以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本実施形態における画像処理システム10の一例を示す構成図である。図1に示すように、本実施形態における画像処理システム10は、画像処理装置12と、光学顕微鏡14と、表示装置16と、を含んでいる。画像処理装置12は、光学顕微鏡14及び表示装置16とケーブル等により接続されており、互いに情報が通信されるようになっている。
本実施形態における光学顕微鏡14は、例えば、試料台に配置されたステンドグラス上の試料を、対物レンズ等の光学系を介してCCDカメラで撮像する。本実施形態では、試料には、母体血をスライドグラスに塗布し、メイ・ギムザ染色を施したものを用いる。これにより、母体血中の胎児由来有核赤血球(NRBCs)が青紫色に染色される。以下、NRBCsを標的細胞と呼ぶこととする。上述のように、標的細胞は核を有する。
画像処理装置12は、光学顕微鏡14で撮像された撮像画像を取得して、当該撮像画像の中から標的細胞を探索する。画像処理装置12において行われる探索処理については後述する。
表示装置16は、本実施形態では、例えば、画像処理装置12が生成する画像を表示する。表示装置16には、例えば、光学顕微鏡14で撮像された撮像画像や、画像処理装置12による探索結果等が表示される。
図2は、本実施形態における画像処理装置12で実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、本実施形態における画像処理装置12は、機能的には、例えば、標本画像取得部20、撮像画像取得部22、画素抽出部24、連結画素群抽出部26、判定対象領域決定部28、色空間分解画像生成部30、特徴量算出部32、特徴選択部34、識別器生成部36、識別モデル記憶部38、可能性特定部40、探索結果情報記憶部42、結果画像生成部44、を含んでいる。これらの機能は、コンピュータである画像処理装置12にインストールされた、これらの機能に対応する命令を含むプログラムを、画像処理装置12の制御部で実行することにより実現されている。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ可読な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどの通信手段を介して画像処理装置12に供給される。
標本画像取得部20は、本実施形態では、例えば、標的細胞の画像が含まれている画像を、識別器作成のための正例画像として取得し、標的細胞の画像が含まれていない画像を、識別器作成のための負例画像として取得する。以下、正例画像と負例画像とを併せて、標本画像と呼ぶこととする。図3に、グレースケールで表現された正例画像の一例を示す。図3に示す正例画像には、その中央に標的細胞の画像が含まれている。図4に、グレースケールで表現された負例画像の一例を示す。図4に示す負例画像には、その中央に白血球の画像が含まれている。図5に、グレースケールで表現された負例画像の別の一例を示す。図5に示す負例画像には、その中央にごみの画像が含まれている。図6に、グレースケールで表現された負例画像のさらに別の一例を示す。図6に示す負例画像には、その中央にごみが重畳している赤血球の画像が配置されている。
撮像画像取得部22は、本実施形態では、例えば、標的細胞が含まれる可能性を特定する対象となる検体、すなわち、検査の対象となる検体を、光学顕微鏡14で撮像した撮像画像を取得する。以下、検査の対象となる検体を撮像した撮像画像を、検体画像と呼ぶこととする。
画素抽出部24は、本実施形態では、例えば、検体画像に含まれる画素の中から、色又は輝度の少なくとも一方に関する条件に基づいて、核の候補となる画素を抽出する。画素抽出部24は、例えば、検体画像内の、画素値が予め定められた値よりも大きい画素、すなわち、検体画像内の画素を、予め定められた色又は輝度の閾値により二値化した場合における、予め定められた色よりも黒い画素を抽出する。ただし、画素抽出部24による画素の抽出方法は、上述の方法に限定されず、他の方法によって、予め定められた条件に基づいて画素を抽出するようにしてもよい。
連結画素群抽出部26は、本実施形態では、例えば、画素抽出部24が抽出した画素について、互いに隣り合う画素を連結した、予め定められた画素数以上の画素から構成される連結画素群を抽出する。
判定対象領域決定部28は、本実施形態では、例えば、連結画素群抽出部26が抽出した連結画素群の外接矩形が占める領域を核候補領域50として決定する(図7参照)。そして、判定対象領域決定部28は、核候補領域を囲む複数の判定対象領域52を決定する(図7参照)。図7に、核候補領域50と判定対象領域52との関係の一例を模式的に示す。図7に示すように、本実施形態では、判定対象領域決定部28は、例えば、互いに大きさの異なる複数の判定対象領域52を決定する。判定対象領域決定部28は、具体的には、例えば、核候補領域50の縦の長さ及び横の長さをそれぞれ2倍した大きさ、2.5倍した大きさ、3倍した大きさ、・・・、予め定められた最大の大きさであるn倍した大きさの、核候補領域50を囲む矩形領域を判定対象領域52として決定する。なお、本実施形態では、判定対象領域決定部28は、各判定対象領域52の、核候補領域50に対する配置を、乱数等に基づいてランダムに決定する。図7には、連結画素群の外接矩形が占める核候補領域50、及び、当該核候補領域50の縦の長さ及び横の長さをそれぞれ2倍した大きさ、2.5倍した大きさ、3倍した大きさである判定対象領域52が一例として示されている。また、判定対象領域決定部28は、核候補領域50が判定対象領域52内に収まる範囲で判定対象領域52を決定するようにしてもよい。例えば、判定対象領域決定部28は、図8に示すように、核候補領域50が右下端に配置される領域、当該領域に対して右にa画素だけずらし下にb画素ずらした領域、当該領域に対してさらに右にa画素だけずらし下にb画素ずらした領域、・・・、核候補領域50が左上端に配置される領域を、判定対象領域52として決定するようにしてもよい(ここで、a,bは予め定められた整数)。また、判定対象領域決定部28が、例えば、連結画素群抽出部26が抽出した連結画素群の少なくとも一部を囲む領域を核候補領域50として決定するようにしてもよい。
色空間分解画像生成部30は、本実施形態では、例えば、正例画像、負例画像、判定対象領域52内の画像について、色空間(例えば、RGB空間、Lab空間、HSV空間など)の成分毎に分解した画像を生成する。色空間分解画像生成部30は、例えば、RGB空間の成分毎に分解した画像を生成する際には、R成分画像、G成分画像、B成分画像のうちの少なくとも1つを生成する。
特徴量算出部32は、本実施形態では、例えば、標本画像を色空間の成分毎に分解した画像、又は、判定対象領域52内の画像を色空間の成分毎に分解した画像についての画像特徴量を算出する。ここで、標本画像を色空間の成分毎に分解した画像、及び、判定対象領域52内の画像を色空間の成分毎に分解した画像を、算出基礎画像と呼ぶこととする。特徴量算出部32は、本実施形態では、例えば、算出基礎画像が占める領域内の輝度分布に基づいて画像特徴量を特定する。特徴量算出部32は、本実施形態では、例えば、従来のHOG特徴量とは異なる、Cell−HOG特徴量を算出する。従来のHOG特徴量と、Cell−HOG特徴量と、の差異については後述する。
以下、特徴量算出部32による画像特徴量の算出の一例について説明する。まず、特徴量算出部32は、例えば、算出基礎画像が占める領域内の画素毎に、輝度勾配の方向と輝度勾配の強度とを算出する。そして、特徴量算出部32は、算出基礎画像が占める領域の一部である部分領域を、予め定められた数だけ特定する。なお、ここで、予め定められた数だけ特定される部分領域は、互いに重なっていても構わないし、互いに重なっていなくても構わない。そして、特徴量算出部32は、各部分領域について、部分領域を複数のセルに分割する。そして、特徴量算出部32は、各セルについて、部分領域内の輝度分布に基づいて特定される輝度勾配を表す画像特徴量、ここでは、例えば、有向な輝度勾配の向きと、輝度勾配の強度を表す輝度勾配方向ヒストグラムを算出する。特徴量算出部32は、ヒストグラムを計算するにあたって、例えば、基準となる向き(例えば、右向き)から反時計回りに予め定められた角度単位(例えば、20度単位)で区切られた角度範囲を設定する。このようにすれば、例えば、360度/20度=18個の角度範囲が設定される。
そして、特徴量算出部32は、各セルについて、有向な輝度勾配の向きが属する角度範囲に対応付けられる、ヒストグラムにおけるビンに対して、輝度勾配の強度を表す値をヒストグラムにおける頻度として加算する。そして、特徴量算出部32は、部分領域に含まれるセルについて算出された輝度勾配方向ヒストグラムを、すべてのセルについて結合したヒストグラムを、当該部分領域の輝度勾配方向ヒストグラムとして算出する。このようにして、部分領域に含まれるセルの画像特徴量を集計した値が、部分領域内の輝度分布に基づいて特定される画像特徴量として特定される。そして、特徴量算出部32は、算出基礎画像内の部分領域について算出されたヒストグラムを、すべての部分領域について結合したヒストグラムを、当該算出基礎画像のCell−HOG特徴量として算出する。このようにして、算出基礎画像に含まれる部分領域の画像特徴量を集計した値が、算出基礎画像内の輝度分布に基づいて特定される画像特徴量として特定される。
また、例えば、画像処理装置12が、特徴量算出部32を複数備え、それぞれの特徴量算出部32が、並行して、互いに異なる複数の算出基礎画像(例えば、G成分画像及びB成分画像)についての画像特徴量の算出処理を実行するようにしてもよい。
特徴選択部34は、特徴量算出部32が算出した画像特徴量(本実施形態では、例えば、Cell−HOG特徴量)を構成する複数の成分(例えば、ヒストグラムにおけるビン)のうち、識別に用いられる成分を選択する。例えば、特徴選択部34は、例えば、正例画像に基づいて算出されるCell−HOG特徴量を表すヒストグラムと、負例画像に基づいて算出されるCell−HOG特徴量を表すヒストグラムと、を比較して、その重なっている程度が低い特徴から順に、Cell−HOG特徴量を構成するすべての成分のうちからN個の成分を選択する。このとき、算出基礎画像に対応付けられる各部分領域について、互いに異なる角度範囲が、識別に用いられる角度範囲として選択されるようにしてもよい。なお、特徴選択部34は、例えば、後述する識別器としてAdaBoostを用いる場合には、学習アルゴリズムを利用して角度範囲を選択するようにしてもよい。また、特徴選択部34は、画像処理装置12の利用者が指定した複数の角度範囲を選択するようにしてもよい。
識別器生成部36は、本実施形態では、例えば、正例画像に基づいて算出された画像特徴量を構成する複数の成分のうち、特徴選択部34が選択した複数の成分を、正例の学習データとして用い、また、識別器生成部36は、負例画像に基づいて算出された画像特徴量を構成する複数の成分を、負例の学習データとして用いることで、識別器を生成する。そして、識別器生成部36は、生成された識別器のパラメータを識別モデル記憶部38に出力する。識別器としては、例えば、アダブースト(AdaBoost)やサポートベクタマシン(Support Vector Machine(SVM))等が用いられる。
識別モデル記憶部38は、本実施形態では、例えば、判定対象領域52内に標的細胞が含まれる可能性を示す値を特定する際に用いられる、正例画像及び負例画像内の、互いに異なる複数の色成分それぞれについての輝度分布に基づいて機械学習された画像特徴量の条件を表す情報を記憶する。識別モデル記憶部38は、本実施形態では、例えば、識別器生成部36が生成した識別器のパラメータを記憶する。識別モデル記憶部38は、識別器としてアダブーストを用いる際には、例えば、弱識別器の数、弱識別器内の分類木の深さ、分類時の閾値等を記憶する。
可能性特定部40は、判定対象領域52内の、互いに異なる複数の色成分それぞれについての算出基礎画像の輝度分布に基づいて、特徴量算出部32が特定した画像特徴量を構成する複数の成分のうちから、特徴選択部34が選択した複数の成分と、識別モデル記憶部38に記憶されている画像特徴量の条件と、に基づいて、判定対象領域52内に標的細胞が含まれる可能性を示す値を特定する。そして、可能性特定部40は、判定対象領域52内に標的細胞が含まれる可能性を示す値を、当該判定対象領域52の識別情報に関連付けて、探索結果情報として、探索結果情報記憶部42に出力する。
探索結果情報記憶部42は、上述の探索結果情報を記憶する。
結果画像生成部44は、探索結果情報記憶部42が記憶した探索結果情報に基づいて、探索結果を表す画像を生成して、表示装置16に出力する。表示装置16は、結果画像生成部44が出力した画像の受付に応じて、当該画像を表示出力する。
ここで、本実施形態における画像処理装置12で行われる、正例画像及び負例画像に基づく、機械学習の流れの一例を、図9に例示するフロー図を参照しながら説明する。
まず、標本画像取得部20が、複数の正例画像及び複数の負例画像を取得する(S101)。そして、色空間分解画像生成部30が、S101に示す処理で取得した正例画像及び負例画像のそれぞれについて、色空間の成分毎に分解した画像を生成する(S102)。ここでは、例えば、色空間分解画像生成部30は、G成分画像及びB成分画像を生成する。
そして、特徴量算出部32が、S101に示す処理で取得した標本画像のそれぞれについて、S102に示す処理で生成されたG成分画像の成分、及び、B成分画像それぞれについてのCell−HOG特徴量を、当該標本画像に対応付けられるCell−HOG特徴量として算出する(S103)。ここでは、例えば、Cell−HOG特徴量は、R成分画像について18個の角度範囲それぞれについての輝度勾配の強度、及び、G成分画像について18個の角度範囲それぞれについての輝度勾配の強度の成分、すなわち、計36個の成分を含むこととなる。
そして、特徴選択部34が、S103に示す処理で、正例画像から算出されたCell−HOG特徴量に基づいて、正例の学習データを生成する(S104)。そして、特徴選択部34が、S103に示す処理で、負例画像から算出されたCell−HOG特徴量に基づいて、負例の学習データを生成する(S105)。
そして、特徴選択部34が、S104に示す処理で生成された正例の学習データ、及び、S105に示す処理で生成された負例の学習データに基づいて、Cell−HOG特徴量に含まれる複数の成分(例えば、36個の成分)のうちから、識別器の生成に用いられる成分を選択する(S106)。ここでは、例えば、正例画像に基づいて算出されるCell−HOG特徴量を表すヒストグラムにおける角度範囲の頻度と、当該角度範囲の、負例画像に基づいて算出されるCell−HOG特徴量を表すヒストグラムにおける頻度と、の差が大きなものから順に、Cell−HOG特徴量に含まれる複数の角度範囲のうちからN個の角度範囲が選択される。
そして、識別器生成部36が、S106に示す処理で選択された、正例の学習データについての複数の成分、及び、負例の学習データについての複数の成分に基づいて、識別器を生成する(S107)。そして、識別器生成部36が、S107に示す処理で生成した識別器のパラメータを、画像特徴量の条件を表す情報として識別モデル記憶部38に記憶させて(S108)、本処理例に示す処理を終了する。
ここで、本実施形態における画像処理装置12で行われる、検体画像内の標的細胞の探索処理の流れの一例を、図10A及び図10Bに例示するフロー図を参照しながら説明する。
まず、撮像画像取得部22が検体画像を取得する(S201)。そして、画素抽出部24が、S201に示す処理で取得した検体画像から、色又は輝度の少なくとも一方に関する条件に基づいて画素を抽出する(S202)。そして、連結画素群抽出部26が、S202に示す処理で抽出された画素について、互いに隣り合う画素を連結した、予め定められた画素数以上の画素から構成される連結画素群を抽出する(S203)。そして、判定対象領域決定部28が、S203に示す処理で抽出された連結画素群のそれぞれについて、連結画素群の解説矩形を核候補領域として決定し、決定した核候補領域のそれぞれに、互いに異なる1以上の整数を核候補領域のラベルとして関連付ける(S204)。
そして、判定対象領域決定部28は、変数aの値を初期値1に設定する(S205)。そして、判定対象領域決定部28が、変数aの値がラベルとして関連付けられている核候補領域を囲む、予め定められた数であるb個の判定対象領域52を決定し、決定した判定対象領域52のそれぞれに、互いに異なる1以上の整数を判定対象領域52のラベルとして関連付ける(S206)。そして、判定対象領域決定部28は、S206に示す処理において、変数aと変数cの組合せに、変数aの値がラベルとして関連付けられている核候補領域を囲む、変数cの値がラベルとして関連付けられている判定対象領域52の4つの頂点の、検体画像内における座標値を探索結果情報記憶部42に記憶させる(S207)。
そして、色空間分解画像生成部30が、変数cの値を初期値1に設定する(S208)。そして、色空間分解画像生成部30が、変数cの値がラベルとして関連付けられている判定対象領域52内の画像について、色空間の成分毎に分解した画像を生成する(S209)。ここでは、例えば、色空間分解画像生成部30は、G成分画像及びB成分画像を生成する。このように、S209に示す処理では、S102に示す処理で生成される画像と同様の種類の画像が生成される。
そして、特徴量算出部32が、S209に示す処理で生成したG成分画像及びB成分画像それぞれについてのCell−HOG特徴量を、変数cの値がラベルとして関連付けられている判定対象領域52に対応付けられるCell−HOG特徴量として算出する(S210)。ここでは、例えば、Cell−HOG特徴量は、R成分画像について18個の角度範囲それぞれについての輝度勾配の強度の成分、及び、G成分画像について18個の角度範囲それぞれについての輝度勾配の強度の成分、すなわち、計36個の成分を含むこととなる。
そして、特徴選択部34が、S210に示す処理で算出されたCell−HOG特徴量に含まれる複数の成分(例えば、36個の成分)のうちから、S106に示す処理で選択された成分を選択する(S211)。
そして、可能性特定部40が、S107に示す処理で生成された識別器と、S211に示す処理で選択されたCell−HOG特徴量に含まれる成分と、に基づいて、当該Cell−HOG特徴量に対応付けられる判定対象領域52に標的細胞が含まれる可能性を示す値(例えば、確率)を特定する(S212)。なお、S212に示す処理で、可能性特定部40が、例えば、当該Cell−HOG特徴量に対応付けられる判定対象領域52に標的細胞が含まれる可能性の有無を示すフラグ(例えば、可能性がある場合には1、可能性がない場合には0の値をとるフラグ)を特定するようにしてもよい。また、S212に示す処理で、可能性特定部40が、例えば、当該Cell−HOG特徴量に対応付けられる判定対象領域52に標的細胞が含まれる可能性を百分率で表現した値を特定するようにしてもよい。
そして、可能性特定部40は、S212に示す処理で特定された可能性を示す値が予め定められた閾値以上であるか否かを確認する(S213)。S212に示す処理で特定された可能性を示す値が予め定められた閾値以上である場合は(S213:Y)、S212に示す処理で特定された可能性を示す値を、変数aの値、及び、変数cの値に関連付けて、探索結果情報として探索結果情報記憶部42に記憶させる(S214)。S212に示す処理で特定された可能性を示す値が予め定められた閾値以上でない場合(S213:N)、又は、S214に示す処理が終了した際には、可能性特定部40は、変数cの値を1増加させる(S215)。そして、可能性特定部40は、変数cの値が、上述のbの値よりも大きいか否かを判定する(S216)。
変数cの値が、上述のbの値よりも大きくない場合は(S216:N)、S209以降の処理を再度実行する。変数cの値が、上述のbの値よりも大きい場合は(S216:Y)、可能性特定部40は、S205に示す処理で決定された核候補領域のすべてについて、上述の処理が終了したか否かを確認する(S217)。S205に示す処理で決定された核候補領域のすべてについて、上述の処理が終了していない場合は(S217:N)、変数aの値を1増加させて(S218)、S206以降の処理を再度実行する。S205に示す処理で決定された核候補領域のすべてについて、上述の処理が終了した場合は(S217:Y)、結果画像生成部44が、S214に示す処理で記憶された探索結果情報に基づいて、探索結果を表す画像を生成して、表示装置16に出力して(S218)、本処理例に示す処理を終了する。
S218に示す処理で生成される画像には、様々なものが考えられる。
例えば、結果画像生成部44が、探索結果情報記憶部42に検索結果情報として記憶されている変数aの値及び変数cの値に対応付けられる1又は複数の判定対象領域52を特定するようにしてもよい。そして、結果画像生成部44が、探索結果情報記憶部42に記憶されている、判定対象領域52の座標値に基づいて、特定された1又は複数の判定対象領域52についての、判定対象領域52の4頂点の検体画像内における位置を特定するようにしてもよい。そして、結果画像生成部44が、当該4頂点を囲む矩形が検体画像上に配置された画像を生成するようにしてもよい。
あるいは、例えば、結果画像生成部44が、探索結果情報記憶部42に検索結果情報として記憶されている変数aの値及び変数cの値に対応付けられる複数の判定対象領域52が重畳する領域を特定するようにしてもよい。そして、結果画像生成部44が、当該領域を囲む図形が検体画像上に配置された画像を生成するようにしてもよい。
あるいは、結果画像生成部44が、探索結果情報記憶部42に検索結果情報として記憶されている変数aの値及び変数cの値との組合せをリスト形式で表現した画像を生成するようにしてもよい。
従来のHOG特徴量では、照明変動に対して頑強にするために、部分領域単位で輝度勾配ヒストグラムの正規化を行っているが、本実施形態で用いたCell−HOG特徴量では、部分領域内の輝度分布に基づいて特定される輝度勾配を表す画像特徴量(ここでは、例えば、輝度勾配強度)を、部分領域毎の正規化を行うことなく集計した値を、標本画像内の輝度分布に基づいて特定される画像特徴量として特定する。
本実施形態では、光学顕微鏡14が撮像した画像を対象としており、照明変動がほとんどないため、必ずしも正規化を行う必要がない。また、図3に例示されているような標的細胞の画像と、図4に例示されているような白血球の画像と、を識別する際など、細胞壁や核周辺での輝度勾配強度の差が識別時の重要な情報になる場合には、輝度勾配方向ヒストグラムにおいて、輝度勾配を表す画像特徴量(ここでは、例えば、輝度勾配強度)の値を部分領域毎の正規化を行うことなく集計した値を用いることで、白血球の画像が標的細胞である可能性が高く評価されたり、標的細胞の画像が標的細胞である可能性が低く評価されたり、などといった誤検出の可能性が低減する。
また、従来のHOG特徴量を算出する際には、対象の色や明るさの変動に対して頑強にするために、有向な輝度勾配が用いられず、無向の輝度勾配が用いられる。そのため、従来のHOG特徴量では、暗い位置から明るい位置に向かう輝度勾配と、明るい位置から暗い位置に向かう輝度勾配と、が同等に扱われていた。しかし、本実施形態で対象としている、図3に例示されているような標的細胞の画像と、図5に例示されているようなごみの画像等を識別する際等、細胞内外の色合いや明るさの差が識別時の重要な情報となる場合には、有向な輝度勾配を用いることで、ごみの画像が標的細胞である可能性が高く評価されたり、標的細胞の画像が標的細胞である可能性が低く評価されたり、などといった誤検出の可能性が低減する。
また、本実施形態では、特徴量算出部32が、標本画像や判定対象領域52内の画像を、色空間の成分毎に分解した画像についての画像特徴量を算出している。従来技術では、標本画像や判定対象領域52内の画像をグレースケールに変換した画像についての画像特徴量が算出されていた。従来技術のようにして、グレースケールの画像から画像特徴量が算出される場合には、図3に例示されているような標的細胞の画像と、図6に例示されているような、標的細胞ではない、ごみが重畳している赤血球の画像とでは、画像特徴量による識別が困難であった。図3に例示されているような標的細胞の画像と、図6に例示されているような、標的細胞ではない、ごみが重畳している赤血球の画像とでは、特にB成分画像から算出される画像特徴量の差異が、グレースケールの画像から画像特徴量が算出される画像特徴量の差異よりも大きい。そのため、本実施形態では、標的細胞ではない、ごみが重畳している赤血球の画像が標的細胞である可能性が高く評価されたり、標的細胞の画像が標的細胞である可能性が低く評価されたり、などといった誤検出の可能性が低減する。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、色空間分解画像生成部30が、正例画像、負例画像、判定対象領域52内の画像について、色空間の成分毎に分解した画像を生成しなくてもよい。そして、特徴量算出部32が、例えば、グレースケールに変換した、正例画像、負例画像、判定対象領域52内の画像に基づいて画像特徴量を算出してもよい。
また、例えば、特徴量算出部32が、Cell−HOG特徴量の代わりに、従来のHOG特徴量を算出してもよい。そして、可能性特定部40が、従来のHOG特徴量に基づいて、判定対象領域52内に標的細胞が含まれる可能性を示す値を特定してもよい。
また、例えば、特徴選択部34が、特徴量算出部32が算出した画像特徴量を構成する複数の成分のうち、識別に用いられる成分を選択しなくてもよい。そして、可能性特定部40が、特徴量算出部32が算出した画像特徴量を構成する複数の成分のすべてに基づいて、判定対象領域52内に標的細胞が含まれる可能性を示す値を特定してもよい。
また、例えば、特徴量算出部32が、画像特徴量を算出するにあたって、部分領域単位で輝度勾配ヒストグラムの正規化を行ってもよい。
また、本実施形態における画像処理装置12が複数の筐体から構成されていてもよい。また、本実施形態における画像処理装置12が、本実施形態における光学顕微鏡14及び表示装置16の少なくとも一方を備えていてもよい。また、明細書中の具体的な文字列や数値、並びに、図面中の具体的な文字列や数値は例示であり、これらの文字列や数値には限定されない。