JP5410147B2 - 無線通信用icタグ、無線通信改善シート体および無線通信システム - Google Patents

無線通信用icタグ、無線通信改善シート体および無線通信システム Download PDF

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Description

本発明は、無線通信用ICタグ、無線ICタグを使用する際に用いることで、通信距離を改善する無線通信改善シート体およびこれらを用いた無線通信システムに関する。
情報通信の分野のみならず、物流管理などの分野でも無線通信技術が応用され、無線通信用のICタグ(以下では単に「ICタグ」という。)は、RFID(Radio Frequency
Identification)技術の一翼を担う製品として広く知られる、物流管理や、安価な情報記憶媒体として使用用途は多岐にわたることから、無線通信機器は、様々な使用環境に置かれることになる。
ICタグは、識別番号などのデータを記憶するチップと、電波を送受信するためのアンテナとからなり、薄型、軽量で実現できることが大きな利点となっている。
このような利点を十分に生かすためには、タグの貼り付け位置に制限がなく、どこにどのように貼り付けても、通信可能に構成されていることが好ましいとされる。
しかしながら、ICタグは、自由空間で使用するように設計されており、超短波帯、極超短波帯、マイクロ波帯の電波を利用する場合、汎用タグはいわゆるダイポールアンテナ用いて電波方式の通信による送受信を行っているので、金属などがアンテナ近傍に存在すると、アンテナの通信特性が劣化し、通信可能距離が短くなってしまうという電波方式の通信方式を利用することによる特有の通信特性劣化メカニズムがある。
アンテナの近傍に金属などの導電性材料が存在する場合、アンテナに電流が流れると金属側ではこれと逆向きの電流が誘導され、誘導電流によってアンテナの入力インピーダンスが大きく低下する。これによって自由空間に対して設計されたICチップとのインピーダンスの整合性がとれなくなり、通信可能距離が短くなってしまう。
一般にダイポールアンテナ、モノポールアンテナおよびループアンテナは特定周波数の電波を受信することで、アンテナ内に共振電流が発生し、これがICチップを流れる際に、自由空間でのチップインピーダンスと整合が取れるように設計されている。
アンテナやチップの近傍に導電性材料が存在すると、アンテナを流れる電流と逆向きの電流が導電性材料表面に誘導されることになり、さらにアンテナと向かいあう導電性材料表面の、それぞれの電界の高い箇所と低い箇所とが高周波的に繋がることになり、アンテナおよび導電性材料を介してループ状の電気路が発生してしまう。この電気路の発生がインピーダンスを大幅に低下させるため、チップインピーダンスと整合がとれなくなり、情報信号の伝達ができなくなってしまう。これにより通信可能距離が短くなる。
また、金属に限らず、紙、ガラス、樹脂、液体などもICタグの通信特性を劣化させる材質となりうる。
これらの材質の場合は、これらの材質がもつ誘電性および磁性によってアンテナの共振周波数が変化し、通信相手の使用する電波の周波数とアンテナの共振周波数とのずれによって通信可能距離が短くなってしまう。
特許文献1記載の無線用ICタグのように、ICチップとこれに接続された第1のアンテナと、第1のアンテナとICチップを取り付ける部材との間に設けられる第1のスペーサとを有し、さらに第2のアンテナと、第1のアンテナと第2のアンテナとの間に設けられる第2のスペーサを有することで、ICタグが金属近傍に実装されたとしても、通信距離を改善することができる。
さらに、タグの貼り付け位置に制限がなくなるようにするためには、ICタグに気密性、水密性など耐環境性を持たせる必要がある。
ICチップなど電子回路に耐環境性を持たせる一手段としてモールディングによりICチップを被覆する手段がある。特許文献2記載のパッケージ形成方法では、基板上面に接着性耐圧樹脂を塗布し、硬化した耐圧の被覆材を形成し、熱可塑性樹脂の射出成形により基板を封止している。被覆材には、たとえばPPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂が用いられ、射出成形されてパッケージとなる熱可塑性樹脂には、たとえばPPS樹脂が用いられる。
特開2005−210676号公報 特開2000−243768号公報
耐環境性のみを考慮すれば、気密性、水密性を有し、剛性を有する樹脂で被覆することで目的は達成されるが、ICタグを被覆する場合、耐環境性のみならず被覆された状態でも無線通信可能であることが求められる。
特許文献2に記載のパッケージ形成方法は、ICタグを保護の対象にはしていないので、気密性、水密性を考慮しているだけであり、当然無線通信可能には構成されていない。
本発明の目的は、無線ICタグの通信可能距離を改善するとともに気密性、水密性など耐環境性を有する無線通信用ICタグ、無線通信改善シート体および無線通信システムを提供することである。
本発明は、無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体と、
前記無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体を結線することなく配置する配置面を有し、不連続領域が設けられた第1のスペーサと、
前記第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に設けられ、前記構成体と電磁的に結合するための不連続領域が設けられた補助アンテナであって、前記構成体と組み合わせたときに全体として前記構成体の無線通信周波数に共振し、無線通信を行うことが可能な補助アンテナと、
補助アンテナを挟んで第1のスペーサとは反対側に設けられる第2のスペーサと、が積層され、
第1のスペーサおよび補助アンテナに設けられた前記不連続領域は、第1のスペーサおよび補助アンテナを積層方向に貫通し、第2のスペーサが底を形成するように構成され、
積層された無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体、第1のスペーサ、補助アンテナおよび第2のスペーサを、誘電正接tanδが0.1以下である誘電材料で被覆する被覆層を設けたことを特徴とする無線通信用ICタグである。
また本発明は、前記誘電材料の誘電正接tanδが0.05以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記第2のスペーサの補助アンテナとは反対側に第1導体層を設けたことを特徴とする。
また本発明は、前記被覆層の、前記第2のスペーサを被覆した側の外表面に第2の導体層を設けたことを特徴とする。
また本発明は、前記被覆層の少なくともいずれか1つの面は、粘着性または接着性を有することを特徴とする。
また本発明は、無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体を結線することなく配置することで無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体の無線通信特性を改善する無線通信改善シート体であって、
前記無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体を配置する配置面を有し、不連続領域が設けられた第1のスペーサと、
前記第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に設けられ、前記構成体と電磁的に結合するための不連続領域が設けられた補助アンテナであって、前記構成体と組み合わせたときに全体として前記構成体の無線通信周波数に共振し、無線通信を行うことが可能な補助アンテナと、
補助アンテナを挟んで第1のスペーサとは反対側に設けられる第2のスペーサと、が積層され、
第1のスペーサおよび補助アンテナに設けられた前記不連続領域は、第1のスペーサおよび補助アンテナを積層方向に貫通し、第2のスペーサが底を形成するように構成され、
積層された第1のスペーサ、補助アンテナおよび第2のスペーサを、誘電正接tanδが0.1以下である誘電材料で被覆する被覆層を設けたことを特徴とする無線通信改善シート体である。
また本発明は、前記誘電材料の誘電正接tanδが0.05以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記補助アンテナに設けられた不連続領域の形状の少なくとも一辺が直線状であることを特徴とする。
また本発明は、前記補助アンテナの形状が、半径が異なり中心を同じとする2つの円弧と、所定の中心角を有する2つの半径線とで囲まれた形状であることを特徴とする。
また本発明は、前記第2のスペーサの補助アンテナとは反対側に第1導体層を設けたことを特徴とする。
また本発明は、前記被覆層の、前記第2のスペーサを被覆した側の外表面に第2の導体層を設けたことを特徴とする。
また本発明は、前記被覆層の少なくともいずれか1つの面は、粘着性または接着性を有することを特徴とする。
また本発明は、前記無線通信用ICタグ、または前記無線通信改善シート体の配置面に無線ICタグを配置した無線通信用ICタグを用いることを特徴とする無線通信システムである。
本発明によれば、無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体(以下、無線ICチップ構成体と呼ぶ。)と、補助アンテナに相当するシート体とを被覆層で被覆した無線通信用ICタグである。シート体は、第1のスペーサ、補助アンテナ、第2のスペーサで構成される。
第1のスペーサは、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体を結線することなく配置する配置面を有し、不連続領域が設けられ、第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に、孔または切り欠きなど構成体と電磁的に結合するための不連続領域が設けられた補助アンテナであって、前記構成体と組み合わせたときに全体として前記構成体の無線通信周波数に共振し、無線通信を行うことが可能な補助アンテナが設けられる。第2のスペーサは、補助アンテナを挟んで第1のスペーサとは反対側に設けられる。第1のスペーサおよび補助アンテナに設けられた前記不連続領域は、第1のスペーサおよび補助アンテナを積層方向に貫通し、第2のスペーサが底を形成するように構成される。
このシート体は、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体を配置するだけで、被着物品の種類に依存しないで通信改善が達成できる補助アンテナである。補助アンテナと無線ICタグまたは無線ICチップ構成体のICチップ間の電波信号のやりとりに導線配線、結線、ハンダ等の工程を用いずに、空間での電磁界分布を介するだけであるが、その条件下でインピーダンス整合や共振周波数調整を実現できる。
そして、これら積層された無線ICタグまたは無線ICチップ構成体、第1のスペーサ、補助アンテナおよび第2のスペーサは、誘電正接tanδが0.1以下である誘電材料で構成される被覆層によって被覆される。
このような被覆層で被覆することで、シート体により無線ICタグまたは無線ICチップ構成体の通信可能距離を改善するとともに気密性、水密性など耐環境性を付与することが可能となる。
また本発明によれば、前記誘電材料の誘電正接tanδを0.05以下とすることで、さらに通信可能距離を改善することができる。
また本発明によれば、前記第2のスペーサの補助アンテナとは反対側に第1導体層を設けることにより、無線通信改善シート体の設置位置(材料の種類も含む)の影響を小さくすることができる。
また本発明によれば、前記被覆層の、前記第2のスペーサを被覆した側の外表面に第2の導体層を設けることにより、無線通信改善シート体の設置位置の影響をさらに小さくすることができる。
また本発明によれば、前記被覆層の少なくともいずれか1つの面は、粘着性または接着性を有する。
これにより、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体の実装や、対象製品への貼り付けを容易に行うことができる。
また本発明によれば、本発明の無線通信改善シート体は、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体を重ね合わせるだけで、被着物品の種類に依存しないで通信改善が達成できる補助アンテナである。補助アンテナと無線ICタグまたは無線ICチップ構成体のICチップ間の電波信号のやりとりに導線配線、結線、ハンダ等の工程を用いずに、空間での電磁界分布を介するだけであるが、その条件下でインピーダンス整合や共振周波数調整を実現できる無線通信改善シート体である。
無線通信改善シート体は、第1のスペーサ、補助アンテナ、第2のスペーサが積層され、誘電正接tanδが0.1以下である誘電材料で構成される被覆層によって被覆される。
第1のスペーサは、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体を結線することなく配置する配置面を有し、不連続領域が設けられ、第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に、孔または切り欠きなど構成体と電磁的に結合するための不連続領域が設けられた補助アンテナであって、前記構成体と組み合わせたときに全体として前記構成体の無線通信周波数に共振し、無線通信を行うことが可能な補助アンテナが設けられる。第2のスペーサは、補助アンテナを挟んで第1のスペーサとは反対側に設けられる。第1のスペーサおよび補助アンテナに設けられた前記不連続領域は、第1のスペーサおよび補助アンテナを積層方向に貫通し、第2のスペーサが底を形成するように構成される。
このような被覆層で被覆することで、無線ICタグの通信可能距離を改善するとともに、無線通信改善シート体に気密性、水密性など耐環境性を付与することができる。
また本発明によれば、前記誘電材料の誘電正接tanδを0.05以下とすることで、さらに通信可能距離を改善することができる。
また本発明によれば、補助アンテナに設けられる不連続領域の形状の少なくとも一辺を直線状とすることで、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体を第1のスペーサに配置する位置が、不連続領域の辺と平行な方向にずれた場合でも、共振周波数のシフト量を小さく抑えることができるので、安定した通信改善性能が得られる。
また本発明によれば、補助アンテナの形状を、半径が異なり中心を同じとする2つの円弧と、所定の中心角を有する2つの半径線とで囲まれた形状とすることで、曲面に対する追従性が向上し、ガスボンベなどの曲面に貼り付けた場合でも、安定した通信改善性能が得られる。
また本発明によれば、前記第2のスペーサの補助アンテナとは反対側に第1導体層を設けることにより、無線通信改善シート体の設置位置(材料の種類も含む)の影響を小さくすることができる。
また本発明によれば、前記被覆層の、前記第2のスペーサを被覆した側の外表面に第2の導体層を設けることにより、無線通信改善シート体の設置位置の影響をさらに小さくすることができる。
また本発明によれば、前記被覆層の少なくともいずれか1つの面は、粘着性または接着性を有する。
これにより、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体の実装や、対象製品への貼り付けを容易に行うことができる。
また本発明によれば、上記の無線通信用ICタグ、または上記の無線通信改善シート体の配置面に無線ICタグまたは無線ICチップ構成体を配置した無線通信用ICタグを用いることで、読み取り間違いや、読み取り不良が発生しない無線通信システムを実現することができる。
本発明の第1実施形態である無線通信用ICタグ1の断面図である。 無線通信用ICタグ1の平面図である。 シート体10を上から見たときの平面図である。 本発明の第2実施形態である無線通信用ICタグ1の平面図である。 シート体10aを上から見たときの平面図である。 補助アンテナの他の例を示す平面図である。 本発明の参考形態である無線通信用ICタグ11の断面図である。 補助アンテナの他の例を示す平面図である。 本発明の第7実施形態である無線通信用ICタグ12の断面図である。 本発明の第8実施形態である無線通信改善シート体13の断面図である。 無線通信システムの例を示す図である。 通信距離の測定方法を示す概略図である。 実施例5の起動電力の周波数特性を示すグラフである。 実施例6の起動電力の周波数特性を示すグラフである。 実施例7の通信改善シート体10の外形形状を示す平面図である。 ガスボンベの肩部に実施例8の無線通信用ICタグを貼り付けた状態を示す図である。 実施例9の無線通信用ICタグの構成を示す概略図である。
本発明は、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体と、この無線ICタグまたは無線ICチップ構成体を結線することなく配置するシート体とを含み、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体とシート体とを一体的にモールディングした無線通信用ICタグである。また、本発明は、シート体のみをモールディングした無線通信改善シート体であってもよく、モールディングされた無線通信改善シート体に無線ICタグを配置して使用することもできる。
本発明のシート体は、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体を結線することなく配置する配置面を有する第1のスペーサと、第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に設けられ、孔または切り欠きなどの不連続領域が設けられた補助アンテナと、補助アンテナを挟んで第1のスペーサとは反対側に設けられる第2のスペーサとが積層されて構成される。
無線ICタグまたは無線ICチップ構成体をシート体の第1のスペーサの配置面に配置することで、無線ICタグの無線通信距離が改善される。
まず、シート体の通信改善機能について説明する。
従来技術において提案されているように、無線ICタグのようなダイポールアンテナ、モノポールアンテナおよびループアンテナを用いた無線通信装置の場合、自由空間での使用が想定されているので、近傍に通信を妨害するような部材(金属などの導電性部材、紙、ガラス、液体などの誘電性、磁性部材)が存在すると、その影響を受けて無線通信が困難となり、通信可能距離が短くなる。
これに対して、例えばパッチアンテナにより構成された無線ICタグを用いた場合、構成として通信周波数で共振する共振板と、接地電位の導体層(グランド層)を備えており、特にグランド層の存在によって通信妨害部材からの影響を小さくすることができ、通信可能距離は十分に保持される。
したがって、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナおよびループアンテナを持つ無線ICタグを、パッチアンテナ構成の補助アンテナと組み合わせることによって無線ICタグの通信改善を行うことが考えられる。
そこで、まず前述のシート体の構成のうち、第1のスペーサと、パッチアンテナ構成の補助アンテナと、第2のスペーサとを積層したシート体を作製し、無線ICタグの通信可能距離を測定したところ、改善は見られず、距離は短くなることがわかった。これは、無線ICタグのダイポールアンテナ、モノポールアンテナおよびループアンテナと補助アンテナとの電磁的な結合が発生せず、補助アンテナが十分に機能していないからであると考えられる。詳細には、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナおよびループアンテナと補助アンテナとの電磁的な結合は、シート体の外周を回り込むように結合するしかないため、ほとんど結合することができず、補助アンテナが機能していないものと考えられる。さらに、ICチップおよびリアクタンス装荷部(アンテナのループ部)が補助アンテナの影響を受けて、通信可能距離が短くなることとなった。つまり、補助アンテナの有する導体板がICチップおよびリアクタンス装荷部の近傍に存在するため、その導体板への誘導電流が発生することによるインピーダンスの低下のためであった。
これらの知見をもとに、さらなる改良を重ね、補助アンテナに、孔または切り欠き(スリットまたはスロット)などの不連続領域を設けることで、無線ICタグの通信改善が可能であることがわかった。
無線ICタグのアンテナとシート体の補助アンテナとは、不連続領域を通じて結合し、補助アンテナによる無線通信が可能となり、その結果通信可能距離を改善することができた。
さらに、ICチップおよびループ部に対向する位置に孔または切り欠きを設けることで、これらへの導体板の影響を小さくすることができ、通信可能距離を改善することができた。補助アンテナに孔または切り欠きを設けることで、導体板での誘導電流の経路の電気抵抗値を著しく向上することができ、インピーダンスの低下につながる誘導電流の発生を抑制することが可能となった。
このように補助アンテナに不連続領域を設けることで、アンテナの共振動作に応じて孔または切り欠きにアンテナのアンテナ形状の長軸方向に沿って電界が発生するため、これを介することでアンテナ(およびチップ)と補助アンテナ間の電磁的結合が活性化することになる。さらに、孔または切り欠きは導体板に発生するアンテナに対応した誘導電流を抑えることが可能となる。
本発明のシート体を構成する補助アンテナは、以下の点でパッチアンテナとは異なる。共振板に孔または切り欠きがあるという構造上の違いだけでなく、その孔または切り欠きを介することで電磁エネルギの出入り口や伝搬経路もその内部で重畳化することにより、従来のアンテナ動作に加え近傍での電磁エネルギの受け渡しという動作メカニズムにも対応していることである。
本発明の補助アンテナは、無線ICタグと組み合わせたときに、全体として無線通信周波数に共振する構成であり、補助アンテナの共振層は、無線通信周波数の電波の波長をλとすると、λ/8〜3λ/4の範囲に入る寸法を有している。
本発明のもう一つの特徴は、無線ICタグを結線することなく、貼り合わせるだけで無線ICタグの通信改善ができる点である。市販の無線ICタグはそれぞれの設計により、チップインピーダンスの値が異なっている。このインピーダンスは静置時の場合と動作時の場合でも異なるし、また動作条件でも受信するエネルギ量に依存して変化する。これら不安定で、変動しやすいインピーダンスを持つ無線ICタグに、後から貼り付けるだけでインピーダンス整合および改善を実現できるところが本発明を構成するシート体の特徴である。このインピーダンス調整機能により無線通信改善効果を得ることができる。
さらに本発明は、無線ICチップに格納される、または格納されている情報を電磁波として補助アンテナを備える無線通信改善シート体を通じて、空間に飛ばして通信を成立させている。この場合、無線通信改善シート体および被覆層により共振周波数調整やインピーダンス調整も可能であるため、汎用の無線ICタグを必ずしも用いる必要がなく、極論すれば無線ICチップだけでも電磁結合によって無線通信が可能となり情報交換できる。しかし、無線ICチップ単独ではアンテナ特性がないため、無線ICタグのアンテナの一部、例えばリアクタンス装可部のみが無線ICチップと接続しているような無線ICチップ構成体を用いれば、それを無線通信改善シート体の配置面に置くだけで通信改善が可能となる。このように無線ICタグの構成全てを用いずとも無線通信を行うことが可能となるので、たとえば無線ICタグのアンテナが不要となり、無線ICタグの小形化が可能となる。また無線ICチップ構成体のように、それ単体ではアンテナ通信特性が最適化されていなくとも、無線通信改善シート体と被覆層とを組み合わせることによってアンテナ通信特性を改善する調整機能を享受することができる。
以上の結果より、無線ICタグの近傍に金属、紙、ガラス、樹脂、液体等が存在しても、本発明の無線通信改善シート体を用いることで、良好で安定した無線通信特性を得ることが可能となった。
以下では、無線ICタグまたは無線ICチップ構成体と、上記のようなシート体とを含み、これらを一体的にモールディングした無線通信用ICタグについて、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である無線通信用ICタグ1の断面図であり、図2は、無線通信用ICタグ1の平面図である。なお、図2は、構造がよりわかりやすいように、モールディングした被覆層を取り払った状態の図を示している。
本発明の無線通信用ICタグ1は、シート体10に無線ICタグ20が貼りあわされ、これらを被覆層6で被覆したものである。
シート体10は、第1のスペーサ2、補助アンテナ3、第2のスペーサ4、第1の導体層5を備え、さらに第1のスペーサ2、補助アンテナ3に不連続領域として溝状の孔Sが設けられている。
第1のスペーサ2は、無線ICタグ20を配置する配置面2aを有しており、この配置面2aの反対側の面が補助アンテナ3に接面するように設けられ、無線ICタグ20のダイポールアンテナと補助アンテナ3との間を絶縁する誘電体層で構成される。
補助アンテナ3は、無線ICタグ20の通信周波数で共振することで、無線ICタグ20のダイポールアンテナと電磁的に結合し、しかもそれ自身が共振アンテナとして機能する。
第2のスペーサ4は、補助アンテナ3を挟んで第1のスペーサ2とは反対側に設けられ、補助アンテナ3と第1の導体層5との間を絶縁する誘電体層で構成される。
第1の導体層5は、第2のスペーサ4の補助アンテナ3とは反対側に設けられ、グランド層として機能する。
第1のスペーサ2、補助アンテナ3、第2のスペーサ4、第1の導体層5は、それぞれ同一の外形寸法を有し、この順に積層してシート体10を構成する。
このようなシート体10の、第1のスペーサ2の配置面2aには、無線ICタグ20が、シート体10と結線することなく配置される。結線することなく配置するとは、すなわち、シート体10と無線ICタグ20とが導体配線などにより直接導通(DC結合)されているのではなく、第1のスペーサ2の配置面2aに載置されている状態ある。
無線ICタグ20は、ID情報を記憶するICチップ21と、ICチップ21に接続されリーダからの電波を受信するとともに、リーダへ電波を送信するアンテナ22とで構成される。
無線ICタグ20は、図2に示すように補助アンテナ3に設けられた孔SにICチップ21が対向するように、シート体10に配置されるか、少なくともリアクタンス装荷部であるアンテナ22に対向するように配置されることが好ましい。このように配置することで、補助アンテナ3が導体材料として無線ICタグ20に与える影響を小さくし、通信改善効果をさらに向上させることができる。
本発明の無線通信用ICタグ1は、シート体10に無線ICタグ20が配置された状態でこれらを誘電材料から構成される被覆層6により被覆している。
被覆層6に用いられる誘電材料は、誘電正接tanδ(953MHz)が0.1以下であり、より好ましくは0.05以下である。実験結果については後述するが、誘電正接tanδが0.1よりも大きな誘電材料を用いて被覆層6を形成した場合、被覆層6のモールディングによって無線ICタグ20の通信可能距離は短くなる。これは、無線ICタグ20で送受信される電波が被覆層6を通過する際に、エネルギ損失が発生し、通信可能距離が短くなったものと考えられる。また、誘電材料としては、被覆層6の厚みを薄くするために複素比誘電率の実部ε’(953MHz)が1.0〜50.0であることが好ましい。
このような被覆層6に好適な誘電材料としては、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。EVA樹脂は、誘電正接tanδ(953MHz)が0.01であり、ε’(953MHz)が2.39である。PET樹脂は、誘電正接tanδ(953MHz)が0.01であり、ε’(953MHz)が2.9である。
被覆層6によるシート体10および無線ICタグ20の被覆は、公知の溶着技術を用いて行うことができ、溶着は部材を昇温する方法によって、インパルス溶着、熱板溶着、高周波溶着、超音波溶着などがある。
図3は、シート体10を上から見たときの平面図である。孔Sの形状がよく分かるように、シート体10のみの平面図を示している。
シート体10を積層方向から見たときの平面形状は、配置する無線ICタグ20の形状にもよるが、多くは矩形状である。また、シート体10の総厚みは、約1〜10mmである。
第1実施形態では、平面形状は長方形であり、その長辺方向中央部に、短辺方向に平行な直線状の孔Sが設けられる。直線状の孔形状から、以下では第1実施形態の孔をI型、シート体10をI型シート体と呼ぶことがある。図3では孔Sの位置がシート体10のほぼ中央に位置しているが、必ずしも中央部とは限らない。無線ICタグ20のICチップ21やその接合部およびリアクタンス装荷部であるアンテナ22の位置に応じて適宜の位置を取ることができる。孔Sは、図2の断面図に示すように、第1のスペーサ2と補助アンテナ3とを積層方向に貫通し、その結果第2のスペーサ4が溝の底を形成する構成となっている。従って孔Sの深さDは、第1のスペーサ2の厚みと補助アンテナ3の厚みとの和と同じとなり、たとえば0.1〜5mmである。孔Sの長さLは、シート体10の短辺方向長さL0に対して70〜95%となる長さに形成され、たとえば10〜100mmである。
孔Sの幅Wは、ICチップ21やその接合部分およびリアクタンス装荷部の大きさなどによるが、たとえば1〜100mmである。このような孔Sを設けることで、配置された無線ICタグ20のダイポールアンテナと、補助アンテナ3とは、この孔Sを介して電磁的に結合し、補助アンテナ3が共振アンテナとして機能する。さらに、無線ICタグ20の直下に孔Sが設けられるので、ICチップ21に対する補助アンテナ3の導電体としての影響を小さくすることができる。
無線ICタグ20を第1のスペーサ2表面に配置する場合、配置位置がずれてしまうことがある。本実施形態のように、孔Sの形状を直線状(I型)とすることで、無線ICタグ20の貼り付け位置が、孔Sの辺に平行な方向にずれた場合でも、共振周波数のシフト量を小さく抑えることができるので、安定した通信改善性能が得られる。孔Sの全ての辺が直線で構成されていてもよいが、必ずしも全ての辺が直線でなくてもよい。コーナー部分で直線の辺が交差するような場合、無線ICタグを繰り返して曲げた際に、そのコーナー部分がノッチの様に切断開始点になる場合もあり、コーナー部分にRを付与して、曲線部分を設けるようにしてもよい。このように直線状の辺を基本とし、曲線部分を組みあわせた不連続領域を用いることができる。
第1のスペーサ2および第2のスペーサ4は、それぞれ無線ICタグ20と補助アンテナ3とを絶縁し、補助アンテナ3と第1の導体層5とを絶縁するとともに、誘電体層として補助アンテナ3の共振周波数を調整する。
第1のスペーサ2および第2のスペーサ4は、無線ICタグ20と補助アンテナ3、または導体層5の位置関係を保つことができれば、電磁エネルギの損失の低い、すなわち通信周波数帯域で誘電正接tanδ(ε”/ε’)または磁性正接tanδ(μ”/μ’)の低い材料を用いることが好ましい。例えば空間でもよいが、一般には下記に例示するような有機材料を用いる。
有機材料としては、例えばゴム、熱可塑性エラストマー、各種プラスチック、木材、紙材、などの高分子有機材料等の多孔質体が挙げられる。前記ゴムとしては、天然ゴムのほか、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDMゴム)、エチレン−酢酸ビニル系ゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エチレンアクリル系ゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム(HNBR)などの合成ゴム単独、それらの誘導体、またはこれらを各種変性処理にて改質したものなどが挙げられる。これらのゴムは、単独で使用するほか、複数をブレンドして用いることができる。
熱可塑性エラストマーとしては、たとえば塩素化ポリエチレンのような塩素系、エチレン系共重合体、アクリル系、エチレンアクリル共重合体系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、スチレン系、アミド系、オレフィン系などの各種熱可塑性エラストマーおよびそれらの誘導体が挙げられる。
さらに、各種プラスチックとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂;ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、ポリスルホン、ウレタン系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂などの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂およびこれらの誘導体が挙げられる。
以上の材料をそのままか、複合化、変性化して用いることができ、発泡することが好ましい。典型的な低密度の誘電体材料は、発泡スチロール樹脂などの発泡樹脂である。
第1のスペーサ2および第2のスペーサ4を構成する誘電体材料は、たとえば密度が1.0g/cm3未満であることが好ましい。
このような低密度の誘電体材料としては、多孔質有機材料、多孔質無機材料から選ばれる1または複数の材料を使用する。また、低密度の誘電体材料としては、発泡しない材料を用いてもよいし、発泡しない材料と発泡材料を組み合わせてもよい。以上の他、ダンボールなどの紙材、木材、ガラス、土系材料なども低密度の誘電体材料として使用可能である。
発泡材料の発泡方法として手段は問わないが、発泡剤添加、または熱膨張性微粒子添加等に分類される。発泡剤は有機系発泡剤と無機系発泡剤がある。
有機系発泡剤としては、例えばジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカ
ルボンアミド(ADCA)、p,p'-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ヒドラジ
ドジカルボンアミド(HDCA)等が添加されるが、それに限られたものではない。
無機系発泡剤としては、炭酸水素ナトリウムなどが添加されるがそれに限られたものではなく、材料に応じて適宜選択して添加してもよい。
また熱膨張性微粒子としては、マイクロカプセル化した熱膨張性微粒子小球などが添加される。
発泡倍率も特に限定されるものではないが、吸収体の厚み変化が少なく、強度が保持され、かつ軽量化ができるような形態にする必要がある。これらから好ましくは、発泡倍率は2〜30倍程度が好ましい。
発泡構造については特に限定されるものではないが、圧縮方向に強い構成、例えば厚み方向に扁平発泡された発泡形態が好ましい。
木材として、合板、ラワン材、パーチクルボード、MDF等の木質材料でありその材料に本質的な制限を受けるものではなく、複数の材料を組み合わせて用いることもできる。
多孔質無機材料として、各種セラミック材料、石膏ボード、コンクリート、発泡ガラス、軽石、アスファルト、土材などが挙げられるが、それに限られるものではない。
第1のスペーサ2および第2のスペーサ4は、受信した電波エネルギをできる限り損失無く送信エネルギに変える必要があるため、できる限り材料によるエネルギ損失が少ない材料を選定する必要がある。そのためには無線ICタグが無線通信に利用する電磁波の周波数において誘電正接tanδ(ε”/ε’)が0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.1以下である。
スペーサ材としては低密度と低誘電正接tanδ(ε”/ε’)を兼ねていることが好ましいが、より重要なのは通信周波数帯域(UHF帯等)で低い誘電正接tanδを示すことである。
さらに複素比誘電率の実部ε’が高ければシート寸法の薄型化、小型化が可能となり得るため、ε’が1〜50であることが好ましい。但し、様々なパラメーターによりシートは構成されるため上記数値に限ったものではない。
第1のスペーサ2および第2のスペーサ4は、それぞれ異なる誘電体材料で構成されてもよく、同じ誘電体材料で構成されていてもよい。
補助アンテナ3および第1の導体層5は、導電性を有する導電材料から構成される。
導電材料としては、金、白金、銀、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、タングステン、鉄などの金属であってもよく、樹脂に上記金属の粉末、導電性カーボンブラックの混入された樹脂混合物、あるいは導電性樹脂のフィルム等であってもよい。また、上記金属等を、箔状、板状、シート状、フィルム状等に加工されたものであってもよい。あるいは合成樹脂性フィルム上に、膜厚たとえば600Åの金属薄層が形成された構成を有してもよい。また、金属箔をフィルムまたはクロスなどの基材に転写したものでもよい。また、炭素材料、酸化金属、あるいは金属粒子系の導電インク(たとえば抵抗率10Ω/□以下)を第1のスペーサ2、第2のスペーサ4に塗布してもよい。
補助アンテナ3の共振層は特定周波数の電波に対応する波長に応じたサイズに決まるが、第1の導体層5は共振層と少なくとも同じサイズか、より大きいサイズであることが好ましい。これは被着対象製品の材質の違いによる影響を少しでも抑えることが可能になるためである。またこの第1の導体層5は例えば金属製品のみに貼るなどの電磁遮蔽性を有する材料に貼る場合にはなくてもよい場合がある。
孔Sまたは後述する切り欠きSは、一般的な形成方法で形成することができる。第1のスペーサ2においては、打ち抜き、切削などの機械的加工を用いたり、エッチングなどの化学的加工を用いて誘電体材料からなる板状部材から孔または切り欠きとなる所定の部分を除去すればよい。また、使用する誘電体材料によっては、成型時に予め孔または切り欠きが設けられた形状に成型することも可能である。
補助アンテナ3においても、第1のスペーサ2と同様に機械的、化学的加工を用いて孔または切り欠きなどの不連続領域となる所定の部分を除去すればよい。また、予め孔または切り欠きが設けられた形状となるように、スペーサに直接印刷、蒸着、塗工することも可能である。
上記のような方法を用いて、第1のスペーサ2と補助アンテナ3のそれぞれに孔または切り欠きを形成してもよく、第1のスペーサ2に予め補助アンテナ3を積層しておき、両者に同時の孔または切り欠きを形成してもよい。
孔または切り欠きの形状は、スリット状(切れ込み状)であってもスロット状(空孔状)であってもよい。電気抵抗を上昇させるものであればその形状に制限はない。また孔または切り欠きの寸法が無線通信の電波の周波数に対して共振するものであっても、共振するものでなくてもよい。
図4は、本発明の第2実施形態である無線通信用ICタグ1の平面図である。図5は、シート体10aを上から見たときの平面図である。
第2実施形態では、第1実施形態と孔の形状が異なるのみであり、各層を構成する材料などは第1実施形態と同様であるので、以下では孔形状についてのみ説明する。
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、平面形状は長方形であり、その長辺方向中央部に、短辺方向に平行な直線状の孔S1と、短辺方向に所定の間隔を空けて、長辺方向に平行な2本の直線状の孔S2とが設けられ、孔S1と孔S2とは、中央部分で交差するとともに、直線状の孔S1は、孔S2より外側に突出しないように設けられる。このような2本の孔S2と、その中央部分で2本の孔S2を結合するように設けられる孔S1の形状から、以下では第2実施形態の孔S2をH型孔S2、シート体10aをH型シート体と呼ぶことがある。
第2実施形態である無線通信用ICタグ1の断面は、第1実施形態において図1に示した断面図と同様で、第1のスペーサ2と補助アンテナ3とを積層方向に貫通し、その結果第2のスペーサ4が溝の底を形成する構成となっている。また、孔S1と孔S2の深さおよび幅は同じである。
孔S2の深さDは、第1のスペーサ2の厚みと補助アンテナ3の厚みとの和と同じとなり、たとえば0.1〜5mmである。孔S1および孔S2の幅Wは、ICチップ21やその接合部分およびリアクタンス装荷部の大きさなどによるが、たとえば1〜30mmである。
孔S1の長さL1は、たとえば5〜50mmであり、孔S2の長さL2は、たとえば30〜150mmである。
このようなH型の孔S1および孔S2を設けることで、配置された無線ICタグ20のダイポールアンテナと、補助アンテナ3とは、この孔S1および孔S2を介して電磁的に結合し、補助アンテナ3が共振アンテナとして機能する。さらに、無線ICタグの直下に孔S1が設けられ、ダイポールアンテナのループ部に孔S2が設けられるので、ICチップ21およびアンテナに対する補助アンテナ3の導電体としての影響を小さくすることができる。
図6は、本発明の他の実施形態を示す平面図である。図6(a)は、第1実施形態の孔Sをさらに変形した第3実施形態であり、孔Sの中央部分の幅を他の部分より広くし、ICチップ21への影響をさらに小さくしている。図6(b)は、第2実施形態の孔S1をさらに変形した第4実施形態であり、孔S1の中央部分の幅を他の部分より広くし、ICチップ21への影響をさらに小さくしている。
不連続領域の形状や個数は、図に限定されるものではなく、複数あってもよいし、組み合わせたものでもよいし、完全に補助アンテナ3を複数の部分に分割するような不連続領域でもよい。また多角形状だけでなく、線状、棒状、円状、円弧状、曲線状、不定形状等で任意の形状でよい。これらが上下方向に分布することもある。また大きさも自由であり、無線ICタグが入り込む大きさであってもよいし、無線ICタグの一部のみ重なるような大きさであってもよい。無線ICチップ構成体を用いた場合であっても同じである。
本発明の補助アンテナ3に設けられる不連続領域は、補助アンテナ3において必須であるが、第1の導体層5においてはなくてもよい。同様に第1のスペーサ2および第2のスペーサ4においても、孔または切り欠きがあることもないこともある。最も近い導体層に孔または切り欠きを設けることが本発明の要件である。
図7は、本発明の参考形態である無線通信用ICタグ11の断面図である。上記の実施形態では、第1のスペーサ2および補助アンテナ3に、第2のスペーサ4を底とする溝状の孔Sが設けられる構成について説明したが、第1のスペーサ2には、孔を設けず、補助アンテナ3のみに孔を設けるような構成であってもよい。
参考形態の製造方法としては、孔が設けられた補助アンテナ3に、孔が設けられていない第1のスペーサ2を貼り付けてもよいし、一旦、第1のスペーサ2および補助アンテナ3に孔を設けたのち、第1のスペーサ2の孔を埋めるようにしてもよい。
上記の実施形態では、補助アンテナ3において、溝状の孔を設けた実施形態について説明したが、切り欠きを設けたものであってもよい。図8は、補助アンテナの他の例を示す平面図である。図8(a)は、第5実施形態を示し、直線状の切り欠きSが形成された補助アンテナ3aを示す。図8(b)は、第6実施形態を示し、短辺方向に平行な直線状の切り欠きと、長辺方向に平行な溝状の孔とが中央部分で交差するとともに、直線状の切り欠きが、孔より外側に突出しないように設けられた補助アンテナ3bを示す。
さらに、本発明の他の実施形態を示す。図9は、本発明の第7実施形態である無線通信用ICタグ12の断面図である。図10は、本発明の第8実施形態である無線通信改善シート体13の断面図である。
第7実施形態では、被覆層6の、第2のスペーサ4を被覆した側の外表面にさらに第2の導体層14を設けたことを特徴としている。第2の導体層14を設けることで、無線通信用ICタグ12の設置位置(材料の種類も含む)の影響をさらに小さくすることができる。
第2の導体層14は、第1の導体層5や補助アンテナ3などと同じ導電材料で構成されていてもよく、異なる導電材料で構成されていてもよい。
第2の導体層14を構成する導電材料としては、金、白金、銀、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、タングステン、鉄などの金属であってもよく、樹脂に上記金属の粉末、導電性カーボンブラックの混入された樹脂混合物、あるいは導電性樹脂のフィルム等であってもよい。また、上記金属等を、箔状、板状、シート状、フィルム状等に加工されたものであってもよい。あるいは合成樹脂性フィルム上に、膜厚たとえば600Åの金属薄層が形成された構成を有してもよい。また、金属箔をフィルムまたはクロスなどの基材に転写したものでもよい。また、炭素系材料、酸化金属、あるいは金属粒子系の導電インク(たとえば抵抗率10Ω/□以下)であってもよい。
箔状、板状、シート状などであれば、被覆層6に貼り付けることで第2の導体層14を設けることができ、導電性の樹脂混合物や導電インクであれば、被覆層6に付着、塗布することで第2の導体層14を設けることができる。
第8実施形態は、上記の実施形態におけるシート体10を被覆層6で被覆したことを特徴とする無線通信改善シート体である。すなわち、無線ICタグ20をシート体10に配置せずシート体10のみを誘電材料からなる被覆層6で被覆したものである。
本実施形態の無線通信改善シート体13の場合、被覆層6の第1のスペーサ2側の外表面に無線ICタグ20を貼り付けることで、無線ICタグ20の通信改善を実現する。本実施形態の無線通信改善シート体13であれば、無線ICタグ20を交換する場合に、無線ICタグ20を貼りかえるだけでよいので、無線通信改善シート体13の汎用性を高めることができる。
本発明の無線通信用ICタグおよび無線通信改善シート体は、対象製品などに貼り付けるために、これらのうちの少なくとも1つの面が、粘着性または接着性を有することが好ましい。これにより、無線通信改善シート体の場合は無線ICタグの配置が容易になり、無線通信用ICタグの場合は、対象製品への貼り付けが容易になる。対象製品への取り付け方法はこの方法に限定されず、固定治具を用いる方法や磁石を使用する方法、はめ込む方法やテープ状のもので押さえつける方法でもよい。
本発明の無線通信用ICタグおよび無線通信改善シート体の外形形状は、アンテナとしての共振周波数を調整できれば任意である。特にガスボンベ等の曲面に貼り付ける場合を想定すると、曲面に応じて変形できる柔軟性の付与とともに例えば扇型の一部のような形状の様に、外形の辺の少なくとも一辺が曲率Rを有するものが有効である。詳細には、外形形状が、半径が異なり中心を同じとする2つの円弧と、所定の中心角を有する2つの半径線とで囲まれた扇型の一部、または円環の一部であることが好ましい。
たとえば、ガスボンベ等の金属あるいは導電性容器において、ボンベ等を密集状態にした場合に、無線通信用ICタグおよび無線通信改善シート体が貼り付けられるのは、より曲率Rが小さい肩部であることが多い。これは、ボンベが密集状態に配置されると、通信可能な上方空間に臨むのは、ボンベの頭頂部と肩部とになるが、頭頂部には取り外し可能なキャップが設けられるため、ボンベ本体管理用の無線ICタグを貼り付けるスペースはボンベの肩部となっている。肩部の貼り付け面は曲率の変化する曲面となり、無線ICタグに柔軟性がなければ貼り付けることはできなくなる。
そのような場合、曲面に貼り付けられ、なおかつボンベの高さ方向の通信距離を遠距離まで確保するためには、ボンベの高さ方向に指向性を有する無線通信用ICタグおよび無線通信改善シート体を構成する必要がある。
無線通信用ICタグおよび無線通信改善シート体を曲面に貼った状態で、無線通信改善シート体の電磁波が入出射する2つの辺が、それぞれボンベの高さ方向とは平行とならず、大きな角度を成すように向かい合わせることで、2つの辺から放射されて合成された電波がボンベの高さ方向に指向性を有することが可能となり、密集状態に配置されたボンベに貼り付けた場合であっても十分な通信距離を確保することができる。電波の入射および放射は、互いに同じルートを逆方向に進むため、このような指向性の改善が無線ICタグの通信特性の改善につながることになる。以上の様な通信特性の改善方法として、補助アンテナの形状を扇型の一部としている。なお扇型に限らず、2組の円弧の半径が異なる組み合わせでもよいし、円弧ではなく直線や曲線で凹凸を形成したり、曲線や不定形状線等で貼り付け対象となるものの曲面に適合する形状を形成することもできる。
本発明のさらに他の実施形態として、無線通信システムが挙げられる。無線通信システムとしては、図11に示すように例えば複数の金属製容器31にそれぞれ無線通信用ICタグ30を貼り付け、これらを一括してリーダ42を設置したアンテナゲート部41を通過させて、情報の読み取りや書き込みを行うようなRFID無線通信システム40を挙げることができる。また多数の金属製物品に無線通信用ICタグ30を貼り付け、それらを順次(一定間隔を開けながら)コンベア上を流し、それらを任意の場所に設置されたアンテナゲート部41にて、物流管理(入出庫管理)やトレーサビリティ管理などを行うRFID無線通信システムも構成できる。
以下では本発明の実施例について説明する。
第2実施形態のH型シート体に無線ICタグを貼り付け、被覆層を構成する誘電材料を変えて実施例1,2,3および比較例1の無線通信用ICタグを作製した。
実施例1,2,3および比較例1の共通の構成として、第1のスペーサおよび第2のスペーサは、それぞれ発泡ポリエチレンを用い、厚みをそれぞれ1mmおよび1.5mmとした。H型孔のスリット長さは、たて20mm、よこ45mmとした。スリット幅は5mmとした。無線通信用ICタグの外形寸法は、たて40mm、よこ70mmとした。
実施例1は、被覆層の誘電材料としてEVA樹脂を用い、厚みを0.4mmとした。実施例2は、実施例1と同じEVA樹脂を用い、厚みを0.8mmとした。また実施例3は、被覆層の誘電材料として熱可塑性ポリエステルエラストマーを用い、厚みを0.4mmとした。
比較例1は、被覆層の誘電材料としてウレタン樹脂を用い、厚みを0.4mmとした。
被覆層によるモールディングを行っていないものを参考例とした。
図12は、通信距離の測定方法を示す概略図である。
SUS板(210mm×300mm×0.5mm厚)上に実施例、比較例および参考例の無線通信用ICタグを設置し、所定の高さに設置したリーダアンテナによって、通信可能な距離から徐々にSUS板ごと距離を離し、読み取りができる最大距離を通信距離とした。
無線ICタグには、UPM RAFLATAC社製のRafsec UHF Webタグ(サイズ30mm×50mm)を用い、リーダアンテナには、オムロン株式会社製V750−HS01CA−JP(円偏波パッチアンテナ)を用い、リーダには、オムロン株式会社製V750−BA50C04−JP(送信出力22.5dBm、使用チャネル:1CH)を用いた。
測定した通信距離に基づいて、通信改善率を算出して評価した。通信改善率は、測定した通信距離/自由空間でのタグ読み取り通信距離(1300mm)×100(%)で算出した。結果を表1に示す。
比較例1は、被覆層に用いた誘電材料の誘電正接tanδが0.1よりも大きかったために損失が発生し、通信改善率は25%と低かった。参考例の通信改善率が64%であるので、被覆層を設けることで通信改善率が低下したことになる。
実施例1,2は、誘電正接tanδが0.05以下と小さいため、通信改善率が75%、96%と大きな値を示した。また、被覆層を設けていない参考例よりも改善率が高く、被覆層を設けることでさらに通信改善率が向上したことになる。実施例3は、被覆層の誘電材料の誘電正接tanδが0.1以下ではあるが、実施例1,2よりも高く、通信距離は510mmであり、通信改善率は39%であった。通信改善率は実施例1,2よりも劣るが、無線ICタグを金属面に貼ると全く読めなくなることと比較すると、4割程度の通信改善率で読めるというのは本発明の効果である。
上記の測定では、SUS板に無線通信用ICタグを設置したが、他の測定では直径300mmのペール缶の表面に沿って実施例1の無線通信用ICタグを湾曲させて貼り付け測定した。実施例1の無線通信用ICタグは、第1、第2のスペーサおよび被覆層を含め無線通信用ICタグ全体が可撓性を有しており、ペール缶表面に隙間なく貼り付けることができた。
測定結果は、通信距離が800mmで通信改善率が62%であった。このことから湾曲した状態でも十分に無線通信可能であることがわかった。
次に、第2の導体層14を設けた第7実施形態を基に、補助アンテナを図8(a)に示した直線状の切り欠きSが形成された補助アンテナ3aとし、第2の導体層の大きさを変えて実施例4,5の無線通信用ICタグを作製した。
実施例4,5の共通の構成として、第1のスペーサおよび第2のスペーサは、それぞれ発泡ポリエチレンを用い、厚みをそれぞれ1mmおよび3mmとした。切り欠きの長さは、27mmとし、切り欠き幅は6mmとした。無線通信用ICタグの外形寸法は、たて30mm、よこ105mmとした。被覆層の誘電材料としてPET樹脂を用い、厚みを0.5mmとした。なお、PET樹脂の誘電正接tanδは0.01であり、ε’は2.9である。
実施例4は、第2の導体層の大きさを無線通信用ICタグの外形寸法と同じ、たて30mm、よこ105mmとした。実施例4は、第2の導体層の大きさをたて30mm、よこ135mmとした。実施例4は、第2の導体層が、両横に15mmずつはみ出した状態となる。
測定方法は、上記と同じ方法を用いた。但し、無線ICタグは、オムロン株式会社製のWave Tagを用いた。無線通信用ICタグの設置対象をSUS板に加えて発泡スチロールの場合についても測定した。なお、自由空間でのタグ読み取り通信距離は2300mmとした。結果を表2に示す。
参考例は、設置対象を発泡スチロールにした場合に、通信距離が大きく低下した。
実施例4,5は、設置対象がSUS板の場合は、通信改善率が98%と非常に高く、設置対象が発泡スチロールであっても参考例を大きく上回った。実施例4と実施例5とを比較すると、実施例5のほうが通信改善率としては高いことがわかった。これは、第2の導体層を設けることで、これは被着対象製品の材質が変わっても、高い通信改善率を維持できることを示している。さらに、導体層5は共振層に比べより大きい方が、通信改善率がより高くなることを示している。
次に、無線ICタグの貼り付け位置のずれが、通信距離に与える影響について検討した。
第1実施形態のI型シート体に無線ICタグを貼り付けたものを実施例6とし、補助アンテナを図8(a)に示した直線状の切り欠きSが形成された補助アンテナ3aとしたものを実施例7とした。
実施例6,7について、無線ICタグの貼り付け位置を4mm、8mm、10mm、12mmに変化させ、共振周波数のシフトおよび通信距離を測定した。無線ICタグの貼り付け位置は、シート体の1つの長辺から無線ICタグに近い方の長辺までの距離で示す。
実施例6,7の共通の構成として、第1のスペーサはPET樹脂を用い、第2のスペーサは発泡ポリエチレンを用い、厚みをそれぞれ0.1mmおよび3mmとし、無線通信用ICタグの外形寸法を、たて30mm、よこ110mmとし、被覆層の誘電材料として塩化ビニル樹脂を用い、厚みを0.35mmとした。なお、塩化ビニル樹脂の誘電正接tanδは0.01であり、ε’は3.5である。
実施例5の孔の長さを25mmとし、幅を28mmとした。実施例7の切り欠きの長さを18mmとし、幅を40mmとした。
共振周波数のシフトは、起動電力の周波数特性によって評価することができる。起動電力の周波数特性は、株式会社ペリテック製のRFIDテスターにより測定した。図13は、実施例6の起動電力の周波数特性を示すグラフであり、図14は、実施例7の起動電力の周波数特性を示すグラフである。横軸は、周波数(MHz)を示し、縦軸は、起動電力(dBm)を示す。プロットAは、貼り付け位置が4mmの場合を示し、プロットBは、貼り付け位置が8mmの場合を示し、プロットCは、貼り付け位置が10mmの場合示し、プロットDは、貼り付け位置が12mmの場合を示す。
通信距離測定方法は、上記と同じ方法を用いた。但し、無線ICタグは、UPM RAFLATAC社製のショートダイポールを用いた。なお、自由空間でのタグ読み取り通信距離は2300mmであった。
実施例6,7について、貼り付け位置を変えたときの共振周波数と通信距離および通信改善率とを表3に示す。
実施例7に比べて、実施例6の方が、無線ICタグの貼り付け位置をずらした場合の共振周波数のシフト量が小さく、通信距離の変化も小さい。製品の通信性能の安定性を考慮すると、実施例6のように不連続領域の形状を直線状とした方が、実施例7の切り欠き形状よりも好ましいことがわかった。
実施例8は、シート体の外形形状を扇型の一部としたものである。図15は、実施例8の通信改善シート体10の外形形状を示す平面図である。
図15に示すように、実施例8の外形形状は、半径がそれぞれ85mm、115mmで中心を同じとする2つの円弧と、中心角60度の2つの半径線とで囲まれた扇型の一部である。
実施例8の構成として、第1のスペーサはPET樹脂を用い、第2のスペーサは発泡ポリエチレンを用い、厚みをそれぞれ0.1mmおよび2mmとし、被覆層の誘電材料として塩化ビニル樹脂を用い、厚みを0.35mmとした。なお、塩化ビニル樹脂の誘電正接tanδは0.01であり、ε’は3.5である。実施例8の無線ICタグは、UPM RAFLATAC社製のショートダイポールを用いた。
通信距離の測定は、ガスボンベ(容積3.4L)の肩部に実施例8の無線通信用ICタグを貼り付けた条件で行った。図16は、ガスボンベの肩部に実施例8の無線通信用ICタグを貼り付けた状態を示す図である。
実施例8に関しては、無線ICタグのリーダは、実施例1〜7とは異なるマイティカード製MRW570−RF(送信出力27dBm)を用いた。なお、本リーダを用いたときの自由空間での無線ICタグ読み取り通信距離は1300mmであった。
図16に示されるように、実施例8は、扇型の一部の形状であるため、ガスボンベの肩部に貼り付けた状態であっても、シワが発生せずきれいに貼り付けることが可能である。また、通信距離は1300mm(通信改善率100%)であり、ガスボンベをRFIDシステムで管理する上では十分な通信距離を得ることができた。
さらに、実施例9として、無線ICタグの一部を切り出して小型化した無線ICチップ構成体を用いた例を示す。用いた無線ICタグは、UPM RAFLATAC社製のベルトであり、このタグの無線ICチップを含むループ部分のみ(10mm×16mm)を切り出して用いた。
図17は、実施例9の無線通信用ICタグの構成を示す概略図である。
実施例9では、補助アンテナを図8(a)に示した直線状の切り欠きSが形成された補助アンテナ3aとした。第1のスペーサはPET樹脂を用い、第2のスペーサは軟質ポリエチレンを用い、厚みをそれぞれ0.1mmおよび2mmとし、無線通信用ICタグの外形寸法を、たて20mm、よこ110mmとし、被覆層の誘電材料としてポリプロピレン樹脂を用い、厚みを0.2mmとした。なお、ポリプロピレン樹脂の誘電正接tanδは0.01であり、ε’は2.2である。実施9の切り欠きの長さを15mmとし、幅を16mmとした。無線ICチップ構成体の貼り付け位置は2mmとした。
通信距離の測定は、実施例1〜5と同じ方法で行った。なお、自由空間での無線ICタグ読み取り通信距離は1500mmであり、ループ部分のみを切り出した無線ICチップ構成体の自由空間での読み取り通信距離は、ほぼ0であった。
実施例9の通信距離は、750mmであり、無線ICチップ構成体であっても、通信改善率として50%を得ることができた。
このように無線ICタグの一部を切り出した無線ICチップ構成体であっても、シート体に配置することで無線通信が可能となり、無線通信用ICタグをさらに小型化することできる。
1,11,12 無線通信用ICタグ
2 第1のスペーサ
3 補助アンテナ
4 第2のスペーサ
5 第1導体層
10 シート体
20 無線ICタグ
40 無線通信用システム

Claims (13)

  1. 無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体と、
    前記無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体を結線することなく配置する配置面を有し、不連続領域が設けられた第1のスペーサと、
    前記第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に設けられ、前記構成体と電磁的に結合するための不連続領域が設けられた補助アンテナであって、前記構成体と組み合わせたときに全体として前記構成体の無線通信周波数に共振し、無線通信を行うことが可能な補助アンテナと、
    補助アンテナを挟んで第1のスペーサとは反対側に設けられる第2のスペーサと、が積層され、
    第1のスペーサおよび補助アンテナに設けられた前記不連続領域は、第1のスペーサおよび補助アンテナを積層方向に貫通し、第2のスペーサが底を形成するように構成され、
    積層された無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体、第1のスペーサ、補助アンテナおよび第2のスペーサを、誘電正接tanδが0.1以下である誘電材料で被覆する被覆層を設けたことを特徴とする無線通信用ICタグ。
  2. 前記誘電材料の誘電正接tanδが0.05以下であることを特徴とする請求項1記載の無線通信用ICタグ。
  3. 前記第2のスペーサの補助アンテナとは反対側に第1導体層を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の無線通信用ICタグ。
  4. 前記被覆層の、前記第2のスペーサを被覆した側の外表面に第2の導体層を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の無線通信用ICタグ。
  5. 前記被覆層の少なくともいずれか1つの面は、粘着性または接着性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の無線通信用ICタグ。
  6. 無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体を結線することなく配置することで無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体の無線通信特性を改善する無線通信改善シート体であって、
    前記無線ICタグまたは無線ICタグのICチップを含む構成体を配置する配置面を有し、不連続領域が設けられた第1のスペーサと、
    前記第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に設けられ、前記構成体と電磁的に結合するための不連続領域が設けられた補助アンテナであって、前記構成体と組み合わせたときに全体として前記構成体の無線通信周波数に共振し、無線通信を行うことが可能な補助アンテナと、
    補助アンテナを挟んで第1のスペーサとは反対側に設けられる第2のスペーサと、が積層され、
    第1のスペーサおよび補助アンテナに設けられた前記不連続領域は、第1のスペーサおよび補助アンテナを積層方向に貫通し、第2のスペーサが底を形成するように構成され、
    積層された第1のスペーサ、補助アンテナおよび第2のスペーサを、誘電正接tanδが0.1以下である誘電材料で被覆する被覆層を設けたことを特徴とする無線通信改善シート体。
  7. 前記誘電材料の誘電正接tanδが0.05以下であることを特徴とする請求項6記載の無線通信改善シート体。
  8. 前記補助アンテナに設けられた不連続領域の形状の少なくとも一辺が直線状であることを特徴とする請求項6または7記載の無線通信改善シート体。
  9. 前記補助アンテナの外形形状が、半径が異なり中心を同じとする2つの円弧と、所定の中心角を有する2つの半径線とで囲まれた形状であることを特徴とする請求項6または7記載の無線通信改善シート体。
  10. 前記第2のスペーサの補助アンテナとは反対側に第1導体層を設けたことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
  11. 前記被覆層の、前記第2のスペーサを被覆した側の外表面に第2の導体層を設けたことを特徴とする請求項6〜10のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
  12. 前記被覆層の少なくともいずれか1つの面は、粘着性または接着性を有することを特徴とする請求項6〜11のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
  13. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の無線通信用ICタグ、または請求項6〜12のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体の配置面に無線ICタグを配置した無線通信用ICタグを用いることを特徴とする無線通信システム。
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