以下に、本発明の固体撮像素子の実施形態1、2および、この固体撮像素子の実施形態1、2を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の実施形態3について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における固体撮像素子の要部構成例を示す平面図であり、図2は、図1のA−B線縦断面図である。
図1および図2において、本実施形態1の固体撮像素子1は、半導体基板2(または半導体層)上に、各受光部を構成する縦方向のP型注入領域3とN型注入領域4とが交互に横方向に配置されている。これらのP型注入領域3およびN型注入領域4上に、電荷転送駆動用の横方向の単層の透明電極5〜10をこの順に縦方向に繰り返し並べて配置する。さらに、その上に、横方向の偏光を通す偏光板11、液晶制御用の下側の透明電極12、ツイストネマテック(TN)またはスーパーツイストネマテック(STN)の液晶材料からなる液晶層13、液晶制御用の上側の透明電極14、縦方向の偏光を通す偏光板15をこの順に積層する。
これらの偏光板11、透明電極12、液晶層13、透明電極14および偏光板15から入射光透過/遮光制御手段としての液晶手段である液晶セルが構成されており、この液晶セルと組み合わせて、被写体からの画像光を光電変換して撮像する固体撮像素子1が構成されている。この液晶セルは露光時に入射光を透過し、電荷転送時に入射光を遮蔽するように機能する。
即ち、本実施形態1の固体撮像素子1は、半導体層または半導体基板2上に交互に横方向に配置され、被写体からの画像光を光電変換する光電変換部となる縦方向の一導電型注入領域としてのP型注入領域3および他導電型注入領域としてのN型注入領域4と、これらのP型注入領域3およびN型注入領域4上に設けられた横方向の複数の電荷転送駆動用透明電極(透明電極5〜10)と、複数の透明電極5〜10上に設けられ、入射光を透過または遮光制御するための液晶手段としての液晶セルとを有している。
さらに、透明電極5〜10に電荷転送駆動用電圧を順次印加可能とする図示しないコントローラ(電荷転送制御手段)が設けられ、露光時に、液晶セルが入射光を透過制御した状態で、横方向の複数の電荷転送駆動用の透明電極5〜10に、このコントローラから出力される電荷転送駆動用電圧(例えば「0V」と「5V」)のうちの高電圧と低電圧を透明電極5〜10の一または複数に交互に印加する所定のパターンにより、電荷転送駆動用の透明電極5〜10下の縦方向のP型注入領域3およびN型注入領域4の深いポテンシャル電位領域に画素毎(各受光部毎)の信号電荷を蓄積する。次の電荷転送時に、液晶セルが入射光を遮光制御した状態で、電荷転送駆動用電圧(例えば「0V」と「5V」)のうちの高電圧と低電圧を透明電極5〜10の一または複数の交互の印加位置を順次所定方向にずらすことにより、電荷転送駆動用の透明電極5〜10下の縦方向のP型注入領域3およびN型注入領域4の深いポテンシャル電位領域に画素部毎の信号電荷を保持して所定方向に電荷転送する。
この場合、高電圧の透明電極5〜10の印加位置を一または複数に印加することにより、入射光を受光する画素サイズが制御可能である。
上記構成により、上から入射された入射光は、上側の偏光板15を通り、縦方向の偏光を通して偏光される。その縦方向の偏光は、液晶層13のスイッチイング特性により、偏光方向が透明電極12および14に印加される制御信号によりコントロールされ、下側の偏光板11に至る。偏光板15、11の偏光方向が互いに角度が90度だけ異なるため、液晶層13のスイッチイングによって、固体撮像素子1の受光部への入射光を透過したり遮光したりコントロールすることができる。これによって、従来のように遮光層により遮光された垂直転送領域を設ける必要がなくなる。即ち、遮光層および垂直転送領域を別途設ける必要がない。
次に、偏光板15を通った入射光は、透明電極14から液晶層13を経て透明電極12、偏光板11さらに透明電極10を通過し、そのまま、固体撮像素子1の各受光部まで到達する。固体撮像素子1の各受光部では、縦方向にP型注入領域3およびN型注入領域4を設けており、ここで、光電変換した電子は、ポテンシャルが低い方のN型注入領域4側に集まって蓄積される。なお、N型注入領域4はP型注入領域3によって分離されているが、これに限らず、同じN型注入領域4同士であっても、不純物の注入を1回で済ませて、ポテンシャル電位の山と谷を作れば同じN型注入領域4同士であっても、信号電荷が互いに混ざり合わないように、隣接する列部と分離可能である。この点は、次の実施形態2に記載している。
最後に、電荷転送方法ついては、それぞれ配置された横方向の透明電極5〜10の垂直電荷転送用の転送駆動電圧を、順送りすることにより電子(各信号電荷)を電荷転送することができる。このように、横方向の透明電極5〜10を用いたため、1層配線での電荷転送が可能となる。
図3(a)、図3(b)および図3(c)は、図1の固体撮像素子に入る光が多い場合の電荷転送パターンを模式的に示す平面図である。ここで、透明電極5〜10に印加する低電圧を「0V」、高電圧を「5V」としている。
まず、図3(a)に示すように、P型注入領域3とN型注入領域4が縦方向に設けられており、最も上の行の電荷転送用の横方向の透明電極5に駆動電圧「0V」の場合に、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になって深くなっている。このとき、上から2,3行目の電荷転送用の透明電極6,7に駆動電圧「5V」が印加されるので、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になってさらに深くなって信号電荷を蓄積することができる。よって、最も深い「10V」の透明電極6,7下のN型注入領域4に信号電荷が蓄積されて保持される。
次に、図3(b)に示すように、最も上の行R1と2行目(行R2)の電荷転送用の透明電極5、6に駆動電圧「0V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になる。このとき、上から3行目(行R3)の電荷転送用の透明電極7に駆動電圧「5V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になっている。さらに、上から4、5行目(行R4および行R5)の電荷転送用の透明電極8,9に駆動電圧「0V」が印加されて、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になっている。
その後、図3(c)において、最も上の行R1の電荷転送用の透明電極5に駆動電圧「5V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になる。このとき、上から2行目(行R2)の電荷転送用の透明電極7に駆動電圧「0V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になっている。さらに、上から3、4行目(行R3および行R4)の電荷転送用の透明電極7,8に駆動電圧「5V」が印加されて、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になって深くなっている。よって、透明電極7下のN型注入領域4に保持された信号電荷が、透明電極7、8下のN型注入領域4に保持されて垂直方向に一つ電荷転送されることになる。この電荷転送が、撮像領域全面で垂直方向に行われて、これが繰り返され、垂直方向に電荷転送された信号電荷が水平方向に電荷転送されることになる。
各受光部に入射光が入射される露光状態では電荷転送部がなく、この電荷転送時には、その後の液晶層13のスイッチイング特性により入射光が遮光状態になるため、従来のようなスミヤの発生はない。この場合、2画素を組み合わせて信号電荷を電荷転送しているが、暗い場合には、1画素でたくさんの信号電荷が欲しいので、3画素を組み合わせてパケットを大きくして(ポテンシャル電位の深い部分を広くして)信号電荷を電荷転送してもよく、この場合を図4(a)、図4(b)、図4(c)に示している。逆に、より明るければ、1画素の信号電荷を電荷転送するようにしてもよい。このように、2画素を組み合わせたり3画素を組み合わせたりして、透明電極5〜10への駆動電圧の電圧パターンが可変なため、画素サイズを変更できる。
図4(a)〜図4(c)は、図1の固体撮像素子に入る光が少ない場合の電荷転送パターンを模式的に示す平面図である。なお、図3(a)、図3(b)、図3(c)の1列のN型注入領域4が、ここでは2列のN型注入領域4になっている。
図4(a)に示すように、最も上の行の電荷転送用の横方向の透明電極5に駆動電圧「0V」の場合に、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になって深くなっている。このとき、上から2〜4行目の電荷転送用の透明電極6〜8に駆動電圧「5V」が印加されるので、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になってさらに深くなって信号電荷を蓄積することができる。よって、最も深い「10V」の透明電極6〜8下のN型注入領域4に信号電荷が蓄積されて保持される。その後、図4(b)さらに図4(c)のようにこの駆動電圧の印加位置が順次ずれることにより信号電荷が所定方向に電荷転送される。このように、入射光が暗い場合に、3画素を組み合わせて画素サイズを大きくして、透明電極5〜10への駆動電圧を順次ずらすことにより電荷転送することができる。
また、図4(a)〜図4(c)では、透明電極5〜10の基準電圧数が「0V」および「5V」の2つの低電圧と高電圧であったが、これに限らず、透明電極5〜10の基準電圧数が「0V」、「5V」および「7V」の3つの低電圧、中電圧および高電圧について図5(a)〜図5(c)に示している。このように、透明電極5〜10の基準電圧数をコントロールできることから、最適な電荷転送効率を実現できる。
図5(a)〜図5(c)は、図1の固体撮像素子の透明電極の基準電圧数を増やした場合の電荷転送パターンを模式的に示す平面図である。ここでは、透明電極5〜10に印加する低電圧を「0V」、第1高電圧を「5V」、第2高電圧を「7V」としている。
図5(a)に示すように、最も上の行の電荷転送用の横方向の透明電極5に駆動電圧「0V」が印加される場合に、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、1列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になって深くなっている。このとき、上から2行目の電荷転送用の透明電極6に駆動電圧「5V」が印加されるので、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、1列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になってさらに深くなって信号電荷を蓄積することができる。さらに、上から3行目の電荷転送用の透明電極7には、駆動電圧「7V」が印加されるので、P型注入領域3のポテンシャル電位が「7V」で、1列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「12V」になってさらに深くなって信号電荷を蓄積することができる。よって、透明電極6下のN型注入領域4よりも深い「12V」の透明電極7下のN型注入領域4にポテンシャル電位が傾斜して電荷転送がスムーズになっており、最も深い「12V」の透明電極7下のN型注入領域4に信号電荷が最も蓄積されて保持される。その後、図5(b)さらに図5(c)のようにこの駆動電圧の印加位置が順次ずれることにより信号電荷が所定方向に電荷転送される。このように、透明電極5〜10の基準電圧数をコントロールして、透明電極5〜10への駆動電圧を順次ずらすことにより電荷転送することができて、最適な電荷転送効率が実現される。
したがって、従来の構成では、PD部(受光部)、垂直転送部、画素分離領域が必要であったが、本実施形態1では、垂直転送部と画素分離領域が不必要となり、その結果、開口効率が向上して略100パーセントとなり、受光感度特性を大幅に向上させることができる。この場合、ポテンシャル電位により画素分離領域を作っているが、ポテンシャル電位による画素分離領域においても、光電変換が為されてそれがポテンシャル電位の深い領域に集まって蓄積される。したがって、ポテンシャル電位により画素分離領域となる領域も含めて画素領域(受光領域)となるので、略100パーセントの開口率となる。
また、液晶層13のスイッチイング特性により、入射光をオン(通過)/オフ(遮断)できることから、従来発生していたスミアが発生しない。
さらに、透明電極5〜10を用いることで、2層電極や3層電極ではなく、単層電極(1層ポリ電極)での電荷転送が可能となる。
さらに、本実施形態1の固体撮像素子1の画素部(受光部)に必要な不純物注入工程が単純なことから、不純物注入工程による白傷不良などの画素欠陥不良が大幅に低減し、高歩留まりを期待することができる。
さらに、従来のような受光部から垂直転送部への信号電荷の移動(読み出し動作)がポテンシャル電位の山と谷により自然に行なわれて、受光部から垂直転送部への信号電荷の移動(読み出し動作)が不必要であるため、電荷転送のために印加する透明電極5〜10の基準電圧が最低2種類で済む。これによって、透明電極5〜10への駆動電圧の低電圧化による低消費電力化を実現することができる。
さらに、透明電極5〜10への駆動電圧の電圧パターンが可変なため、画素サイズを変更できる。
さらに、透明電極5〜10の基準電圧数をコントロールできることから、最適な電荷転送効率を実現できる。
さらに、高画素化した場合に、従来のようにマイクロレンズにより集光率を高めていたが、本実施形態1の固体撮像素子1にはマイクロレンズのレンズレス化で撮像を行うことができる。
なお、本実施形態1では、液晶層13および偏光板15、11を用いて入射光の通過と遮光を制御しているが、入射光が偏光板15、11を通過する際に光量が1/2になるという欠点を有している。したがって、液晶層13に通常の光を通過させるかまたは遮断することができる液晶材料を用いて、液晶層13にツイストネマチック(TN)またはスーパーツイストネマチック(STN)の液晶材料を使わず、偏光板15、11を使わない場合には、受光部に入射させる光量を改善することができる。
なお、図4(a)、図4(b)および図4(c)において、図3(a)、図3(b)および図3(c)の1列のN型注入領域4が、図6の固体撮像素子21では、2列のN型注入領域4になっている。この場合、2列のN型注入領域4の間は薄いN型拡散層になっているので、2列のN型注入領域4の間をポテンシャル電位的に分離することができる。
前述したように撮像対象が更に暗い場合に、2列のN型注入領域4と3行の透明電極下のN型注入領域4とを1画素部として組み合わせて画素サイズを大きくしたが、これに限らず、3列のN型注入領域4と4行の透明電極下のN型注入領域4とを1画素部の領域として組み合わせて画素サイズを更に大きくしてもよい。3列と4行の各N型注入領域4を1画素部の領域として1画素部の画素サイズを更に広げた場合を、図7に示している。
図7は、図6の固体撮像素子21の電荷転送パターンの画素サイズを更に広げた場合を模式的に示す平面図である。なお、図4(a)の1列のP型注入領域および2列のN型注入領域4に代えて、1列のP型注入領域および3列のN型注入領域4(幅が広くなる)について説明する。これによって、1画素部の列の幅をより広く制御することができる。
図7に示すように、最も上の行の電荷転送用の横方向の透明電極5に駆動電圧「0V」の場合に、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、3列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になって深くなっている。このとき、上から2〜5行目の電荷転送用の透明電極6〜9に駆動電圧「5V」が印加されるので、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、3列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になってさらに深くなって信号電荷を蓄積することができる。これによって、最も深い「10V」の透明電極6〜9下のN型注入領域4に信号電荷が蓄積されて保持される。この駆動電圧の印加位置が順次ずれることにより信号電荷が所定方向に電荷転送される。このように、入射光が暗い場合に、3列のN型注入領域4と4行の各N型注入領域4を1画素部の領域として組み合わせて画素サイズを大きくして、透明電極5〜10への駆動電圧を順次ずらすことにより電荷転送することができる。
なお、本実施形態1では、2列と3行や、3列と4行の各N型注入領域4を1画素部として組み合わせた場合について説明したが、これに限らず、図8(a)に示す1列と1行のN型注入領域4、図8(b)に示す1列と2行のN型注入領域4半導体領域、図8(c)に示す2列と2行の各N型注入領域4、図8(d)に示す3列と3行の各N型注入領域4を1画素部として組み合わせてもよく、要は、n(nは自然数)列とm(mは自然数)行の各半導体領域を1画素部として組み合わせてもよい。
即ち、縦方向のP型注入領域3およびN型注入領域4を列方向に配置し、透明電極5〜10を行方向に配置する場合に、n(nは自然数)列とm(mは自然数)行の各半導体領域を1画素部として組み合わせてもよい。
(実施形態2)
本実施形態2では、液晶層の液晶材料としてコレステリック液晶材料を用いて偏光板を不要として光量減少を抑制した場合であって、上記実施形態1に対応した場合について説明する。
図9は、図2のP型注入領域およびN型注入領域上に、コレステリック液晶を用いた液晶装置を設けた場合における固体撮像素子の実施形態2の要部縦断面図である。
図9に示すように、本実施形態2の固体撮像素子31は、半導体層または半導体基板2上に、各受光部を構成する縦方向のP型注入領域3とN型注入領域4とが交互に横方向に配置されている。これらのP型注入領域3およびN型注入領域4上に、電荷転送用の横方向の単層の透明電極5〜10をこの順に縦方向に繰り返し並べて配置する。さらに、その上に、透明フィルム33、液晶制御用の下側の透明電極34、液晶層32、液晶制御用の上側の透明電極34、透明フィルム33をこの順に積層した液晶装置(液晶セル)を3原色のRGB用の3セットを重ねて配置する。
これらの下側の透明電極34、液晶層32および上側の透明電極34から入射光透過/遮光制御手段としての液晶手段である液晶セルが3原色のRGB用の3セットを積層しており、これらの各液晶セルと組み合わせて、被写体からの画像光を光電変換して撮像する固体撮像素子31が構成されている。この液晶セルは露光時に入射光を透過し、電荷転送時に入射光を遮光するように機能する。
液晶層32は、コレステリック液晶材料を用いている。コレステリック液晶材料は、液晶分子のらせんの軸が縦向きかまたは横向きで安定するので、駆動電圧を切っても半永久的に液晶分子の向きを維持できるメモリ性のあることから、書き換え時のみ電力を用いる超低消費電力を実現することができる。また、一度表示した表示画面は、駆動電圧をかけて表示画面を変更する以外は駆動電圧をかけないので、画面がちらついたりしない。しかも、コレステリック液晶材料を用いることにより、偏光板、反射板およびカラーフィルタなどを不要とすることから、紙のように薄くて軽く、しかも明るい液晶装置(液晶セル;デンシペーパ)を実現することができる。これによって、透過する光量を大幅に有効利用することができて、受光感度の大幅な向上を達成することができる。
また、液晶層32にコレステリック液晶材料を用いる場合は、液晶手段は、赤色光(R)を反射する第1液晶手段としての液晶装置(液晶セル)と、緑色光(G)を反射する第2液晶手段としての液晶装置(液晶セル)と、青色光(B)を反射する第3液晶手段としての液晶装置(液晶セル)とを積層して、入射光の透過時に各色光(RGBのいずれか)を選択的に透過可能としている。
上記構成により、上から入射された入射光は、液晶層32のスイッチイング特性により、上下の透明電極34に印加される制御信号によりコントロールされて、固体撮像素子31の受光部への入射光を透過させたり遮光したりする。これによって、従来のように遮光層により遮光された垂直転送領域を設ける必要がなくなる。即ち、遮光層および垂直転送領域を別途設ける必要がない。
液晶装置を通った入射光は、電荷転送用の透明電極5〜10を通過し、そのまま、固体撮像素子31の各受光部まで到達する。固体撮像素子31の各受光部では、縦方向にP型注入領域3およびN型注入領域4を設けており、ここで、光電変換した電子は、ポテンシャルが深い方のN型注入領域4側に集まって蓄積される。なお、N型注入領域4はP型注入領域3によって分離されているが、これに限らず、同じN型注入領域4同士であっても、不純物の注入を1回で済ませて、ポテンシャルの山と谷を作れば同じN型注入領域4同士であても、隣接する列と分離可能である。この点は次の実施形態4に記載している。
最後に、電荷転送方法ついては、横方向にそれぞれ配置された透明電極5〜10の転送駆動電圧を、順送りすることにより電子(各信号電荷)を電荷転送することができる。このように、透明電極5〜10を用いたため、1層配線での電荷転送が可能となっている。
図10(a)〜図10(c)は、図9の固体撮像素子のCCD転送事例を示す平面図である。
図10(a)に示すように、時間t1において、P型注入領域3(C1,C3)とN型注入領域4(C2,C4)が縦方向に設けられており、最も上の行R1の電荷転送用の横方向の透明電極5(R1)に駆動電圧「0V」の場合に、P型注入領域3(C1,C3)のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4(C2,C4)のポテンシャル電位が「5V」になって深くなっている。このとき、上から2,3行目(R2,R3)の電荷転送用の透明電極6,7に駆動電圧「5V」が印加されるので、P型注入領域3(C1,C3)のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4(C2,C4)のポテンシャル電位が「10V」になってさらに深くなって信号電荷を蓄積することができる。よって、最も深い「10V」の透明電極6,7下のN型注入領域4(C2,C4)に信号電荷が蓄積されて保持される。
次に、図10(b)に示すように、時間t2において、最も上の行R1と2行目(R2)の電荷転送用の透明電極5、6に駆動電圧「0V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になる。このとき、上から3行目(R3)の電荷転送用の透明電極7に駆動電圧「5V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になっている。さらに、上から4、5行目(R4およびR5)の電荷転送用の透明電極8,9に駆動電圧「0V」が印加されて、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になっている。
その後、図10(c)に示すように、時間t3において、最も上の行R1の電荷転送用の透明電極5に駆動電圧「5V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になる。このとき、上から2行目(R2)の電荷転送用の透明電極7に駆動電圧「0V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になっている。さらに、上から3、4行目(R3およびR4)の電荷転送用の透明電極7,8に駆動電圧「5V」が印加されて、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になって深くなっている。よって、透明電極7下のN型注入領域4に保持された信号電荷が、透明電極7、8下のN型注入領域4に保持されて垂直方向に一つ電荷転送されることになる。この電荷転送が、撮像領域全面で垂直方向に行われて、これが繰り返され、垂直方向に電荷転送された信号電荷が水平方向に電荷転送されることになる。
図10(a)〜図10(c)では、1列2行による最小領域でのCCD転送事例について説明したが、次に、図11(a)〜図11(c)では、1列3行による暗時撮像の場合のCCD転送事例について説明する。
図11(a)〜図11(c)は、図9の固体撮像素子の別のCCD転送事例を示す平面図である。
図11(a)に示すように、時間t1において、P型注入領域3とN型注入領域4が縦方向に設けられており、最も上の行R1の電荷転送用の横方向の透明電極5に駆動電圧「0V」の場合に、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になって深くなっている。このとき、上から2〜4行目(R2〜R4)の電荷転送用の透明電極6〜8に駆動電圧「5V」が印加されるので、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になってさらに深くなって信号電荷を蓄積することができる。よって、最も深い「10V」の透明電極6〜8下のN型注入領域4に信号電荷が蓄積されて保持される。
次に、図11(b)に示すように、時間t2において、最も上の行R1と2行目(R2)の電荷転送用の透明電極5、6に駆動電圧「0V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になる。このとき、上から3、4行目(R3およびR4)の電荷転送用の透明電極7、8に駆動電圧「5V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になって深くなっている。さらに、上から5、6行目(R5およびR6)の電荷転送用の透明電極9,10に駆動電圧「0V」が印加されて、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になっている。
その後、図11(c)に示すように、時間t3において、最も上の行R1の電荷転送用の透明電極5に駆動電圧「5V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になる。このとき、上から2行目(R2)の電荷転送用の透明電極7に駆動電圧「0V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になっている。さらに、上から3〜5行目(R3〜R5)の電荷転送用の透明電極7〜9に駆動電圧「5V」が印加されて、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、N型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になって深くなっている。よって、透明電極7、8下のN型注入領域4に保持された信号電荷が、透明電極7〜9下のN型注入領域4に保持されて垂直方向に一つ電荷転送されることになる。この電荷転送が、撮像領域全面で垂直方向に行われて、これが繰り返され、垂直方向に電荷転送された信号電荷が水平方向に電荷転送されることになる。
なお、以上のいずれの事例の場合にも、コレステリック液晶の動作により、RGB光を3回に分けて1回の撮像に3回の電荷転送を行ってもよい。また、上記実施形態1,2の場合に比べて、カラーフィツタと2枚の偏光板とが不要となる分だけ光量を大幅に有効利用することができて受光効率が大幅に向上する。
また、列の数の表現について、何列分の領域にN型不純物をドープするという意味であり、例えば3列分のマスクパターンがあるわけではなく、例えば3列分の領域に一度にN型不純物がドープされて上記のようなポテンシャル電位が発生するという意味である。
なお、図12(a)〜図12(c)および図13(a)〜図13(c)において、図10(a)〜図10(c)および図11(a)〜図11(c)の1列のN型注入領域4が、ここでは2列のN型注入領域4になっている。この場合、2列のN型注入領域4の間は、薄いN型拡散層になっていてもよい。この場合、N型注入領域4を形成するのに、隣接するN型注入領域4間が薄いN型拡散層になるようにN型不純物をイオン注入すればよい。これによって、2列または3列の隣接N型注入領域4の間をポテンシャル電位的に分離することができる。
図12(a)〜図12(c)では、2列2行による広い領域でのCCD転送事例について説明する。
図12(a)〜図12(c)は、図9の固体撮像素子の2列2行による広い領域でのCCD転送事例を示す平面図である。
図12(a)に示すように、時間t1において、P型注入領域3(C1,C4)と2列のN型注入領域4(C2,3、C5,6)が縦方向に設けられており、最も上の行R1の電荷転送用の横方向の透明電極5(R1)に駆動電圧「0V」の場合に、P型注入領域3(C1,C4)のポテンシャル電位が「0V」で、2列のN型注入領域4(C2,3、C5,6)のポテンシャル電位が「5V」になって深くなている。このとき、上から2,3行目(R2,R3)の電荷転送用の透明電極6,7に駆動電圧「5V」が印加されるので、P型注入領域3(C1,C4)のポテンシャル電位が「5V」で、2列のN型注入領域4(C2,3、C5,6)のポテンシャル電位が「10V」になってさらに深くなって信号電荷を蓄積することができる。よって、最も深い「10V」の透明電極6,7下の2列のN型注入領域4(C2,3、C5,6)に信号電荷が蓄積されて保持される。
次に、図12(b)に示すように、時間t2において、最も上の行R1と2行目(R2)の電荷転送用の透明電極5、6に駆動電圧「0V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になる。このとき、上から3行目(R3)の電荷転送用の透明電極7に駆動電圧「5V」が印加され、上から3行目(R3)のP型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になっている。さらに、上から4、5行目(R4およびR5)の電荷転送用の透明電極8,9に駆動電圧「0V」が印加されて、上から4、5行目(R4およびR5)のP型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になっている。
その後、図12(c)に示すように、時間t3において、最も上の行R1の電荷転送用の透明電極5に駆動電圧「5V」が印加され、P型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になる。このとき、上から2行目(R2)の電荷転送用の透明電極7に駆動電圧「0V」が印加され、上から2行目(R2)のP型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になっている。さらに、上から3、4行目(R3およびR4)の電荷転送用の透明電極7,8に駆動電圧「5V」が印加されて、上から3、4行目(R3およびR4)のP型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になって深くなている。よって、透明電極7下の2列のN型注入領域4に保持された信号電荷が、透明電極7、8下の2列のN型注入領域4に保持されて垂直方向に一コマ電荷転送されることになる。この電荷転送が、撮像領域全面で垂直方向に行われて、これが繰り返され、垂直方向に電荷転送された信号電荷が水平方向に電荷転送されることになる。
図13(a)〜図13(c)は、図12の固体撮像素子の2列2行から更に領域拡張した2列3行による広い領域でのCCD転送事例を示す平面図である。
図13(a)に示すように、時間t1において、P型注入領域3(C1,C4)と2列のN型注入領域4(C2,3、C5,6)が縦方向に設けられており、最も上の行R1の電荷転送用の横方向の透明電極5(R1)に駆動電圧「0V」の場合に、最も上の行R1のP型注入領域3(C1,C4)のポテンシャル電位が「0V」で、2列のN型注入領域4(C2,3、C5,6)のポテンシャル電位が「5V」になって深くなている。このとき、上から2〜4行目(R2〜R4)の電荷転送用の透明電極6〜8に駆動電圧「5V」が印加されるので、上から2〜4行目(R2〜R4)のP型注入領域3(C1,C4)のポテンシャル電位が「5V」で、2列のN型注入領域4(C2,3、C5,6)のポテンシャル電位が「10V」になってさらに深くなって信号電荷を蓄積することができる。よって、最も深い「10V」の透明電極6,7下の2列のN型注入領域4(C2,3、C5,6)に信号電荷が蓄積されて保持される。
次に、図13(b)に示すように、時間t2において、最も上の行R1と2行目(R2)の電荷転送用の透明電極5、6に駆動電圧「0V」が印加され、最も上の行R1と2行目(R2)のP型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になる。このとき、上から3、4行目(R3、4)の電荷転送用の透明電極7、8に駆動電圧「5V」が印加され、上から3、4行目(R3、4)のP型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になっている。さらに、上から5、6行目(R5およびR6)の電荷転送用の透明電極9,10に駆動電圧「0V」が印加されて、上から5、6行目(R5およびR6)のP型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になっている。
その後、図13(c)に示すように、時間t3において、最も上の行R1の電荷転送用の透明電極5に駆動電圧「5V」が印加され、最も上の行R1のP型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になる。このとき、上から2行目(R2)の電荷転送用の透明電極7に駆動電圧「0V」が印加され、上から2行目(R2)のP型注入領域3のポテンシャル電位が「0V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「5V」になっている。さらに、上から3〜5行目(R3〜R5)の電荷転送用の透明電極7〜9に駆動電圧「5V」が印加されて、上から3〜5行目(R3〜R5)のP型注入領域3のポテンシャル電位が「5V」で、2列のN型注入領域4のポテンシャル電位が「10V」になって深くなている。よって、透明電極7〜9下の2列のN型注入領域4に保持された信号電荷が、透明電極7〜9下の2列のN型注入領域4に保持されて垂直方向に一コマ電荷転送されることになる。この電荷転送が、撮像領域全面で垂直方向に行われて、これが繰り返され、垂直方向に電荷転送された信号電荷が水平方向に電荷転送されることになる。
なお、以上のいずれの事例の場合にも、コレステリック液晶の動作により、RGB光を3回に分けて1回の撮像に3回の電荷転送を行うことができる。また、上記実施形態1の場合に比べて、カラーフィルタと2枚の偏光板とが不要となる分だけ光量を大幅に有効利用することができて受光効率が大幅に向上する。
また、上記実施形態1、2で用いた液晶手段としての液晶装置(液晶セル)ではなく、入射光を単に透過させるかまたは遮光するかを選択的に制御可能な液晶装置(液晶セル)を用いてもよい。これによって、上記実施形態2のように液晶装置(液晶セル)が3セット必要であったものが1セットでよく、より薄く構成することができる。この場合にも、2枚の偏光板が不要となる分だけ光量を大幅に有効利用することができて受光効率が大幅に向上する。
(実施形態3)
図14は、本発明の実施形態3として、本発明の実施形態1、2の固体撮像素子のいずれかを含む固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
図14において、本実施形態2の電子情報機器90は、上記実施形態1、2の固体撮像素子1、21および31のいずれかからの撮像信号を各種信号処理してカラー画像信号を得る固体撮像装置91と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部92と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示手段93と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信手段94と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を印刷用に所定の信号処理をした後に印刷処理可能とするプリンタなどの画像出力手段95とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置91の他に、メモリ部92と、表示手段93と、通信手段94と、プリンタなどの画像出力手段95とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
したがって、本実施形態3によれば、この固体撮像装置91からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力装置95により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部92に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
なお、上記実施形態1、2では、特に説明しなかったが、半導体層または半導体基板に交互に横方向に配置され、被写体からの画像光を光電変換する光電変換部となる縦方向の一導電型注入領域および他導電型注入領域と、一導電型注入領域および他導電型注入領域上に設けられた横方向の複数の電荷転送駆動用透明電極と、複数の電荷転送駆動用透明電極上に設けられ、入射光を透過または遮光制御するための液晶手段とを有していれば、画素部の微細化に伴う受光感度特性の劣化およびスミア特性が劣化を抑制すると共に、遮光膜の形成プロセスがなく製造を簡略化することができ、かつ信号読み出し制御をもなくすことができる。
また、上記実施形態1では、特に説明しなかったが、白黒表示であるが、液晶セルに例えばベイヤー色配列などのカラーフィルタを用いれば、色補間のための演算処理を必要とするものの、カラー撮像が可能となる。
さらに、上記実施形態2では、透過または遮光を制御するための液晶制御電圧を制御することにより、赤色光を反射する第1液晶手段と、緑色光を反射する第2液晶手段と、青色光を反射する第3液晶手段とを積層して、入射光の透過時に各色光を順次選択的に透過させることができる。よって、通常4画素で一つの色を作るが、コレステリック液晶の場合は、1画素を3回分(RGB)転送することで、画像を作成するため、高画素化が可能となる。
ここで、図18(a)〜図18(e)を参照してコレステリック液晶による光のスイッチング動作について説明する。図18(b)のようにコレステリック液晶層(B)を電圧ローレベルにすることによりB色の透過光が得られる。また同様に、図18(c)のようにコレステリック液晶層(G)を電圧ローレベルにすることによりG色の透過光が得られる。さらに、図18(d)のようにコレステリック液晶層(R)を電圧ローレベルにすることによりR色の透過光が得られる。さらに、図18(e)のようにコレステリック液晶層(B)、(G)および(R)を全て電圧ローレベルにすることにより遮光状態となる。
さらに、上記実施形態2では、液晶セルの液晶層にコレステック液晶材料を用いているが、この場合に、液晶セルは、近赤外光までの全ての可視光波長範囲を透過または遮光可能とするように構成することもできる。本発明で用いる半導体層または半導体基板がシリコン層またはシリコン基板である場合に、このようにすべての光が液晶セルを透過すると、白黒表示であるが、近赤外まで可視光波長範囲を見ることができる固体撮像素子となるシリコンバンドギャップエネルギー(Band GapEnergy)=1.1eVである。
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜3を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜3に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜3の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。