以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
(1−1)第1の実施の形態によるストレージシステムの構成
図1において、1は全体として本実施の形態によるストレージシステムを示す。このストレージシステムは、管理計算機2と、第1及び第2の業務計算機3,4と、第1及び第2のストレージ装置5,6とがLAN(Local Area Network)等からなる管理ネットワーク7を介して接続されると共に、第1及び第2の業務計算機3,4と、第1及び第2のストレージ装置5,6とがSAN(Storage Area Network)等からなるデータ通信ネットワーク8を介して接続されることにより構成されている。なお、図1においては、説明のため業務計算機及びストレージ装置をそれぞれ2台としているが、これら業務計算機及びストレージ装置の台数は2台以外であっても良い。
管理計算機2は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10、メモリ11及びハードディスク装置12等の情報処理資源を備えたコンピュータ装置であり、例えばパーソナルコンピュータやワークステーション、メインフレームなどから構成される。管理計算機2は、キーボード、スイッチやポインティングデバイス、マイクロホン等の情報入力装置(図示せず)と、モニタディスプレイ及びスピーカ等の情報出力装置(図示せず)とを備えている。また、管理計算機2には、管理用ネットワーク7(図1)を介して第1及び第2の業務計算機3,4並びに第1及び第2のストレージ装置5,6にアクセスするための管理用インタフェース13が設けられている。管理用ネットワーク7がLANの場合、管理用インタフェース13としてLANカードが適用される。
管理計算機2のメモリ11には、テイクオーバプログラム14、管理プログラム15及びストレージ管理情報16が格納されている。テイクオーバプログラム14は、第1及び第2の業務計算機3,4がデータの読み書きに利用している一方の第1又は第2のストレージ装置5,6(以下、第1のストレージ装置5であるものとする)内のボリュームに障害が発生し、かつ当該ボリュームの複製が他方の第2のストレージ装置6内に存在するときに、ストレージ装置5,6からの通知を受け、第1及び第2の業務計算機3,4にテイクオーバ連携プログラム25(図3)の起動を要求するプログラムである。
なお、以下においては、『テイクオーバ』という用語は、第1及び第2の業務計算機3,4がデータの読み書きに利用している第1のストレージ装置5内のボリュームに障害が発生したときに、第1及び第2の業務計算機3,4のアクセス先を第2のストレージ装置6内に存在する当該ボリュームの複製に移行するという意味で用いるものとする。
また管理プログラム15は、管理計算機2が管理用ネットワーク7を介して第1及び第2の業務計算機3,4と、第1及び第2のストレージ装置5,6とを管理するプログラムである。管理計算機2は、この管理プログラム15に基づいて、第1及び第2の業務計算機3,4については障害を監視し、第1及び第2のストレージ装置5,6についてはボリュームの作成や、リモートコピーのコピーペアの設定などの処理を行う。
ストレージ管理情報16は、管理プログラム15が管理する第1及び第2のストレージ装置5,6内のボリュームに関する各種情報や、第1及び第2のストレージ装置5,6間のリモートコピーに関する各種情報などから構成される。
第1及び第2の業務計算機3,4は、図3に示すように、CPU20、メモリ21及びハードディスク装置22等の情報処理資源を備えたコンピュータ装置であり、例えばパーソナルコンピュータやワークステーション、メインフレームなどから構成される。第1及び第2の業務計算機3,4には、管理用ネットワーク7を介して管理計算機2や第1及び第2のストレージ装置5,6などにアクセスするための管理用インタフェース23と、データ通信ネットワーク8を介して第1及び第2のストレージ装置5,6にアクセスするためのデータ通信用インタフェース24とが設けられている。データ通信用ネットワーク8がSANの場合、データ通信用インタフェース24としてHBA(Host bus Adapter)が適用される。
第1及び第2の業務計算機3,4のメモリ21には、テイクオーバ連携プログラム25と、データベースプログラムなどの業務プログラム26とが格納される。テイクオーバ連携プログラム25は、上述のように管理計算機2からテイクオーバ処理を実行すべき旨の通知が与えられたときに、第1のストレージ装置5内のボリュームから、第2のストレージ装置6内の指定されたボリュームを利用するように第1又は第2の業務計算機3,4の設定を変更するためのプログラムである。なお、第1及び第2の業務計算機3,4の業務プログラム25の内容は異なっていても良い。
第1及び第2のストレージ装置5,6は、図4に示すように、複数の物理記憶デバイス30と、コントロール部31とから構成される。物理記憶デバイス30としては、例えばFC(Fibre channel)ディスク等の高価なディスク又はSATA(Serial AT Attachment)ディスクや光ディスク等の安価なディスクが適用される。これら物理記憶ディスク30はコントロール部31によりRAID方式で運用される。1又は複数の物理記憶ディスク30により提供される物理的な記憶領域上に、1又は複数のボリューム32が設定される。そしてデータは、これらボリューム32内に所定大きさのブロック(以下、これを論理ブロックと呼ぶ)単位で記憶される。
コントロール部31は、CPU33、メモリ34、キャッシュメモリ35、管理用インタフェース36及びデータ通信インタフェース37を備えて構成される。CPU33は、第1又は第2のストレージ装置5,6全体の動作制御を司るプロセッサであり、メモリ34に格納された各種プログラムを実行することにより、後述のような各種処理を実行する。キャッシュメモリ35は、ボリューム32に読み書きするデータを一時的に記憶するために用いられる。
メモリ34には、装置管理プログラム40、ボリューム管理プログラム41、障害検出プログラム42、コピー制御プログラム43、キャッシュ論理パーティション管理プログラム44及びストレージ論理パーティション管理プログラム45が格納される。
装置管理プログラム40は、管理計算機2の管理プログラム15(図2)からの指示を受けて、対応するプログラムの呼び出し等の処理を行うプログラムであり、ボリューム管理プログラム41は、自ストレージ装置内のボリューム32を管理するためのプログラムである。
また障害検出プログラム42は、自ストレージ装置内のボリューム32を監視し、障害を検出したときに装置管理プログラム40に通知するプログラムである。この通知を受けた装置管理プログラム40は、このとき障害検出プログラム42により検出された障害の内容を管理計算機2の管理プログラム15に通知する。
コピー制御プログラム43は、リモートコピーに関する各種制御を行うためのプログラムであり、キャッシュ論理パーティション管理プログラム44は、後述のキャッシュ管理テーブル51(図6参照)を設定し、自ストレージ装置内のキャッシュメモリ35を論理的に分割する制御を行うためのプログラムである。以下、キャッシュメモリ35の論理的な分割領域を仮想キャッシュメモリと呼ぶ。各仮想キャッシュメモリは、キャッシュ管理テーブル51において対応付けられた特定のボリューム32に対してのみ使用され、他のボリューム32に対しては使用されない。なお、仮想キャッシュメモリの容量は動的に変更可能である。
ストレージ論理パーティション管理プログラム45は、後述する仮想ストレージ装置管理テーブル52(図7参照)を設定し、自ストレージ装置内のボリューム32やキャッシュメモリ35といったリソースを複数の論理パーティションに分割する制御を行なう。以下、このように論理分割されたストレージのリソースのグループを仮想ストレージ装置と呼ぶ。
一方、メモリ34には自ストレージ装置の構成に関する情報を格納するための構成情報記憶領域46が設けられており、この構成情報記憶領域46内に図5〜図9に示すボリューム管理テーブル50、キャッシュ管理テーブル51、仮想ストレージ装置管理テーブル52、コピーペア情報テーブル53及びリソース割当管理テーブル54が格納されている。
ボリューム管理テーブル50は、ボリューム管理プログラム41が自ストレージ装置内に存在するボリューム32を管理するために使用するテーブルであり、図5に示すように、ボリュームID欄50A、容量欄50B、属性欄50C、ディスクタイプ欄50D及びアクセス計算機ID欄50Eから構成される。
そしてボリュームID欄50Aには、自ストレージ装置内に存在する各ボリューム32のLUN(Logical Unit Number)等の識別子(以下、これをボリュームIDと呼ぶ)がそれぞれ格納され、容量欄50Bには、対応するボリューム32の容量が格納される。また属性欄50Cには、そのボリューム32の属性(「Normal」又は「Pool」など)が格納される。なお「Normal」は、そのボリューム32が第1及び又は第2の業務計算機3,4によりデータが読み書きされるボリュームであることを意味し、「Pool」は、そのボリューム32が非同期リモートコピーの更新差分データを一時的保存するために使用するボリュームであることを意味する。
さらにディスクタイプ欄に50Dは、ボリューム32が定義された記憶領域を提供する物理記憶デバイス30の属性(「FC」又は「SATA」など)が格納され、アクセス計算機ID欄50Eには、そのボリューム32にデータの読み書きが可能な第1及び又は第2の業務計算機3,4の識別子(以下、これを業務計算機IDと呼ぶ)が格納される。
一方、キャッシュ管理テーブル51は、自ストレージ装置上に設定された各仮想ストレージ装置にそれぞれ割り当てた仮想キャッシュメモリをキャッシュ論理パーティションプログラム44が管理するために使用するテーブルである。なお、仮想キャッシュメモリの容量は動的に変更可能である。このキャッシュ管理テーブル51は、図6に示すように、仮想キャッシュメモリID欄51A、キャッシュメモリ占有率欄51B及び割当ボリュームID欄51Cから構成される。
そして仮想キャッシュメモリID欄51Aには、自ストレージ装置内に存在する各仮想キャッシュメモリに付与した識別子(以下、これを仮想キャッシュメモリIDと呼ぶ)が格納され、キャッシュメモリ占有率欄51Bには、自ストレージ装置内のキャッシュメモリ35の容量に対するその仮想キャッシュメモリの占有率が格納される。
また割当ボリュームID欄51Cには、その仮想キャッシュメモリに対応付けられた(その仮想キャッシュメモリを使用する)ボリューム32のボリュームIDが格納される。なおキャッシュメモリ占有率欄51Bに、キャッシュメモリ35中で各仮想キャッシュメモリが割り当てられている記憶領域の開始位置及び終了位置などを格納するようにしても良い。
仮想ストレージ装置管理テーブル52は、ストレージ論理パーティションプログラム45が自ストレージ装置上に設定された各仮想ストレージ装置を管理するために使用するテーブルであり、図7に示すように、仮想ストレージ装置ID欄52A、管理者ID欄52B、仮想キャッシュメモリID欄52C及びボリュームID欄52Dから構成される。
そして仮想ストレージ装置ID欄52Aには、自ストレージ装置上に設定された各仮想ストレージ装置にそれぞれ付与された識別子(以下、これを仮想ストレージ装置IDと呼ぶ)が格納され、管理者ID欄52Bには、自ストレージ装置の管理者とは別に設定されたその仮想ストレージ装置の管理者の識別子(以下、これを管理者IDと呼ぶ)が格納される。
また仮想キャッシュメモリID欄52Cには、その仮想ストレージ装置に割り当てられた仮想キャッシュメモリの仮想キャッシュメモリIDが格納され、ボリュームID欄52Dには、その仮想ストレージ装置内に存在する全ボリュームのボリュームIDが格納される。
なお、仮想ストレージ装置管理テーブル52には、CPU33(図4)の使用に対する占有率などを含めても良い。例えばCPU33が複数ある構成を仮定した場合、仮想ストレージ装置ごとにCPU33を割り当てることで他から影響を受けない処理を提供することができる。
コピーペア情報テーブル53は、コピー制御プログラム43がリモートコピーを制御するために使用するテーブルであり、図8に示すように、コピー元ボリュームID欄53A、コピー先ボリュームID欄53B、ペア状態欄53C、相手ストレージ装置ID欄53D及びコピーグループID欄53Eから構成される。
そしてコピー元ボリュームID欄53Aには、自ストレージ装置内に存在するボリューム32のうち、いずれかのコピーペアのコピー元ボリュームとなっているボリューム32のボリュームIDが格納され、コピー先ボリュームID欄53Bには、そのコピーペアにおけるコピー先ボリュームのボリュームIDが格納される。
またペア状態欄53Cには、そのコピーペアのペア状態が格納される。この場合、ペア状態としては、コピー元ボリュームからコピー先ボリュームへのデータコピーが完了してコピー元ボリューム及びコピー先ボリュームがミラーとなっている状態を指す「pair」と、コピー元ボリュームからコピー先ボリュームへのデータコピーが途中である状態を指す「copy」と、コピー元ボリュームからコピー先ボリュームへのデータコピーが行われず、コピー先ボリュームにコピー元ボリュームのある時点でのスナップショットが作成されている状態を指す「suspend」とが存在する。
さらに相手ストレージ装置ID欄53Dには、そのコピーペアを形成するコピー元ボリューム及びコピー先ボリュームのうち、自ストレージ装置以外に設定されたコピー元ボリューム又はコピー先ボリュームが存在するコピー元ストレージ装置又はコピー先ストレージ装置(第2又は第1のストレージ装置6,5)のストレージ装置IDが格納される。
さらに本実施の形態においては、1又は複数のコピーペアを業務単位で1つのグループ(以下、これをコピーグループと呼ぶ)としてまとめ、そのコピーペアグループごとにそれぞれ固有のID(以下、これをコピーグループIDと呼ぶ)を付与している。そしてコピーグループID欄53Eには、対応するコピーペアが属するコピーグループのコピーグループIDが格納される。
リソース割当管理テーブル54は、後述のようにコピー先ストレージ装置においてコピー先ボリュームについて使用する仮想キャッシュメモリの容量を規定するためのテーブルであり、図9に示すように、通常運用状態時占有率欄54A及びテイクオーバ時占有率欄54Bから構成される。
そして通常運用状態時占有率欄54Aには、通常運用状態時にコピー先ストレージ装置においてコピー先ボリュームについて設定された仮想キャッシュメモリのキャッシュメモリ35全体に対する占有率(以下、これを通常運用状態時占有率と呼ぶ)が格納され、テイクオーバ時占有率欄54Bには、テイクオーバ時にコピー先ストレージ装置においてコピー先ボリュームについて設定された仮想キャッシュメモリのキャッシュメモリ35全体に対する占有率(以下、これをテイクオーバ時占有率と呼ぶ)が格納される。
なお、かかる通常運用状態時占有率及びテイクオーバ時占有率の値は、管理計算機2の管理プログラム15(図2)によって変更可能とし、ユーザが管理プログラム15を用いて設定できるようにしても、また第1及び第2のストレージ装置5,6や管理計算機2の管理プログラム15が第1及び第2の業務計算機3,4のデータの読み書きに関する統計情報などから自動的に設定するようにしても良い。また本実施の形態においては、通常運用時及びテイクオーバ時における仮想キャッシュメモリの容量を割合(キャッシュメモリ全体に対する占有率)で指定するようにしているが、コピー元ストレージ装置がコピー先ストレージ装置のキャッシュメモリ35のサイズを知っている場合などは、具体的な数値で指定できるようにしても良い。
(1−2)本実施の形態におけるコピーペア設定処理の流れ
次に本ストレージシステム1におけるコピーペア設定処理の流れについて説明する。なお、以下においては、第1及び第2のストレージ装置5,6間にはリモートコピーを行う関係が管理計算機2の管理プログラム15により定義されており、第1のストレージ装置5は図5、図6及び図7に例示した状態に設定されているものとする。このときの第1のストレージ装置5と、第1及び第2の業務計算機3,4と間の概念的な接続関係を図10に示す。
この図10において、第1のストレージ装置5内には、それぞれ「VST1-1」及び「VST1-2」という仮想ストレージ装置IDが付与された仮想ストレージ装置60,61が設定され、「BCP1」という業務計算機IDが付与された第1の業務計算機3が仮想ストレージ装置60と対応付けられ、「BCP2」という業務計算機IDが付与された第2の業務計算機4が仮想ストレージ装置61と対応付けられている。
また「VST1-1」という仮想ストレージ装置60には、それぞれ「VCM1-1」及び「VCM1-2」という仮想キャッシュメモリIDが付与された仮想キャッシュメモリ62,63が割り当てられ、「VCM1-1」という仮想キャッシュメモリ62には、それぞれ「VOL1-1」、「VOL1-2」及び「VOL1-3」というボリュームIDが付与された3つのボリューム32が対応付けられ、「VCM1-2」という仮想キャッシュメモリ63には、「VOL1-4」というボリュームIDが付与された1つのボリューム32が対応付けられている。
さらに「VST1-2」という仮想ストレージ装置61には、「VCM1-3」という仮想キャッシュメモリIDが付与された仮想キャッシュメモリ64が割り当てられ、その仮想キャッシュメモリ64には、「VOL1-5」というボリュームIDが付与されたボリューム32が対応付けられている。ここで、「VOL1-1」というボリューム32及び「VOL1-2」というボリューム32は同一業務で使用されているボリュームであるものとする。
なお、以下の説明においては、第1及び第2のストレージ装置5,6を区別するため、適宜、第1のストレージ装置5の構成部位には対応符号に添え字「A」を付し、第2のストレージ装置6の構成部位には対応符号に添え字「B」を付すものとする。例えば第1のストレージ装置5内のボリューム32は「ボリューム32A」、第2のストレージ装置6内のボリューム32は「ボリューム32B」と表記する。
図11は、図10において、第1のストレージ装置5をコピー元ストレージ装置とし、第2のストレージ装置6をコピー先ストレージ装置として、第1のストレージ装置5内の「VOL1-1」及び「VOL1-2」という2つのボリューム32Aをそれぞれ第2のストレージ装置6内の「VOL2-1」及び「VOL2-2」というボリュームIDがそれぞれ付与された各ボリューム32Bとコピーペアに設定するコピーペア設定処理の流れを示している。なお、以下においては、「プログラム」を各種処理の処理主体として説明するが、実際上は、そのプログラムに従って管理計算機のCPU10や第1又は第2のストレージ装置5,6のCPU33A,33Bがその処理を実行することは言うまでもない。
この場合、ユーザは、管理計算機2の管理プログラム15を起動させて、所定のコピーペア設定画面(図示せず)を管理計算機2に表示させる(SP1)。そしてユーザは、このコピーペア設定画面を用いて、第1のストレージ装置5内の「VOL1-1」というボリューム32Aをコピー元、第2のストレージ装置6内の「VOL2-1」というボリューム32Bをコピー先とするコピーペアと、第1のストレージ装置5内の「VOL1-2」というボリューム32Aをコピー元、第2のストレージ装置6内の「VOL2-2」というボリューム32Bをコピー先とするコピーペアとを定義する。またユーザは、これら2つのコピーペアに同一のコピーグループIDを設定する。なお後述する説明のためにコピーペアを2つ設定しているのであって、単一のコピーペアまたは3つ以上のコピーペアであってもよい。
この際、管理計算機2の管理プログラム15は、コピー元ボリュームである第1のストレージ装置5内の「VOL1-1」及び「VOL1-2」というボリューム32Aが属する仮想ストレージ装置の構成情報(仮想キャッシュメモリの容量や管理者などの情報であり、以下、これを仮想ストレージ装置環境と呼ぶ)をコピー先である第2のストレージ装置6でも使用するか否かをユーザに問い合わせる(SP2)。具体的には、対応する仮想ストレージ装置環境の情報をコピー先ストレージ装置へ通知するのみ(選択肢1)、対応する仮想ストレージ装置環境の情報をコピー先ストレージ装置に通知し、当該コピー先ストレージ装置で同じ仮想ストレージ装置環境の仮想ストレージ装置を構築する(選択肢2)、対応する仮想ストレージ装置環境の情報を通知しない(選択肢3)のうちのいずれを希望するかを問い合わせる。
このときの問い合わせ方法としては、例えば図12に示すような問い合わせウインド70を管理計算機2に表示させ、この問い合わせウインド70内のプルダウンメニューボタン71をクリックすることにより表示されるプルダウンメニュー72の中からかかる3つの選択肢のうちの所望の選択肢を選択できるようにしても良く、またユーザがCUI(Character User Interface)を用いて指定できる形にしてもよい。
なお、このような問い合わせは、コピーペアの設定時のほか、第1及び第2のストレージ装置5,6間でリモートコピーの関係を構築するときに行っても良い。また上述のように問い合わせる3つの選択肢の中から、仮想ストレージ装置環境の情報をコピー先ストレージ装置へ通知のみするという選択肢(選択肢1)をユーザが選択した場合には、コピーペアが「pair」の状態にある任意のタイミングで、ユーザが管理計算機2の管理プログラム15を用いて、コピー先である第2のストレージ装置6内にかかる仮想ストレージ装置環境の仮想ストレージ装置を設定できるようにしても良い。
かかる問い合わせに対してユーザが選択肢3を選択(SP2;NO)した場合、管理プログラム15は、コピーペア設定画面を用いてユーザが指定したコピーペアの設定を第1及び第2のストレージ装置5,6に指示し(SP3)、当該指示に基づき、コピー元のストレージ装置とコピー先のストレージ装置の間でボリュームの初期コピーを行い、このコピーペア設定処理を終了する。
これに対して管理プログラム15は、かかる問い合わせに対してユーザが選択肢1又は選択肢2を選択(SP2;YES)した場合には、ステップSP1において表示したコピーペア設定画面を用いてユーザがそのとき定義したコピーペアの定義情報に基づいて、図13に示すコピーペア設定情報テーブル80を作成する。
このコピーペア設定情報テーブル80は、コピー元ボリュームID欄80A、コピー先ボリュームID欄80B、相手ストレージ装置ID欄80C、コピーグループID欄80D及び仮想ストレージ装置環境フラグ欄80Eから構成される。
そしてコピー元ボリュームID欄80A、コピー先ボリュームID欄80B、相手ストレージ装置ID欄80C及びコピーグループID欄80Dには、そのときユーザが設定したコピー元ボリュームのボリュームID、コピー先ボリュームのボリュームID、コピー先ストレージ装置(第2のストレージ装置6)のストレージ装置ID及びそのとき設定しようとするコピーペアが属するコピーグループに付与されたコピーグループIDがそれぞれ格納される。
また仮想ストレージ装置環境フラグ欄80Eには、かかる問い合わせに対してユーザが選択した選択肢の番号(選択肢1の場合には「1」、選択肢2の場合には「2」)がそれぞれ格納される。なお、コピーペア設定指示テーブル80には、この他、コピーペアの設定に用いるために同期又は非同期といったコピータイプに関する情報を含めるようにしても良い。
そして管理計算機2の管理プログラム15は、コピー元ボリュームID欄80Aに「VOL1-1」及び「VOL1-2」、コピー先ボリュームID欄80Cに「VOL2-1」及び「VOL2-2」、相手ストレージ装置ID欄80Cに第2のストレージ装置6のストレージ装置ID(「ST2」)、コピーグループID欄80Dに各コピーペアにそれぞれ付与したコピーペアID(「CG1」)、仮想ストレージ装置環境フラグ欄80Eにユーザが選択した選択肢に応じた仮想ストレージ装置環境フラグが格納された作成した図13に示すようなコピーペア設定指示テーブル80を作成すると、これをコピー元ストレージ装置である第1のストレージ装置5に送信し、この後この一連の処理を終了する。
一方、かかるコピーペア設定指示テーブル80を受信した第1のストレージ装置5の装置管理プログラム40Aは、このコピーペア設定指示テーブル80に従ったコピーペアの設定をコピー制御プログラム43A(図4)に指示する。そしてこの指示を受けたコピー制御プログラム43Aは、かかるコピーペア設定指示テーブル80を参照して、必要な情報を図8について上述したコピーペア情報テーブル53に登録することにより、当該コピーペアを設定する(SP5)。
続いて装置管理プログラム40Aは、メモリ34A(図4)の構成情報記憶領域46A(図4)に格納されている図5〜図9について上述したボリューム管理テーブル50、キャッシュ管理テーブル51、仮想ストレージ装置管理テーブル52、コピーペア情報テーブル53及びリソース割当管理テーブル54を読み込む(SP6)。
この後、装置管理プログラム40Aは、ステップSP6において得られた各テーブルの情報に基づいて、図14に示すような仮想ストレージ装置属性テーブル81及び図15に示すような仮想ストレージ装置構成テーブル82を作成する。
このうち仮想ストレージ装置属性テーブル81は、コピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置の仮想ストレージ装置ID及び管理者をコピー元ストレージ装置からコピー先ストレージ装置に通知するためのテーブルであり、仮想ストレージ装置ID欄81A及び管理者ID欄81Bから構成される。
そして仮想ストレージ装置ID欄81Aには、コピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置の仮想ストレージ装置IDが格納され、管理者ID欄81Bには、その仮想ストレージ装置について設定された管理者の管理者IDが格納される。ここでは、仮想ストレージ装置ID欄81に、図10に示す仮想ストレージ装置60の仮想ストレージ装置IDである「VST1-1」が格納され、管理者ID欄81Bに、仮想ストレージ装置60の管理者の管理者IDである「AAA」が格納された仮想ストレージ装置属性テーブル81が作成される。
また仮想ストレージ装置構成テーブル82は、コピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置の仮想ストレージ装置環境をコピー元ストレージ装置からコピー先ストレージ装置に通知するためのテーブルであり、仮想キャッシュメモリID欄82A、キャッシュ占有率欄82B、ボリュームID欄82C、コピーグループID欄82D、容量欄82E、属性欄82F、ディスクタイプ欄82G及びアクセス計算機ID欄82Hから構成される。
そして仮想キャッシュメモリID欄82Aには、コピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置内に作成された全仮想キャッシュメモリの仮想キャッシュメモリIDが格納される。またキャッシュ占有率欄82Bは、通常運用状態時欄82BX及びテイクオーバ時欄82BYに分けられており、通常運用状態時欄82BXに、対応するキャッシュメモリ35に対する上述の通常運用状態時の占有率が格納され、テイクオーバ時欄82BYに、そのキャッシュメモリ35に対する上述のテイクオーバ時の占有率が格納される。
さらにボリュームID欄82C、容量欄82E、属性欄82F、ディスクタイプ欄82G及びアクセス計算機ID欄82Hには、ボリューム管理テーブル50(図5)における対応する欄の情報が格納され、コピーグループID欄82Dには、コピーペア情報テーブル53(図8)におけるコピーグループID欄53Eの情報が格納される。従って、図10の例では、図15に示すような仮想ストレージ装置構成テーブル82が作成されることになる。
そして装置管理プログラム40Aは、かかる仮想ストレージ装置属性テーブル81及び仮想ストレージ装置構成テーブル82を作成すると、これら2つのテーブルと、管理計算機2から送信されたコピーペア設定指示テーブル80とをコピー先ストレージ装置である第2のストレージ装置6に送信する(SP7)。
この後、装置管理プログラム40Aは、コピー制御プログラム43A(図4)に対して、対応するコピー元ボリュームからコピー先ボリュームへの初期コピーの実行を指示する。かくしてコピー制御プログラム43Aは、第2のストレージ装置6内のコピー制御プログラム43Bと共同して、コピーペア設定指示テーブル80(図13)に格納した仮想ストレージ装置環境フラグが「2」のときには、仮想ストレージ装置構成テーブル82に登録したすべてのコピー元ボリューム(「VOL1-1」、「VOL1-2」、「VOL1-3」及び「VOL1-4」)についての初期コピーを実行し、かかる仮想ストレージ装置環境フラグが「1」のときには、コピーペア設定指示テーブル80において指定したコピー元ボリューム(「VOL1-1」及び「VOL1-2」)のみについての初期コピーを実行する(SP8)。そしてコピー元装置管理プログラム40Aは、この後この一連の処理を終了する。
他方、上述の仮想ストレージ装置属性テーブル81(図14)及び仮想ストレージ装置構成テーブル82(図15)を受信した第2のストレージ装置6の装置管理プログラム40Bは、これら受信した仮想ストレージ装置属性テーブル81及び仮想ストレージ装置構成テーブル82をメモリ34B(図4)内の構成情報記憶領域35B(図4)に保存する(SP9)。
この際、かかる装置管理プログラム40Bが、仮想ストレージ装置構成テーブル82(図15)とボリューム管理テーブル50(図5)とを参照して、例えばコピー元のディスクタイプがSATAディスクで、コピー先のディスクタイプがFCディスクなどのコピー元の方がコピー先より性能が悪い場合には、これを管理計算機2の管理プログラム15に通知するようにしても良い。また、この通知を受信した管理計算機2の管理プログラム15が、かかる状態であることをダイアログで表示するなどしてユーザに警告するようにしても良い。
次いで装置管理プログラム40Bは、コピーペア設定指示テーブル80(図13)の仮想ストレージ装置環境フラグを参照し、当該仮想ストレージ装置環境フラグが「2」であるか否かを判断する(SP10)。そして装置管理プログラム40Bは、かかる仮想ストレージ装置環境フラグが「2」となっているときには(SP10;NO)、ステップSP13に進む。
これに対して装置管理プログラム40Bは、かかる仮想ストレージ装置環境フラグが「1」となっているときには(SP10;YES)、続くステップSP11及びステップSP12において、コピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置環境を第2のストレージ装置6内に設定する。
具体的に、装置管理プログラム40Bは、ボリューム管理プログラム41Bに対してコピー先ボリュームの作成を指示する。かくしてボリューム管理プログラム41Bは、仮想ストレージ装置構成テーブル82及びコピーペア設定指示テーブル80に基づいて、コピー先ボリュームを作成する(SP11)。
また装置管理プログラム40Bは、ボリューム管理プログラム41B、キャッシュ論理パーティション管理プログラム44B及びストレージ論理パーティション管理プログラム45Bに対して、それぞれボリューム32Bの設定、仮想キャッシュメモリの作成、及び仮想ストレージ装置の作成を指示する。かくしてボリューム管理プログラム41B、キャッシュ論理パーティション管理プログラム44B及びストレージ論理パーティション管理プログラム45Bは、仮想ストレージ装置構成テーブル82及びコピーペア設定指示テーブル80に基づいて、それぞれ必要なボリューム32Bの設定、仮想キャッシュメモリの作成及び仮想ストレージ装置の作成を行う。さらに装置管理プログラム40Bは仮想ストレージ装置属性テーブル81に基づいて、そのときストレージ論理パーティション管理プログラム45が作成した仮想ストレージ装置の管理者を設定(当該管理者の管理者IDを仮想ストレージ装置管理テーブル52(図7)の対応する管理者ID欄52Bに登録)する(SP12)。
次いで装置管理プログラム40Bは、コピー制御プログラム43B(図4)に対して、そのとき設定した各コピーペアについての初期コピーの実行を指示する。かくしてコピー制御プログラム43Bは、第1のストレージ装置5内のコピー制御プログラム43Aと共同して、コピーペア設定指示テーブル80(図13)に格納されている仮想ストレージ装置環境フラグが「2」であったときには、仮想ストレージ装置構成テーブル81(図14)に登録されたすべてのボリューム32A(「VOL1-1」,「VOL1-2」,「VOL1-3」,「VOL1-4」)についての初期コピーを実行し、かかる仮想ストレージ装置環境フラグが「1」であったときには、コピーペア設定指示テーブル80において指示されたボリュームVOL32A(「VOL1-1」,「VOL1-2」)のみについての初期コピーを実行する(SP13)。
続いて装置管理プログラム40Bは、かかる仮想ストレージ装置環境フラグが「2」であるか否かを再度判断し(SP14)、否定結果を得ると(SP14;NO)、このコピーペア設定処理を終了する。これに対して装置管理プログラム40Bは、この判断において肯定結果を得ると(SP14;YES)、キャッシュメモリ35B(図4)全体のうちのステップSP11において作成したコピー先ボリュームが使用する仮想キャッシュメモリの割合を、仮想ストレージ装置構成テーブル81で指示された通常運用状態時占有率に変更するようキャッシュ論理パーティション管理プログラム44Bに指示を与える(SP15)。そして装置管理プログラム40Bは、この後、このコピーペア設定処理を終了する。
以上の一連のコピーペア設定処理により、コピー元ストレージ装置である第1のストレージ装置5内の「VOL1-1」というボリュームIDのボリューム32A及びコピー先ストレージ装置である第2のストレージ装置6内の「VOL2-1」というボリュームIDのボリューム32Bのコピーペアと、第1のストレージ装置5内の「VOL1-2」というボリュームIDのボリューム32A及び第2のストレージ装置6内の「VOL2-1」というボリュームIDのボリューム32Bのコピーペアとが設定される。
次に、コピー元ストレージ装置である第1のストレージ装置5内のボリューム32Aに障害が発生し、第1及び第2の業務計算機3,4のアクセス先を当該ボリューム32Aとコピーペアを形成する第2のストレージ装置6内のボリューム32Bに移行させるテイクオーバ処理の流れについて説明する。ここでは、「VOL1-1」というボリュームIDのボリューム32Aに障害が発生したものとして説明する。
第1のストレージ装置5において障害検出プログラム42Aが「VOL1-1」というボリューム32Aの障害を検出すると、図16に示すテイクオーバ処理が開始され、まず、かかる障害検出プログラム42Aが装置管理プログラム40A及び当該装置管理プログラム40Aを介して管理計算機2の管理プログラム15(図2)に対して「VOL1-1」というボリューム32Aに障害が発生したことを通知する(SP20)。
管理プログラム15は、かかる通知を受信すると、テイクオーバプログラム14(図2)を起動する。そして、テイクオーバプログラム14は、第1又は第2の業務計算機3,4のテイクオーバ連携プログラム25(図3)に対して、「VOL1-1」というボリューム32Aに対するアクセスのアクセス先を、当該ボリューム32Aとコピーペア設定された第2のストレージ装置6内のボリューム32Bに切り替えるように指示を与えると共に、警告ダイアログを表示するなどして、ボリューム32Aに障害が発生したことをユーザに通知する(SP21)。
一方、第1のストレージ装置5の装置管理プログラム40Aは、かかる障害発生の通知を障害検出プログラム42Aから与えられると、コピー制御プログラム43Aにテイクオーバ処理を実行するように指示を与える。かくしてこの指示を受けたコピー制御プログラム43Aは、コピーペア情報テーブル53(図8)を参照し、障害が発生した「VOL1-1」というボリューム32A及び当該ボリューム32Aと同一のコピーグループに属する「VOL1-2」というボリューム32Aについてもテイクオーバ処理を実行するよう第2のストレージ装置6に通知する(SP22)。
なお、この際、第1のストレージ装置5のコピー制御プログラム34Aが、障害が発生した「VOL1-1」というボリューム32Aのみを第2のストレージ装置6に通知し、第2のストレージ装置6のコピー制御プログラム43Bが、自ストレージ装置内のコピーペア情報テーブル53を参照してテイクオーバするボリューム32Bを決定するようにしても良い。
他方、かかる通知を受けた第2のストレージ装置6の装置管理プログラム40Bは、キャッシュ論理パーティションプログラム44Bに対して、かかる「VOL1-1」というボリューム32A及び「VOL1-2」というボリューム32Aとそれぞれコピーペアに設定された「VOL2-1」というボリューム32B及び「VOL2-2」というボリューム32Bが使用している仮想キャッシュメモリの容量を変更するよう指示を与える。かくしてキャッシュ論理パーティションプログラム44Bは、かかる仮想キャッシュメモリの容量を、仮想ストレージ装置構成テーブル82(図15)に登録されたテイクオーバ時のキャッシュ占有率に応じた容量に変更する(SP23)。
また装置管理プログラム40Bは、ボリューム管理プログラム50Bに対して、テイクオーバ先の「VOL2-1」及び「VOL2-2」という各ボリューム32Bに対して第1又は第2の業務計算機3,4がデータを読み書きできるように設定を変更するよう指示を与える。かくしてボリューム管理プログラム50Bは、この指示に応じて、必要な設定変更を実行する(SP24)。
なお上述のテイクオーバ処理では、テイクオーバ処理を障害ボリュームが属するコピーグループ単位で行っているが、単一ボリュームや仮想キャッシュメモリを使用しているボリューム単位で行っても良い。
以上のように第2のストレージ装置6の仮想キャッシュメモリの容量を変更する際に用いるキャッシュ占有率は、装置管理プログラム40Bにより、第1のストレージ装置5の「VOL1-1」というボリューム32A及び「VOL1-2」というボリューム32Aが使用している仮想キャッシュメモリのキャッシュ占有率(キャッシュ管理テーブル51)とリソース割当管理テーブル54(図9)から算出されたものである。
例えば本事例の場合、「VOL1-1」というボリューム32Aが使用している仮想キャッシュメモリは、キャッシュ管理テーブル51(図6)を参照すると、第1のストレージ装置5のキャッシュメモリ35A全体の40%を占めている。またリソース割当管理テーブル54を参照すると、通常運用状態では50%、テイクオーバ時で100%となっている。そこでこれらを用いて、通常運用状態ではかかる仮想キャッシュメモリの占有率40%のうちの50%という計算からキャッシュ占有率は20%、テイクオーバ時では仮想キャッシュメモリの占有率40%のうちの100%という計算からキャッシュ占有率は40%となる。このようにして算出されたキャッシュ占有率が、仮想ストレージ装置構成テーブル82(図15)の「通常運用時状態時」欄82BX及びテイクオーバ時欄82BYにそれぞれ格納されている。
図17に、第1のストレージ装置5内の仮想ストレージ装置の仮想ストレージ装置環境をコピー先ストレージ装置である第2のストレージ装置6に設定してテイクオーバ処理を実行した場合におけるテイクオーバ処理の前後での第2のストレージ装置6のキャッシュメモリ35Bのキャッシュ占有率を示す。
この図17からも明らかなように、コピーペアが通常運用状態の場合は未使用のキャッシュメモリ35Bの割合が多くなり、第2のストレージ装置6は当該未使用のキャッシュメモリ35Bの70%を別の目的に使用することが可能となる(「未使用キャッシュ」欄参照)。これは、コピー先ボリュームが「pair」状態にあるとき、第1及び又は第2の業務計算機3,4からデータに対する読書き処理がなく、当該コピー先ボリュームに割り当てられている仮想キャッシュメモリを少なくすることが可能なためである。
このほか、第2のストレージ装置6において仮想ストレージ装置で使用されておらず、かつその他でも使用されていないボリューム32Bの電源やキャッシュメモリ35Bの電源をオフにするように制御することで、省電力の実現を行っても良い。
(1−3)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態によるストレージシステム1では、コピー元ストレージ装置内のコピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置環境の情報(仮想ストレージ装置の構成情報)をコピー元ストレージ装置からコピー先ストレージ装置に送信し、この仮想ストレージ装置環境の情報に基づいて、コピー先ストレージ装置において、コピー先ボリュームが属する仮想ストレージ装置として、コピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置と同じ構成の仮想ストレージ装置を作成するようにしているため、ユーザの手を煩わせることなく、コピー先ストレージ装置内にコピー先ボリュームが属する仮想ストレージ装置を作成することができる。
従って、このストレージシステム1では、コピー元ストレージ装置上の仮想ストレージ装置と同じ仮想ストレージ装置環境を容易かつ短時間でコピー先ストレージ装置に設定することができる。
またストレージシステム1では、コピー先ストレージ装置内に設定する仮想ストレージ装置の仮想キャッシュメモリの容量として通常運用状態時及びテイクオーバ時の2つを用意すると共に、通常運用状態時の仮想キャッシュメモリの容量をテイクオーバ時の仮想キャッシュメモリの容量よりも小さく設定しているため、通常運用状態時にコピー先ストレージ装置内の各仮想キャッシュメモリに対して不要な容量が割り当てられることを防止することができる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)本実施の形態によるストレージシステムの構成
次に第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態においては、第1の実施形態においてコピー先ストレージ装置が主導して行っていたコピー先ストレージ装置に対する仮想ストレージ装置環境の通知及び仮想ストレージ装置の設定を管理計算機が主導して行う。管理計算機上で動作する管理プログラムが、ボリュームのコピーペア設定時にコピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置の仮想ストレージ装置環境をコピー先ストレージ装置にも構築することで、第1の実施の形態と同様に、コピー元ストレージ装置上の仮想ストレージ装置と同じ仮想ストレージ装置環境を容易かつ短時間でコピー先ストレージ装置に設定できるようにする。
図18は、第2の実施の形態によるストレージシステム90の構成を示す。このストレージシステム90は、管理計算機91と、それぞれ第1のサイト92に設置された第1の業務計算機93及び第1のストレージ装置94と、それぞれ第2のサイト95に設置された第2の業務計算機96及び第2のストレージ装置97と、それぞれ第3のサイト98に設置された待機系業務計算機99及び第3のストレージ装置100とが管理用ネットワーク101を介して接続されると共に、第1及び第2の業務計算機93,96、待機用業務計算機99及び第1〜第3のストレージ装置94,97,100がデータ通信用ネットワーク102を介して接続されることにより構成されている。
ここで、例えば地震などの災害時にも業務を継続するため、待機系のストレージ装置や業務計算機を災害の影響を受けないよう離れた場所に設置しておく必要があり、これらの場所の一つ一つをサイトと呼んでいる。なお本構成の業務計算機数とストレージ装置数及びサイト数は説明のために上述のようにしており、これに限定されるものではない。
管理計算機91は、図19に示すように、CPU110、メモリ111、ディスク装置112及び管理用インタフェース113を備えて構成される。これらCPU110、メモリ111、ディスク装置112及び管理用インタフェース113は、図2について上述した第1の実施の形態による管理計算機2のCPU10、メモリ11、ディスク装置12及び管理用インタフェース13と同じ機能を有するものである。
ただし本実施の形態の場合、メモリ111には、テイクオーバプログラム120、管理プログラム121、計算機管理情報122及びストレージ管理情報123が格納されている。
テイクオーバプログラム120は、第1の実施の形態によるテイクオーバプログラム14(図2)と同様のものであり、管理プログラム120は、管理計算機91が管理用ネットワーク101を介して第1及び第2の業務計算機93,96と、待機用業務計算機99と、第1〜第3のストレージ装置94,97,100とを管理するためのプログラムである。
管理プログラム121は、第1〜第3のストレージ装置94,97,100に対しては、ボリュームの作成及び作成したボリュームの属性設定や、仮想ストレージ装置及び仮想キャッシュメモリの設定及び変更に関する制御、並びに第1〜第3のストレージ装置94,97,100における障害検出を行い、第1及び第2の業務計算機93,96並びに待機用業務計算機99に対しては、障害を検出し、テイクオーバ先を管理するためにかかる障害に関する情報を同一の管理計算機91上で動作するテイクオーバプログラム120に通知する機能を備える。また管理プログラム121は、ストレージ管理情報123を用いて仮想ストレージ装置、仮想キャッシュメモリ及びボリュームを管理する。
計算機管理情報122は、テイクオーバ管理テーブル130から構成される。テイクオーバ管理テーブル130の詳細については後述する。またストレージ管理情報123は、ストレージリソーステーブル131、ボリューム情報管理テーブル132、コピーペア情報テーブル133、仮想ストレージ装置管理テーブル134、仮想キャッシュメモリ管理テーブル135、リソース割当管理テーブル136及び仮想環境利用管理テーブル137から構成される。これらのテーブルの詳細についても後述する。
第1の業務計算機93は、図20に示すように、CPU140、メモリ141、ディスク装置142、管理用インタフェース143及びデータ通信用インタフェース144を備えて構成される。これらCPU140、メモリ141、ディスク装置142、管理用インタフェース143及びデータ通信用インタフェース144は、それぞれ図3について上述した第1の実施の形態による第1及び第2の業務計算機3,4のCPU20、メモリ21、ディスク装置22、管理用インタフェース23及びデータ通信用インタフェース24と同じ機能を有するものである。
ただし、本実施の形態の場合、第1の業務算機93のメモリ141には、第1の実施の形態によるテイクオーバ連携プログラム25及び業務プログラム26と同様の機能を有するテイクオーバ連携プログラム151及び業務プログラム152に加えてフェールオーバプログラム150が格納されている。フェールオーバプログラム150は、第1の業務計算機93の処理を待機用業務計算機99に移行させるフェールオーバ処理を実行するためのプログラムである。
第2の業務計算機96は、基本的には第1の業務計算機93と同様に構成されているが、フェールオーバプログラム124は実装されていない。
待機用業務計算機99は、第1の業務計算機93と同様の構成を有し、第1の業務計算機93で障害が発生した場合の代替計算機として用いられる。そのため待機用業務計算機99にもフェールオーバプログラム150が実装されている。待機用業務計算機99上のフェールオーバプログラム150は第1の業務計算機93を監視し、障害の発生を検出すると第1の業務計算機93の業務を待機用業務計算機99に引き継ぐための処理を実行する機能を有する。
第1〜第3のストレージ装置94,97,100は、図21に示すように、複数の物理記憶デバイス160及びコントロール部161から構成される。
物理記憶デバイス160は、図4について上述した第1の実施の形態による第1及び第2のストレージ装置5,6の物理記憶デバイス30と同様のものである。1又は複数の物理記憶ディスク160により提供される物理的な記憶領域上に、1又は複数のボリューム162が設定される。そしてデータは、これらボリューム162内に論理ブロック単位で記憶される。
コントロール部161は、CPU163、メモリ164、キャッシュメモリ165、管理用インタフェース166及びデータ通信インタフェース167を備えて構成される。これらCPU163、メモリ164、キャッシュメモリ165、管理用インタフェース166及びデータ通信インタフェース167は、それぞれ図4について上述した第1の実施の形態による第1及び第2のストレージ装置5,6のCPU33、メモリ34、キャッシュメモリ35、管理用インタフェース36及びデータ通信インタフェース37と同じ機能を有するものである。
またメモリ164には、それぞれ第1の実施の形態の対応プログラムと同じ機能を有する装置管理プログラム170、ボリューム管理プログラム171、障害検出プログラム172、コピー制御プログラム173、キャッシュ論理パーティション管理プログラム174及びストレージ論理パーティション管理プログラム175が格納される。ただし、本実施の形態によるかかる各プログラムは、管理計算機の指示により動作する。また本実施の形態の場合、メモリ164内に図4に示す構成情報記憶領域46が設けられていない。
次に、本実施の形態による管理計算機91のメモリ111に格納された各テーブルの構成について説明する。図22〜図29は、それぞれ管理計算機91のメモリ111に格納されたテイクオーバ管理テーブル130、ストレージリソーステーブル131、ボリューム情報管理テーブル132、コピーペア情報テーブル133、仮想ストレージ装置管理テーブル134、仮想キャッシュメモリ管理テーブル135、リソース割当管理テーブル136及び仮想環境利用管理テーブル137を示す。
テイクオーバ管理テーブル130は、コピーペア及びそのコピーペアのコピー元ボリュームを利用する業務計算機93,96を管理するためのテーブルであり、図22に示すように、コピーペアID欄130A及び業務計算機ID欄130Bから構成される。
そしてコピーペアID欄130Aには、ストレージシステム90内に存在するすべてのコピーペアのコピーペアIDがそれぞれ格納され、業務計算機ID欄130Bには、対応するコピーペアのコピー元ボリュームをデータの読み書きに使用している第1及び又は第2の業務計算機93,96の業務計算機IDが格納される。
またストレージリソーステーブル131は、管理計算機91が自己に接続されたストレージ装置(第1〜第3のストレージ装置)94,97,100を管理するためのテーブルであり、図23に示すように、ストレージ装置ID欄131A、キャッシュメモリID欄131B、キャッシュ総量欄131C及びボリューム総量欄131Dから構成される。
そしてストレージ装置ID欄131Aには、各ストレージ装置94,97,100のストレージ装置IDがそれぞれ格納される。またキャッシュメモリID欄131Bには、そのストレージ装置94,97,100内のキャッシュメモリ165に付与されたキャッシュメモリIDが格納される。さらにキャッシュ総量欄には、そのキャッシュメモリ165の総容量が格納され、ボリューム総量欄114Dには、そのストレージ装置94,97,100内に存在するすべてのボリューム162の総容量が格納される。
またボリューム情報管理テーブル132は、図24に示すように、ボリュームID欄132A、ストレージ装置ID欄132B、容量欄132C、属性欄132D、ディスクタイプ欄132E及びアクセス計算機ID欄132Fから構成される。そしてボリュームID欄132A、容量欄132C、属性欄132D、ディスクタイプ欄132E及びアクセス計算機ID欄132Fには、それぞれ図5について上述した第1の実施の形態によるボリューム管理テーブル50の対応する欄50A〜50Eと同じ情報が格納され、ストレージ装置ID欄132Bには、対応するボリューム162が存在するストレージ装置94,97,100のストレージ装置IDが格納される。
コピーペア情報管理テーブル133は、図25に示すように、コピーペアID欄133A、コピー元ストレージ装置ID欄133B、コピー元ボリュームID欄133C、コピー先ストレージ装置ID欄133D、コピー先ボリュームID欄133E、ペア状態欄133F及びコピーグループID欄133Gから構成される。そしてコピー元ボリュームID欄133C、コピー先ストレージ装置ID欄133D、コピー先ボリュームID欄133E、ペア状態欄133F及びコピーグループID欄133Gには、図8について上述した第1の実施の形態によるコピーペア情報テーブル53の対応する欄53A〜53Eと同じ情報が格納される。またコピーペアID欄133Aには、対応するコピーペアに付与されたコピーペアIDが格納され、コピー元ストレージ装置ID欄133Bには、コピー元ボリュームが存在するストレージ装置94,97,100のストレージ装置IDが格納される。
仮想ストレージ装置管理テーブル134は、図26に示すように、仮想ストレージ装置ID欄134A、ストレージ装置ID欄134B、管理者ID欄134C、仮想キャッシュメモリID欄134D及びボリュームID欄134Eから構成される。そして仮想ストレージ装置ID欄134A、管理者ID欄134C、仮想キャッシュメモリID欄134D及びボリュームID欄134Eには、図7について上述した第1の実施の形態による仮想ストレージ装置管理テーブル52の対応する欄52A〜52Dと同じ情報が格納される。またストレージ装置ID欄134Aには、対応する仮想ストレージ装置が設定されたストレージ装置94,97,100のストレージ装置IDが格納される。
一方、仮想キャッシュメモリ管理テーブル135は、図27に示すように、仮想キャッシュメモリID欄135A、ストレージ装置ID欄135B、キャッシュメモリ占有量欄135C、ボリュームID欄135D及び状態欄135Eから構成される。
そして仮想キャッシュメモリID欄135Aには、管理プログラム121(図19)が管理する仮想キャッシュメモリに付与されたキャッシュメモリIDが格納され、ストレージ装置ID欄135Bには、その仮想キャッシュメモリが存在するストレージ装置94,97,100のストレージ装置IDが格納される。またキャッシュメモリ占有量欄135Cには、対応する仮想キャッシュメモリの現在の容量が格納され、ボリュームID欄135Dには、対応する仮想キャッシュメモリに対応付けられた各ボリューム162のボリュームIDが格納される。
さらに状態欄135Eには、対応する仮想キャッシュメモリの状態が格納される。具体的には、その仮想キャッシュメモリに対応付けられたボリューム162に対して第1又は第2の業務計算機93,96からのデータの読み書きがないとき(つまりそのボリューム162がコピーペアのコピー先ボリュームに相当するとき)には、これを意味する「passive」という情報が格納され、当該ボリューム162に対して第1又は第2の業務計算機93,96からのデータの読み書きがあるとき(つまりそのボリューム162がコピーペアのコピー元ボリュームに相当するとき)には、これを意味する「active」という情報が格納される。ただし、バックアップ処理などでボリューム162に対してデータの読み書きが発生する場合、コピー元であってもこのボリューム162が使用する仮想キャッシュメモリの状態を「passive」にすることは可能である。
リソース割当管理テーブル136は、図28に示すように、仮想キャッシュメモリID欄136A、ストレージ装置ID欄136B、キャッシュメモリ占有量欄136Cから構成される。そして仮想キャッシュメモリID欄136Aには、管理計算機91の管理プログラム121が管理する各仮想キャッシュメモリの仮想キャッシュメモリIDが格納され、ストレージ装置ID欄136Bには、対応する仮想キャッシュメモリが存在するストレージ装置のストレージ装置IDが格納される。
またキャッシュメモリ占有量欄136Cは、「passive」欄136CX及び「active」欄136CYに分けられており、「passive」欄136CXには、対応する仮想キャッシュメモリが「passive」の状態のときに対応するストレージ装置94,97,100内のキャッシュメモリ165を占有する容量が格納され、「active」欄119CYには、かかる仮想キャッシュメモリが「active」の状態のときにかかるキャッシュメモリ165を占有する容量が格納される。なお、「passive」欄136CX及び「active」欄136CYは、図9について上述した第1の実施の形態におけるリソース割当管理テーブル54の通常運用状態時欄54A及びテイクオーバ時欄54Bにそれぞれ対応している。なおコピー元ボリュームが使用している仮想キャッシュメモリは常に「active」であり、「active」欄136CXと「passive」欄136CYの双方にキャッシュメモリ占有量として同一の値が設定されているとする。
仮想環境利用管理テーブル137は、図29に示すように、コピーペアID欄137A及び仮想ストレージ利用フラグ欄137Bから構成される。そしてコピーペアID欄137Aには、管理計算機91の管理プログラム121が管理する各コピーペアのコピーペアIDが格納され、仮想ストレージ利用フラグ欄137Bには、対応するコピーペアにテイクオーバが発生した場合に、コピー先ボリュームで仮想ストレージ装置環境を利用するか否かを表すフラグ(以下、これを仮想ストレージ利用フラグと呼ぶ)が格納される。この仮想ストレージ利用フラグは、何もしない場合には「0」、テイクオーバの際に仮想ストレージ装置環境をコピー先において再現する場合には「1」に設定される。
図30は、以上の各テーブルで設定されている状況の概要を示している。図22〜図29の例では、第2のストレージ装置97内の「VOL2-1」というボリューム162Bと、第3のストレージ装置100内の「VOL3-1」というボリューム162Cとがコピーペアに設定されると共に、第2のストレージ装置97内の「VOL2-2」というボリューム162Bと第3のストレージ装置100内の「VOL3-2」というボリューム162Cとがコピーペアに設定されている。
また第2のストレージ装置97内の「VOL2-1」というボリューム162Bが属する「VST2-1」という仮想ストレージ装置180B1の仮想ストレージ装置環境が第3のストレージ装置100に設定された「VST3-1」という仮想ストレージ装置180C1の仮想ストレージ装置環境として適用され、第2のストレージ装置97内の「VOL2-2」というボリューム162Bが属する「VST2-2」という仮想ストレージ装置180B2の仮想ストレージ装置環境が、第3のストレージ装置100に設定された「VST3-2」という仮想ストレージ装置180C2の仮想ストレージ装置環境として適用されている。さらに第3のストレージ装置100内の「VCM3-1」という仮想キャッシュメモリ181C1及び「VCM3-2」という仮想キャッシュメモリ181C2の状態は、いずれも「passive」となっている(つまり「VOL3-1」というボリューム162C及び「VOL3-2」というボリューム162Cは、いずれもコピーペアの副側となっている)状況である。
(2−2)本実施の形態におけるコピーペア設定処理の流れ
次に本ストレージシステム90におけるコピーペア設定処理の流れについて説明する。なお、以下においては、第1及び第2のストレージ装置94,97がコピー元ストレージ装置、第3のストレージ装置100がコピー先ストレージ装置であり、図30において、第1のストレージ装置94内の同一業務で使用されている「VOL1-1」というボリューム162Aを第3のストレージ装置100内の「VOL3-3」というボリューム162Cとコピーペアに設定する場合を例に挙げて説明する。なおこれは例であって、単一または3つ以上のボリュームのコピーペア設定への適用も可能である。
また以下においては、第1〜第3のストレージ装置94,97,100の構成部位を区別するため、適宜、第1のストレージ装置94の構成部位には対応符号に添え字「A」、第2のストレージ装置97の構成部位には対応符号に添え字「B」、第3のストレージ装置100の構成部位には対応符号に添え字「C」をそれぞれ付して記すものとする。例えば第1のストレージ装置94内のボリューム162は「ボリューム162A」、第2のストレージ装置97内のボリューム165は「ボリューム165B」、第3のストレージ装置100内のボリューム165は「ボリューム162C」と表記する。
この場合、ユーザは、管理計算機91の管理プログラム121(図19)を起動させて、所定のコピーペア設定画面を管理計算機に表示させる。そしてユーザは、このコピーペア設定画面を用いて、第1のストレージ装置94内の「VOL1-1」及び「VOL1-2」というボリューム162Aをコピー元、第3のストレージ装置100内の「VOL3-3」及び「VOL3-4」というボリューム162Cをコピー先とするコピーペアについて定義を行う。またユーザは、かかる2つのコピーペアに同一のコピーグループIDを設定する。
そして管理計算機91の管理プログラム121(図19)は、上述のようなユーザの設定入力が与えられると、図31に示すコピーペア設定処理手順に基づいて、まず、そのとき定義された各コピーペアに対して一意のコピーペアIDをそれぞれ設定し、設定したコピーペアIDをコピーペア情報テーブル133(図25)に登録する(SP30)。
続いて管理プログラム121は、仮想ストレージ装置管理134を参照して、そのときユーザにより設定されたコピーペアのコピー元ボリュームである第1のストレージ装置94内の「VOL1-1」というボリューム162Aがいずれかの仮想ストレージ装置に属しているかを確認する。
そして管理プログラ121は、かかるボリューム162Aがコピー元ストレージ装置である第1のストレージ装置94内に設定された、どの仮想ストレージ装置に属していないときには(SP31;NO)、仮想環境利用管理テーブル137(図29)にそのコピーペアのコピーペアIDを登録すると共に、当該仮想環境利用管理テーブル137におけるそのコピーペアに対する仮想ストレージ利用フラグを「0」に設定する(SP32)。また管理プログラム121は、コピーペア設定画面を用いてユーザが指定したコピーペアの設定をコピー元ストレージ装置である第1のストレージ装置94とコピー先ストレージ装置である第3のストレージ装置100とに指示し(SP33)、この後このコピーペア設定処理を終了する。
これに対して管理プログラム121は、かかるコピー元ボリュームが第1のストレージ装置94内に設定されたいずれかの仮想ストレージ装置に属しているときには(SP31;YES)、第3のストレージ装置100内に、当該コピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置の仮想ストレージ装置環境を構築するかどうかをユーザに問い合わせる(SP34)。
図30の例では、第1のストレージ装置94内の「VOL1-1」というボリューム162Aは「VST1-1」という仮想ストレージ装置180A1に属しているため、管理プログラム121はユーザにこの仮想ストレージ装置180A1の仮想ストレージ装置環境をコピー先ストレージ装置(第3のストレージ装置100)で使用するか問い合わせることになる。このときの問い合わせ方法としては、第1の実施の形態において図12について上述した問い合わせウインド70を用いることができる。またこの問い合わせを行う際、ユーザに仮想ストレージ装置180A1の仮想キャッシュメモリ181A1の情報やコピー先ストレージ装置である第3のストレージ装置100におけるキャッシュメモリ165Cの空容量を表示するようにしても良い。
そして管理プログラム121は、この問い合わせに対して「仮想ストレージ装置180A1の仮想ストレージ装置環境をコピー先ストレージ装置で使用しない」との入力が与えられた場合には(SP34;NO)、ステップSP32及びステップSP33を上述のように処理した後、このコピーペア設定処理を終了する。
これに対して管理プログラム121は、この問い合わせに対して「仮想ストレージ装置180A1の仮想ストレージ装置環境をコピー先ストレージ装置で使用する」との入力が与えられた場合には(SP34;YES)、仮想環境利用管理テーブル137(図29)にそのコピーペアのコピーペアIDを登録すると共に、当該仮想環境利用管理テーブル137におけるそのコピーペアに対する仮想ストレージ利用フラグを「1」に設定する。また管理プログラム121は、コピーペア設定画面においてユーザが定義した内容に従って、コピー先ストレージ装置内にそのコピーペアのコピー先ボリュームが属する新たな仮想ストレージ装置180C3を生成して仮想ストレージ装置管理テーブル134(図26)に登録すると共に、当該コピー先ボリュームに対応付ける新たな仮想キャッシュメモリ181C3を生成して仮想キャッシュメモリ管理テーブル135(図27)に登録する(SP35)。
例えば管理プログラム121は、図30の「VOL1-1」というボリューム162Aをコピー元ボリュームとし、図30の「VOL3-3」というボリューム162Cをコピー先ボリュームとするコピーペア(CPR3)の作成が指定された場合、仮想ストレージ装置管理テーブル134及び仮想キャッシュメモリ管理テーブル135からコピー元ボリュームである「VOL1-1」というボリューム162Aが属する「VST1-1」という仮想ストレージ装置180A1及び当該コピー元ボリュームが使用している「VCM1-1」という仮想キャッシュメモリ181A1に関する情報を取得する。
また管理プログラム121は、コピー先ボリュームである「VOL3-1」というボリューム162Cが属する新たな仮想ストレージ装置180C3を必要に応じて作成し、その仮想ストレージ装置180C3に対して仮想ストレージID(図30では「VST3-3」)を付与すると共に、そのコピー先ボリュームに対応付ける新たな仮想キャッシュメモリ181C3を必要に応じて作成し、その仮想キャッシュメモリ181C3に対して仮想キャッシュメモリID(図30では「VCM3-3」)を付与する。
そして管理プログラム121は、かかる仮想ストレージ装置ID及び仮想キャッシュメモリIDをそれぞれかかる新たなIDとし、ストレージ装置IDを第3のストレージ装置100のストレージ装置IDとし、管理者IDをコピー元ボリュームの管理者と同じ管理者IDとし、コピー先ボリュームのボリュームIDをそのコピー先ボリュームのボリュームID(「VOL3-3」)として、これらの情報を仮想ストレージ装置管理テーブル134(図26)に登録する。また管理プログラム121は、仮想キャッシュIDをかかる新たなIDとし、ストレージ装置IDを第3のストレージ装置100のストレージIDとし、キャッシュメモリ占有量をコピー元ボリュームに対応付けられた仮想キャッシュメモリ181A1と同じ容量とし、ボリュームIDをコピー先ボリュームのボリュームIDとし、状態を「passive」として、これらの情報を仮想キャッシュメモリ管理テーブル135(図27)に登録する。
続いて管理プログラム121は、コピー先ボリュームに対応付ける仮想キャッシュメモリ181C3について、通常運用状態時(「passive」)及びテイクオーバ時(「active」)の占有量の入力をユーザに求める(SP36)。
この場合、その前段階としてかかる仮想キャッシュメモリ181C3の占有量を通常運用状態時とテイクオーバ時とで変更するか否かを例えばチェックボックスなどによりユーザに問い合わせるようにしても良い。そして「変更しない」という選択肢が選択された場合には、例えばコピー元ボリュームに対応付けられた仮想キャッシュメモリ181A1のテイクオーバ時の占有量をリソース割当管理テーブル136(図28)から取得し、これをそのままコピー先ボリュームに対応付けられた仮想キャッシュメモリ181C3のテイクオーバ時の占有量とすれば良い。
例えば図28の例では、「VOL1-1」というボリューム162Aのコピー先ボリュームとなる「VOL3-3」というボリューム162Cと対応付けられた仮想キャッシュメモリ181C3について、ユーザが通常運用状態時とテイクオーバ時とで占有量を「変更しない」を選択した場合、管理プログラム121は、コピー元ボリューム(「VOL1-1」)と対応付けられた仮想キャッシュメモリ181A1のテイクオーバ時の占有量をリソース割当管理テーブル136から取得し、これを仮想キャッシュメモリ181C3の占有量として設定する。
なお、このステップSP36において、ユーザが指定した通常運用状態時の仮想キャッシュメモリ181C3の占有量がテイクオーバ時の占有量よりも大きいときには、ダイアログなどを用いてユーザに警告を与えたり、再入力を求めるようにしても良い。また通常運用状態時の仮想キャッシュメモリ183C3の占有量がテイクオーバ時よりも小さくなるようにコピーペア設定画面において入力値を制限するなどしても良い。
続いて管理プログラム121は、ステップSP36において入力された通常運用状態時の仮想キャッシュメモリ181C3の占有量を加えたコピー先ストレージ装置(第3のストレージ装置100)での全仮想キャッシュメモリ181C1〜181C3の総量が、当該コピー先ストレージ装置のキャッシュメモリ165の総量を超えないかを、ストレージリソーステーブル131(図23)に登録されているコピー先ストレージ装置のキャッシュメモリ165の総量と、仮想キャッシュメモリテーブル135(図27)に登録されているコピー先ストレージ装置内の既存の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2,181C3の占有量とに基づいて判定する(SP37)。
例えば図30の例では、ストレージリソーステーブル131を参照すると、コピー先ボリュームである「VOL3-3」というボリューム162Cが属する第3のストレージ装置100のキャッシュメモリ162Cの総量は「128GB」であり、仮想キャッシュメモリ管理テーブル135を参照すると、第3のストレージ装置100中の既存の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2(「VCM3-1」及び「VCM3-2」)が占有している占有量が45GB(=「15GB」+「30GB」)であることが分かる。そこで管理プログラム121は、このときのコピー先ボリュームに対応付けられた仮想キャッシュメモリ181C3についてユーザが入力した通常運用状態時の占有量が、83GB(=「128GB」−「45GB」)よりも大きいときには、実現不可能と判断する。
そして管理プログラム121は、このステップSP37において設定値が実現不可能であると判定した場合には(SP37;NO)、例えば警告ダイアログなどを表示してユーザに警告した後にステップSP36に戻る。
これに対して管理プログラム121は、ステップSP37において設定値が実現可能であると判定した場合には(SP37;YES)、ステップSP36において入力されたテイクオーバ時の仮想キャッシュメモリ183C3の占有量を加えたコピー先ストレージ装置(第3のストレージ装置100)での全仮想キャッシュメモリ181C1〜181C3の総量が、当該コピー先ストレージ装置のキャッシュメモリ165の総量を超えないかを、ステップSP37と同様の方法により判定する(SP38)。
そして管理プログラム121は、ステップSP38において、設定値がコピー先ストレージ装置でテイクオーバ時に実現不可能であると判定したときには(SP38;NO)、コピー先ボリュームがテイクオーバしたときに、対応する仮想キャッシュメモリ181C3の容量を指定されたテイクオーバ時の容量に変更できないことを警告し、この後ステップSP36に戻る。
なお、設定値がコピー先ストレージ装置でテイクオーバ時に実現不可能であると判定する場合の例としては、例えば現在設定している仮想キャッシュメモリ181C1,181C2の占有量をテイクオーバ時の容量に変更したときにコピー先ストレージ装置内のキャッシュメモリ165の総量を超える場合や、そのとき対象としている仮想キャッシュメモリ181C3に加えてコピー先ストレージ装置内の他の既存の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2が同時にテイクオーバ時の容量に変更になった場合に、コピー先ストレージ装置のキャッシュメモリ165の総量を超える場合などがある。後者の場合には、その組み合わせを警告と共に表示するようにしても良い。
これに対して管理プログラム121は、ステップSP38において、設定値がコピー先ストレージ装置(第3のストレージ装置100)でテイクオーバ時に実現可能であると判定したときには(SP38;YES)、ステップSP36において入力された通常運用状態時及びテイクオーバ時の対応する仮想キャッシュメモリ181C3の占有量をリソース割当管理テーブル136(図28)に登録する(SP40)。
続いて管理プログラム121は、コピー元ボリュームである「VOL1-1」が属する仮想ストレージ装置180A1内のコピーペア設定した以外のボリューム162Aについても、コピー先ストレージ装置内にコピー先ボリュームを作成してコピーペアを作成するか問い合わせる(SP41)。例えば図30の例では、「VOL1-1」が属する仮想ストレージ装置180A1内のコピーペア設定した以外のボリューム162Aとして、「VOL1-2」というボリューム162Aが該当する。
この場合の問い合わせ方法としては、その旨のメッセージと、OKボタン及びNOボタンとなどが表示されたダイアログを表示する方法などを採用することができる。この際、かかるダイアログに、上述のようなメッセージに加えて、そのとき対象としているボリューム162A(コピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置180A1内のコピーペア設定した以外のボリューム162A)に関する容量等の情報を表示するようにしても良い。
管理プログラム121は、このステップSP41においてかかるコピーペアを作成しないとの入力が与えられると(SP41;NO)、ステップSP45に進み、これに対してかかるコピーペアを作成するとの入力が与えられると(SP41;YES)、コピー先ストレージ装置である第3のストレージ装置100においてボリューム162Cの作成が可能かを確認する(SP42)。具体的に、管理プログラム121は、仮想ストレージ装置管理テーブル134(図26)及びボリューム情報管理テーブル132(図24)を参照して、コピー先ストレージ装置の仮想ストレージ装置180C3内で作成する必要があるボリューム容量の総和を計算し、コピー先ストレージ装置において実現可能か否かを判断する。
そして管理プログラム121は、この判断において肯定結果を得ると(SP42;YES)、コピー先ストレージ装置側で新規に作成することになるボリューム(図30の例では、「VOL3-2」というボリューム)162Cのボリューム情報を、ボリューム情報管理テーブル132に追加登録すると共に、かかるボリューム162Cをコピー先ボリュームとするコピーペアをコピーペア情報テーブル133(図25)に登録する。また管理プログラム121は、かかるボリューム162CのボリュームIDを、仮想ストレージ装置管理テーブル134(図26)上のステップSP35において新たに作成した仮想ストレージ装置180C3に属するボリューム162Cとして追加登録すると共に、当該ボリュームIDを、ステップSP40において占有量を設定した仮想キャッシュメモリ181C3に対応付けて仮想キャッシュメモリ管理テーブル135に登録する(SP44)。
これに対して管理プログラム121は、ステップSP42の判断において否定結果を得ると(SP42;NO)、例えばダイアログを用いてコピー元ボリュームと同一の仮想ストレージ装置180Aに属するボリューム162Aをコピー先ストレージ装置にコピーできないことを警告する(SP43)。そして管理プログラム121は、かかるボリューム162AをコピーしないとしてステップSP45に進む。
次いで管理プログラム121は、コピー先ストレージ装置に対して仮想ストレージ装置180C3の設定及び仮想キャッシュメモリ181C3の設定を指示すると共に、ステップSP42において肯定結果を得た場合には、コピー先ストレージ装置に対して対応するボリューム162Cの作成を指示する(SP45)。
続いて管理プログラム121は、コピーペア情報テーブル133を参照して、今回コピーペアに設定した各コピー元ボリュームのデータを対応するコピー先ボリュームに初期コピーするようにコピー元ストレージ装置及びコピー先ストレージ装置に指示を与える(SP46)。
そして管理プログラム121は、この後コピー先ストレージ装置上で今回設定した仮想キャッシュメモリ181C3の占有量を、そのときリソース割当管理テーブル136(図28)に登録されている通常運用状態時の占有量に設定するように、コピー先ストレージ装置に指示を与え(SP47)、この後このコピーペア設定処理を終了する。
なお、このコピーペア設定処理において、ステップSP34以降の処理は、ユーザによるコピーペアの定義時以外に、コピーペア設定完了後の任意の時にコピーペアを指定することでコピー元ボリュームの仮想ストレージ装置環境をコピー先ストレージ装置に構成できるようにしても良い。
また上述したコピーペア設定処理では、仮想ストレージ装置単位で仮想キャッシュメモリ181A1とその仮想ストレージ装置180A内に設けられたボリューム162Aとをコピー先ストレージ装置で構築する場合について説明しているが、仮想キャッシュメモリ単位やコピーグループ単位で実施することも可能である。
例えば、仮想キャッシュメモリ単位の場合は、仮想キャッシュメモリとその仮想キャッシュメモリを使用するボリューム162Aを対象とすれば良い。またコピーグループ単位での設定方法としては、まず同一業務で使用されるボリューム162Aを一つにまとめたグループ(以下、これを業務グループと呼ぶ)を作成し、ユーザが管理プログラム121を用いてこの業務グループ中の1つのボリューム162Aをコピー元ボリュームとしてコピーペアの定義を指示した場合、この業務グループが使用する仮想キャッシュメモリと業務グループ内のボリュームを対象とする方法が考えられる。
次に、コピー元ストレージ装置内のボリューム162Aに障害が発生した場合における管理計算機91の管理プログラム121の処理について、図32を参照して説明する。
コピー元ストレージ装置において障害検出プログラム172がリモートコピーを行っているいずれかのボリューム162の障害を検出すると、この障害が管理計算機91に通知される。なおこの障害はボリューム162自体の障害であってもよいし、地震被災などによるストレージ装置自体の障害であっても良い。
そして管理計算機91の管理プログラム121は、この通知を受信すると、図32に示すテイクオーバ処理を開始し、まず、コピーペア情報テーブル133(図25)を参照して、障害が発生したボリューム(以下、適宜、これを障害ボリュームと呼ぶ)162が形成するコピーペアのコピーペアIDとコピー先ボリュームのボリューム情報とを取得する(SP50)。例えば図30において、第2のストレージ装置97内の「VOL2-1」というボリューム162Bに障害が発生した場合、管理プログラム121は、コピーペア情報テーブル133を参照して、そのボリューム162Bが形成するコピーペアのコピーペアID(「CPR1」)及び当該コピーペアのコピー先ボリュームである第3のストレージ装置100内のボリューム162CのボリュームID(「VOL3-1」)を取得する。
続いて管理プログラム121は、ステップSP50において取得した障害ボリュームが形成するコピーペアのコピーペアIDに基づいて、仮想環境利用管理テーブル137(図29)を参照して、コピー先ストレージ装置において障害ボリュームのコピー先ボリュームに関して障害ボリュームと同じ仮想ストレージ装置環境が構築されているか調べる(SP51)。例えば障害ボリュームが「VOL2-1」というボリューム162Bである場合、管理プログラム121は、ステップSP50において取得したその障害ボリュームが形成するコピーペアのコピーペアIDである「CPR1」をキーとして、仮想環境利用管理テーブル137を参照して、対応する仮想ストレージ利用フラグが「1」となっているか否かを調査する。
そして管理プログラム121は、ステップSP51において否定結果を得ると(SP51;NO)、ステップSP53に進み、これに対して肯定結果を得ると(SP51;NO)、対応する仮想キャッシュメモリの占有量を変更する(SP52)。
具体的に、管理プログラム121は、コピーペア情報テーブル133(図25)及び仮想ストレージ装置管理テーブル134(図26)を参照して、コピー先ボリュームが属している仮想ストレージ装置の仮想ストレージ装置ID及びそのコピー先ボリュームが対応付けられた仮想キャッシュメモリの仮想キャッシュメモリIDを取得する。
また管理プログラム121は、このようにして取得した仮想ストレージ装置ID及び仮想キャッシュメモリIDを検索キーとして、かかる仮想キャッシュメモリのテイクオーバ時におけるキャッシュメモリ占有量をリソース割当管理テーブル136(図28)から取得する。そして管理プログラム121は、コピー先ストレージ装置に対して、対応する仮想キャッシュメモリのキャッシュメモリ占有量を上述のようにして取得したキャッシュメモリ占有量に変更するように指示を与える。かくしてコピー先ストレージ装置は、この指示を受けて、対応する仮想キャッシュメモリのキャッシュ占有量を指定された占有量に変更する。また管理プログラム121は、仮想キャッシュメモリ管理テーブル135(図27)上のかかる仮想キャッシュメモリに対応する状態欄の内容を「passive」から「active」に変更する。
次いで管理プログラム121は、かかる障害ボリュームを使用する第1及び又は第2の業務計算機93,96のフェールオーバ処理を行う(SP53)。なお、障害ボリュームが第1のストレージ装置94内に存在し、地震の被災などにより、第1のストレージ装置94と同時に第1の業務計算機93においても障害が発生した場合には待機用業務計算機99へのフェールオーバ処理も併せて行う。そのため待機用業務計算機99のフェールオーバプログラム150は、第1の業務計算機93を常時監視しており、第1の業務計算機93において障害を検出したときには、待機用業務計算機99への業務移行処理を行う。
続いて管理プログラム121は、テイクオーバプログラム120(図19)に対してボリューム162に障害が発生したことを通知する。そして、この通知を受信したテイクオーバプログラム120は、テイクオーバ管理テーブル130(図22)を参照して、コピー元ボリュームとコピー先ボリューム、およびコピー元ボリュームを利用している第1及び又は第2の業務計算機93,96の情報を取得する。
そして管理プログラム121は、コピー元ボリュームで障害が発生した場合は、障害ボリュームが構成するコピーペアのコピーペアIDからテイクオーバを指示すべき業務計算機の業務計算機IDを取得し、その第1及び又は第2の業務計算機93,96に対してコピー先ボリュームへのテイクオーバを指示する(SP54)。そして管理プログラム121は、この後、このテイクオーバ処理を終了する。
(2−3)本実施の形態の効果
本実施の形態による効果の1つとして、複数台のコピー元ストレージ装置に格納されたデータを1台のコピー先ストレージ装置に集約可能であることを説明する。
図30のように第1のストレージ装置94内の「VOL1-1」及び「VOL1-2」というボリューム162Aがそれぞれ第3のストレージ装置100内の「VOL3-3」及び「VOL3-4」というボリューム162Cとコピーペアに設定され、第2のストレージ装置97内の「VOL2-1」及び「VOL2-2」というボリューム162Bがそれぞれ第3のストレージ装置100内の「VOL3-1」及び「VOL3-2」というボリューム162Cとコピーペアに設定されている場合において、「VOL2-1」というボリューム162Bに障害が発生した場合、「VOL2-1」及び「VOL2-2」というボリューム162Bにそれぞれ障害が発生した場合、「VOL1-1」、「VOL2-1」及び「VOL2-2」というボリューム162A,162Bにそれぞれ障害が発生した場合の第3のストレージ装置100内に設定された第1〜第3の仮想キャッシュメモリ181C1〜181C3のキャッシュ占有量を図33に示す。
上述した例の場合には、通常運用状態(図33の下から2行目)や、第2のストレージ装置97の筐体障害により「VOL2-1」及び「VOL2-2」というボリューム162Bにそれぞれ障害が発生した場合(図33の下から3行目)のいずれの場合においても、ストレージリソーステーブル131(図23)で示したように、第3のストレージ装置100のキャッシュメモリ165Cの総量が「128GB」であることから運用可能であることがわかる。特に図18について上述したように第1及び第2のストレージ装置94,97が異なるサイトに存在する場合には、第2のストレージ装置97で震災により筺体障害が発生しても、第1のストレージ装置94のリモートコピーと、第2のストレージ装置97のテイクオーバが同時に実現可能となる。
また本実施の形態による他の効果として、コピー元ストレージ装置とコピー先ストレージ装置で性能が異なっていても、上述のようなコピーペア設定処理やテイクオーバ処理を行なうことができる。
(3)第3の実施の形態
第2の実施の形態によるストレージシステム90において、あるコピー先ボリュームと対応付けられた仮想キャッシュメモリの容量が必要量に対して不足している場合、そのコピー先ボリュームに対するアクセス速度は遅くなる。従って、かかるストレージシステム90では、重要度が高い業務に使用するコピー先ボリュームと対応付けられた仮想キャッシュメモリほど、より多くのキャッシュメモリ占有量を割り当てることが望まれる。
しかしながら、かかる第2の実施の形態によるストレージシステム90では、コピー先ストレージ装置内のキャッシュメモリに対する各仮想キャッシュメモリの占有量をユーザが恣意的に設定するため、コピー先ストレージ装置内に設定する仮想キャッシュメモリの数が多くなればなるほど、上述のようなキャッシュメモリ占有量の割当作業が煩雑となる。
そこで本実施の形態によるストレージシステム90(図18)では、仮想キャッシュメモリごとに重要度(優先順位)を設定できるようにした点を特徴としている。実際上、本ストレージシステム90の場合、ユーザは管理計算機91(図18)を操作することによって図34に示すような優先度設定ウインド192を管理計算機91に表示させることができる。そしてユーザは、この優先度設定ウインド92を用いてコピー先ストレージ装置における仮想キャッシュメモリの重要度を設定することができる。
そして管理計算機91は、図28について上述したリソース割当管理テーブル136に代えて図35に示すような本実施の形態によるリソース割当管理テーブル193をメモリ111(図19)上に保持しており、かかる優先度設定ウインド192を用いて指定されたコピー先ストレージ装置の各仮想キャッシュメモリの優先度をこのリソース割当管理テーブル193の「優先度」欄193Cに格納して管理する。なおコピー元ボリュームが使用する仮想キャッシュメモリについては、キャッシュ重要度は指定されない。またリソース割当管理テーブル193の「仮想キャッシュメモリID」欄193A及び「ストレージ装置ID」欄193Bには、それぞれ図28について上述したリソース割当管理テーブル136の仮想キャッシュメモリID」欄136A及び「ストレージ装置ID」欄136Bに格納される情報と同じ情報が格納される。
図36は、上述のような仮想キャッシュメモリの重要度の設定を含む本実施の形態によるコピーペア設定処理に関する管理計算機91の管理プログラム121(図19)の処理内容を示している。このコピーペア設定処理は、図36において破線で囲んだ部分が異なるだけで、これ以外の処理は図31について上述した第2の実施の形態におけるコピーペア設定処理と同様である。
実際上、管理プログラム121は、ユーザが所望するコピーペアの定義を上述の図示しないコピーペア設定画面を用いて行なうと、この図36に示すコピーペア設定処理を開始し、ステップSP50〜ステップSP55を図31のステップSP30〜ステップSP35と同様に処理する。
続いて管理プログラム121は、図34について上述した優先度設定ウインド192を管理計算機91に表示させることにより、コピー先ストレージ装置における各仮想キャッシュメモリの優先度の入力をユーザに求める(SP56)。
そして管理プログラム121は、コピー先ストレージ装置における各仮想キャッシュメモリの優先度がかかる優先度設定ウインド192を用いてユーザにより入力されると、これらの優先度をそれぞれ図35について上述したリソース割当管理テーブル193の対応する「優先度」欄193Cにそれぞれ格納する(SP57)。
次いで管理プログラム121は、リソース割当管理テーブル193を参照し、コピー先ストレージ装置内の各仮想キャッシュメモリの重要度をそれぞれ取得し、取得した各重要度に従ってコピー先ストレージ装置100の仮想キャッシュメモリの占有率を決定する(SP58)。
ここで仮想キャッシュメモリの重要度に応じた占有量の決定方法として、仮想キャッシュメモリを新規に決定する際に、管理プログラム121がコピー先ストレージ装置における各仮想キャッシュメモリのキャッシュ占有量を重要度の比に従って再割り当てする方法を適用できる。
例えば、図30に示す例の場合、第3のストレージ装置100のキャッシュメモリ総量が図23に例示したように「128GB」であり、第3のストレージ装置100内の第1〜第3の仮想キャッシュメモリ181C1〜181C3の優先度がそれぞれ図35に例示したように3、1及び6に設定されている場合、第1〜第3の仮想キャッシュメモリ181C1〜181C3の重要度の比は3:1:6となる。
そこで管理プログラム121は、この比を用いて第1〜第3の仮想キャッシュメモリ181C1〜181C3が「active」時のキャッシュ占有量を、第1の仮想キャッシュメモリ181C1については38.4GB、第2の仮想キャッシュメモリ181C2については12.8GB、第3の仮想キャッシュメモリ181C3については76.8GBと算出する。また第1〜第3の仮想キャッシュメモリ181C1〜181C3が「passive」時のキャッシュ占有量は、例えば「active」時のキャッシュ占有量の半分として、第1の仮想キャッシュメモリ181C1については19.2GB、第2の仮想キャッシュメモリ181C2については6.4GB、第3の仮想キャッシュメモリ181C3については38.4GBと算出する。
上述のように、新規の仮想キャッシュメモリをコピー先ストレージ装置内に設定する際に、当該コピー先ストレージ装置内のすべての仮想キャッシュメモリのキャッシュ占有量を変更する方法以外に、新規に追加する仮想キャッシュメモリのみを重要度で決定する方法もある。
例えば図30の例の場合、第3のストレージ装置100のキャッシュメモリ総量が図23に例示したように「128GB」であり、第3のストレージ装置100内に存在する第1及び第2の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2のキャッシュ占有量がそれぞれ30GB(重要度3)及び10GB(重要度1)であったとする。この状況において、管理プログラム121は新規に設定する第3の仮想キャッシュメモリ181C3の「passive」時のキャッシュ占有量を以下のように算出する。
第3の仮想キャッシュメモリ181C3の重要度が既存の第1及び第2の仮想キャッシュメモリ181C1又は181C2の重要度以上(例えば「6」)のときには、既存の第1及び第2の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2のキャッシュ占有量の和である40GBを、第3の仮想キャッシュメモリ181C3のキャッシュ占有量として設定する。
また第3の仮想キャッシュメモリ181C3の重要度が既存の第1及び第2の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2の重要度以下(例えば「1」)のときには、既存の第1及び第2の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2の中で最もキャッシュ占有量が小さい第2の仮想キャッシュメモリ181C2のキャッシュ占有量である10GBを、第3の仮想キャッシュメモリ181C3のキャッシュ占有量として設定する。
さらにこれ以外の場合(例えば第3の仮想キャッシュメモリ181C3の重要度が第1及び第2の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2の重要度間(例えば「2」)にある場合)には、第1及び第2の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2の占有量の平均である20GBを、第3の仮想キャッシュメモリ181C3のキャッシュ占有量として設定する。
以上のように算出された第3の仮想キャッシュメモリ181C3の「passive」時の占有量が、第3のストレージ装置100のキャッシュメモリ165C(図21)のうちの既存の第1及び第2の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2に占有されていない量(以下、これをキャッシュ未割当量と呼ぶ)を超える場合には、第3の仮想キャッシュメモリ181C3のキャッシュ占有量を当該キャッシュメモリ未割当量に一致させる。
また管理プログラム121は、第3の仮想キャッシュメモリ181C3の「active」時の占有量を、例えば第3のストレージ装置100のキャッシュ未割当量と、既存の第1及び第2の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2に現在割り当てられている「passive」時のキャッシュ占有量の和として設定する。つまり、第3の仮想キャッシュメモリ181C3に「passive」時のキャッシュ占有量として40GBが割り当てられている場合には、第1〜第3の仮想キャッシュメモリ181C1〜181C3で使用されていない未割当領域が次式
のように48GBとなるため、これに「passive」時の第3の仮想キャッシュメモリ181C3の占有量40GBを合わせて88GBとなる。
第3の仮想キャッシュメモリ181C3を含めて複数の仮想キャッシュメモリが「active」になる必要がある場合は、管理プログラム121は、第3のストレージ装置100のキャッシュメモリ165Cのキャッシュ未割当量を「active」になる仮想キャッシュメモリ数で等分し、この等分したキャッシュ未割当量と第3の仮想キャッシュメモリ181C3の「passive」時のキャッシュ占有量の和を「active」時の第3の仮想キャッシュメモリ181C3のキャッシュ占有量と算出する。第3の仮想キャッシュメモリ181C3以外の「active」になる必要がある第1及び又は第2の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2も同様の方法で算出する。
そして管理プログラム121は、コピー先ストレージ装置における各仮想キャッシュメモリのキャッシュ占有量を上述のようにして算出し、算出した各仮想キャッシュメモリのキャッシュ占有量をそれぞれ内部設定する。
次いで管理プログラム121は、ステップSP59〜ステップSP65を図31のステップSP41〜ステップSP47と同様に処理し、この後、このコピーペア設定処理を終了する。
以上のように本実施の形態によるストレージシステム90では、コピー先ストレージ装置内の各仮想キャッシュメモリのキャッシュ占有量の設定をユーザにより指定された仮想キャッシュメモリごとの優先度に基づいて行うため、重要度が高い業務で使用するコピー先ボリュームと対応付けられた仮想キャッシュメモリほど、より多くのキャッシュ占有量を容易に割り当てることができる。
(4)第4の実施の形態
第2の実施の形態によるストレージシステム90において、例えばコピー元ストレージ装置が災害に被災し筐体で障害が発生したために多数のボリュームにおいてテイクオーバ処理を行う必要が生じた場合に、コピー先ストレージ装置においてすべての仮想キャッシュメモリを指定した占有量に設定できないことある。
そこで本実施の形態によるストレージシステム90(図18)では、この対策として、第3の実施の形態と同様に仮想キャッシュメモリに優先度を設定し、この優先度の高い仮想キャッシュメモリを優先的にテイクオーバする点を特徴とする。
重要度に従ったテイクオーバ時のキャッシュメモリの決定方法としては、図28について上述したリソース割当管理テーブル136に重要度欄201C(図37)が追加された図37に示すようなリソース割当管理テーブル203を用いる。ここでは、説明の都合上、第3の仮想キャッシュメモリ181C3の「passive」時のキャッシュ占有量を50GBとしている。
このリソース割当管理テーブル203は、仮想キャッシュメモリID欄203A、ストレージID欄203B、重要度欄203C及びキャッシュメモリ占有量欄203Dから構成されており、仮想キャッシュメモリID欄203A、ストレージID欄203B及びキャッシュメモリ占有量欄203Dには、それぞれ図28について上述したリソース割当管理テーブル136の仮想キャッシュメモリID欄136A、ストレージID欄136B及びキャッシュメモリ占有量欄136Dに格納される情報と同じ情報がそれぞれ格納される。また重要度欄203Cには、対応する仮想キャッシュメモリに対してユーザが設定した優先度が格納される。
なお、ユーザがコピー先ストレージ装置の各仮想キャッシュメモリの優先度を設定するタイミングとしては、第3の実施の形態で述べたようにコピーペア定義時に行っても良いし、ユーザが管理計算機91(図18)の管理プログラム121(図19)を用いて任意のタイミングでコピー先ストレージ装置を指定して設定できるようにしても良い。
管理計算機91の管理プログラム121が上述のようにリソース割当管理テーブル203を用いて図32について上述したテイクオーバ処理を行うときの、仮想キャッシュメモリの優先順位を決定する処理について説明する。以下においては、図30のように、第1のストレージ装置94の「VOL1-1」及び「VOL1-2」という各ボリューム162Aと、第2のストレージ装置97の「VOL2-1」及び「VOL2-2」という各ボリューム162Bとがそれぞれ第3のストレージ装置100の「VOL3-3」、「VOL3-4」、「VOL3-1」及び「VOL3-2」というボリューム162Cとコピーペアに設定されており、これら第3のストレージ装置100の「VOL3-3」、「VOL3-4」、「VOL3-1」及び「VOL3-2」というボリューム162Cを副ボリュームとするリモートコピーが行われているものとして説明する。
ここでは、第1のストレージ装置94が被災し、筐体全体に障害が発生したため、テイクオーバ処理として第3のストレージ装置100内の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2をリソース割当管理テーブル203に設定された「active」時のキャッシュ占有量に変更する必要が生じたとする。この状況では第1のストレージ装置94で未使用のキャッシュメモリ162Aが不足し、仮想キャッシュメモリ181C1,181C2を同時に「active」時のキャッシュ占有量に変更することは不可能となる。
このとき、本実施の形態による管理計算機91の管理プログラム121はリソース割当管理テーブル203(図37)とストレージリソーステーブル131(図23)を参照し、第3のストレージ装置100の仮想キャッシュメモリ181C1,181C2のうち重要度が高いものから順に、「active」時の値に設定する。
このようなテイクオーバ処理に関する管理計算機91の管理プログラム121の処理手順を図38に示す。なお本方法は重要度に従ってコピー先ストレージ装置のキャッシュメモリ162を「active」時のキャッシュ占有量に変更する方法の1つであって、キャッシュメモリ162を「active」にする方法を限定するものではない。また以下においては、第3のストレージ装置100内の第1〜第3の仮想キャッシュメモリ181C1〜181C3の優先度が、図37に示すように、それぞれ「1」、「3」及び「6」に設定されているものとする。
図30の例の場合、管理プログラム121は、まず、障害により「active」にする必要が生じた仮想キャッシュメモリ(以下、これをactive化対象仮想キャッシュメモリと呼ぶ)181C1,181C2の重要度を、リソース割当管理テーブル203(図37)から取得する(SP70)。よって、1周目のステップSP70では、active化対象仮想キャッシュメモリは仮想キャッシュメモリ181C1,181C2となる。
次いで管理プログラム121は、active化対象仮想キャッシュメモリが存在するか否かを判断し(SP71)、存在しない場合にはステップSP74に進む。これに対して管理プログラム121は、かかるactive化対象仮想キャッシュメモリが存在する場合には、ストレージリソーステーブル131とリソース割当管理テーブル202を参照して、ステップSP70において優先度を取得したactive化対象仮想キャッシュメモリのうち、重要度が最も高いactive化対象仮想キャッシュメモリを選択し、このactive化対象仮想キャッシュメモリについて、「active」時のキャッシュ占有量が確保可能か否かを判断する(SP72)。図30の例では、仮想キャッシュメモリ181C1の重要度が「1」、仮想キャッシュメモリC2の重要度が「3」であるため、仮想キャッシュメモリ181C2が「active」時のキャッシュ占有量に設定可能であるか否かを判断することになる。
そして管理プログラム121は、この判断において否定結果を得るとステップSP74に進み、これに対して肯定結果を得ると、ステップSP71において選択した重要度が最も高い仮想キャッシュメモリのキャッシュ占有量を「active」時の値に変更すべき旨の指示をコピー先ストレージ装置に送信した後、ステップSP71に戻る。
図30の例では、第3のストレージ装置100におけるキャッシュメモリ165Cの残容量は、次式
のように33〔GB〕であり、ステップSP71において選択される重要度が最も高い第2の仮想キャッシュメモリ181C2の「active」時の値が「45GB」であるため、当該第2の仮想キャッシュメモリ181C2のキャッシュ占有量を「active」時のキャッシュ占有量に設定可能である。よって、このとき管理プログラム121は、第2の仮想キャッシュメモリ181C2のキャッシュ占有量を「active」時の値に変更すべき旨の指示を第3のストレージ装置100に送信した後、ステップSP71に戻ることになる。
そして管理プログラム121は、ステップSP71に戻った場合、この後ステップSP71又はステップSP72において否定結果を得るまでステップSP71〜ステップSP73を繰り返す。
例えば図30の例では、2周目として次に優先度が高いactive化対象仮想キャッシュメモリとして第1の仮想キャッシュメモリ181C1が存在するためステップSP71で肯定結果を得てステップSP72に進み、このステップSP72において、この第1の仮想キャッシュメモリ181C1について、「active」時のキャッシュ占有量が確保可能か否かを判断することになる。
この場合、現在の第3のストレージ装置100におけるキャッシュメモリ165Cの未使用領域は、第2の仮想キャッシュメモリ181C2を「active」に設定したために、上述の33GBから18(=45−30)GBに減少しているため、第1の仮想キャッシュメモリ181C1を「active」にするのに必要な25(=40−15)GBという容量がキャッシュメモリ165Cには残っていない。よってこの場合には、ステップSP72において否定結果が得られるため、第1の仮想キャッシュメモリ181C1は「passive」にしたままステップSP74に進むことになる。
従って、この場合、仮想キャッシュメモリC1の占有量が15GB(passive),仮想キャッシュメモリC2の占有量が45GB(active)、仮想キャッシュメモリC3の占有量が50GB(passive)となる。
そして管理プログラム121は、ステップSP74に進むと、ステップSP73においてキャッシュ占有量を「active」時の値に変更すべき旨の指示をコピー先ストレージ装置に送信した仮想キャッシュメモリの状態が「active」となるように仮想キャッシュメモリ管理テーブル135(図27)を更新すると共に、必要に応じて他のテイクオーバ処理やフェイルオーバ処理を実行し(SP74)、この後、このテイクオーバ処理を終了する。
なお、ステップSP72において、図38では重要度が最も高いものが「active」な値に変更できなくなった場合は占有量への設定処理を終了としているが、この代わりに、次に重要度が高い仮想キャッシュメモリの占有量をactive時の値に変更可能か調べる、としても良い。
以上の方法では、コピー先ストレージ装置内の重要度が高い仮想キャッシュメモリのみを「active」時の占有量に変更するとした。このほかの方法として、「active」にする対象となっている仮想キャッシュメモリの占有量を、それぞれ重要度の比率で決定する方法も考えられる。
例えば、管理プログラム121が、リソース割当管理テーブル203を参照し、active化対象仮想キャッシュメモリの重要度を取得する。また管理プログラム121は、ストレージリソーステーブル131(図23)とリソース割当管理テーブル203から、第3の仮想キャッシュメモリ181C3で利用されていない第3のストレージ装置100の仮想キャッシュメモリの残容量を取得する。そして管理プログラム121は、この残容量を各active化対象仮想キャッシュメモリの重要度の比率で分割し、各active化対象仮想キャッシュメモリのキャッシュ占有量を設定する。
例えば図30の例では、第3のストレージ装置100内の第1の仮想キャッシュメモリ181C1の重要度が「1」、第2の仮想キャッシュメモリ181C2の重要度が「3」であり、第3のストレージ装置100内の残容量が78GBであるため、この78GBを重要度の比率で分割して、第1の仮想キャッシュメモリ181C1(重要度1)のキャッシュ占有量を、次式
のように19.5GB、第2の仮想キャッシュメモリ181C2(重要度3)の占有量を、次式
のように58.5GBとして算出し、これらを設定する。
このような方法以外に、現在「passive」な状態の仮想キャッシュメモリも含めて重要度の比率に応じて仮想キャッシュメモリの占有量を決定することも考えられる。
また第3の実施の形態の重要度を、本実施の形態で述べたテイクオーバ時のキャッシュメモリ占有量を決定のための重要度として用いても良い。
以上のように本実施の形態によるストレージシステム90では、複数のコピー元ボリュームから対応するコピー先ボリュームへのテイクオーバ処理をコピー先ストレージ装置内の各仮想キャッシュメモリにそれぞれ設定された優先度に応じた順番で行うため、重要度が高い業務で使用するコピー先ボリュームと対応付けられた仮想キャッシュメモリほど、テイクオーバ処理後により多くのキャッシュ占有量を容易に割り当てることができる。
(5)他の実施の形態
なお上述の第1〜第4の実施の形態においては、本発明を図1又は図18のように構成されたストレージシステム1,90に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これ以外の構成を有するこの他種々のストレージシステムに広く適用することができる。
また上述の第1の実施の形態においては、コピー元ボリュームが属する仮想ストレージ装置の構成情報をコピー先ストレージ装置に送信する構成情報送信部を第1のストレージ装置5のCPU33及び装置管理プログラム40等により構成し、第2〜第4の実施の形態においては、かかる構成情報送信部を管理計算機91のCPU110及び管理プログラム121により構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる構成情報送信部の構成としては、この他種々の構成を広く適用することができる。
さらに上述の第1の実施の形態においては、コピー元ボリュームが属する論理パーティション(仮想ストレージ装置)の構成情報に基づいて、コピー先ボリュームが属する論理パーティションの構成を設定する論理パーティション設定部を第2のストレージ装置6のCPU33及び装置管理プログラム40により構成し、第2〜第4の実施の形態においては、かかる論理パーティション設定部を管理計算機91のCPU110及び管理プログラム121により構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる論理パーティション設定部の構成としては、この他種々の構成を広く適用することができる。
1,90,190,200……ストレージシステム、2,91,191,201……管理計算機、3,4,93,96……業務計算機、5,6,94,97,100……ストレージ装置、10,20,33,33A,33B,110,140,163,163A,163B……CPU、11,21,34,34A,34B,111,141,164,164A,164B……メモリ、14,120……テイクオーバプログラム、15,121,194,202……管理プログラム、32,32A,32B,162,162A,162B……ボリューム、35,35A,35B,165,165A,165B……キャッシュメモリ、40,40A,40B,170,170A〜170C……装置管理プログラム、41,41A,41B,171,171A〜171C……ボリューム管理プログラム、42,42A,42B,172,172A〜172C……障害検出プログラム、44,44A,44B,174,174A〜174C……キャッシュ論理パーティション管理プログラム、45,45A,45B,175,175A〜175C……ストレージ論理パーティション管理プログラム、50……ボリューム管理テーブル、51……キャッシュ管理テーブル、52,134……仮想ストレージ装置管理テーブル、53,133……コピーペア情報テーブル、54,136,193,203……リソース割当管理テーブル、60,61,180A1,180B1,180B2,180C1〜180C3……仮想ストレージ装置、62〜64,181A1,181B1,181B2,181C1〜181C3……仮想キャッシュメモリ、80……コピーペア設定指示テーブル、81……仮想ストレージ装置属性テーブル、82……仮想ストレージ装置構成テーブル、99……待機用業務計算機、130……テイクオーバ管理テーブル、131……ストレージリソーステーブル、132……ボリューム情報管理テーブル、134……仮想キャッシュメモリ管理テーブル、137……仮想環境利用管理テーブル。