JP5414135B1 - 容器内への飲料の層状分配方法及びそのための冶具 - Google Patents

容器内への飲料の層状分配方法及びそのための冶具 Download PDF

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Abstract

【課題】飲用時或いはレストラン等で、飲料を飲用容器等の容器に分配して給仕する際に、容器内へ飲料を層状になるように分配する方法及び該容器内への飲料の層構造分配を行うための冶具を提供することにあり、特に、比較的比重の近似する飲料の分配にも適用でき、技術の熟練を要さず、誰でも簡単かつ確実に、層構造を形成した飲料を容器内に分配する方法及びそのような分配を行うための冶具を提供すること。
【解決手段】複数種の飲料を、容器内に層状になるように供給し、層構造を形成した飲料の容器内分配方法において、容器内に先に注入された第1飲料の上面に、細孔多孔板を通して、第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら、層状になるように供給することを特徴とする層構造を形成した飲料の容器内分配方法を提供する。また、外周壁と細孔多孔板からなる冶具底部とからなる冶具容器部と、該冶具容器部を、容器の上部に載置するための支持部とからなる、複数種の飲料を、容器内に層状になるように供給し、層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、飲用時或いはレストラン等で、飲料を飲用容器等の容器に分配して給仕する際に、容器内へ飲料を層状になるように分配する方法及び該容器内への飲料の層構造分配を行うための冶具に関する。
飲食店等では様々な飲料が提供されている。飲料の提供に際して、その嗜好性を増大するために、カクテルや、フロートタイプ、トッピングタイプのような、その味覚と共に、形状的な視覚に訴えて、その嗜好性を高めることも行われている。視覚的な美しさに特徴を持たせた飲料の飲用容器での提供方法として、従来より、カクテルが知られている。その提供方法の1つとして、多層形状に分配されたカクテルが知られている。カクテルの分野ではこのような多層のカクテルは、プースカフェスタイルと総称されていて、以前より広く知られている。カクテルでは、このように多層形状に分配されたものが提供され、視覚的な美しさに特徴を持たせて、消費者に受け入れられているが、このような多層形状に分配された飲料は、グラス内に色及び比重の異なる複数種の飲料が、その比重差を利用して、飲料毎に層状に積み重ねられたものである。
従来より、多層カクテルを作製する場合には、以下のような方法が用いられてきた。まず、用いる飲料のうち、比重が最も高い飲料をグラス内に普通に注いで1層目(最下層)を形成する。次いで、次に比重の重い飲料を、1層目の飲料と混合しないようにグラス内に静かに注いで2層目を形成する。用意した種類の飲料をすべて用いるまで、2層目と同様の注ぎ工程を繰り返す。ここで2層目以降の飲料をグラス内に静かに注ぐために、マドラーと呼ばれる飲料攪拌用の棒や、バースプーン(特許文献1)と呼ばれる細長いスプーンの先端をグラス内側の壁面に接触させ、飲料をマドラーやバースプーンを伝わせてグラス内側の壁面に少量ずつ注ぐことが行われていた。しかし、マドラーやバースプーンを用いたこの方法は、技術の熟練が相当程度必要であり、簡便性などの点で問題がある他、該多層カクテルの分配に用いられている手法を、他のどの飲料にも適用できるというものではなかった。
近年、カクテルのような分野とは異なる飲料の分野で、飲用容器に多層形状で飲料を分配して提供する方法が提案されている。例えば、特許文献2には、コーヒーやミルクなどの濃縮液を用いて、2層以上の液体の層を備えた飲料を容器内に分配する方法が開示されている。この方法は、第一の濃縮液の少なくとも1個の供給源と、第二の濃縮液の少なくとも1個の供給源とを用意し、第一の濃縮液の供給源から希釈されて飲用容器に供給された飲料の上方に、該液体層の濃度より低い濃度まで希釈された第二の液体を供給して、層状の液体の層を形成するものである。この方法では、濃縮液の水による希釈率を制御し、上層の液体における希釈率を下層の液体における希釈率よりも高くすること、及び、液体を容器内に静かに供給することなどによって、上層が下層の上に留まるように飲料を分配するものであるが、かかる方法は濃縮液を利用する場合等、特定の飲料の提供の場合に限られている上、第一の液体層及び第二の液体層が乱流を起こさないように、第二の液体の流量を調整して、静かに送給するにしても、上記のような場合以外の飲料に適用した場合に、ただそれだけで、層状に分配された飲用容器入り飲料を提供することは難しく、したがって、この開示の方法は、限られた飲料の場合にのみ、適用できるものである。
また、最近、その比重が近似するビール等において、より簡便に2層ビールを作製するための冶具が考案され、ビールと共に消費者に提供されている。かかる従来の冶具(以下、「従来冶具」と表示する。)は、容器の開口部に冶具を載置するための支持体と、飲料を上から注ぐための部分球面形状(非常に浅いお椀を伏せたような形状)部とからなる。1層目のビールを注いだグラスの開口部に従来冶具をセットした後、その部分球面形状の頂部付近から2層目のビールを注ぐと、ビールが部分球面形状の周囲に拡散しながらグラス内に静かに注がれ、それによって、2層目のビールと1層目のビールが混合されるのを抑制し、層構造を形成するというのが従来冶具の狙いであった。しかし、従来冶具で2層ビールを上手く作製するには、2層目のビールを従来冶具の頂部付近に、均等かつ安定的に、静かに注ぎ続ける必要があり、クリアーな層構造のビールを分配するには依然として相当の熟練が必要であった。すなわち、容器入りのビールを同じ位置で同じ角度に傾けても、ビールの残量などによってビールの流下する位置が変動してしまうため、使用する者の技術の熟練度などによっては、ビールが従来冶具の部分球面形状の表面に十分に拡散せず、2層ビールを作製できないだけでなく、冶具の球面形状の頂部を流下する薄層の液は、冶具から流下する時点で、幾筋かに集液する性質があり、液体の本質的な特性から、上記のような冶具を用いて、クリアーな層構造のビールを分配することは難しいという問題があった。
実用新案登録第3169363号。 特表2007−513838号公報。
本発明の課題は、飲用時或いはレストラン等で、飲料を飲用容器等の容器に分配して給仕する際に、容器内へ飲料を層状に分配する方法及び該容器内への飲料の層構造分配を行うための冶具を提供することにあり、特に、比較的比重の近似する飲料の分配にも適用でき、技術の熟練を要さず、誰でも簡単かつ確実に、層構造を形成した飲料を容器内に分配する方法及びそのような分配を行うための冶具を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、ビールの場合のような、比較的比重の近似する飲料の分配にも適用でき、技術の熟練を要さず、誰でも簡単かつ確実に、層構造を形成した飲料を容器内に分配するための冶具について、鋭意検討する中で、様々な形状の冶具を試作し、その検証を行った結果、外周壁と細孔多孔板からなる冶具底部とからなる冶具容器部と、該冶具容器部を、容器の上部に載置するための支持部とからなる冶具を用い、容器内に先に注入された第1飲料の上面に、細孔多孔板を通して、第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら供給することにより、層状になるように供給することが可能となり、該方法により、比較的比重の近似する飲料であっても、技術の熟練を要さず、誰でも簡単かつ確実に、層構造を形成した飲料を容器内に分配できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、複数種の飲料を、容器内に層状になるように供給し、層構造を形成した飲料の容器内分配方法において、容器内に先に注入された第1飲料の上面に、細孔多孔板を通して、第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら、層状になるように供給することを特徴とする層構造を形成した飲料の容器内分配方法からなる。
本発明の飲料の容器内分配方法において、第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら、層状になるように供給する方法としては、細孔多孔板を通して供給される第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように調節することにより好適におこなうことができる。また、細孔多孔板を通して供給される第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように調節することは、細孔多孔板の細孔の大きさを調節することや、細孔多孔板の細孔における第2飲料の水頭圧を調節することにより行うことできる。
本発明の飲料の容器内分配方法において、第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら、層状になるように供給する方法は、外周壁を有する容器の底部を細孔多孔板とした冶具を用いて行うことができる。
本発明の飲料の容器内分配方法を適用することができる飲料として、ビール、発泡酒、ビール様飲料、その他の雑酒、リキュール及びソフトドリンクを挙げることができる。
本発明は、外周壁と細孔多孔板からなる冶具底部とからなる冶具容器部と、該冶具容器部を、容器の上部に載置するための支持部とからなる、複数種の飲料を、容器内に層状になるように供給し、層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具の発明を包含する。
該層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具の冶具容器部底部の細孔多孔板の複数の細孔は、第2飲料を乱流・攪拌を抑制しながら、層状に供給するために、円形冶具底部の外周端部に沿って、円形状に配置されている構造のものを特に好ましい構造として挙げることができる。
本発明の飲料の容器内分配を行うための冶具において、冶具容器部は、容器の上部に載置するための支持部に、冶具を容器上部に安定して載置するための容器嵌合溝を形成した構造とすることができる。また、該冶具容器部は、容器の上部に載置するための支持部に、第2飲料の液滴或いは微細流が支持部に伝わらないようにするためのセパレート用溝を設けた構造とすることができる。更に、冶具容器部を容器の上部に載置するための支持部は、冶具を把持して冶具を容器上部に載置或いは取り外すための把持部を備えることができる。
すなわち本発明の態様として、(1)複数種の飲料を、容器内に層状になるように供給し、層構造を形成した飲料の容器内分配方法において、容器内に先に注入された第1飲料の上面に、細孔多孔板を通して、第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら、層状になるように供給することを特徴とする層構造を形成した飲料の容器内分配方法や、(2)第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら、層状になるように供給する方法を、細孔多孔板を通して供給される第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように調節することにより行うことを特徴とする上記(1)に記載の層構造を形成した飲料の容器内分配方法や、(3)細孔多孔板を通して供給される第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように調節することを、細孔多孔板の細孔の大きさを調節すること、及び/又は、細孔多孔板の細孔における第2飲料の水頭圧を調節することにより行うことを特徴とする上記(2)に記載の層構造を形成した飲料の容器内分配方法や、(4)第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら、層状になるように供給する方法を、外周壁を有する容器の底部を細孔多孔板とする冶具により行うことを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の層構造を形成した飲料の容器内分配方法や、(5)細孔多孔板の細孔から注出する第2飲料の微細流から液滴が分離するまでの微細流の垂直方向の長さを60mm以下に調節するために、前記細孔の直径に応じて以下の(i)の組合せから選択又は算出される第2飲料の水頭圧の範囲内になるように、該水頭圧を調節し、前記長さを40mm以下に調節するために、前記細孔の直径に応じて以下の(ii)の組合せから選択又は算出される第2飲料の水頭圧の範囲内になるように、該水頭圧を調節し、又は、前記第2飲料が細孔から注出する時点で液滴であるように調節するために、前記細孔の直径に応じて以下の(iii)の組合せから選択又は算出される第2飲料の水頭圧の範囲内になるように、該水頭圧を調節することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の層構造を形成した飲料の容器内分配方法:
(i)[0.42mm、90〜100mmAq]、[0.48mm、50〜100mmAq]、[0.59mm、50〜100mmAq]、[0.69mm、30〜100mmAq]、[0.78mm、30〜100mmAq]、[0.87mm、25〜100mmAq]、[1.02mm、8〜90mmAq]、[1.15mm、8〜70mmAq]、[1.33mm、0〜40mmAq]、[1.45mm、0〜30mmAq]、[1.62mm、0〜30mmAq]、[1.72mm、0〜30mmAq]、[1.83mm、0〜25mmAq]、[1.91mm、0〜25mmAq]、[2.03mm、0〜18mmAq]、[2.09mm、0〜10mmAq]:
(ii)[0.42mm、90〜100mmAq]、[0.48mm、50〜100mmAq]、[0.59mm、50〜100mmAq]、[0.69mm、30〜100mmAq]、[0.78mm、30〜90mmAq]、[0.87mm、25〜90mmAq]、[1.02mm、8〜40mmAq]、[1.15mm、8〜35mmAq]、[1.33mm、0〜18mmAq]、[1.45mm、0〜15mmAq]、[1.62mm、0〜15mmAq]、[1.72mm、0〜15mmAq]、[1.83mm、0〜15mmAq]、[1.91mm、0〜15mmAq]、[2.03mm、0〜10mmAq]:
(iii)[0.42mm、90〜100mmAq]、[0.48mm、50〜100mm
Aq]、[0.59mm、50〜70mmAq]、[0.69mm、30〜40mmAq]、[0.78mm、30〜40mmAq]、[0.87mm、25〜30mmAq]、[1.02mm、8〜15mmAq]、[1.15mm、8〜15mmAq]、[1.33mm、0〜12mmAq]、[1.45mm、0〜10mmAq]、[1.62mm、0〜10mmAq]、[1.72mm、0〜10mmAq]、[1.83mm、0〜10mmAq]、[1.91mm、0〜8mmAq]、[2.03mm、0〜8mmAq]:ただし、(i)〜(iii)の各組合せに記載されていない、0.42〜2.09mmの範囲内のいずれかの細孔の直径X2に対応する水頭圧の範囲Y2〜Y2’における下限値Y2及び上限値Y2’は、上記の(i)〜(iii)のいずれかの組合せにおける細孔の直径のうち、X2に最も近い2つの細孔の直径をX1(mm)、X3(mm)とし(ただし、X1<X2<X3)、前記X1に対応する水頭圧の範囲をY1〜Y1’(mmAq)とし、前記X3に対応する水頭圧の範囲がY3〜Y3’(mmAq)としたときに、それぞれ以下のような一次関数により算出される数値を表す:
Y2=Y1+(X2−X1)×(Y3−Y1)/(X3−X1):
Y2’=Y1’+(X2−X1)×(Y3’−Y1’)/(X3−X1)や、
(6)複数種の飲料が、ビール、発泡酒、ビール様飲料、その他の雑酒、リキュール又はソフトドリンクであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の層構造を形成した飲料の容器内分配方法が挙げられる。
また、本発明の態様として、(7)外周壁と細孔多孔板からなる冶具底部とからなる冶具容器部と、該冶具容器部を、容器の上部に載置するための支持部とからなる複数種の飲料を、容器内に層状になるように供給し、層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具や、(8)冶具容器部底部の細孔多孔板の複数の細孔が、円形冶具底部の外周端部に沿って、円形状に配置されていることを特徴とする上記(7)に記載の層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具や、(9)冶具容器部を、容器の上部に載置するための支持部に、冶具を容器上部に安定して載置するための容器嵌合溝を形成したことを特徴とする上記(7)又は(8)に記載の層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具や、(10)冶具容器部を、容器の上部に載置するための支持部に、第2飲料の液滴或いは微細流が支持部に伝わらないようにするためのセパレート用溝を設けてなる上記(7)〜(9)のいずれかに記載の層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具や、(11)冶具容器部を、容器の上部に載置するための支持部が、冶具を把持して冶具を容器上部に載置或いは取り外すための把持部を備えることを特徴とする上記(7)〜(10)のいずれかに記載の層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具が挙げられる。
本発明は、飲用時或いはレストラン等で、飲料を飲用容器等の容器に分配して給仕する際に、容器内へ飲料を層状になるように分配する方法及び該容器内への飲料の層構造の分配を行うための冶具を提供する。特に、本発明の層構造を形成した飲料を容器内に分配する方法は、該分配を行うための冶具を用いることにより、比較的比重の近似する飲料であっても、技術の熟練を要さず、誰でも簡単かつ確実に、層構造を形成した飲料を容器内に分配することが可能であるので、飲用時或いはレストラン等で、飲料を飲用容器等の容器に分配して給仕する際に、手軽に、嗜好性に富んだ、多層構造の容器入り飲料を提供することができる。
本発明の層構造を形成した飲料の容器内分配用冶具の構造を示す図である。図中、[I(冶具)]は、本発明の実施例における、冶具の平面図を、[II(A−A)断面図]は、該冶具のA−A断面図を、[III(B−B断面図)]は、該冶具のB−B断面図を示す図である。 本発明の容器内分配用冶具を用いて作製した2層ビールを示す図である。上層が通常のビールの層であり、下層が黒ビールの層である。 実施例3の試験において、本発明の冶具の細孔から通常のビールが注出する様子を表す側断面図である。 実施例4の試験において、本発明の冶具の細孔から通常のビールが注出する様子を表す側断面図である。Lmmは、微細流長を表す。
本発明は、複数種の飲料を、容器内に層状になるように供給し、層構造を形成した飲料の容器内分配方法において、容器内に先に注入された第1飲料の上面に、細孔多孔板を通して、第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら、層状になるように供給することからなる層構造を形成した飲料の容器内分配方法、及びそのための冶具からなる。
本発明の飲料の容器内分配方法においては、容器内に先に注入された第1飲料の上面に、細孔多孔板を通して、第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら、層状になるように供給されるが、かかる飲料の容器内への分配方法において、第2飲料を連続する液滴或いは微細流により、乱流・攪拌を抑制しながら、層状になるように供給する方法(以下、単に「飲料を層状になるように供給する方法」とも表示する。)としては、細孔多孔板を通して供給される第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように調節することによって行うことを好適に挙げることができる。かかる調節を行う方法としては、後述するような、細孔多孔板の細孔の大きさを調節すること、及び/又は、細孔多孔板の細孔における第2飲料の水頭圧を調節することによって行うことなどを特に好適に挙げることができる。
本発明の飲料を層状になるように供給する方法は、細孔多孔板の細孔の大きさを調節することによって行うことができる。なお、本明細書における「細孔多孔板の細孔の大きさを調節する」ことには、細孔の大きさが可変の細孔多孔板においてその大きさを調節することの他、細孔の大きさが不変の細孔多孔板において、適切な大きさのものを選択することも含まれる。
細孔多孔板の細孔の大きさは、細孔を通して容器内へ供給する飲料の種類(粘度等)によって、適宜、調節することができるが、乱流・攪拌を抑制するために、容器内へ供給する飲料の供給に要する時間の適当な範囲内で、連続する液滴或いはなるべく微細の液流となるように、好ましくは第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように、細孔多孔板の細孔の大きさを調節することが望ましい。細孔多孔板の細孔の形状もこのような趣旨で調節することができ、円形の他、楕円形、四角形などを用いることができ、中でも円形を好適に用いることができる。なお、前述の四角形には、細長い四角形としてスリット状の細孔も含まれる。細孔の好ましい大きさは、細孔の数、細孔同士の間隔、容器内に先に注入された飲料の液面から細孔多孔板までの高さ、細孔多孔板の細孔における飲料の水頭圧等をも考慮することができるが、先に注入された飲料の上面の乱流・攪拌をより抑制する観点から、例えば、細孔の形状が円形の場合の大きさとして、直径が0.42〜3mmの範囲内、好ましくは0.78mm〜2.09mmの範囲内、より好ましくは0.87〜2.03mmの範囲内、さらに好ましくは1.02〜1.91mmの範囲内、より好ましくは1.02〜1.72mmの範囲内、さらに好ましくは1.02〜1.45mmの範囲内、より好ましくは1.02〜1.33mmの範囲内、特に好ましくは1.15〜1.33mmの範囲内であることを例示することができる。かかる好適な直径は、飲料としてビール等の発泡性飲料を対象とした場合に特に好適に用いることができる。
また、本発明の飲料を層状になるように供給する方法は、細孔多孔板の細孔における第2飲料の水頭圧、特に最大水頭圧を調節することによって行うことができる。かかる水頭圧、特に最大水頭圧の調節は例えば、本発明における細孔多孔板の上に蓄積させる第2飲料の高さ、特に最大の高さを調節することにより行うことができる。かかる水頭圧の好ましい高さは、細孔の大きさ、細孔の数、細孔同士の間隔、容器内に先に注入された飲料の液面から細孔多孔板までの高さ等をも考慮することができるが、先に注入された飲料の上面の乱流・攪拌をより抑制する観点から、例えば0〜100mmAqの範囲内、好ましくは0〜90mmAqの範囲内、より好ましくは0〜70mmAqの範囲内、さらに好ましくは0〜50mmAqの範囲内、より好ましくは0〜30mmAqの範囲内、さらに好ましくは0〜15mmAqの範囲内であることを例示することができる。かかる好適な水頭圧は、飲料としてビール等の発泡性飲料を対象とした場合に特に好適に用いることができる。なお、本発明において、第2飲料の水頭圧を調節することには、第2飲料に加圧する場合なども含まれるが、この場合は加圧した圧力(大気圧を除く)も含めた、細孔多孔板の細孔における第2飲料の水圧(大気圧を除く)を水頭圧に換算した値を、本発明における水頭圧とする。かかる換算は、「9.8Pa=1mmAq」という換算式に基づいて行うことができる。
また、本発明の飲料を層状になるように供給する方法は、細孔多孔板の細孔の分布形状により調節することによって行うことができる。該細孔多孔板の細孔の分布形状としては、細孔多孔板の細孔の数、分布形状、細孔同士の間隔などを挙げることができる。また、細孔多孔板の細孔の分布形状について、先に注入された飲料の上面の乱流・攪拌をより抑制する観点から、細孔多孔板の中心に対して細孔が対称となるように配置することを好ましく、細孔を容器の周面に沿う形状の分布とすることをより好ましい細孔の分布形状として挙げることができる。ここで「容器の周面に沿う形状」が円形である場合には、円形状の分布を好ましく挙げることができる。
本発明の飲料を層状になるように供給する方法としては、上記のように、細孔多孔板の細孔の大きさ、形状、数、分布形状、細孔同士の間隔、細孔多孔板の細孔における第2飲料の水頭圧などの調節を組み合わせて、第2飲料を乱流・攪拌を抑制しながら、容器に層状になるように供給することができるが、特に、細孔多孔板の細孔の大きさの調節と、細孔多孔板の細孔における第2飲料の水頭圧の調節とを少なくとも組み合わせて、第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように調節すると、第2飲料を乱流・攪拌を特に効果的に抑制することができるため、このような調節を好ましく挙げることができる。細孔多孔板の細孔の大きさを小さくし、単位面積当たりの細孔の数を少なくし、細孔同士の間隔を開け、又は、細孔多孔板の細孔における第2飲料の水頭圧(特に最大水頭圧)を低くすると、細孔多孔板を通して供給される飲料が、先に注入された飲料の上面に連続する液滴或いは微細流により供給される際に、単位面積当たりの上面に単位時間当たりに与える運動エネルギーが減少するため、先に注入された飲料の上面の乱流・攪拌がより抑制される。ただし、細孔の大きさを小さくし、細孔の数を少なくし、又は、細孔同士の間隔を開けると、飲料を層状になるように供給するのに要する時間が長くなるので、層構造を形成した飲料を引用容器内に分配しうる範囲で適宜調節することができる。また、第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように調節すると、細孔多孔板を通して供給される飲料が、先に注入された飲料の上面に連続する液滴或いは微細流により供給される際に、単位面積当たりの上面に単位時間当たりに与える運動エネルギーを効果的に減少させることができ、その結果、先に注入された飲料の上面の乱流・攪拌を特に効果的に抑制することができる。
当業者であれば本明細書の開示に基づいて、細孔多孔板の細孔の大きさと、該細孔における第2飲料の水頭圧の調節とを少なくとも組み合わせて、第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように調節し得るが、第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように調節するための、細孔の直径と、第2飲料の水頭圧の範囲との好ましい組合せを以下に具体的に挙げる。例えば、細孔から注出する第2飲料の微細流から液滴が分離するまでの微細流の垂直方向(鉛直方向)の長さ(冶具底部から微細流の先端までの長さ「Lmm」:図4参照)(以下、「微細流長」とも表示する。)を60mm以下に調節する場合の、細孔の直径と、第2飲料の水頭圧の範囲との好ましい組合せ(以下、「組合せ(i)」とも表示する。)として、[0.42mm、90〜100mmAq]、[0.48mm、50〜100mmAq]、[0.59mm、50〜100mmAq]、[0.69mm、30〜100mmAq]、[0.78mm、30〜100mmAq]、[0.87mm、25〜100mmAq]、[1.02mm、8〜90mmAq]、[1.15mm、8〜70mmAq]、[1.33mm、0〜40mmAq]、[1.45mm、0〜30mmAq]、[1.62mm、0〜30mmAq]、[1.72mm、0〜30mmAq]、[1.83mm、0〜25mmAq]、[1.91mm、0〜25mmAq]、[2.03mm、0〜18mmAq]、[2.09mm、0〜10mmAq]を挙げることができ、微細流長を40mm以下に調節する場合の、細孔の直径と、第2飲料の水頭圧の範囲との好ましい組合せ(以下、「組合せ(ii)」とも表示する。)として、[0.42mm、90〜100mmAq]、[0.48mm、50〜100mmAq]、[0.59mm、50〜100mmAq]、[0.69mm、30〜100mmAq]、[0.78mm、30〜90mmAq]、[0.87mm、25〜90mmAq]、[1.02mm、8〜40mmAq]、[1.15mm、8〜35mmAq]、[1.33mm、0〜18mmAq]、[1.45mm、0〜15mmAq]、[1.62mm、0〜15mmAq]、[1.72mm、0〜15mmAq]、[1.83mm、0〜15mmAq]、[1.91mm、0〜15mmAq]、[2.03mm、0〜10mmAq]を挙げることができ、第2飲料が細孔から注出する時点で液滴であるように調節する場合の、細孔の直径と、第2飲料の水頭圧の範囲との好ましい組合せ(以下、「組合せ(iii)」とも表示する。)として、[0.42mm、90〜100mmAq]、[0.48mm、50〜100mmAq]、[0.59mm、50〜70mmAq]、[0.69mm、30〜40mmAq]、[0.78mm、30〜40mmAq]、[0.87mm、25〜30mmAq]、[1.02mm、8〜15mmAq]、[1.15mm、8〜15mmAq]、[1.33mm、0〜12mmAq]、[1.45mm、0〜10mmAq]、[1.62mm、0〜10mmAq]、[1.72mm、0〜10mmAq]、[1.83mm、0〜10mmAq]、[1.91mm、0〜8mmAq]、[2.03mm、0〜8mmAq]を挙げることができる。かかる好ましい組合せは、飲料としてビール等の発泡性飲料を対象とした場合に特に好適に用いることができる。
上記組合せ(i)のうち、より好ましい組合せとして、[0.42mm、90〜100mmAq]、[0.48mm、50〜100mmAq]、[0.59mm、50〜100mmAq]、[0.69mm、30〜100mmAq]、[0.78mm、30〜100mmAq]、[0.87mm、25〜100mmAq]、[1.02mm、8〜90mmAq]、[1.15mm、8〜70mmAq]、[1.33mm、6〜40mmAq]、[1.45mm、6〜30mmAq]、[1.62mm、6〜30mmAq]、[1.72mm、6〜25mmAq]、[1.83mm、6〜25mmAq]、[1.91mm、6〜25mmAq]、[2.03mm、6〜18mmAq]、[2.09mm、6〜10mmAq]を挙げることができ、上記組合せ(ii)のうち、より好ましい組合せとして、[0.42mm、90〜100mmAq]、[0.48mm、50〜100mmAq]、[0.59mm、50〜100mmAq]、[0.69mm、30〜100mmAq]、[0.78mm、30〜90mmAq]、[0.87mm、25〜90mmAq]、[1.02mm、8〜40mmAq]、[1.15mm、8〜35mmAq]、[1.33mm、6〜18mmAq]、[1.45mm、6〜15mmAq]、[1.62mm、6〜15mmAq]、[1.72mm、6〜15mmAq]、[1.83mm、6〜15mmAq]、[1.91mm、6〜15mmAq]、[2.03mm、6〜10mmAq]を挙げることができ、上記組合せ(iii)のうち、より好ましい組合せとして、[0.42mm、90〜100mmAq]、[0.48mm、50〜100mmAq]、[0.59mm、50〜70mmAq]、[0.69mm、30〜40mmAq]、[0.78mm、30〜40mmAq]、[0.87mm、25〜30mmAq]、[1.02mm、8〜15mmAq]、[1.15mm、8〜15mmAq]、[1.33mm、6〜12mmAq]、[1.45mm、6〜10mmAq]、[1.62mm、6〜10mmAq]、[1.72mm、6〜10mmAq]、[1.83mm、6〜10mmAq]、[1.91mm、6〜8mmAq]、[2.03mm、6〜8mmAq]を挙げることができる。これらの好ましい組合せも、飲料としてビール等の発泡性飲料を対象とした場合に特に好適に用いることができる。
なお、これらの好ましい組合せに記載されていない、0.42〜2.09mmの範囲内のいずれかの細孔の直径に対応する好ましい水頭圧の範囲については、上記の好ましい組合せから算出される数値範囲を挙げることができる。ここで、上記の好ましい組合せに記載されていない、0.42〜2.09mmの範囲内のいずれかの細孔の直径をX2(mm)とし、上記の好ましい組合せの細孔の直径のうち、X2に最も近い2つの細孔の直径をX1(mm)、X3(mm)とし(ただし、X1<X2<X3)、上記の好ましい組合せにおいてX1に対応する水頭圧の範囲がY1〜Y1’(mmAq)であり、X3に対応する水頭圧の範囲がY3〜Y3’(mmAq)である場合を考えると、X2が対応する好ましい水頭圧の範囲Y2〜Y2’(mmAq)における下限値Y2及び上限値Y2’はそれぞれ以下のような一次関数により算出されるものを挙げることができる。
Y2=Y1+(X2−X1)×(Y3−Y1)/(X3−X1):
Y2’=Y1’+(X2−X1)×(Y3’−Y1’)/(X3−X1):
かかる算出方法について実例を挙げると、例えば、組合せ(ii)において、X2が0.945(mm)である場合、[X1mm、Y1〜Y1’mmAq]が[0.87mm、25〜90mmAq]となり、[X3mm、Y3〜Y3’mmAq]が[1.02mm、8〜40mmAq]となり、この場合(すなわち、X2がX1とX3のちょうど中間点である場合)は、
Y2=25+(0.945−0.87)×(8−25)/(1.02−0.87)=25−8.5=16.5となり、
Y2’=90+(0.945−0.87)×(40−90)/(1.02−0.87)=90−25=65となる。
前述の微細流長を何mm以下に調節することが好ましいかは、容器内に先に注入された飲料の液面から細孔多孔板までの高さがどの程度であるかや、第2飲料を最終的に供給したときの第2飲料の液面から細孔多孔板までの距離がどの程度であるかなどに応じて、適宜設定することができる。例えば、第2飲料の供給開始から終了まで、容器内の液面から細孔多孔板までの距離よりも微細流長が短くなるように調節することを好ましく挙げることができ、飲料を供給する容器が通常のビールグラス(高さ12〜18cmくらい)である場合は、微細流長を40mm以下に調節することを好ましく挙げることができ、それよりも大きな容器であれば、微細流長はそれに応じて長い範囲に調節しても、層構造を形成した飲料を好適に得ることができる。本発明において、容器内に先に注入された飲料の液面から細孔多孔板までの高さは特に制限されないが、例えば1〜20cmの範囲内、好ましくは5〜15cmの範囲内であることを挙げることができる。また、本発明において、第2飲料を最終的に供給したときの第2飲料の液面から細孔多孔板までの距離はいずれも特に制限されないが、例えば0.1〜10cm、好ましくは1〜8cm、より好ましくは2〜6cmを挙げることができる。
また、上層の第2飲料は、特に供給し始めの段階において、下層の第1飲料との混合が生じやすいため、上層の飲料の供給し始めは特に少量ずつ細孔多孔板を通して供給し、容器内の上層の飲料の高さがある程度確保されたら、上層の飲料の単位時間当たりの供給量を増やす方法を好ましく挙げることができ、例えば、上層の第2飲料の供給し始めは、第2飲料が容器内の液面に到達するまでに液滴となるように調節しながら供給し、容器内の上層の飲料の高さがある程度確保されたら、層構造を形成した飲料が得られる範囲内で、第2飲料が容器内の液面に微細流のまま到達するような供給方法を挙げることができる。なお、本明細書において、細孔多孔板の細孔の数、分布形状、細孔同士の間隔などを「調節」することには、それらの調節要素が可変な細孔多孔板において該要素を調節することの他、それらの調節が不変の細孔多孔板において該要素が適切なものを選択することも含まれる。
細孔多孔板は、同じ大きさや形状の細孔のみを有していてもよいし、2種類以上の異なる大きさや形状の細孔を有していてもよい。細孔の好ましい数としては、細孔の大きさ、細孔の形状、細孔同士の間隔、容器内に先に注入された飲料の液面から細孔多孔板までの高さ、細孔多孔板の細孔における飲料の水頭圧、飲料の粘度等にも左右されるため一概にいえないが、1〜20個、好ましくは5〜15個、より好ましくは8〜12個を例示することができる。細孔同士の好ましい間隔としては、細孔の大きさ、細孔の形状、細孔の数、容器内に先に注入された飲料の液面から細孔多孔板までの高さ、細孔多孔板の細孔における飲料の水頭圧、飲料の粘度等にも左右されるため一概にいえないが、5〜30mm、好ましくは8〜25mm、より好ましくは10〜20mmを例示することができる。
本発明において分配の対象となるのは、複数種の飲料である。本発明において複数種の飲料とは、比重に差がない2種類又は3種類以上の飲料又は比重に差がある2種類又は3種類以上の飲料を意味し、好適には、比重に差がある2種類又は3種類以上の飲料を含み、中でも、いずれの2種間においても少なくとも0.001g/ml以上、好ましくは0.004g/ml以上の比重の差がある2種類又は3種類以上の飲料を含む。該飲料の種類は特に制限されず、アルコール飲料であってもソフトドリンクであってもよいが、好ましく適用できる飲料としては、ビール、発泡酒、ビール様飲料、その他の雑酒、リキュール及びソフトドリンクなどをより好ましく適用できる飲料として挙げることができる。前述のソフトドリンクとしては、コーラなどの清涼飲料、トマトジュース、牛乳などを好ましく挙げることができる。また、視覚的により美しい層構造を形成した飲料を得る観点から、上記複数種の飲料は色の差を有していることが好ましいが、色の差を有していなくても良い。ここで色とは、色相、彩度、明度のいずれか1種又は2種以上を意味する。なお、飲料の比重は公知の方法で測定することができる。かかる測定法としては、JIS Z8804「液体の密度及び比重の測定方法」に記載の方法を挙げることができる。
本発明の層構造を形成した飲料の容器内分配方法は、外周壁と細孔多孔板からなる冶具底部とからなる冶具容器部と、該冶具容器部を、容器の上部に載置するための支持部とからなる、層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具を用いて、比較的比重の近似する飲料であっても、技術の熟練を要さず、誰でも簡単かつ確実に、層構造を形成した飲料を容器内に分配することができる。
以下に、図(図1)を用いて、本発明の層構造を形成した飲料の容器内への分配用冶具(以下、単に「本発明の冶具」と表示する。)について説明する。本発明の冶具は、複数種の飲料を、容器内に層状になるように供給し、層構造を形成した飲料の容器内への分配を行うための冶具であって、図1に示されるように、外周壁(1-1)と細孔多孔板からなる冶具底部(1-2)とからなる冶具容器部と、該冶具容器部を、容器の上部に載置するための支持部(2-1)とからなる。
該冶具容器部は、外周壁(1-1)と細孔多孔板からなる冶具底部(1-2)とから構成成され、該冶具容器部は、該冶具を通して容器内へ注入する一定量の飲料を収容できる容量を有する。該冶具容器部の形状は、該冶具容器部内に飲料を入れ、細孔多孔板を通して、その飲料を連続する液滴或いは微細流とすることができる限り、特に制限されないが、飲用容器等の容器が、ジョッキ、グラス等、通常円形口部を有することから、冶具底部は平面視で円形とすることが好ましく、外周壁底部もそれに合わせて平面視で円形とすることが好ましい。外周壁は外周壁底部から外周壁頂部にかけて、テーパー状に広がっていることが好ましい。また冶具底部は平面でなくてもよく、凹部や凸部を含んでいてもよいが、細孔多孔板に平均的な液圧をかけるためには、平面であることが好ましい。
冶具容器部の外周壁の高さは、容器内へ注入する飲料の容量や、細孔多孔板の細孔における第2飲料の最大水頭圧をどの程度に設定するかなどに合わせて適宜調節されるが、外周壁を高くすると、冶具容器内の容量が増え、第2飲料を冶具容器内に注ぐために、多くの量を容器内に収容し、飲料の冶具容器部への注入頻度が減るので、分配方法の操作はより簡便になる。しかし、外周壁を高くすると、冶具容器内に入れることのできる飲料の高さも高くなるため、冶具容器内に第2飲料を必要以上に入れすぎてしまうと、冶具容器内の細孔多孔板の細孔における飲料の水頭圧が高くなり、飲料の粘度によっては、その結果、細孔多孔板を通して供給される飲料の微細流の勢いが増し、微細流長が長くなりすぎてしまうということも起こり得る。したがって、外周壁の高さは、層構造を形成した飲料を引用容器内に分配しうる範囲で適宜調節することが好ましい。好ましい外周壁の高さとしては、細孔の大きさ、細孔の形状、細孔の数、細孔同士の間隔、容器内に先に注入された飲料の液面から細孔多孔板までの高さ、飲料の粘度等にも左右されるため一概にいえないが、10〜100mmの範囲内、好ましくは10〜50mmの範囲内、より好ましくは15〜45mmの範囲内、より好ましくは20〜40mmの範囲内を例示することができる。なお、冶具容器部としては、冶具容器部に残った飲料及び/又はその泡などを容器に注ぎ入れるための注ぎ口をさらに備えていることが好ましい。また、冶具底部の形状や大きさも、容器の形状や大きさ等に合わせて適宜調節することができる。
上記細孔多孔板としては、細孔を複数備え、その細孔を通して飲料を連続する液滴或いは微細流とすることができる限り、細孔の大きさ、形状、数、分布形状、細孔同士の間隔など、特に制限されない。細孔の好ましい大きさ、好ましい形状、好ましい数、細孔同士の好ましい間隔は、冶具を通して容器内へ注入する飲料の性状(粘度等)に合わせて、適宜、決定することができる。細孔の好ましい分布形状としては、先に注入された飲料の上面の乱流・攪拌をより抑制する観点から、細孔多孔板の中心に対して細孔が対象となるように配置することを好ましく、円形冶具底部の場合は、外周端部に沿って、円形状に配置することが好ましい。また、細孔多孔板は同じ大きさや形状の細孔のみを有していてもよいし、2種類以上の異なる大きさや形状の細孔を有していてもよい。
本発明の冶具は、冶具容器部を容器の上部に載置するための支持部(2-1)を有する。
該支持部の形状は、特に制限されず、板状などを挙げることができるが、図1に示されるように、冶具容器部を容器の上部に載置できるように、平面視で冶具容器部から外側に向かって延設されている構造のものを挙げることができる。また、該構造をもとにして、容器の上部により安定的に載置できる構造として、適宜、設計変更を行うことができる。該容器嵌合溝(2-1-1)としては、冶具を容器上部に安定して載置できるように、容器の上部に嵌る溝である限り特に制限されないが、上部の直径が様々な容器に対応できるように広い幅を持った溝であることが好ましい。この場合、容器嵌合溝(2-1-1)は容器の上部に厳密な意味で隙間無く嵌合するわけではないが、便宜上、このような態様も本発明における「嵌合」に含める。なお、支持部を2箇所に設置する場合、一方の支持部の容器嵌合溝にのみ広い幅を持たせてもよい。
本発明の冶具の支持部(2-1)は、冶具を容器上部に安定して載置するための容器嵌合溝(2-1-1)、及び、冶具を把持して冶具を容器上部に載置或いは取り外すための把持部(2-2)を設けることができる。該把持部は、容器の上部に載置するための支持部と一体化して形成し、両者を合わせて、支持体を形成してもよい。また、該支持部(2-1)には、第2飲料の液滴或いは微細流が支持部に伝わらないようにするためのセパレート用溝を設けることができる。該セパレート用溝としては、第2飲料の液滴或いは微細流が支持部に伝わらないようにし得る溝である限り,適宜,その構造を変更することができるが,冶具底部の周囲の支持部に設けた構造ものを好ましい構造として挙げることができる。また、本発明の冶具容器部及び/又は支持部には、容器の開口部を覆う蓋部を設けることができる。かかる蓋部があれば、第2飲料を冶具容器部に注ぎすぎてオーバーフローしてしまった場合などに飲料が容器内に流入するのを防止することができるため好ましい。かかる蓋部は、容器の開口部の全面を覆っていなくてもよいが、全面を覆っていることが好ましい。なお、かかる蓋部は把持部に設けてもよいし、かかる蓋部自体を把持部としてもよい。
本発明の冶具の好適な使用方法として例えば以下のような方法を挙げることができる。用意した複数種の飲料のうち、比重の最も大きい飲料を容器内に普通に注いで1層目(最下層)を形成する。その容器の開口部に本発明の冶具を載置する。1層目の飲料の次に比重の重い飲料(2層目の飲料)を、本発明の冶具の冶具容器部に注ぐと、細孔多孔板を通して、2層目の飲料が連続する液滴或いは微細流により(好ましくは2層目の飲料が容器内の液面に到達するまでには液滴となるように)容器内に供給され、容器内の1層目の飲料の上面に2層目が形成される。用意した種類の飲料をすべて用いるまで、2層目と同様の注ぎ工程を繰り返すと、用意した種類と同数の層構造を形成した飲料が得られる。このようなことから、本発明における第1飲料は、比重のより大きい飲料であることが特に好ましく、第2飲料は、比重のより小さい飲料であることが特に好ましい。なお、本発明においては、容器内に先に注入された飲料が1層であろうと2層以上であろうと、その飲料の上面に細孔多孔板を通して供給する飲料は第2飲料に該当し、その第2飲料の直下の層の飲料は第1飲料に該当する。したがって、本発明に用いる複数種の飲料が3種類以上である場合は、第1飲料や第2飲料がそれぞれ1種類ずつの飲料に対応するわけではなく、それぞれ複数種の飲料に対応することになる。例えば、3種類の飲料P、Q、Rをこの順に容器に注いで3層構造を形成した飲料を作製する場合を考えると、まずはPが第1飲料として容器内に注入され、その上にQが第2飲料として供給される。次に、そのQが今度は第1飲料となり、その上にRが第2飲料として供給される。
また、本発明の冶具の冶具容器部は、冶具容器部内に注ぐ第2飲料をこの高さ以下とすれば、微細流長を何mm程度以下とすることができるかを表す線などの目印を備えていることが好ましく、かかる目印としては、例えば微細流長を60mm程度以下とすることができる目印、微細流長を40mm程度以下とすることができる目印、第2飲料が細孔から注出する時点で液滴とすることができる目印を好ましく挙げることができる。これらの目印を冶具容器部のどの高さにつけるかは、前述の細孔の直径と、第2飲料の水頭圧の範囲との好ましい組合せ、及び、かかる好ましい組合せから算出される数値範囲などを参照することによって設定することができる。
具体的には、微細流長を60mm以下とし得ることを表す目印の高さ(mm)は、細孔の直径に応じて上記組合せ(i)から選択又は算出される第2飲料の水頭圧(mmAq)の範囲の上限値を、前記第2飲料の比重で除した値(mm)とすることができ、前記微細流長を40mm以下とし得ることを表す目印の高さ(mm)は、細孔の直径に応じて上記組合せ(ii)から選択又は算出される第2飲料の水頭圧(mmAq)の範囲の上限値を、前記第2飲料の比重で除した値(mm)とすることができ、前記第2飲料が細孔から注出する時点で液滴としうることを表す目印の高さ(mm)は、細孔の直径に応じて上記組合せ(iii)から選択又は算出される第2飲料の水頭圧(mmAq)の範囲の上限値を、前記第2飲料の比重で除した値(mm)とすることができる。例えば細孔の直径が1.02mmで微細流長を40mm以下とすることができる目印を例に考えると、水頭圧を40mmAq以下にする必要があるので、第2飲料の比重が仮に1.1の場合は、冶具容器の高さ36.4mm(40/1.1)のところに目印をつけることができる。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[飲料の容器内分配用冶具]
図1を参照しつつ、本発明の冶具の具体例について説明する。図1に示すように本発明の冶具は、外周壁(1-1)と細孔多孔板からなる冶具底部(1-2)とからなる冶具容器部と、該冶具容器部を、容器の上部に載置するための支持部(2-1)とからなる、複数種の飲料を、容器内に層状になるように供給し、層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具である。冶具底部(1-2)は平面視で円形の平面状である。外周壁(1-1)は外周壁底部(1-1-2)から外周壁頂部(1-1-1)にかけて、テーパー状に広がっている。冶具底部(1-2)細孔多孔板における複数の細孔(1-3)は、円形の冶具底部(1-2)の外周端部に沿って、円形状に10個、等間隔に配置されている。
該冶具容器部は、冶具容器部を容器の上部に載置するための支持部(2-1)を、外周壁底部(1-1-2)に備えている。該支持部(2-1)は、平面視で冶具容器部の中心に対して対向する2箇所に、冶具容器部から外側に向かって延設されている。該支持部(2-1)は、冶具を把持して冶具を容器上部に載置或いは取り外すための把持部(2-2)をさらに備えており、該支持部と把持部で支持体(2)を形成している。該支持部(2-1)は、冶具を容器上部に安定して載置するための容器嵌合溝(2-1-1)、及び、細孔を通過した液滴或いは微細流が支持部に伝わらないようにするためのセパレート用溝(2-1-2)を備えている。
容器嵌合溝(2-1-1)及びセパレート用溝(2-1-2)の符号は片側の支持部(2)にのみ付しているが(図1のIII)、容器嵌合溝(2-1-1)及びセパレート用溝(2-1-2)は、反対側の支持部(2)にも備えられている。なお、冶具容器部の高さは29mmであり、冶具底部の直径は45mmであり、外周壁頂部を平面視したときの直径は約58mmであった。また、細孔は容器側に向かってテーパー状(テーパー角20°)に細くなっており、その先端の孔の直径が1mmであった。
[層構造を形成した飲料の容器内分配試験1]
実施例1に記載の本発明の冶具を実際に用いて、層構造を形成した飲料の容器内分配試験を行った。かかる試験は以下のような方法で行った。飲用容器としてガラス製のグラス(高さ15.1cm)を用意し、飲用容器内に先に注ぐ第1飲料として黒ビール(比重1.010)を用意し、第2飲料として通常の琥珀色のビール(比重1.008)を用意した。いずれの飲料も、実験開始前に1日間冷蔵庫に入れておいたものを用いた。グラスに半分まで黒ビールを先に注入した後、本発明の冶具をグラスの上部に載置し、冶具容器部に通常のビールを注いだ。通常のビールは、冶具底部(1-2)の複数の細孔(1-3)を通じてグラス内に供給された。グラス内で黒ビールと通常のビールがきれいに2層に分かれて分配されたかどうか、目視にて確認を行った。
直径1mmの細孔を10個備えた実施例1に記載の本発明の冶具を用いて試験を行ったところ、黒ビールの層と通常のビールの層がきれいに分かれた2層ビールを作製することができた(図2参照)。
次に、細孔の直径による影響を調べるために、実施例1に記載の本発明の冶具において、細孔の直径を1mmではなく、1.5mmとした冶具を用いて先ほどと同様の試験を行った。その結果、直径1.5mmの細孔を備えた本発明の冶具でも2層ビールを作製することができたが、2層間の界面は、直径1mmの細孔を備えた本発明の冶具を用いた場合の方がよりくっきりと分かれていた。そこで、直径1.5mmの細孔を備えた本発明の冶具の細孔の個数を10個から8個又は6個に減らした冶具を用いて先ほどと同様の試験を行った。その結果、細孔が8個の場合、6個の場合のいずれも、黒ビールの層と通常のビールの層がきれいに分かれた2層ビールを作製することができた。この結果から、本発明の冶具の細孔の直径を若干大きくしても、細孔の数を減らすなどして調節すれば、層がきれいに分かれた2層ビールを作製することができることが分かった。すなわち、本発明の冶具の細孔の直径を若干大きくしても、細孔の数を減らすなどして調節すれば、細孔多孔板を通して供給される飲料が、先に注入された飲料の上面に連続する液滴或いは微細流により供給される際に、単位面積当たりの上面に単位時間当たりに与える運動エネルギーを減少させることができ、先に注入された飲料の上面の乱流・攪拌が抑制されて、層構造を形成した飲料を飲用容器等の容器内に分配できることが分かった。
[層構造を形成した飲料の容器内分配試験2]
実施例1に記載の本発明の冶具を用いて、層構造を形成した飲料の容器内分配試験をさらに行った。かかる試験には、直径1mmの細孔を10個備えた実施例1に記載の本発明の冶具を用い、実施例2と同様の方法にしたがって行った。その際、通常のビール(第2飲料)をグラス(高さ15.1cm)に注ぎ始める時点(以下、「注入開始時点」と表示する。)での、冶具底部から黒ビール(第1飲料)の上面までの高さ(以下、「注入高」と表示する。)は70mmであり、注入開始時点での黒ビールの上面の直径も70mmであった。通常のビールは、本発明の冶具の冶具容器部がほぼ充たされる程度まで、何度か注いだ。その結果、注いでいる通常のビールの液面が、冶具底部まで20〜30mm程度に上がってくるまでは、両ビールの界面は乱れていなかったが、通常のビールの液面がさらに上がって冶具底部に近づいてくると、両ビールの界面が乱れ、混合した。
この一連の様子を詳細に観察したところ、本発明の冶具から注がれる通常のビールは、冶具底部の細孔から20〜30mm程度落下するまでは、液滴ではなく微細流となっており、その先端部分で液滴に変化してさらに落下していることが分かった(図3参照)。また、通常のビールがグラスに注がれ、その液面が冶具底部に近づくと、その液面に注がれる通常のビールが液滴から微細流に変化し、それによって通常のビールの液面付近に対流が生じ、その対流が通常のビールと黒ビールの界面にまで到達し、界面が乱れて両ビールの混合が生じることが分かった。
次に、さきほどと同様の試験を、今回は冶具容器部に1度に注ぐ通常のビールの量を減らし、細孔における通常のビールの水頭圧を下げたところ、細孔の直下でも通常のビールが液滴となり、黒ビールの層と通常のビールの層がきれいに分かれた2層ビールを作製することができた。
本発明の冶具の細孔の数を10個から1個に変更しても、同様の結果になった。すなわち、冶具容器部に1度に注ぐ通常のビールの量が多いと、注入の終盤で両ビールが混合し、冶具容器部に1度に注ぐ通常のビールの量を減らすと、きれいな2層ビールを作製することができた。これらの試験結果は、先ほどのグラスとは異なる形状のグラス(ワイングラス:高さ18.6cm)(注入開始時点での黒ビールの上面の直径58mm)を用いた同様の試験でも変わらなかった。
本実施例3の一連の試験結果から、容器内の飲料の乱流・攪拌を抑制し、2層ビールを作製できるかどうかは、第2飲料の注入開始時点での注入高、細孔の数や分布、第2飲料の単位時間当たりの供給流量などの影響もあるが、第2飲料が容器内の液面に到達する際に微細流であるか液滴であるかが特に重要であり、第2飲料が容器内の液面に到達する際に微細流であるか液滴であるかは、細孔の大きさや、細孔における第2飲料の水頭圧が重要であることが示された。第2飲料が容器内の液面に到達する際に液滴であると、容器内の飲料の乱流・攪拌を抑制でき、微細流であると抑制し切れないのは、液滴であれば液面に到達した際にその運動エネルギーのほとんどが液面表面の振動等として吸収されるが、微細流として連続的な流れが液面に到達した場合は、液面表面の振動に変換され吸収されるエネルギーが少なく、前述の流れが両飲料の界面に到達後も保有する運動エネルギーが大きいため、両飲料が混合することによると考えられる。
[細孔直径及び細孔における水頭圧の、微細流長に与える影響]
細孔の直径や細孔における水頭圧が、細孔から注出される第2飲料の微細流の垂直方向の長さ(微細流長)へ与える影響を調べるために、本発明の冶具の細孔の直径や、細孔における水頭圧を様々に変化させて微細流長を測定した。かかる試験は以下のような方法で行った。実施例2で第2飲料として用いたのと同様の通常のビールを用意した。かかる通常のビールとして、実験開始前に1日間冷蔵庫に入れておいたものを用いた。本発明の冶具として、後述の表1に列挙された各直径(0.30mm〜2.09mm)の細孔を1個備えたものをそれぞれ用意した。また、かかる冶具では、細孔における水頭圧を100mmAqにまで高められるように、冶具容器部を高さ方向に延長した。かかる本発明の冶具をスタンド及びクランプ等でグラスの上方に固定した。治具容器部に通常のビールを注ぎ、細孔から注出する通常のビールの微細流から液滴が分離するまでの微細流の垂直方向の長さ(冶具底部から微細流の先端までの長さ:「Lmm」)(図4参照)を、定規を利用して目視で測定した。その結果を表1に示す。なお、表中の「0」は、通常のビールが細孔から注出する時点で液滴であったことを示し、「×」は、通常のビールが細孔からにじみ出るものの、細孔の直下から液滴として分離する状態ではなくなったことを示す。
表1の結果から、細孔における水頭圧が一定の場合は、細孔の直径が大きくなるにつれて、微細流長が長くなり、細孔の直径が一定の場合は、細孔における水頭圧が高くなるにつれて微細流長が長くなる傾向があることが分かった。
本発明は、飲用時或いはレストラン等で、飲料を飲用容器等の容器に分配して給仕する際に、容器内へ飲料を層状になるように分配する方法及び該容器内への飲料の層構造の分配を行うための冶具を提供する。特に、本発明の層構造を形成した飲料を容器内に分配する方法は、該分配を行うための冶具を用いることにより、比較的比重の近似する飲料であっても、技術の熟練を要さず、誰でも簡単かつ確実に、層構造を形成した飲料を容器内に分配することが可能であるので、飲用時或いはレストラン等で、飲料を飲用容器等の容器に分配して給仕する際に、手軽に、嗜好性に富んだ、多層構造の容器入り飲料を提供することができる。
1 層構造を形成した飲料の容器内分配用冶具
1−1 外周壁
1−1−1 外周壁頂部
1−1−2 外周壁底部
1−2 冶具底部
1−3 細孔
2 支持体
2−1 支持部
2−1−1 容器嵌合溝
2−1−2 セパレート用溝
2−2 把持部

Claims (6)

  1. 複数種の飲料を、容器内に層状になるように供給し、層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具であって、
    前記冶具が、外周壁と細孔多孔板からなる冶具底部とからなる冶具容器部と、該冶具容器部を容器の上部に載置するための支持部とからな
    前記細孔多孔板が、第2飲料を、容器内に先に注入された第1飲料の上面に、連続する液滴或いは微細流により供給させるための細孔を設けてなる、冶具
  2. 冶具容器部底部の細孔多孔板の複数の細孔が、円形冶具底部の外周端部に沿って、円形状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具。
  3. 冶具容器部を容器の上部に載置するための支持部に、冶具を容器上部に安定して載置するための容器嵌合溝を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具。
  4. 冶具容器部を容器の上部に載置するための支持部に、第2飲料の液滴或いは微細流が支持部に伝わらないようにするためのセパレート用溝を設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載の層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具。
  5. 冶具容器部を容器の上部に載置するための支持部が、冶具を把持して冶具を容器上部に載置或いは取り外すための把持部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具。
  6. 細孔多孔板における細孔の直径が0.42〜3mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の層構造を形成した飲料の容器内分配を行うための冶具。
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