JP5417619B2 - 電磁ホーン型電子スピン共鳴(esr)装置 - Google Patents
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Description
(1)誘電率とESRの温度可変 同時計測システム(ESRと他物理量との同時計測)の開発、
(2)マンガン乾電池の放電時の炭素ラジカルとMn(II)イオンのESRスペクトル変化(ESR試料としてこれまでに殆どなかった(電池)デバイス試料のESR計測であり、これは新規2次電池の開発を示唆、
(3)ビタミンC水溶液によるTEMPOLラジカルや炭素ラジカルの消去過程のin situ観測等に成功した。in situ観測はスーパーオキシド ラジカルが関与の加齢現象・癌等の難治疾患関連のレドックス研究の基礎と位置づけた。
最初に平成21年度に導入したマイクロ波増幅用のK-band AMPについて言及する。
これは、入力側及び出力側共に導波管で結合されているK-band仕様1W級増幅器である。増幅できる周波数範囲は22〜26GHz間で、我々はこのAMPを用いて数mW(数dBm)出力のガン発振器やYIG発振器を1W程度まで増幅する。それは誘電ロスの大きな水溶液試料や生体組織試料に対処するためである。
入力側はベント導波管からフランジを介してAMP付置の導波管に接続しており、他方出力側もK-band導波管出力になっている。中央のAMP本体はアルミブロックの放熱板の上に設置されており、隣接のフラットファンで空冷する仕組みである。
図14において、このX-band反射方式電磁ホーン型ESR装置は、高周波域周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振器001と、設定出力のマイクロ波mw0を減衰器ATT1とサーキュレータcirculatorを介して試料sampleに放射する電磁ホーンhornと、試料sampleへの磁場変調装置002と、試料sampleを介したマイクロ波mw1を再び試料sampleを介して電磁ホーンhornに反射するマイクロ波反射板003と、設定出力のマイクロ波mw0と電磁ホーンhornからの反射マイクロ波mw2を導入し、反射マイクロ波mw2と逆の位相を持ち強度の等しい逆反射マイクロ波をつくり反射マイクロ波を逆反射マイクロ波で打ち消しバランスさせ、ある磁場で電子スピンが│-1/2>状態から│1/2>状態に遷移する所謂磁気共鳴によるスピン反転時に試料がその分だけマイクロ波エネルギーを吸収した際のアンバランスによるマイクロ波の極微量変化を増幅してESRスペクトルとして記録するマイクロ波処理回路004とからなる。
マイクロ波処理回路004において、WG-N,WG-SMA:同軸導波管交換器、ATT2:減衰器 Magic tee:マジックティー、Phase shifter:位相器、AMP:プリアンプとロックインアンプを各々示す。図中、ATT3は減衰器である。
この新型の電磁ホーン型電子スピン共鳴装置は、電磁ホーンのマイクロ波放射面と、マイクロ波反射板の反射面を改良してマイクロ波の収斂/集束を良好に維持し、ノイズを激減させてESR測定感度を所望の感度(2,3桁向上)にするとともに、試料載置台に載せた試料のサイズ、質量、形状、成分、状態等に応じて電磁ホーンに対する試料位置とマイクロ波反射板の相対位置関係を最適に調節してESR測定感度をより高めると共に操作性とESR応用計測性を大幅に拡大(多目的性)した数GHzの広範囲周波数掃引方式及び磁場掃引方式両用 の電磁ホーン型電子スピン共鳴装置である。
また誘電ロスが小さくマイクロ波が深く試料内に入る有機物や無機物試料(固体・液体)では更に高い感度が期待できるK-band,Q-bandの新型の電磁ホーン型電子スピン共鳴装置でイメージング機能を提供する。
試料を配置する部分に、軸心を電磁ホーンのマイクロ波放出中心線上におき空洞部内に試料カプセル装出入器C2を装出入可能にした筒状本体の外壁面に、(1)筒状本体の横断面のX軸方向とY軸方向に磁場勾配が生じる2組の2電流電源のZupancic型磁場勾配コイルとZ軸方向に磁場勾配を生成させるアンチ ヘルムホルツ磁場勾配コイルを配置し、(2)又は筒状本体の縦断面のX軸方向とY軸方向に磁場勾配が生じる2組の2電流電源のアンダーソン型磁場勾配コイルとそれにZ軸方向に磁場勾配を生成させるアンチ ヘルムホルツ磁場勾配コイルを配置してなる3次元ESRイメージング装置を設置したことを特徴とする電磁ホーン型電子スピン共鳴(ESR)装置。
マイクロ波発生部は、ガン発振器用電源31、ガン発振器32、単向管33、半固定式減衰器34、同軸導波管交換器35、アンプ電源36a付きのマイクロ波広帯域増幅器36、スペクトラムアナライザー37a付きのYIGスイープオシレータ37(250KHz〜40GHzマイクロ波周波数掃引可能:アジデントテクノロジー社製)、マイクロ波を同軸ケーブル020からメインアーム導波管01に交換する同軸導波管交換器38からなり、大出力も可能でガン発振器32による磁場掃引の際の周波数固定とスイープオシレータ37による周波数掃引が可能である。
管交換器3、方向性結合器4、アテネータ減衰器5、サ−キュレータ6、試料入射前マイクロ波パワーモニター計測端子部7a、試料からの反射マイクロ波パワーモニター計測端子部7bからなるマイクロ波導波管メインアーム部とからなる。
メインアーム導波管01は、方向性結合器4でリファレンスアーム導波管02を別に分岐する一方、マイクロ波パワー調整用の減衰器5をとおり、パワーを調整されてサーキュレーター6に入る。このマイクロ波はサーキュレーター6の特徴で、全てのマイクロ波が試料のある電磁ホーン側に導かれる。途中にあるパワーモニター用の計測端子7aでこのマイクロ波の出力値が検知され、第一パワーモニター22で測定される。一方、試料を介して電磁ホーンに戻ってきたマイクロ波はその出力値パワーモニター用の計測端子7bで検知され、パワーモニター23で測定される。
電磁ホーン装置は、サ−キュレータ6とパワーモニター用の計測端子7aを一部分岐させた残りのマイクロ波を、試料位置を仮想的位置に置ける働きのあるスリースタブチューナー8(通常使用時にはこれを全て抜いておいて無効化にしておく)に導入し、さらにマイク波振動面を90°回転するためにツイスト導波管9に導入し、続いて矩形円形導波管10で円形マイクロ波モードにし、円形導波管11の延長上の電磁ホーン12に導入しそのマイクロ波放射凸面型放射レンズ13から試料載置装置C内の試料14aを介してマイクロ波反射板15aに向けて放射する。
電磁ホーン(12)の表面(射出口)にはマイクロ波放射凸面型放射レンズ(13)を設けてある。
磁場勾配コイル配置筒C1は、円筒でデルリン(:登録商標)製の筒状本体C11の軸心を電磁ホーン12のマイクロ波放出中心線上におき空洞部内に試料カプセル装出入器C2を装出入可能にし、筒状本体C11の外壁面にその横断面のX軸方向とY軸方向に磁場勾配が生じる2組の2電流電源のZupancic型磁場勾配コイルC1-1aとC1-1b(:X軸コイル)、Zupancic型磁場勾配コイルC1-2aとC1-2b(:Y軸コイル)をコイル束間隔を等間隔で配置し、さらにそれにZ軸方向(:筒の軸方向)に磁場勾配を生成させるZ軸コイルとしてのアンチ ヘルムホルツ磁場勾配コイルC1-3aとC1-3bを絶縁クーリングホルダーC1-3Hに巻設してZupancic型磁場勾配コイルC1-1aとC1-1b、C1-2aとC1-2bの外側で直交し且つ筒状本体C11の前後周囲に巻設してなる。絶縁クーリングホルダーC1-3Hは空冷、水冷式の放熱金属製にしてある。
これ等3組のコイルC1-1aとC1-1b、C1-2aとC1-2b、C1-3aとC1-3bは各対直列に電通接続し、各々の電流電源に接続した給電同軸ケーブル接続端子C1-1C、C1-2C 、C1-3Cから各々給電される。
またコイルC1-1aとC1-1bは180度角間隔をおいて対面配置され、コイルC1-2aとC1-2bも180度角間隔をおいて対面配置されている。そしてコイルC1-1aとコイルC1-2a, コイルC1-2aとコイルC1-1b、コイルC1-1bとコイルC1-2b、コイルC1-2bとコイルC1-1aの角間隔は各々90度に設定してあり各コイル束の角間隔を45度にし、コイル束間の間隔は微量の等間隔に設定してある。
試料カプセルC3は、図11にも示すように一対の円形のアクリル製支持体C3-1とC3-2との間にアクリル製支持体の軸心を点対象にして放射状に配置した挿入孔に複数本の石英ガラス管C3-3を着脱可能に挿入挟持してなり、石英ガラス管C3-3には試験用試料として例えばDPPH試料14aを装填してある。
即ち、マイクロ波導波管のメインアーム01から分岐したリファレンスアーム02からの参照用の発信マイクロ波と、マイクロ波反射板から試料と電磁ホーン12とメインアーム01を介しての反射マイクロ波をミキサー42に導入して、試料中の不対電子のスピンが反転する磁気共鳴時にマイクロ波エネルギーを試料が吸収した際のマイクロ波パワーの極微量変化を差動増幅装置43で検出しロックイン増幅装置44で増幅し記録装置45で記録する。
これまでのESRイメージングは、主に生体試料に応用する目的のために、米国ウイスコンシン医科大学のハイド等が開発したループ ギャップ共振器が用いられ、誘電ロスがX-band(9GHz)帯より1/10程小さいL-band(1GHz)帯が用いられて、マウス等の大きさの生体試料が用いられてきた。
またL-bandマイクロ波は、それより高周波のマイクロ波のX- band, K-band,
Q-bandマイクロ波より誘電ロスの大きな生体試料にはるかに深く入る。その点生体試料用のESRイメージング装置は、L-band帯が適している。そして誘電ロスの小さな有機・無機の試料にはK-band,Q-bandが感度の向上の点で適する。
MRIコイルは図5−1に示すように円筒の筒状本体C11の外周面に筒状本体C11の横断面におけるX軸コイルとしてZupancic型磁場勾配コイルC1-1aとC1-1bを、筒状本体C11の横断面におけるY軸コイルとしてZupancic型磁場勾配コイルZC1-2aとC1-2bの2組にして、2つの電流電源で磁場勾配の方位を変える方式である。この場合筒状本体C11の横断面におけるZ軸コイルとしてのアンチヘルムコイルC1-3a,C1-3bは、筒状本体C11の外周面の前後部でZupancic型磁場勾配コイルの外側に配置する。
他に図5−2に示すように前記円筒の筒状本体C11に代わって矩形の筒状本体K11にその縦断面におけるX軸コイルとしてのアンダーソン型磁場勾配コイルA1-1a,A1-1b,A1-1c,A1-1d組と当該縦断面におけるY軸コイルとしてのアンダーソン型磁場勾配コイルA1-2a,A1-2b, A1-2c,A1-2d組は各組共に対面平行配置しても同様の効果が得られる。この場合当該縦断面におけるZ軸コイルとしてのアンチヘルムコイルA1-3a,A1-3bは前記アンダーソン型磁場勾配コイルの外側に円形に対面平行配置する。
Bz(z,x) = (μ0I/2π) {(a -x)/((a - x )2+(b -z)2)}}・・・・・(1)
で与えられる。
ここで(a,b)は4本の無限直線電線の ある1本の位置座標である。
Eq.(1)は次式のように複素関数の実部として与えられる。
Bz(z,x) = (μ0I/2π) Re{((a +ib)-(x +iz))-1}}・・・・・・・(2)
│x +iz│は│a +ib│に比べて非常に小さいのでeq(2)は次のように展開できる。
Bz(z,x) = (μ0I/2πr) Re{Σ(ξ/r)n exp(-i(n+1)φ)}・・・・・(3)
ここで ξ= (x +iz)、 r exp(iφ)= a +ib である。
Bz(z,x) = (2μ0I/πr) Re{(ξ/r) exp(-i2φ) + (ξ/r)5 exp(-i6φ) + (ξ/r)9 exp(-i10φ)+・・・} 〜 (2μ0I/πr) {(x/r) cos(2φ) + (z/r) sin(2φ)}・・・・・・・・・(4)
最後の近似式において ξ/r≪ 1より、高次の項を無視している。これで図6の1組で4本(4コイル束)のZupancic型コイルの具体的な磁場勾配の様子が導ける。この1組4本のコイルの角度φを機械的に回転させることによって、zx面内で任意方向の磁場勾配が原理的に導ける。
次に2組で8本のZupancic型磁場勾配コイル(図7の○と◎系)を設定して、計算の結果、eq.(5)を導出した。)
Equation (5)は図7に示すように、垂直な8本の平行電線(2組のZupancic型磁場勾配コイル)に2組の電流電源から図中の○印の電線に(1+tan2θ)-1/2 I[A] の電流を、◎印の電線に{tanθ・(1+tan2θ)-1/2}I[A]の電流を流した場合にθ方位に生成する磁場勾配を試算する式である。
Bz(z,x) = (2μ0/πr){(x/r) [tanθ/(1+tan2θ)1/2]I }+ (z/r) [1/(1+tan2θ)1/2 ]I ・・・・・・・・・・(5)
磁場勾配を等高線図で示した。このように2組の電流電源からの電流をeq.(5)に従って変えることにより、コイルを機械的に回転しなくても、任意の方位
の磁場勾配が得られる。
ところで1本の電線に大電流を流したところで、大きな磁場勾配は期待できない。そこで1本の電線のところを数百本束ねて、図9の左図、中図、右図の3種類に示すように各図ともに2組のZupancic型磁場勾配コイルを形成した。そのためにコイルが空間的にかさばり、磁場勾配の方位や線形性に悪影響を及ぼす可能性があり、束ね方の形状を図9に示すように極端な3種類のコイルの形状を考えて、それぞれの形状の場合の磁場勾配の様子を有限要素法で解析した。
有限要素法で詳しく検討した結果、図9の左図、中図、右図の3種類のコイルの巻き方のうち、左図の形状巻き方が試料設置周辺での磁場勾配の線形性がよく、しかも巻き数を多くとれる。従って磁場勾配をより大きくできる点(画像分解能)で一番よいことがわかった。
本発明では前記2組のZupancic型磁場勾配コイルC1-1、C1-2に対して垂直な磁場勾配は前記アンチ ヘルムホルツ磁場勾配コイルC1-3を用いて生成し、3次元ESRイメージングを可能としたものである。
他方 図9の右図のコイル形状で、各直線要素が200本(200ターン)の場合の磁場勾配が0°、30°、45°、60°、90°及び135°の場合の磁場勾配解析例を図10中と右の6つの図で示す。この場合も図中の電流の大きさはeq.(5)から算出した値で、表1で電流値Iに5Aを代入した場合の2電流電源の電流値である。
この2つのコイルの巻き方の違いによる磁場勾配の様子を比較すると、図9(又は図10)の左図の巻き方の方が、試料設置部の磁場勾配の線形性のよい部分の割合(試料の設置可能なフィリングファクター)が大きく、故に大型試料が設置できる。コイル形状がかさばらなくて、小型化できる点、コイルがより多く巻ける点で、図9(または図10)の左のコイル断面形状が優れていることは明かであろう。
これに基づいて3次元ESRイメージング装置CのZupancic型磁場勾配コイルC1-1a,C1-1b及び C1-2a,C1-2bの設計と作製を行った。
図11に示すように円形の透明なアクリル製支持体C3-1、C3-2からなる試料カプセルC3内には2〜3本の細い石英ガラス管C3-3に充填したDPPH試料14a-1〜14a-3を装着する。
図12−1に2本の石英ガラス管C3-3に充填したDPPH試料14a-1、14a-2の磁場勾配方位0°(図中の0)から180°(図中の18)まで10°間隔で計測した磁場勾配1次積分ESRイメージングスペクトルの磁場勾配方位の角度依存性をスタック表示で分かり易く示した。図13−1に3本の石英ガラス管C3-3に充填したDPPH試料14a-1、14a-2,14a-3の磁場勾配方位0°(図中の0)から180°(図中の18)まで10°間隔で計測した磁場勾配1次積分ESRイメージングスペクトルの磁場勾配方位の角度依存性をスタック表示で分かり易く示した。図12−1は元の細い石英ガラス管C3-3に充填された2本の直線形状を示し、図13−1は元の細い石英ガラス管C3-3に充填された3本の直線正三角形示す。
これらのスペクトルをバックプロジェクション法、ART(代数的再構成)法等を用いて再構成した図を図12−2と図13−2示す。
表1にeq.(5)から算出した電流値を示す。I[A]に所定の電流値を入れて各磁場勾配方位での電流値を算出する。
本発明は、本発明者の小林が1990年頃に開発した2組のZupancic型磁場勾配コイルとアンチ ヘルムホルツ型磁場勾配コイルからなる3次元MRIコイルを適用する他にESRイメージングでよく使われる、2組のアンダーソン型磁場勾配コイルとアンチ ヘルムホルツ型磁場勾配コイルからなる3次元MRIコイルを適用した例も紹介した。
後者のアンダーソン型コイルによる3次元ESRイメージング装置によって、実際にESRイメージング像をバックプロジェクション法及びART法で得たが、前者の2組のZupancic型磁場勾配コイルは、後者のアンダーソン型コイルよりも小型化でき、より大きな試料のMRIイメージング画像を得る利点がある。
また図12−1および図13−1に示すように2組のZupancic型磁場勾配コイルは2電流により、理論通りの磁場勾配ESRスペクトルが得られた。
本発明では、ESRイメージングに限定して紹介した。電磁ホーン型ESRの応用は多様で、物理学や化学の基礎科学の研究から、工学・医薬学・環境等の応用科学分野で多くの有為な応用が可能である。
発明者等も工学分野ではマンガン乾電池(デバイス)の放電時のin situ観測から、新規な2次電池の研究まで新規な電池の開発に使用している。
また液晶ディスプレイに必要な色素の性能評価等も可能である。
その他、TEMPOLラジカルや炭素ラジカルのビタミンC(L-アスコルビン酸)によるラジカル消去のin situ観測、単結晶を用いたESR結晶解析を電磁ホーン型ESRでもって行い、結晶中のラジカルや遷移金属イオンのスピンハミルトニアン解析つまりESR結晶学への応用を行っている。
この先 数十年のESRの未来を予測してみると、共振器型ESRは、その共振器のマイクロ波磁界モードの大きな磁界の処に試料を設置するので、感度的に有利である。しかし共振器にはQ値が存在するために、誘電ロスの大きな試料やサイズの大きな試料には向かない。また共振器には固有周波数があるために、周波数掃引ESRスペクトルの計測は困難である。できたとしても、例えば共振器内にバラクターダイオードを設置して、電気的に共振器の容量を変化させて、掃引する周波数に応答して共振する空洞共振器は実現できるが、せいぜい100〜200MHzの周波数掃引幅である。この欠陥を電磁ホーン型ESRをもっと一般的にいって、アンテナ型ESR装置では解決できる。感度の点で未だ未だ共振器型ESRの存在意義はあるが、今後ESRの世界はアンテナ型(その一つに電磁ホーン型ESRがある)ESR装置が大きく伸びてこよう。
37a:スペクトラムアナライザー
4:方向性結合器
5:減衰器(メインアーム)
6:サ−キュレータ
8:スリースタブチューナー
9:ツイスト導波管
10:矩形円形変換導波管
11:円形導波管
12:電磁ホーン
13:マイクロ波放射凸面型レンズ
14a:試料
15:マイクロ波反射板
A:マイクロ波発信装置
B:電磁ホーン装置
C:3次元ESRイメージング装置
D:掃引磁場印加装置
E:マイクロ波処理回路
C1:磁場勾配コイル配置筒
C2:試料カプセル装出入器
C3:試料カプセル
C3-3:石英ガラス管
14a、14a-1〜14a-3:試料
C1-1a, C1-1b:Zupancic型磁場勾配コイル(X軸コイル)
C1-2a, C1-2b:Zupancic型磁場勾配コイル(Y軸コイル)
C1-3a, C1-3b:アンチ ヘルムホルツ磁場勾配コイル(Z軸コイル)
C1-3H:絶縁クーリングホルダー
C1-1C、C1-2C 、C1-3C:給電同軸ケーブル接続端子
A1-1a,A1-1b,A1-1c,A1-1d:アンダーソン型磁場勾配コイル(Y軸コイル)
A1-2a,A1-2b,A1-2c,A1-2d:アンダーソン型磁場勾配コイル(X軸コイル)
A1-3a,A1-3b: アンチ ヘルムホルツ磁場勾配コイル(Z軸コイル)
Claims (2)
- マイクロ波発信装置の電磁ホーンからのマイクロ波を試料を介してマイクロ波反射板に放射しマイクロ波反射板からの反射マイクロ波を再び試料を介して電磁ホーンを介してマイクロ波処理装置に導入してここで前記反射マイクロ波と参照用の発信マイクロ波とにより、前記試料が不対電子のスピンが反転する磁気共鳴時に吸収したマイクロ波エネルギーをマイクロ波パワーの変化として検出する電磁ホーン型電子スピン共鳴(ESR)装置において、
試料を配置する部分に、軸心を電磁ホーンのマイクロ波放出中心線上におき空洞部内に試料カプセル装出入器C2を装出入可能にした筒状本体の外壁面に、(1)筒状本体の横断面のX軸方向とY軸方向に磁場勾配が生じる2組の2電流電源のZupancic型磁場勾配コイルとZ軸方向に磁場勾配を生成させるアンチ ヘルムホルツ磁場勾配コイルを配置し、(2)又は筒状本体の縦断面のX軸方向とY軸方向に磁場勾配が生じる2組の2電流電源のアンダーソン型磁場勾配コイルとZ軸方向に磁場勾配を生成させるアンチ ヘルムホルツ磁場勾配コイルを配置してなる3次元ESRイメージング装置を設置したことを特徴とする電磁ホーン型電子スピン共鳴(ESR)装置。 - 前記試料カプセル装出入筒を円筒(C11)又は矩形筒(A11)にしたことを特徴とする請求項1に記載の電磁ホーン型電子スピン共鳴(ESR)装置。
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