JP5414049B2 - コハク酸系共重合体の製造方法とその共重合体 - Google Patents
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Description
また合成高分子の原料として、大気中のCO2を吸収し、再生可能な資源である植物資源を利用することは、高分子材料の廃棄処理までを考慮すると、炭酸ガスの発生量を抑制できる。炭酸ガス発生の削減は、国際的にも極めて大きな課題であり、炭酸ガス発生抑制効果を有する植物資源由来の高分子合成の技術開発は重要な課題になっている。
また、本発明によれば、前記の共重合反応後、生成重合体をクロロホルムに溶解させることにより前記固体酸触媒は容易に分離できる。さらに過剰のメタノール中に上記クロロホルム溶液を加えることにより、共重合体を沈殿生成させ該固体酸触媒を含まないことを特徴とするコハク酸系共重合体が提供される。
(1)無水コハク酸とテトラヒドロフランを、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物を含有する固体酸触媒の存在下で共重合反応させることを特徴とする下記一般式(1)で表されるテトラヒドロフラン由来のエーテル部とコハク酸由来エステル部を含有することを特徴とするコハク酸共重合体(ただし、テトラヒドロフラン由来のエーテル部を有し、末端にのみコハク酸由来エステル部を有する共重合体を除く)の製造方法。
−[CO(CH2)2COO(CH2)4O]x−[(CH2)4O]y− (1)
(式中、xは[CO(CH2)2COO(CH2)4O]コハク酸エステルユニットの数を示し、yは[(CH2)4O]テトラヒドロフランユニットの数を示し、x/yは0.1/100〜90/100(モル比)である。)
(2)固体酸触媒がテトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物からなるペレット、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物からなる粒子、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物からなるフィルム、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物を担持した無機物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする上記1記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(3)無水コハク酸に対する該固体酸触媒の使用割合は、無水コハク酸1モル当たり固体酸に含まれるプロトンH+が3×10−4〜1×10−2モルの範囲である上記1〜2のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(4)無水コハク酸に対するテトラヒドロフランの使用割合は、無水コハク酸1モル当たりテトラヒドロフラン1〜15モルの割合である上記1〜3のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(5)反応原料である無水コハク酸、テトラヒドロフランから選ばれる少なくとも1種が植物資源由来の化合物であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(6)無水コハク酸、テトラヒドロフランから選ばれる成分の0〜100%が植物資源由来の化合物である上記1〜4のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(7)無水コハク酸、テトラヒドロフランから選ばれる成分の0〜100%がフルフラール由来の化合物である上記1〜4のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(8)反応媒質の非存在下に共重合を行う上記1〜7のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(9)反応媒質としてヘキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランの中から選ばれる少なくとも1種を使用する上記1〜7のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(10)常圧〜1MPaの反応圧下に共重合を行う上記1〜9のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(11)共重合体を溶媒に溶解させ、当該溶液から固体触媒を除去した後、前記溶液から共重合体を沈殿させて、ろ過・分離し、次いで前記ろ過・分離した共重合体から溶媒を除去することを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(12)共重合体をクロロホルムに溶解させ、当該溶液から固体触媒を除去した後、前記溶液から共重合体を沈殿させて、ろ過・分離し、次いで前記ろ過・分離した共重合体からクロロホルムを除去することを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
(13)テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物からなることを特徴とする上記1記載のコハク酸共重合体製造用固体酸触媒。
(14)上記1〜12のいずれかに記載の方法で得られた共重合体であって、固体酸触媒の分離除去により該触媒を含まないことを特徴とするコハク酸共重合体(ただし、テトラヒドロフラン由来のエーテル部を有し、末端にのみコハク酸由来エステル部を有する共重合体を除く)。
(15)上記1〜12のいずれかに記載の方法で得られた共重合体であって、固体酸触媒を含まず、しかも下記一般式(1)で表されるテトラヒドロフラン由来のエーテル部とコハク酸由来エステル部を含有することを特徴とするコハク酸共重合体(ただし、テトラヒドロフラン由来のエーテル部を有し、末端にのみコハク酸由来エステル部を有する共重合体を除く)。
−[CO(CH2)2COO(CH2)4O]x−[(CH2)4O]y− (1)
(式中、xは[CO(CH2)2COO(CH2)4O]コハク酸エステルユニットの数を示し、yは[(CH2)4O]テトラヒドロフランユニットの数を示し、x/yは0.1/100〜90/100(モル比)である。)
本発明の重合体を製造するには、その主原料として無水コハク酸とテトラヒドロフランが用いられる。無水コハク酸とテトラヒドロフランの調製法はすでに知られており、本発明で用いられるこれらの原料は前記調製法に何ら制限されないのであって、例えば石油から合成されたものでも、植物資源から合成されたものでも使用することができる。その中でも、植物資源から合成されたものを使用することが好ましい。本発明の重合体を製造するには、前記無水コハク酸とテトラヒドロフランの25〜100%が植物資源由来の化合物(植物資源から合成されたもの)であることが好ましく、さらには、60〜100%が植物資源由来の化合物であることが好ましい。
本発明で生成した植物資源由来コハク酸系共重合体は、現代大気に由来する放射性炭素14を含んでいるため、米国試験材料規格ASTM D6866等の方法等により、加速器質量分析を用いれば、従前の石油由来ポリブチレンサクシネートと明確に判別することができる。
本発明では前記無水コハク酸には、本発明の所期の効果を満たす範囲内で、無水コハク酸以外の少量の環状カルボン酸無水物が共存してもよい。ここでいう環状カルボン酸無水物は特に制限されない。また前記テトラヒドロフランには、本発明の所期の効果を損なわない限り炭素数が1〜3の低級アルキル基が置換されていてもよい。例えば、テトラヒドロフランの酸素原子に隣接する炭素原子以外の炭素原子の一部あるいは全部に前記置換基が置換されていてもよい。
本発明では、前記反応原料を開環共重合させる場合に、固体酸触媒を用いる。前記固体酸触媒としては、共重合可能なパーフルオロモノマーと共重合可能な酸性基及びオキサ基含有パーフルオロモノマーとの共重合体からなる固体酸触媒が好ましい。その中でも、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホン酸との共重合体からなる固体酸触媒がとくに好ましい。
本発明での固体酸触媒の形状は、例えばペレット状、粒子状、ビーズ状、粉末状、フィルム状等を挙げることができる。また、前記共重合体を担体に担持させる形状も含まれる。担体の素材、大きさ等は特に制限されない。
より好ましい固体酸触媒としては、例えば、前記テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアッシド)共重合物のペレット、粒子、フィルムが挙げられる。また、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアッシド)共重合物をシリカ等の無機物担体に担持させた固体酸触媒が挙げられるが、それらに限定されない。
前記ペレット状の固体酸触媒は前記共重合物をペレット化処理して製造できるが、市販品を購入してもよい。ペレットの大きさは共重合反応を進行させることができ、しかも共重合反応液から分離できる程度の大きさであれば特に制限されない。前記、粒子状の固体酸触媒、ビーズ状の固体酸触媒、及びフィルム状の固体酸触媒も同様であって、それらの製造法は特に制限されないし、市販品を購入してもよい。それら固体酸触媒の大きさも共重合反応を進行させることができ、共重合反応液から分離できる程度の大きさであれば特に制限されない。
高沸点アルコールの具体例としてはグリセリン、n−オクチルアルコール等を挙げることが出来る。
無水コハク酸に対する開始剤の使用割合は、無水コハク酸1モル当たり開始剤1×10−2モル以下の割合である。
本発明では、無水コハク酸に対する固体酸触媒の使用割合は、無水コハク酸1モル当たり固体酸に含まれるプロトンH+が3×10−4〜1×10−2モルの範囲である。この範囲より触媒量が少なくなると反応がうまく進行せず、反応に長時間を要す。この範囲より多くなると、共重合体の着色、分解等の原因となり好ましくない。
本発明によりコハク酸系共重合体を製造するための1つの方法においては、反応原料を固体酸触媒の存在下にかき混ぜながら共重合反応を実施する。反応は、通常回転バー、回転羽根、高粘度用ねじり格子翼等のかき混ぜ機を用いかき混ぜながら実施するが、攪拌操作無しで行うことも可能である。反応温度は、10℃〜140℃、好ましくは20〜130℃である。その反応圧は、常圧又は加圧で行われるが、好ましくは常圧〜1MPaの範囲である。テトラヒドロフランの沸点を超える温度条件下で反応を実施する場合は、コンデンサーを用い還流下に反応させる。また必要に応じ、オートクレーブのような加圧反応器を使用し、回分式、連続式で反応を行ってもよい。
本発明によりコハク酸系共重合体を製造するための他の方法においては、反応原料を固体酸触媒と開始剤の存在下にかき混ぜながら共重合反応を実施する。反応条件は上記とほぼ同様である。上記開始剤は所期の目的を達成することができる開始剤であれば特に制限されない。
共重合反応は数時間〜1週間程度で行われる。高分子量の共重合体を得ようとする場合は、反応成分や反応器は可能な限り乾燥したものを用いることが好ましい。
次に、前記原料や固体酸等と分離処理された溶液から共重合体を分離することが望ましい。ここで、分離する手段は特に制限されないのであって、得られた溶液の性状等により最適な手段を採用すればよい。例えば、前記原料や固体酸等と分離処理された溶液を共重合体の貧溶媒に注ぎ、沈殿として得られた共重合体は濾過により分離し、共重合体に付着している揮発物は、蒸発により分離することができる。
本発明で調製される共重合体は未反応原料や固体酸触媒などが実質的に存在しない共重合体である。ここで、実質的に存在しないとは、前記未反応原料や固体酸触媒などが殆ど存在しないという意味であり、通常機器分析法で分析しても微量存在することが認められるか、さらには、前記未反応原料や固体酸触媒などを検出することができないという意味である。 また、本発明の共重合体は、分子量が異なる共重合体の混合物を含む。
共重合反応させた後、得られた共重合体含有反応液に、上記と同様な処理を加え、得られた共重合体を原料や固体酸等と分離することが望ましい。
本発明によりコハク酸系共重合体を製造するための、上記とは異なる方法においては、前記固体酸触媒を共重合反応器の器壁、攪拌羽根、その他の中から選ばれる反応器内に固定しておき、次いで、該反応器内に反応原料を、必要に応じて開始剤と共に導入し、共重合反応を行う。あるいは、該反応器内にテトラヒドロフラン以外の反応原料を必要に応じて開始剤の存在下にかき混ぜながら、テトラヒドロフランを反応系内に徐々に添加しながら共重合反応を行う。反応条件は上記で説明したとおりの反応条件で共重合反応を行えばよい。
前記固体酸触媒を共重合反応器内に固定する手段は特に制限されないのであるが、例えば、前記固定する手段の一例を説明すると、粒状固体酸をステンレス製の固定板に固定し、それをステンレス製重合容器の壁面に設置する方法が挙げられる。
この方法の一つの特徴は本発明のコハク酸系共重合体を連続的に調製することを可能にするという点にある。
−[CO(CH2)2COO(CH2)4O]x−[(CH2)4O]y− (1)
(式中、xは[CO(CH2)2COO(CH2)4O]コハク酸エステルユニットの数を示し、yは[(CH2)4O]テトラヒドロフランユニットの数を示し、x/yは0.1/100〜90/100(モル比)を示す。)
なお、前記xは1〜140から選ばれる整数、yは2〜1700から選ばれる整数であることが好ましい。
数平均分子量は約300〜15万程度であり、より好ましくは、約800〜15万程度であり、約2000〜15万程度が特に好ましい。
本発明のコハク酸系共重合体には、上記一般式(1)で表されるテトラヒドロフラン由来のエーテル基含有ユニットから構成される共重合体も含まれる。
なお、この共重合体では、前記xは1〜140から選ばれる整数、yは2〜1700から選ばれる整数であることが好ましく、数平均分子量は約300〜15万程度である。また、本発明の共重合体としては、数平均分子量が300以上3000以下の低分子量の共重合体及び数平均分子量が3000を超え15万程度の共低分子量の共重合体及び数平均分子量が3000を超え15万程度の共重合体重合体を挙げることができる。さらに、本発明は前記低分子量の共重合体及び数平均分子量が3000を超え15万程度の共重合体の混合物や、数分子量が3000を超え15万程度の共重合体どうしの混合物を含む。
本発明のコハク酸系共重合体は固体酸触媒を含まない共重合体でもある。すなわち、煩雑な固体酸触媒の分離除去を必要としない共重合体でもある。さらに、本発明の共重合体は、分子量が異なる共重合体の混合物を含む。
また、本発明では植物資源を利用してコハク酸系共重合体を調製することができるので、高分子材料の廃棄処理までを考慮すると、炭酸ガスの発生量を抑制できることができる。また植物資源から誘導される化合物は放射性炭素14を含んでいることから、標識化合物として利用できる。枯渇性資源である石油の価格高騰が続く現在、植物資源から高分子を製造できることは極めて有利である。
さらに、本発明の共重合は、従来実施されてきた重縮合による脂肪族ポリエステルの製造法(通常200℃以上)と比べ比較的低い温度(室温〜140℃)で行うことができ、省エネルギー的重合体の製造方法である。
(分子量及び分子量分布)
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法を用いて標準ポリスチレンから校正曲線を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。溶離液はクロロホルムを用いた。なお、使用機器は東ソー社製の高速GPC−EcoSECである。
(熱的性質)
示差走査熱量分析装置(DSC)により融解温度を求めた。また熱重量分析装(TG)により熱分解温度を求めた。なお、使用機器はSEIKO社SSC/5200熱分析装置である。
(バイオマス炭素含有率)
生成共重合体のバイオマス炭素含有率(%)(Biobased content)は、非特許文献3に記載された加速器質量分析による放射性炭素14濃度の測定法に準拠して求めた。
(NMR分析)
プロトンNMR分析は、バリアン社製VarianINOVA400を用いて行った。
コンデンサーとマグネチック攪拌子を有する内容積150mlの縦長フラスコにテトラ
始剤としてグリセリン0.29ミリモルを仕込み、室温(28℃)で反応を開始し、24時間反応を行った。反応後、固体酸触媒とマグネチック攪拌子を濾過分離した後、濾液からほぼ定量的にテトラヒドロフランを回収した。また固体酸触媒も等重量が回収された。またテトラヒドロフランの開環重合体は得られなかった。
コンデンサーとマグネチック攪拌子を有する内容積150mlの縦長フラスコに無水コ
体酸触媒(0.8meq/g)2.0g、開始剤としてグリセリン0.28ミリモルを仕込み、室温(28℃)で反応を開始し、19時間反応を行った。反応後、固形物と水アメ状物が生成していた。反応終了時には攪拌は不能であった。反応内容物は、クロロホルムに溶解させ、固体酸触媒とマグネチック攪拌子を濾過、分離した。濾液を過剰のメタノールに投入し、メタノール不溶物を得た。メタノール不溶物を室温で真空乾燥し、3.1gの白色固形物を得た。また前記のクロロホルムを含むメタノール可溶部からエバポレータによりクロロホルム、メタノール、テトラヒドロフラン等の揮発性低沸点物を除去した。さらに、得られた生成物を100℃で真空乾燥し、粘性固形の生成物9.6gを得た。
前記白色固形物についてプロトンNMR分析を行ったところ、該白色固形物はテトラヒドロフランユニットとコハク酸ユニットのモル比が100対0.8のコハク酸系共重合体であることがわかった。また同共重合体の融点は42℃、数平均分子量Mnは104,700であった。重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnは1.32であった。
また、真空乾燥した前記粘性固形物について、NMR分析を行ったところ、真空乾燥後の粘性固形物はテトラヒドロフランユニットとコハク酸エステルユニットのモル比が100対1.7のコハク酸系共重合体であることがわかった。また同共重合体の数平均分子量Mnは35,500であった。重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnは1.87であった。
コンデンサーとマグネチック攪拌子を有する内容積150mlの縦長フラスコに無水コ
触媒(0.8meq/g)2.0g、開始剤としてグリセリン0.23ミリモルを仕込み、80℃で反応を開始し24時間反応を行った。反応後、反応内容物をクロロホルムに溶解させ、クロロホルム不溶の原料無水コハク酸と固体酸触媒及びマグネチック攪拌子を濾過、分離した。
濾液のクロロホルム可溶部は、過剰のメタノールに投入し、メタノール不溶物を得た。メタノール不溶物を室温で真空乾燥し、0.5gの粘性白色固形物を得た。この粘性白色固形物の数平均分子量Mnは12,800であった。その重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnは1.47であった。
また前記のクロロホルムを含むメタノール可溶部からエバポレータによりクロロホルム、メタノール、テトラヒドロフラン等の揮発性低沸点物を除去し、オイル状物を得た。さらに同オイル状物を100℃で真空乾燥し、21.6gのオイル状物を得た。このオイル状生成物についてプロトンNMR分析を行ったところ、同オイル状生成物はテトラヒドロフランユニットとコハク酸エステルユニットのモル比が100対86.1のコハク酸系共重合体であることがわかった。同オイル状生成物の数平均分子量Mnは985であった。その重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnは4.15であった。
マグネチック攪拌子を有する内容積10mlのポリエチレン製蓋付きのガラス製試験管型フラスコにバイオマス由来のフルフラールから合成した無水コハク酸10.1ミリモル、バイオマス由来のフルフラールから合成したテトラヒドロフラン10.4ミリモル、粒状
7ミリモルを仕込み、80℃で反応を開始し36時間反応を行った。反応後、反応内容物をクロロホルムに溶解させ、固体酸触媒及びマグネチック攪拌子を濾過、分離した。
濾液のクロロホルム可溶部について、過剰のメタノールに加え、エバポレータによりクロロホルム、メタノール、テトラヒドロフラン等の揮発性低沸点物を除去し、オイル状物を得た。さらに同オイル状物を真空乾燥し、1.2gのオイル状物を得た。
さらに、得られたオイル状共重合体について、加速器質量分析による炭素14濃度を測定したところ、バイオマス炭素含有率(%)(Biobased content)は100.08±0.33%の値が得られ、本オイル状共重合体は、バイオマス由来の共重合体であることが確認された。
マグネチック攪拌子を有する内容積10mlのポリエチレン製蓋付きのガラス製試験管型フラスコに無水コハク酸5.1ミリモル、テトラヒドロフラン61.6ミリモル、粒状
反応を開始し17時間反応を行った。反応後、実施例1と同様に、反応内容物をクロロホルムに溶解させ、固体酸触媒及びマグネチック攪拌子を濾過、分離した。濾液のクロロホルム可溶部について、過剰のメタノールに加え、エバポレータによりクロロホルム、メタノール、テトラヒドロフラン等の揮発性低沸点物を除去し、白色固形物3.9gと粘性固形物0.5gを得た。白色固形物について、プロトンNMR分析を行ったところ、同白色固形物はテトラヒドロフランユニットとコハク酸エステルユニットのモル比が100対5.9のコハク酸系共重合体であることがわかった。また白色固形物の数平均分子量Mnは497であった。その重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnは1.40であった。
実施例3で使用したバイオマス由来の共重合モノマー無水コハク酸とテトラヒドロフラン及びそれらの出発合成原料であるフルフラールについて、加速器質量分析による炭素14濃度を測定したところ、バイオマス炭素含有率(%)(Biobased content)はそれぞれ、無水コハク酸:99,12±0.33%、テトラヒドロフラン:100.74±0.33%、フルフラール:101.42±0.35%の値が得られ、実施例3の共重合体原料及びその合成出発原料フルフラールは、バイオマス由来の化合物であることが確認された。
コンデンサーとマグネチック攪拌子を有する内容積150mlの縦長フラスコに無水コ
触媒(0.8meq/g)2.0gを仕込み、室温(23℃)で反応を開始し、24時間反応を行った。反応後、白色固形物が生成していた。反応終了時には攪拌は不能であった。反応内容物は、クロロホルムに溶解させ、未反応無水コハク酸、固体酸触媒及びマグネチック攪拌子を濾過、分離した。次いで濾液からエバポレータによりクロロホルムを除去し、真空乾燥し、31.8gの白色ワックス状物を得た。また同共重合体の数平均分子量Mnは3,500であった。重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnは2.88であった。
実施例4及び本実施例で示すように、開始剤が存在しなくても、コハク酸系共重合体を得ることができた。
Claims (15)
- 無水コハク酸とテトラヒドロフランを、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物を含有する固体酸触媒の存在下で共重合反応させることを特徴とする下記一般式(1)で表されるテトラヒドロフラン由来のエーテル部とコハク酸由来エステル部を含有するコハク酸共重合体(ただし、テトラヒドロフラン由来のエーテル部を有し、末端にのみコハク酸由来エステル部を有する共重合体を除く)の製造方法。
−[CO(CH2)2COO(CH2)4O]x−[(CH2)4O]y− (1)
(式中、xは[CO(CH2)2COO(CH2)4O]コハク酸エステルユニットの数を示し、yは[(CH2)4O]テトラヒドロフランユニットの数を示し、x/yは0.1/100〜90/100(モル比)である。) - 固体酸触媒がテトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物からなるペレット、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物からなる粒子、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物からなるフィルム、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物を担持した無機物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- 無水コハク酸に対する該固体酸触媒の使用割合は、無水コハク酸1モル当たり固体酸に含まれるプロトンH+が3×10−4〜1×10−2モルの範囲である請求項1〜2のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- 無水コハク酸に対するテトラヒドロフランの使用割合は、無水コハク酸1モル当たりテトラヒドロフラン1〜15モルの割合である請求項1〜3のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- 反応原料である無水コハク酸、テトラヒドロフランから選ばれる少なくとも1種が植物資源由来の化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- 無水コハク酸、テトラヒドロフランから選ばれる成分の0〜100%が植物資源由来の化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- 無水コハク酸、テトラヒドロフランから選ばれる成分の0〜100%がフルフラール由来の化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- 反応媒質の非存在下に共重合を行う請求項1〜7のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- 反応媒質としてヘキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランの中から選ばれる少なくとも1種を使用する請求項1〜7のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- 常圧〜1MPaの反応圧下に共重合を行う請求項1〜9のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- 共重合体を溶媒に溶解させ、当該溶液から固体触媒を除去した後、前記溶液から共重合体を沈殿させて、ろ過・分離し、次いで前記ろ過・分離した共重合体から溶媒を除去することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- 共重合体をクロロホルムに溶解させ、当該溶液から固体触媒を除去した後、前記溶液から共重合体を沈殿させて、ろ過・分離し、次いで前記ろ過・分離した共重合体からクロロホルムを除去することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のコハク酸共重合体の製造方法。
- テトラフルオロエチレン・ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホニックアシッド)共重合物からなることを特徴とする請求項1記載のコハク酸共重合体製造用固体酸触媒。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の方法で得られた共重合体であって、固体酸触媒の分離除去により該触媒を含まないことを特徴とするコハク酸共重合体(ただし、テトラヒドロフラン由来のエーテル部を有し、末端にのみコハク酸由来エステル部を有する共重合体を除く)。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の方法で得られた共重合体であって、固体酸触媒を含まず、しかも下記一般式(1)で表されるテトラヒドロフラン由来のエーテル部とコハク酸由来エステル部を含有することを特徴とするコハク酸共重合体(ただし、テトラヒドロフラン由来のエーテル部を有し、末端にのみコハク酸由来エステル部を有する共重合体を除く)。
−[CO(CH2)2COO(CH2)4O]x−[(CH2)4O]y− (1)
(式中、xは[CO(CH2)2COO(CH2)4O]コハク酸エステルユニットの数を示し、yは[(CH2)4O]テトラヒドロフランユニットの数を示し、x/yは0.1/100〜90/100(モル比)である。)」
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