JP5416901B2 - 興味のある分子の細胞内位置決めのためのベクターとして用いられるマウロカルシン由来ペプチド - Google Patents

興味のある分子の細胞内位置決めのためのベクターとして用いられるマウロカルシン由来ペプチド Download PDF

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Description

本発明は、細胞内に透過(penetrating)でき、かつこれらの細胞内に興味のある分子(molecules of interest)を輸送できるマウロカルシン(maurocalcine)由来のペプチドに関する。
細胞質膜を通しての物質、特に薬理特性を有する巨大分子の輸送、及びこれらの物質の種々の細胞内区画、特に細胞質区画及び核区画へのアクセスの問題点は、バイオテクノロジー及び生物医学の研究における、そして製薬産業における障害である。
細胞内への物質の導入について現在知られている手段のうち、CPP (細胞透過ペプチド(Cell-Penetrating Peptides))としても知られる移送ペプチドは、特に有利なベクターの代表である(総説として、特にProchiantz, Curr. Opin. Cell. Biol., 2000, 12, 400〜406; Lindgrenら, Trends Pharmacol. Sci., 2000, 21, 99〜102を参照)。
実際に、これらの小分子は、輸送体非依存性及び受容体非依存性の様式で細胞膜を横切り、かつこれらの膜を浸透不可能な巨大分子、例えばタンパク質及び核酸を、低濃度でエネルギーを用いずに効率的に(細胞の100%の導入)かつ迅速に(5〜15分程度)、全ての細胞種においてインビボ及びインビトロで輸送できる。さらに、これらのペプチドのいくつかは、血液髄膜関門を横切ることができることが示されている(Schwarze及びDowdy, Science, 1999, 285, 1569〜1572)。
輸送体非依存性及び受容体非依存性の様式で膜を横切ることができるペプチドからなるこれらのベクターは、正に荷電したペプチドがDNAを濃縮する役割を果たし、かつ特にDNA/糖ペプチド複合体がマンノース又はアシアロ糖タンパク質の受容体に結合することによりPEG又は糖が興味のある細胞を標的することを可能にする糖タンパク質又はPEGと結合したペプチド(ペプチドCWCK15CK、CW(CK3)4CK及びCWK5CK5CK5C (配列番号26〜28): Parkら, Bioconjugate Chem., 2002, 13, 232〜239; Kwokら, J. Pharm. Sciences, 2003, 92, 1174〜1185)を含むその他のベクターとは異なる。
現在知られている透過ペプチドは、2つのカテゴリに分けられる。
* 種々のタンパク質の膜移送シグナル配列由来ペプチド(カポジ肉腫由来繊維芽細胞成長因子(K-FGF)及び免疫グロブリン軽鎖(Ig(v));これらのペプチドの透過の機構は知られておらず、中心の疎水性領域が透過に関与するが、この領域の構造はタンパク質により異なる(α-へリックス(K-FGF)又はβ-シート(Ig(v));
* 細胞内シグナル伝達タンパク質又は「メッセンジャータンパク質」由来ペプチド;これらのタンパク質は、細胞内に直接透過し、そして、それらが転写調節する核に到達する特殊性を有する(HIV-1 Tat、HSV-1 VP22及びホメオタンパク質)。
機能的研究により、これらのペプチドのそれぞれの移動に必要かつ充分な最小限の配列を同定することができた。
- 膜を横切りかつ他のタンパク質又はオリゴヌクレオチドに対してベクターとしての役割を果たすことができる最小のホメオタンパク質フラグメントは、ペネトラチンとして知られる、ホメオドメインのヘリックス3に相当する43〜58ペプチドである(Derossiら, J. Biol. Chem., 1994, 269, 10444〜10450及び国際出願WO 97/12912)。この配列の変異体の研究は、α-ヘリックス構造が細胞内移送には関与しないが、核での位置付け(addressing)において役割を演じることを示している。一方、位置48のW残基は重要であり、ペプチドの両親媒性の特性が移動に必須であるが充分ではない。補足的な研究により、W48残基の役割が確認され、正に荷電したアミノ酸(リジン及びアルギニン)の、負に荷電した膜リン脂質との相互作用の重要性が示されている。これらの研究により、逆ミセル(inverse micelle)モデルが提案された。このモデルによると、ペネトラチンは、細胞表面にて静電的相互作用により安定化され、位置48のトリプトファンは、ペプチドをトラップしそれを細胞質内に送達する逆ミセルを形成させる。
- VP22タンパク質の267〜300フラグメントは、内部移行のための最小限の配列に相当する(Elliot及びO'Hare, Cell, 1997, 88, 223〜233)。
- Tatタンパク質の最も効果的なフラグメントは、全塩基性領域に相当しかつ核局在化シグナルを含む48〜60フラグメントである。しかし、より短いフラグメント(47〜57)は、融合タンパク質の形で、15〜120 kDaのタンパク質を種々の細胞種においてインビトロ及びインビボで輸送でき、血液髄膜関門を横切ることができる。さらに、ヒトウイルスのTatペプチドとは異なって、ウマウイルスのTatペプチドは、ホメオドメインの構造に類似の構造を有する。
これらの機能的研究は、これらのペプチドの透過の一般的な機構を同定することを可能にしていないが、このことは、これらのペプチドの移動を担う共通の配列及び/又は構造要素の同定を特に可能にするであろう。
マウロカルシン(MCa)は、添付の配列表の配列番号1の配列に相当する、サソリScorpio maurus palmatusの毒から単離された33アミノ酸のトキシンである。対応するcDNAは、3つのドメイン:22アミノ酸のN-末端シグナルペプチド、続いて、プロホルモンに特徴的な開裂シグナル(KR)で終わる負に荷電したアミノ酸に富む11アミノ酸のプロペプチド、及び成熟ペプチド(マウロカルシン)に相当する33アミノ酸のC-末端ペプチドを含む、66アミノ酸の前駆体をコードする。マウロカルシンは、他の2つのサソリのトキシン:Pandinus imperatorのインペラトキシン(IpTx A、配列番号9;82%同一性)及びOpistophthalmus carinatisのオピカルシン1及び2 (配列番号10及び11;それぞれ91%及び88%同一性;図1A)と強い相同性を示す。
これは、セリン又はスレオニンが続く塩基性残基の連続を含む6アミノ酸モチーフ(K19K20-K22R23R24-T26)にわたって、Lタイプ電圧依存性カルシウムチャネルであるジヒドロピリジン受容体(DHPR)のII-IIIループのアクチベータドメインと相同性も示す。骨格筋において、細胞質膜に位置するジヒドロピリジン受容体と、筋小胞体の小嚢内に位置する1型リアノジン受容体(RyR1)とは、興奮収縮連関に参加するカルシウム可動化複合体の一部分を形成する。マウロカルシンは、1型リアノジン受容体(RyR1)の最も強力なエフェクタの一つである。特に、これは、リアノジンのRyR1受容体への結合を刺激すること、これは、サブコンダクタンスの期間の延長が見られることを特徴とするカルシウムチャネルの開放におけるかなりの修飾を誘導すること、及び管状筋細胞培養へのマウロカルシンの細胞外の添加が、筋小胞体から細胞質へのカルシウムの放出を誘導することが示されている(Fajlounら, FEBS Letters, 2000, 469, 179〜185; Esteveら, J. Biol. Chem., 2003, 278, 37822〜37831)。つまり、マウロカルシン又はKKCKKRモチーフを含むそのアナログを、免疫抑制の誘導又はカルシウムチャネル機能不全に関連する病変の治療のための有効成分として用いることが提案されている(PCT国際出願WO 01/64724)。
マウロカルシンの三次元構造は、多くの植物、動物又は真菌類のペプチドに存在するICKモチーフ(阻害剤結び目モチーフ(Inhibitor Knot Motif))による折り畳みに対応する。ICKファミリーは、種々の配列及び種々の生物活性のペプチド、例えば動物トキシン(蛇毒又はクモ毒)及び植物起源のプロテアーゼ阻害剤、例えばMcoT I-IIペプチド(SGSDGGVCPKILKKCRRDSDCPGACICRGNGYCG (配列番号29)) (Zhuら, The Faseb Journal, 3 July 2003; Heitzら, Biochemistry, 2001, 40, 7973〜7983)を含む。
マウロカルシンの構造は、より具体的には、(i) ジスルフィドブリッジ(C3-C17、C10-C21及びC16-C32)により連結され、3つのβ-シート(9-11、20-33及び30-33;20-33及び30-33のシートは逆平行である)を有するコンパクトコアと、(ii) N-末端のエマージングループ(emerging loop)とからなる(Mobashら, Proteins, 2000, 40, 436〜442)。これは、RyR1受容体との相互作用の表面であり得る正に荷電した面を含む分子である(Mobashら, 上記)。さらに、マウロカルシン変異体(K8A、K19A、K20A、K22A、R23A、R24A及びT26A;配列番号2〜8)の研究により、R24残基が、リアノジンのRyR1受容体への結合に対するマウロカルシンの効果に対して重要であることが示されている(Esteveら, 上記)。
1型リアノジン受容体(RyR1)に対するマウロカルシンのエフェクタとしての役割についての研究の間に、本発明者らは、上記のCPPを含むタンパク質のいずれのカテゴリにも属さないマウロカルシンが、インビトロで細胞内に入り込むことができ、タンパク質を輸送できることを示した。
本発明者らは、今回、興味のある物質、特に興味のある巨大分子、例えばタンパク質及び核酸、並びに興味のある化学分子を含む粒子の内部移行及び位置付けのためのベクターとして役割を果たし得るマウロカルシン由来のアミノ酸配列の最小限の特徴を定義しようと努めた。さらに、マウロカルシンは既知の薬理特性を有するトキシンであるので、これをインビボで用いることはできない。よって、本発明者らは、好ましくはインビボで毒性でない、すなわち特にRyR1受容体に結合しないことによりRyR1受容体に対する薬理活性を有さないマウロカルシン由来ペプチドベクターを得ることを目的ともした。
よって、本発明の主題は、ペプチドベクターが、以下の配列(I):
Z-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-X22-X23-X24-X25-X26-Z' (I)
(式中、
- X1及びX26はそれぞれシステインを表し、
- X2〜X25はそれぞれアミノ酸を表すか又は存在しないが、X7、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16は常に存在し、
- X10、X11、X13及びX14はそれぞれリジン又はアルギニンを表し、
- Z及び/又はZ'は存在しないか又はそれぞれ1〜35アミノ酸の配列を表すが、添付の配列表の配列番号1の配列のペプチドは除く)
に相当するマウロカルシン由来ペプチドから実質的になることを特徴とする、興味のある物質(substance of interest)の細胞内位置付け(intracellular addressing)のためのペプチドベクターの使用である。
本発明は、マウロカルシン由来ペプチド、例えば特にマウロカルシンの天然又は合成の変異体、例えばマウロカルシンアナログの使用を含む。本発明は、また、マウロカルシンとICKモチーフを含むトキシン、例えばオピカルシン(1又は2)及びインペラトキシンAとのキメラの使用も含む。
本発明の目的のために、「アミノ酸」の用語は、天然又は合成のアミノ酸、すなわち:タンパク質に通常見出される20個の天然αアミノ酸(A、R、N、D、C、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びV)、タンパク質にほとんど見られないいくつかのアミノ酸(ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、メチルリジン、ジメチルリジンなど)、タンパク質には存在しないアミノ酸、例えばβ-アラニン、γ-アミノ酪酸、ホモシステイン、オルニチン、シトルリン、カナバニン、ノルロイシン又はシクロヘキシルアラニン、並びに上記のアミノ酸の鏡像異性体及びジアステレオ異性体を意味することを意図する。
本発明において定義されるペプチドは、インビトロ又はインビボでいずれの種類の細胞にも透過でき、興味のある物質、例えば細胞が浸透できない巨大分子(タンパク質、核酸)及び興味のある化学分子を含む粒子を細胞区画、より具体的には細胞質区画及び核の区画へ輸送できる。例えば、本発明によるペプチドと少なくとも60 kDaまでの範囲の分子量のタンパク質及びナノ粒子のような物質との複合体は、細胞の細胞質及び核に輸送される。
この特性は、上記の物質に結合した上記のペプチドを、上記の細胞の存在下でインキュベートし、細胞内での上記のペプチド及び/又は上記の物質の存在を、当業者に公知のいずれの技術、特に顕微鏡検査法により、特に上記のペプチド及び/又は上記の物質の特異的標識の分析により検出することにより、容易に確認できる。
よって、上記のペプチドは、細胞内標的と相互作用可能な物質の細胞内位置付けのためのベクターとして用いることができる。これらの物質は、特に、その標的が細胞内にある薬理活性物質である。これらの薬剤は、特に、医薬又は植物防御産物である。これらの物質は、細胞内分子プローブとして用い得る、検出される細胞内成分のリガンド(内在性分子又は病原性分子)、特に抗体又は抗体フラグメント(Fab、Fv又はscFv)であり得る。上記の物質は、化学分子、特に巨大分子:タンパク質、ペプチド、ペプチド核酸(PNA)、核酸(プラスミド、オリゴヌクレオチド、アンチセンス核酸、siRNA)及び粒子にカプセル化されているか又は粒子につながれている(結合している)興味のある化学分子を含む粒子、特にナノ粒子又はリポソームを含む。
つまり、上記のペプチドは、特にヒト又は動物の病変の診断及び治療のためのバイオテクノロジー分野、特にナノバイオテクノロジー分野において多くの適用を有し(生物医学的応用)、かつこれらの分野における研究のためのツールとして多くの適用を有する。
本発明を行うために、ペプチドが物質(ペプチド、タンパク質、核酸又はその他の化学分子)と会合することを可能にするそれ自体で公知のいずれの適切な手段により、輸送される物質をペプチドベクターと結合させる。
上記の輸送される物質がペプチド又はタンパク質である場合、これは、ペプチド結合によりペプチドベクターに結合することが有利である。
上記の物質は、ペプチドベクターに非共有的に、特にストレプトアビジン−ビオチン複合体により結合することもでき、例えば、ペプチドベクターをビオチン標識し、興味のある物質がストレプトアビジンに結合する。
上記の物質と上記のペプチドベクターとは、同じ粒子内に組み込むこともできる。これらは、特に、ナノ粒子又はリポソームに結合することができる。
さらに、上記のベクターを、細胞内成分(細胞内分子プローブ)を検出するために用いる場合、これは、有利には、適切な標識、標識された粒子又は標識された物質に結合させることができる。標識は、当業者に知られるいずれの技術(蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリ、磁気共鳴撮像)により検出可能な、特に蛍光標識又は磁性標識である。
このような細胞内分子プローブは、インビトロ及びインビボでの細胞撮像、特にリアルタイム撮像において用いられる。これらは、遺伝病若しくは後天性疾患又は微生物による感染の診断用試薬として、又はリサーチツールとして特に用いることができる。
上記の使用の有利な実施形態によると、X15はアルギニンともリジンとも異なる。この変異により、上記のペプチドのRyR1受容体への結合がなくなり、かつこの結合に起因する薬理効果がなくなることが可能になる。
上記の使用の別の有利な実施形態によると、X7及び/又はX12はシステインを表す。
上記の使用の別の有利な実施形態によると、X2、X3、X4、X5、X6、X8、X23、X24及びX25は存在しない。
上記の使用の有利な態様によると、X17〜X22は存在し、X21及び/又はX22はアルギニン又はリジンを表し、好ましくはX21はリジンを表す。
上記の使用の別の有利な実施形態によると、Z'はアルギニン又はリジンを表す。
上記の使用の別の有利な実施形態によると、Zは、次の配列(II):
Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-Z7-Z8-Z9-Z10-Z11-Z12-Z13-Z14-Z15-Z16-Z17-Z18-Z19-Z20-Z21-Z22-Z23-Z24-Z25-Z26-Z27-Z28-Z29-Z30-Z31-Z32-Z33-Z34-Z35 (II)
(式中:Z1〜Z35はそれぞれアミノ酸を表すか又は存在しないが、Z29、Z30、Z32及びZ31又はZ33は常に存在する)
に相当する。
この実施形態の有利な態様によると、Z21及び/又はZ29はシステインを表し、好ましくは、Z21がシステインを表す場合にX7もシステインを表し、Z29がシステインを表す場合にX12もシステインを表す。好ましくは、X7、X12、Z21及びZ29はそれぞれシステインを表す。
この実施形態の別の有利な態様によると、Z30、Z31、Z32、Z33、Z34及びZ35から選択される少なくとも1つのアミノ酸は、リジン又はアルギニンを表す。好ましくは、Z30及び/又はZ34はアルギニン又はリジンを表す。
この実施形態の別の有利な態様によると、Z22、Z23、Z24、Z25、Z26、Z27及びZ28から選択される少なくとも1つのアミノ酸は、リジン又はアルギニンを表す。好ましくは、Z27及び/又はZ28はアルギニン又はリジンを表す。
好ましくは、Z22、Z23、Z24、Z25、Z26、Z27、Z28、Z30、Z31、Z32、Z33、Z34及びZ35から選択される少なくとも3つのアミノ酸は、それぞれリジン又はアルギニンを表す。さらにより好ましくは、Z27及びZ30はそれぞれリジンを表し、Z28又はZ34はそれぞれリジン又はアルギニンを表す。
この実施形態の別の有利な態様によると、少なくともZ1〜Z18、Z22及びZ31又はZ34は、存在しない。好ましくは、次の残基が存在しない:Z1〜Z18、Z22及びZ31又はZ34;Z1〜Z19、Z22及びZ31又はZ34;Z1〜Z20、Z22及びZ31又はZ34;Z1〜Z26及びZ31又はZ34、Z1〜Z28及びZ31又はZ34
例えば、次のアミノ酸配列の1つが存在する:Z19〜Z21、Z23〜Z30及びZ32〜Z35;Z19〜Z21、Z23〜Z33及びZ35;Z20、Z21、Z23〜Z30及びZ32〜Z35;Z20、Z21、Z23〜Z33及びZ35;Z21、Z23〜Z30及びZ32〜Z35;Z21、Z23〜Z33及びZ35
上記の使用の別の有利な実施形態によると、配列(I)のペプチドはDアミノ酸からなる。
本発明によるペプチドは、特に、
a) マウロカルシンとインペラトキシン又はマウロカルシンとオピカルシンのキメラ、例えば配列番号24及び25の配列のペプチド、
b) 33アミノ酸のマウロカルシン由来ペプチド:ここで、
- X1、X7、X12、X26、Z21及びZ29はCを表し、
- X10、X11、X13、X14、X21、X22、Z27、Z30及びZ28又はZ34はK又はRを表し;好ましくは、少なくともX10、X11、X13、X21、Z27及びZ30はKを表し、さらにより好ましくは、X10、X11、X13、X21、Z27及びZ30はKを表し、そしてZ28又はZ34はK又はRを表し、好ましくは、Z28はRを表すか、又はZ34はKを表し、
- X2、X3、X4、X5、X6、X8、X23、X24、X25、Z1〜Z18、Z22及びZ31又はZ34は存在せず、
- X9はS又はGを表し、
- X15はRを表し、
- X17はT、S又はAを表し、
- X19は、A、V、L、I、P、W、F及びMから選択される疎水性アミノ酸を表し、
- X16、X18、X20、Z19、Z20、Z23、Z24、Z25、Z26、Z32、Z33、Z35、Z'及び所望によりZ28、Z31、Z34は、A、C、D、E、F、G、K、L、M、P又はN、好ましくはA又はFを表し;例えばZ19はGを表し、Z'は、R又はKを表す、
c) マウロカルシンの位置16〜32又は16〜33に対応するb)で定義されるペプチドのフラグメント、
d) マウロカルシンの位置10〜32又は10〜33に対応するb) で定義されるペプチドのフラグメント、
e) マウロカルシンの位置8〜32又は8〜33に対応するb)で定義されるペプチドのフラグメント、及び
f) X15がRともKとも異なるb)、c)、d)及びe)で定義されるペプチド由来のペプチド
で表される。
これらのペプチドのうち、配列番号2〜23の配列を有するものを挙げることができる。
上記の使用の別の有利な実施形態によると、上記のペプチドベクターは、適切な標識、特に蛍光色素と結合する。結合は、特に、標識されたストレプトアビジン−ビオチン複合体又は標識された粒子による共有結合又は非共有結合であり得る。
上記の使用の別の有利な実施形態によると、上記で定義されるペプチドベクターは、粒子、特にナノ粒子と結合する。有利には、上記の粒子は標識され、及び/又は興味のある物質、例えば特に医薬若しくは植物防御産物として用いることができる薬理活性物質、又は細胞内分子プローブとして用いることができる検出される細胞内成分のリガンドである物質を含む。
上記の使用の別の有利な実施形態によると、上記で定義するペプチドベクターの配列(I)は、キメラペプチド又はキメラタンパク質を形成するように、興味のある異種ペプチド又はポリペプチド配列と融合される。
「異種」の用語は、マウロカルシン又はマウロカルシンアナログの配列中の配列(I)に直接隣接している配列以外の配列を意味することを意図する。
上記のキメラペプチド又はキメラタンパク質は、適切な標識及び/又は粒子と結合していることが有利であり、該粒子は任意に標識されていることが可能である。
配列(I)を興味のあるペプチド又はタンパク質に挿入することは、NH2若しくはCOOHの端又は適切な内部の部位で行われ、該内部の部位は、該タンパク質又はペプチドの構造に従って選択される。
本発明の主題は、標的が細胞内である薬理活性物質と、該物質の細胞内位置付けのためのベクターとしての上記で定義するペプチドベクターとを含む組成物でもある。
上記の組成物の有利な実施形態によると、上記の薬理活性物質とペプチドベクターとは、上記で定義されるキメラペプチド又はキメラタンパク質の形である。
上記の組成物の有利な実施形態によると、これは、上記の薬理活性物質と上記のペプチドベクターとの両方を含む粒子を含む。
上記の組成物の別の有利な実施形態によると、上記の薬理活性物質は、ヒト又は動物の個体に投与することを意図する医薬である。
本発明の主題は、医薬としての上記で定義される組成物でもある。
本発明の主題は、ヒト又は動物における病変の治療用の医薬の製造のための、上記で定義される組成物の使用でもある。
本発明の主題は、検出される細胞内成分のリガンド(細胞内プローブ)と、該リガンドの細胞内位置付けのためのベクターとしての上記で定義されるペプチドベクターとを含む組成物でもある。
上記の組成物の有利な実施形態によると、上記のペプチドベクターは、上記で特定したような適切な標識、標識されたナノ粒子、及び/又は上記のリガンド(キメラタンパク質又はキメラペプチド)と連結される。
上記の組成物の別の有利な実施形態によると、上記のリガンドは、上記の成分に指向された抗体又は抗体の機能的フラグメントである。
本発明の主題は、診断試薬としての上記で定義される組成物でもある。
本発明の主題は、上記で定義する組成物を、いずれの適切な手段により個体に投与することを含むことを特徴とする、病変を治療する方法でもある。
本発明の主題は、
- 細胞試料を上記で定義される検出試薬と接触させ、そして
- いずれの適切な手段により細胞内標識を検出する
ことを含むことを特徴とする、細胞内成分をインビトロで検出する方法でもある。
本発明によると、上記の細胞試料は、微生物に感染した可能性がある高等真核生物の細胞、又は微生物(細菌、酵母、真菌類、寄生体)の細胞を含む。
本発明の主題は、
- 上記で定義される検出試薬を生物に導入し、そして
- いずれの適切な手段により、細胞内標識をin situで検出する
ことを含むことを特徴とする、細胞内成分をインビボで検出する方法でもある。
上記の方法の有利な実施形態によると、上記の検出試薬は、上記で定義する標識された試薬である。上記の試薬は、例えば、蛍光色素又は蛍光色素に結合している粒子と結合する。
本発明によると、上記の生物は、高等真核生物、特にヒト、動物又は植物である。
本発明の主題は、任意に標識されていてもよい上記で定義されるキメラペプチド又はキメラタンパク質でもある。
本発明の主題は、配列番号1〜11及び26〜29のペプチドではない上記で定義される配列(I)のペプチドでもある。該ペプチドは、有利には標識されることができる。
本発明の主題は、上記で定義されるペプチドベクターに結合している粒子である。該粒子及び/又はベクターは、有利には標識されることができる。上記の粒子は、有利にはナノ粒子である。
本発明の主題は、上記で定義されるペプチドベクター、又は融合ペプチド若しくはタンパク質をコードするポリヌクレオチドでもある。本発明によると、上記のポリヌクレオチド(DNA又はRNA)の配列は、上記のペプチドベクターをコードするか又は上記の融合ペプチド若しくは上記の融合タンパク質をコードするcDNAの配列に相当する。上記のポリヌクレオチドの配列は、小胞体への移動のためのシグナルペプチドを含むことができ、それにより細胞外媒体に分泌されるペプチドベクター/融合ペプチド又はタンパク質が作製される。上記のシグナルペプチドは、特に、マウロカルシンのもの、又は細胞外媒体に分泌され得るいずれのペプチド若しくはタンパク質のものであり得る。さらに、上記のポリヌクレオチドの配列は、上記のペプチドベクターをコードするcDNA配列の5'に挿入された、マウロカルシンプロペプチド又はICKファミリーのその他のペプチドの11アミノ酸の配列を含むことができる。
上記の配列は、有利には、それが発現される宿主内でコドン使用が最適になるように改変できる。
本発明の主題は、特に:
a) 転写及び所望により翻訳のために適切な調節配列(プロモーター、アクチベーター、イントロン、開始コドン(ATG)、停止コドン、ポリアデニル化シグナル)の制御下に、上記で定義する少なくとも1種のポリヌクレオチドを含む発現カセット、及び
b) 本発明によるポリヌクレオチドを含む組換えベクター
を含む。有利には、これらのベクターは、上記で定義される少なくとも1種の発現カセットを含む発現ベクターである。
本発明の主題は、上記で定義される少なくとも1種のポリヌクレオチド又は少なくとも1種の組換えベクターで改変された原核又は真核の宿主細胞でもある。
本発明の主題は、その細胞の全て又は一部分が、上記で定義されるポリヌクレオチド又は組換えベクターで改変されたことを特徴とするトランスジェニック非ヒト哺乳動物でもある。
本発明の主題は、その細胞の全て又は一部分が、上記で定義されるポリヌクレオチド又は組換えベクターで改変されたことを特徴とするトランスジェニック植物でもある。
興味のある核酸分子を真核又は原核の宿主細胞内に導入して維持するために興味のある核酸分子を挿入できる多くの核酸ベクターは、それら自体で公知である。適切なベクターの選択は、このベクターについて構想される使用(例えば、興味のある配列の複製、この配列の発現、この配列の染色体外の形での維持、又は宿主の染色体物質への挿入)、及び宿主細胞の性質に依存する。例えば、とりわけ、興味のある配列がその中に予め挿入されている例えばアデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、AAV及びバキュロウイルスのようなウイルスベクターを用いることが可能である。上記の配列(単離されているか又はプラスミドベクターに挿入されている)を、その配列が宿主細胞膜を横切ることを可能にする物質、例えば輸送体、例えばナノ輸送体又はリポソーム若しくはカチオン性ポリマーの調製物と会合させることができるか、或いは上記の配列を上記の宿主細胞にエレクトロポレーション又はマイクロインジェクションのような物理的方法を用いて導入することができる。さらに、これらの方法は、例えばリポソームと関連させたエレクトロポレーションを用いて有利に組み合わせることができる。
上記で定義されるポリヌクレオチド、組換えベクター及び形質転換された細胞は、特に、本発明による融合ペプチド及びタンパク質の製造のために用いることができる。
本発明によるポリヌクレオチドは、それら自体で公知の従来の方法により、Current Protocols in Molecular Biology (Frederick M. AUSUBEL, 2000, Wiley and son Inc., Library of Congress, USA)に記載されるような標準的なプロトコルに従って得られる。例えば、これらは、PCR若しくはRT-PCRによる核酸配列の増幅、相同プローブとのハイブリダイゼーションによるゲノムDNAライブラリのスクリーニング、又は完全若しくは部分的な化学合成により得ることができる。組換えベクターは、それら自体で公知の従来の組換えDNA及び遺伝子工学の方法により、構築されて宿主細胞に導入される。
ペプチド及びそれらの誘導体(融合ペプチド及びタンパク質)は、当業者に公知の従来の方法により作製される。
- マウロカルシン由来ペプチド及び融合ペプチドは、Merrifieldら(J. Am. Chem. Soc., 1964, 85: 2149〜)により初めに記載されたFmoc法に従って固相合成でき、逆相高性能液体クロマトグラフィーにより精製でき、
- マウロカルシン由来ペプチド、並びに融合ペプチド及びタンパク質は、当業者に公知のいずれの手段により得られた対応するcDNAから産生することもできる。該cDNAは、真核又は原核の発現ベクターにクローニングされ、組換えベクターで改変された宿主細胞で産生されるタンパク質又はフラグメントは、いずれの適切な手段により、特にアフィニティクロマトグラフィーにより精製される。
上記の態様に加えて、本発明は、本発明によるペプチドの使用の実施例及び使用される配列をまとめた以下の表、並びに添付の図面に言及する以下の記載から明らかになるその他の態様も含む。添付の図面において、
- 図1は、マウロカルシンの配列及び構造を示す。A.マウロカルシン及びこれらもまたリアノジン受容体に対して活性な2つのその他のアナログトキシン:オピカルシン1及びインペラトキシンAの配列のアラインメント。全てのトキシンは、同数の正に荷電したアミノ酸又は塩基性アミノ酸を有する(全33アミノ酸のうち12の正に荷電したアミノ酸)。B. WebLab ViewerProTMソフトウェアを用いて確立したマウロカルシンの三次元構造。左のパネル:正に荷電した残基(G1、K8、K11、K14、K19、K20、K22及びK30)を含む塩基性面。右のパネル:分子の反対側の面には正に荷電した残基がないことを示す疎水性面。ペプチド主鎖はリボンで示し、正に荷電したアミノ酸の側鎖は鱗状を示す球と幹とで示す。
- 図2は、MCab/Strept-Cy3複合体が、多くの異なる細胞培養物を効果的に形質導入することを示す。CA1海馬ニューロンの培養、HEK293細胞の培養及び未分化のL6細胞の培養は、シアニン-3-標識ストレプトアビジン(MCab/Strept Cy3)と複合化した100 nMのビオチン標識マウロカルシンと30分間インキュベートし、次いで、細胞を固定して共焦顕微鏡で分析した。分化したL6細胞は、同様の方法で処理した。4倍小さいパネルはコントロール実験を示し、ここでは細胞はビオチン標識していないMCa及びStrept-Cy3の混合物で処理した。
- 図3は、ビオチン標識マウロカルシン変異体R24A及びL7Aのシアニン標識ストレプトアビジンとの複合体が、細胞培養物を効果的に形質導入することを示す。HEK293細胞培養は、ビオチン標識し、シアニン-3-標識ストレプトアビジン(MCab/Strept-Cy3)と複合化した333 nMの変異体R24A若しくはL7A又はマウロカルシンと30分間インキュベートし、次いで、細胞を固定して共焦顕微鏡で分析した。
- 図4は、MCab/Strept-Cy3複合体の透過が用量依存性であることを示す。A.記載した濃度(10 nM、33 nM、100 nM、333 nM及び1μM)でのMcab/Strept-Cy3複合体の透過のフローサイトメトリ分析。細胞をトリプシン(1 mg/ml)で処理し、その後フローサイトメトリ分析した。B. MCab/Strept-Cy3複合体の濃度の関数としての平均細胞蛍光。値は、次の等式に対応する:y = y0 + aX(1-exp(-bXx)) (式中、y0 = -3.8、a = 199及びb = 1.5×10-3)。C. 種々の濃度のMCab/Strept-Cy3複合体と1時間インキュベートしたHEK293細胞の共焦免疫蛍光画像。核はTo-PRO-3で染色される。
- 図5は、シアニン標識ストレプトアビジンとのビオチン標識マウロカルシン変異体の複合体の透過が用量依存性であることを示す。A. Strept-Cy3とのビオチン標識変異体R24A若しくはL7A又はマウロカルシンの複合体の透過のフローサイトメトリ分析。細胞をトリプシン(1 mg/ml)で処理し、その後フローサイトメトリ分析した。B.複合体の濃度の関数としての平均細胞蛍光。
- 図6は、1時間の間の、未分化L6細胞におけるMCab/Strept-Cy3複合体の形質導入の動態を示す。(A) 100 nMのMCab/Strept-Cy3添加後3秒、3分及び12分、並びに複合体の洗浄後23分(合計35分)での未分化L6細胞のCy3蛍光の共焦画像。(B) 細胞により透過された光の画像での種々の興味のある領域(ROI)の位置(微分干渉対比、上のパネル)及びCy3蛍光の共焦画像の対応する位置。(C) L6細胞の種々の区画での時間の関数としての興味のある領域の表面積の単位について標準化したCy3蛍光強度の変化。MCab/Strept-Cy3複合体は、培地に100 nMの濃度でt = 0、次いでt = 12分において加え、これを5分間の洗浄により培地から除いた。「基底のROI」は、細胞外媒体の蛍光強度に対応する。値は、5つの異なる細胞の平均±標準偏差を表す。同様の結果が、3つの異なる細胞調製物で観察された。
- 図7は、共焦顕微鏡法免疫蛍光により分析し、コンカナバリンA (A)、α-チューブリン(B)を用い、かつ時間の関数(C)として比較したMCab/Strept-Cy5の細胞内局在化を示す。A. 細胞質膜レベルでの比較によるHEK293細胞内のMCab-Strept-Cy5複合体の細胞内局在化。細胞は、MCab-Strept-Cy5複合体の存在下(333 nM)で1時間インキュベートする。細胞質膜はコンカナバリンで標識し、核はヨウ化プロピジウムで標識する。画像は、単独の共焦平面を表す。B. (A)と同様であるが、細胞骨格標識との比較による(抗-α-チューブリン抗体)。C. 細胞での移動の後のMCab-Strept-Cy5複合体の細胞での分布の修飾。333 nMの複合体と2時間、4時間及び24時間インキュベートしたHEK293細胞のCy3 (MCab-Strept-Cy3複合体)及びTo-PRO (核)の共焦蛍光画像。MCab-Strept-Cy5複合体により核が徐々に標識されることが観察される。
- 図8は、細胞にMCab/Strept-Cy3複合体が入ることが、エネルギーを必要としないことを示す。(A) HEK293細胞へのMCab/Strept-Cy3複合体の侵入のためのコントロール条件。細胞は、100 nMの複合体の存在下で、22℃にて1時間インキュベートする。細胞を固定し、共焦顕微鏡により画像を撮影した。(B) MCab/Strept-Cy3複合体の透過についての温度の影響。細胞を、22℃と同じ実験条件下でインキュベートして観察した。(C) MCab/Strept-Cy3複合体のHEK293細胞への透過に対するナイスタチン(50μM)の影響。ナイスタチンは、飲作用の阻害剤である。条件は、(A)で用いたものと同じである。(D) MCab/Strept-Cy3複合体のHEK293細胞への透過に対するアミロリド(3 mM)の影響。アミロリドは、カベオラの飲食作用の阻害剤である。条件は、(A)で用いたものと同じである。
- 図9は、MCab-Strept-Cy5複合体の細胞での透過に対するヘパリン及び/又はトリプシンを用いた処理の影響のフローサイトメトリ分析(A)及び複合体の細胞毒性(B)を示す。(A) 10μg/mlのヘパリンとの細胞のインキュベーション及びMCab-Strept-Cy5複合体のインキュベーションは、複合体の透過を低減させる(左のパネル)。処理をしない場合のCy5の平均蛍光値は307であるが、ヘパリンの存在下では、78に落ち込む。10μg/mlのヘパリンとの細胞の処理及びMCab-Strept-Cy5複合体の処理は、トリプシン(1 mg/ml)との細胞の処理と組み合わせて、平均蛍光を64の値までさらに減少させる。Strept-Cy5のみとの処理の後に、コントロール蛍光は3.1の値まで到達し、トリプシン又はヘパリンでの処理により影響を受けない。MCab-Strept-Cy5複合体の透過は、1μMの濃度で試験する。(B) ヨウ化プロピジウムの細胞への取り込みにより分析した1μMのStrept-Cy5又はMCab-Strept-Cy5複合体の細胞毒性。ヨウ化プロピジウムで標識した細胞の割合は、パーセンテージで示す。
- 図10は、MCab-Strept-Cy3複合体の細胞への透過に対するK+の細胞外濃度の上昇の影響を示す(A、B)。(A) MCab-Strept-Cy3複合体の細胞への透過に対するKCl濃度の上昇の影響のフローサイトメトリ分析。右のパネルは、145 mM KClの存在下でのコントロールに対応する(複合体なし(上)及びStrept-Cy3との(下)細胞蛍光)。KClの勾配は、コントロールの値に影響しない。左のパネルは、それぞれ5 mM (上、平均蛍光値145)、125 mM (中、平均蛍光値40)及び145 mM (下、平均蛍光値17)のKClの影響を示す。(B) KCl濃度の関数としての平均蛍光における変化。最大蛍光y0 = 139.5及び減少勾配a = -0.72でのy = y0 + aXxの値の線形回帰。
- 図11は、膜脂質とのMCaの相互作用を表す(A、B)。A. GD3及びDPPCの単分子フィルムの表面圧の測定。1μM MCaの適用により誘導された表面圧の変化の動態。結果は、MCaのGD3との相互作用を示すが、DPPCとの相互作用は示さない。初期表面圧は、10 mN.m-1のオーダーであった。結果は、等式y = y0 + aX (1-exp(-b X x))に従って(ここで、初期表面圧はy0 = 11.6 mN.m-1、表面圧における最大の増加はa = 22.9 mN.m-1、及び表面圧における変化についての時間定数はb + 3 X 10-4 sec-1である)、最大に向かうシグモイドの増加を示す。(B) MCa濃度の関数としてのGD3フィルムの表面圧における変化。結果は、シグモイド関数y = a/(1 + exp(-(x-x0)/b)) (ここで、表面圧における最大増加はa = 22.1 mN.m-1、勾配b = 0.006及び最大効果の50%は、X0 = 0.49μMの濃度で得られる)に対応する。
- 図12は、RyR1受容体に対するMCab/Strept-Cy3複合体の影響を示す。(A) 100 nMのMCab/Strept-Cy3複合体を用いる[3H]-リアノジンの結合の刺激。筋小胞体の小嚢へのトリチウム標識したリアノジンの特異的結合は、材料及び方法に記載するようにして測定した。(-)は、MCaもMCab/Strept-Cy3複合体も存在しない下での結合を表す。(B) 100 nMのMCab/Strept-Cy3複合体を用いた筋小胞体の小嚢からのカルシウム放出の誘導。1及び2は、それぞれ50及び20μMのCaCl2 (最終濃度)の添加を表し、3及び4は、20μMのCaCl2の連続添加を表す。A23187は、4μMの最終濃度で加えた。
- 図13は、ビオチン標識しかつStrept-Cy3と複合化したマウロカルシン変異体L7A及びR24Aの、RyR1受容体に対する影響を示す。[3H]-リアノジン結合の刺激を、複合体の濃度を上昇させて観察した。筋小胞体の小嚢へのトリチウム標識したリアノジンの特異的結合は、材料及び方法に記載するようにして測定した。
- 図14は、ナノ粒子の細胞への透過のためのマウロカルシンの使用を示す。A. HEK293細胞培養物は、ナノ粒子(Qdot (登録商標), QUANTUMDOT CORPORATION)と結合した100 nMのマウロカルシンと1時間インキュベートし、次いで細胞を固定し、共焦顕微鏡法により分析した。ストレプトアビジンに結合したQdotを用いて同じ条件下で処理した細胞培養物を、コントロールとして用いた。
実施例1:標識したストレプトアビジンと、ビオチン標識したマウロカルシン又は本発明によるビオチン標識した派生ペプチドとの複合体の細胞透過の分析
1) 材料及び方法
a) ペプチド合成
マウロカルシン、本発明によるマウロカルシン由来ペプチド及びそれらのビオチン標識した誘導体を、固相ペプチド合成(Merrifield, Science, 1986, 232, 341〜347)により、自動合成装置(モデル433A, APPLIED BIOSYSTEMS)を用いて調製した。N-α-Fmoc-L-Lys(ビオチン)-OHは、NEOSYSTEM (SNPEグループ)から供給された。N-α-Fmoc-Lアミノ酸誘導体、4-ヒドロキシメチルフェニルオキシ樹脂及びペプチド合成に用いた試薬は、PERKIN ELMER LIFE SCIENCESより提供された。ペプチド鎖は、0.25 meqのヒドロキシメチルフェニルオキシ樹脂(1%の架橋;0.89 meqのアミノ基/g)上で、1 mmolのN-α-Fmoc-Lアミノ酸誘導体を用いて、連続的に組み立てられた。側鎖の保護基は、次のとおりである。システイン及びアスパラギン残基についてトリチル;セリン、スレオニン、グルタミン酸及びアスパラギン酸残基についてtert-ブチル;アルギニン残基についてペンタメチルクロマン、及びリジン残基についてtert-ブチルオキシカルボニル。
N-α-アミノ基は、ピペリジン/N-メチルピロリドン(18及び20% v/v)を用いて、それぞれ3及び8分間処理することにより脱保護した。Fmocアミノ酸誘導体は、それらのヒドロキシベンゾトリアゾール活性エステルのように、N-メチルピロリドン(4倍過剰)中で結合させた(20分)。ペプチド鎖の組み立ての後に、ペプチド含有樹脂(約1.8 mg)を、連続撹拌下で周囲温度にて2〜3時間、トリフルオロ酢酸/H2O/チオアニソール/エタンジチオール(88/5/5/2、v/v)と、結晶フェノール(2.25 g)の存在下で処理した。次いで、ペプチド混合物をろ過し、ろ液に冷ブチルメチルエーテルを加えて沈殿させた。粗ペプチドを遠心分離(3000 gで10分)によりペレットにし、上清を除いた。還元されたペプチドを200 mM Tris HClバッファー、pH 8.3に最終濃度2.5 mMにて溶解し、ペプチドの酸化と折り畳みを可能にするために、開放して50〜72時間周囲温度にて混合した。
次いで、生成物を、トリフルオロ酢酸(0.08% v/v)、0.1% (v/v)トリフルオロ酢酸水溶液中の0〜30%のアセトニトリルの60分の直線勾配により、6 ml/分の流速で、第一の逆相高圧液体クロマトグラフィー工程(HPLC;C18 Aquapore ODSカラム、20μm、250×10 mm、Perkin Elmer Life Sciences)を通して均質に精製した(λ= 230 nm)。マウロカルシン、本発明によるマウロカルシン由来ペプチド及びそれらのビオチン標識誘導体の精製からなる第二工程は、10 mM (バッファーA)及び590 mM (バッファーB)のリン酸バッファーpH 9.0 (1 ml/分の流速で1時間の0〜60%のバッファーBの直線勾配)を用いるカルボキシメチルセルロースマトリクスでのイオン交換クロマトグラフィーにより行った。マウロカルシン、本発明によるマウロカルシン由来ペプチド及びそれらのビオチン標識誘導体の均質性及び同一性は、(i) 1 ml/分の流速で0.08% v/vトリフルオロ酢酸/0.1% v/vトリフルオロ酢酸/H2O中の0〜60%のアセトニトリルの60分間の直線勾配を用いるC18分析逆相高圧液体クロマトグラフィー(C18 Li-Chrospher、5μm、4×20 mm, Merck);(ii) 酸分解(6N HCl/2% (w/v)フェノール、118℃にて窒素下で20時間)によるアミノ酸分析及び(iii) 質量分光法(MALDI)による質量決定により決定した。
b) シアニン3と結合したストレプトアビジンを用いた複合体の形成
可溶性のストレプトアビジン-シアニン3及びストレプトアビジン-シアニン5 (Strept-Cy3及びStrept-Cy5、AMERSHAM)を、4モル等量のビオチン標識マウロカルシン(1 mM)又はビオチン標識マウロカルシン由来ペプチドと、リン酸バッファー(PBS:136 mM NaCl、1.47 mM Na2HPO4、2.6 mM KCl、1 mM CaCl2、0.5 mM MgCl2、pH 7.2)中で、暗所にて37℃にて2時間混合した。
c) 細胞培養
L6ラット筋原細胞系(クローンC5、EACC)を、15%胎児ウシ血清(LIFE TECHNOLOGIES)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Invitrogen)を補ったDMEM培地で培養する。
L6細胞系の分化は、細胞が集密になったときに培養培地を分化培地(DMEM+5%ウマ血清)に置き換えることにより誘導した。
海馬CA1領域ニューロンは、切開し、髄膜を外してHBSSバッファー(INVITROGEN)中に入れた新生マウスの海馬(出産(partum)後1〜2日)から調製する。次いで、これらを、分離培地(HBSS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO)、2000 IU/ml DNase及び1% (w/v)トリプシン/EDTA)中で、37℃にて7分間インキュベートする。沈降させた後に、上清を除き、組織を1%ペニシリン/ストレプトマイシン含有HBSS培地で洗浄する。組織を、HBSS培地、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、10%胎児ウシ血清、2000 IU/ml DNase I中でプラスチックピペットを用いて均質な懸濁物が得られるまで粉砕する。100 gで1分間の遠心分離の後に、細胞のペレットを、0.5 mMのL-グルタミン及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを含むNeurobasal/B27培地(GIBCO)に再懸濁する。細胞培養物を、20μg/mlのポリ-L-リジンで37℃にて2時間予備処理した培養ディッシュに105細胞/cm2の密度で播種する。2日間の培養の後に、非ニューロン細胞の繁殖を制限するために、シトシンアラビノシド(3μM)を培養物に加え、24時間後に培地を半分交換する。次いで、培養培地は2日ごとに交換する。
ヒト胚性腎細胞(HEK 293系、ATCC)を、集密になる前にトリプシン(1%)での処理により分割し(divided)、10%非働化胎児ウシ血清 (INVITROGEN)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(INVITROGEN)を含むDMEM培地(INVITROGEN)中で、CO2インキュベータ(5%)内で維持する。培養培地は、2日ごとに交換する。
d) 免疫細胞化学
d1) 固定細胞
細胞を、マウロカルシン、並びにビオチン標識及びストレプトアビジン-シアニン3又はストレプトアビジン-シアニン5と複合化した派生ペプチドと、PBS中で100 nMの最終濃度で、暗所で周囲温度にて30分〜1時間インキュベートした。PBS中で3回洗浄した後に、細胞を周囲温度にて、パラホルムアルデヒド溶液(4%)中で、暗所で10分間固定し、PBSで洗浄し、細胞質膜を標識するためにFITC-結合コンカナバリン(MOLECULAR PROBES、5μg/ml)と、そして核を標識するためにヨウ化TO-PRO-3 (MOLECULAR PROBES、1μM)と1時間インキュベートする。細胞骨格を標識するために、細胞を固定し、氷冷メタノールを用いて10分間透過にし、PBSで洗浄し、マウス抗-α-チューブリン抗体(1:1000、SIGMA)と2時間インキュベートした。PBSで2回洗浄した後に、細胞を1時間、Alexa 488結合抗-マウスIgG二次抗体(1:1000、MOLECULAR PROBES)とインキュベートした。次いで、培養物をVectashield封入剤(VECTOR LABORATORIES)中で標本にした。調製物を、レーザスキャン共焦顕微鏡で、Leica TCS SP2コントロールシステムを用いて観察した。Alexa-488及びCy3又はヨウ化プロピジウム(PI)の蛍光を連続的に励起し、次いで記録した。543 nmのヘリウム-ネオンレーザビーム及び蛍光発光を用いて励起したCy3蛍光は、554 nm及び625 nmの間で記録した。画像は、Adobe Photoshop 7.0に取り込んだ。
d2) 生細胞
生細胞は、マウロカルシン、及びビオチン標識してストレプトアビジン-シアニン3と複合化した派生ペプチドと、PBS中に100 nMの最終濃度で、新しく交換した培養培地中で周囲温度にて、水侵対物レンズ(×40)を備えた直立型顕微鏡(Nikon Eclipse 600 FN、;口径0.8)及び共焦頭部(Nikon PCM 2000)、又は「XYZt」モードに従って対物レンズ(×100)を備えたLeica TCS SP2顕微鏡の台の上でインキュベートした。
マウロカルシン、及びストレプトアビジン-Cy3との複合化でビオチン標識した派生ペプチドの透過の動態は、培養培地に100 nMの複合体を注入することにより開始した。Cy3蛍光は、アルゴンレーザの543 nmの波長により励起した。発光はフィルタを通した(595±35 nmフィルタ)。像は、EZ2000ソフトウェア(Nikon)を用いて記録及び分析した。相対蛍光の定量分析は、適切なソフトウェア(Leica)を用いて、全ての細胞のシグナル全体について行った。
e) フローサイトメトリ
細胞をマウロカルシン、及びビオチン標識しストレプトアビジン-シアニン5と複合化した派生ペプチド(MCab-Strept-Cy5複合体)と、PBS中に100 nMの最終濃度で、暗所にて周囲温度で1時間インキュベートする。PBS (PBS:0.15 mM NaCl、6.84 mM Na2HPO4、3.16 mM NaH2PO4、pH 7.2)中で2回洗浄した後に、細胞外複合体及び形質膜結合複合体を除くために、細胞をトリプシン(1 mg/ml、INVITROGEN)で10分間、37℃にて処理した。トリプシンとのインキュベーションの後に、細胞懸濁物を500 gにて遠心分離し、細胞を、1μg/mlのヨウ化プロピジウム(SIGMA)含有PBS中に再懸濁した。ヨウ化プロピジウム処理工程を含まない実験について(用量応答曲線)、MCab-Strept-Cy3複合体をMCab-Strept-Cy5複合体に代えて用いる。分析は、フローサイトメータ(FACScalibur、BECTON DICKINSON)を用いて生細胞について行った。データは、適切なソフトウェア(CellQuest、BD BIOSCIENCES)を用いて記録し分析した。生細胞を合計で10000の事象についてのそれらのサイズ及び顆粒性(granulosity) (前方/側方散乱)に従って分類した。
2) 結果
a) 透過分析
マウロカルシン変異体(配列番号2〜8及び12〜23)、及びマウロカルシンとインペラトキシン(配列番号24)又はオピカルシン(配列番号25)のいずれかとの2種のキメラを合成した。
- GDCLPHLKRCKADNDCCSKKCKRAGTNIEKRCR (配列番号24)及び
- GDCLPHLKRCKENNDCCSKKCKRAGTNIEKRCR (配列番号25)。
各キメラは、マウロカルシン配列の位置24(R24A)又は式(I)の位置15 (X15 = A)のアルギニンのアラニンへの置換も含む。
本発明によるマウロカルシン由来ペプチドが種々の種類の細胞を形質導入し、巨大分子を輸送する能力は、シアニン3結合ストレプトアビジンとのビオチン標識ペプチドの複合体を用いて研究した。ビオチン標識マウロカルシン-ストレプトアビジン-Cy3複合体(MCab/Strept-Cy3)は、コントロールとして働く。
初代ラット海馬ニューロン並びにHEK293系統及びL6系統の細胞(分化の前及び後)を、100 nM又は333 nMのビオチン標識しストレプトアビジン-Cy3と複合化したマウロカルシン由来ペプチド、或いはコントロールとしての100 nM又は333 nMのMCab/Strept-Cy3と周囲温度にて30分間インキュベートする。細胞を固定し、蛍光を共焦顕微鏡法により観察する。
MCab/Strept-Cy3複合体を用いて得られた結果(図2)は、ビオチン標識しストレプトアビジン-Cy3と複合化したマウロカルシン由来ペプチドの細胞透過を分析するのに用いた実験アプローチを有効にした。実際に、全ての細胞の細胞質膜及び細胞質の強い均一な標識が観察されたが、核は弱く標識された。一方、100 nMのビオチン標識していないマウロカルシン又は同じ濃度のStrept-Cy3の存在下でインキュベートした細胞は、いずれの標識も示さず、このことは、Strept-Cy3単独では細胞を形質導入できないことを示す。ビオチン標識マウロカルシンとのStrept-Cy3の会合は、蛍光複合体が細胞内に入るために必要であり、このことは、このプロセスにおけるマウロカルシンの能動的な役割を示す。これらの結果は、マウロカルシンが単独では細胞透過ペプチド(CPP)として働かないが、その他のCPPと同様に、高分子量のタンパク質を細胞内に輸送もできる(ストレプトアビジンは、マウロカルシンよりも14.6倍大きい)ことを示す。
マウロカルシン変異体も細胞に透過でき、細胞内に物質を輸送できる(図3)。
定量分析(図4及び5)は、透過が飽和できないことを示し、このことは、マウロカルシン及び派生ペプチドの拡散の機構と首尾一貫している。マウロカルシン及び派生ペプチドの透過は効率的である。なぜなら、これらは10 nMもの低い濃度で細胞内に透過するからである。いくつかの変異体(例えばL7A;図5)は、マウロカルシンに比べて著しく増加した透過活性を有するが(L7A変異体について5倍)、その他のものはマウロカルシンに匹敵するか、又はそれよりわずかに低い透過である(例えばR24A変異体;図5)。
b) 透過の動態
b1) 1時間の間の分析
未分化の生存L6細胞の蛍光動態の1時間の期間にわたる共焦顕微鏡法分析は、細胞外媒体にMCab/Strept-Cy3を加えた(100 nM) 3分後から標識が出現し始めることを示す(図6A)。細胞質膜(ROI-1)、細胞質(ROI-2)及び核(ROI-3)のそれぞれに対応する3つの興味のある領域を規定した。種々の興味のある領域の位置決め(positioning)は、観察された細胞により透過された光の画像の分析により促進された(図6B)。種々のROIにおける蛍光強度の変化は、時間の関数として分析した(図6C)。
培地へ100 nMのMCab/Strept-Cy3複合体を添加した始めに、全ての区画において蛍光強度が増加するが、その速度は異なる。最も早くかつ最も強い変化は、細胞質膜(ROI-1)で起こり、ピークは10分である。かなりではあるがより遅い蛍光の増加は、細胞質区画(ROI-2)でも観察されるが、より少ないがバックグラウンドノイズよりは大きい増加は、核(ROI-3)で観察される。
各区画において蛍光が増加するときの速度及び相対強度は、細胞内のMCab/Strept-Cy3複合体の進行の方向と首尾一貫している。すなわち、細胞外空間から細胞質膜へ、細胞質膜から細胞質へ、そして細胞質から核へ、である。ROI-1区画で記録されたシグナルは、細胞質に存在するプローブの蛍光による汚染により、おそらく過大評価されている。一方、細胞質の蛍光の相対強度は、より正確であるはずである。さらに、細胞質から核への通過は非常に小さく、このことは、この移行がその他の2つよりも好ましくないことを示唆する。蛍光の変化は、洗浄によりMCab/Strept-Cy3複合体を除いた後:MCab/Strept-Cy3複合体の存在下での12分間のインキュベーション、及び5分間の洗浄にも追跡した(図6C)。
これらの条件下で、ROI-1領域の蛍光強度は減少したが、ROI-2の蛍光強度は増加し、ROI-3の蛍光強度は一定のままである。細胞質区画における蛍光の増加は、細胞質膜から細胞質への複合体の定常的な移送による。
b2) 24時間の間の分析
HEK 293細胞内でのMCab/Strept-Cy5複合体の細胞内分布を、共焦顕微鏡法により、333 nMの複合体との1時間のインキュベーションの後に分析した(図7A)。HEK 293細胞表面の標識はコンカナバリンAを用いて行い、細胞の核はヨウ化プロピジウムを用いて標識した(図7A)。これらの標識をMCab/Strept-Cy5複合体の標識と比較すると、細胞質膜及び細胞質の両方に複合体が存在することが明らかに示される。MCab/Strept-Cy5複合体の分布を、細胞骨格標識であるα-チューブリンの分布とも比較した(図7B)。共存がないことが明らかに示され、このことは、複合体の分布に細胞骨格は含まれないことを示唆する。次に、MCab/Strept-Cy3複合体の細胞分布における変化を、時間を追って追跡した。2時間のインキュベーションの後に、複合体は主に細胞質に存在する。4時間〜24時間のインキュベーションの間に、複合体は核の周囲にありかつ核と共存する。マウロカルシンの生物学的標的はRyR受容体であり、これは細胞質に厳密に存在する。よって、MCab/Strept-Cy3の核内の局在化は、それがRyR1に結合したことによるものではあり得ない。
実施例2:マウロカルシン及び派生ペプチドの細胞透過に関与する機構の分析
a) マウロカルシン及び派生ペプチドの透過はエネルギー非依存性であり、飲食作用阻害剤に非感受性である
細胞へのMCab/Strept-Cy3複合体の侵入にエネルギー依存性プロセスが寄与する可能性を研究した(図8)。MCab/Strept-Cy3複合体の侵入に対する温度の低下の影響は、これらが4℃においてもまだ細胞内に透過することを示す(図8B)。この温度では、複合体は、膜及び細胞質を同様の様式で標識する。飲作用/飲食作用の阻害剤も試験した。アミロリド(3 mM、図8C)及びナイスタチン(50μM、図8D)はともに、複合体の細胞内への侵入又は細胞質膜上若しくは細胞質内でのその相対的分布には影響せず、このことは、細胞内へのマウロカルシンの侵入の原理機構が、エネルギー依存性ではないことをさらに確かにする。
b) マウロカルシン及び派生ペプチドは、膜を通って拡散する
b1) 実験プロトコル
分析は、実施例1に記載のようにして行う。ヘパリン処理実験のために、複合体をヘパリン溶液中で調製し(ウシ小腸ヘパリン、ナトリウム塩、SIGMA)、ヘパリン溶液中で調製した複合体とインキュベーションする前及び後に、細胞を同じヘパリン溶液で2回洗浄した。
b2) 結果
細胞での透過を、MCab/Strept-Cy3複合体とインキュベートした細胞についてフローサイトメトリで分析し、次いでトリプシンで処理して、脂質、特異的受容体又はヘパラン硫酸グリコサミノグリカン(HPSG)によって細胞質膜に結合した複合体を除去した。この方法により、細胞への透過ペプチドの侵入を効率よく研究することが可能になることが示されている(Richardら, J. Biol. Chem., 2003, 278, 585-590)。
図9Aは、ヘパリンが、ヘパラン硫酸グリコサミノグリカンとのヘパランの相互作用を妨げることによるか、又は塩基性の面に結合することにより負に荷電した脂質と相互作用するその特性を損なうことにより、細胞へのマウロカルシンの透過を低減させることを示す。図9Aは、特にヘパラン硫酸に結合することにより細胞質膜の外側表面にて会合しているMCab/Strept-Cy3のフラクションが最小限であることも示す。なぜなら、細胞での透過に対するトリプシン処理の影響が弱いからである(左のパネルと右のパネルを比較せよ)。これらの結果は、マウロカルシン及び派生ペプチドの透過が、輸送体又はヘパラン硫酸を必要とせず、よって飲食作用の機構を含まないことを示す。
図4は、MCab/Strept-Cy3複合体の透過が飽和できないことも示し、このことは、マウロカルシン及び派生ペプチドの拡散の機構と矛盾しない。
さらに、図9Bは、MCab/Strept-Cy5複合体(複合体濃度1μM)の存在下でインキュベートした生細胞によりヨウ化プロピジウムが取り込まれないことを示す。このことは、ストレプトアビジン-Cy5の存在下でのマウロカルシンの細胞毒性が認められないことを示す。
c) マウロカルシン及び派生ペプチドの透過は、膜電位に感受性である
c1) 実験プロトコル
MCab-Strept-Cy5複合体を、種々の比でNaCl/KClを含む溶液(145〜5 mM NaCl、5〜145 mM KCl、2.5 mM CaCl2、1.2 mM MgCl2、10 mMグルコース、10 mM HEPES、pH 7.4)中で調製した。
細胞を、複合体を調製するのに用いたNaCl/KCl溶液を用いて2回洗浄し、次いで、マウロカルシン及びビオチン標識しストレプトアビジン-シアニン3と複合化した派生ペプチド(MCab-Strept-Cy3複合体)と、同じNaCl/KCl溶液中に100 nMの最終濃度で、暗所にて周囲温度にて1時間インキュベートした。同じNaCl/KClバッファーで2回洗浄した後に、シアニン3の蛍光を、フローサイトメータ(FACScalibur、BECTON DICKINSON)を用いて生細胞について分析した。データは、適切なソフトウェア(CellQuest、BD BIOSCIENCES)を用いて記録して分析した。生細胞は、合計で10000の事象についてのそれらのサイズ及び顆粒性(前方/側方散乱)に従って分類した。
c2) 結果
細胞外KCl濃度の増加による細胞の脱分極は、マウロカルシンの透過を約50%制限する(図10A及び10B)。定量分析(図10B)は、膜の脱分極が、蛍光強度の直線的な減少を誘導することを示す。この結果は、膜電位が塩基性分子、すなわちマウロカルシンの透過のための推進力として作用することを示す。
d) 脂質とマウロカルシンの相互作用
d1) 実験プロトコル
ジシアロガングリオシドNeuAcα2-8NeuAca2-3Galbl-aGlcbl-Cer (GD3)及びジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)は、それぞれMATREYA INC及びSIGMAから得た。
表面圧は、自動マイクロ張力計(μTHROUGH SX、KIBRON INC.)を用いて測定した。この装置は、一連の適切なテフロン(登録商標)プローブを用いて、リガンドと単分子フィルムとの相互作用の動態を記録することを可能にする。全ての実験は、20±1での制御された雰囲気下で行った。記載する脂質の単分子フィルムを、以前に記載されたようにして(Mahfoudら, J. Biol. Chem., 2002, 277, 11292〜11296)、ヘキサン:クロロホルム:エタノール(11:5:4、v/v/v)を用いて超純水の水相上に(800μl)堆積させた。フィルムを広げた後に、溶媒の蒸発を可能にするために最短で5分の経過時間を観察した。MCaの脂質単分子層との相互作用を測定するために、種々の濃度のペプチドを単分子フィルムの中に10 ml Hamiltonシリンジを用いて注入し、ペプチドの取り込みにより発生した圧力の増加を、平衡に達するまで記録した(表面圧の最大の増加は、通常、100〜150分のインキュベーションの後に達成された)。MCaとGD3との間の用量依存的な相互作用のために、GD3の単分子フィルムを、10 mN.m-1の初期表面圧(pi)で調製した。結果を、Filmware 2.5ソフトウェア(KIBRON INC.)で分析した。表面圧の測定のためのシステムは、この実験条件下で0.25 mN.m-1まで精密であった。
d2) 結果
マウロカルシンが特定の膜脂質と相互作用できるかを決定するために、DPPCの単分子フィルム及びGD3ガングリオシドの単分子フィルムを、空気-水界面に広げた。次いで、マウロカルシンを1μMの濃度で水相に加えた。フィルムの多様な表面圧を、時間の関数として連続的に記録された(図11A)。結果は、GD3フィルムの表面圧のかなりの増加により示されるように、マウロカルシンがGD3単層を通って透過できることを示唆する。一方、マウロカルシンは、DPPCフィルムの表面圧に著しい変化をもたらさず、このことは、マウロカルシンがこのグリセロリン脂質を認識しないことを示す。図11Bは、マウロカルシンのGD3との相互作用が用量依存的であることを示す。相互作用は、100 nMのマウロカルシンの濃度において検出可能であり、750 nMで最大に到達する。最大効果の50%を作り出す濃度は、500 nMである。
これらの結果は、細胞質膜とのマウロカルシン (MCa)の相互作用の開始部位が、ガングリオシドに富むドメインに位置することを示す。表面静電電位の表示は、マウロカルシンがG1及び全てのリジンを含む塩基性の面と疎水性の面とを有することを示し、マウロカルシンが、大きい双極子モーメントを有する高度に荷電された分子であることを示す(図1B)。つまり、GD3/MCa相互作用がMCaの塩基性の面を中和し、その疎水性の面と膜の内部の部分との相互作用を促進することが考えられる。GD3は、MCaを放出するために膜の外面から内面に一過的に移動でき、これは次いで、負の電荷に富む環境によって、その他の負に荷電した脂質又はタンパク質と新しい静電的相互作用を確立できた。
実施例3:RyR1受容体の生物的活性に対するビオチン標識MCa由来ペプチド/Strept-Cy3複合体の影響の分析
1) 材料及び方法
a) 重筋小胞体小嚢の調製
重筋小胞体小嚢(heavy sarcoplasmic reticulum vesicles)を、Martyら(J. Biol. Chem., 2000, 275, 8206〜8212)に記載されるようにして改変したKimら(J. Biol. Chem., 1983, 258, 9662〜9668)に記載される方法に従って調製する。タンパク質濃度は、Biuret法により測定する。
b) トリチウム標識リアノジン結合アッセイ
重筋小胞体小嚢(1 mg/ml)を、5 nM [3H]-リアノジン、150 mM NaCl、2 mM EGTA、2 mM Ca2+ (pCa=5)及び20 mM Hepes、pH 7.4を含む反応バッファー中で、37℃にて2時間30分インキュベートする。マウロカルシン、マウロカルシン由来ペプチド及びそれらのビオチン標識誘導体を加え、その後、重筋小胞体小嚢を加える。重筋小胞体小嚢に結合した[3H]-リアノジンは、Whatmann GF/Bろ紙によるろ過、及びそれに続く5 mlの氷冷洗浄バッファー(150 mM NaCl、20 mM Hepes、pH 7.4)での3回の洗浄により測定する。ろ紙上に保持された[3H]-リアノジンを、液体シンチレーションにより測定する。非特異的結合が、標識されたリアノジン(20μM)の存在下で測定される。結果は、平均±標準偏差の形で示す。各実験は3重に行い、少なくとも2回繰り返す。
c) Ca2+放出の測定
重筋小胞体小嚢からのCa2+放出は、Ca2+感受性色素であるアンチピリラゾIIIを用いて測定した。ダイオードアレイ分光光度計(MOS 200、Optical System、BIOLOGIC)を用いて、710 nmでの吸収を測定した。重筋小胞体小嚢(50μg)には、250μMアンチピリラゾIII、1 mM ATP/MgCl2、5 mMホスホクレアチン及び12μg/mlクレアチンホスホキナーゼを加えた100 mM KCl、7.5 mMピロリン酸ナトリウム、20 mM MOPS、pH 7.0を含む2 mlのバッファー中で、37℃にてCa2+が能動的に充填(loaded)される(Palade, J. Biol. Chem., 1987, 262, 6142〜6148)。
カルシウムの充填は、50μM及び20μMのCaCl2の連続添加により開始される。
これらの充填条件下で、カルシウム誘発カルシウム放出は観察を妨げない。各実験の最後に、小嚢に残存するCa2+を、4μMのCa2+イオノフォアであるA231287 (Sigma)を加えることにより測定し、吸収シグナルを、20μM CaCl2の2回の連続する添加により校正する。
2) 結果
図12は、MCab/Strept-Cy3複合体が、重筋小胞体小嚢への[3H]-リアノジンの結合を刺激し(パネルA)、かつこれらの小嚢からのCa2+放出を誘発する(パネルB)能力を維持することを示す。
マウロカルシン単独と比較して、MCab/Strept-Cy3複合体により誘発されるより遅いCa2+放出の動態は、わずかに低減された効率の指標である(図12B)。この差は、おそらく、Strept-Cy3による妨害により、活性マウロカルシンがRyR1受容体に結合する部位でのMCab/Strept-Cy3複合体の近づきやすさが低減されることによるのであろう(ストレプトアビジンのMWは60000 Da、これに比べてMCabについて4108 Da)。
MCab/Strept-Cy3複合体を用いて得られた結果は、RyR1受容体に対していずれの薬理効果も有さないマウロカルシン由来ペプチドを同定するために用いる実験アプローチを有効にする。
図13は、細胞内に透過できかつ興味のある物質を輸送できるマウロカルシン変異体のうち、L7A変異体はRyR1受容体に対してMCab/Strept-Cy3よりも活性が低いが、R24A変異体は活性がないことを示す。
実施例4:ナノ粒子の細胞での透過のためのマウロカルシン又は派生ペプチドの使用
ビオチン標識マウロカルシンを、ストレプトアビジン結合ナノ粒子(Qdot (登録商標)、QUANTUMDOT CORPORATION)に、供給業者により推奨されるプロトコルに従って結合させた。ストレプトアビジン結合ナノ粒子単独(Qdotストレプトアビジンコンジュゲート、QUANTUMDOT CORPORATION)を、コントロールとして用いた。ナノ粒子は、10〜15 nmの直径を有し、それぞれ5〜7ストレプトアビジン分子と結合している。HEK293細胞培養物は、100 nMのナノ粒子(Qdot (登録商標)、QUANTUMDOT CORPORATION)と結合したマウロカルシン、又はストレプトアビジンのみと結合したナノ粒子と1時間インキュベートし、次いで、実施例1に記載するようにして細胞を固定し、共焦顕微鏡法により分析した。図14は、マウロカルシンがナノ粒子の細胞での透過を可能にすることを示す。
マウロカルシンの配列及び構造を示す。 MCab/Strept-Cy3複合体が、多くの異なる細胞培養物を効果的に形質導入することを示す。 ビオチン標識マウロカルシン変異体R24A及びL7Aのシアニン標識ストレプトアビジンとの複合体が、細胞培養物を効果的に形質導入することを示す。 MCab/Strept-Cy3複合体の透過が用量依存性であることを示す。 シアニン標識ストレプトアビジンとのビオチン標識マウロカルシン変異体の複合体の透過が用量依存性であることを示す。 1時間の間の、未分化L6細胞におけるMCab/Strept-Cy3複合体の形質導入の動態を示す。 共焦顕微鏡法免疫蛍光により分析し、コンカナバリンA (A)、α-チューブリン(B)を用い、かつ時間の関数(C)として比較したMCab/Strept-Cy5の細胞内局在化を示す。 細胞にMCab/Strept-Cy3複合体が入ることが、エネルギーを必要としないことを示す。 MCab-Strept-Cy5複合体の細胞での透過に対するヘパリン及び/又はトリプシンを用いた処理の影響のフローサイトメトリ分析(A)及び複合体の細胞毒性(B)を示す。 MCab-Strept-Cy3複合体の細胞への透過に対するK+の細胞外濃度の上昇の影響を示す(A、B)。 膜脂質とのMCaの相互作用を表す(A、B)。 RyR1受容体に対するMCab/Strept-Cy3複合体の影響を示す。 ビオチン標識しかつStrept-Cy3と複合化したマウロカルシン変異体L7A及びR24Aの、RyR1受容体に対する影響を示す。 ナノ粒子の細胞への透過のためのマウロカルシンの使用を示す。

Claims (21)

  1. 興味のある物質と、マウロカルシン由来ペプチドから実質的になるペプチドベクターとを含み、前記マウロカルシン由来ペプチドが配列番号2及び7〜25の配列からなる群より選択されることを特徴とする、物質を細胞中に輸送するための組成物。
  2. 前記ペプチドベクターが、Dアミノ酸からなることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 前記ペプチドベクターが、適切な標識と結合していることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記ペプチドベクターの配列(I')が、興味のある異種ペプチド又はポリペプチド配列と融合してキメラタンパク質又はキメラペプチドを形成していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項で定義されるペプチドベクターが粒子と結合していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記粒子が興味のある物質を含むことを特徴とする請求項に記載の組成物。
  7. 前記興味のある物質が、細胞内にその標的がある薬理活性物質であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記興味のある物質が、検出される細胞内成分のリガンドであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 前記リガンドが、前記細胞内成分に指向された抗体又は抗体の機能的フラグメントであることを特徴とする請求項に記載の組成物。
  10. 医薬としての請求項に記載の組成物。
  11. ヒト又は動物における病変の治療用医薬の製造のための請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物の使用。
  12. 診断試薬としての請求項又はに記載の組成物。
  13. − 細胞試料を、請求項で定義される検出試薬と接触させ、
    − いずれの適切な手段により細胞内標識を検出する
    ことを含むことを特徴とする、細胞内成分を検出するインビトロ方法。
  14. 請求項で定義されるキメラペプチド又はキメラタンパク質。
  15. 配列番号24又は25のアミノ酸配列をる、細胞中に浸透することができ、1型リアノジン受容体とは結合できないペプチド。
  16. 請求項15に記載のペプチドに由来する標識されたペプチド。
  17. 請求項15に記載のペプチド又は請求項14に記載のキメラペプチド若しくはキメラタンパク質をコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。
  18. 請求項17に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
  19. 請求項17に記載のポリヌクレオチド又は請求項18に記載のベクターで改変された真核細胞又は原核細胞。
  20. その細胞の全て又は一部分が、請求項17に記載のポリヌクレオチド又は請求項18に記載のベクターで改変されたことを特徴とするトランスジェニック非ヒト哺乳動物。
  21. その細胞の全て又は一部分が、請求項17に記載のポリヌクレオチド又は請求項18に記載のベクターで改変されたことを特徴とするトランスジェニック植物。
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