k、25l)を示す。即ち、本実施形態の場合には、ART付与前にART付与の期待感を高める前兆遊技態様(CZ1又は2)を出現させ、更にART遊技中にART遊技回数の上乗せが生じてART遊技期間が順次変更されていくので、ART遊技の実行可能回数を種々の上乗せパターンで変動させてバリエーションに富んだ付与形態を出現させることができる。従って、本実施形態の場合には、ART遊技終了後にART付与の期待感を高める復活遊技態様(CZ3)を出現させることができるので、継続遊技の促進を図ることができ、更に、これに加えてART付与前の前兆遊技態様(CZ1及び2)及びART遊技の随時上乗せ変更態様を出現させて、回胴遊技の継続維持性を格段に向上させることができる。これらの遊技態様を総合すると、ART遊技期間が変動可能で、その前後にART付与の前兆遊技態様及びを復活遊技態様を付加して、多彩なART遊技の付与パターンを具現化できるART遊技付与型回胴式遊技機を実現することができる。
特に、従来の場合では、ART遊技を単発付与するか複数付与するかといった画一的付与態様となるのに対し、本実施形態の場合は、ART移行時における付与回数抽選による付与回数決定手段(ステップS120)と、上乗せ抽選テーブルの選択抽選による上乗せ率決定手段(ステップS122)と、上乗せ回数を上乗せしてART実行可能回数(遊技期間)を変更するART遊技期間変更手段(ステップS136)を有しており、ART遊技中の上乗せ変更態様に加え、初期段階の付与回数の設定、上乗せ抽選テーブルの選択抽選及びART遊技中の上乗せ変更のART遊技回数の多段階の可変設定により、多彩な付与パターンによる多様化が可能になっている。従来の付与態様では単発付与のケースも生ずるので、1セットのゲーム数Nをある程度大きくしておかなければ、ART遊技によって獲得できるメダル数が確保し難い。このため、ゲーム数Nを大きくすると、併用するBBやRBの出玉率の設計に少なからず影響を与える。一方、本実施形態においては、1セットのゲーム数Mを小さくしても、ART遊技中の上乗せ当選により増加変更させることができるため、併用するBBやRBの出玉率に設計上の制約を生じさせることなく、上乗せ抽選テーブルの振分け率や上乗せ率等の調整により出玉率の設計自由度を確保することができる。
特に、付与回数決定手段によっても、図23の(23C)に示した振分け抽選テーブルを用いて初期段階の付与回数(セット数)を抽選で決定しているので、例えば、図25の(25A)の例で示す初期値Mが変動することになり、よりバリエーションに富んだART遊技回数の付与態様を出現させることができる。なお、セット単位数で付与する場合に、各セット毎の初期値を抽選で決定し、例えば1セット目と2セット目での初期値が異なる場合が生ずるようにしてもよい。
本実施形態の場合には、ART遊技を特典として付与し実行するに際して、ART遊技中の遊技回数の更新時ごとに上乗せ報知(25d、25g、25j、25m)、つまり上乗せ分の遊技回数によって変更された継続可能な遊技回数の報知を変更毎に実行することにより、ART遊技の間、ART実行可能回数の増加への期待感を増幅でき、従来の追加継続報知だけの場合と比べて、遊技者の興趣を一層高揚させることが可能になる。
次に、副制御部の制御下において実行される報知演出制御を説明する。以下の説明では、主にART遊技状態における遊技回数の更新における報知演出制御を説明する。
図26は副制御部(サブCPU206)により実行される演出報知処理の概要を示す。
本実施形態においては、主に液晶表示装置3による画像表示により当選図柄や役種の告知、役獲得時の祝福演出等が行われる。この画像演出に加え、あるいは別個に上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる効果音、装飾ランプ部6の電飾効果を用いて各種音、光演出が実行される。
副制御部による演出報知処理は、遊技状態に応じた画像・音・光の演出報知が行われる。副制御部は主制御部(メインCPU102)からの演出制御コマンドを受けて遊技状態を判別し、通常遊技モード時には通常遊技演出報知処理を実行する(ステップS90、S95)。通常遊技演出報知処理(ステップS95)では、主に、内部抽選の結果に関連した遊技情報、例えば、各種の役、リプレイあるいは外れの100%告知、当選蓋然性の告知などが行われる。通常遊技演出報知処理には、ART付与抽選の結果を報知する報知処理も含まれている。
ボーナス遊技中の場合には、遊技機のモチーフの内容に沿ったボーナスゲームの進行演出及び獲得枚数の表示等を行うボーナス遊技中演出報知処理が実行される(ステップS91、S96)。
ART遊技モードの場合には、ART遊技の進行演出、ART遊技のゲーム実行回数、ART遊技回数の更新報知、継続の報知、獲得メダル枚数の累積表示等のART遊技演出報知処理が実行される(ステップS92、S97)。
内部当選状態の場合には、ボーナス役当選の確定報知、ART遊技の獲得有無ないし蓋然性の報知等を行う内部当選状態演出報知処理が実行される(ステップS93、S98)。更に、ボーナスゲームに入賞したときには、ボーナスゲームの発生を祝福演出するボーナス入賞時演出報知処理が実行される(ステップS94、S99)。
図27はART遊技演出報知処理(ステップS97)を示す。
演出制御基板200は、当選役種別を取得して当選役に応じた演出処理を行う。当選役がAT役又は6択のリプレイのいずれかである場合には、サブROM207に記憶した当選役押し順報知演出選択テーブルに基づいて当選役種別に応じた押し順報知演出を選択する(ステップS200、S201)。例えば、押し順が中回胴→左回胴→右回胴のベル役に当選したときは、その停止操作手順に沿った中・左・右の指示音声が、最初のリール停止前に「なか」、次のリール停止前に「ひだり」、更に最後のリール停止前に「みぎ」といった音声出力順序で、画像表示と共に報知される。この押し順報知演出は、後述のART遊技全体の進行を演出するART進行演出と併行して実行される。演出制御基板200によるステップS200及びS201は、本発明における停止操作順報知遊技における停止操作順序の報知制御を行う報知制御手段に対応する。当選AT図柄の種別を報知するART遊技を付与する場合にも、当選AT役の種別を報知する当選役報知制御手段を演出制御基板200に設けることにより当選役報知を行うことができる。
当選役がボーナス役である場合には(ステップS202)、演出状態を「通常」に設定して、ボーナス当選時の演出を選択する(ステップS203、S204)。従って、AT遊技中にボーナス当選が生じたときにはAT遊技演出が終了して、演出状態としては押し順報知演出が出現しない「通常」の演出状態に移行される。当選役がボーナス役でない場合、つまりチェリー等の小役又は外れである場合には夫々に応じた演出内容が選択される(ステップS202、S205)。
前記AT設定処理(図21参照)においては、ART遊技のセット単位数の抽選と設定が行われるが、セット単位数を用いずに初期値としてART遊技の総回数(初期付与総回数)を決定するようにしてもよい。つまり、初期付与総回数をART遊技回数カウンタに初期値として記憶、設定することにより、1セット単位でのART遊技管理と比べて、ART遊技回数カウンタだけでART遊技の実行回数管理の簡素化を図ることができる。
前記実施形態においては、上乗せ抽選テーブル選択抽選をART遊技の付与時にのみ実行しているが(ステップS122)、ART遊技中に複数回行うことにより、ART遊技の付与態様の多様化をより一層図ることができる。また、上乗せ率が低い上乗せ抽選テーブル(ノーマルモード)から上乗せ率が高い上乗せ抽選テーブル(スペシャルモード)への上乗せ高確状態の移行を、上乗せ抽選テーブルの切換処理により可能にして、上乗せ率の高い上乗せ抽選テーブルへの移行が生ずる可能性を付与して、遊技回数の上乗せパターンの多様化及び期待感の増大を図ることができる。
前記実施形態においては、ART遊技期間途中で上乗せ当選したとき、遊技回数の上乗せ実行抽選を行って、当選したときに途中上乗せを発生させたり、初期値の終了時以降に、終了時に記憶している上乗せ遊技回数による上乗せを実行するようにしてもよい。
前記実施形態においては、図20のナビポイント抽選テーブルを用いて、ART遊技終了後のCZ3用ナビポイント値Pを抽選し、決定しているが、CZ3用ナビポイント抽選を行わずに、CZ2のART遊技移行時に残った残数ポイントをCZ3遊技状態まで持ち越し可能にしてもよい。この場合には、ATモード移行時(ステップS187)にナビポイントエリアの記憶残数値はクリアされずに、図18の非ATモードN4に持ち越される。そして、ナビポイント検索のステップS162においては、ナビポイントエリアの記憶残数値を参照して、残数有無が確認され、残数があればナビ処理に使用する。この場合、ART遊技終了後の報知可能状態(CZ3)に移行させる特典遊技終了後報知可能状態移行手段はステップS113と同様に構成される。AT役の取りこぼしによりCZ3を解除する特典遊技終了後報知可能状態解除手段はステップS168と同様に構成される。従って、ART遊技終了後チャンスゾーン遊技状態であるCZ3に移行したときにナビポイント残数があることを条件に、CZ3中において前記残数を限度に報知対象役のナビを実行可能にすることにより、ナビポイント残数によるナビによってART遊技付与が可能になる。これにより、最初のART遊技付与前に獲得したナビポイントに基づき、比較的早期にART遊技を獲得したときなど、ナビポイント残数があると期待されるときには、一旦ART遊技を終了しても、その残数による再度のART遊技獲得への遊技者の期待感を高めることになり、ART終了以降の遊技においてもART遊技獲得への期待感を持続させることができ、回胴遊技の興趣増大を図ることができる。
なお、CZ2のART遊技移行時に残ったナビポイント残数値をCZ3遊技状態に持ち越してCZ3で使用する場合におけるCZ3のナビポイント決定手段(報知回数決定手段)は、ナビポイント決定処理(ステップS82)をCZ2と共用してCZ2終了時の残数有無を判定する判定手段により構成される。
CZ3中のナビポイント値は、ART遊技終了時に別途抽選して、その抽選値と、CZ2のナビポイントエリアの記憶残数値とを加算して合算値を使用するようにしてもよい。また、CZ2の残数を自動的に有効とせずに、ART遊技中に、例えば、特定役が当選したときに有効・無効の抽選をして、有効当選した場合に有効とするようにしてもよい。なお、ナビポイント値の変化をデジタル的ないしアナログ的に表示して、残数有無を報知ないし蓋然的に報知して、ART遊技終了後チャンスゾーンにおける遊技者の期待感を増大させるようにしてもよい。
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。