JP5404712B2 - 充電装置、車載用充電装置、車載用充電装置における充電方法 - Google Patents

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Description

この発明は車載用充電装置および充電方法に関し、特に、車両外部から充電可能な高圧駆動用蓄電池および、高圧駆動用蓄電池から降圧型のコンバータを介して充電される低圧補機用蓄電池を充電する装置および充電方法に関する。
近年、環境に配慮した自動車として、電気自動車やハイブリッド車が注目されている。このような自動車は、従来の自動車同様に制御回路等を動作させる補機用蓄電池(低圧)とともに、従来のエンジンに代わり(加え)、インバータとインバータによって駆動される電動発電機(モータージェネレーター)を駆動させるための駆動用蓄電池(高圧)とを有している。
駆動用蓄電池(高圧)は、ハイブリッド車では、走行中の回生電力で充電されるが、近年では、PHEV車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle:プラグインハイブリッドカー)や電気自動車のように、家庭用交流電源もしくは専用の充電設備によって、車両外部から充電可能なように構成されつつある。
駆動用蓄電池(高圧)または補機用蓄電池(低圧)の充電を行うための制御装置は、いずれも一般的には補機用蓄電池(低圧)から電力供給される(例えば下記特許文献1参照)。
また、これらの補機用蓄電池(低圧)と駆動用蓄電池(高圧)、特に、2次蓄電池と言われる電気自動車やハイブリッド自動車用の駆動用の蓄電池(高圧)としては、一般的には、エネルギ密度の高いニッケル水素やリチウムイオン蓄電池が搭載される。しかしながら、このようなエネルギ密度の高い蓄電池は、急速(大電流)充放電、過放電や多頻度の充放電を行うと劣化し、著しく寿命が低下したり、過放電後に本来の性能を発揮できなくなることがある。このため、こういった蓄電池の過放電を防止するための技術が搭載されている。
例えば、下記特許文献2は、電動車の蓄電池過放電防止装置を開示する。この蓄電池過放電防止装置は、走行用モータへ電力を供給するための高圧で充電可能な走行用蓄電池と、走行用蓄電池からの電力供給をうけて低圧負荷へ給電する降圧型のDC−DCコンバータと、この降圧型のDC−DCコンバータにより充電される低圧用蓄電池とを備え、過放電の防止対策として、降圧型のDC−DCコンバータの出力電圧が所定範囲内に維持できない場合は、出力を停止するとともに、低圧用蓄電池から低圧負荷への電力供給を遮断する手段を備える構成となっている。
これにより、低圧バッテリの過放電を防止し、また、低圧用蓄電池から低圧負荷への電力供給を遮断することで低圧負荷消費電力を低減し、これにより高圧バッテリ(走行用蓄電池)の過放電も防止している。そして、高圧出力でなく、低圧負荷を、リレーを用いて遮断することにより、低コスト化を図っている。
また下記特許文献3は、二次蓄電池の過充電および過放電を回避するための充放電制御装置およびそれを搭載したハイブリッド車両を開示する。この充放電制御装置は、車両に搭載された二次蓄電池の蓄電池モデル式に基づいて、蓄電池の内部状態を推定する手段と、蓄電池の内部状態の推定値に基づいて、二次蓄電池が所定電力を継続的に出力可能な時間を予測する手段と、この予測時間を考慮して、二次蓄電池の過充電および過放電を回避するように負荷への動作指令を行う手段を備える。また、蓄電池性能を最大限に発揮するようにしている。
さらに下記特許文献4は、通常時充電モードと過放電時充電モードを備える充電器を開示する。この充電器は、充電器から蓄電池への充電電圧と電流を検出するセンサを備え、蓄電池の内部抵抗を演算することで、過放電状態か否かを判断する。これにより、過放電と判断された場合は、過放電時に適した充電を行い、蓄電池の寿命を損なうことなく(特に鉛蓄蓄電池の場合)、かつ充電作業性の向上を図っている。
特開2008−149897号公報 特開平9−9402号公報(特許第3491714号公報) 国際公開第WO2008/016129号パンフレット 特開平9−163619号公報
上記特許文献2に記載の装置は、低圧用蓄電池から低圧負荷への電力供給を遮断することにより低圧バッテリの過放電防止、低圧負荷消費電力の低減をはかり高圧バッテリの過放電防止を実現している。しかしながら、特許文献1に記載するように、駆動用蓄電池(高圧)または補機用蓄電池(低圧)の充電を行うための制御装置は、一般的には補機用蓄電池(低圧)から電力供給される。このため、過放電により、補機用蓄電池からの電力供給が遮断された場合、制御装置への電力供給が絶たれ、駆動用蓄電池(高圧)または補機用蓄電池(低圧)を充電することができなくなるという問題があった。
これを解決するために、特許文献3に記載の装置のように、負荷の動作を制御するような方法が考えられるが、制御する対象は二次蓄電池の負荷となっており、走行中の電力回生を前提とした蓄電池性能の最大限の発揮を主目的としたものである。このため、複雑な演算と制御が必要で、高価なものとなるという問題があった。
また、別な問題として、やむを得ず、過放電になってしまった場合には、蓄電池の寿命と判断され、蓄電池廃却・交換等の対応をせざるを得ないということがあった。そこで、特許文献4に記載の装置のように、過放電状態を判断し、蓄電池状態(通常/過放電)に応じた充電を行うことが考えられるが、補機用蓄電池(低圧)は、駆動用蓄電池(高圧)から充電されるため、駆動用蓄電池(高圧)が過放電の場合、補機用蓄電池から充電制御装置への電力供給が十分に行えなくなるという問題があった。
この発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、駆動用蓄電池(高圧)の出力低下時に、駆動用蓄電池(高圧)および補機用蓄電池(低圧)の過放電を防止するとともに、駆動用蓄電池(高圧)の充電を継続させ、またその後の状況によっては、通常状態にまで復帰させることが可能な、車載用充電装置およびその充電方法等を提供することを目的とする。
この発明は、車両の駆動トルクを発生する電動発電機に給電する相対的に高圧の駆動用蓄電池と、前記駆動用蓄電池に接続され前記駆動用蓄電池の充電を行う第1の電力変換器と、負荷である車両の補機に給電を行う相対的に低圧の補機用蓄電池と、前記駆動用蓄電池に接続され前記補機用蓄電池の充電を行うと共に、前記負荷への電力供給を行う第2の電力変換器と、前記駆動用蓄電池の充電状態をモニタする充電状態モニタと、前記第1および第2の電力変換器および前記負荷を制御する制御装置と、を備え、前記負荷は、少なくとも前記制御装置、前記第1および第2の電力変換器、前記補機用蓄電池に接続された負荷類を含み、前記制御装置は、前記充電状態モニタの充電状態が前記駆動用蓄電池の過放電の可能性を判断するための所定値以下となった場合に、前記第2の電力変換器および前記補機用蓄電池からの供給電力を制限して前記第1の電力変換器の充電を継続させることを特徴とする車載用充電装置等にある。
この発明の車載用充電装置およびその充電方法では、駆動用蓄電池(高圧)の出力低下時に、駆動用蓄電池(高圧)および補機用蓄電池(低圧)の過放電を防止するとともに、駆動用蓄電池(高圧)の充電を継続させ、またその後の状況によっては、通常状態にまで復帰させることができる。
この発明の実施の形態1に係る車載用充電装置の構成を示す概略ブロック図である。 図1の第1の電力変換器の構成を示す概略ブロック図である。 図1の第2の電力変換器の構成を示す概略ブロック図である。 図1の制御装置の詳細を示すブロック図である。 一般的なリチウムイオン蓄電池の充電プロファイルを示す図である。 この発明の実施の形態1における基本的な充電動作の説明図である。 この発明の実施の形態1における駆動用蓄電池の充電動作に関わる制御装置の処理の概要を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2に係る車載用充電装置の構成を示す概略ブロック図である。 図8の制御装置の詳細を示すブロック図である。 この発明の実施の形態2における駆動用蓄電池の充電動作に関わる制御装置の処理の概要を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3における駆動用蓄電池の充電動作に関わる制御装置の処理の概要を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態4における駆動用蓄電池の充電動作に関わる制御装置の処理の概要を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態5における駆動用蓄電池の充電動作に関わる制御装置の処理の概要を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態5における補機用蓄電池の充電動作の説明図である。
この発明は、駆動用蓄電池(高圧)の出力低下時に、駆動用蓄電池(高圧)および補機用蓄電池(低圧)の過放電を防止するとともに、駆動用蓄電池(高圧)の充電を継続させ、またその後の状況によっては、通常状態にまで復帰させることが可能な、充電装置、車載用充電装置およびその充電方法を提供する。また、駆動用蓄電池(高圧)の過放電時にも、蓄電池を復活させ、蓄電池廃却・交換を不要にすることが可能な装置、方法を提供する。
以下、この発明による充電装置、車載用充電装置およびその充電方法を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
なお以下では、一例としてこの発明の車載用充電装置が、車両の外部から駆動用蓄電池を充電し、エンジンを搭載しない電気自動車に搭載された場合を例に挙げて説明するが、この発明はこれに限定されることなく、例えばモータとエンジンを併用して走行するハイブリッド自動車(PHEV自動車を含む)に搭載される場合にも適用可能である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車載用充電装置の構成を示す概略ブロック図である。この実施の形態1に係る充電装置100は、駆動用蓄電池103、補機用蓄電池104、第1の電力変換器105、第2の電力変換器106から構成される。
ここで、駆動用蓄電池103、例えば、エネルギ密度の高いニッケル水素蓄電池やリチウムイオン蓄電池と呼ばれるもので、大容量で比較的低コストであるものの、急速(大電流)充放電、過充放電や多頻度の充放電を行うと劣化しやすいという特性をもつものである。この実施の形態では、リチウムイオン蓄電池を想定している。
補機用蓄電池104は、一般的な、鉛蓄蓄電池を想定している。蓄電池電圧は、例えば、駆動用蓄電池103は300V以上の高圧、補機用蓄電池104は一般的な14V程度である。
第1の電力変換器105は、家庭用交流電源または専用のインフラ充電設備からなる交流電源111に接続され、交流電圧を駆動用蓄電池103に応じた直流電圧に変換して、駆動用蓄電池103を充電する。
第2の電力変換器106は、駆動用蓄電池103および第1の電力変換器105に接続され、駆動用蓄電池電圧および第1の電力変換器の出力電圧を、補機用蓄電池104に応じた直流電圧に変換して、補機用蓄電池104を充電する。
また、電動発電機(MG)101を制御するインバータ102は駆動用蓄電池103に、負荷類110は補機用蓄電池104および第2の電力変換器106に、それぞれ接続され、それぞれ必要な電力が供給される。
この実施の形態1においては、第1の電力変換器105、第2の電力変換器106、制御装置108、負荷類110は車両の補機である負荷に含まれ、それぞれ各装置を駆動させるための電源回路を持ち、各電源回路(図示省略)は、補機用蓄電池104の両端に接続され、補機用蓄電池104の電力供給によって動作するものである。
図2は第1の電力変換器105の構成を示す概略ブロック図、図3は第2の電力変換器106の構成を示す概略ブロック図である。図2において、第1の電力変換器105は、補機用蓄電池104から電力が供給され、電源回路501が駆動する。電源回路501は、主回路502および主回路502を制御する制御回路503に必要な電力を供給する。これにより、交流電源111の交流電圧を駆動用蓄電池103を充電するための直流電圧に変換する主回路502が、駆動可能な状態となる。504、505は駆動用蓄電池103を充電する充電電流I0、駆動用蓄電池電圧Vbを検出するそれぞれ電流センサ、電圧センサであり、検出結果は制御回路503を介してまたは直接、制御装置108に送られる。103aは駆動用蓄電池103の残容量である充電状態SOCを検出する残容量センサである。なお駆動用蓄電池103の充電状態SOCとして電圧センサ505からの駆動用蓄電池電圧Vbを使用してもよい。残容量センサ103aと電圧センサ505は充電状態モニタを構成する。
図3において、第2の電力変換器106は、補機用蓄電池104から電力を供給され、電源回路601が駆動する。電源回路601は、主回路602および主回路602を制御する制御回路603に必要な電力を供給する。これにより、駆動用蓄電池103の直流電圧を、補機用蓄電池104を充電、および負荷へ電力供給するための直流電圧に変換する主回路602が、駆動可能な状態となる。604、605は補機用蓄電池104を充電する充電電流I1、補機用蓄電池電圧Vcを検出するそれぞれ電流センサ、電圧センサであり、検出結果は制御回路503を介してまたは直接、制御装置108に送られる。
この実施の形態では、制御装置108へは、補機用蓄電池104から常に電力供給されているものとする。
補機用蓄電池104から、第1の電力変換器105および第2の電力変換器106への電力供給は、図1に示したリレーやコンタクタ等のスイッチの類からなるスイッチ112、113を制御装置108から制御することで行われる。通常、スイッチ112は駆動用蓄電池103を充電する時以外はOFF、スイッチ113は駆動用蓄電池103および補機用蓄電池104を充電する時と車両走行時以外はOFFである。また補機用蓄電池104から負荷類110への電力供給は、同様にリレーやコンタクタ等のスイッチの類からなるスイッチ115を制御装置108から制御することで行われる。これは例えば制御装置108の後述する補機電力制御部807により制御され、このため制御装置108に例えば車両駆動制御装置等からの車両走行信号Dが入力される。なおスイッチ112,113,114,115は給電接続切換手段を構成する。
図4は、制御装置108の詳細を示すブロック図である。制御装置108は、第1の電力変換器制御部801と、第2の電力変換器制御部802と、駆動用蓄電池103の充電状態SOC(state of charge:残容量)をモニタする駆動用蓄電池充電状態モニタ部804と、駆動用蓄電池充電電流I0をモニタする駆動用蓄電池充電電流モニタ部803と、補機用蓄電池充電電流I1をモニタする補機用蓄電池充電電流モニタ部811とを備える。また、駆動用蓄電池電圧Vbをモニタする駆動用蓄電池電圧モニタ部805と、補機用蓄電池電圧Vcをモニタする補機用蓄電池電圧モニタ部806とを備える。さらに、補機用蓄電池104から負荷への電力供給を制御する補機電力制御部807を備える。
第1の電力変換器制御部801は、駆動用蓄電池電圧モニタ部805で得られた駆動用蓄電池電圧Vb、駆動用蓄電池充電電流モニタ部803で得られた駆動用蓄電池充電電流I0、駆動用蓄電池充電状態モニタ部804で得られた駆動用蓄電池充電状態SOCに基づいて、第1の電力変換器105を制御するための信号を生成し出力する。具体的には、駆動用蓄電池103の目標充電電圧や目標充電電流等である。
第2の電力変換器制御部802は、補機用蓄電池電圧モニタ部806で得られた補機用蓄電池電圧Vc、補機用蓄電池充電電流モニタ部811で得られた補機用蓄電池充電電流I1に基づいて、第2の電力変換器106を制御するための信号を生成し出力する。具体的には、駆動用蓄電池103の目標充電電圧等である。
補機電力制御部807は、駆動用蓄電池充電状態モニタ部804で得られた駆動用蓄電池充電状態SOCに基づいて、第2の電力変換器106および補機用蓄電池104からの供給電力が制限されるよう、接続負荷の一部を遮断するような制御信号を生成する。具体的には、各負荷(110、105,106)と第2の電力変換器106および補機用蓄電池104との接続を遮断するために設けられたリレーやコンタクタ等のスイッチ(図1に記載のスイッチ112、113、115)のON/OFFを制御する信号または図示しない各種負荷の駆動制御信号などである。
図5は、一般的なリチウムイオン蓄電池の充電プロファイルである。以下で詳細を説明する。図5の(a)は、リチウムイオン蓄電池の1セルの蓄電池電圧(以下、セル電圧と言う)を示す図である。駆動用蓄電池103等、容量の大きな蓄電池はこのセルが複数直列に接続されたものである。蓄電池電圧は、セル電圧×セル数で規定される。1セルの蓄電池電圧は一般的に、図5の(a)に示す程度の電圧であることが多い。
図5の(b)は、リチウムイオン蓄電池の充電電流を示す図である。セル電圧は一般的に、図5の(a)に示す2.5V程度を下回ると、過放電と呼ばれる電荷を著しく消耗した領域に入る。過放電領域へ入ると、図5の(b)に記載する1C(1Cは蓄電池の定格容量で決まる値。公称容量値の容量を有するセルを定電流放電して、ちょうど1時間で放電終了となる電流値のこと。例えば、2.2Ah(アンペアアワー)の公称容量値のセルでは1C=2.2A)で充電した場合、セルに不可逆的なダメージが発生する可能性がある。その場合、電荷を回復するために、予備充電と呼ばれる0.1C(C/10)未満の電流で充電するモードで充電を行う。これにより、セル電圧が回復し、予備充電の閾値電圧2.5Vを越えると、通常充電モードで充電を行う。但し、一般的には、予備充電モードでの使用は蓄電池の寿命低下を招くため、常用するようなことはない。
通常充電は、定電流充電(急速充電)モードと定電圧充電(トップオフ充電)モードの2種類で構成される。定電流充電は、セル電圧が2.5Vから4.2Vとなるまで、通常1Cを超えない固定電流で充電する。この時のセルの充電は一般的に70〜90%程度まで完了している。定電圧充電は、定電流充電後、なるべく多くの容量まで充電するために実施する。電圧は4.2V一定となるよう充電する。この時、充電電流は、時間とともに減少し、一般的に充電電流がC/10(0.1C)程度に低下したら充電完了とする。
この実施の形態では、駆動用蓄電池103の電圧が、定電流充電領域にあって、特に、予備充電領域に近い場合の制御を特徴としている。
次に、基本的な充電動作について説明する。図6は、交流電源111および駆動用蓄電池103、補機用蓄電池104の入出力電力(電圧、電流)の関係を示す図である。
第1の電力変換器105は、交流電源111からの入力電力(交流電力)をうけ、駆動用蓄電池103を充電する。この時、第1の電力変換器105の電力変換効率が理想的な100%であれば、入力電力W0=出力電力W1=Vb×I0となる。
第2の電力変換器106は、駆動用蓄電池103からの電力で補機用蓄電池104を充電する。この時、第2の電力変換器106の電力変換効率が理想的な100%であれば、入力電力W2=Vb×Ib=出力電力W3=Vc×I1となる。
また、図6に示されたI0、I1は、制御装置108から各電力変換器に指令される各蓄電池の充電電流であり、各蓄電池の充電状態に基づくもので、瞬時的には固定値である。従って、負荷が各蓄電池103,104しかない理想的な状態であれば、I0=Ia、I1=Icとなり、最適な充電が可能となる。
しかし実際には、第1の電力変換器105には負荷として駆動用蓄電池103および第2の電力変換器106が、第2の電力変換器106には負荷として補機用蓄電池104および第1の電力変換器105、第2の電力変換器106、制御装置108、その他負荷類110が接続されている(第1の電力変換器105、第2の電力変換器106、制御装置108の接続は図1〜3参照)。
このため、補機用蓄電池104および第1の電力変換器105、第2の電力変換器106、制御装置108、その他負荷類110に必要な電力(電流Id)が増えると、Ic<I1となり、充電効率が悪くなる。また、I1<Idの場合には、充電すべき補機用蓄電池104から、電力を消費することになり、ひいては制御装置108から指令される充電電流I1が増加することとなる。I1が増加すればIbも増加し、同様に、Ia<I0となり、充電効率が悪くなり、I0<Ibの場合には、充電すべき駆動用蓄電池103の電力が消費される結果となる。
駆動用蓄電池103および補機用蓄電池104が、満充電に近く、容量に余裕がある場合は、充電効率の悪化はするものの、駆動用蓄電池103がダメージをうけることはないが、駆動用蓄電池103および補機用蓄電池104が、予備充電領域に近い場合は、前述のことが、駆動用蓄電池103に大きなダメージを与える可能性がある。従って、このような状況を回避する必要がある。
以下、駆動用蓄電池103および補機用蓄電池104が、予備充電領域に近い場合の制御装置108の制御処理について説明する。図7は、駆動用蓄電池103の充電制御に関わる制御装置108の処理(特に第1の電力変換器制御部801、第2の電力変換器制御部802、補機電力制御部807で共同して行われる)の概要を示すフローチャートである。以下、図7に沿って動作を説明する。
ステップS10では、予め設定された諸条件(Vb,I0,Vc,I1,SOC,D等に関する条件)に従い充電開始をするか否かを判定する。充電開始しないならば、そのまま終了する。充電開始するならば、ステップS11では、第2の電力変換器106への補機電力の供給のためのスイッチ(SW)113がONか否かを判定する。ONでなければ、ステップS12で、第2の電力変換器106への補機電力の供給のためのスイッチ113をONにし、ステップS13へ移行する。ONであれば、そのままステップS13へ移行する。ステップS13では、第1の電力変換器105への補機電力の供給のためのスイッチ(SW)112をONにする。ステップS14で、第1の電力変換器105から駆動用蓄電池103への電力の供給のためのスイッチ(SW)114をONにする。
ステップS15では、制御装置108へ入力される駆動用蓄電池103の充電状態SOCが、所定の第1の閾値THpより大きいか否かを判定する。ここで、THpは図5に示した2.5V相当(実際には2.5V×駆動用蓄電池103での直列接続されたセル数、以下同様)とする。ステップS15で、SOCがTHp以下と判断されれば、ステップS16で過放電で充電不可と判断し、ステップS17、S18でスイッチ(SW)114、112をそれぞれOFFして、充電制御を終了する。(前述したが、一般的には、蓄電池寿命の観点から蓄電池電圧がTHp以下の場合は使用しない。)
ステップS15で、SOCがTHpより大きいと判断されれば、ステップS19へ移行する。ステップS19では、制御装置108へ入力される駆動用蓄電池103の充電状態SOCが、所定の第2の閾値THcより大きいか否かを判定する。ここで、THcは図5に示した4.2V相当とする。ステップS19で、SOCがTHc以下と判断されれば、定電流充電モードと判断し、ステップS20へ移行する。ステップS19で、SOCがTHcより大きいと判断されれば、定電圧充電モードと判断し、ステップS24へ移行する。
ステップS20では、駆動用蓄電池103の充電電流I0を決定し、ステップS21へ移行する。ステップS21では、制御装置108へ入力される駆動用蓄電池103の充電状態SOCが、所定の第3の閾値THrより大きいか否かを判定する。ここで、THrは図5に記載の2.5Vより少し高めの値、例えば、2.8〜3.0V程度とする。SOCがTHr以下と判断されれば、S22へ移行する。SOCがTHrより大きいと判断されれば、S15へ戻る。THrは、保護回路等で放電終始電圧として使用される値として、過放電にならない安全側かつ使用に支障をきたさない電圧である値を目安に規定される。
ステップS22では、図1に負荷類110で示す、負荷が接続されているか否かを判定する。具体的には、スイッチ115がONされているか否かを判定する。スイッチ115がONされていれば、ステップS23で、スイッチ115をOFFし、負荷を遮断する。負荷が接続されていなければ、ステップS15へ戻る。なお、ここでは、スイッチ115のON/OFFで、負荷の接続を判定したが、CAN(Controller Area Network)通信等による負荷類と制御装置108間の相互通信等により判定してもよい。
ステップS24では、充電電流I0が、所定の第1の閾値THpiより小さいか否かを判定する。ここでTHpiは図5に示す、0.1C(C/10)相当である。所定の閾値THpiより小さければ、充電完了として、ステップS17およびステップS18でスイッチ(SW)114、112をOFFして充電制御を終了する。所定の閾値THpi以上であれば、ステップS25へ移行する。ステップS25では、駆動用蓄電池103の充電電流IOを決定し、ステップS15へ戻る。
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、駆動用蓄電池103の充電状態SOCが所定値(図7のTHr)以下となった場合に、補機用蓄電池104からの電力供給を、駆動用蓄電池103を充電するための第1の電力変換器105、補機用蓄電池104を充電するための第2の電力変換器106、第1および第2の電力変換器105,106および補機用蓄電池104に接続される負荷を制御するための制御装置108のみに限定することで、駆動用蓄電池103の充電処理を継続させ、駆動用蓄電池103の過放電を防止するとともに、電圧を通常状態にまで復帰させることができる。また、駆動用蓄電池103の充電処理を継続させることで、補機用蓄電池104の充電処理も継続させることができ、補機用蓄電池104の過放電を防止できる。これにより、駆動用蓄電池103、補機用蓄電池104の劣化を防止することができる。
この実施の形態では、駆動用蓄電池103の充電状態(SOC)および充電電流I0に基づき、制御装置108で負荷制御を行う構成としたが、第1の電力変換器105で負荷制御を行う構成(例えば第1の電力変換器105に制御装置108を設ける)としてもよい。
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2に係る車載用充電装置の構成を示す概略ブロック図である。この実施の形態2に係る充電装置100aは図1の充電装置100に、第1の電力変換器105および第2の電力変換器106を冷却するための冷却装置109を追加した構成である。
第1の電力変換器105および第2の電力変換器106は、その電力の変換効率は理想的には100%だが、実際にはそんなことはなく、充電時に電力を消費し発熱する。発熱は当然ながら、充電電力が高いほど大きい。また発熱した結果、電力変換器に搭載されている部品の保障温度を超えて、変換器が故障するなどの問題が発生する。従って、こういった充電装置では、冷却装置を備えているのが一般的である。
この実施の形態における第1の電力変換器105および第2の電力変換器106は、発熱が懸念される箇所等(主に変換器内部)に、温度を計測する温度センサ506、606(例えば図2,3に破線で例示)を備えている。検出結果は制御回路503,603を介してまたは直接、制御装置108に送られる。
図9は、この実施の形態2における制御装置108aの詳細を示すブロック図である。この実施の形態における制御装置108aは、冷却装置109の冷却装置制御部808、第1の電力変換器105の温度センサ506の温度T0をモニタする第1の温度センサモニタ部809、第2の電力変換器106の温度センサ606の温度T1をモニタする第2の温度センサモニタ部810を有している。
図10は、この実施の形態2における駆動用蓄電池103の充電制御に関わる制御装置108aの処理(特に第1の電力変換器制御部801、第2の電力変換器制御部802、補機電力制御部807、冷却装置制御部808で共同して行われる)の概要を示すフローチャートである。以下、図10に沿って動作を説明する。
ステップS10〜S25は、図7に示した実施の形態1の各ステップと同様である。ステップS14でスイッチ(SW)114をONした後、ステップS31へ移行する。ステップS31では、冷却装置109の冷却動作を開始させる。また、ステップS16またはステップS24で、充電終了と判断された場合は、ステップS32で冷却装置109の冷却動作を終了させる。
ステップS21でSOCがTHrより大きいと判断された場合、またはステップS25の後に、ステップS33で、冷却装置109を制御する。冷却装置109の制御は、例えば、冷却装置109が第1の電力変換器105および第2の電力変換器106内を水を循環させるポンプ等の場合、それぞれの温度センサ506,606で検出された温度T0、T1に応じて、水の循環流量等を制御することで、温度に応じた冷却を行う。
ステップS21で、SOCがTHr以下であると判断された場合、ステップS22〜ステップS23を実施後、ステップS34へ移行する。ステップS34では、冷却装置109の冷却条件を初期化する。例えば、冷却装置109が水を循環させるポンプ等の場合、循環流量等を予め設定された最低条件に制限し、電力消費を最小限にする。
ステップS35では、第1の電力変換器105内の温度T0が所定の閾値Tth0より大きいか否かを判断する。温度T0が所定の閾値Tth0以下であれば、ステップS36へ移行する。温度T0が所定の閾値Tth0より大きければ、ステップS37へ移行する。
ステップS36では、第2の電力変換器106内の温度T1が所定の閾値Tth1より大きいか否かを判断する。温度T1が所定の閾値Tth1以下であれば、ステップS15へ戻る。温度T1が所定の閾値Tth1より大きければ、ステップS37へ移行する。
ステップS37では、第1の電力変換器105と第2の電力変換器106の少なくとも一方に対して、電力変換器内の温度低減のため、ステップS20で決定した充電電流I0を所定の条件で制限し、S15へ戻る。充電電流I0の制限は、所定のステップ、例えば0.2Aずつ、減少させる。図示は省略するが、充電電流I0が所定値以下となった場合は、充電停止(終了)を意味する。その際は、充電を終了させてもよい。また待機状態で温度が低減(例えばT0,T1がそれぞれ閾値Tth0,閾値Tth1以下又は未満になるまで)するのを待ってもよい。ここでの待機状態は、極力電力消費を抑える形態とすることが望ましい。
以上のように、この実施の形態によれば、上述の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、冷却装置109を設けて、第1の電力変換器105と第2の電力変換器106の少なくとも一方に対して、電力変換器内の温度に応じて冷却及び充電電流制限を行うことで、回路内の部品保障温度内で使用することができ、かつその条件で可能な最大電力で効率よく充電することが可能となる。
これはステップS31,S37の効果を示しており、ステップS31で冷却を行うことで、温度上昇に伴い、充電条件の変更(充電電流IOの減少)を不要とし、冷却ができない場合は、温度上昇に伴い、ステップS37で定電流充電モードにおける充電電流IOを例えば,1C→0.8C→0.6Cと減少させていくことで、消費電力低減を低減させ、発熱を抑えるとともになるべく最大の電力を保ちながら充電を行う。
なお、各実施の形態において同様であるが、基本として、充電時間は充電時間=充電量/電流で規定されるので、充電時間をなるべく短くしたければ、定電流充電モードにおける充電電流値を大きくする必要がある。また,充電可能な最大電流は系統に依存する。従って、ステップS20では、系統が出力可能でかつ各セルの充電電流が1Cを超えない最大の電流値(固定値)で急速充電を行うことが望ましい。一方、ステップS25の定電圧充電モードでは、実際には、SOCがTHcを超えないように充電電流I0を制御する。すなわち、充電電流I0が減少していく。従って、ステップS25では、SOCがTHcを超えない最大の電流値で充電を行うのが望ましい。SOCやVbにより、充電モードを選択した時点で、図5に示すプロファイルに基づいて充電が行われていることになる。
この実施の形態では、冷却装置109を水冷装置としたが、空冷装置を利用してもよい。また、充電電流I0の制限は、所定のステップで減少させることとしたが、最小値まで減少させて所定のステップで増加させるような方法でもよい。さらに、温度センサ506、606の温度T0、T1に基づき、制御装置108で冷却制御を行う構成としたが、第1の電力変換器105と第2の電力変換器106の少なくとも一方において冷却制御を行う構成としてもよい。また、温度センサは各1つでなく、それぞれ複数用意してもよい。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る車載用充電装置の構成は上述の実施の形態2と同じである。この実施の形態における第1の電力変換器105および第2の電力変換器106は、実施の形態2と同様、発熱が懸念される箇所等に、温度を計測する温度センサ506、606(図2,3参照)を備えている。
図11は、この実施の形態3における駆動用蓄電池103の充電制御に関わる制御装置108aの処理の概要を示すフローチャートである。以下、図11に沿って動作を説明する。
ステップS10〜S25、S31〜S37は、図10に示した実施の形態2の各ステップと同様である。ステップS21で、SOCがTHr以下であると判断された場合、ステップS22〜ステップS23を実施後、ステップS41へ移行する。ステップS41では、冷却がされているかどうかを確認する。冷却されていなければ、ステップS42で、第2の電力変換器106の蓄電池電圧Vcおよび充電電流I1に基づく電力Wcが、所定の閾値THより大きいか否かを判断する。
第2の電力変換器106の蓄電池電圧Vcおよび充電電流I1に基づく電力Wcが、所定の閾値THより大きければ、ステップS43で冷却条件を初期化する。例えば、冷却装置109が水を循環させるポンプ等の場合、循環流量等を規定された最低条件に制限し、電力消費を最小限にする。その後ステップS15に戻る。第2の電力変換器106の蓄電池電圧Vcおよび充電電流I1に基づく電力Wcが、所定の閾値TH以下であれば、冷却は停止させたままで、ステップS35へ移行する。
一方、ステップS41で冷却されていれば、ステップS44で、第2の電力変換器106の蓄電池電圧Vcおよび充電電流I1に基づく電力Wcが、所定の閾値THより大きいか否かを判断する。第2の電力変換器106の蓄電池電圧Vcおよび充電電流I1に基づく電力Wcが、所定の閾値THより大きければ、冷却はさせたままで、ステップS35へ移行する。第2の電力変換器106の蓄電池電圧Vcおよび充電電流I1に基づく電力Wcが、所定の閾値TH以下であれば、第2の電力変換器106からの供給電力をさらに制限する必要ありと判断し、ステップS45で冷却を停止させ、ステップS35へ移行する。
ステップS35〜S37は、上述の分岐により、冷却条件が前回と変わらないか、悪くなった場合にのみ実施することになる。
蓄電池電圧Vcおよび充電電流I1に基づく電力変動の原理は、図6の説明に記載の通りであり、蓄電池電圧Vcおよび充電電流I1に基づく電力が増加する場合は、補機用蓄電池104の容量が消費され、ひいては駆動用蓄電池103の容量も消費されている。通常、補機用蓄電池電圧Vcは、第2の電力変換器106にて充電時は、所定の充電電圧目標値に固定されている。
以上のように、この実施の形態によれば、上述の実施の形態1および2と同様の効果が得られるとともに、さらに、第2の電力変換器106の蓄電池電圧Vcおよび充電電流I1に基づく電力Wcが所定の閾値TH以下であれば、冷却を停止し間欠動作とすることで、第2の電力変換器106からの供給電力をさらに制限し、補機用蓄電池104の過放電を防止しつつ、その条件で可能な最大電力で効率よく充電することが可能となる。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る車載用充電装置の構成は上述の実施の形態3と同じである。この実施の形態では、駆動用蓄電池103の電圧が、予備充電領域にある場合の充電動作について説明する。
実施の形態1において、予備充電モードでの使用は、一般的には、蓄電池の寿命低下を招くため、常用するようなことはないと記載した。しかしながらここでは、常用ではなく、予想外の駆動用蓄電池103の電圧低下、例えば、走行時に充電スタンドが見つからず、予想以上に蓄電池を消耗した場合や、長期間にわたって車両を使用せず、蓄電池電圧が放電してしまった場合など、特殊な場合を想定している。
図12は、この実施の形態4における駆動用蓄電池103の充電制御に関わる制御装置108aの処理の概要を示すフローチャートである。以下、図12に沿って動作を説明する。
ステップS10〜S25、S31〜S37、S41〜S45は、図11に示した実施の形態3の各ステップと同様である。ステップS15で、SOCがTHp以下である(過放電)と判断された場合、ステップS16にかわり、ステップS51へ移行する。ステップS51では、充電装置が車に搭載されてから、SOCがTHp以下である(過放電)と判断された回数Cpをカウントアップし、ステップS52へ移行する。
ステップS52では、SOCがTHp以下である(過放電)と判断された回数Cpが所定の閾値THcpより大きいか否かを判定する。ここで、所定の閾値THcpは1〜10回程度とする。ステップS52で、Cpが所定の閾値THcpより大きければ、蓄電池寿命が懸念されるため、充電終了とし、ステップS32へ移行する。図示しないが、このような場合は、例えば補機電力制御部807等の制御により異常ランプ等を点灯する制御信号を出力するなどして、ディラー等での点検が必要なことをユーザーに促す。ユーザーへの異常通知は、Cpが所定の閾値THcpより数回前の段階でもよい。
ステップS52で、Cpが所定閾値THcp以下であれば、ステップS53へ移行する。ステップS53では、駆動用蓄電池103の充電電流I0をIpに設定する。ここでIpは、図5に示すC/10(0.1C)よりも小さい値、例えばC/15などに設定する。ステップS53が終了した後は、実施の形態3同様、ステップS22以降を実施することで、第2の電力変換器106の出力電力を絞る。なお、ステップS15で、SOCがTHpより大きいと判断された場合は、いわゆる通常充電モード(例えば図5に示す定電流充電、定電圧充電に基づくもの)に復帰することとなる。
以上のように、この実施の形態によれば、上述の実施の形態1〜3と同様の効果が得られるとともに、さらに、過放電領域と判定され、充電されない領域に対しても、回数限定で所定の充電処理を実施することで、蓄電池を復帰させることができる。これにより、本来ならば必要となる、蓄電池交換等が不要となる。
この実施の形態では、過放電領域の充電を回数制限したが、予備充電の総時間を制限してもよい。すなわち、ステップS15で、SOCがTHp以下である(過放電)と判断された場合、ステップS51で、過放電の判断回数に代わってタイマーで過放電状態での予備充電の時間のカウントを開始し、ステップS52で予備充電の総時間が所定の閾値を超えた場合に充電終了とする。また、所定時間経過しても通常充電モードへの復帰ができるか否か(=蓄電池電圧が回復するか否か)を条件として、蓄電池寿命を判断し、蓄電池寿命が維持できるまでとしてもよい。また、通常充電モードへの復帰を、SOCがTHpより大きくなるまでとしたが、予備充電モードへ遷移した後は、THpより大きな値、例えば、THrを通常充電モードへの復帰閾値にしてもよい。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る車載用充電装置の構成は上述の実施の形態4と同じである。この実施の形態では、第2の電力変換器106の目標充電電圧を下げることで、補機用蓄電池104の残容量に余裕がある場合には、第2の電力変換器106を待機モードとして消費電力をおさえ、駆動用蓄電池103の充電の効率を上げるようにした。図9に記載の第2の電力変換器制御部802から出力される制御信号には、補機用蓄電池104の充電目標電圧Vct(=Vc)が含まれる。Vct(=Vc)は、通常充電時は、例えば14.4Vである。
図13は、この実施の形態5における駆動用蓄電池103の充電制御に関わる制御装置108aの処理の概要を示すフローチャートである。以下、図13に沿って動作を説明する。
ステップS10〜S25、S31〜S37、S41〜S45、S51〜S53は、図12に示した実施の形態4の各ステップと同様である。ステップS52で、SOCがTHp以下である(過放電)と判断された回数Cpが所定の閾値THcp以下であれば、ステップS61へ移行する。
ステップS61では、補機用蓄電池104の充電目標電圧VctをVpに設定する。ここで、Vpは、通常充電時よりも低く、蓄電池電圧が過放電にならない範囲、例えば、12V等に設定する。以下の処理は実施の形態4と同様である。但し、通常充電モードへ復帰した際には、ステップS62に示すように、Vct=Vc、Vcは例えば、14.4Vへ戻す。
次に、補機用蓄電池104の充電目標電圧VctをVpに設定した場合の動作を、図14を用いて説明する。通常充電モードの場合、例えば、Vct=14.4Vである。この際、補機用蓄電池104の蓄電池電圧Vc=13V<14.4Vであった場合、Vc<Vctであるから、I1は第2の電力変換器106から補機用蓄電池104(図中、↓の方向)へ流れ、充電が行われる。
しかしながら、例えば、Vct=12Vとした場合、補機用蓄電池104の蓄電池電圧Vc=13V>12V=Vct(=Vp)であるから、I1は補機用蓄電池104から補機類(負荷類110等)の方(図中、↓と逆方向)へ流れ、放電が行われる(消費される)。この場合、第2の電力変換器106もVc>Vctのため、充電動作は行わず、待機状態に入ることになる。
従って、ステップS61で、Vct=Vpに設定された場合、補機用蓄電池104の電圧Vc>Vpの場合、第2の電力変換器106は充電動作を行わず、待機状態にはいる。このため、駆動用蓄電池103の供給電力は、第2の電力変換器106によって消費されず、効率よく充電されることとなる。ただし、負荷類、ここでは制御装置108、第1の電力変換器105、第2の電力変換器106(待機)、冷却装置(水冷装置)109に必要な電力は、補機用蓄電池104から消費されることとなる。
補機用蓄電池104の消費がすすみ、補機用蓄電池104の電圧Vc<Vpとなった場合、第2の電力変換器106は充電動作を再開する。これにより、補機用蓄電池104は過放電となることなく、再度復帰することとなる。すなわち、予備充電モードの際は、上述の動作が繰り返し行われる。そしてステップS15で、SOCがTHpより大きいと判断された場合は、いわゆる通常充電モードに復帰し、ステップS62でVctがVcに戻される。
以上のように、この実施の形態によれば、上述の実施の形態1〜4と同様の効果が得られるとともに、第2の電力変換器106の目標充電電圧を下げることで、補機用蓄電池104の残容量に余裕がある場合には、第2の電力変換器106を待機モードとし、第2の電力変換器106分の消費電力をおさえることで、駆動用蓄電池103の充電をさらに、効率よく実施することができる。第2の電力変換器106と補機用蓄電池104の接続を切り離すわけではなく、目標充電電圧を下げているので、補機用蓄電池104の残容量に余裕がなくなった場合には、充電を再開し、補機用蓄電池104が過放電となることもない。特に、過放電領域では、極端に駆動用蓄電池103の容量が消耗していることから、この発明による第2の電力変換器106の出力を制限することが、効果的である。
なお上記説明では、第2の電力変換器106の目標充電電圧の変更を、SOCがTHp以下の領域としたが、THpより大きな値、例えば、THr以下としてもよい。
なおこの発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、これらの実施の形態の特徴の可能な組み合わせを全て含むことは云うまでもない。
またこの発明は車載用充電装置に限定されることなく、駆動用蓄電池に相当する高圧用蓄電池と、補機用蓄電池に相当する低圧用蓄電池と、を備えた一般的な充電装置にも適用可能であり、相当の効果が得られる。
100 100a 充電装置、102 インバータ、103 駆動用蓄電池、103a 残容量センサ(充電状態モニタ)、104 補機用蓄電池、105 第1の電力変換器、106 第2の電力変換器、108,108a 制御装置、109 冷却装置、110 負荷類、111 交流電源、112,113,114,115 スイッチ(給電接続切換手段)、501,601 電源回路、502,602 主回路、503,603 制御回路、504,604 電流センサ、505 電圧センサ(充電状態モニタ)、605 電圧センサ、506,606 温度センサ、801 第1の電力変換器制御部、802 第2の電力変換器制御部、803 駆動用蓄電池充電電流モニタ部、804 駆動用蓄電池充電状態モニタ部、805 駆動用蓄電池電圧モニタ部、806 補機用蓄電池電圧モニタ部、807 補機電力制御部、808 冷却装置制御部、809 第1の温度センサモニタ部、810 第2の温度センサモニタ部、811 補機用蓄電池充電電流モニタ部。

Claims (12)

  1. 相対的に高圧の高圧用蓄電池と、
    前記高圧用蓄電池に接続され前記高圧用蓄電池の充電を行う第1の電力変換器と、
    負荷に給電を行う相対的に低圧の低圧用蓄電池と、
    前記高圧用蓄電池に接続され前記低圧用蓄電池の充電を行うと共に、前記負荷への電力供給を行う第2の電力変換器と、
    前記高圧用蓄電池の充電状態をモニタする充電状態モニタと、
    前記第1および第2の電力変換器および前記負荷を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記負荷は、少なくとも前記制御装置、前記第1および第2の電力変換器、前記低圧用蓄電池に接続された負荷類を含み、
    前記制御装置は、前記充電状態モニタの充電状態が前記高圧用蓄電池の過放電の可能性を判断するための所定値以下となった場合に、前記第2の電力変換器および前記低圧用蓄電池からの供給電力を制限して前記第1の電力変換器の充電を継続させることを特徴とする充電装置。
  2. 車両の駆動トルクを発生する電動発電機に給電する相対的に高圧の駆動用蓄電池と、
    前記駆動用蓄電池に接続され前記駆動用蓄電池の充電を行う第1の電力変換器と、
    負荷である車両の補機に給電を行う相対的に低圧の補機用蓄電池と、
    前記駆動用蓄電池に接続され前記補機用蓄電池の充電を行うと共に、前記負荷への電力供給を行う第2の電力変換器と、
    前記駆動用蓄電池の充電状態をモニタする充電状態モニタと、
    前記第1および第2の電力変換器および前記負荷を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記負荷は、少なくとも前記制御装置、前記第1および第2の電力変換器、前記補機用蓄電池に接続された負荷類を含み、
    前記制御装置は、前記充電状態モニタの充電状態が前記駆動用蓄電池の過放電の可能性を判断するための所定値以下となった場合に、前記第2の電力変換器および前記補機用蓄電池からの供給電力を制限して前記第1の電力変換器の充電を継続させることを特徴とする車載用充電装置。
  3. 前記第2の電力変換器の電力供給先を、前記制御装置、前記第1および第2の電力変換器に制限することで、供給電力を、前記制御装置、第1および第2の電力変換器が動作する値に制限することを特徴とする請求項2に記載の車載用充電装置。
  4. 前記第1および第2の電力変換器の少なくとも一方を冷却する冷却装置を備え、前記第2の電力変換器の電力供給先を、前記制御装置、第1および第2の電力変換器、および冷却装置に制限することで、供給電力を、前記制御装置、第1および第2の電力変換器、および冷却装置が動作する値に制限することを特徴とする請求項2に記載の車載用充電装置。
  5. 前記制御装置は、前記冷却装置を、第2の電力変換器の出力電力を所定値に維持できる範囲で、間欠的に動作させることを特徴とする請求項4に記載の車載用充電装置。
  6. 前記充電状態モニタの値から前記駆動用蓄電池が過放電と判断された場合に、前記第2の電力変換器は、通常充電時の充電電流より小さい値の充電電流に絞って、予備充電を行うことを特徴とする請求項3から5までのいずれか1項に記載の車載用充電装置。
  7. 前記充電状態モニタの値から前記駆動用蓄電池が通常状態に復帰したと判断した場合に、前記第2の電力変換器は、通常充電を行うことを特徴とする請求項6に記載の車載用充電装置。
  8. 前記第2の電力変換器による前記補機用蓄電池への目標充電電圧を所定値より小さく設定することで、供給電力を制限することを特徴とする請求項3から7までのいずれか1項に記載の車載用充電装置。
  9. 前記第1の電力変換器が、変換器内の温度を計測する温度センサを備え、前記充電状態モニタの値から過放電ではない電圧低下であると判断される場合に、前記第1の電力変換器に、前記温度センサの値が所定値を超えない最大電力で前記駆動用蓄電池を充電させることを特徴とする請求項3から5までのいずれか1項に記載の車載用充電装置。
  10. 前記予備充電を行う回数を、所定回数以下に制限することを特徴とする請求項6に記載の車載用充電装置。
  11. 前記予備充電を行う総時間を、所定時間以下に制限することを特徴とする請求項6に記載の車載用充電装置。
  12. 第1の電力変換器で、車両の駆動トルクを発生する電動発電機に給電する相対的に高圧の駆動用蓄電池の充電を行い、前記駆動用蓄電池に接続され負荷である車両の補機に電力供給を行う第2の電力変換器で、相対的に低圧の補機用蓄電池の充電を行い、さらに前記負荷に給電を行い、制御装置で前記第1および第2の電力変換器および前記負荷の制御を行い、前記負荷を、少なくとも前記制御装置、前記第1および第2の電力変換器、前記補機用蓄電池に接続された負荷類とした車載用充電装置において、前記駆動用蓄電池の充電状態をモニタする充電状態モニタの充電状態が前記駆動用蓄電池の過放電の可能性を判断するための所定値以下となった場合に、前記第2の電力変換器および前記補機用蓄電池からの供給電力を制限して前記第1の電力変換器の充電を継続させることを特徴とする車載用充電装置における充電方法。
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